JPWO2003094199A1 - ガス放電管 - Google Patents

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Abstract

このガス放電管においては、高輝度な光を得るために、第1の開口20と第2の開口12との協働によって放電路の狭窄が図られる。更に、放電路を狭窄させてもランプの始動性を良好に保つために、第2の放電路制限部11に外部から所定の電圧を印加する。これにより、第1の開口20を通過するような積極的な始動放電が作り出される。更に、第2の開口12は、光軸Y方向に延在する直状部13と、この直状部13の端部から第1の開口20に向けて延在する拡開部14とで形成され、拡開部14は、ランプの始動性を向上させると共にアークボールを形成する機能を有し、直状部は、プラズマ密度を向上させる機能を有する。これにより、第2の放電路制限部11において、始動時の放電が通過し易くなり、その結果として、陰極23と陽極部8との間の放電が素早く開始され、点灯後におけるアークボールの適切な形成に寄与する。

Description

技術分野
本発明は、分光器やクロマトグラフィの光源などとして利用するためのガス放電管に関するものである。
背景技術
従来のこのような分野の技術として、特開平6−310101号公報がある。この公報に記載されたガス(重水素)放電管は、陽極と陰極との放電路上に2枚の金属隔壁を配置させ、各金属隔壁に小穴を形成させ、この小穴によって放電路を狭窄させている。その結果、放電路上の小穴によって高輝度の光を得ることが可能となる。また、金属隔壁を3枚以上にすると更に高い輝度が得られ、小穴を小さくすればする程、高輝度な光が得られる。
発明の開示
しかしながら、前述した従来のガス放電管には、次のような課題が存在している。すなわち、各金属隔壁には電圧が印加されておらず、各金属隔壁の小穴は、放電路を単に狭窄するために利用されている。従って、確かに放電路を狭窄することで輝度をアップさせることができるが、この公報にも記載されているように、小穴を小さくすればする程、放電始動電圧を著しく高くしなければならず、小穴の直径や金属隔壁の枚数が著しい制限を受けることになる。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、特に、高輝度化を実現しつつ始動性を良好にした(アーク放電を開始させるのが容易である)ガス放電管を提供することを目的とする。
本発明に係るガス放電管は、密封容器内にガスを封入し、密封容器内に配置した陽極部と陰極部との間で放電を発生させることにより、密封容器の光出射窓から外部に向けて光を放出させるガス放電管において、陽極部と陰極部との間の放電路の途中に配置され、放電路を狭窄する第1の開口をもった第1の放電路制限部と、第1の放電路制限部と陽極部との間の放電路の途中に配置されると共に、放電路を狭窄し且つ径が等しく光軸方向に延在する直状部と、直状部の陽極部側の端部から第1の開口に向かうに従って径が大きくなるように光軸方向に延在する拡開部とからなる第2の開口をもった第2の放電路制限部とを備えたことを特徴とする。
このガス放電管においては、高輝度な光を作り出す場合、単に放電路狭窄用の放電路制限部を複数段設置すればよいという訳ではなく、放電路制限部を多くすることによって、ランプ始動時の放電が起き難くなり、また、開口を小さくすることによっても、ランプ始動時の放電は起き難くなる。更に、ランプの始動性を高めるには、陰極部と陽極部との間に著しく大きな電位差を発生させる必要があり、その結果として、ランプの寿命が短くなることが実験で確かめられている。そこで、本発明のガス放電管では、高輝度な光を得るために、第1の開口と第2の開口との協働によって放電路の狭窄が図られる。更に、放電路を狭窄させてもランプの始動性を良好に保つために、第2の放電路制限部に外部から所定の電圧を印加する。これにより、第1の開口を通過するような積極的な始動放電が作り出される。更に、第2の開口は、光軸方向に延在する直状部と、この直状部の端部から第1の開口に向けて延在する拡開部とで形成され、拡開部は、ランプの始動性を向上させると共にアークボールを形成する機能を有し、直状部は、プラズマ密度を向上させる機能を有する。これにより、第2の放電路制限部において、始動時の放電が通過し易くなり、その結果として、陰極部と陽極部との間の放電が素早く開始され、点灯後におけるアークボールの適切な形成に寄与する。
