JPWO2003064684A1 - 高密度リポ蛋白中のコレステロールの定量方法及び試薬組成物 - Google Patents

高密度リポ蛋白中のコレステロールの定量方法及び試薬組成物 Download PDF

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Abstract

第1工程でHDL以外のリポ蛋白中コレステロールを消去し、第2工程でHDLコレステロールを特異的に定量する測定方法において、脂質代謝異常、リポ蛋白異常等の特殊試料の測定においても正確な値を得られる方法が開示されている。本発明の高密度リポ蛋白中のコレステロールの定量方法は、被検試料に高密度リポ蛋白に作用する界面活性剤の非存在下においてコレステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシダーゼを作用させ、生じた過酸化水素を除去することにより、高密度リポ蛋白以外のリポ蛋白中のコレステロールを消去する第1工程と、次いで、前記第1工程の産物に、高密度リポ蛋白に特異的に作用する界面活性剤を加え、高密度リポ蛋白中のコレステロールをコレステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシダーゼの作用により生じた過酸化水素を定量する第2工程とを含み、前記第1工程のコレステロールオキシダーゼとして、分子量が60キロダルトン以下のものを使用する。

Description

技術分野
本発明は、高密度リポ蛋白中(HDL)のコレステロールの定量方法及びそれに用いられる試薬組成物に関する。
背景技術
HDLは、動脈硬化壁を含めた各組織からコレステロールを受け取るので細胞内に蓄積したコレステロールの除去作用に関係し、冠動脈硬化症をはじめとする各種動脈硬化症の危険予防因子であり、その血中レベルは動脈硬化性疾患の発症予知に有用な指針となることが知られている。
HDL中のコレステロールの測定方法としては、例えば超遠心分離によってHDLを他のリポ蛋白と分離した後、コレステロール測定に供する方法や、電気泳動によって分離した後に脂質の染色を行なってその発色強度を測定する方法等が知られている。しかしながら、これらの方法は、いずれも操作が煩雑であったり、多数の検体を処理できない等の問題があり、日常的にはほとんど用いられていない。
HDL中のコレステロールの測定方法として現在臨床検査の領域で一般に用いられている方法は、検体に沈殿剤を加えてHDL以外のリポ蛋白質を凝集させ、これを遠心分離によって取り除き、分離されたHDLのみを含む上清中のコレステロールを測定する方法である。この方法は、超遠心法や電気泳動法に比較して簡便であるものの、沈殿剤を加えて分離する操作を含むため、簡便性で満足できるものでなく、また、比較的多量の検体量を必要とする。
一方、酵素的にHDL中のコレステロールを分別定量する方法も既に検討されている。例えば、HDL以外のリポ蛋白を抗体とポリアニオンで予め凝集させておき、HDL中のコレステロールのみを酵素的に反応させた後に、酵素を失活させると同時に凝集体を再溶解して吸光度を測定するという方法(特開平6−242110号公報)がある。しかしながら、この方法は少なくとも3回の試薬を添加する操作が必要なため、限定された分析装置にしか適用できず、汎用性の点で問題があった。
また、他の方法としては胆汁酸塩又は非イオン界面活性剤の存在下に、酵素反応を行なう方法(特開昭63−126498号公報)、さらに近年ではコレステロールエステラーゼやコレステロールオキシダーゼ酵素を化学修飾し、シクロデキストリン等の包接化合物存在下においてHDL中のコレステロールを特異的に捕える方法(特開平7−301636号公報)やHDL以外のリポ蛋白と凝集体や複合体を形成させ、その後にHDL中のコレステロールを酵素的反応で捕える方法(特開平8−131197号公報及び特開平8−201393号公報)が知られているが、いずれも臨床検体の一部のもので沈殿法との乖離が認められる等、特異性の点で問題となっている。
本出願人は、先に分画操作を要しないHDLコレステロール定量方法を開発し(国際公開番号WO98/26090)、現在、臨床検査用試薬として検査の場で一般に用いられるようになってきた。この方法は、第1工程で試料中のHDL以外のリポ蛋白中コレステロールを消去(消去とはエステル型コレステロールと遊離型コレステロールを分解し、その分解物が第2工程で検出されないようにすることを意味する)し、第2工程でHDLコレステロールを特異的に定量するものである。
しかし、脂質代謝異常、リポ蛋白異常等の特殊な臨床検体においては、測定されるHDL量が実際のHDL量より大きくなることが問題であった。特殊な検体の特徴としては生化学検査でのトリグリセリド(TG)値やビリルビン値等が異常値を示す場合が多く、それ故に、この問題点を回避することが測定法としての有用性を高めることとなり、その方法が望まれる状況にある。
