JP2020100734A - 蓄光材料及び蓄光材料の製造方法 - Google Patents

蓄光材料及び蓄光材料の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2020100734A
JP2020100734A JP2018239850A JP2018239850A JP2020100734A JP 2020100734 A JP2020100734 A JP 2020100734A JP 2018239850 A JP2018239850 A JP 2018239850A JP 2018239850 A JP2018239850 A JP 2018239850A JP 2020100734 A JP2020100734 A JP 2020100734A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phosphorescent material
light
metal element
rare earth
particles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018239850A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7286962B2 (ja
Inventor
桃子 石川
Momoko Ishikawa
桃子 石川
森 健治
Kenji Mori
健治 森
諒太 江副
Ryota Ezoe
諒太 江副
寿夫 小泉
Toshio Koizumi
寿夫 小泉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sakai Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Sakai Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sakai Chemical Industry Co Ltd filed Critical Sakai Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP2018239850A priority Critical patent/JP7286962B2/ja
Publication of JP2020100734A publication Critical patent/JP2020100734A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7286962B2 publication Critical patent/JP7286962B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Luminescent Compositions (AREA)

Abstract

【課題】従来の蓄光材料に比べて蓄光材料粒子内部の空孔が少なく、光透過性に優れ、かつ残光特性にも優れた蓄光材料を提供する。【解決手段】アルカリ土類金属元素及び希土類元素を必須成分として含む蓄光材料であって、該蓄光材料は、ホウ素元素の含有量がアルカリ土類金属元素、アルカリ金属元素及び希土類元素の合計モル数に対して10〜25mol%であり、かつ、平均粒子径が100μm以上であって、該蓄光材料の粒子10個当たりの粒子内部の空孔の平均数が10個以下であることを特徴とする蓄光材料。【選択図】図8

