JPWO2004085357A1 - ビスフェノールaの製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、ビスフェノールAの製造方法を提供し、さらに詳しくは、高純度で色相の良好なビスフェノールAの製造方法を提供することを目的とする。本発明はアダクト結晶を含むスラリーを形成する晶析工程において、(a)供給されるビスフェノールAのフェノール溶液が、少なくとも2段階の温度で冷却されて、アダクト結晶固体を含むスラリーが形成され、(b)冷却温度の異なる少なくとも2段階の晶析段階が存在し、(c)スラリー中の固体分率が、固液分離工程に供給する前の最終晶析段階においてA[wt%]であり、最初に結晶が生成する晶祈段階においてB[wt%]であるとき、B/Aの値が0.7以下に保たれる および、内部が仕切りにより3以上の区画に分割され、少なくとも1つの区画に冷却装置を備えた多室型の晶析装置を用い、ビスフェノールAを含むフェノール溶液を晶析装置内の1つの区画に供給し、生成したアダクト結晶スラリーを各区画に順次移動させ、少なくとも1組の連続する2つ区画において前段よりも後段のスラリー温度が低く制御され、アダクト結晶含有スラリーを段階的に冷却することを特徴とする。

Description

本発明はビスフェノールAの製造方法に関する。より詳しくは、経済性に優れた、高純度で色相の優れたビスフェノールAの製造方法に関するものである。
ビスフェノールA[2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン]は種々のポリマーの製造原料として使用されているが、近年特に、耐衝撃性および透明性に優れた芳香族ポリカーボネートの需要が高まり、芳香族ポリカーボネートにした際の着色が少ないビスフェノールAが要求されている。
ビスフェノールAは通常、フェノールとアセトンとを均一酸または固体酸触媒の存在下に反応させることにより製造されている。反応混合物はビスフェノールAのほかに、未反応アセトン、未反応フェノール、反応生成水および他の反応副生物を含む。副生物の主な成分は、2−(2−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下o,p’−BPA)であり、他にトリスフェノール、ポリフェノール化合物、クロマン化合物、および着色不純物等がある。
反応混合物は、必要に応じて未反応アセトン、反応生成水の除去、およびビスフェノールAの濃縮を行った後、冷却されてフェノール−ビスフェノールAアダクト結晶(以下、アダクト結晶という)を含むスラリーを生成する(晶析工程)。さらにアダクト結晶をスラリーから分離し(固液分離工程)、フェノール等で洗浄(洗浄工程)した後、蒸留および/またはストリッピングでフェノールを除去することによりビスフェノールAが得られる。
前記のように、ビスフェノールAの反応混合物には着色不純物が含まれており、ビスフェノールAの製造工程においてこれら着色不純物を除去する主な工程は、晶析工程、固液分離工程および洗浄工程である。晶析工程で生成したアダクト結晶そのものの純度や色相は、製品ビスフェノールAの純度や色相に影響を与える。また晶析工程で生成したアダクト結晶が微細であると、結晶表面に付着する結晶単位重量あたりの母液の量が増加し、後の固液分離工程および洗浄工程での着色不純物の分離効率を悪化させる。したがって、晶析工程において高純度かつ色相が良好で微細結晶の少ないアダクト結晶を生成させることは、ビスフェノールAを製造する上で重要である。
晶析工程において、高純度でかつ色相の良好なアダクト結晶を得る方法として、特開平5−117191号公報、特開平7−258131号公報および特表2003−528840号公報のように直列多段の晶析槽により、最終目的晶析温度まで順次冷却していく方法がある。しかしながら、これらの方法には、本発明で開示される、高純度のアダクト結晶を得るために必要な、最終晶析段階での固体分率A[wt%]に対する1段目晶析段階における固体分率B[wt%]の比(=B/A[−])に関しては何ら開示されてなく、高純度かつ色相が良好で微細結晶の少ないアダクト結晶を得るためには不十分であった。
特開平5−117191号公報には、上部に開口部を設けた内筒を有するn個の晶析塔を用い、晶析塔内部のアダクト結晶スラリーの一部を抜き出し、晶析塔外部に設置された熱交換器で冷却した後アダクト結晶スラリーを晶析塔に循環導入すると同時に、少なくとも第n段目のアダクト結晶スラリーの一部を加熱して微細結晶を溶解させた後、晶析塔に循環導入する方法が記載されている。しかしながら、アダクト結晶は破砕しやすいため、スラリー循環によるアダクト結晶の破砕が生じ微結晶の生成が避けられない上に、一度冷却されたアダクト結晶スラリーを加熱する必要があるため、エネルギーのロスが生じる。