発明の開示
本発明の目的は、第1工程でHDL以外のリポ蛋白中コレステロールを消去し、第2工程でHDLコレステロールを特異的に定量する測定方法において、脂質代謝異常、リポ蛋白異常等の特殊試料の測定においても正確な値を得られる方法を提供することである。
本願発明者らは正の測定誤差の原因について調査した結果、第1工程の消去時において特殊試料ではHDL以外のリポ蛋白中のコレステロールがあまり消去されず、続く第2工程のHDL特異的反応に持ち越され、HDLの反応に正の影響となっていたことを突き止めた。
そこで、第1工程の消去を高める方法について検討した結果、第1工程に用いるコレステロールオキシダーゼ酵素に分子量の小さなものを使用することでHDL以外のリポ蛋白中のコレステロールの消去が高まることがわかった。
具体的には、リポ蛋白は、エステル型コレステロールや遊離型コレステロール、TG(中性脂肪)、リン脂質、蛋白の集合体として粒子系を形成している。構造としては表面部位に蛋白とリン脂質、その内側に遊離型コレステロール、中心部にエステル型コレステロールとTGが存在している。このリポ蛋白に対し分子量の小さなコレステロールオキシダーゼ酵素を用いることで、HDL以外のリポ蛋白に対し、粒子内部へ入り込むことができ、表面の近い位置に存在する遊離型コレステロールと反応し、粒子構造を変化させることで、コレステロールエステラーゼ酵素も作用し消去反応が高まるようになった。この際、HDLについては高密度のリポ蛋白であり、表面部位の蛋白の占める割合が高いことから、低分子量のコレステロールオキシダーゼ酵素が粒子内に入り込めず、反応は起こらない。
すなわち、本発明は、被検試料に高密度リポ蛋白に作用する界面活性剤の非存在下においてコレステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシダーゼを作用させ、生じた過酸化水素を除去することにより、高密度リポ蛋白以外のリポ蛋白中のコレステロールを消去する第1工程と、次いで、前記第1工程の産物に、高密度リポ蛋白に特異的に作用する界面活性剤を加え、高密度リポ蛋白中のコレステロールをコレステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシダーゼの作用により生じた過酸化水素を定量する第2工程とを含む、高密度リポ蛋白中のコレステロールの定量方法において、前記第1工程のコレステロールオキシダーゼとして、分子量が60キロダルトン以下のものを使用することを特徴とする方法を提供する。また、本発明は、上記本発明の方法の第1工程に用いられる試薬組成物であって、コレステロールエステラーゼと、分子量60キロダルトン以下のコレステロールオキシダーゼと、過酸化水素除去成分とを少なくとも含む、上記本発明の方法による高密度リポ蛋白中のコレステロールの定量用試薬組成物を提供する。
本発明の方法によれば、煩雑な分画分離操作を必要とせず、HDL並びにLDL、VLDL、及びCM等の他のリポ蛋白を含む被検試料中のHDLを測定する方法において、高TGや肝臓疾患患者(高ビリルビン)等の特殊被検試料についてもHDLを選択的に、簡便かつ正確に定量することができる。
発明を実施するための最良の形態
リポ蛋白中に含まれるコレステロールとしては、エステル型コレステロール(コレステロールエステル)及び遊離型コレステロールがある。本明細書において、単に「コレステロール」という場合には、これらの両者を包含する。
本発明の方法に供される被検試料としては、HDL、LDL、VLDL及びCM等のリポ蛋白を含むかもしれない試料であればいずれのものでもよく、例えば、血液、血清、血漿等の体液やその希釈物を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。本発明の方法では、とりわけ、被検試料が特殊検体であり、TG値の観点では400mg/dL以上、特に1000mg/dL以上の血液試料、又はビリルビン値の観点では2.00mg/dL以上、特に3.00mg/dL以上の血液試料である場合に威力を発揮する。なお、これらの値は未希釈の血中値である。上記の通り、公知の方法では、これらの高TG値又は高ビリルビン値血液試料に比較的多く測定されるHDL量が、現実のHDL量よりも大きくなるという問題が生じていた。下記実施例において具体的に示されるように、本発明の方法によれば、被検試料が高TG値又は高ビリルビン値血液試料である場合でも正確にHDL量を測定することができる。なお、ここで言う、「血液試料」には、全血、血清及び血漿並びにこれらの希釈物が包含される。
本発明の方法は、第1工程及び第2工程から成り、第1工程ではHDLに作用する界面活性剤の非存在下において、被検試料中のLDL、VLDL及びCM中のコレステロールを消去し、続く第2工程では、HDLに特異的な界面活性剤を用いてコレステロールを定量する。その際、第1工程でのコレステロールオキシダーゼ酵素に低分子量のものを使用する。
