JPWO2004111305A1 - 放電表面処理方法 - Google Patents

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Abstract

金属粉末または金属の化合物の粉末を圧縮成形した圧粉体を電極として、加工液中または気中において電極とワークの間にパルス状の放電を発生させ、そのエネルギにより、ワーク表面に電極の材料からなる被膜または電極の材料が放電エネルギにより反応した物質からなる被膜を形成する放電表面処理を行うに際して、平均粒径が6μm〜10μmの金属粉末または金属の化合物の粉末を混合して圧縮成形した電極を用いて、パルス幅50μs〜500μs、ピーク電流値30A以下の加工条件で、金属を主成分とした厚肉盛りを行なう。

Description

この発明は、放電表面処理技術に関するものであり、詳細には、金属粉末または金属の化合物の粉末を圧縮成形した圧粉体を電極として、電極とワークの間にパルス状の放電を発生させ、そのエネルギにより、ワーク表面に電極の材料からなる被膜または電極の材料が放電エネルギにより反応した物質からなる被膜を形成する放電表面処理で緻密な厚膜を形成する技術に関するものである。
粉末材料を圧縮成形した圧粉体を電極としてパルス状の放電によりワーク上に被膜を形成する表面処理技術としては、例えば常温に近いところでの硬質被膜に主眼がおかれており、セラミックスを主体とした薄い硬質被膜を形成する技術が確立されている(例えば、特許文献1参照)。
上記の特許文献1に示された技術では、電極にはある程度の硬さを持たせつつ放電による電極材料の供給を抑え、供給された材料を十分溶融させることによりワーク表面に硬質セラミックス被膜を形成している。しかしながら、この方法では、形成できる被膜は厚みが10μm程度までの薄膜に限定される。
また、放電表面処理で厚膜を形成する技術としては、アルミニウムの表面に炭化物を主成分とする被膜を形成する技術(例えば、特許文献2参照)、炭化物を主成分とする被膜を形成する技術(例えば、特許文献3参照)、放電パルス幅を32μs程度に長くすることにより100μm程度の厚膜を形成する技術(例えば、特許文献4参照)などがある。
国際公開第99/58744号パンフレット 特開平7−70761号公報 特開平7−197275号公報 特開平11−827号公報 しかしながら、上記の特許文献に開示されたいずれの技術も、厚膜といっても炭化物を主成分とするものであり、緻密な厚膜を形成することはできていない。そのため、上記の特許文献2および特許文献3では、ポーラスな厚膜を形成した後に、消耗の少ない電極により再溶融工程が必要となる。
例えば、特許文献3の技術においては、一見緻密に見える被膜が形成できた場合でも、詳細に調べるとポーラスな被膜となっている。また、特許文献4の技術では、水素化物を電極として被膜を形成する場合、確かに厚膜の形成はできる。しかしながら、被膜が緻密であるのは、ワークの材料と被膜材料が溶融しているワーク表面付近だけであり、第13図に示すように厚く盛りあがった部分Aはポーラスな被膜となっている。
近年、高温環境下での強度と潤滑性とを必要とされるような用途などで、緻密で比較的厚い被膜(100μm程度以上の厚膜)の形成が求められている。厚く被膜を盛り上げる技術としては、ワークと溶接棒との間の放電により溶接棒の材料をワークに溶融付着させる溶接(肉盛溶接)、金属材料を溶かした状態にしてスプレー状にワークに吹きつけ被膜を形成させる溶射がある。
しかしながら、いずれの方法も人手による熟練作業が要求されるため、作業はライン化することが困難であり、コストが高くなるという問題があった。また、特に溶接は、熱が集中してワークに入る方法であるため、厚みの薄い材料に対して処理する場合や、単結晶合金・一方向凝固合金など方向制御合金のように割れやすい材料を用いる場合には、溶接割れが発生し易く歩留まりが低いという問題もあった。
そこで、人手による作業を極力なくしたライン化が可能であり、ワークへの集中的な入熱を防ぐ放電表面処理技術を用いて、高温環境下での強度と潤滑性とを有する厚膜を形成する技術を確立することが切望されていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、溶接・溶射といった技術を用いることなく緻密な厚膜をワークに形成するための放電表面処理方法を提供することを目的としている。
本発明にかかる放電表面処理方法にあっては、金属粉末または金属の化合物の粉末を圧縮成形した圧粉体を電極として、加工液中または気中において電極とワークの間にパルス状の放電を発生させ、そのエネルギにより、ワーク表面に電極の材料からなる被膜または電極の材料が放電エネルギにより反応した物質からなる被膜を形成する放電表面処理方法において、平均粒径が6μm〜10μmの金属粉末または金属の化合物の粉末を混合して圧縮成形した電極を用いて、パルス幅50μs〜500μs、ピーク電流値30A以下の加工条件で、金属を主成分とした厚肉盛りを行なうことを特徴とする。
放電表面処理により緻密な厚膜を形成する上で、電極を構成する電極材料の粉末の粒径と、ピーク電流値、パルス幅との間には強い相関があることが本発明者の研究により見出された。
すなわち、この発明によれば、放電表面処理用電極を構成する電極材料の平均粒径に対応した適切な放電表面処理条件で放電表面処理を行うことにより、緻密な厚膜の形成が可能となる。
第1図は、放電表面処理用電極の製造方法の概念を示す断面図であり、第2図は、電極におけるCoの含有量を変化させることで厚膜の形成しやすさが変わっていく様子を示す特性図であり、第3A図は、放電表面処理が行われている際の電圧波形を示す特性図であり、第3B図は、第3A図の電圧波形に対応する電流波形を示す特性図であり、第4図は、炭化物を形成しにくい材料が電極内にない場合の処理時間に対する被膜の形成の様子を示す特性図であり、第5図は、Coが70体積%の場合に形成した被膜を示す写真であり、第6図は、放電表面処理用電極の製造方法の概念を示す断面図であり、第7A図は、電極の電気抵抗値を簡便に測定する方法を示す図であり、第7B図は、電極の電気抵抗値をより簡便に測定する方法を示す図であり、第8図は、加熱温度と電極の電気抵抗との関係を示す特性図であり、第9図は、加工液中で放電表面処理を行なう様子を示す図であり、第10図は、形成された被膜の写真であり、第11図は、放電表面処理用電極の製造方法の概念を示す断面図であり、第12図は、電極材料の平均粒径とパルス幅を変化させたて被膜形成を行った結果を示す図であり、第13図は、従来の電極による被膜を形成した際の電子顕微鏡写真である。
以下に、本発明にかかる放電表面処理方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、添付の図面においては、理解の容易のため、各部材における縮尺が異なる場合がある。
実施の形態1.
まず、本実施の形態において、緻密な厚膜を放電表面処理により形成するための概念について説明する。従来の放電表面処理においては、チタン(Ti)等の電極材料を油中での放電により化学反応させ、炭化チタン(TiC)といった硬質の炭化物被膜を形成していた。このため、放電表面処理に用いる電極には、炭化物を成形しやすい材料の割合が多く含まれていた。
この結果、放電表面処理が進むにつれて、例えば鋼材に放電表面処理を行う場合には、工作物(ワーク)表面の材質が鋼材からセラミックスであるTiCに変わり、それにともない、熱伝導・融点などの特性が変化していた。
このような被膜形成の過程において、電極材質の成分に炭化し難い材料を添加することにより、形成された被膜を金属主成分の被膜とすることができ、また膜厚を厚く形成できることが発明者の実験により見出された。これは、炭化し難い材料を電極に加えることで、炭化物にならずに金属の状態のままで被膜に残る材料が増えることになる。これが、被膜を厚く盛り上げるのに重要な意味を持つ。
次に、第1図を用いて放電表面処理用電極製造のためのプロセスについて説明する。第1図は、実施の形態1における放電表面処理用電極(以下、単に電極と呼ぶ場合がある。)の製造方法の概念を示す断面図である。まず、炭化物を形成しやすい材料であるCr(クロム)粉末1、炭化物を形成しにくい材料であるCo(コバルト)粉末2を所定の割合(例えば、Cr:25重量%、Co:75重量%)で混合する。
第1図において金型の上パンチ3、金型の下パンチ4、金型のダイ5で囲まれた空間に該混合粉末1、2が充填する。そして、該混合粉末1、2を上パンチ3及び下パンチ4で圧縮形成し、所定の形状の圧粉体を形成する。放電表面処理にあたっては、この圧粉体が放電電極とされる。なお、本実施の形態では、Cr粉末1およびCo粉末2は、平均粒径が6μmから10μm程度のものを使用している。
圧縮成形の際に混合粉末1、2の内部への圧力の伝わりを良くするために、混合粉末1、2にパラフィンなどのワックスを混入すると混合粉末1、2の成形性を向上させることができる。しかし、ワックスは絶縁性物質であるため、電極中に大量に残ると、電極の電気抵抗が大きくなるため放電性が悪化する。
そこで、混合粉末1、2にワックスを混入した場合にはワックスを除去することが好ましい。ワックスの除去は、圧粉体電極を真空炉に入れて加熱することにより行うことができる。また、圧粉体電極を加熱することにより、圧粉体電極の電気抵抗を下げる、圧粉体電極の強度を増加させる、などの他の効果も得られるため、ワックスを混入しない場合でも圧縮形成後に加熱することは意味がある。
さて、上記のようにして作製した圧粉体電極を放電表面処理用電極として用いて放電表面処理を行い、被膜の形成を行った。放電のパルス条件は、ピーク電流値ie=10A、放電持続時間(放電パルス幅)te=64μs、休止時間to=128μsとした。そして、放電表面処理により緻密な厚膜を形成する上で、電極を構成する粉末の粒径とピーク電流値、パルス幅との関係は強い関係があり、概略以下のとおりであることが見出された。
