JP2007113019A - 蛍光体の製造方法 - Google Patents

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Naoto Hirosaki
尚登 広崎
Kyota Ueda
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Abstract

【課題】 従来の希土類付活サイアロン蛍光体より長波長の橙色や赤色に発光する蛍光特性を有する無機蛍光体の製造方法を提供する。
【解決手段】 原料混合物を1200℃以下2200℃の温度、窒素を含有する不活性雰囲気で焼成することによって、CaSiAlN3結晶と同一の結晶構造を有する無機化合物を母体結晶とし、M(ただし、MはMn、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luから選ばれる1種または2種以上の元素)を発光中心として添加した固溶体結晶蛍光体であって、赤み成分に富む演色性の良い白色発光ダイオードの設計に供しうる蛍光体を製造する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、CaAlSiN3結晶相およびこの結晶と同一の結晶構造を有する無機化合物を主体とする蛍光体の製造方法に関する。さらに詳細には、570nm以上の長波長の蛍光を発光する蛍光体の製造方法に関する。
蛍光体は、蛍光表示管(VFD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、陰極線管(CRT)、白色発光ダイオード(LED)などに用いられている。これらのいずれの用途においても、蛍光体を発光させるためには、蛍光体を励起するためのエネルギーを蛍光体に供給する必要があり、蛍光体は真空紫外線、紫外線、電子線、青色光などの高いエネルギーを有した励起源により励起されて、可視光線を発する。しかしながら、蛍光体は前記のような励起源に曝される結果、蛍光体の輝度が低下するという問題があり、輝度低下のない蛍光体が求められている。そのため、従来のケイ酸塩蛍光体、リン酸塩蛍光体、アルミン酸塩蛍光体、硫化物蛍光体などの蛍光体に代わり、輝度低下の少ない蛍光体として、サイアロン蛍光体が提案されている。
このサイアロン蛍光体は、概略以下に述べるような製造プロセスによって製造される。まず、窒化ケイ素(Si34)、窒化アルミニウム(AlN)、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化ユーロピウム(Eu23)、を所定のモル比に混合し、1気圧(0.1MPa)の窒素中において1700℃の温度で1時間保持してホットプレス法により焼成して製造される(例えば、特許文献1参照)。このプロセスで得られるEuイオンを付活したαサイアロンは、450から500nmの青色光で励起されて550から600nmの黄色の光を発する蛍光体となることが報告されている。しかしながら、紫外LEDを励起源
とする白色LEDやプラズマディスプレイなどの用途には、黄色だけでなく橙色や赤色に発光する蛍光体も求められていた。また、青色LEDを励起源とする白色LEDにおいては、演色性向上のため橙色や赤色に発光する蛍光体が求められていた。
赤色に発光する蛍光体として、Ba2Si58結晶にEuを付活した無機物質(Ba2-xEuxSi58:x=0.14〜1.16)がこの出願前に係る学術文献(非特許文献1参照)に報告されている。さらに、刊行物「On new rare−earth doped M−Si−Al−O−N materials」(非特許文献2参照)の第2章には種々の組成のアルカリ金属とケイ素の3元窒化物、MxSiyz(M=Ca、Sr、Ba、Zn;x、y、zは種々の値)を母体とする蛍光体が報告されている。同様に、MxSiyz:Eu(M=Ca、Sr、Ba、Zn;z=2/3x+4/3y)が、米国特許6682663号(特許文献2)に報告されている。
別のサイアロン、窒化物、または酸窒化物蛍光体として、特開2003−206481(特許文献3)に、MSi35、M2Si47、M4Si611、M9Si1123、M16Si15632、M13Si18Al121836、MSi5Al2ON9、M3Si5AlON10(ただし、MはBa、Ca、Sr、または希土類元素)を母体結晶として、これにEuやCeを付活した蛍光体が知られており、これらの中には赤色に発光する蛍光体も報告されている。また、これらの蛍光体を用いたLED照明ユニットが知られている。さらに、特開2002−322474(特許文献4)には、Sr2Si58やSrSi710結晶にCeを付活した蛍光体が報告されている。
特開2003−321675(特許文献5)には、LxMyN(2/3x+4/3y):Z(LはCa、Sr、Baなどの2価元素、MはSi、Geなどの4価元素、ZはEuなどの付活剤)蛍光体に関する記載があり、微量のAlを添加すると残光を抑える効果があることが記載されている。また、この蛍光体と青色LEDとを組み合わせることによる、やや赤みを帯びた暖色系の白色の発光装置が知られている。さらに、特開2003−277746(特許文献6)には、LxMyN(2/3x+4/3y):Z蛍光体として種々のL元素、M元素、Z元素で構成した蛍光体が報告されている。特開2004−10786(特許文献7)には、L−M−N:Eu、Z系に関する幅広い組み合わせの記述があるが、特定の組成物や
結晶相を母体とする場合の発光特性向上の効果は示されていない。
以上に述べた特許文献2から7に代表される蛍光体は、2価元素と4価元素の窒化物を母体結晶とするものであり、種々の異なる結晶相を母体とする蛍光体が報告されており、赤色に発光するものも知られているが、青色の可視光での励起では赤色の発光輝度は十分ではなかった。また、組成によっては化学的に不安定であり、耐久性に問題があった。
H.A.Hoppe ほか4名"Journal of Physics and Chemistry of Solids" 2000年、61巻、2001〜2006ページ 「On new rare−earth doped M−Si−Al−O−N materials」J.W.H.van Krevel著、TU Eindhoven 2000、ISBN 90−386−2711−4 特開2002−363554号公報 米国特許第6682663号公報 特開2003−206481号公報 特開2002−322474号公報 特開2003−321675号公報 特開2003−277746号公報 特開2004−10786号公報
照明装置の従来技術として、青色発光ダイオード素子と青色吸収黄色発光蛍光体との組み合わせによる白色発光ダイオードが公知であり、各種照明用途に実用化されている。その代表例としては、特許第2900928号「発光ダイオード」(特許文献8)、特許第2927279号(特許文献9)「発光ダイオード」、特許第3364229号(特許文献10)「波長変換注型材料及びその製造方法並びに発光素子」などが例示される。これらの発光ダイオードで、特によく用いられている蛍光体は一般式(Y、Gd)3(Al、Ga)512:Ce3+で表さされる、セリウムで付活したイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体である。
しかしながら、青色発光ダイオード素子とイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体とから成る白色発光ダイオードは赤色成分の不足から青白い発光となる特徴を有し、演色性に偏りがみられるという問題があった。
