JPWO2004035717A1 - α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粒子、その製造方法、及び洗剤 - Google Patents
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Abstract
Description
前者は乾燥を行うため、比較的高濃度のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粒子の製造が可能である。しかし、使用するエネルギーが非常に大きく、また、大気中に排気ガスを放出することから環境への負荷が大きな懸念となる。その上、水分の高いスラリーを経由することから、加水分解が問題となる。そのため、近年、その使用は減少傾向となっている。
一方、後者の方法では、使用エネルギー、環境負荷のいずれも、前者と比較すると少なくなる。しかし、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩が含む多量の水分のため、含有比率が高くなると混合物の物性はペースト状に近くなり、顆粒化が非常に困難となる。また、水分を含むことにより、噴霧乾燥法と同様、加水分解も問題となる。その改善方法として、ペーストを水分10質量%以下に濃縮し、冷却固化させ、これを粉砕して粒子を得ることも可能であるが、工程が複雑になると同時に、得られた粒子の溶解性が非常に大きな問題となる。
これらの問題を解決し、更なる高濃度化を実現するための方法としては、水分を含有しなくてもハンドリングが可能なα−スルホ脂肪酸アルキルエステルとアルカリ性無機粉体を直接混合して中和を行う乾式中和法がある。この方法は、水分を含まないため、中和物使用の場合と比較して高濃度顆粒化が可能となる。この乾式中和の技術は従来から知られており、特にLAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸)を用いた乾式中和は広く使用されている。α−スルホ脂肪酸アルキルエステルについての事例は少ないが、特開昭61−87657、特開昭62−298570、特開平2−208399、特表平6−502665号公報に記載されている。これらは、α−スルホ脂肪酸アルキルエステルと炭酸ナトリウムなどのアルカリ性無機粉体を混合して中和物を得るもので、得られた中和物は粉砕などを行い、粒状化させるものである。場合により、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル特有の色調を改善するため、漂白剤を添加する場合もある。
しかし、これらの方法では、得られたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粒子を貯蔵した場合に、固化あるいは流動性の劣化などの問題が生じる。
以上のことから、簡便に高濃度のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩が得られ、かつ貯蔵時の粉体物性(流動性、固化性)に優れる高濃度α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粒子が望まれていた。
本発明者らは、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粒子を製造するに際し、α−スルホ脂肪酸アルキルエステルとアルカリ性粉体とを混合した粉体を調製した後、該混合粉体を気流発生装置を具備した装置内で流動化させながら熟成させることにより、上記目的が達成できることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
具体的には、乾式中和により製造されたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粒子の問題点として、製造直後及び貯蔵での粉体物性(流動性、固化性)劣化が挙げられているが、この原因としては、中和速度及びα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩特有である結晶化速度(結晶安定化速度)の遅さが挙げられる。通常、乾式中和は液中での中和反応と比較し速度は遅くなる。α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の場合、この現象が顕著に現れると考えられ、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS塩)、アルキル硫酸塩(AS塩)など他の活性剤と比較しても非常に遅い。そのため、アルカリ粉体との混合後、粒状化してからも中和が徐々に進み、その際に発生する中和熱により温度が上昇する。この現象と結晶加速度の遅さが原因となり、貯蔵中での固化及び流動性の劣化につながると考えられる。これに対し、α−スルホ脂肪酸アルキルエステルとアルカリ性粉体とを混合した粉体を調製した後、該混合粉体を気流発生装置を具備した装置内で流動化させながら熟成させることにより、加水分解が抑制され、貯蔵時の粉体物性(流動性、固化性)に優れる高濃度α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粒子が得られるものである。
従って、本発明は、下記α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粒子の製造方法、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粒子、洗剤、及び洗剤製品を提供する。
(1)α−スルホ脂肪酸アルキルエステルとアルカリ性粉体とを混合・中和する工程と、得られた混合・中和粉体を気流発生装置を具備した装置内で流動化させながら熟成する工程とを含むことを特徴とするα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粒子の製造方法。
