JP2005214054A - タービン部品およびガスタービン - Google Patents

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Abstract

【課題】 コストが安く、しかも品質が安定しており、信頼性の高いタービン部品を提供すること。また、コストが大幅に低減でき、しかも信頼性が高いガスタービンを提供すること。
【解決手段】 タービン部品に対し、金属粉末、または金属の化合物の粉末を圧縮成形した圧粉体電極との間にパルス状の放電を加工液中あるいは気中で発生させ、その放電エネルギにより上記圧粉体電極より供給される電極材料に基づき、炭化物及び炭化物になっていない金属成分が所定割合で含まれる被膜を表面の所定部分に形成する。
【選択図】 図6

Description

本発明は、金属粉末あるいは金属の化合物の粉末、あるいは、セラミックスの粉末を圧縮成形した圧粉体電極を電極として、電極との間にパルス状の放電を発生させ、そのエネルギにより、その表面に電極材料あるいは電極材料が放電エネルギにより反応した物質からなる被膜を形成したタービン部品およびそのタービン部品を組込んだガスタービンに関するものである。
液中放電加工法によって金属材料の表面をコーティングして、耐食性、耐磨耗性を高める技術は、既に公知である。
その技術の一例としては、次のようなものがある。
例えば、WC(タングステンカーバイド)とCoの粉末を混合して圧縮成形した電極で液中パルス放電を行うことによりこの電極材料をワークに堆積させ、この後、別の電極(例えば、銅電極、グラファイト電極)によって、再溶融放電加工を行い、より高い硬度と高い密着力を得る方法が開示されている(特許文献1参照)。
すなわち、WC−Coの混合圧粉体電極を用いて、ワーク(母材S50C)に液中で放電加工を行い、WC−Coをワークに堆積させ(1次加工)、次いで銅電極のようなそれほど消耗しない電極によって再溶融加工(2次加工)を行う。
この結果、1次加工のままでは、堆積組織は硬度(ビッカース硬さHv)もHv=1410程度であり、また空洞も多かったが、2次加工の再溶融加工によって被覆層の空洞が無くなり、硬度もHv=1750と向上している。この方法によって、ワークである鋼材に対しては硬くしかも密着度のよい被覆層が得られる。
ところが、上述の方法では、ワークとして超硬合金のような焼結材料の表面に強固な密着力を持った被覆層を形成することは困難である。
この点に関し、本発明者らの研究によると、硬質炭化物を形成するTi等の材料を電極として、ワークとの間に放電を発生させると、再溶融の過程なしに強固な硬質膜をワークの金属表面に形成できることがわかった。
これは、放電により消耗した電極材料と加工液中の成分である炭素Cが反応してTiCが生成することによるものである。
また、TiH(水素化チタン)など、金属の水素化物の圧粉体を電極として、ワークとの間に放電を発生させると、Ti等の材料を使用する場合よりも、速くそして密着性よく、硬質膜を形成できる技術が開示されている(特許文献2参照)。
更には、TiH(水素化チタン)等の水素化物に他の金属やセラミックスを混合した圧粉体を電極として、ワークとの間に放電を発生させると硬度、耐磨耗性等様々な性質をもった硬質被膜を素早く形成することができる技術も開示されている。
また、別の技術として、予備焼結により強度の高い表面処理電極が製造できることが開示されている(特許文献3参照)。
すなわち、WC粉末とCo粉末を混合した粉末からなる放電表面処理用電極を製造する場合、WC粉末とCo粉末を混合し圧縮成形してなる圧粉体は、WC粉末とCo粉末を混合して圧縮成形しただけでもよいが、ワックスを混入した後圧縮成形すれば圧粉体の成形性が向上する。
この場合、ワックスは絶縁性物質であり、電極中に大量に残ると電極の電気抵抗が大きくなって放電性が悪化するので、圧粉体電極を真空炉に入れて加熱することでワックスを除去している。
この時、加熱温度が低すぎるとワックスが除去できず、温度が高すぎるとワックスが煤になって電極の純度を劣化させるので、ワックスが溶融する温度以上かつワックスが分解して煤になる温度以下に保つ必要がある。
そして、真空炉中の圧粉体を、高周波コイルなどにより加熱し、機械加工に耐えうる強度を与え、かつ硬化しすぎないように、例えば白墨程度の硬度まで焼成する(これは予備焼結状態と呼ばれる)。
この場合、炭化物間の接触部においては相互に結合が進むが比較的焼結温度が低く本焼結に至らない温度のため弱い結合となっている。
このような電極で放電表面処理を行なうと、緻密で均質な被膜が形成できることが判明している。
上述の従来技術は、いずれの場合においても被膜の硬さや密着性、耐磨耗性や被膜形成の迅速性、被膜の緻密性と均質性という点に特徴があるものの、膜厚に関しては十分なものがなく更に改良を要する。
しかしながら、昨今簡便で品質のよい厚膜形成技術に対する要求が高まっている。
上述のような従来の放電表面処理では硬質被膜を形成することに主眼をおいていたので、電極材料としては硬質セラミックス材料、あるいは、放電のエネルギにより加工液中の油の成分であるC(炭素)と化学反応して硬質炭化物を形成する材料を主成分としている。
しかし、硬質材料は一般的に融点が高い・熱伝導が悪いなどの特性を持っており、10μm程度の薄膜の形成は緻密にできるが、数100μm以上の緻密な厚膜の形成は極めて困難であった。
本発明者らの研究に基づく文献にはWC−Co(9:1)電極を用いて3mm程度の厚膜が形成できたことが示されているが(非特許文献1参照)、被膜形成が安定せず再現が困難であること、一見金属光沢があり緻密に見えるが空孔が多く脆い被膜であること、金属片などで強く擦ると除去されてしまうほど弱い状態である、などの問題があり、実用には困難なレベルである。
一般的な被膜を厚く盛り上げる技術としては、いわゆる溶接・溶射がある。
溶接(ここでは肉盛溶接をいう)は、ワークと溶接棒との間の放電により溶接棒の材料をワークに溶融付着させる方法である。また、溶射は、金属材料を溶かした状態にし、スプレー状にワークに吹きつけ被膜を形成させる方法である。
これらの方法は、航空機エンジンなどに用いられているガスタービンには広く使用されている技術である。
いずれの方法であっても人手による作業であり、熟練を要するため、作業をライン化することが困難であり、コストが高くなるという欠点がある。
図15〜図17をもちいてその一例を説明する。
図15は、ガスタービンエンジンの低圧タービン翼である。
タービン翼は多数の翼を並べて配置されるが、それぞれは根元の部分を固定して設置されており、先端部分は固定されておらず隣同士の翼が互いに接触しているだけである。
この先端部分はガスタービンエンジンが運転されると擦れあい磨耗するため、通常、低温から700℃以上の高温で耐磨耗性を発揮する材料を肉盛りしている。
耐磨耗性のある材料を肉盛りする部位を図16に示す。
この肉盛りの処理は、従来溶接や溶射により行われているが、前処理・後処理が必要な上、処理そのものも人手による熟練の必要な作業である。
図17は、溶接により肉盛りを行ったところを示している。
余肉が多く、後工程として形状を整える作業が必要になる。
