JP3916887B2 - 照明装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アークチューブに筒状のシュラウドガラスが溶着一体化されてアークチューブがシュラウドガラスに囲繞された構造のアークチューブ本体を備えた放電バルブに関する。
【0002】
【従来の技術】
放電バルブは、図7に示すように、電極3,3を対設した密閉ガラス球2a内にHg,NaI,ScI等の発光物質をXeガスとともに封入したアークチューブ2が、円筒形状のシュラウドガラス4に囲繞されたアークチューブ本体1を備えた構造となっている。符号5は、アークチューブのピンチシール部2bに封着されているモリブデン箔、符号6はピンチシール部2bから導出するリード線である。
【0003】
そして、放電バルブのアークチューブ2を点灯させる方法としては、アークチューブの電極3,3に正の電圧を印加して放電させる正極点灯方式と、アークチューブの電極3,3に負の電圧を印加して放電させる負極点灯方式とがあり、図8,9に示すように、負極点灯方式の方が色度特性に優れ、寿命が長い等、バルブだけから見ると、負極点灯方式が正極点灯方式より優れている。即ち、図8は、アークチューブの発光色が時間とともに変化する様子を500時間毎にプロットした色度(x,y)特性を示すが、時間の経過によって色度(x,y)特性は図8矢印に示すように、正(負)極点灯方式の方が、色度(x,y)の変化が著しい(少ない)、即ち寿命が短い(長い)。しかし、アークチューブの点灯に不可欠であるバラスト回路から見ると、図9に示すように、負極点灯方式では、一旦発生させた正の電圧を負の電圧に反転させる反転回路を必要とし、バラスト回路が複雑かつ大型化するとか、コスト高となる等という欠点がある。なお、正極点灯と負極点灯のいずれの方式を採用するかは、バルブの寿命を優先するか、バラスト回路側のメリットを優先するかの問題であり、放電バルブの構成としては全く同一で、いずれの方式も採用できる。
【0004】
そして、この種の放電バルブおよびバラスト回路の開発において、この放電バルブをさらに改善しようとする研究過程で、時間とともにアークチューブの発光色が青白っぽくなって、光束が低下するという問題が生じた。
【0005】
この原因について検討したところ、アークチューブの点灯(電極3,3間の放電)により、アークチューブ(の密閉ガラス球)内のNaIやScIは、図7に示すように、電離してNa+イオンやSc+イオンとなるが、Na+イオンはSc+イオンや石英ガラスの分子(アークチューブやシュラウドガラスを構成する石英ガラスの分子)よりも小さいため、密閉ガラス球2aの側壁およびシュラウドガラス4の側壁を通り抜けてしまって、アークチューブ(密閉ガラス球)内の赤色発光成分(Na)が減少するためであることがわかった。
【0006】
即ち、放電バルブはリフレクタに挿着されて使用されるが、アークチューブの点灯時(電極間の放電時)に発生する電磁波(カーラジオなどの電子部品において電磁ノイズの原因となる電磁波)をシールドするために、アークチューブ2の近傍に金属製の配光制御用の遮光シェード8を配置したり、リフレクタ内側をグランド電位(0ボルト)に保持する手段が講じられている等、アークチューブ本体1の近傍にグランド電位(0ボルト)が存在する場合がある。そして、特に、電極3に正電圧を印加する正極点灯方式では、密閉ガラス球2a内のNa+イオンが電極3とグランド電位(遮光シェード8)間に生じる電界の影響を受けて、グランド電位(0ボルト)側に引っ張られて、図7矢印に示すように、密閉ガラス球2a(やシュラウドガラス4)を通り抜けてしまうというNa+イオンのアークチューブ外への通り抜けが起こるのである。
【0007】
また、シュラウドガラス4には、一般に人体等に有害な波長域の紫外線(以下UVという)を吸収(遮蔽)するための金属酸化物や、アークチューブ(の密閉ガラス球)内で電離したハロゲンイオンや電極から蒸発したタングステンイオンが石英ガラス(SiO)と反応して密閉ガラス球の内側に白い結晶として付着する失透現象を防止するための金属酸化物が添加されているが、発明者は、前記したアークチューブ(の密閉ガラス球2a)内に作用する電界に対しても、シュラウドガラスに添加した金属酸化物によって遮蔽できないかと考え、実験を重ねた結果、所定量の金属酸化物を添加することがNa+イオンのアークチューブ外への通り抜けの抑制に有効であると確認されたので、本発明を提案するに至ったものである。
【0008】