Description

本発明は、蓄光材料及び蓄光材料の製造方法に関する。
蓄光材料は、照射された光のエネルギーを蓄えて、光照射を止めた後も発光する性質を有する材料である。蓄光材料は、時計の文字盤やキーホルダー等の日用品の他、地下施設での避難誘導板や安全標識等の材料として使用されている。
現在、主に使用されている蓄光材料はアルミン酸ストロンチウムに希土類イオンをドープした蓄光材料であり、この蓄光材料についてはりん光輝度を向上させるための検討等が行われている(特許文献1参照)。しかし、この蓄光材料には耐水性が良くないという欠点があるため、安全標識等の水分に触れる可能性のある用途に適用する場合は、ガラス複合体や樹脂シートとして使用されることが多い。蓄光材料が高いりん光輝度を得るためには蓄光材料の残光特性を高めることが重要であるが、ガラス複合体や樹脂シートの場合にはその他の要因も影響する。例えば、樹脂シートの場合、蓄光材料の屈折率は1.67近傍であるのに対し、樹脂シートに一般的に使用されている樹脂(アクリル樹脂)は屈折率が1.49〜1.53と低く、この屈折率の差が光透過性を低下させ、その結果、りん光輝度を低下させることになる。このため、蓄光材料を含むガラス複合体や樹脂シートにおいて高いりん光輝度を得るためには光透過性に優れることが重要であり、複合体等の光透過性を向上させる研究も進められている。例えば、ガラス複合体では光透過性を向上させるため、ガラス組成の改良やガラス部分の気泡を低減する方法(特許文献2参照)が提案されている。
更に、ガラス複合体や樹脂シートの光透過性を阻害する要因が蓄光材料自身にもあり、蓄光材料粒子内部に存在する多数の空孔により光の散乱や吸収が生じ、それらが光透過性を低下させる要因の1つであることが報告されている(非特許文献1参照)。
特許第5780573号公報 特開2016−102051号公報
平成26年度戦略的基盤技術高度化支援事業「無電力で発光する蓄光陶磁器の高輝度化を目的とした釉薬塗布技術の高度化研究」研究開発報告書 コドモエナジー社
上述のとおり、蓄光材料粒子内部に存在する多数の空孔は光透過性を低下させる要因の1つである。蓄光材料粒子の粒径を小さくすれば空孔の少ない粒子とすることは困難ではないが、粒径を小さくすると残光特性が低下してしまう。このため、粒径を小さくせずに空孔の少ない粒子とすることが必要となるが、そのような蓄光材料を得る方法について十分に検討されているとはいえないのが現状である。
本発明は、上記現状に鑑み、従来の蓄光材料に比べて蓄光材料粒子内部の空孔が少なく、光透過性に優れ、かつ残光特性にも優れた蓄光材料を提供することを目的とする。本発明はまた、そのような蓄光材料の最適な製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、従来の蓄光材料に比べて蓄光材料粒子内部の空孔が少なく、光透過性に優れ、かつ残光特性にも優れた蓄光材料について検討し、ホウ素元素の含有量がアルカリ土類金属元素、アルカリ金属元素及び希土類元素の合計モル数に対して10〜25mol%となる割合でアルカリ土類金属化合物、希土類化合物、及び、ホウ素化合物を含む原料を乾式混合する工程と、該乾式混合工程で得られた混合物を還元雰囲気下、1500℃以上で焼成する工程とを含む製造方法で蓄光材料を製造すると、平均粒子径が100μm以上であって、かつ、粒子10個当たりの粒子内部の空孔の平均数が10個以下の、光透過性及び残光特性に優れた蓄光材料を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、アルカリ土類金属元素及び希土類元素を必須成分として含む蓄光材料であって、該蓄光材料は、ホウ素元素の含有量がアルカリ土類金属元素、アルカリ金属元素及び希土類元素の合計モル数に対して10〜25mol%であり、かつ、平均粒子径が100μm以上であって、該蓄光材料の粒子10個当たりの粒子内部の空孔の平均数が10個以下であることを特徴とする蓄光材料である。
上記蓄光材料を屈折率1.65の屈折液に浸漬させた蓄光材料の分散液の波長550nmの光の透過率が60%以上であることが好ましい。
本発明はまた、アルカリ土類金属元素及び希土類元素を必須成分として含む蓄光材料を製造する方法であって、該製造方法は、ホウ素元素の含有量がアルカリ土類金属元素、アルカリ金属元素及び希土類元素の合計モル数に対して10〜25mol%となる割合でアルカリ土類金属化合物、希土類化合物、及び、ホウ素化合物を含む原料を乾式混合する工程と、該乾式混合工程で得られた混合物を還元雰囲気下、1500℃以上で焼成する工程とを含むことを特徴とする蓄光材料の製造方法でもある。
上記乾式混合工程後の材料の全粒子の粒度分布から算出されるD50が2.0〜3.5μmであることが好ましい。
本発明の蓄光材料は、蓄光材料粒子内部の空孔が少なく、光透過性及び残光特性に優れることから、ガラスや樹脂と組み合わせたガラス複合体や樹脂シート等の形態で好適に用いることができる。また本発明の蓄光材料の製造方法は、このような光透過性及び残光特性に優れる蓄光材料の好適な製造方法である。
実施例1で製造した蓄光材料Aの粒子表面の電子顕微鏡観察写真(1−1)、(1−2)、粒子断面の電子顕微鏡観察写真(1−3)、(1−4)及び光学顕微鏡での透明性評価結果(1−5)を示した図である。 実施例2で製造した蓄光材料Bの粒子表面の電子顕微鏡観察写真(2−1)、(2−2)、粒子断面の電子顕微鏡観察写真(2−3)、(2−4)及び光学顕微鏡での透明性評価結果(2−5)を示した図である。 実施例3で製造した蓄光材料Cの粒子表面の電子顕微鏡観察写真(3−1)、(3−2)、粒子断面の電子顕微鏡観察写真(3−3)、(3−4)及び光学顕微鏡での透明性評価結果(3−5)を示した図である。 実施例4で製造した蓄光材料Dの粒子表面の電子顕微鏡観察写真(4−1)、(4−2)、粒子断面の電子顕微鏡観察写真(4−3)、(4−4)及び光学顕微鏡での透明性評価結果(4−5)を示した図である。 比較例1で製造した蓄光材料aの粒子表面の電子顕微鏡観察写真(5−1)、(5−2)、粒子断面の電子顕微鏡観察写真(5−3)、(5−4)及び光学顕微鏡での透明性評価結果(5−5)を示した図である。 比較例2で製造した蓄光材料bの粒子表面の電子顕微鏡観察写真(6−1)、(6−2)、粒子断面の電子顕微鏡観察写真(6−3)、(6−4)及び光学顕微鏡での透明性評価結果(6−5)を示した図である。 比較例3で製造した蓄光材料cの粒子表面の電子顕微鏡観察写真(7−1)、(7−2)、粒子断面の電子顕微鏡観察写真(7−3)、(7−4)及び光学顕微鏡での透明性評価結果(7−5)を示した図である。 実施例1、2及び比較例1、2で製造した蓄光材料の全光線透過率測定結果を示した図である。 実施例1で製造した蓄光材料Aの粉末X線回折パターンを示した図である。
以下、本発明の好ましい形態について具体的に説明するが、本発明は以下の記載のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
1.蓄光材料
本発明の蓄光材料は、アルカリ土類金属元素及び希土類元素を必須成分として含み、ホウ素元素の含有量がアルカリ土類金属元素、アルカリ金属元素及び希土類元素の合計モル数に対して10〜25mol%であり、かつ、平均粒子径が100μm以上であって、該蓄光材料の粒子10個当たりの粒子内部の空孔の平均数が10個以下である。このような特徴を有することで、光透過性及び残光特性に優れる。
