JP2004323656A - 球形状蓄光材の製造方法および球形状蓄光材 - Google Patents
球形状蓄光材の製造方法および球形状蓄光材 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004323656A JP2004323656A JP2003119535A JP2003119535A JP2004323656A JP 2004323656 A JP2004323656 A JP 2004323656A JP 2003119535 A JP2003119535 A JP 2003119535A JP 2003119535 A JP2003119535 A JP 2003119535A JP 2004323656 A JP2004323656 A JP 2004323656A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- phosphorescent material
- spherical
- particles
- phosphorescent
- srco
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Luminescent Compositions (AREA)
Abstract
【課題】短時間で蓄光でき、初期輝度及び発光強度が高く且つ残光時間が長い蓄光材の製造方法を提供する。
【解決手段】焼結によって得られた蓄光材を粉末状とし、または原料を予備反応させて得られた蓄光材の前駆体を粉末状とし、得られた粉末状の蓄光材または前駆体を蓄光材の融点以上に還元性雰囲気で加熱溶融し、次いで急冷して球形蓄光材状を製造する。加熱温度を1700℃以上とし、900℃までの冷却を400℃/秒以上とすることが好ましい。また加熱溶融から急冷までの工程はプラズマ領域を通過することで連続的に行うことが好ましい。
【選択図】なし
【解決手段】焼結によって得られた蓄光材を粉末状とし、または原料を予備反応させて得られた蓄光材の前駆体を粉末状とし、得られた粉末状の蓄光材または前駆体を蓄光材の融点以上に還元性雰囲気で加熱溶融し、次いで急冷して球形蓄光材状を製造する。加熱温度を1700℃以上とし、900℃までの冷却を400℃/秒以上とすることが好ましい。また加熱溶融から急冷までの工程はプラズマ領域を通過することで連続的に行うことが好ましい。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は球形状蓄光材の製造方法と当該方法を用いて製造された球形状蓄光材に関する。ここで、球形状とは完全な球形のみでなく、角のない略球形あるいは角のない略楕円球も含む。
【0002】
【従来の技術】
太陽光等の光エネルギーの外部刺激を吸収し、可視光として一定時間、持続的に放出する一種のエネルギー貯蔵材料として蓄光材が、夜間表示用の標識に用いる蛍光塗料、蛍光インク、フィルムなどに広く用いられている。尚、蓄光体も蛍光体の一種であり、残光時間の長いものを一般に蓄光体(蓄光性蛍光体)と称して区別している。
【0003】
従来の蓄光材はCaS:Bi、CaSrS:Bi、ZnS:Cu、ZnCdS:Cuなどの硫化物系が主流であったが、これらは発光強度が弱く、残光時間が短く、化学的に不安定であるなどの問題があった。これを解消するものとして、アルカリ土類アルミネートMXAlYOZ(MはSr、Ca、Baなど)にEuとDyをドープした蓄光材が提案されている。(特許文献1)
この特許文献1には、原料をボールミルを用いて混合した後、混合物を電気炉を用いて窒素―水素混合ガス気流中で、1300℃、1時間かけて焼成し、その後室温まで約1時間かけて冷却する製造方法が開示されている。
【0004】
ここで、非特許文献1等に開示されるアルカリ土類アルミネートにEuとDyをドープした蓄光材の発光原理を図1に基づいて説明する。
蓄光材が紫外線(太陽光)の外部刺激を受けると、Eu2+の4f軌道の電子がエネルギーの高い準位へ励起(4f7→4f65d1)される。これと同時に4f軌道に正孔が生じ、紫外線を照射している間、一部の正孔は熱的にEu2+の価電子帯へ開放され、開放された一部の正孔はDy3+に捕獲される。そして紫外線による外部刺激を停止すると、Dy3+に捕獲された正孔はEu2+の価電子帯へ開放される。Dy3+から開放された正孔は、準安定状態で過剰の電子を持つEu2+のサイトへ移動し、Eu2+と再結合する。この再結合によって余分なエネルギーが放出(発光)され、捕獲された全ての正孔が消費されるまで発光が継続する。
このことから、Euは発光に関与し、Dyは残光現象に関与することが分る。
【0005】
発光現象が生じるには、Euがアルミン酸の結晶中に導入されて発光中心及び格子欠陥を形成することが必要である。一方、EuイオンにはEu2+とEu3 +が存在しEu2+のみが格子欠陥を形成することができるが、原料はEu2O3を用いるためEu3+をEu2+に還元する必要がある。
特許文献2では、上記の還元を効率よく行うために、AlCl3・6H2OをAlの原料とし、SrCl2・6H2OをSrの原料とし、BaCl2・2H2OをBaの原料とし、これら三種の塩化物の水溶液とアンモニウムイオン水溶液を80℃の水の中に入れ、冷却、ろ過、乾燥した後、分散させ、焼成、冷却した後、
Eu2O3、Dy2O3、Sb2O3、H3BO3及び(COOH)2H2Oを混入し湿式粉砕、分離、乾燥、粉砕し、粉砕物を坩堝に入れ、非酸化性雰囲気でEu3+をEu2+に還元して焼成する内容が開示されている。
【0006】
また、蓄光材を印刷インクや塗料に混ぜて使用する場合には、出来るだけ蓄光材粒子の径を小さくする必要がある。しかしながら、従来の方法では製造できる粒径に限度があり、このため製造後の蓄光材を機械的に粉砕して粒径を10μm程度まで小さくしている。ところが、粉砕を行うと微細な傷が結晶に生じ、この傷が活性化エネルギーを吸収するため、蓄光材粒子は粒径が小さくなると発光能力が低下することが非特許文献2に報告されている。
【0007】
更に、特許文献3には、市販のSrAl2O4:Eu系蓄光材を原料とし、この原料をアルゴンガスと酸素ガスの混合ガスをキャリヤとして高周波熱プラズマ中に供給し、原料を蒸発させた後に急冷して蓄光材の微粒子を得る方法が開示されている。
【0008】
【特許文献】
特許文献1:特許第2543825号公報 特許請求の範囲、段落0030
特許文献2:特許第3209724号公報 段落0014〜0016
特許文献3:特開平9−95671号公報 段落0034 段落0038
【0009】
【非特許文献】
非特許文献1:F.C.Palilla,A.K.Levine,and M.R.Tomkus J.Electrochem.Soc., 115(1968),642
非特許文献2:資源と素材(社団法人 資源・素材学会 1998 Vol.114)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1および特許文献2に記載されるように、従来にあっては、1200℃〜1600℃の範囲で長時間かけて行う固相反応、即ち焼結によって蓄光材を製造している。
しかしながら、焼結法によって製造した蓄光材は焼結中に相変態が起こり、結晶の粒界にSr(Dy・Eu)2O4が偏析し、その結果、発光に寄与するDy/Eu固溶量が減少し、発光強度、残光時間などの蓄光特性が劣ることになる。
【0011】
また、焼結法によって製造した蓄光材は蓄光材粒子自体が大きく且つ角が尖った多面体となっており、分級が正確に行えず、また塗料やインクに混ぜるには粉砕して微粒子にしなければならないが、前記したように粉砕すると蓄光特性が低下してしまう。
【0012】