本発明は、前記した先行技術の問題点に鑑みて、また前記した発明者の知見に基づいてなされたもので、その目的は、アークチューブを囲繞するシュラウドガラスに所定量の金属酸化物を添加することで、アークチューブ(の密閉ガラス球)に作用する外部電界の影響を静電遮蔽作用によって少なくして、Na+イオンのアークチューブ外へ通り抜けを抑制できる放電バルブを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1に係る照明装置においては、 Hg,NaI,ScIおよびXeガスを封止したアークチューブを囲繞するように、金属酸化物が添加された円筒形状のシュラウドガラスを溶着一体化した構造のアークチューブ本体を備え、正極点灯方式で点灯する放電バルブと、前記放電バルブを点灯させる点灯回路からなる照明装置において、
前記シュラウドガラスにおける金属酸化物の総添加量が4000〜7000ppmの範囲とされ、前記シュラウドガラスに含まれる金属酸化物の添加量は、Alが1500ppm以上2000ppm以下かつCeOが2500ppm以上3000ppm以下とされて、前記金属酸化物の静電遮蔽作用により、前記アークチューブ本体の近傍にグランド電位が存在することに起因して生じる前記アークチューブ内のNa+イオンに対する外部電界の影響が少なくなって、Na+イオンのアークチューブやシュラウドガラスの通り抜けが抑制されるように構成した。
【0010】
(作用)シュラウドガラスに添加されている所定量の金属酸化物がアークチューブ(の密閉ガラス球)を覆う形態となって、外部電界に対しアークチューブ(の密閉ガラス球)を遮蔽(以下、これを静電遮蔽作用という)し、アークチューブ(の密閉ガラス球)に作用しようとする外部電界の影響を少なくする。このため、アークチューブ(の密閉ガラス球)内のNa+イオンに作用する、アークチューブ近傍のグランド電位(0ボルト)の存在等に起因して生じる外部電界の影響(Na+イオンをグランド電位(0ボルト)の存在の方向に引っ張る力)は僅かとなって、Na+イオンはアークチューブ(の密閉ガラス球)やシュラウドガラスを通り抜けることができない。
【0011】
なお、シュラウドガラスに含まれる金属酸化物は、その総添加量が4000ppm未満では、アークチューブ(の密閉ガラス球)に対し外部電界の影響を少なくする静電遮蔽作用が十分ではなく、一方、その添加量が7000ppmを越えると、シュラウドガラス表面に筋状の凹凸が生じたり、アークチューブとの馴染みが悪くなるなど、シュラウドガラスの成形性や密着性が低下するので、4000〜7000ppmの範囲が望ましい。
【0013】
また、一般に、アークチューブ(の密閉ガラス球)内で電離したハロゲンイオンや蒸発したタングステンイオンが石英ガラス(SiO2)と反応して密閉ガラス球の内側に白い結晶として付着するという失透現象を防止するために、シュラウドガラスにはAlが適量添加されているが、このAlが1500ppm未満では、失透現象を防止する上では有効であるが、静電遮蔽作用が十分とはいえず、Naのアークチューブ外への通り抜けを有効に防止できない。また、シュラウドガラスの化学的耐久性が不足し、かつ機械的硬度も十分ではない。
【0014】
また、CeOが2500ppm未満では、人体などに有害な紫外線を十分カットできない。
【0015】
従って、失透現象を防止する上で有効で、静電遮蔽作用が十分で、化学的耐久性および機械的硬度も満足でき、かつ紫外線を十分にカットできるように、Alの添加量を1500ppm以上、CeOの添加量を2500ppm以上とした。
なお、このNaの通り抜けを抑制する上で有効なAl の添加量は、図5に示すように、1500〜2000ppmまでの範囲で有効であることが確認されている。
また、CeO 2の添加量については、図4に示すように、 Naの通り抜けを抑制するためには2500ppm以上が望ましく、添加量3000ppmまで有効であることが確認されている。
【0016】
請求項2においては、請求項1に記載の照明装置において、前記アークチューブとシュラウドガラス間の密閉空間に、1気圧以上の不活性ガス(ArまたはKr)を充填するようにした。
【0017】
(作用)アークチューブ(の密閉ガラス球)周りの密閉空間内に空気の分子量(≒N2の分子量)より分子量の大きな不活性ガス(ArまたはKr)が1気圧以上の形態で存在することで、それだけアークチューブ周りの密閉空間における誘電率が大きくなって、アークに作用する外部電界が小さくなり、それだけNa+イオンが抜けにくい。
【0018】
請求項3においては、請求項1または2に記載の照明装置において、前記アークチューブ本体の近傍に配光制御用の金属製遮光シェードを設け、前記遮光シェードを電磁波シールド機能を備えた構成とした。
