JP3978305B2 - 稼動中のコークス炉炭化室炉壁の変位把握方法 - Google Patents

稼動中のコークス炉炭化室炉壁の変位把握方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、稼動中、つまりコークス窯出し中または石炭乾留中のコークス炉炭化室の炉壁の変位ないし動きを、容易かつ精度良く把握する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コークス炉寿命の判断指標の一つとして、炭化室の壁(炉壁)の煉瓦の損傷状態を目安とすることがある。炉壁の損傷には煉瓦の摩耗、亀裂、角欠けなどがあるが、これらの損傷の進行により、炉壁を押す力がかかったときに炉壁を構成する煉瓦の破孔が発生する。
【0003】
この破孔の原因として、コークス押出時(窯出し中)に炉壁にかかる圧力や、石炭乾留に際して石炭がコークス化するときの膨張圧などがあげられる。それらの圧力が加わった際に炉壁がどのように変形するかを知ることは、炉壁の損傷状態把握および長寿命化のためのダメージ低減対策において重要である。
【0004】
コークス炉炭化室の炉壁の損傷状態を知る方法として、(イ)炭化室形状を測定する方法、(ロ)炉体の膨張を測定する方法、(ハ)炉壁の観察(撮影)などにつき、多数の出願がなされている。
【0005】
上記(イ)の炭化室形状を測定する方法に属するものとして、まず接触式の炭化室幅測長装置として、たとえば特開昭57−53612号公報(本体、炭化室の巾方向に延びる変位体、変位検出手段などを備えたもの)がある。窯口から挿入する非接触式の炭化室幅測定方法および装置としては、たとえば、特開昭62−293112号公報(押出機のラムまたはラムビームに非接触式距離計を設ける)、特開平3−269209号公報(押出機のラムまたはラムビームに非接触式距離センサを設ける)、特開平5−180623号公報(窯口からゾンデを挿入し、光源から光を投射し、両壁間の距離を検出)、実開昭63−145840号公報(実公平4−54208号公報に相当、押出機の作動部に光源を設置し、炭化室壁面に投射し、撮像)がある。炉上からの非接触式の炭化室幅測定方法および装置としては、たとえば、特開昭63−191005号公報(光源から光を出射し、反射させて炭化室壁面に投射)がある。
【0006】
上記(ロ)の炉体の膨張または変形を測定する方法に属する出願としては、たとえば、特開平9−26309号公報(コークス炉の炉体膨張をマーカー間の相対的位置関係で計測)がある。
【0007】
上記(ハ)の炉壁の観察(撮影)に属するものとしては、たとえば、特開平9−273995号公報(CCDカメラを用いた構造物壁面の観察装置)、特開平11−106755号公報(カメラを用いた炭化室の内壁観察方法および装置)、特開平11−256167号公報(CCDカメラを用いた炭化室壁面観察装置)、特開平8−218071号公報(炭化室の炉壁状態を画像処理により診断)などがある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記に多数引用した出願の方法または装置によっては、稼動中、つまりコークス押出時(窯出し中)や石炭乾留時に、コークス炉炭化室の炉壁がどのようにまたはどの程度にダイナミックに変位するのかを知ることができない。
【0009】
本発明者らは、稼動中(コークス窯出し中および石炭乾留時)のコークス炉炭化室の炉壁の変位を測定する方法として、対象炭化室の対象炉壁側の燃焼室の壁の動きを測定する方法を考えたが、燃焼室の壁の動きを測定しようとすることは、非常に小さいフリュー穴から測定する必要があるため、実際的であるとは言い難かった。
【0010】
そこで本発明者らは、対象炭化室に隣接する燃焼室を介してさらに隣接する炭化室(つまり隣窯、以下単に隣接炭化室と呼ぶ)を利用することに思い至った。すなわち、後述の図1のように仕切り煉瓦により対象炉壁と一体となって動く対象炭化室に隣接する炭化室の炉壁の変位を測定することにより、対象炭化室の炉壁の変位を把握しようとする着想である。
【0011】
本発明は、このような背景下において、対象炭化室に隣接する炭化室を空室とし、その空室の炉壁の変位を炉上からの操作によって容易かつ精度良く測定することにより、稼動中(コークス窯出し中または石炭乾留中)のコークス炉炭化室の炉壁の変位ないし動きを把握する方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の稼動中のコークス炉炭化室炉壁の変位把握方法は、