特開平7−258131号公報には、晶析反応槽の数n>1で直列連結しているn段階カスケードの晶析槽を用い、各晶析装置の滞留時間を少なくとも3時間にして少なくとも500m/hの循環率で循環させる方法が記載されている。この方法は、各晶析装置の滞留時間が3時間以上と大きな晶析装置が複数必要であり、設備費が多大である。さらには、500m/h以上の循環量が必要であるので、多大な動力を必要とし、さらには、このような大きな循環量でスラリーの循環を行うとアダクト結晶の破砕による微細結晶の生成量が大きくなる。
特表2003−528840号公報には、結晶化タンク、循環ポンプおよび冷却器を有する1つ以上の結晶化装置を用いて、滞留時間2〜12時間、1〜5段階の結晶化装置でアダクト結晶を製造する方法が記載されている。この方法も各結晶化装置に循環ポンプが必要であり、循環ポンプによるアダクト結晶の破砕による微細結晶の生成が生じる。また、アダクト結晶からフェノールを分離して得られるビスフェノールAの色相も不十分である。
このように、従来公知の直列多段の晶析槽により最終目的晶析温度まで順次冷却していく方法には、高純度のアダクト結晶を得るために必要な、最終晶析段階での固体分率に対する1段目晶析段階における固体分率の比B/Aに関しては、何ら開示されていない。また、設備投資的な観点から、晶析装置は実用的には3段以下、好ましくは2段が好適と言われている。このような方法においては、1つの晶析装置内でのスラリー温度が略均一となるため、結晶の成長過程に応じた精密な温度制御が困難になり、結晶成長過程に応じたきめ細かな温度制御ができないという問題があった。
本発明はビスフェノールAの製造方法に関する。より詳しくは、経済性に優れた、高純度で色相の優れたビスフェノールAの製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ビスフェノールAのフェノール溶液を、少なくとも2段階の温度で冷却してアダクト結晶を連続的に生成させる際に、最終晶析段階での固体分率A[wt%]に対する1段目晶析段階における固体分率B[wt%]の比B/Aを特定の範囲にすることで、高純度かつ色相の良好なアダクト結晶が得られることを見出した。また、ビスフェノールAのフェノール溶液を、内部が仕切りにより3以上の区画に分割され、少なくとも1つの区画に冷却装置を備えた多室型の晶析装置を用いて冷却することにより、連続的かつ経済的に、高純度で色相に優れたアダクト結晶が得られることも見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明の要旨は、
(1)フェノールとアセトンの反応によりビスフェノールAを含むフェノール溶液を得る工程と、
(2)得られたビスフェノールAを含むフェノール溶液を晶析装置で冷却し、フェノールとビスフェノールAからなるアダクト結晶を含むスラリーを連続的に形成する晶析工程と、
(3)スラリーからアダクト結晶を分離する固液分離工程と、
(4)アダクト結晶からフェノールを除去してビスフェノールAを得る工程
とからなるビスフェノールAの製造方法であって、前記晶析工程において、
(a)供給されるビスフェノールAのフェノール溶液が、少なくとも2段階の温度で冷却されて、アダクト結晶固体を含むスラリーが形成され、
(b)冷却温度の異なる少なくとも2段階の晶析段階が存在し、
(c)スラリー中の固体分率が、固液分離工程に供給する前の最終晶析段階においてA[wt%]であり、最初に結晶が生成する晶析段階においてB[wt%]であるとき、B/Aの値が0.7以下にする
ことを特徴とするビスフェノールAの製造方法であり、また、
(1)フェノールとアセトンの反応によりビスフェノールAを含むフェノール溶液を得る工程と、
(2)得られたビスフェノールAを含むフェノール溶液を晶析装置で冷却し、フェノールとビスフェノールAからなるアダクト結晶を含むスラリーを連続的に形成する晶析工程と、
(3)スラリーからアダクト結晶を分離する固液分離工程と、
(4)アダクト結晶からフェノールを除去してビスフェノールAを得る工程
とからなるビスフェノールAの製造方法であって、前記晶析工程において、
内部が仕切により3以上の区画に分割され、少なくとも1つの区画に冷却装置を備えた多室型の晶析装置を用い、ビスフェノールAを含むフェノール溶液を晶析装置内の1つの区画に供給し、生成したアダクト結晶スラリーを各区画に順次移動させ、少なくとも1組の連続する2つの区画において前段よりも後段のスラリー温度が低く制御され、アダクト結晶含有スラリーを段階的に冷却する
