JPWO2004090625A1 - 磁性体表示パネル - Google Patents
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Abstract
Description
また、特公昭59−32796号には、表示磁性粒子を反転させて表示を行う磁性体表示パネルが提案されている。この磁性体表示パネルは、特定の残留磁気モーメントと保磁力とを有する磁性粒子を分散媒に分散させた特定降伏値を有する分散液を用いるものである。
また、本出願人は、先に、特開2001−201772号公報に記載のように、磁極を異なる色に着色して色分けした微小粒子状の磁性表示体と分散媒と増稠剤を主成分とした降伏値を有する分散液を、支持材により保持した反転磁性体表示パネルにおいて、前記微小粒子状の磁性表示体のS極面またはN極面の合計面積が、表示パネルの表示面の面積の60〜500%であることを特徴とする磁性体反転表示パネルを提案している。この磁性体反転表示パネルは、コントラストが良く、鮮明な表示を行うことができ、優れた効果を奏するものであるが、パネルを縦置きにし、表示・消去を繰り返すと、徐々に磁性表示体が沈降凝集して反転不良になるものが発生するという不具合があった。
上記のような不具合を解消すべく、分散液の粘度を上げて、沈降防止を試みたものもあるが、これらは、長期間の経時放置により、チクソトロピック性が強く出すぎる傾向があり、経時後の分散液の降伏値や粘度が必要以上に高くなるという不具合を生じた。
さらに、上記した従来の磁性体表示パネルは、分散媒として有機溶剤を用いたものが多く、万一、分散液体が漏洩した場合、人体への影響、引火等の問題があった。このような点は、玩具や一般文具用途においては、特に問題視され、また、製造工程等における環境汚染も懸念された。
中には、水を分散媒に使用してもよいと例示した文献(例えば、特開昭53−127032号公報、特公昭59−32796号)もあるが、いずれにおいても、上記のような問題に対する具体的指摘や解決するための具体的な手段、増稠剤との組合せ等に関する提案はなく、単なる例示に留まるものであった。
本発明は、磁性表示体を泳動・反転して表示/消去を繰り返し行うことができる上記課題を解決する磁性体表示パネルを提供する。
すなわち、本発明によれば、分散液と、前記分散液を保持する支持材とを備えた磁性体表示パネルであって、前記分散液が微小粒子状の磁性表示体、分散媒としての水および水系増稠剤を主成分とし、降伏値を有する分散液体であり、前記水系増稠剤が架橋型アクリル酸共重合体、架橋型無水マレイン酸共重合体、増粘多糖類、ポリビニルアルキルアミドから選ばれた1種または2種以上からなることを特徴とする磁性体表示パネルが提供される。
また、前記磁性体表示パネルの好ましい態様として、前記分散液に比重調整剤が配合された磁性体表示パネルが提供される。
上記のような本発明に係る磁性体表示パネルによれば、水系であることから、有機溶剤系においては、万一の分散液漏洩時に問題であった毒性、製造工程等で生じる公害等の問題が解決され、また、廃棄時の環境負荷の低減に寄与することができる。
また、本発明に係る磁性体表示パネルの分散液は、水を主成分とする分散媒系として構成されていることから、多種多様の比重調整剤の配合が可能であり、分散媒と磁性表示体等との比重制御が容易となり、その比重制御によって磁性表示体の沈降を抑制することにより、チクソトロピック性や剪断減粘性等の制御負担を低減することができる。
さらに、前記分散液は、従来のように、経時放置後のチクソトロピック性の抑制を考慮するがあまり、初期状態において粘度や降伏値が下がりすぎたり、上がりすぎたりするようなことはなく、良好な初期状態を得ることができ、かつ、最大限のチクソトロピック抑制効果を奏する。
磁性表示体を分散した分散液は、特定の降伏値と粘度を有する必要がある。降伏値は、分散液中の磁性表示体が適正に分散され、かつ、表示面付近に保持されるように、その沈降を防止する作用を示す因子である。また、粘度は、磁気をかけたときに、その磁気をかけた部分のみの磁性体を制御するために重要な因子である。
前記降伏値および粘度は、磁性表示体の材質や形状、大きさ等に大きく関与するものであるが、上記作用を満たすものであれば、適宜設計可能である。
