JP2007113019A - 蛍光体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 原料混合物を1200℃以下2200℃の温度、窒素を含有する不活性雰囲気で焼成することによって、CaSiAlN3結晶と同一の結晶構造を有する無機化合物を母体結晶とし、M(ただし、MはMn、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luから選ばれる1種または2種以上の元素)を発光中心として添加した固溶体結晶蛍光体であって、赤み成分に富む演色性の良い白色発光ダイオードの設計に供しうる蛍光体を製造する。
【選択図】 図2
Description
とする白色LEDやプラズマディスプレイなどの用途には、黄色だけでなく橙色や赤色に発光する蛍光体も求められていた。また、青色LEDを励起源とする白色LEDにおいては、演色性向上のため橙色や赤色に発光する蛍光体が求められていた。
結晶相を母体とする場合の発光特性向上の効果は示されていない。
これらの経過を踏まえてその成果を、平成16年2月18日に特許出願(特許願2004−41503号)し、さらに同年5月25日にこの特許出願を基礎として、特許法第41条第1項の規定による特許出願をした(国内優先権主張出願、特許願2004−154548号)をした。
本件出願は、前記特願2004−154548号を原出願とし、この出願に記載された発明の中、「蛍光体の製造方法」に係る発明を特許法第44条第1項の規定によって分割出願したものである。
すなわち、本件分割出願に係る発明は、以下(1)〜(20)に記載のとおりの構成を備えてなるものである。
素と、E元素と、X元素(但し、Mは、Mn、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、から選ばれる1種または2種以上の元素、Aは、Mg、Ca、Sr、Baから選ばれる1種または2種以上の元素、Dは、Si、Ge、Snから選ばれる1種または2種以上の元素、EはB、Al、Ga、Inから選ばれる1種または2種以上の元素、Xは、O、N、Fから選ばれる1種または2種以上の元素)を含有する原料混合物を調製し、この原料混合物を窒素を含有する不活性雰囲気において1200℃以上2200℃以下の温度範囲で焼成することを特徴とする、該各元素を有し、明細書中で定義したCaSiAlN3の結晶構造と同一の結晶構造を有する無機化合物からなる蛍光体の製造方法。
(2) 金属化合物の混合物が、Mを含有する化合物と、Aを含有する化合物と、Dを含有する化合物と、Eを含有する化合物と、Xを含有する化合物とからなることを特徴とする前記(1)項に記載の蛍光体の製造方法。
(3) Mを含有する化合物が、Mを含有する金属、ケイ化物、酸化物、炭酸塩、窒化物、酸窒化物、塩化物、フッ化物、または酸フッ化物から選ばれる単体または2種以上の混合物であり、Aを含有する化合物が、Aを含有する金属、ケイ化物、酸化物、炭酸塩、窒化物、酸窒化物、塩化物、フッ化物、または酸フッ化物から選ばれる単体または2種以上の混合物であり、Dを含有する化合物が、金属、ケイ化物、酸化物、炭酸塩、窒化物、酸窒化物、塩化物、フッ化物、または酸フッ化物から選ばれる単体または2種以上の混合物であることを特徴とする前記(2)項に記載の蛍光体の製造方法。
(4) 金属化合物の混合物が、少なくとも窒化ユーロピウムと、窒化カルシウムと、窒化ケイ素と、窒化アルミニウムを含有することを特徴とする前記(2)項または(3)項に記載の蛍光体の製造方法。
(5) 金属化合物の混合物が、少なくとも酸化ユーロピウムと、窒化カルシウムと、窒化ケイ素と、窒化アルミニウムを含有することを特徴とする前記(2)項ないし(4)項のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
(6) 金属化合物の混合物が、少なくとも窒化ストロンチウムを含有することを特徴とする前記(4)項または(5)項のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
(7) 金属化合物の混合物が、少なくともカルシウムケイ化物もしくはストロンチウム
ケイ化物あるいはその両方を含有することを特徴とする前記(3)項ないし(6)項のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