更に、粉砕して粒径を小さくしても個々の粒子に角があると、蓄光材は粒子は高硬度であるため、例えば樹脂に混入して射出成形する際に、成形機を摩耗し寿命を大幅に短縮してしまう。
【0013】
一方、特許文献3に開示される方法は、焼結ではないが、キャリヤガスとしてアルゴンガスと酸素ガスの混合ガスを用いているので、Eu3+をEu2+に還元することができず、発光機能を発揮する格子欠陥を形成することができず、蓄光材としての特性を有さない。
【0014】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するため本発明に係る球形状蓄光材の製造方法は、焼結によって得られた蓄光材を粉末状とするか、原料を予備反応させて得られた蓄光材の前躯体を粉末状とし、得られた粉末状の蓄光材または前躯体を蓄光材の融点以上に還元雰囲気で加熱溶融し、次いで急冷するようにした。
このように加熱溶融した原料を空中でそのまま急冷すると表面張力で球形状をした微細な蓄光材粒子が得られる。
【0015】
加熱温度としては1700℃以上、好ましくは1800℃とし、900℃までの冷却速度は400℃/秒以上、好ましくは450℃/秒以上とする。
加熱手段としては、移行式または非移行式の直流プラズマアーク、高周波プラズマアーク、アーク放電などが考えられる。
時間をかけて焼結させると、母相中に固溶していたEu/Dyが拡散し、粒界などにSr(Dy・Eu)2O4を析出し、結果として発光に関与するEu/Dyの固溶量が減少してしまうが、本発明のように急冷することで、Eu/Dyの拡散が抑制され固溶量は減少せず、優れた発光特性が得られる。
【0016】
また、特に蓄光材の前躯体を溶融・急冷する場合としては、例えば、必須の原料としてAl2O3、SrCO3、SiO2、Eu2O3、Dy2O3、NiCO3を用い、任意の原料としてMgO、CaCO3、H3BO3を用い、これらを以下のモル配合比率で混合せしめたものを仮焼して蓄光材の前躯体とする。
SrCO3:Al2O3=1:0.1〜1.5
MgO:SiO2=1:0.8〜2.0
CaCO3:SiO2=1:0.5〜2.0
Eu2O3:Dy2O3=1:1.5〜3.0
SrCO3:Eu2O3=1:0.001〜0.02
SrCO3:SiO2=1:0.001〜2.0
SrCO3:NiCO3=1:0.0001〜0.1
SrCO3:H3BO3=1:0.0001〜0.3
【0017】
また、本発明方法によって製造される球形状蓄光材は、他の製造法によって得られた蓄光材と比較して、以下の如き特徴を持っている。
即ち、α−SrAl2O4を母結晶とする略球形若しくは略楕円球の粒子からなり、粒子の内部には空洞が存在し且つ粒子内に双晶が認められ、更に粒界にSr(Dy・Eu)2O4が偏析していない。尚、若干のSr(Dy・Eu)2O4が粒界などに認められるが、ボールミル後に行う仮焼の際に形成されたものと考えられる。
【0018】
また、本発明方法によって得られる球形状蓄光材を一般式で示すと下記の通りである。
(A1−Z − YDXEY)O・a(G1−ZHZ)2O3
式中、
Aはアルカリ土類金属のMg、Ca、Sr、Ba及び2価金属Znより選ばれた一種以上の元素。
Dは活性化剤(賦活剤)であるEu。
Eは共活性化剤(賦活剤)であるランタノイドのDy、Nd、Pr、Ho、Er、Tm、Yb、Lu及び遷移金属のNi、Mn、Zr、Nb、Ti、Sb、Li、Ge、In、Wの群より選ばれた一種以上の元素。
Oは酸素。
Gは母結晶体であるAl及びSiより選ばれた一種以上の元素。
Hは基質結晶体のB及びGaより選ばれた一種以上の元素。
また、
0.01≦x≦0.5
0.0001≦y≦0.3
0.0001≦z≦0.5
0.5≦a≦3.0
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の態様を添付図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る蓄光材の製造方法の実施に用いる装置の概略図であり、1は冷却塔であり、この冷却塔1の上部には筒体2が設けられ、この筒体2の上端開口には直流電源3につながる電極4が取り付けられ、この電極の下方にプラズマ領域Pが形成され、また筒体2の側面には原料送入口5及び担体ガス導入口6が設けられ、更に原料送入口5の下方を冷却水コイル7で囲まれる冷却領域としている。
【0020】
前記冷却塔1の下流側には3連の分級・捕塵器8が配置され、冷却塔1の下部と分級・捕塵器8の上部をパイプ9で連結し、更に分級・捕塵器8の下流側に電気集塵器10を配置している。そして、冷却塔1、分級・捕塵器8及び電気集塵器10の下端を蓄光材の採取口としている。
【0021】
以上の装置によって、蓄光材原料をプラズマ領域Pで過熱・溶融せしめ、このプラズマ領域Pを通過した溶融原料を直ちに冷却し、表面張力によって球形若しくは楕円球の蓄光材微粉末(0.1μm〜800μm)を得る。
【0022】
次に、具体的な実施例について述べる。
(実施例1)
純度99.99%以上のAl2O3、SrCO3、Eu2O3、Dy2O3、SiO2、NiCO3、H3BO3を(表1)に示す量となるように正確に秤量し、十分に混合した後、電気炉で1000℃〜1100℃の温度で焼結(仮焼)させ、得られた焼結物を粉砕して粉末状前躯体とした。この粉末状前躯体をプラズマ溶射により1800℃前後に過熱溶融せしめて瞬間的に合成し、900℃まで約2秒で急冷して粉末状蓄光材を得た。尚、プラズマ溶射の条件は、キャリアガスをAr/H2、電流値を600A、電圧値を60Vとした。
【0023】
【表1】
【0024】
上記した本発明方法で得られた蓄光材と比較するため、焼結法(従来法)によって製造した同一組成割合の蓄光材を用意した。粒子の形態や断面組織は操作型顕微鏡(SEM)を用いて観察した。粒子の化学組成の分析にはエネルギー分散型X線分光法(EDS)を用いた。粒子の相はCu−Kα線を用いて粉末試料から得られたX線回折図形より同定した。透過型電子顕微鏡(TEM)用試料は、粒子を樹脂と固め、3mmディスクに打ち抜き、約20μm厚まで機械研磨した後、イオンスパッタを用いて作製し、この試料をJEM2010HC(日本電子製)を用いて観察した。
【0025】
図3はX線回折の結果を示す図であり、(a)は焼結法、(b)は本発明方法によって得た蓄光材を示す。また図4は図3の一部(2θが31〜34°の範囲)を拡大して示した図であり、(a)は焼結法、(b)は本発明方法によって得た蓄光材を示す。
図3から、何れの製造方法によっても蓄光材の母相はSrAl2O4の組成を持つ単斜晶のα相であった。但し、焼結法による場合には2θ=25.4°付近にα−Al2O3の101(―)2からの強い強度の回折線が得られた。また焼結法による場合には2θ=20.9°付近にフラックスとして添加したSiO2の回折線も検出された。
特に図4に示すように、2θ=30〜34°における回折線は両者は大きく異なり、本発明方法による場合にはこの範囲において回折線が検出されないが、焼結法による場合にはα−SrAl2O4、Eu2O3、Dy2O3、SrEu2O3、DyEu2O3からの回折線が検出された。このことから焼結法による場合にはEu及びDy原子が母相中に完全に固溶しておらず、本発明方法に比べて多量にSr(Dy・Eu)2O4が焼結中に多量に析出していることを示唆している。
【0026】
図5は蓄光材粒子のSEM写真であり、(a)は焼結法、(b)は本発明方法によって得た蓄光材を示す。
この写真から焼結法による場合には、粒子は不均一で角が尖った多面体形状であるのに対し、本発明法にて製造した蓄光材粒子は直径40〜70μmの球形であり、若干であるが完全な球形から形の崩れた楕円球が混ざっていることが観察される。
【0027】
図6は蓄光材粒子の断面を示すSEM写真であり、(a)は焼結法、(b)は本発明方法によって得た蓄光材を示す。