ことを特徴とするビスフェノールAの製造方法である。
ビスフェノールAはアセトンと過剰のフェノールを酸触媒の存在下に脱水縮合反応させて得ることができる。フェノール/アセトン(モル比)は、通常3〜30、好ましくは5〜20の範囲である。反応温度は、通常、40〜120℃、好ましくは50〜100℃の範囲である。
酸触媒については特に制限はなく、均一酸、固体酸のどちらでもよいが、装置腐食が少ないことおよび反応混合物と触媒の分離が容易なことから、固体酸触媒を用いるのが好ましい。
触媒として均一酸を用いる方法としては、一般的に塩化水素、硫酸等が使用されるが、反応混合物からの分離が比較的容易な塩化水素が好ましく用いられる。
固体酸を用いる方法としては、一般的に、スルホン酸型陽イオン交換樹脂が使用される。スルホン酸型陽イオン交換樹脂の触媒活性を向上させるために、スルホン酸型陽イオン交換樹脂と共にチオール基含有化合物を反応系に存在させてもよい。スルホン酸型陽イオン交換樹脂とチオール基含有化合物を共存させる方法として、スルホン酸型陽イオン交換樹脂のスルホン酸基の一部をチオール基含有化合物とイオン結合または共有結合で結合させる方法(チオール固定式)、および、スルホン酸型陽イオン交換樹脂と化学結合を形成しないチオール基含有化合物を、スルホン酸型陽イオン交換樹脂を充填した反応器に、反応原料と共に連続的に供給する方法(チオール添加式)がある。いずれの方法を用いてもよいが、チオール基含有化合物の回収工程が不要なチオール固定式が好ましい。より好ましくは、チオール化合物をスルホン酸型陽イオン交換樹脂にイオン結合で結合させる方法である。さらに好ましくは、スルホン酸基の3〜40%、より好ましくは5〜30%をチオール化合物とイオン結合で結合させる方法である。
上述のようにして得られる反応混合物には、通常、ビスフェノールAの他に、未反応アセトン、未反応フェノール、反応生成水および他の反応副生物を含む。副生物の主な成分は、2−(2−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンであり、他にトリスフェノール、ポリフェノール化合物、クロマン化合物、および着色不純物等がある。この反応混合物と触媒を分離した後、必要に応じて未反応アセトン、反応生成水および一部のフェノールの除去を行った後、晶析工程において冷却し、アダクト結晶を含むスラリーを生成する。
本発明のビスフェノールAの製造方法で、アダクト結晶を生成させる原料となるビスフェノールAのフェノール溶液は、前記のようなアセトンと過剰のフェノールより得られた混合物であれば特に制限は無いが、ビスフェノールAの濃度は10〜50重量%、好ましくは15〜45重量%である。ビスフェノールA濃度が10重量%未満であるとアダクト結晶の回収率が低くなる。ビスフェノールA濃度が50重量%より大きいとスラリー粘度が高くなりスラリーの輸送が困難となる。晶析原料にはフェノールとビスフェノールAの他に、5重量%以下、好ましくは3重量%以下、より好ましくは1重量%以下の水、3重量%以下のアセトン、および20重量%以下、好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下のビスフェノールA合成反応の際に生成する副生物が含まれていても良い。晶析工程に供給されるビスフェノールAのフェノール溶液の温度はアダクト結晶が析出しない温度T[℃]以上であれば特に制限は無いが、必要以上に高い温度で供給すると、冷却に要するエネルギーが大きくなる上に、冷却器の伝熱面積が大きくなる。したがって、好ましくはT〜(T+40)℃、さらに好ましくはT〜(T+20)℃の範囲である。
本発明の晶析工程は、連続的にビスフェノールAのフェノール溶液が供給され、少なくとも2段階の温度で冷却されて、アダクト結晶スラリーが形成される。晶析工程は、一つの容器を仕切りにより複数の区画に分割した晶析装置を用いてもよく、また、複数の晶析装置が配管により連結された装置を用いてもよい。さらには、晶析工程から固液分離工程に供給する前の最終の晶析段階におけるスラリー中の固体分率(=アダクト結晶重量/全スラリー重量)をA[wt%]とし、最初にアダクト結晶が生成する晶析段階(第1段階)における固体分率をB[wt%]としたときに、B/A[−]の値を0.7以下にするように晶析を行う。B/Aの値が0.7を超えると、最終晶析段階から得られるアダクト結晶の不純物が多くなり色相は悪化する。また、第1段階で生成するアダクト結晶が少なすぎると、装置の効率が低下するので、B/Aの好ましい範囲は0.03〜0.55以下、さらに好ましくは0.05〜0.4以下である。AおよびBの値は、アダクト結晶スラリー温度および晶析原料中のビスフェノールA濃度、水分濃度および不純物濃度等の因子により影響を受ける。しかしながら、第1段階の温度を除くこれらの因子は、通常は他のプロセス的要因により決定されることが多い。したがって、B/Aの値を前記の範囲にするためには、第1段階のアダクト結晶スラリー温度を適切に制御することによりBの値を操作し、B/Aを上記の範囲にすることができる。
