JP2014152282A - 球形状蓄光材の製造方法及びプラズマトーチ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電磁弁12を開き真空ポンプで冷却室内の空気を除去した後、電磁弁13を開き不活性ガスを冷却室に注入する。冷却室11の圧力が上がると電磁弁14を開き不活性ガスの外部放出を開始する。次にプラズマ発生用ガスを注入し、リング状陰極4と陽極3の間に電圧を印加するとプラズマジェット火炎Pが発生する。その後、蓄光粒子を上部から投入すると、投入された蓄光粒子は最も高温状態のプラズマの中心部から外れることなく移動せしめる間に溶融され、その後冷却室11に落下していく。プラズマ中心部の超高温の熱で溶融された粒子は冷却室11で急冷され、球状の粒子15となり冷却室11の底部に溜まっていく。プラズマ溶融処理が完了した後は、冷却室の底板16を開けて球状化した蓄光粒子15を取り出す事で作業は完了となる。
【選択図】図22
Description
また、本発明は上記の球形状蓄光材の製造などに適したプラズマトーチに関する。
一般的な蓄光材の製造方法は、蓄光材原料を秤量〜混合した後、高温で焼結し、最後に焼結した塊を機械的に粉砕する事で蓄光材粉末を作製している。この時蓄光材粉末は多数の角を持った多面体形状をしていると共に蓄光材自身の硬度が高いため、透明樹脂と混ぜて射出成型しようとすると、射出成型機の金属スクリュー部や成形金型へ通じる金属通路部等に於いて、金属の表面を削り取り金属部を摩耗させると共に金属の黒色摩耗粉が製品に混入し、蓄光製品の性能を大幅に劣化させるという大きな問題がある。
同じく、セラミックス材料を球状化させる製造方法として、特許文献3にその製造方法が開示されている。又、特許文献6にはプラズマを旋回させるプラズマトーチの構造が開示されている。
蓄光のメカニズムは、図1で示す様にSrAl2O4の結晶母体に固溶されたEu2+が光(紫外線)エネルギーを吸収し、4f準位にある電子が5d準位に励起され、励起により生じた正孔が、価電子帯を移動して賦活助剤として導入したDy3+に捕獲され蓄光される事になる。
但し、賦活助剤であるDy2O3の固溶に関しては、置換原子であるSrとDyのイオン半径の差が大きく、且つSrが+2価に対しDyが+3価と異なるため限界があり、大量に固溶させる事が出来ないという蓄光材の基本的課題がある。
但し、設備が大型で高価格なため、蓄光材の球状化の様な単純な用途での使用は難しく、ナノ粒子の作製等の限られた分野で用いられているのが現状である。
具体的には、高電圧型の直流プラズマトーチを用いた層流を形成した熱プラズマ中に余熱したセラミックスビーズを投入する事で、ビーズ表面が平滑で、ビーズ内部の空洞欠陥が少ない球状化したセラミックスビーズの作製方法が記載されている。但し、本発明で求める残光性に優れた高輝度な球形状蓄光材を作製する製造方法としては不適である。
不適な理由の二つ目は、プラズマ中心の高温部に滞在する時間が僅かでセラミックスビーズの表層部だけ溶融し、中心部は溶融出来ないため、本発明の様に球状粒子の中心部を空洞化し且つ空洞周辺部の微細な気孔を無くす事は難しい事による。特許文献3では、耐摩耗性の高いビーズを求めているため、逆に、中心部まで溶融すると、内部に空洞が発生し、機械的な剛性が悪くなる。
特許文献4及び特許文献5の様に、蓄光粒子をプラズマジェットの外側から投入する方式では、投入した材料の約50%程度はプラズマジェット火炎の外側で跳ね飛ばされ、プラズマジェット内部には約50%程度しか入れない事になる。
更に、プラズマジェット内部に入った材料も超高温のプラズマ中心部には入れずに、1500℃〜2000℃程度のプラズマ周辺部に留まるため、大粒径の材料の溶融は難しい事になる。
