JPWO2004090638A1 - 感光性樹脂組成物、それを用いた感光層および感光性樹脂印刷用原版 - Google Patents

感光性樹脂組成物、それを用いた感光層および感光性樹脂印刷用原版 Download PDF

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Abstract

水系現像液で現像でき、水系現像液で現像でき、且つ水性インキおよびコソルベントインキに対する耐性があり、さらに画像再現性の良好な感光性樹脂組成物、感光層および感光性樹脂印刷用原版を支障なく得ることを課題とし、本発明は、(A)少なくとも2種類以上の水分散ラテックスから得られる疎水性重合体、(B)光重合性化合物、(C)光重合開始剤を含有した感光性樹脂組成物であって、前記2種類以上の疎水性重合体がそれぞれ微粒子状で存在していることを特徴とする感光性樹脂組成物である。

Description

本発明は感光性樹脂組成物およびそれを用いた感光性樹脂印刷用原版に関するものであり、水系現像液で現像でき、且つ画像再現性の優れた、印刷用感光性樹脂組成物および印刷原版に関するものである。
従来より、塩素化ゴム、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、ポリウレタン等のエラストマーを単体樹脂成分として、これにエチレン系不飽和化合物、光重合開始剤を配合した感光性樹脂組成物はエラストマーの特性を生かして、フレキソ印刷版材として有用であり、多くの提案がなされている。
なかでも、水系現像液で現像でき、且つ水性インキに対する耐性を付与したフレキソ版材に、疎水性ポリマーを主成分とする相1、親水性ポリマーを主成分とする相2を有する粒子を分散相として、親水性成分と疎水性成分とを有する相を連続相とする相構造が提案されている(例えば、特開平03−136052号公報参照)。
しかし、このような相構造における分散相と連続相には固体ゴムが使用されているため、相構造形成段階で微小粒子が凝集し、その結果分散相の粒子径が大きくなり、また不均一になるという傾向があった。そのため、透過した光は散乱し、微小なレリーフの画像再現性が低下するといる問題が存在していた。
そこで、分散相の粒子径を微小化するため、分散相として乳化重合で合成された親水性共重合体や水分散ラテックスから得られる重合体を親水性光重合性モノマー中に分散させることが提案されている(例えば、特開2002−162731号公報、特開2000−155417号公報参照)。
しかしながら、これらの方法では分散相は微粒子化するが、いずれも大部分を占める連続相には固体ゴムが使用されているため、相構造形成段階で微小粒子が凝集し、その結果分散相の粒子径が大きくなり、また不均一になるという傾向があった。そのため、透過した光は散乱し、微小なレリーフの画像再現性が低下するといる問題が存在していた。
本発明は上記問題を鑑みて、水系現像液で現像でき、且つ水性インキおよびコソルベントインキに対する耐性があり、さらに画像再現性の良好な感光性樹脂組成物および感光性樹脂印刷用原版を得ることを課題とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意、研究、検討した結果、遂に本発明を完成するに到った。すなわち本発明は、(1)(A)少なくとも2種類以上の水分散ラテックスから得られる疎水性重合体、(B)光重合性化合物(C)光重合開始剤を含有した感光性樹脂組成物であって、前記2種類以上の疎水性重合体がそれぞれ微粒子状で存在していることを特徴とする感光性樹脂組成物。(2)(A)成分である微粒子の粒子径分布におけるピークが2つ以上あり、各ピークの粒径比が2倍以上である前記(1)記載の感光性樹脂組成物。(3)さらに(D)親水性重合体を含有した前記(1)記載の感光性樹脂組成物。(4)(A)成分のうち少なくとも一種の疎水性重合体と(D)成分の親水性重合体とがそれぞれ共通の骨格構造を有している前記(3)記載の感光性樹脂組成物。(5)さらに(E)粘度調整剤を含有した前記(1)記載の感光性樹脂組成物。(6)(E)成分がカルボン酸系共重合体である前記(5)記載の感光性樹脂組成物。(7)さらに(F)凝集防止剤を含有した前記(1)記載の感光性樹脂組成物。(8)(F)成分がノニオン系界面活性剤である前記(7)記載の感光性樹脂組成物。(9)さらに(G)架橋基を持たない共役ジエンオリゴマーを含有した前記(1)記載の感光性樹脂組成物。(10)(G)成分の分子量が500〜10000である前記(9)記載の感光性樹脂組成物。(11)(B)成分のうち少なくとも一種がアルキルメタクリレートである前記(1)〜(10)のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。(12)(B)成分におけるアルキルメタクリレートが炭素数8〜18であり直鎖状である前記(11)記載の感光性樹脂組成物。(13)前記(1)記載の感光性樹脂組成物から得られる感光性樹脂組成物層であって、該層がコソルベントに浸漬前後の圧縮弾性の変化率が30%以下、膨潤率が16%以下であることを特徴とする感光性樹脂組成物層。(14)支持体上に、前記(1)〜(13)のいずれかに記載の感光性樹脂組成物からなる感光層を塗設して構成されることを特徴とする感光性樹脂印刷用原版である。
本発明感光性樹脂組成物を用いることにより、水系現像液で現像でき、且つ水性インキに対する耐性があり、画像再現性の良好なフレキソ印刷用原版を得ることができるので、産業界に寄与すること大である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における(A)成分として用いられる水分散ラテックスとは重合体粒子を分散質として水中に分散したものであり、他に界面活性剤等が含有されている。また少なくとも2種類以上の水分散ラテックスより得られる疎水性重合体とは、この水分散ラテックスから水を取り除いて得られる疎水性重合体および若干界面活性剤等が含有されたものであり、本発明においては2種類以上用いることが必要である。
具体的に(A)成分としては、以下の少なくとも2種類以上から選ばれるラテックスである。ポリブタジエンラテックス、天然ゴムラテックス、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックス、ポリクロロプレンラテックス、ポリイソプレンラテックス、ポリウレタンラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、ビニルピリジン重合体ラテックス、ブチル重合体ラテックス、チオコール重合体ラテックス、アクリレート重合体ラテックスなどの水分散ラテックス重合体やこれら重合体にアクリル酸やメタクリル酸などの他の成分を共重合して得られる重合体が挙げられる。この中でも分子鎖中にブタジエン骨格またはイソプレン骨格を含有する水分散ラテックス重合体が、硬度やゴム弾性の点から好ましく用いられる。具体的には、ポリブタジエンラテックス、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、ポリイソプレンラテックスが好ましい。
