JPWO2003106588A1 - 球形蓄光性蛍光体粉末及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、発光強度が高くて発光時間が長く、しかも合成樹脂等に添加した際の加工性にも優れた蓄光性蛍光体粉末の提供を一の目的とする。本発明は、アルカリ土類金属のアルミン酸塩を主成分とし、これにランタノイド金属元素等の遷移金属元素を賦活剤として含む蓄光性蛍光体粉末において、該粉末が球形状粉末であることを特徴とする球形蓄光性蛍光体粉末を提供する。さらに、発明は、予め合成した蓄光性蛍光体粉末、又は蓄光性蛍光体の合成原料を予備反応させて得られる蓄光性蛍光体前駆体粉末を原材料として、該原材料を蓄光性蛍光体の融点以上に加熱した領域を通過させて球状化させる球形蓄光性蛍光体粉末の製造法を提供する。
Description
技術分野
本発明は、球形蓄光性蛍光体粉末とその製造方法に関するものである。
背景技術
蓄光性蛍光体は日光又は他の光源からの光を照射すると、その光エネルギーを蓄え、暗所で長時間にわたり発光することができ、種々の目的に利用しうる材料である。従来の蓄光性蛍光体は殆どが硫黄化合物よりなり、例えばZnS:Cu・Co又はCaS:Co等が用いられており、これらの蓄光性蛍光体粉末は蓄光し、発光することができるが、その発光時間は精々1〜2時間程度であり、化学的安定に乏しく、耐久性に劣り、劣化し易いため、悪条件下では、数10時間で発光能力は急激に低下し、使用寿命が短いという欠点があった。
また硫黄化合物系の蓄光性蛍光体粉末に放射性物質を添加したものは長時間自己発光をすることが可能であるが、放射性物質の使用は、人体への放射線障害及び環境汚染のため、国際的にも使用禁止されている。
1990年代初期にアルカリ土類金属のアルミン酸塩を主成分とする蓄光性蛍光体粉末が提案されている。アルカリ土類金属としてEuを用い、これによりアルミン酸を活性化した蓄光性蛍光体は発光強度が高く、発光時間も24時間以上と長く、化学的に安定で、耐久性に優れ、使用寿命も長い等の長所があり、広範囲に使用されている。例えば蛍光インク、蛍光塗料、蛍光プラスチック、蛍光ガラス、蛍光布、装飾製品や低強度光源等に応用されている。
上記アルカリ土類金属のアルミン酸塩よりなる蓄光性蛍光体粉末は、α−Al2O3と数種類の必要な原料化合物を混合して1300℃以上の高温で反応させて得られる、セラミックス状の非常に高硬度の固体粉末である。α−Al2O3は化学的に極めて安定であり、充分高い温度でなければアルカリ土類金属とは反応せず、高温の反応で初めて単斜晶形のアルミン酸塩を生成し、Eu2O3のようなランタノイド金属元素よりなる賦活剤が結晶中に導入されて、発光中心及び格子欠陥を形成する。この高硬度の製品は強力な粉砕処理を施さなければ、数10μの大きさの粉末とすることができない。
しかし粉砕時に生じる結晶の欠陥に賦活エネルギーが吸収され、発光が衰える。粒径が10μ以下になると発光の強度が急激に低下し、粒径が3μ以下となると、発光が微弱となり、実用に供することが困難となる。オフセット印刷用蛍光インク、電子複写機用蛍光トナー、繊維染色用染料等の用途に蓄光性蛍光体粉末を使用するには、極めて微粒の粉末が必要であり、従来の公知のアルカリ土類金属のアルミン酸塩よりなる蓄光性蛍光体粉末では、充分な発光強度を有する微粒粉末を得ることは不可能であった。
一方アルミン酸塩蓄光性蛍光体中で+2と+3価のイオンが蛍光物質の賦活剤として働く際、全く異なるスペクトルの発光をする。アルカリ土類金属のアルミン酸塩では、2価のEuイオンのみが格子欠陥を形成し得る。蓄光性蛍光体を製造する際に、通常は+3価のEu2O3をEuイオン源として添加、混合して、高温に加熱するが、加熱反応中に+3価のEuを+2価のEuに還元する必要がある。従ってこの固相反応を還元性雰囲気中で行う必要があり、+3価のEuの+2価のEuへの還元収率は蓄光性蛍光体の品質を決定する。従来の方法は水素ガスを約5%含む窒素ガス流中で反応を行い、Euイオンの還元を行っているが、その反応は密閉容器中で行う必要があり、操作が煩雑となり、生産コストが嵩みまた大量生産が困難であった。
