JPWO2004084253A1 - 高圧放電ランプの製造方法、高圧放電ランプおよびこの高圧放電ランプを用いたランプユニット並びに画像表示装置 - Google Patents
高圧放電ランプの製造方法、高圧放電ランプおよびこの高圧放電ランプを用いたランプユニット並びに画像表示装置Info
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Abstract
Description
この種の画像表示装置に使用されている光源としては、点光源に近いショートアークの高圧水銀ランプ(例えば、特開平2−148561号公報参照)が用いられている。
この高圧水銀ランプは、内部に一対の電極が配された発光部と、この発光部の両端から延在する一対の封止部とを備え、当該封止部には電極に接続された金属箔が気密に封止される(箔シール構造)。また、発光部内には、少なくとも発光物質としての水銀と、ハロゲンサイクルを起こさせるためのハロゲンとがそれぞれ所定量封入されている。
そして、近年では、このような高圧水銀ランプにおいて、長寿命化および高輝度化を実現すべく、高封入圧化が進んでいる。
しかしながら、このような高封入圧化に伴って次のような問題が生じている。
すなわち、高圧水銀ランプにおいて、電極棒のうち封止部に位置している部分と、封止部を形成する石英ガラスとの間は、実際にはわずかな隙間が生じており、当該封止部の気密性は、金属箔と封止部の石英ガラスとの密着性に依存しているが、発光部内の封入圧を高くすると、点灯時間の経過とともに金属箔と石英ガラスとの剥離が進行し、その結果、発光部内の封入物がリークするという問題がある。
そこで、電極における電極棒のうち封止部に位置している部分と、封止部を形成する石英ガラスとの間に、シリカ(SiO2)を主成分とし、その他、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ホウ素(B2O3)、酸化ナトリウム(Na2O)等を含むバイコールガラス(コーニング社製:登録商標第1657152号)を介在させて、封止時に電極棒と当該バイコールガラスとを密着させることにより、金属箔と石英ガラスとの剥離を抑制し、発光部内の封入物がリークするのを防止する構成が提案されている(例えば、特開2002−93361号公報参照)。
しかしながら、高封入圧化のためにバイコールガラスが用いられた高圧水銀ランプでは、発光部とその両端に延在する封止部からなる透光性容器の長手方向の軸を鉛直方向に対して略垂直になるような状態で点灯させた場合において、当該発光部の内面のうち上方に位置する石英ガラス部分が著しく失透(白濁)し、光束が低下したり、失透に伴う膨張によって変形や破損したりするという問題が起こるとともに、点灯初期において発光部の内面が著しく黒化するという問題が起こることが判明した。
また、このような高圧水銀ランプに封入されるハロゲンの形態は、従来では例えば臭化メチレン(CH2Br2)の形態であったが、発光部内に不純物として炭素や水素が混入するのを防ぐため、臭化水銀(HgBr2)の形態で封入することが提案されている(例えば、特開2001−338579号公報参照)。
しかし、このような臭化水銀の形態で水銀とハロゲンとが封入された高圧水銀ランプでも、上記の場合と同様に、発光部の内面のうち上方に位置する石英ガラス部分が著しく失透し、光束が低下したり、失透に伴う膨張によって変形や破損したりするという問題が起こるとともに、点灯初期において発光部の内面が著しく黒化するという問題が起こった。
一方、特開2001−266797号公報には、直流点灯形の高圧水銀ランプにおいて、光出力の立ち上がり時間を短縮し、ランプ始動時に発生するグロー放電を防止するため、封止部に導電性ヒータを巻回し、点灯始動前に導電性ヒータに通電して加熱する構成が開示されており、その一実施の形態として陰極側封止部側の外部リードと同陰極側封止側の導電性ヒータを電気的接続する構成が開示されている。陰極側封止部内部の電極棒よりも陰極側封止部の外表面に巻回された導電性ヒータの方が、陰極側封止部内部の電極棒や金属箔を流れる電流による電圧降下分だけ低電位になるため、この部分で電界が生じ、封止部内のアルカリ成分は、導電性ヒータの巻回された陰極側封止部の外表面側に引き出される。
一般的に、アルカリ成分がモリブデンからなる金属箔と封止部を形成する石英ガラスとの界面に存在すると、そのモリブデンと石英ガラスとの結合が切断され、両者の接合力が低下してランプの耐圧強度が低下することが知られており、上記のような構成により前記アルカリ成分を陰極側封止部の外表面に引き出すことにより、ランプの耐圧強度が低下するのを防止している。
しかしながら、上述のような構成によっても高出力化、特に定格電力200W以上の高圧水銀ランプでは、透光性容器の長手方向の軸を鉛直方向に対して略垂直になるような状態で点灯させた場合において、発光部の内面のうち上方に位置する石英ガラス部分が著しく失透(白濁)し、光束が低下したり、失透に伴う膨張によって変形や破損したりして、定格寿命時間(2000時間)を達成することができないという問題が起こった。
また、定格電力200W未満の高圧水銀ランプであっても、点灯経過時間2000時間を超えると、やはり失透が目立ち始め、定格寿命時間10000時間以上という長寿命化を実現することができず、市場からの要望に応えることができないという問題があった。
また、特に、電極における電極棒のうち封止部に位置している部分と、封止部を形成する石英ガラスとの間にバイコールガラスを介在させて電極棒とバイコールガラスとを密着させた高圧水銀ランプや、アルカリ金属が不純物として12ppmを超える程度に含有されている電極を用いた高圧水銀ランプでは、ランプ電力に関わらず、上記と同様に透光性容器の長手方向の軸を鉛直方向に対して略垂直になるような状態で点灯させた場合において、透光性容器の内面のうち上方に位置する部分が著しく失透するという問題や、透光性容器の内面が黒化するという問題が起こった。
上述した問題は、高圧水銀ランプのみならず、封止部を有する高圧放電ランプ一般に生じる。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、高出力化、高封入圧化されても、透光性容器の発光部が失透するのを抑制することができ、かつ発光部の内面が黒化するのを防止することができる高圧放電ランプの製造方法、製造された高圧放電ランプ、ランプユニットおよび画像表示装置を提供することを目的とする。
また、混入したアルカリ金属がハロゲンサイクルを阻害したため、ハロゲンサイクルが機能せず、点灯中に電極から蒸発した電極材料(タングステン)が発光部の内面に付着し、黒化したものと考えた。
なお、透光性容器の長手方向の軸が鉛直方向と略垂直になるような状態で点灯した場合において、発光部の内面のうち最も上方に位置する部分が顕著に失透するのは、熱対流の影響によってその部分が最も温度が高くなるためと考えられる。
また、バイコールガラスや臭化水銀を用いなくとも、ランプに使用されている部材(電極や石英ガラス等)にアルカリ金属が多く含有されている場合や、製造過程においてアルカリ金属が透光性容器の発光部内に多量に混入した場合でも、上記失透や黒化が現れるものと考えられる。
そこで、上記目的を達成するため、本発明に係る高圧水銀ランプの製造方法は、内部に、一対の電極が配設され、かつ発光物質とハロゲンとがそれぞれ封入される発光部を有するガラス製の透光性容器を備えた高圧放電ランプの製造方法であって、前記透光性容器を形成するためのガラスバルブ内に、一対の電極を配置し、かつ前記発光物質とハロゲンを封入して気密に封止して高圧放電ランプを形成するランプ形成工程と、少なくとも前記発光部を所定以上の温度に維持しつつ、前記発光部に電界を印加する電界印加工程とを含むことを特徴とする。
この方法によれば、発光部に電界を印加することにより、製造過程において、発光部内の放電空間に存在する不純物やランプに使用されている部材(石英ガラスや電極等)中に含まれている不純物、特にアルカリ金属を、電界の作用によって放電空間外に誘引し、透光性容器中に拡散させ、さらには透光性容器外部に放出させることが可能となる。
その結果、ランプの使用中において、発光部が失透するのを抑制することができると共に、発光部の内面が黒化するのを防止することができる。特に、透光性容器のうち少なくとも発光部が所定以上の温度に保たれているので、発光部の材料中における不純物の拡散速度を速めることができる。
なお、不純物として、アルカリ金属以外に陽イオンとなる例えばアルミニウム等の金属元素全般や、電荷をもつ分子状のものが挙げられる。さらに、ここで言う「アルカリ金属」とは、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、およびフランシウム(Fr)の6元素を示す。
また、本発明で言う「ランプ形成工程」は、一対の電極に電力を供給することにより、一対の電極間でアーク放電を起こさせることができる状態の高圧放電ランプを形成する工程のことを意味する。また、「所定以上の温度」とは、使用する透光性容器の材料における不純物の拡散速度を考慮して適宜決定すればよいが、石英ガラス材料の場合は、600℃以上1100℃以下が望ましい。
さらに、前記不純物は実質的に正の電荷または負の電荷を持つことにより、前記電界によって誘引される。また、透光性容器中を拡散する際は、それらがイオン化しているものと考えられる。
また、本発明に係る高圧放電ランプの製造方法は、前記電界印加工程が、前記透光性容器の外部に導電部材を設置し、当該導電部材と前記一対の電極に異なる電位の電圧を印加することにより実行されるようにしてもよいし、あるいは、前記電界印加工程が、前記透光性容器の少なくとも発光部を、異なる電位の電圧がそれぞれ印加された前記第1と第2の導電部材の間に介在させることにより実行されるようにしてもよい。