ある平均粒径の粉末から構成される電極を用いて放電表面処理を行なった場合、適切なパルス幅範囲の電気条件により放電表面処理を行った場合には緻密な厚膜を形成することができる。しかしながら、パルス幅が適切な範囲よりも短い場合、パルス幅が適切な範囲よりも長い場合のいずれの場合も、形成される被膜はポーラスになる。さらにパルス幅が短い場合には、電極材料がワークに付着するものの、付着した電極材料には全く強度がなく、被膜はボロボロの状態になる。
これは、放電表面処理時のパルス幅が適切なパルス幅を外れ、パルス幅が短くなると、放電エネルギが不足してその粒径の粉末を溶融させることができなくなり被膜がポーラスになるからと考察される。また、放電表面処理時のパルス幅が適切なパルス幅を外れ、パルス幅が長くなると、逆に放電エネルギが過多となるために電極を大きく崩して、極間、すなわち電極とワークとの間に多量の粉末を供給するため、それらすべてを放電パルスで溶融することが困難になるからであると考察される。
なお、適切なパルス幅の範囲は、ピーク電流値によりある程度変化するが、電極材料の粉末の粒径が大きくなるに従って長くなることも発明者の実験により見出された。
また、放電のパルス条件としてあるパルス幅の条件を用いた場合には、該パルス幅に対応する適切な粒径の範囲の粉末により構成される電極を用いて放電表面処理を行うと緻密な被膜が形成できる。しかしながら、あるパルス幅の条件を用いた場合でも、適切な範囲よりも大きな粒径の粉末から構成される電極を用いて放電表面処理を行った場合、適切な範囲よりも小さい粒径の粉末から構成される電極を用いて放電表面処理を行った場合のいずれの場合も、形成される被膜はポーラスになる。さらに大きな粒径の粉末から構成される電極を用いて放電表面処理を行った場合には、電極材料がワークに付着するものの、全く強度がなく被膜はボロボロの状態になる。
なお、電極を構成する粉末の粒形とパルス幅との関係は、電極の加熱温度などにより決まる電極硬さによる影響を受ける。すなわち、電極硬さが硬い場合には、放電表面処理に適切なパルス幅は長い方向にシフトする。また、電極硬さが軟らかい場合には、放電表面処理に適切なパルス幅は短い方向にシフトする。この電極の硬さと被膜形成の相関関係は、発明者の実験により見出されたものである。
さらに、放電のパルス条件のうちピーク電流値については、ピーク電流値が極端に小さすぎる場合には放電のパルス割れを引き起こす、電極材料の粉末を溶融させられない、などの問題が生じる。しかしながら、ピーク電流値が30A以下であれば、適切なパルス幅を選択すれば、良好な被膜を形成することができる。
また、発明者の実験によると、パルス割れを防止するためには、2A以上のピーク電流値が必要である。一方、ピーク電流値が30Aを超えると、放電パスルのエネルギにより生じる衝撃波により電極がダメージを受けて局部的に崩れ、粉末材料を過多にワーク側に供給するため、やはり被膜がポーラスになる。
本実施の形態によれば、粒径が6μmから10μm程度のCr粉末1とCo粉末2とを用いて構成した放電表面処理用電極を用いて、放電パルスのパルス幅として50μsから500μsの範囲を使用することにより、緻密な厚膜を形成することができた。すなわち、放電表面処理用電極を構成する粉末の粒径に最適な加工条件(放電のパルス条件)で加工(放電表面処理)を行うことにより、緻密な厚肉盛りを行なうことができ、高温環境下でも十分な強度を有する緻密な厚膜を形成することができるといえる。
また、金属元素の中でもCrは高温で酸化物を形成して潤滑性を発揮する材料である。したがって、上記のようにCrを含有する放電表面処理用電極を用いて放電表面処理を行うことにより、高温環境下での潤滑性を有する厚膜を形成することができる。
したがって、本実施の形態によれば、人手による作業を極力なくしたライン化が可能であり、ワークへの集中的な入熱を防ぐ放電表面処理技術を用いて、高温環境下での強度と潤滑性とを有する厚膜を形成することが可能とされる。
なお、ここで述べている「緻密な厚膜」の緻密の定義は、被膜をやすりなどでこすっても簡単にはとれず(当然削られることにより除去はすすむが)、磨くことで金属光沢が得られるような状態をいう。
また、本発明においては、放電表面処理が行われる環境は、加工液中でも良く、また、気中でも良い。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2について図面を参照しながら説明する。第2図は、炭化物であるCr(炭化クロム:粒径3μm)の粉末と、炭化物を形成しにくい材料であるCo(コバルト:粒径2μm)の粉末と、を混合した混合粉末を圧縮成形後に加熱して製作した放電表面処理用電極を用いて放電表面処理を行った場合において、放電表面処理用電極におけるCoの含有量を変化させることで厚膜の形成しやすさが変わっていく様子を示している。
放電表面処理用電極のベースとなる材質はCrとした。また、炭化物を形成しにくい材料であるCoの含有量は、40体積%以上とし、混合粉末の圧縮形成後の加熱温度は約900℃程度とした。
このような条件で作製された圧粉体電極(面積15mm×15mm)を用いて放電表面処理を行い、被膜を形成した。放電表面処理を行う場合の放電のパルス条件の一例を第3A図と第3B図とに示す。第3A図と第3B図は、放電表面処理時における放電のパルス条件の一例を示す図であり、第3A図は、放電時の電極とワークとの間にかかる電圧波形を示し、第3B図は、放電時に流れる電流の電流波形を示している。第3A図に示されるように時刻t0で両極間に無負荷電圧uiがかけられるが、放電遅れ時間td経過後の時刻t1に両極間に電流が流れ始め、放電が始まる。このときの電圧が放電電圧ueであり、このとき流れる電流がピーク電流値ieである。そして時刻t2で両極間への電圧の供給が停止されると、電流は流れなくなる。
時刻t2−t1がパルス幅teである。この時刻t0〜t2における電圧波形を、休止時間toをおいて繰り返して両極間に印加する。つまり、この第3A図に示されるように、放電表面処理用電極とワークとの間に、パルス状の電圧を印加させる。
本実施の形態においては放電表面処理時の放電のパルス条件は、ピーク電流値ie=10A、放電持続時間(放電パルス幅)te=64μs、休止時間to=128μsとした。なお、処理時間は15分である。
第2図に示される如く、電極におけるCoの含有量が0%の場合、すなわち、電極におけるCrの含有量が100%の場合には、形成できる被膜の厚さは10μm程度が限界であり、それ以上被膜の厚みを増すことはできない。被膜は、Crを主成分とし、母材成分の混ざった材料からなる。
なお、炭化物を形成しにくい材料が電極内にない場合の、処理時間に対する被膜の形成の様子は第4図のようになる。第4図に示すように放電表面処理の初期においては、被膜が時間とともに成長して厚くなり、ある時間(約5分/cm程度)で被膜の厚みは飽和する。
その後しばらくの間、膜厚は成長しないが、ある時間(20分/cm程度)以上放電表面処理を続けると被膜の厚みが減少しはじめ、最後には被膜厚さはマイナス、すなわちワークの掘り込みに変わってしまう。ただし、掘り込んだ状態でも被膜は存在しており、その厚み自体は10μm程度であり、適切な時間で処理した状態とほとんど変わらない。
第2図に戻り、炭化し難い材料であるCoの電極内の含有量を増やすに従って被膜を厚く形成できるようになり、電極中におけるCoの含有量が20体積%を超えると形成される被膜の厚さが厚くなり始め、40体積%を超えると安定して厚膜が形成しやすくなることが判明した。このように被膜中に金属として残る材料を多くすることにより、炭化物になっていない金属成分を含む被膜を形成することができ、安定して厚膜が形成しやすくなる。Coは、被膜の中でバインダの役目を果たしていると考えられる。
なお、ここでいう体積%は、混合するそれぞれ粉末の重量をそれぞれの材料の密度で割った値の比率のことであり、粉末全体の材料の体積中においてその材料が占める体積の割合である。
例えばCo粉末の体積%の場合は、
「Co粉末の体積%=Co粉末の体積/(Cr粉末の体積+Co粉末の体積)×100」
である。
また、粉末の体積は見かけ体積(粉としての体積)ではなく、その粉末材料の実質体積である。例えば、「Co粉末の体積=Co粉末の重量/Co粉末の密度」となる。
以上の点から、電極に含まれる炭化し難い材料の割合は40体積%以上であることが好ましい。第2図に示される如く、前述の放電のパルス条件、ピーク電流値ie=10A、放電持続時間(放電パルス幅)te=64μs、休止時間to=128μsの場合には、電極に含まれる炭化し難い材料の割合が40体積%以下でも10μm程度の被膜形成は可能である。しかし、緻密な厚膜を形成するためにはパルス条件を適切に設定しなければならない。例えば、電極に含まれる炭化し難い材料の割合が30体積%程度でも緻密な厚盛りは可能であるが、その条件の範囲はきわめて狭い。
電極に含まれる炭化物を形成する材料が多すぎる場合、電気的な条件が適切でない場合、電極の状態が悪い場合などには、盛りあがりは形成されるが、簡単に除去されたり、磨いても金属光沢が得られないような状態の膜が形成される。しかしながら、本実施の形態では、電極を構成する粉末の粒径に最適な加工条件(放電のパルス条件)で加工(放電表面処理)を行うことにより、形成された被膜中の金属が被膜内のつなぎになることにより緻密な厚肉盛りを行なうことができ、十分な強度を有する被膜を形成することができる。
参考までに、電極中におけるCoの含有量が70体積%の場合に形成した被膜の写真を第5図に示す。この写真は、厚膜の形成を例示するものである。第5図に示す写真においては膜厚が2mm程度の厚膜が形成されている。この被膜は、上述の条件のもと、15分の処理時間で、形成されたものであるが、処理時間を増せばさらに厚い被膜にすることができる。
