JPWO2004111649A1 - 親和性物質の測定方法 - Google Patents

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征夫 軽部
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Abstract

測定対象である親和性物質と、この親和性物質との結合親和性を有する結合パートナーとの結合反応が凝集反応によって測定される。電界中で結合パートナーを結合した担体粒子を、親和性物質と結合させ、凝集した担体粒子のレベルを粒子の三次元情報を指標として計数することによって評価する。三次元情報を指標とすることによって、従来の測定方法よりも更に簡便且つ迅速に、しかも高感度で生物学的特異的反応性物質の存在を検出又は測定することが可能となる。

Description

本発明は担体粒子の凝集反応を利用した親和性物質の測定方法、および装置に関する。
生物学的特異的反応性物質の存在を検出または測定する方法としては、例えば、酵素免疫測定法、あるいは放射線免疫測定法などが従来から用いられている。これらの方法は高感度であり精度も高い。しかし酵素、あるいは放射性同位元素を標識として使用するため試薬が不安定である。また放射性同位元素の利用にあたっては、保管および保存上の規制があることから、測定において細かい配慮や技術を要求される。そのため、より簡便な測定方法が求められていた。またこれらの方法は測定に比較的長時間を要するため、緊急な検査に対応することが難しい。これらの背景のもとで、高感度且つ迅速な測定方法が盛んに研究されるようになった。
1970年以降、免疫学的反応を担体粒子の凝集を指標として測定する分析方法が実用化された。この方法は、担体粒子の凝集の程度を光学的に測定することによって、定量的な分析を可能とした。担体粒子としてラテックス粒子を利用した、免疫学的粒子凝集反応を光学的に測定する方法は、ラテックス凝集比濁法(Latex Agglutination Turbidimetry)と呼ばれている。これらの分析方法における反応温度は、一般的には37〜45℃の範囲で行われ、撹拌翼などによって撹拌することにより特異的凝集反応が進行する。このとき測定(反応)に要する時間は、およそ10〜20分で、酵素免疫測定法、あるいは放射線免疫測定法に比べ迅速である。一方、測定感度、あるいは測定範囲については、酵素免疫測定法等に比べ劣るといわれている。
ラテックス凝集法における粒度分布測定法も公知である(非特許文献1/カムビアソら,J.Immunol.Methods 18,33,1977、非特許文献2/松沢ら,化学と工業,第36巻,第4号,1982)。ラテックス凝集比濁法が、粒子懸濁液の光の透過度を測定するのに対して、粒度分布測定法においては分散した個々の粒子の状態や数が測定される。カンビアソらの報告においては、粒子径0.8μmのラテックスに抗体を結合させた試薬と抗原とを37℃で20分間反応させた。反応後の粒子数を計数し、凝集による粒子数の減少のレベルに基いて抗原を測定した。粒子数は、レーザー散乱光を原理とした計数機で測定した。
一方、松沢らは、粒子径1μmのラテックス粒子に抗体を結合させた試薬を抗原と6時間反応させた。反応後、電気抵抗法により平均粒子容積を計測して、抗原を測定した。しかし、実用化されて普及したのはシースフローによるレーザー散乱法を用いたPAMIAシステム(シスメックス株式会社)のみである。PAMIAでは、粒子径0.78μmのラテックス粒子が使用されている。45℃で15分間の反応後にラテックス粒子を計数して免疫測定を行うものである。PAMIAは、ラテックス凝集比濁法に比べ高感度化されているが、放射免疫測定法(RIA)や酵素免疫測定法(EIA)といった高感度免疫測定に比べると感度は劣るといわれている。
ラテックス凝集比濁法においては、一般に粒子径0.05〜0.6μmのラテックス粒子が用いられている。ラテックス凝集粒度分布解析法の場合は、このように小さい粒子では、測定妨害物質の影響を受けやすい。たとえば、血液や尿などの体液中には、脂質、蛋白、血球成分などが共存する。これらの共存物質は担体粒子との識別が難しい。そのため担体粒子を正しく計数できない場合がある、これらの測定妨害物質の影響を避けるために、比較的大きい粒子が使用されてきた。一方で、松沢らのように1μm程度の粒子径になると、凝集反応が起こりにくくなるため、0.8μm程度のラテックス粒子が用いられていた。また、松沢らが平均粒子容積を計測するのに使用したアパーチャー(細孔)の口径は30μmである。このサイズではアパーチャーの詰まりの影響を受けやすい。しかし、これより大きい口径のアパーチャーでは0.8〜1μmの粒子の検出はできなくなる。
更に、生物学的特異的凝集反応を促進し、また形成する凝集塊を検出しやすくするために、反応系に交流電圧を印加する方法が公知である(特許文献1/特開平7−83928号)。この方法は、担体粒子の生物学的特異的凝集反応により生物学的特異的反応性物質の存在を検出又は測定する方法であって、10mM以上の塩の共存下に5〜50V/mmの電界強度になるように交流電圧を該反応系に印加することを特徴とするものである。
担体粒子は、電場に置かれると電場に沿って直線的に並ぶ(パールチェイン化)。その後電場を停止すると直線的に並んでいた担体粒子は再分散する。パールチェイン化の際に生物学的特異的反応性物質が存在すると、電場を停止後も担体粒子の再分散が起こらず、パールチェイン化した担体の存在がなおも認められる。前記測定方法は、この現象を利用している。すなわち、電場においては、生物学的特異的反応性物質の反応が促進される。そして電場を停止後に担体粒子を再分散させれば、反応生成物を検出することができる。
前記公知技術においては、生物学的特異的反応性物質の反応は、担体粒子の凝集を指標として検出される。担体粒子の凝集は、二次元の画像データに解析によって検出されていた。具体的には、まずスライドガラス上に電極を所定の間隔に接着して、この電極間(セル)に試薬と検体を混合させた反応液を滴下してこの部分をカバーガラスで覆い、電極に電圧を印加して電場を与える。電場を停止後、電極間の反応液中の担体粒子の凝集塊が顕微鏡等で観察される。
しかし、このような実験操作は煩雑で機械化の障害となる。またスライドガラスを顕微鏡で観察する方法では、高度な感度や再現性を維持するのが難しい。たとえば、スライドガラスのような限られた空間に収容しうる反応液は微量である。つまりサンプルも担体粒子の数も制限される。その結果、十分な測定感度を期待することは困難となる。また、微量の反応液において、サンプルと担体粒子の量的な割合や反応温度などの反応条件を一定に保つためには高度な技術が要求される。したがって、再現性を高い水準で維持することは難しい。
加えて公知の方法は、凝集粒子の検出方法にも課題を有していた。公知の方法においては、凝集粒子は、顕微鏡で観察された画像情報に基づいて計数されていた。つまり二次元の情報に基づいて凝集粒子を観察していた。ところが、二次元の情報では、さまざまな要因によって凝集塊を正しく検出できない場合のあることが明らかになった。
たとえばパールチェイン状に結合した凝集塊は、パールチェインの長さ方向に対して直角の方向から観察しなければ、その大きさを正しく評価することができない。パールチェイン状の凝集塊を長さ方向と同じ方向から観察すると、凝集していない粒子とほとんど同じ大きさにしか見えない。逆に粒子が凝集塊を形成していない場合でも、粒子同士が重なって見える位置関係にあると、凝集塊として計数されてしまう可能性がある。二次元の情報は、特定の方向から捉えることができる粒子の形のみを表している。したがって、もしも粒子が、観察する方向によって異なる形を示す場合には、二次元の情報によって粒子の大きさを正しく評価することができない。このように、二次元的な情報に基づく粒子の計数方法は、測定精度を制限する要因となっていた。
本発明は、これらの問題点の改善を目的としている。より具体的には、機械化が容易で、かつ測定精度の維持が容易な測定方法の提供を課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、担体粒子の凝集塊の計測手段について検討を重ねた。その結果、粒子あるいは凝集塊を、その三次元情報を指標として計数することによって、測定精度が改善されることを見出し本発明を完成した。すなわち本発明は、以下の測定方法、および測定装置に関する。
〔1〕次の工程を含む、親和性物質の測定方法。
(1)測定対象親和性物質との結合活性を有する結合パートナーを結合した担体粒子と、測定対象親和性物質とを混合し、電圧パルスを印加する工程、または
(1’)測定対象親和性物質との結合活性を有する結合パートナーを結合した担体粒子と、測定対象親和性物質とを、凝集試薬成分と混合し、電圧パルスを印加する工程であって、前記担体粒子は凝集試薬によって凝集し、かつ測定対象親和性物質によってその凝集は阻害される工程
(2)工程(1)の後に、測定対象である親和性物質との結合によって形成された担体粒子の凝集塊、および測定対象である親和性物質と結合せず凝集塊を形成しなかった担体粒子のいずれかまたは両方を、その三次元情報を指標として計数する工程、または
(2’)工程(1’)の後に、凝集試薬との結合によって形成された担体粒子の凝集塊、および測定対象である親和性物質との結合によって凝集を阻害された担体粒子のいずれかまたは両方を、その三次元情報を指標として計数する工程、および
(3)工程(2)または(2’)の後に、凝集塊の形成レベル、および凝集塊を形成しなかった担体粒子のレベルのいずれか、または両方に基づいて測定対象物質のレベルを決定する工程