さらに、また、前記電界印加工程において、前記一対の電極に電力を供給して高圧放電ランプを点灯させることにより前記少なくとも発光部を加熱して前記所定以上の温度に保つようにすれば、他に特別な加熱のための設備を用いることなく、発光部を所定以上の温度に維持できるので、設備コストを抑えることができると共に、製造過程において通常行われるランプ点灯試験と兼ねることができるので、効率よく、短時間で前記不純物の除去作業を行うことができる。
さらに、本発明に係る高圧放電ランプの製造方法は、前記透光性容器は、前記発光部とその両端部に形成された封止部とからなると共に、前記一対の電極は、互いに略対向するように配置されており、前記電界印加工程において、前記導電部材は、前記発光部と前記封止部との境界部に近接または接触させて配置されていることを特徴とする。ここで、前記電界印加工程が、前記透光性容器の長手方向の軸が鉛直方向と略垂直になるように配置された状態で行われることが望ましい。
このように透光性容器の長手方向の軸が鉛直方向と略垂直になるように配置されて点灯される場合には、透光性容器の一部を局所的に冷却したり、その一部を局所的に加熱したりしない限り、点灯中、発光部と封止部との境界部の外面温度は発光部およびその近傍を含む領域の外面温度中でも比較的低くなる。したがって、この方法によれば、その境界部に、不純物のうち特にアルカリ金属が集まってきても、その部分の透光性容器とアルカリ金属とが化学的に反応しにくく、失透するおそれを小さくすることができる。また、仮にその境界部が失透したとしてもわずかであり、透光性容器が変形や破損するまでに至ることはなく、またその失透部分が電極の根元部分周辺部分であるということもあって、光束が低下することはない。
また、前記電界印加工程において、前記導電部材は、前記発光部の外面のうち上方に位置する部分に近接または接触していないことを特徴とする。
透光性容器の長手方向の軸が鉛直方向と略垂直になるように配置されて点灯される場合には、点灯中、発光部の外面のうち上方にする部分の温度は、発光部内の空間に発生する熱対流の影響で、その他の部分の温度に比して高くなる。そのため、その部分に、前記不純物、特にアルカリ金属が集中して誘引されると、その部分に失透しやすくなるおそれがある。上記方法によれば、発光部の外面のうち上方に位置する部分に、前記不純物、特にアルカリ金属が集中して誘引されないようにすることができ、当該上方に位置する部分が失透するのを抑制することができる。
また、前記ランプ形成工程において、前記電極は一部が前記封止部内に位置する電極棒を有しており、前記電極棒のうち前記封止部内に位置する部分と、前記封止部を形成するガラス部材との間にはアルカリ金属を含有するガラス筒が介在した状態で封止されるようにしてもよい。
電極軸の一部をアルカリ金属を含むガラス筒を介して封止することにより、耐圧強度を高めることができる。当該ガラス筒中に含まれているアルカリ金属は、電界印加工程により十分除去することができ、ランプの使用中、発光部が失透するのを抑制することができるとともに、発光部の内面が黒化するのを防止することができる。
ここで、アルカリ金属を含有するガラス筒の材料としてバイコールガラスが挙げられる。一般的に、バイコールガラスはシリカ(SiO2)を主成分とし、その他、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ホウ素(B2O3)、酸化ナトリウム(Na2O)等が含まれている。その成分の一例としては、SiO2が96重量%以上、Al2O3が0.5重量%、B2O3が3.0重量%、Na2Oが0.04重量%である。
また、上記一対の電極は、タングステンを主成分とし、アルカリ金属の含有量が12ppmを超えるとしてもよい。
本発明に係る高圧放電ランプの製造方法によれば、製造過程において、電極中に含まれているアルカリ金属を十分に除去することができ、ランプの使用中、発光部の失透するのを抑制することができるとともに、発光部の内面が黒化するのを防止することができる。
また、ここで、前記ハロゲンはハロゲン化水銀の形態で封入されるとしてもよい。
本発明に係る高圧放電ランプの製造方法によれば、ハロゲン化水銀に含まれている不純物、特にアルカリ金属を十分に除去することができ、ランプの使用中、発光部が失透するのを抑制することができるとともに、発光部の内面が黒化するのを防止することができる。
ハロゲンの種類は、特に限定されないが、電極への腐食作用が小さい臭素を用いることが好ましく、特に臭化水銀(HgBr2)を用いることが好ましい。
また、本発明に係る高圧放電ランプは、上記の製造方法を用いて製造されたことを特徴としている。これによれば、発光部内の不純物、特にアルカリ金属を十分に除去されているので、ランプの使用中、発光部が失透するのを抑制することができるとともに、発光部の内面が黒化するのを防止することができ、長寿命である。
また、本発明に係る高圧放電ランプは、内部に一対の電極が配置され、かつ発光金属が封入された発光部と、この発光部の両端部に形成された封止部とを有するガラス製の透光性容器を備えた高圧放電ランプであって、前記発光部内の空間に存在する不純物を、少なくとも前記発光部に電界を印加することによって、点灯中において前記発光部の内面のうち最も温度が高くなる部分以外の部分に誘引する誘引手段が設けられていることを特徴としている。
この構成によれば、安定点灯時において、発光部内の空間に存在する不純物、特にアルカリ金属を、発光部の内面のうち、最も失透しやすい部分である最も温度が高い部分以外に誘引することができるので、そのアルカリ金属が発光部の内面のうち最も温度が高い部分に付着する確率を低減することができ、その部分における失透速度を低減することができる。また、アルカリ金属によってハロゲンサイクルが阻害されるのを防止でき、これにより発光部の内面が黒化するのを防止することができる。
ここで、安定点灯時において、「発光部の内面のうち最も温度が高くなる部分」とは、一般的に、ランプのその点灯姿勢において、発光部の内面のうち最も上方に位置する部分である。
また、前記誘引手段によって、前記発光部内の空間に存在する不純物が、点灯中において前記発光部の内面のうち最も温度が低くなる部分に誘引されるようにすることが望ましい。
この構成によれば、安定点灯時において、発光部内の空間に存在する不純物、特にアルカリ金属を、発光部の空間のうち、失透しにくい部分である最も温度が低い空間に誘引することができるので、そのアルカリ金属が発光部の内面のうち最も温度が高い部分に付着する確率を低減することができ、その部分における失透速度を低減することができる。また、アルカリ金属によってハロゲンサイクルが阻害されるのを防止することができ、発光部の内面が黒化するのを防止することができる。
ここで、透光性容器の長手方向の軸が鉛直方向と略垂直になるような状態で点灯した場合において、「発光部の空間のうち最も温度が低い空間」とは、電極の根元部分周辺のガラス部分である。
また、前記誘引手段は、前記発光部と前記封止部との境界部近傍に近接または接触させて配置され、かつ点灯中、前記電極に対して負の電位が印加される導電部材であることを特徴とする。
この構成によれば、安定点灯時において、発光部内の空間に存在する不純物、特にアルカリ金属を、発光部内の空間のうち、失透しにくい部分である最も温度が低い空間、つまり電極の根元部分周辺のガラス部分に誘引することができるので、そのアルカリ金属が発光部の内面のうち最も温度が高い部分に付着する確率を低減することができ、その部分における失透速度を低減することができる。また、誘引されたアルカリ金属とその周辺に位置するガラスとはわずかながら化学的に反応して失透するおそれがあるが、その部分の温度が低いために失透したとしてもわずかであり、透光性容器が変形や破損するまでに至ることはなく、またその失透部分が電極の根元部分周辺のガラス部分であるということもあって、光束が大きく低下することはない。さらに、アルカリ金属によってハロゲンサイクルが阻害されるのを防止することができ、発光部の内面が黒化するのを防止することができる。
また、本発明に係る高圧放電ランプは、内部に一対の電極が配置され、かつ発光金属が封入される発光部と、この発光部の両端部に形成された封止部とを有するガラス製の透光性容器を備えた高圧放電ランプであって、前記発光部と前記封止部との境界部近傍には、点灯中、前記電極に印加される電圧よりも低い負の電位の電圧が印加される導電部材が近接または接触した状態て配設されていることを特徴とする。
この構成によれば、発光部の内面のうち最も温度の高い部分に対面する発光部の外面に、発光部の空間内に存在する不純物、特にアルカリ金属が誘引されることはないので、そのアルカリ金属が発光部の内面のうち最も温度が高い部分に付着する確率を低減することができ、その部分における失透速度を低減することができる。
本発明に係るランプユニットは、凹面反射鏡内に、上述した高圧放電ランプが、前記一対の電極間の中心と前記反射鏡の焦点位置とが略一致するように、取り付けられている構成を有している。
この構成によれば、発光部における失透や内面の黒化が抑制された高圧放電ランプを用いているので、照度維持率を向上させることができ、長寿命化を図ることができる。
また、さらに本発明に係る画像表示装置は、上記ランプユニットと、前記ランプユニットに組み込まれている高圧放電ランプを点灯させるための点灯装置と、前記ランプユニットから照射される光を集光する集光手段と、前記集光手段によって集光された光を用いて画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段によって形成された画像を被投射部材に投射する投射手段とを備えている。