なお、本発明でいう蓄光材料とは、励起源を遮断しても発光し続け、発光寿命が秒単位である材料をいい、励起源によって励起されているときのみ発光し、励起源遮断後の発光寿命が短いもしくはほぼない(長くてミリ秒単位である)蛍光材料とはこの点で区別される。
本発明の蓄光材料は平均粒子径が100μm以上であるため、りん光輝度に優れる。りん光輝度は粒径が大きいほど高い傾向があるため、蓄光材料は平均粒子径は、120μm以上であることが好ましく、より好ましくは、150μm以上である。また平均粒子径が大きすぎると空孔が多くなりやすいため、蓄光材料の平均粒子径は、300μm以下であることが好ましい。より好ましくは、250μm以下である。
蓄光材料の平均粒子径は、後述の実施例に記載の粒度分布測定方法により測定することができる。
本発明の蓄光材料は、蓄光材料の粒子10個当たりの粒子内部の空孔の平均数が10個以下であり、これにより光の散乱や吸収が抑制され、光透過性に優れる。蓄光材料の粒子10個当たりの粒子内部の空孔の平均数は、8個以下であることが好ましい。より好ましくは、6個以下である。
なお、本発明において空孔とは、粒子中に存在する直径が0.1μm以上の空洞を意味し、粒子表面に現れているもの、粒子内部に存在し、外部からは確認できないもののいずれも含む。
本発明における蓄光材料の粒子内部の空孔の平均数は、後述の実施例に記載の粒度分布測定方法により測定することができる。
本発明の蓄光材料は、アルカリ土類金属元素及び希土類元素を必須成分として含む。
本発明の蓄光材料が含むアルカリ土類金属元素としては、特に限定されないが、Be、Mg、Ca、Sr、及びBaから選択される1種以上の元素が挙げられる。中でもCa、Sr、及びBaから選択される1種以上の元素が好ましい。
本発明の蓄光材料が含む希土類元素としては、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等から選択される1種以上の元素が挙げられる。中でもCe、Nd、Eu、Dy、Ho、及びErから選択される1種以上の元素がより好ましく、更に好ましくは、Euである。これはEuが材料の発光中心として強く作用する元素だからである。また、Eu発光中心に対して、Dy、Ho、Ce、Nd、Erといった希土類元素を添加すると残光時間を長くする作用があるため、ドープする元素の組み合わせや量は蓄光性という観点では重要である。
本発明の蓄光材料における各希土類元素の含有量は、蓄光材料が含むアルカリ土類金属元素、アルカリ金属元素及び希土類元素の合計モル数に対して、0.1〜3.0mol%であることが好ましい。希土類元素の含有量がこのような範囲であると、蓄光材料が残光特性により優れたものとなる。各希土類元素の含有量は、より好ましくは、蓄光材料が含むアルカリ土類金属元素、アルカリ金属元素及び希土類元素の合計モル数に対して、0.5〜2.0mol%であり、更に好ましくは、0.8〜1.5mol%である。
本発明の蓄光材料は、ホウ素元素の含有量がアルカリ土類金属元素、アルカリ金属元素及び希土類元素の合計モル数に対して10〜25mol%である。
ホウ素は、原料を混合し、焼成工程を経て蓄光材料を製造する際の反応助剤として機能する成分であり、このような割合で含むことで、蓄光材料の合成において十分に反応が進行し、得られる蓄光材料が、残光特性に優れたものとなるとともに、得られる蓄光材料が空孔の少ない粉体となる。
ホウ素元素の含有量は、アルカリ土類金属元素、アルカリ金属元素及び希土類元素の合計モル数に対して15〜25mol%であることが好ましい。より好ましくは、15〜20mol%である。
本発明の蓄光材料は、アルカリ金属元素を含むことが好ましい。アルカリ金属元素を含むことで、得られる蓄光材料が残光特性により優れたものとなる。アルカリ金属元素としては、Li、Na、K、Rb、Cs及びFrから選択される1種以上の元素が挙げられ、これらの中でもLi、Na、及びKから選択される少なくとも1種の元素が好ましい。
本発明の蓄光材料におけるアルカリ金属元素の含有量は、蓄光材料が含むアルカリ土類金属元素、アルカリ金属元素及び希土類元素の合計モル数に対して、0.1〜3.0mol%であることが好ましい。より好ましくは、0.1〜2.0mol%であり、更に好ましくは、0.1〜1.0mol%である。
本発明の蓄光材料は、ホウ素元素以外の第13族元素を含むことが好ましい。ホウ素元素以外の第13族元素としては、Al、Ga、In、Tlから選択される1種以上の元素が挙げられ、これらの中でもAlが好ましい。
ホウ素元素以外の第13族元素の含有量は、ホウ素元素以外の第13族元素のモル数を、蓄光材料が含むアルカリ土類金属元素、アルカリ金属元素及び希土類元素の合計モル数で除した値が1.88を超えて、2.00未満となる量であることが好ましい。このような割合であると、異相であるSrAl1425の副生を抑制することができ、得られる蓄光材料がリン光輝度に優れたものとなる。より好ましくは、1.90を超えて1.98未満となる量であり、更に好ましくは、1.94を超えて1.96未満となる量である。
本発明のアルカリ土類金属元素及び希土類元素を必須成分として含む蓄光材料は、下記一般式(1);
AB (1)
(式中、Aは、アルカリ土類金属元素を表す。Bは、ホウ素元素以外の第13族元素を表す。)で表される化合物を母材結晶とし、アルカリ金属元素を含有し、更に各希土類の含有量、ホウ素元素以外の第13族元素の含有量、及び、アルカリ金属元素の含有量がいずれも上述した好ましい値を満たすものであることが特に好ましい。これにより、蓄光材料がより残光特性に優れたものとなる。
本発明の蓄光材料は、屈折率1.65の屈折液に浸漬させた蓄光材料の分散液の波長550nmの光の透過率が60%以上であることが好ましい。このような透過率であると、蓄光材料をガラスや樹脂と組み合わせたガラス複合体や樹脂シートが、より優れた光透過性を有するものとなる。屈折率1.65の屈折液に浸漬させた蓄光材料の分散液の波長550nmの光の透過率は、65%以上であることがより好ましく、75%以上であることが更に好ましい。
屈折率1.65の屈折液に浸漬させた蓄光材料の分散液の波長550nmの光の透過率は、後述の実施例に記載の光透過率測定方法で測定することができる。
本発明の蓄光材料は、単相のものであることが好ましい。単相であることで、屈折率がより均一になり、光透過性により優れるものとなる。
本発明の蓄光材料は、ガラスや樹脂と混合してガラス複合体や樹脂シートとして好適に用いることができる。このような本発明の蓄光材料を含むガラス複合体や樹脂シートもまた、本発明の1つである。
本発明の蓄光材料と混合する樹脂としては、例えば、アクリル樹脂等が挙げられる。樹脂は1種を用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
2.蓄光材料の製造方法
本発明はまた、アルカリ土類金属元素及び希土類元素を必須成分として含む蓄光材料を製造する方法であって、該製造方法は、ホウ素元素の含有量がアルカリ土類金属元素、アルカリ金属元素及び希土類元素の合計モル数に対して10〜25mol%となる割合でアルカリ土類金属化合物、希土類化合物、及び、ホウ素化合物を含む原料を乾式混合する工程と、該乾式混合工程で得られた混合物を還元雰囲気下、1500℃以上で焼成する工程とを含むことを特徴とする蓄光材料の製造方法でもある。