(2)さらに、過酸化水素又は過酸化水素を発生させる化合物により、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル及び/又はα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を漂白する工程を含むことを特徴とする(1)記載の製造方法。
(3)α−スルホ脂肪酸アルキルエステルとアルカリ性粉体とを混合・中和する工程を流動層内で行うことを特徴とする(1)又は(2)記載の製造方法。
(4)α−スルホ脂肪酸アルキルエステルが、着色抑制剤存在下で脂肪酸アルキルエステルをスルホン化ガスと接触させてスルホン化し、得られたスルホン化物を低級アルコールによってエステル化させてなるα−スルホ脂肪酸アルキルエステルであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法により製造され、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を7〜80質量%含有するα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粒子。
(6)(5)記載のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粒子を含む洗剤。
(7)(5)記載のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粒子又は(6)記載の洗剤が、紙、プラスチック、又は紙とプラスチックとの複合材料からなる包装容器に充填された洗剤製品。
本発明のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粒子の製造方法の第一の工程は、α−スルホ脂肪酸アルキルエステルとアルカリ性粉体とを混合・中和する工程である。
α−スルホ脂肪酸アルキルエステルは、酸前駆体であり、後述するアルカリ性粉体と混合することにより、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩に中和されるものである。この場合、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル及びα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩はそれぞれ下記式(1),(2)で示される。
(式中、R1は炭素数6〜24、特に10〜20の飽和又は不飽和の1価炭化水素基、R2は炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルキル基であり、好ましくはメチル基、エチル基、又はプロピル基、MはNa又はKを示す。)
本発明のα−スルホ脂肪酸アルキルエステルは、常法や、特開2001−64248号公報に記載の方法に準じて得ることができる。特に、着色抑制剤存在下で脂肪酸アルキルエステルをスルホン化ガスと接触させてスルホン化し、得られたスルホン化物を低級アルコールによってエステル化させてなるα−スルホ脂肪酸アルキルエステルであることが好ましい。着色防止剤としては、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムが好ましく、低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、又はそれらの混合物を用いることが好ましい。この方法で製造されたα−スルホ脂肪酸アルキルエステルを用いることで、着色が抑制されたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粒子を得ることができる。
アルカリ性粉体としては、特に限定されるものではないが、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属珪酸塩、アルカリ金属燐酸塩などが挙げられる。アルカリ金属炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム・カリウムなどが挙げられ、アルカリ金属珪酸塩としては、珪酸ナトリウム、層状珪酸ナトリウムなどが挙げられ、アルカリ金属燐酸塩としては、トリポリ燐酸ナトリウム、ピロ燐酸ナトリウムなどが挙げられる。これらの中で、アルカリ金属炭酸塩が好ましく、その中でも特に炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム・カリウムが好ましい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
アルカリ性粉体の粒度は、平均粒径として0.1〜500μm、好ましくは0.2〜400μm、特に好ましくは0.5〜300μm、さらに好ましくは0.7〜200μmである。
α−スルホ脂肪酸アルキルエステルとアルカリ性粉体の混合比は、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル:アルカリ性粉体(モル比)=1:0.85〜1:12が好ましく、特に1:0.85〜1:11が好ましい。α−スルホ脂肪酸アルキルエステル1に対しアルカリ性粉体のモル比が0.85未満であると、中和を促進し、反応時に発生する炭酸ガスの脱泡が円滑に行われない場合がある。一方、12を超えると効果は変わらないが、必然的にα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩が低濃度になる場合がある。
α−スルホ脂肪酸アルキルエステルとアルカリ性粉体とを混合・中和する条件は、特に限定されないが、一般的な混合方法として、混合装置内にアルカリ性粉体を含む原料粉体を投入し、その後α−スルホ脂肪酸アルキルエステルを添加する方法が挙げられる。添加時のα−スルホ脂肪酸アルキルエステルの温度は30〜90℃が好ましい。α−スルホ脂肪酸アルキルエステルの添加は、噴霧又は滴下で行うことが好ましい。添加時の粉体の流動化状態は限定されない。混合時の造粒品温度が、発生する中和熱により上昇するため、除熱機構のない装置では、100℃を超えることがあるが、冷却することにより、粉体物性的に問題のないα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粒子を得ることができる。