また、溶接は流れ生産ラインの中に入れるのが困難な作業であり、ライン外で溶接作業を行い、溶接の済んだ部品をラインでの機械加工に入れるという工程になる。
溶射により肉盛りを行う場合も同様に前後の工程が必要であり、処理も困難である。
溶射の場合には、前処理として、被膜をつけたくない場所に溶射材料がつかないようにマスキング処理を行い、溶射の処理後には、溶接同様、形状を整える工程が必要である。
低圧タービン翼の製造上の問題について説明したが、高圧タービン翼でも同様の問題がある。
ガスタービンエンジンは運転により翼が磨耗するため、定期的に補修をして使用する。
タービン翼や圧縮機翼は固定側であるケーシング部分と擦れるため磨耗するので、肉盛り溶接により補修を行う。
タービン翼や圧縮機翼は薄い構造の部分が多く、溶接のように熱が集中して入る処理方法では、変形や割れなど起き、歩留まりが低くなるという問題がある。
特に高圧タービン翼は、単結晶材料や一方向凝固合金などの材料で作られており、熱が集中して入るとすぐに割れてしまうという問題がある。
特開平5−148615号公報 特開平9−192937号公報 特許第3227454号 「放電表面処理(EDC)による厚膜の形成」後藤昭弘他、型技術、(1999)、日刊工業新聞社
この発明は、上記に鑑みてなされたもので、従来の液中パルス放電処理によるコーティングで困難であった厚膜の形成を行なう放電表面処理技術を開示し、従来溶接や溶射などの技術により製造あるいは補修されていたガスタービンエンジンを低コスト・高品質で提供することを目的としている。
請求項1に係るタービン部品は、金属粉末、または金属の化合物の粉末を圧縮成形した圧粉体電極との間にパルス状の放電を加工液中あるいは気中で発生させ、その放電エネルギにより上記圧粉体電極より供給される電極材料に基づき、炭化物及び炭化物になっていない金属成分が所定割合で含まれる被膜を表面の所定部分に形成したことを特徴とするタービン部品である。
本発明のタービン部品は、人手によらない機械が行う加工により被膜を形成されているので、品質が安定しており、しかもコストが安くできる。
また、集中的な入熱により割れ易い材料でできた部品でも割れや変形がおきず、信頼性の高い部品となっている。
このような高い信頼性、低いコストでできた部品を組み込んだガスタービンは、コストが大幅に低減でき、しかも信頼性が高いものとなる。
以下、本発明の実施の形態について図を用いて説明する。
実施の形態1
図1は、この発明の実施の形態1にかかる放電表面処理用電極およびその製造方法の概念を示す断面図である。
図1において、金型の上パンチ103、金型の下パンチ104、金型のダイ105で囲まれた空間には、Cr(炭化クロム)粉末101及びCo(コバルト)粉末102からなる混合粉末が充填される。
そして、この混合粉末を圧縮成形することにより圧粉体を形成する。放電表面処理加工に当たっては、この圧粉体が放電電極とされる。
電極の製造においては、前述したように従来、放電表面処理は硬質被膜の形成、それも特に常温に近いところでの硬質被膜の形成に主眼がおかれ、硬質炭化物を主成分とする被膜を形成するというのが現状である。
このような炭化物を主成分とするような被膜を形成する技術では、緻密な被膜を均一に形成することが可能であるが、被膜の厚さを数10μm程度以上には厚くできないという問題があることは前述したとおりである。
しかし、本発明者らの実験によると、電極材質の成分に、炭化物を形成しないあるいは炭化物を形成しにくい材料を添加するに従い、被膜を厚くできることがわかってきた。
従来は、炭化物を形成しやすい材料の割合が多く含まれており、例えば、Tiなどの材料を電極に含むと、油中での放電により化学反応を起こし、被膜としてはTiC(炭化チタン)という硬質の炭化物になる。
表面処理が進むにつれて、ワーク表面の材質が鋼材(鋼材に処理する場合)からセラミックスであるTiCに変わり、それに伴い、熱伝導・融点などの特性が変化する。
ところが、炭化しないあるいは炭化しにくい材料を電極に加えることで被膜は炭化物にならず、金属のまま被膜に残る材料が増えるという現象が生じた。
そして、この電極材料の選定が、被膜を厚く盛り上げるのに大きな意味を持つことが判明した。この場合、硬度、緻密性、および均一性を満たすことは当然であり、厚膜を形成する前提である。
図1に示すように、炭化物であるCr(炭化クロム)と炭化物を形成しにくい材料であるCo(コバルト)とを混合した粉末を圧縮成形し、その後に電極強度を増すため加熱して電極を製作した場合、炭化物を形成しにくいCoの量を変化させることで厚膜の形成しやすさが変わっていく。
図2は、この様子を示したものである。
電極を作製する際の粉末を圧縮成プレス圧は約100MPaであり、加熱温度は400℃から800℃の範囲形するで変化させた。
Cr(炭化クロム)が多いほど加熱温度は高くし、Co(コバルト)が多いほど温度を低くした。
これは、Cr(炭化クロム)が多い場合には製作した電極が脆くなりやすく低い温度で加熱してもすぐに崩れてしまうのに対し、Co(コバルト)が多い場合には加熱温度が低くても電極の強度が強くなりやすかったためである。
プレスの際には成形性をよくするためにプレスする粉末に少量(重量で2%から3%)のワックスを混合した。ワックスは加熱の際に除去される。
Cr(炭化クロム)は粒径3μm〜6μm程度の粉末を使用し、Coは粒径4μm〜6μm程度の粉末を使用した。ベースとなる材質はCr(炭化クロム)である。
使用した放電のパルスは図3に示すような波形であり、パルス条件は、ピーク電流値ie=10A、放電持続時間(放電パルス幅)te=64μs、休止時間to=128μs、15mm×15mmの面積の電極において被膜を形成した。
そして、処理時間は15分である。極性は、電極がマイナス、ワークがプラスの極性を使用した。図3では、電極がマイナス、ワークがプラスの極性の場合に、縦軸上側になるように表示している。
このようなパルス条件に基づいて被膜を形成した場合、製作した電極内にあって、Coが含有する重量%によってワーク上に形成される被膜の厚さが異なり、図2によれば、Co含有量が低い場合には10μm程の膜厚であったものがCo含有量30体積%程度から次第に厚くなり、Co含有量50体積%を過ぎたころから10000μm近くにまで厚くなることを示している。
このことを更に詳細に述べる。
上記のような条件に基づいてワーク上に被膜を形成した場合、電極内のCoが0%の場合、すなわち、Cr(炭化クロム)が100重量%の場合には、形成できる被膜の厚さは10μm程度が限界であり、それ以上厚みを増すことはできない。
また、炭化物を形成しにくい材料が電極内にない場合の処理時間に対する被膜の厚さの様子は図4のようになる。
図4によれば、処理の初期は、被膜が時間とともに成長して厚くなり、あるところ(約5分/cm)で飽和する。
その後しばらく膜厚は成長しないが、ある時間(20分/cm程度)以上処理を続けると今度は被膜の厚みが減少しはじめ、最後には被膜高さはマイナス、すなわち掘り込みに変わってしまう。
ただし、掘り込んだ状態でも被膜は存在しており、その厚み自体は10μm程度であり、適切な時間で処理した状態とほとんど変わらない。したがって5分から20分の間での処理時間が適切と考えられる。
