JP2017196595A - 基体の表面保護膜及び基体の表面保護膜の造膜方法 - Google Patents

基体の表面保護膜及び基体の表面保護膜の造膜方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光の非照射時であっても、基体の表面に、絶縁状態と導電状態とのスイッチングを発現させ、基体表面近傍に浮遊する物質が有する帯電等の電気的特性を中性化することにより、基体表面への汚染物質の付着や吸着を防ぎ、合わせて基体表面を親水化することにより、基体の表面を保護する手段を提供する。
【解決手段】本発明による基体の表面保護膜は、光半導体の粒子又は結晶体を含有し、該光半導体の粒子又は結晶体に酸素欠損が生成されていることを特徴とし、基体の表面電気抵抗を導電性を有する表面状態と絶縁性を有する表面状態とに周期的に変動させることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、基体表面の保護技術に関するものである。
本願の発明者は、これまで基体表面を保護(防汚)する様々な方法を提案してきた。例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3は、光触媒技術に関連するものである。
一方、出願人は、特許文献4において、基体表面又は基体表面層に、導電体と誘電体又は半導体との複合体を配置することによって基体表面に正電荷を発生させ、外部からの汚染物質を静電的に吸着又は反発させることにより、基体表面を保護する技術を開示している。また、出願人は、特許文献5において、基体表面又は基体表面層に、正電荷物質及び負電荷物質を配置して、基体表面を正及び負に帯電させることにより、外部からの汚染物質を基体表面において静電的に吸着又は反発させることにより、基体表面を保護する技術を開示している。
さらに、出願人は、特許文献6において、表面上に、光半導体含有層及び、正電荷物質若しくは負電荷物質含有層、又は、光半導体・正電荷物質及び負電荷物質含有単層、を備える基体に光を照射し、基体表面の導電特性を変化させることにより、基体表面を保護する技術を開示している。
特に特許文献6において開示した技術は、基体表面の導電特性を変化させて基体表面を保護する点で従来にない新しい技術であったが、導電特性の変化は光半導体への励起波長(光)の照射を条件としており、光が照射されていない場合は、他の機能による保護に依らざるを得なかった。
特開平9−262481号公報 特開平10−235201号公報 特開平11−333303号公報 国際公開WO2005/108056号公報 国際公開WO2008/013148号公報 国際公開WO2012/093632号公報
本発明は、光の非照射時であっても、基体の表面に、絶縁状態と導電状態とのスイッチングを発現させ、基体表面近傍に浮遊する物質が有する帯電等の電気的特性を中性化することにより、基体表面への汚染物質の付着や吸着を防ぎ、合わせて基体表面を親水化することにより、基体の表面を保護する手段を提供することを目的とする。
本発明による基体の表面保護膜は、光半導体の粒子又は結晶体を含有し、該光半導体の粒子又は結晶体に酸素欠損が生成されていることを特徴とする。
また、上記の基体の表面保護膜に含有される光半導体は、金属又はその他の無機物をドープした光半導体とすることができる。
上記した物質を含有することにより、上記の基体の表面保護膜は、基体の表面電気抵抗を導電性を有する表面状態と絶縁性を有する表面状態とに周期的に変動させることができる。
上記した基体の表面保護膜の造膜方法は、光半導体と、炭素及び/又は熱分解性有機化合物と、を含む造膜液を、基体の表面又は表面層上に塗布した後、高温で加熱することにより炭素及び/又は熱分解性有機化合物を二酸化炭素ガスとして噴出させ、該光半導体の粒子又は結晶体に酸素欠損を生成することを特徴とする。
上記した基体の表面保護膜の造膜方法の他の態様は、光半導体を含む造膜液を、基体の表面又は表面層上に塗布した後、窒素を含む還元雰囲気で還元焼成することにより、該光半導体の粒子又は結晶体に酸素欠損を生成することを特徴とする。
上記した基体の表面保護膜又はその造膜方法において、金属又はその他の無機物をドープした光半導体は、ドープされる金属が元素周期表における第5周期の金属元素又はその化合物であるとより好ましい。
また、上記した基体の表面保護膜又はその造膜方法において、金属又はその他の無機物をドープした光半導体は、ドープされるその他の無機物が、ケイ素、リン又は硫黄の少なくともいずれか1つの元素又はその化合物であるとより好ましい。
本発明によれば、基体の表面層又は表面膜中の電気抵抗を導電性状態と絶縁性状態とに短い時間で周期的に変動させることにより、基体の表面近傍に浮遊する物質の表面が正に帯電している場合には電子を付与し、基体の表面近傍に浮遊する物質の表面が負に帯電している場合には電子を引き抜き、浮遊物質の表面の帯電状態を電気的に中性化することにより、浮遊している汚染物質の基体への電気的吸着を防ぐことが出来る。さらに、基体の表面保護膜中の物質に酸素欠損を生成することにより、基体表面の親水性を維持又は発現させることができ、基体表面の汚染劣化をより低減又は回避することができる。
金属(無機物)ドープ酸化チタンの分散液の作製方法の一例を示す図である。 金属(無機物)ドープ酸化ケイ素の分散液の作製方法の一例を示す図である。 本発明による表面保護膜の機能を模式的に示す図である。 実施例中、評価2の実施方法を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明による実施の形態について説明する。
概要