本発明における(A)成分としては、微粒子状に存在していることが必須であり、その粒子径分布におけるピークが2つ以上あり、各ピークの粒径比が2倍以上であること、特に下限は約3倍以上、さらには5倍以上が望ましく、上限は約20倍以下、さらには15倍以下が望ましい。なお、「微粒子状に存在している」とは、例えば、走査型プローブ顕微鏡SPMを用いて形態観察と位相分布評価を行って、独立した微粒子としての存在が確認できるということである。
また、前記粒子径分布は同種の疎水性重合体における分布状態でもよく、あるいは、二種以上の疎水性重合体において、それぞれの粒子径分布におけるピークが一つであっても、それぞれのピークの粒径比が2倍以上であればよい。本発明においては、一種の微粒子の平均粒径に対し、約2倍以上の平均粒径を有する他種の微粒子が存在していることが好ましく、その平均粒径として、例えば疎水性重合体(α)が0.02〜0.5μm、好ましくは0.04〜0.3μmであり、疎水性重合体(β)としては、疎水性重合体(α)の2倍以上、特に3倍以上の粒子径を有していることが好ましく、粒子径としては0.1〜0.7μm、好ましくは0.2〜0.5μmである。
さらに、(A)成分である微粒子は、(B)成分である光重合性化合物や(C)成分である光重合開始剤中に分散した形態を有してことが好ましい。
本発明の(B)成分である光重合性化合物としては、光重合性オリゴマーが好ましく、光重合性オリゴマーとは、共役ジエン系重合体の末端および/または側鎖にエチレン性不飽和基が結合した重合体であって、数平均分子量が1000以上、10000以下のものである。具体的には、分子構造中に次のような構造を有する化合物をいう。
共役ジエン系エチレン性重合体を構成する共役ジエン系重合体は、共役ジエン不飽和化合物の単独重合体または共役ジエン不飽和化合物とモノエチレン性不飽和化合物との共重合体によって構成される。かかる共役ジエン不飽和化合物の単独重合体または共役ジエン不飽和化合物とモノエチレン性不飽和化合物との共重合体としては、ブタジエン重合体、イソプレン重合体、クロロプレン重合体、スチレン−クロロプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−イソプレン共重合体、メタクリル酸メチル−イソプレン共重合体、アクリロニトリル−イソプレン共重合体、メタクリル酸メチル−イソプレン共重合体、メタクリル酸メチル−クロロプレン共重合体、アクリル酸メチル−ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル−イソプレン共重合体、アクリル酸メチル−クロロプレン共重合体、アクリル酸メチル−クロロプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−クロロプレン−スチレン共重合体等が挙げられる。これらのうちゴム弾性と光硬化性の点で、ブタジエン重合体、イソプレン重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体が好ましく、特に好ましくはブタジエン重合体、イソプレン重合体である。
共役ジエン系重合体の末端および/または側鎖エチレン性不飽和基を導入する方法は特に限定されないが、例えば、(1)過酸化水素を重合開始剤として得られた水酸基末端共役ジエン系重合体の末端の水酸基に(メタ)アクリル酸等のモノエチレン性不飽和カルボン酸を脱水反応によりエステル結合させる、若しくは、(メタ)アクリル酸メチルや(メタ)アクリル酸エチル等のモノエチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステルをエステル交換反応によりエステル結合させる方法、(2)共役ジエン化合物と少なくとも一部に不飽和カルボン酸(エステル)を含むエチレン性不飽和化合物を共重合して得られた共役ジエン系重合体にアリルアルコール、ビニルアルコール等のエチレン性不飽和アルコールを反応させる方法、等が挙げられる。
共役ジエン系エチレン性重合体におけるエチレン性不飽和基の量は、重合体中に0.005〜2.0m当量/gが好ましく、特に好ましくは0.01〜2.0m当量である。2.0m当量/gより多いと硬度が高くなりすぎて充分な弾性が得難くなり、0.005m当量/gより少ないと、反応性が小さくなって画像再現性が低下する傾向を示す。
これら(B)成分の含有量は(A)成分100重量部に対して1〜200重量部であることが好ましい。1重量部以下では生版が硬くなるため水系現像液で現像ができず、200重量部以上では生版が柔らかくなり過ぎ、ハンドリング性が悪くなるので好ましくない。
本発明においては、印刷版の機械的強度を上げ、耐刷性を向上させるため、(B)成分のうち、前記以外に、少なくとも一種がアルキルメタクリレートであることが好ましい。特にアルキルメタクリレートが炭素数8〜18であり直鎖状であることが好ましい。
具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート、クロロエチル(メタ)アクリレート、クロロプロピル(メタ)アクリレート等のハロゲン化アルキル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレートなどのフェノキシアルキル(メタ)アクリレートなどを挙げることができ、特に好ましくはn−ラウリルメタクリレート、アルキル(C12〜13)メタクリレート、トリデシルメタクリレート、アルキル(C12〜15)メタクリレート等が挙げられる。
これらアルキルメタクリレートの含有量は、(A)成分100重量部に対して好ましくは1〜50重量、特に好ましくは5〜10重量部である。1重量部未満では、露光した版の機械的強度が充分ではなく、50重量部を超えると感光性樹脂組成物層の表面にブリードアウトし、カバーフィルムが剥がれ難くなるので好ましくない。
