JPWO2004021052A1 - 光制御フィルム - Google Patents
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Abstract
Description
この発明は、液晶ディスプレイ等のバックライトなどに用いる光制御用のフィルムとそれを用いたバックライトに関する。
しかし、このように光学フィルムを複数枚組み合わせて組み込んだバックライトでは、薄型化、低コスト化に支障を生じていたほか、複数の光学フィルムを積層したことに起因するニュートンリングの発生やフィルム同士の接触による傷の発生が問題となっている。
一方、出射光の方向を制御するための光制御フィルムとしては、プリズムシートやレンズシートが広く使用されているが、これら光学フィルムは一般に高価であり、これに代わる光制御フィルムが開発されており、その表面形状や凹凸について種々の提案がなされている。例えば、特開平4−146401号公報には、光拡散材と組み合わせて用いる規制部材として、大小の鋸歯状部分を組み合わせた不規則な凹凸形状を有する部材が提案されている。また特開平5−16015号公報には、半球形、円錐形或いはプリズム状など所定形状の光学素子を所定のピッチで規則的に多数配置した光拡散シートが提案されている。
しかしプリズムシートやレンズシートを含む従来の光制御フィルムは、幾何光学に基づいた表面設計によって正面(フィルム面と直交する面)に出射する光の割合を多くすることができるが、規則正しく配列する凸部に起因して干渉状パターンが現れやすく、またそれのみではぎらつき、見にくくなるという欠点がある。これを解消するためには、光拡散シート等との併用が必要となり、それにより上述したフィルム積層の問題や、全体的な輝度の低下という問題も生じる。
また特開平4−146401号公報に記載された規制部材のように大小の鋸歯状部分を組み合わせて不規則な凹凸形状とした場合には、輝度の向上やぎらつきの低減等の特性をフィルム面内で均一にすることが容易ではない。
そこで本発明は、単独で或いは少ない光学フィルムの使用で、確実に正面輝度の向上を図ることができるとともに、適度の拡散性を備え、ぎらつきの問題のない光制御フィルムを提供することを目的とする。また本発明は特性のばらつきのない光制御フィルムを提供することを目的とする。
即ち、本発明の光制御フィルムは、凹凸パターンを有する光制御フィルムであって、前記凹凸パターンは、フィルムの基準面に垂直な任意の断面について、凹凸パターンによって画定される断面端部の曲線(以下、断面曲線という)の、前記基準面に対する傾きの絶対値の平均(θave(度))が、実質的にすべての断面について、20度以上75度以下であることを特徴とするものである(以下、凹凸パターンの断面曲線の傾きについて、20≦θave≦75であることを条件1という)。
また、本発明の光制御フィルムは、所定の屈折率nの材料からなる凹凸パターン層を有する光制御フィルムであって、前記凹凸パターンは、フィルムの基準面に垂直な任意の断面について、凹凸パターンによって画定される断面端部の曲線(以下、断面曲線という)の、前記基準面に対する傾きの絶対値の平均(θave(度))が、実質的にすべての断面について、(78−34n)度以上、(118−34n)度以下であることを特徴とするものである(以下、凹凸パターンの断面曲線の傾きについて、(78−34n)≦θave≦(118−34n)であることを条件2という)。
本発明の光制御フィルムにおいて、好ましくは、上述のように定義される断面曲線の傾きの絶対値の平均は、断面曲線を含む断面の向きの相違による差が、30度以内である。
さらに、本発明の光制御フィルムは、凹凸パターンを有する光制御フィルムであって、前記凹凸パターンは、フィルムの基準面に垂直な任意の断面について、凹凸パターンによって画定される断面端部の曲線(以下、断面曲線という)の傾きの絶対値の平均(θave(度))と、前記基準面と断面との交差部によって画定される直線の長さ(L1)に対する前記断面曲線の長さ(L2)の比(L2/L1)が、実質的にすべての断面について、次式(1)又は(2)を満たすことを特徴とする光制御フィルムである(以下、凹凸パターンの断面曲線の傾きについて、式(1)又は(2)の条件を条件3という)。
また本発明の光制御フィルムは、所定の屈折率nの材料からなる凹凸パターン層を有する光制御フィルムであって、前記凹凸パターンは、フィルムの基準面に垂直な任意の断面について、凹凸パターンによって画定される断面端部の曲線(以下、断面曲線という)の、前記基準面に対する傾きの絶対値の平均(θave(度))と、前記基準面と断面との交差部によって画定される直線の長さ(L1)に対する前記断面曲線の長さ(L2)の比(Lr=L2/L1)とが、実質的にすべての断面について、次式(3)又は(4)を満たすことを特徴とするものである(以下、凹凸パターンの断面曲線の傾きについて、式(3)又は(4)の条件を条件4という)。
本発明において、フィルムの基準面とは、フィルムを概略平面とみなしたときにその平面を意味し、本発明の光制御フィルムの凹凸パターンが形成される面と反対側の面が平滑面である場合にはその面を基準面とみなすことができる。また反対側の面が平滑でなく凹凸面である場合には、その異なる2方向の中心線を含む面を基準面とみなすことができる。