設計思想外の降伏値および粘度である場合、形成した表示の維持安定性が劣化したり、磁気ペンで筆記した際、周辺の磁性体が集まってしまう。このため、磁性体の分布が不均一になり、表示を形成する付近だけでなく、その周縁部の色までが変化することとなり、全体としてボケた表示となり、鮮明性が劣化する。
したがって、特定の降伏値および粘度を分散液に付与するために、増稠剤を配合する。
本発明においては、分散媒として水を用いるため、架橋型アクリル酸共重合体、架橋型無水マレイン酸共重合体、増粘多糖類、ポリビニルアルキルアミドから選ばれた1種または2種以上の水系増稠剤を使用する。増稠剤は、溶剤系に比べて、水系の方が、材料として豊富であり、その選択範囲が広く、それだけで、分散媒を水系とする利点があるが、さらに上記の増稠剤が好ましい。
中でも、キサンタンガム、ウェランガム、サクシノグリカン、グアーガム、ローカストビーンガムおよびそれらの誘導体等の増粘多糖類が好ましい。
ただし、表示方式が反転型の場合、増粘多糖類は、磁性表示体粒子の制御や該表示体の反転制御は良好に行うことができるが、該表示体粒子同士の凝集抑制効果の調整がやや困難であるため、慎重に用いる必要がある。これは、微小の磁性表示体粒子が、個々に微小な磁石を構成しており、粒子自身が保持する磁力が大きくなり、凝集力が強くなるためである。
これに対して、表示方式が泳動型等の場合は、磁性粒子自身が保持する磁力が小さいため、該磁性粒子同士の凝集力が比較的小さく、磁性表示体粒子を表示面側に保持することが容易である。
さらに、比重調整剤の添加により、さらなる沈降抑制力の向上も可能となり、より好ましい配合が得られる。
また、表示方式が反転型の場合である場合、他の表示方式に比べて粒子の反転制御、沈降防止等の条件が厳しいものとなるが、増稠剤として、架橋型アクリル酸共重合体や架橋型無水マレイン酸共重合体を用いると、良好に物性設計することができる。
ただし、プラスチック等を用いて、多セル構造の多面体を支持材として構成する場合には、架橋型アクリル酸共重合体や架橋型無水マレイン酸共重合体による増稠効果が、接着剤成分により阻害されやすいため、この点を考慮して、使用する接着剤を選択する必要がある。
なお、上記問題点は、支持材に、分散液の増稠効果に影響を与える接着剤等の成分が直接接触しない構造を採用することにより回避することができる。具体的には、マイクロカプセルを支持材として分散液を内包させる方法やプラスチック多セル構造体を物理的に圧着する方法等、支持材の構成に工夫を施した封入方法により解決することができる。
また、増稠剤としては、ポリビニルアルキルアミドも、前記架橋型アクリル酸共重合体と類似する優れた性能を示し、かつ、接着剤に対しても耐性を有するため、好適に用いることができる。
その他の増稠剤としては、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸アルキルエステル類、メタクリル酸アルキルエステル、グリコマンナン、寒天、カラゲニン、ベンジリデンソルビトールおよびベンジリデンキシリトールまたはこれらの誘導体、無機質微粒子、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリン・ラノリンアルコール・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレンオキサイド、脂肪酸アミド等のHLB値が8〜12のノニオン系界面活性剤、ジアルキルまたはジアルケニルスルホコハク酸の塩類等を、前記水系増稠剤の基本性能に影響を与えない範囲で併用することができる。
上記したような水系増稠剤を用いることにより、上記技術的課題は解決される。
さらに、比重調整剤を配合することにより、パネルにおける表示・消去を繰り返した際に、磁性表示体を誤って沈降させることなく、筆記性および表示性を維持し、特に、パネルを長期間放置した際等においても、初期状態および長期間経時放置後の内包液の物性を大きく変化させず、チクソトロピック性を抑制することができる磁性体表示パネルを得ることができる。
前記比重調整剤としては、水溶性の比重調整剤が好ましい。