また、晶析工程に、内部が仕切りにより3つ以上の区画に分割され、少なくとも1つの区画に冷却装置を備えた多室型の晶析装置を用い、ビスフェノールAを含むフェノール溶液を晶析装置内の1つの区画に供給し、生成したアダクト結晶スラリーを各区画に順次移動させ、少なくとも1組の連続する2つ区画において前段より後段のスラリー温度が低く制御され、アダクト結晶含有スラリーを段階的に冷却する方法も本発明の趣旨である。
該多室型晶析装置は、仕切りに開口部が設けられており、この開口部を通じて次段の区画へスラリーを移動する。したがって、晶析槽間のスラリー輸送にポンプを使用する必要が無く、輸送ポンプによるアダクト結晶の破砕が生じないため、微細結晶の生成が少ない。また、公知の直列多段の晶析槽を用いる方法と比較して、簡便かつ安価な装置で高純度かつ色相の良好なアダクト結晶を得ることができる。
該多室型晶析装置の区画の数は3つ以上であれば特に制限は無いが、好ましくは3〜50、さらに好ましくは7〜40である。区画の数が3より少ないと結晶の純度および色相が十分ではなく、50を超えてもそれ以上の純度および色相の向上効果を期待できない。該多室型晶析装置は少なくとも1つの冷却装置を備えている。冷却装置は必ずしも各区画に備える必要はないが、各区画にあった方が細かな温度制御が可能であり好ましい。該冷却装置によりアダクト結晶スラリーが段階的に冷却され、所望の温度まで冷却された後、該多室型晶析装置より排出される。
各区画内にはアダクト結晶スラリーの混合を促進するための撹拌装置を備えていても良い。冷却装置は内部に冷却媒体を流通させることができる冷却板を用いることが好ましく、晶析装置内を複数の区画に分ける仕切りに冷却板としての機能を付加してもよい。仕切りを冷却板として使用する場合は、必ずしも全ての仕切りを冷却装置にする必要は無く、必要に応じて一部の仕切りに冷却機能を備えたものを使用すればよい。また、ジャケットを晶析装置に取り付け、ジャケット内に冷却媒体を流通させることにより晶析装置内壁を冷却装置としても良く、ジャケットと他の冷却装置を併用しても良い。さらには、晶析装置外部に冷却装置を設けて、晶析装置の少なくとも一つの区画からスラリーの一部を抜き出し、冷却装置で冷却した後、元の区画または次段の区画に再循環する方法を用いても良いが、循環を行うとポンプ等によるアダクト結晶の破砕が生じるため、通常は前記のような仕切りを冷却板とする方法、または、ジャケットを冷却装置とする方法が好ましい。
従来公知の直列多段の晶析槽を用いたビスフェノールAのフェノール溶液からの晶析方法と比較して、本発明の多室型晶析装置は得られるアダクト結晶の純度が高く色相が良好なため、冷却装置の冷却面と該冷却面と同一区画に存在するアダクト結晶スラリーとの温度差を、従来公知の方法よりも大きくすることができる。これに伴って、冷却装置の伝熱面積を小さくできることも特徴の一つである。例えば特表2003−528840号公報には、好ましい範囲として2〜6[K]と記載されているが、本願の晶析装置では15℃以下、好ましくは10℃以下である。冷却面と該冷却面と同一区画に存在するアダクト結晶スラリーとの温度差が15℃以下であれば、高純度かつ色相が良好で微細結晶の少ないアダクト結晶が得られる。また、冷却面へのアダクト結晶の付着も生じ難い。なおここで、冷却装置が内部に冷却媒体を流通させる冷却装置である場合、冷却面の温度とは冷却装置に流入する冷却媒体の温度と実質的に同一であるとみなして良い。
冷却媒体の供給方法は冷却面と該冷却面と同一区画に存在するアダクト結晶スラリーとの温度差が前記の範囲になるようであれば特に制限は無く、各区画の冷却装置にそれぞれ別々に供給しても良いし、一度一つの冷却装置に供給して使用された冷却媒体を別の冷却装置に供給しても良い。好ましい形態としては、少なくとも一部の冷却媒体をアダクト結晶スラリーの流れと向流に使用する方法である。例えば、アダクト結晶スラリーを最初の区画に供給して、生成したアダクト結晶スラリーを各区画に順次移動させて段階的に冷却しながら最終の区画まで移動させる際に、冷却媒体は最終の区画に設置された冷却装置に供給し排出された後、アダクト結晶スラリーの流れと逆の方向に順次各区画の冷却装置を移動させ、スラリーが供給される最初の区画の冷却装置に使用してから、最終的に排出する方法が挙げられる。このような方法を行うことにより、冷却媒体の温度を個々に制御するための装置が削減でき経済的である。冷却媒体には特に制限は無く、水、エチレングリコール水溶液、プロピレングリコール水溶液またはフェノール水溶液等を用いることができる。