このようにして、電極内にCo等の炭化し難い材料を40体積%以上含有する電極を使用し、電極を構成する粉末の粒径に最適な加工条件(放電のパルス条件)で加工(放電表面処理)を行うことにより、放電表面処理によりワーク表面に安定して緻密で厚い被膜を形成することができる。
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3について図面を参照しながら説明する。第6図は、実施の形態3における放電表面処理用電極の製造方法の概念を示す断面図である。
第6図において金型の上パンチ12、金型の下パンチ13、金型のダイ14で囲まれた空間に粒径が1μm程度のCo粉末11が充填され、該Co粉末11を上パンチ12及び下パンチ13で圧縮形成し、所定の形状の圧粉体を形成する。放電表面処理にあたっては、この圧粉体が放電電極とされる。
このように所定のプレス圧を粉末にかけることで粉末は固まり、圧粉体となる。しかしながら、このままの状態では圧粉体は電気抵抗が高く、そのままの状態で放電表面処理用電極として使用するには問題がある。電極の電気抵抗を測定するには、たとえば第7A図に示すように電極21を金属板22で挟み、該金属板22にテスタ23の電極端子24を接触させることにより抵抗値を測定するような簡易的な方法により、おおよその電気抵抗値を測定することができる。
また、第7B図に示すようにテスタ33の電極端子34を電極31の両端に接触させることにより抵抗値を測定するような、より簡易的な方法でもおおよその判断は可能である。
本実施の形態で電極材料として使用したCoは、融点が1000℃を超える材料である。しかしながら、電極を詳細に観察すると、200℃程度の温度でも材料(Co)の一部が溶融して電極の電気抵抗を下げることが発明者の研究により明らかとなった。
第6図に示した粒径1μm程度のCo粉末を、直径18mm、長さ30mm程度の大きさの圧粉体に成形した場合には、粉末を圧縮成形した時点では第7A図に示した測定方法により測定した電気抵抗は数Ω〜数十Ωの値を示していた。この圧粉体を真空炉において所定時間での昇温の後、1時間〜2時間の間だけ所定の加熱温度に保持した後の電気抵抗値と加熱温度との関係を第8図に示す。
圧粉体の加熱温度が低い(100℃以下)場合には、加熱後の圧粉体の電気抵抗はほとんど下がらない。しかし、第8図に示す200℃程度の温度領域Tで圧粉体の加熱をした場合には、圧粉体の電気抵抗値はほとんど0Ωになった。上記の材料により成形した圧粉体の場合は、200℃〜250℃程度の温度が放電表面処理用の電極とするための加熱温度としては最適値であった。また、加熱温度が300℃を越えた場合には、電極の硬さが硬くなり過ぎ、その結果放電表面処理の際の放電による電極材料の極間への電極材料の供給量が減少してしまうために厚膜の形成が困難となった。
以上の工程で製作された電極を用いた放電表面処理装置により放電表面処理を行なう様子を第9図に示す。第9図では、パルス状の放電が発生している様子を示している。また、この放電表面処理で形成された被膜の写真を第10図に示す。第10図に示す写真においては膜厚が1mm程度の厚膜が形成されている。
第9図に示す放電表面処理装置は、上述した放電表面処理用電極であり、粒径が1μm程度のCo粉末11を圧縮成形した圧粉体を加熱処理した圧粉体からなる放電表面処理用電極41(以下、単に電極41と称する場合がある。)と、加工液43と、電極41とワーク42との間に電圧を印加してパルス状の放電(アーク柱)44を発生させる放電表面処理用電源装置45とを備えて構成される。なお、第9図では、極間距離、すなわち電極41とワーク42との距離を制御するためのサーボ機構、加工液43を貯留する貯留槽などは本発明とは直接関係しないので省略している。
この放電表面処理装置によりワーク表面に被膜を形成するには、電極41とワーク42とを加工液43中で対向配置する。そして、加工液43中において、放電表面処理用電源45を用いて電極41とワーク42との間にパルス状の放電を発生させる。具体的には、電極41とワーク42との間に電圧を印加し、放電を発生させる。放電のアーク柱44は第9図に示すように電極41とワーク42との間に発生する。
そして、電極41とワーク42との間に発生させた放電の放電エネルギにより電極材料の被膜をワーク表面に形成し、または放電エネルギにより電極材料が反応した物質の被膜をワーク表面に形成する。極性は、電極41側がマイナスの極性、ワーク42側がプラスの極性として使用する。なお、この構成においては、放電時の電流Iは電極41から放電表面処理用電源45に向かう方向に流れる。
放電表面処理における放電パルスの条件は、ピーク電流値=10A、放電持続時間(放電パルス幅)=8μs、休止時間=16μsである。本実施の形態では5分間の処理で1mm程度の厚みの被膜が形成されている。
上述した実施の形態1では、粒径6μmから10μm程度のCr粉末1、Co粉末2の混合粉末からなる電極を用いたため、形成された厚膜はいびつでばらつきがある。実施の形態1では放電パルスのパルス幅が50μs〜500μsの範囲を使用して緻密な被膜を形成したが、粉末の粒径を小さくすることで、パルス幅を小さくして緻密な被膜を形成することができる。
これは、電極を構成する電極材料の粉末の粒径を小さくすると、パルス幅が小さい、エネルギの小さな条件でも電極材料の粉末を十分溶融させることができ、小さな放電のクレーターの積み重ねで被膜が形成できるため、緻密な被膜が形成できるためである。
本実施例で用いた粒径1μm程度のCo粉末の場合には、パルス幅50μs以下で緻密な被膜を形成することができた。なお、パルス幅をパルス幅50μsに伸ばした放電パルスを使用すると、放電により電極が大きく崩れるため被膜がポーラスになる。
また、電極の硬さに関して説明する。電極の硬さは、電極を構成する粉末の粒径が大きく電極の硬さが軟らかい場合には、JIS K 5600−5−4にある塗膜用鉛筆引っかき試験を用いて測定した。また、電極を構成する粉末の粒径が小さく、電極の硬さが硬い場合には、ロックウェル硬度等を用いて測定した。JIS K 5600−5−4の規格は本来、塗装被膜の評価に使用されているものであるが、硬さの低い材料の評価に適していることがわかった。もちろん、他の硬さ評価方法の結果と、この塗膜用鉛筆引っかき試験の結果は互いに換算できるものであり、他の方法を指標として用いても良い。
電極を構成する粉末の粒径が5〜6μm程度の場合には、電極の硬さが4B〜7B程度の硬さの場合が最も被膜の状態が良く、緻密な厚膜が形成できている。ただし、この範囲を多少はずれても厚膜の形成が可能な範囲は存在し、硬さの硬くなる方向では、B程度の硬さまでは厚膜の形成は可能である。また、硬さの軟らかくなる方向では、8B程度までは厚膜の形成は可能である。
しかしながら、電極の硬さが硬くなるに従って被膜の形成速度は遅くなる傾向があり、B程度の硬さでは、厚膜の形成はかなり難しくなる。電極の硬さがさらに硬くなると、厚膜の形成はできなくなり、電極の硬さが硬くなるに従って工作物(ワーク)側を除去加工するようになる。
また、電極の硬さが軟らかくなる方向では、8B程度の硬さまで厚膜の形成は可能であるが、形成された厚膜の組織の分析をすると空孔が徐々に増加していく傾向があり、9B程度より軟らかくなると電極成分が十分溶融しないままに工作物(ワーク)側に付着するような現象が見られるようなる。なお、この電極の硬さと被膜の状態の関係は、使用する放電パルス条件によっても多少変化し、適切な放電パルス条件を使用した場合には、ある程度良好な被膜を形成できる電極硬さの範囲を拡大することも可能である。
上記実施例では、粒径を5μm程度の粉末を使用したので、上記のような電極硬さが最適値となった。しかしながら、この最適値は電極を構成する粉末の粒径に大きく左右される。これは以下の理由によるものである。すなわち、放電により電極から電極材料が放出されるか否かは、電極を構成している粉末の結合強度による。結合強度が強い場合には、粉末は放電のエネルギにより放出され難い。一方、結合強度が弱い場合には、粉末は放電のエネルギにより放出されやすくなる。
また、電極を構成する粉末の粒径が大きい場合には、電極中での粉末が互いに結合している点の数が少なくなり、電極強度は弱くなる。一方、電極を構成する粉末の粒径が小さい場合には、電極中での粉末が互いに結合している点の数が多くなり、電極強度は強くなる。
以上において説明したように、本実施の形態では、電極を構成する電極材料の粉末の粒径、および電極の硬さに最適な加工条件で加工を行うことにより、緻密な厚肉盛りを行なうことができ、十分な強度を有する被膜を形成することができる。
上述のように、炭化物を形成しにくい材料であるCoの粉末を電極材料として用いた場合には、放電のパルス条件として、放電パルス幅が50μm以下、ピーク電流値が10A程度の条件を用いることにより緻密で厚い被膜が形成できる。しかしながら、炭化物を形成しやすい材料であるMo(モリブデン、粒径0.7μm)を電極材料として用いた電極でも緻密な厚い被膜(Moのみ)が形成できることが発明者の実験により判明した。
Moは炭化物を形成しやすい材料であるため、放電パルス幅を60μs以上70μs以下程度の比較的長い条件を使用して、放電パルスにより溶融しきらない電極材料をワークに供給することが緻密な被膜を形成するために有効であった。Moのような炭化物を形成しやすい材料の場合には、電極材料が放電パルスにより完全に溶融した状態でワーク側に供給されると、ワーク側に供給された電極材料は炭化して炭化モリブデンになってしまい、厚膜の形成が困難になる。しかしながら、上述したように放電パルス幅を調整し、放電パルスにより溶融しきらない電極材料をワークに供給することで緻密な被膜を形成することが可能となる。
実施の形態4.