このような背景から、2種の蛍光体を混合・分散させることによりイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体で不足する赤色成分を別の赤色蛍光体で補う白色発光ダイオードが検討された。このような発光ダイオードとしては、特開平10−163535(特許文献11)「白色発光素子」、特開2003−321675(特許文献5)「窒化物蛍光体及びその製造方法」などを例示することができる。しかし、これら発明においても演色性に関してまだ改善すべき問題点は残されており、その課題を解決した発光ダイオードが求められていた。特開平10−163535(特許文献11)に記載の赤色蛍光体はカドミウムを含んでおり、環境汚染の問題がある。特開2003−321675(特許文献5)に記載の、Ca1.97Si58:Eu0.03を代表例とする赤色発光蛍光体はカドミウムを含まないが、蛍光体の輝度が低いため、その発光強度についてはさらなる改善が望まれていた。
特許第2900928号 特許第2927279号 特許第3364229号 特開平10−163535号
本発明は、このような要望に応えようとするものであり、従来の希土類付活サイアロン蛍光体より長波長の橙色や赤色に発光する蛍光特性を有する無機蛍光体の製造方法を提供しようというものである。
本発明者らにおいては、かかる状況の下で、M(ただし、Mは、Mn、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luから選ばれる1種または2種以上の元素)と、A(ただし、AはMg、Ca、Sr、Baから選ばれる1種または2種以上の元素)と、D(ただし、DはSi、Ge、Snから選ばれる1種または2種以上の元素)と、E(ただし、EはB、Al、Ga、Inから選ばれる1種または2種以上の元素)と、X(ただし、XはO、N、Fから選ばれる1種または2種以上の元素)の元素を含有する窒化物や酸窒化物を主体とする無機化合物について鋭意研究を重ねた結果、特定の組成領域範囲および特定の結晶相を有するものは、570nm以上の波長の橙色や600nm以上の波長の赤色に発光する蛍光体となることを見出した。すなわち、CaAlSiN3結晶と同一の結晶構造を有する無機化合物を母体結晶とし、M(ただし、MはMn、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luから選ばれる1種または2種以上の元素)を発光中心として添加した固溶体結晶は橙色や赤色の発光を有する蛍光体となることを見出した。さらに、この蛍光体を用いることにより、赤み成分に富む演色性の良い白色発光ダイオードが得られることを見いだした。
前記したCaAlSiN3結晶自体は、この出願前にZHEN−KUN−HUANGらによって耐熱材料を希求するため、Si34−AlN−CaO系原料を焼成するプロセスにおいて生成することが確認された窒化物であって、その生成プロセス、生成機構については、この出願前に係る学術文献(非特許文献3参照)に詳細に報告されている。
ZHEN−KUN−HUANG ほか2名"Journal of Materials Science Letters" 1985年、4巻、255〜259ページ
このCaAlSiN3結晶自体は、前記したとおりサイアロンの研究過程において確認された経緯からも、前記文献に記載された報告内容は、耐熱特性について触れているだけであり、そこには本結晶に光学活性な元素を固溶させることおよび固溶した結晶を蛍光体として使用することについては全く記載するところはない。また、その後本発明にいたるまでの間、これを蛍光体として使用しようと検討されたことはなかった。すなわち、CaAlSiN3結晶相が、紫外線および可視光で励起され高い輝度の橙色や赤色発光を有する蛍光体として使用し得るという重要な発見は、本発明者らにおいて初めて見出したものである。この知見を基礎にしてさらに鋭意研究した結果、特定波長領域で高い輝度の発光現象を示す蛍光体とその製造方法を提供すること、及び、この蛍光体を使用することによって優れた特性を有する照明器具、画像表示装置を提供すること、さらには、顔料および紫外線吸収剤を提供することにも成功した。
これらの経過を踏まえてその成果を、平成16年2月18日に特許出願(特許願2004−41503号)し、さらに同年5月25日にこの特許出願を基礎として、特許法第41条第1項の規定による特許出願をした(国内優先権主張出願、特許願2004−154548号)をした。
本件出願は、前記特願2004−154548号を原出願とし、この出願に記載された発明の中、「蛍光体の製造方法」に係る発明を特許法第44条第1項の規定によって分割出願したものである。
すなわち、本件分割出願に係る発明は、以下(1)〜(20)に記載のとおりの構成を備えてなるものである。
(1) 金属化合物の混合物であって、少なくともM元素と、A元素と、D元
素と、E元素と、X元素(但し、Mは、Mn、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、から選ばれる1種または2種以上の元素、Aは、Mg、Ca、Sr、Baから選ばれる1種または2種以上の元素、Dは、Si、Ge、Snから選ばれる1種または2種以上の元素、EはB、Al、Ga、Inから選ばれる1種または2種以上の元素、Xは、O、N、Fから選ばれる1種または2種以上の元素)を含有する原料混合物を調製し、この原料混合物を窒素を含有する不活性雰囲気において1200℃以上2200℃以下の温度範囲で焼成することを特徴とする、該各元素を有し、明細書中で定義したCaSiAlN3の結晶構造と同一の結晶構造を有する無機化合物からなる蛍光体の製造方法。
(2) 金属化合物の混合物が、Mを含有する化合物と、Aを含有する化合物と、Dを含有する化合物と、Eを含有する化合物と、Xを含有する化合物とからなることを特徴とする前記(1)項に記載の蛍光体の製造方法。
(3) Mを含有する化合物が、Mを含有する金属、ケイ化物、酸化物、炭酸塩、窒化物、酸窒化物、塩化物、フッ化物、または酸フッ化物から選ばれる単体または2種以上の混合物であり、Aを含有する化合物が、Aを含有する金属、ケイ化物、酸化物、炭酸塩、窒化物、酸窒化物、塩化物、フッ化物、または酸フッ化物から選ばれる単体または2種以上の混合物であり、Dを含有する化合物が、金属、ケイ化物、酸化物、炭酸塩、窒化物、酸窒化物、塩化物、フッ化物、または酸フッ化物から選ばれる単体または2種以上の混合物であることを特徴とする前記(2)項に記載の蛍光体の製造方法。
(4) 金属化合物の混合物が、少なくとも窒化ユーロピウムと、窒化カルシウムと、窒化ケイ素と、窒化アルミニウムを含有することを特徴とする前記(2)項または(3)項に記載の蛍光体の製造方法。
(5) 金属化合物の混合物が、少なくとも酸化ユーロピウムと、窒化カルシウムと、窒化ケイ素と、窒化アルミニウムを含有することを特徴とする前記(2)項ないし(4)項のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
(6) 金属化合物の混合物が、少なくとも窒化ストロンチウムを含有することを特徴とする前記(4)項または(5)項のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
(7) 金属化合物の混合物が、少なくともカルシウムケイ化物もしくはストロンチウム