また、光軸方向において、第2の放電路制限部の直状部の長さを、拡開部の長さより長くすると好適である。直状部が長ければ長い程、プラズマ密度を高めることができ、拡開部が長ければ長い程、アークボールの安定した形成を可能にする。このことを配慮した上で、直状部の長さを拡開部の長さより長くすることは、直状部で作り出されるプラズマの密度を高めつつ、拡開部で適切なアークボールを作り出すことを可能にする。
また、光軸方向における拡開部の長さは、直状部の直径以上であると好適である。このような構成を採用した場合、第2の開口に安定したアークボールを作り出すことができる。
また、第1の放電路制限部の第1の開口は、陰極部側の口径が陽極部側の口径よりも大きくなるように光軸方向に延在する拡開部を有すると好適である。このような構成を採用した場合、第1の開口に放電が収斂し易くなり、アークボールをこの部分に確実に発生させることができる。
また、第1の放電路制限部と第2の放電路制限部との間に電気絶縁部を配置させると好適である。このような構成を採用した場合、第1の放電路制限部と第2の放電路制限部とをそれぞれ異なる電位にすることができ、始動性を良好にする。
また、第2の放電路制限部と陽極部との間の放電路の途中に配置されて、放電路を狭窄する第3の開口をもった第3の放電路制限部を更に備えると好適である。これは、各放電路制限部の各開口の協働によって、更なる輝度のアップを図るようにしたものである。
また、第3の開口は、放電路を狭窄し且つ径が等しく光軸方向に延在する直状部と、直状部の陽極部側の端部から第2の開口に向かうに従って径が大きくなるように光軸方向に延在する拡開部とからなると好適である。この拡開部は、ランプの始動性を向上させると共にアークボールを形成する機能を有し、直状部は、プラズマ密度を向上させる機能を有する。
また、光軸方向において、第3の放電路制限部の直状部の長さを、第3の放電路制限部の拡開部の長さより長くすると好適である。これは、第3の開口において、直状部で作り出されるプラズマの密度を高めつつ、拡開部で適切なアークボールを作り出すことを可能にする。
また、光軸方向における第3の放電路制限部の拡開部の長さは、第3の放電路制限部の直状部の直径以上であると好適である。このような構成を採用した場合、第3の開口に安定したアークボールを作り出すことができる。
また、第2の放電路制限部と第3の放電路制限部との間に電気絶縁部を配置させると好適である。このような構成を採用した場合、第2の放電路制限部と第3の放電路制限部とをそれぞれ異なる電位にすることができ、始動性を良好にする。
発明を実施するための最良の形態
以下、図面を参照しつつ本発明に係るガス放電管の好適な実施形態について詳細に説明する。
[実施形態1]
図1及び図2に示すように、ガス放電管1は、ヘッドオン型の重水素ランプである。この放電管1は、重水素ガスが数百Pa程度封入されたガラス製の密封容器2を有し、この密封容器2は、円筒状の側管3の一側を封止する光出射窓4と、側管3の他側を封止するステム5とからなる。そして、この密封容器2内には発光部組立体6が収容されている。
この発光部組立体6は、電気絶縁性のセラミックスからなる円板状の第1の支持部7を有している。この第1の支持部7には、光軸Yに対し垂直方向に延在する陽極板(陽極部)8から延びる2本のリード部(図示せず)が当接されている。そして、各リード部は、ステム5に立設させて光軸Y方向に延在する陽極用第1のステムピン(図示せず)の先端部分に電気的に接続させている。これにより、腸極板8には、第1のステムピンを介在させて所定の電圧が印加される。
更に、発光部組立体6は、電気絶縁性のセラミックスからなる円板状の第2の支持部10を有している。この第2の支持部10は、第1の支持部7の上に重ねるようにして載置され、第1の支持部7と同径に形成されている。また、この第2の支持部10の中央には円形の開口部9が形成され、この開口部9内に円形の陽極板8が配置されている。そして、開口部9内において、陽極板8は、導電性の金属(例えばモリブデン、タングステン、或いはこれらからなる合金)からなる第2の放電路制限部11に対向する。