本発明による基体の表面保護膜は、光半導体の粒子又は結晶体を含有し、その光半導体の粒子又は結晶体に酸素欠損が生成されていることにより、基体の表面電気抵抗を、導電性を有する表面状態と絶縁性を有する表面状態とに周期的に変動させることを特徴とする。
上記の表面保護膜において、光半導体が、金属又はその他の無機物をドープした光半導体の粒子又は結晶体であれば、さらに好ましい。
また、上記した表面保護膜を製造する方法としては、いくつかの方法があり、例えば、基体に、光半導体、あるいは、金属又はその他の無機物をドープした光半導体の粒子又は結晶体による膜を造膜する場合に、膜中に炭素や熱分解性有機化合物を混入させた上で高温加熱する方法、造膜液を基体の表面又は表面層上に塗布した後に窒素を含む還元雰囲気で還元焼成する方法、基体表面に積層された上記した粒子又は結晶体に還元雰囲気で放射線を照射する方法、等がある。
以下、本発明による基体の表面保護膜を形成する物質、基体の表面保護膜の造膜方法、基体の表面保護膜の機能、基体に形成される表面保護膜以外の中間層、本発明の対象となる基体、の詳細について順番に説明する。
なお、本願明細書において、光半導体にドープされる物質として金属やその他の無機物を記載している場合、特に断りを入れない場合は、金属化合物やその他の無機物化合物をも含むものとする。
<基体の表面保護膜を形成する物質>
本発明による基体の表面保護膜は、光半導体の粒子又は結晶体、あるいは、金属又はその他の無機物をドープした光半導体の粒子又は結晶体を含有する。以下に記載する<1>〜<6>において、この表面保護膜を構成する光半導体や、光半導体にドープする金属又はその他の無機物(これらの化合物を含む)について説明する。
<1>光半導体
光半導体とは、その伝導電子体と価電子体のバンドギャップエネルギーより大きい光エネルギーが照射されると、励起状態となり電子・ホール対を生成する光半導体物質のことである。
本発明において、光半導体としては、二酸化チタンや二酸化ケイ素が好ましい。二酸化チタンは、半導体として電気的特性を形成しやすく、紫外線吸収力に優れ、高い透明性を実現することができる。また、二酸化チタンは、他の成分との共存や複合化により、基体表面の親水性や撥水性を制御することが可能である。さらに、二酸化チタンは、各バインダーを含有しない膜を形成するには好適である。二酸化ケイ素は、安価で安定的な供給が可能な材料であり、屈折率が比較的小さく、半導体として電気的に中性であり、加工がしやすく、定着性にも優れている。
二酸化チタンや二酸化ケイ素以外の光半導体として、ZnO、SrTiOP、CdS、CdO、CaP、InP、In、CaAs、BaTiO、KNbO、Fe、Ta、WO、NiO、CuO、SiC、MoS、InSb、RuO、CeO等を使用することができる。これらの光半導体物質を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。また、これらの光半導体は、基体に形成された表面保護膜では粒子又は結晶体の形態であることが好ましい。
<2>光半導体にドープする金属又はその他の無機物
本願発明による基体の表面保護膜は、光半導体を使用することにより実現可能であるが、光半導体に金属又はその他の無機物をドープすることにより、さらに機能を追加あるいは高めることができる。
光半導体にドープする金属としては、どのような金属でもドープすることが可能であるが、元素周期表における第4周期及び第5周期の金属元素又はその化合物が好ましい。特に、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、In、Sn等の第5周期の金属及びその化合物が好ましい。
また、光半導体にドープするその他の無機物としては、様々な無機物質をドープすることが可能であるが、特に、ケイ素、リン又は硫黄の少なくともいずれか1つの元素又はその化合物が好ましい。
これらの光半導体にドープする金属又はその他の無機物は、単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
また、これらの光半導体にドープする金属又はその他の無機物は、光半導体にドープすることによって、その半導体物質が正及び/又は負に帯電するものが望ましい。ドープする金属又は無機物の種類により、ドープされた半導体物質が正又は負のどちらに帯電するかが左右される。
なお、ここでは光半導体にドープする物質として、金属及びその他の無機物について説明しているが、例外的にシリコーン等の有機物質であってもドープすることが可能である。
<3>光半導体含有膜にさらに含有できる物質
光半導体含有膜は、光半導体に加えて金属(Ag、Pt等)を含んでいてもよい。また金属塩等の各種物質を含むこともできる。前記金属塩としては、例えば、アルミニウム、錫、クロム、ニッケル、アンチモン、鉄、セシウム、インジウム、セリウム、セレン、銅、マンガン、カルシウム、白金、タングステン、ジルコニウム、亜鉛等の金属塩が有り、それ以外にも一部の金属あるいは非金属等については水酸化物又は酸化物を含むことも可能である。具体的には、塩化アルミニウム、塩化第一及び第二錫、塩化クロム、塩化ニッケル、塩化第一及び第二アンチモン、塩化第一及び第二鉄、硝酸銀、塩化セシウム、三塩化インジウム、塩化第一セリウム、四塩化セレン、塩化第二銅、塩化マンガン、塩化カルシウム、塩化第二白金、四塩化タングステン、オキシ二塩化タングステン、タングステン酸カリウム、塩化第二金、オキシ塩化ジルコニウム、塩化亜鉛等の各種金属塩が例示できる。また、金属塩以外の化合物としては、水酸化インジウム、ケイタングステン酸、シリカゾル、水酸化カルシウム等が例示できる。
<4>金属又はその他の無機物ドープ酸化チタンの製造方法
ここでは、本発明において使用し得る金属又はその他の無機物をドープした光半導体のうち、好ましい例として、金属又はその他の無機物ドープ二酸化チタンを含有する膜を形成するための、金属又はその他の無機物ドープ酸化チタンの製造方法について説明する。
