JPWO2004090071A1 - コークス炉炭化室の診断装置および診断方法 - Google Patents

コークス炉炭化室の診断装置および診断方法 Download PDF

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Abstract

コークス炉炭化室の診断装置および診断方法に関するものであって、コークス炉炭化室内部に導入される内部観察手段の軌跡を特定し、炭化室長手方向中心線から左右の各炉壁までの距離を求める方法を提供する。さらに、前記測定距離に基づいて、炭化室の炉壁の状態を定量的に診断する方法を提供する。

Description

本発明はコークス炉炭化室の診断装置および診断方法に関するものであり、より詳細には、炭化室の炉壁への炭化物(カーボン)の付着や炉壁の欠損、炉壁の変形・移動などによる広狭化などの炉壁状態を診断するのに好適な診断装置および診断方法に関するものである。
コークス炉には、石炭を高温乾留するための炭化室と、炭化室を加熱するための燃焼室とが交互に配置されており、コークスの製造は、原料となる石炭を炭化室内に充填し、約1,000℃の高温で20時間程度乾留した後、押出ラムで生成コークスを炭化室から押出すサイクルを繰り返すことによって行なわれる。
コークス炉炭化室は、室内に充填された石炭への伝熱効率を高めるために、一般に幅約400〜約500mm、長さ約15,000〜約20,000mm、高さ約4,000〜約7,000mmという狭幅の細長い空間であり、炭化室の炉壁は耐火煉瓦で構成されている。耐火煉瓦からなる炉壁であっても、上記過酷な条件での連続操業によって欠損箇所が生じたり、カーボンの付着が生じたりする。特に、原料となる石炭の充填時や生成コークスの押出時には、炉壁方向にも大きな負荷(圧力)がかかるので、炭化室の炉壁は、欠損、変形、移動を起こす。現在稼動しているコークス炉の平均寿命は、約30年といわれているが、コークス炉を新たに設備投資するコストは近年極めて高額につき、新たな設備投資は、コークス製造コストを著しく押し上げることになる。そのため、現状のコークス炉を保守・点検することにより、その寿命をいかに延長できるかということが、コークス製造業界の重要な課題となっている。
コークス炉炭化室の炉壁の劣化状態としては、例えば、炉壁自体が移動や変形して炉幅に広狭が生じている場合、炉壁の煉瓦に欠損が生じて炉幅が広がっている場合、炉壁にカーボンが付着して炉幅が狭くなっている場合など様々である。
従来の保守・点検方法は、生成コークスを押出す時の押出ラムの負荷電力値の管理や目視観察に基づいて行なわれている。しかし、炭化室は上述したような狭幅の細長い空間のため、目視では炭化室内部の詳細を観察できない。また、負荷電力値の管理によっても、上述した様な様々な炉壁の劣化状態を特定できない。そのため、従来の保守・点検方法は、炭化室炉壁の状態を正確、かつ定量的に把握できるものではなかった。また、従来の保守・点検方法では、炭化室炉壁の状態を的確に把握できないので、不必要な補修によるコークス生産性の低下や不適切な補修方法による保守・点検コストの増大などの問題が懸念されていた。
近年、例えば、登録実用新案第3032354号公報、特開2000−336370号公報には、コークス押出装置の押出ラム上にビデオカメラやレーザー距離計などを備えた内部観察手段を設置し、これを用いて炭化室内部の状態を観察する保守・点検方法が開示されている。
しかし、これらの保守・点検方法は、内部観察手段の両側の炉壁までの距離をそれぞれ測定し、各炉壁までの距離を合わせて炉幅の距離として測定するものである。このような炉幅を測定する方法では、図1に示したような正常な炭化室の炉幅と、図2に示したような一方の炉壁20にカーボンが付着し、他方の炉壁20に欠損が生じているような炭化室の炉幅を区別できないという問題もあり、精度上の問題があった。
炭化室の炉幅しか測定できない主な理由は、炭化室内部へ導入される内部観察手段の位置を特定することが困難だからである。これはまず、コークス押出機自体を炭化室に対して一定の位置・方向に設置することが困難であり、押出ラムに設置されて、炭化室内部に導入される内部観察手段の位置や方向を特定できないからである。例えば、押出機が炭化室に対して正対していない場合には、内部観察手段が設置されている押出ラムが炭化室にななめに挿入されることになる。このような場合、押出ラムの炭化室長手方向の中心線からのずれが炭化室入口においては僅かであっても、炭化室は細長い空間であるために、炭化室出口でのずれは大きなものとなる。さらに、押出時の負荷やカーボン付着などによっては、押出ラムが炭化室内部を真直ぐに移動せず、蛇行する場合もある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、従来の保守・点検方法より正確、かつ、定量的にコークス炉炭化室を診断するための診断装置および診断方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決することのできた本発明のコークス炉炭化室の診断装置は、コークス押出機本体、コークス押出機本体に設けられた押出ラム、前記押出ラムに設置された内部観察手段、前記押出機本体側または前記押出ラム側に設置されたレーザー出力手段、前記レーザー出力手段から照射されるレーザーを受光する受光手段(以下、「レーザー受光手段」と称する場合がある)、及び、前記レーザー受光手段のレーザー受光位置を認識する手段(以下、「レーザー受光位置認識手段」と称する場合がある)とを備えることを特徴とする。本発明の診断装置は、コークス押出機を利用することによって、コークス生産効率を低下させることなく、コークス炉炭化室の炉壁状態を診断できる。また、上記レーザー出力手段と、レーザー受光手段と、レーザー受光位置認識手段とを備えることによって、炭化室内に内部観察手段を導入したときに、炭化室内の内部観察手段の軌跡を特定できる。
炭化室内の内部観察手段の軌跡が特定されると、内部観察手段を基準位置として測定した左右の各炉壁までのそれぞれの実測測定距離から、炭化室長手方向中心線から左右の各炉壁までの距離を算出することができ、左右の各炉壁状態の情報を個別に得ることができる。
本発明の診断装置では、前記レーザー出力手段を前記押出機本体に設置し、該レーザー出力手段から照射されるレーザーを、前記押出ラムに設置されたレーザー受光手段で受光するようにすることが好ましい態様である。また、前記内部観察手段は、距離測定手段および画像撮像手段を備えるものであることが好ましい。さらに、前記内部観察手段は、耐熱ケーシングを有し、該耐熱ケーシング内に、距離測定手段、画像撮像手段、給電手段、及び、測定データ処理手段を備えることも好ましい態様である。耐熱ケーシング内に各手段を備えることによって、炭化室内部の高熱から各手段を保護することができる。
前記内部観察手段は、さらに上述したレーザー受光位置認識手段も備えることもできる。前記レーザー受光位置認識手段として好ましいのは、例えば画像撮像手段である。前記耐熱ケーシングは、1層以上の断熱層からなり、前記断熱層の少なくとも1層はセラミック繊維からなる層であることが好ましい。また、前記耐熱ケーシングは、1層以上の断熱層からなり、前記断熱層の少なくとも1層が、真空断熱層であることも好ましい態様である。
本発明のコークス炉炭化室の診断方法とは、コークス炉炭化室の内部観察手段を用いて、コークス炉炭化室の任意の高さにおける長手方向複数位置の炉壁までの距離を測定し、炭化室長手方向中心線から炉壁までの距離変位線(以下、「測定距離変位線」と称する場合がある)を求めて、前記測定距離変位線に基づいて、測定距離変位線の平準化変位線を求めて、前記測定距離変位線と前記平準化変位線とを比較し、および/または、炭化室長手方向の設計炉壁距離変位線(以下、「設計距離変位線」と称する場合がある)と前記平準化変位線とを比較することにより、前記炭化室の炉壁状態を診断することを特徴とする。