また、第2の放電路制限部11にはフランジ部11aが設けられ、第2の放電路制限部11を導電板15の装填口15a(図3B参照)内に差し込んだ状態で、このフランジ部11aは導電板15に溶接される。そして、この導電板15は、第2の支持部10の上面に当接させた状態で、リベット16により第2の支持部10に固定される。また、導電板15は、ステム5に立設させた放電路制限部用ステムピン(第2のステムピン)9bの先端部分に電気的に接続されている。
図3Bに示すように、第2の放電路制限部11の中央には、光軸Y方向に延在する第2の開口12が設けられ、この第2の開口12は、放電路を狭窄させるための直径0.5mmの直状部13を有している。更に、この第2の開口12は、直状部13の端部から後述の第1の開口20に向けて延在する拡開部14を有している。すなわち、この拡開部14は、円錐台形状をなすロート状に形成されて、光出射窓4から陽極板8に向けて縮径させている。
拡開部14の長さMは、直状部13の長さL以下にする。これにより、第2の開口12で、アークボールを適正な形状にすることができ、しかも、拡開部14から生じるスパッタ物及び蒸発物をできるだけ少なくすることができる。また、直状部13の長さL2は、第1の放電路制限部18の直状部22の長さL1よりも長くする。これにより、第2の放電路制限部11におけるプラズマ密度を高め高輝度化させることができる。特に、直状部13の長さL2を1.0mmよりも長くするのが好適である。これにより、陽極側における直状部13の径の拡大を防止し、ガス放電管1を長寿命化させることができる。具体的に、開口角度60度程度の拡開部14の長さM2を0.5mmとし、第1の放電路制限部18の直状部22の長さL1を0.5mmとした場合、直状部13の長さL2は0.5mmよりも長いこと、例えば1.5mm程度が好ましい。更に、拡開部14の長さM2を、直状部13の直径D3以上とすると好適である。これにより、第2の開口12で作り出されるアークボールを、更に良好な形状にするこができる。具体的に、直状部13の直径D3を0.5mmとした場合、開口角度60度程度の拡開部14の長さM2を0.5mm以上、例えば1mm程度にするのが好ましい。
更に、発光部組立体6は、電気絶縁性のセラミックスからなる円板状の第3の支持部(電気絶縁部)17を有している。この第3の支持部17は第2の支持部10の上に重ねるようにして載置され、第2の支持部10と同径に形成されている。また、この第3の支持部17の中央には円形の開口部17aが形成され、この開口部17a内において、第2の放電路制限部11に対向する第1の放電路制限部18は、導電性の金属(例えばモリブデン、タングステン、或いはこれらからなる合金)からなる。
この第1の放電路制限部18にはフランジ部18aが設けられ、第1の放電路制限部18を導電板19の装填口19a(図3A参照)内に差し込んだ状態で、このフランジ部18aは導電板19に溶接される。そして、導電板19は、第3の支持部17の上面に当接させた状態が維持される。さらに、この導電板19の周縁部は、ステム5に立設させた放電路制限部用ステムピン(第3のステムピン)9cに溶接されている。
図3Aに示すように、このような第1の放電路制限部18には、放電路を狭窄するための第1の開口20が形成され、この第1の開口20は、第2の開口12と同一の光軸Y上に位置する。この第1の開口20は、直状部22と、光軸Y方向に延在して安定なアークボールを作り出すためのロート状の部分21とを有する。このロート状の部分21は光出射窓4から陽極板8に向けて縮径されている。ロート状の部分21の陽極側の口径、すなわち直状部22の口径D1は、第2の放電路制限部11の拡開部14の光出射窓4側の口径D2以上であるのが好ましい。これにより、拡開部14に形成される高密度発光領域の光を第1の放電路制限部18に遮られることなく光出射窓4から取り出すことができる。具体的には、この第1の開口20は、光出射窓4側では直径3.2mm程度に形成され、陽極板8側では、直径1.0mm〜2.0mm程度に形成されている。また、始動性を良好にするために、光軸Y方向において、直状部22の長さL1を、第2の放電路制限部11の直状部13の長さL2より短くすると都合が良い。例えば、直状部22の長さL1は、第2の放電路制限部11の直状部13の長さL2より短い0.5mm程度に形成されている。