そこで本願出願人は、日本国特願平10−185688号(日本国特開2000−1672号公報)において、Euを主賦活剤とするアルカリ土類金属のアルミン酸塩よりなる蓄光性蛍光体として、AlCl3、SrCl2、BaCl2、Eu2O3、Dy2O3、H3BO3を原料として用い、上記塩化物の水溶液とアンモニウムイオンを含む水溶液を混合、反応させて得られた沈澱を乾燥した微粒粉末を還元性雰囲気中で高温で焼成したものを粉砕処理することにより、発光強度が高く、発光時間が長い、耐久性にすぐれた、粒子の極めて小さい微粉末状の蓄光性蛍光体が得られることを開示した。
一方、蓄光性蛍光体微粉末を、上述したように蛍光インク、蛍光塗料、蛍光プラスチック、蛍光ガラス、蛍光布等に用いる際には、一定の粒度の微粉末が要求されるが、粒度分布の狭い微粉末を得るためには、球形の粒子が好ましい。
しかしながら、上述のような従来の方法により、固体蓄光性蛍光体を破砕して得られたものでは、球形粒子が得られにくく、粒度分布の幅の狭い、シャープな分級は不可能であった。
また合成樹脂に蓄光性蛍光体微粉末を添加して射出成形する場合等には、微粉末の形状が樹脂の加工性に大きな影響を与えるところ、従来の方法によりアルミナを主成分とする高硬度の蓄光性蛍光体を粉砕処理して得られた微粉末は、合成樹脂の射出成形機を早期に摩耗するため、使用が困難であある。このように、樹脂に添加して射出成形する場合等において加工性のよい蓄光性蛍光体微粉末が市場で求められている。
従って、本発明は発光強度が高く、発光時間が長い、耐久性にすぐれた、粒子の極めて小さく、合成樹脂等に添加しても、加工性を損なうことない、蓄光性蛍光体粉末を提供することを一の目的とする。
更に本発明は、極めて簡単な方法で品質の優れた微粒状の蓄光性蛍光体粉末を製造する方法を提供することを他の目的とする。
発明の開示
上記目的を達成すべく、本発明者は鋭意研究を重ねた結果、蓄光性蛍光体粉末又は蓄光性蛍光体原料を高温に加熱して得られる球形蓄光性蛍光体粉末は、蓄光性蛍光体固形物を破砕して得られる粉末に比較して、発光強度が高く、発光時間が長く、耐久性にすぐれ、且つ合成樹脂等に添加しても、その加工性を損なうことが全くないことを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、アルカリ土類金属のアルミン酸塩を主成分とし、これにランタノイド金属元素等の遷移金属元素を賦活剤として含む蓄光性蛍光体粉末において、該粉末が球形状粉末であることを特徴とする球形蓄光性蛍光体粉末を要旨とする。
他の発明は、予め合成した蓄光性蛍光体粉末、又は蓄光性蛍光体の合成原料を予備反応させて得られる蓄光性蛍光体前駆体粉末を原材料として、該原材料を蓄光性蛍光体の融点以上に加熱した領域を通過させて球状化させる球形蓄光性蛍光体粉末の製造法を要旨とする。
発明を実施するための最良の形態
本発明おいて、用いる蓄光性蛍光体としては、公知のあらゆる蓄光性蛍光体の固形物を破砕して得られる微粉末を用いることができ、アルカリ土類金属のアルミン酸塩を主成分として、これに各種のランタノイド金属元素等の遷移金属元素を、蓄光と発光発生のための電子軌道のトラップを生成する賦活剤として導入した、あらゆる公知の蓄光性蛍光体を用いることができる。
本発明の球形状蓄光性蛍光体微粉末の大きさは、粒径1〜100μが好ましく、1〜3μが更に好ましい。粒径1μ以下では充分な蓄光、発光性能を発揮することが困難である。また100μ以上では粒径が大き過ぎて、蓄光性蛍光体粉末としての用途が限定される。オフセット印刷用蛍光インク、電子複写機用蛍光トナー、繊維染色用染料等の用途に用いるためには、粒径3μ以下のものが好ましい。
上記の公知の蓄光性蛍光体において、その微粉末を球形状微粉末とすることにより、蓄光性蛍光体として発光性能が向上すると共に、これを合成樹脂や印刷インク等に添加した際にその加工性、作業性を向上させることができる。
本発明の球形状蓄光性蛍光体の製造法の製造原料としては、予め蓄光性蛍光体固形物として合成したものを破砕して得られた蓄光性蛍光体微粉末を原材料として使用することもできるし、蓄光性蛍光体を合成するために必要な原料を混合し、予備反応させて得られ、未だ蓄光性を有しない、加熱焼成して蓄光性蛍光体を製造する前段階の前駆体原料を原材料として使用することもできる。
本発明の製造方法では、これらの原材料を、その固体の融点以上に加熱させた領域を通過せしめることにより、これを溶融して球状微粉末とする。融点以上に加熱させた領域は非移行式及び移行式の直流プラズマジェット、高周波加熱プラズマ、アーク加熱、燃焼ガスバーナー等公知の方法により熱プラズマ領域を発生させることにより得られる。