上記した金属や金属以外の無機物と複合させる酸化チタン(酸化チタンの化合物を含む)としては、TiO、TiO、TiO、TiO/nHO等の各種の酸化物や過酸化物が使用可能である。
上記した金属又はその他の無機物ドープ酸化チタンは、一般的な二酸化チタン粉末の製造方法である塩酸法又は硫酸法をベースとする製造方法を採用してもよいし、各種の液体分散チタニア溶液の製造方法を採用してもよい。そして、酸化チタンに複合させる金属や金属以外の一部の無機物質は、製造段階の如何を問わず、酸化チタンと複合化させることが出来る。
以下、図1を参照しながら、金属又はその他の無機物ドープ酸化チタンの分散液の作製方法の一例について説明する。まず、50%四塩化チタン(市販品)を純水で80〜100倍希釈した溶液に、図1の左側に例示する無機物化合物や金属化合物(結晶水を有する化合物)を、モル比で1:0.05の割合で混合する。
無機物化合物や金属化合物は、複数の種類を混合することができる。四塩化チタンと無機物化合物や金属化合物との混合割合は、モル比で好ましくは1:0.01〜1:0.3、より好ましくは、1:0.02〜1:0.1がよい。これに、25%アンモニア水(市販品)を純水で10倍希釈調整した2.5%アンモニア水を滴下して、pH7前後に調整して、チタン及び無機物や金属の水酸化物を析出させる。この析出した水酸化物を純水で上澄み液の導電率が0.9mS/m以下になるまで洗浄する。洗浄された水酸化物に、濃度が35%の過酸化水素水を混合し、数時間反応させて限外濾過することにより、複合された無機物質や金属が修飾されたアモルファス型過酸化チタンの微細不定形物質が分散された溶液が得られる。また、上記した水酸化物に、過酸化水素水を混合して反応させた後、加熱して限外濾過することにより、複合された無機物質や金属が修飾されたアナターゼ型過酸化チタンの微細粒子又は結晶体が分散された溶液が得られる。
なお、上記した製造方法で得られる水性分散液中の過酸化チタン濃度(共存する金、銀、白金、銅、マンガン、ニッケル、コバルト、鉄、亜鉛等の金属を含む合計量)は、0.05〜15wt%が好ましく、0.1〜5wt%がより好ましい。
上記の金属又はその他の無機物ドープ酸化チタンの製造工程において、酸化チタン(その化合物を含む)と複合される無機物質や金属(アルカリ金属、アルカリ土類金属を含む)を得るために混合される金、銀、白金、ニッケル、コバルト、銅、マンガン、鉄、亜鉛、リチウム、ナトリウム、ケイ素、カリウム、ジルコニウム、セリウム、ハフニウム、ルビジウム、ストロンチウム、イットリウム、ニオブ、モリブデン、パラジウム、バリウムの化合物の例としては、それぞれ以下のものが例示できる。
Au化合物:AuCl、AuCl、AuOH、Au(OH)、AuO、Au
Ag化合物:AgNO、AgF、AgClO、AgOH、Ag(NH)OH、AgSO
Pt化合物:PtCl、PtO、Pt(NH)Cl、PtO、PtCl、[Pt(OH)2−
Ni化合物:Ni(OH)、NiCl
Co化合物:Co(OH)NO、Co(OH)、CoSO、CoCl
Cu化合物:Cu(OH)、Cu(NO、CuSO、CuCl
Mn化合物:MnNO、MnSO、MnCl
Fe化合物:Fe(OH)、Fe(OH)、FeCl
Zn化合物:Zn(NO、ZnSO、ZnCl
Li化合物:LiOH、LiCO、LiCl等
Na化合物:NaOH、NaCl、NaCO
Si化合物:SiO、SiH、SiCl
K化合物:KOH、KO、KCl等
Zr化合物:ZrO、Zr(OH)、ZrCl等
Ce化合物:CeO、CeCl
Hf化合物:HfCl、Hf(OH)
Rb化合物:RbO、RbOH等
Sr化合物:SrO、SrCl
Y化合物:Y、Y(OH)
Nb化合物:NbCl、NbO等
Mo化合物:MoO、MoCl
Pd化合物:PdCl、Pd
Ba化合物:BaCl
なお、図1を参照して説明した金属ドープ酸化チタン分散液の製造方法以外にも、無機物質や金属と酸化チタンを複合化する方法は多数存在し、例えば、あらかじめ酸化チタンの粒子と、複合化する無機物質や金属の粒子とを別々に作製し、それぞれを混合してから酸素欠損を生成してもよいし、複合化する無機物質や金属の酸素欠損粒子をそれぞれ作製した上で混合してもよい。本願発明において、金属等をドープした酸化チタンを作製するためには、上記の製法以外にも、多種の酸化チタンの微細不定形物質及びその分散溶液を製造する方法があり、そのいずれを用いてもよい。
<5>金属又はその他の無機物ドープ酸化ケイ素の製造方法
ここでは、本発明において使用し得る金属又はその他の無機物をドープした光半導体のうち、好ましい例として、金属又はその他の無機物ドープ二酸化ケイ素を含有する膜を形成するための、金属又はその他の無機物ドープ酸化ケイ素の分散液の製造方法について説明する。
金属(金属以外の一部の無機物質を含む)と複合させる酸化ケイ素(酸化ケイ素の化合物を含む)としては、SiO、SiO、SiO、SiO/nHO等の各種の酸化物や過酸化物が使用可能である。
酸化ケイ素を含有する材として、多数の種類の製品が市販されている。例えば、有機材料と無機材料の結合材料(複合材料)として、以下のものを挙げることが出来る。
・複合材料の機械的強度の向上や結合性の改良や表面親水性を付与するシランカップリング剤中、加水分解性からメトキシ基やエトキシ基を有する水溶性コーティング剤
・有機官能基とアルコキシ基を分子内に有するオリゴマ型のカップリング剤として、各種の物質を複合化して樹脂改質や機能性コーティング剤として使用されるシリコーンオリゴマー
・後述する基材への撥水性付与機能材として使用される、メチル基や長鎖アルキル基、フェニル基を有するアルコキシランやアルコキシラザン