この構成によれば、照度維持率の向上したランプユニットを光源として用いているので、スクリーン等への照度維持率を向上させることができ、ランプの交換を頻繁にする必要がないのでメンテナンスコストを低減させることができる。
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る交流点灯形の高圧水銀ランプの正面断面図である。
図3は、図2のa−a線における封止部の断面図である。
図4は、上記高圧水銀ランプを点灯するための点灯装置の構成を示すブロック図である。
図5は、本発明の第1の実施の形態であるプロジェクタ用のランプユニットを用いた画像表示装置の構成の一例を示す模式図である。
図6は、上記プロジェクタ用のランプユニットに用いられている交流点灯形の高圧水銀ランプの製造方法におけるランプ形成工程の最初の段階を説明するための図である。
図7は、上記プロジェクタ用のランプユニットに用いられている交流点灯形の高圧水銀ランプの製造方法におけるランプ形成工程の次の段階を説明するための別の図である。
図8は、上記プロジェクタ用のランプユニットに用いられている交流点灯形の高圧水銀ランプの製造方法におけるランプ形成工程のさらに次の段階を説明するための別の図である。
図9は、上記プロジェクタ用のランプユニットに用いられている交流点灯形の高圧水銀ランプの製造方法における電界印加工程を示す図である。
図10は、本実施の形態により製造された高圧水銀ランプの従来品との比較実験の結果を示す表である。
図11は、本実施の形態に係る高圧水銀ランプの製造方法における電界印加工程において導電部材に印加する電圧を変化させて、高圧水銀ランプの評価した実験の結果を示す表である。
図12は、本実施の形態に係る電界印加工程を実施した高圧水銀ランプにおけるNaの含有量の測定箇所、(b)は、当該測定結果の表を示す図である。
図13は、本発明の第2の実施の形態における交流点灯形の高圧水銀ランプの製造方法における電界印加工程を示す図である。
図14は、本発明の第3の実施の形態に係るプロジェクタ用のランプユニットの正面断面図と点灯装置のブロック図とを併記した図である。
図15は、図14の交流点灯形の高圧水銀ランプの正面図である。
図16は、図15の高圧水銀ランプと従来の高圧水銀ランプとの比較実験の結果を示す表である。
図17は、図15の高圧水銀ランプの導電部材に印加する電圧を変化させて点灯した場合の実験の結果を示す表である。
図18は、本発明の第5の実施の形態であるプロジェクタ用のランプユニットに用いられている高圧水銀ランプの正面図である。
<第1の実施の形態>
(1)ランプユニットの構成
図1は、本発明の第1の実施の形態であるプロジェクタ用のランプユニット1の構成を示すための一部切り欠き斜視図である。
同図に示すようにプロジェクタ用のランプユニット1は、凹面反射鏡3内に、高圧水銀ランプ2が、その一対の電極7の電極間距離の中心と凹面反射鏡3の焦点位置とが略一致するように、かつ高圧水銀ランプ2の長手方向の中心軸Xと凹面反射鏡3の光軸(図1では前記中心軸Xと一致)とが略平行になるように配置されてなる。この高圧水銀ランプ2は、交流点灯形であり、その定格電力は220Wである。
凹面反射鏡3は、前方に開口部17を、後方にネック部18をそれぞれ有し、かつ内面が、例えば回転放物面または回転楕円面等の形状であって、その表面に例えば金属が蒸着されて反射面19が形成されている。
図2は、高圧水銀ランプ2の構成を示す断面図である。同図に示すように、高圧水銀ランプ2は、外形形状が略球状または略回転楕円体状であり、最大外径が12mm、最大肉厚が2.7mm〜3mmの発光部4と、この発光部4の両端部に形成された直径6mmの円柱状の封止部5とを有する石英ガラス製の透光性容器6を備えている。
ここで、最大外径は、発光部4の外形形状が略回転楕円体状の場合、短軸方向における最大外径を示す。
点灯中、透光性容器6の発光部4の内壁にかかる管壁負荷は60W/cm2以上、例えば140W/cm2である。透光性容器6の構成材料が石英ガラスである場合、管壁負荷の実使用の範囲として200W/cm2以下が好ましい。
なお、発光部4の内容積は例えば0.2ccである。
発光部4内には、一対の電極7が互いに略対向するように配置されているとともに、水銀、例えばアルゴンガスやキセノンガス等の希ガス、および例えば臭素等のハロゲンがそれぞれ封入されて放電空間8が形成される。
ここで、水銀の封入量は0.15mg/mm3以上、実使用の範囲としては0.35mg/mm3以下が好ましい。希ガスの封入量は5kPa〜40kPa程度である。ハロゲンの封入量は10−7μmol/mm3〜10−2μmol/mm3である。
電極7は、タングステンを主成分とし、不純物としてアルカリ金属等が含有されている直径0.3mm〜0.45mmの電極棒9と、この電極棒9の一端部に巻き付けられ、かつ電極棒9と同一成分のコイル10とを有している。また、電極7の先端部は、電極棒9の一部とともにコイル10の一部が溶融して略半球形状の塊状になっている。電極7間の距離(電極間距離)は0.2mm〜5.0mmである。
電極棒9の他端部は、封止部5に封止されたモリブデン製の金属箔11を介してモリブデン製の外部リード線12,13に電気的に接続されている。
ここで、電極7の不純物の一例、およびその含有量を挙げると次のとおりである。
カリウム 10ppm
ナトリウム 20ppm
電極棒9のうち封止部5内に位置する部分と、封止部5を形成する石英ガラスとの間には、コーニング社製のバイコールガラスからなる筒状のガラス部材5aがそれぞれ介在しており、このガラス部材5aとともに電極棒9が封止されている。
図3は、図2のa−a線における封止部5の横断面図である。同図に示すように、封止部5の横断面形状は、ほぼ円形であり、金属箔11と電極棒9が、ガラス部材5aを介して気密に封止されている。
なお、ガラス部材5aの成分は以下のとおりである。
SiO2:96重量%以上
Al2O3:0.5重量%
B2O3:3.0重量%
Na2O:0.04重量%
図2に戻り、金属箔11の電極棒9と反対側には、外部リード線12,13が接続され、各外部リード線12、13の金属箔11と反対側は、透光性容器6の外部に導出されている。
一方の外部リード線12は、図1に示すように、凹面反射鏡3に形成された貫通孔14を通って凹面反射鏡3の外部に導出している電力供給線15に電気的に接続されている。他方の外部リード線13(図1では図示せず)は、高圧水銀ランプ2の一方の封止部5の端部に接着剤(図示せず)によって固着された口金16に電気的に接続されており、当該口金16が凹面反射鏡3のネック部18内に挿入され接着剤20によって固着されることにより、高圧水銀ランプ2と凹面反射鏡3が一体化されている。
なお、凹面反射鏡3の開口部17には、図示はしていないが、前面ガラスが接着剤等によって固着され、塵埃などが凹面反射鏡3の内部に混入するのを防止するようになっている。
(2)点灯装置の構成
次に、高圧水銀ランプ2を点灯させるための点灯装置について説明する。
図4に示すように、点灯装置20は、交流電源(AC100V)(図示せず)に接続される直流電源(DC電源)21と、この直流電源21に接続され、かつ高圧水銀ランプ2に接続されたバラスト22とを備えている。
バラスト22は、高圧水銀ランプ2が点灯に必要とする電力を供給するためのDC/DCコンバータ23と、このDC/DCコンバータ23の出力を所定の周波数の交流電流に変換するDC/ACインバータ24と、始動時に高圧水銀ランプ2に高圧パルスを重畳するための高圧発生器25と、高圧水銀ランプ2のランプ電流を検知するための電流検出部26と、高圧水銀ランプ2のランプ電圧を検知するための電圧検出部27と、電流検出部26および電圧検出部27の検出信号を受けて、DC/DCコンバータ23およびDC/ACインバータ24を制御するための制御部28とを備えており、これにより高圧水銀ランプ2に供給される電力が一定になるように制御される。
(3)画像表示装置の構成
次に、図5を参照しながら、このようなランプユニット1を用いた画像表示装置の構成を、3板式液晶プロジェクタを例にして説明する。
図5に示すように、3板式液晶プロジェクタ100は、光源としてのランプユニット1と、ミラー28と、ランプユニット1からの白色光を青、緑、赤の三原色に分離するためのダイクロイックミラー29,30と、分離された光をそれぞれ反射するミラー31,32,33と、分離された三原色について、それぞれ単色光画像を形成するための液晶ライトバルブ34,35,36と、フィールドレンズ37,38,39と、リレーレンズ40,41と、液晶ライトバルブ34,35,36をそれぞれ透過した光を合成するダイクロイックプリズム42と、投射レンズ43とを備えている。そして、3板式液晶プロジェクタ100から投射された画像は被投射面であるスクリーン110上に投影される。
なお、上記画像表示装置は、ランプユニット1を除いては公知の構成なので、UVフィルタ等の光学素子については省略している。
(4)高圧水銀ランプの製造方法
次に、上記した高圧水銀ランプ2の製造方法について説明する。
この高圧水銀ランプの製造方法は、大きく分けてランプ形成工程と電界印加工程とからなる。
(4−1)ランプ形成工程
予め石英ガラス製のガラスパイプを加工して、中央部が略球状または略回転楕円体形状に膨らんだ発光部形成予定部44と、この発光部形成予定部44の両端部に延在する封止予定部48とからなるガラスバルブ45を用意する。封止予定部48の内部にバイコールガラスからなるガラス管70を図6に示す位置まで挿入し、その位置における封止予定部48の周囲を加熱して、ガラス管70の外周面を封止予定部48の内周面に密着させて固定する。そして、ガラスバルブ45内部を十分に洗浄し、乾燥させる。