ケイ化物あるいはその両方を含有することを特徴とする前記(3)項ないし(6)項のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
(8) 窒素を含有する不活性雰囲気が0.1MPa以上100MPa以下の圧力範囲の窒素ガス雰囲気であることを特徴とする前記(1)項ないし(7)項のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
(9) 粉体または凝集体形状の金属化合物を、嵩密度40%以下の充填率に保持した状態で容器に充填した後に焼成することを特徴とする前記(1)項ないし(8)項のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
(10) 焼成に使う容器が窒化ホウ素製であることを特徴とする前記(9)項に記載の蛍光体の製造方法。
(11) 慨金属化合物の凝集体の平均粒径が500μm以下であることを特徴とする前記(9)項または(10)項に記載の蛍光体の製造方法。
(12)スプレイドライヤ、ふるい分け、または風力分級により、金属化合物の凝集体の平均粒径を500μm以下に制御することを特徴とする前記(1)項に記載の蛍光体の製造方法。
(13) 該焼結手段がホットプレスによることなく、専ら常圧焼結法もしくはガス圧焼結法による手段であることを特徴とする前記(1)項ないし(12)項のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
(14) 粉砕、分級、酸処理から選ばれる1種ないし複数の手法により、焼成により合成した蛍光体粉末の平均粒径を50nm以上20μm以下に粒度調整することを特徴とする前記(1)項ないし(13)項のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
(15) 焼成後の蛍光体粉末、あるいは粉砕処理後の蛍光体粉末、もしくは粒度調整後の蛍光体粉末を、1000℃以上で焼成温度以下の温度で熱処理することを特徴とする前記(1)項ないし(14)項のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
(16) 金属化合物の混合物に、焼成温度以下の温度で液相を生成する無機化合物を添加して焼成することを特徴とする前記(1)項ないし(15)項のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
(17) 焼成温度以下の温度で液相を生成する無機化合物が、Li、Na、K、Mg、Ca、Sr、Baから選ばれる1種または2種以上の元素のフッ化物、塩化物、ヨウ化物、臭化物、あるいはリン酸塩の1種または2種以上の混合物であることを特徴とする前記(16)項に記載の蛍光体の製造方法。
(18) 焼成温度以下の温度で液相を生成する無機化合物がフッ化カルシウムであることを特徴とする前記(16)項または(17)項に記載の蛍光体の製造方法。
(19) 焼成温度以下の温度で液相を生成する無機化合物を金属化合物の混合物100重量部に対し、0.1重量部以上10重量部以下の量を添加することを特徴とする前記(16)項ないし(18)項のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
(20) 焼成後に溶剤で洗浄することにより、焼成温度以下の温度で液相を生成する無機化合物の含有量を低減させることを特徴とする前記(16)項ないし(19)項のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
本発明の特有な構成をしてなる蛍光体の製造方法によって、CaAlSiN3で示される結晶あるいはそれと同一の結晶構造を持つ他の結晶相の固溶体を主成分として含有し、これによって従来のサイアロンや酸窒化物蛍光体より高い波長での発光を示し、橙色や赤色の蛍光体として作用する優れた蛍光体を提供することが出来るものである。すなわち、励起源に曝された場合でも、この蛍光体は、輝度が低下することなく、VFD、FED、PDP、CRT、白色LEDなどに好適に使用される有用な蛍光体となる窒化物を提供することが可能となったものでその意義は大きい。
以下、本発明の実施例に基づいて詳しく説明する。
本発明の蛍光体は、一般式CaAlSiN3で示される結晶相あるいはこの結晶と同一の結晶構造を持つ他の無機物質、あるいはこれらの結晶相の固溶体(以下、一般式CaAlSiN3で示される結晶相あるいはこの結晶と同一の結晶構造を持つ他の無機物質、あるいはこれらの結晶相の固溶体を以下ではCaAlSiN3属結晶と呼ぶ)を主成分として含んでなるものである。CaAlSiN3属結晶は、X線回折や中性子線回折により同定することができ、本発明で示すCaAlSiN3のX線回折結果と同一の回折を示す物質の他に、構成元素が他の元素と置き換わることにより格子定数が変化したものもCaA
lSiN3属結晶である。ここで、構成元素が他の元素で置き換わるものとは、
CaAlSiN3結晶中のCaが元素A(ただし、Aは、Mn、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Mg、Ca、Sr、Baから選ばれる1種または2種以上の元素)で、Siの位置が元素D(ただし、DはSi、Ge、Snから選ばれる1種または2種以上の元素)で、Alの位置が元素E(ただしEは、B、Al、Ga、Inから選ばれる1種または2種以上の元素)で、Nの位置が元素X(ただし、XはO、N、Fから選ばれる1種または2種以上の元素)で置換された結晶のことである。
CaAlSiN3結晶は斜方晶系で、格子定数は、a=9.8007(4)Å、b=5.6497(2)Å、c=5.0627(2)Åであり、X線回折が図1−1のチャートおよび表4の面指数を持つ結晶として特徴づけられる物質である。
本発明者が行ったCaAlSiN3結晶の結晶構造解析によれば、本結晶はCmc21(International Tables for Crystallographyの36番の空間群)に属し,表5に示す原子座標位置を占める。なお,空間群は収束電子線回折により決定し、原子座標はX線回折結果をリートベルト解析することにより決定
した。
この結晶はSi22O結晶(鉱物名sinoite)と類似の骨格を持つ。すなわち、Si22O結晶のSiの位置をSiおよびAlが占め、NおよびOの位置をNが占め、Si−N−Oで形成される骨格の空間にCaが侵入型元素として取り込まれた結晶であり、元素置換に伴い原子座標が表5に示す位置に変化した構造である。なお、SiとAlは不規則的に分布(ディスオーダー)した状態でSi22O結晶のSi位置を占める。そこで、本構造をsinoite型サイアロン構造と命名する。
本発明のCaAlSiN3属結晶は、X線回折や中性子線回折により同定することができ、本発明で示すCaAlSiN3のX線回折結果と同一の回折を示す物質の他に、構成元素が他の元素と置き換わることにより格子定数が変化したものもCaAlSiN3属結晶である。ここで、構成元素が他の元素で置き換わるものとは、CaAlSiN3結晶中のCaが元素Aで、Siの位置が元素Dで、Alの位置が元素Eで、Nの位置が元素Xで置換された結晶のことである。