・有機材料や無機材料の活性水素の保護機能を有するオリガノシリル基を有していたり、アルキル基の反応位置を制御することによって有機合成部材を作ることの出来るシリル化剤等
上記した酸化ケイ素を含有する材を使用して、金属又はその他の無機物ドープ酸化ケイ素の造膜液を作ることができる。以下、図2を用いて、複合化するのが金、銀、白金、銅、マンガン、ニッケル、コバルト、鉄、亜鉛等の典型金属及び遷移金属である場合の、金属又はその他の無機物ドープ酸化ケイ素の分散液の作製方法の一例について説明する。
まず、メチルシリケートに、アルコールと純水と所定量の触媒を混合して加水分解させる。透明になるまで攪拌すると、シリカゾルが作製される。このシリカゾルを純水で希釈する。シリカゾル希釈液における固形分濃度は、好ましくは10%〜0.2%、より好ましくは4%〜0.85%である。このシリカゾル希釈液と、1%濃度に調整した金属化合物(結晶水を持つ化合物)とを、シリカに対するモル濃度比で、好ましくは1:0.03〜1:2.7、より好ましくは、1:0.03〜1:0.27の割合で混合する。
次に、複合化するのがカリウム、ナトリウム等のアルカリ金属である場合の、金属又はその他の無機物ドープ酸化ケイ素の分散液の作製方法の一例について説明する。まず、メチルシリケートに、アルコールと純水と所定量の触媒を混合して加水分解させる。透明になるまで攪拌すると、シリカゾルが作製される。このシリカゾルを純粋で希釈する。シリカゾル希釈液における固形分濃度は、好ましくは10%〜0.2%、より好ましくは4%〜0.85%である。このシリカゾル希釈液と、1%濃度に調整したNa等のアルカリ金属とを、シリカに対するモル濃度比で、好ましくは1:0.03〜1:2.7、より好ましくは、1:0.03〜1:0.27で混合する。
なお、図2に示すとおり、上記した分散液の作製において、酸化ケイ素に複合化できる金属化合物や無機化合物は、金属又はその他の無機物ドープ酸化チタンを作製するときに使用する金属化合物や無機物化合物と同様のものが可能である。
<6>金属又はその他の無機物ドープ酸化チタン及び酸化ケイ素の製造方法
最後に、酸化チタン及び酸化ケイ素に対して、金属又はその他の無機物を複合化させた溶液の作製方法について説明する。まず、純水に対して、四塩化チタンとシリカゾルを、モル比で1:0.5の割合で混合し、無機物化合物や金属化合物(結晶水を有する化合物)を、さらに混合する。無機物化合物や金属化合物は複数の種類を混合することができる。四塩化チタンと無機物化合物や金属化合物との混合割合は、モル比で好ましくは1:0.01〜1:0.3、より好ましくは、1:0.02〜1:0.1がよい。これに25%に調整したアンモニア水を滴下して、pH7前後に調整して、チタン、ケイ素及び複合化する無機物質や金属の水酸化物を析出させる。この析出した水酸化物を純水で上澄み液の導電率が0.9mS/m以下になるまで洗浄する。洗浄された水酸化物に、濃度が35%の過酸化水素水を混合し、数時間反応させて限外濾過することにより、シリカと複合された金属や無機物質が修飾されたアモルファス型過酸化チタンの微細不定形物質が分散された溶液が得られる。
なお、上記した製造方法で得られる水性分散液中の過酸化チタン濃度(共存する金、銀、白金、銅、マンガン、ニッケル、コバルト、鉄、亜鉛等の金属や無機物質を含む合計量)は、0.05〜15wt%が好ましく、0.1〜5wt%がより好ましい。
<光半導体(金属又はその他の無機物をドープした光半導体を含む)の粒子又は結晶体に酸素欠損を生成させた表面保護膜を基体に造膜する方法>
以下の<A>〜<C>において、光半導体(金属又はその他の無機物をドープした光半導体を含む)の粒子又は結晶体に酸素欠損が生成された表面保護膜を基体に造膜する方法の例を説明する。しかしながら、光半導体(金属又はその他の無機物をドープした光半導体を含む)の粒子又は結晶体に酸素欠損が生成された表面保護膜を基体に造膜する方法であれば、<A>〜<C>には限定されるものではなく、どのような方法でもよい。例えば、あらかじめ、光半導体(あるいは、金属又はその他の無機物をドープした光半導体)の酸素欠損を生成させた粒子又は結晶体を作製し、これを使用してウェット工法やドライ工法により基体に造膜する方法もある。
<A>
光半導体(あるいは、金属又はその他の無機物をドープした光半導体)と炭素及び/又は熱分解性有機化合物とを含む造膜液に基体を浸漬してディップコーティングを行い、あるいは、前記造膜液を、基体の表面又は表面層上にスプレー、ロール、刷毛、スポンジ等で塗布した後、340℃以上、望ましくは400℃以上で加熱することにより、炭素及び/又は熱分解性有機化合物を二酸化炭素ガスとして噴出させ、噴出に伴い、炭素及び/又は熱分解性有機化合物の近傍あるいは隣接して存在する光半導体(あるいは、金属又はその他の無機物をドープした光半導体)の粒子又は結晶体の酸素を引き抜くことによって、基体に積層した膜中の光半導体(あるいは、金属又はその他の無機物をドープした光半導体)の粒子又は結晶体に酸素欠損を生成する。
上記の造膜液に含有させる炭素としては、カーボンブラック、グラファイト、フラーレン、カーボンナノチューブ、墨汁等を使用することができる。また、上記の造膜液に含有させる熱分解性有機化合物としては、単糖、二糖、多糖類や水溶性有機高分子剤を使用することができる。これらの炭素及び/又は熱分解性有機化合物は、水溶性であればそのまま造膜液に混入させることができ、あるいはアルコールや有機溶媒に分散の上、造膜液に混入させることができる。
<B>
光半導体(あるいは、金属又はその他の無機物をドープした光半導体)を含む造膜液を、基体の表面又は表面層上に塗布した後、窒素を含む還元雰囲気で還元焼成することにより、該光半導体(あるいは、金属又はその他の無機物をドープした光半導体)の粒子又は結晶体に酸素欠損を生成する。
<C>