(8) 窒素を含有する不活性雰囲気が0.1MPa以上100MPa以下の圧力範囲の窒素ガス雰囲気であることを特徴とする前記(1)項ないし(7)項のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
(9) 粉体または凝集体形状の金属化合物を、嵩密度40%以下の充填率に保持した状態で容器に充填した後に焼成することを特徴とする前記(1)項ないし(8)項のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
(10) 焼成に使う容器が窒化ホウ素製であることを特徴とする前記(9)項に記載の蛍光体の製造方法。
(11) 慨金属化合物の凝集体の平均粒径が500μm以下であることを特徴とする前記(9)項または(10)項に記載の蛍光体の製造方法。
(12)スプレイドライヤ、ふるい分け、または風力分級により、金属化合物の凝集体の平均粒径を500μm以下に制御することを特徴とする前記(1)項に記載の蛍光体の製造方法。
(13) 該焼結手段がホットプレスによることなく、専ら常圧焼結法もしくはガス圧焼結法による手段であることを特徴とする前記(1)項ないし(12)項のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
(14) 粉砕、分級、酸処理から選ばれる1種ないし複数の手法により、焼成により合成した蛍光体粉末の平均粒径を50nm以上20μm以下に粒度調整することを特徴とする前記(1)項ないし(13)項のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
(15) 焼成後の蛍光体粉末、あるいは粉砕処理後の蛍光体粉末、もしくは粒度調整後の蛍光体粉末を、1000℃以上で焼成温度以下の温度で熱処理することを特徴とする前記(1)項ないし(14)項のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
(16) 金属化合物の混合物に、焼成温度以下の温度で液相を生成する無機化合物を添加して焼成することを特徴とする前記(1)項ないし(15)項のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
(17) 焼成温度以下の温度で液相を生成する無機化合物が、Li、Na、K、Mg、Ca、Sr、Baから選ばれる1種または2種以上の元素のフッ化物、塩化物、ヨウ化物、臭化物、あるいはリン酸塩の1種または2種以上の混合物であることを特徴とする前記(16)項に記載の蛍光体の製造方法。
(18) 焼成温度以下の温度で液相を生成する無機化合物がフッ化カルシウムであることを特徴とする前記(16)項または(17)項に記載の蛍光体の製造方法。
(19) 焼成温度以下の温度で液相を生成する無機化合物を金属化合物の混合物100重量部に対し、0.1重量部以上10重量部以下の量を添加することを特徴とする前記(16)項ないし(18)項のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
(20) 焼成後に溶剤で洗浄することにより、焼成温度以下の温度で液相を生成する無機化合物の含有量を低減させることを特徴とする前記(16)項ないし(19)項のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
本発明の蛍光体は、一般式CaAlSiN3で示される結晶相あるいはこの結晶と同一の結晶構造を持つ他の無機物質、あるいはこれらの結晶相の固溶体(以下、一般式CaAlSiN3で示される結晶相あるいはこの結晶と同一の結晶構造を持つ他の無機物質、あるいはこれらの結晶相の固溶体を以下ではCaAlSiN3属結晶と呼ぶ)を主成分として含んでなるものである。CaAlSiN3属結晶は、X線回折や中性子線回折により同定することができ、本発明で示すCaAlSiN3のX線回折結果と同一の回折を示す物質の他に、構成元素が他の元素と置き換わることにより格子定数が変化したものもCaA
lSiN3属結晶である。ここで、構成元素が他の元素で置き換わるものとは、
CaAlSiN3結晶中のCaが元素A(ただし、Aは、Mn、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Mg、Ca、Sr、Baから選ばれる1種または2種以上の元素)で、Siの位置が元素D(ただし、DはSi、Ge、Snから選ばれる1種または2種以上の元素)で、Alの位置が元素E(ただしEは、B、Al、Ga、Inから選ばれる1種または2種以上の元素)で、Nの位置が元素X(ただし、XはO、N、Fから選ばれる1種または2種以上の元素)で置換された結晶のことである。