焼結法で製造した蓄光材粒子は多結晶から構成され、粒子の内部及び粒界には母相と異なる白いコントラストを呈する析出粒子が多量に分布している。一方、本発明方法により製造した蓄光材粒子は白いコントラストを呈する析出粒子の量は非常に少なく、特に完全な球形に近い粒子には殆んど析出粒子は観察されない。 また、本発明方法によって製造した粒子の内部には大きな空洞を有するものが多く観察される。この空洞によってEu及びDy原子の固溶量が多くなると推定される。
【0028】
図7は焼結法によって製造した蓄光材粒子の内部を高倍率で示したSEM写真である。この写真から、白い析出粒子はファセットに囲まれており、母相と特定の結晶方位関係を持って析出したと考えられる。白い析出粒子はAlを含有せず、Sr、Eu及びDyから構成されることが確認された。前記図3,4のX線回折の結果と併せると、白い析出粒子はSr(Dy・Eu)2O4であると考えられる。Sr(Dy・Eu)2O4が析出することで、母相中のEu/Dyの固溶量は仕込み組成と比較して減少するはずである。そこで母相中の組成を測定したところ、Al、Sr、Eu及びDyの全ての元素が検出され、Eu及びDyの固溶量はそれぞれ0.9%、1.3%であった。
【0029】
図8は本発明方法によって製造した蓄光材粒子(楕円球)の内部を高倍率で示したSEM写真である。楕円球を選択したのは完全な球形の粒子の内部には白い析出粒子が殆んど観察されないからである。測定の結果は、白い析出粒子と母相における組成分析は焼結法による場合と同じ結果となった。
【0030】
図9は本発明方法によって製造した蓄光材粒子(完全球形)の母相でのEDSによる測定結果を示すものであり、母相中にはAl、Sr、Eu及びDyの全ての元素が検出され、特にEu及びDyの固溶量は楕円球の場合に比べて1.5〜2倍ほど多く検出された。
【0031】
図10は本発明方法によって製造した蓄光材粒子(完全球形)の内部をTEMで観察した明視野像と制限視野回折図形を示す。
球形の蓄光材粒子は、約200nmの幅を持つ細長い結晶が特定方向に配列した多結晶より構成されている。これら結晶粒は図10(c)および(d)に示した電子線回折図形を解析することにより、α−SrAl2O4相として同定された。α−SrAl2O4相の結晶粒界に沿って第2相が析出しており、図10(e)の回折図形の解析よりこれら第2相はSr(Dy・Eu)2O4相として同定された。
焼結法によるα−SrAl2O4相の内部にもSr(Dy・Eu)2O4が観察されたが、α−SrAl2O4粒界に析出したSr(Dy・Eu)2O4粒子は本発明方法によって製造した蓄光材粒子に検出されるものと比べかなり大きかった。このことから、焼結法による場合には多量のDyおよびEuが粒界に析出することを示唆している。
【0032】
図11はSr(Dy・Eu)2O4粒子の少ない領域からのTEM観察の結果であり、(a)は本発明方法、(b)は焼結法によって得た蓄光材の明視野像であり、(c)は(a)からの制限視野回折図形である。本発明方法と焼結法による違いを比較するため、いずれも[001]方向から観察した。
図11(a)から本発明方法によって得た蓄光材粒子の内部には微細な双晶が多量に観察された。これは高温化らの急冷によってβ相からα相にマルテンサイト的に変態するとき、格子変形による歪を緩和するため導入されたと考えられる。一方、焼結法によって得た蓄光材粒子の内部にも双晶は観察されるが、その量はかなり少ない。これはβ相からα相への変態がMs点(ルテンサイト開始温度)までは拡散的に起こり,その後Ms点以下で未変態のβ相がα相にマルテンサイト的に変態するためと考えられ、またSr(Dy・Eu)2O4の析出によるDy及びEuの減少によってβ相が不安定になるためと考えられる。
【0033】
(実施例2)
純度99.99%以上のAl2O3、SrCO3、MgO、Eu2O3、Dy2O3、SiO2、NiCO3、H3BO3を(表2)に示す量となるように正確に秤量し、十分に混合した後、電気炉で1000℃〜1100℃の温度で焼結(仮焼)させ、得られた焼結物を粉砕して粉末状前躯体とした。この粉末状前躯体をプラズマ溶射により1800℃前後に過熱溶融せしめて瞬間的に合成し、900℃まで約2秒で急冷して粉末状蓄光材を得た。尚、プラズマ溶射の条件は、(実施例1)と同様にした。
その結果、図12に示すように、発光スペクトルが420〜440nmのブルー発光の粉末状蓄光材が得られた。
【0034】
【表2】
【0035】
(実施例3)
純度99.99%以上のAl2O3、CaCO3、SrCO3、Eu2O3、Dy2O3、SiO2、NiCO3、H3BO3を(表3)に示す量となるように正確に秤量し、十分に混合した後、電気炉で1000℃〜1100℃の温度で焼結(仮焼)させ、得られた焼結物を粉砕して粉末状前躯体とした。この粉末状前躯体をプラズマ溶射により1800℃前後に過熱溶融せしめて瞬間的に合成し、900℃まで約2秒で急冷して粉末状蓄光材を得た。尚、プラズマ溶射の条件は、(実施例1)と同様にした。
その結果、図12に示すように、発光スペクトルが500〜520nmのグリーン発光の粉末状蓄光材が得られた。
【0036】
【表3】
【0037】
また,図13は本発明方法によって得た蓄光材粒子と従来の焼結法で得た蓄光材粒子の残光時間と発光輝度(対数目盛)との関係を示すグラフであり、従来法に比べ本発明方法で得た蓄光材粒子が蓄光特性において優れることが分る。
【0038】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明に係る製造方法によれば、短時間で蓄光でき、初期輝度及び発光強度が高く且つ残光時間が長い蓄光材を得ることができる。
また、本発明方法によって得られる蓄光材の粒子は球形若しくはこれに近い角のない形状をしているため、分級が正確に行え、分散性に優れ、樹脂などに混入して射出成形する場合に成形機を摩耗するなどの不利が生じない。
また、本発明方法によれば極めて粒径の小さな蓄光材を粉砕することなく得ることができるので、蛍光インク、蛍光塗料、蛍光プラスチック、蛍光ガラス、蛍光布などに好適に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】蓄光材の発光原理を説明した図
【図2】本発明に係る蓄光材の製造方法の実施に用いる装置の概略図
【図3】X線回折の結果を示す図であり、(a)は焼結法、(b)は本発明方法によって得た蓄光材を示す
【図4】図3の一部(2θが31〜34°の範囲)を拡大して示した図であり、(a)は焼結法、(b)は本発明方法によって得た蓄光材を示す
【図5】蓄光材粒子のSEM写真であり、(a)は焼結法、(b)は本発明方法によって得た蓄光材を示す
【図6】蓄光材粒子の断面を示すSEM写真であり、(a)は焼結法、(b)は本発明方法によって得た蓄光材を示す
【図7】焼結法によって製造した蓄光材粒子の内部を高倍率で示したSEM写真
【図8】図8は本発明方法によって製造した蓄光材粒子(楕円球)の内部を高倍率で示したSEM写真
【図9】本発明方法によって製造した蓄光材粒子(完全球形)の母相でのEDSによる測定結果を示す図
【図10】(a)〜(e)は本発明方法によって製造した蓄光材粒子(完全球形)の内部をTEMで観察した明視野像と制限視野回折図形。
【図11】本発明方法によって得た蓄光材粒子のSr(Dy・Eu)2O4粒子の少ない領域からのTEM写真。
【図12】実施例2,3に係る蓄光材粒子の発光スペクトルと相対強度との関係を示すグラフ。
【図13】本発明方法によって得た蓄光材粒子と従来の焼結法で得た蓄光材粒子の残光時間と発光輝度との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1…冷却塔、2…筒体、3…直流電源、4…電極、5…原料送入口、6…担体ガス導入口、7…コイル電極、8…分級・捕塵器、9…パイプ、10…電気集塵器、P…プラズマ領域。