このような基準面に対する断面曲線の傾きは、一般的には断面曲線をy=f(x)で表したとき、f(x)をxで微分したf’(x)として求めることができ、その絶対値の平均(Sav)は、上記値を求める区間の長さをLとすると、下記の式(5)で表すことができる。さらにこの傾きを角度表示した傾きの絶対値の平均(θav)は、下記の式(6)で表すことができる。
しかし製品設計としてこのような関数を用いることは可能であるが、実際の製品について断面曲線を一般的な関数で記述することは困難であり、また傾きの絶対値の平均を得ることも困難である。従って、本発明では次のようにして求めた値を、断面曲線の傾きの絶対値として定義する。
まず表面形状測定装置により、凹凸パターン面上の任意の点から任意の方向に断面曲線を測定する。測定結果は断面方向に所定の間隔(Δd)の位置(d1d2、d3・・・、dm)で測定された表面の高さデータ(h(d1)、h(d2)、h(d3)・・・h(dm))により構成されている。例えば図2に示すような、縦軸を凹凸パターンの高さ、横軸を断面曲線の方向とするグラフとして表現されるデータである。一つの間隔で区切られた断面曲線の部分(例えば(a−b)、(c−d))は、間隔が十分に短ければ直線とみなすことができ、その傾きの絶対値θi(i=1,2,3・・・m)(単位は「度」)は次式で表すことができる。
所定間隔(Δd)で区切られた断面曲線の全ての部分について求めた上記傾きの平均を傾きの絶対値の平均θaveとする。
上述した間隔(Δd)の長さは、断面曲線に含まれる凹凸パターンの形状を十分正しく反映できる程度の長さであり、具体的には1.0μm以下程度の間隔である。なお、凹凸パターンを有するフィルムの断面形状を求める場合、その精度は表面形状測定装置により異なる。本発明の光制御フィルムにおいて、条件1及び条件2は触針式の測定式による数値に適用される。条件3及び条件4については2つの測定値を演算することによって測定装置による影響が排除されると考えられるので、測定装置の如何に拘わらず適用される。
このような凹凸パターンを有する本発明の光制御フィルムは、凹凸パターンと反対側から入射され、凹凸パターン側から出射する光のうち、正面、特に出射角0〜30度の範囲の成分を増加することができ、プリズムシートと同等かそれ以上の正面輝度を達成することができる。しかも適度の光拡散性を備え、ぎらつきや干渉パターンを生じることがない。
また本発明の光制御フィルムは、その凹凸パターンが上述した条件1〜4のいずれかを満たすものであって、且つ断面曲線の傾きの絶対値の平均(θave)は、断面の向きが前記光制御フィルムの基準面と平行な第1の方向から、前記光制御フィルムの基準面と平行であって前記第1の方向と直交する第2の方向に向かうにつれ漸次増加することを特徴とするものである。
この光制御フィルムは、バックライトの光源の長手方向と第1の方向が一致するようにバックライトに配置されたときに、バックライトの出射角依存性が光源に対する方向によって異なることを補正し、均一な輝度を達成することができる。
また本発明の光制御フィルムは、その凹凸パターンが上述した条件1〜4のいずれかを満たすものであって、且つ断面曲線の基準面に対する傾きが、フィルムの一端側から他端側に向かうにつれ漸増又は漸減することを特徴とするものである。
この光制御フィルムは、バックライトの光源側をフィルムの一端側となるように配置されたときに、光源の出射角依存性が光源からの距離によって異なることを補正し、均一な輝度を達成することができる。
本発明のバックライト装置は、上述した本発明の光制御フィルムを用いたものであり、具体的には、少なくとも一端部に光源が配置され、前記一端部と略直交する面を光出射面とする導光板と、前記導光板の光出射面に配置される光制御フィルムとを備えたバックライト装置、或いは光制御フィルムと、光制御フィルムの光出射面側とは反対側に、光拡散材、光源をこの順に備えたバックライト装置である。
本発明によれば、正面輝度が高く、しかも適度の光拡散性を備えた光制御フィルムを提供することができる。また本発明のバックライト装置は、このような光制御フィルムを使用しているので、これと組み合わせる他の部材を極力少なくすることができ、バックライト装置の厚みをより薄くすることができる。またフィルム間の接触による干渉パターンの発生、傷の発生などを抑えることができる。
図3(a)〜図3(c)は、本発明の光制御フィルム10の実施形態を模式的に示す図である。図示するように、本発明の光制御フィルム10は、ほぼ平面状のフィルムの一方の面に微細な凹凸からなる凹凸パターンが形成されたものであり、その凹凸パターンの形状に特徴を有している。凹凸パターンは、(a)及び(b)に示すように、基材11となるフィルムの一方の面に形成された層12に形成されていてもよいし、(c)に示すように、凹凸パターンが形成された層12のみで光制御フィルムを構成してもよい。
本発明の光制御フィルムは、凹凸パターンが形成された面と反対側の面から入射した光が凹凸パターンから出射される際に、出射光のうち正面から所定の角度範囲内に向かう光の成分がより多くなるように光の向きを制御し、これによって正面輝度を高めるとともにぎらつきを防止しうる拡散性を与えるものである。凹凸パターンが形成された面と反対側の面は、典型的には平滑面であるが平滑面に限定されない。例えば、マット化されていたり、所定のドットパターンなどが形成されていてもよい。
次に上述した光の向きを制御するための凹凸パターンの条件について説明する。
条件1及び条件2