その後、図7に示すように、ガラスバルブ45を立てた状態で、予め電極7、金属箔11および外部リード線12が組み立てられた第一電極組み立て体46を、ガラスバルブ45の上方の端部から挿入し、保持治具47によって所定の位置で保持する。
そして、第一電極組み立て体46が位置しているガラスバルブ45の封止予定部48をガスバーナー等によって加熱、軟化させて封着する。
次に、図8に示すように、封止した部分が下側に位置するようにガラスバルブ45を立て、ガラスバルブ45の上方の端部から臭化水銀と純水銀とをそれぞれ所定量導入した後、予め電極7、金属箔11および外部リード線13が組み立てられた第二電極組み立て体49を、ガラスバルブ45の上方の端部から挿入し、保持治具47によって所定の位置で保持する。その後、ガラスバルブ45内を真空排気し、希ガスを所定量導入する。
そして、発光部形成予定部44を液体窒素等によって冷却しながら、第二電極組み立て体49が位置しているガラスバルブ45の封止予定部50をガスバーナー等によって加熱、軟化させて封着する。
最後にガラスバルブ45の両端部の不要部分をカットして、図2に示す高圧水銀ランプ2を完成させる。つまり、この状態で外部リード線12,13を例えば図4に示す点灯装置20に接続し、一対の電極7に電力を供給することにより、一対の電極7間でアーク放電を起こさせることができる。
なお、ここまでの工程においては、公知の方法であり、その詳細については省略している。また、高圧水銀ランプ2を完成させるまでの工程は、上記方法以外のその他の公知の方法を用いてもよい。
(4−2)電界印加工程
上記のランプ形成工程の後、図9に示すように、高圧水銀ランプ2を、透光性容器6の長手方向の軸(前記中心軸Xと同じ)が鉛直方向と略垂直になるように配置する(以下、この状態を「水平配置」という。)。
また、発光部4と封止部5との境界部分の外面には、線径が0.2mm〜0.5mm、例えば0.2mmである鉄、クロムおよびアルミニウムの合金からなる線状の導電部材51,52が近接または接触するように1ターンずつそれぞれ巻き付けられている。
これらの導電部材51,52は、発光部4と封止部5との境界部分に巻き付けられた後、高圧水銀ランプ2が水平配置で点灯された場合において下方に位置する発光部4の外面を跨ぐように、それの外面形状に沿って近接または接触させて配置され、その下方に位置する発光部4の外面の中央部で一本によりあわせられて接続されている。
つまり、高圧水銀ランプ2が水平配置の状態で点灯された場合において、導電部材51,52が発光部4の外面のうち、最も温度が高くなる上方の外面に近付くのを避けるため、その導電部材51,52の接続部を、内面の温度が比較的低い下方に位置する発光部4の外面に配置させている。
次に、この高圧水銀ランプ2の外部リード線12,13を、図4に示す点灯装置20に接続するとともに、導電部材51,52を別の直流電源30の一方の端子に接続する。点灯装置20における直流電源21の0V側と、直流電源30の一方の端子とは同電位となるように接続されている。
これにより、例えば、交流点灯形の定格電力220Wの高圧水銀ランプを点灯する場合において、直流電源21の一方の端子の電位を基準(0V)にすると、直流電源21の他方の端子には380Vの電位を、別の直流電源30の他方の端子には−50V以下の電位VEをそれぞれ発生させることができるようになっている。
したがって、安定点灯時においては、直流電源21の一方の端子の電位を基準(0V)にすると、両電極7の電位は0V〜100Vの範囲で変動しており、導電部材51,52には−50V以下の電位VEが印加される。
以上の準備を終えて、図4に示す点灯装置20を用いて高圧水銀ランプ2を実使用状態とほぼ同じ状態で連続点灯させると共に、導電部材51,52には−50V以下の電位VEを印加する。
この状態で5分以上、好ましくは15分以上、さらに好ましくは2時間〜10時間以上放置する。この放置時間は印加直後からの時間である。
この間、高圧水銀ランプ2は点灯されているので、透光性容器6のうち少なくとも発光部4は所定の温度、例えば800℃に保たれている。また、このとき通常の点灯試験も兼ねている。
不純物、特にイオン化したアルカリ金属を石英ガラス中に十分に拡散させるためには、透光性容器6のうち少なくとも発光部4を600℃以上に保つことが好ましい。ただし、透光性容器6が石英ガラスからなる場合において、石英ガラスが再結晶化し、失透しないように1100℃以下にすることが好ましい。
その後、高圧水銀ランプ2を自然冷却または強制冷却し、導電部材51,52を取り外して、最終的な製品として完成する。
(4−3)作用効果の確認
次に、本発明の第1の実施の形態にかかるランプユニット1(以下、「本発明品」という)の作用効果の確認を行った。
本発明品において、300時間点灯経過後、および2000時間点灯経過後における発光部4の内面の黒化の有無、失透の有無、および5時間点灯時間後の照度を100%とした場合の照度維持率(%)をそれぞれ測定したところ、図10の表1に示すとおりの結果が得られた。
なお、電界印加工程において、導電部材51,52の印加電位VEを−100Vに設定した。また、ここでの「照度維持率」は、ランプユニット1を上述の画像表示装置に搭載して40インチのスクリーンに投影した場合の平均照度維持率(%)である。
さらに、比較のため、高圧水銀ランプ2の製造過程において、導電部材51,52を設けずに通常どおりの点灯試験のみを行った点を除いて本発明品と同じ製造方法を用い、かつ同じ構成を有しているランプユニット(以下、「比較品」という。)についても、本発明品と同じ測定を行った。その結果を表1に併せて示す。
なお、サンプル数は本発明品、比較品ともに5本ずつである。
表1から明らかなように、本発明品は2000時間点灯経過後であっても発光部4に失透や黒化はほとんど見られず、照度維持率も74%を維持していた。一方、比較品は300時間点灯経過後においてすでに発光部4の内面が著しく失透しているとともに、黒化しており、照度維持率も85%であり、さらに点灯時間2000時間を経過する前には全数が失透によって放射熱が遮蔽されて発光部4が過熱し、発光部4が膨れ上がるように変形した。
以上のとおり、本発明の第1の実施の形態であるプロジェクタ用のランプユニット1に用いられている高圧水銀ランプ2の製造方法によれば、その製造過程において、発光部4内の空間に存在する不純物やランプに使用されている部材(電極7、封入物である臭化水銀、ガラス部材5a等)中に含まれている不純物、特にアルカリ金属を、導電部材51,52に一対の電極7の電位に対して負電位が印加されることによって電極7と導電部材51,52との間に発生する電界によって導電部材51,52に向かって誘引させることができ、石英ガラス中に拡散させて透光性容器6の外部へ放出させることができるため、ランプの使用中において、発光部4の石英ガラス部分が失透するのを抑制することができるとともに、発光部4の内面が黒化するのを防止することができる。
また、透光性容器6のうち少なくとも発光部4が所定の温度以上に保たれているので、石英ガラス中でのイオン化したアルカリ金属の拡散速度を速めることができる。
特に、高圧水銀ランプ2を点灯させることによって発光部4を所定の温度以上に保っているので、特別な加熱のための設備を用いることなく、発光部4を所定の温度以上に保つことができ、その結果、設備コストを抑えることができるとともに、製造過程において通常行われるランプ点灯試験と兼ねることができるため、効率よく、短時間で前記不純物の除去作業を行うことができる。
また、特に、高圧水銀ランプ2が水平配置の状態で、導電部材51,52が発光部4と封止部5との境界部に近接または接触させて配置されているので、その境界部に、不純物のうち特にアルカリ金属が集まってきても、その部分の石英ガラスとアルカリ金属とが化学的に反応しにくく、失透するおそれを小さくすることができる。これは、透光性容器6の一部を局所的に冷却したり、その一部を局所的に加熱したりしない限り、点灯中、発光部4と封止部5との境界部の外面温度は、発光部4およびその近傍を含む領域の中の外面温度の中でも比較的低くなるためである。仮に、その境界部が失透したとしてもわずかであり、石英ガラスが変形や破損するまでに至ることはなく、またその失透部分が電極の根元部分周辺のガラス部分であるということもあって、光束が低下することはない。
さらに、導電部材51,52が発光部4の外面のうち上方に位置する部分に近接または接触していないので、発光部4の外面のうち上方にする部分に、前記不純物、特にアルカリ金属が集中して誘引されないようにすることができ、その部分の石英ガラスが失透するのを抑制することができる。
そして、本発明の第1の実施の形態にかかるランプユニット1において、このような製造方法によって製造された高圧水銀ランプ2を光源として用いているので、照度維持率を向上させることができ、長寿命化を図ることができる。
また、このランプユニット1を用いた画像表示装置においては、スクリーン等への照度維持率を向上させることができ、長寿命化を図ることができる。
(4−4)電界印加工程における電圧VEの最適範囲
次に、本発明品において、導電部材51,52への印加電圧VEを0V、−25V、−50、−100V、および−200Vに変化させた場合の1000時間点灯経過後と2000時間点灯経過後との照度維持率(%)をそれぞれ測定したところ、図11の表2に示すとおりの結果が得られた。
