JPWO2003064538A1 - 精製紫トウモロコシ色素及びその調製方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、臭いがしないか若しくは有意に低減された、無臭若しくは微臭の紫トウモロコシ色素及び該色素を含有する色素製剤に関する。また本発明は、保存時の光や熱の影響によって生じ得る、臭いの経時的な発現が有意に抑制されてなる無臭若しくは微臭の紫トウモロコシ色素及び該色素を含有する色素製剤に関する。さらに本発明は、フモニシンを含まない無臭若しくは微臭の紫トウモロコシ色素及び該色素を含有する色素製剤に関する。
また、本発明は、紫トウモロコシ色素抽出液に含まれ得るフモニシンを有意に除去することのできる紫トウモロコシ色素の精製方法、言い換えればフモニシンを含まない無臭若しくは微臭の精製紫トウモロコシ色素の調製方法に関する。
背景技術
アントシアニン系色素である紫トウモロコシ色素は、主に飲料などの食品の着色に広く使用されている色素である。しかしながら、当該紫トウモロコシ色素は、原料の紫トウモロコシに起因する特有の香気成分や夾雑物を有するため、食品その他の製品に使用する際、その香気成分や夾雑物より生じる香気や沈澱物がこれら食品等の風味や味に悪影響を及ぼす場合がある。このため、従来から紫トウモロコシに特有の香気成分や夾雑物が有意に除去された紫トウモロコシ色素を含む色素製剤が求められており、これまでに各種の精製方法が検討されている。
しかしながら、今まで紫トウモロコシ色素特有の臭いを有効に脱臭する方法は殆どなく、従来の紫トウモロコシ色素製剤は、未だ紫トウモロコシに由来する特有の香気を有しているのが実情である。また、従来の紫トウモロコシ色素製剤は、長期保存時に熱や光等による経時変化によって徐々に臭いが強くなる、所謂「匂い戻り現象」が生じるという問題があるのが実情である。
更に、紫トウモロコシ色素及びその色素製剤は、食品の着色料として広く使用されるものであるが故に、原料である紫トウモロコシに発生し得るカビ毒であるフモニシンが混入しないように調製することが求められる。
発明の開示
これらのことから、本発明は食品、医薬品、医薬部外品、化粧品などの風味や香味に長期にわたって影響を与えることなく且つ安全で、着色料として安心して配合使用できる紫トウモロコシ色素を提供することを目的とするものである。
具体的には、本発明は第1に、紫トウモロコシに含まれる香気成分が除去されて該香気成分に由来する臭いがしないか若しくはそれが有意に低減されてなる紫トウモロコシ色素並びに該色素を含有する色素製剤を提供することを目的とする。第2に本発明は、長期保存時の熱や光の影響によっても所謂「匂い戻り」といった経時変化のない紫トウモロコシ色素並びに該色素を含有する色素製剤を提供することを目的とする。第3に本発明は、香気成分や夾雑物が有意に低減され、さらにカビ毒であるフモニシンを含まないか若しくはそれが有意に低減されてなる紫トウモロコシ色素並びに該色素を含有する色素製剤を提供することを目的とするものである。第4に本発明は、上記精製紫トウモロコシ色素の調製方法、特に原料の紫トウモロコシに発生したフモニシンを除去するために有効に使用できる紫トウモロコシ色素の調製方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記紫トウモロコシ色素製剤に関する従来の問題点を解決すべく日夜鋭意検討したところ、紫トウモロコシ色素抽出物から臭いの原因となる夾雑物とフモニシンを選択的に除去して目的の色素を取得する方法を見いだし、かかる方法により上記目的に則した精製紫トウモロコシ色素及びその色素製剤を開発するに至った。
すなわち、本発明は、下記(1)〜(10)に掲げる紫トウモロコシ色素の調製方法である:
(1)紫トウモロコシ色素抽出液を吸着樹脂に通液し、色素が吸着した樹脂を水で洗浄した後、脱離液として25〜45v/v%のアルコール水溶液を用いて該樹脂から紫トウモロコシ色素を脱離させる工程を有する、紫トウモロコシ色素の調製方法。
(2)紫トウモロコシ色素抽出液が、酸性水または20v/v%以下のアルコールを含む酸性水溶液である(1)に記載の紫トウモロコシ色素の調製方法。
(3)水洗浄後に、樹脂容量の1.5〜2.5倍容量の脱離液をSV(space velocity)=0.8〜1.5の速度で樹脂に通液することを特徴とする(1)または(2)に記載の紫トウモロコシ色素の調製方法。