図2に戻り、電極内に炭化しにくい材料であるCo量を増やすにしたがい厚くできるようになり、電極中におけるCo量が30体積%を超えると形成される被膜の厚さが厚くなり始め、40体積%を超えると安定して厚膜が形成しやすくなることが判明した。
図2のグラフには、Co量30体積%程度から滑らかに膜厚が上昇するように記載しているが、これは、複数回の試験を行なった平均値であり、実際には、Co量が30体積%程度の場合には、厚く被膜が盛り上がらない場合があったり、厚く盛りあがった場合でも、被膜の強度が弱い、すなわち、金属片などで強く擦ると除去されてしまう場合などがあり、安定しない。より好ましくはCo量が50体積%を超えるとよい。
このように被膜中に金属として残る材料を多くすることにより、炭化物になっていない金属成分を含む被膜を形成することができ、安定して厚膜が形成しやすくなる。ここでいう体積%は混合するそれぞれ粉末の重量をそれぞれの材料の密度で割った値の比率のことであり、粉末全体の材料の体積中においてその材料が占める体積の割合である。
図5に電極中におけるCoの含有量が70体積%の場合に形成した被膜の写真を示す。この写真は、厚膜の形成を例示するものである。
図5に示す写真においては2mm程度の厚膜が形成されている。
この被膜は15分の処理時間で形成されたものであるが、処理時間を増せばさらに厚い被膜にすることができる。
このようにして、電極内にCo等の炭化しにくい材料あるいは炭化しない材料を40体積%以上含有する電極を用いることによって、放電表面処理によりワーク表面に安定して厚い被膜を形成することができる。
上記においては、炭化物を形成しにくい材料としてCo(コバルト)を用いた場合について説明したが、Ni(ニッケル)、Fe(鉄)なども同様の結果を得られる材料であり、本発明に用いて好適である。
なお、ここでいう厚膜とは、組織の内部(パルス状の放電により形成する被膜であるため、最表面は面粗さが悪く一見光沢がないように見える)が金属光沢を持つような緻密な被膜のことである。
Co(コバルト)のような炭化物を形成しにくい材料が少ない場合でも、電極の強度を弱くすると付着物は盛り上がることがある。
しかし、このような付着物は緻密な被膜ではなく、金属片などで擦ると容易に除去できるようなものである。前述の特許文献1などに記載されている堆積層は、このような緻密ではない被膜であり、金属片などで擦ると容易に除去できるものである。
また、上記の説明においては、Cr(炭化クロム)およびCo粉末を圧縮成形して加熱し電極を形成した場合について説明したが、圧縮成形した圧粉体を電極として使用してもよい場合もある。
しかし、緻密な厚膜を形成するためには、電極の硬さが硬すぎても軟らかすぎてもよくなく、適切な硬さが必要である。
一般的には、加熱処理が必要である。
圧粉体を加熱することは成形の維持や固形化につながる。
電極の硬さは、電極材料の粉末の結合の強さに相関があり、放電による電極材料のワーク側への供給量に関係している。
電極の硬さが硬い場合には、電極材料の結合が強いため、放電が発生しても少量の電極材料しか放出されず、十分に被膜形成ができない。
逆に電極の硬さが低い場合には、電極材料の結合が弱いため、放電が発生すると、大量の材料が供給され、この量が多すぎる場合には、十分放電パルスのエネルギで溶融させることができず、緻密な被膜を形成できなくなる。
同じ原料の粉末を使用した場合、電極の硬さ、すなわち、電極の材料の結合状態に影響をあたえるパラメータが、プレス圧と加熱温度である。
本実施例では、プレス圧の例として約100MPaを使用したが、このプレスをされに上げると加熱温度を低くしても同じような硬さが得られる。
逆に、プレス圧を低くすると、加熱温度を高めに設定する必要があることがわかった。
この事実は、本実施例だけでなく、本発明中の他の実施例にも当てはまるものである。
また、本実施例では、放電条件の例として1つの条件での試験結果を示したが、被膜の厚さなど異なるが、他の条件でも、同様の結果が得られることはいうまでない。この事実も、本実施例だけでなく、本発明中の他の実施例にも当てはまるものである。
図6は、本発明の第1の実施の形態にかかる放電表面処理装置を示す概略構成図である。
図6に示すように、本実施の形態にかかる放電表面処理装置は、上述した放電表面処理用電極であり、炭化物を形成しないもしくは形成しにくい金属材料を40体積%以上含んだ粉末を圧縮成形した圧粉体、またはこの圧粉体を加熱処理した圧粉体からなる電極203と、加工液205である油と、電極203とワークであるガスタービンの動翼204とを加工液中に浸漬させる、または電極203とワーク204との間に加工液205を供給する加工液供給装置と、電極203とワーク204との間に電圧を印加してパルス状の放電を発生させる放電表面処理用電源206とを備えて構成される。
ここで、電極203は例えばCr(炭化クロム)粉末201とCo(コバルト)粉末202とから構成されており、炭化物を形成しにくい材料であるCoを例えば70体積%含むものである。
なお、電極203とワーク204の相対位置を制御する駆動装置などの本発明に直接関係のない部材は記載を省略している。
この放電表面処理装置によりワーク表面に被膜を形成するには、電極203とワークであるガスタービンの動翼204とを加工液205の中で対向配置し、加工液中において放電表面処理用電源206から電極203とワーク204との間にパルス状の放電を発生させ、その放電エネルギにより電極材料の被膜をワーク表面に形成しあるいは放電エネルギにより電極材料が反応した物質の被膜をワークであるガスタービンの動翼表面に形成する。
極性は、電極側がマイナス、ワーク側がプラスの極性を使用する。放電のアーク柱207は図6に示すように電極203とワーク204との間に発生する。
以上のような放電表面処理装置を用いてワークであるガスタービンの動翼204に被膜、例えば、ガスタービンの圧縮機翼先端部分のアブレイシブ(相手を削り取る)膜を形成することができる。
ここでは、Co(コバルト)粉末に硬質材料であるCr(炭化クロム)粉末をいれることで、被膜硬さを上げガスタービン動翼の肉盛りの際に硬さの高い被膜を形成することを目的としているが、ガスタービン部品には部品毎に様々な機能を要求されるため、Co(コバルト)粉末とCr(炭化クロム)粉末の組み合わせだけでないことはいうまでない。
実施の形態2
図7は、この発明の実施の形態2にかかる放電表面処理用電極およびその製造方法の概念を示す断面図である。
図7において、金型の上パンチ703、金型の下パンチ704、金型のダイ705で囲まれた空間には、Ti(チタン)粉末701及びCo(コバルト)粉末702からなる混合粉末が充填される。そして、この混合粉末を圧縮成形することにより圧粉体を形成する。
放電表面処理加工に当たっては、この圧粉体が放電電極とされる。電極を作製する際の粉末を圧縮成プレス圧は約100MPaであり、加熱温度は400℃から800℃の範囲形するで変化させた。
上述した実施の形態1では、炭化物であるCr(炭化クロム)粉末と金属であるCo(コバルト)粉末とを混合して製造した電極での被膜形成の特徴について述べたが、本実施例では、金属であるTi(チタン)粉末とCo(コバルト)粉末とを混合して電極を製造した場合について説明する。