炭化室と燃焼室とが交互に多数並列に設けられると共に、隣り合う炭化室の壁間には燃焼室を横断して仕切り煉瓦が設けられた構造を有するコークス炉に関して、コークス窯出し中または石炭乾留中の炭化室の炉壁の変位を把握する方法であって、
稼動中の炭化室である対象炭化室(1) に隣接する燃焼室 (3) を介してさらに隣接する隣接炭化室(2) を空室とし、その隣接炭化室(2) の対象炭化室(1) 側の炉壁(4Y)の変位を次のいずれかの方法、すなわち、
(イ)隣接炭化室 (2) の装入孔 (2a) から炉内を覗くように炉上に設置したレーザ距離計 (5) から、隣接炭化室 (2) の当該炭化室 (1) 側の炉壁 (4Y) に向けて測距光を照射してその炉壁 (4Y) の変位を測定するか、
(ロ)隣接炭化室 (2) の装入孔 (2a) よりその隣接炭化室 (2) 内に装入して固定したレーザ距離計 (5) から、隣接炭化室 (2) の対象炭化室 (1) 側の炉壁 (4Y) に向けて測距光を照射 してその炉壁 (4Y) の変位を測定するか、あるいは、
(ハ)隣接炭化室 (2) の装入孔 (2a) よりその隣接炭化室 (2) 内に装入した棒体 (6) を隣接炭化室 (2) の対象炭化室 (1) 側の炉壁 (4Y) に接触させることにより、その棒体 (6) に伝わる炉壁 (4Y) の変位を測定すること
により求め、
もって、その隣接炭化室 (2) の対象炭化室 (1) 側の炉壁 (4Y) の変位から、対象炭化室(1) の炉壁(4X)の変位を把握するようにしたこと
を特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
【0014】
〈炭化室、燃焼室〉
現在広く普及している室炉式コークス炉にあっては、炭化室と燃焼室とが交互に多数並列に設けられている。炭化室に装入孔から装入された石炭は、その両側に位置する燃焼室から炉壁を介して熱を得て乾留される。乾留終了後のコークスは、押出機により炭化室から押し出されて(窯出しされて)消火され、製品コークスとなる。
【0015】
炭化室の炉壁には、コークス押し出し中に圧力が加わり、石炭乾留中には石炭がコークス化する際の膨張圧が加わる。本発明は、それらの圧力が加わった際に炭化室炉壁がどのように変形するかを正確に把握しようとするものである。
【0016】
〈空室の利用〉
本発明においては、稼動中の炭化室である対象炭化室(1) に隣接する燃焼室 (3) を介してさらに隣接する隣接炭化室(2) を空室とし、その隣接炭化室(2) の対象炭化室(1) 側の炉壁(4Y)の変位を後述の(イ)、(ロ)、(ハ)のいずれかの方法により測定することにより、対象炭化室(1) の炉壁(4X)の変位を把握する。
【0017】
コークス炉の炉上には装入車(装炭車)が走っており、多数の炭化室のうち乾留が終了しかつコークスが押し出された後の炭化室に装入孔から石炭の装入が行われ、乾留がなされる。すなわち、多数の炭化室には、種々の乾留進行度合のものがあり、コークス押出状態のものもあり、空室となって石炭装入を待っているものもある。本発明においては、対象炭化室(1) に燃焼室 (3) を介して隣接する隣接炭化室(2) を空室とし、その空室を測定に利用するのである。
【0018】
〈具体的方法〉
本発明に従って対象炭化室(1) の炉壁(4X)の変位をその対象炭化室(1) に隣接する燃焼室 (3) を介してさらに隣接する隣接炭化室(2) を空室とし、その隣接炭化室(2) の対象炭化室(1) 側の炉壁(4Y)の動きを測定することにより把握するにあたっては、具体的には、次の3つの方法のいずれかを採用する。
【0019】
〈第1の方法(イ)
第1の方法(イ)は、対象炭化室(1) の炉壁(4X)の変位を、隣接炭化室(2) の装入孔(2a)から炉内を覗くように炉上に設置したレーザ距離計(5) から、隣接炭化室(2) の対象炭化室(1) 側の炉壁(4Y)に向けて測距光を照射してその炉壁(4Y)の変位を測定することにより把握するものである。
【0020】
〈第2の方法(ロ)