CaAlSiN3属結晶は、その構成成分とするCaやSiやAlやNが他の元素で置き換わったり、Euなどの金属元素が固溶することによって格子定数は変化するが、結晶構造と原子が占めるサイトとその座標によって与えられる原子位置は骨格原子間の化学結合が切れるほどには大きく変わることはない。本発明では、X線回折や中性子線回折の結果をCmc21の空間群でリートベルト解析して求めた格子定数および原子座標から計算されたAl−NおよびSi−Nの化学結合の長さ(近接原子間距離)が、表5に示すCaAlSiN3の格子定数と原子座標から計算された化学結合の長さと比べて±15%以
内の場合は同一の結晶構造と定義してCaAlSiN3属結晶かどうかの判定を行う。この判定基準は、化学結合の長さが±15%を越えて変化すると化学結合が切れて別の結晶となるためである。
さらに、固溶量が小さい場合は、CaAlSiN3属結晶の簡便な判定方法として次の方法がある。新たな物質について測定したX線回折結果から計算した格子定数と表4の面指数を用いて計算した回折のピーク位置(2θ)が主要ピークについて一致したときに当該結晶構造が同じものと特定することができる。主要ピークとしては、回折強度の強い10本程度で判定すると良い。表4は、その意味でCaAlSiN3属結晶を特定する上において基準となるもので重要である。また、CaAlSiN3結晶の結晶構造を単斜晶系や六方晶系などの他の晶系を用いても近似的な構造を定義することができ、その場合異
なった空間群と格子定数および面指数を用いた表現となるが、X線回折結果に変わりはなく、それを用いた同定方法や同定結果も同一の物となる。このため、本発明では、斜方晶系としてX線回折の解析を行うものとする。この表4に基づく物質の同定方法については、後述実施例1において具体的に述べることとし、ここでは概略的な説明に留める。
CaAlSiN3属結晶に、M(ただし、Mは、Mn、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luから選ばれる1種または2種以上の元素)を付活すると蛍光体が得られる。CaAlSiN3属結晶の中で特に輝度が高いのは、AがCa、DがSi、EがAl、XがNの組み合わせであるCaAlSiN3結晶を母体とする蛍光体である。また、Caの一部をSrで置換した結晶であるCaxSr1-xAlSiN3(ただし、0.02≦x<1)結晶を母体とするものは、この範囲の組成でCaAlSiN3結晶を母体とするものより短波長の蛍光体となる。また、窒素と酸素を含む系を母体とするものは高温の空気中での耐久性に優れる。
本発明では、蛍光発光の点からは、その窒化物の構成成分たるCaAlSiN3属結晶は、高純度で極力多く含むこと、できれば単相から構成されていることが望ましいが、特性が低下しない範囲で他の結晶相あるいはアモルファス相との混合物から構成することもできる。この場合、CaAlSiN3属結晶の含有量が50質量%以上であることが高い輝度を得るために望ましい。本発明において主成分とする範囲は、CaAlSiN3属結晶の含有量が少なくとも50質量%以上である。
CaAlSiN3属結晶を母体結晶とし、M(ただし、Mは、Mn、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luから選ばれる1種または2種以上の元素)元素をCaAlSiN3属結晶の母体に固溶させることによって、これらの元素が発光中心として働き、蛍光特性を発現する。CaAlSiN3属結晶の中で、特に CaAlSiN3結晶が赤色の発光特性に優れる。また、Mの元素の内で特にEuは赤色の発光特性に優れる。
本発明ではCaAlSiN3属結晶であれば組成の種類を特に規定しないが、次の組成でCaAlSiN3属結晶の含有割合が高く、輝度が高い蛍光体が得られる。
M、A、D、E、Xの元素を含有し、その組成は組成式Mabcdeで示される。組成式とはその物質を構成する原子数の比であり、a、b、c、d、eに任意の数をかけた物も同一の組成である。従って、本発明ではa+b=1となるように、a、b、c、d、eを計算し直したものに対して以下の条件を決める。
本発明では、a、c、d、e、fの値は、
0.00001≦ a ≦0.1・・・・・・・・・・(i)
0.5≦ c ≦1.8・・・・・・・・・・・・・・(ii)
0.5≦ d ≦1.8・・・・・・・・・・・・・・(iii)
0.8×(1+c+d)≦ e・・・・・・・・・・・(iv)
e ≦ 1.2×(1+c+d)・・・・・・・・・・・(iv)
の条件を全て満たす値から選ばれる。
aは発光中心となる元素Mの添加量を表し、蛍光体中のMと(M+Ca)の原子数の比a(ただし、a=M/(M+Ca))が0.00001以上0.1以下となるようにするのがよい。a値が0.00001より小さいと発光中心となるMの数が少ないため発光輝度が低下する。a値が0.1より大きいとMイオン間の干渉により濃度消光を起こして輝度が低下する。
c値はSiなどのD元素の含有量であり、0.5≦ c ≦1.8で示される量である。さらに好ましくはc=1がよい。c値がこの値の範囲外では安定なCaAlSiN3属結晶が生成しないため発光強度が低下する。
d値はAlなどのE元素の含有量であり、0.5≦ d ≦1.8で示される量である。さらに好ましくはd=1がよい。d値がこの値の範囲外では安定なCaAlSiN3属結晶が生成しないため発光強度が低下する。
e値はNなどのX元素の含有量であり、0.8×(1+c+d)≦ e ≦ 1.2×(1+c+d)で示される量である。さらに好ましくは、e=3がよい。e値がこの値の範囲外では安定なCaAlSiN3属結晶が生成しないため発光強度が低下する。
以上の組成の中で、特に発光強度が高いものは、Ca、Si、Al、Nを含むものであり、CaAlSiN3結晶を母体とするものである。
酸素を含むCaAlSiN3属結晶を母体とするものは高温の空気中での耐久性に優れる。この場合、酸素の含有量は、0.5 ≦ N/(N+O) ≦ 1の範囲がよい。
CaとSrを含むCaAlSiN3属結晶を母体とするものは、本発明の蛍光体のなかでも比較的低い波長に発光ピークを持つ特徴があり、この波長範囲に発光が必要な用途においては適している。この場合、CaとSrの原子数の比が、0.02 ≦ Ca/(Ca+Sr) ≦ 0.8の組成で、Ca単体よりも低波長の発光が得られる。
本発明の蛍光体は、組成により励起スペクトルと蛍光スペクトルが異なり、これを適宜選択組み合わせることによって、さまざまな発光スペクトルを有してなるものに設定することができる。その態様は、用途に基づいて必要とされるスペクトルに設定すればよい。なかでも、CaAlSiN3相にEuを0.0001≦Eu/(Eu+Ca)≦0.1となる組成で添加したものは、200nmから600nmの範囲の波長の光で励起されたとき600nm以上680nmの範囲の波長にピークを持つ発光を示し、赤色の蛍光として優れた発光特性を示す。
本発明では、結晶相としてCaAlSiN3属結晶の単相から構成されることが望ましいが、特性が低下しない範囲内で他の結晶相あるいはアモルファス相との混合物から構成することもできる。この場合、CaAlSiN3属結晶の含有量が50質量%以上であることが高い輝度を得るために望ましい。本発明において主成分とする範囲は、CaAlSiN3属結晶の含有量が少なくとも50質量%以上である。CaAlSiN3属結晶の含有量の割合はX線回折測定を行い、CaAlSiN3属結晶とそれ以外の結晶相のそれぞれの相の最強ピークの強さの比から求めることができる。
本発明では、上記の他の結晶相あるいはアモルファス相として、導電性を持つ無機物質との混合物とすることができる。電子線励起の蛍光体では、導電性の付与は好ましい。導電性を持つ無機物質として、Zn、Zl、Ga、In、Snから選ばれる1種または2種以上の元素を含む酸化物、酸窒化物、または窒化物をあげることができる。