このように原料の混合方法を乾式混合とすることで、反応時に分散媒を含まない条件で粉同士が反応し、空孔の少ない粒子が得られる。また混合した原料を還元雰囲気下、1500℃以上の高温で焼成することで更に空孔の少ない粒子が得られる。
上記原料を乾式混合する工程に用いるアルカリ土類金属化合物としては、特に限定されないが、Be、Mg、Ca、Sr、及びBaから選択される1種以上の金属の化合物が挙げられる。その化合物としては、例えば上記金属の炭酸塩、酸化物、塩化物、硫酸塩、硝酸塩等が挙げられる。
中でもCa、Sr、及びBaから選択される少なくとも1つの金属の化合物が好ましく、取り扱いが容易な点で特に炭酸ストロンチウムが好ましい。
上記原料を乾式混合する工程に用いる希土類化合物としては、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等から選択される1種以上の金属の化合物が挙げられる。その化合物としては、例えば上記金属の炭酸塩、酸化物、塩化物、硫酸塩、硝酸塩等が挙げられる。
中でもCe、Nd、Eu、Dy、Ho、及びエルビウム(Er)から選択される少なくとも1つの金属の化合物が好ましく、さらにそのなかでもユーロピウム(Eu)の化合物が好ましく、取り扱いが容易な点で特に酸化ユーロピウムが好ましい。これはEuが材料の発光中心として強く作用する元素だからである。また、Eu発光中心に対して、Dy、Ho、Ce、Nd、Erといった希土類元素を添加すると残光時間を長くする作用があるため、ドープする元素の組み合わせや量は残光特性という観点では重要である。
上記希土類化合物の使用量は、それぞれの希土類元素について、希土類化合物中の希土類元素のモル数が、原料に含まれるアルカリ土類金属元素及びアルカリ金属元素と該希土類元素の合計モル数に対して、0.1〜3mol%となる量であることが好ましい。希土類元素のモル数が0.1未満であると、十分なりん光輝度が得られ難くなり、0.3より多くなると、濃度消光によるりん光輝度の低下が生じるおそれがある。より好ましくは、0.5〜2.0mol%となる量であり、更に好ましくは、0.8〜1.5mol%となる量である。
上記原料を乾式混合する工程に用いるホウ素化合物としては、ホウ酸や酸化ホウ素が挙げられる。
上記ホウ素化合物の使用量は、ホウ素元素の含有量がアルカリ土類金属元素、アルカリ金属元素及び希土類元素の合計モル数に対して10〜25mol%となる割合であればよいが、15〜25mol%となる割合であることが好ましい。より好ましくは、15〜20mol%となる割合である。
上記原料を乾式混合する工程に用いる原料は、アルカリ土類金属化合物、希土類化合物、及び、ホウ素化合物を含む限り、その他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、アルカリ金属化合物、ホウ素以外の第13族元素の化合物等が挙げられる。
アルカリ金属化合物としては、特に限定されないが、Li、Na、K、Rb、Cs及びFrから選択される1種以上の金属の化合物が挙げられる。その化合物としては、例えば上記金属の炭酸塩、酸化物、塩化物、硫酸塩、硝酸塩等が挙げられる。
中でもLi、Na、及びKから選択される少なくとも1つの金属の化合物が好ましく、取り扱いが容易な点で特に炭酸リチウムが好ましい。
上記原料がアルカリ金属化合物を含む場合、アルカリ金属化合物の使用量は、アルカリ金属化合物中のアルカリ金属元素のモル数が、アルカリ土類金属元素、アルカリ金属元素及び希土類元素の合計モル数に対して0.1〜3.0mol%となる量であることが好ましい。より好ましくは、0.1〜2.0mol%となる量であり、更に好ましくは、0.1〜1.0mol%となる量である。
上記ホウ素以外の第13族元素の化合物としては、特に限定されないが、Al、Ga、In、Tl等から選択される1種以上の元素の化合物が挙げられる。その化合物としては、例えば酸化物、水酸化物、塩化物、硫酸塩、硝酸塩等が挙げられる。
中でもAlの化合物が好ましく、取り扱いが容易な点で特に酸化アルミニウムが好ましい。
上記原料がホウ素以外の第13族元素の化合物を含む場合、該化合物の量は、ホウ素元素以外の第13族元素のモル数を、蓄光材料が含むアルカリ土類金属元素、アルカリ金属元素及び希土類元素の合計モル数で除した値が1.88を超えて、2.00未満となる量であることが好ましい。より好ましくは、1.90を超えて1.98未満となる量であり、更に好ましくは、1.94を超えて1.96未満となる量である。
上記原料は、上記以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、粒子の結晶性を高めるためのフラックス成分が挙げられる。フラックス成分としては、特に限定されないが、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化アルミニウム、フッ化アンモニウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、臭化アンモニウム、ヨウ化アンモニウム、ヨウ化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム等の化合物が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記原料を乾式混合する工程において、原料を混合する方法は特に制限されないが、乳鉢を使用する場合、ケイ素(Si)の混入による焼結防止効果により、反応性の低下や得られる蓄光材料の残光特性の低下が生じるおそれがあるため、メノウ乳鉢は使用しないほうが好ましい。
乾式混合工程ではライカイ機、ボールミル、ブレンダー等を用いて行うことができる。
本発明の蓄光材料の製造方法は、上記乾式混合工程後の材料の全粒子の粒度分布から算出されるD50が2.0〜3.5μmであることが好ましい。D50がこのような値であると、得られる蓄光材料が残光特性により優れたものとなる。D50はより好ましくは、2.0〜3.0μmであり、更に好ましくは、2.5〜3.0μmである。
乾式混合工程後の材料の全粒子の粒度分布から算出されるD50は、後述の実施例に記載の粒度分布測定方法により測定することができる。
上記乾式混合工程で得られた混合物を焼成する工程は、還元雰囲気下、1500℃以上で焼成される限り特に制限されないが、焼成温度は1500℃以上、1700℃以下であることが好ましい。1700℃以下で焼成することで、原料の溶融することによる組成の偏析と、それに起因する蓄光材料の屈折率の不均一化、残光特性の低下を防止しつつ、十分に還元焼成することができる。
また、焼成工程の時間は、1〜12時間であることが好ましい。より好ましくは、2〜8時間である。
上記焼成する雰囲気は、一酸化炭素や水素等の還元性ガスのみからなる雰囲気であってもよく、還元性ガス以外のガスも含む雰囲気であってもよいが、窒素、アルゴン等の不活性ガス中に還元性ガスが含まれた雰囲気下であることが好ましく、雰囲気中の還元性ガス濃度が0.3〜5体積%であることが好ましい。より好ましくは、0.5〜4体積%である。