図8及び図9を用いてプラズマ発生のメカニズムを説明する。
即ち、プラズマ発生用のガスを図9の導入孔を通過させる事で高速旋回させ、高速旋回したガスを放電空間に注入する事で多くのガスを放電電流の近くを通過させ、放電空間内部でのプラズマを均一にさせる事で解決している。
特に、蓄光粒子の場合には比重が3.4前後と小さいため旋回するガス流の影響で溶融した蓄光粒子が陽極放電面に付着し易いので大きな問題となる。
上記の様な致命的なトラブルを解決する方法としては、プラズマ発生用のガスを旋回させず且つ前記プラズマガス室壁面と前記陽極放電面の交点に於いて渦を発生させず放電空間部に注入する事で、陽極放電面に沿って乱れの少ない強い流れを発生させると共に放電電流を放電空間の中心軸廻りに回転させる方法が考えられる。放電電流を回転出来れば放電空間部に注入されたプラズマ発生用のガスをすべてプラズマ化出来ると共に溶融した蓄光粒子が陽極放電面に付着する事を防ぐ事が可能となる。
この場合、プラズマ発生用に使用するガスとしてはArガスとH2ガスの混合ガスが使用されているが、製造時のランニングコストを安くする上ではArガスに替わってN2ガスの使用が求められているが、N2ガスを使用すると電極の消耗(蒸発)が更に激しくなるためにNGとなる。
上記の様な問題を解決するためにも、放電電流を放電空間の中心軸廻りに回転させる必要がある。
もし、特許文献6でプラズマ発生用のガスを旋回させているとすると、被溶融材料の一部が陽極放電面に付着していく事になる。この時、被溶融材料が導電性のある金属系の材料であれば放電が阻害されるという問題は発生しないが、蓄光粒子の様な非導電性の材料の場合には放電が阻害されるという大きな問題が発生する。
更に特許文献6でプラズマ発生用のガスを旋回させていないとしても、図10で示す様にプラズマガス室壁面と陽極放電面の交点であるB点における両者の傾斜角度が大きく異なるため、プラズマ発生用のガスがプラズマガス室から放電空間に流れ入る際に、急激な流れの変化により渦を発生し、結果的に被溶融材料の一部が放電空間の中心軸から外れて陽極放電面に付着していく事になる。
即ち、被溶融材料が陽極放電面に付着するという致命的なトラブルを解決するためには、プラズマ発生用のガスを旋回させず且つ前記プラズマガス室壁面と前記陽極放電面の交点Bに於いて渦を発生させず放電空間部に注入する事が必須要件となる。
この時のリング状陰極凸部から凸部前方25mmまでの距離に於ける磁束密度を計算した結果が図12である。この時の磁束密度の値は、放電空間の中心軸に直交する方向の磁束密度の値であり、2個の磁石の中間点では磁束密度が0ガウスとなり、その右領域では磁束密度の値が正の値を取り、その左の領域では磁束密度の値が負の値を取っている。この場合、放電空間部の中心軸に直交し且つ磁石から中心軸に向かう磁束を正の値で表わし、逆に中心軸から磁石に向かう磁束を負の値で表わしている。
この事は磁束密度が0ガウスとなる磁石の中間点を境に、放電電流を回転させる回転方向が逆になるという事である。このため、放電電流回転が不安定になり、最終的には放電が途切れてしまう事になる。
勿論、プラズマ出力を小さくすると、陽極点が磁石の中間点より右側に移動し、陰極点と陽極点の両方が磁石の中間点より右側になるため、放電電流の逆回転が発生しないが、プラズマ出力を大きくしていくと陽極点が磁石の中間点より左側に移動するため放電電流の逆回転が発生し、放電電流回転が不安定になり、最終的には放電が途切れてしまうという課題が残されている。