【発明の属する技術分野】
本発明は球形状蓄光材の製造方法と当該方法を用いて製造された球形状蓄光材に関する。ここで、球形状とは完全な球形のみでなく、角のない略球形あるいは角のない略楕円球も含む。
【0002】
【従来の技術】
太陽光等の光エネルギーの外部刺激を吸収し、可視光として一定時間、持続的に放出する一種のエネルギー貯蔵材料として蓄光材が、夜間表示用の標識に用いる蛍光塗料、蛍光インク、フィルムなどに広く用いられている。尚、蓄光体も蛍光体の一種であり、残光時間の長いものを一般に蓄光体(蓄光性蛍光体)と称して区別している。
【0003】
従来の蓄光材はCaS:Bi、CaSrS:Bi、ZnS:Cu、ZnCdS:Cuなどの硫化物系が主流であったが、これらは発光強度が弱く、残光時間が短く、化学的に不安定であるなどの問題があった。これを解消するものとして、アルカリ土類アルミネートMXAlYOZ(MはSr、Ca、Baなど)にEuとDyをドープした蓄光材が提案されている。(特許文献1)
この特許文献1には、原料をボールミルを用いて混合した後、混合物を電気炉を用いて窒素―水素混合ガス気流中で、1300℃、1時間かけて焼成し、その後室温まで約1時間かけて冷却する製造方法が開示されている。
【0004】
ここで、非特許文献1等に開示されるアルカリ土類アルミネートにEuとDyをドープした蓄光材の発光原理を図1に基づいて説明する。
蓄光材が紫外線(太陽光)の外部刺激を受けると、Eu2+の4f軌道の電子がエネルギーの高い準位へ励起(4f7→4f65d1)される。これと同時に4f軌道に正孔が生じ、紫外線を照射している間、一部の正孔は熱的にEu2+の価電子帯へ開放され、開放された一部の正孔はDy3+に捕獲される。そして紫外線による外部刺激を停止すると、Dy3+に捕獲された正孔はEu2+の価電子帯へ開放される。Dy3+から開放された正孔は、準安定状態で過剰の電子を持つEu2+のサイトへ移動し、Eu2+と再結合する。この再結合によって余分なエネルギーが放出(発光)され、捕獲された全ての正孔が消費されるまで発光が継続する。
このことから、Euは発光に関与し、Dyは残光現象に関与することが分る。
【0005】
発光現象が生じるには、Euがアルミン酸の結晶中に導入されて発光中心及び格子欠陥を形成することが必要である。一方、EuイオンにはEu2+とEu3 +が存在しEu2+のみが格子欠陥を形成することができるが、原料はEu2O3を用いるためEu3+をEu2+に還元する必要がある。
特許文献2では、上記の還元を効率よく行うために、AlCl3・6H2OをAlの原料とし、SrCl2・6H2OをSrの原料とし、BaCl2・2H2OをBaの原料とし、これら三種の塩化物の水溶液とアンモニウムイオン水溶液を80℃の水の中に入れ、冷却、ろ過、乾燥した後、分散させ、焼成、冷却した後、
Eu2O3、Dy2O3、Sb2O3、H3BO3及び(COOH)2H2Oを混入し湿式粉砕、分離、乾燥、粉砕し、粉砕物を坩堝に入れ、非酸化性雰囲気でEu3+をEu2+に還元して焼成する内容が開示されている。
【0006】
また、蓄光材を印刷インクや塗料に混ぜて使用する場合には、出来るだけ蓄光材粒子の径を小さくする必要がある。しかしながら、従来の方法では製造できる粒径に限度があり、このため製造後の蓄光材を機械的に粉砕して粒径を10μm程度まで小さくしている。ところが、粉砕を行うと微細な傷が結晶に生じ、この傷が活性化エネルギーを吸収するため、蓄光材粒子は粒径が小さくなると発光能力が低下することが非特許文献2に報告されている。
【0007】
更に、特許文献3には、市販のSrAl2O4:Eu系蓄光材を原料とし、この原料をアルゴンガスと酸素ガスの混合ガスをキャリヤとして高周波熱プラズマ中に供給し、原料を蒸発させた後に急冷して蓄光材の微粒子を得る方法が開示されている。
【0008】
【特許文献】
特許文献1:特許第2543825号公報 特許請求の範囲、段落0030
特許文献2:特許第3209724号公報 段落0014〜0016
特許文献3:特開平9−95671号公報 段落0034 段落0038
【0009】
【非特許文献】
非特許文献1:F.C.Palilla,A.K.Levine,and M.R.Tomkus J.Electrochem.Soc., 115(1968),642
非特許文献2:資源と素材(社団法人 資源・素材学会 1998 Vol.114)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1および特許文献2に記載されるように、従来にあっては、1200℃〜1600℃の範囲で長時間かけて行う固相反応、即ち焼結によって蓄光材を製造している。
しかしながら、焼結法によって製造した蓄光材は焼結中に相変態が起こり、結晶の粒界にSr(Dy・Eu)2O4が偏析し、その結果、発光に寄与するDy/Eu固溶量が減少し、発光強度、残光時間などの蓄光特性が劣ることになる。
【0011】
また、焼結法によって製造した蓄光材は蓄光材粒子自体が大きく且つ角が尖った多面体となっており、分級が正確に行えず、また塗料やインクに混ぜるには粉砕して微粒子にしなければならないが、前記したように粉砕すると蓄光特性が低下してしまう。
【0012】
更に、粉砕して粒径を小さくしても個々の粒子に角があると、蓄光材は粒子は高硬度であるため、例えば樹脂に混入して射出成形する際に、成形機を摩耗し寿命を大幅に短縮してしまう。
【0013】
一方、特許文献3に開示される方法は、焼結ではないが、キャリヤガスとしてアルゴンガスと酸素ガスの混合ガスを用いているので、Eu3+をEu2+に還元することができず、発光機能を発揮する格子欠陥を形成することができず、蓄光材としての特性を有さない。
【0014】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するため本発明に係る球形状蓄光材の製造方法は、焼結によって得られた蓄光材を粉末状とするか、原料を予備反応させて得られた蓄光材の前躯体を粉末状とし、得られた粉末状の蓄光材または前躯体を蓄光材の融点以上に還元雰囲気で加熱溶融し、次いで急冷するようにした。
このように加熱溶融した原料を空中でそのまま急冷すると表面張力で球形状をした微細な蓄光材粒子が得られる。
【0015】
加熱温度としては1700℃以上、好ましくは1800℃とし、900℃までの冷却速度は400℃/秒以上、好ましくは450℃/秒以上とする。
加熱手段としては、移行式または非移行式の直流プラズマアーク、高周波プラズマアーク、アーク放電などが考えられる。
時間をかけて焼結させると、母相中に固溶していたEu/Dyが拡散し、粒界などにSr(Dy・Eu)2O4を析出し、結果として発光に関与するEu/Dyの固溶量が減少してしまうが、本発明のように急冷することで、Eu/Dyの拡散が抑制され固溶量は減少せず、優れた発光特性が得られる。
【0016】
また、特に蓄光材の前躯体を溶融・急冷する場合としては、例えば、必須の原料としてAl2O3、SrCO3、SiO2、Eu2O3、Dy2O3、NiCO3を用い、任意の原料としてMgO、CaCO3、H3BO3を用い、これらを以下のモル配合比率で混合せしめたものを仮焼して蓄光材の前躯体とする。
SrCO3:Al2O3=1:0.1〜1.5
MgO:SiO2=1:0.8〜2.0
CaCO3:SiO2=1:0.5〜2.0
Eu2O3:Dy2O3=1:1.5〜3.0
SrCO3:Eu2O3=1:0.001〜0.02
SrCO3:SiO2=1:0.001〜2.0
SrCO3:NiCO3=1:0.0001〜0.1
SrCO3:H3BO3=1:0.0001〜0.3
【0017】
また、本発明方法によって製造される球形状蓄光材は、他の製造法によって得られた蓄光材と比較して、以下の如き特徴を持っている。