前記水溶性の比重調整剤としては、広義には、比重1.0g/m3を超える水溶性物質が用いられるが、より効率的に比重を向上させるためには、ハロゲン化塩やポリ酸塩等、高比重、かつ、溶解度が高いものが好ましい。
前記比重調整剤の一例としては、モリブデン酸塩および/またはタングステン酸塩から選ばれた少なくとも1種類以上が挙げられる。具体的には、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、モリブデン酸アンモニウム、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸カリウム、タングステン酸アンモニウム、タングステン酸リチウム、タングステン酸マグネシウム等のモリブデン酸塩、タングステン酸塩等およびそれぞれのイソポリ酸塩およびヘテロポリ酸塩等のポリ酸塩が挙げられる。
ここで、ポリ酸とは、モリブデン、タングステン等の金属元素の酸素酸が縮合生成した多重酸であり、単一種類の金属によって構成され、縮合する陰イオンがすべて同じ型であるポリ酸をイソポリ酸と言い、二種類以上の陰イオンが縮合したポリ酸をヘテロポリ酸と言う。イソポリ酸塩としては、具体的には、メタモリブデン酸ナトリウム、メタモリブデン酸カリウム、メタモリブデン酸アンモニウム、パラモリブデン酸ナトリウム、パラモリブデン酸カリウム、パラモリブデン酸アンモニウム、メタタングステン酸ナトリウム、メタタングステン酸カリウム、メタタングステン酸アンモニウム、メタタングステン酸バリウム、パラタングステン酸ナトリウム等が挙げられる。ヘテロポリ酸塩としては、具体的には、モリブドリン酸ナトリウム、モリブドケイ酸ナトリウム、タングストリン酸ナトリウム、タングストケイ酸ナトリウム等が挙げられる。
これらの比重調整剤は、単独あるいは2種類以上を混合して使用することができる。
前記比重調整剤を配合することにより、分散媒と磁性表示体との比重差を制御することができ、より好ましい表示・消去の制御が可能となる。
したがって、増稠剤の選択等により降伏値が低い場合や、降伏値を意識的に低く設計したい場合等、経時的に磁性表示体が沈降してしまうおそれがある場合においても、前記比重調整剤を配合して比重を制御することによって、沈降を防止することができる。
また、前記比重調整剤によって、重力の影響を最小限にすることができ、泳動制御のための磁力も最小限で足り、粒子や筆記磁石、消去磁石等の選択範囲も広がるため好ましい。
表示方式が反転型や配向型である場合には、やや表面寄りに磁性表示体が集まるような比重調整を行い、また、泳動型である場合には、中性となるような比重調整等を行うことが考えられる。
また、水を主溶媒として用いた場合は、有機溶剤等を分散媒として用いた場合と比較して、磁性表示体および支持材との表面張力の差が大きくなり、濡れ性の問題が生じることがある。その際は、磁性表示体および支持材への濡れ性を改善するため、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ジメチルポリシロキサン等の表面活性剤等を配合することができる。
特に、磁性表示体に対する濡れ性は、該磁性表示体の分散状態や安定性に影響を与える要素であり、支持材に対する濡れ性は、空気残り等の問題が予想され、慎重な調整を要する。
また、磁性表示体の材質や構造を水に対する濡れ性が高いものとすることにより解決を図ることもできる。
前記分散液には、その他、必要に応じて、水溶性有機溶剤、pH調整剤、防腐剤、消泡剤等を添加することができる。
前記水溶性有機溶剤としては、水と相溶性のある従来汎用の溶剤を用いることができ、具体的には、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセリン、ソルビトール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3−ブタンジオール、ネオプレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
これらの水溶性有機溶剤は、水と比較して表面張力が低い傾向にあるため、上記問題解決のために表面張力を調整する意味で配合することもできる。また、これらの水溶性有機溶剤は、分散媒の沸点を上昇させる効果も同時に期待できる点で有用である。