この時のリング状陰極凸部から凸部前方25mmまでの距離に於ける磁束密度を計算した結果が図14である。この時の磁束密度の値については図12と同様に、放電空間の中心軸に直交する方向の磁束密度の値であり、2個の磁石の左右端では磁束密度が0ガウスとなり、2個の磁石の右端の右領域では磁束密度の値が正の値を取り、その左の領域では磁束密度の値が負の値を取っている。この事は磁束密度が0ガウスとなる2個の磁石の右端を境に、放電電流を回転させる回転方向が逆になるという事である。このため、放電電流回転が不安定になり、最終的には放電が途切れてしまうという課題が残されている。
蓄光材の基本的課題を解決するため、本発明ではプラズマ中心部の超高温の熱で蓄光材粒子を溶融させ、その後、急冷させる手段を採用した。
結晶母体をSrAl2O4とした時に、結晶母体中に賦活助剤であるDy2O3を大量に固溶させる一つの方法は温度を上げて行く事である。温度が上がれば上がるほど固溶量が増える訳であるが、冷却に伴って再び固溶量が減少するため、ゆっくりした冷却方法では効果が無い事になるが、本発明の様にプラズマ中心部の超高温の熱で蓄光材粒子を溶融させ、その後、急冷させると、過飽和固溶が発生する。即ち、固溶したDyが析出する時間がなく、固溶したまま結晶母体中に存在する事になり、結果的に、蓄光材の性能を左右する賦活助剤(Dy2O3)を蓄光材の結晶母体中に大量に固溶させる事が可能となる。
プラズマトーチの課題を解決するため、本発明のプラズマトーチの基本構造は、
中央部に貫通穴を持ち且つ外周に凸部の放電部を持つリング状陰極と前記リング状陰極の凸部前方に逆テーパ状に絞られた形状の放電空間部を形成する陽極放電面を設け、両電極間に電圧を印加する事で放電電流を発生させ、発生した放電電流を放電空間の径方向外側に配置した磁石により放電空間の中心軸廻りに回転せしめ、更に前記リング状陰極の凸部後方にプラズマガス室を設け、前記プラズマガス室を経由したプラズマ発生用のガスを前記リング状陰極外周部より前記放電空間部に注入する事でプラズマを発生させる事を特徴とするプラズマトーチを利用し、前記リング状陰極の中央部の貫通穴より前記放電空間の中心軸に沿って蓄光材粒子を前記リング状陰極の凸部後方からプラズマ中に投入する事で、プラズマ中心部の超高温の熱で蓄光材粒子を溶融させ、その後、急冷させる球形状蓄光材の製造方法において、プラズマ発生用のガスを旋回させず且つ前記プラズマガス室壁面と前記陽極放電面の交点に於いて渦を発生させず放電空間部に注入する事で、溶融した蓄光材粒子が陽極放電面に付着するのを防ぐ構造としている。
更に、プラズマ出力の変化に応じて放電の向きを変える放電電流と磁界の作用により生じる放電電流の回転が全てのプラズマ出力範囲で同一回転方向になり且つ前記リング状陰極凸部の放電部において 前記放電空間部の中心軸と直交する方向の磁束密度が100ガウス以上になる様な磁石構造及び磁石配置を行う構造としている。
放電電流回転力は放電電流I×磁束Hに比例するため、特に、放電電流Iが小さい場合には、放電電流回転力が小さくなり、放電電流回転が不安定になる。この様な不具合を解決するためにも、リング状陰極凸部の磁束Hを大きくする必要があり、最低でも100ガウス以上の磁束密度が必要となる。
図15(a)は径方向に着磁したリング状磁石を用いた一つ目の事例であり、(b)はリング状磁石を軸方向から見た図であり、内径側がN極、外径側がS極という磁石構造にしている。
一つの設計例として図15で示す様に磁石の内径を40mm、外径を80mm、長さを55mmとして、リング状陰極凸部の放電開始点(陰極点)と陽極の放電到達点(陽極点)の最大距離を25mmとし、リング状陰極凸部の放電開始点(陰極点)が磁石の中央部付近にくる様に設計した構造である。この時のリング状陰極凸部から凸部前方25mmまでの距離に於ける磁束密度を計算した結果が図16である。この時の磁束密度の値とは、放電空間の中心軸に直交する方向の磁束密度の値であり、図16で解る様に、磁束密度が全て正の値を取ると共に、その数値は均一で大きく且つ陰極凸部の磁束密度は359.72ガウスと100ガウス以上になっている。