蓄光性蛍光体の成分により、加熱雰囲気を還元性雰囲気、酸化性雰囲気、或いは不活性ガス雰囲気に調整する必要があり、それに応じて固体の融点以上に加熱する方法及び加熱ガスを選択する必要がある。例えば、酸化性雰囲気が好ましい蓄光性蛍光体の場合は空気プラズマフレーム中で加熱する方法を採用しうる。還元性雰囲気が必要な蓄光性蛍光体(例えば、EuやDy等の希土類元素を賦活剤とするもの)の場合は、水素又はアルゴン等の不活性ガスと水素の混合ガスをプラズマガスとして用いる方法や、或いは、アルゴン等の不活性ガスのプラズマフレーム中に、蓄光性蛍光体製造の原材料を水素等の還元ガスを含む担体ガスと共に吹き込む方法を採用しうる。
固体の融点以上に加熱させた領域に原料粉末を送入する方法は、上記の如く担体ガス中に原料を流動させ、これにプラズマフレームを吹き込んで両者を混合する方法、プラズマキャリャーガス中に原料微粉末を混合して移行式プラズマを発生させる方法等公知の粉末のプラズマ加熱法のいずれも用いることが可能である。
本発明の球形微粒子状蓄光性蛍光体粉末の蓄光性蛍光体としては、公知の蓄光性蛍光体が全て利用可能であるが、中でもEuを主賦活剤とする下記の一般式のアルカリ土類金属のアルミン酸塩よりなる蓄光性蛍光体が好ましく用いられる。(A1−z−yDxEy)O・a(G1−zHz)2O3
(式中Aはアルカリ土類金属のMg、Ca、Sr、Ba及び2価の金属Znよりなる群より選ばれた1種又は2種以上の元素であり、Dは賦活剤Euであり、Eは共賦活剤であるランタノイドのDy、Nd、Ho、Er、Tm、Yb、Lu及び遷移金属のMn、Zr、Nb、Ti、Sb、Li、Ge、In、Wよりなる群より選ばれた1種又は2種以上の元素であり、Gは母結晶体のAlであり、Hは母結晶体のB又はGaである。又x、y、z、aはそれぞれ
0.0001<x<0.5
0.0001<y<0.3
0.0001<z<0.5
1.5<a<3.0
の範囲の数である。)
上記一般式のアルカリ土類金属のアルミン酸塩よりなる球形微粒子状蓄光性蛍光体粉末を製造する場合の一例として、原料は、AlCl3・6H2OをAl成分の出発原料とし、SrCl2・6H2OをSr成分の出発原料とし、TiCl3をTi成分の出発原料として用い、Eu2O3、Dy2O3、H3BO3をそれぞれEu、Dy、B成分の出発原料として用いることができる。
また出発原料のSrCl2とAlCl3のモル比は1:1.5〜1:5、Eu2O3とDy2O3のモル比は1:1〜1:2、SrCl2とEu2O3のモル比は1:0.001〜1:0.02、SrCl2とTiCl3のモル比は1:0.0001〜1:0.01が好適である。
前駆体原料を原材料とする場合には、例えば、該出発原料のEU2O3、Dy2O3を水に溶解して溶液Aとし、H3BO3、AlCl3・6H2O、SrCl2・6H2O及びTiCl3を水に溶解して溶液Bとし、溶液A及びBを混合して、80℃の純水に注ぎ反応させ、生成した沈澱を濾過、乾燥することによって合成されたものを前駆体原料として使用できる。
また、球形粒子状蓄光性蛍光体粉末の粒径を調整するには、このような前駆体原料の調製において、溶液AおよびBの混合液を前記純水に注ぐ際に、その攪拌速度や供給速度を調節すればよい。例えば、該純水を高速で攪拌しながら混合液を供給すれば小さい粒径の球形粒子状蓄光性蛍光体粉末が得られ、低速で攪拌しながら供給すれば大きい粒径の球形粒子状蓄光性蛍光体粉末を得ることができる。よって、例えばこのような攪拌速度を調節しつつ前駆体原料を調製することにより、本発明において好適である粒径1〜100μの球形粒子状蓄光性蛍光体粉末を得ることができる。
本発明の球形微粒子状蓄光性蛍光体粉末を製造するための製造装置の一例を図1に示すとともに、斯かる製造装置を用いた製造方法について説明する。この例では、蓄光性蛍光体微粉末を製造するための加熱領域を発生させる手段として、直流によるアルゴンプラズマフレームが用いられている。1は直流電源、2はプラズマフレーム、3は担体ガス、4は原材料送入口、5はベンチュリー形の混合器、6はプラズマ加熱反応器、7は分級・捕集器、8は電気集塵器、9は球形状蓄光性蛍光体粉末である。ベンチュリー形の混合器5のノズル部に前記前駆体原料をアルゴンと水素の混合ガスよりなる担体ガスと共に送入し、アルゴンガスよりなるプラズマフレーム2と混合する。その高温のプラズマフレーム2内で、水素を含む還元性雰囲気下で該前駆体原料を加熱反応させて、蓄光性蛍光体を微粉末状で合成すると同時に、高温の加熱により溶融して、表面張力により球形状の微粉末とする。