Ti(チタン)とCo(コバルト)はともに金属であるが、違いは、Ti(チタン)が活性な材料であり加工液である油中での放電の雰囲気下で炭化物であるTiC(炭化チタン)に極めてなり易い材料であるのに対し、Co(コバルト)は炭化物を形成しにくい材料であるという点である。
実施の形態2では実施の形態1の場合と同様に電極中におけるTi(チタン)粉末の含有率をTi(チタン)粉末100体積%、すなわち電極内のCoが0体積%の場合からCo(コバルト)粉末の含有量を順次増やし、膜の成形の状態がどのようになるか調べた。
ここで、Ti(チタン)粉末は、粒径3μmから4μm程度の粉末を使用し、Co(コバルト)粉末は粒径粒径4μm〜6μm程度の粉末を使用した。
Ti(チタン)は粘りのある材料であるため微粉の製造が困難であるので、脆い材料であるTiH(水素化チタン)を粒径3μmから4μm程度にボールミルで粉砕し、その粉末を使用して圧縮成形した後、加熱して水素を放出させてTiの粉末とした。
電極材料が、Ti(チタン)100体積%の場合には、被膜はTiC(炭化チタン)となり、膜厚は10μm程度であった。
しかし、炭化しにくい材料であるCoの含有量を増やすにしたがい厚い被膜が形成できるようになり、電極中におけるCoの含有量が40体積%を超えると安定して厚膜が形成しやすくなることが判明した。
そして、電極中におけるCoの含有量が50体積%をこえると十分な厚みの厚膜を形成できるため好ましいことが判明した。
この結果は、実施の形態1で示した結果とほぼ同じ結果である。
これは、電極中に含まれるTi(チタン)は、加工液である油中での放電の雰囲気では炭化物であるTiC(炭化チタン)になってしまい初めから炭化物を混合するのと同じような結果になるためであると推察される。
実際に被膜の成分をX線回折により分析すると、TiC(炭化チタン)の存在を示すピークは観察されるが、Ti(チタン)の存在を示すピークは観察されなかった。
したがって、Ti(チタン)粉末とCo(コバルト)粉末とを混合して電極を製造した場合についても、電極内に炭化しにくい材料あるいは炭化しない材料としてのCo(コバルト)粉末を40体積%以上含有させた電極とすることによって、放電表面処理によりワーク表面に安定して厚い被膜を形成することができる。
なお、この材質の電極によれば、チタンは放電により硬質材料である炭化チタン(TiC)となるため、耐摩耗被膜として使用でき、例えば、ガスタービンの圧縮機翼先端部分のアブレイシブ(相手を削り取る)膜として使用できる。
また、本実施の形態においてはTi(チタン)粉末と混合して電極を構成する炭化物を形成しにくい材料としてCo(コバルト)を用いた場合を例に挙げたが、Ni(ニッケル)、Fe(鉄)なども同様の結果を得られる材料であり、本発明に用いて好適である。
ここでは、Ti(チタン)粉末を電極にいれることで、被膜中に放電のエネルギにより反応して生成したTiC(炭化チタン)を入れて被膜硬さを上げガスタービン動翼の肉盛りの際に硬さの高い被膜を形成することを目的としているが、ガスタービン部品には部品毎に様々な機能を要求されるため、Co(コバルト)粉末とTi(チタン)粉末の組み合わせだけでないことはいうまでない。
実施の形態3
図8は、この発明の実施の形態3にかかる放電表面処理用電極およびその製造方法の概念を示す断面図である。
図8において、金型の上パンチ803、金型の下パンチ804、金型のダイ805で囲まれた空間には、Cr(クロム)粉末801及びCo(コバルト)粉末802からなる混合粉末が充填される。そして、この混合粉末を圧縮成形することにより圧粉体を形成する。放電表面処理加工に当たっては、この圧粉体が放電電極とされる。電極を作製する際の粉末を圧縮成プレス圧は約100MPaであり、加熱温度は400℃から800℃の範囲形するで変化させた。
実施の形態2では、炭化物を形成しやすい金属であるTi(チタン)粉末と炭化しにくい材料であるCo(コバルト)粉末とを混合した電極での被膜形成の場合について説明したが、本実施例では、炭化物を形成する金属であるCr(クロム)の粉末と炭化物を形成しにくい材料であるCo(コバルト)の粉末とを混合して電極を製造した場合について説明する。
実施の形態3では実施の形態1の場合と同様に電極中におけるCr(クロム)粉末の含有率をCr(クロム)粉末100体積%、すなわち電極内のCoが0体積%の場合からCo(コバルト)粉末の含有量を順次増やし、膜の成形の状態がどのようになるか調べた。ここで、Cr(クロム)粉末は粒径3μmから4μm程度の粉末を使用し、Co(コバルト)粉末は粒径粒径4μm〜6μm程度の粉末を使用した。
電極材料が、Cr(クロム)100体積%の場合には、被膜の膜厚は10μm程度であった。しかし、被膜成分をX線回折により分析すると、Cr(炭化クロム)の存在を示すピークと、Cr(クロム)の存在を示すピークが観察された。すなわち、Cr(クロム)は炭化し易い材料ではあるがTi(チタン)のような材料に比べると炭化しやすさは低く、電極中にCr(クロム)が含まれている場合にはその一部が炭化物になり、一部は金属のCr(クロム)のまま被膜となるということになる。
電極成分としてCr(クロム)を使用する場合にも、炭化しにくい材料であるCoの含有量を増やすにしたがい被膜は厚くできるようになることが判明した。
但し、その割合は実施の形態1および実施の形態2の場合のように電極成分に炭化物が含まれている場合や炭化物に極めてなり易い材料が含まれている場合よりも少なくてもよく、電極中におけるCoの含有量が20体積%を超えるころから厚膜が形成しやすくなることが判明した。
Coの量を変化させた場合の被膜の厚みの変化を第9図に示す。使用した放電のパルス条件は、実施例1および実施例2の場合と同じで、ピーク電流値ie=10A、放電持続時間(放電パルス幅)te=64μs、休止時間to=128μsであり、15mm×15mmの面積の電極で被膜を形成した。
極性は、電極がマイナス、ワークがプラスの極性を使用した。処理時間は15分である。
以上のように、炭化物を形成し易い材料の中にも炭化のし易さには差異があり、炭化しにくい材料ほどより厚膜を形成しやすい傾向がある。
これは、厚膜を形成する条件が、被膜となった材料中に炭化物にならず金属のまま存在する材料の割合が所定量あることであるためと推察される。
実施の形態1から実施の形態3に示した結果などから考察すると、被膜中に金属として残る材料の割合が体積で30%程度以上存在することが緻密な厚膜を形成するための必要条件と考えられる。
また、加工液である油中での放電の雰囲気での金属材料の炭化のしやすさについては、明確なデータはないが、上記において説明したような実験データなどから考えるとエリンガム図に示されている炭化する場合に必要なエネルギの大きさが参考になると考えられる。
エリンガム図によると、Ti(チタン)はきわめて炭化しやすいことが示されており、Cr(クロム)はTiに比べると炭化しにくいといえる。炭化物を形成し易い材料のなかでも、TiやMo(モリブデン)は炭化しやすく、Cr(クロム)やSi(シリコン)などは比較的炭化しにくい材料であると考えられ、これらは実際の実験結果ともよく合致する結果である。