但し、この時リング状陰極凸部の放電開始点(陰極点)が磁石の右端部付近に来る様に設計すると放電空間の中心軸に直交する方向の磁束密度の値が全て正の値を取るにも関わらず、プラズマ出力を増加させていくと、放電の向きが初期の放電電流の向きから大きく変化し、最終的に放電電流回転方向が逆になるプラズマ出力範囲が存在する事となり、放電電流の回転が不安定になり、最終的には放電が途切れてしまう。
この理由を説明する前に、磁石を設ける事で放電電流回転が可能になる原理を説明すると共にプラズマ出力を増加させるに従って、放電電流の向きが変化する事を説明する。
一方、放電空間の径方向外側に配置したリング状磁石により、放電空間部に図17(a)の様な磁界が発生し、磁束Hが生まれる。電流Iと磁束Hが交叉するとフレミングの左手の法則により、放電電流には電流I×磁束Hに比例した回転力Fが作用する。この時の回転方向もフレミングの左手の法則により、電流と磁界が交叉する角度で決定される。
この回転力により、放電電流は、リング状陰極の凸部頂点に沿って放電開始点(陰極点)が回転すると共に、陽極の放電到達点(陽極点)も同じく回転する事になる。この時の回転は、放電開始から徐々に加速され、数分後には毎秒数百回転に到達する事になる。この様な原理で放電電流が高速回転する事になる。
この時、リング状陰極凸部から凸部前方D点までの距離は25mmとなると共にA点とD点で形成される放電電流は 放電空間部の中心軸とほぼ平行状態になる。即ち、初期放電時の放電電流の角度45度が徐々に変化し、最終的に放電空間部の中心軸に対し0度にまで変化する事になる。
この様に陽極点を移動させ、陰極点との距離を長く出来ると放電電流を流すために必要な電圧Vも高くなり、プラズマ出力は電圧V×電流Iに比例するので、最終的に大きなプラズマ出力を出す事が可能となる。
又、この様に陰極点・陽極点が高速回転すると、極点集中による電極の損傷がなくなり、電極寿命が飛躍的に向上すると共に、電極消耗に伴うコンタミの発生も抑えられ事になる。更に、電極損傷を加速するガスとして、低ランニングコストながら使用制限されてきた窒素ガスなどを使用する事が出来、結果的に、球状化蓄光材を製造する際のランニングコストを削減する事も可能となる。
リング状陰極凸部の放電開始点(陰極点)が磁石の中央部付近にくる様に設計した場合には プラズマ出力を変化させても放電電流の回転が常に同一回転方向になるが、リング状陰極凸部の放電開始点(陰極点)が磁石の右端部付近に来る様に設計した場合には、プラズマ出力を変化させていくと電流と磁界が交叉する角度が大きく変化するため、放電電流の回転が同一回転方向にならないプラズマ出力範囲が存在し、放電電流回転が不安定になり、最終的には放電が途切れてしまう。
上記の設計例では、内径側がN極、外径側がS極という磁石構造にしているが
内径側がS極、外径側がN極という磁石構造にしても同じ結果になる。
但し、この時リング状陰極凸部の放電開始点(陰極点)が磁石の中央部付近に来る様に設計すると、プラズマ出力を変化させていくに従い電流と磁界が交叉する角度が大きく変化するため、放電電流の回転が同一回転方向にならないプラズマ出力範囲が存在し、放電電流の回転が不安定になり、最終的には放電が途切れてしまう。又、リング状陰極凸部の磁束密度も0ガウスになるためNGとなる。
上記の設計例では内径40mm×外径80mm×長さ55mmの磁石を1個使用したが、内径40mm×外径80mm×長さ27.5mmの磁石2個を、お互い異極同士が向かい合う形で使用しても同じ結果になる。