本発明のビスフェノールAを製造する際に多室型晶析装置を用いる方法において、さらに長時間安定的に晶析操作を実施する必要がある場合は、冷却装置の冷却面がアダクト結晶スラリーと接触する箇所にアダクト結晶付着防止装置を取り付けてもよい。アダクト結晶付着防止装置としては、米国特許6,090,972号公報および米国特許6,100,422号公報に開示されているような冷却板表面にスラリー流れを形成する方法、および冷却装置の冷却面を接触しながら相対移動する装置を取り付ける方法等が挙げられる。後者の方法の例としては、米国特許6,355,218号公報および米国特許4,486,395号公報等に開示されているような、内部に冷却媒体を流通させることのできる仕切を兼ねた冷却板を晶析装置内に平行に並べ、冷却板表面をシャフトに連結されたワイパーにより掻き取る方法がある。また、GMF GOUDA社のCooling Disc Crystallizerも好適に用いることができる。冷却面を接触しながら相対移動する装置を使用する場合は、アダクト結晶付着防止装置と冷却面とが接触する頻度を0.1〜30回/分、好ましくは0.5〜15回/分とする。0.1回/分より少ないと結晶付着防止装置の効果が十分ではなく、30回/分より多いと掻き取りに必要な動力が大きくなる。
該多室型晶析装置は、本発明の、ビスフェノールAのフェノール溶液が、少なくとも2段階の温度で冷却されて、アダクト結晶固体を含むスラリーが形成され、冷却温度の異なる少なくとも2段階の晶析段階が存在し、スラリー中の固体分率が、固液分離工程に供給する前の最終晶析段階においてA[wt%]であり、最初に結晶が生成する晶析段階においてB[wt%]であるとき、B/Aの値が0.7以下にする方法にも、好適に用いることができる。この場合は、第1段階から最終晶析段階までの全てを該多室型晶析装置で行っても良いが、必ずしもその必要は無い。各晶析段階または区画においてC[wt%]であるとき、第1段階からC/Aの値が少なくとも0.3まで、好ましくは0.5まで、さらに好ましくは0.7までを該多室型晶析装置で行えばよい。C/Aの値が少なくとも0.3までの間を多室型晶析装置で行うことにより、結晶成長過程に応じたきめ細かな温度制御がより一層容易になり、得られるアダクト結晶の純度および色相が良好になる。また、微細結晶の生成も抑制される。なお、この場合のBの値は、多室型晶析槽において最初にアダクト結晶が生成する区画の固体分率を指し、B<Cの関係となる。BとCの値の関係については、前記以外は特に制限は無いが、好ましくはB/Cが0.7以下、さらに好ましくはB/Cが0.5以下であれば、より一層高純度かつ色相の良好なアダクト結晶を得ることができる。
連続する2つの晶析段階または区画に存在するアダクト結晶スラリーの好ましい温度差は、10℃以下、さらに好ましくは8℃以下、より好ましくは0.5〜5℃である。このようにすることにより、結晶の純度および色相をより良好にすることができる。特にC/Aの値が0.4未満となる初期晶析段階または区画においては、温度差を10℃以下に保っことがとりわけ好ましい。
一方、前記温度差が小さいほど、結晶の純度および色相は向上するが、晶析段階または区画の数が多くなり工程が複雑になる。より経済的に実施するためには、初期晶析段階または区画において温度差を前記範囲に保ちながら、C/Aの値が0.4以上、好ましくは0.5以上、さらに好ましくは0.7以上である晶析段階または区画においては、次段の晶析段階または区画とのスラリー温度差ΔTが10℃を超える連続した2つの晶析段階または区画を存在させても良い。このようにすることで、アダクト結晶の純度および色相を大きく損なうこと無く、晶析工程を簡略化することができる。
また、少なくとも1組の連続する2つの晶析段階または区画において、前段よりも後段のスラリー温度が低く制御されることを必須とするが、前段と後段のスラリー温度が等しいか、または後段の方が温度差5℃以下で高温となる晶析段階または区画が一部にあってもよい。
