JP2009040640A - 酸化亜鉛薄膜の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 大量生産に適し、製造過程の安全性にも問題のない塗布法を用いて、配向性の高い酸化亜鉛薄膜を製造する方法を提供すること。
【解決手段】 基板上にあらかじめ結晶核となる金属酸化物層を形成させた(第一工程)後、これに酸化亜鉛前駆体溶液を塗布し、200℃以下の温度で加熱分解する(第二工程)ことによって、結晶核上に、c軸配向性を持ち、かつ透明な酸化亜鉛薄膜を、低コストかつ簡易に形成することができる。第一工程において形成される結晶核を構成する物質はTi、Zn、InまたはSnのうち、少なくとも一種類以上を含む酸化物である。
【選択図】 図1

Description

本発明は酸化亜鉛薄膜の製造方法に係り、特に光電変換素子、調光素子、導電膜、その他電子デバイス全般に適用可能な、酸化亜鉛薄膜の製造方法に関するものである。
酸化亜鉛は、透明導電材料、発光素子、ガスセンサ等の電子デバイスのみならず、紫外線吸収剤や化粧品等、幅広い分野で活用されている金属酸化物材料である。近年、太陽電池、液晶素子等の電子デバイス用の電極として透明導電膜の必要性が高くなってきており、低コストで量産性に優れた透明導電膜の製造技術の確立が求められている。
透明導電膜の合成方法は、噴霧熱分解法、ゾルゲル法に代表される塗布法、CVD法等の化学的手法と、スパッタリング法、レーザーアブレーション等の物理的手法(PVD法)の二つに大別されるが、その大半はPVD法で作製されているのが現状である。PVD法では結晶の配向性が高く均一で品質の高いものが得られるためである。しかし一方、PVD法は、真空チャンバー等の大型設備が必要となり高コストであり、また、大面積基材への製膜には限界があるとされている。以上の背景より、低コストかつ高品質製膜技術の確立が求められている。
後掲特許文献1に開示されている技術は、大気圧下で亜鉛源のヨウ化亜鉛を気化して基材上に導入する工程と、導入されたヨウ化亜鉛を酸素と反応させて基板上に酸化亜鉛を堆積させる工程とによって、室温にて励起子発光を示す酸化亜鉛エピタキシャル薄膜を作製するというものである。この酸化亜鉛薄膜製法も、上述のPVD法の範疇に入るものである。
特開2001−270799号公報「酸化亜鉛薄膜およびその製造方法」
さて一方、上述した化学的手法の中では、ゾルゲル法に代表される塗布法は量産性にも優れた方法である。しかし、低抵抗な膜を得るためには最終的に高温での加熱処理が必要となる場合が多い。かかる高温下での製膜は、基材の変形および熱分解を引き起こす原因ともなるため、塗布法の非耐熱性材料への適用は従来困難であった。また、塗布法では、結晶構造に配向性を持った品質の高い膜を得ることが困難とされていた。
さらにまた、透明導電膜には一般的に酸化インジウム錫(以下「ITO」)が用いられているが、近年、インジウム資源の枯渇によりITOの価格が高騰している。このことから、ITOの代替材料として酸化亜鉛や酸化錫が注目されている。亜鉛や錫はインジウムに比べ資源が豊富で価格も10分の1以下であるため、化学的製膜法により酸化亜鉛や、酸化錫を用いた品質の高い透明電極膜を作製できれば、透明導電膜の製造に際し大幅な低コスト化を図ることが可能となる。
本願が解決しようとする課題は、このような従来事情に鑑みて提起されたものであり、コスト面および設備面からも大量生産に適し、製造過程の安全性にも問題のない塗布法によって、配向性の高い酸化亜鉛薄膜を製造する方法を提供することである。
本願発明者は上記課題について検討した結果、基板上にあらかじめ結晶核となりうる金属酸化物を形成させた後、酸化亜鉛前駆体溶液を塗布・加熱することによって、結晶配向性を持つ酸化亜鉛薄膜を300℃以下の温度で堆積させることが可能であることを見出し、本発明に至った。すなわち、上記課題を解決するための手段として本願で特許請求される発明、もしくは少なくとも開示される発明は、以下のとおりである。
(1) 基板上に原料液を塗布し加熱して結晶核となる金属酸化物薄膜を形成する第一工程と、前記結晶核上に酸化亜鉛前駆体溶液を塗布し加熱してc軸配向性を有する酸化亜鉛薄膜を形成する第二工程からなる、酸化亜鉛薄膜の製造方法。
(2) 前記第一工程において形成される結晶核を構成する物質がTi、Zn、InまたはSnの少なくとも一種類以上を含む酸化物であることを特徴とする、(1)に記載の酸化亜鉛薄膜の製造方法。