又、上記の設計例では、陰極凸部側をN極にしているが、陰極凸部側をS極にしても同じ結果になる。
上記の様に陽極壁面に沿って乱れの少ない強い流れをつくる事により、放電到達点(陽極点)をB点からC点、D点に移動させる事も可能となる。B点で渦が発生すると溶融した蓄光粒子が陽極放電面に付着するだけでなく、放電到達点(陽極点)をB点からC点、D点に移動させる事も難しくなる。
この事により、従来は溶融させる事が出来なかった難溶融材料や粒径の大きな材料も容易に溶融させる事が可能となり、本発明の様に大粒径の蓄光材粒子を投入しても、蓄光材粒子の表層部分のみならず中心部分まで溶融させ、前記大粒径の蓄光材粒子内部に存在する無数の微細な気孔を蓄光材粒子中心部に集める事で、中心部が空洞化され且つ周辺部に微細な気孔を残さない球形状蓄光材の製造が可能となる。
一般的な蓄光材の製造方法は蓄光材原料を秤量〜混合した後、高温で焼結し、最後に焼結した塊を機械的に粉砕するが、この粉砕工程で蓄光材粒子の表面が傷つき、蓄光材粒子表面に多くの格子欠陥が発生し、前記格子欠陥は光を吸収するため、結果的に蓄光性能が悪くなる。
上記の様な格子欠陥を持った蓄光材粒子でも、溶融〜冷却させると再結晶化し、格子欠陥が無くなるため、蓄光性能の向上が図れる。
一般的な蓄光材の製造方法は、蓄光材原料を秤量〜混合した後、高温で焼結する訳であるが、一般的な焼結だけでは、密度が理論密度の90%〜95%程度にしか緻密化出来ない。即ち、焼結体内部に微細な気孔が多量に存在し、焼結体内部に入った光は無数の微細気孔で散乱を受け、光透過性が悪くなる。一般の陶磁器が光を通さないのも、上記理由による。
上記の様な微細気孔を持った蓄光材粒子でも、粒子の中心部まで溶融させると表面張力で粒子が球状になると共に、内部の気孔に存在するガスも粒子の中心に集まり球状化するため、微細気孔がなくなり、結果的に蓄光性能の向上が図れる。
蓄光材を製品化する時には、一般的に透明樹脂と混ぜて製品化する。この時、透明樹脂の屈折率が1.49程度に対し、蓄光材の屈折率は1.65〜1.70程度となるため 透明樹脂と蓄光材の界面で大きな光屈折が発生する。小粒径の蓄光材を使用すればする程、上記の様な屈折が多く発生し、光の透過性が悪くなり、結果的に蓄光性能が悪くなる。このため、どれだけ大粒径の蓄光材を球状化出来るかが、蓄光性能向上の一つの鍵となる。
またトーチ本体1に形成した蓄光材投入口6から投入された蓄光材が前記リング状陰極4の中央部の貫通穴4aを通して放電空間Sに投入出来、更に、トーチ本体1に形成したプラズマ発生用ガス注入口7から注入されたガスはプラズマガス導入孔8からプラズマガス室9に入り、絶縁材料からなる層流リング10を経由して、最終的に前記リング状陰極4の外周部より放電空間Sに注入出来る構造としている。勿論プラズマガス導入孔8は円周上に設けた孔を傾斜させていない構造としている。この様に層流リング10を設けるとプラズマガス室壁面と陽極放電面の交点Bで渦の発生はなく、陽極放電面に沿った乱れの少ない強い流れが出来る事になる。
図21も同じく本発明に係るプラズマトーチの構造図(2)で、図20と図21の違いは、図20では層流リング壁面と陽極放電面が同一傾斜角度で且つ連続した構造であるのに対し、図21では層流リング壁面と陽極放電面が同一傾斜角度ではあるが連続しない構造にしている事である。理論的には図20の方が望ましいが、図21の構造でもプラズマガス室壁面と陽極放電面の交点Bで渦の発生はない。但し、絶縁材料の耐熱性が弱いと層流リングがプラズマの熱で溶ける恐れがあるため、現実的には図21の様な構造を取る必要がある。
この様な構造にする事で、プラズマ発生用のガスを旋回させず且つ前記プラズマガス室壁面と前記陽極放電面の交点Bに於いて渦を発生させず放電空間部に注入する事が可能になり、結果的に、溶融した蓄光材粒子が陽極放電面に付着する事を防止出来ると共に放電到達点(陽極点)を下流側に伸ばす事も可能になる。