当該表2から明らかなように、印加電圧が−50V以下、例えば−50V、−100V、および−200Vの場合では、2000時間点灯経過後であっても照度維持率が60%以上あり、透光性容器6の変形等は見られなかった。
一方、印加電圧が−50Vを超える、例えば−25Vの場合では点灯経過時間が1000時間であれば照度維持率は71%あるものの、点灯経過時間が2000時間に至るまでに透光性容器6が失透によって膨れ上がり、変形してしまった。
したがって、導電部材51,52への印加電圧は、製造工程において不純物、特にアルカリ金属を十分に除去するため、一方の電極の電位0Vを基準にとると、−50V以下は必要であることがわかった。この印加電圧は低ければ低いほど、不純物の除去が効率的に行えることはいうまでもないが、コストと直流電源30の回路上の制限から自ずからその下限も定まる。
なお、以上のような電界印加工程を実施した高圧水銀ランプは、本願の製造方法を使用しないものと比較して構成的に次の違いがある。
(a)初期にランプを点灯したときの不純物による発光スペクトルが極端に少なくなる。これは電界を印加させることにより、発光部内の放電空間中の不純物が発光部の材料内か発光部の外に移動したことに起因する。発光スペクトルの差違は、特にバイコールガラス製のガラス部材を封止部に使用した場合には顕著に現れる。
(b)電界を印加することにより、発光部やその発光部から延在した封止部に不純物の濃度分布が生じる。このことからも、放電空間内のイオン化された不純物が発光部壁面内を外部に向かって移動していることが立証される。
これらの2つの特徴の有無がランプに存在するか否かによって、本願の製造方法を適用したか確認できる。
特に、Naの含有量の差異は顕著であり、この点から本発明に係るランプを発光部4の単位体積当りのNa含有量が、この発光部から延在した第1のガラス部の単位体積当りのNa含有量よりも少ない構成として特徴付けることもできる。なお、本発明における発光部のNaの単位体積当りの含有量は、封止部の単位体積当りの含有量の、少なくとも2分の1以下であることが望ましい。
実際に、従来品のランプと電界印加工程を行った発明品について、それぞれ図12(a)の発光部4の斜線Eの部分と、封止部5のガラス部材5a(図2参照)を配設していない部分(斜線Fの部分)のNaの含有量を、原子吸光分析法で分析したところ、図12(b)の表3のような結果が得られた。なお、従来品と本発明品のランプの点灯時間は、同じ2時間である。
同表からも明らかなように、従来品では、発光部4のNa含有量が、0.61ppmであるのに対し、本発明品では、その6分の1に近い0.11ppmまで低減されている。
また、電界印加工程により放電空間9内の水素(H2)の量も大幅に低減していることも確認されている。従来は、放電空間9内の水素低減と発光管を形成するガラス部材の不要な歪の除去を兼ねて、ランプ封止後の適当な段階でランプ全体を所定時間真空ベークする工程が必要とされていたが、上記電界印加工程の実施により、この真空ベーク工程の時間を大幅に短縮できるものである。
以上のように本実施の形態の電界印加工程を実施することで、発光部4内に混入した不純物を減らし、黒化を抑制できたことがわかる。また、不純物の低減により失透も抑制されるため、ランプ寿命も向上する。
(5)その他
(5−1)上記第1の実施の形態では、導電部材51,52を発光部4と封止部5との境界部分に1ターンのみ巻き付けられている場合について説明したが、2ターン以上の複数ターン巻き付けられていても上記と同様の効果を得ることができる。
また、上記第1の実施の形態では、導電部材51,52の材料として鉄、クロムおよびアルミニウムの合金を用いた場合について説明したが、他にタングステンやモリブデン等の特に耐熱性の高い金属でも上記と同様の効果を得ることができる。
さらに、上記第1の実施の形態では、導電部材51,52として線径が0.2mm〜0.5mmのものを用いた場合について説明したが、それ以外の異なる線径でもよく、また形状についても例えば板状であっても上記と同様の効果を得ることができる。
(5−2)上記第1の実施の形態では、高圧水銀ランプ2を実使用状態とほぼ同じ状態で連続点灯させ、導電部材51,52に−50V以下の電位VEを印加した場合について説明したが、特に高圧水銀ランプ2を実使用状態とほぼ同じ状態で連続点灯させる必要はない。
(5−3)上記第1の実施の形態では、導電部材51,52に電極7の電位に対して負の電位を印加した場合について説明したが、導電部材51,52に電極7の電位に対して正の電位を印加した場合でも上記と同様の効果を得ることができる。もちろん、その際は誘引される不純物の種類が異なる場合がある。
(5−4)さらに、上記第1の実施の形態では、高圧水銀ランプ2を水平配置の状態にして点灯することを想定して、導電部材51,52を発光部4と封止部5との境界部分に巻き付けた場合について説明したが、透光性容器6の長手方向の軸が鉛直方向に対して45度以上の範囲内にある状態であれば、導電部材51,52を発光部4と封止部5との境界部分に巻き付けることにより、上記と同様の効果を得ることができる。もちろん、必ずしも導電部材51,52を発光部4と封止部5との境界部分に巻き付ける必要はなく、点灯方向や温度環境によって導電部材51,52を、アルカリ金属を誘引したい場所に適宜配置すればよい。
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態であるプロジェクタ用のランプユニットについて説明する。本実施の形態に係るランプユニットは、その高圧水銀ランプ2の製造方法が、上記第1の実施の形態で説明した製造方法とは異なる点を除いて当該第1の実施の形態と同じ構成を有している。
具体的に本実施の形態に係るランプユニットに使用される高圧水銀ランプ2の製造方法は、上記第1の実施の形態と電界印加工程の内容のみが異なっているので、この点について以下説明する。
ランプ形成工程後、図13に示すように、高圧水銀ランプ2を、高圧水銀ランプ2を水平配置し、例えば銅製の四角い平らな板状の導電部材54,55を、発光部4を上下から挟むように、その平らな面が略平行にかつ互いに略対面するように配設する。
導電部材54,55間の距離は、所望の電界強度が発生するように各々の導電部材54,55に印加される電位との関係で適宜決定すればよい。また、導電部材54,55の寸法は、失透や黒化の発生場所が主として発光部4であることを考慮すると、少なくとも発光部4全体を覆うような大きさであることが好ましい。
そして、この高圧水銀ランプ2の外部リード線12,13を図4に示す点灯装置20に接続するとともに、導電部材54,55をそれぞれ直流電源31に接続する。
ここで、例えば、水平配置の状態で点灯する際に下側に位置する導電部材55をマイナスに、上側に位置する導電部材54をプラスにすることにより、失透の要因であるアルカリ金属イオン(プラスイオン)を、温度が発光部4の上方よりも低い下方に誘引させることができ、その結果、発光部4の石英ガラス部分が失透するのを一層抑制することができる。
本発明の第2の実施の形態であるプロジェクタ用のランプユニット1に用いられている高圧水銀ランプ2の製造方法によっても、上記した本発明の第1の実施の形態であるプロジェクタ用のランプユニット1に用いられている高圧水銀ランプ2の製造方法と同様に、その製造過程において、発光部4内の空間に存在する不純物やランプに使用されている部材(電極7、封入物である臭化水銀、およびガラス部材5a等)中に含まれている不純物、特にアルカリ金属を印加した電界によって誘引させることができ、石英ガラス中に拡散させて透光性容器6の外部へ放出させることができるため、ランプの使用中において、発光部4の石英ガラス部分が失透するのを抑制することができるとともに、発光部4の内面が黒化するのを防止することができる。また、透光性容器6のうち少なくとも発光部4が所定の温度以上に保たれているので、石英ガラス中でのイオン化したアルカリ金属の拡散速度を速めることができる。
なお、上記第2の実施の形態では、矩形の平板状の導電部材54,55を用いた場合について説明したが、その形状について特定されるものではなく、例えば円板状の場合や、また発光部4の外面形状に沿うように湾曲している場合であっても上記と同様の効果を得ることができる。
また、上記第2の実施の形態では、導電部材54,55を透光性容器6の上下に設置した場合について説明したが、図13の状態を基準にして透光性容器6の左右や、手前側と奥側とに設置した場合でも上記と同様の効果を得ることができる。
なお、上記各実施の形態では、高圧水銀ランプ2を連続点灯させることによって透光性容器6のうち少なくとも発光部4を加熱し所定の温度以上に保つ場合について説明したが、点灯、消灯を繰り返して透光性容器6のうち少なくとも発光部4を所定の温度以上に保っても上記と同様の効果を得ることができる。また、例えば外部からヒーター等の加熱手段によって透光性容器6のうち少なくとも発光部4を加熱し所定の温度以上に保ってもよい。
さらに、高圧水銀ランプ2を一旦点灯させた後に消灯し、その後、前記加熱手段によって透光性容器6のうち少なくとも発光部4を加熱し所定の温度以上に保ってもよい。
また、上記各実施の形態では、定格電力220Wの高圧水銀ランプ2を一例に示したが、定格電力が150Wの高圧水銀ランプや、定格電力が220Wを超える250Wの高圧水銀ランプにも本発明を適用することができる。
<第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施の形態に係るプロジェクタ用のランプユニットについて説明する。上記第1、第2の実施の形態においては、製造段階で放電空間内や透光性容器からアルカリ金属などの不純物を排除するようにしていたが、この第3の実施の形態に係るランプユニットは、点灯使用時において不純物を除去する機能を有している点に特徴がある。