第1工程における「消去」とは、コレステロールを分解し、かつ、その分解産物が次の第2工程で検出されないようにすることを意味する。HDL以外のリポ蛋白、すなわち、LDL、VLDL、CM等に含まれるコレステロールを選択的に消去する方法としては以下の方法を挙げることができる。
すなわち、HDLに作用する界面活性剤の非存在下において、被検試料にコレステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシダーゼを作用させ、生じた過酸化水素を除去する。コレステロールエステラーゼの作用により、リポ蛋白中のエステル型コレステロールが加水分解されて遊離型コレステロールと脂肪酸が生じる。次いで、この生じた遊離型コレステロールと元々リポ蛋白中に存在する遊離型コレステロールがコレステロールオキシダーゼの作用で酸化されてコレステノンと過酸化水素が生じる。この生じた過酸化水素を除去する。過酸化水素を除去する方法としては、カタラーゼを作用させて水と酸素に分解する方法、及びペルオキシダーゼの作用により、例えばDAOS(N−エチル−N−(2−ヒドロキシスルホプロピル)−3,5−ジメチオキシアニリン)のような、過酸化水素と反応して無色キノンを生じるフェノール系又はアニリン系水素供与体化合物と反応させて過酸化水素を無色キノンに転化する方法等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
上記第1工程は、HDLに作用する界面活性剤の非存在下において低分子量のコレステロールオキシダーゼ酵素を作用させることで、HDL中のコレステロールはほとんど反応せず、LDL、VLDL、CM等の他のリポ蛋白中のコレステロールが反応して消去される。さらに、次の第2工程においてHDL特異的な界面活性剤の作用によりHDL中のコレステロールが選択的に定量される。
第1工程で用いるコレステロールオキシダーゼ酵素の分子量は20〜60kDaであり、好ましくは30〜40kDaである。なお、本発明の方法に用いられる、この範囲の分子量を有するコレステロールオキシダーゼは、各種の細菌や酵母等の微生物等から得ることができるが、その由来については何ら限定されるものではなく、また、このようなコレステロールオキシダーゼは市販されているので、市販品を用いることができる。なお、公知のHDLの測定方法では、分子量60キロダルトンを超える高分子量のコレステロールオキシダーゼが用いられていた。
第1工程の反応液中のコレステロールエステラーゼ濃度は0.2〜2.0U/mL程度が好ましく、由来としてはシュードモナス属細菌から生成されるものが効果的である。また、コレステロールオキシダーゼの濃度は0.1〜1.5U/mL程度が好ましい。さらに、過酸化水素除去成分としてカタラーゼを用いる場合には、カタラーゼの濃度は50〜2000U/mL程度が好ましい。また、過酸化水素を無色キノンへ転化する場合のペルオキシダーゼの濃度は0.4〜1.0U/mLが好ましく、フェノール系又はアニリン系水素供与体化合物の濃度としては0.4〜2.0mmol/Lが好ましい。
第1工程の反応は、pH5〜8の緩衝液中で行なう。緩衝液としてはリン酸、グリシン、トリス及びグッドの緩衝液が好ましい。特にグッドの緩衝液であるBis−Tris、PIPES、MOPSO、BES、HEPES及びPOPSOが好ましく、緩衝液の濃度は10〜500mM程度が好ましい。
なお、第1工程の反応液中には、任意的に、リポ蛋白加水分解酵素を加えることもできる。この酵素を加えることにより、特にVLDL中のコレステロールが反応し易くなるので好ましい。この酵素の反応液中の濃度は、5.0〜10.0U/mL程度が好ましい。また、第1工程の反応液中には、任意的に、HDLに実質的に作用しない界面活性剤やシクロデキストリン等の包接化合物等の他の成分が本発明の効果を阻害しない含量で含まれていてもよい。
第1工程の反応温度は25℃〜40℃程度が適当であり、37℃が最も好ましい。また、反応時間は2〜10分間程度でよい。
続く第2工程では、前記第1工程の産物に、HDLに特異的に作用する界面活性剤を加え、高密度リポ蛋白中のコレステロールを酵素的に定量する。ここで、「HDLに特異的に作用する界面活性剤」とは、当該界面活性剤の存在下においてコレステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシダーゼ等の酵素を作用させた場合に、HDL中のコレステロールは反応する(反応率70%以上、好ましくは90%以上)が、HDL以外のリポ蛋白中のコレステロールはほとんど反応しない(反応率30%以下、好ましくは20%以下)こととなる界面活性剤を言う。ここで用いる界面活性剤の親水性親油性バランス(HLB)は、13〜14である。界面活性剤としては、非イオン界面活性剤が好ましく、とりわけ、ポリアルキレンオキサイド誘導体が好ましい。また、ポリアルキレンオキサイド誘導体の中でもポリエチレンオキサイド誘導体が最も好ましい。また、複数の界面活性剤を混合することによりHLBを上記の範囲内に調整することもでき、このような複数の界面活性剤の混合物を用いることもできる。なお、界面活性剤のHLBの算出方法は周知であり、例えば「新界面活性剤」、堀口博著、昭和61年、三共出版に記載されている。