また、本発明の感光性樹脂組成物は(C)成分として光重合開始剤を加えるものである。光重合開始剤としては、光によって重合性の炭素−炭素不飽和基を重合させることができるものであれば全て使用できる。なかでも、光吸収によって、自己分解や水素引き抜きによってラジカルを生成する機能を有するものが好ましく用いられる。例えば、ベンゾインアルキルエーテル類、ベンゾフェノン類、アントラキノン類、ベンジル類、アセトフェノン類、ジアセチル類などである。光重合開始剤の配合量としては、(A)成分100重量部に対して0.1〜50重量部の範囲が好ましい。0.1重量部以上とすることで、開始効率が減少することなく、画像再現が良好である。50重量部以下とすることで感度が高すぎることなくて、露光時間のコントロールが容易となるので好ましい。
本発明は、必要に応じて(D)成分として親水性重合体を配合してもよく、親水性重合体としては、−COOH、−COOM(Mは1価、2価あるいは3価の金属イオンまたは置換または無置換のアンモニウムイオン)、−OH、−NH、−SOH、リン酸エステル基などの親水基を有するものが好ましく、具体的には、(メタ)アクリル酸またはその塩類の重合体、(メタ)アクリル酸またはその塩類とアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体、(メタ)アクリル酸またはその塩類とスチレンとの共重合体、(メタ)アクリル酸またはその塩類と酢酸ビニルとの共重合体、(メタ)アクリル酸またはその塩類とアクリロニトリルとの共重合体、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンイミン、−COOM基を有するポリウレタン、−COOM基を有するポリウレアウレタン、−COOM基を有するポリアミド酸およびこれらの塩類または誘導体が挙げられる。これらはそれぞれを単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
これら(D)成分の含有量は(A)成分100重量部に対して好ましくは0.1〜50重量部、特に0.1〜30重量部であることが好ましい。0.1重量部未満では水系現像液で現像時間が遅くなり、50重量部を超えると、水に対する膨潤が大きくなり、水性インキ耐性が悪くなるので好ましくない。
本発明において、前記(D)成分である親水性重合体を配合した場合、(A)成分のうち少なくとも一種の疎水性重合体(α)あるいは(β)と(D)成分の親水性重合体とがそれぞれ共通の骨格構造を有していることが好ましく、例えば、共通の骨格構造としては、アクリロニトリル−ブタジエン構造、ブタジエン構造等が挙げられる。本発明においては、例えば微粒子状疎水性重合体(β)が連続相中に存在し、分散相中には親水性重合体と共通の骨格構造を有する微粒子状疎水性重合体(α)とが存在しているような構造が好ましい。
本発明において、(E)成分である粘度調整剤は、調合したドープを増粘させ濃縮機でのベントアップを防ぐためのものである。該粘度調整剤としてはカルボン酸系共重合体が好ましく、種類としては粉末、水溶液、エマルジョン、逆相エマルジョンタイプがあるが、なかでもエマルジョンタイプが好ましい。一般的に市販されているものを以下に示すと、アロンA−7070、アロンA−7050、アロンB−300、アロンB−500、アロンB−700(東亞合成)などを例示できるが、これらに限定されるものではない。これらは、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。粘度調整剤の配合量としては、(A)成分100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲が好ましく、特に好ましくは0.5〜5重量部である。0.1重量部以下ではドープ粘度が充分ではないので濃縮する時に突沸が起き、10重量部を超えると水およびアルコールに対してレリーフの膨潤が大きくなるので好ましくない。なお、本発明において、得られたドープの粘度は15ポイズ以上が好ましく、特に18ポイズ以上が望ましい。
次に本発明における(F)成分である凝集防止剤は、ドープ調合時に起こるラテックス粒子間の急激な凝集、固液分離を防ぐためのものである。該凝集防止剤としてはノニオン系界面活性剤が好ましく、特に炭素数が12〜15であり、HLB価が12付近であるものが好ましい。具体的には、分子構造中の親水基としては、ポリオキシエチレン、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン等のポリオキシアルキレン鎖構造が挙げられる。分子構造中の疎水基のタイプとしては、ノニルフェノール系、トリデシルアルコール系、ラウリルアルコール系、セカンダリーアルコール系、オキソアルコール系等が挙げられる。一般的に市販されているものを以下に示すと、ノイゲンEA−120、ノイゲンEA−120B、DKS NL−70、DKS NL−80、ノイゲンET−143L、ノイゲンTDS−70、ノイゲンET−115、ノイゲンET−116B、ノイゲンET−116B、ノイゲンET−116C、ノイゲンET−147、ノイゲンET−157、ノイゲンSD−60、ノイゲンSDX−60、DKS NL−Dash 408、DKS NL−Dash 410(第一工業製薬(株)製)などを例示できるが、これらに限定されるものではない。これらは、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。凝集防止剤の配合量としては、(A)成分100重量部に対して0.01〜10重量部の範囲が好ましく、特に好ましくは0.1〜1重量部である。0.01重量部以下では親水性ポリマー投入後にラテックス粒子間の急激な凝集、固液分離を防ぐのに充分ではなく、10重量部を超えると水およびアルコールに対してレリーフの膨潤が大きくなるので好ましくない。
次に、本発明における(G)成分である架橋基を持たない共役ジエンオリゴマーは、感光性樹脂組成物層の架橋密度を下げ、コソルベントインキを使用した印刷時に起こるコソルベントの吸収とオリゴマー成分の抽出を調整し、みかけの重量変化率を下げるためのものである。架橋基を持たない共役ジエンオリゴマーとしては、少なくとも1,2−ブタジエン骨格を有する架橋基を持たない共役ジエン系オリゴマーが好ましい。1,2−ブタジエン骨格を有する架橋基を持たない共役ジエン系オリゴマーの分子量は500〜10000の範囲にあることが好ましく、より好ましくは1000〜5000、特に1000〜4000が望ましい。分子量が500未満であると、樹脂版のハンドリングが悪くなるだけでなく、コソルベントインキに含有するコソルベントにオリゴマー成分が多量に抽出されるために版の強度が損なわれたり、印刷の繰り返しによって版の硬度が変化し、印刷物の仕上がりが変わってしまってしまうなどの問題が生じるので好ましくない。また、分子量が10000を超えると期待されるようなコソルベント浸漬後の重量変化率の減少が得られず、また感光性樹脂成分との相溶性も損なわれるため好ましくない。