本発明の蛍光体を粉体として用いる場合は、樹脂への分散性や粉体の流動性などの点から平均粒径が0.1μm以上20μm以下が好ましい。また、粉体をこの範囲の単結晶粒子とすることにより、より発光輝度が向上する。
発光輝度が高い蛍光体を得るには、無機化合物に含まれる不純物は極力少ない方が好ましい。特に、Fe、Co、Ni不純物元素が多く含まれると発光が阻害されるので、これらの元素の合計が500ppm以下となるように、原料粉末の選定および合成工程の制御を行うとよい。
以上のようにして得られる本発明の蛍光体は、通常の酸化物蛍光体や既存のサイアロン蛍光体と比べて、電子線やX線、および紫外線から可視光の幅広い励起範囲を持つこと、570nm以上の橙色や赤色の発光をすること、特に特定の組成では600nmから680nmの赤色を呈することが特徴であり、CIE色度座標上の(x、y)の値で、0.45≦x≦0.7の範囲の赤色の発光を示す。以上の発光特性により、照明器具、画像表示装置、顔料、紫外線吸収剤に好適である。これに加えて、高温にさらしても劣化しないことから耐熱性に優れており、酸化雰囲気および水分環境下での長期間の安定性にも優れている。
本発明の蛍光体は製造方法を規定しないが、下記の方法で輝度が高い蛍光体を製造することができる。
金属化合物の混合物であって焼成することにより、M、A、D、E、Xで示される組成物(ただし、Mは、Mn、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luから選ばれる1種または2種以上の元素、Aは、Mg、Ca、Sr、Baから選ばれる1種または2種以上の元素、Dは、Si、Ge、Snから選ばれる1種または2種以上の元素、Eは、B、Al、Ga、Inから選ばれる1種または2種以上の元素、Xは、O、N、Fから選ばれる1種または2種以上の元素)を構成しうる原料混合物を、窒素を含有する不活性雰囲気中において1200℃以上2200℃以下の温度範囲で焼成することにより、高輝度蛍光体が得られる。
ここで、金属化合物の混合物を、Mを含有する化合物と、Aを含有する化合物と、Dを含有する化合物と、Eを含有する化合物と、Xを含有する化合物とすることができる。
Mを含有する化合物として、Mを含有する金属、ケイ化物、酸化物、炭酸塩、窒化物、酸窒化物、塩化物、フッ化物、または酸フッ化物を用いることができる。
Aを含有する化合物として、Aを含有する金属、ケイ化物、酸化物、炭酸塩、窒化物、酸窒化物、塩化物、フッ化物、または酸フッ化物を用いることができる。
Dを含有する化合物として、Dを含有する金属、ケイ化物、酸化物、炭酸塩、窒化物、酸窒化物、塩化物、フッ化物、または酸フッ化物を用いることができる。
Eを含有する化合物として、Eを含有する金属、ケイ化物、酸化物、炭酸塩、窒化物、酸窒化物、塩化物、フッ化物、または酸フッ化物を用いることができる。
なかでも、金属化合物の混合物が、窒化ユーロピウムまたは酸化ユーロピウムと、窒化カルシウムと、窒化ケイ素と、窒化アルミニウムを含有する組成では、安定なCaAlSiN3結晶が得られ、高い輝度の蛍光体が得られる。
また、ストロンチウムを含有する組成を合成する場合は、上記に加えて窒化ストロンチウムを添加すると結晶中のカルシウム原子の一部がストロンチウムで置換された安定な(Ca、Sr)AlSiN3結晶が得られ、高い輝度の蛍光体が得られる。
結晶中の窒素原子の一部を酸素で置換したCaAlSi(O、N)3を母体としてEuを付活した蛍光体を合成する場合、酸素含有量が少ない組成では、窒化ユーロピウムと、窒化カルシウムと、窒化ケイ素と、窒化アルミニウムの混合物の出発原料は、反応性が高く高収率の合成が可能であり、好ましい。この場合、酸素は、窒化ユーロピウムと、窒化カルシウムと、窒化ケイ素と、窒化アルミニウムの原料粉末に含まれる不純物の酸素が使用される。
CaAlSi(O、N)3を母体としてEuを付活した酸素含有量が多い蛍光体を合成する場合は、窒化ユーロピウムと酸化ユーロピウムのいずれか又は混合物と、窒化カルシウムまたは酸化カルシウムまたは炭酸カルシウムのいずれか又は混合物と、窒化ケイ素と、窒化アルミニウム又は窒化アルミニウムと酸化アルミニウムの混合物との混合物を出発原料とすると、反応性が高く高収率の合成が可能であり、好ましい。
CaまたはSrあるいは双方を含む(Ca、Sr)AlSiN3結晶を母体としてEuを付活した蛍光体を合成する場合は、Ca源としてカルシウムケイ化物を、Sr源としてストロンチウムケイ化物を用いると、大気中で混合処理が可能であり、生産性が向上する。
本発明では、必要に応じて、金属化合物の混合物に、焼成温度以下の温度で液相を生成する無機化合物を添加して焼成することができる。このような無機化合物としては、Li、Na、K、Mg、Ca、Sr、Baから選ばれる1種または2種以上の元素のフッ化物、塩化物、ヨウ化物、臭化物、あるいはリン酸塩の1種または2種以上の混合物
を挙げることができる。添加した無機化合物は、焼成温度で液相を生成し、金属化合物をぬらして反応を促進する。なかでも、フッ化カルシウムは反応促進効果が高い。無機化合物の添加量は、金属化合物100重量部に対して、0.1重量部以上10重量部以下がよい。0.1重量部より少ないと、反応促進効果が少なく。10重量部より多いと無機化合物が蛍光体中に残留して輝度を低下させるので好ましくない。蛍光体中への在留が多い場合は、焼成後に無機化合物を溶解する溶剤で洗浄して、無機化合物の含有量を低減させるとよい。
金属化合物の混合には、例えばボールミル、振動ミル、V型混合機、撹拌機等の通常工業的に用いられている装置を用いることが出来る。
上記の混合工程を終えた金属化合物の混合物は、粒径数μmの微粉末が数百μmから数mmの大きさに凝集した形態をなす(粉体凝集体と呼ぶ)。本発明では、粉体凝集体を嵩密度40%以下の充填率に保持した状態で焼成する。すなわち、本発明では、粉体に機械的な力を加えることなく、また予め金型などを用いて成形することなく、混合物の粉体凝集体の粒度をそろえたものを、そのままの状態で容器などに嵩密度40%以下の充填率で充填する。容器としては、金属化合物との反応性が低いことから、窒化ホウ素焼結体が適している。必要に応じて、該粉体凝集体を、ふるいなどを用いて、平均粒径500μm以
下に造粒して粒度制御することができる。また、スプレードライヤなどを用いて直接的に500μm以下の形状に造粒してもよい。
嵩密度を40%以下の状態に保持したまま焼成するのは、原料粉末の周りに自由な空間がある状態で焼成すると、反応生成物であるCaAlSiN3属結晶が自由な空間に結晶成長することにより結晶同士の接触が少なくなるため、表面欠陥が少ない結晶を合成することが出来るためである。これにより、輝度が高い蛍光体が得られる。嵩密度が40%を超えると焼成中に部分的に緻密化が起こって、緻密な焼結体となってしまい結晶成長の妨げとなり蛍光体の輝度が低下する。またCaAlSiN3属結晶の微細な粉体が得られない。また、粉体凝集体の大きさは500μm以下が、焼成後の粉砕性に優れるため特に好
ましい。
次に、得られた金属化合物の混合物を窒素を含有する不活性雰囲気中において1200℃以上2200℃以下の温度範囲で焼成することにより蛍光体を合成する。焼成に用いる炉は、焼成温度が高温であり焼成雰囲気が窒素を含有する不活性雰囲気であることから、金属抵抗加熱抵抗加熱方式または黒鉛抵抗加熱方式であり、炉の高温部の材料として炭素を用いた電気炉が好適である。焼成の手法は、常圧焼結法やガス圧焼結法などの外部から機械的な加圧を施さない焼結手法が、嵩密度を高く保ったまま焼成するために好ましい。