好ましい界面活性剤の具体例として、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコール(炭素数4〜35)エーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシベンジルフェニルエーテル等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
第2工程における界面活性剤の濃度は、特に限定されないが、反応混合物全体に対し、0.05〜3重量%が好ましく、さらには0.1〜1.5重量%が好ましい。
上記界面活性剤の存在下において、被検試料中のHDLコレステロールを酵素的に定量することができる。すなわち、第1工程では、HDL以外のリポ蛋白中のコレステロールが大部分消去されるが第2工程での反応との相乗効果によりHDL中のコレステロールのみが定量される。
コレステロールの酵素的な定量方法自体はこの分野において周知であり、例えば第1工程と同様、コレステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシダーゼの作用によりコレステロールエステル及び遊離型コレステロールから過酸化水素を発生させ、発生した過酸化水素を定量することにより行なう。過酸化水素の定量は、例えば、ペルオキシダーゼの存在下で、過酸化水素と反応してキノン色素を形成する化合物と反応させ、生じたキノン色素の量を吸光度測定等により測定することにより行なうことができる。キノン色素は、例えば過酸化水素と4−アミノアンチピリン及びDAOS又はHDAOS(N−(2−ヒドロキシスルホプロピル)−3,5−ジメチオキシアニリン)を反応させることにより形成される。これにより形成されるキノン色素は、DAOSを用いた場合には波長593nmに最大吸収を有し、HDAOSを用いた場合には波長583nmに最大吸収を有する。キノン色素を生成する化合物の濃度は、特に限定されないが、反応混合物全体に対し、例えば4−アミノアンチピリンでは好ましくは0.1〜2.0mM、さらに好ましくは0.5〜1.5mMであり、DAOS又はHDAOSでは好ましくは0.1〜1.5mM、さらに好ましくは0.4〜1.0mMである。また、ペルオキシダーゼの濃度は、特に限定されないが、反応混合物全体に対し、0.4〜5U/mLが好ましい。なお、第2工程の好ましい反応条件(反応温度、反応時間、緩衝液、pH)は、第1工程の好ましい反応条件と同じである。
なお、第1工程において、生じた過酸化水素をカタラーゼで分解する場合には、第2工程ではこのカタラーゼを阻害する必要があるので、第2工程において例えばアジ化ナトリウムのようなカタラーゼ阻害剤を用いてカタラーゼを阻害する。
本発明は、また、上記本発明の方法の第1工程に用いられる試薬組成物であって、コレステロールエステラーゼと、分子量60キロダルトン以下のコレステロールオキシダーゼと、過酸化水素除去成分とを少なくとも含む、本発明の方法による高密度リポ蛋白中のコレステロールの定量用試薬組成物をも提供する。過酸化水素除去成分としては、上記の通り、(1)カタラーゼ、又は(2)フェノール系若しくはアニリン系水素供与体化合物とペルオキシダーゼ等を用いることができる。試薬組成物中の各成分の比率は、使用時に上記した各濃度になる比率である。試薬組成物は、さらに、上記した緩衝剤やリポ蛋白加水分解酵素を含んでいてもよい。
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、下記例において、「%」は特に断りがない限り「重量%」を示す。
参考例
既知濃度の精製HDL、LDL、VLDL又はCMを含む試料を用い、花王(株)製非イオン性界面活性剤エマルゲン911(ポリオキシエチレンノニルエーテル、HLB13.7)、エマルゲンB66(ポリオキシエチレン誘導体、HLB13.2)、又はエマルゲンB66とエマルゲンA90(ポリオキシエチレン誘導体、HLB14.5)の混合物の存在下で各リポ蛋白中のコレステロールを酵素的に定量した。この操作は具体的に次のように行なった。