第2の方法(ロ)は、対象炭化室(1) の炉壁(4X)の変位を、隣接炭化室(2) の装入孔(2a)よりその隣接炭化室(2) 内に装入して固定したレーザ距離計(5) から、隣接炭化室(2) の対象炭化室(1) 側の炉壁(4Y)に向けて測距光を照射してその炉壁(4Y)の変位を測定することにより把握するものである。
【0021】
〈第3の方法(ハ)
第3の方法(ハ)は、対象炭化室(1) の炉壁(4X)の変位を、隣接炭化室(2) の装入孔(2a)よりその隣接炭化室(2) 内に装入した棒体(6) を隣接炭化室(2) の対象炭化室(1) 側の炉壁(4Y)に接触させることにより、その棒体(6) に伝わる炉壁(4Y)の変位を測定することにより把握するものである。
【0022】
レーザ距離計(5) 〉
上記第1および第2の方法(イ)、(ロ)にあっては、レーザ距離計(5) を用いて隣接炭化室(2) の対象炭化室(1) 側の炉壁(4Y)に向けて測距光を照射することにより、その炉壁(4Y)の動きを測定する。
【0023】
レーザ距離計 (5) は、鋭い指向性を持ちかつ測定精度が極めてすぐれているので、この目的に適している。
【0024】
第1の方法(イ)にあっては、上記のように、空室である隣接炭化室(2) の装入孔(2a)から内部を覗くように炉上に設置したレーザ距離計(5) から、その隣接炭化室(2) の対象炭化室(1) 側の炉壁(4Y)に向けて測距光を照射する。このときには、炉壁(4Y)には斜めから測距光が当たるので若干の測定誤差を生ずることがあるが、レーザ距離計(5) は炉上にあるので熱の影響を受けにくいという利点を有する。
【0025】
第2の方法(ロ)にあっては、上記のように、空室である隣接炭化室(2) の装入孔(2a)より隣接炭化室(2) 内に装入して固定したレーザ距離計(5) から、その隣接炭化室(2) の対象炭化室(1) 側の炉壁(4Y)に向けて測距光を照射する。このときには、炉壁(4Y)には直角方向から測距光を照射することができるため測定誤差を生じにくいが、反面、レーザ距離計(5) は隣接炭化室(2) の内部に挿入されるので高温にさらされることになること、距離計挿入装置や距離計冷却のための装置を要するため測定装置が全体として大きくなると共に測定操作も大がかりになること、などの不利がある。
【0026】
第1の方法(イ)および第2の方法(ロ)は、上記のようにそれぞれ長所短所があるので、状況に応じてあるいはデータの蓄積度合に応じて有利な方を採用すればよい。強いて両者を対比すれば、第1の方法(イ)の方が、定常的に測定を実施するときには実際的な方法であるということができる。というのは、第1の方法(イ)にあっては、炉内に測定装置を挿入するという複雑な作業を要せず、耐熱材料の使用や装置の冷却部材も必要ではなく、また、データの集積により、斜め方向から測距光を照射することによる誤差を支障のない程度にまで減ずることができるからである。
【0027】
第1の方法(イ)を実施するときは、レーザ距離計(5) を移動することができ、かつレーザ距離計(5) の測距光照射角度を調節、固定することのできる機構とする。測定に際しては、装入孔(2a)周囲よりエアをスカーフィングするなど何らかの手段を講じて、隣接炭化室(2) 内からの熱を遮断することが望ましい。
【0028】
第2の方法(ロ)を実施するときは、レーザ距離計(5) を冷却するための水冷ランスを兼ねた挿入器具や、レーザ距離計(5) を隣接炭化室(2) 内で固定する器具を設けるようにする。
【0029】
〈棒体(6) 〉
一方、第3の方法(ハ)にあっては、上記のように、棒体(6) を隣接炭化室(2) の装入孔(2a)よりその隣接炭化室(2) 内に装入して、その隣接炭化室(2) の対象炭化室(1) 側の炉壁(4Y)に接触させることにより、その棒体(6) に伝わる炉壁(4Y)の動きを測定する。
【0030】
そのため、炉上には、棒体(6) の支持および運搬、棒体(6) の挿し込み、引き上げおよび揺動を図ることのできる機構とすると共に、棒体(6) の動きを伝達して変位量を測定・記録する機構ないし手段を設ける。
【0031】
〈炉壁(4Y)の測定位置〉
空室である隣接炭化室(2) の対象炭化室(1) 側の炉壁(4Y)の測定位置は任意であり、たとえば、一つの炭化室の装入孔が炉長方向に5個あるときは、1または2以上の適当な装入孔を利用する。測定装置を複数台用意しておけば、同時に複数個の装入孔からの測定ができる。炉壁全体の変位を知るには、できるだけ多くの装入孔、理想的には全ての装入孔から同時測定を行うことが望ましい。また、炉高方向についても、適当な高さの部位についての測定を行えばよい。