次に、本発明の実施の形態4について図面を参照しながら説明する。第11図は、実施の形態4における放電表面処理用電極の製造方法の概念を示す断面図である。第11図において金型の上パンチ52、金型の下パンチ53、金型のダイ54で囲まれた空間に粒径が1μm程度のCo合金粉末51が充填され、該Co合金粉末51を上パンチ52及び下パンチ53で圧縮形成し、所定の形状の圧粉体を形成する。放電表面処理にあたっては、この圧粉体が放電電極とされる。
なお、本実施の形態では、Co合金粉末51としてCr(クロム)、Ni(ニッケル)、W(タングステン)などを含んだCoベースの合金(Cr:20重量%、Ni:10重量%、W:15重量%、Co:残)を用い、その平均粒径は1μm程度のものを使用している。
このままの状態では、圧粉体は電気抵抗が高く、そのままでは放電表面処理用電極として使用するには問題がある。
また、Co合金粉末51は硬質な合金であるのでプレスで粉末を固めることが困難であり、成形性の向上のためにCo合金粉末51にパラフィンなどのワックスを添加することが必要である。しかし、電極内のワックスの残留量が多くなるほど放電表面処理時の電気伝導度が悪くなる。このため、後の工程でワックスを除去することが好ましい。
そこで、ワックスの除去及び電極の電気抵抗を下げるべく、圧粉体電極を真空炉に入れて所定時間の昇温時間の後、1時間から2時間所定の加熱温度に保持する。
実施の形態3において、1μmの粒径のCo粉末により電極成形を行なった場合は加熱温度は200℃〜250℃が最適であったのに対し、Co合金粉末51より電極成形を行なった場合には、電気抵抗が下がる最適な加熱温度が、800℃〜900℃と高い温度であった。ここで、電極を一度に800℃まで加熱するとワックスが炭化して電極内に不純物として残ってしまうため、一度低い温度でワックス除去を行なう必要がある。
なお、本構造の電極は、加熱温度が200℃および300℃の場合はボロボロの状態であり、被膜形成を行うことはできなかった。また、加熱温度が1000℃の場合は電極の硬度が硬くなり、被膜形成を行うことはできなかった。
次に、Co合金粉末51の平均粒径をパラメータとして、緻密な被膜を形成できる条件を調べた。ピーク電流値は10Aとし、パルス幅を様々に変化させた。それぞれの電極は放電表面処理を行うに際して適切な硬さに成形されているものを使用した。ここで、「適切な硬さ」とは、緻密な被膜を形成できる条件を有するという意味である。
電極の硬さが適切でないと緻密な厚膜を形成することは困難である。電極の硬さが硬すぎる場合には、厚膜が形成できない。また、電極の硬さが軟らかすぎる場合には、盛りあがった膜を形成することができるが、該膜はポーラスなものになり、緻密ではなくなる。
第12図にCo合金粉末21の平均粒径をパラメータとして緻密な被膜を形成できる条件を調べた結果を示す。形成された被膜が緻密になる範囲と、形成された被膜がポーラスになるなど緻密な被膜ができない範囲と、に重なる部分があるが、これは電極の硬さなどにより範囲にある程度違いがあるためである。
なお、第12図では、電極材料の粉末の粒径により電極の最適な硬さも異なるため、ある粒径の粉末で、緻密な被膜が形成できる硬さにおいての比較を行っている。例えば、電極材料の平均粒径が2μm〜6μmの電極の場合、電極の硬さが硬めであれば、パルス幅10μs程度でも緻密な被膜が形成できる。一方、電極の硬さが軟らかめな場合には、パルス幅40μs程度でもポーラスな被膜になってしまう。
このように電極の硬さなどの条件により、緻密になるパルス幅の条件に違いがあるが、概略、第12図に示した範囲の中で緻密な厚膜を形成できる条件が存在する。
上記においては、合金比率が「Cr(クロム):20重量%、Ni(ニッケル):10重量%、W(タングステン):15重量%、Co(コバルト):残」である合金を粉末化した材料を使用したが、粉末化する合金は他の配合の合金でももちろん良い。たとえば、合金比率が、「Cr(クロム):25重量%、Ni(ニッケル):10重量%、W(タングステン):7重量%、Co(コバルト):残」である合金を用いることができる。また、合金比率が、「Mo(モリブデン):28重量%、Cr(クロム):17重量%、Si(シリコン):3重量%、Co(コバルト):残」である合金、「Cr(クロム):15重量%、Fe(鉄):8重量%、Ni(ニッケル):残」である合金、「Cr(クロム):21重量%、Mo(モリブデン):9重量%、Ta(タンタル)4重量%、Ni(ニッケル):残」である合金、合金比率が、「Cr(クロム):19重量%、Ni(ニッケル):53重量%、Mo(モリブデン)3重量%、Cd(カドミウム)+Ta(タンタル):5重量%、Ti(チタン):0.8重量%、Al(アルミニウム):0.6重量%、Fe(鉄):残」である合金なども用いることができる。ただし、合金の合金比率が異なると、材料の硬さなどの性質が異なるため、電極の成形性および被膜の状態に多少の差異が生じる。
なお、本実施の形態では、電極成分としてCoを主成分としたCo合金粉末を使用したが、これは、前述のように被膜を厚くすることに対して効果があるためである。炭化物を形成しやすい材料のみからなる電極を用いた放電表面処理では形成された被膜が炭化物セラミックス状態になるため、被膜の熱伝導が悪くなり、放電により被膜の除去が進みやすくなる。
そこで、炭化物を形成し難い材料であるCoを成分として混入することで、被膜の熱伝導を悪くすることがなくなり、被膜の厚膜化が可能になる。Coと同様の効果を有する材料としては、Ni、Feなどがある。
なお、放電の条件のピーク電流値は、本例では10Aとしたが、おおよそ30A程度以下であれば概略同じ範囲で緻密な厚膜を得ることができる。ピーク電流値が30A以上になると放電の衝撃で電極を不必要に大きく崩したり、また、入熱量が大きくなるために電極の硬さが硬くなっていくなどの問題が起きるようになってくる。
本実施の形態によれば、電極を構成する粉末の粒径、および電極の硬さに最適な加工条件(放電のパルス条件)で加工(放電表面処理)を行うことにより、緻密な厚肉盛りを行なうことができ、十分な強度を有する被膜を形成することができる。
以上のように、本発明にかかる放電表面処理方法は、緻密で比較的厚い被膜を必要とする産業に有用であり、特に、高温環境下での強度と潤滑性とを必要とされるような用途などに適している。
この発明は、放電表面処理技術に関するものであり、詳細には、金属粉末または金属の化合物の粉末を成形した電を用い、電極とワークの間にパルス状の放電を発生させ、そのエネルギにより、ワーク表面に電極の材料からなる被膜または電極の材料が放電エネルギにより反応した物質からなる被膜を形成する放電表面処理で緻密な厚膜を形成する技術に関するものである。
粉末材料を圧縮成形した圧粉体を電極としてパルス状の放電によりワーク上に被膜を形成する表面処理技術としては、例えば常温に近いところでの硬質被膜に主眼がおかれており、セラミックスを主体とした薄い硬質被膜を形成する技術が確立されている(例えば、特許文献1参照)。
上記の特許文献1に示された技術では、電極にはある程度の硬さを持たせつつ放電による電極材料の供給を抑え、供給された材料を十分溶融させることによりワーク表面に硬質セラミックス被膜を形成している。しかしながら、この方法では、形成できる被膜は厚みが10μm程度までの薄膜に限定される。
また、放電表面処理で厚膜を形成する技術としては、アルミニウムの表面に炭化物を主成分とする被膜を形成する技術(例えば、特許文献2参照)、炭化物を主成分とする被膜を形成する技術(例えば、特許文献3参照)、放電パルス幅を32μs程度に長くすることにより100μm程度の厚膜を形成する技術(例えば、特許文献4参照)などがある。
国際公開第99/58744号パンフレット 特開平7−70761号公報 特開平7−197275号公報 特開平11−827号公報
しかしながら、上記の特許文献に開示されたいずれの技術も、厚膜といっても炭化物を主成分とするものであり、緻密な厚膜を形成することはできていない。そのため、上記の特許文献2および特許文献3では、ポーラスな厚膜を形成した後に、消耗の少ない電極により再溶融工程が必要となる。
例えば、特許文献3の技術においては、一見緻密に見える被膜が形成できた場合でも、詳細に調べるとポーラスな被膜となっている。また、特許文献4の技術では、水素化物を電極として被膜を形成する場合、確かに厚膜の形成はできる。しかしながら、被膜が緻密であるのは、ワークの材料と被膜材料が溶融しているワーク表面付近だけであり、図13に示すように厚く盛りあがった部分Aはポーラスな被膜となっている。
近年、高温環境下での強度と潤滑性とを必要とされるような用途などで、緻密で比較的厚い被膜(100μm程度以上の厚膜)の形成が求められている。厚く被膜を盛り上げる技術としては、ワークと溶接棒との間の放電により溶接棒の材料をワークに溶融付着させる溶接(肉盛溶接)、金属材料を溶かした状態にしてスプレー状にワークに吹きつけ被膜を形成させる溶射がある。
しかしながら、いずれの方法も人手による熟練作業が要求されるため、作業はライン化することが困難であり、コストが高くなるという問題があった。また、特に溶接は、熱が集中してワークに入る方法であるため、厚みの薄い材料に対して処理する場合や、単結晶合金・一方向凝固合金など方向制御合金のように割れやすい材料を用いる場合には、溶接割れが発生し易く歩留まりが低いという問題もあった。
そこで、人手による作業を極力なくしたライン化が可能であり、ワークへの集中的な入熱を防ぐ放電表面処理技術を用いて、高温環境下での強度と潤滑性とを有する厚膜を形成する技術を確立することが切望されていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、溶接・溶射といった技術を用いることなく緻密な厚膜をワークに形成するための放電表面処理方法を提供することを目的としている。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる放電表面処理方法は、金属粉末または金属の化合物の粉末を成形した電を用い、加工液中または気中において電極とワークの間にパルス状の放電を発生させ、そのエネルギにより、ワーク表面に電極の材料からなる被膜または電極の材料が放電エネルギにより反応した物質からなる被膜を形成する放電表面処理方法において、平均粒径が6μm〜10μmの金属粉末または金属の化合物の粉末を成形した電極を用いて、パルス幅50μs〜500μs、ピーク電流値30A以下の加工条件で、金属を主成分とした厚肉盛りを行なうことを特徴とする。
この発明においては、放電表面処理により緻密な厚膜を形成する上で、電極を構成する電極材料の粉末の粒径と、ピーク電流値、パルス幅との間には強い相関があることが本発明者の研究により見出された。
すなわち、この発明によれば、放電表面処理用電極を構成する電極材料の平均粒径に対応した適切な放電表面処理条件で放電表面処理を行うことにより、緻密な厚膜の形成が可能となる、という効果を奏する。
以下に、本発明にかかる放電表面処理方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、添付の図面においては、理解の容易のため、各部材における縮尺が異なる場合がある。
実施の形態1.