ここで、測定距離変位線とは、内部観察手段によって実際に測定された炉壁までの距離から求めた炭化室長手方向中心線から炉壁までの距離を、炭化室の長手方向にわたって示す線であり、平準化変位線とは、カーボンの付着や炉壁の欠損などによる炉壁表面の変位を均すことによって、前記測定距離変位線を平準化(スムーズ化)した変位線であり、炭化室長手方向の設計炉壁距離変位線は、コークス炉設計時における炭化室長手方向の中心線から炉壁までの距離を、炭化室長手方向にわたって示す線である。
本発明では、前記測定距離変位線と前記平準化変位線とを比較することにより、炉壁のカーボン付着や欠損などの炉壁表面の変化による変位が分かり、前記炭化室長手方向の設計距離変位線と前記平準化変位線とを比較することにより、炉壁自体が移動・変形することによる変位がわかる。炉壁の全体の変位をこれらの2種類の変位に分離することによって、炭化室の炉壁の状態を定量的に診断することができる。本発明ではさらに、炭化室の左右の各炉壁のそれぞれの状態を診断することができるので、上述したような炉幅全体として異常が認められない場合にも、各炉壁の状態について、正確な診断をすることができる。
また、本発明によれば、炭化室の各炉壁について、前記測定距離変位線に基づいて、測定距離変位線の平準化変位線を求め、さらに、前記平準化変位線と前記測定距離変位線とによって囲まれた面積の総和、および/または、炭化室長手方向の設計炉壁距離変位線と前記平準化変位線とによって囲まれた面積の総和を求めて、前記面積の総和に基づいて前記炭化室の炉壁状態を診断することもできる。
前記面積の総和は、任意の高さにおける炭化室の各炉壁の全体の状態を指標するものであり、前記面積の総和を判断基準とすることによって、コークス炉炭化室の左右の各炉壁の状態について定量的な評価をすることができ、さらには、各炭化室の炉壁状態を相対評価することができる。
図1 炉壁に欠損がない炭化室の水平断面図。
図2 炉壁に欠損及びカーボンの付着がある炭化室の水平断面図。
図3 本発明のコークス炉診断装置を例示する概略側面図。
図4 本発明のコークス炉診断装置を例示する概略側面図。
図5 内部観察手段を例示する水平断面図。
図6 本発明のコークス炉診断装置の別例を例示する側面図。
図7 内部観察手段の炭化室内の位置関係を例示する説明図。
図8 押出ラムの挿入状態及びレーザー受光位置の変位を例示する説明図。
図9 炭化室内のレーザーの傾斜を例示する説明図。
図10 炉壁状態を例示する炭化室の任意高さにおける水平断面図。
図11 平準化変位線と測定距離変位線とによって囲まれた部分の面積を概念的に示す炭化室の任意高さにおける水平断面図。
図12 平準化変位線と設計距離変位線とによって囲まれた部分の面積を概念的に示す炭化室の任意高さにおける水平断面図。
図13 炭化室入口からの距離Lにおけるレーザー受光位置の変位(X)を示すグラフ。
図14 炭化室入口からの距離Lにおける押出ラムの軌跡(D)を示すグラフ。
図15 炭化室長手方向中心線から左右の炉壁までの距離を示すグラフ。
図16 炭化室左側炉壁についての測定距離変位線、平準化変位線、設計距離変位線を示すグラフ。
図17 炭化室右側炉壁についての測定距離変位線、平準化変位線、設計距離変位線を示すグラフ。
図18 炭化室の炉幅についての測定距離変位線、平準化変位線、設計距離変位線を示すグラフ。
図19 製造サイクルの異なる炭化室左側炉壁について、測定距離変位線、設計距離変位線を示すグラフ。
図20 製造サイクルの異なる炭化室右側炉壁について、測定距離変位線、設計距離変位線を示すグラフ。
1.コークス炉炭化室の診断装置
まず、本発明のコークス炉炭化室の診断装置について説明する。
本発明のコークス炉炭化室の診断装置は、コークス押出機本体、コークス押出機本体に設けられた押出ラム、前記押出ラムに設置された内部観察手段、前記押出機本体側または前記押出ラム側に設置されたレーザー出力手段、前記レーザー出力手段から照射されるレーザーを受光する受光手段、及び、前記レーザー受光手段のレーザー受光位置を認識する手段とを備えることを特徴とする。
本発明の診断装置は、コークス押出機を利用することによって、コークス生産効率を低下させることなく、コークス炉炭化室の炉壁状態を診断できる。前記コークス押出機としては、コークス押出機本体と前記コークス押出機本体に設けられた押出ラムとを備えるものであれば、特に限定されない。
図3は、本発明のコークス炉炭化室の診断装置を例示する概略側面図である。前記診断装置は、レーザー出力手段4を備えた押出機本体1、該押出機本体1によって炭化室内へ導入される押出ラム2を備え、前記押出ラム2には、内部観察手段3、レーザー出力手段4から照射されるレーザーを受光するレーザー受光手段5、レーザー受光位置認識手段6が設置されている。また、図4及び図5に示すようにレーザー受光位置認識手段6を内部観察手段3に備えさせることも好ましい態様である。
前記内部観察手段が備える検査手段は、診断の目的に応じて適宜選択できるが、例えば、炭化室の炉壁状態を観察するための画像撮像手段、或いは、炭化室の壁面までの距離を測定する距離測定手段などを挙げることができる。特に、前記内部観察手段が画像撮像手段と距離測定手段とを備えることが好ましい態様である。
前記画像撮像手段としては、(デジタル)ビデオカメラ、CCDカメラ、ファイバースコープなどを挙げることができ、前記距離測定手段としては、マイクロ波距離計、レーザー距離計などの非接触式距離計を挙げることができる。マイクロ波距離計は、マイクロ波若しくはミリ波領域の電磁波を炭化室壁面へ照射してから、反射してくる電磁波を採取するまでの時間を計測し、前記時間を距離に換算するものである。また、レーザー距離計としては、三角測距式のものを使用することが好ましい。
前記内部観察手段は、さらに距離測定手段や画像撮像手段を動作させるための給電手段や、距離測定手段や画像撮像手段からの測定データを処理・保存する測定データ処理手段などの複数の手段を備えるものであってもよい。特に、前記内部観察手段が、耐熱ケーシングを有し、該耐熱ケーシング内に、上述した距離測定手段、画像撮像手段、給電手段、及び、測定データ処理手段を備えることも好ましい態様である。内部観察手段が、耐熱ケーシング内に上記各手段を備えることによって、炭化室の高熱から各手段を保護できるとともに、内部観察手段を取外し可能なポータブルなものとすることができるからである。またさらに、前記内部観察手段が、後述するレーザー出力手段或いはレーザー受光位置認識手段を備えることも好ましい態様である。
図5は、押出ラム2に設置された内部観察手段3を例示する水平断面図である。内部観察手段3は、3層の断熱層からなる耐熱ケーシング10を有し、その内部に、給電手段13、レーザー受光位置認識手段6であるビデオカメラ、距離測定手段11であるレーザー距離計、測定データ処理手段12、炉壁の表面変位(凹凸)を観察するための画像撮像手段14であるビデオカメラ、及び、レーザー式位置検出スイッチ15を備え、配線19によって接続されている。上記レーザー距離計11や給電手段13などを耐熱ケーシング10内に備えることによって、内部観察手段3を取外し自在のポータブルタイプにすることができる。また、前記耐熱ケーシング10には、レーザー距離計11から照射されるレーザーの透過部、或いは、レーザー受光位置認識手段6及び画像撮像手段14の視野部となる窓18が設けられている。前記窓18は、断熱性という観点から金属蒸着の耐熱ガラスで構成されていることが好ましい。