〔2〕工程(2)または(2’)において、凝集塊または担体粒子の三次元情報を、物理的に測定する〔1〕に記載の方法。
〔3〕三次元情報を物理的に測定するための方法が、電気抵抗法、レーザー回析散乱法、および三次元画像解析法からなる群から選択されたいずれかの方法である〔2〕に記載の方法。
〔4〕電圧パルスが交流電圧パルスである〔1〕に記載の方法。
〔5〕工程(2)または(2’)において、電場を停止後に担体粒子を計数することを特徴とする〔1〕に記載の方法。
〔6〕工程(2)または(2’)において、電場を停止後に更に付加的に担体粒子を希釈する工程を含む〔5〕に記載の方法。
〔7〕電圧パルスを複数回与えることを特徴とする〔1〕に記載の方法。
〔8〕電圧パルスを印加後に、担体粒子を分散させてから次の電圧パルスを印加する工程を含む、〔7〕に記載の方法。
〔9〕複数回の電圧パルスが、異なる方向の電圧パルスである〔7〕に記載の方法。
〔10〕担体粒子の平均粒子径が、1μm以上である〔1〕に記載の方法。
〔11〕担体粒子の平均粒子径が、1μm〜20μmである〔10〕に記載の方法。
〔12〕次の手段を含む、親和性物質の測定装置。
(a)測定対象親和性物質との結合活性を有する結合パートナーを結合した担体粒子と、測定対象親和性物質とを保持する空間、
(b)前記空間に保持された担体粒子に電圧パルスを印加するための電極、および
(c)前記空間に保持された担体粒子の凝集によって生じた凝集塊、および凝集しなかった前記担体粒子のいずれかまたは両方を、その三次元情報を指標として計数する手段
〔13〕(c)前記空間に保持された担体粒子の凝集によって生じた凝集塊、および凝集しなかった前記担体粒子のいずれかまたは両方を、その三次元情報を指標として計数する手段が、三次元情報を物理的に測定するための手段である〔12〕に記載の装置。
〔14〕三次元情報を物理的に測定するための手段が、電気抵抗法、レーザー回析散乱法、および三次元画像解析法からなる群から選択されたいずれかの方法によって三次元情報を物理的に測定するための手段である〔13〕に記載の装置。
〔15〕少なくとも2組の電圧パルスを印加するための電極を有する〔12〕に記載の装置。
〔16〕電圧パルスを印加するための電極を駆動する手段を有し、前記空間に対して異なる方向の電場を与えることができることを特徴とする〔12〕に記載の装置。
本発明において親和性物質、および親和性物質との結合活性を有する結合パートナーとは、結合反応を構成することができるあらゆる物質の組み合わせを含む。すなわち、ある物質とある物質とが結合するとき、一方が親和性物質であり、他方は結合パートナーである。本発明における親和性物質および結合パートナーは、天然の物質であることもできるし、人工的に合成された化合物であってもよい。また親和性物質および結合パートナーは、精製された物質であることもできるし、不純物の共存も許容される。更に、親和性物質および結合パートナーは、細胞やウイルスの表面に存在していてもよい。
本発明において、親和性物質と結合パートナーとの結合反応の例として、たとえば次のような反応を示すことができる。これらの反応を構成する物質は、いずれも本発明における親和性物質または結合パートナーとすることができる。
抗原またはハプテンと抗体との反応(免疫反応)
相補的な塩基配列を有する核酸間のハイブリダイゼーション
レクチンとそのレセプターとの反応
レクチンと糖鎖の反応
リガンドとレセプターの反応
DNAと転写調節因子の反応
上記結合反応の中で、本発明における好ましい結合反応として、たとえば免疫反応を示すことができる。免疫反応を構成する抗原として、次のような物質を示すことができる。これらの抗原は、抗原分子そのもののみならず、その断片や、細胞表面に存在した状態であっても良い。なおこれらの物質は抗原物質の例であり、これら以外の抗原物質に本発明を応用できることは言うまでも無い。たとえば、ラテックス、血球等を担体として使用する免疫学的凝集反応に基づく測定が可能な抗原性物質は、いずれも本発明における親和性物質とすることができる。
腫瘍マーカー:
AFP、CEA、CA19−9、PSA等
凝固線溶糸マーカー:
プロテインC、プロテインS、アンチトロンビン(AT)III、FDP、FDP−D−ダイマー等
感染症マーカー:
CRP、ASO、HBs抗原等
ホルモン:
甲状腺刺激ホルモン(TSH)、プロラクチン、インシュリン等
組織成分:
ミオグロビン、ミオシン、ヘモグロビン等
その他:
DNA等の核酸など
抗原性物質とそれを認識する抗体は、いずれかを親和性物質として、そして他方を結合パートナーとして利用することができる。本発明において親和性物質とは、当該物質を測定対象とするときに、親和性物質と呼ぶ。他方、結合パートナーとは、親和性物質を測定するためにプローブとして利用することができる、当該親和性物質に対する結合活性を有する物質を言う。したがって、抗原を測定するときには、抗体を結合パートナーとして利用することができる。逆に、抗体を測定するときには、該抗体が認識する抗原を結合パートナーとして利用することができる。たとえば、ラテックス、血球等を担体として使用する免疫学的凝集反応に基づく測定が可能な抗体は、いずれも本発明における親和性物質とすることができる。HBs(B型肝炎ウイルス表面抗原)、HBc(B型肝炎ウイルスコア抗原)、HCV(C型肝炎)、HIV(AIDSウイルス)、TP(梅毒)等に対する抗体が、免疫学的凝集反応によって測定されている。
親和性物質と結合パートナーとの反応を担体粒子の凝集を指標として測定するためのいくつかの反応原理が公知である。これらの反応原理は、いずれも本発明に応用することができる。以下に担体粒子の凝集を指標とする、親和性物質と結合パートナーとの反応を利用した測定原理を例示する。
直接凝集反応:
測定対象物質と担体粒子上の結合パートナーとの反応による、担体粒子の凝集が検出される。たとえば、抗原分子を結合パートナーである抗体によって測定する場合が、この原理に含まれる。あるいは逆に、抗原を結合した担体粒子の凝集を指標として、親和性物質である抗体を測定する場合も、この原理に含まれる。直接凝集反応においては、通常、凝集のレベルと測定対象物質である親和性物質の量は正比例する。すなわち、凝集塊の形成レベルが高いときには、親和性物質のレベル(すなわち濃度)が高い。逆に、凝集塊を形成しなかった担体粒子のレベルが高いときには、親和性物質のレベル(すなわち濃度)は低い。
凝集阻止反応:
ハプテンと呼ばれる低分子抗原は、担体粒子の凝集に必要な抗原を介した架橋構造を作りにくい。そのため、直接凝集反応の原理ではハプテンを検出することができない。そこで、複数分子のハプテンまたはそのエピトープを含む断片を担体に結合したポリハプテンと、担体粒子上の抗体との結合による凝集反応が利用される。ポリハプテンは、複数の抗体分子を架橋することができるので、担体粒子を凝集させる。しかしハプテンが存在すると、ポリハプテンと抗体との反応が阻止され、担体粒子の凝集が阻止される。凝集阻止のレベルは、ハプテンの存在と正比例する。言い換えれば、測定対象物質の量と、凝集反応のレベルは逆比例する。すなわち、凝集塊の形成レベルが高いときには、親和性物質のレベル(すなわち濃度)が低い。逆に、凝集塊を形成しなかった担体粒子のレベルが高いときには、親和性物質のレベル(すなわち濃度)は高い。
ハプテンに分類される測定対象抗原には、以下のような成分が挙げられる。
ホルモン:
エストロゲン、エストラジオール
薬剤:
テオフィリン
本発明においてハプテンを凝集阻止反応の原理に基づいて測定するためには、ハプテンに対する抗体を結合した担体粒子を凝集させることができる成分が必要である。ハプテンに対する抗体を結合した担体粒子を凝集させることができる成分を、本発明においては凝集試薬と言う。凝集試薬は、抗体との特異的な親和性を有し、かつ抗体との結合によって担体粒子を架橋する作用を有する試薬と定義される。先に述べたポリハプテンは、ハプテンの測定において凝集試薬として用いることができる。
直接凝集反応であれ、凝集阻止反応であれ、予め一定量の親和性物質を含む標準試料について同じ反応系で測定して、凝集塊あるいは凝集しなかった担体粒子のレベルを測定して標準曲線、または回帰式を作成しておくことができる。試料の測定によって得られた凝集塊の形成レベルおよび凝集しなかった担体粒子のレベルのいずれかを、標準曲線あるいは回帰式に適用すれば、試料中の親和性物質のレベルを決定することができる。
本発明において、結合パートナーは、担体粒子に結合して用いられる。本発明の担体粒子としては、ラテックス粒子、カオリン、金コロイド、赤血球細胞、ゼラチン、リポソーム等が挙げられる。ラテックス粒子としては、凝集反応において一般に用いられているものが使用できる。ポリスチレン系ラテックス、ポリビニルトルエン系ラテックス、ポリメタクリレート系のラテックス粒子が公知である。好ましい粒子担体はポリスチレン系ラテックス粒子である。官能基を有するモノマーの共重合によって、ラテックス粒子表面に官能基を導入したラテックス粒子を用いることもできる。たとえば、−COOH、−OH、−NH、−SO等の官能基を有するラテックス粒子が公知である。官能基を有するラテックス粒子には、結合パートナーを化学的に結合させることができる。
担体粒子の平均粒径は、例えばラテックス粒子の場合、0.5〜20μmが好ましい。平均粒径が0.5μm以下、または20μm以上であるとパールチェインが形成されにくく好ましくない。担体粒子の平均粒径は、例えばラテックス粒子の場合、具体的には2〜10μm、さらに好ましくは1〜10μmであり、最も好ましくは2〜5μmである。また、誘電分極が大きい楕円形粒子を用いることにより、より小さい担体粒子を使用することもできる。