まず、本実施の形態において、緻密な厚膜を放電表面処理により形成するための概念について説明する。従来の放電表面処理においては、チタン(Ti)等の電極材料を油中での放電により化学反応させ、炭化チタン(TiC)といった硬質の炭化物被膜を形成していた。このため、放電表面処理に用いる電極には、炭化物を成形しやすい材料の割合が多く含まれていた。
この結果、放電表面処理が進むにつれて、例えば鋼材に放電表面処理を行う場合には、工作物(ワーク)表面の材質が鋼材からセラミックスであるTiCに変わり、それにともない、熱伝導・融点などの特性が変化していた。
このような被膜形成の過程において、電極材質の成分に炭化し難い材料を添加することにより、形成された被膜を金属主成分の被膜とすることができ、また膜厚を厚く形成できることが発明者の実験により見出された。これは、炭化し難い材料を電極に加えることで、炭化物にならずに金属の状態のままで被膜に残る材料が増えることになる。これが、被膜を厚く盛り上げるのに重要な意味を持つ。
次に、図1を用いて放電表面処理用電極製造のためのプロセスについて説明する。図1は、実施の形態1における放電表面処理用電極(以下、単に電極と呼ぶ場合がある。)の製造方法の概念を示す断面図である。まず、炭化物を形成しやすい材料であるCr(クロム)粉末1、炭化物を形成しにくい材料であるCo(コバルト)粉末2を所定の割合(例えば、Cr:25重量%、Co:75重量%)で混合する。
図1において金型の上パンチ3、金型の下パンチ4、金型のダイ5で囲まれた空間に該混合粉末1、2が充填する。そして、該混合粉末1、2を上パンチ3及び下パンチ4で圧縮形成し、所定の形状の圧粉体を形成する。放電表面処理にあたっては、この圧粉体が放電電極とされる。なお、本実施の形態では、Cr粉末1およびCo粉末2は、平均粒径が6μmから10μm程度のものを使用している。
圧縮成形の際に混合粉末1、2の内部への圧力の伝わりを良くするために、混合粉末1、2にパラフィンなどのワックスを混入すると混合粉末1、2の成形性を向上させることができる。しかし、ワックスは絶縁性物質であるため、電極中に大量に残ると、電極の電気抵抗が大きくなるため放電性が悪化する。
そこで、混合粉末1、2にワックスを混入した場合にはワックスを除去することが好ましい。ワックスの除去は、圧粉体電極を真空炉に入れて加熱することにより行うことができる。また、圧粉体電極を加熱することにより、圧粉体電極の電気抵抗を下げる、圧粉体電極の強度を増加させる、などの他の効果も得られるため、ワックスを混入しない場合でも圧縮形成後に加熱することは意味がある。
さて、上記のようにして作製した圧粉体電極を放電表面処理用電極として用いて放電表面処理を行い、被膜の形成を行った。放電のパルス条件は、ピーク電流値ie=10A、放電持続時間(放電パルス幅)te=64μs、休止時間to=128μsとした。そして、放電表面処理により緻密な厚膜を形成する上で、電極を構成する粉末の粒径とピーク電流値、パルス幅との関係は強い関係があり、概略以下のとおりであることが見出された。
ある平均粒径の粉末から構成される電極を用いて放電表面処理を行なった場合、適切なパルス幅範囲の電気条件により放電表面処理を行った場合には緻密な厚膜を形成することができる。しかしながら、パルス幅が適切な範囲よりも短い場合、パルス幅が適切な範囲よりも長い場合のいずれの場合も、形成される被膜はポーラスになる。さらにパルス幅が短い場合には、電極材料がワークに付着するものの、付着した電極材料には全く強度がなく、被膜はボロボロの状態になる。
これは、放電表面処理時のパルス幅が適切なパルス幅を外れ、パルス幅が短くなると、放電エネルギが不足してその粒径の粉末を溶融させることができなくなり被膜がポーラスになるからと考察される。また、放電表面処理時のパルス幅が適切なパルス幅を外れ、パルス幅が長くなると、逆に放電エネルギが過多となるために電極を大きく崩して、極間、すなわち電極とワークとの間に多量の粉末を供給するため、それらすべてを放電パルスで溶融することが困難になるからであると考察される。
なお、適切なパルス幅の範囲は、ピーク電流値によりある程度変化するが、電極材料の粉末の粒径が大きくなるに従って長くなることも発明者の実験により見出された。
また、放電のパルス条件としてあるパルス幅の条件を用いた場合には、該パルス幅に対応する適切な粒径の範囲の粉末により構成される電極を用いて放電表面処理を行うと緻密な被膜が形成できる。しかしながら、あるパルス幅の条件を用いた場合でも、適切な範囲よりも大きな粒径の粉末から構成される電極を用いて放電表面処理を行った場合、適切な範囲よりも小さい粒径の粉末から構成される電極を用いて放電表面処理を行った場合のいずれの場合も、形成される被膜はポーラスになる。さらに大きな粒径の粉末から構成される電極を用いて放電表面処理を行った場合には、電極材料がワークに付着するものの、全く強度がなく被膜はボロボロの状態になる。
なお、電極を構成する粉末の粒形とパルス幅との関係は、電極の加熱温度などにより決まる電極硬さによる影響を受ける。すなわち、電極硬さが硬い場合には、放電表面処理に適切なパルス幅は長い方向にシフトする。また、電極硬さが軟らかい場合には、放電表面処理に適切なパルス幅は短い方向にシフトする。この電極の硬さと被膜形成の相関関係は、発明者の実験により見出されたものである。
さらに、放電のパルス条件のうちピーク電流値については、ピーク電流値が極端に小さすぎる場合には放電のパルス割れを引き起こす、電極材料の粉末を溶融させられない、などの問題が生じる。しかしながら、ピーク電流値が30A以下であれば、適切なパルス幅を選択すれば、良好な被膜を形成することができる。
また、発明者の実験によると、パルス割れを防止するためには、2A以上のピーク電流値が必要である。一方、ピーク電流値が30Aを超えると、放電パルスのエネルギにより生じる衝撃波により電極がダメージを受けて局部的に崩れ、粉末材料を過多にワーク側に供給するため、やはり被膜がポーラスになる。
本実施の形態によれば、粒径が6μmから10μm程度のCr粉末1とCo粉末2とを用いて構成した放電表面処理用電極を用いて、放電パルスのパルス幅として50μsから500μsの範囲を使用することにより、緻密な厚膜を形成することができた。すなわち、放電表面処理用電極を構成する粉末の粒径に最適な加工条件(放電のパルス条件)で加工(放電表面処理)を行うことにより、緻密な厚肉盛りを行なうことができ、高温環境下でも十分な強度を有する緻密な厚膜を形成することができるといえる。
また、金属元素の中でもCrは高温で酸化物を形成して潤滑性を発揮する材料である。したがって、上記のようにCrを含有する放電表面処理用電極を用いて放電表面処理を行うことにより、高温環境下での潤滑性を有する厚膜を形成することができる。
したがって、本実施の形態によれば、人手による作業を極力なくしたライン化が可能であり、ワークへの集中的な入熱を防ぐ放電表面処理技術を用いて、高温環境下での強度と潤滑性とを有する厚膜を形成することが可能とされる。
なお、ここで述べている「緻密な厚膜」の緻密の定義は、被膜をやすりなどでこすっても簡単にはとれず(当然削られることにより除去はすすむが)、磨くことで金属光沢が得られるような状態をいう。
また、本発明においては、放電表面処理が行われる環境は、加工液中でも良く、また、気中でも良い。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2について図面を参照しながら説明する。図2は、炭化物であるCr32(炭化クロム:粒径3μm)の粉末と、炭化物を形成しにくい材料であるCo(コバルト:粒径2μm)の粉末と、を混合した混合粉末を圧縮成形後に加熱して製作した放電表面処理用電極を用いて放電表面処理を行った場合において、放電表面処理用電極におけるCoの含有量を変化させることで厚膜の形成しやすさが変わっていく様子を示している。
放電表面処理用電極のベースとなる材質はCr32とした。また、炭化物を形成しにくい材料であるCoの含有量は、40体積%以上とし、混合粉末の圧縮形成後の加熱温度は約900℃程度とした。
このような条件で作製された圧粉体電極(面積15mm×15mm)を用いて放電表面処理を行い、被膜を形成した。放電表面処理を行う場合の放電のパルス条件の一例を図3Aと図3Bとに示す。図3Aと図3Bは、放電表面処理時における放電のパルス条件の一例を示す図であり、図3Aは、放電時の電極とワークとの間にかかる電圧波形を示し、図3Bは、放電時に流れる電流の電流波形を示している。図3Aに示されるように時刻t0で両極間に無負荷電圧uiがかけられるが、放電遅れ時間td経過後の時刻t1に両極間に電流が流れ始め、放電が始まる。このときの電圧が放電電圧ueであり、このとき流れる電流がピーク電流値ieである。そして時刻t2で両極間への電圧の供給が停止されると、電流は流れなくなる。
時刻t2−t1がパルス幅teである。この時刻t0〜t2における電圧波形を、休止時間toをおいて繰り返して両極間に印加する。つまり、この図3Aに示されるように、放電表面処理用電極とワークとの間に、パルス状の電圧を印加させる。