(3) 前記第一工程にて用いる原料液および第二工程において用いる酸化亜鉛前駆体溶液(以下、これらを「金属化合物原料」と総称する。)はそれぞれ、金属酸化物粉体、金属塩、金属アルコキシドまたは金属錯体の少なくとも一種類を含むものであることを特徴とする、(1)または(2)に記載の酸化亜鉛薄膜の製造方法。
(4) 前記第一工程における加熱温度が、100℃以上500℃未満であることを特徴とする、(1)ないし(3)のいずれかに記載の酸化亜鉛薄膜の製造方法。または、前記第一工程における加熱温度が、100℃以上500℃以下であることを特徴とする、(1)ないし(3)のいずれかに記載の酸化亜鉛薄膜の製造方法。
(5) 前記第二工程における加熱温度が、170℃以上230℃未満であることを特徴とする、(1)ないし(4)のいずれかに記載の酸化亜鉛薄膜の製造方法。または、前記第二工程における加熱温度が、170℃以上230℃以下であることを特徴とする、(1)ないし(4)のいずれかに記載の酸化亜鉛薄膜の製造方法。
(6) 前記金属化合物原料を溶解、または加水分解する媒体が、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、2‐メトキシエタノールの少なくともいずれか一種類であることを特徴とする、(3)ないし(5)のいずれかに記載の酸化亜鉛薄膜の製造方法。
(7) 前記第二工程における酸化亜鉛前駆体溶液が、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンの少なくともいずれかを含むことを特徴とする、(5)または(6)に記載の酸化亜鉛薄膜の製造方法。
(8) 前記金属化合物原料に対して、F、Al、Ga、Nb、In、SbもしくはTaのいずれか一種類以上の元素を含む金属塩または化合物を添加することを特徴とする、(1)ないし(7)のいずれかに記載の酸化亜鉛薄膜の製造方法。
(9) 薄膜を保持する基板が、少なくとも300℃の耐熱性を持つガラス、セラミックス、金属または樹脂のいずれかであることを特徴とする、(1)ないし(8)のいずれかに記載の酸化亜鉛薄膜の製造方法。
(10) (1)ないし(9)のいずれかの酸化亜鉛薄膜の製造方法により得られた酸化亜鉛薄膜を使用してなる、下記(A)のいずれかの製品。
(A)触媒、保護膜、太陽電池、ガスセンサー、発光素子、調光材、導電膜、電磁波吸収材、紫外線吸収材。
つまり本発明は、基板上にあらかじめ種となる金属酸化物層を形成させた後、酸化亜鉛前駆体溶液を塗布・加熱分解することによって、結晶核上にc軸配向性を持つ結晶を成長させるものである。本発明手法は、PVD等の高エネルギー条件を用いることなく、温和な条件下にて、結晶配向性の高い高品質な酸化亜鉛薄膜の製膜を可能にするものである。
本発明の酸化亜鉛薄膜の製造方法は上述のように構成されるため、これによれば、基板上にあらかじめ種、つまり結晶核として機能することが可能な金属酸化物層を形成することで、PVD法等に用いられるような大規模な設備や高真空・高エネルギー条件を必要とせず、温和な条件によって、透明かつ結晶配向性の高い、高品質な酸化亜鉛薄膜を得ることができる。したがって、製造過程の安全性にも問題がない。
また、サファイアや、モリブデン、ニッケル等のように、基板上に特別な結晶核を生成させずとも、既存の適宜の金属酸化物を結晶核として用いることができるため、300℃以下の温度で酸化亜鉛結晶を基板上に堆積させることができる。
本発明の酸化亜鉛薄膜製造方法は、コスト面、設備面でも大量生産に適したものであり、光電変換素子、調光素子、導電膜、その他電子デバイス全般に適用することが可能である。特に、透明導電膜を高品質、低コストかつ簡易に製造できる方法として、用いることができる。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明の酸化亜鉛薄膜の製造方法は、結晶核形成工程である第一工程と、形成された結晶核上に、塗布法によって酸化亜鉛薄膜を形成する薄膜形成工程である第二工程とからなる。各工程を順に経ることによって、低コストかつ簡易に、透明かつ結晶配向性の高い酸化亜鉛薄膜が得られる。
<第一工程>
まず第一工程(結晶核形成工程)では、基板上に原料液を塗布し、加熱することによって、結晶核となる金属酸化物薄膜が形成される。ここで、基板としてはたとえば、300℃まで耐性を持つガラス、セラミックスの他、金属製または樹脂製のものを用いてもよい。