本発明の何れの方法においても、晶析装置内でのアダクト結晶スラリーの合計滞留時間は0.5〜8時間、好ましくは1〜4時間、さらに好ましくは1〜3時間である。滞留時間が0.5時間より少ないと結晶の純度および色相が十分でなく、8時間を超えてもそれ以上の結晶純度および色相の改善効果は大きくない。最終区画のアダクト結晶スラリー温度は特に制限は無いが、通常40〜70℃である。アダクト結晶スラリー濃度にも特に制限は無く、アダクト結晶スラリーが移動可能な濃度であれば良いが、最終区画のスラリー濃度は、通常10〜60重量%、好ましくは10〜50重量%である。
最終晶析段階から排出されたアダクト結晶スラリーは固液分離工程へ送られて、アダクト結晶と母液に分離される。さらに、アダクト結晶に付着している母液を除去するためにフェノール等で洗浄を行う。本発明の方法で得られるアダクト結晶は結晶自体が高純度で色相が良好であり、さらに、微結晶が少なく大きな結晶が得られるため固液分離および洗浄が容易である。固液分離され洗浄されたアダクト結晶はフェノールが分離され、ビスフェノールAが回収される。アダクト結晶が高純度で色相が良好であるため、本発明の方法で得られるビスフェノールAは高純度で色相が良好であり、芳香族ポリカーボネート等のポリマー原料として好適である。
次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。なお、アダクト結晶の色相は、アダクト結晶30gに対してエタノール30mlを加えて完全に溶解し、分光光度計により波長420nmの吸光度を測定し、APHA標準液の吸光度から作成された検量線によりAPHA値に換算して求めた。100μm以下のアダクト結晶の割合は、目開き100μmの標準ふるいを通過する結晶量より算出した。ビスフェノールAの色相は、ビスフェノールAを255℃で完全に溶融し、目視によりAPHA標準液と比較して決定した。
晶析装置として、内部にドラフトチューブを備えた攪拌機付の晶析槽を2基直列に連結したものを使用した。この晶析装置に、ビスフェノールA35重量%およびビスフェノールAの副生物5重量%を含むフェノール溶液を90℃で、各晶析槽での滞留時間が1時間となるように連続的に供給した。1段目晶析槽のアダクト結晶スラリーの温度を72℃、2段目の晶析槽の温度を50℃となるように冷却し、装置が安定したところで各段のアダクト結晶スラリーを採取して、固体分率を測定したところ、一段目の固体分率Bは27wt%であり、2段目の固体分率Aは42wt%であり、B/Aの値は0.64であった。また、2段目の晶析槽のアダクト結晶中の100μm以下の微細結晶の割合は18wt%であった。さらに、2段目晶析槽から排出されるアダクト結晶スラリーを遠心分離して結晶を回収し、フェノールによる洗浄を行った。このアダクト結晶の色相は9APHAであった。さらにこのアダクト結晶からフェノールを除去してビスフェノールAを得た。得られたビスフェノールAの色相は15APHAと良好であった。
1段目晶析槽の温度を76℃とした他は実施例1と同様に行った。このときのBの値は21wt%であり、B/Aの値は0.50であった。2段目晶析槽から得られるアダクト結晶の100μm以下の微細結晶の割合は15wt%であり、色相は7APHAであった。
比較例1
1段目晶析槽の温度を63℃とした他は実施例1と同様に行った。このときのBの値は36wt%であり、B/Aの値は0.86であった。2段目晶析槽から得られるアダクト結晶の100μm以下の微細結晶の割合は27wt%であり、色相は17APHAであった。このアダクト結晶からフェノールを除去して得られたビスフェノールAの色相は35APHAと高い値であった。
晶析装置として、横型円筒形の容器にスラリーが移動するための開口部を設けた5枚の仕切を等間隔に平行に挿入して、6つの容積の等しい円筒状の区画に分け、それぞれの区画に冷却装置として水を流通させることのできるジャケットを備えた晶析装置を用いた。また、各区画内を撹拌するため、円筒容器の中心軸上にシャフトを設置し、シャフトに撹拌羽根を取り付けて10rpmで撹拌を実施した。各ジャケットにスラリーを冷却するための水を供給し、さらにこの晶析装置の最端部の区画に、ビスフェノールA35重量%およびビスフェノールAの副生物5重量%を含むフェノール溶液を85℃で連続的に供給し、生成したアダクト結晶スラリーを隣接する区画に順次移動させ、もう一方の最端部の区画(最終区画)からアダクト結晶スラリーを排出し、晶析装置内での滞留時間が2時間となるようにした。各区画のアダクト結晶スラリー温度は、上流側からそれぞれ81、77、72、66、58、50℃であり、各区画の冷却水の入口温度はスラリー上流側からそれぞれ76、72、67、61、53、45℃とし、冷却面とスラリーとの温度差は5℃となるようにした。装置が安定したところでアダクト結晶スラリーを採取して固体分率を測定したところ、第1区画の固体分率Bは11wt%、最終区画である第6区画の固体分率Aは42wt%であり、B/Aの値は0.26であった。また、第6区画の100μm以下の微細結晶の割合は5wt%であった。さらに、最終区画から排出されるアダクト結晶スラリーを遠心分離して結晶を回収し、フェノール洗浄を実施した。この結晶の色相は2APHAであった。この状態で100時間運転を継続したが、結晶の色相および100μm以下の微細結晶の割合には変化が無く、冷却面へ結晶が付着した場合に観察される最終区画のスラリー温度の上昇も認められなかった。