本発明者は、最初に所定長さの線分に対し複数の均一な凸パターンから構成される断面曲線を想定し、パターン形状、高さ、入射光の入射角等を変えて、入射光と出射光との関係をシミュレートし、最適な出射光を得られる条件を検討した。ここで、入射光及び出射光としては、断面曲線が含まれる面内を断面曲線の一方の側から他方の側に進む光を想定し、一方の側の屈折率を一般的なアクリル系樹脂の屈折率である1.5、他方を空気として計算した。また入射光の光分布は、実際のバックライトの導光板から出射される光の分布(導光板の中央を通り光源に直交する方向の光出射分布)と同じ分布を有するものとした。
このようなシミュレーションの結果、断面曲線の線分に対する傾きの平均(θave(度))を20度以上75度以下とすることにより、正面方向から大きく傾いた光を効率的に正面方向に立ち上げることができ、正面輝度を向上させることができることを見いだした。この傾きの平均(θave(度))が好ましくは25度以上、より好ましくは30度以上のとき、また好ましくは60度以下、より好ましくは50度以下のときに、特に優れた効果が得られる。
このような条件は、実質的にすべての断面について満たす必要がある。「実質的にすべての断面」とは、特定の光制御フィルムについて複数の断面について観察したときに、観察した殆どの断面において満たしていればよいという意味であり、上記条件を満たさない1、2の断面を含んでいる場合も含む意味である。例えば断面として光制御フィルムの端部に断面をとった場合、凹凸パターン数が少ないため上記条件を満たさない場合もあり得るが、比較的長い断面曲線について上記条件を満たしていれば本発明の条件を満たすものとする。
ところで本発明の凹凸パターンが満たすべき条件を見出すための上記シミュレーションでは、凸パターンの入射側が屈折率1.5の材質からなるものと仮定しているが、本発明の光制御フィルムの凹凸パターンは、一般に光学フィルムに使用される材料を採用することができ、その屈折率は1.5に限定されない。屈折率nを考慮して一般化した場合、傾きの平均(θave(度))は、(78−34n)度以上、(118−34n)度以下であるときに上記効果が得られる。
このように凹凸パターンを構成する材料の屈折率を考慮して、凹凸パターンの形状を設計することにより、より正面方向への輝度を向上することができる。
条件3及び条件4
条件3及び条件4は、3次元のシミュレーション結果に基づき導き出されたものである。即ち、本発明者は、図4に示すような、xy平面を基準面とし、それと直交する面に描出した任意の曲線401をz軸について回転した回転体からなる単一の凸パターンについて、パターン形状、高さ、入射光の入射角等を変えて、入射光と出射光との関係をシミュレートし、最適な出射光を得られる条件を検討した。そして、この凸パターンの底面から、実際のバックライトの導光板から出射される光の分布と同じ分布を有する光が入射した場合に凸パターン側から出射する光の分布(出射角特性)を計算により求めた。ここでも凸パターン内部の屈折率nは、一般的なアクリル系樹脂の屈折率である1.5として計算した。
図5は、図4に示す形状の凸パターンについてシミュレーションした結果である出射光分布501を表すグラフである。図中、点線は入射光分布502である。ここで、正面輝度が良好で且つある程度の光散乱性を備えるためには、正面(0度)から±30度の範囲に出射される光の成分が多く、且つ正面(0度)から±30度の範囲の出射光の均一度が高いことが望ましい。
次に複数の凸パターンが形成された凹凸面について、このような条件の出射光特性を得るための条件を見出すために、上述した凸パターンが複数存在する系について、パターンの形状及び高さを種々に変更したときの出射光分布の変化をシミュレートした。結果を図6に示す。図中、横軸は複数の凸パターン全体としての曲線の傾きの平均値(θave)、縦軸は出射光エネルギーであり、第1のグループ601はz軸について6度の範囲内の出射光(以下、出射光6という)、第2のグループ602はz軸について18度の範囲に含まれる出射光(以下、出射光18という)、第3のグループ603はz軸について30度の範囲に含まれる出射光(以下、出射光30という)である。
このシミュレーションの結果から、傾きの平均値(θave)が大きくなるにつれ、出射光30の割合が増加するが、ある程度まで大きくなると逆に減少する傾向が見られた。そこで出射光30との相関が得られる凹凸形状の総合的な指標を検討したところ、傾きの平均値(θave)と、曲線の長さ(L2)の、曲線401の底の長さ(L1)に対する比(Lr=L2/L1、以下、曲線長さ比という)との商或いは積を用いた場合に、出射光30との関連をもっともよく記述できることがわかった。
図7及び図8は、シミュレーションの結果を示す図であり、図7は、傾きの平均値(θave)を曲線長さ比(Lr)で割った値を横軸にとったときの出射光エネルギーの変化、図8は傾きの平均値(θave)に曲線長さ比(Lr)を乗じた値を横軸にとったときの出射光エネルギーの変化を示している。
これらシミュレーションの結果から、曲線の傾きの絶対値の平均値(θave)を曲線長さ比(Lr)で除した値(商)が20以上のとき、曲線の傾きの絶対値の平均値(θave)に曲線長さ比(Lr)を乗じた値(積)が25以上60以下のときに、出射角30度の範囲の出射光エネルギーが大幅に増加することがわかった。フィルム面に形成された凹凸パターンは複数の凸パターンの集合と見なすことができるので、上記関係をフィルム面に形成された凹凸パターンに適用することができ、次の条件(式(1)又は(2))を満たすことにより、正面輝度が高くしかも適度の拡散性を有する光制御フィルムが構成されることがわかる。