本発明において、第一工程における基板への原料液の「塗布」とは、原料液を載せた適宜の媒体を用いて基板に塗布することの他、さらに、広く基板上に原料液を載せるための処理のことをいうものとする。たとえば実施例に示すように、容器中に入れた原料液中に浸漬することも、「塗布」に含まれる。その他、噴霧(吹き付け)処理なども該当する。
原料液中に含まれる結晶核構成用の物質としては、Ti、Zn、InまたはSnの少なくとも一種類以上を含む化合物を用いることができる。特にTi、Znの化合物は安価でもあり、好適に用いることができる。化合物としては、酸化物でも、また実施例に示すように酢酸化合物でも、適宜の構造のものを用いることができる。該結晶核構成用の物質を用いて第一工程の処理がなされる結果、Ti、Zn、InまたはSnの少なくとも一種類以上を含む酸化物により、結晶核は構成されることとなる。
原料液には、上記結晶核構成用の物質とは別に、適宜の金属酸化物粉体、金属塩、金属アルコキシドまたは金属錯体のいずれかを、またはその適宜組合せの複数を添加することができる。これらを添加することにより、結晶核となる膜を構成する酸化物粒子の成長を制御し、結晶核膜の密着強度を向上させることができる。
原料液に用いる分散媒または溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、2‐メトキシエタノールの少なくともいずれか一つを用いることができる。
原料液には、F、Al、Ga、Nb、In、SbもしくはTaのいずれか一種類以上の元素を含む金属塩または化合物を添加してもよい。これらを添加することにより、酸化亜鉛結晶構造中に上記元素がドーピングされ、電気伝導性を有する酸化亜鉛膜を形成することができる。
基板上に塗布された原料液に加熱処理を施すことによって、分散媒または溶媒が除去されるとともに、基板上には分散質または溶質である金属化合物によって結晶核膜が形成される。ここでの加熱温度は100℃以上500℃以下、あるいは100℃以上500℃未満、より好適には、280℃以上450℃未満とすることがよい。
<第二工程>
ついで第二工程(酸化亜鉛薄膜形成工程)では、第一工程で得られた結晶核上に酸化亜鉛前駆体溶液が塗布され、加熱分解処理されることによって、c軸配向性を有する酸化亜鉛薄膜が形成される。なお「塗布」は、第一工程での説明と同様の意味である。
また、酸化亜鉛前駆体溶液には、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンの少なくともいずれかを含むのがよい。これらを添加することにより、酸化亜鉛前駆体溶液を安定化し、前駆体溶液中での金属化合物の沈殿の生成をおさえることができる。またこれらを添加することにより、溶媒の揮発速度を制御し、加熱の際に生じる酸化亜鉛膜のひび割れや剥離を抑える効果を得ることができる。
また、酸化亜鉛前駆体溶液には、F、Al、Ga、Nb、In、SbもしくはTaのいずれか一種類以上の元素を含む金属塩または化合物を添加してもよい。これらを添加することにより、酸化亜鉛結晶構造中に上記微量元素がドーピングされ、電気伝導性を有する酸化亜鉛膜を形成することができる。
酸化亜鉛前駆体溶液に用いる分散媒または溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、2‐メトキシエタノールの少なくともいずれか一つを用いることができる。
基板結晶核膜上に塗布された酸化亜鉛前駆体溶液に加熱処理を施すことによって、分散媒または溶媒が除去されるとともに、基板上には、最終目的の酸化亜鉛薄膜が形成される。ここでの加熱温度は170℃以上230℃以下、あるいは170℃以上230℃未満、より好適には、190℃以上210℃未満とすることがよい。また、加熱温度をこのように低くする代わりに、加熱処理を複数回行うものとしてもよい。
以下、本発明の実施例として酸化亜鉛薄膜の製造について説明するが、本発明はかかる実施例に限定することを意図したものではない。
<1.酸化亜鉛薄膜の作製>
<1.−1 結晶核膜の形成>
9.7gの2−メトキシエタノールに、1.1gの酢酸亜鉛2水和物と0.02gの硝酸アルミニウム6水和物を加え、マグネチックスターラーを用いて室温で4時間攪拌し、結晶核原料溶液とした。この原料溶液を、あらかじめ洗浄したガラス基板にスピンコーティングし、これを150℃のホットプレート上で5分乾燥した後、400℃で20分加熱処理を行って酸化亜鉛結晶核膜を得た。なおガラス基板の洗浄処理は、アセトンとメタノールを体積比で同量混合した液中での超音波処理である。ここで得られた結晶核膜を実施例1とした。