金属又はその他の無機物をドープした光半導体を含む成分を、スパッタリング・イオンプレーティングを含むドライ工法によりイオン化して基体の表面又は表面層上に噴射して、金属又はその他の無機物をドープした光半導体の粒子又は結晶体を基体の表面又は表面層上に形成し、還元雰囲気で放射線を照射し該光半導体(あるいは、金属又はその他の無機物をドープした光半導体)の粒子又は結晶体に酸素欠損を生成する。
<基体表面における導電特性のスイッチングと表面保護機能>
本願発明による基体の表面保護膜は、光半導体(あるいは、金属又はその他の無機物をドープした光半導体)の粒子又は結晶体を含有し、これらの粒子又は結晶体に酸素欠損が生成されていることにより、基体の表面電気抵抗を、導電性を有する表面状態と絶縁性を有する表面状態とに周期的に変動させることができる。以下では、この表面保護膜が、どのように機能して基体表面を保護するかについて、図3を用いて説明する。
図3は、本発明による基体の表面保護膜を形成した基体において、表面が絶縁性の状態と導電性の状態とを模式的に示した図であり、図中のMは、酸素欠損が生成された光半導体の粒子又は結晶体、あるいは、酸素欠損が生成された金属又はその他の無機物をドープした光半導体の粒子又は結晶体を示している。
表面が絶縁性の状態では、酸素欠損が生成されているMは表面保護膜中に不安定な状態で存在している。一方、基体表面近傍の物質(基体・個体・液体)は、表面保護膜の帯電状態により、基体表面が負に帯電していれば表面が正に帯電している物質が基体表面に静電的に付着あるいは吸着され、基体表面が正に帯電していれば表面が負に帯電している物質が基体表面に静電的に付着あるいは吸着される。また、基体表面の帯電によらなくても、基体の使用環境や自然条件等により、様々な汚染物質が基体表面に付着あるいは吸着する。
表面保護膜が導電性の状態のときは、Mは基体表面に付着あるいは近傍に存在する負電荷を有する物質から安定化と「O」の充足のために電子(e)を奪い、また、Mは基体表面に付着あるいは近傍に存在する正電荷を有する物質に電子(e)を付与して表面保護膜中を安定化(絶縁性状態)しようとする。このように、基体表面に接触あるいは基体表面の近傍に存在する物質の電気的状態を中性化して、基体表面への吸着を防ぎあるいは基体表面に付着した物質を離脱させることにより、基体表面を保護すると考えられる。なお、上記で説明した表面保護のメカニズムは現時点では完全に解明できているわけではないが、実施例に示す通り、基体の表面電気抵抗を導電性を有する表面状態と絶縁性を有する表面状態とに周期的に変動させることにより、基体表面への汚染物質の付着や吸着を確実に防止又は抑制することができる。
<中間層について>
上記した表面保護膜と基体との間に中間層を設けることが出来る。この中間層は、例えば、基体に親水性若しくは疎水性又は撥水性若しくは撥油性を付与することのできる各種の有機又は無機物質を使用することができる。
中間層に使用できる有機又は無機物質のうち、親水性の有機物質としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体等のポリエーテル;ポリビニルアルコール;ポリアクリル酸(アルカリ金属塩、アンモニウム塩等の塩を含む)、ポリメタクリル酸(アルカリ金属塩、アンモニウム塩等の塩を含む)、ポリアクリル酸−ポリメタクリル酸(アルカリ金属塩、アンモニウム塩等の塩を含む)共重合体;ポリアクリルアミド;ポリビニルピロリドン;カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)等の親水性セルロース類;多糖類等の天然親水性高分子化合物等が挙げられる。これらの高分子材料にガラス繊維、炭素繊維、シリカ等の無機系誘電体を配合して複合化したものも使用可能である。また、上記の高分子材料として塗料を使用することも可能である。
中間層に使用できる有機又は無機物質のうち、親水性の無機材料としては、例えば、シランカップリング剤、SiO又はその他のケイ素化合物が挙げられる。
中間層に使用できる有機又は無機物質のうち、撥水性の有機物質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン;ポリアクリレート、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)等のアクリル樹脂;ポリアクリロニトリル;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のポリハロゲン化ビニル;ポリテトラフルオロエチレン、フルオロエチレン・プロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、フッ化ビニリデン・トリフルオロエチレン共重合体等のフッ素樹脂;ポリエチレンテレフタラート、ポリカーボネート等のポリエステル;フェノール樹脂;ユリア樹脂;メラミン樹脂;ポリイミド樹脂;ナイロン等のポリアミド樹脂;エポキシ樹脂;ポリウレタン等が挙げられる。
上記した撥水性の有機物質の中では、フッ素樹脂が好ましく、特に、強誘電性と撥水性を有するフッ化ビニリデン・トリフルオロエチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライドのβ型結晶体及びそれを含有するものが好ましい。フッ素樹脂としては市販のものを使用することが可能であり、市販品としては、例えば、NTT−AT株式会社製のHIREC1550等が挙げられる。
