JP2001525115A - 低圧水銀放電ランプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 低圧水銀放電ランプには放電容器（10）と第１端部及び第２端部（12ａ;12ｂ）とが設けられている。放電容器（10）は、水銀の充填剤及び希ガスが入れられている放電空間（13）を気密に囲んでいる。各端部（12ａ;12ｂ）は、放電空間（13）内に配置された電極（20ａ;20ｂ）を支持している。電流供給導体（30ａ、30ａ';30ｂ、30ｂ'）は、電極（20ａ;20ｂ）から端部（12ａ;12ｂ）を通って放電容器（10）の外部まで延在している。ＵＶ反射遮蔽手段（15ａ;15ｂ）は電極（20ａ;20ｂ）と端部（12ａ;12ｂ）との間の空間に配置され、これによって、水銀が結合する反応座が端部（12ａ;12ｂ）に生じないようにこれらの端部を保護する。遮蔽手段（15ａ;15ｂ）は、電流供給導体（30ａ、30ａ';30ｂ、30ｂ'）に取付けるのが好ましい。本発明によるランプの水銀消費量は比較的低い。

Description

【発明の詳細な説明】 低圧水銀放電ランプ 本発明は、水銀の充填剤と希ガスとを入れた放電空間を気密に囲む放電容器が 設けられている低圧水銀放電ランプであって、この低圧水銀放電ランプは、前記 放電空間内で放電を発生し且つ維持するための放電手段を有し、前記放電容器は 、前記放電空間内で発生される放射に対して半透明であり且つ第１端部及び第２ 端部を有している当該低圧水銀放電ランプに関するものである。 頭書で述べた種類の低圧水銀放電ランプは米国特許第4 544 997号明細書（特 開昭59-20961号公報）から既知である。この既知のランプの放電容器の管状壁の 内面には、金属酸化物から成る半透明層が設けられている。この金属酸化物層は 、放電容器の壁面が水銀との相互作用によって侵食されることを防止するのに役 立ち、従って、ランプの放射出力の維持に良い影響を与える。 このランプの水銀消費量、すなわち、ランプの点灯中にランプの構成要素に結 合される水銀量、従ってランプの点灯に対してもはや利用できない水銀量は、金 属酸化物層のおかげでこのような金属酸化物層を欠くランプの水銀消費量と比べ て比較的低い。それにもかかわらず、充分に長いランプの寿命期間を実現する必 要がある場合、比較的多くの水銀量の投入がこの既知のランプに対しても必要で ある。このランプは、ランプの寿命終了後に非専門的でない廃棄物処理を行なう 場合に、環境的な危険物となる。 本発明の目的は、水銀を比較的わずかしか消費しない、頭書で述べた種類の低 圧水銀放電ランプを提供することにある。 この目的を達成するために、本発明による低圧水銀放電ランプは、前記放電空 間内で発生されるＵＶ光が、前記放電容器の前記端部に到達するのを防止するた めの遮蔽手段が前記放電容器内に存在していることを特徴とする。 水銀は、水銀放電ランプ内で紫外線（ＵＶ光）を効果的に発生するための主な 成分を構成する。ＵＶ光を他の波長、例えば日焼け（サンカウチランプ）用のた めのＵＶ−Ｂ及びＵＶ−Ａあるいは可視光に変換する目的で、発光材料（例えば 、 蛍光体粉末）を有する発光層を放電容器の壁面の内面上に設けることができる。 従って、このような放電ランプは蛍光灯ランプとも呼ばれる。低圧水銀放電ラン プの点灯中、水銀がガラスに吸収されることが分っている。水銀はガラスに化学 的に結合され、この結果、放電に利用できる水銀量が減少し、これによりランプ の寿命に悪影響を及ぼすということが一般に知られている。他の実験により、水 銀はガラス表面との複雑な（化学的な）結合部内に入ることを確かめた。ランプ の寿命期間中のこのような水銀の損失による影響を防止するために、比較的多く の水銀をランプ内に投入する必要があり、このことは環境の観点から不所望なこ とである。本発明者は、（放電から発生する）ＵＶ光が、端部の表面において反 応性スポットを生じるということを認識した。水銀はこのような反応性スポット に結合される。ＵＶ光による侵食の感度をかなり減少する発光層がある放電容器 の内壁と相違して、端部の表面はＵＶ光の影響に対して保護されない。