(作用)グランド電位(0ボルト)に保持された配光制御用の金属製遮光シェードが、アークチューブから発生する電磁波をシールドして、電子部品における電磁ノイズの発生を阻止する。なお、アークチューブ本体の近傍に配置された金属製の遮光シェード(グランド電位)の存在が、アークに電界を作用させてNa+イオンを遮光シェード側に引っ張ることになるが、シュラウドガラスに添加されている金属酸化物の静電遮蔽作用により、アークに作用する電界は小さく、Na+イオンのアークチューブ外への通り抜けが抑制される。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。
【0020】
図1〜図6は本発明の第1の実施例を示すもので、図1は本発明の第1の実施例である照明装置を備えた自動車用ヘッドランプの縦断面図、図2はシュラウドガラスに添加された金属酸化物による静電遮蔽作用を示す図、図3は実施例1,2、従来例および比較例1,2それぞれのシュラウドガラス中における金属酸化物の添加量とNaの通り抜けとの関係を示す図、図4は金属酸化物であるCeOの添加量とNaの通り抜けおよびUVカット性能との関係を示す図、図5は金属酸化物であるAlの添加量とNaの通り抜けとの関係を示す図、図6は金属酸化物の添加量とシュラウドガラスの成形性との関係を示す図である。
【0021】
図1において、符号30は自動車用ヘッドランプで、前面の開口する容器状のランプボディ32の前面開口部に前面レンズ34が組み付けられて灯室Sが画成され、灯室S内には、図示しないエイミング機構によってリフレクタ36が傾動可能に支持されている。リフレクタ36のバルブ挿着孔37には、前方に延出するアークチューブ本体1Aを備えた放電バルブ10が挿着されており、アークチューブ本体1Aの前方には、その脚部8aがリフレクタ36に支持されて放電バルブ10におけるアークチューブ本体1Aを覆う金属製の遮光シェード8が配設されている。
【0022】
放電バルブ10は、合成樹脂製の絶縁プラグ12の前方にアークチューブ本体1Aが一体化された構造で、アークチューブ本体1Aの後端部が絶縁プラグ12に支持されるとともに、アークチューブ本体1Aの前端部が絶縁プラグ12から前方に延出する金属製リードサポート14によって支持されている。符号15は、リードサポート14に嵌装された絶縁スリーブである。
【0023】
遮光シェード8は、アークチューブ本体1Aから前方に向かう直射光を遮光してグレア光の発生を防止するとともに、リフレクタ36の有効反射面に向かう光の一部を遮光してすれ違いビームにおけるクリアカットラインの形成に寄与する。符号38はエクステンションリフレクター、符号39はバックカバーである。
【0024】
また、符号40は、放電バルブ10に高電圧を印加して放電を開始させる点灯回路(図示せず)と放電バルブ10に安定した放電を継続させるためのバラスト回路(図示せず)とを一体化した点灯回路・バラスト回路ユニットで、ランプボディ32の底部外側にネジによって固定されている。この点灯回路・バラスト回路ユニット40からランプボディ32内に導出した出力コード42は、コネクタ44を介して放電バルブ10の後端部に接続されている。
【0025】
また、遮光シェード8の脚8aはリフレクタ36を貫通して、コネクタ44内のアース端子(図示せず)に接続されて、遮光シェード8が常にグランドレベル(0V)に保持されている。このため、放電バルブ10の点灯時(アークチューブの放電時)に発生する電磁波は、この遮光シェード8にシールドされてしまって周囲に放出されず、カーラジオその他の電子部品にノイズとして現れることがない。
【0026】
アークチューブ本体10は、電極3,3の対設された密閉ガラス球2aをもつアークチューブ2に、円筒型の紫外線遮蔽用シュラウドガラス4Aが溶着(封着)一体化されて、密閉ガラス球2aをシュラウドガラス4Aが包囲密封(囲繞)した構造となっている。符号5は、アークチューブ2のピンチシール部2bに封着されているモリブデン箔で、その側縁部には電極5とリード線6とが対向するように接続され、電極5は密閉ガラス球2a内に延出し、リード線6はピンチシール部2bから外部に導出している。
【0027】
アークチューブ2は、円パイプ形状の石英ガラス管から加工されて、長手方向所定位置に横断面矩形状のピンチシール部2b,2bで挟まれた回転楕円体形状の密閉ガラス球2aが形成された構造で、ガラス球2a内には、主に青色発光成分であるHg、主に赤色発光成分であるNaI、主に緑色発光成分であるScIおよび始動用希ガスであるXeガスが封止されている。
【0028】
シュラウドガラス4Aは、所定量のCeOおよびTiOを添加した紫外線遮光作用のある石英ガラスで構成されており、放電部である密閉ガラス球2aにおける発光から人体に有害となる所定波長域の紫外線を確実にカットできる。また、シュラウドガラス4Aには、失透現象を抑制するとともに、化学的耐久性と機械的硬度を保持するために、Alも添加されているが、このAlは、1500ppm以上添加されて、Naの密閉ガラス球2aからの通り抜けも抑制されるようになっている。