そして、プラズマ加熱反応器6を出た微粉末を含むガスを分級・捕集器7に導き、3種の粒径に分級、捕集する。更に最小粒径の微粉末を含むガスを電気集塵器8に導き、残りの微粉末を捕集する。
次に本発明の蓄光性蛍光体微粒粉末及びその製造方法の実施の形態について、実施例により具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
SrCl2・6H2O 269g
AlCl3・6H2O 683.2g
TiCl3 1.01g
H3BO3 30.0g
をイオン交換水3000mlに溶解した水溶液を溶液Aとする。
Eu2O3 2.0g
Dy2O3 2.0g
を塩酸に溶解し、溶液Bとし、これを加熱して過剰の塩酸を蒸発、除去した。溶液Bを溶液Aに注ぎ、攪拌して溶液Cとする。
(NH4)2CO3540gをイオン交換水2000mlに溶解し、溶液Dとする。溶液Dを80℃に加熱し、激しく攪拌しつつ、これに溶液Cを加え、1時間80℃に保った。一旦攪拌した後、静置して放冷した。生じた沈澱を濾過、加熱乾燥、粉砕したのち、これを前駆体原料として、図1に示す製造装置の原料送入口4にアルゴン−水素混合ガスと共に送入して、混合器5でプラズマフレーム2中に混合し、プラズマ加熱反応器6で約1800℃にまでプラズマ加熱して、球形蓄光性蛍光体粉末9を得た。
得られた球形蓄光性蛍光体粉末9は、各粒子が球形をなし、粒度の揃った粒度分布幅の狭い微粉末であった。
〔実施例2〕
予め蓄光性蛍光体固形物として合成し、破砕して得られた蓄光性蛍光体微粉末を原材料とした。具体的には、
Al2O3 3300g
SrCO3 5000g
Eu2O3 120g
Dy2O3 150g
SiO2 0.05g
NiCO3 0.009g
H3BO4 600g
の粉末を混合し、室温で3時間ボールミルによって均質に混合した後、1200℃で仮焼成した。得られた仮焼体を微粒子状に粉砕したものをプラズマ溶射用の原材料として使用した。プラズマ溶射は、Arガス(圧力5.17×105Pa、流量1.0L/s)、H2ガス(圧力3.45×105Pa、流量0.25L/s)、電流600A、電圧60Vの条件下で行った。
図2は、実施例2に係る球形蓄光性蛍光体粉末と、比較例としての従来の製法により製造された蓄光性蛍光体粉末とを、走査型電子顕微鏡を用いて撮影した写真である。
図2からも明らかなように、本発明に係る球形蓄光性蛍光体粉末(図2(b))は、従来のもの(図2(a))とは全く異なり、極めて球形に近い微粉末となっていることが認められる。
本発明の球形蓄光性蛍光体粉末は、各粒子が球形をなし粒度の揃った微粉末であるため、これを合成樹脂の蓄光性蛍光体着色剤として用いる際には、極めて加工性、作業性に優れたものとなる。
本発明の球形蓄光性蛍光体粉末の製造方法によれば、製造工程が短く、連続生産が可能であり、焼成後の粉砕を必要とせす、低コストで直接品質の安定した、球形状の蓄光性蛍光体微粉末を得ることができる。
本発明により得られた蓄光性蛍光体粉末は発光強度が強く、発光時間が長く、耐久性にすぐれたものである。また、該蓄光性蛍光体粉末は、粒子の極めて小さい球形状微粒粉末であるため、オフセット印刷、インクジェット印刷等の印刷用蛍光インク、電子複写機用蛍光トナー、繊維染色用蛍光染料、合成樹脂ペレット、合成樹脂フィルム、塗料等の蛍光着色剤等の用途に、好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の球形蓄光性蛍光体粉末の製造装置の一例の概略図である。
図2は、従来の製法により得られた蓄光性蛍光体粉末(a)と、本発明の実施例として得られた球形蓄光性蛍光体粉末(b)とを、走査型電子顕微鏡を用いて撮影した写真である。
本発明は、球形蓄光性蛍光体粉末とその製造方法に関するものである。
背景技術
蓄光性蛍光体は日光又は他の光源からの光を照射すると、その光エネルギーを蓄え、暗所で長時間にわたり発光することができ、種々の目的に利用しうる材料である。従来の蓄光性蛍光体は殆どが硫黄化合物よりなり、例えばZnS:Cu・Co又はCaS:Co等が用いられており、これらの蓄光性蛍光体粉末は蓄光し、発光することができるが、その発光時間は精々1〜2時間程度であり、化学的安定に乏しく、耐久性に劣り、劣化し易いため、悪条件下では、数10時間で発光能力は急激に低下し、使用寿命が短いという欠点があった。