いくつか の種類の放電ランプには発光層がなく、例えば、このようなランプにはＹ₂Ｏ₃層 を用いることができる。本発明による手段の一部としての放電容器内の遮蔽手段 の適用により、放電により発生されるＵＶ光が放電容器の端部に到達することを 少なくとも殆ど防止する。放電ランプの水銀消費量は、ＵＶ光が端部に到達する 程度がかなり減少することによって制定される。 本発明による低圧水銀放電ランプの好適な例は、遮蔽手段がＵＶ光を反射する ようになっていることを特徴とする。紫外線（ＵＶ光）放射の反射によって、こ の放射が（例えば吸収によって）損失することを防止し、ランプの発光効果を改 善する。ＵＶ光が端部に到達することを防止するためのその他の可能なことは、 例えば、光導波路の使用によって不所望な放射を除去することである。 可視光発生のために有用なＵＶ光が放電空間内で損失される量を可能な限り少 なくする必要がある場合には、遮蔽手段が放電容器内の放電手段と発光層との間 の領域内ではなく、それぞれの電極（放電手段）の、放電空間側とは反対側に配 置されるようにするのが好ましい。従って、本発明による低圧水銀放電ランプの 好適な例は、前記放電手段が、前記放電空間内に配置され且つ前記第１端部によ って支持されている第１電極と、前記放電空間内に配置され且つ前記第２端部に よって支持されている第２電極とを有し、前記遮蔽手段が、前記第１電極と前記 第１端部との間及び前記第２電極と前記第２端部との間の双方又はいずれか一方 に存在していることを特徴とする。 本発明による低圧水銀放電ランプの他の例は、ＵＶ反発用被膜層が少なくとも 前記放電空間に面している面に設けられているスクリーンを前記遮蔽手段が有し ていることを特徴とする。スクリーンはＵＶ光に対する遮蔽手段として作用する 。スクリーンの形状は、放電容器の形状に適合させるのが好ましい。 本発明による低圧水銀放電ランプの特に好適な例は、前記放電手段が、前記放 電空間内に配置され且つ前記第１端部によって支持されている第１電極と、前記 放電空間内に配置され且つ前記第２端部によって支持されている第２電極とを有 し、電流供給導体が、それぞれの電極から前記端部を通って前記放電容器の外部 へ延在し、各スクリーンが、対応する前記電流供給導体に固定されていることを 特徴とする。電流供給導体に固定されているスクリーンは、更に改造することな く簡単な方法で従来のランプ内に組入れられる。前記スクリーンは、電気絶縁性 であることが好ましい。 スクリーン自体は水銀を吸収してはならない。本発明による低圧水銀放電ラン プの更に他の例は、スクリーン上の層の材料が、少なくとも、マグネシウム、ア ルミニウム、チタン、ジルコニウム、イットリウム及び希土類によって形成され ている系から選択した少なくとも１つの元素の酸化物を有していることを特徴と する。 以下に、本発明を、いくつかの実施例及び図面を参照してより詳細に説明する 。 図中、 図１Ａは本発明による低圧水銀放電ランプの長手方向断面図であり、 図１Ｂは図１Ａの詳細図であり、 図１Ｃは本発明によるスクリーンの一実施例である。 図面は、完全に線図式であって正確な尺度で描いていない。いくつかの寸法は 、明確にするために特に誇張されている。図中、同様の構成要素には可能な限り 同じ符号を付してある。 図１Ａは、ガラス放電容器10が設けられた低圧水銀放電ランプを示し、このガ ラス放電容器はその内部で発生される放射に対して半透明である管状部11と、第 １端部12ａ及び第２端部12ｂとを有する。本例では、管状部11は120cmの長さと 、2.5cmの内径とを有する。放電容器10は、１mgの水銀の充填物と例えばアルゴ ンのような希ガスとを入れた放電空間13を気密に封止している。管状部の壁部は 、水銀がイオン化することによって発生される紫外線（ＵＶ光）を一般に可視光 に変換する発光材料（例えば、蛍光体粉末）を有する発光層で被覆されている。 端部12ａ及びl2ｂは、放電空間13内に配置されている電極20ａ及び20ｂをそれぞ れ支持している。これら電極20ａ及び20ｂから端部12ａ及び12ｂを通って放電容 器10の外部まで、電流供給導体30ａ、30ａ'及び30ｂ、30ｂ'が延在している。