各区画のアダクト結晶スラリー温度は、上流側からそれぞれ81、77、72、66、58、50℃と実施例3と同一のまま、各区画の冷却面の面積を調節し、各区画の冷却水の入口温度をスラリー上流側からそれぞれ69、65、60、54、46、38℃とし、冷却面とスラリーとの温度差を12℃とした他は実施例1と同様にした。晶析装置が安定した時点での結晶の色相は5APHAであり、100μm以下の微細結晶の割合は11%であった。この状態で100時間運転を継続したところ、最終区画のスラリー温度は51℃であった。
実施例3で用いた多室型晶析装置に滞留時間が1時間となるように、実施例1と同じビスフェノールAのフェノール溶液を90℃で供給した。各区画のアダクト結晶スラリー温度は、上流側からそれぞれ、83、82、80、78、75、72℃となるようにした、このときの冷却面とスラリーとの温度差は、それぞれ5℃となるようにした。さらに、最終区画から排出されるスラリーを実施例1で用いた晶析槽1基に供給し、滞留時間1時間、スラリー温度50℃で晶析を行った。このときの多室型晶析装置の第1区画の固体分率Bは4wt%、最終区画の固体分率Cは27wt%、最終晶析段階であるドラフトチューブ付攪拌型晶析槽での固体分率Aは42wt%であり、B/A=0.10、C/A=0.64であった。また、最終晶析段階の100μm以下の微細結晶の割合は7wt%であった。さらに、最終晶析段階から排出されるアダクト結晶スラリーを遠心分離して結晶を回収し、フェノール洗浄を実施した。この結晶の色相は3APHAであった。C/Aの値が0.3以上まで多室型晶析装置を使用したことにより、実施例1と比較してアダクト結晶の色相が向上しており、微細結晶の割合が減少していることがわかる。また実施例3と比較した場合、C/Aの値が0.4を超えた後に次段とのスラリー温度差ΔTを10℃より大きくしても、アダクト結晶の色相および徴細結晶の割合に大きな影響をおよぼしていないことがわかる。
晶析装置として、横型円筒形の容器にアダクト結晶スラリーが移動するための開口部を設けた7枚の仕切を等間隔に平行に挿入して、8つの容積の等しい円筒状の区画に分け、冷却装置として、それぞれの区画に水を流通させることのできるジャケットを備えた晶析装置を用いた。また、各区画内を撹拌するため、円筒容器の中心軸上にシャフトを設置し、シャフトに撹拌羽根を取り付けて10rpmで撹拌を実施した。各区画のアダクト結晶スラリー温度を、上流側からそれぞれ82、80、76、72、67、62、56、50℃、各区画の冷却水の入口温度をアダクト結晶スラリー上流側からそれぞれ77、75、71、67、62、57、51、45℃とし、冷却面とアダクト結晶スラリーとの温度差が5℃となるようにした他は実施例3と同様に晶析操作を実施した。装置が安定したところでアダクト結晶スラリーを採取して固体分率を測定したところ、第1区画の固体分率Bは9wt%、最終区画である第8区画の固体分率Aは42wt%であり、B/Aの値は0.21であった。また、第8区画の100μm以下の微細結晶の割合は3wt%であった。さらに、最終区画から排出されるアダクト結晶スラリーを遠心分離して結晶を回収し、フェノール洗浄を実施した。この結晶の色相は2APHA未満であった。この状態で100時間運転を継続したが、結晶の色相および100μm以下の微細結晶の割合には変化が無く、スラリー温度の上昇も認められなかった。
冷却水流量および各区画の冷却面の面積を調節して、各区画のアダクト結晶スラリー温度を上流側からそれぞれ82、79、66、61、58、55、52、50℃とし、第2区画と第3区画の温度差を12℃とした。このときの各区画の冷却水入口温度は、アダクト結晶スラリー上流側からそれぞれ77、70、56、56、55、52、49、47℃とし、冷却面とアダクト結晶スラリーとの温度差は最大で10℃であった。その他は実施例3と同様にして晶析操作を行った。装置が安定したところでアダクト結晶スラリーを採取して固体分率を測定したところ、第2区画の固体分率Cは16wt%、最終区画である第8区画の固体分率Aは42wt%であり、C/Aの値は0.38であった。また、第8区画の100μm以下の微細結晶の割合は13wt%であった。最終区画である第8区画から排出されるアダクト結晶スラリーを遠心分離して結晶の色相は6APHAであった。