窒素を含有する不活性雰囲気として、窒素ガス、窒素とアルゴンの混合ガス、窒素と水素の混合ガス、アンモニアガスなどを挙げることができるが、通常は、窒素ガスが用いられる。ガスの圧力は、0.05MPa以上100MPa以下の圧力範囲が好ましい。0.05MPaより低いと原料の窒化ケイ素が分解し、100MPaより高いと工業的にコストが増大する。好ましくは、0.1MPa以上1MPa以下の窒素雰囲気が、生産性に優れる。焼成温度が、1200℃より低いと反応が十分には進まず、2200℃以上では粒成長が著しくなるため好ましくない。焼成温度は、好ましくは、1500℃以上1800℃以下で、輝度が高い蛍光体が得られる。
焼成して得られた粉体凝集体が固く固着している場合は、例えばボールミル、ジェットミル等の工場的に通常用いられる粉砕機により粉砕する。なかでも、ボールミル粉砕によれば高輝度の蛍光体が得られる。このとき使用するボールおよびポットは、窒化ケイ素焼結体またはサイアロン焼結体製が好ましい。粉砕は平均粒径20μm以下となるまで施す。特に好ましくは平均粒径0.05μm以上5μm以下である。平均粒径が20μmを超えると粉体の流動性と樹脂への分散性が悪くなり、発光素子と組み合わせて発光装置を形成する際に部位により発光強度が不均一になる。0.05μm以下となると、蛍光体粉体表面の欠陥量が多くなるため蛍光体の組成によっては発光強度が低下する。粉砕だけで目的の粒径が得られない場合は、分級を組み合わせることができる。分級の手法としては、篩い分け、風力分級、液体中での沈殿法などを用いることができる。
粉砕分級の一方法として酸処理を行っても良い。焼成して得られた粉体凝集体は、多くの場合、CaAlSiN3属結晶の単結晶が微量のガラス相を主体とする粒界相で固く固着した状態となっている。この場合、特定の組成の酸に浸すとガラス相を主体とする粒界相が選択的に溶解して、単結晶が分離する。これにより、それぞれの粒子が単結晶の凝集体ではなく、CaAlSiN3属結晶の単結晶1個からなる粒子として得られる。このような粒子は、表面欠陥が少ない単結晶から構成されるため、蛍光体の輝度が特に高くなる。
この処理に有効な酸として、フッ化水素酸、硫酸、塩酸、フッ化水素酸と硫酸の混合物を挙げることができる。中でも、フッ化水素酸と硫酸の混合物はガラス相の除去効果が高い。
以上の工程での微細な蛍光体粉末が得られるが、輝度をさらに向上させるには熱処理が効果的である。この場合は、焼成後の粉末、あるいは粉砕や分級により粒度調整された後の粉末を、1000℃以上で焼成温度以下の温度で熱処理することができる。1000℃より低い温度では、表面の欠陥除去の効果が少ない。焼成温度以上では粉砕した粉体どうしが再度固着するため好ましくない。熱処理に適した雰囲気は、蛍光体の組成により異なるが、窒素、空気、アンモニア、水素から選ばれる1種又は2種以上の混合雰囲気中を使用することができ、特に窒素雰囲気が欠陥除去効果に優れるため好ましい。
以上説明したように、本発明のCaAlSiN3属結晶蛍光体は、従来のサイアロン蛍光体より高い輝度を示し、励起源に曝された場合における蛍光体の輝度の低下が少ないので、VFD、FED、PDP、CRT、白色LEDなどに好適に有する蛍光体である。
本発明の照明器具は、少なくとも発光光源と本発明の蛍光体を用いて構成される。照明器具としては、LED照明器具、蛍光ランプなどがある。LED照明器具では、本発明の蛍光体を用いて、特開平5−152609、特開平7−99345、特許公報第2927279号などに記載されているような公知の方法により製造することができる。この場合、発光光源は330〜500nmの波長の光を発するものが望ましく、中でも330〜420nmの紫外(または紫)LED発光素子または420〜500nmの青色LED発光素子が好ましい。
これらの発光素子としては、GaNやInGaNなどの窒化物半導体からなるものがあり、組成を調整することにより、所定の波長の光を発する発光光源となり得る。
照明器具において本発明の蛍光体を単独で使用する方法の他に、他の発光特性を持つ蛍光体と併用することによって、所望の色を発する照明器具を構成することができる。この一例として、330〜420nmの紫外LED発光素子とこの波長で励起され420nm以上480nm以下の波長に発光ピークを持つ青色蛍光体と、500nm以上550nm以下の波長に発光ピークを持つ緑色蛍光体と本発明の蛍光体の組み合わせがある。このような青色蛍光体としてはBaMgAl1017:Euを、緑色蛍光体としてはBaMgAl1017:Eu、Mnを挙げることができる。この構成では、LEDが発する紫外線が蛍光体に照射されると、赤、緑、青の3色の光が発せられ、これの混合により白色の照明器具となる。
別の手法として、420〜500nmの青色LED発光素子とこの波長で励起されて550nm以上600nm以下の波長に発光ピークを持つ黄色蛍光体および本発明の蛍光体との組み合わせがある。このような黄色蛍光体としては、特許第2927279号に記載の(Y、Gd)2(Al、Ga)512:Ceや特開2002−363554に記載のα−サイアロン:Euを挙げることができる。なかでもEuを固溶させたCa−α−サイアロンが発光輝度が高いのでよい。この構成では、LEDが発する青色光が蛍光体に照射されると、赤、黄の2色の光が発せられ、これらとLED自身の青色光が混合されて白色または赤みがかった電球色の照明器具となる。
別の手法として、420〜500nmの青色LED発光素子とこの波長で励起されて500nm以上570nm以下の波長に発光ピークを持つ緑色蛍光体および本発明の蛍光体との組み合わせがある。このような緑色蛍光体としては、Y2Al512:Ceを挙げることができる。この構成では、LEDが発する青色光が蛍光体に照射されると、赤、緑の2色の光が発せられ、これらとLED自身の青色光が混合されて白色の照明器具となる。
本発明の画像表示装置は少なくも励起源と本発明の蛍光体で構成され、蛍光表示管(VFD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、陰極線管(CRT)などがある。本発明の蛍光体は、100〜190nmの真空紫外線、190〜380nmの紫外線、電子線などの励起で発光することが確認されており、これらの励起源と本発明の蛍光体との組み合わせで、上記のような画像表示装置を構成することができる。
本発明の無機化合物は赤色の物体色を持つことから赤色顔料または赤色蛍光顔料として使用することができる。本発明の無機化合物に太陽光や蛍光灯などの照明を照射すると赤色の物体色が観察され、発色がよいことおよび長期間に渡り劣化しないため無機顔料に好適である。さらに、本発明の窒化物は紫外線を吸収するため紫外線吸収剤としても好適である。
次に本発明を以下に示す実施例によってさらに詳しく説明するが、これはあくまでも本発明を容易に理解するための一助として開示したものであって、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
実施例1;
原料粉末は、平均粒径0.5μm、酸素含有量0.93重量%、α型含有量92%の窒化ケイ素粉末、比表面積3.3m2/g、酸素含有量0.79%の窒化アルミニウム粉末、窒化カルシウム粉末、金属ユーロピウムをアンモニア中で窒化して合成した窒化ユーロピウムを用いた。