(4)吸着樹脂が、架橋スチレン系の多孔質重合体である(1)乃至(3)のいずれかに記載の紫トウモロコシ色素の調製方法。
(5)紫トウモロコシ色素抽出液を吸着樹脂に通液し、水で洗浄した後、脱離液として25〜45v/v%のアルコール水溶液を用いて該樹脂から紫トウモロコシ色素を脱離させる工程を、フモニシン除去工程として含む(1)乃至(4)のいずれかに記載の紫トウモロコシ色素の調製方法。
(6)(1)乃至(5)のいずれかに記載される工程で得られる吸着処理液に対して、吸着処理、イオン交換処理、酸処理、抽出処理及び膜分離処理よりなる群から選択される少なくとも一種の処理を行うことを特徴とする紫トウモロコシ色素の調製方法。
(7)(1)乃至(5)のいずれかに記載される処理工程後、膜分離処理を行うことを特徴とする(6)に記載の紫トウモロコシ色素の調製方法。
(8)膜分離処理が、逆浸透膜処理または限外濾過膜処理のいずれか少なくとも1種である(6)または(7)に記載の紫トウモロコシ色素の調製方法。
(9)膜分離処理前に酸処理を行うことを特徴とする(7)に記載の紫トウモロコシ色素の調製方法。
(10)酸処理を高温条件下で行うことを特徴とする(9)に記載の紫トウモロコシ色素の調製方法。
なお、上記(1)〜(6)の紫トウモロコシ色素の調製方法は、紫トウモロコシ色素抽出液からフモニシンを除去する方法と言い換えることができる。また上記(1)〜(10)の紫トウモロコシ色素の調製方法は、紫トウモロコシ色素の精製方法と言い換えることもできる。
さらに本発明は、下記(11)〜(14)に掲げる紫トウモロコシ色素である:
(11)(1)乃至(10)のいずれかに記載の方法で調製されるフモニシンを含まないことを特徴とする紫トウモロコシ色素。
(12)(1)乃至(10)のいずれかに記載の方法で調製される紫トウモロコシ色素であって、色価を
E10% 1cm=60
とした場合に、含まれる香気成分濃度が総量で150ppm以下である紫トウモロコシ色素。
(13)上記紫トウモロコシ色素中の香気成分が、酢酸、マロン酸ジエチルエステル、4−ビニル−2−メトキシフェノール及び4−ビニルフェノールよりなる群から選択されるいずれか少なくとも一種である(12)記載の紫トウモロコシ色素。
(14)(1)乃至(10)のいずれに記載の方法で調製される紫トウモロコシ色素であって、色価を
E10% 1cm=60
とした場合に、含まれる酢酸、マロン酸ジエチルエステル、4−ビニル−2−メトキシフェノール及び/または4−ビニルフェノールの濃度が、総量で20ppm以下である紫トウモロコシ色素。
さらに本発明は、上記(11)乃至(14)のいずれかに記載の紫トウモロコシ色素を含有する色素製剤である。
発明を実施するための形態
本発明は、原料として用いる紫トウモロコシに由来する香気成分及び夾雑物を含まないか若しくはそれが有意に低減されてなる紫トウモロコシ色素である。
本発明において、紫トウモロコシ色素とは、主に飲料、菓子などの食品の着色に広く使用されているアントシアニン系色素であり、紫トウモロコシ(Zea mays L.:イネ科)を原料として調製されている。
本発明において色価とは、当該対象の紫トウモロコシ色素を含有する溶液(緩衝液pH3.0)の可視部での極大吸収波長(510nm付近)における吸光度を測定し、該吸光度を10w/v%溶液の吸光度に換算した数値である。
また本発明において香気成分とは、異臭や悪臭の原因となる紫トウモロコシ由来の揮発性香気成分を意味するものであり、特に制限されないが、具体的には酢酸、マロン酸ジエチルエステル、4−ビニル−2−メトキシフェノール、及び4−ビニルフェノールを挙げることができる。また、夾雑物とは、難水溶性色素成分、ワックス、残留農薬、後発的に農作物に発生するカビ及びその生成物(例えばフモニシン等)等が挙げられる。
尚、フモニシンにはフモニシンA1、フモニシンA2、フモニシンB1、フモニシンB2及びフモニシンB3等が含まれるが、これらはトウモロコシをはじめとする穀類に発生するカビ(Fusarium moniliformeやF.proliferatum)の生成物であって、該生成物には肝発ガン性等の毒性があることが報告されている。
本発明が対象とする紫トウモロコシ色素は、当該色素の色価を
E10% 1cm=60