前記1,2−ブタジエン骨格を有する共役ジエン系オリゴマーとしては、末端官能基を有さないポリブタジエンオリゴマー、ポリスチレン−ブタジエンオリゴマー、ポリアクリロニトリル−ブタジエンオリゴマー、ポリイソプレンオリゴマー、ポリクロロプレンオリゴマー、末端アリル基含有ポリブタジエンオリゴマー、末端アリル基含有ポリスチレン−ブタジエンオリゴマー、末端アリル基含有ポリアクリロニトリル−ブタジエンオリゴマー、末端アリル基含有ポリイソプレンオリゴマー、末端アリル基含有ポリクロロプレンオリゴマー、末端水酸基含有ポリブタジエンオリゴマー、末端水酸基含有ポリスチレン−ブタジエンオリゴマー、末端水酸基含有ポリアクリロニトリル−ブタジエンオリゴマー、末端水酸基含有ポリイソプレンオリゴマー、末端水酸基含有ポリクロロプレンオリゴマー、末端カルボキシル基含有ポリブタジエンオリゴマー、末端カルボキシル基含有ポリスチレン−ブタジエンオリゴマー、末端カルボキシル基含有ポリアクリロニトリル−ブタジエンオリゴマー、末端カルボキシル基含有ポリイソプレンオリゴマー、末端カルボキシル基含有ポリクロロプレンオリゴマー、末端アミノ基含有ポリブタジエンオリゴマー、末端アミノ基含有ポリスチレン−ブタジエンオリゴマー、末端アミノ基含有ポリアクリロニトリル−ブタジエンオリゴマー、末端アミノ基含有ポリイソプレンオリゴマー、末端アミノ基含有ポリクロロプレンオリゴマー等が挙げられる。
これら(G)成分の含有量は(A)成分100重量部に対して1〜200重量部、好ましくは3〜100重量部、さらに5〜30重量部が望ましい。1重量部未満では生版が硬くなるため水系現像液で現像ができず、200重量部を超えると生版が柔らかくなり過ぎ、ハンドリング性が悪くなるので好ましくない。
本発明の感光性樹脂組成物には、さらに可塑剤を加えることもできる。この可塑剤としては、一般的に版材を柔軟化する性質を有するものであれば特に限定されるものではないが、(A)成分や(D)成分と相溶性が良好なものが好ましい。より好ましくは、室温で液状のポリエン化合物やエステル結合を有する化合物である。室温で液状のポリエン化合物としては、液状のポリブタジエン、ポリイソプレン、されにそれらの末端基あるいは側鎖を変性したマレイン化物、エポキシ化物などがある。エステル結合を有する化合物としては、フタル酸エステル、リン酸エステル、セバシン酸エステル、アジピン酸エステル、分子量1000〜3000のポリエステル等が挙げられる。
これら可塑剤成分を加える場合には、光架橋前の固形版としての強度を充分なものとする観点から、(A)成分100重量部に対して0〜100重量部が好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物の熱安定性を上げる為に、従来公知の重合禁止剤を添加することもできる。好ましい重合禁止剤としては、フェノール類、ハイドロキノン類、カテコール類などが挙げられる。これらの配合量は、全感光性樹脂組成物に対して、0.001〜5重量%の範囲で使用することが一般的である。
また、他の成分として、染料、顔料、消泡剤、紫外線吸収剤、香料などを添加することができる。
以上、かかる構成よりまる本発明感光性樹脂組成物から得られる感光層は、コソルベントに浸漬前後の圧縮弾性の変化率が30%以下、膨潤率が16%以下であることが好ましく、該圧縮弾性とは、テンシロンの圧縮試験を用いて、直径10mmの鉄棒を押込んだ変位が0.1mmの時に掛かる荷重を測定したものである。また、コソルベント膨潤率とは、コソルベントに24時間浸漬後の重量変化率を測定したものである。なお、使用するコソルベントは、一般的なコソルベントインキに配合されているイソプロピルアルコールと酢酸n−プロピルを8:2の重量比で混合したものである。
また、本発明における圧縮弾性、膨潤率の測定方法として具体的には、50mm四方の感光性印刷原版において感光性樹脂組成物層上に保護フィルムやスリップコート層などがある場合は剥離除去を行い、活性光線を全面に照射し、コソルベントに浸漬前後の圧縮弾性、重量を測定し、その変化率を算出する。
本発明において、コソルベントに浸漬前後の圧縮弾性の変化率は30%以下であることが好ましい。より好ましくは25%以下である。更に好ましくは20%以下とすることで、コソルベントインキを使用した際のロングラン印刷における耐刷性に優れる。
本発明感光性樹脂組成物は、印刷版としての精度を維持するために、ポリエステルなどの支持体をレリーフの反対側に設けても良い。本発明の感光性樹脂組成物は、その組成によっては粘着性を生じるので、その上に重ねられる透明画担体(ネガフィルム)との接触性を良くするためと、その画像担体の再利用を可能にするために、その表面に水系で現像可能な可撓性フィルム層を設けても良い。本発明の感光性樹脂組成物は各成分を混合することにより製造することができる。その手段としては、押出機やニーダ等を用いて樹脂組成物を混合した後に、熱プレス成型やカレンダー処理または押出成型により所望の厚さの層を形成することが可能である。支持体や可とう性フィルム層は、シート成型後ロールラミネートにより感光層に密着させることができる。ラミネート後に加熱プレスして精度の良い感光層を得ることもできる。本発明の感光性樹脂組成物を光硬化するのに用いられる活性光線源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、カーボンアーク灯、キセノンランプ、ジルコニウムランプ、太陽光などがある。本発明の感光性樹脂組成物に透明画像担体を通じて光照射して画像を形成させた後、未照射部分を水系現像液を用いて除去(現像)することでレリーフ(印刷版)が得られる。
本発明でいう水系現像液は、水にノニオン性、アニオン性などの界面活性剤、必要に応じてPH調整剤、洗浄促進剤などを配合してなる。ノニオン性界面活性剤の具体的な例としては、ポリオキシアルキレンアルキルまたはアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルまたはアルケニルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルまたはアルケニルアミン、ポリオキシアルキレンアルキルまたはアルケニルアミド、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロック附加物等がある。アニオン性界面活性剤の具体的な例としては、平均炭素数8〜16のアルキルを有する直鎖アルキルベンゼンスルフォン酸塩、平均炭素数10〜20のa−オレフィンスルフォン酸塩、アルキル基またはアルケニル基の炭素数が4〜10のジアルキルスルホコハク酸塩、脂肪酸低級アルキルエステルのスルフォン酸塩、平均炭素数10〜20のアルキル硫酸塩、平均炭素数10〜20の直鎖または分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基を有し、平均0.5〜8モルのエチレンオキサイドを附加したアルキルエーテル硫酸塩、平均炭素数10〜22の飽和または不飽和脂肪酸塩等である。