した。
内の場合は同一の結晶構造と定義してCaAlSiN3属結晶かどうかの判定を行う。この判定基準は、化学結合の長さが±15%を越えて変化すると化学結合が切れて別の結晶となるためである。
なった空間群と格子定数および面指数を用いた表現となるが、X線回折結果に変わりはなく、それを用いた同定方法や同定結果も同一の物となる。このため、本発明では、斜方晶系としてX線回折の解析を行うものとする。この表4に基づく物質の同定方法については、後述実施例1において具体的に述べることとし、ここでは概略的な説明に留める。
0.00001≦ a ≦0.1・・・・・・・・・・(i)
0.5≦ c ≦1.8・・・・・・・・・・・・・・(ii)
0.5≦ d ≦1.8・・・・・・・・・・・・・・(iii)
0.8×(1+c+d)≦ e・・・・・・・・・・・(iv)
e ≦ 1.2×(1+c+d)・・・・・・・・・・・(iv)
の条件を全て満たす値から選ばれる。
を挙げることができる。添加した無機化合物は、焼成温度で液相を生成し、金属化合物をぬらして反応を促進する。なかでも、フッ化カルシウムは反応促進効果が高い。無機化合物の添加量は、金属化合物100重量部に対して、0.1重量部以上10重量部以下がよい。0.1重量部より少ないと、反応促進効果が少なく。10重量部より多いと無機化合物が蛍光体中に残留して輝度を低下させるので好ましくない。蛍光体中への在留が多い場合は、焼成後に無機化合物を溶解する溶剤で洗浄して、無機化合物の含有量を低減させるとよい。
下に造粒して粒度制御することができる。また、スプレードライヤなどを用いて直接的に500μm以下の形状に造粒してもよい。
ましい。
原料粉末は、平均粒径0.5μm、酸素含有量0.93重量%、α型含有量92%の窒化ケイ素粉末、比表面積3.3m2/g、酸素含有量0.79%の窒化アルミニウム粉末、窒化カルシウム粉末、金属ユーロピウムをアンモニア中で窒化して合成した窒化ユーロピウムを用いた。
組成式Eu0.008Ca0.992AlSiN3で示される化合物(表1に設計組成のパラメータ、表2に設計組成の質量%表示、表3に原料粉末の混合組成を示す。)を得るべく、窒化ケイ素粉末と窒化アルミニウム粉末と窒化カルシウム粉末と窒化ユーロピウム粉末とを、各々33.8578重量%、29.6814重量%、35.4993重量%、0.96147重量%となるように秤量し、メノウ乳棒と乳鉢で30分間混合を行なった後に、得られた混合物を、500μmのふるいを通して窒化ホウ素製のるつぼに自然落下させて、るつぼに粉末を充填した。粉体の嵩密度は約25%であった。なお、粉末の秤量、混合、成形の各工程は全て、水分1ppm以下酸素1ppm以下の窒素雰囲気を保持することができるグローブボックス中で操作を行った。
この混合粉末を窒化ホウ素製のるつぼに入れて黒鉛抵抗加熱方式の電気炉にセットした。焼成の操作は、まず、拡散ポンプにより焼成雰囲気を真空とし、室温から800℃まで毎時500℃の速度で加熱し、800℃で純度が99.999体積%の窒素を導入して圧力を1MPaとし、毎時500℃で1800℃まで昇温し、1800℃で2時間保持して行った。
焼成後、この得られた焼成体を粗粉砕の後、窒化ケイ素焼結体製のるつぼと乳鉢を用いて手で粉砕し、30μmの目のふるいを通した。粒度分布を測定したところ、平均粒径は15μmであった。
得られた合成粉末の構成結晶を以下のような手順によって同定した。先ず、標準物質となるM元素を含まない純粋なCaAlSiN3を得るべく、窒化ケイ素粉末と窒化アルミニウム粉末と窒化カルシウム粉末を、各々34.088重量%、29.883重量%、36.029重量%、となるように秤量し、メノウ乳棒と乳鉢で30分間グローブボックス中で混合を行なった後に、窒化ホウ素製のるつぼに入れて黒鉛抵抗加熱方式の電気炉にセットした。焼成の操作は、まず、拡散ポンプにより焼成雰囲気を真空とし、温室から800℃まで毎時500℃の速度で加熱し、800℃で純度が99.999体積%の窒素を導入して圧力を1MPaとし、毎時500℃で1800℃まで昇温し、1800℃で2時間保持して行った。合成した試料をメノウの乳鉢を用いて粉砕し、CuのKα線を用いた粉末X線回折測定を行った。その結果、得られたチャートは図1−1に示すパターンを示し、表4に示す指数付けにより、CaAlSiN3相であると判定された。この結晶は斜方晶系で、格子定数は、a=9.8007(4)Å、b=5.6497(2)Å、c=5.0627(2)Åである。TEMを用いた収束電子線回折により決定した空間群はCmc21(International Tables for Crystallographyの36番の空間群)である。さらに、この空間群を用いてリートベルト解析により決定した各元素の原子座標位置は表5に示す通りである。X線回折の測定強度と原子座標からリートベルト法で計算した計算強度は表4に示すようによい一致を示す。