本実施の形態においては放電表面処理時の放電のパルス条件は、ピーク電流値ie=10A、放電持続時間(放電パルス幅)te=64μs、休止時間to=128μsとした。なお、処理時間は15分である。
図2に示される如く、電極におけるCoの含有量が0%の場合、すなわち、電極におけるCr32の含有量が100%の場合には、形成できる被膜の厚さは10μm程度が限界であり、それ以上被膜の厚みを増すことはできない。被膜は、Cr32を主成分とし、母材成分の混ざった材料からなる。
なお、炭化物を形成しにくい材料が電極内にない場合の、処理時間に対する被膜の形成の様子は図4のようになる。図4に示すように放電表面処理の初期においては、被膜が時間とともに成長して厚くなり、ある時間(約5分/cm2程度)で被膜の厚みは飽和する。
その後しばらくの間、膜厚は成長しないが、ある時間(20分/cm2程度)以上放電表面処理を続けると被膜の厚みが減少しはじめ、最後には被膜厚さはマイナス、すなわちワークの掘り込みに変わってしまう。ただし、掘り込んだ状態でも被膜は存在しており、その厚み自体は10μm程度であり、適切な時間で処理した状態とほとんど変わらない。
図2に戻り、炭化し難い材料であるCoの電極内の含有量を増やすに従って被膜を厚く形成できるようになり、電極中におけるCoの含有量が20体積%を超えると形成される被膜の厚さが厚くなり始め、40体積%を超えると安定して厚膜が形成しやすくなることが判明した。このように被膜中に金属として残る材料を多くすることにより、炭化物になっていない金属成分を含む被膜を形成することができ、安定して厚膜が形成しやすくなる。Coは、被膜の中でバインダの役目を果たしていると考えられる。
なお、ここでいう体積%は、混合するそれぞれ粉末の重量をそれぞれの材料の密度で割った値の比率のことであり、粉末全体の材料の体積中においてその材料が占める体積の割合である。
例えばCo粉末の体積%の場合は、
「Co粉末の体積%=Co粉末の体積/(Cr32粉末の体積+Co粉末の体積)×100」
である。
また、粉末の体積は見かけ体積(粉としての体積)ではなく、その粉末材料の実質体積である。例えば、「Co粉末の体積=Co粉末の重量/Co粉末の密度」となる。
以上の点から、電極に含まれる炭化し難い材料の割合は40体積%以上であることが好ましい。図2に示される如く、前述の放電のパルス条件、ピーク電流値ie=10A、放電持続時間(放電パルス幅)te=64μs、休止時間to=128μsの場合には、電極に含まれる炭化し難い材料の割合が40体積%以下でも10μm程度の被膜形成は可能である。しかし、緻密な厚膜を形成するためにはパルス条件を適切に設定しなければならない。例えば、電極に含まれる炭化し難い材料の割合が30体積%程度でも緻密な厚盛りは可能であるが、その条件の範囲はきわめて狭い。
電極に含まれる炭化物を形成する材料が多すぎる場合、電気的な条件が適切でない場合、電極の状態が悪い場合などには、盛りあがりは形成されるが、簡単に除去されたり、磨いても金属光沢が得られないような状態の膜が形成される。しかしながら、本実施の形態では、電極を構成する粉末の粒径に最適な加工条件(放電のパルス条件)で加工(放電表面処理)を行うことにより、形成された被膜中の金属が被膜内のつなぎになることにより緻密な厚肉盛りを行なうことができ、十分な強度を有する被膜を形成することができる。
参考までに、電極中におけるCoの含有量が70体積%の場合に形成した被膜の写真を図5に示す。この写真は、厚膜の形成を例示するものである。図5に示す写真においては膜厚が2mm程度の厚膜が形成されている。この被膜は、上述の条件のもと、15分の処理時間で、形成されたものであるが、処理時間を増せばさらに厚い被膜にすることができる。
このようにして、電極内にCo等の炭化し難い材料を40体積%以上含有する電極を使用し、電極を構成する粉末の粒径に最適な加工条件(放電のパルス条件)で加工(放電表面処理)を行うことにより、放電表面処理によりワーク表面に安定して緻密で厚い被膜を形成することができる。
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3について図面を参照しながら説明する。図6は、実施の形態3における放電表面処理用電極の製造方法の概念を示す断面図である。
図6において金型の上パンチ12、金型の下パンチ13、金型のダイ14で囲まれた空間に粒径が1μm程度のCo粉末11が充填され、該Co粉末11を上パンチ12及び下パンチ13で圧縮形成し、所定の形状の圧粉体を形成する。放電表面処理にあたっては、この圧粉体が放電電極とされる。
このように所定のプレス圧を粉末にかけることで粉末は固まり、圧粉体となる。しかしながら、このままの状態では圧粉体は電気抵抗が高く、そのままの状態で放電表面処理用電極として使用するには問題がある。電極の電気抵抗を測定するには、たとえば図7Aに示すように電極21を金属板22で挟み、該金属板22にテスタ23の電極端子24を接触させることにより抵抗値を測定するような簡易的な方法により、おおよその電気抵抗値を測定することができる。
また、図7Bに示すようにテスタ33の電極端子34を電極31の両端に接触させることにより抵抗値を測定するような、より簡易的な方法でもおおよその判断は可能である。
本実施の形態で電極材料として使用したCoは、融点が1000℃を超える材料である。しかしながら、電極を詳細に観察すると、200℃程度の温度でも材料(Co)の一部が溶融して電極の電気抵抗を下げることが発明者の研究により明らかとなった。
図6に示した粒径1μm程度のCo粉末を、直径18mm、長さ30mm程度の大きさの圧粉体に成形した場合には、粉末を圧縮成形した時点では図7Aに示した測定方法により測定した電気抵抗は数Ω〜数十Ωの値を示していた。この圧粉体を真空炉において所定時間での昇温の後、1時間〜2時間の間だけ所定の加熱温度に保持した後の電気抵抗値と加熱温度との関係を図8に示す。
圧粉体の加熱温度が低い(100℃以下)場合には、加熱後の圧粉体の電気抵抗はほとんど下がらない。しかし、図8に示す200℃程度の温度領域Tで圧粉体の加熱をした場合には、圧粉体の電気抵抗値はほとんど0Ωになった。上記の材料により成形した圧粉体の場合は、200℃〜250℃程度の温度が放電表面処理用の電極とするための加熱温度としては最適値であった。また、加熱温度が300℃を越えた場合には、電極の硬さが硬くなり過ぎ、その結果放電表面処理の際の放電による電極材料の極間への電極材料の供給量が減少してしまうために厚膜の形成が困難となった。
以上の工程で製作された電極を用いた放電表面処理装置により放電表面処理を行なう様子を図9に示す。図9では、パルス状の放電が発生している様子を示している。また、この放電表面処理で形成された被膜の写真を図10に示す。図10に示す写真においては膜厚が1mm程度の厚膜が形成されている。
図9に示す放電表面処理装置は、上述した放電表面処理用電極であり、粒径が1μm程度のCo粉末11を圧縮成形した圧粉体を加熱処理した圧粉体からなる放電表面処理用電極41(以下、単に電極41と称する場合がある。)と、加工液43と、電極41とワーク42との間に電圧を印加してパルス状の放電(アーク柱)44を発生させる放電表面処理用電源装置45とを備えて構成される。なお、図9では、極間距離、すなわち電極41とワーク42との距離を制御するためのサーボ機構、加工液43を貯留する貯留槽などは本発明とは直接関係しないので省略している。
この放電表面処理装置によりワーク表面に被膜を形成するには、電極41とワーク42とを加工液43中で対向配置する。そして、加工液43中において、放電表面処理用電源45を用いて電極41とワーク42との間にパルス状の放電を発生させる。具体的には、電極41とワーク42との間に電圧を印加し、放電を発生させる。放電のアーク柱44は図9に示すように電極41とワーク42との間に発生する。
そして、電極41とワーク42との間に発生させた放電の放電エネルギにより電極材料の被膜をワーク表面に形成し、または放電エネルギにより電極材料が反応した物質の被膜をワーク表面に形成する。極性は、電極41側がマイナスの極性、ワーク42側がプラスの極性として使用する。なお、この構成においては、放電時の電流Iは電極41から放電表面処理用電源45に向かう方向に流れる。
放電表面処理における放電パルスの条件は、ピーク電流値=10A、放電持続時間(放電パルス幅)=8μs、休止時間=16μsである。本実施の形態では5分間の処理で1mm程度の厚みの被膜が形成されている。
上述した実施の形態1では、粒径6μmから10μm程度のCr粉末1、Co粉末2の混合粉末からなる電極を用いたため、形成された厚膜はいびつでばらつきがある。実施の形態1では放電パルスのパルス幅が50μs〜500μsの範囲を使用して緻密な被膜を形成したが、粉末の粒径を小さくすることで、パルス幅を小さくして緻密な被膜を形成することができる。
これは、電極を構成する電極材料の粉末の粒径を小さくすると、パルス幅が小さい、エネルギの小さな条件でも電極材料の粉末を十分溶融させることができ、小さな放電のクレーターの積み重ねで被膜が形成できるため、緻密な被膜が形成できるためである。