式中、θaveは、フィルムの基準面に垂直な任意の断面について、凹凸パターンが画定する断面曲線の基準面に対する傾きの絶対値の平均(以下、平均傾きという)、Lrは基準面と断面との交差部により画定される直線の長さ(L1)と断面曲線の長さ(L2)との比(L2/L1)である。
なお、式(1)の、平均値(θave)を曲線長さ比(Lr)で除した値は、より好ましくは25以上であり、式(2)の、平均値(θave)と曲線長さ比(Lr)との積は、より好ましくは下限が35以上、上限が50以下である。
この条件3は、実質的にすべての断面について満たす必要がある。「実質的にすべての断面」とは、特定の光制御フィルムについて複数の断面について観察したときに、観察した殆どの断面において満たしていればよいという意味であり、上記条件を満たさない1、2の断面を含んでいる場合も含む意味である。例えば断面として光制御フィルムの端部に断面をとった場合、凹凸パターン数が少ないため上記条件を満たさない場合もあり得るが、比較的長い断面曲線について上記条件を満たしていれば本発明の条件を満たすものとする。
また上記3次元シミュレーションでは、凸パターンが屈折率1.5の材質からなるものと仮定しているが、本発明の光制御フィルムの凹凸パターンは、一般に光学フィルムに使用される材料を採用することができ、その屈折率は1.5に限定されない。屈折率nを考慮して上記式(1)、(2)を一般化すると次のように表すことができる。
なお、式(3)の値は、より好ましくは50以上であり、式(4)の値は、より好ましくは下限が70以上、上限が115以下である。このように凹凸パターンを構成する材料の屈折率を考慮して、凹凸パターンの形状を設計することにより、より正面方向への輝度を向上することができる。
本発明の光制御フィルムは、その凹凸パターンを上述した条件を満たすように設計することにより、正面輝度が高く、ある程度の拡散性を有するものとすることができる。このような特性を有する本発明の光制御フィルムは、例えば、エッジライト型のバックライト装置の導光板上に直接、或いは直下型のバックライト装置の光源上に光拡散板等を介して配置され、その出射光の向きを制御するフィルムとして使用される。
追加的条件
さらに本発明の光制御フィルムは、バックライト装置の光源の配置との関係を考慮して凹凸パターンの平均傾き(θave)を変化させることが好ましい。光源との関係は、細長い光源をバックライトの一端或いは対向する両端に配置した場合において、その長手方向に対する角度及び光源からの距離を考慮する必要がある。
光源の長手方向との角度については、一般に、バックライトの輝度の出射角依存性を測定した場合、殆どの測定点において測定方向が光源の長手方向に対して平行方向から垂直方向に向かうにつれて、正面から大きく傾いた出射角の輝度が大きくなる傾向にある。例えば図9に示すように、導光板90の並行する2端部に光源91、92を配置したバックライトにおいて、その中央部C点において光源91、92と平行な方向(図中、x方向)に出射角の輝度を測定した場合は、図10(a)に示すように広い出射角の範囲で均一な輝度が得られるが、C点において光源91、92と直交する方向に出射角の輝度を測定した場合には、図10(b)に示すように大きい出射角の輝度が大きくなる。このような傾向は、エッジライト型バックライトに顕著であるが、直下型のものでも、光拡散材の光源に対応する部分にドットパターンを設けた場合等に見られる。
このようなバックライトの出射角依存性の違いを補正するために、本発明の光制御フィルムにおいて、断面曲線の平均傾きを、断面の方向が光源と平行な方向から垂直な方向に向かうにつれて、大きくすることが好ましい。これにより、正面から大きく傾いた光をより正面方向に立ち上げることができるようになり、正面輝度を高めることができる。
このバックライトの出射角依存性の違いを補正するための条件(以下、条件5という)は、フィルムの任意の点から任意の方向に想定した断面上の断面曲線について満たすことが好ましく、また断面の向きに関わらず、前述した条件1〜4のいずれかを満たすことが必要である。凹凸パターンが上記条件1〜4のいずれかを満たし且つ、実質的に全ての断面曲線で、断面曲線の平均傾きを、光源の長手方向に対する断面の角度に応じて漸増させるという条件5を満たすためには、例えば凹凸パターンを構成する単一の凸パターンがそれぞれ条件5を満たす形状とすればよい。即ち、例えば図4に示す凸パターンにおいて底面に平行な断面の形状を真円ではなく、光源の長手方向と同一方向(例えばx軸方向)から直交する方向(y軸方向)に向かうにつれて径が短くなるような楕円形とすることにより、この凸パターンについて断面曲線の傾きが光源との関係で異方性を有するものとなる。
次に光源からの距離については、光源の向きに対し垂直方向(図9中、y方向)の輝度の出射角依存性を測定した場合には、測定点が光源に近づくにつれて正面から大きく傾いた出射角の輝度が大きくなる傾向にある。例えば、図9に示す導光板90の中心Cより一方の光源91に近いF点で測定した、光源91に垂直方向の出射角の輝度は図10(c)に示すようになる。このような光源からの距離に依存する出射角依存性を補正するためには、凹凸パターンの傾斜面が光源側であるか光源と反対側かに応じて、傾斜を漸増又は漸減する。即ち、傾斜が光源側の場合には、光源に近づくにつれ傾斜が大きくなるようにし、傾斜が光源と反対側の場合には、光源に近づくにつれ傾斜が小さくなるようにする。光源からの距離に対応した傾斜の変化は、凹凸パターンの隣り合う凸部同士全てが満たしている必要はなく、断面曲線を適当な間隔で分割したときに、それら分割された区間に含まれる凹凸パターンの傾斜の平均が上述した条件を満たしていればよい。この様子を図11及び図12に示す。