また、PH調整剤としては、ホウ酸ソーダ、炭酸ソーダ、ケイ酸ソーダ、メタケイ酸ソーダ、コハク酸ソーダ、酢酸ソーダ等がある。水に溶かしやすいことからケイ酸ソーダが好ましい。さらに、洗浄助剤があるが、上記界面活性剤、PH調整剤と併用して用いることにより、洗浄能力が高まるものである。具体的例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン類、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等のアンモニウム塩類、パラフィン系炭化水素等がある。これらは、適量の混合比で水に0.1〜50重量%、好ましくは、1〜10重量%の範囲で添加混合されて使用される。現像後は版を、オーブン中で約60℃で15〜120分間乾燥するのが一般的である。
本発明感光性樹脂組成物は、その組成によっては乾燥が終わった後も版表面にベトツキが残っている場合がある。その場合、公知の表面処理方法により、ベトツキを除去することができる。表面処理方法としては波長300nm以下の活性光線による露光処理が望ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、フレキソ印刷用に用いることが最も適しているが、樹脂凸版印刷用、平版印刷用、凹版印刷用、孔版印刷用、フォトレジストとして使用することも可能である。
次に実施例および比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例における特性値は以下の測定方法によって得られた値である。
(1)微粒子の平均粒径の測定:
イ)試料の作製:得られた感光性樹脂印刷用原版をケミカルランプ(A&V製、ランプはフィリップス10Rを設置)で裏表10分ずつ露光し、カバーフィルムと粘着防止層を剥離し、硬化した感光層をウルトラミクロトームを用いて凍結状態で薄切片化し、乾燥後、走査型プローブ顕微鏡SPMを用いて、切片表面、すなわち内部構造を評価した。
SPMはSPA300(Seiko Instruments社製,SPI3800Nシステム)を使用した。測定モードはDFMモードとし、カンチレバーはDF3を使用した。DFMモードによる形態観察と同時に位相像観察を行なった。
ロ)粒径の測定:東洋紡績(株)製画像処理装置イメージアナライザーV20を用い、位相差像をTOKS法自動二値化により、粒子部分を白色、その他を黒色とし、白色部分の円相当直径を求めて、粒子径分布や平均粒径を算出した。
(2)硬度:JIS−K6301に準ずるスプリング式硬さ試験(A形)法により20℃で測定した値である。
(3)反発弾性率:φ10m/m(重さ4.16g)の鋼鉄製ボールを20cm地の高さより落下させ、跳ね戻る高さ(a)を読みとり、(a/20)×100%表示とした。
(4)膨潤率:印刷版を水あるいはエタノールに20℃で1時間あるいは24時間浸漬させた後の重量増加率(%)を測定した。
(5)コソルベント膨潤率:印刷版をコソルベント(イソプロピルアルコール/酢酸n−プロピル=8/2)に20℃で24時間浸漬させた後の重量増加率(%)を測定した。
(6)光散乱率:分光光度計(U−3210、日立製作所(株)製、150φ積分球付属装置付き)を用いて、感光性樹脂組成物のλ=365nmでの散乱率を測定した。
(7)抗張積:印刷版を金型で抜き取り、テンシロン(クロスヘッド100kg使用)の引っ張り試験により測定した伸度と強度を掛け合わせた値である。
(8)ドープ粘度:振動式粘度計(VM−1G−MH、CBCマテリアルズ(株)製)を用いて、調合したドープの粘度を20℃で測定した値である。
(9)圧縮弾性:印刷版をテンシロンの圧縮試験を用いて、直径10mmの鉄棒を押し込んだ変位が0.1mmの時に掛かる荷重を測定した。またコソルベント(イソプロピルアルコール/酢酸n−プロピル=8/2)に20℃で24時間浸漬させた後も同様に測定した。
(A)成分である疎水性重合体(α):アクリロニトリル−ブタジエンラテックス(Nipol SX1503 不揮発分42% 日本ゼオン(株)製)10重量部、疎水性重合体(β):ブタジエンラテックス(Nipol LX111NF 不揮発分55% 日本ゼオン(株)製)58重量部、(B)成分であるオリゴブタジエンアクリレート(ABU−2S 共栄社化学(株)製)28重量部、ラウリルメタクリレート(ライトエステルL 共栄社化学(株)製)4重量部、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート4重量部(C)成分である光重合開始剤1重量部、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.1重量部、その他の添加剤としてノニオン系界面活性剤0.1重量部をトルエン15重量部とともに容器中で混合してから、次に加圧ニーダーを用いて105℃で混練し、その後トルエンと水を減圧除去することにより、感光性樹脂組成物を得た。
次に、得られた感光性樹脂組成物を厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にポリエステル系接着層をコーテイングしたフィルムと、同じポリエチレンテレフタレートフィルム上に粘着防止層(ポリビニルアルコール)をコーテイングしたフィルムで挟み(接着層、粘着防止層が感光性樹脂組成物と接触するように)、ヒートプレス機で105℃、100kg/cmの圧力で1分間加圧することにより、厚さ1.7mmの感光性樹脂原版を作成した。なお、該感光性樹脂原版における感光性樹脂層中の疎水性重合体微粒子の粒子径分布と平均粒径を前記方法により測定したところ、粒子径分布において、0.115μmと0.370μmとの2つにピークがあり、その粒径比は約3倍であった。
得られた原版を剥離し、網点200線1%〜95%、最小独立点直径100μm、最小凸文字1ポイント、最小抜き文字1ポイント、ベタ画像、ステップガイドを含む検査ネガをあて、365nmにおける照度17.5W/m(Anderson&Vreeland社製ランプFR20T12−BL−9−BP)を用いて裏露光と表露光をおこないネガフィルムを除去し、アルキルナフタレンスルホン酸ソーダ4重量%を含有する40℃の中性水で8分間現像し、60℃で10分間乾燥した。