さらに、発光部組立体6には、光出射窓4側で光路から外れた位置に陰極23が配置され、この陰極23はステム5に立設させた陰極用の第4のステムピン(図示せず)に電気的に接続させている。この陰極23はキャップ状のフロントカバー24に収容され、フロントカバー24は、第3のステムピン9cに溶接固定されている。またフロントカバー24には、光出射窓4に対面する位置に円形の光透過口25が形成されている。
さらに、フロントカバー24内において、陰極23と第1の放電路制限部18との間には、光路から外れた位置に放電整流板26が設けられている。この放電整流板26の電子放出窓28は、熱電子を通過させるための矩形の開口として形成され、導電板19に溶接により固定されている。このようにフロントカバー24と放電整流板26とで陰極23を包囲し、陰極23から出るスパッタ物あるいは蒸発物を光出射窓4に付着させないようにしている。
次に、前述したガス放電管1の動作について簡単に説明する。
放電前の20秒程度の間に外部電源から第4のステムピン(図示せず)を介して10W前後の電力を陰極23に供給して、陰極23を予熱する。その後、陰極23と陽極板8との間に160V程度の電位差が生じるように電圧を印加して、アーク放電の準備を整える。
その準備が整った後、外部電源から第1のステムピン(図示せず)及び第2のステムピン9bを介して、陽極板8と第2の放電路制限部11との間に350V程度の電位差が生じるようにトリガ電圧を印加する。すると陰極23と第2の放電路制限部11との間に放電が発生し、陰極23と陽極板8との間に順次放電が発生する。このような始動放電が発生すると、陰極23と陽極板8との間でアーク放電が維持され、放電路を狭窄した第1の開口20と第2の開口12内でそれぞれアークボールが発生する。
[実施形態2]
ここでの説明は、第1の実施形態と実質的に異なるものに留め、第1の実施形態と同一又は同等な構成部分には同一の符号を付してその説明は省略する。
図4及び図5に示すように、ガス放電管27は、ヘッドオン型の重水素ランプである。このガス放電管27において、第2の放電路制限部11と陽極板8との間の放電路の途中には、導電性の金属(例えばモリブデン、タングステン、或いはこれらからなる合金)からなる第3の放電路制限部29が配置され、この第3の放電路制限部29のフランジ部29aは導電板28に溶接される。
さらに、第3の放電路制限部29の中央には、光軸Y方向に延在する第3の開口30が設けられ、この第3の開口30は、放電路を狭窄させるための直径0.5mmの直状部31を有している。更に、この第3の開口30は、直状部31の端部から第2の開口12に向けて延在する拡開部32を有している。すなわち、この拡開部32は、円錐台形状をなすロート状に形成されて、光出射窓4から陽極板8に向けて縮径されている。
また、第3の放電路制限部29は、第2の放電路制限部11と同一のものが利用される。すなわち、第3の開口30の形状は第2の開口12の形状と同一であり、拡開部32の長さM2は、直状部31の長さL2以下になっている。(図3B参照)。これにより、第3の開口30で、アークボールを適正な形状にすることができ、しかも、拡開部32から生じるスパッタ物及び蒸発物をできるだけ少なくすることができる。
具体的に、開口角度60度程度の拡開部32の長さM2を0.5mmとした場合、直状部31の長さL2は0.5mm以上、例えば1.5mm程度が好ましい。更に、拡開部32の長さM2を、直状部31の直径D3以上とすると好適である。これにより、第3の開口30で作り出されるアークボールを、更に良好な形状にするこができる。具体的に、直状部31の直径D3を0.5mmとした場合、開口角度60度程度の拡開部32の長さM2を0.5mm以上、例えば1mm程度が好ましい。
更に、導電板15と導電板28との間は、リング状の電気絶縁性のセラミックスからなるスペーサ(電気絶縁部)33を介在させて電気的絶縁を図っている。また、スペーサ33の中央には円形の開口部33aが形成され、スペーサ33と第2の支持部10とで導電板28が挟み込まれる。そして、導電板28は、スペーサ33と第2の支持部10を貫通するリベット34により、第2の支持部10上に固定される。また、導電板15もリベット34によって、スペーサ33上に固定される。