混合装置としては、α−スルホ脂肪酸アルキルエステルとアルカリ性無機粉体を混合できる構造の装置であれば特に限定されないが、例としては、流動層装置、撹拌造粒装置などが挙げられる。
流動層装置は、気流発生装置を備え、該気流により粉体を流動化させる装置であり、例としてはGlatt−POWREXシリーズ[(株)パウレックス製]、MIXGRADシリーズ[(株)大川原製作所製]などが挙げられる。
撹拌造粒装置は、撹拌羽根を備え、撹拌軸を内部の中心に有する構造をとる装置であり、例としては、ヘンシェルミキサー[三井三池化工機(株)製]、ハイスピードミキサー[深江工業(株)製]、バーチカルグラニュレーター[(株)パウレック製]、レディゲミキサー[(株)マツボー製]、ブロシェアミキサー[太平洋機工(株)製]が挙げられる。
本発明に用いる混合装置としては、流動層装置が好ましい。これは、流動層装置では風を送りながら造粒されるため、混合時に発生する中和熱が除熱され、造粒物温度を低く維持することができ、高濃度なα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粒子の製造が可能となるからである。
以下に、第一の工程を流動層内(流動層装置)で行う場合を説明する。まず、流動層内にアルカリ性粉体を含む粉体を投入する。この時、静置時の粉体層の平均厚さは50〜500mm程度が好ましい。その後、流動層内に風を送り、粉体を流動化させた後にα−スルホ脂肪酸アルキルエステルの噴霧を開始する。
α−スルホ脂肪酸アルキルエステルの噴霧は微粒化を良好にするため、2流体ノズルを用いることが好ましい。この時の平均液滴径は5〜500μm程度が好ましい。噴霧が進むにつれて造粒も進み、粒子径が大きくなるため、流動化状態を維持するため風速を調整しながら造粒を行う。風速は0.2〜4.0m/sの範囲で調整を行い、風温度は5〜70℃、好ましくは7〜65℃で行う。バグフィルターに付着した微粒子は定期的にパルスエアーで落としながら製造を行うことが好ましい。
中和を促進させるため、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル噴霧終了後に水分を含有した液体を少量添加してもよい。液体は、水又は水溶性アルカリ金属を溶解させたアルカリ性水溶液が好ましい。熟成後の粒子温度が高い場合には、風を冷風に切り替えることで冷却することが好ましい。
本発明のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粒子の製造方法の第二の工程は、得られた混合・中和粉体を気流発生装置を具備した装置内で流動化させながら熟成する工程である。
ここで、熟成とは所定温度で所定時間保持することをいう。熟成によって、得られたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粒子が貯蔵中に固化することや粒子の流動性が劣化することを防ぐことができる。熟成温度は、5〜130℃、特に10〜120℃が好ましく、5℃未満では中和・結晶化が進行しない場合がある。一方、130℃を超えると物性の劣化により流動化しない場合がある。流動化時間は30秒以上、特に60秒以上、さらに120秒以上、最も好ましくは300秒以上である。流動化時間が30秒未満では、中和、結晶化が充分ではなく、貯蔵中に粉体物性が劣化する場合がある。熟成時間の上限は特に制限されないが、通常、1時間程度である。
熟成工程に用いる装置としては、気流発生装置を具備した装置であり、気流が導入可能であり、粒子を流動化させることが可能な装置であれば特に限定されない。熟成工程に用いる装置としては、好ましくは流動層装置、気流導入が可能な撹拌造粒装置が挙げられる。気流に用いる気体としては、空気が挙げられる。なお、混合・中和工程及び熟成工程を同一装置中で行うことも可能である。
混合・中和工程と熟成工程を、同じ流動層内で行う場合、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル噴霧終了後も風を送り続け、流動化状態を維持する。
さらに、過酸化水素又は過酸化水素を発生させる化合物により、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル及び/又はα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を漂白する工程を含むことが好ましい。この工程は、α−スルホ脂肪酸アルキルエステルとアルカリ性粉体とを混合・中和する工程や、得られた混合・中和粉体を熟成する工程と同時に行ってもよく、混合・中和工程前、混合・中和工程後、熟成工程前、熟成工程後のいずれに行ってもよい。過酸化水素水溶液などの漂白剤を添加することで、漂白と中和促進を同時に行うこともできる。なお、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル及び/又はα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を漂白する工程とは、α−スルホ脂肪酸アルキルエステルとアルカリ性粉体とを混合・中和する工程、得られた混合・中和粉体を熟成する工程、混合・中和工程前、混合・中和工程後、熟成工程前、熟成工程後のいずれかに漂白する工程を行った場合と、α−スルホ脂肪酸アルキルエステルと、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩が混合して含まれる場合を含むことを意味する。
過酸化水素又は過酸化水素を発生させる化合物は、特に限定されないが、過酸化水素水溶液、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウムが好ましく、特にコスト及び効果の点で、過酸化水素水溶液が好ましく、さらに、安定性及び安全性の面より、35〜50質量%水溶液が好ましい。なお、上記化合物の1種又は2種以上を用いることができる。