ただし、有機溶剤は、支持材を構成する接着剤の選定の制限や磁性表示体に対する浸食のおそれがあるため、その選択には注意を要する。
また、分散媒の主成分を従来の高沸点有機溶剤系から水に変えたことによって、分散媒の経時的な蒸発が危惧されるが、蒸発を防止するためには、上記のような沸点を上昇させる水溶性有機溶剤を添加すること、支持材のガスバリア性を向上させること等によって、対策を講じることができる。
具体的には、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、芳香族ポリアミド等の水蒸気のバリア性が高い樹脂を用いて、ラミネート加工やコーティング加工等により表面をシールする方法、ポリエステル等を材料とする機能性積層フィルムを用いる方法、ガラス等の気密性透明材料を支持材の必要な部分に採用したり、積層させたりする方法、シリカ蒸着やアルミナ蒸着等による無機・金属蒸着膜を設ける方法等が挙げられる。
好適なガスバリア性を得るためには、使用される温度、湿度下で、適正な水蒸気透過率、酸素透過率等を有する材料を選択することが好ましい。
また、支持材としてマイクロカプセルを採用する場合は、蒸発防止層を設けた多重マイクロカプセルとして形成する等の方法によって、水分の蒸発を抑制することもできる。
また、前記pH調整剤としては、アンモニア、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、酢酸ソーダ等の無機塩類、トリエタノールアミンやジエタノールアミン等の水溶性アミン化合物等の有機塩基性化合物等が挙げられる。
また、前記防腐剤としては、石炭酸、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン等が挙げられる。
表示方式が泳動型の場合には、磁性表示体としては、黒色マグネタイト、γ−ヘマタイト、二酸化クロム、フェライト等の酸化物磁性材料やコバルト、ニッケル等の合金系の金属磁性材料を、粉末もしくは薄片として用いることができる。また、大きさ、形状等を調整するために、造粒して用いてもよい。
前記磁性表示体の大きさは、微粉から粗大粒のものまで目的に応じて使用することができ、また、形状は、球状、柱状、塊状、薄片状等のものが用いられる。
ただし、磁性表示体の大きさは、ばらつきがあると泳動性もばらつくため、表示の鮮明性の観点から、均一にすることが好ましい。
また、前記磁性表示体は、各種の着色材を混入したり、各種の材料で表面を被覆して、固有の色とは異なる色調にして使用することもできる。
一方、表示方式が反転型の場合には、磁性表示体のS極面とN極面とが異なる色であればよく、形状は特に限定されない。例えば、両面を異なる色で着色した扁平状の磁性表示体等が用いられる。
さらに、前記磁性表示体は、磁気ペンで筆記したときの表示形成性と形成された表示の鮮明性の観点から、色分けした微小粒子状であって、特定の色の合成樹脂および/または合成ゴム組成物に磁性粒子を分散させた層の片面に、異なる色の着色組成物を塗布もしくは着色シートをラミネートした層状体を、裁断または粉砕してなるものであることがより好ましい。
本発明者の研究によると、磁性表示体は、反対極の磁力を作用させると反転するが、扁平状または薄片状の磁性表示体は、重なった状態でずれながら反転する。このため、表示の形成速度が大きく、しかも、反転しないものおよび反転が不完全なものが混在することが少なく、鮮明な表示が形成されるため好ましい。
本発明で使用する水系増稠剤としては、架橋型アクリル酸共重合体、架橋型無水マレイン酸共重合体、増粘多糖類、ポリビニルアルキルアミドが挙げられる。具体的には、ハイビスワコー103(和光純薬工業株式会社製)、ハイビスワコー104(同社製)、ハイビスワコー105(同社製)、カーボポール 941(日光ケミカルズ株式会社製)、カーボポール 1342(同社製)、カーボポールUltrez 21(同社製)、カーボポールAQUA SF−1(同社製)、レオジック835H(日本純薬株式会社製)、PEMULEN TR−1(日光ケミカルズ株式会社製)、PEMULEN TR−2(同社製)等の架橋型アクリル酸共重合体、スタビリーゼ06(アイエスピー・ジャパン株式会社製)、スタビリーゼQM(同社製)等の架橋型無水マレイン酸共重合体、サクシノグリカン(メイポリ、三晶株式会社製)、ケルザン(キサンタンガム、同社製)、K1A96(ウェランガム、同社製)、メイプログアー(グアーガム、同社製)、ゲニューガム(ローカストビーンガム、同社製)等の増粘多糖類、GX−205(昭和電工株式会社製)、ノニオレックス(同社製)等のポリビニルアルキルアミド等が挙げられ、それらの誘導体等も使用することができる。