さらに、フッ素原子を含有するオレフィンの2種以上からなる共重合体、フッ素原子を含有するオレフィンと炭化水素モノマーとの共重合体、及びフッ素原子を含有するオレフィンの2種以上からなる共重合体と熱可塑性アクリル樹脂との混合物からなる群より選ばれた少なくとも1種のフッ素樹脂と界面活性剤からなるフッ素樹脂エマルジョン、並びに硬化剤(特開平5−124880号公報、特開平5−117578号公報、特開平5−179191号公報参照)及び/又は上記シリコーン樹脂系撥水剤からなる組成物(特開2000−121543号公報、特開2003−26461号公報参照)も使用することができる。このフッ素樹脂エマルジョンとしては、市販されているものを使用することができ、ダイキン工業株式会社よりゼッフルシリーズとして、旭硝子株式会社よりルミフロンシリーズとして購入可能である。上記硬化剤としては、メラミン系硬化剤、アミン系硬化剤、多価イソシアネート系硬化剤、及びブロック多価イソシアネート系硬化剤が好ましく使用される。
中間層に使用できる有機又は無機物質のうち、撥水性の無機系材料としては、例えば、シラン系、シリコネート系、シリコーン系及びシラン複合系、又は、フッ素系の撥水剤或いは吸水防止剤等が挙げられる。特に、フッ素系撥水剤が好ましく、例としては、パーフルロロアルキル基含有化合物などの含フッ素化合物又は含フッ素化合物含有組成物が挙げられる。なお、基材表面への吸着性が高い含フッ素化合物を中間層に含む場合に、中間層の撥水剤又は吸水防止剤の化学成分が基材と反応して化学結合を生じていたり、又は中間層と基材との化学成分同士が架橋していたりする必要はかならずしもない。
このようなフッ素系撥水剤として用いることができる含フッ素化合物は、分子中にパーフルオロアルキル基を含有する分子量1,000〜20,000のものが好ましく、具体的には、パーフルオロスルホン酸塩、パーフルオロスルホン酸アンモニウム塩、パーフルオロカルボン酸塩、パーフルオロアルキルべタイン、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルアミンオキシド、パーフルオロアルキルリン酸エステル、及びパーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩などが挙げられる。中でも、基材表面への吸着性に優れることから、パーフルオロアルキルリン酸エステル、及びパーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩が好ましい。このような材料としては、サーフロンS−112,及びサーフロンS−121(共に商品名、セイミケミカル株式会社製)などが市販されている。
なお、吸水性の基体の場合では、上記した表面保護膜の下に、シラン化合物を含む中間層を予め基体上に形成することが好ましい。この中間層は、Si−O結合を大量に含有する為、表面保護膜の強度や基体との密着性を向上することが可能になる。また、前記中間層は、基体への水分の浸入を防止する機能をも有していることになる。
上記したシラン化合物としては、加水分解性シラン、その加水分解物及びこれらの混合物が挙げられる。加水分解性シランとしては、各種のアルコキシシランが使用でき、具体的には、テトラアルコキシシラン、アルキルトリアルコキシシラン、ジアルキルジアルコキシシラン、トリアルキルアルコキシシランが挙げられる。これらのうち、1種類の加水分解性シランを単独で使用してもよく、必要に応じて2種類以上の加水分解性シランを混同して使用してもよい。また、これらのシラン化合物に、各種のオルガノポリシロキサンを配合してもよい。このようなシラン化合物を含有する中間層の構成材料としては、例えば、ドライシールS(東レ・ダウコーニング株式会社製)がある。
また、中間層の構成材料としては、メチルシリコーン樹脂及びメチルフェニルシリコーン樹脂等の室温硬化型シリコーン樹脂を使用してもよい。このような室温硬化型シリコーン樹脂としては、例えば、AY42−170、SR2510、SR2406、SR2410、SR2405、SR2411(東レ・ダウコーニング株式会社製)がある。
<基体について>
本発明の対象となる基体の材質は、特に限定されるものではなく、各種の親水性又は疎水性の無機系基体及び有機系基体、あるいは、それらを組み合わせたものを使用することができる。
無機系基体としては、例えば、ソーダライムガラス等の透明または不透明ガラス、ジルコニア等の金属酸化物、セラミックス、コンクリート、モルタル、石材、金属等の物質からなる基体が挙げられる。また、有機系基体としては、例えば、有機樹脂、木材、紙、布等の物質からなる基体が挙げられる。有機樹脂をより具体的に例示すると、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、アクリル樹脂、PET等のポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル、シリコーン、メラミン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、セルロース、エポキシ変性樹脂等が挙げられる。
本発明の対象となる基体の形状は、特に限定されるものではなく、立方体、直方体、球形、シート形、繊維状等の任意の形状をとることができる。なお、基体は多孔質であってもよい。基体表面は、コロナ放電処理又は紫外線照射処理等によって親水性化されていてもよい。基体としては、建築・土木用基板又はシーリング材や、機器、装置搬送用ボディ、表示画面等の用途が好適である。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。以下の実施例1〜実施例6に記載した造膜液を使用して評価基板1〜6を作成し、比較基板との評価を実施した。
実施例1:アナターゼ型過酸化チタン酸素欠損膜用造膜液