こ れら電流供給導体30ａ、30ａ'及び30ｂ、30ｂ'は、ランプの口金32ａ、32ｂに固 定されている接触ピン31ａ、31ａ'及び31ｂ、31ｂ'にそれぞれ接続されている。 各電極20ａ及び20ｂを囲むように電極リングが配置されている。図１Ｂは、電極 20ａを囲んでいるこのような電極リング21ａを示している(電極20ａは図１Ｂに 示していない)。電極リング21ａ上には、水銀が投入されているガラスカプセル2 2が緊締されている。ガラスカプセル22上で張られている金属ワイヤ23を高周波 電磁界内で誘導的に加熱して、ガラスカプセル22を切断し、投入されている水銀 をガラスカプセル22から放電空間13内に放出させた。 図１Ａ及び図１Ｂの例では、スクリーン15ａ及び15ｂの形態とした遮蔽手段が 、電極20ａ及び20ｂと、これらに関連する端部12ａ及び12ｂとの間に存在し、こ れらの遮蔽手段の形状は管状部11の形状に適合させてある。スクリーン15ａ及び 15ｂは、端部12ａ及び12ｂを管状部内に挿入しているときに、これらスクリーン 15ａ及び15ｂが放電容器10の内面上に設けられている発光層（図１Ａに示さず） に、殆ど傷を生じさせないような形状となっている。スクリーン15ａ及び15ｂに は、放電空間に面する面上で層16ａ及び16ｂが設けられていて、これらの層16ａ 及び16ｂの材料は、少なくともマグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニ ウム、イットリウム及び希土類より成る系から選択した少なくとも１つの元素の 酸化物を有している。 被覆層16ａ及び16ｂが設けられても設けられなくてもよいスクリーン15ａ及び 15ｂは、ＵＶ光が端部12ａ及び12ｂに到達するのを防止するＵＶ光反発用遮蔽体 として作用する。スクリーン15ａ及び15ｂの形状は、放電容器10の形状に 適合するようにするのが好ましい。例えば、放電容器10が、両端部の両領域で長 手方向軸線22’を持つ管状部11を有する場合、スクリーン15ａ及び15ｂは、最適 の遮蔽効果を得るために管状部11の長手方向軸線22’に対して直交する平面内に 置かれているのが好ましい。放電容器10が両端部12ａ及び12ｂの領域で管状部11 を有する場合、スクリーン15ａ及び15ｂの形状は、少なくともほぼ円形とするの が好ましく、これらスクリーンの直径は、放電容器10の管状部11の内径よりも小 さくするかあるいは殆ど同じ大きさにする。スクリーン15ａ及び15ｂは、必ずし も平坦である必要はなく、放電容器10内でのスクリーン15ａ及び15ｂの装着を容 易にするように例えば、曲げられた又は拡開したエッジを有するようにしうる。 スクリーン15ａ及び15ｂ内には孔を設けることも可能である。図１Ｃは、電流供 給導体30ａ、30ａ'及び30ｂ、30ｂ'を通す溝25が円形のガラス板15ａ及び15ｂに 設けられている本発明によるスクリーン15ａ及び15ｂの実施例を示している。ス クリーン15ａ及び15ｂの形状は、放電容器10の形状に適合されるようになってい る。層16ａ及び16ｂは図１Ｃには示されていない。 比較のために、本発明によらないランプを製造した。このランプは、電極20ａ 及び20ｂと端部12ａ及び12ｂとの間にスクリーン15ａ及び15ｂを有しないが、そ の他のすべての点で本発明によるランプと同じである。 このランプに、5000時間の耐久試験を行なった。この耐久試験の後、端部に結 合された水銀量を湿式化学分析によって確めた。表１は、本発明によるランプ( Ｉ)及び本発明によらないランプ（II）に対する結果（単位μｇ）を示している 。 本発明による手段の結果、端部12ａ及び12ｂに結合された水銀量が著しく減少す ることになった。最初のランプ燃焼時間中に消費される水銀量は、遮蔽手段の存 在に殆ど依存しないことを確めた。放電により発生されるＵＶ光が端部12ａ及び 12ｂの表面を、水銀の結合の増大が生じる程度まで侵食し、水銀が、端部12ａ及 び12ｂのガラス表面に（化学的に）結合するまでにある時間を要することは明ら かである。