過酸化水素の配合量は、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル配合量に対し0.1〜10質量%が好ましく、特に0.2〜9質量%、さらに0.3〜8質量%が好ましい。α−スルホ脂肪酸アルキルエステル配合量に対する量が、0.1質量%未満では充分な漂白、消臭効果が得られない場合がある。一方、10質量%を超えると過酸化水素とともに同伴される水も多くなるため、高濃度での顆粒化が困難になる場合がある。
なお、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粒子の溶解性を向上させるため、溶解性改善剤を添加してもよく、添加する工程は特に限定されない。溶解性改善剤の例としては、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩以外の界面活性剤や水溶性高分子化合物が挙げられる。界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤及び両性活性剤が好ましく、特にノニオン活性剤やアミンオキシド系両性界面活性剤が好ましい。
アニオン界面活性剤としては直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましい。ノニオン界面活性剤としてはメチルエステルやエチルエステルにアルキレンオキサイドを付加した脂肪酸メチルエステルアルコキシレートや脂肪酸エチルエステルアルコキシレート、アルコールにアルキレンオキサイドを付加したアルコールアルコキシレートが好ましい。水溶性高分子化合物としては、特にポリアクリル酸やその塩、メチルセルロース、プロピルセルロース、カルボキシルメチルセルロースなどの分散剤として機能するものが好ましい。
界面活性剤や水溶性高分子化合物などの溶解性改善剤とα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の質量比率は0.01:1〜0.8:1が好ましい。0.01未満だと効果が充分でない場合が多く、0.8を超えると効果は充分であるが量が多いため造粒性に影響を及ぼすことがある。
また、熟成工程後の粒子に表面改質剤をコーティングさせる工程を含むことにより、良好な流動性、固化性を得ることができる。表面改質剤としては、ゼオライト、酸化珪素、粘土鉱物、金属石鹸、無機硫酸塩が好ましい。特に好ましくは、キレート剤としても寄与するゼオライトである。また、硫酸カリウムをコーティングすることで、溶解性を改善することができる。コーティングは流動層装置で行うことも可能であるが、水平円筒回転ドラムなど、別の装置で行なってもよい。ここでは、過酸化水素水溶液や色素など、他の配合物を添加することもできる。
本発明の製造方法により得られたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粒子中のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の含有量は、7〜80質量%が好ましく、特に10〜75質量%、さらに15〜70質量%が好ましい。α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の含有量が、7質量%未満であっても製造は可能であるが、低濃度であるため、高濃度のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粒子という本発明の主旨にそわないものとなる場合があり、含有量が80質量%を超えると、完全に中和を完了させることが困難になる場合がある。また、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粒子中のアルカリ性粉体の含有量は、10〜93質量%が好ましく、特に15〜85質量%が好ましい。10質量%未満だと完全に中和を完了させることが困難な場合があり、93質量%を超えると高濃度のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粒子という本発明の目的にそわないものとなる場合がある。さらに、上記表面改質剤の含有量は0〜30質量%が好ましく、より1〜20質量%、2〜10質量%、3〜8質量%が好ましく、特に4〜6質量%が好ましい。
また、必要により色素などを含有させることができる。含有量は0〜6質量%が好ましく、より0.1〜5質量%、0.2〜4質量%が好ましく、特に0.3〜3質量%が好ましい。なお、後述する洗剤に配合される洗剤成分及びその他の成分を含有させることも可能である。
本発明のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粒子には、吸油性担体を配合することにより更なる高濃度化が可能となる。吸油性担体としては、JIS K5101の方法により測定される吸油能が60mL/100g以上、特に80mL/100g以上、さらには100mL/100g以上のものが好ましい。吸油性担体の例としては、非晶質珪酸塩、酸化珪素、非晶質珪酸カルシウム、非晶質アルミノ珪酸塩、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、スピネル、コーデイエライト、ムライト、澱粉分解質などが挙げられる。
本発明の製造方法により得られたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粒子の平均粒径は100〜900μmが好ましい。特に好ましくは120〜800μmである。粗大な粒子が存在する場合は、篩い分け、あるいは粉砕操作を行い粒径の均一化を図ることが好ましい。嵩密度は一般的に0.2〜1.4g/cm3であり、0.3〜1.2g/cm3が好ましく、特に0.3〜1.0g/cm3、さらに0.4〜0.6g/cm3が好ましい。なお、平均粒径及び嵩密度の測定方法は実施例に記載の方法である。