<1.−2 酸化亜鉛薄膜の形成>
9.7gの2−メトキシエタノールに、1.1gの酢酸亜鉛2水和物と0.02gの硝酸アルミニウム6水和物を加え、マグネチックスターラーを用いて完全に溶解した。得られた溶液に0.3gモノエタノールアミンを加え室温で4時間攪拌して酸化亜鉛前駆体溶液とした。前記<1.−1>にて得られた酸化亜鉛結晶核膜に、酸化亜鉛前駆体溶液をスピンコーティングした。
ついでこれを、190℃のホットプレート上で5分間加熱処理した。コーティングと加熱処理は1〜3回行い、酸化亜鉛薄膜を得た。
酸化亜鉛薄膜形成のための加熱処理回数により、下記の通りの実施例とした。
実施例2−1:コーティングおよび加熱処理1回
実施例2−2:コーティングおよび加熱処理2回
実施例2−3:コーティングおよび加熱処理3回
<1.−3 比較例>
比較例1
体積比で水:メタノール=1:1で混合した液体に市販酸化亜鉛粉末を分散させ、あらかじめ洗浄したガラス基板にスピンコーティングし、これを150℃のホットプレート上で5分間加熱乾燥処理して、ガラス基板上に酸化亜鉛を堆積させた膜を、比較例1とした。
比較例2
9.7gの2−メトキシエタノールに、1.1gの酢酸亜鉛2水和物と0.02gの硝酸アルミニウム6水和物を加え、マグネチックスターラーを用いて室温で4時間攪拌し、結晶核原料溶液とした。この原料溶液をあらかじめ洗浄したガラス基板にスピンコーティングし、これを150℃のホットプレート上で5分間乾燥した後、190℃で5分間加熱処理を行った。このコーティング・加熱の操作を3回繰り返して得られた酸化亜鉛薄膜を比較例2とした。
比較例3
メタノール8gに1.5gの硝酸亜鉛6水和物と0.02gの硝酸アルミニウム9水和物を加え、マグネチックスターラーを用いて完全に溶解した。その後、24時間攪拌して酸化亜鉛ゾル溶液とした。この酸化亜鉛ゾル溶液をガラス基板にスピンコーティングし、これを150℃のホットプレート上で5分間乾燥後、電気加熱炉にて400℃で1時間焼成してガラス基板上に酸化亜鉛を体積させた膜を比較例3とした。
比較例4(スパッタリング法により製膜した酸化亜鉛膜)
酸化亜鉛ターゲットを用いてRFスパッタリング法により製膜した酸化亜鉛膜を比較例4とした。製膜条件は、スパッタリングガスにアルゴンを用い、投入電力200W、基板温度200℃、約0.7Paの真空度において、基板をターゲットの直上に固定して3時間製膜を行った。
<2.特性評価方法>
<2.1 抵抗率測定>
作製した酸化亜鉛薄膜の導電特性は、三菱油化株式会社製低抵抗率計LorestaAP MCP−T400を用いて評価した。
<2.2 結晶相の同定>
結晶相の同定および比表面積の測定には、日本電子株式会社製粉末X線回折装置JDX−3530を用いた。
<2.3 酸化亜鉛薄膜の膜厚評価>
作製した酸化亜鉛薄膜の厚さは、日立製作所製走査型電子顕微鏡S−5000を用いて、膜側面から膜厚を観察することにより評価した。
<3.評価結果>
表1に、各実施例1および比較例の比抵抗、光透過率および膜厚の測定結果を示す。
Figure 2009040640
<3.−1 導電性および光透過率>
市販粉体を分散させた比較例1は、比抵抗測定不可能の結果となり、導電性は認められなかった。また、光透過率も55%と低い上、摩擦することによって酸化亜鉛膜の剥離も認められた。
結晶核を用いず190℃での加熱のみを繰り返した比較例2は、比抵抗測定不可能の結果となり、導電性は認められなかった。
硝酸塩化合物とアルコールのみを原料液として作製した比較例3では、2.5×10Ω・cmの比抵抗を示したが、光透過率が約51%であり、透明膜が得られなかった。また、摩擦による酸化亜鉛膜の剥離も認められた。
スパッタリング法により製膜した比較例4は、1.6×10Ω・cmの比抵抗を示した。しかし、僅かに茶色に着色しており、光透過率も65%と低い値であった。
一方、本方法で作製した結晶核である実施例1は、90%以上の光透過率を示し、1.0×10Ω・cmの比抵抗を示した。また実施例2−1〜2−3では、コーティングおよび加熱処理を繰り返した後も90%以上の光透過率が維持された。また、3回のコーティングと加熱を繰り返すことで4.2×10−1Ω・cmまで比抵抗が低下した。
<3.−2 XRDパターン>