また硫黄化合物系の蓄光性蛍光体粉末に放射性物質を添加したものは長時間自己発光をすることが可能であるが、放射性物質の使用は、人体への放射線障害及び環境汚染のため、国際的にも使用禁止されている。
1990年代初期にアルカリ土類金属のアルミン酸塩を主成分とする蓄光性蛍光体粉末が提案されている。アルカリ土類金属としてEuを用い、これによりアルミン酸を活性化した蓄光性蛍光体は発光強度が高く、発光時間も24時間以上と長く、化学的に安定で、耐久性に優れ、使用寿命も長い等の長所があり、広範囲に使用されている。例えば蛍光インク、蛍光塗料、蛍光プラスチック、蛍光ガラス、蛍光布、装飾製品や低強度光源等に応用されている。
上記アルカリ土類金属のアルミン酸塩よりなる蓄光性蛍光体粉末は、α−Al2O3と数種類の必要な原料化合物を混合して1300℃以上の高温で反応させて得られる、セラミックス状の非常に高硬度の固体粉末である。α−Al2O3は化学的に極めて安定であり、充分高い温度でなければアルカリ土類金属とは反応せず、高温の反応で初めて単斜晶形のアルミン酸塩を生成し、Eu2O3のようなランタノイド金属元素よりなる賦活剤が結晶中に導入されて、発光中心及び格子欠陥を形成する。この高硬度の製品は強力な粉砕処理を施さなければ、数10μの大きさの粉末とすることができない。
しかし粉砕時に生じる結晶の欠陥に賦活エネルギーが吸収され、発光が衰える。粒径が10μ以下になると発光の強度が急激に低下し、粒径が3μ以下となると、発光が微弱となり、実用に供することが困難となる。オフセット印刷用蛍光インク、電子複写機用蛍光トナー、繊維染色用染料等の用途に蓄光性蛍光体粉末を使用するには、極めて微粒の粉末が必要であり、従来の公知のアルカリ土類金属のアルミン酸塩よりなる蓄光性蛍光体粉末では、充分な発光強度を有する微粒粉末を得ることは不可能であった。
一方アルミン酸塩蓄光性蛍光体中で+2と+3価のイオンが蛍光物質の賦活剤として働く際、全く異なるスペクトルの発光をする。アルカリ土類金属のアルミン酸塩では、2価のEuイオンのみが格子欠陥を形成し得る。蓄光性蛍光体を製造する際に、通常は+3価のEu2O3をEuイオン源として添加、混合して、高温に加熱するが、加熱反応中に+3価のEuを+2価のEuに還元する必要がある。従ってこの固相反応を還元性雰囲気中で行う必要があり、+3価のEuの+2価のEuへの還元収率は蓄光性蛍光体の品質を決定する。従来の方法は水素ガスを約5%含む窒素ガス流中で反応を行い、Euイオンの還元を行っているが、その反応は密閉容器中で行う必要があり、操作が煩雑となり、生産コストが嵩みまた大量生産が困難であった。
そこで本願出願人は、日本国特願平10−185688号(日本国特開2000−1672号公報)において、Euを主賦活剤とするアルカリ土類金属のアルミン酸塩よりなる蓄光性蛍光体として、AlCl3、SrCl2、BaCl2、Eu2O3、Dy2O3、H3BO3を原料として用い、上記塩化物の水溶液とアンモニウムイオンを含む水溶液を混合、反応させて得られた沈澱を乾燥した微粒粉末を還元性雰囲気中で高温で焼成したものを粉砕処理することにより、発光強度が高く、発光時間が長い、耐久性にすぐれた、粒子の極めて小さい微粉末状の蓄光性蛍光体が得られることを開示した。
一方、蓄光性蛍光体微粉末を、上述したように蛍光インク、蛍光塗料、蛍光プラスチック、蛍光ガラス、蛍光布等に用いる際には、一定の粒度の微粉末が要求されるが、粒度分布の狭い微粉末を得るためには、球形の粒子が好ましい。
しかしながら、上述のような従来の方法により、固体蓄光性蛍光体を破砕して得られたものでは、球形粒子が得られにくく、粒度分布の幅の狭い、シャープな分級は不可能であった。
また合成樹脂に蓄光性蛍光体微粉末を添加して射出成形する場合等には、微粉末の形状が樹脂の加工性に大きな影響を与えるところ、従来の方法によりアルミナを主成分とする高硬度の蓄光性蛍光体を粉砕処理して得られた微粉末は、合成樹脂の射出成形機を早期に摩耗するため、使用が困難であある。このように、樹脂に添加して射出成形する場合等において加工性のよい蓄光性蛍光体微粉末が市場で求められている。
従って、本発明は発光強度が高く、発光時間が長い、耐久性にすぐれた、粒子の極めて小さく、合成樹脂等に添加しても、加工性を損なうことない、蓄光性蛍光体粉末を提供することを一の目的とする。