得られた印刷版は、レリーフ深度が0.8mmであり、水性インキによる印刷で、網点200線1%〜95%、最小独立点直径100μm、最小独立線幅が30μm、最小抜き線幅100μm、最小凸文字1ポイント、最小抜き文字1ポイント、を再現する従来のフレキソ刷版では実現しえない画像再現性が得られた。また、同印刷版を用いて100万枚の印刷試験を行ったが、画像再現性に変化は認められなかった。また、得られた印刷版のショアA硬度は58、反発弾性は65%、24時間後の水膨潤率は3.1%、エタノール膨潤率は5.8%、365nmの光散乱率は10.9%、抗張積は260(伸度1.14×強度229)であった。
(A)成分である疎水性重合体(α):アクリロニトリル−ブタジエンラテックス(Nipol SX1503 不揮発分42% 日本ゼオン(株)製)10重量部、疎水性重合体(β):ブタジエンラテックス(Nipol LX111NF 不揮発分55% 日本ゼオン(株)製)62重量、(B)成分であるオリゴブタジエンアクリレート(ABU−2S 共栄社化学(株)製)30重量部、ラウリルメタクリレート(ライトエステルL 共栄社化学(株)製)4重量部、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート4重量部(C)成分である光重合開始剤1重量部、(D)成分である親水性重合体(PFT−3 不揮発分25% 共栄社化学(株)製)18重量部、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.1重量部、その他の添加剤としてノニオン系界面活性剤0.1重量部をトルエン15重量部とともに容器中で混合してから、次に加圧ニーダーを用いて105℃で混練し、その後トルエンと水を減圧除去することにより、感光性樹脂組成物を得た。
得られた感光性樹脂組成物を厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にポリエステル系接着層をコーテイングしたフィルムと、同じポリエチレンテレフタレートフィルム上に粘着防止層(ポリビニルアルコール)をコーテイングしたフィルムで挟み(接着層、粘着防止層が感光性樹脂組成物と接触するように)、ヒートプレス機で105℃、100kg/cmの圧力で1分間加圧することにより、厚さ1.7mmの感光性樹脂原版を作成した。なお、該感光性樹脂原版における感光性樹脂層中の疎水性重合体微粒子の粒子径分布と平均粒径を前記方法により測定したところ、粒子径分布において、0.115μmと0.370μmとの2つにピークがあり、その粒径比は約3倍であった。
得られた原版を剥離し、網点200線1%〜95%、最小独立点直径100μm、最小凸文字1ポイント、最小抜き文字1ポイント、ベタ画像、ステップガイドを含む検査ネガをあて、365nmにおける照度17.5W/m(Anderson&Vreeland社製ランプFR20T12−BL−9−BP)を用いて裏露光と表露光をおこないネガフィルムを除去し、アルキルナフタレンスルホン酸ソーダ4重量%を含有する40℃の中性水で8分間現像し、60℃で10分間乾燥して印刷版を得た。
得られた印刷版は、レリーフ深度が0.8mmであり、水性インキによる印刷で、網点200線1%〜95%、最小独立点直径100μm、最小独立線幅が30μm、最小抜き線幅100μm、最小凸文字1ポイント、最小抜き文字1ポイント、を再現する従来のフレキソ刷版では実現しえない画像再現性が得られた。また、同印刷版を用いて100万枚の印刷試験を行ったが、画像再現性に変化は認められなかった。また、得られた印刷版のショアA硬度は63、反発弾性は60%、24時間後の水膨潤率は5.5%、エタノール膨潤率は5.0%、365nmの光散乱率は15.5%、抗張積は280(伸度1.19×強度235)であった。
(A)成分であるブタジエンラテックス(Nipol LX111NF 不揮発分55% 日本ゼオン(株)製)62重量部、アクリロニトリル−ブタジエンラテックス(Nipol SX1503 不揮発分43% 日本ゼオン(株)製)10重量部、(B)成分であるオリゴブタジエンアクリレート(ABU−2S 共栄社化学(株)製)30重量部、(C)成分である光重合開始剤0.45重量部、(D)成分である親水性重合体(PFT−3 不揮発分25% 共栄社化学(株)製)18重量部、(E)成分である粘度調整剤1重量部(アロンA−7050 東亞合成(株)製)、架橋剤としてラウリルメタクリレート4重量部、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート4重量部、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.03重量部、その他の添加剤としてカルボン酸系共重合体0.04重量部をトルエン15重量部とともに容器中で混合してから、ドープ粘度を測定した。次に加圧ニーダーを用いて105℃で混練し、その後トルエンと水を減圧除去した。得られた感光性樹脂組成物を厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にポリエステル系接着層をコーテイングしたフィルムと、同じポリエチレンテレフタレートフィルム上に粘着防止層(ポリビニルアルコール)をコーテイングしたフィルムで挟み(接着層、粘着防止層が感光性樹脂組成物と接触するように)、ヒートプレス機で105℃、100kg/cmの圧力で1分間加圧することにより厚さ1.7mmの感光性樹脂原版を作成した。得られた原版を剥離し、網点200線1%〜95%、最小独立点直径100μm、最小凸文字1ポイント、最小抜き文字1ポイント、ベタ画像、ステップガイドを含む検査ネガをあて、365nmにおける照度17.5W/m(Anderson&Vreeland社製ランプFR20T12−BL−9−BP)を用いて裏露光と表露光をおこないネガフィルムを除去し、アルキルナフタレンスルホン酸ソーダ4重量%を含有する40℃の中性水で8分間現像し、60℃で20分間乾燥して、印刷版を得た。
得られた印刷版は、レリーフ深度が0.8mmであり、水性インキによる印刷で、網点200線1%〜95%、最小独立点直径100μm、最小独立線幅が30μm、最小抜き線幅100μm、最小凸文字1ポイント、最小抜き文字1ポイント、を再現する従来のフレキソ刷版では実現しえない画像再現性が得られた。また、同印刷版を用いて100万枚の印刷試験を行ったが、画像再現性に変化は認められなかった。
調合したドープの粘度は20P、得られた印刷版のショアA硬度は63、反発弾性は60%、1時間後の水膨潤率は1.5%、エタノール膨潤率は3.7%、24時間後の水膨潤率は5.7%、エタノール膨潤率は5.2%、365nmの光散乱率は16.5%、抗張積は280(伸度1.19×強度235)であった。