前記耐熱ケーシング10は、レーザー距離計11やビデオカメラ6、14などの測定手段を炭化室内の熱から保護するためのものであり、1層以上の断熱層を有するものであれば、特に限定されない。前記耐熱ケーシング10を構成する断熱層としては、例えば、セラミックス繊維からなる断熱層や真空断熱層などを挙げることができる。セラミックス繊維からなる層は耐熱・耐火性、断熱性などに優れるので、耐熱ケーシング10を構成する断熱層の少なくとも1層をセラミックス繊維から成る層とすることが好ましい。特に、前記耐熱ケーシングを複数の断熱層からなる耐熱ケーシングとすることが好ましく、例えば、セラミックス繊維プレート層、熱伝導性の低い微孔質の遮断プレート層、及び、耐火領域からの高い使用温度を持つセラミックス繊維からなる層を有するものは耐熱ケーシングとして好適に使用することができる。
また、耐熱ケーシングを構成する断熱層の少なくとも1層を真空断熱層とすることも好ましい態様である。前記真空断熱層は、例えば、耐熱ケーシング内部にはめ込むことができる層状の密閉容器であり、断熱効果を有する程度に減圧されているものであれば特に限定されない。この場合、炉壁の状態を画像により観察し、或いは、炉壁にレーザーを照射するという観点から、層状密閉容器の材質は、耐熱ガラスなどの透明部材で形成されていることが好ましい。また、層状密閉容器の材質の一部のみを透明部材で形成し、或いは、層状密閉容器の一部分を開口部とし、かかる部分をレーザー距離計11から照射されるレーザー光の透過部、或いは、レーザー受光位置認識手段6および画像撮像手段14の視野部とすることも好ましい態様である。前記耐熱ケーシング10には、さらに内層として金属製のガイドフレームが、また、外層として前記断熱層を機械的な損傷から保護する目的の多孔体層が設けられていてもよい。
前記内部観察手段には、左右両側の炉壁に照射するため少なくとも2台のレーザー距離計11,11が備えられていることが好ましい。レーザー距離計11,11を2台を備えている場合には、同時に両側のそれぞれの炉壁までの距離を測定できるからである。1台しか備えられていない場合は、まず一方の炉壁までの距離を測定した後、レーザー距離計11の向きを代えて、他方の炉壁までの距離を測定すればよい。また、図5の態様では、レーザー距離計の前方に鏡17が設置され、レーザー距離計11から照射されるレーザーが鏡17に反射して炉壁20へ照射するように構成されているが、レーザーを直接炉壁に照射するように設置してもよい。また、レーザー距離計11から照射されるレーザーの波長が属する特定波長領域の光線のみを透過させるバンドパスフィルタ16をレーザー距離計11の前方に設置し、測定精度を高めることも好ましい態様である。
前記測定データ処理手段12は、レーザー距離計11やビデオカメラ6、14などで測定されたデータを保存するものであれば特に限定されず、例えば、メモリー、ハードディスクなどの記録媒体を挙げることができる。また前記測定データ処理手段12は、電子部品を制御したり、測定データを処理・保存する機能などを有するプログラム可能なコンピュータであってもよく、例えば、タイマーによる電源のオン・オフ機能や、測定データを時刻に関連づけて保存する機能や測定データの演算処理ができるようにプログラムをすることができる。
前記内部観察手段3が、炭化室内部に入ったことを検出するレーザー式位置検出スイッチ15を備えていることも好ましい態様である。前記レーザー式位置検出スイッチ15は、例えば、押出機のフレームに取付けた反射板(図示せず)に向かってレーザーを照射し、反射板で反射されたレーザー反射光を検出することによって、給電手段13と連動して、内部観察手段内の電子部品の電源をオンまたはオフとするものである。前記反射板としては、押出ラムの輻射熱を考慮して、例えば、耐熱性の反射布を使用することが好ましい。また、タイマー機能を併用し、レーザー反射光を検出してから一定時間後に内部観察手段3に備えられた各手段の電源をオンとすることも好ましい態様である。このような構成とすることにより、電子部品の消費電力を少なくすることができる。
次に、本発明の診断装置が備えるレーザー出力手段、レーザー受光手段、及び、レーザー受光位置認識手段について説明する。
前記レーザー出力手段は、特に限定されないが、例えば、波長が635nm、出力が15mWの真円コリメート(平行)光出力レーザーマーカを使用できる。
前記レーザー受光手段は、レーザー出力手段から照射されるレーザーを受光できる面を有するものであれば特に限定されず、例えば、碁盤目状の目盛が設けられた板状のものを挙げることができる。碁盤目状の目盛を設けておけば、レーザー受光位置認識手段によって、レーザー受光位置の変位を容易に測定することができるからである。また、レーザー受光手段を押出ラム側に設ける場合には、耐熱性が要求されるので、例えば、セラミック板や鋼鉄板を使用することが好ましい態様である。
前記レーザー受光位置認識手段は、レーザー受光手段に照射されたレーザー受光位置を認識できるものであれば、特に限定されず、例えば、画像撮像手段を挙げることができる。前記画像撮像手段としては、レーザー受光手段に照射されたレーザー受光位置を撮像し、撮像した画像データを、メモリーやハードディスク、ビデオテープなどの記録媒体、或いは、上述した測定データ処理手段に保存できるものが好ましく、例えば、(デジタル)ビデオカメラ、CCDカメラ、ファイバースコープなどを挙げることができる。
また、レーザー受光手段のレーザー受光位置の変位を精度よく認識するために、画像撮像手段(レーザー受光位置認識手段)の視野や解像度などの性能に応じて、レーザー受光手段と画像撮像手段(レーザー受光位置認識手段)との距離を設定することが好ましく、例えば、レーザー受光手段と画像撮像手段との距離はある程度短く(例えば、約0.2〜0.3m)、かつ、一定にしておくことがより好ましい。レーザー受光手段と画像撮像手段との距離が、短く、かつ、一定の場合には、画像撮像手段の焦点の設定が容易になり、レーザー受光位置の変位の測定精度を高めることができるからである。
本発明では、レーザー出力手段を押出機本体側、或いは、押出ラム側に設置することができ、例えば、レーザー出力手段を押出機本体に設置し、レーザー出力手段から照射されるレーザーを、押出ラムに設置された受光手段で受光する態様、或いは、レーザー出力手段を押出ラムや内部観察手段に設置し、レーザー出力手段から照射されるレーザーを押出機本体に設置された受光手段で受光する態様であってもよい。いずれの場合であっても、炭化室内での内部観察手段の位置を特定することができるからである。
図3のように、レーザー受光位置認識手段6を内部観察手段3とは別に押出ラム2に設置する場合には、レーザー受光位置認識手段6を、内部観察手段で使用するのと同一の耐熱ケーシング内に入れて使用することが好ましい態様である。
また、前記レーザー出力手段を押出機本体に設けられているフレーム、或いは、押出機本体側に押出機本体から切り離されて設けられたフレームに設置することも好ましい態様である。押出機本体から切り離されて設けられたフレームに設置すれば、コークス押出時の押出機のゆれなどの影響を小さくすることができるからである。
本発明のコークス炉炭化室の診断装置は、図4の態様では、内部観察手段3が押出ラム上に設置されているが、次のような態様に変更することもできる。
図6のように押出ラム或いはラムヘッド7の複数高さに内部観察手段3を設けることも好ましい態様である。押出ラム2を炭化室内に一度挿入するだけで、複数高さにおける炉壁の状態を観察することができるからである。