上述したように、Cr(クロム)粉末とCo(コバルト)粉末とを混合して電極を製造した場合についても、電極内に炭化しにくい材料あるいは炭化しない材料としてのCo(コバルト)粉末を40体積%以上含有させた電極とすることによって、放電表面処理によりワーク表面に安定して厚い被膜を形成することができる。そして、この場合には特に電極中にCoを20体積%以上含有させた電極であればワーク表面に安定して厚い被膜を形成することができる。
なお、本実施の形態においてはCr(クロム)粉末と混合して電極を構成する炭化物を形成しにくい材料としてCo(コバルト)を用いた場合を例に挙げたが、Ni(ニッケル)、Fe(鉄)なども同様の結果を得られる材料であり、本発明に用いて好適である。
ここでは、Cr(クロム)粉末を電極にいれることで、被膜中に放電のエネルギにより反応して生成したCr(炭化クロム)を入れて被膜硬さを上げガスタービン動翼の肉盛りの際に硬さの高い被膜を形成することと、被膜中にCr(クロム)が残ることで高温環境下で潤滑性を発揮する被膜を形成することができる。
Cr(クロム)は高温環境化で酸化してCr(酸化クロム)となり、潤滑性を発揮することから耐磨耗の効果を有効に発揮する。
なお、この電極により形成された被膜は、高温環境下でその潤滑性により耐摩耗性を発揮する被膜となり、タービンの高温部材の摺動部分などに適用できる被膜が形成できる。
本実施の形態は、高温での耐磨耗性に優れた被膜をガスタービン部品に形成することで、寿命の長い信頼性のあるタービン部品が提供ができる。
図16に示した低圧タービン動翼の部位や、図10のようなタービン静翼の位置決めの部位などに有効である。
これにより、タービン部品の製造・補修が容易に品質よくできるだけでなく、部品の信頼性をあげることで、品質のよいガスタービンを供給することができる。
実施の形態4
図11は、この発明の実施の形態4にかかる放電表面処理用電極およびその製造方法の概念を示す断面図である。
図11において、金型の上パンチ1005、金型の下パンチ1006、金型のダイ1007で囲まれた空間には、Mo(モリブデン)粉末1001、Cr(クロム)粉末1002、Si(シリコン)粉末1003及びCo(コバルト)粉末1004からなる混合粉末が充填される。粉末の配合比率は、「Mo(モリブデン)28重量%、Cr(クロム)17重量%、Si(シリコン)3重量%、Co(コバルト)残」である。
この場合のCo(コバルト)の体積%は約50%である。
そして、この混合粉末を圧縮成形することにより圧粉体を形成する。放電表面処理加工に当たっては、この圧粉体が放電電極とされる。
「Mo(モリブデン)28重量%、Cr(クロム)17重量%、Si(シリコン)3重量%、Co(コバルト)残」の比率は、高温環境下での耐磨耗のための材料として使用される組み合わせである。
このような比率で配合された電極は、材料の持つ硬さと、高温環境下でCr(クロム)が酸化してできるCr(酸化クロム)が潤滑性を発揮することから耐磨耗の効果を発揮する。
電極を作製する際の粉末を圧縮成形するプレス圧は約100MPa、加熱温度は600℃から800℃の範囲とした。
プレスの際には、成形性をよくするために、プレスする粉末に少量(重量で2%から3%)のワックスを混合した。ワックスは加熱の際に除去される。
粉末は各材料とも粒径2μm〜6μm程度の粉末を使用した。
使用した放電のパルス条件は、ピーク電流値ie=10A、放電持続時間(放電パルス幅)te=64μs、休止時間to=128μs、15mm×15mmの面積の電極で被膜を形成した。極性は、電極がマイナス、ワークがプラスの極性を使用した。
以上のようにして作製した電極を用いることにより図6と同様の放電表面処理ができる。
そして、該放電表面処理装置により液中パルス放電処理によりワーク表面に被膜を形成したところ、ワーク材料に加工液である油中でのパルス放電による歪を生じることなく厚い被膜を形成することができた。また、形成された被膜が高温環境下で耐磨耗性を発揮することも確認され、良質の厚膜を形成することができた。
上述したような比率で材料を混合して作製した電極を用いて液中パルス放電処理によりワーク表面に被膜を形成することで耐摩耗性等の各種機能を有する被膜が得られるが、このような材料としては、他に「Cr(クロム)25重量%、Ni(ニッケル)10重量%、W(タングステン)7重量%、Co(コバルト)残」、または「Cr(クロム)20重量%、Ni(ニッケル)10重量%、W(タングステン)15重量%、Co(コバルト)残」などのステライトなどが挙げられる。
ステライトは耐蝕性、高温硬さに優れるため、通常これらの性質の必要な部分に溶接などによりコーティング処理がなされる材料であり、耐蝕性、高温硬さを要する際のコーティング処理に好適である。
また、「Cr(クロム)15重量%、Fe(鉄)8重量%、Ni(ニッケル)残」、「Cr(クロム)21重量%、Mo(モリブデン)9重量%、Ta(タンタル)4重量%、Ni(ニッケル)残」、「Cr(クロム)19重量%、Ni(ニッケル)53重量%、Mo(モリブデン)3重量%、(Cd+Ta)5重量%、Ti(チタン)0.8重量%、Al(アルミ)0.6重量%、Fe(鉄)残」などのニッケル基の配合の材料は耐熱性を発揮する材料であり、耐熱性を要する際のコーティング処理に好適である。
「Mo(モリブデン)28重量%、Cr(クロム)17重量%、Si(シリコン)3重量%、Co(コバルト)残」、「Cr(クロム)25重量%、Ni(ニッケル)10重量%、W(タングステン)7重量%、Co(コバルト)残」、「Cr(クロム)20重量%、Ni(ニッケル)10重量%、W(タングステン)15重量%、Co(コバルト)残」などの材料は、高温環境下でCr(クロム)が酸化してできるCr(酸化クロム)が潤滑性を発揮することから耐磨耗の効果を発揮する材料であり、実施の形態3と同様に低圧タービン動翼の部位や、タービン静翼の位置決めの部位などに有効である。
また、「Cr(クロム)15重量%、Fe(鉄)8重量%、Ni(ニッケル)残」、「Cr(クロム)21重量%、Mo(モリブデン)9重量%、Ta(タンタル)4重量%、Ni(ニッケル)残」、「Cr(クロム)19重量%、Ni(ニッケル)53重量%、Mo(モリブデン)3重量%、(Cd+Ta)5重量%、Ti(チタン)0.8重量%、Al(アルミ)0.6重量%、Fe(鉄)残」などのニッケル基の配合の材料は耐熱性を発揮する材料であり、高圧タービン動翼などの補修に適している。
特に、Cr、Moは高温で酸化物となり潤滑性を発揮する材料であるため、この電極により形成された被膜は、高温環境下でその潤滑性により耐摩耗性を発揮する被膜となり、タービンの高温部材の摺動部分などに適用できる。
また、高圧タービン翼は単結晶材料や一方向凝固合金などの材料で作られており、熱が集中して入るとすぐに割れてしまうという問題がある。
本発明の方法は、パルス状の放電により被膜を形成する方法であるため、熱が集中せず、割れ易い材料でも割れを発生させずに被膜形成が行える。
これにより、タービン部品の製造・補修が容易に品質よくできるだけでなく、部品の信頼性をあげることで、品質のよいガスタービンを供給することができる。
実施の形態5
図12は、この発明の実施の形態5にかかる放電表面処理用電極およびその製造方法の概念を示す断面図である。