更に、第2の放電路制限部11に電圧を印加するために、導電板15は、ステム5に立設させた第2のステムピン9bの先端に電気的に接続されている。これに対し、第3の放電路制限部29に電圧を印加するために、導電板28はステム5に立設させた第5のステムピン9eの先端に電気的に接続されている。このように、第2の放電路制限部11と第3の放電路制限部29とをスペーサ33を介して電気的に絶縁させることで、第2の放電路制限部11と第3の放電路制限部29とをそれぞれ異なった電位にすることができ、第2の放電路制限部11から第3の放電路制限部29へ電子を積極的に移動させることができる。
次に、前述したガス放電管27の動作について簡単に説明する。
放電前の20秒程度の間に外部電源から第4のステムピン(図示せず)を介して10W前後の電力を陰極23に供給して、陰極23を予熱させる。その後、陰極23と陽極板8との間に160V程度の電位差が生じるように電圧を印加して、アークの準備を整える。
その準備が整った後、外部電源から第1のステムピン(図示せず)、第2のステムピン9b及び第5のステムピン9eを介して、陽極板8と第2の放電路制限部11との間に350V程度の電位差が生じるようにトリガ電圧を印加する。すると陰極23と第2の放電路制限部11との間に放電が発生し、陰極23と第3の放電路制限部29、陰極23と陽極板8との間に順次放電が発生する。このような始動放電が発生すると、陰極23と陽極板8との間でアーク放電が維持され、放電路を狭窄した第1の開口20と第2の開口12と第3の開口30内でそれぞれアークボールが発生する。
[実施形態3]
図6及び図7に示すように、ガス放電管35はサイドオン型の重水素ランプである。この放電管35は、重水素ガスが数百Pa程度封入されたガラス製の密閉容器36を有している。この密閉容器36は、一端を封止した円筒状の側管37と、この側管37の端側を封止するステム38からなり、側管37の一部が光出射窓39として利用されている。そして、この密閉容器内36には発光部組立体40が収容されている。
この発光部組立体40は、電気絶縁性のセラミックスからなる第1の支持部41と、電気絶縁性のセラミックスからなる第2の支持部42とを有し、第1の支持部41と第2の支持部42との協働により、前面に凹部Pが形成されている。そして、この凹部P内に陽極板43を収容させている。この陽極板43の背面には、ステム38に立設させて管軸X方向に延在する陽極用の第1のステムピン44aの先端部分に電気的に接続されている。
更に、発光部組立体40は、電気絶縁性のセラミックスからなる第3の支持部45を有している。この第3の支持部45は、第2の支持部42の前面に当接させ、第3の支持部45の中央には、陽極板43に対向させるように開口部45aが形成されている。そして、この開口部45a内には、導電性の金属(例えばモリブデン、タングステン、或いはこれらの金属からなる合金)からなる第2の放電路制限部46が配置されている。
図8に示すように、第2の放電路制限部46の中央には、管軸Xに対して垂直な光軸Y方向に延在する第2の開口47を有し、この第2の開口47は、放電を狭窄させるための直径0.5mmの直状部48を有している。更に、この第2の開口47は、直状部48の端部から後述の第1の開口60に向けて延在する拡開部49を有している。すなわち、この拡開部49は、円錐台形状をなすロート状に形成されて、光出射窓39から陽極板43に向けて縮径させている。
また、拡開部49の長さM2は、直状部48の長さL2以下にする。これにより、第2の開口47で、アークボールを適正な形状にすることができ、しかも、拡開部49から生じるスパッタ物及び蒸発物をできるだけ少なくすることができる。具体的に、開口角度60度程度の拡開部49の長さM2を0.5mmとした場合、直状部48の長さL2は0.5mm以上、例えば1.5mm程度が好ましい。更に、拡開部49の長さM2を、直状部48の直径D3以上とすると好適である。これにより、第2の開口47で作り出されるアークボールを、更に良好な形状にするこができる。具体的に、直状部48の直径D3を0.5mmとした場合、開口角度60度程度の拡開部49の長さM2を0.5mm以上、例えば1mm程度が好ましい。
このような第2の放電路制限部46にはフランジ部46aが設けられ、第2の放電路制限部46を導電板50の装填口50a内に差し込んだ状態で、このフランジ部46aは導電板50に溶接される。そして、図6及び図7に示すように、この導電板50は、第3の支持部45の裏面に当接させた状態で、リベット51を介して第3の支持部45に固定される。また、導電板50は、ステム38に立設させた放電路制限部用ステムピン(第2のステムピン)44bの先端に電気的に接続されている。