【0032】
【実施例】
次に実施例をあげて本発明をさらに説明する。実施例1は第3の方法(ハ)、実施例2は第1の方法(イ)、実施例3は第2の方法(ロ)に対応している。
【0033】
実施例1
図1は、コークス炉の炭化室の構造およびその炉壁変動状態を模式的に示した説明図であり、対象炭化室(1) の隣にある隣接炭化室(2) が空室になっている場合を示してある。対象炭化室(1) の(4X)と隣接炭化室(2) の炉壁(4Y)との間には、仕切り煉瓦(B) が設けられている。
【0034】
図2は、本発明の炭化室炉壁の変位把握方法の一例を示した説明図である。
図3は、支点(7) 回りの棒体(6) の動きから炉壁(4Y)の変位量を求める方法を示した説明図である。
【0035】
図2,3において、(1) は稼動中の炭化室であって、これが対象炭化室となる。(1a)はその対象炭化室(1) の装入孔、(1b)はその装入孔(1a)に設けられた装入蓋である。図2には、対象炭化室(1) 内のコークスケーキ(C) も描いてある。
【0036】
(2) は、上記の対象炭化室(1) に隣接する隣接炭化室であり、空室となっている。(2a)はその隣接炭化室(2) の装入孔である。(2b)はその装入孔(2a)に設けられた装入蓋であるが、図2では取り外されている。
【0037】
(3) は、上記の対象炭化室(1) と隣接炭化室(2) とで挟まれた燃焼室である。
【0038】
(4X)は、対象炭化室(1) と燃焼室(3) との間の炉壁である。(4Y)は、燃焼室(3) と隣接炭化室(2) との間の炉壁である。本発明においては、対象炭化室(1) の炉壁(4X)の変位を直接測定するのではなく、隣接炭化室(2) の炉壁(4Y)の変位を測定することになる。
【0039】
(6) は、支点(7) 回りに回動する測定棒としての棒体である。棒体(6) を支える枠体には、棒体(6) の炉上側となる部分の上端付近に目盛りを付してある。この棒体(6) は、隣接炭化室(2) の装入孔(2a)からその隣接炭化室(2) 内に挿入され、隣接炭化室(2) の対象炭化室(1) 側の炉壁(4Y)に接触させられる。
【0040】
棒体(6) の下端を隣接炭化室(2) の対象炭化室(1) 側の炉壁(4Y)に接触させておくと、稼動時の対象炭化室(1) の(4X)の変位はこの炉壁(4Y)に伝わって炉壁(4Y)が変位し、その変位が棒体(6) に伝わるので、支点(7) 回りに揺動する棒体(6) の上端の動きを目盛(8) で読むことができる。
【0041】
今、棒体(6) の支点(7) −下端間距離をL1、支点(7) −上端間距離をL2、炉壁(4Y)の変位量をΔa、目盛(8) で読まれる棒体(6) の上端の移動量をΔbとすると、
Δa:L1=Δb:L2、つまり、Δa・L2=Δb・L1
の関係があるので、Δbの読みからΔaを求めることができる。
【0042】
実炉である対象炭化室(1) にて、乾留後のコークスケーキ(C) の押し出しを行い、そのときの押出開始より押出終了までの炉壁の変位の度合を、隣接する隣接炭化室(2) の炉壁(4Y)の変位を棒体(6) を用いて測定することにより求め、その変位の最大値を記録した。なお棒体(6) は、5つの装入孔(2a)のうちの3番装入孔に挿入した。同様の測定を、対象炭化室(1) に別ロットの石炭を装入して乾留し、乾留後のコークスケーキの押し出しを行うときについても3回実施した。ロット数は計4回、測定回数は各ロットにつき1回で、計4回である。各回の測定時の隣接炭化室(2) の対象装入孔(2a)は同一とし、その炉壁(4Y)の測定位置(棒体(6) の下端の接触位置)も同一(炉上より4500mm下方の位置)とした。なお、炉上−炉底間距離は6500mmである。
【0043】
結果を次の表1に示す。押出開始直前の炉壁(4Y)の位置をゼロとしてある。表1中、「+」とあるのは炉壁(4Y)が図2の右方に変位した場合(つまり、対象炭化室(1) が膨張する方向に炉壁(4X)が変位した場合)である。炉壁(4Y)変位量Δaは、
Δa=Δb・L1/L2
の関係式から求めたものである。
【0044】
【表1】

測定 No.