電極20ａ及び20ｂとこれらに対応する端部12ａ及び12ｂとの間にあり 、アルミニウム酸化物及びイットリウム酸化物の双方又はいずれか一方の被覆層 16ａ及び16ｂを取付けた、ガラス（例えば、パイレックスガラス）あるいはマイ カより成るスクリーン15ａ及び15ｂを設けた低圧水銀放電ランプの場合、水銀の 消費量がかなり減少することを確めた。 当業者にとっては、本発明の範囲内で種々の変更が可能であること明らかであ ろう。放電容器の形状は必ずしも細長くしかも管状にする必要はなく、それらと 異ならせることができる。特に、放電容器は、屈曲した又は曲がりくねった形状 を有することができる。遮蔽手段の形状は、端部領域で放電容器の形状に適合さ せる。放電手段は、例えば誘導的に動作される放電ランプの場合、放電容器の外 部に配置することもできる。この場合も遮蔽手段は、放電手段により発生される ＵＶ光と端部との間に配置されなければならない。遮蔽手段は、できる限り端部 の近くに配置されるのが好ましい。

【手続補正書】 【提出日】平成１１年１１月１５日（１９９９．１１．１５） 【補正内容】 【図１】【図１】

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ヘールディンク レオニー エム オランダ国 5656 アーアー アインドー フェン プロフ ホルストラーン ６

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．水銀の充填剤と希ガスとを入れた放電空間を気密に囲む放電容器が設けられ ている低圧水銀放電ランプであって、この低圧水銀放電ランプは、前記放電空 間内で放電を発生し且つ維持するための放電手段を有し、前記放電容器は、前 記放電空間内で発生される放射に対して半透明であり且つ第１端部及び第２端 部を有している当該低圧水銀放電ランプにおいて、前記放電空間内で発生され るＵＶ光が、前記放電容器の前記端部に到達するのを防止するための遮蔽手段 が前記放電容器内に存在していることを特徴とする低圧水銀放電ランプ。 ２．請求の範囲１に記載の低圧水銀放電ランプにおいて、前記遮蔽手段はＵＶ光 を反射するようになっていることを特徴とする低圧水銀放電ランプ。 ３．請求の範囲１又は２に記載の低圧水銀放電ランプにおいて、前記放電手段が 、前記放電空間内に配置され且つ前記第１端部によって支持されている第１電 極と、前記放電空間内に配置され且つ前記第２端部によって支持されている第 ２電極とを有し、前記遮蔽手段が、前記第１電極と前記第１端部との間及び前 記第２電極と前記第２端部との間の双方又はいずれか一方に存在していること を特徴とする低圧水銀放電ランプ。 ４．請求の範囲１又２に記載の低圧水銀放電ランプにおいて、ＵＶ反発用被膜層 が少なくとも前記放電空間に面している面に設けられているスクリーンを前記 遮蔽手段が有していることを特徴とする低圧水銀放電ランプ。 ５．請求の範囲４に記載の低圧水銀放電ランプにおいて、前記放電手段が、前記 放電空間内に配置され且つ前記第１端部によって支持されている第１電極と、 前記放電空間内に配置され且つ前記第２端部によって支持されている第２電極 とを有し、電流供給導体が、それぞれの電極から前記端部を通って前記放電容 器の外部へ延在し、各スクリーンが、対応する前記電流供給導体に固定されて いることを特徴とする低圧水銀放電ランプ。 ６．請求の範囲４に記載の低圧水銀放電ランプにおいて、前記スクリーンが電気 絶縁性であることを特徴とする低圧水銀放電ランプ。 ７．請求の範囲４に記載の低圧水銀放電ランプにおいて、前記スクリーン上の前 記ＵＶ反発用被膜層が、少なくとも、マグネシウム、アルミニウム、チタン、 ジルコニウム、イットリウム及び希土類によって形成されている系から選択し た少なくとも１つの元素の酸化物を有していることを特徴とする低圧水銀放電 ランプ。 ８．請求の範囲４に記載の低圧水銀放電ランプにおいて、前記スクリーンが、ア ルミニウム酸化物及びイットリウム酸化物の双方又はいずれか一方の被覆層が 設けられているガラスあるいはマイカを有することを特徴とする低圧水銀放電 ランプ。