特に、接着剤や比重調整剤の選定条件等を考慮する場合は、増粘多糖類、ポリビニルアルキルアミドが好ましく、また、磁性表示体粒子同士の凝集抑制効果等について考慮する場合は、架橋型アクリル酸共重合体、架橋型無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルキルアミドが好ましい。これらは、単独または混合して使用することもできる。
前記磁性表示体の分散液を保持する方法としては、特に限定されず、間隔をあけて配設した2枚の周辺を封じた支持材、間隔をあけて配設した2枚の基板間に正六角形のハニカムセルを配置した支持材、基板にマイクロカプセルを配置した支持材等が適宜使用される。
以下、本発明の実施例を述べるが、本発明は下記実施例によって限定されるものではない。
さらに、増稠剤としてポリビニルアセトアミド(昭和電工株式会社製:GX−205)0.15質量部を加えて撹拌溶解(25℃)し、降伏値0.81N/m2、20℃における粘度154mPa・sの塑性液を得た。
前記降伏値は、ストレス制御式レオメータ(英国キャリメ社製、CSL−100)を用いて測定した。測定においては、20℃にて、4cm・2°コーンプレートを使用した。
また、前記粘度は、E型粘度計(ブルックフィールド社製、DV−2型)を用いて測定した。測定においては、20℃で、前記E型粘度計に付属のCP−42コーンスピンドルを使用して、分散液を100rpmで1分間回転させた後、続けて、10rpmで5分間回転させて測定した際の値を用いた。
以下の実施例および比較例においても同様である。
次に、前記塑性液に、緑/白2色に塗り分けられた薄片状の磁性表示体を、塑性液100質量部に対して磁性表示体8質量部の割合で配合して撹拌し、塑性液中に磁性表示体を均一に分散させた分散液体を得た。
引き続き、前記分散液体を、板厚0.125mmのポリエステル樹脂フィルムの片面に、接着剤を用いて接着させたセルサイズ3.5mmの正六角形状、高さ1.0mmの塩化ビニル樹脂製ハニカムセルの多セル構造物のセル内に充填した。
その後、前記多セル構造物の開放面を、厚さ0.05mmのポリエステル樹脂フィルムで、接着剤を用いて被覆し、セル中に分散液体を封入して表示パネルを得た。
そして、前記パネルの片側に、磁石のS極を接触させて、ハニカムセル内の2色に塗り分けられた磁性表示体を表面側に片寄らせて、粒子同士が一部重なりつつ整列するように並べて、緑色の表示面を形成させた。
次に、前記表示面に対して、表面のポリエステル樹脂フィルムの上から、磁石のN極で筆記操作を行ったところ、緑色の表示面に磁石のN極が通過した部位のみ白色の鮮明な表示を得ることができた。
次に、再び、磁石のS極を用いて、白色の表示部分を上から擦るように操作したところ、白色面を表面に向けていた磁性表示体が反転し、再び緑色の表示面を戻すことができた。
上記表示パネルの評価結果を表1に示す。
さらに、増稠剤として架橋型アクリル酸共重合体(和光純薬株式会社製:ハイビスワコー105)0.10質量部を加えて、撹拌溶解した。
これに、pH調整剤としてトリエタノールアミン0.12質量部を加えて、降伏値0.57N/m2、20℃における粘度173mPa・sの塑性液を得た。
次に、前記塑性液に、緑/白2色に塗り分けられた薄片状の磁性表示体を、塑性液100質量部に対して磁性表示体8質量部の割合で配合して撹拌し、塑性液中に磁性表示体を均一に分散させた分散液体を得た。
引き続き、この分散液体を、板厚0.125mmのポリエステル樹脂フィルムの片面に、接着剤を用いて接着したセルサイズ3.5mmの正六角形状、高さ1.0mmの塩化ビニル樹脂製ハニカムセルの多セル構造物のセル内に充填した。
その後、多セル構造物の開放面を、厚さ0.05mmのポリエステル樹脂フィルムで圧着被覆し、セル中に分散液体を封入して表示パネルを得た。
そして、実施例1と同様に、パネル上面から筆記および消去を行ったところ、良好に行うことができた。