図11は、片側(図中、左側)に光源が存在する場合を示したものであり、ここでは断面曲線401を7つの区間に分けるとともに、光源側の傾斜αと光源と反対側の傾斜βを点線で分けている。この断面曲線の各区間に含まれる凹凸パターンについて、光源側の傾斜αの傾きの絶対値の平均は、光源に近づくにつれ、すなわち区間7から区間1に進むにしたがって大きくなるようにし、光源と反対側の傾斜βの傾きの絶対値の平均は、逆に区間7から区間1に進むにしたがって小さくなるようにする。このように光源からの距離に応じて且つ光源側の傾斜か否かに応じて傾斜を変化させることにより、光源から近い点においても正面方向に出射する光の割合を多くすることができ、結果として輝度を均一に近づけることができる。
図12は、両側に光源が存在する場合を示したものであり、ここでも断面曲線401を7つの区間に分けるとともに、左光源側の傾斜αと右光源側の傾斜βを点線で分けている。この場合には、各区間に含まれる左光源側の傾斜αの傾きの絶対値の平均が、左光源からの距離が近づくにつれ、すなわち区間7から区間1に進むにしたがって大きくなるようにし、各区間に含まれる右光源側の傾斜βの傾きの絶対値の平均が、右光源からの距離が近づくにつれ、すなわち区間1から区間7に進むにしたがって大きくなるようにする。この場合にも光源に近づくにつれ、正面から大きく傾いた出射角の輝度が高くなる傾向を補正し、正面輝度を向上し、均一に近づけることができる。
以上、本発明の光制御フィルムの凹凸パターンについて、光源との関係で最適な輝度を得るための条件を説明したが、この場合にも、実質的にすべての断面について、個々の断面曲線が前述した条件1〜4のいずれかを満たすことが必要である。
本発明の光制御フィルムは、凹凸パターンの断面曲線が上述した条件を満たす限り、凸部の形状や配置は特に限定されないが、凸部及び凹部がランダムに配置されていることが好ましい。ランダムな配置とすることにより、実質的に全ての断面で上記条件を満たすことが容易となり、また干渉パターンの発生を防止することができる。個々の凸部及び凹部の形状は同一でもよいし異なっていてもよく、互いに重なるように配置しても、一部若しくは全部の凸部及び凹部を重ねるように配置してもよい。凸部の高さ、凹部の深さは何れも3〜100μm程度、凸部又は凹部の配置密度は10個〜20万個/mm2程度であることが好ましい。上記条件を満たす典型的な光制御フィルムの凹凸パターンを図13に示す。
次に、上述した凹凸パターンを有する光制御フィルムを製造するための具体的構成について説明する。
本発明の光制御フィルムの基材11及び凹凸パターン層12を構成する材料としては、一般に光学フィルムに用いられる材料を用いることができる。具体的には、基材11は、光透過性が良好なものであれば特に制限されることなく、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、トリアセチルセルロース、アクリル、ポリ塩化ビニルなどのプラスチックフィルムなどを使用することができる。
凹凸パターン層12を構成する材料としても、光透過性が良好なものであれば特に制限されることなく、ガラス、高分子樹脂などを使用することができる。ガラスとしては、ケイ酸塩ガラス、リン酸塩ガラス、ホウ酸塩ガラスなどの酸化ガラスなどがあげられる。高分子樹脂としては、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、ポリウレタンアクリレート系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、アセタール系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂などの熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂などがあげられる。
これら材料のうち、加工性、取扱い性の観点から高分子樹脂が好適であり、特に屈折率(JIS−K7142:1996)が1.3〜1.7程度のものを用いることが好ましい。凹凸パターンを形成する材料として屈折率nが上記範囲以外のものを用いた場合でも、凹凸パターンが条件1又は条件3を満たすことにより、良好な輝度が実現できるが、このような範囲のものを用いることにより高い輝度が得られる。特に、材料の屈折率に応じて、凹凸パターンが条件2又は条件4を満たすようにすることにより、より一層正面輝度を向上させることができる。
凹凸パターン層12には、一般的な光拡散性シートのように、有機ビーズや無機顔料などの光拡散剤を含有させてもよいが、必須ではない。本発明の光制御フィルムにおいては、光拡散剤を含有させなくても凹凸パターン自体である程度の光拡散効果を発揮することができる。したがって、光拡散剤を原因として他の部材を傷つけたり、光拡散剤が剥がれ落ちてゴミが発生することもない。