即ち、α−SrAl2O4を母結晶とする略球形若しくは略楕円球の粒子からなり、粒子の内部には空洞が存在し且つ粒子内に双晶が認められ、更に粒界にSr(Dy・Eu)2O4が偏析していない。尚、若干のSr(Dy・Eu)2O4が粒界などに認められるが、ボールミル後に行う仮焼の際に形成されたものと考えられる。
【0018】
また、本発明方法によって得られる球形状蓄光材を一般式で示すと下記の通りである。
(A1−Z − YDXEY)O・a(G1−ZHZ)2O3
式中、
Aはアルカリ土類金属のMg、Ca、Sr、Ba及び2価金属Znより選ばれた一種以上の元素。
Dは活性化剤(賦活剤)であるEu。
Eは共活性化剤(賦活剤)であるランタノイドのDy、Nd、Pr、Ho、Er、Tm、Yb、Lu及び遷移金属のNi、Mn、Zr、Nb、Ti、Sb、Li、Ge、In、Wの群より選ばれた一種以上の元素。
Oは酸素。
Gは母結晶体であるAl及びSiより選ばれた一種以上の元素。
Hは基質結晶体のB及びGaより選ばれた一種以上の元素。
また、
0.01≦x≦0.5
0.0001≦y≦0.3
0.0001≦z≦0.5
0.5≦a≦3.0
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の態様を添付図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る蓄光材の製造方法の実施に用いる装置の概略図であり、1は冷却塔であり、この冷却塔1の上部には筒体2が設けられ、この筒体2の上端開口には直流電源3につながる電極4が取り付けられ、この電極の下方にプラズマ領域Pが形成され、また筒体2の側面には原料送入口5及び担体ガス導入口6が設けられ、更に原料送入口5の下方を冷却水コイル7で囲まれる冷却領域としている。
【0020】
前記冷却塔1の下流側には3連の分級・捕塵器8が配置され、冷却塔1の下部と分級・捕塵器8の上部をパイプ9で連結し、更に分級・捕塵器8の下流側に電気集塵器10を配置している。そして、冷却塔1、分級・捕塵器8及び電気集塵器10の下端を蓄光材の採取口としている。
【0021】
以上の装置によって、蓄光材原料をプラズマ領域Pで過熱・溶融せしめ、このプラズマ領域Pを通過した溶融原料を直ちに冷却し、表面張力によって球形若しくは楕円球の蓄光材微粉末(0.1μm〜800μm)を得る。
【0022】
次に、具体的な実施例について述べる。
(実施例1)
純度99.99%以上のAl2O3、SrCO3、Eu2O3、Dy2O3、SiO2、NiCO3、H3BO3を(表1)に示す量となるように正確に秤量し、十分に混合した後、電気炉で1000℃〜1100℃の温度で焼結(仮焼)させ、得られた焼結物を粉砕して粉末状前躯体とした。この粉末状前躯体をプラズマ溶射により1800℃前後に過熱溶融せしめて瞬間的に合成し、900℃まで約2秒で急冷して粉末状蓄光材を得た。尚、プラズマ溶射の条件は、キャリアガスをAr/H2、電流値を600A、電圧値を60Vとした。
【0023】
【表1】
【0024】
上記した本発明方法で得られた蓄光材と比較するため、焼結法(従来法)によって製造した同一組成割合の蓄光材を用意した。粒子の形態や断面組織は操作型顕微鏡(SEM)を用いて観察した。粒子の化学組成の分析にはエネルギー分散型X線分光法(EDS)を用いた。粒子の相はCu−Kα線を用いて粉末試料から得られたX線回折図形より同定した。透過型電子顕微鏡(TEM)用試料は、粒子を樹脂と固め、3mmディスクに打ち抜き、約20μm厚まで機械研磨した後、イオンスパッタを用いて作製し、この試料をJEM2010HC(日本電子製)を用いて観察した。
【0025】
図3はX線回折の結果を示す図であり、(a)は焼結法、(b)は本発明方法によって得た蓄光材を示す。また図4は図3の一部(2θが31〜34°の範囲)を拡大して示した図であり、(a)は焼結法、(b)は本発明方法によって得た蓄光材を示す。
図3から、何れの製造方法によっても蓄光材の母相はSrAl2O4の組成を持つ単斜晶のα相であった。但し、焼結法による場合には2θ=25.4°付近にα−Al2O3の101(―)2からの強い強度の回折線が得られた。また焼結法による場合には2θ=20.9°付近にフラックスとして添加したSiO2の回折線も検出された。
特に図4に示すように、2θ=30〜34°における回折線は両者は大きく異なり、本発明方法による場合にはこの範囲において回折線が検出されないが、焼結法による場合にはα−SrAl2O4、Eu2O3、Dy2O3、SrEu2O3、DyEu2O3からの回折線が検出された。このことから焼結法による場合にはEu及びDy原子が母相中に完全に固溶しておらず、本発明方法に比べて多量にSr(Dy・Eu)2O4が焼結中に多量に析出していることを示唆している。
【0026】
図5は蓄光材粒子のSEM写真であり、(a)は焼結法、(b)は本発明方法によって得た蓄光材を示す。
この写真から焼結法による場合には、粒子は不均一で角が尖った多面体形状であるのに対し、本発明法にて製造した蓄光材粒子は直径40〜70μmの球形であり、若干であるが完全な球形から形の崩れた楕円球が混ざっていることが観察される。
【0027】
図6は蓄光材粒子の断面を示すSEM写真であり、(a)は焼結法、(b)は本発明方法によって得た蓄光材を示す。
焼結法で製造した蓄光材粒子は多結晶から構成され、粒子の内部及び粒界には母相と異なる白いコントラストを呈する析出粒子が多量に分布している。一方、本発明方法により製造した蓄光材粒子は白いコントラストを呈する析出粒子の量は非常に少なく、特に完全な球形に近い粒子には殆んど析出粒子は観察されない。 また、本発明方法によって製造した粒子の内部には大きな空洞を有するものが多く観察される。この空洞によってEu及びDy原子の固溶量が多くなると推定される。
【0028】
図7は焼結法によって製造した蓄光材粒子の内部を高倍率で示したSEM写真である。この写真から、白い析出粒子はファセットに囲まれており、母相と特定の結晶方位関係を持って析出したと考えられる。白い析出粒子はAlを含有せず、Sr、Eu及びDyから構成されることが確認された。前記図3,4のX線回折の結果と併せると、白い析出粒子はSr(Dy・Eu)2O4であると考えられる。Sr(Dy・Eu)2O4が析出することで、母相中のEu/Dyの固溶量は仕込み組成と比較して減少するはずである。そこで母相中の組成を測定したところ、Al、Sr、Eu及びDyの全ての元素が検出され、Eu及びDyの固溶量はそれぞれ0.9%、1.3%であった。
【0029】
図8は本発明方法によって製造した蓄光材粒子(楕円球)の内部を高倍率で示したSEM写真である。楕円球を選択したのは完全な球形の粒子の内部には白い析出粒子が殆んど観察されないからである。測定の結果は、白い析出粒子と母相における組成分析は焼結法による場合と同じ結果となった。
【0030】
図9は本発明方法によって製造した蓄光材粒子(完全球形)の母相でのEDSによる測定結果を示すものであり、母相中にはAl、Sr、Eu及びDyの全ての元素が検出され、特にEu及びDyの固溶量は楕円球の場合に比べて1.5〜2倍ほど多く検出された。
【0031】
図10は本発明方法によって製造した蓄光材粒子(完全球形)の内部をTEMで観察した明視野像と制限視野回折図形を示す。
球形の蓄光材粒子は、約200nmの幅を持つ細長い結晶が特定方向に配列した多結晶より構成されている。これら結晶粒は図10(c)および(d)に示した電子線回折図形を解析することにより、α−SrAl2O4相として同定された。α−SrAl2O4相の結晶粒界に沿って第2相が析出しており、図10(e)の回折図形の解析よりこれら第2相はSr(Dy・Eu)2O4相として同定された。