(1)ランプユニット201の構成
図14に示すように、本発明の第3の実施の形態であるプロジェクタ用のランプユニット201は、交流点灯形の定格電力220Wの高圧水銀ランプ202が凹面反射鏡203内に後述する電極209間の中心と凹面反射鏡203の焦点位置とが略一致するように、かつ高圧水銀ランプ2の長手方向の中心軸Xと凹面反射鏡203の光軸(図1中では、前記中心軸Xと一致している)とが略平行になるように配置されている。
高圧水銀ランプ202は、図15に示すように、外形形状が略球状または略回転楕円体状であり、最大外径が12mm、最大肉厚が2.7mm〜3mmの発光部204と、この発光部204の両端部に形成された直径6mmの円柱状の封止部205とからなる石英ガラス製の透光性容器206とを備えている。
点灯中、発光部204の内壁にかかる管壁負荷は60W/cm2以上、例えば140W/cm2である。透光性容器206の構成材料が石英ガラスである場合、管壁負荷の実使用の範囲として200W/cm2以下が好ましい。
なお、発光部204の内容積は例えば0.2ccである。
発光部204と封止部205との境界部分には、線径が0.2mm〜0.5mm、例えば0.2mmである鉄、クロムおよびアルミニウムの合金からなる線状の導電部材207,208が透光性容器206の外面に近接または接触するように1ターンずつそれぞれ巻き付けられている。また、これらの導電部材207,208は、発光部204と封止部205との境界部分に巻き付けられた後、透光性容器206の長手方向の軸(前記中心軸Xと同じ)が鉛直方向に対して略垂直になるような姿勢で点灯された場合において下方に位置する発光部204の外面を跨ぐように、それの外面形状に沿って近接または接触させて配置され、その下方に位置する発光部204の外面の中央部で一本によりあわせられて接続され、そのどちらか一方の導電部材が延出されてリード線230となっている。
つまり、高圧水銀ランプ2が水平配置された状態で点灯された場合において、導電部材207,208が発光部204の内面のうち、最も温度が高くなる上方の内面に近付くのを避けるため、その導電部材207,208の接続部を、内面の温度が比較的低い下方に位置する発光部204の外面に配置させるようにしている。
図15に示すように、発光部204内部の放電空間210には、一対の電極209が互いに略対向するように配置されているとともに、水銀(発光物質)、例えばアルゴンガスやキセノンガス等の希ガス、および例えば臭素等のハロゲン物質が封入されている。
水銀の封入量は0.15mg/mm3以上、実使用の範囲としては0.35mg/mm3以下が好ましい。希ガスの封入量は5kPa〜40kPa程度である。ハロゲン物質の封入量は10−7μmol/mm3〜10−2μmol/mm3である。
電極209は、タングステンを主成分とし、不純物としてアルカリ金属等が含有されている直径0.3mm〜0.45mmの電極棒211と、この電極棒211の一端部に巻き付けられた電極棒211と同一成分のコイル212とを有している。また、電極209の先端部は、電極棒211の一部とともにコイル212の一部が溶融して略半球形状の塊状になっている。電極209間の距離は0.2mm〜5.0mmである。
各電極棒211の放電側と反対の端部は、封止部205に封止されたモリブデン製の金属箔213を介してモリブデン製の外部リード線214,215にそれぞれ電気的に接続され、外部リード線214,215の他端は各々透光性容器206の外部に導出される。
ここで、電極209の不純物の含有量の一例を挙げると次のとおりである。
カリウム 5ppm以下
ナトリウム 5ppm以下
鉄 5ppm以下
図14に戻り、凹面反射鏡203は、内面に、例えば回転放物面または回転楕円面等からなる反射面216を有した本体部217と、本体部217の一端部に形成された開口部218と、本体部217の他端部に形成されたネック部219とを備えている。
高圧水銀ランプ202と凹面反射鏡203とは、高圧水銀ランプ202の一方の封止部205に接着剤220によって固着された口金221がネック部219に取り付けられ、接着剤222によって固着されて一体化されている。
高圧水銀ランプ202の一方の外部リード線214は、凹面反射鏡203に形成された貫通孔224を通って凹面反射鏡3の外部に導出している電力供給線214aに接続されている。他方の外部リード線215はネック部219から凹面反射鏡203の外部に導出し、電力供給線215aに接続されている。
また、高圧水銀ランプ202に巻回された二本の導電部材207,208に接続されるリード線230は、凹面反射鏡203に設けられた貫通孔223を介して凹面反射鏡3の外部に導出されている。
なお、開口部218には前面ガラス225が接着剤226によって固着されている。
(2)点灯装置の構成
次に、高圧水銀ランプ202を点灯させるための点灯装置について説明する。
図14に示すように、点灯装置250は、交流電源(AC100V)に接続される第1の直流電源227と、この第1の直流電源227に接続され、かつ電力供給線214a,215aに接続されたバラスト228と、導電部材207,208に電極209に対して負の電位を印加するための第2の直流電源229とを備えている。バラスト228は、図4で示したバラスト22と同様な構成を有しているので、ここでは再説しない。
また、第1の直流電源227の一方の端子と、第2の直流電源229の一方の端子とは同電位となるように接続されている。第2の直流電源229の他方の端子には高圧水銀ランプ202に巻回された導電部材207,208がリード線230を介して接続され、点灯中、各々の電極209に対して負の電位となる電圧VEが印加されている。
例えば、交流点灯形の定格電力220Wの高圧水銀ランプを点灯する場合において、第1の直流電源227の一方の端子の電位を基準(0V)にすると、第1の直流電源227の他方の端子には380Vの電位が、第2の直流電源229の他方の端子には−50V以下の電位VEがそれぞれ発生するように構成される。
したがって、安定点灯時においては、第1の直流電源227の一方の端子の電位を基準(0V)にすると、両電極209の電位は0V〜100Vの範囲で変動しており、導電部材207,208には−50V以下の電位VEがそれぞれ印加されている。
(3)作用効果の確認
次に、本発明の実施の形態に係るランプユニット201(以下、「本発明品」という。)の作用効果の確認を行った。
本発明品において、点灯経過時間5時間の照度を100%とした場合の点灯経過時間1000時間、および2000時間の照度維持率(%)をそれぞれ測定したところ、図16の表4に示すとおりの結果が得られた。
なお、導電部材207,208の印加電位を−100Vとした。また、ここでの「照度維持率」は、ランプユニット201を上述の画像表示装置に搭載して40インチのスクリーンに投影した場合の平均照度維持率(%)である。
さらに、比較のため、導電部材207,208が設けられていない点を除いて本発明品と同じ構成を有しているランプユニット(以下、「比較品」という。)についても、本発明品と同じ測定を行い、その結果を図16の表4に併せて示す。
なお、サンプル数は本発明品、比較品ともに5本である。
表4から明らかなように、本発明品は点灯経過時間2000時間であっても透光性容器206(発光部204)内面のうち上方に位置する部分が若干失透しているものの、照度維持率が74%であったのに対し、比較品は全数が点灯時間2000時間を経過する前に失透により発光部204が膨れ上がり変形していた。
また、目視により本発明品における発光部204の内面を観測したところ、黒化はほとんど見られなかった。
以上のとおり本発明の第3の実施の形態であるプロジェクタ用のランプユニット201によれば、使用している高圧水銀ランプ202が定格電力220Wと高ワットタイプでありながら、透光性容器206の長手方向の軸が鉛直方向と略垂直になるような状態で点灯した場合において、安定点灯時、発光部204内の空間に存在する不純物、特にアルカリ金属イオンを、発光部204の内面のうち最も失透しやすい部分である最も温度が高い部分以外、具体的には発光部204内の空間のうち失透しにくい部分である最も温度が低い空間、つまり電極209の根元部分周辺のガラス部分に誘引することができるので、アルカリ金属イオンが発光部204の内面のうち最も温度が高い部分に付着する確率を低減することができ、その部分における失透速度を低減することができる。また、アルカリ金属によってハロゲンサイクルが阻害されるのを防止することができ、発光部204の内面が黒化するのを防止することができる。
また、電極209の根元部分に誘引されたアルカリ金属とその周辺に位置する石英ガラスとはわずかながら化学的に反応して失透するおそれがあるが、その部分は温度が低いため失透したとしてもわずかであり、その石英ガラスが変形や破損するまでに至ることはなく、またその失透部分が電極209の根元部分周辺のガラス部分であるということもあって、光束が低下することはない。
よって、ランプユニットとして、ランプの光束が低下するのを抑制することができ、その結果、照度維持率を向上させることができ、長寿命化を実現することができる。
また、画像表示装置に、このようなランプユニット201を用いれば、スクリーン等への照度維持率を向上させることができ、長寿命化を実現することができる。
次に、本発明品において、導電部材207,208への印加電圧を0V、−25V、−50、−100V、および−200Vに変化させた場合の点灯時間1000時間経過後と2000時間経過後との照度維持率(%)をそれぞれ測定したところ、図17の表5に示すとおりの結果が得られた。