次に、合成した組成式Eu0.008Ca0.992AlSiN3で示される化合物をメノウの乳鉢を用いて粉砕し、CuのKα線を用いた粉末X線回折測定を行った。その結果、得られたチャートは図1−2であり、表4に示す指数付けにより、CaAlSiN3相であると判定された。
この粉末の組成分析を下記方法で行った。まず、試料50mgを白金るつぼに入れて、炭酸ナトリウム0.5gとホウ酸0.2gを添加して加熱融解した後に、塩酸2mlに溶かして100mlの定容として測定用溶液を作製した。この液体試料をICP発光分光分析することにより、粉体試料中の、Si,Al、Eu、Ca量を定量した。また、試料20mgをスズカプセルに投入し、これをニッケルバスケットに入れたものを、LECO社製TC−436型酸素窒素分析計を用いて、粉体試料中の酸素と窒素を定量した。測定結果は、Eu:0.86±0.01質量%、Ca:28.9±0.1質量%、Si:20.4±0.1質量%、Al:19.6±0.1質量%、N:28.3±0.2質量%、O:2.0±0.1質量%であった。表2に示す設計組成における質量%表示と比べると、特に酸素含有量が高い。この理由は、原料として用いた窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化カルシウムに含まれる不純物酸素が原因である。この組成では、NとOの原子数の比N/(O+N)は0.942に相当する。全元素の分析結果から計算した合成した無機化合物の組成は、Eu0.0078Ca0.9922Si0.9997Al0.9996N2.782O0.172である。本発明は、Nの一部がOで置換されたものも発明の範囲に含み、その場合に置いても、高い輝度の赤色蛍光体が得られる。
この粉末に、波長365nmの光を発するランプで照射した結果、赤色に発光することを確認した。この粉末の発光スペクトル(図2)および励起スペクトル(図3)を蛍光分光光度計を用いて測定した結果、励起および発光スペクトルのピーク波長(表5)は449nmに励起スペクトルのピークがあり449nmの励起による発光スペクトルにおいて、653nmの赤色光にピークがある蛍光体であることが分かった。ピークの発光強度は、10655カウントであった。なおカウント値は測定装置や条件によって変化するため単位は任意単位である。また、449nmの励起による発光スペクトルから求めたCIE色度は、x=0.6699、y=0.3263の赤色であった。
実施例1に記載の原料粉末を用い、M元素を含まない純粋なCaAlSiN3を得るべく、窒化ケイ素粉末と窒化アルミニウム粉末と窒化カルシウム粉末を、各々34.088重量%、29.883重量%、36.029重量%、となるように秤量し、実施例1と同じ方法で粉末を作製した。X線回折測定によれば合成した粉末は、CaAlSiN3であることが確認された。合成した無機化合物の励起および発光スペクトルを測定したところ570nmから680nmの範囲に顕著な発光のピークは見られなかった。
実施例2〜7として、Caの一部または全てをBaで置き換えた組成の無機化合物を作製した。
表1、表2、表3に示す組成の他は実施例1と同様の手法で無機化合物を作製した。X線回折測定によれば合成した粉末は、CaAlSiN3と同一の結晶構造を持つ無機化合物であることが確認された。合成した無機化合物の励起および発光スペクトルを測定したところ図2、図3、および表5に示す様に、350nmから600nmの紫外線および可視光で励起されて、570nmから680nmの範囲に発光のピークを持つ赤色の蛍光体であることが確認された。なお、Ba添加量が多くなると発光輝度が低下するため、Ba添加量は少ない領域の組成が好ましい。
実施例8〜15として、Caの一部または全てをSrで置き換えた組成の無機化合物を作製した。