に調整した場合に、該色素中に含まれる上記香気成分の総濃度が150ppm以下であることを特徴とするものである。香気成分の濃度は色価にほぼ比例するものである。よって、本発明が対象とする紫トウモロコシ色素は、色素を上記色価に調整した場合に、該色素に含まれる上記香気成分の総濃度が上記濃度範囲にあるものであればよく、それ自体が上記色価を有する必要はない。
本発明の紫トウモロコシ色素として好ましくは、該色素の色価を上記のように調整した場合に、該色素中に含まれる酢酸、マロン酸ジエチルエステル、4−ビニル−2−メトキシフェノール及び/または4−ビニルフェノールの濃度が、総量で50ppm程度以下、より好ましくは20ppm程度以下であるものである。これらの成分は、悪臭の原因となる紫トウモロコシ由来の揮発性香気成分である。
このように上記の香気成分の含有量が極めて低減されることによって、無臭化若しくは臭いが低減された本発明の紫トウモロコシ色素は、紫トウモロコシの色素抽出液に対して、吸着処理、イオン交換処理、pH調整処理、抽出処理または膜分離処理のいずれか一種の処理を行うか、またはこれらの処理を任意に2種以上組み合わせて行うことによって製造取得することができる。なお、pH調整処理として好適には酸処理を挙げることができる。
本発明において用いられる紫トウモロコシの色素抽出液としては、紫トウモロコシの植物体の溶媒抽出物が用いられる。抽出に用いられる植物部位は、目的とする紫トウモロコシ色素が含まれる部位であればよく、全草またはその一部(例えば雌花穂(果粒、芯)等)の別を特に問うものではない。尚、上記植物体には紫トウモロコシ植物のカルスも包含される。当該植物の全草又はその一部はそのまま(生)若しくはその破砕物として抽出操作に付してもよいし、また乾燥後、必要に応じて粉砕粉体状として抽出操作に付してもよい。
上記抽出に用いられる溶媒としては、紫トウモロコシに含まれる色素を抽出できる溶媒であれば特に制限されないが、好適にはアルコール、水またはこれらの混合液を用いることができる。なお、アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロピルアルコール、ブタノール等の炭素数1〜4の低級アルコールを例示することができる。好ましくは酸性水または酸性のアルコール水溶液である。尚、酸性水または酸性のアルコール水溶液は、塩酸、硫酸又はリン酸等の無機酸又はクエン酸やリンゴ酸等の有機酸を用いて、pH約1〜5、好ましくはpH約1〜4の範囲に調整されたものが好ましい。またアルコール水溶液に含まれるアルコール量は20容量%以下であることが好ましい。
抽出方法としては、一般に用いられる方法を採用することができる。制限はされないが、例えば溶媒中に全草若しくは部分(そのまま若しくは粗末、細切物)、又はそれらの乾燥破砕物(粉末など)を冷浸、温浸等によって浸漬する方法、加温し攪拌しながら抽出を行い、濾過して抽出液を得る方法、またはパーコレーション法等を挙げることができる。
得られた抽出液は、必要に応じてろ過、共沈または遠心分離によって固形物を除去した後、そのまま若しくは濃縮して、吸着処理に供される。吸着処理は常法に従って行うことができ、例えば活性炭、シリカゲルまたは多孔質セラミックなどによる吸着処理、および各種合成吸着樹脂による吸着処理を挙げることができる。合成吸着樹脂としては、特に制限されないが、好ましくは架橋スチレン系またはアクリル系の多孔質重合体を挙げることができる。具体的には、架橋スチレン系の多孔質重合体としてはスチレンビニルベンゼン共重合体が挙げられ、商業的に入手できるものとしてダイヤイオンHP10、ダイヤイオンHP20、ダイヤイオンHP21、ダイヤイオンHP40、及びダイヤイオンHP50;セパビーズSP70、セパビーズSP700、セパビーズSP825(以上、商標、三菱化学(株)製);アンバーライトXAD−4;デュオライトS874、デュオライトS876(以上、商標、Rohm & Haas社製)が例示される。アクリル系の多孔質重合体としてはアンバーライトXAD−7、アンバーライトXAD−8、アンバーライトXAD−2000;デュオライトS877(以上、商標、Rohm & Haas社製)を例示することができる。使用される合成吸着樹脂として好ましくは架橋スチレン系の多孔質重合体であり、より好ましくはスチレンビニルベンゼン共重合体であり、更に好ましくはダイヤイオンHP系の吸着樹脂である。
なお、吸着樹脂は、制限はされないが、比表面積として600m2/g付近、細孔半径として100〜400Å、好ましくは200〜300Åを有していることが好ましい。