本発明の蓄光材料の製造方法は、上記所定の原料を乾式混合する工程と、乾式混合工程で得られた混合物を所定の条件で焼成する工程とを含む限り、その他の工程を含んでいてもよい。その他の工程としては、粉砕、水洗、分級、表面処理等の工程が挙げられる。
上記粉砕工程は、アルミナ乳鉢、ハンマー、ジョークラッシャー等を用いて行うことができる。
上記分級工程は、求められる蓄光材料の大きさに合わせて、適切な目開きの篩を選択して行うことができる。最初に目開きの大きい篩を用いて粗大粒子を除き、その後により目開きの小さい篩を用いて分級を行うことで効率的に分級を行うことができる。
本発明を詳細に説明するために以下に具体例を挙げるが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。特に断りのない限り、「%」及び「wt%」とは「重量%(質量%)」を意味する。なお、各物性の測定方法は以下の通りである。
実施例1
炭酸ストロンチウム(堺化学工業社製、SW−K)17.56g、酸化アルミニウム(純度99.99%)12.14g、酸化ユーロピウム(純度99.9%)0.21g、酸化ジスプロシウム(純度99.9%)0.23g、炭酸リチウム(純度99.0%)0.0045g、ホウ酸(純度99.5%)1.13gを秤量し、自動乳鉢を用いて、乳棒の回転数を300rpmとし、30分間かけて充分に乾式混合を行った。得られた原料混合粉をアルミナ坩堝に全量充填し、3体積%H/N雰囲気中で200℃/時にて1500℃まで昇温し、そのまま5時間保持した後、200℃/時で降温した。
こうして得られた焼成物をアルミナ乳鉢を用いて350μm目開きの篩にて全量通過するまで解砕し、その後、250μm目開きの篩及び150μm目開きの篩にて分級し、250μm以上の粒子と150μm以下の粒子をカットして蓄光材料A(Sr0.98Li0.001Eu0.01Dy0.01Al1.964:0.15)を得た。
得られた蓄光材料A(粉体)について後述する各種の評価試験を行った。
実施例2
炭酸ストロンチウム(堺化学工業社製、SW−K)17.56g、酸化アルミニウム(純度99.99%)12.14g、酸化ユーロピウム(純度99.9%)0.21g、酸化ジスプロシウム(純度99.9%)0.23g、炭酸リチウム(純度99.0%)0.0045g、ホウ酸(純度99.5%)1.51gを秤量し、自動乳鉢を用いて、乳棒の回転数を300rpmとし、30分間かけて充分に乾式混合を行った。得られた原料混合粉をアルミナ坩堝に全量充填し、3体積%H/N雰囲気中で200℃/時にて1500℃まで昇温し、そのまま5時間保持した後、200℃/時で降温した。
こうして得られた焼成物をアルミナ乳鉢を用いて350μm目開きの篩にて全量通過するまで解砕し、その後、250μm目開きの篩及び150μm目開きの篩にて分級し、250μm以上の粒子と150m以下の粒子をカットして蓄光材料B(Sr0.98Li0.001Eu0.01Dy0.01Al1.964:0.20)を得た。
得られた蓄光材料B(粉体)について後述する各種の評価試験を行った。
実施例3
炭酸ストロンチウム(堺化学工業社製、SW−K)17.41g、酸化アルミニウム(純度99.99%)12.21g、酸化ユーロピウム(純度99.9%)0.22g、酸化ジスプロシウム(純度99.9%)0.23g、炭酸リチウム(純度99.0%)0.068g、ホウ酸(純度99.5%)1.14gを秤量し、自動乳鉢を用いて、乳棒の回転数を300rpmとし、30分間かけて充分に乾式混合を行った。得られた原料混合粉をアルミナ坩堝に全量充填し、3体積%H/N雰囲気中で200℃/時にて1500℃まで昇温し、そのまま5時間保持した後、200℃/時で降温した。
こうして得られた焼成物をアルミナ乳鉢を用いて350μm目開きの篩にて全量通過するまで解砕し、その後、250μm目開きの篩及び150μm目開きの篩にて分級し、250μm以上の粒子と150μm以下の粒子をカットして蓄光材料C(Sr0.97Li0.015Eu0.01Dy0.01Al1.964:0.15)を得た。
得られた蓄光材料C(粉体)について後述する各種の評価試験を行った。
実施例4
炭酸ストロンチウム(堺化学工業社製、SW−K)17.36g、酸化アルミニウム(純度99.99%)12.24g、酸化ユーロピウム(純度99.9%)0.22g、酸化ジスプロシウム(純度99.9%)0.23g、炭酸リチウム(純度99.0%)0.091g、ホウ酸(純度99.5%)1.14gを秤量し、自動乳鉢を用いて、乳棒の回転数を300rpmとし、30分間かけて充分に乾式混合を行った。得られた原料混合粉をアルミナ坩堝に全量充填し、3体積%H/N雰囲気中で200℃/時にて1500℃まで昇温し、そのまま5時間保持した後、200℃/時で降温した。
こうして得られた焼成物をアルミナ乳鉢を用いて350μm目開きの篩にて全量通過するまで解砕し、その後、250μm目開きの篩及び150μm目開きの篩にて分級し、250μm以上の粒子と150μm以下の粒子をカットして蓄光材料D(Sr0.96Li0.020Eu0.01Dy0.01Al1.964:0.15)を得た。
得られた蓄光材料D(粉体)について後述する各種の評価試験を行った。
比較例1
炭酸ストロンチウム(堺化学工業社製、SW−K)24.58g、酸化アルミニウム(純度99.99%)17.00g、酸化ユーロピウム(純度99.9%)0.30g、酸化ジスプロシウム(純度99.9%)0.32g、炭酸リチウム(純度99.0%)0.0063g、ホウ酸(純度99.5%)0.53gを秤量し、イオン交換水85mLと3mmφアルミナビーズ190gを入れて遊星ボールミルを用いて250rpmで90分かけて十分に混合した。得られた混合スラリーを蒸発乾燥させて焼成前駆体粉末を得た。次いで、その焼成前駆体粉末をアルミナ製坩堝に充填して、2体積%H/N雰囲気中で200℃/時で1400℃まで昇温し、そのまま4時間保持後、200℃/時で室温まで降温した。次いで、得られた焼結体をアルミナ乳鉢を用いて350μm目開きの篩にて全量通過するまで解砕し、その後、250μm目開きの篩及び150μm目開きの篩にて分級し、250μm以上の粒子と150μm以下の粒子をカットして蓄光材料a(Sr0.98Li0.001Eu0.01Dy0.01Al1.964:0.05)を得た。
得られた蓄光材料a(粉体)について後述する各種の評価試験を行った。
比較例2
炭酸ストロンチウム(堺化学工業社製、SW−K)17.56g、酸化アルミニウム(純度99.99%)12.14g、酸化ユーロピウム(純度99.9%)0.21g、酸化ジスプロシウム(純度99.9%)0.23g、炭酸リチウム(純度99.0%)0.0045g、ホウ酸(純度99.5%)0.38gを秤量し、自動乳鉢を用いて、乳棒の回転数を300rpmとし、30分間かけて充分に乾式混合を行った。得られた原料混合粉をアルミナ坩堝に全量充填し、3体積%H/N雰囲気中で200℃/時にて1500℃まで昇温し、そのまま5時間保持した後、200℃/時で降温した。
こうして得られた焼成物をアルミナ乳鉢を用いて350μm目開きの篩にて全量通過するまで解砕し、その後、250μm目開きの篩及び150μm目開きの篩にて分級し、250μm以上の粒子と150μm以下の粒子をカットして蓄光材料b(Sr0.98Li0.001Eu0.01Dy0.01Al1.964:0.05)を得た。