更に本発明は、極めて簡単な方法で品質の優れた微粒状の蓄光性蛍光体粉末を製造する方法を提供することを他の目的とする。
発明の開示
上記目的を達成すべく、本発明者は鋭意研究を重ねた結果、蓄光性蛍光体粉末又は蓄光性蛍光体原料を高温に加熱して得られる球形蓄光性蛍光体粉末は、蓄光性蛍光体固形物を破砕して得られる粉末に比較して、発光強度が高く、発光時間が長く、耐久性にすぐれ、且つ合成樹脂等に添加しても、その加工性を損なうことが全くないことを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、アルカリ土類金属のアルミン酸塩を主成分とし、これにランタノイド金属元素等の遷移金属元素を賦活剤として含む蓄光性蛍光体粉末において、該粉末が球形状粉末であることを特徴とする球形蓄光性蛍光体粉末を要旨とする。
他の発明は、予め合成した蓄光性蛍光体粉末、又は蓄光性蛍光体の合成原料を予備反応させて得られる蓄光性蛍光体前駆体粉末を原材料として、該原材料を蓄光性蛍光体の融点以上に加熱した領域を通過させて球状化させる球形蓄光性蛍光体粉末の製造法を要旨とする。
発明を実施するための最良の形態
本発明おいて、用いる蓄光性蛍光体としては、公知のあらゆる蓄光性蛍光体の固形物を破砕して得られる微粉末を用いることができ、アルカリ土類金属のアルミン酸塩を主成分として、これに各種のランタノイド金属元素等の遷移金属元素を、蓄光と発光発生のための電子軌道のトラップを生成する賦活剤として導入した、あらゆる公知の蓄光性蛍光体を用いることができる。
本発明の球形状蓄光性蛍光体微粉末の大きさは、粒径1〜100μが好ましく、1〜3μが更に好ましい。粒径1μ以下では充分な蓄光、発光性能を発揮することが困難である。また100μ以上では粒径が大き過ぎて、蓄光性蛍光体粉末としての用途が限定される。オフセット印刷用蛍光インク、電子複写機用蛍光トナー、繊維染色用染料等の用途に用いるためには、粒径3μ以下のものが好ましい。
上記の公知の蓄光性蛍光体において、その微粉末を球形状微粉末とすることにより、蓄光性蛍光体として発光性能が向上すると共に、これを合成樹脂や印刷インク等に添加した際にその加工性、作業性を向上させることができる。
本発明の球形状蓄光性蛍光体の製造法の製造原料としては、予め蓄光性蛍光体固形物として合成したものを破砕して得られた蓄光性蛍光体微粉末を原材料として使用することもできるし、蓄光性蛍光体を合成するために必要な原料を混合し、予備反応させて得られ、未だ蓄光性を有しない、加熱焼成して蓄光性蛍光体を製造する前段階の前駆体原料を原材料として使用することもできる。
本発明の製造方法では、これらの原材料を、その固体の融点以上に加熱させた領域を通過せしめることにより、これを溶融して球状微粉末とする。融点以上に加熱させた領域は非移行式及び移行式の直流プラズマジェット、高周波加熱プラズマ、アーク加熱、燃焼ガスバーナー等公知の方法により熱プラズマ領域を発生させることにより得られる。
蓄光性蛍光体の成分により、加熱雰囲気を還元性雰囲気、酸化性雰囲気、或いは不活性ガス雰囲気に調整する必要があり、それに応じて固体の融点以上に加熱する方法及び加熱ガスを選択する必要がある。例えば、酸化性雰囲気が好ましい蓄光性蛍光体の場合は空気プラズマフレーム中で加熱する方法を採用しうる。還元性雰囲気が必要な蓄光性蛍光体(例えば、EuやDy等の希土類元素を賦活剤とするもの)の場合は、水素又はアルゴン等の不活性ガスと水素の混合ガスをプラズマガスとして用いる方法や、或いは、アルゴン等の不活性ガスのプラズマフレーム中に、蓄光性蛍光体製造の原材料を水素等の還元ガスを含む担体ガスと共に吹き込む方法を採用しうる。
固体の融点以上に加熱させた領域に原料粉末を送入する方法は、上記の如く担体ガス中に原料を流動させ、これにプラズマフレームを吹き込んで両者を混合する方法、プラズマキャリャーガス中に原料微粉末を混合して移行式プラズマを発生させる方法等公知の粉末のプラズマ加熱法のいずれも用いることが可能である。
本発明の球形微粒子状蓄光性蛍光体粉末の蓄光性蛍光体としては、公知の蓄光性蛍光体が全て利用可能であるが、中でもEuを主賦活剤とする下記の一般式のアルカリ土類金属のアルミン酸塩よりなる蓄光性蛍光体が好ましく用いられる。(A1−z−yDxEy)O・a(G1−zHz)2O3