焼結法によるα−SrAl2O4相の内部にもSr(Dy・Eu)2O4が観察されたが、α−SrAl2O4粒界に析出したSr(Dy・Eu)2O4粒子は本発明方法によって製造した蓄光材粒子に検出されるものと比べかなり大きかった。このことから、焼結法による場合には多量のDyおよびEuが粒界に析出することを示唆している。
【0032】
図11はSr(Dy・Eu)2O4粒子の少ない領域からのTEM観察の結果であり、(a)は本発明方法、(b)は焼結法によって得た蓄光材の明視野像であり、(c)は(a)からの制限視野回折図形である。本発明方法と焼結法による違いを比較するため、いずれも[001]方向から観察した。
図11(a)から本発明方法によって得た蓄光材粒子の内部には微細な双晶が多量に観察された。これは高温化らの急冷によってβ相からα相にマルテンサイト的に変態するとき、格子変形による歪を緩和するため導入されたと考えられる。一方、焼結法によって得た蓄光材粒子の内部にも双晶は観察されるが、その量はかなり少ない。これはβ相からα相への変態がMs点(ルテンサイト開始温度)までは拡散的に起こり,その後Ms点以下で未変態のβ相がα相にマルテンサイト的に変態するためと考えられ、またSr(Dy・Eu)2O4の析出によるDy及びEuの減少によってβ相が不安定になるためと考えられる。
【0033】
(実施例2)
純度99.99%以上のAl2O3、SrCO3、MgO、Eu2O3、Dy2O3、SiO2、NiCO3、H3BO3を(表2)に示す量となるように正確に秤量し、十分に混合した後、電気炉で1000℃〜1100℃の温度で焼結(仮焼)させ、得られた焼結物を粉砕して粉末状前躯体とした。この粉末状前躯体をプラズマ溶射により1800℃前後に過熱溶融せしめて瞬間的に合成し、900℃まで約2秒で急冷して粉末状蓄光材を得た。尚、プラズマ溶射の条件は、(実施例1)と同様にした。
その結果、図12に示すように、発光スペクトルが420〜440nmのブルー発光の粉末状蓄光材が得られた。
【0034】
【表2】
【0035】
(実施例3)
純度99.99%以上のAl2O3、CaCO3、SrCO3、Eu2O3、Dy2O3、SiO2、NiCO3、H3BO3を(表3)に示す量となるように正確に秤量し、十分に混合した後、電気炉で1000℃〜1100℃の温度で焼結(仮焼)させ、得られた焼結物を粉砕して粉末状前躯体とした。この粉末状前躯体をプラズマ溶射により1800℃前後に過熱溶融せしめて瞬間的に合成し、900℃まで約2秒で急冷して粉末状蓄光材を得た。尚、プラズマ溶射の条件は、(実施例1)と同様にした。
その結果、図12に示すように、発光スペクトルが500〜520nmのグリーン発光の粉末状蓄光材が得られた。
【0036】
【表3】
【0037】
また,図13は本発明方法によって得た蓄光材粒子と従来の焼結法で得た蓄光材粒子の残光時間と発光輝度(対数目盛)との関係を示すグラフであり、従来法に比べ本発明方法で得た蓄光材粒子が蓄光特性において優れることが分る。
【0038】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明に係る製造方法によれば、短時間で蓄光でき、初期輝度及び発光強度が高く且つ残光時間が長い蓄光材を得ることができる。
また、本発明方法によって得られる蓄光材の粒子は球形若しくはこれに近い角のない形状をしているため、分級が正確に行え、分散性に優れ、樹脂などに混入して射出成形する場合に成形機を摩耗するなどの不利が生じない。
また、本発明方法によれば極めて粒径の小さな蓄光材を粉砕することなく得ることができるので、蛍光インク、蛍光塗料、蛍光プラスチック、蛍光ガラス、蛍光布などに好適に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】蓄光材の発光原理を説明した図
【図2】本発明に係る蓄光材の製造方法の実施に用いる装置の概略図
【図3】X線回折の結果を示す図であり、(a)は焼結法、(b)は本発明方法によって得た蓄光材を示す
【図4】図3の一部(2θが31〜34°の範囲)を拡大して示した図であり、(a)は焼結法、(b)は本発明方法によって得た蓄光材を示す
【図5】蓄光材粒子のSEM写真であり、(a)は焼結法、(b)は本発明方法によって得た蓄光材を示す
【図6】蓄光材粒子の断面を示すSEM写真であり、(a)は焼結法、(b)は本発明方法によって得た蓄光材を示す
【図7】焼結法によって製造した蓄光材粒子の内部を高倍率で示したSEM写真
【図8】図8は本発明方法によって製造した蓄光材粒子(楕円球)の内部を高倍率で示したSEM写真
【図9】本発明方法によって製造した蓄光材粒子(完全球形)の母相でのEDSによる測定結果を示す図
【図10】(a)〜(e)は本発明方法によって製造した蓄光材粒子(完全球形)の内部をTEMで観察した明視野像と制限視野回折図形。
【図11】本発明方法によって得た蓄光材粒子のSr(Dy・Eu)2O4粒子の少ない領域からのTEM写真。
【図12】実施例2,3に係る蓄光材粒子の発光スペクトルと相対強度との関係を示すグラフ。
【図13】本発明方法によって得た蓄光材粒子と従来の焼結法で得た蓄光材粒子の残光時間と発光輝度との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1…冷却塔、2…筒体、3…直流電源、4…電極、5…原料送入口、6…担体ガス導入口、7…コイル電極、8…分級・捕塵器、9…パイプ、10…電気集塵器、P…プラズマ領域。
Claims (6)
- 焼結によって得られた蓄光材を粉末状とし、または原料を予備反応させて得られた蓄光材の前躯体を粉末状とし、得られた粉末状の蓄光材または前躯体を蓄光材の融点以上に還元雰囲気で加熱溶融し、次いで急冷することを特徴とする球形状蓄光材の製造方法。
- 請求項1に記載の球形状蓄光材の製造方法において、前記加熱温度を1700℃以上とし、900℃までの冷却速度を400℃/秒以上とすることを特徴とする球形状蓄光材の製造方法。
- 請求項1に記載の球形状蓄光材の製造方法において、前記加熱溶融から急冷までの工程はプラズマ領域を通過することで連続的に行うことを特徴とする球形状蓄光材の製造方法。
- 請求項1に記載の球形状蓄光材の製造方法において、必須の原料としてAl2O3、SrCO3、SiO2、Eu2O3、Dy2O3、NiCO3を用い、任意の原料としてMgO、CaCO3、H3BO3を用い、これらを以下のモル配合比率で混合せしめたものを仮焼して蓄光材の前躯体とすることを特徴とする球形状蓄光材の製造方法。
SrCO3:Al2O3=1:0.1〜1.5
MgO:SiO2=1:0.8〜2.0
CaCO3:SiO2=1:0.5〜2.0
Eu2O3:Dy2O3=1:1.5〜3.0
SrCO3:Eu2O3=1:0.001〜0.02
SrCO3:SiO2=1:0.001〜2.0
SrCO3:NiCO3=1:0.0001〜0.1
SrCO3:H3BO3=1:0.0001〜0.3 - アルカリ土類金属のアルミンケイ酸塩からなる蓄光材において、この蓄光材はα−SrAl2O4を母結晶とする球形若しくは楕円球の粒子からなり、粒子の内部には空洞が存在し且つ粒子内に双晶が認められ、更に粒界にSr(Dy・Eu)2O4が偏析していないことを特徴とする球形状蓄光材。
- アルカリ土類金属のアルミンケイ酸塩からなる蓄光材において、この蓄光材は球形状をなし、下記の一般式で示されることを特徴とする球形状蓄光材。
(A1−Z − YDXEY)O・a(G1−ZHZ)2O3
式中、
Aはアルカリ土類金属のMg、Ca、Sr、Ba及び2価金属Znより選ばれた一種以上の元素。
Dは活性化剤(賦活剤)であるEu。
Eは共活性化剤(賦活剤)であるランタノイドのDy、Nd、Pr、Ho、Er、Tm、Yb、Lu及び遷移金属のNi、Mn、Zr、Nb、Ti、Sb、Li、Ge、In、Wの群より選ばれた一種以上の元素。
Oは酸素。
Gは母結晶体であるAl及びSiより選ばれた一種以上の元素。