本実施例で用いた粒径1μm程度のCo粉末の場合には、パルス幅50μs以下で緻密な被膜を形成することができた。なお、パルス幅をパルス幅50μsに伸ばした放電パルスを使用すると、放電により電極が大きく崩れるため被膜がポーラスになる。
また、電極の硬さに関して説明する。電極の硬さは、電極を構成する粉末の粒径が大きく電極の硬さが軟らかい場合には、JIS K 5600−5−4にある塗膜用鉛筆引っかき試験を用いて測定した。また、電極を構成する粉末の粒径が小さく、電極の硬さが硬い場合には、ロックウェル硬度等を用いて測定した。JIS K 5600−5−4の規格は本来、塗装被膜の評価に使用されているものであるが、硬さの低い材料の評価に適していることがわかった。もちろん、他の硬さ評価方法の結果と、この塗膜用鉛筆引っかき試験の結果は互いに換算できるものであり、他の方法を指標として用いても良い。
電極を構成する粉末の粒径が5〜6μm程度の場合には、電極の硬さが4B〜7B程度の硬さの場合が最も被膜の状態が良く、緻密な厚膜が形成できている。ただし、この範囲を多少はずれても厚膜の形成が可能な範囲は存在し、硬さの硬くなる方向では、B程度の硬さまでは厚膜の形成は可能である。また、硬さの軟らかくなる方向では、8B程度までは厚膜の形成は可能である。
しかしながら、電極の硬さが硬くなるに従って被膜の形成速度は遅くなる傾向があり、B程度の硬さでは、厚膜の形成はかなり難しくなる。電極の硬さがさらに硬くなると、厚膜の形成はできなくなり、電極の硬さが硬くなるに従って工作物(ワーク)側を除去加工するようになる。
また、電極の硬さが軟らかくなる方向では、8B程度の硬さまで厚膜の形成は可能であるが、形成された厚膜の組織の分析をすると空孔が徐々に増加していく傾向があり、9B程度より軟らかくなると電極成分が十分溶融しないままに工作物(ワーク)側に付着するような現象が見られるようなる。なお、この電極の硬さと被膜の状態の関係は、使用する放電パルス条件によっても多少変化し、適切な放電パルス条件を使用した場合には、ある程度良好な被膜を形成できる電極硬さの範囲を拡大することも可能である。
上記実施例では、粒径を5μm程度の粉末を使用したので、上記のような電極硬さが最適値となった。しかしながら、この最適値は電極を構成する粉末の粒径に大きく左右される。これは以下の理由によるものである。すなわち、放電により電極から電極材料が放出されるか否かは、電極を構成している粉末の結合強度による。結合強度が強い場合には、粉末は放電のエネルギにより放出され難い。一方、結合強度が弱い場合には、粉末は放電のエネルギにより放出されやすくなる。
また、電極を構成する粉末の粒径が大きい場合には、電極中での粉末が互いに結合している点の数が少なくなり、電極強度は弱くなる。一方、電極を構成する粉末の粒径が小さい場合には、電極中での粉末が互いに結合している点の数が多くなり、電極強度は強くなる。
以上において説明したように、本実施の形態では、電極を構成する電極材料の粉末の粒径、および電極の硬さに最適な加工条件で加工を行うことにより、緻密な厚肉盛りを行なうことができ、十分な強度を有する被膜を形成することができる。
上述のように、炭化物を形成しにくい材料であるCoの粉末を電極材料として用いた場合には、放電のパルス条件として、放電パルス幅が50μm以下、ピーク電流値が10A程度の条件を用いることにより緻密で厚い被膜が形成できる。しかしながら、炭化物を形成しやすい材料であるMo(モリブデン、粒径0.7μm)を電極材料として用いた電極でも緻密な厚い被膜(Moのみ)が形成できることが発明者の実験により判明した。
Moは炭化物を形成しやすい材料であるため、放電パルス幅を60μs以上70μs以下程度の比較的長い条件を使用して、放電パルスにより溶融しきらない電極材料をワークに供給することが緻密な被膜を形成するために有効であった。Moのような炭化物を形成しやすい材料の場合には、電極材料が放電パルスにより完全に溶融した状態でワーク側に供給されると、ワーク側に供給された電極材料は炭化して炭化モリブデンになってしまい、厚膜の形成が困難になる。しかしながら、上述したように放電パルス幅を調整し、放電パルスにより溶融しきらない電極材料をワークに供給することで緻密な被膜を形成することが可能となる。
実施の形態4.
次に、本発明の実施の形態4について図面を参照しながら説明する。図11は、実施の形態4における放電表面処理用電極の製造方法の概念を示す断面図である。図11において金型の上パンチ52、金型の下パンチ53、金型のダイ54で囲まれた空間に粒径が1μm程度のCo合金粉末51が充填され、該Co合金粉末51を上パンチ52及び下パンチ53で圧縮形成し、所定の形状の圧粉体を形成する。放電表面処理にあたっては、この圧粉体が放電電極とされる。
なお、本実施の形態では、Co合金粉末51としてCr(クロム)、Ni(ニッケル)、W(タングステン)などを含んだCoベースの合金(Cr:20重量%、Ni:10重量%、W:15重量%、Co:残)を用い、その平均粒径は1μm程度のものを使用している。
このままの状態では、圧粉体は電気抵抗が高く、そのままでは放電表面処理用電極として使用するには問題がある。
また、Co合金粉末51は硬質な合金であるのでプレスで粉末を固めることが困難であり、成形性の向上のためにCo合金粉末51にパラフィンなどのワックスを添加することが必要である。しかし、電極内のワックスの残留量が多くなるほど放電表面処理時の電気伝導度が悪くなる。このため、後の工程でワックスを除去することが好ましい。
そこで、ワックスの除去及び電極の電気抵抗を下げるべく、圧粉体電極を真空炉に入れて所定時間の昇温時間の後、1時間から2時間所定の加熱温度に保持する。
実施の形態3において、1μmの粒径のCo粉末により電極成形を行なった場合は加熱温度は200℃〜250℃が最適であったのに対し、Co合金粉末51より電極成形を行なった場合には、電気抵抗が下がる最適な加熱温度が、800℃〜900℃と高い温度であった。ここで、電極を一度に800℃まで加熱するとワックスが炭化して電極内に不純物として残ってしまうため、一度低い温度でワックス除去を行なう必要がある。
なお、本構造の電極は、加熱温度が200℃および300℃の場合はボロボロの状態であり、被膜形成を行うことはできなかった。また、加熱温度が1000℃の場合は電極の硬度が硬くなり、被膜形成を行うことはできなかった。
次に、Co合金粉末51の平均粒径をパラメータとして、緻密な被膜を形成できる条件を調べた。ピーク電流値は10Aとし、パルス幅を様々に変化させた。それぞれの電極は放電表面処理を行うに際して適切な硬さに成形されているものを使用した。ここで、「適切な硬さ」とは、緻密な被膜を形成できる条件を有するという意味である。
電極の硬さが適切でないと緻密な厚膜を形成することは困難である。電極の硬さが硬すぎる場合には、厚膜が形成できない。また、電極の硬さが軟らかすぎる場合には、盛りあがった膜を形成することができるが、該膜はポーラスなものになり、緻密ではなくなる。
図12にCo合金粉末21の平均粒径をパラメータとして緻密な被膜を形成できる条件を調べた結果を示す。形成された被膜が緻密になる範囲と、形成された被膜がポーラスになるなど緻密な被膜ができない範囲と、に重なる部分があるが、これは電極の硬さなどにより範囲にある程度違いがあるためである。
なお、図12では、電極材料の粉末の粒径により電極の最適な硬さも異なるため、ある粒径の粉末で、緻密な被膜が形成できる硬さにおいての比較を行っている。例えば、電極材料の平均粒径が2μm〜6μmの電極の場合、電極の硬さが硬めであれば、パルス幅10μs程度でも緻密な被膜が形成できる。一方、電極の硬さが軟らかめな場合には、パルス幅40μs程度でもポーラスな被膜になってしまう。
このように電極の硬さなどの条件により、緻密になるパルス幅の条件に違いがあるが、概略、図12に示した範囲の中で緻密な厚膜を形成できる条件が存在する。
上記においては、合金比率が「Cr(クロム):20重量%、Ni(ニッケル):10重量%、W(タングステン):15重量%、Co(コバルト):残」である合金を粉末化した材料を使用したが、粉末化する合金は他の配合の合金でももちろん良い。たとえば、合金比率が、「Cr(クロム):25重量%、Ni(ニッケル):10重量%、W(タングステン):7重量%、Co(コバルト):残」である合金を用いることができる。また、合金比率が、「Mo(モリブデン):28重量%、Cr(クロム):17重量%、Si(シリコン):3重量%、Co(コバルト):残」である合金、「Cr(クロム):15重量%、Fe(鉄):8重量%、Ni(ニッケル):残」である合金、「Cr(クロム):21重量%、Mo(モリブデン):9重量%、Ta(タンタル)4重量%、Ni(ニッケル):残」である合金、合金比率が、「Cr(クロム):19重量%、Ni(ニッケル):53重量%、Mo(モリブデン)3重量%、Cd(カドミウム)+Ta(タンタル):5重量%、Ti(チタン):0.8重量%、Al(アルミニウム):0.6重量%、Fe(鉄):残」である合金なども用いることができる。ただし、合金の合金比率が異なると、材料の硬さなどの性質が異なるため、電極の成形性および被膜の状態に多少の差異が生じる。