得られた粒子の発塵が問題となる場合、ノニオン界面活性剤などを少量噴霧することがある。これにより発塵の原因となる微粉の飛散を防ぐため、発塵を抑制できる。
第二の発明は、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粒子を含む洗剤である。洗剤中のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粒子以外には、洗剤成分及びその他の成分が含まれる。
洗剤成分としては、洗浄成分、漂白成分、製造性、粉体物性を向上させる成分を含むものである。本発明の洗剤に用いることができる洗剤成分及びその他の成分としては、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、キレート剤(ゼオライト、有機ビルダーなど)、アルカリビルダー、中性無機ビルダー、再汚染防止剤、粘度調整剤、柔軟付与剤、還元剤、漂白剤、漂白活性化剤、蛍光増白剤、香料、酵素、色素、表面改質剤、抑泡剤、酸化防止剤、水などが挙げられる。
洗剤成分及びその他の成分の形態は、特に限定されず、上記洗剤成分などの原料をそのまま用いてもよいし、洗剤粒子にして用いてもよい。洗剤粒子は、上記洗剤成分などの洗浄に寄与する成分を含む粒子であれば特に限定されないが、特に界面活性剤、アルカリビルダー、及びキレートビルダーのいずれも含むものが好ましい。
洗剤中におけるα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粒子と、洗剤成分及びその他の成分の配合質量比は、96:4〜4:96、特に95:5〜5:95が好ましい。
洗剤は、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粒子と洗剤成分及びその他の成分を常法に準じて混合して得ることができるが、混合は乾式混合することが好ましい。乾式混合は、固体混合可能な装置にα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粒子と洗剤成分及びその他の成分を投入し、混合温度5〜130℃、好ましくは10〜120℃で、0.5秒以上、好ましくは5秒以上、特に30秒以上混合する。混合時間の上限は特に限定されない。乾式混合に使用する装置としては、特に限定されないが、水平円筒型混合機、V型混合機、撹拌造粒装置が好ましい。
第三の発明は、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粒子又は洗剤が、紙、プラスチック、又は紙とプラスチックとの複合材料からなる包装容器に充填された洗剤製品である。
容器の材料としては紙、プラスチック、及びこれらの複合材料である。プラスチックとしては環境への配慮から、塩素を含まないものが好ましい。例としては、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)などが挙げられる。
本発明によれば、簡便に高濃度のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩が得られ、かつ貯蔵時の粉体物性(流動性、固化性)に優れる高濃度α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粒子を得ることができる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない組成の%は質量%を示す。
[実施例1〜20、25、26、比較例1〜5]
<製造方法>
(混合・中和工程−流動層装置)
表7に記載の組成1〜8の、アルカリ性無機粉体(炭酸カリウム、トリポリ燐酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、以下同じ)原料(コーティング剤は除く)を、流動層装置((株)パウレックス製、Glatt−POWREX、型番FD−WRT−20)に、静置時の粉体層厚が200mmになる質量を添加した。その後、表8〜12記載の温度の風を流動層内に送り、粉体が流動化したことを確認した後に、α−スルホ脂肪酸アルキルエステルを流動化している粉体層に向け、上部より噴霧した。流動層内風速は流動化状態を確認しながら0.2〜2.0m/sの範囲で調整した。
α−スルホ脂肪酸アルキルエステルは60℃で噴霧を行い、噴霧するためのノズルは噴霧角度70°の2流体ホローコーンノズルを使用した。噴霧速度は約400g/minで行った。
(熟成工程−流動層装置)
α−スルホ脂肪酸アルキルエステルの噴霧終了後、表8〜11に記載の流動層風温度に変更し、表8〜11に記載の時間熟成を行った。
(溶解性改善剤の添加)
溶解性改善剤であるノニオン界面活性剤▲2▼を添加する場合、以下の方法でおこなった。
ジャケットに10℃の冷水を通した20Lレーディゲミキサー((株)マツボー製、型式M−20)に充填率30容積%になるよう、熟成した顆粒を投入した。その後、主軸、チョッパーを各々150rpm、4000rpmで回転させながら、ノニオン界面活性剤▲2▼を約30秒で添加した。
(コーティング工程)
前記工程により得られた粒子を、直径400mm、長さ700mmの水平円筒回転ドラム内に、熟成後の粒子とコーティング剤であるA型ゼオライト又は硫酸カリウムを投入して、Fr数0.14で3分間混合した。
(粉体物性の評価)
コーティングされたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粒子の粉体物性を、下記方法で測定した。直後物性はコーティング直後の物性であり、経時物性は直径150mm、高さ300mmのアクリル製円柱容器に250mmまで粒子を入れ、30分後にとりだして下記評価項目の物性を測定した。結果を表8〜12に併記する。
評価項目
(1)流動性:安息角を筒井理化学器械(株)製、ターンテーブル形安息角測定器を用いて安息角を測定した。下記評価基準で評価した。
60°未満 …○