表5から明らかなように、印加電圧が−50V以下、例えば−50V、−100V、および−200Vの場合では、点灯経過時間2000時間経過後であっても照度維持率が60%以上あり、透光性容器206の変形等は見られなかった。一方、印加電圧が−50Vより大きい、例えば−25Vの場合では点灯経過時間1000時間であれば照度維持率が75%あるものの、点灯経過時間が2000時間に至るまでに発光部204が失透によって膨れ上がり、変形してしまった。
したがって、本実施の形態においても少なくとも定格寿命時間2000時間まで透光性容器206の変形等を防止するために、導電部材207,208への印加電圧は、第1の実施の形態同様、一方の電極の電位0Vを基準にして−50V以下の必要があるといえる。
<第4の実施の形態>
本発明の第4の実施の形態であるプロジェクタ用のランプユニットは、高純度の電極209の代わりに、タングステンを主成分とし、不純物としてのアルカリ金属、具体的にはカリウムが10ppm、ナトリウムが20ppmである電極が用いられている点を除いて上記本発明の第3の実施の形態であるプロジェクタ用のランプユニット201の構成を同じ構成を有している。
本第4の実施の形態に係るプロジェクタ用のランプユニットによれば、使用している高圧水銀ランプ2が定格電力220Wと高ワットタイプであることに加えて、電極中に不純物としてアルカリ金属の含有量が12ppmを越えており、点灯中、電極から放電空間にアルカリ金属が蒸発し、発光部204の石英ガラスがそのアルカリ金属によって一層失透しやすい状況にあるにもかかわらず、水平配置の状態で点灯した場合において、安定点灯時、発光部204内の空間に存在するアルカリ金属イオンを、発光部204の内面のうち最も失透しやすい部分である最も温度が高い部分以外の箇所、具体的には発光部204の空間のうち失透しにくい部分である最も温度が低い空間、つまり電極の根元部分周辺のガラス部分に誘引することができるので、そのアルカリ金属イオンが発光部4の内面のうち最も温度が高い部分に付着する確率を低減することができ、その部分における失透速度を低減することができる。
また、誘引されたアルカリ金属とその周辺に位置する石英ガラスとはわずかながら化学的に反応して失透するおそれがあるが、その部分は温度が低いため失透したとしてもわずかであり、石英ガラスが変形や破損するまでに至ることはなく、またその失透部分が電極の根元部分周辺のガラス部分であるということもあって、光束が低下することはない。
<第5の実施の形態>
本発明の第5の実施の形態であるプロジェクタ用のランプユニットは、図18に示すように、これに用いられている定格電力220Wの高圧水銀ランプ253において、電極棒211のうち封止部205内に位置する部分と、封止部205を形成する石英ガラスとの間に、上掲のバイコールガラスからなる筒状のガラス部材254がそれぞれ介在し、このガラス部材254とともに電極棒211が封止されている点を除いて上記第3の実施の形態であるプロジェクタ用のランプユニット201の構成と同じ構成を有している。
ガラス部材254の成分は以下のとおりである。
SiO2:96重量%以上
Al2O3:0.5重量%
B2O3:3.0重量%
Na2O:0.04重量%
本第5の実施の形態であるプロジェクタ用のランプユニットによれば、使用している高圧水銀ランプ253が定格電力220Wと高ワットタイプであることに加えて、ガラス部材254中に不純物としてアルカリ金属を含有しており、点灯中、このガラス部材254から放電空間中にアルカリ金属が蒸発し、発光部204の石英ガラスがそのアルカリ金属によって一層失透しやすい状況にあるにもかかわらず、透光性容器206の長手方向の軸が鉛直方向と略垂直になるような状態で点灯した場合において、安定点灯時、発光部204内の空間に存在するアルカリ金属イオンを、発光部204の内面のうち最も失透しやすい部分である最も温度が高い部分以外、具体的には発光部204内の空間のうち失透しにくい部分である最も温度が低い空間、つまり電極の根元部分周辺のガラス部分に誘引することができるので、アルカリ金属が発光部204の内面のうち最も温度が高い部分に付着する確率を低減することができ、その部分における失透速度を低減することができる。
また、電極の根元部分周辺のガラス部分に誘引されたアルカリ金属とそこに位置する石英ガラスとはわずかながら化学的に反応して失透するおそれがあるが、その部分は温度が低いため失透したとしてもわずかであるため、石英ガラスが変形や破損するまでに至ることはなく、またその失透部分が電極の根元部分周辺のガラス部分であるということもあって、光束が低下することはない。
なお、上記第3から第5の実施の形態では、導電部材207,208を発光部204と封止部205との境界部分に1ターンのみ巻き付けられている場合について説明したが、2ターン以上の複数ターン巻き付けられていても上記と同様の効果を得ることができる。
また、導電部材207,208の材料として鉄、クロムおよびアルミニウムの合金を用いた場合について説明したが、他にタングステンやモリブデン等の特に耐熱性の高い金属でも上記と同様の効果を得ることができる。
さらに、導電部材207,208として線径が0.2mm〜0.5mmのものを用いた場合について説明したが、それ以外の異なる線径でもよく、また形状についても例えば板状であっても上記と同様の効果を得ることができる。
また、一般的な使用状態として、透光性容器206の長手方向の軸が鉛直方向と略垂直になるような状態で点灯することを想定して、導電部材207,208を発光部204と封止部205との境界部分に巻き付けた場合について説明したが、透光性容器206の長手方向の軸が鉛直方向に対して45度以上の範囲内であれば、導電部材207,208を発光部204と封止部205との境界部分に巻き付けることにより、上記と同様の効果を得ることができる。もちろん、必ずしも導電部材207,208を発光部204と封止部205との境界部分に巻き付ける必要はなく、点灯方向や温度環境によって導電部材207,208を、アルカリ金属を誘引したい場所に適宜配置すればよい。
また、定格電力220Wの高圧水銀ランプ202,253を一例に示したが、定格電力が150Wの高圧水銀ランプや、定格電力が220Wを超える250Wの高圧水銀ランプにも本発明を適用することができる。特に、定格電力150W程度の低ワットタイプの中でも例えば10000時間程度の長寿命タイプの高圧水銀ランプに本発明を適用すれば極めて有効である。
<変形例>
なお、本発明の技術的範囲は、上記実施の形態に限られないことは言うまでもなく、例えば、さらに次のような変形例を考えることができる。
(1)第1〜第3の実施の形態における電界印加工程について
電圧を印加する方法は、上記各実施の形態に限定されない。発光部内部と発光部外部に電位差が生じる方法であれば、手段を問わない。
例えば、第1の実施の形態において導電部材を封止部に巻回するのではなく、水平配置された高圧水銀ランプ2の発光部4の下方に板状もしくは棒状の導電部材を配置してこの導電部材に電極よりも電位の低い電圧を印加するようにしても実施可能である。
また、印加される電界の強度は、発光部が600℃〜1100℃に加熱されている状態では、少なくとも10kV/mあれば、放電空間内および発光部の石英ガラス内の不純物を十分低減することができる。この電界強度は強ければ強いほど不純物の除去が促進されるが、不純物の除去に必要な以上に大きくしても意味はなく、その一方で、電源装置が大型化してコストがかかるため、500kV/m程度を上限としてよいであろう。
(2)第1〜第3の実施の形態における電界印加工程の時期等について
上述したように電界印加工程において、ランプを点灯して発光部4を加熱する場合には、当該電界印加工程は、ランプの点灯試験(初期点灯)時に行うことが望ましい。点灯試験の工程は出荷前に必ず必要であり、このときに電界印加工程を合わせて行うことにより工程時間が削減できるからである。
ヒータなどの加熱手段で加熱しながら電界印加工程を実行する場合には、上記初期点灯前に実行することが望ましい。もし、初期点灯を先に実行すると、放電空間内の不純物により黒化、失透が生じてしまうからである。
また、電界は、最低でも5分間は印加する必要があり、望ましくは2時間以上印加するとよい。電界の印加時間の上限は、特に規定されないが、黒化や失透を抑制するに必要な限りで電界印加工程を実施すればよいので、上限の時間は、具体的には印加する電界の強さや加熱温度などによって、製造コストとのバランスから自ずと決定されるものである。
しかし、必ずしも初期点灯が電界印加工程に先行してはならないというわけでもない。実際に、不純物が原因で一度黒化したと考えられるランプに、電界印加工程を実行したところ、Naが除去された。その後、数時間から数十時間、ランプを点灯させると、黒化は消えた。
また、加熱箇所は少なくとも発光部であればよく、その加熱温度も上述のように放電空間内のほとんどの不純物がイオン化するために必要な温度(600℃)以上が望ましく、また、発光部4の素材が石英ガラスの場合には、再結晶化を避けるため上限は1100℃となる。
(3)上記各実施の形態においては、ダブルエンド型の高圧水銀ランプの製造方法について説明したが、シングルエンド型のものであっても構わないし、高圧水銀ランプに限らず、例えばキセノンランプやハロゲンランプなど、およそ封止部を有して点灯時に内部圧が高くなる高圧放電ランプ一般に、本発明の製造方法が適用される。
すなわち、本発明に係る製造方法は、水素やアルカリ金属(カリウム、リチウム、ナトリウム)などの不純物が発光部内に混入することで生じる黒化・失透を起こすおそれのある全ての放電ランプに適用可能である。