次に、本発明のコークス炉炭化室の診断装置の動作態様について説明する。上述した本発明のコークス炉診断装置を使用すれば、コークス炉炭化室を検査する際に、炭化室内部に導入される内部観察手段の軌跡を特定することができる。そして、前記内部観察手段の軌跡が分かれば、内部観察手段を用いて測定した左右の炉壁までの距離に基づいて、炭化室の長手方向中心線から左右の各炉壁までの距離を求めることができる。
本発明のコークス炉炭化室の診断装置を使用して、炭化室長手方向中心線から炉壁までの距離を求める方法としては、押出ラムを全長(T)のコークス炉炭化室に挿入し、前記押出ラムに設置された内部観察手段を用いて、炭化室入口からの距離Lにおける内部観察手段から炉壁までの距離(Y)を測定し、炭化室入口(L=0)における炭化室長手方向中心線から内部観察手段までの距離(D)と炭化室出口(L=T)における前記中心線から内部観察手段までの距離(D)を求める工程;
前記レーザー受光位置認識手段を用いて、炭化室入口でのレーザー受光位置と炭化室入口からの距離Lにおけるレーザー受光位置との変位(X)および、炭化室入口でのレーザー受光位置と炭化室出口におけるレーザー受光位置との変位(X)を測定する工程;
前記距離(D)と(D)、及び、前記変位(X)と(X)から、炭化室入口からの距離Lにおける内部観察手段の軌跡(D)を特定する工程;
前記軌跡(D)に基づいて、前記測定距離(Y)を補正して、炭化室長手方向中心線から炉壁までの距離を求める工程を含む方法を挙げることができる。
ここで、前記軌跡(D)は、炭化室入口からの距離Lにおける炭化室長手方向中心線から内部観察手段までの距離である。前記軌跡(D)と前記距離(D、D)は、便宜上、炭化室入口(M/S:マシンサイド)から出口(C/S:コークスサイド)に向かって、炭化室の長手方向中心線から左側の距離には正の符号を、右側の距離には負の符号をつけるものとする。また、前記変位(X)、(X)については、炭化室入口からの距離LおよびTにおけるレーザー受光位置が炭化室入口における受光位置に対して、右側に移動した場合を正の符号とし、逆の場合には負の符号とする。すなわち、押出ラム(または内部観察手段)が左炉壁側に移動していく場合に正の符号となる。また、測定距離(Y)については、炭化室入口から出口に向かって、内部観察手段から左炉壁までの測定距離を正の符号で、右炉壁までの測定距離を負の符号で表わすものとする。内部観察手段から炉壁までの距離(Y)の測定は、上述したように内部観察手段から右炉壁までの距離と左炉壁までの距離とを同時に測定することが好ましい。
炉壁までの距離(Y)は、上述した距離測定手段を使用して測定することができ、好ましくは、レーザー距離計で測定する。レーザー距離計を用いて測定する場合には、前記距離(Y)は、レーザー距離計のレーザー照射経路の距離に基づいて、内部観察手段の中心から炉壁までの距離に換算した距離である。
前記距離(Y)の測定は、炭化室の全長(T)にわたって連続で行うことが好ましいが、距離測定手段の性能に応じて、炭化室の全長(T)の複数ポイントで行うようにしてもよい。また、前記測定は、例えば、コークスを押出ラムで押出す際、コークスを押出した後に押出ラムを引き戻す際、或いは、空窯の状態に押出ラムを挿入して行うことができる。測定の際、押出ラムの移動速度を一定速度としておけば、測定距離(Y)と炭化室入口からの距離Lとを関連づけることができる。炭化室入口からの距離Lは、例えば、押出ラムの移動速度を一定とし、測定データ処理手段または押出機本体に時刻のカウント機能を設けて、前記速度と時刻の積から移動距離を求める方法、或いは、押出機本体部において、押出ラムを駆動する際のモータ、或いは、駆動部の回転数などから算出してもよい。
炭化室入口からの距離Lにおける測定距離(Y)は、測定データ処理手段に保存することができ、上述した時刻、或いは、距離Lと関連づけて測定データ処理手段に保存することが好ましい。
次に、前記測定距離(Y)に基づいて、炭化室入口(L=0)及び炭化室出口(L=T)における炭化室長手方向中心線21から内部観察手段までの距離(D)、(D)を算出する(図7参照)。炭化室入口(L=0)における測定距離を(Y)、炭化室出口(L=T)における測定距離を(Y)とすると、(D)および(D)は、下記式(1)、及び(2)により算出される。
=1/2(炭化室入口の炉幅)−Y 式(1)
=1/2(炭化室出口の炉幅)−Y 式(2)
式(1)及び式(2)中、YまたはYは、左炉壁までの距離(正の符号のもの)を採用し、炭化室入口および出口の炉幅は、炭化室入口および出口における左右の測定距離の絶対値の和で表わすことができる。また、炭化室入口と出口の炉幅は、炭化室の入口や出口に設けられている金属製フレームの幅の値を採用してもよい。
次に、上述したレーザー受光位置認識手段を用いて、炭化室入口におけるレーザー受光位置と炭化室入口からの距離Lにおけるレーザー受光位置の変位(X)および、炭化室入口におけるレーザー受光位置と炭化室出口におけるレーザー受光位置との変位(X)を測定する工程について説明する。
例えば、レーザー出力手段からレーザー受光手段に照射されたレーザーの受光位置を、レーザー受光位置認識手段6であるビデオカメラによって撮像し、炭化室入口におけるレーザー受光位置の画像と炭化室入口からの距離Lにおけるレーザー受光位置の画像とを目視で比較して変位(X)を、炭化室入口におけるレーザー受光位置の画像と炭化室出口におけるレーザー受光位置の画像とを目視で比較して変位(X)を求めることができる。また、撮像した画像を画像解析手段(例えば、画像解析ソフトを有するコンピュータ)により処理して、炭化室入口でのレーザー受光位置と炭化室入口からの距離Lにおけるレーザー受光位置の変位(X)および、炭化室入口でのレーザー受光位置と炭化室出口におけるレーザー受光位置との変位(X)を求めることも好ましい態様である。尚、変位(X、X)は、水平方向の変位である。
前記レーザー受光位置認識手段によるレーザー受光位置の撮像は、上述した炉壁までの距離(Y)の測定と同時に行うことが好ましく、例えば、コークスを押出ラムで押出す際、コークスを押出した後に押出ラムを引き戻す際、或いは、空窯の状態に押出ラムを挿入して行えばよい。また、レーザー受光位置認識手段によるレーザー受光位置の撮像は、炭化室の全長(T)にわたって連続して測定することが好ましいが、レーザー受光位置認識手段の性能に応じて、炭化室の全長(T)の複数ポイントで測定するようにしてもよい。
図8は、押出ラムが炭化室内を移動する際の押出ラムの挿入状態及びレーザー受光位置の変化を例示する説明図である。図8では、挿入された押出ラムが炭化室の左炉壁に近づいており、この場合における押出機側から見たレーザー受光手段5のレーザー受光位置の変化の様子を図8(a)〜(c)に示した。図8(a)は、炭化室入口におけるレーザー受光位置を例示するものであり、レーザー受光手段の碁盤目に示された黒丸のポイントが、炭化室入口におけるレーザーの受光位置に相当する。図8(b)は、押出ラムが炭化室内を移動している際のレーザー受光位置を例示するものであり、黒丸のポイントは現在(移動距離L)のレーザー受光位置を示し、白丸のポイントは、炭化室入口におけるレーザー受光位置を示している。図8(b)では、押出ラムが炭化室左炉壁側によっているために、現在のレーザー受光位置(黒丸ポイント)は、碁盤目の右側にシフトしている。