60°以上70°未満 …△
70°以上 …×
(2)固化性:3#のふるいを通し、上部に残った粒子の質量%を測定した。
10%未満 …○
10%以上40%未満 …△
40%以上又はアクリル製容器より排出しない …×
(3)平均粒径の測定
目開き1680μm、1410μm、1190μm、1000μm、710μm、500μm、350μm、250μm、149μm、の9段の篩と受け皿を用いて分級操作を行なった。分級操作は、受け皿に目開きの小さな篩から目開きの大きな篩の順に積み重ね、最上部の1680μmの篩の上から100g/回のベースサンプルを入れ、蓋をしてロータップ型ふるい振盪機((株)飯田製作所製、タッピング:156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け、10分間振動させた後、それぞれの篩及び受け皿上に残留したサンプルを篩目ごとに回収する操作を行った。
この操作を繰すことによって1410〜1680μm(1410μm.on)、1190〜1410μm(1190μm.on)、1000〜1190μm(1000μm.on)、710〜1000μm(710μm.on)500〜710μm(500μm.on)、350〜500μm(350μm.on)、250〜350μm(250μm.on)、149〜250μm(149μm.on)、皿〜149μm(149μm.pass)の各粒径の分級サンプルを得、重量頻度(%)を算出した。
次に、算出した重量頻度が50%以上となる最初の篩の目開きをaμmとし、またaμmよりも一段大きい篩の目開きをbμmとし、受け皿からaμmの篩までの重量頻度の積算をc%、またaμmの篩上の重量頻度をd%として、次式によって平均粒径(重量50%)を求めた。
(4)嵩密度の測定
嵩密度はJIS K3362に準じて測定した。
表7に記載の組成1,2,7〜9のアルカリ性無機粉体原料(コーティング剤は除く)を、ジャケットに10℃の冷水を通した20Lレーディゲミキサー((株)マツボー製、型式M−20)に充填率50容積%(体積10L)になるような量を投入した(粉体温度:30℃)。その後、15秒間主軸、チョッパーを各々150rpm、6000rpmで回転させた後停止し、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル(温度:60℃)を添加した。α−スルホ脂肪酸アルキルエステルは3分割し、1/3量添加後15秒間撹拌する操作を3回繰り返し全量を添加した(添加終了後温度:90℃)。なお、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル1/3量添加時間は約20秒であった。
溶解性改善剤であるノニオン界面活性剤▲2▼及び直鎖アルキルベンゼンスルホン酸を添加する場合は、α−スルホ脂肪酸アルキルエステルの添加終了後、主軸、チョッパーを回転させたまま約30秒間で添加した。
(熟成工程−撹拌造粒機)
得られた中和物の熟成をレーディゲミキサー内で行った。主軸及びチョッパー回転数は混合時と同様とし、気流は主軸の軸シール部及び特別に壁部に設けた気流導入ノズルより導入し、表11に記載の風温度、時間で熟成した。
(コーティング工程)
熟成後、得られた粒子を撹拌造粒機より排出し、直径400mm、長さ700mmの水平円筒回転ドラム内に、熟成後の粒子とA型ゼオライト(コーティング剤)を投入して、Fr数0.14で3分間混合した。
(粉体物性の評価)
熟成後、コーティング工程を行ったα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粒子を、上記と同様の方法で物性を評価した。結果を表11に併記する。
前述の実施例で得られた粒子に、表13に記載の量の過酸化水素水溶液、色素及び香料(いずれも温度20℃)を、水平円筒回転ドラム内で噴霧した。回転条件はFr数0.14、噴霧は倉又式噴霧器を用いて行った。
その後、表13に記載の量の表面改質剤であるシルトンBを、水平円筒ドラム内でコーティングし、漂白及び着色したα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粒子とした。得られたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粒子を上記と同様の方法で評価した。評価結果を表13に併記する。
前述の実施例で得られた粒子を表14〜18に記載の混合粒子及び比率で混合した。混合は、水平円筒ドラム(直径400mm、長さ700mm、Fr数0.14)に粒子を投入し、2min混合した後排出し混合品とした。得られた混合品を上記と同様の方法で評価した。評価結果を表14〜18に併記する。なお、混合粒子1〜5については下記に示す。
<混合粒子の組成及び製造方法>
混合粒子1:ローディア社製、商品名NABION15を用いた。組成を表1に示す(ローディア社カタログ Nab/HC 07.2000を参照)。
(混合粒子2)
表2に示した組成のうち、A型ゼオライトと香料とを除いた原料を所定の比率で配合し、水分40%、温度70℃のスラリーを調製した。なお、LAS−NaはLAS−HとNaOHを投入し、スラリー中でLAS−Naを生成した。
スラリーはプランジャーポンプにより乾燥塔(直径2m、有効長さ5m)上部まで移送し、その後加圧ノズルより塔内に圧力30kg/cm2で噴霧し乾燥した。乾燥塔内の温度は熱風入り口部の温度で260℃、運転中の排風温度は100℃であった。塔底より得られた粉体とA型ゼオライトを混合し香料を噴霧して、混合粒子2とした。得られた混合粒子2の温度は40℃、嵩密度は0.40g/cm3であった。混合粒子2の組成を表2に示す。
(混合粒子3)
表3に示した組成(乾燥粉組成)のうち、コーティングのA型ゼオライトを除いた原料を所定の比率で配合し、水分40%、温度70℃のスラリーを調製した。なお、LAS−KはLAS−HとKOHを投入し、スラリー中でLAS−Kを生成した。