このように、公知のラテックス凝集比濁法における担体粒子が0.05〜0.6μmであるのと比べ、本発明の方法においては1μm以上の大きなサイズの粒子を利用することができる。電圧パルスを印加する工程の利用によって凝集反応が促進される結果、大きなサイズの粒子であっても短時間で十分な反応が進行するためである。担体粒子が大きいことは、以下のような利点につながる。まず、粒子を計測するためのアパーチャーサイズを大きくすることができる。その結果、アパーチャーが詰まりにくくなる。また、担体粒子が大きくなることによって、体液に含まれる測定妨害物質との識別が容易になる。その結果、測定精度が向上する。
結合パートナーと粒子担体は、それぞれの素材に応じた方法によって結合させることができる。当業者は、両者の結合方法を適宜選択することができる。たとえばラテックス粒子には、抗原や抗体、あるいはそれらの断片などの蛋白質を物理吸着することができる。表面に官能基を有するラテックス粒子においては、当該官能基との共有結合が可能な置換基を化学的に結合させることができる。たとえば、−COOHを有するラテックスには、蛋白質の−NHを結合させることができる。
結合パートナーを結合させた担体粒子は、必要に応じてブロッキングすることができる。具体的には、担体粒子表面を不活性蛋白質で処理することによって、担体粒子表面に対する非特異的な蛋白質の結合を防止することができる。不活性蛋白質としては、ウシ血清アルブミンや脱脂粉乳などを用いることができる。更に、担体粒子の分散性を向上させるために、分散媒に界面活性剤や糖類を加えることができる。また、微生物の繁殖を防ぐために、粒子担体に抗菌剤を添加することもできる。
本発明は、親和性物質と担体粒子を含む反応液に電圧パルスを印加する工程を含む。電界中に担体粒子を整列させ、凝集反応を行わせる方法は公知である(特開平7−83928号)。すなわち、親和性物質と担体粒子を含む反応液に電圧パルスを印加することにより、担体粒子を電界に沿って整列させることができる。
このとき、凝集阻止反応の原理を利用する場合には、親和性物質と担体粒子は、凝集試薬の共存下で整列させられる。凝集試薬は、担体粒子と測定対象親和性物質との接触の後に接触させることができる。あるいは予め測定対象親和性物質と凝集試薬を混合した後に担体粒子を添加することによって、3つの成分を同時に接触させることができる。
電圧パルスには交流成分、または直流成分を利用することができる。両者を任意に組み合わせることもできる。反応液は電気分解を起こしやすいので交流電圧が好ましい。交流電圧には、方形波、矩形波、あるいは正弦波等を用いることができる。反応液(試薬)のイオン強度により、交流電圧の電源周波数を任意に設定することができる。交流電圧は波高値で示したとき、5〜50V/mmの電解強度が得られるように印加する。電解強度が5V/mmよりも小さいと担体のパールチェイン化が起こりにくく、したがって凝集反応の促進が不十分となる。電解強度が50V/mmを超えると反応液の電気分解が起こりやすく、凝集反応の測定が困難となる。より好ましくは10〜20V/mmの電界強度が得られるように印加する。交流の周波数は10KHz〜10MHzの周波数が好ましい。より好ましくは50KHz〜1MHzの周波数である。
本発明において、電圧パルスとは通常、定常状態から振幅が遷移し、有限の時間だけ持続してもとの状態にもどる波または波形を有する電圧をいう。交流電圧は、代表的な電圧パルスである。交流電圧は電圧の平均値が0であるような時間の周期関数である。たとえば正弦波、矩形波、方形波、あるいはのこぎり波などを有する電圧は明らかに振幅が周期的であり、交流電圧に含まれる。一般に、交流電圧においては、任意の1周期において、正電位側の面積と負電位側の面積は等しく、両者の合計は0となる。各面積は、横軸(電位差が0)と上側の曲線、あるいは下側の曲線によって規定される面積である。本発明においては、反応液の電気分解を防ぐために、電圧パルスが印加される。したがって、反応液の電気分解が起こらない、あるいは起きたとしても実質的に反応に干渉しないレベルに抑制できる場合には、正電位と負電位の合計が0でない電圧パルスを用いることもできる。
本発明において、方形波、あるいは矩形波の電圧パルスは、正電位/電位差0/負電位を繰り返し、かつ正電位および負電位の少なくとも一方は、電圧が一定の状態を含む電源を言う。そして方形波、あるいは矩形波の、電位差が0の状態から次の0の状態に至る間の時間がパルス幅である。なお方形波とは、縦軸を電圧、横軸を時間とするグラフに電圧の変化を描いたときに、ほぼ四角形の形状となる電圧パルスを言う。四角形には、正方形と長方形が含まれる。これに対して矩形波は、正方形を含まない長方形の形状の電圧パルスである。したがって、矩形波は方形波に含まれる。本発明において、好ましいパルス幅は、通常50μsec以下である。好ましいパルス幅として、0.1〜10μsecを例示することができる。
方形波あるいは矩形波を構成する電位差が0の状態の時間は、制限されない。一般的には電位差が0となるのは、正電位と負電位の間の移行の瞬間である。しかし、電位差が0の状態がより長い時間継続するような電圧パルスを本発明に用いることもできる。たとえば、0.1〜10μsecのパルス幅を有する正電位/負電位の繰り返しの間に、0.1〜100μsecの電位差が0の状態を含むことができる。
本発明においては、反応液に対して任意の方向から電圧パルスを印加することができる。たとえば、複数の異なる方向の電圧パルスを印加することもできる。具体的には、たとえば図6上に示すように2組の電極を組み合わせて、反応液に電圧パルスを印加することができる。あるいは、反応液に対して電極を移動させることによって、異なる方向の電圧パルスを与えることができる。たとえば、電極を回転させることによって、任意の角度の電圧パルスを与えることができる。移動させる電極の数は、1組であってもよいし、2組以上の電極を移動させることもできる。
本発明において、直交する電場を与えることができる2組の電極を組み合わせた場合に形成されるパールチェインの構造を図6に示した。図6の例においては、2方向の電圧パルスを交互に印加すれば、担体粒子は電圧パルスが交差する領域に収束する(図6下右)。あるいは電圧パルスの印加と分散を交互に行えば、電極3−3間の電圧パルスに沿ったパールチェイン(図6下中央)と、電極3’−3’間の電圧パルスに沿ったパールチェイン(図6下左)とを交互に形成する。このような立体的なパールチェインの形成は、親和性物質間の反応を促進する。
本発明において、複数組の電極の配置は任意である。電極間の距離が短い場合には、形成されるパールチェインが短くなる。一方電極の距離が長いと、印加される電圧が大きくなる。更に実際には、電極の配置によって反応空間の構造が左右される。そのため一般的な電極間の距離は、通常0.01mm〜数十mmである。一般的な免疫学的粒子凝集反応においては、好ましくは、0.1mm〜5mm、たとえば0.5mm〜3mmの範囲で電極を配置することができる。
図5に、電極間の距離と、そのときの反応液の体積の例を示した。0.5〜1mmの間隔で電極を配置し、セルの長さを10mm〜20mmとすることによって、一般的な免疫学的凝集反応の反応液量である2.5〜20μLの反応液を収容することができる。また複数組の電極を利用する場合には、各組み合わせの間で、電極の距離と高さとを一致させることが好ましい。
モノクローナル抗体を感作した担体粒子の凝集を利用した、抗原性物質の検出方法が公知である。モノクローナル抗体は、通常、抗原上の単一のエピトープを認識する。そのため、担体粒子を凝集させるためには、一般に、複数種のモノクローナル抗体を利用する必要がある。しかしモノクローナル抗体を使用する限り、原理上、抗原1分子に結合しうる抗体の数(すなわち担体粒子の数)は、利用したモノクローナル抗体の種類を越えることはできない。このことが、モノクローナル抗体を使った担体粒子の凝集反応に基づく分析方法の検出感度を制限する原因の1つとなっている。本発明に基づいて、複数方向からの電圧パルスを印加することができれば、印加方向の変化によって、担体粒子と抗原分子との接触の機会が増え、その結果、検出感度の向上が期待できる。
スライドガラスを利用した公知の方法においては、電圧パルスを印加する方向は制限されていた。また顕微鏡などを利用した観察方法を利用する限り、立体的な反応空間を利用することはできなかった。これに対して本発明では、凝集していない粒子あるいは凝集した粒子の三次元情報を測定することによって凝集率を解析するため、反応空間の形状が制限されない。親和性物質の結合を介して結合された2以上の粒子の集合体を、凝集塊(aggregate)と言う。凝集塊を構成する粒子の数は制限されない。複数の粒子は、直鎖状に結合することもあるし、格子状(マトリクス状)に結合することもある。どのような形を形成していても、複数の粒子が結合された状態にあれば、それは凝集塊である。したがって、複数の異なる方向からの電圧パルスの印加を実現したことは、本発明によって実現することができる大きな利点である。