50mM PIPES緩衝液pH7.0、コレステロールエステラーゼ0.5U/mL、コレステロールオキシダーゼ0.4U/mL、ペルオキシダーゼ0.5U/mL、4−アミノアンチピリン1.0mmol/L、HDAOS 0.5mmol/Lに、エマルゲン911若しくはエマルゲンB66を0.1重量%、又はエマルゲンB66/エマルゲンA90混合物(9/1)1.3重量%を含む試薬を調整し、試料20μLに試薬2.0mLを混和し、37℃、10分間反応させた後、600nmの吸光度を測定した。
その結果、コレステロールの反応率(コレステロール中の定量されたコレステロールの割合)は、HDL中のコレステロールが約95%、その他のリポ蛋白中のコレステロールが約18〜22%であった。
このことから、エマルゲン911、エマルゲンB66、及びエマルゲンB66/エマルゲンA90混合物は、本発明で言う「高密度リポ蛋白に特異的に作用する界面活性剤」に該当する。
実施例1
次の組成から成る3種類の試薬を調製した。
3種類の試薬は第1試薬中に用いるコレステロールオキシダーゼ酵素の分子量が異なり、それ以外の成分は全て同じとした。
<共通成分>
第1試薬
Figure 2003064684
第2試薬
Figure 2003064684
<試薬>
各試薬に分子量の異なるコレステロールオキシダーゼ(CO)を第1試薬中に0.8U/mLになるように添加。
試薬1
高分子量CO(商品名:CON II、旭化成社製、分子量61.8KDa)
試薬2
低分子量CO(商品名:COO−321、東洋紡社製、分子量55.0KDa)
試薬3
低分子量CO(商品名:CO、旭化成社製、分子量38.0KDa)
試薬4
低分子量CO(商品名:COO−311、東洋紡社製、分子量34.0KDa) 健常者、高TG、高ビリルビン(BIL)の試料(血清)各4μLに、予め37℃で加温した上記第1試薬300μLを混和し、37℃で5分間反応させた後に、第2試薬100μLを37℃で5分間反応させ、反応液の600nmにおける吸光度を測定した。測定された吸光度からコレステロール量を算出した。一方、「新生化学実験講座第4巻 脂質I 中性脂質とリポ蛋白質」、181(1993)に記載された超遠心法により同じ試料中のHDLコレステロールを定量し、超遠心法の値に対する各試薬の差の%を算出した。
(各試薬値−超遠心法値)/超遠心法値 ×100
また、TG値及びBIL値の具体的な測定方法は次の通りであった。
TG値の測定方法としては「臨床検査法提要 第31版」、559(1998)に記載されたLPL−GK−GPO系による酵素法を使用した。BIL値は「臨床検査法提要 第31版」、584(1998)に記載されたJendrassik−Grof法のMichaelsson変法を使用した。
結果を記表1ないし表3に示す。なお、括弧内の数値は、上記式により算出される、超遠心法値との差の%を示す。
Figure 2003064684
Figure 2003064684
Figure 2003064684
表1に示されるように、健常者ではどの試薬も超遠心と同様な値が得られているが、高TGや高BILでは低分子量のコレステロールオキシダーゼ酵素を用いた本発明の方が、超遠心の値に近いことがわかる。

Claims (5)

  1. 被検試料に高密度リポ蛋白に作用する界面活性剤の非存在下においてコレステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシダーゼを作用させ、生じた過酸化水素を除去することにより、高密度リポ蛋白以外のリポ蛋白中のコレステロールを消去する第1工程と、次いで、前記第1工程の産物に、高密度リポ蛋白に特異的に作用する界面活性剤を加え、高密度リポ蛋白中のコレステロールをコレステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシダーゼの作用により生じた過酸化水素を定量する第2工程とを含む、高密度リポ蛋白中のコレステロールの定量方法において、前記第1工程のコレステロールオキシダーゼとして、分子量が60キロダルトン以下のものを使用することを特徴とする方法。
  2. 前記コレステロールオキシダーゼの分子量が30〜40キロダルトンである請求項1記載の方法。
  3. 高密度リポ蛋白に特異的に作用する前記界面活性剤は、HLB値が13〜14の界面活性剤である請求項1又は2記載の方法。
  4. 高密度リポ蛋白に特異的に作用する前記界面活性剤は、ポリアルキレンオキサイド誘導体である請求項3記載の方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法の第1工程に用いられる試薬組成物であって、コレステロールエステラーゼと、分子量60キロダルトン以下のコレステロールオキシダーゼと、過酸化水素除去成分とを少なくとも含む、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法による高密度リポ蛋白中のコレステロールの定量用試薬組成物。
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