図8(c)は、炭化室出口(L=T)におけるレーザー受光位置を示すものであり、黒丸のポイントが炭化室出口におけるレーザー受光位置であり、押出ラムが炭化室左炉壁側にかなり近づいているために、碁盤目状の目盛りのほぼ中心付近までシフトしている。尚、白丸のポイントは、炭化室入口におけるレーザー受光位置を示している。ここで、炭化室入口におけるレーザー受光位置と炭化室の入口からの距離Lにおけるレーザー受光位置の変位(X)は、図8(b)における白丸ポイントと黒丸ポイントとの間の水平方向の距離を意味する。また、炭化室入口におけるレーザー受光位置と炭化室出口におけるレーザー受光位置の変位(X)は、図8(c)における白丸ポイントと黒丸ポイントとの間の水平方向の距離を意味する。
次に、前記距離(D)と(D)、及び、前記変位(X)と(X)から炭化室入口からの距離Lにおける内部観察手段の軌跡(D)を特定する工程について説明する。
まず、X=D−DによりXを算出する。Xは、図7に示す様に、炭化室の入口と出口における炭化室の幅方向の内部観察手段の実際の変位を示すものである。次に、W=X−XによりWを求める。ここで、Xは、上述した方法により求めることができ、レーザーの照射方向に対する内部観察手段自体の変位を示す量になる。従って、W=X−Xによって求められるWは、炭化室長手方向の中心線に対するレーザー自体の傾斜を示すものとなる。
図9は、炭化室の長手方向中心線に対するレーザーの傾斜を例示する説明図である。図9に示すように、Wは、炭化室入口において照射したレーザーが、約16m先の炭化室出口においてWだけずれていることを意味し、Wの符号が正の場合は、炭化室長手方向中心線の右側から左側方向に向かうように傾いて、炭化室入口側よりレーザーが照射されていたことになり、Wの符号が負になる場合は、レーザーが炭化室長手方向中心線の左側から右側に向かうように傾いて、炭化室の入口側からレーザーが照射されていたことになる。ここで、炭化室入口からの距離Lにおけるレーザーのずれは、W×(L/T)で表わすことができ、変位(X)および距離(D)から、レーザーの傾斜分を補正することにより、真の内部観察手段の軌跡(D)を求めることができる。
そして、前記内部観察手段の軌跡(D)は、
=D+X−W×(L/T) 式(3)で表わすことができる。
ここで、上記(D)は、炭化室入口からの距離Lにおける炭化室長手方向中心線から内部観察手段までの距離であり、内部観察手段の炭化室内部の軌跡を表わすものである。この軌跡(D)を利用すれば、炭化室の長手方向中心線から各炉壁までの正確な距離(S)を求めることができる。すなわち、右炉壁までの測定距離(Y)と左炉壁までの測定距離(Y)のそれぞれについて、S=Y+Dによって前記測定距離(Y)を補正し、炭化室の中心から炉壁までの正確な距離(S)を求めることができる。また、前記測定距離(Y)および前記軌跡(D)を求める式は、前記測定距離(Y)および変位(X)などの測定データのポイント数に応じて適宜変形してもよい。
前記測定距離(Y)及び変位(X)の測定終了後に押出ラムから内部観察手段を取外し、測定データ処理手段や画像撮像手段などに保存された測定距離(Y)及び変位(X)などの測定データを別のコンピュータなどに読み込み、該コンピュータを使用して、D、D、X、W、D、及び、Sなどを算出するようにすることも好ましい態様である。
2.コークス炉炭化室の診断方法
本発明のコークス炉炭化室の診断方法は、コークス炉炭化室の内部観察手段を用いて、コークス炉炭化室の任意の高さにおける長手方向複数位置の炉壁までの距離を測定し、炭化室長手方向中心線から炉壁までの距離変位線(以下、「測定距離変位線」という)を求めて、前記測定距離変位線に基づいて、測定距離変位線の平準化変位線を求めて、前記測定距離変位線と前記平準化変位線とを比較し、および/または、炭化室長手方向の設計炉壁距離変位線と前記平準化変位線とを比較することにより、炭化室の炉壁状態を診断することを特徴とする。また、前記測定距離変位線に基づいて、測定距離変位線の平準化変位線を求め、さらに、前記平準化変位線と前記測定距離変位線とによって囲まれた面積の総和、および/または、炭化室長手方向の設計炉壁距離変位線と前記平準化変位線とによって囲まれた面積の総和を求めて、前記面積の総和に基づいて前記炭化室の炉壁状態を診断することも好ましい態様である。
本発明の診断方法において使用するコークス炉炭化室の内部観察手段は、特に限定されるものではないが、例えば、上述した本発明のコークス炉炭化室の診断装置に備えられるものと同一のものを使用することが好ましい。
コークス炉炭化室の任意の高さにおける長手方向複数位置の炉壁までの距離の測定は、炭化室長手方向にわたって複数位置で行なわれ、少なくとも2点以上の位置で測定すればよい。また、前記複数位置における測定を無限的に行なうことにより、炉壁間距離を炭化室長さ方向にわたって連続的に測定することも本発明の好ましい態様である。また、前記炉壁までの距離の測定は、コークス炉炭化室の高さに応じて、任意の高さにおいて測定すればよい。例えば、1点のみの高さを測定する場合には、炭化室高さの約1/2の高さにおける炉壁間距離を、また、複数の高さにおける炉壁間距離を測定する場合には、測定する高さの間が略均等になるように測定することが好ましい。
本発明の診断方法において、コークス炉炭化室の任意の高さにおける長手方向複数位置の炉壁までの距離を測定し、炭化室長手方向中心線から炉壁までの距離変位線を求める方法は、特に限定されないが、上述したように本発明のコークス炉炭化室の診断装置を利用して求めることが極めて好ましい態様である。
次に、各距離変位線に基づいて、炉壁の状態を診断する方法について説明する。本発明の診断方法では、前記測定により得られる測定距離変位線に基づいて、測定距離の平準化変位線を求めて、前記測定距離変位線と平準化変位線とを比較し、および/または平準化変位線と設計距離変位線とを比較することにより、炭化室の炉壁状態を診断する。
前記平準化変位線は、炉壁までの距離の測定とともに、前記内部観察手段に備えられた画像撮像手段を用いて、前記複数位置における炉壁面の表面変位の画像を観察し、前記測定距離変位線における前記表面変位に相当する変位部分を均すことによって求めることが好ましい。炉壁の表面変位とは、例えば、炉壁のカーボンの付着や欠損などによる炉壁表面の凹凸であり、図5に示した内部観察手段3に備えられた画像撮像手段14であるビデオカメラにより撮像し、測定距離変位線の測定結果と対比しながら、測定距離変位線における炉壁の表面変位に相当する変位部分を均すことができる。
前記測定距離変位線と平準化変位線との比較は、より具体的には、炭化室長手方向同一位置における前記平準化変位線の距離と測定距離変位線の距離とを比較することによって行なう。例えば、炭化室の左側炉壁について、前記平準化変位線の距離から測定距離変位線の距離を差し引いた値がプラス(正)の位置では、炉壁までの距離が短く、当該位置の炉壁にはカーボンが付着しているものと診断することができる。また、前記平準化変位線の距離から測定距離変位線の距離を差し引いた値がマイナス(負)の位置では、炉壁までの距離が長く、当該位置の炉壁は欠損しているものと診断することができる。さらに、前記設計距離変位線から前記平準化変位線の距離を差し引いた値が、プラス(正)の位置では、炉壁自体の変形や移動によって炉壁までの距離が短くなっていると診断することができ、差し引いた値がマイナス(負)の位置では炉壁自体の移動や変形により炉壁までの距離が大きくなっていると診断することができる。また、炭化室の右側炉壁までの距離変位線については、便宜上、負の値として表されているが、本発明の診断方法においては、測定距離変位線、平準化変位線、設計距離変位線の絶対値を用いて比較すれば同様の診断をすることができる。
本発明によれば、前記平準化変位線と前記測定距離変位線とを比較し、および/または前記設計距離変位線と前記平準化変位線とを比較することにより、炉壁全体の変位を、カーボン付着や欠損などの炉壁表面の変化による変位と炉壁自体の移動や変形による変位とに分離することにより、炉壁の状態を定量的に診断することができる。