図12において、金型の上パンチ1103、金型の下パンチ1104、金型のダイ1105で囲まれた空間には、Co系合金粉末(Co、Cr、Niの合金の粉末)1101が充填される。
そして、この混合粉末を圧縮成形することにより圧粉体を形成する。放電表面処理加工に当たっては、この圧粉体が放電電極とされる。
粉末1101は、Co(コバルト)、Cr(クロム)、Ni(ニッケル)などを所定の合金比率で混合して作った合金(ステライト)を粉末にしたものである。
粉末にする方法は、例えばアトマイズ法や、合金をミルなどにより粉砕する方法が挙げられる。
いずれの方法においても粉末粒一つ一つが合金(図12の場合はCo系合金粉末)になっている。
合金粉末をダイ1105とパンチ1103、1104により圧縮成形する。
場合によっては、電極の強度を増すためにその後加熱処理を行なっても良い。
ここでは、「Cr(クロム)20重量%、Ni(ニッケル)10重量%、W(タングステン)15重量%、Co(コバルト)55重量%」の合金比率の合金の粉末を使用した。
この場合のCo(コバルト)の体積%は40%以上である。
粉末を圧縮成形するプレス圧は約100MPa、加熱温度は600℃から800℃の範囲とした。
プレスの際には、成形性をよくするために、プレスする粉末に少量(重量で2%から3%)のワックスを混合した。ワックスは加熱の際に除去される。
粉末は各材料とも粒径2μm〜6μm程度の粉末を使用した。使用した放電のパルス条件は、ピーク電流値ie=10A、放電持続時間(放電パルス幅)te=64μs、休止時間to=128μs、15mm×15mmの面積の電極で被膜を形成した。極性は、電極がマイナス、ワークがプラスの極性を使用した。
以上のようにして作製した電極を用いて構成した本実施の形態にかかる放電表面処理の状態を示す概略構成図を図13に示す。
図13に示すように放電表面処理の装置は、上述した合金比率の合金粉末からなる電極1202と、加工液1204である油と、電極1202とワーク1203とを加工液中に浸漬させる、または電極1202とワーク1203との間に加工液1204を供給する加工液供給装置1208と、電極1202とワークであるタービン翼1203との間に電圧を印加してパルス状の放電を発生させる放電表面処理用電源1205とからなる。
電極1202は合金粉末1201からできている。
なお、放電表面処理用電源1205とワーク1203の相対位置を制御する駆動装置などの本発明に直接関係のない部材は記載を省略している。
この放電表面処理装置によりワーク表面に被膜を形成するには、電極1202とであるタービン翼1203とを加工液1204の中で対向配置し、加工液中において放電表面処理用電源1205から電極1202とワーク1203との間にパルス状の放電を発生させ、その放電エネルギにより電極材料あるいは放電エネルギにより電極材料が反応した物質の被膜をワークであるタービン翼表面に形成する。
極性は、電極側がマイナス、ワーク側がプラスの極性を使用する。図13に示すように放電のアーク柱1206は電極1202とワーク1203との間に発生する。
放電毎に電極材料がワーク側に供給される。電極材料は粉末から成っているが合金を粉末化したものを使用しているので材質が均一であり、電極1202に供給される場合にも材質のばらつきがない。
その結果、電極材料の材質の不均一に起因した成分のばらつきのない良質の被膜を形成することができる。
各材料の粉末を混合して所定の組成の電極を製造する場合には、粉末の混合のばらつきにより一定した材料の性能が得られないという問題が生じうる。
本発明者らの研究によると、各材料の粉末を混合して所定の組成の電極を製造する場合には複数の粉末を混合するため完全に均一に混合するということが極めて困難であり、電極の個体間のばらつき、あるいは、1つの電極の中でも場所によるばらつきが発生しうることが判明した。
これは炭化物を形成しやすい材料を含んだ電極の場合には影響が大きい。
例えば、後述する合金のようにMo(モリブデン)やTi(チタン)など炭化しやすい材料が偏在した場合には、その部分のみ厚膜を形成しにくくなってしまう。被膜中の成分とともに、膜厚も均一でなくなってしまうという問題がある。
しかしながら、本実施の形態に示したように複数の元素を所定の比率で合金化した合金材料の粉末を作り、その粉末から電極を製造することで、電極の成分上のばらつきをなくすことが可能となった。そして、該電極を用いて放電表面処理を行うことにより安定してワーク表面に厚膜の被膜を形成することが可能であり、形成した被膜の被膜成分も均一な状態にすることが可能となった。
したがって、以上のような電極を用いた放電表面処理装置を用いてワークであるタービン翼1203に被膜を形成できる。
上記においては、「Cr(クロム)20重量%、Ni(ニッケル)10重量%、W(タングステン)15重量%、Co(コバルト)残」の合金比率の合金を粉末化した材料を使用したが、粉末化する合金は他の配合の合金でももちろんよく、例えば、「Cr(クロム)25重量%、Ni(ニッケル)10重量%、W(タングステン)7重量%、Co(コバルト)残」の合金比率の合金を用いることもできる。また、「Mo(モリブデン)28重量%、Cr(クロム)17重量%、Si(シリコン)3重量%、Co(コバルト)残」「Cr(クロム)15重量%、Fe(鉄)8重量%、Ni(ニッケル)残」、「Cr(クロム)21重量%、Mo(モリブデン)9重量%、Ta(タンタル)4重量%、Ni(ニッケル)残」、「Cr(クロム)19重量%、Ni(ニッケル)53重量%、Mo(モリブデン)3重量%、(Cd+Ta)5重量%、Ti(チタン)0.8重量%、Al(アルミ)0.6重量%、Fe(鉄)残」の合金比率の合金でもよい。但し、合金の合金比率が異なると材料の硬さなどの性質が異なるため、電極の成形性・被膜の状態に多少の差異が生じる。
電極材料の硬さが硬い場合には、プレスによる粉末の成形が困難になる。
また、加熱処理により電極の強度を増す場合にも加熱温度を高めにするなどの工夫が必要である。
例を挙げると、「Cr(クロム)25重量%、Ni(ニッケル)10重量%、W(タングステン)7重量%、Co(コバルト)残」の合意金比率の合金は比較的やわらかく、「Mo(モリブデン)28重量%、Cr(クロム)17重量%、Si(シリコン)3重量%、Co残」の合金比率の合金は比較的硬い材料である。
電極の加熱処理の場合には、電極に必要な硬さを与えるために、前者よりも後者の方が平均して100℃前後高めに設定する必要がある。
また、厚膜の形成のしやすさは、実施の形態1乃至実施の形態4に示したように、被膜の中に含まれる金属の量が多くなるにしたがって容易になる。
電極の成分である合金粉に含まれる材料としては、炭化物を形成しにくい材料である、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Fe(鉄)が多いほど緻密な厚膜を形成しやすくなる。
種々の合金粉末で試験を実施したところ、電極中における炭化物を形成しにくいもしくは形成しない材料の含有率が40体積%を超えると安定して厚膜が形成しやすくなることが判明した。