まず製造装置であるが、図22で示す様に冷却室本体11の上部にプラズマトーチを備え、前記プラズマトーチの上方に蓄光材投入口6及びプラズマ発生用ガス注入口7を設けた構造になっている。
又、蓄光材表面も溶融〜冷却の工程で再結晶化され、粉砕の際に傷付けられ生じた格子欠陥が無くなるため、光の吸収要因が減り、結果的に蓄光性能が向上する事になる。
但し、溶融が不充分で大粒径の蓄光材粒子15の表層部分だけが溶融した場合には図24で示す様に球状化された蓄光材の内部に無数の微細な気孔が存在する構造の球形状蓄光材となる。この様に内部に無数の微細な気孔が存在すると、蓄光材内部に入った光が散乱され光透過性が悪いため、蓄光性能は向上しない。
まず、プラズマトーチに投入する大粒径の蓄光材の製造に関し、実施例を示す。
実施例は特許文献1や特許文献2と異なり、賦活剤としてEu2O3でなくEu2O3を事前還元したEuOを使用した。
Eu2O3を3.52gr,Caを0.72gr秤量し、ボールミル等で混合した後、アルミナ坩堝内に充填し蓋をした後、非酸化雰囲気中で1000℃×12時間程度加熱する。この時の反応はEu2O3+1.8Ca→2EuO+CaO+0.8Caとなり、Eu2O3はすべてEuOに還元される事になる。還元した材料をX線回折した結果 Eu2O3はすべてEuOになっていた。Caの量を減らしていくと若干Eu2O3が還元されずに残っていたのでCaの量は理論値より少し過剰に添加する方が良い。Caの替わりにAlを使用しても、3Eu2O3+4Al→6EuO+Al2O3+2Alとなり、理論的にはEu2O3はすべてEuOに還元される事になる。
まず(Sr0.75Ca0.25)0.9Al2O3.9の構成になる様に事前焼結した材料にEuO・Dy2O3・CaF2混合粉末を添加し、ボールミル等で粉砕・混合した後、加圧成形装置で直径60mm×厚み4mm程度の円盤状に成形する。その後CIP処理装置で400MPaの圧力で加圧し、密度を理論密度の65%程度に緻密化する。同上の成形品を真空雰囲気中でゆっくりした昇温条件下で1100℃まで加熱し、事前焼結した(Sr0.75Ca0.25)0.9Al2O3.9が空気中から吸収したCO2ガスや水分を穏かに除去する。この時、昇温条件を10時間〜20時間かけてゆっくり昇温しないと、成形品内部で発生したガスにより大きな脱気穴が発生し、この後の焼結工程での緻密化が進みにくいという問題が発生する。
焼結シーケンスとしては1100℃までは約6℃/分の昇温速度で加熱し、1100℃で約1.5時間保持し、1100℃〜1400℃までは10℃/分の昇温速度で加熱し、1400℃〜1550℃までは0.6℃/分のゆっくりした昇温速度で加熱し、1550℃で約4時間保持する事により、成形品の密度が理論密度の98%で且つ成形品の厚みが約3mm程度の焼結体が出来た。
プラズマ発生用のガスとしてN2ガスとH2ガスの混合ガスを使用した場合には若干コンタミが発生し、蓄光性能は悪くなったが、それでもプラズマトーチ投入前の蓄光材と比較すると、蓄光性能が約3〜4倍程度向上していた。
10…絶縁材料からなる層流リング、11…冷却室、15…球状の蓄光材粒子、16…冷却室の底板
P…プラズマジェット火炎
S…放電空間
Claims (7)