図10は、コークス炉炭化室の炉壁状態を例示する炭化室の任意高さにおける水平断面図である。斜線部分37は、炭化室の炉壁が変形した後の炭化室内部の空間を断面図により概念的に表わしたものであり、破線38は設計時の炉壁の位置を示す。
炉壁までの測定距離39は、炭化室長手方向の測定位置に応じて変動するので、各変位線の比較に基づく炉壁状態の診断は、炭化室炉壁の特定箇所(任意の高さ、炭化室長手方向特定の距離)における炉壁状態についてなされるものである。
しかし、任意高さにおける炭化室の水平方向の断面積を診断の基準として用いれば、任意の高さにおける各炉壁の状態を診断することができる。そこで、本発明によれば、炭化室の水平方向断面積の変位として、前記平準化変位線と前記測定距離変位線とによって囲まれた面積の総和、および/または、設計距離変位線と前記平準化変位線とによって囲まれた面積の総和を各炉壁について求めて、前記面積の総和に基づいて炭化室の炉壁の状態について診断することができる。前記平準化変位線と前記測定距離変位線とによって囲まれた面積の総和は、各炉壁のカーボン付着や欠損などの炉壁表面の変化による変位を示す指標であり、前記設計距離変位線と前記平準化変位線とによって囲まれた面積の総和は、炉壁自体が移動・変形して炉幅が広狭化することによる変位を示す指標である。前記面積の総和は、任意の高さにおける各炉壁の状態を正確かつ定量的に評価する基準として用いることができるので、この面積の総和を指標として用いれば、例えば、コークス炉に複数設置されている炭化室や、コークス製造回数の異なる炭化室の劣化・老朽化などの状態の相対評価が容易になる。
図11には、前記平準化変位線30と前記測定距離変位線31とによって囲まれた面積(32、33)を、炭化室の任意の高さにおける水平方向断面図を用いて概念的に示した。前記面積の総和は、各炉壁について、当該部分の面積すべての和で表わされる。前記面積の総和は、例えば、炭化室の左側の炉壁について、それぞれの部分の面積を、前記平準化変位線30の距離から前記測定距離変位線31の距離を差し引いた値がプラス(正)である場合には、当該面積33にプラス(正)の符号を付け、前記差し引いた値がマイナス(負)である場合には、当該面積32にマイナス(負)の符号を付けて、総和を求めればよい。そして、前記面積の総和がプラス(正)の場合には、任意高さにおける各炉壁の状態は、カーボン付着による影響が大きいものと診断することができ、前記面積の総和がマイナス(負)の場合には、炉壁の欠損による影響が大きいものと診断することができる。また、上述したように炭化室の右側炉壁についての各変位線については、便宜上負の値で表されているが、測定距離変位線、平準化変位線、設計距離変位線の絶対値を用いて比較すれば同様の診断をすることができる。
図12には、前記設計距離変位線34と前記平準化変位線30とによって囲まれた面積(35、36)を、炭化室の任意の高さにおける水平方向断面図を用いて概念的に示した。前記面積の総和は、当該部分の面積すべての和で表わされる。炭化室の左側の炉壁について、それぞれの部分の面積を、前記設計距離変位線の距離から前記平準化変位線の距離を差し引いた値がプラス(正)である場合には、当該面積35にプラスの符号を付け、前記差し引いた値がマイナス(負)である場合には、当該面積36にマイナス(負)の符号を付けて、総和を求めれば良い。そして、前記面積の総和がプラス(正)の場合には、炉壁自体の移動・変形により炉幅が狭くなっていると診断することができ、前記面積総和がマイナス(負)の場合には、炉壁自体の移動・変形により炉幅が広くなっていると診断することができる。炭化室の右側炉壁については、測定距離変位線、平準化変位線、設計距離変位線の絶対値を用いて比較すれば同様の診断をすることができる。
本発明は、次のような態様に変更することもできる。
コークス炉炭化室の内部観察手段を用いて、コークス炉炭化室の任意の高さにおける長手方向複数位置の炉壁までの距離をコークス製造毎に測定し、炭化室長手方向中心線から炉壁までの距離変位線(以下、「測定距離変位線」という)を求めて、得られる測定距離変位線のコークス製造回数の増加に伴う変化に基づいて、炉壁状態の変遷を診断することを特徴とする。炉壁状態の変遷とは、コークス製造回数に伴う炉壁状態の経時変化であり、測定距離変位線を経時的に比較することにより診断することができる。前記炉壁までの距離の測定は、コークス製造毎に行なわれ、コークス製造毎回毎に測定することが好ましいが、炉壁状態の変遷を診断できる程度に、例えば、コークス製造2〜数回に1回の割合で測定しても良い。また、測定は上述したように、生成コークス押出し(排出)時に行なわれることが好ましいが、コークス製造前後に炉壁間距離の測定のみを別途行なってもよい。
本発明のコークス炉炭化室の診断方法は、さらに次のような態様に変更することができる。
コークス炉炭化室の内部観察手段を用いて、コークス炉炭化室の任意の高さにおける炭化室長手方向複数位置の炉壁までの距離をコークス製造毎に測定し、炭化室長手方向中心線から炉壁までの距離変位線(以下、「測定距離変位線」という)を求めて、得られた測定距離変位線に基づいて、測定距離変位線の平準化変位線を求め、さらに、前記平準化変位線と前記測定距離変位線とによって囲まれた面積の総和を求めて、コークス製造回数の増加に伴う前記面積の総和の変化に基づいて、前記炭化室炉壁状態の変遷を診断することができる。前記面積の総和を経時的に比較することにより、炭化室炉壁状態の変遷の診断が容易になる。前記炉壁までの距離の測定は、上述した様にコークス製造毎に行なわれ、コークス製造毎回毎に測定することが好ましいが、炉壁状態の変遷を診断できる程度に、例えば、コークス製造2〜数回に1回の割合で測定しても良い。また、測定は、生成コークス押出し(排出)時に行なわれることが好ましいが、コークス製造前後に炉壁間の測定のみを別途行なってもよい。
また、本発明の診断方法による診断結果に基づいて、炉壁の補修必要箇所、補修方法、または補修時期について判定することも、本発明の好ましい実施態様である。前記炭化室の補修方法としては、例えば、炉壁の欠損部を埋める溶射補修法、カーボンなどの付着物を焼却除去する方法などがあり、炉壁の状態に応じて、補修方法を選択すればよい。
以下、本発明を実施例によってより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
(1)コークス炉炭化室の診断装置の構成
図4に示すように、コークス押出機本体1にレーザー出力手段4を、押出ラム2に内部観察手段3と碁盤目の目盛を施した鋼鉄製板であるレーザー受光手段5を設置した。前記内部観察手段3としては、図5に示す様に、レーザー距離計11、レーザー受光位置認識手段6であるビデオカメラ、測定データ処理手段12であるプログラマブルコンピュータ、給電手段13、画像撮像手段14であるビデオカメラ、及び、レーザー式位置検出スイッチ15を備えたものを使用した。耐熱ケーシング10は、セラミックス繊維からなる断熱層の3層構造とした。
(2)コークス炉炭化室の各炉壁までの距離の測定例
上記コークス炉炭化室の診断装置を用いて、押出ラムを約448mm/sの一定速度で、全長15560mmの炭化室に挿入し、レーザー距離計11(測定周期:10回/秒)、レーザー受光位置認識手段6であるビデオカメラ(測定周期:1回/秒)などを動作させ、炉壁までの距離(Y)の測定、及び、レーザー受光位置の変位(X、X)の測定を行った。炉壁の検査には約35秒(34.7秒)を要した。