得られた蓄光材料b(粉体)について後述する各種の評価試験を行った。
比較例3
炭酸ストロンチウム(堺化学工業社製、SW−K)17.56g、酸化アルミニウム(純度99.99%)12.14g、酸化ユーロピウム(純度99.9%)0.21g、酸化ジスプロシウム(純度99.9%)0.23g、炭酸リチウム(純度99.0%)0.0045g、ホウ酸(純度99.5%)0.38gを秤量し、自動乳鉢を用いて、乳棒の回転数を300rpmとし、30分間かけて充分に乾式混合を行った。得られた原料混合粉をアルミナ坩堝に全量充填し、2体積%H/N雰囲気中で200℃/時にて1400℃まで昇温し、そのまま4時間保持した後、200℃/時で降温した。
こうして得られた焼成物をアルミナ乳鉢を用いて350μm目開きの篩にて全量通過するまで解砕し、その後、250μm目開きの篩及び150μm目開きの篩にて分級し、250μm以上の粒子と150μm以下の粒子をカットして蓄光材料c(Sr0.98Li0.001Eu0.01Dy0.01Al1.964:0.05)を得た。
得られた蓄光材料c(粉体)について後述する各種の評価試験を行った。
実施例1〜4、比較例1〜3で得られた蓄光材料について下記の方法により各種評価を行った。結果を表1及び図1〜9に示した。
<粒子密度測定>
JIS R 1620に準じ以下のように測定した。
測定容器を洗浄し60分真空乾燥した後、容器質量mを測定する。その後、液を満たし、全質量mを測定する。液を全量捨て、量り取った粉体mを測定容器に入れ、液を容器半分まで注ぐ。超音波20分した後、90分真空乾燥を行った。真空乾燥後、液を注いで満たし、全質量mを測定し、計算式1にて真比重ρを算出した。液はエタノールとし、測定温度における液の密度をρとした。
ρ=m/(m−m+m)×ρ・・・・・式1
<透明性評価>
スライドガラス上に、粉体を接触液(屈折液、島津デバイス製造製)に浸した試料を載せて、その試料の透明性を光学顕微鏡(OLYPUS社製、BH−2)により確認した。1.45〜1.69までの屈折率の異なる接触液を使用して確認を行い、最も透明性が高い試料に用いた接触液の屈折率1.65を粉体の屈折率として評価を行った。
<光透過率測定>
光透過率は、以下のようにして測定した。
透過率を分光光度計(日本分光社製、V−570型分光光度計及びILN−472型積分球)測定用の1mm厚のセルに粉体と接触液を重量比が粉:接触液=7:3となるように充填し、分光光度計を用いて測定した。
<粒度分布>
各粉体につき、レーザー回折型粒度分布測定装置(日機装社製、マイクロトラックMT3000)により粒度分布を測定し、粒度分布曲線を得た。この測定ではまず、測定対象の粉末(粉体)を、透過率が0.70〜0.99になるように投入し、流速60%にて、超音波分散及び循環させながら測定を行った。測定時の装置循環水はエタノールとした。そして、この体積基準粒度分布曲線において積算値が50%のときの粒径値を、平均粒子径D50(μm)とした。
<結晶構造の同定>
粉末X線回折パターン(単にX線回折パターンともいう)を用いた。測定は、RINT−UltimaIII(リガク社製)を使用し、平行光学系を用い、ステップ幅:0.02°、測定範囲2θ=10〜80°の条件で行った。
<りん光測定>
得られた粉体を暗所にて一晩放置し、りん光を消去後、励起用光源に標準光源D65を用いて照度200lxの光を20分間、りん光を除去した各粉体に照射した。燐光輝度計(BM−100)を用いて照射遮断後60分までのりん光輝度を測定した。その結果を、比較例1のりん光輝度を100とした相対輝度として示す。
<SEM観察>
走査型電子顕微鏡(日本電子社製、JSM−7000F)により各粉体の粒子断面及び表面等を観察した。粒子断面は、下記のクロスセクションポリッシャにより断面を作製して観察した。
[CP:クロスセクションポリッシャ]
エポキシ樹脂中に粉体を混ぜ合わせたものを、80℃にて加熱脱泡を行う。脱泡が完了したら、120℃にて加熱固化させる。固化させた樹脂を、断面を精密平面研磨機にセットし、研磨紙(#400)で研磨し、その後研磨紙(#800)にて仕上げ研磨を行う。研磨された樹脂を断面試料作製装置(SM−09011)にセットし、アルゴンイオンビームにて切断し、断面を作製する。
<空孔数>
上記CP(クロスセクションポリッシャ)で得られた粒子について、その断面を走査型電子顕微鏡(日本電子社製、JSM−7000F)にて300倍の倍率で10視野撮影した。それぞれの写真1枚に付き、粒径が100μm以上の粒子を選択し、選択した粒子の内、その断面に存在する直径0.1μm以上の空孔の個数を数え、粒子10個あたりの粒子の断面に存在する空孔の数を数えた。これを1サンプルにつき5回繰り返し、粒子10個あたりの粒子内部の空孔の平均数とした。その結果を表1に示した。
表1中「Al組成比」は、アルミニウム元素のモル数を、蓄光材料が含むアルカリ土類金属元素、アルカリ金属元素及び希土類元素の合計モル数で除した値である。
また表1中、Eu、Dyの組成(mol%)は、蓄光材料が含むアルカリ土類金属元素、アルカリ金属元素及び希土類元素の合計モル数に対する割合であり、B、Liの組成(mol%)は、蓄光材料が含むアルカリ土類金属元素、アルカリ金属元素及び希土類元素の合計のモル数に対する割合である。
図1〜図7の粒子断面の電子顕微鏡観察写真より、実施例1〜4について粒子内部に空孔はみられず、比較例1〜3は粒子内部に空孔が多く存在していることが確認され、表1中の粒子密度についても空孔が少なくなるにつれ高くなることがわかった。
試料の透明性評価については、蓄光ガラス用に原料として適用されるガラスフリットの屈折率が1.65付近であるため試料を1.65の屈折液に浸し観察を行った。図1〜7に示した観察結果より、粒子内部に空孔の少ない実施例1〜4については透明性が高く、比較例1〜3は黒い部分が存在し不透明であることが確認された。黒い部分は粒子の空孔部分である。
図8の光透過性評価より、全光線透過率については、比較例1、2は30〜40%と低く、実施例1、2は80〜90%と高い全光線透過率を示した。実施例1に比べて実施例2のほうが全光線透過率が高いのは、実施例1に比べ実施例2のほうが粒子内部の空孔が少ないためであると考えられる。
一方、比較例1、2は、透過率が低い結果となった。粒子内の空孔は光散乱を生じさせ、光散乱は蓄光ガラスや樹脂シートとした場合に残光特性低下の要因となる。比較例1、2では、粒子内部の空孔の数が実施例1〜4に比べて多いことが、透過率が低い要因の1つと考えられる。透過率が高い蓄光ガラスや樹脂シートの場合、その厚みを増やすことが複合体としてのりん光輝度を向上させるのに非常に有効であるが、厚みを増やすと透明性は低下する傾向になる。しかし、実施例1〜4の蓄光材料は光透過性及び残光特性に共に優れたものであるため、蓄光ガラスや樹脂シートの厚みを増やした場合でも高い光透過性が得られ、高りん光輝度と高透明性とを両立した蓄光ガラスや樹脂シートとすることが可能となる。
結晶相について、蓄光材料は異相が存在すると粒子内部で屈折率の不均一化が生じ、透明性低下の要因となるため単相であることが望ましい。図9より、実施例1の蓄光材料はSrAlの単相であることが確認された。
これらの実施例、比較例の結果から、本発明の蓄光材料は粒子内部の空孔が少ないことにより光透過性に優れ、更に残光特性にも優れた蓄光材料であるといえる。