Hは基質結晶体のB及びGaより選ばれた一種以上の元素。
また、
0.01≦x≦0.5
0.0001≦y≦0.3
0.0001≦z≦0.5
0.5≦a≦3.0
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003119535A JP2004323656A (ja) | 2003-04-24 | 2003-04-24 | 球形状蓄光材の製造方法および球形状蓄光材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003119535A JP2004323656A (ja) | 2003-04-24 | 2003-04-24 | 球形状蓄光材の製造方法および球形状蓄光材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004323656A true JP2004323656A (ja) | 2004-11-18 |
Family
ID=33498733
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003119535A Pending JP2004323656A (ja) | 2003-04-24 | 2003-04-24 | 球形状蓄光材の製造方法および球形状蓄光材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004323656A (ja) |
Cited By (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006206618A (ja) * | 2005-01-25 | 2006-08-10 | Tohoku Univ | 蓄光体の製造方法及び蓄光体 |
JP2007262154A (ja) * | 2006-03-27 | 2007-10-11 | Toyoda Gosei Co Ltd | フェラスメタルアルカリ土類金属ケイ酸塩混合結晶蛍光体およびこれを用いた発光装置 |
WO2009017206A1 (ja) * | 2007-08-01 | 2009-02-05 | Mitsubishi Chemical Corporation | 蛍光体及びその製造方法、結晶性窒化珪素及びその製造方法、蛍光体含有組成物、並びに、該蛍光体を用いた発光装置、画像表示装置及び照明装置 |
JP2009286927A (ja) * | 2008-05-30 | 2009-12-10 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | 応力発光体、その製造方法、それを用いた複合材料及びレベルセンサー |
KR101180299B1 (ko) | 2010-05-10 | 2012-09-11 | 장상무 | 폐자재를 이용한 야광도료 제조방법 |
JP5362133B1 (ja) * | 2013-02-12 | 2013-12-11 | 株式会社金星 | 球形状蓄光材の製造方法及びプラズマトーチ |
KR101425674B1 (ko) | 2013-01-03 | 2014-08-04 | 한국유지관리 주식회사 | 구조물 상태 감지용 센싱 필름 제조방법 및 이에 의해 제조된 센싱 필름 |
US8932486B2 (en) | 2011-04-07 | 2015-01-13 | Performance Indicator, Llc | Persistent phosphors of alkaline earths modified by halides and 3d ions |
JP2015067799A (ja) * | 2013-09-30 | 2015-04-13 | 堺化学工業株式会社 | 応力発光材料用原料組成物、応力発光材料、及びその応用 |
WO2018135106A1 (ja) * | 2017-01-19 | 2018-07-26 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 | 応力発光材料及び同応力発光材料を含有する塗料、応力発光体並びに応力発光材料の製造方法 |
JP2020100734A (ja) * | 2018-12-21 | 2020-07-02 | 堺化学工業株式会社 | 蓄光材料及び蓄光材料の製造方法 |
JP2020158624A (ja) * | 2019-03-26 | 2020-10-01 | 太平洋セメント株式会社 | 蓄光微粒子粉末およびその製造方法 |
-
2003
- 2003-04-24 JP JP2003119535A patent/JP2004323656A/ja active Pending
Cited By (19)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006206618A (ja) * | 2005-01-25 | 2006-08-10 | Tohoku Univ | 蓄光体の製造方法及び蓄光体 |
JP4581086B2 (ja) * | 2005-01-25 | 2010-11-17 | 国立大学法人東北大学 | 蓄光体の製造方法 |
JP2007262154A (ja) * | 2006-03-27 | 2007-10-11 | Toyoda Gosei Co Ltd | フェラスメタルアルカリ土類金属ケイ酸塩混合結晶蛍光体およびこれを用いた発光装置 |
WO2009017206A1 (ja) * | 2007-08-01 | 2009-02-05 | Mitsubishi Chemical Corporation | 蛍光体及びその製造方法、結晶性窒化珪素及びその製造方法、蛍光体含有組成物、並びに、該蛍光体を用いた発光装置、画像表示装置及び照明装置 |
JP2009263610A (ja) * | 2007-08-01 | 2009-11-12 | Mitsubishi Chemicals Corp | 蛍光体及びその製造方法、結晶性窒化珪素及びその製造方法、蛍光体含有組成物、並びに、該蛍光体を用いた発光装置、画像表示装置及び照明装置 |
JP2009286927A (ja) * | 2008-05-30 | 2009-12-10 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | 応力発光体、その製造方法、それを用いた複合材料及びレベルセンサー |
KR101180299B1 (ko) | 2010-05-10 | 2012-09-11 | 장상무 | 폐자재를 이용한 야광도료 제조방법 |
US8932486B2 (en) | 2011-04-07 | 2015-01-13 | Performance Indicator, Llc | Persistent phosphors of alkaline earths modified by halides and 3d ions |
KR101425674B1 (ko) | 2013-01-03 | 2014-08-04 | 한국유지관리 주식회사 | 구조물 상태 감지용 센싱 필름 제조방법 및 이에 의해 제조된 센싱 필름 |
JP2014152282A (ja) * | 2013-02-12 | 2014-08-25 | Kinboshi Inc | 球形状蓄光材の製造方法及びプラズマトーチ |
JP5362133B1 (ja) * | 2013-02-12 | 2013-12-11 | 株式会社金星 | 球形状蓄光材の製造方法及びプラズマトーチ |
JP2015067799A (ja) * | 2013-09-30 | 2015-04-13 | 堺化学工業株式会社 | 応力発光材料用原料組成物、応力発光材料、及びその応用 |