組成式Eu0.008Ca0.992AlSiN3で示される化合物(表1に設計組成のパラメータ、表2に設計組成の質量%表示、表3に原料粉末の混合組成を示す。)を得るべく、窒化ケイ素粉末と窒化アルミニウム粉末と窒化カルシウム粉末と窒化ユーロピウム粉末とを、各々33.8578重量%、29.6814重量%、35.4993重量%、0.96147重量%となるように秤量し、メノウ乳棒と乳鉢で30分間混合を行なった後に、得られた混合物を、500μmのふるいを通して窒化ホウ素製のるつぼに自然落下させて、るつぼに粉末を充填した。粉体の嵩密度は約25%であった。なお、粉末の秤量、混合、成形の各工程は全て、水分1ppm以下酸素1ppm以下の窒素雰囲気を保持することができるグローブボックス中で操作を行った。
この混合粉末を窒化ホウ素製のるつぼに入れて黒鉛抵抗加熱方式の電気炉にセットした。焼成の操作は、まず、拡散ポンプにより焼成雰囲気を真空とし、室温から800℃まで毎時500℃の速度で加熱し、800℃で純度が99.999体積%の窒素を導入して圧力を1MPaとし、毎時500℃で1800℃まで昇温し、1800℃で2時間保持して行った。
焼成後、この得られた焼成体を粗粉砕の後、窒化ケイ素焼結体製のるつぼと乳鉢を用いて手で粉砕し、30μmの目のふるいを通した。粒度分布を測定したところ、平均粒径は15μmであった。
得られた合成粉末の構成結晶を以下のような手順によって同定した。先ず、標準物質となるM元素を含まない純粋なCaAlSiN3を得るべく、窒化ケイ素粉末と窒化アルミニウム粉末と窒化カルシウム粉末を、各々34.088重量%、29.883重量%、36.029重量%、となるように秤量し、メノウ乳棒と乳鉢で30分間グローブボックス中で混合を行なった後に、窒化ホウ素製のるつぼに入れて黒鉛抵抗加熱方式の電気炉にセットした。焼成の操作は、まず、拡散ポンプにより焼成雰囲気を真空とし、温室から800℃まで毎時500℃の速度で加熱し、800℃で純度が99.999体積%の窒素を導入して圧力を1MPaとし、毎時500℃で1800℃まで昇温し、1800℃で2時間保持して行った。合成した試料をメノウの乳鉢を用いて粉砕し、CuのKα線を用いた粉末X線回折測定を行った。その結果、得られたチャートは図1−1に示すパターンを示し、表4に示す指数付けにより、CaAlSiN3相であると判定された。この結晶は斜方晶系で、格子定数は、a=9.8007(4)Å、b=5.6497(2)Å、c=5.0627(2)Åである。TEMを用いた収束電子線回折により決定した空間群はCmc21(International Tables for Crystallographyの36番の空間群)である。さらに、この空間群を用いてリートベルト解析により決定した各元素の原子座標位置は表5に示す通りである。X線回折の測定強度と原子座標からリートベルト法で計算した計算強度は表4に示すようによい一致を示す。
次に、合成した組成式Eu0.008Ca0.992AlSiN3で示される化合物をメノウの乳鉢を用いて粉砕し、CuのKα線を用いた粉末X線回折測定を行った。その結果、得られたチャートは図1−2であり、表4に示す指数付けにより、CaAlSiN3相であると判定された。
この粉末の組成分析を下記方法で行った。まず、試料50mgを白金るつぼに入れて、炭酸ナトリウム0.5gとホウ酸0.2gを添加して加熱融解した後に、塩酸2mlに溶かして100mlの定容として測定用溶液を作製した。この液体試料をICP発光分光分析することにより、粉体試料中の、Si,Al、Eu、Ca量を定量した。また、試料20mgをスズカプセルに投入し、これをニッケルバスケットに入れたものを、LECO社製TC−436型酸素窒素分析計を用いて、粉体試料中の酸素と窒素を定量した。測定結果は、Eu:0.86±0.01質量%、Ca:28.9±0.1質量%、Si:20.4±0.1質量%、Al:19.6±0.1質量%、N:28.3±0.2質量%、O:2.0±0.1質量%であった。表2に示す設計組成における質量%表示と比べると、特に酸素含有量が高い。この理由は、原料として用いた窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化カルシウムに含まれる不純物酸素が原因である。この組成では、NとOの原子数の比N/(O+N)は0.942に相当する。全元素の分析結果から計算した合成した無機化合物の組成は、Eu0.0078Ca0.9922Si0.9997Al0.99962.7820.172である。本発明は、Nの一部がOで置換されたものも発明の範囲に含み、その場合に置いても、高い輝度の赤色蛍光体が得られる。
この粉末に、波長365nmの光を発するランプで照射した結果、赤色に発光することを確認した。この粉末の発光スペクトル(図2)および励起スペクトル(図3)を蛍光分光光度計を用いて測定した結果、励起および発光スペクトルのピーク波長(表5)は449nmに励起スペクトルのピークがあり449nmの励起による発光スペクトルにおいて、653nmの赤色光にピークがある蛍光体であることが分かった。ピークの発光強度は、10655カウントであった。なおカウント値は測定装置や条件によって変化するため単位は任意単位である。また、449nmの励起による発光スペクトルから求めたCIE色度は、x=0.6699、y=0.3263の赤色であった。
比較例1;
実施例1に記載の原料粉末を用い、M元素を含まない純粋なCaAlSiN3を得るべく、窒化ケイ素粉末と窒化アルミニウム粉末と窒化カルシウム粉末を、各々34.088重量%、29.883重量%、36.029重量%、となるように秤量し、実施例1と同じ方法で粉末を作製した。X線回折測定によれば合成した粉末は、CaAlSiN3であることが確認された。合成した無機化合物の励起および発光スペクトルを測定したところ570nmから680nmの範囲に顕著な発光のピークは見られなかった。
実施例2〜7;
実施例2〜7として、Caの一部または全てをBaで置き換えた組成の無機化合物を作製した。
表1、表2、表3に示す組成の他は実施例1と同様の手法で無機化合物を作製した。X線回折測定によれば合成した粉末は、CaAlSiN3と同一の結晶構造を持つ無機化合物であることが確認された。合成した無機化合物の励起および発光スペクトルを測定したところ図2、図3、および表5に示す様に、350nmから600nmの紫外線および可視光で励起されて、570nmから680nmの範囲に発光のピークを持つ赤色の蛍光体であることが確認された。なお、Ba添加量が多くなると発光輝度が低下するため、Ba添加量は少ない領域の組成が好ましい。
実施例8〜15;
実施例8〜15として、Caの一部または全てをSrで置き換えた組成の無機化合物を作製した。
表1、表2、表3に示す組成の他は実施例1と同様の手法で蛍光体を作製した。X線回折測定によれば合成した粉末は、CaAlSiN3と同一の結晶構造を持つ無機化合物であることが確認された。合成した無機化合物の励起および発光スペクトルを測定したところ図4、図5(実施例8〜11)、図6、図7(実施例12〜15)、および表5に示す様に、350nmから600nmの紫外線および可視光で励起されて、570nmから680nmの範囲に発光のピークを持つ赤色の蛍光体であることが確認された。なお、Sr添加量が多くなると発光輝度が低下するが、発光のピーク波長がCa単独添加よりも低波長側に移動するので、600nmから650nmの範囲にピーク波長を持つ蛍光体を得たい場合は、Caの一部をSrで置換することは有効である。
実施例16〜25;
実施例16〜25として、Caの一部または全てをMgで置き換えた組成の無機化合物を作製した。