(式中Aはアルカリ土類金属のMg、Ca、Sr、Ba及び2価の金属Znよりなる群より選ばれた1種又は2種以上の元素であり、Dは賦活剤Euであり、Eは共賦活剤であるランタノイドのDy、Nd、Ho、Er、Tm、Yb、Lu及び遷移金属のMn、Zr、Nb、Ti、Sb、Li、Ge、In、Wよりなる群より選ばれた1種又は2種以上の元素であり、Gは母結晶体のAlであり、Hは母結晶体のB又はGaである。又x、y、z、aはそれぞれ
0.0001<x<0.5
0.0001<y<0.3
0.0001<z<0.5
1.5<a<3.0
の範囲の数である。)
上記一般式のアルカリ土類金属のアルミン酸塩よりなる球形微粒子状蓄光性蛍光体粉末を製造する場合の一例として、原料は、AlCl3・6H2OをAl成分の出発原料とし、SrCl2・6H2OをSr成分の出発原料とし、TiCl3をTi成分の出発原料として用い、Eu2O3、Dy2O3、H3BO3をそれぞれEu、Dy、B成分の出発原料として用いることができる。
また出発原料のSrCl2とAlCl3のモル比は1:1.5〜1:5、Eu2O3とDy2O3のモル比は1:1〜1:2、SrCl2とEu2O3のモル比は1:0.001〜1:0.02、SrCl2とTiCl3のモル比は1:0.0001〜1:0.01が好適である。
前駆体原料を原材料とする場合には、例えば、該出発原料のEU2O3、Dy2O3を水に溶解して溶液Aとし、H3BO3、AlCl3・6H2O、SrCl2・6H2O及びTiCl3を水に溶解して溶液Bとし、溶液A及びBを混合して、80℃の純水に注ぎ反応させ、生成した沈澱を濾過、乾燥することによって合成されたものを前駆体原料として使用できる。
また、球形粒子状蓄光性蛍光体粉末の粒径を調整するには、このような前駆体原料の調製において、溶液AおよびBの混合液を前記純水に注ぐ際に、その攪拌速度や供給速度を調節すればよい。例えば、該純水を高速で攪拌しながら混合液を供給すれば小さい粒径の球形粒子状蓄光性蛍光体粉末が得られ、低速で攪拌しながら供給すれば大きい粒径の球形粒子状蓄光性蛍光体粉末を得ることができる。よって、例えばこのような攪拌速度を調節しつつ前駆体原料を調製することにより、本発明において好適である粒径1〜100μの球形粒子状蓄光性蛍光体粉末を得ることができる。
本発明の球形微粒子状蓄光性蛍光体粉末を製造するための製造装置の一例を図1に示すとともに、斯かる製造装置を用いた製造方法について説明する。この例では、蓄光性蛍光体微粉末を製造するための加熱領域を発生させる手段として、直流によるアルゴンプラズマフレームが用いられている。1は直流電源、2はプラズマフレーム、3は担体ガス、4は原材料送入口、5はベンチュリー形の混合器、6はプラズマ加熱反応器、7は分級・捕集器、8は電気集塵器、9は球形状蓄光性蛍光体粉末である。ベンチュリー形の混合器5のノズル部に前記前駆体原料をアルゴンと水素の混合ガスよりなる担体ガスと共に送入し、アルゴンガスよりなるプラズマフレーム2と混合する。その高温のプラズマフレーム2内で、水素を含む還元性雰囲気下で該前駆体原料を加熱反応させて、蓄光性蛍光体を微粉末状で合成すると同時に、高温の加熱により溶融して、表面張力により球形状の微粉末とする。
そして、プラズマ加熱反応器6を出た微粉末を含むガスを分級・捕集器7に導き、3種の粒径に分級、捕集する。更に最小粒径の微粉末を含むガスを電気集塵器8に導き、残りの微粉末を捕集する。
次に本発明の蓄光性蛍光体微粒粉末及びその製造方法の実施の形態について、実施例により具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
SrCl2・6H2O 269g
AlCl3・6H2O 683.2g
TiCl3 1.01g
H3BO3 30.0g
をイオン交換水3000mlに溶解した水溶液を溶液Aとする。
Eu2O3 2.0g
Dy2O3 2.0g
を塩酸に溶解し、溶液Bとし、これを加熱して過剰の塩酸を蒸発、除去した。溶液Bを溶液Aに注ぎ、攪拌して溶液Cとする。
(NH4)2CO3540gをイオン交換水2000mlに溶解し、溶液Dとする。溶液Dを80℃に加熱し、激しく攪拌しつつ、これに溶液Cを加え、1時間80℃に保った。一旦攪拌した後、静置して放冷した。生じた沈澱を濾過、加熱乾燥、粉砕したのち、これを前駆体原料として、図1に示す製造装置の原料送入口4にアルゴン−水素混合ガスと共に送入して、混合器5でプラズマフレーム2中に混合し、プラズマ加熱反応器6で約1800℃にまでプラズマ加熱して、球形蓄光性蛍光体粉末9を得た。