Claims (4)

  1. アルカリ土類金属元素及び希土類元素を必須成分として含む蓄光材料であって、
    該蓄光材料は、ホウ素元素の含有量がアルカリ土類金属元素、アルカリ金属元素及び希土類元素の合計モル数に対して10〜25mol%であり、かつ、
    平均粒子径が100μm以上であって、該蓄光材料の粒子10個当たりの粒子内部の空孔の平均数が10個以下であることを特徴とする蓄光材料。
  2. 前記蓄光材料を屈折率1.65の屈折液に浸漬させた蓄光材料の分散液の波長550nmの光の透過率が60%以上であることを特徴とする請求項1に記載の蓄光材料。
  3. アルカリ土類金属元素及び希土類元素を必須成分として含む蓄光材料を製造する方法であって、
    該製造方法は、ホウ素元素の含有量がアルカリ土類金属元素、アルカリ金属元素及び希土類元素の合計モル数に対して10〜25mol%となる割合でアルカリ土類金属化合物、希土類化合物、及び、ホウ素化合物を含む原料を乾式混合する工程と、
    該乾式混合工程で得られた混合物を還元雰囲気下、1500℃以上で焼成する工程とを含むことを特徴とする蓄光材料の製造方法。
  4. 前記乾式混合工程後の材料の全粒子の粒度分布から算出されるD50が2.0〜3.5μmであることを特徴とする請求項3に記載の蓄光材料の製造方法。
JP2018239850A 2018-12-21 2018-12-21 蓄光材料及び蓄光材料の製造方法 Active JP7286962B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018239850A JP7286962B2 (ja) 2018-12-21 2018-12-21 蓄光材料及び蓄光材料の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018239850A JP7286962B2 (ja) 2018-12-21 2018-12-21 蓄光材料及び蓄光材料の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020100734A true JP2020100734A (ja) 2020-07-02
JP7286962B2 JP7286962B2 (ja) 2023-06-06