更に、第3の支持部45の開口部45a内において、導電性の金属(例えばモリブデン、タングステン、或いはこれらからなる合金)からなる第1の放電路制限部58は第2の放電路制限部46に対向する。また、第1の放電路制限部58にはフランジ部58aが設けられ、第1の放電路制限部58を導電板59の装填口59a内に差し込んだ状態で、このフランジ部58aは導電板59に溶接される。そして、導電板59を、第3の支持部45の前面に当接配置させ、この導電板59は、第1の支持部41及び第2の支持部42を管軸X方向に貫通する放電路制限部用ステムピン(第3のステムピン)44cの先端に溶接される。
このような第1の放電路制限部58には、放電路を狭窄するための第1の開口60が形成され、第1の開口60は、第2の開口47と同一の光軸Y上に位置する。この第1の開口60は、光軸Y方向に延在して安定なアークボールを作り出すためのロート状の部分61を有し、このロート状の部分61は、光出射窓39から陽極板43に向けて縮径させている。具体的に、この第1の開口60は、光出射窓39側では直径3.2mm程度に形成され、陽極板43側では、直径1.0mm〜2.0mm程度に形成されている。また、始動性を良好にするために、光軸Y方向において、第1の開口60の長さを、第2の放電路制限部46の直状部48の長さL2より短くすると都合が良い。例えば、第1の開口60の長さは、第2の放電路制限部46の直状部48の長さL2より短い0.5mm程度に形成されている。
さらに、発光部組立体40には、光出射窓39側で光路から外れた位置に陰極63が配置され、この陰極63はステム38に立設させた陰極用の第4のステムピン44dに電気的に接続され、陰極63はキャップ状のフロントカバー64に収容されている。このフロントカバー64の両端は、第3の支持部45に差し込み固定されている。またフロントカバー64には、光出射窓39に対面する位置に矩形の光透過口65が形成されている。
さらに、フロントカバー64内において、陰極63と第1の放電路制限部58との間には、光路から外れた位置に放電整流板66が設けられている。この放電整流板66の電子放出窓68は熱電子を通過させるための矩形の開口として形成され、導電板59に溶接により固定されている。このようにフロントカバー64と放電整流板66とで陰極63を包囲し、陰極63から出るスパッタ物あるいは蒸発物を光出射窓39に付着させないようにしている。
[実施形態4]
ここでの説明は、第3の実施形態と実質的に異なるものに留め、第3の実施形態と同一又は同等な構成部分には同一の符号を付してその説明は省略する。
図9〜図11に示すように、ガス放電管70は、サイドオン型の重水素ランプである。このガス放電管70において、第2の放電路制限部46と陽極板43との間の放電路の途中には、導電性の金属(例えばモリブデン、タングステン、或いはこれらからなる合金)からなる第3の放電路制限部79が配置され、この第3の放電路制限部79のフランジ部79aは導電板78に溶接されている。
さらに、第3の放電路制限部79の中央には、光軸Y方向に延在する第3の開口80が設けられ、この第3の開口80は、放電路を狭窄させるために、直径0.5mmの直状部81を有している。更に、この第3の開口80は、直状部81の端部から第2の開口47に向けて延在する拡開部82を有している。すなわち、この拡開部82は、円錐台形状をなすロート状に形成されて、光出射窓39から陽極板43に向けて縮径されている。
また、第3の放電路制限部79は、第2の放電路制限部46と同一のものが利用される。すなわち、第3の開口80の形状は第2の開口47の形状と同一であり、拡開部82の長さM2は、直状部81の長さL2以下になっている。(図8参照)。これにより、第3の開口80で、アークボールを適正な形状にすることができ、しかも、拡開部82から生じるスパッタ物及び蒸発物をできるだけ少なくすることができる。
具体的に、開口角度60度程度の拡開部82の長さM2を0.5mmとした場合、直状部81の長さL2は0.5mm以上、例えば1.5mm程度が好ましい。更に、拡開部82の長さM2を、直状部81の直径D3以上とすると好適である。これにより、第3の開口80で作り出されるアークボールを、更に良好な形状にするこができる。具体的に、直状部81の直径D3を0.5mmとした場合、開口角度60度程度の拡開部82の長さM2を0.5mm以上、例えば1mm程度が好ましい。