純水1000gに50%四塩化チタン溶液(株式会社大阪チタニウムテクノロジーズ製)10gを添加した溶液を準備する。これに25%アンモニア水(高杉製薬株式会社製)を10倍希釈したアンモニア水を滴下してpH7.0の水酸化チタンを沈殿させた。この沈殿物を純水で上澄み液の導電率が0.9mS/m以下になるまで洗浄する。導電率が0.809mS/mになったので洗浄を終了すると0.77wt%濃度の水酸化物が350g作製された。次に、これを室温下で35%過酸化水素水(タイキ薬品工業株式会社製)を20g添加し16時間撹拌すると黄色の透明なアモルファス型過酸化チタン溶液370gが得られた。
このアモルファス型過酸化チタン溶液100gを90℃で5時間加熱するとアナターゼ型過酸化チタン水分散液が得られた。さらに、このアナターゼ型過酸化チタン水分散液100gに二糖類を2%混合して得られた。
実施例2:ストロンチウムドープアモルファス型過酸化チタン酸素欠損膜用造膜液
[ストロンチウムドープアモルファス型過酸化チタン水溶液の調整]
純水1000gにSrCl・6HO(塩化ストロンチウム)0.167gを完全に溶かした溶液に50%四塩化チタン溶液(株式会社大阪チタニウムテクノロジーズ製)10gを添加した溶液を準備する。これに25%アンモニア水(高杉製薬株式会社製)を10倍希釈したアンモニア水を滴下してpH7.0の水酸化ストロンチウムと水酸化チタンの混合物を沈殿させた。この沈殿物を純水で上澄み液の導電率が0.9mS/m以下になるまで洗浄する。導電率が0.825mS/mになったので洗浄を終了すると0.75wt%濃度の水酸化物が350g作製された。次に、これを室温下で35%過酸化水素水(タイキ薬品工業株式会社製)を56g添加し16時間撹拌すると黄色の透明なストロンチウムが修飾されたアモルファス型過酸化チタン溶液405gが得られた。
[ストロンチウムドープアモルファス型過酸化チタン酸素欠損膜用造膜液]
前記のストロンチウムが修飾されたアモルファス型過酸化チタン溶液100gに二糖類を2%混合して得られた。
実施例3:ストロンチウムドープアナターゼ型過酸化チタン酸素欠損膜用造膜液
[ストロンチュウムドープアナターゼ型過酸化チタン水分散液の調整]
実施例2で調整したストロンチウムが修飾されたアモルファス型過酸化チタン溶液100gを90℃で5時間加熱するとストロンチウムが修飾されたアナターゼ型過酸化チタン水分散液が得られた。
[ストロンチウムドープアナターゼ型過酸化チタン酸素欠損膜用造膜液]
前記のストロンチウムが修飾されたアナターゼ型過酸化チタン水分散液100gに二糖類を2%混合して得られた。
実施例4:バリウムドープアナターゼ型過酸化チタン酸素欠損膜用造膜液
[バリウムドープアナターゼ型過酸化チタン水分散液の調整]
純水1000gにBaCl・2HO(塩化バリウム)0.219gを完全に溶かした溶液に50%四塩化チタン溶液(株式会社大阪チタニウムテクノロジーズ製)10gを添加した溶液を準備する。これに25%アンモニア水(高杉製薬株式会社製)を10倍希釈したアンモニア水を滴下してpH7.0の水酸化バリウムと水酸化チタンの混合物を沈殿させた。この沈殿物を純水で上澄み液の導電率が0.9mS/m以下になるまで洗浄する。導電率が0.843mS/mになったので洗浄を終了すると0.71wt%濃度の水酸化物が350g作製された。次に、これを室温下で35%過酸化水素水(タイキ薬品工業株式会社製)を56g添加し16時間撹拌すると黄色の透明なバリウムが修飾されたアモルファス型過酸化チタン溶液403gが得られた。更に、このバリウムが修飾されたアモルファス型過酸化チタン溶液100gを90℃で5時間加熱するとバリウムが修飾されたアナターゼ型過酸化チタン水分散液が得られた。
[バリウムドープアナターゼ型過酸化チタン酸素欠損膜用造膜液]
前記のバリウムが修飾されたアナターゼ型過酸化チタン水分散液100gに二糖類を2%混合して得られた。
実施例5:インジウムドープアモルファス型過酸化チタン酸素欠損膜用造膜液
[インジウムドープアモルファス型過酸化チタン水溶液の調整]
純水1000gにInCl・xHO(塩化インジウム)0.772gを完全に溶かした溶液に50%四塩化チタン溶液(株式会社大阪チタニウムテクノロジーズ製)10gを添加した溶液を準備する。これに25%アンモニア水(高杉製薬株式会社製)を10倍希釈したアンモニア水を滴下してpH7.0の水酸化インジウムと水酸化チタンの混合物を沈殿させた。この沈殿物を純水で上澄み液の導電率が0.9mS/m以下になるまで洗浄する。導電率が0.865mS/mになったので洗浄を終了すると0.73wt%濃度の水酸化物が350g作製された。次に、これを室温下で35%過酸化水素水(タイキ薬品工業株式会社製)を56g添加し16時間撹拌すると黄色の透明なインジウムが修飾されたアモルファス型過酸化チタン溶液403gが得られた。
[インジウムドープアモルファス型過酸化チタン酸素欠損膜用造膜液]
前記のインジウムが修飾されたアモルファス型酸化チタン溶液100gに二糖類を2%混合して得られた。
実施例6:ニオブドープアナターゼ型過酸化チタン酸素欠損膜用造膜液
[ニオブドープアナターゼ型過酸化チタン水分散液の調整]
純水1000gにNbCl(五塩化ニオブ)0.285gを完全に溶かした溶液に50%四塩化チタン溶液(株式会社大阪チタニウムテクノロジーズ製)10gを添加した溶液を準備する。これに25%アンモニア水(高杉製薬株式会社製)を10倍希釈したアンモニア水を滴下してpH7.0の水酸化ニオブと水酸化チタンの混合物を沈殿させた。この沈殿物を純水で上澄み液の導電率が0.9mS/m以下になるまで洗浄する。導電率が0.839mS/mになったので洗浄を終了すると0.77wt%濃度の水酸化物が350g作製された。次に、これを室温下で35%過酸化水素水(タイキ薬品工業株式会社製)を56g添加し16時間撹拌すると黄色の透明なニオブが修飾されたアモルファス型過酸化チタン溶液403gが得られた。更に、このニオブが修飾されたアモルファス型過酸化チタン溶液100gを90℃で5時間加熱するとニオブが修飾されたアナターゼ型過酸化チタン水分散液が得られた。