スラリーはプランジャーポンプにより乾燥塔(直径2m、有効長さ5m)上部まで移送し、その後加圧ノズルより塔内に圧力30kg/cm2で噴霧し乾燥した。乾燥塔内の温度は熱風入り口部の温度で260℃、運転中の排風温度は100℃であった。塔底より得られた粉体にコーティング剤であるA型ゼオライトをコーティングし、表3組成の乾燥粉を得た。
得られた乾燥粉、水、及びノニオン界面活性剤を、88.44:0.89:3.33(質量比)の比率でニーダー(捏和機、栗本鐵工所(株)製、KRCニーダー、型式S−4)に投入し、温度60℃の捏和混練物を得た。能力は捏和混練物として150kg/hr(時、以下同様)であった。
捏和混練物をペレッター(不二パウダル製、ダイス孔径10mmφ)に投入し、直径約10mm、平均長さ10〜30mmのペレット状固形物に形成した。
得られたペレット状固形洗剤とA型ゼオライトを、92.66:4.00(質量比)の比率で15℃の冷風とともに3段直列に配置したフィッツミル(ホソカワミクロン(株)製、DKA−3型、1段目:スクリーン径12mmφ、2段目:スクリーン径6mmφ、3段目:スクリーン径2.3mmφ、回転数全段4700rpm)投入し、処理速度190kg/hrで粉砕した。得られた粉砕粒子は平均粒径が550μm、安息角50°、嵩密度0.75g/cm3であった。
得られた粉砕粒子を水平円筒転動ドラム(直径0.70m、長さ1.40m、傾斜角3°、厚さ1mm×高さ50mm×長さ350mmの邪魔板15枚付き)にA型ゼオライトとともに連続的に投入、内部でノニオン界面活性剤と香料を噴霧し、混合粒子3とした。なお、水平円筒転動ドラムに投入する粉砕品、A型ゼオライト:噴霧ノニオン界面活性剤:香料の質量比は96.66:2.90:0.34:0.10であった。得られた混合粒子は平均粒径550μm、安息角40°、嵩比重は0.82g/cm3であった。最終的に得られた混合粒子3の組成を表4に示す。
(混合粒子4)
下記表5のうち、A型ゼオライトの主配合、ホワイトカーボン、炭酸ナトリウム▲1▼を鋤刃状ショベルを装備し、ショベル−壁面間クリアランスが5mmのレーディゲミキサー((株)マツボー製、M−20型)に50容積%になるような量を投入した(粉体温度:約30℃)。その後、30秒間主軸、チョッパーを各々200rpm、6000rpmで回転させ、粉体を混合した。
予めノニオン界面活性剤▲1▼と12ヒドロキシステアリン酸を85℃で溶融・混合させておき、粉体の混合終了後、主軸・チョッパーを回転させたままノニオン界面活性剤▲1▼と12ヒドロキシステアリン酸の溶融・混合物を約60秒で添加した。
溶融・混合物の添加終了後、主軸・チョッパーの回転は継続したまま分割のA型ゼオライトを添加し90秒撹拌した。その後コーティングのA型ゼオライトを添加し30秒撹拌し、レーディゲミキサーから取り出した。
得られた粒子を目開き2000μmの篩を通して混合粒子4とした。
(混合粒子5)
下記表6に示した組成のうち、コーティングのA型ゼオライトを除いた原料を所定の比率で配合し、水分50%、温度80℃のスラリーを調製した。このスラリーを混合粒子2と同様な条件で乾燥塔で噴霧乾燥し、塔底より得られた乾燥粉とコーティングのA型ゼオライトを混合し、混合粒子5とした。得られた混合粒子5の温度は40℃、嵩密度は0.4g/cm3であった。
<包装容器への粒子充填>
実施例1〜58で得られた粒子を下記包装容器に充填した。
包装容器:包装容器サイズは幅200mm×奥行き100mm×高さ150mm、材質は紙にポリエチレンをラミネートコーティングしたものを用いた。
20℃、相対湿度60%の条件下に4週間保存したが、いずれも固化せず良好な粉体物性であった。
下記表中に示す配合量は質量%で示した。また、α−スルホ脂肪酸アルキルエステルとアルカリ性無機粉体のモル比は純分のモル比で示した。ここで示すアルカリ性無機粉体は炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、トリポリ燐酸ナトリウムである。
実施例中で用いた原料を下記に示す。
(1)α−スルホ脂肪酸アルキルエステル
原料となる脂肪酸メチルエステルは、パーム油をエステル化した脂肪酸メチルエステル(商品名:Edenor ME PA MY(コグニス社製))を水添処理することにより、ヨウ素価を低減して精製したものを用いた。水添処理は常法に従い、水添触媒として商品名SO−850(堺化学(株)製)を、脂肪酸メチルエステルに対して0.15%添加し、170℃、8時間の条件で行った。なお、水添処理の後、ろ過により触媒を除去した。α−スルホ脂肪酸アルキルエステルの製造方法は、特開2001−64248号公報の実施例1で開示されている方法に準拠し、エステル化工程後に抜き出して、α−スルホ脂肪酸アルキルエステルを得た。原料の脂肪酸メチルエステルの炭素分布及び性状を表19に示す。
得られたα−スルホ脂肪酸アルキルエステルは純度89.1%であった。またα−スルホ脂肪酸アルキルエステルの色調は、5%エタノール溶液又は5%水溶液を40mm光路長、No.42ブルーフィルターを用いてクレット光電光度計で測定したところ900であった。なお、平均分子量を366として計算した。
(2)炭酸ナトリウム▲1▼:旭硝子(株)製、軽灰、純分99%、嵩密度0.55g/cm3を平均粒径10〜60μmに粉砕した軽灰粉砕品
炭酸ナトリウム▲2▼:旭硝子(株)製、粒灰、純分99%、嵩密度1.07g/cm3
(3)炭酸カリウム:旭硝子(株)製、食添グレード、粉砕品、純分99%、嵩密度0.77g/cm3
(4)トリポリ燐酸ナトリウム:太平化学産業(株)、食添グレード、純分85%、嵩密度0.97g/cm3
(5)A型ゼオライト:水沢科学(株)製、商品名シルトンB、嵩密度0.30g/cm3
(6)過酸化水素:純正化学(株)製、一級試薬、過酸化水素35%含有水溶液
(7)ノニオン界面活性剤▲1▼:炭素数12〜14のアルコールに平均15モルのエチレンオキサイドを付加したアルコールエトキシレート(純度=90%、残部は未反応アルコール、PEG(ポリエチレングリコール)、水など)
(8)ノニオン界面活性剤▲2▼:メチルエステル(商品名CE−1618、FPG(株)製)に平均15モルのエチレンオキサイドを付加した脂肪酸メチルエステルエトキシレート(未反応メチルエステル、反応固体触媒、PEGなどを含む)