表1、表2、表3に示す組成の他は実施例1と同様の手法で蛍光体を作製した。X線回折測定によれば合成した粉末は、CaAlSiN3と同一の結晶構造を持つ無機化合物であることが確認された。合成した無機化合物の励起および発光スペクトルを測定したところ図8、図9、および表5に示す様に、350nmから600nmの紫外線および可視光で励起されて、570nmから680nmの範囲に発光のピークを持つ赤色の蛍光体であることが確認された。なお、Mg添加量が多くなると発光輝度が低下するため、Mg添加量は少ない領域の組成が好ましい。
実施例26〜30;
実施例26〜30として、Nの一部をOで置き換えた組成の無機化合物を作製した。この場合、NとOとでは価数が異なるため単純な置き換えでは全体の電荷が中性とならない。そこで、Si−NをAl−Oで置き換えた組成である、Ca6Si6-xAl6+xx18-x(0<x≦3)組成を検討した。
表6、表7に示す組成の他は実施例1と同様の手法で蛍光体を作製した。X線回折測定によれば合成した粉末は、CaAlSiN3と同一の結晶構造を持つ無機化合物であることが確認された。合成した無機化合物の励起および発光スペクトルを測定したところ図10、図11に示す様に、350nmから600nmの紫外線および可視光で励起されて、570nmから680nmの範囲に発光のピークを持つ赤色の蛍光体であることが確認された。なお、酸素添加量が多くなると発光輝度が低下するため、酸素添加量は少ない領域の組成が好ましい。
実施例31〜37;
実施例1と同じ原料粉末を用いて、無機化合物(表8に原料粉末の混合組成、表9に組成パラメータを示す)を得るべく、窒化ケイ素粉末と窒化アルミニウム粉末と窒化カルシウム粉末と窒化ユーロピュウム粉末とを秤量し、メノウ乳棒と乳鉢で30分間混合を行なった後に、得られた混合物を、金型を用いて20MPaの圧力を加えて成形し、直径12mm、厚さ5mmの成形体とした。なお、粉末の秤量、混合、成形の各工程は全て、水分1ppm以下酸素1ppm以下の窒素雰囲気を保持することができるグローブボックス中で操作を行った。
この成形体を窒化ホウ素製のるつぼに入れて黒鉛抵抗加熱方式の電気炉にセットした。焼成の操作は、まず、拡散ポンプにより焼成雰囲気を真空とし、温室から800℃まで毎時500℃の速度で加熱し、800℃で純度が99.999体積%の窒素を導入して圧力を1MPaとし、毎時500℃で1800℃まで昇温し、1800℃で2時間保持して行った。焼成後、得られた焼結体の構成結晶を同定した結果、CaAlSiN3相であると判定された。この粉末に、波長365nmの光を発するランプで照射した結果、赤色に発光することを確認した。この粉末の発光スペクトルおよび励起スペクトルを蛍光分光光度計を用いて測定した結果、表10に示す様に、350nmから600nmの紫外線および可視光で励起されて、570nmから680nmの範囲に発光のピークを持つ赤色の蛍光体であることが確認された。Euの添加量はa値が0.002〜0.03の範囲が最適であり、これより少なくても多くても発光強度が低下する。なお、本実施例は他の実施例と異なる装置で測定したため、カウント値は、実施例31〜37の範囲でしか比較できない。
次ぎに、本発明の窒化物からなる蛍光体を用いた照明器具について説明する。図12に、照明器具としての白色LEDの概略構造図を示す。発光素子として450nmの青色LED2を用い、本発明の実施例1の蛍光体と、Ca0.75Eu0.25Si8.625A13.3751.12514.875の組成を持つCa−α−サイアロン:Euの黄色蛍光体とを樹脂層に分散させて青色LED2上にかぶせた構造とする。導電性端子に電流を流すと、該LED2は450nmの光を発し、この光で黄色蛍光体および赤色蛍光体が励起されて黄色および赤色の光を発し、LEDの光と黄色および赤色が混合されて電球色の光を発する照明装置として機能する。
上記配合とは異なる配合設計によって作製した照明装置を示す。先ず、発光素子として380nmの紫外LEDを用い、本発明の実施例1の蛍光体と、青色蛍光体(BaMgAl1017:Eu)と緑色蛍光体(BaMgAl1017:Eu、Mn)とを樹脂層に分散させて紫外LED上にかぶせた構造とする。導電性端子に電流を流すと、LEDは380nmの光を発し、この光で赤色蛍光体と緑色蛍光体と青色蛍光体が励起されて赤色と緑色と青色の光を発する。これらの光が混合されて白色の光を発する照明装置として機能する。
上記配合とは異なる配合設計によって作製した照明装置を示す。先ず、発光素子として450nmの青色LEDを用い、本発明の実施例1の蛍光体と、緑色蛍光体(BaMgAl1017:Eu、Mn)とを樹脂層に分散させて紫外LED上にかぶせた構造とする。導電性端子に電流を流すと、LEDは450nmの光を発し、この光で赤色蛍光体と緑色蛍光体が励起されて赤色と緑色の光を発する。LEDの青色光と緑色および赤色が混合されて白色を発する照明装置として機能する。
次ぎに、本発明の蛍光体を用いた画像表示装置の設計例について説明する。図13は、画像表示装置としてのプラズマディスプレイパネルの原理的概略図である。本発明の実施例1の赤色蛍光体と緑色蛍光体(Zn2SiO4:Mn)および青色蛍光体(BaMgAl1017:Eu)がそれぞれのセル11、12、13の内面に塗布されている。電極14、15、16、17に通電するとセル中でXe放電により真空紫外線が発生し、これにより蛍光体が励起されて、赤、緑、青の可視光を発し、この光が保護層20、誘電体層19、ガラス基板22を介して外側から観察され、画像表示として機能する。
本発明の窒化物蛍光体は、従来のサイアロンや酸窒化物蛍光体より高い波長での発光を示し、赤色の蛍光体として優れ、さらに励起源に曝された場合の蛍光体の輝度の低下が少ないので、VFD、FED、PDP、CRT、白色LEDなどに好適に使用される窒化物蛍光体である。今後、各種表示装置における材料設計において、大いに活用され、産業の発展に寄与することが期待できる。
無機化合物(実施例1)のX線回折チャート。 無機化合物(実施例1)のX線回折チャート。 無機化合物蛍光体(実施例1〜7)の発光スペクトルを示す図。 無機化合物蛍光体(実施例1〜7)の励起スペクトルを示す図。 無機化合物蛍光体(実施例8〜11)の発光スペクトルを示す図。 無機化合物蛍光体(実施例8〜11)の励起スペクトルを示す図。 無機化合物蛍光体(実施例12〜15)の発光スペクトルを示す図。 無機化合物蛍光体(実施例12〜15)の励起スペクトルを示す図。 無機化合物蛍光体(実施例16〜25)の発光スペクトルを示す図。 無機化合物蛍光体(実施例16〜25)の励起スペクトルを示す図。 無機化合物蛍光体(実施例26〜30)の発光スペクトルを示す図 。 無機化合物蛍光体(実施例26〜30)の励起スペクトルを示す図 。 本発明による照明器具(LED照明器具)の概略図。 本発明による画像表示装置(プラズマディスプレイパネル)の概略 図。
符号の説明
1.本発明の赤色蛍光体(実施例1)と黄色蛍光体との混合物、または本発明の赤色蛍光体(実施例1)と青色蛍光体と緑色蛍光体との混合物。
2.LEDチップ。
3、4.導電性端子。
5.ワイヤーボンド。
6.樹脂層。
7.容器。
8.本発明の赤色蛍光体(実施例1)。
9.緑色蛍光体。
10.青色蛍光体。
11、12、13.紫外線発光セル。
14、15、16、17.電極。
18、19.誘電体層。
20.保護層。
21、22.ガラス基板。

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