(A)成分であるブタジエンラテックス(Nipol LX111NF 不揮発分55% 日本ゼオン(株)製)62重量部、アクリロニトリル−ブタジエンラテックス(Nipol SX1503 不揮発分43% 日本ゼオン(株)製)10重量部、(B)成分であるオリゴブタジエンアクリレート(ABU−2S 共栄社化学(株)製)30重量部、(C)成分である光重合開始剤0.45重量部、(D)成分である親水性重合体(PFT−3 不揮発分25% 共栄社化学(株)製)18重量部、(F)成分である凝集防止剤(ノイゲンSDX−60 第一工業製薬(株)製)0.3重量部、架橋剤としてラウリルメタクリレート4重量部、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート4重量部、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.03重量部、その他の添加剤としてカルボン酸系共重合体0.04重量部をトルエン15重量部とともに容器中で混合してから、調合直後と1時間後のドープの状態を観察した。次に加圧ニーダーを用いて105℃で混練し、その後トルエンと水を減圧除去した。得られた感光性樹脂組成物を厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にポリエステル系接着層をコーテイングしたフィルムと、同じポリエチレンテレフタレートフィルム上に粘着防止層(ポリビニルアルコール)をコーテイングしたフィルムで挟み(接着層、粘着防止層が感光性樹脂組成物と接触するように)、ヒートプレス機で105℃、100kg/cmの圧力で1分間加圧することにより、厚さ1.7mmの感光性樹脂原版を作成した。得られた原版を剥離し、網点200線1%〜95%、最小独立点直径100μm、最小凸文字1ポイント、最小抜き文字1ポイント、ベタ画像、ステップガイドを含む検査ネガをあて、365nmにおける照度17.5W/m(Anderson&Vreeland社製ランプFR20T12−BL−9−BP)を用いて裏露光と表露光をおこないネガフィルムを除去し、アルキルナフタレンスルホン酸ソーダ4重量%を含有する40℃の中性水で8分間現像し、60℃で20分間乾燥して印刷版を得た。
得られた印刷版は、レリーフ深度が0.8mmであり、水性インキによる印刷で、網点200線1%〜95%、最小独立点直径100μm、最小独立線幅が30μm、最小抜き線幅100μm、最小凸文字1ポイント、最小抜き文字1ポイント、を再現する従来のフレキソ刷版では実現しえない画像再現性が得られた。また、同印刷版を用いて100万枚の印刷試験を行ったが、画像再現性に変化は認められなかった。
調合直後及び1時間経過後のドープの状態は均一であり、変わり無かった。得られた印刷版のショアA硬度は63、反発弾性は60%、1時間後の水膨潤率は1.5%、エタノール膨潤率は3.7%、24時間後の水膨潤率は5.5%、エタノール膨潤率は5.0%、365nmの光散乱率は17.3%、抗張積は280(伸度1.19×強度235)であった。
(A)成分であるブタジエンラテックス(Nipol LX111NF 不揮発分55% 日本ゼオン(株)製)62重量部、アクリロニトリル−ブタジエンラテックス(Nipol SX1503 不揮発分42% 日本ゼオン(株)製)10重量部、(B)成分であるオリゴブタジエンアクリレート(ABU−2S 共栄社化学(株)製)20重量部、(C)成分である光重合開始剤0.45重量部、(D)成分である親水性重合体(PFT−3 不揮発分25% 共栄社化学(株)製)18重量部、(G)成分である架橋基を持たない共役ジエンオリゴマー(B2000 日本石油化学(株)製)6重量部、その他架橋剤としてラウリルメタクリレート6重量部、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート6重量部、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.03重量部をトルエン6重量部とともに容器中で混合し、次に加圧ニーダーを用いて105℃で混練し、その後トルエンと水を減圧除去した。得られた感光性樹脂組成物を厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にポリエステル系接着層をコーテイングしたフィルムと、同じポリエチレンテレフタレートフィルム上に粘着防止層(ポリビニルアルコール)をコーテイングしたフィルムで挟み(接着層、粘着防止層が感光性樹脂組成物と接触するように)、ヒートプレス機で105℃、100kg/cmの圧力で1分間加圧することにより、厚さ1.7mmの感光性樹脂原版を作成した。得られた原版を剥離し、網点200線1%〜95%、最小独立点直径100μm、最小凸文字1ポイント、最小抜き文字1ポイント、ベタ画像、ステップガイドを含む検査ネガをあて、365nmにおける照度17.5W/m(Anderson&Vreeland社製ランプFR20T12−BL−9−BP)を用いて裏露光と表露光をおこないネガフィルムを除去し、アルキルナフタレンスルホン酸ソーダ4重量%を含有する40℃の中性水で8分間現像し、60℃で20分間乾燥して印刷版を得た。
得られた印刷版は、レリーフ深度が0.8mmであり、水性インキ及びコソルベントインキによる印刷で、網点200線1%〜95%、最小独立点直径100μm、最小独立線幅が30μm、最小抜き線幅100um、最小凸文字1ポイント、最小抜き文字1ポイント、を再現する従来のフレキソ刷版では実現しえない画像再現性が得られた。また、同印刷版を用いて100万枚の印刷試験を行ったが、画像再現性に変化は認められなかった。また、得られた印刷版のショアA硬度は60、反発弾性は57.5%、1時間後の水膨潤率は0.6%、エタノール膨潤率は2.3%、コソルベント膨潤率は3.8%、24時間後の水膨潤率は3.5%、エタノール膨潤率は4.5%、コソルベント膨潤率は11.5%、365nmの光散乱率は28%、抗張積は255であった。。
また、得られた感光性樹脂原版の保護フィルム、粘着防止層を剥離し、感光性樹脂組成物層を露出させ、365nmにおける照度17.5W/m(Anderson&Vreeland社製ランプFR20T12−BL−9−BP)を用いて裏露光と表露光をおこなうことによって、得られた版の圧縮弾性は1.62kgf、24時間後のコソルベント浸漬後の圧縮弾性は1.37kgf、浸漬前後の変化率は15.4%、24時間後のコソルベント膨潤率は11.5%であった。