凹凸パターン層12の形成方法としては、例えば、1)エンボスロールを用いた方法、2)エッチング処理、3)型による成型を採用することができるが、再現性よく所定の凹凸パターンを有する光制御フィルムを製造できる点で、型を使用して製造する方法が好ましい。具体的には、凹凸パターンと対称的な形状からなる型を作製し、当該型に高分子樹脂などの凹凸パターンを構成する材料を流し込んで硬化させた後、型から取り出すことにより製造することができる。基材を使用する場合には、型に高分子樹脂などを流し込み、その上に透明基材を重ね合わせた後、高分子樹脂などを硬化させ、透明基材ごと型から取り出すことにより製造することができる。
型に凹凸パターンと対称的な形状を形成する方法としては、限定されないが、次のような方法を採用することができる。レーザー微細加工技術により一つの凸部が式(1)を満たす凹凸パターンを平板上に配置密度が例えば数千個/mm2となるように形成し、これを雄型として成型用の型(雌型)を作製する。また凹凸パターンの傾斜を異ならせた複数種類のブロックを作製し、これらブロックを所定の配列で配列して1枚の光制御フィルム用雄型とし、これを雄型として成型用の型(雌型)を作製する。或いは所定の粒子径の粒子を分散させた樹脂を硬化して凹凸パターンを有する樹脂板を作製し、これら凹凸パターンの表面を表面測定装置で測定し、上記条件に合致する樹脂板を選択し、これを雄型として成型用の型(雌型)を作製する。
なお、光制御フィルムの凹凸パターンから形成される面とは反対側の面は平滑であってもよいが、導光板や樹脂板と接する際にニュートンリングを生じさせないように微マット処理を施したり、光透過率を向上させるため反射防止処理を施してもよい。
また、良好な正面輝度を得るため、光制御フィルムの光学特性として、ヘーズが60%以上、好ましくは70%以上であることが望ましい。ここで、ヘーズとは、JIS−K7136:2000におけるヘーズの値のことであり、ヘーズ(%)=[(τ4/τ2)−τ3(τ2/τ1)]×100の式から求められる値である(τ1:入射光の光束、τ2:試験片を透過した全光束、τ3:装置で拡散した光束、τ4:装置および試験片で拡散した光束)。
光制御フィルム全体の厚みは特に制限されることはないが、通常20〜300μm程度である。
以上説明した本発明の光制御フィルムは、主として、液晶ディスプレイ、電飾看板などを構成するバックライトの一部品として用いられる。
次に、本発明のバックライトについて説明する。本発明のバックライトは、少なくとも光制御フィルムと、光源とから構成される。光制御フィルムとしては上述した光制御フィルムを用いる。バックライト中における光制御フィルムの向きは特に制限されることはないが、好ましくは凹凸パターン面を光出射面側となるようにして用いる。バックライトは、いわゆるエッジライト型、直下型といわれる構成を採用することが好ましい。
エッジライト型のバックライトは、導光板と、導光板の少なくとも一端に配置された光源と、導光板の光出射面側に配置された光制御フィルムなどから構成される。ここで、光制御フィルムは、凹凸パターン面を光出射面となるようにして用いることが好ましい。
導光板は、少なくとも一つの側面を光入射面とし、これと略直交する一方の面を光出射面とするように成形された略平板状からなるものであり、主としてポリメチルメタクリレートなどの高透明な樹脂から選ばれるマトリックス樹脂からなる。必要に応じてマトリックス樹脂と屈折率の異なる樹脂粒子が添加されていてもよい。導光板の各面は、一様な平面ではなく複雑な表面形状をしているものでも、ドットパターンなどの拡散印刷が設けられていてもよい。
光源は導光板の少なくとも一端に配置されるものであり、主として冷陰極管が使用される。光源の形状としては線状、L字状のものなどがあげられる。
エッジライト型バックライトは、上述した光制御フィルム、導光板、光源のほかに、目的に応じて反射板、偏光フィルム、電磁波シールドフィルムなどが備えられる。
本発明のエッジライト型のバックライトの一実施形態を図14に示す。このバックライト140は、導光板141の両側に光源142を備えた構成を有し、導光板141の上側に、凹凸パターンが外側となるように光制御フィルム143が載置されている。光源142は光源からの光が効率よく導光板141に入射されるように、導光板141と対向する部分を除き光源リフレクタ144で覆われている。また導光板141の下側には、シャーシ145に収納された反射板146が備えられている。これによって導光板141の出射側と反対側に出射された光を再度導光板141に戻し、導光板141の出射面からの出射光を多くするようにしている。
直下型のバックライトは、光制御フィルムと、光制御フィルムの光出射面とは反対側の面に順に備えられた、光拡散材、光源などから構成される。ここで、光制御フィルムは、凹凸パターン面を光出射面となるようにして用いることが好ましい。
光拡散材は光源のパターンを消すためのものであり、乳白色の樹脂板、光源に対応する部分にドットパターンを形成した透明フィルム(ライティングカーテン)の他、透明基材上に凹凸の光拡散層を有するいわゆる光拡散フィルムなどを単独あるいは適宜組み合わせて使用することができる。
光源は主として冷陰極管が使用される。光源の形状としては線状、L字状のものなどがあげられる。直下型のバックライトは、上述した光制御フィルム、光拡散材、光源の他に、目的に応じて、反射板、偏光フィルム、電磁波シールドフィルムなどを備えていてもよい。
本発明の直下型のバックライトの一実施形態を図15に示す。このバックライト150は、図示するように、シャーシ155内に収納した反射板156の上に光源である光源152を複数配置し、その上に光拡散材157を介して、光制御フィルム153が載置された構造を有している。