図1は、各実施例および比較例のXRDパターンを示すX線回折グラフである。図示するように、比較例1では5本の回折ピークが認められ、このうちミラー指数(002)に対応した回折ピークの強度はその前後のピークと比べて低かった。
また比較例2では、回折ピークが認められておらず、結晶化していないことが示された。また比較例3、4では、XRDパターンより、ミラー指数(002)の他に(100),(101)に対応したピークが認められ、c軸配向性を有する酸化亜鉛膜は得られなかった。
一方、実施例1および実施例2−1〜2−3ではミラー指数(002)に対応した回折ピークのみが認められ、c軸方向に配向性をもって結晶が成長していることが示された。
また、実施例1と、実施例2−1〜2−3との比較により、コーティングと加熱の回数の増加に伴って、回折ピーク強度の増加が認められた。このことから、190℃という比較的温和な加熱条件においても、結晶核膜(実施例1)上で酸化亜鉛結晶が配向成長していることが示された。
本発明の酸化亜鉛薄膜製造方法により、塗布法によって、c軸に配向性を有し透明かつ品質の高い酸化亜鉛薄膜を、比較的低温条件下で作製することが可能となった。これは、PVD法等のように大規模な設備や特別な条件を必要としないため、コスト面および設備面の両面で、大量生産に適した新技術である。
本発明により得られる酸化亜鉛薄膜は、透明導電膜用途として最適であるが、他にも、触媒、保護膜、太陽電池、ガスセンサー、発光素子、調光材、導電膜、電磁波吸収材あるいは紫外線吸収材にも適用可能であり、産業上利用価値が高い発明である。
各実施例および比較例のXRDパターンを示すX線回折グラフである。

Claims (10)

  1. 基板上に原料液を塗布し加熱して結晶核となる金属酸化物薄膜を形成する第一工程と、前記結晶核上に酸化亜鉛前駆体溶液を塗布し加熱してc軸配向性を有する酸化亜鉛薄膜を形成する第二工程からなる、酸化亜鉛薄膜の製造方法。
  2. 前記第一工程において形成される結晶核を構成する物質がTi、Zn、InまたはSnの少なくとも一種類以上を含む酸化物であることを特徴とする、請求項1に記載の酸化亜鉛薄膜の製造方法。
  3. 前記第一工程にて用いる原料液および第二工程において用いる酸化亜鉛前駆体溶液(以下、これらを「金属化合物原料」と総称する。)はそれぞれ、金属酸化物粉体、金属塩、金属アルコキシドまたは金属錯体の少なくとも一種類を含むものであることを特徴とする、請求項1または2に記載の酸化亜鉛薄膜の製造方法。
  4. 前記第一工程における加熱温度が、100℃以上500℃以下であることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の酸化亜鉛薄膜の製造方法。
  5. 前記第二工程における加熱温度が、170℃以上230℃以下であることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の酸化亜鉛薄膜の製造方法。
  6. 前記金属化合物原料を溶解、または加水分解する媒体が、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、2‐メトキシエタノールの少なくともいずれか一種類であることを特徴とする、請求項3ないし5のいずれかに記載の酸化亜鉛薄膜の製造方法。
  7. 前記第二工程における酸化亜鉛前駆体溶液が、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンの少なくともいずれかを含むことを特徴とする、請求項5または6に記載の酸化亜鉛薄膜の製造方法。
  8. 前記金属化合物原料に対して、F、Al、Ga、Nb、In、SbもしくはTaのいずれか一種類以上の元素を含む金属塩または化合物を添加することを特徴とする、請求項1ないし7のいずれかに記載の酸化亜鉛薄膜の製造方法。
  9. 薄膜を保持する基板が、少なくとも300℃の耐熱性を持つガラス、セラミックス、金属または樹脂のいずれかであることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれかに記載の酸化亜鉛薄膜の製造方法。
  10. 請求項1ないし9のいずれかの酸化亜鉛薄膜の製造方法により得られた酸化亜鉛薄膜を使用してなる、下記(A)のいずれかの製品。
    (A)触媒、保護膜、太陽電池、ガスセンサー、発光素子、調光材、導電膜、電磁波吸収材、紫外線吸収材。
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