Family

ID=71138993

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018239850A Active JP7286962B2 (ja) 2018-12-21 2018-12-21 蓄光材料及び蓄光材料の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7286962B2 (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10168448A (ja) * 1996-12-16 1998-06-23 Suzusei:Kk 蓄光顔料およびその製造方法
JP2004323656A (ja) * 2003-04-24 2004-11-18 Ekuran:Kk 球形状蓄光材の製造方法および球形状蓄光材
WO2015137287A1 (ja) * 2014-03-11 2015-09-17 株式会社ネモト・ルミマテリアル 蓄光性蛍光体
JP2016102051A (ja) * 2014-11-12 2016-06-02 国立研究開発法人産業技術総合研究所 蓄光ガラス複合体及びその製造方法
JP2018109164A (ja) * 2016-12-28 2018-07-12 国立研究開発法人産業技術総合研究所 蓄光性蛍光体及びその製造方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10168448A (ja) * 1996-12-16 1998-06-23 Suzusei:Kk 蓄光顔料およびその製造方法
JP2004323656A (ja) * 2003-04-24 2004-11-18 Ekuran:Kk 球形状蓄光材の製造方法および球形状蓄光材
WO2015137287A1 (ja) * 2014-03-11 2015-09-17 株式会社ネモト・ルミマテリアル 蓄光性蛍光体
JP2016102051A (ja) * 2014-11-12 2016-06-02 国立研究開発法人産業技術総合研究所 蓄光ガラス複合体及びその製造方法
JP2018109164A (ja) * 2016-12-28 2018-07-12 国立研究開発法人産業技術総合研究所 蓄光性蛍光体及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP7286962B2 (ja) 2023-06-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8048338B2 (en) Phosphor, phosphor sheet, and manufacturing method therefore, and light emission device using the phosphor
US7476336B2 (en) Phosphor and manufacturing method for the same, and light emitting device using the phosphor
TWI625379B (zh) 螢光體及其用途
JP4362625B2 (ja) 蛍光体の製造方法
US10233388B2 (en) Lighting device with a first phosphor and filter particles
Song et al. Gd 2 O 2 S: Yb, Er submicrospheres with multicolor upconversion fluorescence
WO2013175336A1 (en) New phosphors, such as new narrow-band red emitting phosphors, for solid state lighting
JP2006016413A (ja) 蛍光体と発光器具
JP2017155209A (ja) 窒化物蛍光体の製造方法、窒化物蛍光体及び発光装置
CN101522859A (zh) 荧光体、荧光体薄片、荧光体的制造方法以及使用该荧光体的发光装置
Kunti et al. Structural properties and luminescence dynamics of CaZrO 3: Eu 3+ phosphors
US20080123698A1 (en) Tb-DOPED LUMINESCENT COMPOUND, LUMINESCENT COMPOSITION AND LUMINESCENT BODY CONTAINING THE SAME, LIGHT EMITTING DEVICE AND SOLID-STATE LASER DEVICE
JP6941600B2 (ja) ナノコンポジットおよびナノコンポジットの製造方法
TW202124668A (zh) 包含經鑭系離子諸如Pr⁺活化及隨意地Gd⁺共活化的矽酸鹽之藍光至UV升頻轉換器及其用於表面消毒目的之應用
US11407942B2 (en) Garnet silicate, garnet silicate phosphor, and wavelength converter and light emitting device which use the garnet silicate phosphor
Hong et al. Photoluminescence properties of Tb3+ and Ce3+ co-doped Sr2MgSi2O7 phosphors for solid-state lighting
Milisavljevic et al. The effect of Gd3+ doping on luminescence properties of (Gd, Ce): SrF2 nanopowders and transparent ceramics
CN104073255B (zh) 一种硅酸锆盐蓝色荧光粉、制备方法及其应用
JP4466447B2 (ja) オキシ窒化物蛍光体
JP2013127061A (ja) 窒化物蛍光体とその製造方法
JP2013249375A (ja) 蛍光体
JP7286962B2 (ja) 蓄光材料及び蓄光材料の製造方法
Wang et al. Multi-mode anti-counterfeiting guarantees from a single material CaCd 2 Ga 2 Ge 3 O 12: Tb 3+, Yb 3+–two stimuli-responsive and four-state emission
JP7515351B2 (ja) ユウロピウム賦活β型サイアロン蛍光体の製造方法
JP4925119B2 (ja) 酸化物蛍光体および発光装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211122

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220620

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220802

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220930

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20221206

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230203

C60 Trial request (containing other claim documents, opposition documents)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C60

Effective date: 20230203

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20230213

C21 Notice of transfer of a case for reconsideration by examiners before appeal proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C21

Effective date: 20230214

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230425

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230508

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7286962

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150