更に、導電板50と導電板78との間は、リング状の電気絶縁性のセラミックスからなるスペーサ(電気絶縁部)83を介在させて電気的絶縁を図っている。また、スペーサ83の中央には円形の開口部84が形成され、スペーサ83と第3の支持部45とで導電板50が挟み込まれる。そして、導電板50は、スペーサ83と第3の支持部45を貫通するリベット86により、第3の支持部45の裏面に固定される。また、導電板78もリベット86によって、スペーサ83の裏面に固定される。
更に、第2の放電路制限部46に電圧を印加するために、導電板50は、ステム38に立設させた第2のステムピン44bの先端に電気的に接続されている。これに対し、第3の放電路制限部79に電圧を印加するために、導電板78はステム38に立設させた第5のステムピン44eの先端に電気的に接続されている。このように、第2の放電路制限部46と第3の放電路制限部79とをスペーサ83を介して電気的に絶縁させることで、第2の放電路制限部46と第3の放電路制限部79とをそれぞれ異なった電位にすることができ、第2の放電路制限部46から第3の放電路制限部79へ電子を積極的に移動させることができる。
本発明に係るガス放電管は前述した種々の実施形態に限定されるものではない。例えば、図12に示すように、前述した第2及び第3の放電路制限部11,29,46,79における拡開部の表面に凹凸90を設けてもよい。また、図13に示すように、前述した第2及び第3の放電路制限部11,29,46,79における拡開部の表面を半球面91として形成してもよい。また、図14に示すように、前述した第2及び第3の放電路制限部11,29,46,79における拡開部の表面は、R形状の面取り部92として形成してもよい。
[実施形態5]
以下に実施形態5の放電路制限部Nを説明する。図15Aは、放電路制限部Nの正面図である。図15Bは、放電路制限部Nの断面側面図である。図16Aは、プレス加工で製造した従来の放電路制限部Cの正面図である。図16Bは、プレス加工で製造した従来の放電路制限部Cの断面側面図である。放電路制限部Nは、長さ方向に渡って径の等しい直状部N1と円錐孔状の拡開部N2とから成る開口を備えた金属ブロックである。放電路制限部Nは、高融点金属材料を成形した上で焼結することにより製造される。かかる製造方法により製造されるので、放電路制限部Nは、高融点金属の薄板をプレス加工して製造された従来の放電路制限部Cと比べて、形状の個体差が小さく量産に適している。また放電路制限部Nは形状の自由度が大きい。具体的には、アークボールの形状を良好に保つために円錐孔状の拡開部N2を成形することが可能であると共に、高輝度化させるために直状部N1の長さAnを長くすることが可能である。従来の放電路制限部Cでは直状部C1の長さAcは金属薄板の厚さに制限される。他方、直状部C1を長くするために0.5mm超の金属薄板を用いる場合、これをプレスして円錐孔状の拡開部C2を成形しようとすると割れが生じてしまうという問題点がある。しかし、焼結加工によれば、直状部を長くしても拡開部の形状に制限はない。
産業上の利用可能性
例えば分光器やクロマトグラフィの光源に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明に係るガス放電管の第1の実施形態を示す断面図である。
図2は、図1に示したガス放電管の縦断面図である。
図3Aは、ガス放電管に適用する第1の放電路制限部を示す断面図である。図3Bは、ガス放電管に適用する第2の放電路制限部を示す断面図である。
図4は、本発明に係るガス放電管の第2の実施形態を示す断面図である。
図5は、図4に示したガス放電管の要部拡大断面図である。
図6は、本発明に係るガス放電管の第3の実施形態を示す断面図である。
図7は、図6に示したガス放電管の横断面図である。
図8は、ガス放電管に適用する放電路制限部を示す断面図である。
図9は、本発明に係るガス放電管の第4の実施形態を示す断面図である。
図10は、図9に示したガス放電管の横断面図である。
図11は、図9に示したガス放電管の要部拡大断面図である。
図12は、放電路制限部の他の例を示す断面図である。