一般に、反応系中の担体粒子の濃度が高いほどパールチェインが形成されやすいので凝集が促進される。しかし一方で、担体粒子の濃度の上昇に伴って、生物学的特異的反応性物質が存在しない場合に再分散したときの担体粒子の凝集率(バックグランド)が大きくなる傾向があった。2次元の情報に基づいて凝集粒子を観察してした公知の方法(特開平7−83928号)においては、担体粒子濃度が高いほど、凝集していない粒子を誤って凝集粒子として捉えてしまう可能性が高まる。粒子濃度が高い場合には、粒子が接近するためため、単なる粒子の重なりと、凝集によって形成された粒子塊との識別が困難となるのである。したがって凝集塊を特異的に識別するためには、粒子濃度を低く保つ必要がある。具体的には、特開平7−83928号に開示された反応系中の担体粒子の濃度は、例えばラテックス粒子の場合、好ましくは0.01〜1重量%、より好ましくは0.025〜0.5重量%、最も好ましい濃度は0.05〜0.1重量%である。このような粒子濃度は、パールチェイン化においては、必ずしも最適な条件とは言えない。すなわち2次元の情報に基づいて凝集塊を計数する手法においては、粒子濃度を犠牲にすることによって、凝集塊の特異的な識別を実現していた。
本発明は、三次元の情報に基づいて凝集粒子が計測されるため、粒子濃度とは無関係に凝集塊を特異的に識別することができる。その結果、パールチェインの形成に最適な条件を与えることができる。すなわち、測定対象親和性物質と結合活性を有する結合パートナーとのバランスを考慮して担体粒子の濃度を決定することができる。たとえ高い担体粒子濃度が選択されても、凝集塊は特異的に検出される。本発明においては、通常、反応系中の担体粒子の濃度は、例えばラテックス粒子の場合、好ましくは0.01〜5重量%、より好ましくは0.1〜2重量%である。この濃度範囲は、2次元の情報に基づく方法の、倍〜10倍である。最適な担体粒子の濃度は、担体粒子の大きさや測定対象親和性物質の測定感度等に合わせて適宜調節することができる。
本発明において、反応液には凝集反応を促進する塩を添加することができる。たとえば、10mM以上の比較的高い濃度で塩を添加することにより、凝集反応を促進することができる。ただし塩の濃度が反応系中に600mM以上の濃度で存在すると反応液の電気分解が起こり易くなるので好ましくない。より好ましい塩の濃度は10〜300mM、最も好ましい塩の濃度は25〜150mMである。生体試料自身が凝集反応を促進する塩を含有している可能性がある場合には、反応液中の最終塩濃度が上記の範囲に入るように試薬の塩濃度を調整すると良い。なお電圧パルスとして直流成分を用いる場合では約6mMの塩濃度の反応液でも電気分解が起こるため、塩の存在下では生物学的特異的凝集反応の測定は困難である。
本発明における塩は、生物学的特異的凝集反応を促進するものの中から選択され得る。例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、塩化アンモニウムが挙げられるがこれに限定されるものではない。モル電気伝導度が10mM、25℃の水溶液において100cm/(Ω・mol)以上の値を示す塩は、本発明に用いる塩として好ましい。より具体的には、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、および塩化アンモニウム等を好ましい塩として示すことができる。
本発明において、親和性物質を含む検体は制限されない。すなわち、測定対象である親和性物質を含む任意の試料を検体として利用することができる。たとえば、血液試料、咽頭などの局所から採取された試料、唾液、喀痰、尿、あるいは便は代表的な生体試料である。その他、生体から採取されるあらゆる生体材料は、生体物質測定用の検体として本発明に利用することができる。更に、これらの生体試料を培養することによって得ることができる培養物も、本発明の検体として利用することができる。生体材料は、そのまま、あるいは必要に応じて処理した後に、検体とすることができる。たとえば、生体材料は分画、希釈、溶解、抽出などの処理を経て、検体とすることができる。
本発明は、粒子の三次元情報を測定する工程を含む。そのため、検体が固形成分を含む場合には、除去や溶解によって、固形成分を予め取り除くことが好ましい。固形成分は、ろ過や遠心分離によって除去することができる。ただし、粒径などの情報に基づいて、試料由来の固形成分のシグナルを、担体粒子のシグナルと明瞭に識別できる場合には、固形成分の除去は必須ではない。
本発明において検体は原液でもよく、又は自動希釈して測定に使用される。希釈倍率は任意に設定することが可能である。反応に必要な試薬が複数種類となるときには、2試薬以上を順次に添加することも可能である。
ここで言う2試薬を構成する試薬としては、たとえば以下のような試薬を示すことができる。
本発明において、非特異反応の原因となる物質を、予め分解、および/または吸収するための試薬を用いることができる。このような試薬は、非特異抑制剤を含む試薬として有用である。非特異抑制剤を含む試薬は、担体粒子を含む試薬と組み合わされて、2試薬を構成する。非特異抑制剤を含む試薬は、たとえば、予め検体と混合することことができる。非特異抑制剤は、例えば、従来周知のものを使用することができる。
イムノアッセイにおいて、非特異反応の原因となるさまざまな物質が試料中に含まれることが明らかにされている。たとえば、リューマチ因子などのグロブリン類は、イムノアッセイを構成する免疫反応に干渉することがある。グロブリン類のイムノアッセイへの干渉を防止するために非特異抑制剤が用いられる。たとえば、グロブリン類を認識する抗体によって、その非特異作用を吸収することができる。リューマチ因子はIgGやIgM由来のグロブリンである。したがって、抗ヒトIgG抗体、あるいは抗ヒトIgM抗体を使用して、リューマチ因子を吸収することができる。また、非特異原因物質の分解によって干渉を防ぐ方法も公知である。具体的には、グロブリン類を還元によって分解し、その干渉作用を抑制できることが知られている。グロブリン類は、ジチオスレイトール、あるいは2−メルカプトエタノールなどによって還元される。
また、異なる結合活性を有する結合パートナーを結合した担体粒子を含む試薬を2種類以上組み合わせることができる。このような構成によって、異なる種類の測定対象親和性物質を同時に測定することができる。各試薬は、それぞれ個別に添加することができる。あるいは、予め複数の試薬を混合した後に、検体と混合することもできる。
検体と試薬は電圧を印加する前に予め混合しておくことが望ましい。攪拌子を使って物理的に両者を混合することができる。あるいは電気的な方法によって、両者を混合することもできる。電気的な手法としては、異なる方向の電圧パルスの断続的な印加によって、担体粒子の位置を物理的に動かす方法を例示することができる。
本発明は、次の工程を含む親和性物質の測定方法に関する。
(1)測定対象親和性物質との結合活性を有する結合パートナーを結合した担体粒子と、測定対象親和性物質とを混合し、電圧パルスを印加して前記担体粒子を電界に沿って整列させる工程
(2)測定対象である親和性物質との結合によって形成された担体粒子の凝集塊、および測定対象である親和性物質と結合せず凝集塊を形成しなかった担体粒子のいずれかまたは両方を、その三次元情報を指標として計数する工程、および
(3)凝集塊の形成レベル、および凝集塊を形成しなかった担体粒子のレベルのいずれか、または両方に基づいて測定対象物質のレベルを決定する工程
本発明の測定方法を構成する各工程を以下に具体的に説明する。
混合された反応液は次に電極を介した槽に移動して、電圧パルスを印加する。電場をかけると担体粒子は誘電分極を起こして静電的に引き合い直鎖状に並ぶ。この現象は、パールチェイン化と呼ばれている。その後電場を停止すると直鎖に並んでいた担体粒子は瞬時に再分散する。一方パールチェイン化の際に生物的特異的反応物質が存在すると、生物的特異的反応に関与した担体粒子は電場を停止後も分散せずに凝集塊を形成したままの状態で存在する。これらの生物的特異的凝集反応に関与している凝集粒子及び/又は関与しなかった分散した担体粒子を測定することにより生物的特異的反応物質の存在を検出又は測定することができる。
本発明の測定方法は、測定対象である親和性物質との結合によって形成された担体粒子の凝集塊、および測定対象である親和性物質と結合せず凝集塊を形成しなかった担体粒子のいずれかまたは両方を、その三次元情報を指標として計数することを特徴とする。本発明において、粒子は電場を停止後に測定することができる。あるいは電場に置かれた粒子を、電場を停止することなく測定することもできる。たとえば、電場に置かれた粒子は、電場の中から取り出すことによって計数することができる。更に、粒子の計数前に、粒子を分散させる工程を実施することができる。計数前の分散工程によって、非特異的な要因によって凝集した粒子を分散させることができる。その結果、測定精度の向上が期待できる。粒子は、攪拌や反応液の希釈によって分散させられる。
本発明においては、粒子は、三次元情報を指標として計数される。本発明において、三次元情報を指標とする計数とは、粒子および/または凝集塊の三次元情報を測定し、その結果に基づいて粒子および/または凝集塊を計数することを言う。顕微鏡画像を解析する公知の方法は、二次元情報に基づいて凝集のレベルを決定している。したがって、三次元情報を指標とする本発明と公知の方法とは、明確に区別される。
三次元情報を測定するための方法は限定されない。また、本発明における計数とは、粒子および/または凝集塊の数を求めることを言う。粒子および/または凝集塊の数は、単に数のみを測定することもできる。あるいは凝集した粒子を、凝集していない粒子と区別して測定することもできる。更に、凝集した粒子については、凝集した粒子の数ごとに、その凝集塊の数を測定することもできる。三次元情報を指標として粒子を計数するためのいくつかの方法が公知である。