炭化室入口及び出口において測定した距離の結果に基づいて、炭化室入口における炭化室長手方向中心線から内部観察手段までの距離(D)、及び、炭化室出口における前記中心線から内部観察装置までの距離(D)を算出したところ、それぞれD=−14.63mm、D=28.06mmとなった。
また、レーザー受光位置認識手段6であるビデオカメラを用いて、炭化室入口のレーザー受光位置と炭化室入口からの移動距離Lにおけるレーザー受光位置の変位(X)を測定した結果を図13に示した。図13から、炭化室入口におけるレーザー受光位置と炭化室出口におけるレーザー受光位置との変位(X)は、X=−27mmであった。この結果より、内部観察手段は、炭化室出口付近では、見かけ上(レーザーが炭化室の長手方向中心線と平行に照射されていたと仮定すると)、右側に約27mmずれていることが分かる。
上記のようにして求めたX、D、及び、Dより、XとWとを算出すると次のようになった。
=D−D=28.06−(−14.63)=42.69mm、
W=X−X=−27−42.69=−69.69mm
この結果より、押出機本体から照射されたレーザーが炭化室出口付近では右側に約70mmずれていることが分かる。そして、W=−69.69mm、T=15560mmを下記式に代入して、図13に示した距離(X)の各値について、D=D+X−W×(L/T)によって、内部観察手段の軌跡(D)を求めた。その結果を、図14に示した。図14から、実際には、内部観察手段が炭化室出口付近において、炭化室の中心線から左壁面側に約30mmずれていることが分かった。また、炭化室内での内部観察手段の軌跡(D)にもとづいて、右炉壁までの実測測定距離(Y)と左炉壁までの実測測定距離(Y)のそれぞれを補正し、炭化室の長手方向中心線から炉壁までの距離(S)を求めた結果を、図15に示した。図15中、「△」でプロットされている曲線は、実測測定距離(Y)を、「○」でプロットされている曲線は、軌跡(D)に基づいて補正をした距離(S)を示している。また、前記変位(X)、軌跡(D)、測定距離(Y)、および、前記中心線から炉壁までの距離(S)の測定結果を表1に示した。
Figure 2004090071
図15及び表1の結果より、補正後の左炉壁面までの距離(S)は、炭化室出口側では、炭化室内での内部観察手段の位置を特定する前の測定距離(Y)よりもやや大きくなっており、一方、補正後の右炉壁面までの距離(S:絶対値)は、炭化室出口側において、前記測定距離(Y:絶対値)よりも小さくなっていることが分かる。このように、炭化室を検査する内部観察手段の軌跡を特定し、さらに、特定された軌跡に基づいて、実測した各炉壁までの距離を補正すると、炭化室長手方向中心線から各炉壁までの正確な距離を得ることができる。
尚、前記測定距離(Y)は、測定周期が10回/1秒のレーザー距離計を使用して、炭化室の全長(T)にわたる約350ポイントで測定されているが、前記変位(X)は、測定周期が1回/1秒のデジタルビデオカメラを用いて、炭化室の全長(T)にわたる約35ポイントでのみ測定されている。従って、図15および表1では、測定距離(Y)の測定ポイントと変位(X)の測定ポイントが一致するポイントのデータのみを示した。前記測定距離(Y)の測定ポイントと変位(X)の測定ポイントが一致しない測定距離(Y)の補正は、便宜上、両者が一致するときの軌跡(D)の値を援用してもよい。例えば、表1中、炭化室の入口からの距離(L)が448mm〜897mmの間では、測定距離(Y)の測定ポイントがほかに9点実在するが(表1には記載せず)、便宜上、これらの測定ポイントに対しては、移動距離448mmにおける軌跡(D448)=−17.62mmを援用して、中心線から炉壁までの距離(S)を求めてもよい。
(3)コークス炉炭化室の診断例
上記コークス炉炭化室の診断装置を用いて、コークス製造回数が100サイクルの炭化室の高さ3,500mmにおける長手方向複数位置の左右の各炉壁までの距離を測定し、炭化室長手方向中心線から炉壁までの距離変位線を求めた。炭化室の左壁面の結果を図16に、右壁面の結果を図17にそれぞれ示した。尚、右壁面の結果である図17においては、各変位線の結果を絶対値(正の符号)で示した。また、図18には、図16および図17で得られた結果を合算した炉幅の評価結果を示した。
図16より、例えば、炭化室の入口から約7.5mの位置における各距離は、それぞれ以下のようになる。
測定距離変位線の距離:203mm
平準化変位線の距離:212mm
設計距離変位線の距離:224mm
ここで、平準化変位線の距離から測定距離変位線の距離を差し引いた値は9mmであり正の値であることから、炉壁までの距離が短く、炉壁にはカーボンが付着していることが分かる。また、設計距離変位線の距離から平準化変位線の距離を差し引いた値は、12mmであり正の値であることから、炉壁が炭化室の内側へ移動して、炭化室の長手方向中心線から炉壁までの距離が短くなっていると診断することができる。
図17は、炭化室右側の炉壁の各変位線を絶対値で示したものであり、炭化室の入口から約7.5mの位置における各距離は、それぞれ以下のようになる。
測定距離変位線の距離:230mm
平準化変位線の距離:229mm
設計距離変位線の距離:224mm
平準化変位線の距離から測定距離変位線の距離を差し引いた値は−1mmであり負の値であることから、炉壁には僅かな欠損が生じていることが分かる。また、設計距離変位線の距離から平準化変位線の距離を差し引いた値は、−5mmであり負の値であることから、炉壁が炭化室の外側へ移動して、炭化室の長手方向中心線から右側炉壁までの距離が長くなっていると診断することができる。
図18は、炭化室の左右の各炉壁の変位線の絶対値を合算した炉幅についての変位線を示したものであり、例えば、炭化室の入口から約7.5mの位置における各距離は、それぞれ以下のようになる。
測定距離変位線の距離:432mm
平準化変位線の距離:440mm
設計距離変位線の距離:448mm
ここで、平準化変位線の距離から測定距離変位線の距離を差し引いた値は8mmであり、炉幅全体としては、炉壁にはカーボンが付着しているものと考えられる。また、設計距離変位線の距離と平準化変位線の距離の値を差し引いた値は8mmであり、炉壁の移動により、炭化室の炉幅が狭くなっているものと考えられる。
しかしながら、図16及び図17の各炉壁についての測定結果を参酌すれば、炉壁にカーボンが付着しているのは、左側炉壁だけであり、右側炉壁には欠損が僅かに生じている。また、炉壁自体の移動による炉幅の変動は、右側炉壁が炭化室外側へ移動しているにもかかわらず、左側炉壁が炭化室内側へ大きく移動しているために、右側炉壁の移動量が相殺されて、炉幅全体として狭くなっていることが分かる。
このように、炭化室の左右の各炉壁には、それぞれの炉壁の移動による広狭や、カーボンの付着や炉壁の欠損が生じているにもかかわらず、炉幅の測定結果に基づいて診断すると、左右各炉壁の結果に相殺されて、精度よく炉壁の状態を診断できないことが分かる。
図16及び図17における測定をした後、さらにコークスを製造して、コークス製造回数が200サイクルの炭化室の炉壁の高さ3500mmにおける長手方向複数位置の左右の各炉壁までの距離を測定し、炭化室長手方向中心線から炉壁までの距離変位線を求めた。その結果を、100サイクルの時の測定結果と合わせて図19及び図20に示した。(図19:左側炉壁、図20:右側炉壁(絶対値表示))。
図19より、コークス製造回数が100サイクルと200サイクルの測定距離変位線を比較すると、炭化室の入口から約8m付近、約10.2m付近、および、約13m付近の石炭装入孔付近で、コークス製造回数が200サイクルの炭化室の測定距離が短くなっていることから、製造回数の増加にともなって、左側炉壁にはカーボンが付着していることが分かる。このように、製造回数毎の測定距離変位線を比較することにより、炉壁状態の変遷を把握することができ、炭化室の補修時期を定めることができる。