得られた球形蓄光性蛍光体粉末9は、各粒子が球形をなし、粒度の揃った粒度分布幅の狭い微粉末であった。
〔実施例2〕
予め蓄光性蛍光体固形物として合成し、破砕して得られた蓄光性蛍光体微粉末を原材料とした。具体的には、
Al2O3 3300g
SrCO3 5000g
Eu2O3 120g
Dy2O3 150g
SiO2 0.05g
NiCO3 0.009g
H3BO4 600g
の粉末を混合し、室温で3時間ボールミルによって均質に混合した後、1200℃で仮焼成した。得られた仮焼体を微粒子状に粉砕したものをプラズマ溶射用の原材料として使用した。プラズマ溶射は、Arガス(圧力5.17×105Pa、流量1.0L/s)、H2ガス(圧力3.45×105Pa、流量0.25L/s)、電流600A、電圧60Vの条件下で行った。
図2は、実施例2に係る球形蓄光性蛍光体粉末と、比較例としての従来の製法により製造された蓄光性蛍光体粉末とを、走査型電子顕微鏡を用いて撮影した写真である。
図2からも明らかなように、本発明に係る球形蓄光性蛍光体粉末(図2(b))は、従来のもの(図2(a))とは全く異なり、極めて球形に近い微粉末となっていることが認められる。
本発明の球形蓄光性蛍光体粉末は、各粒子が球形をなし粒度の揃った微粉末であるため、これを合成樹脂の蓄光性蛍光体着色剤として用いる際には、極めて加工性、作業性に優れたものとなる。
本発明の球形蓄光性蛍光体粉末の製造方法によれば、製造工程が短く、連続生産が可能であり、焼成後の粉砕を必要とせす、低コストで直接品質の安定した、球形状の蓄光性蛍光体微粉末を得ることができる。
本発明により得られた蓄光性蛍光体粉末は発光強度が強く、発光時間が長く、耐久性にすぐれたものである。また、該蓄光性蛍光体粉末は、粒子の極めて小さい球形状微粒粉末であるため、オフセット印刷、インクジェット印刷等の印刷用蛍光インク、電子複写機用蛍光トナー、繊維染色用蛍光染料、合成樹脂ペレット、合成樹脂フィルム、塗料等の蛍光着色剤等の用途に、好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の球形蓄光性蛍光体粉末の製造装置の一例の概略図である。
図2は、従来の製法により得られた蓄光性蛍光体粉末(a)と、本発明の実施例として得られた球形蓄光性蛍光体粉末(b)とを、走査型電子顕微鏡を用いて撮影した写真である。
Claims (6)
- アルカリ土類金属のアルミン酸塩を主成分とし、これにランタノイド金属元素等の遷移金属元素を賦活剤として含む蓄光性蛍光体粉末において、該粉末が球形状粉末であることを特徴とする球形畜光性蛍光体粉末。
- 該球形状粉末が粒径1〜100μ以下の微粒子粉末である請求項1記載の球形蓄光性蛍光体粉末。
- 該蓄光性蛍光体が一般式
(A1−z−yDxEy)O・a(G1−zHz)2O3
(式中Aはアルカリ土類金属のMg、Ca、Sr、Ba及び2価の金属Znよりなる群より選ばれた1種又は2種以上の元素であり、Dは賦活剤Euであり、Eは共賦活剤であるランタノイドのDy、Nd、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、及び遷移金属のMn、Zr、Nb、Ti、Sb、Li、Ge、In、Wよりなる群より選ばれた1種又は2種以上の元素であり、Gは母結晶体のAlであり、Hは母結晶体のB又はGaである。又x、y、z、aはそれぞれ
0.0001<x<0.5
0.0001<y<0.3
0.0001<z<0.5
1.5<a<3.0
の範囲の数である。)
で表される組成を有する請求項1又は2記載の球形蓄光性蛍光体粉末。 - 予め合成した蓄光性蛍光体粉末、又は蓄光性蛍光体の合成原料を予備反応させて得られる蓄光性蛍光体前駆体粉末を原材料として、該原材料を蓄光性蛍光体の融点以上に加熱した領域を通過させて球状化させる球形蓄光性蛍光体粉末の製造方法。
- 該融点以上に加熱した領域がプラズマ領域である請求項4記載の球形蓄光性蛍光体粉末の製造方法。
- 該プラズマ領域が非移行式及び移行式の直流プラズマフレーム、高周波加熱プラズマ、アーク加熱等で発生させたプラズマ領域である請求項5記載の球形蓄光性蛍光体粉末の製造方法。
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