本発明のバックライトは、光源或いは導光板から出射される光の向きを制御する光制御フィルムとして、特定の凹凸パターンを有する光制御フィルムを用いたことにより、従来のバックライトに比べ正面輝度を大幅に向上することができ、しかもプリズムシートを用いた場合のようなぎらつきの問題や干渉パターンの発生がない。
次いで、表面形状測定装置(SAS−2010 SAU−II:明伸工機社)により光制御フィルム(1)〜(5)の凹凸パターン面(光出射面)の表面形状をJIS B 0651に従い測定した。この表面形状測定装置の触針の形状は、球状先端をもつ円すい形で、先端の半径2μm、円すいのテーパ角度60度である。測定間隔は1.0μmとした。測定は、各光制御フィルム上の5つの位置で、それぞれ異なる方向の断面曲線ごとに光入射面に対する傾きの絶対値の平均を算出した。フィルム上の5つの位置は、図9に示すように、光制御フィルム上の2本の仮想対角線を4等分した場合の分割点(対角線の始点及び終点を除いた5点)A〜Eである。また、断面曲線の方向は、光源91、92と平行方向を始点(0度)とし、再度光源と平行方向になるまで、反時計回りに15度ごとに測定を行った(但し、180度に関しては0度と同一の測定ラインとなるため省略)。光制御フィルム(1)〜(5)について得られた結果を順に表1〜5に示す(単位は「度」)。
次いで、光制御フィルム(1)〜(5)のA、C、E点におけるバックライトの光源(冷陰極管)と垂直方向(図9中のy方向)の断面曲線をそれぞれ7等分し、各断面曲線について、断面曲線の光源側の傾斜面、および光源と反対側の傾斜面の、光入射面に対する傾きの絶対値の平均を分割した間隔ごとに算出した。光制御フィルム(1)〜(5)について得られた結果を順に表6〜10に示す(単位は「度」)。なお、測定結果は光源91を基準にした場合と光源92を基準にした場合とで分け、分割した区間は、光源91から光源92に向かうにつれ、区間1→区間7とした。
また実施例1〜5の各光制御フィルムをヘーズメータ(HGM−2K:スガ試験機社)で測定した結果、光制御フィルム(1)は91.3、光制御フィルム(2)は90.8、光制御フィルム(3)は90.1、光制御フィルム(4)は85.3、光制御フィルム(5)は82.1であり、いずれも良好な正面輝度を得るため必要な光学特性を満たしていた。
次に、光制御フィルム(1)〜(5)を15インチエッジライト型バックライト(冷陰極管上下各1灯)に組み込み、正面輝度を測定した。即ち、光制御フィルム(1)〜(5)の凹凸パターン面が光出射面となるようにして導光板上に設置し、バックライト上のA〜E点(図9参照)における光源(冷陰極管)と平行方向(図9のx方向)と垂直方向(図9のy方向)における出射角度ごとの輝度を測定した(1インチ=2.54cm)。光制御フィルム(1)〜(5)について得られた結果を順に表11〜15に示す(単位は「cd/m2」)。
また光源からの距離が近づくにつれ光源側の傾斜面の傾きの絶対値の平均が大きくなっている光制御フィルム(1)、(2)では、フィルム中心(C点)より光源の位置に近いA、B、D、E点においても、光源と垂直方向における正面(0度)から大きく傾いた光を効率的に正面方向に向けることができ、良好な正面輝度を得ることができるものであった(表11、12)。即ち、表11、12の数値と表13〜15の数値を比較すると、前者ではC点とA、B、D、E点との正面輝度の差が小さく、また、A、B、D、E点の垂直方向においては、上30度と下30度の輝度の差及び上45度と下45度の輝度の差が小さく、かつ正面方向(0度)の輝度の値より十分小さい割合になっている。このことから、出射光の位置による片寄りの影響を少なくし、光が効率的に正面方向に向けられていることが分かる。
次いで、レーザー顕微鏡(VK−8500:キーエンス社)により光制御フィルム(6)〜(8)の凹凸パターン面(光出射面)を50倍の対物レンズを使用して測定した。測定間隔は0.29μmとした。得られた測定断面曲線にカットオフ値2.5μmの低域フィルタを適用して断面曲線を求め、この断面曲線の光入射面に対する傾きの絶対値の平均(θave)を算出した。測定は、実施例1〜5と同様に各光制御フィルム上の5つの位置で、それぞれ異なる方向の断面曲線ごとに光入射面に対する傾きの絶対値の平均を算出した。また各断面曲線の長さ(L2)を測定し、その断面の底辺の長さ(L1)に対する比(Lr=L2/L1)を算出し、傾きの絶対値の平均(θave)と長さ比(Lr)との積又は商を求めた。
各光制御フィルム(6)〜(8)についてA〜Eの5点で得られた結果を順に表16〜18に示す。またA〜E5点の全ての結果(θave、Lr、θave/Lr、θave×Lr)を平均したものを表19に示す。
また実施例6〜8の各光制御フィルムをヘーズメータ(HGM−2K:スガ試験機社)で測定した結果を合わせて表19に示す。
次に光制御フィルム(6)〜(8)を図14に示すようなエッジライト型バックライトに組み込み、水平方向±45°、垂直方向±45°の輝度分布(出射角分布)を測定した。表面形状の測定位置に対応する5つの位置A〜Eで測定した結果を表20〜表22に示す。なお、表中の数値(輝度)の単位は「cd/m2」である。また実施例1のバックライトの位置Cにおける左右方向及び上下方向の輝度分布を図16に示す。
[比較例1〜4]