参考例
実施例1で用いた晶析装置を1つだけ使用し、実施例1と同じビスフェノールAのフェノール溶液を滞留時間2時間となるように連続的に供給した。晶析槽内の温度が50℃となるように冷却して、装置が安定した時点で、晶析槽底部より排出されるアダクト結晶スラリーを遠心分離して結晶を回収した。この結晶の色相は23APHAであり、100μm以下の微細結晶の割合は36重量%であった。
本発明によれば、経済性に優れた高純度で色相の優れたビスフェノールAの製造方法を提供することができる。

Claims (7)

  1. (1)フェノールとアセトンの反応によりビスフェノールAを含むフェノール溶液を得る工程と、
    (2)得られたビスフェノールAを含むフェノール溶液を晶析装置で冷却し、フェノールとビスフェノールAからなるアダクト結晶を含むスラリーを連続的に形成する晶析工程と、
    (3)スラリーからアダクト結晶を分離する固液分離工程と、
    (4)アダクト結晶からフェノールを除去してビスフェノールAを得る工程
    とからなるビスフェノールAの製造方法であって、前記晶析工程において、
    (a)供給されるビスフェノールAのフェノール溶液が、少なくとも2段階の温度で冷却されて、アダクト結晶固体を含むスラリーが形成され、
    (b)冷却温度の異なる少なくとも2段階の晶析段階が存在し、
    (c)スラリー中の固体分率が、固液分離工程に供給する前の最終晶析段階においてA[wt%]であり、最初に結晶が生成する晶析段階においてB[wt%]であるとき、B/Aの値が0.7以下に保たれる
    ことを特徴とするビスフェノールAの製造方法。
  2. (1)フェノールとアセトンの反応によりビスフェノールAを含むフェノール溶液を得る工程と、
    (2)得られたビスフェノールAを含むフェノール溶液を晶析装置で冷却し、フェノールとビスフェノールAからなるアダクト結晶を含むスラリーを連続的に形成する晶析工程と、
    (3)スラリーからアダクト結晶を分離する固液分離工程と、
    (4)アダクト結晶からフェノールを除去してビスフェノールAを得る工程
    とからなるビスフェノールAの製造方法であって、前記晶析工程において、
    内部が仕切りにより3以上の区画に分割され、少なくとも1つの区画に冷却装置を備えた多室型の晶析装置を用い、ビスフェノールAを含むフェノール溶液を晶析装置内の1つの区画に供給し、生成したアダクト結晶スラリーを各区画に順次移動させ、少なくとも1組の連続する2つ区画において前段よりも後段のスラリー温度が低く制御され、アダクト結晶含有スラリーを段階的に冷却する
    ことを特徴とするビスフェノールAの製造方法。
  3. スラリー中の固体分率が、固液分離工程に供給する前の最終晶析段階A[wt%]であり、各晶析段階においてC[wt%]であるとき、C/Aの値が少なくとも0.3までは、
    内部が仕切により3以上の区画に分割され、少なくとも1つの区画に冷却装置を備えた多室型の晶析装置を用い、ビスフェノールAを含むフェノール溶液を晶析装置内の1つの区画に供給し、生成したアダクト結晶スラリーを各区画に順次移動させてアダクト結晶含有スラリーを段階的に冷却する装置
    を用いることを特徴とする請求の範囲1記載の方法。
  4. 連続する2つの晶析段階または区画に存在するアダクト結晶スラリーの温度差が10℃以下であることを特徴とする請求の範囲1、2および3記載の方法。
  5. スラリー中の固体分率が、固液分離工程に供給する前の最終晶析段階または区画においてA[wt%]であり、各晶析段階または区画においてC[wt%]であるとき、
    C/Aの値が0.4以上である晶析段階または区画においては、次段の晶析段階または区画とのスラリー温度差ΔTが10℃を超える連続した2つの晶析段階または区画の組合せが少なくとも1組存在する請求の範囲4記載の方法。
  6. 多湿型晶析装置において、冷却装置の冷却面と、同一区画に存在するアダクト結晶スラリーとの温度差が15℃以下であることを特徴とする請求の範囲1、2および3記載の方法。
  7. 冷却装置の冷却面にフェノール−ビスフェノールAアダクト結晶が付着することを防止する装置を備えたことを特徴とする請求の範囲1、2および3記載の製造方法。
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