そして、電極中におけるCoの含有量が50体積%をこえると十分な厚みの厚膜を形成できるためより好ましいことが判明した。
合金での材料の体積%は定義しにくいが、ここでは、混合するそれぞれ粉末の重量をそれぞれの材料の密度で割った値の比率を体積%としている。
合金として混合する材料の元々の比重が近い材料であれば、重量%とほぼ同じになるのはいうまでない。
また、炭化物を形成しにくい材料であるCo(コバルト)、Ni(ニッケル)、Fe(鉄)以外に合金の成分として混合される材料が炭化物を形成する材料であっても、その中で相対的に炭化物を形成しにくい材料である場合には、被膜中にはCo(コバルト)、Ni(ニッケル)、Fe(鉄)以外の金属成分がふくまれることになり、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Fe(鉄)の比率は、さらに少なくとも緻密な厚膜を形成することができる。
Cr(クロム)とCo(コバルト)の2元素の合金の場合には、電極中におけるCo(コバルト)の含有率が20体積%を超えるころから厚膜が形成しやすくなることが判明した。ここでいうCo(コバルト)の体積%とは、前述のように、((Coの重量%)/(Coの比重))÷(((Crの重量%)/(Crの比重))+((Coの重量%)/(Coの比重)))である。
Cr(クロム)は炭化物を形成する材料であるが、Tiなどの活性な材料と比べると炭化物を形成しにくい材料である。被膜成分をX線回折・XPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy)等により分析すると、Cr(炭化クロム)の存在を示すピークと、Cr(クロム)の存在を示すデータが観察された。
すなわち、Cr(クロム)の場合には、炭化し易い材料ではあるが、Ti(チタン)のような材料に比べると炭化しやすさは低く、電極中にCr(クロム)が含まれている場合には、その一部が炭化物になり、一部は金属のCr(クロム)のまま被膜となるということになる。
以上の結果などから考察すると、被膜中に金属として残る材料の割合が体積で30%程度以上存在することが緻密な厚膜を形成するための必要であると考えられる。
実施の形態4と同様に、「Mo(モリブデン)28重量%、Cr(クロム)17重量%、Si(シリコン)3重量%、Co(コバルト)残」、「Cr(クロム)25重量%、Ni(ニッケル)10重量%、W(タングステン)7重量%、Co(コバルト)残」、「Cr(クロム)20重量%、Ni(ニッケル)10重量%、W(タングステン)15重量%、Co(コバルト)残」などの材料は、高温環境下でCr(クロム)が酸化してできるCr(酸化クロム)が潤滑性を発揮することから耐磨耗の効果を発揮する材料であり、実施の形態3と同様に低圧タービン動翼の部位や、タービン静翼の位置決めの部位などに有効である。
また、「Cr(クロム)15重量%、Fe(鉄)8重量%、Ni(ニッケル)残」、「Cr(クロム)21重量%、Mo(モリブデン)9重量%、Ta(タンタル)4重量%、Ni(ニッケル)残」、「Cr(クロム)19重量%、Ni(ニッケル)53重量%、Mo(モリブデン)3重量%、(Cd+Ta)5重量%、Ti(チタン)0.8重量%、Al(アルミ)0.6重量%、Fe(鉄)残」などのニッケル基の配合の材料は耐熱性を発揮する材料であり、高圧タービン動翼などの補修に適している。高圧タービン翼は単結晶材料や一方向凝固合金などの材料で作られており、熱が集中して入るとすぐに割れてしまうという問題がある。本発明の方法は、パルス状の放電により被膜を形成する方法であるため、熱が集中せず、割れ易い材料でも割れを発生させずに被膜形成が行える。
これにより、タービン部品の製造・補修が容易に品質よくできるだけでなく、部品の信頼性をあげることで、品質のよいガスタービンを供給することができる。
実施の形態6
図14は、この発明の実施の形態6にかかる放電表面処理用電極およびその製造方法の概念を示す断面図である。
図14において、金型の上パンチ1303、金型の下パンチ1304、金型のダイ1305で囲まれた空間には、Co合金粉末1301にCo(コバルト)粉末1302を混合した混合粉末が充填される。
そして、この混合粉末を圧縮成形することにより圧粉体を形成する。
放電表面処理加工に当たっては、この圧粉体が放電電極とされる。粉末を圧縮成形するプレス圧は約100MPa、加熱温度は600℃から800℃の範囲とした。
Co合金粉末1301の合金比率は、「Mo(モリブデン)28重量%、Cr(クロム)17重量%、Si(シリコン)3重量%、Co(コバルト)52重量%」であり、Co合金粉末1301はこのような合金比率の合金材料を粉末化したものである。Co合金粉末1301およびCo粉末1302はいずれも粒径2μmから6μm程度のものを使用した。
「Mo(モリブデン)28重量%、Cr(クロム)17重量%、Si(シリコン)3重量%、Co(コバルト)52重量%」の合金比率の合金は、高温環境下での耐磨耗のための材料として使用される合金である。この合金は、材料の持つ硬さと、高温環境化でCr(クロム)が酸化してできるCr(酸化クロム)が潤滑性を発揮することから耐磨耗の効果を有効に発揮する。したがって、この合金の粉末を含む電極を用いることで耐磨耗性に優れた被膜を形成することができる。
但し、放電表面処理により被膜形成をする場合には、そのままの組成の合金粉末のみから電極を製造することもできるにはできるが、材料の硬さのためプレスによる圧縮成形の際の成形性に多少問題があり、電極の品質にばらつきを生じやすいという問題と、炭化物を形成し易いMo(モリブデン)が比較的多く含まれているために、緻密な被膜を形成しにくい場合があるという問題がある。
以上のような問題がある場合に、Co(コバルト)の粉末を更に混合することにより、厚膜の形成しやすさを向上させることが可能となる。
「Mo(モリブデン)28重量%、Cr(クロム)17重量%、Si(シリコン)3重量%、Co(コバルト)52重量%」の合金比率の合金粉末のみより電極を作製し、該電極を用いた放電表面処理装置を構成して被膜を形成した場合には、形成された被膜中の空間率が10%程度である。
それに対して、「Mo(モリブデン)28重量%、Cr(クロム)17重量%、Si(シリコン)3重量%、Co(コバルト)52重量%」の合金比率の合金粉末にCo(コバルト)粉末を20重量%程度混合した混合粉末により電極を作製し、該電極を用いた放電表面処理装置を構成して被膜を形成した場合には、被膜中の空間率を3%から4%程度に低減することができる。
したがって、「Mo(モリブデン)28重量%、Cr(クロム)17重量%、Si(シリコン)3重量%、Co(コバルト)52重量%」の合金比率の合金粉末にCo(コバルト)粉末を20重量%程度混合した混合粉末により作製した電極を用いることにより、耐磨耗の効果を有しつつ緻密な厚膜を形成することが可能なる。
このような効果を奏する材料としては、Coの他にNiやFeを用いることができ、また、これらの材料のうち複数を混合することもできる。
「Mo(モリブデン)28重量%、Cr(クロム)17重量%、Si(シリコン)3重量%、Co(コバルト)残」は、高温環境下でCr(クロム)が酸化してできるCr(酸化クロム)が潤滑性を発揮することから耐磨耗の効果を発揮する材料であり、実施の形態4乃至5と同様に、タービンの高温部材の摺動部分、低圧タービン動翼の部位や、タービン静翼の位置決めの部位などに有効である。