本発明に利用することができる粒子の計数方法は、物理的な原理に基づく測定方法が有利である。本発明において物理的な測定方法とは、粒子または凝集塊に固有の物理的な情報を評価することができる測定方法を言う。粒子または凝集塊に固有の物理的な情報は、真の測定結果と言い換えることもできる。これに対して画像情報から取得される二次元情報を解析する方法は、実際には凝集していない粒子の重なりを凝集塊として検出してしまう。このような検出結果は、粒子に固有の物理的な情報とは言えない。
粒子または凝集塊を物理的に測定するには、フローシステムの利用が有利である。フローシステムは、微細なフローセル中を通過する粒子の物理的な情報を解析することができるシステムである。フローシステムを利用することにより、容易に物理的な測定を実施することができる。すなわち本発明における物理的な測定とは、フローシステムによって粒子および凝集塊のいずれかまたは両方の三次元情報を測定し計数する工程を含む。三次元情報を指標として粒子を物理的に計数するための方法として、たとえば、コールター原理またはレーザー回析散乱法を示すことができる。
コールター原理(USPA2656508,1953年)とは、アパーチャー(細孔)の両側に電極を置き、アパーチャー内を通過する粒子による電気抵抗の変化に基づいて粒子の体積を検出する解析方法である。電解液を通して両電極間に微小電流を流したとき、電解液中に懸濁した粒子が吸引されてアパーチャーを通過すると、粒子体積に相当する電解液が粒子によって置換される。その結果、両電極間の電気抵抗に変化を生じるので、この変化を測定することにより、粒子の計数とサイズ(体積)を測定することができる。体積を検出する方法として静電容量法があるが、実用化されているものは電気抵抗法がほとんどである。
アパーチャーサイズは、解析対象となる粒子に合わせて適宜調節することができる。一般的な免疫学的な粒子凝集反応に用いられる担体粒子の凝集を検出する場合、アパーチャーサイズとしては、通常30〜1000μm、好ましくは50〜200μmを示すことができる。
アパーチャーサイズは、担体粒子の平均粒径に対して数倍〜数100倍、たとえば数倍〜100倍、好ましくは5倍〜50倍とするのが有利である。この場合、体積に比例したシグナルが検出でき、精度のよい高感度な測定が実現できる。粒子径に対してアパーチャーサイズの倍率は小さい方が感度はよくなるが、小さすぎると粒子が詰まりやすくなり、大きすぎると粒子の検出感度が低下するので好ましくない。
より具体的には、たとえば粒子径が1〜5μm、特に2〜3μmの担体粒子を計数する場合、アパーチャーサイズは30〜100μm、好ましくは50〜80μm、たとえば65〜75μmの範囲から選択することができる。2〜3μmの担体粒子は、本発明による親和性物質の測定方法において、特に好ましい粒子サイズとして挙げることができる。すなわち本発明は、以下の工程を含む親和性物質の測定方法を提供する。
(1)測定対象親和性物質との結合活性を有する結合パートナーを結合した平均粒径2〜3μmを有する担体粒子と、測定対象親和性物質とを混合し、電圧パルスを印加する工程、または
(1’)測定対象親和性物質との結合活性を有する結合パートナーを結合した平均粒径2〜3μmを有する担体粒子と、測定対象親和性物質とを、凝集試薬成分と混合し、電圧パルスを印加する工程であって、前記担体粒子は凝集試薬によって凝集し、かつ測定対象親和性物質によってその凝集は阻害される工程
(2)工程(1)の後に、測定対象である親和性物質との結合によって形成された担体粒子の凝集塊、および測定対象である親和性物質と結合せず凝集塊を形成しなかった担体粒子のいずれかまたは両方を、50〜80μmのアパーチャーサイズを有するコールター原理によって、その三次元情報を指標として計数する工程、または
(2’)工程(1’)の後に、凝集試薬との結合によって形成された担体粒子の凝集塊、および測定対象である親和性物質との結合によって凝集を阻害された担体粒子のいずれかまたは両方を、50〜80μmのアパーチャーサイズを有するコールター原理によって、その三次元情報を指標として計数する工程、
および
(3)工程(2)または(2’)の後に、凝集塊の形成レベル、および凝集塊を形成しなかった担体粒子のレベルのいずれか、または両方に基づいて測定対象物質のレベルを決定する工程
一般にアパーチャーサイズが小さい方が、非凝集粒子をより正確に計数することができる。反対にアパーチャーサイズを大きくすることによって、凝集粒子がアパーチャーに詰まりにくくなる。アパーチャーの詰まりは解析効率の低下の原因となる。詰まる頻度を低くすることが、解析効率の向上につながる。たとえば、凝集粒子が多量に生成することが予測される場合には、アパーチャーサイズを大きめに設定することによって、アパーチャーの詰まりを防止することができる。あるいは、粒子径の小さい担体粒子を用いることで同様の効果を期待することができる。更に、試料の希釈によって凝集粒子の割合を低下させ、アパーチャーの詰まりを防止することもできる。通常は、期待される検出感度、予想される検出対象物質の濃度、そして機器構成(特にアパーチャーサイズ)に応じて、それぞれ適切な条件を選択すればよい。
このようにして凝集粒子を計数することによって、凝集粒子の割合を知ることができる。凝集粒子の割合とは、計数した全粒子に占める凝集した粒子の割合を言う。また凝集粒子の割合を、凝集率(aggligation rate)と言う。更に、予め濃度がわかっている標準試料について、凝集率を求め、両者の関係をグラフにプロットすることによって、標準曲線を得ることができる。これに対して、検体の凝集率を照合すれば、検体に含まれる測定対象親和性物質の濃度を明らかにすることができる。
あるいは前記標準曲線を回帰式として表すこともできる。回帰式が得られれば、凝集率を回帰式に代入することによって、測定対象親和性物質の濃度を算出することもできる。
一方レーザー回析散乱法とは、粒子にレーザーを照射した際に生じる揺らぎを検出することにより粒子の計数と平均径を測定するものである。いずれの場合も、測定精度を高めるために、粒子の誤測定を抑制する目的として、反応粒子を希釈、超音波の印加又は/及びシースフォロー方式などを用いることが好ましい。
その他にも以下のような方法を、粒子体積の測定方法として示すことができる。
遠心沈降法:液中における粒子の沈降速度と粒径の関係を示すストークスの式により粒径分布を測定する方法。(光透過式遠心沈降法では、ストークスの法則を適用し、同じ比重の粒子ならば大粒のものの方が小粒のものよりも早く沈降することを利用する。その時の粒子濃度を光透過による濁度変化として解析し、粒度分布を求めることができる。)
キャピラリー方式:キャピラリー中を流れる粘性流体のレイノルズ数が小さい場合、そこにはポアズイユの流体が発生する。この流れはキャピラリー中央ほど速く、管壁ほど遅いため、大きな粒子は平均的に速い流束中を、小さい粒子は平均的に遅い流束中を流れて行くことになる。つまり粒子は一定長のキャピラリー中を流れる際、この移動速度の違いにより、サイズ別に分離され検出される。
三次元的画像解析:異なる方向から撮影した複数の画像情報を解析し、粒子の三次元情報を求めることができる。あるいはxy平面の画像情報をz軸方向へスキャンすることにより、粒子の三次元情報を求めることができる。
本発明の測定方法は、三次元情報を指標として凝集した(またはしなかった)担体粒子が計数される。計数の結果によって、測定対象である親和性物質が定性的に、または定量的に測定される。定性的な測定においては、凝集粒子の存在は、測定対象である親和性物質の存在を意味する。あるいは凝集阻止反応の場合には、凝集の阻止が検出されたときに、測定対象の存在が証明される。
また定量的な測定においては、凝集のレベルを測定対象である親和性物質の量と関連付けることができる。より具体的には、予め親和性物質の量が明らかな試料について本発明の測定方法を行い、三次元情報に基づく凝集粒子の検出結果と親和性物質の量の関係を明らかにしておく。次に、試料について同様の測定を行い、堆積に基づく凝集粒子の検出結果から、親和性物質の量を明らかにすることができる。凝集阻止反応の場合であっても、同様にして定量的な測定は可能である。
粒子および/または凝集塊の計数方法としては、一定の粒子数をカウントする手段においては、2個以上に凝集した粒子数/総粒子数や単粒子/総粒子数など目的に合わせて演算式を選ぶことができる。総粒子数とは、ある計測時間内に計測された全ての粒子の数であっても良いし、反応液の全量を解析の対象とする場合には、文字通り、反応液に含まれる粒子の総数とすることもできる。反応液に含まれる粒子の総数は、反応液の全容量が明らかな場合には、その一部を計数することによって、近似的に算出することもできる。
あるいは、電気抵抗法やレーザー回析散乱法などによって、一定時間あたりに検出された粒子および/または凝集塊の数に基づいて、親和性物質を検出または測定することができる。つまり、凝集反応により単粒子は凝集して凝集塊を形成することから、時間当たりに計数される粒子数が少なくなる。または、所定数の粒子および/または凝集塊を計数するに要する時間を指標とすることもできる。このような計数方法を本発明に適用する場合には、それぞれ粒子および/または凝集塊の数と、親和性物質の量との間の関係を、回帰式として表すことができる。
抗体が感作された粒子は、抗原の濃度に応じて、2個以上の粒子からなる凝集塊の割合が多くなる。そして2個以上に凝集した粒子数/総粒子数で表される凝集率は、1.00(100%)に収束する。