[ニオブドープアナターゼ型過酸化チタン酸素欠損膜用造膜液]
前記のニオブが修飾されたアナターゼ型酸化チタン水分散液100gに二糖類を2%混合して得られた。
評価基板及び比較基板の作製
実施例1〜実施例6に記載した造膜液を、それぞれ、厚さ3mmのソーダライムガラスにSS工法(スポンジスキージー工法)を用いて乾燥膜100nm前後となるように塗布し乾燥した上で、500℃で15分間(ピーク保持温度)加熱焼成し、評価基板1〜6とした。
これらの評価基板1〜6と対照するために、酸素欠損膜とはならないアナターゼ型酸化チタン膜を評価基板と同様の方法で形成した基板を比較基板1、酸素欠損膜とはならないアモルファス型酸化チタン膜を評価基板と同様の方法で形成した基板を比較基板2とした。
上記の評価基板1〜6及び比較基板1〜2を用いて、下記の評価1を実施した。
<評価1>
評価基板1〜6及び比較基板1〜2の「暗所(UV−A光量0μw/cm)」、「蛍光灯下(UV−A光量10μw/cm)」、「屋外・太陽光下(UV−A光量1800μw/cm)」における体積抵抗値(導電性)評価を、以下の評価装置、評価条件及び評価時間の下に実施した。
・評価装置:三菱化学株式会社製ロレスターGP
・評価条件:膜厚(100nm)、電圧:(90V)
・評価時間:30秒/枚(通電時間)
評価1の結果を以下の表1に示す。
Figure 2017196595
表示導電性:絶縁性(×1015以上:OV.LD)
半導電性(×10〜×10:OV.RG)
導電性(0.0×10
絶縁性⇔導電性スイッチング状態:OV.LD⇔0.0×10
のスイッチングが約1秒〜数秒
毎に切り替わる
≪表示数値は体積抵抗値:Ω・cm≫

<評価1による結果>
表1に示すように、光照射の有無に関わらず、評価基板1〜6は、「絶縁性⇔導電性」のスイッチング現象を確認することが出来た。また、比較基板1〜2は、造膜組成分の各々の電気的特性を表示しているが、スイッチング現象が生じることはない。
<評価2>
基体を保護する機能として、表面に付着する汚染物の電荷を可変させて付着を防止・低減する機能を確認するために、ガラス固定用シリコーンシール材に対する付着低減性能評価と表面の親水性維持について、評価基板1〜6と比較基板1〜2の長期屋外暴露評価を実施した。
評価基板及び比較基板は、評価1と同様の試作条件(但し、膜固定温度は500℃で15分)である。
図4に示すように、評価基板1〜6及び比較基板1〜2の各表面にシリコーンシール材(SE960:東レダウコーニング株式会社製)を取付け、各基板を垂直に固定し、雨掛り条件で評価した。
実施期間:2014/08〜2015/08
実施場所:佐賀県
評価2の結果を、以下の表2に示す。
Figure 2017196595
<評価2による結果>
土木・建築・工作分野での外部器材の汚染の原因で最も高度な対応が必要なシリコーンシール材の可塑部材の油分流出拡大による撥水性分の拡大を低減するのは大変難しいとされてきた。その中で、表2に示すように、長期間にわたる評価(2014/08〜2015/08)において、評価基板1〜6は、シール撥水成分の拡大を抑える効果があることが分かる。
これに対し、比較基板1(光触媒機能)及び比較基板2は、シール撥水成分の拡大を抑える効果が小さいことがわかる。

Claims (10)

  1. 光半導体の粒子又は結晶体を含有し、該光半導体の粒子又は結晶体に酸素欠損が生成されていることを特徴とする、基体の表面電気抵抗を導電性を有する表面状態と絶縁性を有する表面状態とに周期的に変動させる、基体の表面保護膜。
  2. 前記光半導体が、金属又はその他の無機物をドープした光半導体である、請求項1に記載の基体の表面保護膜
  3. 光半導体と、炭素及び/又は熱分解性有機化合物と、を含む造膜液を、基体の表面又は表面層上に塗布した後、高温で加熱することにより炭素及び/又は熱分解性有機化合物を二酸化炭素ガスとして噴出させ、該光半導体の粒子又は結晶体に酸素欠損を生成することを特徴とする、基体の表面電気抵抗を導電性を有する表面状態と絶縁性を有する表面状態とに周期的に変動させる基体の表面保護膜の造膜方法。
  4. 光半導体を含む造膜液を、基体の表面又は表面層上に塗布した後、窒素を含む還元雰囲気で還元焼成することにより、該光半導体の粒子又は結晶体に酸素欠損を生成することを特徴とする、基体の表面電気抵抗を導電性を有する表面状態と絶縁性を有する表面状態とに周期的に変動させる基体の表面保護膜の造膜方法。
  5. 前記光半導体が、金属又はその他の無機物をドープした光半導体である、請求項3又は請求項4に記載の基体の表面保護膜の造膜方法。
  6. 前記した金属又はその他の無機物をドープした光半導体において、ドープされる金属が、元素周期表における第5周期の金属元素又はその化合物である、請求項2に記載の基体の表面保護膜。
  7. 前記した金属又はその他の無機物をドープした光半導体において、ドープされるその他の無機物が、ケイ素、リン又は硫黄の少なくともいずれか1つの元素又はその化合物である、請求項2に記載の基体の表面保護膜。
  8. 前記した金属又はその他の無機物をドープした光半導体において、ドープされる金属が、元素周期表における第5周期の金属元素又はその化合物である、請求項5に記載の基体の表面保護膜の造膜方法。
  9. 前記した金属又はその他の無機物をドープした光半導体において、ドープされるその他の無機物が、ケイ素、リン又は硫黄の少なくともいずれか1つの元素又はその化合物である、請求項5に記載の基体の表面保護膜の造膜方法。
  10. 請求項1又は請求項2に記載の基体の表面保護膜を備えた基体。
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