- 中央部に貫通穴を持ち且つ外周に凸部の放電部を持つリング状陰極と前記リング状陰極の凸部前方に逆テーパ状に絞られた形状の放電空間部を形成する陽極放電面を設け、両電極間に電圧を印加する事で放電電流を発生させ、発生した放電電流を放電空間の径方向外側に配置した磁石により放電空間の中心軸廻りに回転せしめ、更に前記リング状陰極の凸部後方にプラズマガス室を設け、前記プラズマガス室を経由したプラズマ発生用のガスを、前記リング状陰極外周部より前記放電空間部に注入する事でプラズマを発生させる事を特徴とするプラズマトーチを利用し、前記リング状陰極の中央部の貫通穴より前記放電空間の中心軸に沿って蓄光材粒子を前記リング状陰極の凸部後方からプラズマ中に投入する事で、プラズマ中心部の超高温の熱で蓄光材粒子を溶融させ、その後、急冷させる球形状蓄光材の製造方法において、プラズマ発生用のガスを旋回させず且つ前記プラズマガス室壁面と前記陽極放電面の交点に於いて渦を発生させず放電空間部に注入する事で、溶融した蓄光材粒子が陽極放電面に付着するのを防ぐ事を特徴とする球形状蓄光材の製造方法。
- 請求項1に記載の球形状蓄光材の製造方法において、プラズマ出力の変化に応じて放電の向きを変える放電電流と磁界の作用により生じる放電電流の回転が全てのプラズマ出力範囲で同一回転方向になり且つ前記リング状陰極凸部の放電部において、前記放電空間部の中心軸と直交する方向の磁束密度が100ガウス以上になる様な磁石構造及び磁石配置を行う事で、放電電流を高速で且つ安定的に回転させるプラズマトーチを利用する事を特徴とする球形状蓄光材の製造方法。
- 請求項1及び請求項2に記載の球形状蓄光材の製造方法において、前記蓄光材粒子として大粒径の蓄光材粒子を投入し、前記大粒径の蓄光材粒子の表層部分のみならず中心部分まで溶融させ、前記大粒径の蓄光材粒子内部に存在する無数の微細な気孔を蓄光材粒子中心部に集める事で、中心部が空洞化され且つ周辺部に微細な気孔を残さない事を特徴とする球形状蓄光材の製造方法。
- 請求項3に記載の球形状蓄光材の製造方法において、前記大粒径の蓄光材粒子の溶融可能な大きさとして、直径が200ミクロン迄の大粒径の蓄光材粒子に対し中心部が空洞化され且つ周辺部に微細な気孔を残さない事を特徴とする球形状蓄光材の製造方法。
- 請求項3又は請求項4に記載の球形状蓄光材の製造方法において、前記プラズマ発生用のガスとして、Arガスだけでなく電極損傷を加速するガスとして使用制限されるH2ガスやN2ガスの使用を可能にする事を特徴とする球形状蓄光材の製造方法。
- 中央部に貫通穴を持ち且つ外周に凸部の放電部を持つリング状陰極と前記リング状陰極の凸部前方に逆テーパ状に絞られた形状の放電空間部を形成する陽極放電面を設け、両電極間に電圧を印加する事で放電電流を発生させ、発生した放電電流を放電空間の径方向外側に配置した磁石により放電空間の中心軸廻りに回転せしめ、更に前記リング状陰極の凸部後方にプラズマガス室を設け、前記プラズマガス室を経由したプラズマ発生用のガスを、前記リング状陰極外周部より前記放電空間部に注入する事で、プラズマ発生用のガスを旋回させず且つ前記プラズマガス室壁面と前記陽極放電面の交点に於いて渦を発生させずにプラズマを発生させる事を特徴とするプラズマトーチ。
- 請求項6に記載のプラズマトーチにおいて、プラズマ出力の変化に応じて放電の向きを変える放電電流と磁界の作用により生じる放電電流の回転が全てのプラズマ出力範囲で同一回転方向になり且つ前記リング状陰極凸部の放電部において、前記放電空間部の中心軸と直交する方向の磁束密度が100ガウス以上になる様な磁石構造及び磁石配置を行う事で、放電電流を高速で且つ安定的に回転させる事を特徴とするプラズマトーチ。
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JP2013024194A JP5362133B1 (ja) | 2013-02-12 | 2013-02-12 | 球形状蓄光材の製造方法及びプラズマトーチ |
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