【0029】
即ち、図2に示すように、アークチューブの点灯(電極3,3間の放電)により、アークチューブ2(の密閉ガラス球2a)内のNaIやScIが電離してNa+イオンやSc+イオンとなる。そして、アークチューブ本体1Aの近傍に配置された金属製の配光制御用の遮光シェード8は、アークチューブの点灯時(電極3,3間の放電時)に電極アッシー(電極3,モリブデン箔5,リード線6)等の通電路から発生する電磁波(カーラジオなどの電子部品において電磁ノイズの原因となる電磁波)をシールドするために、グランド電位(0ボルト)に保持されており、このため、正極点灯方式により+85Vのランプ電圧が印加される電極3とグランド電位(0V)の遮光シェード8間には電界が生じて、密閉ガラス球2a内に生じたNa+イオンやSc+イオンをグランド電位(0V)の方向に引っ張る力が作用する。そして、Na+イオンはSc+イオンや石英ガラスの分子(アークチューブ2やシュラウドガラス4Aを構成する石英ガラスの分子)よりも小さいため、この外部電界の力によってアークチューブ2の側壁およびシュラウドガラス4Aの側壁を通り抜けてしまう(図7参照)という、Na+イオンの通り抜けが起こるおそれがある。
【0030】
しかし、シュラウドガラス4Aに添加されている1500ppm以上のAlが、図2破線で示すように、アークチューブ2(の密閉ガラス球2a)を包囲する形態Pとなって、外部電界に対しアークチューブ2(の密閉ガラス球2a)を静電遮蔽するので、アークチューブ2(の密閉ガラス球2a)内には外部電界の影響がおよばない。このため、アークチューブ2(の密閉ガラス球2a)内のNa+イオンやSc+イオンには外部電界による力(Na+イオンやSc+イオンをグランド電位(0ボルト)の方向に引っ張る力)が作用せず、Na+イオンのアークチューブ2(の密閉ガラス球2a)およびシュラウドガラス4Aの通り抜けが抑制される。したがって、Naがアークチューブ外に抜けてアークチューブ2の発光色が青白っぽくなったり、光束が低下するといった不具合がない。
【0031】
なお、このNaの通り抜けを抑制する上で有効なAlの添加量は、図5に示すように、1500ppm以上であることが望まれ、実験では、その添加量にほぼ比例して静電遮蔽作用(外部電界がおよばないように障壁となる作用)が高まり、Naの通り抜けを抑制する作用は、添加量1500〜2000ppmまでの範囲で有効であることが確認されている。即ち、Alが1500ppm未満では、静電遮蔽作用が十分に機能せず、Naの通り抜けを有効に防止できない。さらに、シュラウドガラス4Aの化学的耐久性が不足し、その機械的硬度も低下する。
【0032】
また、シュラウドガラス4AのUVカット性能については、主にCeOとTiOの存在に負うところが大きく、CeOの添加量については、図4に示すように、1500ppm以上であればよいが、Naの通り抜けを抑制するためには2500ppm以上が望ましく、添加量3000ppmまで有効であることが確認されている。特に、一般照明用のUVカットガラスでは、CeOは500ppm程度しか添加されないの対し、本実施例では、自動車用灯具のアークチューブ(のシュラウドガラス)について要求される厳しいUVカット性能を満足できるように、その添加量が多くなっている(図3参照)。
【0033】
なお、UVカット性能については、TiOを添加せずCeOだけを添加しても問題ない。
【0034】
また、主としてNaの通り抜けを抑制する上で有効なAlの添加量は1500ppm以上で、主としてUVカットに有効なCeO2の添加量は2500ppm以上が望ましいことから、AlとCeO両者の総添加量は、4000ppm以上であることが望ましい。また、図6に示すように、AlおよびCeOを含む金属酸化物の総添加量が5000ppmでは問題ないが、7000ppmとなると、シュラウドガラスの表面に筋状の凹凸が形成され、9000ppmとなると、この凹凸が目立って見栄えが悪く、しかもこの凹凸で光が散乱して所定の配光が形成できないおそれもあるため、好ましくない。したがって、AlとCeOを含む金属酸化物の総添加量は4000ppm以上で7000ppm未満の範囲が望ましい。
【0035】