WO2018135106A1 (ja) * | 2017-01-19 | 2018-07-26 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 | 応力発光材料及び同応力発光材料を含有する塗料、応力発光体並びに応力発光材料の製造方法 |
JPWO2018135106A1 (ja) * | 2017-01-19 | 2019-11-07 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 | 応力発光材料及び同応力発光材料を含有する塗料、応力発光体並びに応力発光材料の製造方法 |
US11225603B2 (en) | 2017-01-19 | 2022-01-18 | National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology | Mechanoluminescent material, coating containing mechanoluminescent material, mechanoluminescent substance and method for producing mechanoluminescent material |
JP2020100734A (ja) * | 2018-12-21 | 2020-07-02 | 堺化学工業株式会社 | 蓄光材料及び蓄光材料の製造方法 |
JP7286962B2 (ja) | 2018-12-21 | 2023-06-06 | 堺化学工業株式会社 | 蓄光材料及び蓄光材料の製造方法 |
JP2020158624A (ja) * | 2019-03-26 | 2020-10-01 | 太平洋セメント株式会社 | 蓄光微粒子粉末およびその製造方法 |
JP7164787B2 (ja) | 2019-03-26 | 2022-11-02 | 太平洋セメント株式会社 | 蓄光微粒子粉末およびその製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4362625B2 (ja) | 蛍光体の製造方法 | |
US9062251B2 (en) | Phosphor particles, light-emitting diode, and illuminating device and liquid crystal panel backlight device using them | |
KR20100128336A (ko) | 금속 규소 질화물 또는 금속 규소 산질화물 서브미크론 인광체 입자 및 이들 인광체의 합성 방법 | |
Wei et al. | Synthesis and size dependent luminescent properties of hexagonal (Y, Gd) BO 3∶ Eu nanocrystals | |
Kshatri et al. | Comparative study of optical and structural properties of micro-and nanocrystalline SrAl2O4: Eu2+, Dy3+ phosphors | |
Mindru et al. | Tb3+-doped alkaline-earth aluminates: Synthesis, characterization and optical properties | |
Liu et al. | Structural and luminescent properties of gel-combustion synthesized green-emitting Ca3Sc2Si3O12: Ce3+ phosphor for solid-state lighting | |
JP2004323656A (ja) | 球形状蓄光材の製造方法および球形状蓄光材 | |
TWI538983B (zh) | Yttrium cerium aluminum garnet phosphors and light emitting devices | |
JP2007113019A (ja) | 蛍光体の製造方法 | |
Lian et al. | Controllable hydrothermal synthesis and morphology evolution of Zn4B6O13: Tb/Eu phosphors with tunable luminescent properties | |
JP4124056B2 (ja) | 蛍光体粉末の製造方法 | |
Seo et al. | Structural and luminescent properties of blue-emitting Sr2CeO4 phosphors by high-energy ball milling method | |
Lingling et al. | Spectroscopic properties of Gd2O3: Dy3+ nanocrystals | |
Rao et al. | Investigation of structural and luminescence properties of BaMgAl10O17: Eu2+ phosphor synthesized using auto combustion method | |
Chung et al. | The dependence of temperature synthesis of GdVO4: Eu3+ nanoparticle phosphors by solvothermal method | |
Mahman et al. | Effect of Eu3+ Concentration on the BaAl2O4/CaAl4O7: x% Eu3+ (0≤ x≤ 5.5) Mixed-Phase Nanophosphors Synthesized Using Citrate Sol-Gel Method | |
Yang et al. | Photoluminescence investigations of YAG: Eu nanocomposite powder by high-energy ball milling | |
WO2005103197A1 (ja) | アルミン酸ストロンチウム系蓄光材料及びその製造方法 | |
Xiangzhong et al. | Red emitting phosphor (Y, Gd) BO3: Eu3+ for PDP prepared by complex method | |
JP2006199876A (ja) | 窒化アルミニウム系蛍光体 | |
Zhang et al. | Synthesis, luminescence, and effect of heat treatment on the properties of Y 3 Al 5 O 12: Ce phosphor | |
Yang et al. | Synthesis and luminescence properties behavior of Eu3+-doped nanocrystalline and bulk GdVO4 phosphors by high-energy ball milling and solid state reaction | |
Cho | Synthesis and characterization of Mg 2 SiO 4: Tb 3+, Eu 3+ phosphors for white light generation | |
JP4829524B2 (ja) | アルミン酸ストロンチウム系蓄光材料及びその製造方法 |