1 2 3 4
炉壁 (4Y) 変位量 ± 0mm 3mm 2.5mm 3mm
【0045】
表1から、この対象炭化室(1) の炉壁(4X)は、コークスケーキの押出時には、その押出時の圧力により押し広げられており、その結果、それに隣接する隣接炭化室(2) の炉壁(4Y)が変位を来していることを示している。なお、上記においては変位の最大値のみを求めているが、棒体(6) の動きを接触センサを介して把握しかつ演算処理して出力するようにすれば、押出開始より押出終了までの炉壁のダイナミックな変位を記録することができる。
【0046】
実施例2
図4は、本発明の炭化室炉壁の変位把握方法の他の一例を示した説明図である。
【0047】
対象炭化室(1) 、その対象炭化室(1) の装入孔(1a)、その装入孔(1a)に設けられた装入蓋(1b)、対象炭化室(1) 内のコークスケーキ(C) については、実施例1についての図2の場合と同様である。隣接炭化室(2) 、その隣接炭化室(2) の装入孔(2a)、その装入孔(2a)に設けられた装入蓋(2b)についても、図2の場合と同様である(装入蓋(2b)は取り外されている)。燃焼室(3) 、対象炭化室(1) −燃焼室(3) 間の炉壁(4X)、燃焼室(3) −隣接炭化室(2) 間の炉壁(4Y)も、図2の場合と同様である。
【0048】
(5) は、隣接炭化室(2) の装入孔(2a)からその内部を覗くように設置したレーザ距離計であり、この実施例ではドイツのライカ社製のレーザ距離計を用いている。
【0049】
実炉である別の対象炭化室(1) にて、乾留後のコークスケーキの押し出しを行い、そのときの押出開始より押出終了までの炉壁の変位の度合を、上記のレーザ距離計(5)
を用い
て、隣接する隣接炭化室(2) の炉壁(4Y)の変位を追跡することにより求めた。このとき、炉壁(4Y)変位量は、押出開始時が0mmで、押出進行から押出終了までは不規則に変位するものの、最大値は 2.5mmであった。
【0050】
実施例3
図5は、本発明の炭化室炉壁の変位把握方法のさらに他の一例を示した説明図である。図5の符号の意味は、図2の場合と同様である。
【0051】
(5) は、隣接炭化室(2) の装入孔(2a)よりその隣接炭化室(2) 内に装入して固定したレーザ距離計であり、この実施例でもドイツのライカ社製のレーザ距離計を用いている。隣接炭化室(2) の炉壁(4Y)には、直角方向からレーザ光が照射されることになる。なおこのレーザ距離計は、図5のように、水冷ランスを兼ねた挿入器具(9) で保護してある。
【0052】
実炉である他のもう一つの対象炭化室(1) にて、乾留後のコークスケーキの押し出しを行い、そのときの押出開始より押出終了までの炉壁の変位の度合を、上記のレーザ距離計(5) を用いて、隣接する隣接炭化室(2) の炉壁(4Y)の変位を追跡することにより求めた。押出開始から押出終了までの炉壁(4Y)変位量の最大値は、実施例1の場合と同様に3mmであった。
【0053】
【発明の効果】
本発明においては、稼動中の炭化室である対象炭化室(1) に燃焼室 (3) を介して隣接する隣接炭化室(2) を空室とし、その対象炭化室(1) の炉壁(4X)の変位を、前記隣接炭化室(2) の対象炭化室(1) 側の炉壁(4Y)の変位を特定の手段(イ)、(ロ)または(ハ)により測定することにより把握するようにしている。
【0054】
これにより、コークス窯出し中または石炭乾留中の炭化室(対象炭化室(1) )の炉壁(4X)の動きを定量的に知ることができるので、稼動中に炉壁に与えられたダメージを定量的に把握することができる。