(9)アクリル酸/マレイン酸コポリマーNa:日本触媒(株)製、商品名アクアリックTL−400(純分40%水溶液)
(10)LAS−H:ライポン LH−200(ライオン(株)製)、炭素数10〜14のアルキル基を有する直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(AI=96%、残部は未反応アルキルベンゼン、硫酸ナトリウム、水など)、LAS−Na、LAS−Kとして使用。
(11)石鹸:C16:C18:TMD(C10〜20のエステル系混合物)=1:3:1の脂肪酸ナトリウム(AI=67%)
[製造方法]
40〜60℃の脂肪酸メチルエステル(パステルM−C*O、ライオンオレオケミカル(株)製)1576kg/hr、40〜60℃の48%NaOH水溶液445kg/hr、水(ライオン千葉工場中水)336kg/hrを連続的にミキシングポンプに導入し、シェル&チューブ型補熱器及び予熱器で110〜130℃に保ちながら、9〜10分間鹸化反応を進行させた(反応率99.5〜99.8%)。次いで、塔頂圧0.2〜0.6kPa、塔頂温度98〜100℃にしたフラッシュ蒸発装置に導入し、滞留時間40分で反応生成物であるメタノールを蒸発させた。最後にメタノールを取り除いた石鹸をパドル型撹拌羽根を有する撹拌槽に導入し、滞留時間140分で撹拌しながら98℃に保ちつつ、80℃温水を添加して、石鹸濃度が66〜67%になるように濃度調整を行った。
こうして得られた石鹸は、AIが66〜67%であり、不純物として、約0.01%の脂肪酸、約0.2%の未反応脂肪酸エステル、約0.2%のNaOH、約0.4%のメタノールを含むものであった。
(12)AOS−K:炭素数14:16:18=15:50:35のα−オレフィンスルホン酸カリウムとヒドロキシアルキルスルホン酸カリウムの混合物(純分70%、α−オレフィンスルホン酸カリウム:ヒドロキシアルキルスルホン酸カリウムの比率は7:3、残部は未反応α−オレフィン、硫酸ナトリウム、サルトン、水酸化ナトリウム、水など)
[製造方法]
25℃のα−オレフィン(ダイアレン148、三菱化学(株)製)を970kg/hrの能力で連続的にTOリアクター(TO−500、ライオン(株)製、フィルム型反応器)内に投入し、内部でSO3ガスと接触させることでスルホン化反応を行い、約35℃のα−オレフィンスルホン酸と不純物(主にサルトン)を含むスルホン化物を得た。このスルホン化物1370kg/hrに対し苛性カリ630kg/hr(水分52%水溶液)を添加して中和反応を行い、不純物を含むα−オレフィンスルホン酸カリウムを得た。この不純物中のサルトンを加水分解させるためシェルアンドチューブ型熱交換器を通して温度を140℃まで加熱し、さらに、反応蛇管中に1.4MPaのスチームを通して170℃に保ち、加水分解を促進させた。その後、圧力1MPaでフラッシュ濃縮・脱水を行い、水分を約27%にした。
こうして得られたAOS−Kの純分は通常66〜74%で、主成分はα−オレフィンスルホン酸カリウム(約70%)とヒドロキシアルキルスルホン酸カリウム(約30%)から成り、カラーは(10%溶液LK値)70、遊離アルカリ分(KOH)1.8%(対AOS−K純分)であった。
(13)炭酸カルシウム:純正化学(株)製、試薬特級炭酸カルシウム
(14)珪酸ナトリウム:日本化学工業製、JIS1号珪酸ナトリウム
(15)色素:大日精化工業製、群青
(16)硫酸カリウム:上野製薬(株)製、硫酸加里を20〜30μmまで粉砕したもの
(17)ホワイトカーボン:徳山曹達(株)製、商品名トクシールN
(18)12ヒドロキシステアリン酸:ケイエフ・トレーディング(株)製、純分85%
(19)香料:特開2002−146399号公報[表11]〜[表18]に示す香料組成物A
Claims (7)
- α−スルホ脂肪酸アルキルエステルとアルカリ性粉体とを混合・中和する工程と、得られた混合・中和粉体を気流発生装置を具備した装置内で流動化させながら熟成する工程とを含むことを特徴とするα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粒子の製造方法。
- さらに、過酸化水素又は過酸化水素を発生させる化合物により、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル及び/又はα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を漂白する工程を含むことを特徴とする請求の範囲第1項記載の製造方法。
- α−スルホ脂肪酸アルキルエステルとアルカリ性粉体とを混合・中和する工程を流動層内で行うことを特徴とする請求の範囲第1又は2項記載の製造方法。
- α−スルホ脂肪酸アルキルエステルが、着色抑制剤存在下で脂肪酸アルキルエステルをスルホン化ガスと接触させてスルホン化し、得られたスルホン化物を低級アルコールによってエステル化させてなるα−スルホ脂肪酸アルキルエステルであることを特徴とする請求の範囲第1〜3のいずれか1項記載の製造方法。
- 請求の範囲第1〜4のいずれか1項記載の製造方法により製造され、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を7〜80質量%含有するα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粒子。
- 請求の範囲第5記載のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粒子を含む洗剤。
- 請求の範囲第5記載のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粒子又は請求項6記載の洗剤が、紙、プラスチック、又は紙とプラスチックとの複合材料からなる包装容器に充填された洗剤製品。
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