表1、表2、表3に示す組成の他は実施例1と同様の手法で蛍光体を作製した。X線回折測定によれば合成した粉末は、CaAlSiN3と同一の結晶構造を持つ無機化合物であることが確認された。合成した無機化合物の励起および発光スペクトルを測定したところ図4、図5(実施例8〜11)、図6、図7(実施例12〜15)、および表5に示す様に、350nmから600nmの紫外線および可視光で励起されて、570nmから680nmの範囲に発光のピークを持つ赤色の蛍光体であることが確認された。なお、Sr添加量が多くなると発光輝度が低下するが、発光のピーク波長がCa単独添加よりも低波長側に移動するので、600nmから650nmの範囲にピーク波長を持つ蛍光体を得たい場合は、Caの一部をSrで置換することは有効である。
実施例16〜25として、Caの一部または全てをMgで置き換えた組成の無機化合物を作製した。
表1、表2、表3に示す組成の他は実施例1と同様の手法で蛍光体を作製した。X線回折測定によれば合成した粉末は、CaAlSiN3と同一の結晶構造を持つ無機化合物であることが確認された。合成した無機化合物の励起および発光スペクトルを測定したところ図8、図9、および表5に示す様に、350nmから600nmの紫外線および可視光で励起されて、570nmから680nmの範囲に発光のピークを持つ赤色の蛍光体であることが確認された。なお、Mg添加量が多くなると発光輝度が低下するため、Mg添加量は少ない領域の組成が好ましい。
実施例26〜30として、Nの一部をOで置き換えた組成の無機化合物を作製した。この場合、NとOとでは価数が異なるため単純な置き換えでは全体の電荷が中性とならない。そこで、Si−NをAl−Oで置き換えた組成である、Ca6Si6-xAl6+xOxN18-x(0<x≦3)組成を検討した。
表6、表7に示す組成の他は実施例1と同様の手法で蛍光体を作製した。X線回折測定によれば合成した粉末は、CaAlSiN3と同一の結晶構造を持つ無機化合物であることが確認された。合成した無機化合物の励起および発光スペクトルを測定したところ図10、図11に示す様に、350nmから600nmの紫外線および可視光で励起されて、570nmから680nmの範囲に発光のピークを持つ赤色の蛍光体であることが確認された。なお、酸素添加量が多くなると発光輝度が低下するため、酸素添加量は少ない領域の組成が好ましい。
実施例1と同じ原料粉末を用いて、無機化合物(表8に原料粉末の混合組成、表9に組成パラメータを示す)を得るべく、窒化ケイ素粉末と窒化アルミニウム粉末と窒化カルシウム粉末と窒化ユーロピュウム粉末とを秤量し、メノウ乳棒と乳鉢で30分間混合を行なった後に、得られた混合物を、金型を用いて20MPaの圧力を加えて成形し、直径12mm、厚さ5mmの成形体とした。なお、粉末の秤量、混合、成形の各工程は全て、水分1ppm以下酸素1ppm以下の窒素雰囲気を保持することができるグローブボックス中で操作を行った。
この成形体を窒化ホウ素製のるつぼに入れて黒鉛抵抗加熱方式の電気炉にセットした。焼成の操作は、まず、拡散ポンプにより焼成雰囲気を真空とし、温室から800℃まで毎時500℃の速度で加熱し、800℃で純度が99.999体積%の窒素を導入して圧力を1MPaとし、毎時500℃で1800℃まで昇温し、1800℃で2時間保持して行った。焼成後、得られた焼結体の構成結晶を同定した結果、CaAlSiN3相であると判定された。この粉末に、波長365nmの光を発するランプで照射した結果、赤色に発光することを確認した。この粉末の発光スペクトルおよび励起スペクトルを蛍光分光光度計を用いて測定した結果、表10に示す様に、350nmから600nmの紫外線および可視光で励起されて、570nmから680nmの範囲に発光のピークを持つ赤色の蛍光体であることが確認された。Euの添加量はa値が0.002〜0.03の範囲が最適であり、これより少なくても多くても発光強度が低下する。なお、本実施例は他の実施例と異なる装置で測定したため、カウント値は、実施例31〜37の範囲でしか比較できない。
2.LEDチップ。
3、4.導電性端子。
5.ワイヤーボンド。
6.樹脂層。
7.容器。
8.本発明の赤色蛍光体(実施例1)。
9.緑色蛍光体。
10.青色蛍光体。
11、12、13.紫外線発光セル。
14、15、16、17.電極。
18、19.誘電体層。
20.保護層。
21、22.ガラス基板。
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