【0055】
そして、このようにして変位量の大きい炭化室や異常な変位を起こす炭化室を発見することができるので、補修を行うべき炭化室を効果的に選定することができる。
【0056】
また、炉壁にダメージを与えないコークス押し出し方法や、石炭の配合、操業方法などを検討する際に、評価指標としてこの変位量を用いることができる。
【0057】
加えて、空室である隣接炭化室(2) において、レーザ距離計(5) や棒体(6) を使用して炉上からの操作により測定を行うものであるため、従来のように測定器を押出ラムなどに設置して移動させて測定する方法に比し、移動の際の進路のずれや振動に起因する誤差が小さくなるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 コークス炉の炭化室の構造およびその炉壁変動状態を模式的に示した説明図である。
【図2】 本発明の炭化室炉壁の変位把握方法の一例を示した説明図である。
【図3】 支点(7) 回りの棒体(6) の動きから炉壁(4Y)の変位量を求める方法を示した説明図である。
【図4】 本発明の炭化室炉壁の変位把握方法の他の一例を示した説明図である。
【図5】 本発明の炭化室炉壁の変位把握方法のさらに他の一例を示した説明図である。
【符号の説明】
(1) …対象炭化室、
(1a)…装入孔、(1b)…装入蓋、
(2) …隣接炭化室、
(2a)…装入孔、(2b)…装入蓋、
(3) …燃焼室、
(4X)…(対象炭化室(1) −燃焼室(3) 間の)炉壁、
(4Y)…(燃焼室(3) −隣接炭化室(2) 間の)炉壁、
(5) …レーザ距離計、
(6) …棒体、
(7) …支点、
(8) …目盛、
(9) …挿入器具、
(B) …仕切り煉瓦、
(C) …コークスケーキ

Claims (1)

  1. 炭化室と燃焼室とが交互に多数並列に設けられると共に、隣り合う炭化室の壁間には燃焼室を横断して仕切り煉瓦が設けられた構造を有するコークス炉に関して、コークス窯出し中または石炭乾留中の炭化室の炉壁の変位を把握する方法であって、
    稼動中の炭化室である対象炭化室(1) に隣接する燃焼室 (3) を介してさらに隣接する隣接炭化室(2) を空室とし、その隣接炭化室(2) の対象炭化室(1) 側の炉壁(4Y)の変位を次のいずれかの方法、すなわち、
    (イ)隣接炭化室 (2) の装入孔 (2a) から炉内を覗くように炉上に設置したレーザ距離計 (5) から、隣接炭化室 (2) の当該炭化室 (1) 側の炉壁 (4Y) に向けて測距光を照射してその炉壁 (4Y) の変位を測定するか、
    (ロ)隣接炭化室 (2) の装入孔 (2a) よりその隣接炭化室 (2) 内に装入して固定したレーザ距離計 (5) から、隣接炭化室 (2) の対象炭化室 (1) 側の炉壁 (4Y) に向けて測距光を照射してその炉壁 (4Y) の変位を測定するか、あるいは、
    (ハ)隣接炭化室 (2) の装入孔 (2a) よりその隣接炭化室 (2) 内に装入した棒体 (6) を隣接炭化室 (2) の対象炭化室 (1) 側の炉壁 (4Y) に接触させることにより、その棒体 (6) に伝わる炉壁 (4Y) の変位を測定することにより求め、
    もって、その隣接炭化室 (2) の対象炭化室 (1) 側の炉壁 (4Y) の変位から、対象炭化室(1) の炉壁(4X)の変位を把握するようにしたこと
    を特徴とする稼動中のコークス炉炭化室炉壁の変位把握方法
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