上記表示パネルの評価結果を表1に示す。
また、分散媒としてのイオン交換水66.55質量部にポリオキシエチレンソルビタンエステル(花王株式会社製:レオドールスーパーLW120)0.10質量部、シリコン系消泡剤(花王株式会社製:アンチホームE−20)0.01質量部を加えて、均一溶液とした。
これに、前記増稠剤ペースト33.34質量部を加えて、ディスパーにて常温撹拌を行い、降伏値0.06N/m2、20℃における粘度143mPa・sの塑性液を得た。
次に、前記塑性液に、緑/白2色に塗り分けられた薄片状の磁性表示体を、塑性液100質量部に対して磁性表示体8質量部の割合で配合して撹拌し、塑性液中に磁性表示体を均一に分散させた分散液体を得た。
引き続き、前記分散液体を、板厚0.125mmのポリエステル樹脂フィルムの片面に、接着剤を用いて接着したセルサイズ3.5mmの正六角形状、高さ1.0mmの塩化ビニル樹脂製ハニカムセルの多セル構造物のセル内に充填した。
その後、多セル構造物の開放面を、厚み0.05mmのポリエステル樹脂フィルムで接着剤を用いて被覆し、セル中に分散液体を封入して、表示パネルを得た。
そして、実施例1と同様に、パネル上面から筆記および消去を行ったところ、得られた磁性体表示パネルは、磁性体粒子の凝集を十分に抑制することができず、筆記性および消去性とも不鮮明な表示になりがちで、性能はやや劣るものの、使用可能なレベルであった。
上記表示パネルの評価結果を表1に示す。
前記カプセルの膜剤としてセバコイルクロライドの5%トルエン溶液を用い、同心円上に設けられた2重ノズルの外側のノズルから膜剤溶液を押出し、内側のノズルからは磁性表示体を分散させた前記分散液体を押出し、圧力と速度を制御して、カプセルの形状、大きさを整えた。前記ノズルから押出されたカプセルは、ヘキサメチレンジアミンの10%水溶液に滴下させ、界面重合によるポリアミドカプセルとした。得られたカプセルの粒径は約2mmであった。
前記カプセルを深さ2mmの塩化ビニル樹脂製トレーに隙間なく並べ、塩化ビニル樹脂フィルムを重ねた後、トレーのフランジ部分と塩化ビニル樹脂フィルムを熱融着して、表示パネルを得た。
前記パネルの上面から、筆記および消去を行ったところ、良好に行うことができた。
上記表示パネルの評価結果を表1に示す。
また、分散媒としてのイオン交換水78.14質量部に、ポリオキシエチレンソルビタンエステル(花王株式会社製:レオドールスーパーLW120)0.10質量部、シリコン系消泡剤(花王株式会社製:アンチホームE−20)0.01質量部を加えて、均一溶液とした。
これに、着色剤として白色顔料分散体(東洋インキ製造株式会社製:EM−WHITE FX9048)1.95質量部、前記増稠剤ペースト19.80質量部を加えて、ディスパーにて常温撹拌を行い、降伏値0.06N/m2、20℃における粘度76mPa・sの塑性液を得た。
次に、マグネタイトのエポキシ樹脂混練物(マグネタイト配合比率80質量%)の粉砕粒状物(粒径10〜150μm)を黒色の磁性表示体として用い、塑性液100質量部に対し磁性表示体11.94質量部の割合で配合して撹拌し、塑性液中に磁性表示体を均一に分敗させた分散液体を得た。
引き続き、前記分敗液を、板厚0.125mmのポリエステル樹脂フィルムの片面に、接着剤を用いて接着したセルサイズ3.5mmの正六角形状、高さ1.0mmの塩化ビニル樹脂製ハニカムセルの多セル構造物のセル内に充填した。
その後、多セル構造物の開放面を、厚さ0.05mmのポリエステル樹脂フィルムで接着剤を用いて被覆し、セル中に分散液体を封入して表示パネルを得た。
その後、このパネルの上面から筆記を、裏面から消去を行ったところ、筆記および消去を良好に行うことができた。
上記表示パネルの評価結果を表2に示す。
これに、実施例5において作製した増稠剤ペースト19.80質量部を加えて、ディスパーにて常温撹拌を行い、降伏値0.06N/m2、20℃における粘度96mPa・s、比重1.80g/cm3の塑性液を得た。
次に、着色剤として白色顔料分散体(東洋インキ製造株式会社製:EM−WHITE FX9048)1.95質量部、磁性表示体として実施例5で用いた磁性表示体を11.94質量部の割合で配合して撹拌し、塑性液中に磁性表示体を均一に分散させた分散液体を得た。