また、Co粉末を混入することで被膜の緻密さが向上するため、Cr、Moの酸化物による潤滑性が期待できない低温域での被膜強度をあげることができる。
また、被膜を緻密にすることができるので、タービン部品の製造・補修が容易に品質よくできるだけでなく、部品の信頼性をあげることで、品質のよいガスタービンを供給することができる。
従来のタービン部品は、溶射や溶接などの方法が多用されていた。溶接は流れ生産ラインの中に入れるのが困難な作業であり、ライン外で溶接作業を行い、溶接の済んだ部品をラインでの機械加工に入れるという工程になる。
溶射により肉盛りを行う場合も同様に前後の工程が必要であり、処理も困難である。
溶射の場合には、前処理として、被膜をつけたくない場所に溶射材料がつかないようにマスキング処理を行い、溶射の処理後には、溶接同様、形状を整える工程が必要である。
いずれも人手に頼った作業であり、品質的にもばらつきがあった。
また、タービン翼や圧縮機翼は薄い構造の部分が多く、溶接のように熱が集中して入る処理方法では、変形や割れなど起き、歩留まりが低くなるという問題があった。
特に、単結晶材料や一方向凝固合金などの割れ易い材料で作られている部品はこわれやすかった。
本発明のタービン部品は、人手によらない機械が行う加工により被膜を形成されているので、品質が安定しており、しかもコストが安くできる。
また、集中的な入熱により割れ易い材料でできた部品でも割れや変形がおきず、信頼性の高い部品となっている。
このような高い信頼性、低いコストでできた部品を組み込んだガスタービンは、コストが大幅に低減でき、しかも信頼性が高いものとなる。
第1の発明の一実施例を示す図である。 第1の発明の一実施例を示す図である。 第1の発明の一実施例を示す図である。 第1の発明の一実施例を示す図である。 第1の発明の一実施例を示す図である。 第1の発明の一実施例を示す図である。 第2の発明の一実施例を示す図である。 第3の発明の一実施例を示す図である。 第3の発明の一実施例を示す図である。 第3の発明の一実施例を示す図である。。 第4の発明の一実施例を示す図である。 第5の発明の一実施例を示す図である。 第5の発明の一実施例を示す図である。。 第6の発明の一実施例を示す図である。。 タービン部品の構造を示す図である。 タービン部品の構造を示す図である。 溶接による被膜を示す図である。
符号の説明
101 Cr粉末、102 Co(コバルト)粉末、103 上パンチ、104 下パンチ、105 ダイ。

Claims (18)

  1. 金属粉末、または金属の化合物の粉末を圧縮成形した圧粉体電極との間にパルス状の放電を加工液中あるいは気中で発生させ、その放電エネルギにより上記圧粉体電極より供給される電極材料に基づき、炭化物及び炭化物になっていない金属成分が所定割合で含まれる被膜を表面の所定部分に形成したことを特徴とするタービン部品。
  2. 炭化物になっていない金属成分の割合は、30体積%以上であることを特徴とする請求項1請求の範囲第1項に記載のタービン部品。
  3. 炭化物を形成しないもしくは炭化物を形成しにくい金属材料を40体積%以上含む電極を放電させることにより表面に被膜を形成したことを特徴とする請求項1に記載のタービン部品。
  4. 複数の元素を所定の比率で合金化した合金材料の粉末を圧縮成形して構成した電極との間にパルス状の放電を加工液中あるいは気中で発生させ、その放電エネルギにより電極材料あるいは電極材料が放電のエネルギーにより変化した材料の被膜を表面に形成したことを特徴とするタービン部品。
  5. 前記合金材料が、炭化物を形成しないもしくは形成しにくい金属材料を40体積%以上含むことを特徴とする請求項4に記載のタービン部品。
  6. 前記合金材料は、Coを主成分として、Cr、Ni、Wを含むCo合金、或いは、Coを主成分として、Mo、Cr、Siを含むCo合金,Niを主成分として,Cr,Feを含むNi合金,Niを主成分として,Cr、Mo、Taを含むNi合金,Feを主成分として,Cr,Ni、Mo、(Cd+Ta)、Ti、Alを含むFe合金であることを特徴とする請求項4に記載のタービン部品。
  7. 前記電極が、前記合金材料の粉末にCo、NiまたはFeのうちいずれか1種以上の粉末を混合した粉末より構成されてなることを特徴とする請求項4〜6に記載のタービン部品。
  8. 前記炭化物を形成しないもしくは炭化物を形成しにくい金属材料が、Co、NiまたはFeであること特徴とする請求項3または5に記載のタービン部品。
  9. 前記タービン部品の材料が単結晶合金・一方向凝固合金などの方向制御合金であることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載のタービン部品。
  10. 金属粉末、または金属の化合物の粉末を圧縮成形した圧粉体電極との間にパルス状の放電を加工液中あるいは気中で発生させ、その放電エネルギにより上記圧粉体電極より供給される電極材料に基づき、炭化物及び炭化物になっていない金属成分が所定割合で含まれる被膜を表面の所定部分に形成したタービン部品より構成されたガスタービン。
  11. 炭化物になっていない金属成分の割合は、30体積%以上であることを特徴とする請求項10に記載のガスタービン。
  12. 炭化物を形成しないもしくは炭化物を形成しにくい金属材料を40体積%以上含む電極を放電させることにより表面に被膜を形成したことを特徴とする請求項10に記載のガスタービン。
  13. 複数の元素を所定の比率で合金化した合金材料の粉末を圧縮成形して構成した電極との間にパルス状の放電を加工液中あるいは気中で発生させ、その放電エネルギにより電極材料あるいは電極材料が放電のエネルギーにより変化した材料の被膜を表面に形成したタービン部品より構成されたガスタービン。
  14. 前記合金材料が、炭化物を形成しないもしくは形成しにくい金属材料を40体積%以上含むことを特徴とする請求項13に記載のガスタービン。
  15. 前記合金材料は、Coを主成分として、Cr、Ni、Wを含むCo合金、或いは、Coを主成分として、Mo、Cr、Siを含むCo合金,Niを主成分として、Cr,Feを含むNi合金,Niを主成分として,Cr、Mo、Taを含むNi合金,Feを主成分として,Cr,Ni、Mo、(Cd+Ta)、Ti、Alを含むFe合金であることを特徴とする請求項13に記載のガスタービン。
  16. 前記電極が、前記合金材料の粉末にCo、NiまたはFeのうちいずれか1種以上の粉末を混合した粉末より構成されてなることを特徴とする請求項13〜15に記載のガスタービン。
  17. 前記炭化物を形成しないもしくは炭化物を形成しにくい金属材料が、Co、NiまたはFeであること特徴とする請求項12または14に記載のガスタービン。
  18. 前記タービン部品の材料が単結晶合金・一方向凝固合金などの方向制御合金であることを特徴とする請求項10〜17何れかに記載のガスタービン。
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