図13は、放電路制限部の更に他の例を示す断面図である。
図14は、放電路制限部の更に他の例を示す断面図である。
図15Aは、放電路制限部Nの正面図である。図15Bは、放電路制限部Nの断面側面図である。
図16Aは、プレス加工で製造した従来の放電路制限部Cの正面図である。図16Bは、プレス加工で製造した従来の放電路制限部Cの断面側面図である。

Claims (13)

  1. 密封容器内にガスを封入し、前記密封容器内に配置した陽極部と陰極部との間で放電を発生させることにより、前記密封容器の光出射窓から外部に向けて光を放出させるガス放電管において、
    前記陽極部と前記陰極部との間の放電路の途中に配置され、前記放電路を狭窄する第1の開口をもった第1の放電路制限部と、
    前記第1の放電路制限部と前記陽極部との間の放電路の途中に配置されると共に、前記放電路を狭窄し且つ径が等しく光軸方向に延在する直状部と、前記直状部の前記陽極部側の端部から前記第1の開口に向かうに従って径が大きくなるように前記光軸方向に延在する拡開部とからなる第2の開口をもった第2の放電路制限部とを備えたことを特徴とするガス放電管。
  2. 前記光軸方向において、前記第2の放電路制限部の前記直状部の長さを、前記拡開部の長さより長くしたことを特徴とする請求項1記載のガス放電管。
  3. 前記光軸方向における前記拡開部の長さは、前記直状部の直径以上であることを特徴とする請求項1又は2記載のガス放電管。
  4. 前記第1の放電路制限部の前記第1の開口は、前記陰極部側の口径が前記陽極部側の口径よりも大きくなるように前記光軸方向に延在する拡開部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載のガス放電管。
  5. 前記第1の放電路制限部の前記第1の開口における前記陽極部側の口径が、前記第2の放電路制限部の前記拡開部における前記第1の開口側の口径以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載のガス放電管。
  6. 前記第1の放電路制限部の前記第1の開口が、前記放電路を狭窄し且つ前記陽極側の端部から径が等しく光軸方向に延在する直状部を更に有し、
    前記光軸方向において、前記第2の開口の前記直状部の長さを、前記第1の開口の前記直状部の長さより長くしたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載のガス放電管。
  7. 前記光軸方向において、前記第2の開口の前記直状部の長さを、1.0mmより長くしたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載のガス放電管。
  8. 前記第1の放電路制限部と前記第2の放電路制限部との間に電気絶縁部を配置させたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項記載のガス放電管。
  9. 前記第2の放電路制限部と前記陽極部との間の前記放電路の途中に配置されて、前記放電路を狭窄する第3の開口をもった第3の放電路制限部を更に備えたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項記載のガス放電管。
  10. 前記第3の開口は、前記放電路を狭窄し且つ径が等しく光軸方向に延在する直状部と、前記直状部の前記陽極部側の端部から前記第2の開口に向かうに従って径が大きくなるように前記光軸方向に延在する拡開部とからなることを特徴とする請求項9記載のガス放電管。
  11. 前記光軸方向において、前記第3の放電路制限部の前記直状部の長さを、前記第3の放電路制限部の前記拡開部の長さより長くしたことを特徴とする請求項10記載のガス放電管。
  12. 前記光軸方向における前記第3の放電路制限部の前記拡開部の長さは、前記第3の放電路制限部の前記直状部の直径以上であることを特徴とする請求項10又は11記載のガス放電管。
  13. 前記第2の放電路制限部と前記第3の放電路制限部との間に電気絶縁部を配置させたことを特徴とする請求項9〜12のいずれか一項記載のガス放電管。
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