市販のプリズムシート(比較例1)及び光拡散性シート(比較例2〜比較例4)について、実施例1〜5と同様にフィルムの5点A〜Eで凹凸パターン面(光出射面)の表面形状を測定し、断面曲線の傾きの絶対値の平均(θave)を求めた。比較例1〜4の各光制御フィルムについてA〜Eの5点で得られた結果を順に表23〜表26に示す。
次いで、比較例1〜4の光制御フィルムを実施例1〜3と同様に、15インチエッジライト型バックライト(冷陰極管上下各1灯)に組み込み、プリズム面或いは凹凸パターン面が光出射面となるようにして導光板上に設置し、水平方向±45°、垂直方向±45°の輝度分布(出射角分布)を測定した。実施例1と同様に5つの位置A〜Eで測定した結果を表27〜表30に示す。またA〜E5点の全ての結果(θave、Lr、θave/Lr、θave×Lr)を平均したものを、ヘーズメータ(HGM−2K:スガ試験機社)で測定したヘーズ値と併せて表31に示す。なお、表中の数値(輝度)の単位は「cd/m2」である。また比較例1のバックライトの位置Cにおける左右方向及び上下方向の輝度分布を図17に示す。
また表27の結果からわかるように、プリズムシートが凹凸の配向に起因して方向により輝度変化が大きいのに対し、本実施例のものは、輝度が比較的均一に分布し適度の光拡散性を備えていることが示された。さらに図16及び図17に示す結果からもわかるように、本実施例の光制御フィルムは、40度以内の輝度が高く、正面方向に対しプリズムシートと同等かそれ以上の高い出射光が得られることが示された。
なお、比較例で用意したプリズムシートおよび光拡散性を適宜複数枚組み合わせてバックライトに組み込むことにより、実施例と同等の正面輝度が得られることがあるが、当然、バックライトの厚みが増してしまい、また、コストも増加する。
以上の実施例からも明らかなように、本発明によれば、光制御フィルムの凹凸パターンの傾きと形状が特定の関係を満たすようにしたことにより、正面輝度に優れ、適度の光拡散性を備えた光制御フィルムを提供することができる。またこのような光制御フィルムをバックライトに組み込むことにより、少ない数の光学フィルムで正面輝度が高く、ぎらつきや干渉パターンの発生のないバックライトを提供することができる。
Claims (12)
- 凹凸パターンを有する光制御フィルムであって、前記凹凸パターンは、フィルムの基準面に垂直な任意の断面について、凹凸パターンによって画定される断面端部の曲線(以下、断面曲線という)の、前記基準面に対する傾きの絶対値の平均(θave(度))が、実質的にすべての断面について、20度以上75度以下であることを特徴とする光制御フィルム。
- 所定の屈折率nの材料からなる凹凸パターン層を有する光制御フィルムであって、前記凹凸パターンは、フィルムの基準面に垂直な任意の断面について、凹凸パターンによって画定される断面端部の曲線(以下、断面曲線という)の、前記基準面に対する傾きの絶対値の平均(θave(度))が、実質的にすべての断面について、(78−34n)度以上、(118−34n)度以下であることを特徴とする光制御フィルム。
- 請求項1又は2記載の光制御フィルムであって、断面曲線を含む断面の向きの相違による前記傾きの絶対値の平均の差が、30度以内であることを特徴とする光制御フィルム。
- 請求項1から5何れか1項記載の光制御フィルムであって、前記断面曲線の傾きの絶対値の平均(θave)は、断面の向きが前記光制御フィルムの基準面と平行な第1の方向から、前記光制御フィルムの基準面と平行であって前記第1の方向と直交する第2の方向に向かうにつれ漸次増加することを特徴とする光制御フィルム。
- 請求項1から6何れか1項記載の光制御フィルムであって、前記断面曲線の基準面に対する傾きが、フィルムの一端側から他端側に向かうにつれ漸増又は漸減することを特徴とする光制御フィルム。
- 請求項1から7何れか1項記載の光制御フィルムであって、前記光制御フィルムはバックライトに使用され、前記バックライトの光源の長手方向と略直交する断面にある断面曲線を一定の間隔で分割し、当該断面曲線の前記光源側の傾斜面の、前記基準面に対する傾きの絶対値の平均を前記分割した間隔ごとに算出した場合に、当該傾きの絶対値の平均が光源に近づくにつれて大きくなることを特徴とする光制御フィルム。
- 請求項1から7何れか1項記載の光制御フィルムであって、前記光制御フィルムはバックライトに使用され、かつ、前記バックライトの光源の長手方向と略直交する断面にある断面曲線を一定の間隔で分割し、当該断面曲線の前記光源とは反対側の傾斜面の、前記基準面に対する傾きの絶対値の平均を前記分割した間隔ごとに算出した場合に、当該傾きの絶対値の平均が光源に近づくにつれて小さくなることを特徴とする光制御フィルム。
- 少なくとも一端部に光源が配置され、前記一端部に略直交する面を光出射面とする導光板と、前記導光板の光出射面に配置される光制御フィルムとを備えたバックライト装置において、前記光制御フィルムは請求項1から9何れか1項記載の光制御フィルムであるバックライト装置。
- 光制御フィルムは、請求項6記載の光制御フィルムであって、光源が配置される端部と平行な方向を第1の方向とするように配置されることを特徴とする請求項10記載のバックライト装置。
- 光制御フィルムと、光制御フィルムの光出射面側とは反対側の面に、光拡散材及び光源をこの順に備えたバックライトであって、前記光制御フィルムとして、請求項1から9何れか1項記載の光制御フィルムを用いたことを特徴とするバックライト。
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