(A)成分であるブタジエンラテックス(Nipol LX111NF 不揮発分55% 日本ゼオン(株)製)62重量部、アクリロニトリル−ブタジエンラテックス(Nipol SX1503 不揮発分43% 日本ゼオン(株)製)10重量部、(B)成分であるオリゴブタジエンアクリレート(ABU−2S 共栄社化学(株)製)20重量部、ラウリルメタクリレート(ライトエステルL 共栄社化学(株)製)6重量部、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート6重量部、(C)成分である光重合開始剤0.45重量部、(D)成分である親水性重合体(PFT−3 不揮発分25% 共栄社化学(株)製)18重量部、(E)成分である粘度調整剤(アロンA−7050 東亞合成(株)製)1重量部、(F)成分である凝集防止剤(ノイゲンSDX−60 第一工業製薬(株)製)0.3重量部、(G)成分である架橋基を持たない共役ジエンオリゴマー(B2000 日本石油化学(株)製)6重量部、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.03重量部をトルエン15重量部とともに容器中で混合してから、ドープ粘度を測定した。次に加圧ニーダーを用いて105℃で混練し、その後トルエンと水を減圧除去した。得られた感光性樹脂組成物を厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にポリエステル系接着層をコーテイングしたフィルムと、同じポリエチレンテレフタレートフィルム上に粘着防止層(ポリビニルアルコール)をコーテイングしたフィルムで挟み(接着層、粘着防止層が感光性樹脂組成物と接触するように)、ヒートプレス機で105℃、100kg/cmの圧力で1分間加圧することにより厚さ1.7mmの感光性樹脂原版を作成した。得られた原版を剥離し、網点200線1%〜95%、最小独立点直径100μm、最小凸文字1ポイント、最小抜き文字1ポイント、ベタ画像、ステップガイドを含む検査ネガをあて、365nmにおける照度17.5W/m(Anderson&Vreeland社製ランプFR20T12−BL−9−BP)を用いて裏露光と表露光をおこないネガフィルムを除去し、アルキルナフタレンスルホン酸ソーダ4重量%を含有する40℃の中性水で8分間現像し、60℃で20分間乾燥して、印刷版を得た。
得られた印刷版は、レリーフ深度が0.8mmであり、水性インキによる印刷で、網点200線1%〜95%、最小独立点直径100μm、最小独立線幅が30μm、最小抜き線幅100μm、最小凸文字1ポイント、最小抜き文字1ポイント、を再現する従来のフレキソ刷版では実現しえない画像再現性が得られた。また、同印刷版を用いて100万枚の印刷試験を行ったが、画像再現性に変化は認められなかった。
調合したドープの粘度は20P、得られた印刷版のショアA硬度は60、反発弾性は57.5%、1時間後の水膨潤率は1.5%、エタノール膨潤率は3.7%、24時間後の水膨潤率は4.2%、エタノール膨潤率は5.5%、365nmの光散乱率は17.5%、抗張積は260であった。。また、得られた版の圧縮弾性は1.62kgf、24時間後のコソルベント浸漬後の圧縮弾性は1.37kgf、浸漬前後の変化率は15.2%、24時間後のコソルベント膨潤率は11.4%であった。
(比較例1)
実施例2において、(A)成分である疎水性重合体(β)ブタジエンラテックスの代わりに、固形ポリブタジエン(UBEPOL−BR130B 宇部興産(株)製)を62重量部配合した以外は全て実施例2と同様にして感光性樹脂組成物を得た。裏露光と表露光をおこないネガフィルムを除去し、アルキルナフタレンスルホン酸ソーダ4重量%を含有する40℃の中性水で20分間現像したが、レリーフ深度が0.4mmしか得られず、ハイライト部の網点欠けやシャドー部の埋まりが発生しており、画像再現性が著しく低下した。
(比較例2)
実施例2において、(A)成分である疎水性重合体(α):アクリロニトリル−ブタジエンラテックス(Nipol SX1503 不揮発分43% 日本ゼオン(株)製)10重量部を除いた以外は全て実施例2と同様にして、すなわち、(A)成分を疎水性重合体(β)ブタジエンラテックスのみにして、フレキソ刷版を作製した。得られた印刷版は、20分間現像してもレリーフ深度が0.8mmに達することはなく、現像不良であった。
発明の効果
本発明感光性樹脂組成物は、水系現像液で現像でき、且つ水性インキおよびコソルベントインキに対する耐性があり、さらに画像再現性の良好なフレキソ印刷用原版に利用することができ、産業界に奇与すること大である。

Claims (14)

  1. (A)少なくとも2種類以上の水分散ラテックスから得られる疎水性重合体、(B)光重合性化合物、(C)光重合開始剤を含有した感光性樹脂組成物であって、前記2種類以上の疎水性重合体がそれぞれ微粒子状で存在していることを特徴とする感光性樹脂組成物。
  2. (A)成分である微粒子の粒子径分布におけるピークが2つ以上あり、各ピークの粒径比が2倍以上である請求項1記載の感光性樹脂組成物。
  3. さらに(D)親水性重合体を含有した請求項1記載の感光性樹脂組成物。
  4. (A)成分のうち少なくとも一種の疎水性重合体と(D)成分の親水性重合体とがそれぞれ共通の骨格構造を有している請求項3記載の感光性樹脂組成物。
  5. さらに(E)粘度調整剤を含有した請求項1記載の感光性樹脂組成物。
  6. (E)成分がカルボン酸系共重合体である請求項5記載の感光性樹脂組成物。
  7. さらに(F)凝集防止剤を含有した請求項1記載の感光性樹脂組成物。
  8. (F)成分がノニオン系界面活性剤である請求項7記載の感光性樹脂組成物。
  9. さらに(G)架橋基を持たない共役ジエンオリゴマーを含有した請求項1記載の感光性樹脂組成物。
  10. (G)成分の分子量が500〜10000である請求項9記載の感光性樹脂組成物。
  11. (B)成分のうち少なくとも一種がアルキルメタクリレートである請求項1〜10のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  12. (B)成分におけるアルキルメタクリレートが炭素数8〜18であり直鎖状である請求項11記載の感光性樹脂組成物。
  13. 請求項1記載の感光性樹脂組成物から得られる感光性樹脂組成物層であって、該層がコソルベントに浸漬前後の圧縮弾性の変化率が30%以下、膨潤率が16%以下であることを特徴とする感光性樹脂組成物層。
  14. 支持体上に、請求項1〜13のいずれかに記載の感光性樹脂組成物からなる感光層を塗設して構成されることを特徴とする感光性樹脂印刷用原版。
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