引き続き、前記分敗液を、板厚0.125mmのポリエステル樹脂フィルムの片面に、接着剤を用いて接着したセルサイズ3.5mmの正六角形状、高さ1.0mmの塩化ビニル樹脂製ハニカムセルの多セル構造物のセル内に充填した。
その後、多セル構造物の開放面を、厚さ0.05mmのポリエステル樹脂フィルムで、接着剤を用いて被覆し、セル中に分散液体を封入して表示パネルを得た。
そして、前記パネルの上面から筆記を、裏面から消去を行ったところ、比重調整剤の効果により、分散媒と磁性表示体との比重差を制御することができるようになり、より好ましい泳動コントロールが可能となり、筆記および消去をより良好に行うことができた。
上記表示パネルの評価結果を表2に示す。
次に、増稠剤として架橋型無水マレイン酸共重合体(アイエスピー・ジャパン株式会社製:スタビリーゼ06)0.15質量部を加え、80℃にて撹拌溶解した。
これに、pH調整剤としてトリエタノールアミン0.27質量部を加えて、降伏値0.36N/m2、20℃における粘度381mPa・sの塑性液を得た。
次に、前記塑性液に、緑/白2色に塗り分けられた薄片状の磁性表示体を、塑性液100質量部に対して磁性表示体8質量部の割合で配合して撹拌し、塑性液中に磁性表示体を均一に分散させた分散液体を得た。
引き続き、前記分敗液を、板厚0.125mmのポリエステル樹脂フィルムの片面に接着剤を用いて接着したセルサイズ3.5mmの正六角形状、高さ1.0mmの塩化ビニル樹脂製ハニカムセルの多セル構造物のセル内に充填した。
その後、多セル構造物の開放面を、厚さ0.05mmのポリエステル樹脂フィルムで圧着被覆し、セル中に分散液体を封入して表示パネルを得た。
そして、実施例1と同様に、パネルの上面から筆記および消去を行ったところ、良好に行うことができた。
前記表示パネルの評価結果を表2に示す。
[比較例1]
増稠剤としてポリエチレンオキサイド(明成化学工業株式会社製:アルコックスE−240)を用いて、それ以外は実施例1と同様にして、塑性分散液の配合組成を表1の比較例1に示したとおりにして調整したところ、降伏値0.00N/m2、20℃における粘度175mPa・sの塑性液を得た。
前記塑性液100質量部に、実施例1と同様の方法で調製した磁性表示体8質量部を加えて撹拌して、分散液を得た。
その後、実施例1と同様にパネルを形成し、表示パネルを得た。
前記表示パネルを、実施例1と同様に、パネル表面から磁石のN極を接触させ、表示面側に磁性表示体を引き寄せて、白色面側を表面板側に向けて整列させた後、磁石のS極を表示面板に接触させて筆記を行ったが、筆記および消去を良好に行うことはできなかった。
上記表示パネルの評価結果を表2に示す。
増稠剤として使用したポリエチレンオキサイドは、分散媒に対しては剪断減粘性を付与することはできるが、降伏値については付与できないが、あるいはまた、付与できたとしても著しく小さく、比重の大きい磁性表示体を液中に保持することができないためと考えられる。
試験および評価
上記の各実施例および比較例における磁性体表示パネルにおける試験項目および評価を下記に示す。
(1)筆記性
筆記操作を行った時の筆記線の状態を目視観察した。
○・・・筆記部分の幅が一定で、鮮明に表示されている。
△・・・筆記部分が一部掠れて表示されている。
×・・・筆記不能であった。
(2)消去性
消去操作を行った時の筆記線の状態を目視観察した。
○・・・良好に消去することができた。
△・・・消去が不完全であった。
×・・・元々筆記することができていないか、できていても消去不能のところが多かった。
Claims (2)
- 分散液と前記分散液を保持する支持材とを備えた磁性体表示パネルであって、
前記分散液が、微小粒子状の磁性表示体、分散媒としての水および水系増稠剤を主成分とし、降伏値を有する分散液体であり、
前記水系増稠剤が、架橋型アクリル酸共重合体、架橋型無水マレイン酸共重合体、増粘多糖類、ポリビニルアルキルアミドから選ばれた1種または2種以上であることを特徴とする磁性体表示パネル。 - 前記分散液に比重調整剤が配合されていることを特徴とする請求項1記載の磁性体表示パネル。
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