また、アークチューブ2を包囲するシュラウドガラス4Aの内部空間には、不活性ガス(ArまたはKr)が封入されて、放電部である密閉ガラス球2aからの熱の幅射に対する断熱作用を営み、かつランプ特性が外部環境の変化に影響を受けないように設計されている。また、シュラウドガラス4Aの内部空間に封入されている不活性ガス(ArまたはKr)の圧力は、常温で1気圧以上とされて、アークチューブ2周りの密閉空間内には、空気の分子量(≒N2の分子量)より大きな分子量であって多くの分子が存在することとなって、それだけ密閉ガラス球2aを包囲する密閉空間における誘電率が大きくなる分、アークに作用する電界が小さくなり、Na+イオンが抜けにくいといえる。
【0037】
【発明の効果】
以上の説明から明かなように、請求項1に係る照明装置によれば、シュラウドガラスに添加されている所定量の金属酸化物の静電遮蔽作用によって、アークチューブ内のNa+イオンに外部電界がおよばず、アークチューブ内のNa+イオンは外部に通り抜けることなく内部にとどまって、従来のようにNaがアークチューブ外に抜けてアークチューブの発光色が青白っぽくなったり、光束が低下するといった不具合もなく、長期にわたり適正な発光が保証される。
【0038】
また、アークチューブに失透現象が生じないことは勿論、従来のようにNaがアークチューブ外に抜けてアークチューブの発光色が青白っぽくなったり、光束が低下するといった不具合もなく、長期にわたり適正な発光が保証される。
【0039】
請求項によれば、アークに作用する電界の大きさがより小さくなるので、それだけNa+イオンのアークチューブ外への通り抜けが抑制されて、アークチューブの発光色が青白っぽくなったり、光束が低下するといった不具合が一層なくなって、長期にわたり適正な発光が保証される。
【0040】
請求項によれば、放電バルブの近傍に配置される電子部品において電磁ノイズの発生がなく、従来のようにNaがアークチューブ外に通り抜けてアークチューブの発光色が青白っぽくなったり、光束が低下するといった不具合もなく、長期にわたり適正な発光が保証される。
【0041】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例である放電バルブを挿着した自動車用ヘッドランプの縦断面図である。
【図2】シュラウドガラスに添加された金属酸化物による静電遮蔽作用を示す図である。
【図3】実施例1,2、従来例および比較例1,2それぞれのシュラウドガラス中における金属酸化物の添加量とNaの通り抜けとの関係を示す図である。
【図4】金属酸化物であるCeOの添加量とNaの通り抜けおよびUVカット性能との関係を示す図である。
【図5】金属酸化物であるAlの添加量とNaの通り抜けとの関係を示すである。
【図6】金属酸化物の添加量とシュラウドガラスの成形性との関係を示す図である。
【図7】従来技術の問題点であるNaが通り抜ける様子を示す図である。
【図8】正極点灯方式と負極点灯方式におけるアークチューブの発光の色度(x,y)特性の違いを示す図である。
【図9】正極点灯方式と負極点灯方式の利点と欠点を比較して示す図である。
【符号の説明】
1A アークチューブ本体
2 アークチューブ
2a 密閉ガラス球
3 放電電極
4A 紫外線遮蔽用シュラウドガラス
6 リード線
8 金属製遮光シェード
10 放電バルブ
12 合成樹脂製絶縁プラグ

Claims (3)

  1. Hg,NaI,ScIおよびXeガスを封止したアークチューブを囲繞するように、金属酸化物が添加された円筒形状のシュラウドガラスを溶着一体化した構造のアークチューブ本体を備え、正極点灯方式で点灯する放電バルブと、前記放電バルブを点灯させる点灯回路からなる照明装置において、
    前記シュラウドガラスにおける金属酸化物の総添加量が4000〜7000ppmの範囲とされ、前記シュラウドガラスに含まれる金属酸化物の添加量は、Alが1500ppm以上2000ppm以下かつCeOが2500ppm以上3000ppm以下とされて、前記金属酸化物の静電遮蔽作用により、前記アークチューブ本体の近傍にグランド電位が存在することに起因して生じる前記アークチューブ内のNa+イオンに対する外部電界の影響が少なくなって、Na+イオンのアークチューブやシュラウドガラスの通り抜けが抑制されることを特徴とする照明装置
  2. 前記アークチューブとシュラウドガラス間の密閉空間には、1気圧以上の不活性ガス(ArまたはKr)が充填されたことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
  3. 前記アークチューブ本体の近傍には、配光制御用の金属製遮光シェードが設けられ、前記遮光シェードが電磁波シールド機能を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の照明装置
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