特に、200W以上の高出力の高圧放電ランプや、電極がタングステンを主成分として、アルカリ金属の含有量が12ppmを超えるものを使用した高圧放電ランプにおいて、従来発光部の失透や黒化が顕著に生じていたので、このような高圧放電ランプに本発明が適用されることにより得られる効果は、極めて大きい。
(4)本発明に係る高圧放電ランプは、図5で説明した3板式液晶プロジェクタ以外に、単板式液晶プロジェクタやDLPを用いたプロジェクタなど、およそ投射型の画像表示装置一般に適用可能である。
Claims (31)
- 内部に、一対の電極が配設され、かつ発光物質とハロゲンとがそれぞれ封入される発光部を有するガラス製の透光性容器を備えた高圧放電ランプの製造方法であって、
前記透光性容器を形成するためのガラスバルブ内に、一対の電極を配置し、かつ前記発光物質とハロゲンを封入して気密に封止して高圧放電ランプを形成するランプ形成工程と、
少なくとも前記発光部を所定以上の温度に維持しつつ、前記発光部に電界を印加する電界印加工程と
を含むことを特徴とする高圧放電ランプの製造方法。 - 前記電界印加工程は、前記透光性容器の外部に導電部材を設置し、当該導電部材と前記一対の電極に異なる電位の電圧を印加することにより実行されることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の高圧放電ランプの製造方法。
- 前記電界印加工程は、前記透光性容器の少なくとも発光部を、異なる電位の電圧がそれぞれ印加された前記第1と第2の導電部材の間に介在させることにより実行されることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の高圧放電ランプの製造方法。
- 前記電界印加工程において、前記一対の電極に電力を供給して高圧放電ランプを点灯させることにより前記少なくとも発光部を加熱して前記所定以上の温度に保つことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の高圧放電ランプの製造方法。
- 前記透光性容器は、前記発光部とその両端部に形成された封止部とからなると共に、前記一対の電極は、互いに略対向するように配置されており、
前記電界印加工程において、前記導電部材は、前記発光部と前記封止部との境界部に近接または接触させて配置されていることを特徴とする請求の範囲第2項に記載の高圧放電ランプの製造方法。 - 前記電界印加工程は、前記透光性容器の長手方向の軸が鉛直方向と略垂直になるように配置された状態で行われることを特徴とする請求の範囲第5項に記載の高圧放電ランプの製造方法。
- 前記電界印加工程において、前記導電部材には、前記電極に印加される電圧よりも電位が50V以上低いことを特徴とする請求の範囲第5項に記載の高圧放電ランプの製造方法。
- 前記電界印加工程において、電界が印加される時間は少なくとも5分以上であることを特徴とする請求の範囲第1項記載の高圧放電ランプの製造方法。
- 前記電界印加工程において、前記少なくとも発光部に印加する電界は、電界強度にして10kV/m以上であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の高圧放電ランプの製造方法。
- 前記ガラスバルブは石英ガラスからなり、前記電界印加工程において、前記所定以上の温度は、600℃以上1100℃以下の温度であることを特徴とすると請求の範囲第1項に記載の高圧放電ランプの製造方法。
- 前記電界印加工程において、前記導電部材は、前記発光部の外面のうち上方に位置する部分に近接または接触していないことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の高圧放電ランプの製造方法。
- 前記ランプ形成工程において、前記電極は一部が前記封止部内に位置する電極棒を有しており、前記電極棒のうち前記封止部内に位置する部分と、前記封止部を形成するガラス部材との間にはアルカリ金属を含有するガラス筒が介在した状態で封止されることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の高圧放電ランプの製造方法。
- 前記一対の電極は、タングステンを主成分とし、アルカリ金属の含有量が12ppmを超えることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の高圧放電ランプの製造方法。
- 前記ハロゲンはハロゲン化水銀の形態で封入されることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の高圧放電ランプの製造方法。
- 請求の範囲第1項〜第14項のいずれかに記載された高圧放電ランプの製造方法を用いて製造されたことを特徴とする高圧放電ランプ。
- 凹面反射鏡内に、請求の範囲第15項に記載の高圧放電ランプが、前記一対の電極間の中心と前記反射鏡の焦点位置とが略一致するように、取り付けられていることを特徴とするランプユニット。
- 請求の範囲第16項に記載のランプユニットと、
前記ランプユニットに組み込まれている高圧放電ランプを点灯させるための点灯装置と、
前記ランプユニットから照射される光を集光する集光手段と、
前記集光手段によって集光された光を用いて画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段によって形成された画像を被投射面に投射する投射手段と、
を備えていることを特徴とする画像表示装置。 - 内部に一対の電極が配置され、かつ発光金属が封入された発光部と、この発光部の両端部に形成された封止部とを有するガラス製の透光性容器を備えた高圧放電ランプであって、
前記発光部内の空間に存在する不純物を、少なくとも前記発光部に電界を印加することによって、点灯中において前記発光部の内面のうち最も温度が高くなる部分以外の部分に誘引する誘引手段が設けられていることを特徴とする高圧放電ランプ。 - 前記透光性容器の長手方向の軸が鉛直方向と略垂直になるような状態で点灯した場合において、前記発光部の内面のうち最も温度が高くなる部分は、前記発光部の内面のうち最も上方に位置している部分であることを特徴とする請求の範囲第18項に記載の高圧放電ランプ。
- 前記誘引手段によって、前記発光部内の空間に存在する不純物が、点灯中において前記発光部の内面のうち最も温度が低くなる部分に誘引されることを特徴とする請求の範囲第18項に記載の高圧放電ランプ。
- 前記透光性容器の長手方向の軸が鉛直方向と略垂直になるような状態で点灯した場合において、前記発光部の内面のうち最も温度が低い部分は、前記一対の電極の根元部分であることを特徴とする請求の範囲第20項に記載の高圧放電ランプ。
- 前記誘引手段は、前記発光部と前記封止部との境界部近傍に近接または接触させて配置され、かつ点灯中、前記電極に対して負の電位が印加される導電部材であることを特徴とする請求の範囲第18項に記載の高圧放電ランプ。
- 前記不純物は水銀、ハロゲン物質および希ガスを除き、主としてアルカリ金属であることを特徴とする請求の範囲第18項に記載の高圧放電ランプ。
- 前記透光性容器は、石英ガラスからなると共に、前記電極は、一部が前記封止部内に位置する電極棒を有しており、前記電極棒のうち前記封止部内に位置する部分と、前記封止部を形成する石英ガラス部材との間にはアルカリ金属を含有するガラス部材が介在していることを特徴とする請求の範囲第18項に記載の高圧放電ランプ。
- 前記電極は、タングステンを主成分とし、アルカリ金属の含有量が12ppmを超えることを特徴とする請求の範囲第18項に記載の高圧放電ランプ。
- 定格電力が200W以上であることを特徴とする請求の範囲第18項に記載の高圧放電ランプ。
- 内部に一対の電極が配置され、かつ発光金属が封入される発光部と、この発光部の両端部に形成された封止部とを有するガラス製の透光性容器を備えた高圧放電ランプであって、
前記発光部と前記封止部との境界部近傍には、点灯中、前記電極に印加される電圧よりも低い負の電位の電圧が印加される導電部材が近接または接触させて配設されていることを特徴とする高圧放電ランプ。 - 高圧放電ランプとこれを点灯する点灯装置とからなる光源装置であって、
前記高圧放電ランプは、
内部に一対の電極が配置され、かつ発光金属が封入される発光部と、この発光部の両端部に形成された封止部とを有すると共に、前記発光部と前記封止部との境界部近傍に、導電部材が近接または接触させて配置されており、
前記点灯装置は、
前記高圧放電ランプの一対の電極に電力を供給するバラスト手段と、
前記導電部材に、前記一対の電極に印加される電圧よりも低い電位の電圧を印加する電圧印加手段と、
を備えることを特徴とする光源装置。 - 前記電圧印加手段は、前記一対の電極に印加される電圧よりも、50V以上低い電圧を前記導電部材に印加することを特徴とする請求の範囲第28項に記載の光源装置。
- 凹面反射鏡内に、請求の範囲第18項〜第27項に記載の高圧放電ランプが、前記一対の電極間の中心と前記反射鏡の焦点位置とが略一致するように、取り付けられていることを特徴とするランプユニット。
- 請求の範囲第30に記載のランプユニットと、前記ランプユニットから照射される光を集光する集光手段と、前記集光手段によって集光された光を用いて画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段によって形成された画像を、被投射部材に投射する投射手段とを備えていることを特徴とする画像表示装置。
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