コールター原理にしろレーザー回析散乱法にしろ、粒子の三次元情報を計測する方法は、二次元的な画像データを解析する方法と比較して、簡単な機器構成によって、高精度な解析が期待できる。既に述べたように、二次元的な画像データの解析においては、反応液の容積が制限される。これに対して三次元情報を計測する方法は、フロー式の解析手法を応用できるため、反応液の容積は制限されない。また反応空間の物理的な形状も制限されない。これらの理由により、機器構成はシンプルとなる。加えて、反応液量を自由に設定できることが、再現性や検出感度の向上に貢献する。
あるいは本発明は、次の工程を含む、親和性物質の測定方法を提供する。
(1’)測定対象親和性物質との結合活性を有する結合パートナーを結合した担体粒子と、測定対象親和性物質とを、凝集試薬成分と混合し、電圧パルスを印加して前記担体粒子を電界に沿って整列させる工程であって、前記担体粒子は凝集試薬によって凝集し、かつ測定対象親和性物質によってその凝集は阻害される工程
(2’)工程(1’)の後に、凝集試薬との結合によって形成された担体粒子の凝集塊、および測定対象である親和性物質との結合によって凝集を阻害された担体粒子のいずれかまたは両方を、その三次元情報を指標として計数する工程、および
(3)工程(2’)の後に、凝集塊の形成レベル、および凝集塊を形成しなかった担体粒子のレベルのいずれか、または両方に基づいて測定対象物質のレベルを決定する工程
凝集試薬を利用する、凝集阻止反応に基づく免疫学的粒子凝集反応法の原理は既に述べた。上記工程によって、免疫学的粒子凝集反応に本発明を応用することができる。上記工程を構成する電圧パルスの印加や凝集塊の形成レベル、あるいは凝集塊を形成しなかった担体粒子のレベルの解析は、先に具体的に述べたような方法によって実施することができる。
なお凝集阻止反応の原理に基づいて本発明を実施する場合には、2個以上の粒子が凝集した凝集塊がより多く生成される条件を選択することが望ましい。あるいは、単粒子/総粒子数を指標として凝集レベルを評価する方法が好ましい。凝集阻止反応の原理に基づく場合には、このような演算式を利用したほうが、2個以上に凝集した粒子数/総粒子数の演算式に基づく解析よりも、高い感度を期待できる。
加えて本発明は、上記測定方法を実施するための装置を提供する。すなわち本発明は、次の手段を含む、親和性物質の測定装置に関する。
(a)測定対象親和性物質との結合活性を有する結合パートナーを結合した担体粒子と、測定対象親和性物質とを保持する空間、
(b)前記空間に保持された担体粒子に電圧パルスを印加するための電極、および
(c)前記空間に保持された担体粒子の凝集によって生じた凝集塊、および凝集しなかった前記担体粒子のいずれかまたは両方を、その三次元情報を指標として計数する手段
本発明において、(a)測定対象親和性物質との結合活性を有する結合パートナーを結合した担体粒子と、測定対象親和性物質とを保持する空間には、反応液を保持するための任意の空間を利用することができる。微量の試料を反応させるためには、小容量の空間であることが有利である。たとえば1μL〜10mL、好ましくは10〜500μL程度の空間を利用することができる。この空間は、必要に応じて、試料や試薬の供給手段、あるいは後に述べる担体粒子の計測手段を装備することもできる。
次に本発明における(b)前記空間に保持された担体粒子に電圧パルスを印加するための電極について説明する。担体粒子を電場に整列されるための電極は、たとえば先に記載した先行技術文献においても利用されている。これら公知の電極を、本発明に利用することができる。本発明の装置には、電極に電圧を供給するための電源を装備することができる。
本発明の装置における電圧パルスを印加するための電極は、少なくとも1組(2つ)の電極で構成される。複数の異なる方向の電圧パルスを与えるために、3以上の電極を備えることもできる。たとえば、3つの電極A、B、Cを配置し、A−B間、B−C間、およびA−C間の3つの方向の電圧パルスを印加することができる。この他、2組(4つ)の電極を配置し、直交する電圧パルスを印加することもできる(図6)。
更に、異なる方向の電圧パルスを印加するために、電極を駆動する機構を備えることができる。たとえば、反応液の中で電極を回転させることにより、複数の異なる方向から電圧パルスを印加することができる。異なる方向から電圧パルスを印加するとき、印加の方向は任意の角度とすることができる。
更に本発明の装置は、(c)前記空間に保持された担体粒子の凝集によって生じた凝集塊、および凝集しなかった前記担体粒子のいずれかまたは両方を、その三次元情報を指標として計数する手段を含む。該計数手段は、前記空間に装備することができる。あるいは前記空間に保持された反応液を前記空間から取り出して計数手段に導入した後に、計数することもできる。
三次元情報を指標として凝集した、またはしなかった担体粒子を計数する手段としては、コールター原理、あるいはレーザー回析散乱法を利用した計測手段を利用することができる。コールター原理のためには、たとえば前記空間内の反応液を、コールター原理のための電極を備えたアパーチャーに導入して、必要な解析が行われる。アパーチャーのサイズは、先に述べたような基準に基づいて、適宜調節することができる。試薬に用いる粒子径、あるいは予測される凝集粒子の割合に応じて、異なるサイズを有する複数のアパーチャーを切り替えて利用する機構を採用することもできる。たとえば、本発明の装置は、複数のアパーチャーに反応液を導くための流路切り替え機構を備えることができる。更に、試薬の種類や、予測される凝集粒子の割合などに基づいて、流路を自動的に選択する機構を組み合わせることもできる。あるいは、本発明の装置は、アパーチャーサイズの切り替えによって、自動的に検出感度を調節する機構を備えることができる。検出感度の調節機構として、たとえば、まず大き目のアパーチャーサイズで解析し、凝集粒子の割合が小さいと予測された場合に、より小さいアパーチャーに切り替える機構を示すことができる。レーザー回析散乱法を利用する場合も同様に、解析のための光学セルに反応液を導入して解析すればよい。
本発明において、電場においてパールチェイン化された担体粒子は、必要に応じて再分散させた後に、三次元情報を取得することができる。本発明の装置には、担体粒子の再分散のための機構を装備することができる。担体粒子は、希釈や超音波処理によって再分散することができる。
本発明の装置を構成する上記(a)−(c)の要素は、1つの連続する流路内に配置することができる。あるいは、各要素を不連続な空間として構成し、各要素の間を反応液を移動させることによって、本発明の測定方法を実施することもできる。
本発明の装置には、上記測定方法を実施するための付加的な機構を組み合わせることができる。本発明の装置に組み合わせることができる付加的な機構を、以下に例示する。
試料の分取機構 測定結果の表示機構
試料の希釈機構 15 測定結果の印刷機構
測定結果の記録機構
なお本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
図1(A)は、本発明に基づく装置の構成を示す図である。また図1(B)は、本発明に基づく装置を構成するパルス印加槽の断面を示す図である。
図中の符号はそれぞれ次の要素を示す。
1:分注+攪拌手段 4:希釈手段
2:反応槽 5:粒度分布測定手段
3:電極(パルス印加手段)
図2は、本発明に基づく親和性物質の測定方法の測定原理を示す図である。
図中の符号はそれぞれ次の要素を示す。
100:ラテックス粒子 101:抗体
102:抗原 104:反応槽
3:電極
図3は、本発明に基づく親和性物質の測定方法を実施するための具体的な機器構成を示す図である。
図中の符号はそれぞれ次の要素を示す。
1:分注+攪拌ユニット 7:シースフォロー
2:パルス印加ユニット(3a、3b) 15 8:電極(コールターカウンター)
3a:電極(パルス印加) 9:ポンプ
3b:パルス電源ユニット 10:廃液
4:希釈ユニット 11:シース液
5:粒度分布測定ユニット 12:希釈液(洗浄液)
6:アパーチャー 20 13:コンピュータユニット
図4は、図3の構成を有する測定装置によって本発明の測定方法を実施したときに得られた粒度分布の測定結果を示す図である。図中、縦軸は粒度分布(%)を、横軸は粒子径(μm)を示す。
図5は、複数組の電極を配置した場合の、電極の配置と反応空間の体積の例を示す図である。
図6は、図5のような配置の電極で電圧を印加したときに形成される、パールチェインの構造の例を示す図である。
図中の符号はそれぞれ次の要素を示す。
3:電極(第1の電極組)
3’:電極(第2の電極組)
100:ラテックス粒子
図7は、三次元情報に基く本発明の測定方法と、二次元情報を観測する公知の測定方法による測定方法の比較結果を示す図である。図中、縦軸は凝集率(P/T%)を、横軸はAFP濃度(ng/mL)を示す。
図8は、パールチェイン化による反応と3次元情報に基き測定した本発明による方法の結果を示す図である。図中の縦軸は凝集率(P/T%)を、横軸はCEA濃度(ng/mL)を示す。
図9は、37℃20分間のインキュベーションによる反応と3次元情報に基き測定した公知の方法の結果を示す図である。図中の縦軸は凝集率(P/T%)を、横軸はCEA濃度(ng/mL)を示す。
以下、図面に基づいて本発明を詳細に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
1.本発明の測定装置による測定例:
図1(A)は、本発明の装置の構成を示す図である。