表2には、図16及び図17の平準化変位線と測定距離変位線とによって囲まれた面積を求めた結果をまとめた。
Figure 2004090071
表2より、炭化室の左側炉壁については、炉壁欠損による面積の変位が、−10,445mmであり、カーボン付着による面積の変位は、35,921mmであり、面積の総和は25,476mmとなり、左側炉壁全体としては、カーボン付着による影響が大きいと診断できる。また、右側炉壁については、炉壁欠損による面積の変位が、−7,948mmであり、カーボン付着による面積の変位は、27,752mmであり、面積の総和は19,804mmとなり、右側炉壁全体としては、カーボン付着による影響が大きいと診断できる。
表3には、図16及び図17の設計距離変位線と平準化変位線とによって囲まれた面積を求めた結果を示した。
Figure 2004090071
表3より、炭化室の左側炉壁については、炉壁の狭帯化による面積の変位が、158,000mmであり、炉壁の広帯化による面積の変位は、0mmであり、面積の総和は158,000mmとなり、左側炉壁全体としては、炉壁が著しく狭帯化していると診断できる。
一方、炭化室の右側炉壁については、炉壁の狭帯化による面積の変位が、34,060mmであり、炉壁の広帯化による面積の変位は、−42,060mmであり、面積の総和は−8,000mmとなり、右側炉壁全体としては、炉壁が広帯化していると診断できる。
表2および表3で示した様な面積を指標とすれば、左側炉壁、或いは右側炉壁全体として、それぞれの炉壁状態を評価することができ、炭化室同士の劣化状態の相対評価が可能となる。
表4には、図16と図19の平準化変位線と測定距離変位線とによって囲まれた面積(炭化室左側)、表5には、図17と図20の平準化変位線と測定距離変位線とによって囲まれた面積(炭化室右側)をそれぞれまとめた。
Figure 2004090071
Figure 2004090071
表4および表5より、コークス製造回数が100サイクルの炭化室の左右の各炉壁の面積の総和は、それぞれ、25,576mm、17,023mmであり、すでにある程度のカーボンが付着していることが分かる。そして、同一の炭化室でさらにコークス製造を続けて、コークス製造回数が200サイクルになると、左右の各炉壁の面積の総和は、それぞれ74,321mm、55,779mmに増加しており、カーボンの付着量が多くなり補修の時期が近くなっていることが分かる。
本発明によれば、コークス炉炭化室の炉壁の全体の変位を、炉壁のカーボン付着や欠損などの炉壁表面の変化による変位と、炉壁自体が移動・変形することによる変位とに分離することによって、炭化室の炉壁の状態を正確かつ定量的に診断することができる。また、本発明ではさらに、炭化室の左右の各炉壁のそれぞれの状態を診断することができ、炉幅全体として異常が認められない場合にも、各炉壁の状態について正確な診断をすることができる。

Claims (14)

  1. コークス炉炭化室の診断装置であって、
    コークス押出機本体、
    コークス押出機本体に設けられた押出ラム、
    前記押出ラムに設置された内部観察手段、
    前記押出機本体側または前記押出ラム側に設置されたレーザー出力手段、
    前記レーザー出力手段から照射されるレーザーを受光するレーザー受光手段、及び、
    前記レーザー受光手段のレーザー受光位置を認識するレーザー受光位置認識手段とを備えることを特徴とする診断装置。
  2. 前記レーザー出力手段が前記コークス押出機本体に設置され、該レーザー出力手段から照射されるレーザーを、前記押出ラムに設置された前記レーザー受光手段で受光するものである請求項1に記載の診断装置。
  3. 前記内部観察手段は、距離測定手段および画像撮像手段を備えるものである請求項2に記載の診断装置。
  4. 前記内部観察手段は、耐熱ケーシングを有し、該耐熱ケーシング内に、距離測定手段、画像撮像手段、給電手段、及び、測定データ処理手段を備える請求項2に記載の診断装置。
  5. 前記内部観察手段は、さらにレーザー受光位置認識手段を備えるものである請求項3または4に記載の診断装置。
  6. 前記レーザー受光位置認識手段は、画像撮像手段である請求項5に記載の診断装置。
  7. 前記耐熱ケーシングは、1層以上の断熱層からなり、前記断熱層の少なくとも1層はセラミック繊維からなる層である請求項4に記載の診断装置。
  8. 前記耐熱ケーシングは、1層以上の断熱層からなり、前記断熱層の少なくとも1層は、真空断熱層である請求項4に記載の診断装置。
  9. コークス炉炭化室の内部観察手段を用いて、コークス炉炭化室の任意の高さにおける長手方向複数位置の炉壁までの距離を測定し、炭化室長手方向中心線から炉壁までの距離変位線(以下、「測定距離変位線」という)を求めて、
    前記測定距離変位線に基づいて、測定距離変位線の平準化変位線を求めて、前記測定距離変位線と前記平準化変位線とを比較し、および/または、炭化室長手方向の設計炉壁距離変位線と前記平準化変位線とを比較することにより、前記炭化室の炉壁状態を診断することを特徴とするコークス炉炭化室の診断方法。
  10. コークス炉炭化室の内部観察手段を用いて、コークス炉炭化室の任意の高さにおける長手方向複数位置の炉壁までの距離を測定し、炭化室長手方向中心線からの炉壁までの距離変位線(以下、「測定距離変位線」という)を求めて、
    前記測定距離変位線に基づいて、測定距離変位線の平準化変位線を求め、さらに、前記平準化変位線と前記測定距離変位線とによって囲まれた面積の総和、および/または、炭化室長手方向の設計炉壁距離変位線と前記平準化変位線とによって囲まれた面積の総和を求めて、前記面積の総和に基づいて前記炭化室の炉壁状態を診断することを特徴とするコークス炉炭化室の診断方法。
  11. コークス炉炭化室の内部観察手段を用いて、コークス炉炭化室の任意の高さにおける長手方向複数位置の炉壁までの距離をコークス製造毎に測定し、炭化室長手方向中心線から炉壁までの距離変位線(以下、「測定距離変位線」という)を求めて、得られる測定距離変位線のコークス製造回数の増加に伴う変化に基づいて、炉壁状態の変遷を診断することを特徴とするコークス炉炭化室の診断方法。
  12. コークス炉炭化室の内部観察手段を用いて、コークス炉炭化室の任意の高さにおける炭化室長手方向複数位置の炉壁までの距離をコークス製造毎に測定し、炭化室長手方向中心線から炉壁までの距離変位線(以下、「測定距離変位線」という)を求めて、得られた測定距離変位線に基づいて、測定距離変位線の平準化変位線を求め、さらに、前記平準化変位線と前記測定距離変位線とによって囲まれた面積の総和を求めて、コークス製造回数の増加に伴う前記面積の総和の変化に基づいて、前記炭化室炉壁状態の変遷を診断することを特徴とするコークス炉炭化室の診断方法。
  13. 距離測定手段と画像撮像手段を備える内部観察手段をコークス炉炭化室内に導入して、コークス炉炭化室の任意の高さにおける長手方向複数位置の炉壁までの距離を測定させるとともに、前記複数位置における炉壁面の表面変位の画像を撮像させる請求項9〜12のいずれかに記載の診断方法。
  14. 前記平準化変位線は、前記複数位置における炉壁面の表面変位の画像を観察し、前記測定距離変位線を均すことによって求めるものである請求項13に記載の診断方法。
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