なお、本実施の形態では、電極成分としてCoを主成分としたCo合金粉末を使用したが、これは、前述のように被膜を厚くすることに対して効果があるためである。炭化物を形成しやすい材料のみからなる電極を用いた放電表面処理では形成された被膜が炭化物セラミックス状態になるため、被膜の熱伝導が悪くなり、放電により被膜の除去が進みやすくなる。
そこで、炭化物を形成し難い材料であるCoを成分として混入することで、被膜の熱伝導を悪くすることがなくなり、被膜の厚膜化が可能になる。Coと同様の効果を有する材料としては、Ni、Feなどがある。
なお、放電の条件のピーク電流値は、本例では10Aとしたが、おおよそ30A程度以下であれば概略同じ範囲で緻密な厚膜を得ることができる。ピーク電流値が30A以上になると放電の衝撃で電極を不必要に大きく崩したり、また、入熱量が大きくなるために電極の硬さが硬くなっていくなどの問題が起きるようになってくる。
本実施の形態によれば、電極を構成する粉末の粒径、および電極の硬さに最適な加工条件(放電のパルス条件)で加工(放電表面処理)を行うことにより、緻密な厚肉盛りを行なうことができ、十分な強度を有する被膜を形成することができる。
以上のように、本発明にかかる放電表面処理方法は、緻密で比較的厚い被膜を必要とする産業に有用であり、特に、高温環境下での強度と潤滑性とを必要とされるような用途などに適している。
放電表面処理用電極の製造方法の概念を示す断面図である。 電極におけるCoの含有量を変化させることで厚膜の形成しやすさが変わっていく様子を示す特性図である。 放電表面処理が行われている際の電圧波形を示す特性図である。 図3Aの電圧波形に対応する電流波形を示す特性図である。 炭化物を形成しにくい材料が電極内にない場合の処理時間に対する被膜の形成の様子を示す特性図である。 Coが70体積%の場合に形成した被膜を示す画像である。 放電表面処理用電極の製造方法の概念を示す断面図である。 電極の電気抵抗値を簡便に測定する方法を示す図である。 電極の電気抵抗値をより簡便に測定する方法を示す図である。 加熱温度と電極の電気抵抗との関係を示す特性図である。 加工液中で放電表面処理を行なう様子を示す図である。 形成された被膜の画像である。 放電表面処理用電極の製造方法の概念を示す断面図である。 電極材料の平均粒径とパルス幅を変化させたて被膜形成を行った結果を示す図である。 従来の電極による被膜を形成した際の電子顕微鏡画像である。

Claims (12)

  1. 金属粉末または金属の化合物の粉末を圧縮成形した圧粉体を電極として、加工液中または気中において電極とワークの間にパルス状の放電を発生させ、そのエネルギにより、ワーク表面に前記電極の材料からなる被膜または電極の材料が放電エネルギにより反応した物質からなる被膜を形成する放電表面処理方法において、
    平均粒径が6μm〜10μmの金属粉末または金属の化合物の粉末を混合して圧縮成形した電極を用いて、パルス幅50μs〜500μs、ピーク電流値30A以下の加工条件で、金属を主成分とした厚肉盛りを行なうことを特徴とする放電表面処理方法。
  2. 前記電極として、炭化物を形成しにくい材質の前記金属粉末と、炭化物を形成しやすい材質の前記金属粉末と、を混合して圧縮形成した電極を用いることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の放電表面処理方法。
  3. 前記電極として、前記炭化物を形成しにくい材質の前記金属粉末を40体積%以上含む電極を用いることを特徴とする請求の範囲第2項に記載の放電表面処理方法。
  4. 前記電極として、「Cr(クロム):20重量%、Ni(ニッケル):10重量%、W(タングステン):15重量%、Co(コバルト):残」、「Cr(クロム):25重量%、Ni(ニッケル):10重量%、W(タングステン):7重量%、Co(コバルト):残」、「Mo(モリブデン):28重量%、Cr(クロム):17重量%、Si(シリコン):3重量%、Co(コバルト):残」、「Cr(クロム):15重量%、Fe(鉄):8重量%、Ni(ニッケル):残」、「Cr(クロム):21重量%、Mo(モリブデン):9重量%、Ta(タンタル)4重量%、Ni(ニッケル):残」、または「Cr(クロム):19重量%、Ni(ニッケル):53重量%、Mo(モリブデン)3重量%、Cd(カドミウム)+Ta(タンタル):5重量%、Ti(チタン):0.8重量%、Al(アルミニウム):0.6重量%、Fe(鉄):残」の割合で前記金属粉末を混合した材料、またはこの比率で配合された前記金属の化合物の粉末を圧縮成形した電極を用いることを特徴とする請求の範囲第1項〜第3項のいずれか1つに記載の放電表面処理方法。
  5. 金属粉末または金属の化合物の粉末を圧縮成形した圧粉体を電極として、加工液中または気中において電極とワークの間にパルス状の放電を発生させ、そのエネルギにより、ワーク表面に前記電極の材料からなる被膜または電極の材料が放電エネルギにより反応した物質からなる被膜を形成する放電表面処理方法において、
    平均粒径が3μm以下の金属粉末または金属の化合物の粉末を圧縮形成した電極を用いて、パルス幅70μs以下、ピーク電流値30A以下の加工条件で、金属を主成分とした厚肉盛りを行なうことを特徴とする放電表面処理方法。
  6. 前記電極が、炭化物を形成しにくい材質の金属粉末を電極材料として用いてなることを特徴とする請求の範囲第5項に記載の放電表面処理方法。
  7. 前記電極として、前記炭化物を形成しにくい材質の前記金属粉末を40体積%以上含む電極を用いることを特徴とする請求の範囲第6項に記載の放電表面処理方法。
  8. 前記電極として、「Cr(クロム):20重量%、Ni(ニッケル):10重量%、W(タングステン):15重量%、Co(コバルト):残」、「Cr(クロム):25重量%、Ni(ニッケル):10重量%、W(タングステン):7重量%、Co(コバルト):残」、「Mo(モリブデン):28重量%、Cr(クロム):17重量%、Si(シリコン):3重量%、Co(コバルト):残」、「Cr(クロム):15重量%、Fe(鉄):8重量%、Ni(ニッケル):残」、「Cr(クロム):21重量%、Mo(モリブデン):9重量%、Ta(タンタル)4重量%、Ni(ニッケル):残」、または「Cr(クロム):19重量%、Ni(ニッケル):53重量%、Mo(モリブデン)3重量%、Cd(カドミウム)+Ta(タンタル):5重量%、Ti(チタン):0.8重量%、Al(アルミニウム):0.6重量%、Fe(鉄):残」の割合で前記金属粉末を混合した材料、またはこの比率で配合された前記金属の化合物の粉末を圧縮成形した電極を用いることを特徴とする請求の範囲第5項〜第7項のいずれか1つに記載の放電表面処理方法。
  9. 金属粉末もしくは金属の化合物の粉末を圧縮成形した圧粉体、または、該圧粉体を加熱処理した圧粉体を電極として、加工液中または気中において電極とワークの間にパルス状の放電を発生させ、そのエネルギにより、ワーク表面に前記電極の材料からなる被膜または電極の材料が放電エネルギにより反応した物質からなる被膜を形成する放電表面処理方法において、
    平均粒径が2μm以上6μm以下の金属粉末または金属の化合物の粉末を圧縮形成した電極を用いて、パルス幅5μs〜100μs、ピーク電流値30A以下の加工条件で、金属を主成分とした厚肉盛りを行なうことを特徴とする放電表面処理方法。
  10. 前記電極が、炭化物を形成しにくい材料を含んだ合金を電極材料として用いてなることを特徴とする請求の範囲第9項に記載の放電表面処理方法。
  11. 前記電極として、前記炭化物を形成しにくい材質の前記金属粉末を40体積%以上含む電極を用いることを特徴とする請求の範囲第10項に記載の放電表面処理方法。
  12. 前記電極として、「Cr(クロム):20重量%、Ni(ニッケル):10重量%、W(タングステン):15重量%、Co(コバルト):残」、「Cr(クロム):25重量%、Ni(ニッケル):10重量%、W(タングステン):7重量%、Co(コバルト):残」、「Mo(モリブデン):28重量%、Cr(クロム):17重量%、Si(シリコン):3重量%、Co(コバルト):残」、「Cr(クロム):15重量%、Fe(鉄):8重量%、Ni(ニッケル):残」、「Cr(クロム):21重量%、Mo(モリブデン):9重量%、Ta(タンタル)4重量%、Ni(ニッケル):残」、または「Cr(クロム):19重量%、Ni(ニッケル):53重量%、Mo(モリブデン)3重量%、Cd(カドミウム)+Ta(タンタル):5重量%、Ti(チタン):0.8重量%、Al(アルミニウム):0.6重量%、Fe(鉄):残」の割合で前記金属粉末を混合した材料、またはこの比率で配合された前記金属の化合物の粉末を圧縮成形した電極を用いることを特徴とする請求の範囲第9項〜第11項のいずれか1つに記載の放電表面処理方法。
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