この装置は、検体と試薬1(緩衝液)を分注して混合し、更に試薬2(ラテックス試薬)を分注して混合し、反応液を調製するための分注・攪拌槽を備える。パルス印加槽2に反応液を移動させ、電極3を介してパルス電圧を数秒から数十秒間印加して、パールチェイン化させる。反応液はパールチェイン化された後、希釈(希釈槽4)され、粒度分布を測定する。
図1(B)は、パルス印加槽の断面を示す図である。電極間の距離は0.5mm、電極の厚さは0.03mm、電極の長さは20mmである。
図2は、図1の装置を使用して測定される生物学的特異的反応の測定原理を示す図である。直径が2μmのラテックス粒子100に、測定の対象となる物質である抗体101を結合させたラテックス試薬と、緩衝液で希釈された検体102とを混合して反応液とする。ラテックス粒子への抗体や抗原などの結合は、周知の技術で行うことができ、疎水結合もしくは化学結合で結合されている。検体は、血液、尿などの体液、大気、土壌や河川などからの抽出物が使用される。
図3に基づいて装置の具体例を示す。分注+攪拌ユニット1により、血清検体1μLとグリシン緩衝液10μLを分取し、更に3μmラテックス粒子にAFP抗体を感作したラテックス試薬5μLを採取して混和する。この反応液を電極3aを介した反応槽に送り、パスル電源3bから交流電圧(100KHz,20V/mm)を30秒間印加して、ラテックス粒子をパールチェイン化する。この後、反応液は希釈槽に移動し、希釈液12を1mL添加して希釈される。ここで希釈槽に超音波を1秒間かけることにより、抗原抗体反応に関与していない粒子を完全に再分散させる。この反応液の粒度分布測定ユニット5に送り、シースフローシステム7からアパーチャー6を通過した際に電極8により検出される信号からラテックス粒子の粒度分布を測定すると図4に示すような粒度分布が得られ、ラテックス粒子の凝集率(AR)を、以下の式によりして算出し、予めAFP標準品を同様に測定して得られた検量線からAFP濃度を測定することができる。
〔式1〕AR=(2個以上に凝集した粒子数)/(総粒子数)×100 (%)
各ユニットはコンピュータユニット13により自動制御され作動して測定が行われ、測定結果はディスプレイに表示されるというものである。
2.本発明の測定方法(三次元情報)と公知の測定方法(二次元情報)の比較:抗ヒトAFP抗体感作ラテックス試薬の調製方法
0.07mg/mLの抗ヒトAFP抗体(IgG)を含むグリシン緩衝液1.0mLに1.0%のφ3μmラテックス(ポリサイエンス社)を懸濁させたグリシン緩衝液を加え、室温で2時間攪拌した後、感作したラテックス懸濁液を遠心分離(10000rpm、10分)して上清を除去した。沈殿を1.0%牛血清アルブミン−グリシン緩衝液に懸濁させ、37℃で1時間インキュベーションした後、再び遠心分離(10000rpm、10分)して上清を除去した。沈殿を0.2%牛血清アルブミン、10%ショ糖、50mM NaCl、0.09%NaNを含むグリシン緩衝液に懸濁させ、抗ヒトAFP抗体感作ラテックス試薬を調製した。この試薬を用いて、以下の3とおりの測定方法を実施した。
本法(1)
抗ヒトAFP抗体感作ラテックス試薬とAFP標準品(キャリブレーター)を用いて、交流電圧(100KHz、12V/mm、方形波)を40秒間印加してパールチェイン化した後、直ちに電源を切り、コールターカウンターによりラテックス粒子を計数した。2個以上に凝集した粒子数(P)と総粒子数(T)との比から凝集率を測定した。
本法(2)
抗ヒトAFP抗体感作ラテックス試薬とAFP標準品(キャリブレーター)を用いて、交流電圧(100KHz、12V/mm、方形波)を40秒間印加してパールチェイン化した後、直ちに電源を切り20秒間放置して特異的凝集反応に関与していないラテックス粒子を再分散させた。パールチェイン化及び再分散の工程を2回繰り返した後、本法(1)と同様にコールターカウンターによりラテックス粒子の計数を行って凝集率を測定した。
比較例
抗ヒトAFP抗体感作ラテックス試薬とAFP標準品(キャリブレーター)を用いて、交流電圧(100KHz、12V/mm、方形波)を40秒間印加してパールチェイン化した後、直ちに電源を切り40秒間放置して特異的凝集反応に関与していないラテックス粒子を再分散させた。反応液を顕微鏡で観察し、得られた顕微鏡映像をCCDカメラを介してコンピュータ入力して二次元画像解析を行い、2個以上に凝集した粒子数(P)と総粒子数(T)との比から凝集率を測定した。
結果
測定結果を表1および図7に示した。二次元画像解析を利用する公知の測定方法では、凝集率が約10%に収束した。その結果、特に低濃度(0.001〜0.01ng/mL)における凝集率の変化がわずかしか得られなかった。低濃度域では粒子の重なりの影響により、実際に凝集していない粒子を誤って凝集粒子と判定されることによる誤差の影響が大きいことが推測された。これに対して、本発明に基づく、電気抵抗法を用いた三次元解析では、低濃度域でもほぼ直線的な凝集率の低下が観察された。その結果、二次元解析法よりも約10倍の高感度化が確認できた。すなわち、本発明の方法においては、抗原(AFP)濃度0.001〜1000ng/mLにわたって、直線的な凝集率の変化が観察された。特に、繰り返しパールチェイン化することにより、特に0.1〜100ng/mLの濃度範囲において更に高感度化された。
Figure 2004111649
実施例2 粒子測定とアパーチャー口径の関係
(1)抗CEA抗体感作ラテックス試薬(試薬2)の調製
0.1mgの抗ヒトCEA抗体(ダコ社製)を1mLのグリシン緩衝液(50mMグリシン、50mM塩化ナトリウム、0.09%NaN3含有、以下GBSと略す)1.0mLに1.0%のΦ2μmラテックス(ポリサイエンス社)を懸濁させたGBS 1mLを加え、37℃で2時間インキュベーションした後、感作したラテックス懸濁液を遠心分離(10000rpm、15分)して上清を除去した。沈殿を2%牛血清アルブミン−GBSに懸濁させ、37℃で1時間インキュベーションした後、再び遠心分離(10000rpm、10分)して上清を除去した。沈殿を0.2%牛血清アルブミン、10%ショ糖、5%塩化コリンを含むGBS,pH8.2に懸濁させ、抗ヒトCEA抗体感作ラテックス試薬(ラテックス濃度1%W/V、2μm試薬)を調製した。同様に、Φ3μmのラテックス(ポリサイエンス社)を使用して3μm試薬を調製した。
(2)測定装置
コールターカウンター(ベックマンコールター社)と4種類のアパーチャー(口径20μm、50μm、70μm、100μm)を使用した。
(3)測定方法
正常血清0.5μLと試薬2 0.5μLを混合した後、図1(B)の電極付セルに分注し、交流電圧(周波数100KHz、12V、方形波)を60秒間印加してパールチェインを形成した後、直ちに電源を切り、生理食塩水20mLに添加して転倒混和した。混和した反応液中のラテックス粒子をコールターカウンターにより計数した。
(4)結果 結果を表2に示した。
Figure 2004111649
表2中「詰りやすさ(%)」とは、各口径のアパーチャーを使用して計数したときの、アパーチャーが担体粒子によって詰った頻度を示す。たとえば、20μmのアパーチャーを使用した場合、詰りやすさ(%)は50%以上である。これは、反応液中のラテックス粒子を計数したとき、2回の測定で少なくとも1回は、アパーチャーにおける担体粒子の詰まりが、測定結果に影響したこと意味している。測定回数は、2μm試薬と3μm試薬の合計である。つまり「詰りやすさ(%)」は、アパーチャーの詰りやすさを表している。
また「A/B/C;可能、または不可」とは、各口径のアパーチャーを使用して計数したときの測定精度の評価の比較結果を示している。評価基準は以下のとおりである。なおSN比とは、N(noise)÷S(signal)、すなわち「誤って凝集粒子として計数された非凝集粒子(単粒子)数」/「真の非凝集粒子(単粒子)数」である。平均粒子径が2μm、および3μmの試薬を用いたとき、ブランク検体(AFP濃度が検出限界以下)の非凝集粒子(単粒子)を最も正確にかつ精度良く測定できたアパーチャーサイズは20μmであった。この結果に基づいて、アパーチャーサイズが20μmの条件で計数した非凝集粒子(単粒子)数を「真の非凝集粒子(単粒子)数」とした。一方、各アパーチャーサイズで計数された非凝集粒子(単粒子)数と「真の非凝集粒子(単粒子)数」の差が、各アパーチャーサイズにおける「誤って凝集粒子として計数された非凝集粒子(単粒子)数」である。
A:ラテックス粒子を計数したとき、非凝集粒子(単粒子)と2個に凝集した粒子の区別が明確かつ再現性よく測定でき、そのSN比が1.5以下の場合
B:SN比が1.5〜3未満の場合
C:非凝集粒子(単粒子)と2個に凝集した粒子の区別が明確に測定できないか、あるいは単粒子が正確に検出できず、SN比が3〜6未満の場合
不可:SN比が6以上の場合
A/B/Cの順に測定精度が低いことを示す。2μmラテックス粒子の試薬を測定した場合、口径20〜70μmのアパーチャーは精度良く計数できる(AまたはB)。一方、口径100μmのアパーチャーでは測定精度がやや劣る(C)ことを示している。
2μmクラスの担体粒子を使用する場合は、口径が50μm以下のアパーチャーでは詰りやすく、100μm以上では測定精度が良くない。よって、50以上100μm未満のアパチャーが適し、特に口径70μmのアパーチャーが適していることがわかる。一方、3μmクラスの担体粒子を測定する場合は、50〜100μmのアパチャーが適し、特に口径70〜100μmのアパーチャーが適していることがわかる。つまり、アパーチャーサイズは、担体粒子の平均粒径に対して5倍〜50倍とするのが好ましい。
実施例3 ラテックスサイズと反応性の関係
(1)抗AFP抗体感作ラテックス試薬の調製
実施例1と同様に操作して、抗ヒトAFP抗体感作ラテックス試薬を調製した。なお、Φ2μm、3μm、4.5μm、6μm、10μmのラテックス粒子を使用して、5種類の試薬を調製した。ラテックス粒子濃度はそれぞれ、1%、1%、3%、3%、10%に調整した。
(2)測定装置
コールターカウンターと2種類のアパーチャー(Φ2μmラテックス試薬のみ口径70μmアパチャー、他のラテックス試薬は口径100μmアパチャー)を使用した。
(3)測定方法
検体3μLと抗AFP抗体感作ラテックス試薬3μLを混和して、図1(B)の電極付セルに分注し、交流電圧(周波数100KHz、14V、正弦波)を40秒間印加してパールチェインを形成した後、直ちに電源を切り、生理食塩水20mLに添加して転倒混和した。混和後の反応液中のラテックス粒子をコールターカウンターにより計数した。2個以上凝集した粒子数(P)と総粒子数(T)との比から凝集率を測定した。
(4)結果 結果を表3に示した。
Figure 2004111649
粒子径が3μm以下のとき凝集率のシグナルは40%以上と大きく、6μm以上では凝集率のシグナルは20%以下に低下することがわかる。この結果と表2の結果も合わせて、本発明ではラテックスの粒子径は、1〜10μmが好ましく、2〜5μmが最も好ましいことがわかる。
(1)抗CEA抗体感作ラテックス試薬(試薬2)の調製
実施例2と同様に、Φ2μmのラテックスに抗ヒトCEA抗体を感作して、抗ヒトCEA抗体感作ラテックス試薬(ラテックス濃度1%W/V)を調製した。
(2)グリシン緩衝液(試薬1)の調製
0.5%牛血清アルブミン、0.6mg/mL非特異抑制混合剤を含むGBS,pH8.2を調製し試薬1とした。
(3)測定装置
図1(A)の装置および(B)の電極付セルを使用して、抗原抗体反応に基づいて親和性物質(抗原)を測定した。
(4)測定方法
0.5%牛血清アルブミンを含むGBSを用いて、CEA抗原液を希釈して濃度0、0.015、0.03、0.06、0.49、0.98、1.95、3.9、125、250、500ng/mLを調整した。これらの検体1μLと試薬1の5μLを混和して、45℃で3分間インキュベーションした後、試薬2を6μL加え混和した後、電極付セルに注入した。このときの最終反応液中のラテックス濃度は0.5%である。前述の装置を使用して、室温下、交流電圧(周波数100KHz、12V、方形波)を60秒間印加してパールチェインを形成した後、直ちに電源を切り、コールターカウンター(アパーチャーは口径70μmを使用)によりラテックス粒子を計数した。2個以上凝集した粒子数(P)と総粒子数(T)との比から凝集率を測定した。
結果は図8に示した。
比較例2
実施例5の各検体と試薬を同量ずつ試験管にとり、37℃で20分間インキュベーションした。この反応液0.5μLを生理食塩水20mLに希釈して、実施例5と同様にコールターカウンターを使用してラテックス粒子の粒度分布を測定して、同様に凝集率を算出した。また、実施例5と同様に5回繰り返し測定を行ない、その結果を表4、表5および図9に示した。
Figure 2004111649
Figure 2004111649
抗原濃度が0の場合の測定値が、ある濃度の抗原を測定したときの値と識別できれば、この濃度の抗原を測定できる。測定可能な抗原濃度の最小値が、検出限界である。一般に抗原量0ng/mLを測定した凝集率の平均値+2.6SDと、ある濃度を測定した凝集率の平均値−2.6SDの重なりがなければ、その濃度以上の抗原を検出することができる。
図8および図9から検出限界を比較すると、本発明の方法(図8)の検出限界は0.015ng/mLといえる。一方、従来法(図9)においての検出感度は1.9ng/mLであり、本発明は100倍以上高感度である。また、本発明は各抗原量での再現性も良好でありCV値は概ね1〜2%であり(抗原量1.95ng/mLの同時再現性は、本発明ではCV=1.33%従来法ではCV=9.86%)、抗原量500ng/mLまで良好な直線性が得られている。これらのことから、電圧パルスを印加してパールチェイン化により反応を促進させた本発明は、従来法に比べ非常に短時間で更に高感度、ならびに良好な再現性であり、且つ直線性良く測定できることがわかる。
産業上の利用の可能性
本発明は、担体粒子の凝集を利用した、新規な親和性物質の測定方法を提供する。本発明の測定方法は、担体粒子の凝集を、粒子の三次元情報に基づいて計数する。その結果、より簡便な操作で、高精度な測定が可能となる。また測定のための装置は、安価な構成とすることができる。
また本発明においては、担体粒子の凝集を、粒子の三次元情報に基づいて計数するため、凝集反応のための反応空間の形状が制限されない。その結果、複数組の電極によって、異なる方向から電圧パルスを印加することができる。また反応空間を大きくすることによって、感度と再現性の向上が期待できる。
これに対して二次元の情報(面積)に基づいて担体粒子の凝集を観察する公知の方法においては、焦点の合う限られた範囲の粒子しか観察できないため、反応空間の形状は著しく制限される。フォーカスを移動すれば観察範囲を広げることはできるが、それでも平面的に走査するのが限界である。このように、本発明の測定方法は、公知の方法に比べて、より簡便で、かつ高精度な測定を可能とする方法である。
更に、電圧パルスの印加によって反応が促進される結果、より大きな担体粒子を利用することができる。その結果、測定精度の向上が期待できる。

Claims (16)

  1. 次の工程を含む、親和性物質の測定方法。
    (1)測定対象親和性物質との結合活性を有する結合パートナーを結合した担体粒子と、測定対象親和性物質とを混合し、電圧パルスを印加する工程、または
    (1’)測定対象親和性物質との結合活性を有する結合パートナーを結合した担体粒子と、測定対象親和性物質とを、凝集試薬成分と混合し、電圧パルスを印加する工程であって、前記担体粒子は凝集試薬によって凝集し、かつ測定対象親和性物質によってその凝集は阻害される工程
    (2)工程(1)の後に、測定対象である親和性物質との結合によって形成された担体粒子の凝集塊、および測定対象である親和性物質と結合せず凝集塊を形成しなかった担体粒子のいずれかまたは両方を、その三次元情報を指標として計数する工程、または
    (2’)工程(1’)の後に、凝集試薬との結合によって形成された担体粒子の凝集塊、および測定対象である親和性物質との結合によって凝集を阻害された担体粒子のいずれかまたは両方を、その三次元情報を指標として計数する工程、および
    (3)工程(2)または(2’)の後に、凝集塊の形成レベル、および凝集塊を形成しなかった担体粒子のレベルのいずれか、または両方に基づいて測定対象物質のレベルを決定する工程
  2. 工程(2)または(2’)において、凝集塊または担体粒子の三次元情報を、物理的に測定する請求項1に記載の方法。
  3. 三次元情報を物理的に測定するための方法が、電気抵抗法、レーザー回析散乱法、および三次元画像解析法からなる群から選択されたいずれかの方法である請求項2に記載の方法。
  4. 電圧パルスが交流電圧パルスである請求項1に記載の方法。
  5. 工程(2)または(2’)において、電場を停止後に担体粒子を計数することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  6. 工程(2)または(2’)において、電場を停止後に更に付加的に担体粒子を希釈する工程を含む請求項5に記載の方法。
  7. 電圧パルスを複数回与えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  8. 電圧パルスを印加後に、担体粒子を分散させてから次の電圧パルスを印加する工程を含む、請求項7に記載の方法。
  9. 複数回の電圧パルスが、異なる方向の電圧パルスである請求項7に記載の方法。
  10. 担体粒子の平均粒子径が、1μm以上である請求項1に記載の方法。
  11. 担体粒子の平均粒子径が、1μm〜20μmである請求項10に記載の方法。
  12. 次の手段を含む、親和性物質の測定装置。
    (a)測定対象親和性物質との結合活性を有する結合パートナーを結合した担体粒子と、測定対象親和性物質とを保持する空間、
    (b)前記空間に保持された担体粒子に電圧パルスを印加するための電極、および
    (c)前記空間に保持された担体粒子の凝集によって生じた凝集塊、および凝集しなかった前記担体粒子のいずれかまたは両方を、その三次元情報を指標として計数する手段
  13. (c)前記空間に保持された担体粒子の凝集によって生じた凝集塊、および凝集しなかった前記担体粒子のいずれかまたは両方を、その三次元情報を指標として計数する手段が、三次元情報を物理的に測定するための手段である請求項12に記載の装置。
  14. 三次元情報を物理的に測定するための手段が、電気抵抗法、レーザー回析散乱法、および三次元画像解析法からなる群から選択されたいずれかの方法によって三次元情報を物理的に測定するための手段である請求項13に記載の装置。
  15. 少なくとも2組の電圧パルスを印加するための電極を有する請求項12に記載の装置。
  16. 電圧パルスを印加するための電極を駆動する手段を有し、前記空間に対して異なる方向の電場を与えることができることを特徴とする請求項12に記載の装置。
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