次いで紫トウモロコシの色素抽出液を吸着した樹脂は、洗浄後、脱離処理に供される。洗浄は通常水で行われ、樹脂容量の2〜5倍、好ましくは3〜4倍容量の水を通液して実施されることが好ましい。色素の脱離処理は、吸着樹脂にアルコール水溶液を通液することによって行うことができる。この際、アルコール水溶液として25〜45v/v%、好ましくは28〜40v/v%、より好ましくは28〜35v/v%の割合でアルコール、好ましくはエタノールを含むアルコール水溶液が用いられる。かかるアルコール濃度の脱離液を用いることにより紫トウモロコシの色素抽出液に含まれている可能性のあるフモニシンを樹脂に吸着させた状態で紫トウモロコシ色素を選択的に樹脂から収率よく脱離させて回収することができる。この場合、上記脱離液は通常樹脂容量の1〜3倍、好ましくは1.5〜2.5倍容量用いることが好ましい。
上記吸着樹脂処理は、特に制限されないが、通常室温で行われる。また紫トウモロコシの色素抽出液、洗浄液及び脱離液の通液速度は、通常SV(space velocity)=0.1〜5、好ましくはSV=0.5〜3、より好ましくは0.8〜1.5で行うことができる。
かくしてフモニシンが有意に除去され、フモニシンを含まない紫トウモロコシの色素抽出液の吸着処理液を得ることができる。
かくして得られる紫トウモロコシ色素抽出液の吸着処理液は、必要に応じて再度吸着処理に付されるか、またはイオン交換処理、膜分離処理、抽出処理又はpH調整処理(酸処理)等の各種の処理に供することができる。
吸着処理としては、前述する処理に限定されず、常法に従って各種の吸着樹脂を用いて実施することができる。
イオン交換処理は、特に制限されず慣用の樹脂を用いて常法に従って陽イオン交換処理または陰イオン交換処理を行うことができる。例えば陽イオン交換樹脂としては、制限されないがダイヤイオンSK1B、ダイヤイオンSK102、ダイヤイオンSK116、ダイヤイオンPK208、ダイヤイオンWK10、ダイヤイオンWK20(以上、商標、三菱化学(株)製)などが、また陰イオン交換樹脂としては、制限されないがダイヤイオンSA10A、ダイヤイオンSA12A、ダイヤイオンSA20A、ダイヤイオンPA306、ダイヤイオンWA10、ダイヤイオンWA20(以上、商標、三菱化学(株)製)などが例示される。 また本発明でいう膜分離法とは、膜による濾過方法を広く意味するものであり、例えばメンブレンフィルター(MF)膜、限外濾過(UF)膜、逆浸透膜および電気透析膜などの機能性高分子膜を用いた濾過処理を挙げることができる。また膜分離法としてはこれらの膜を利用した限外濾過膜法や逆浸透膜法などのほか、イオン選別膜による濃度勾配を利用した透析法、隔膜としてイオン交換膜を使用し電圧を印加する電気透析法などが知られている。工業的には逆浸透膜法による膜分離法が好ましい。かかる膜分離法に用いられる膜材料としては、天然、合成、半合成の別を問わず、例えばセルロース、セルロース・ジ−アセテート若しくはトリ−アセテート、ポリアミド、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリアクリロニトリルなどを挙げることができる。
本発明の膜分離法には、分画分子量が例えば104〜106の範囲にある膜を用いて高分子化合物を分離除去する処理方法と分画分子量が約2000〜4000程度、好ましくは3000程度の膜を用いて低分子化合物を分離除去する処理方法が含まれる。前者の方法として具体的にはNTU−3150膜,NTU−3250膜,NTU−3550膜,NTU−3800膜(以上、日東電工製);Cefilt−UF(日本ガイシ製);AHP−2013膜,AHP−3013膜,AHP−1010膜(以上、旭化成製);等を利用した限外濾過(UF)膜処理を挙げることができ、また後者の方法として具体的にはNTR−7250膜,NTR−7410膜,NTR−7430膜,NTR−7450膜(以上、日東電工製)、AIP−3013膜,ACP−3013膜,ACP−2013膜,AIP−2013膜,AIO−1010膜(以上、旭化成製)などの膜を利用した逆浸透膜(ナノフィルトレーション膜、分画分子量3000程度)処理を挙げることができる。これらは1種単独で行ってもまた2種を組み合わせて実施してもよい。
本発明において抽出処理とは、特に制限はされないが、炭酸ガス、エチレン、プロパン等を紫トウモロコシ色素抽出液の吸着処理液に臨界点以上の温度、圧力下の密閉系装置内で接触させる方法を挙げることができる。
またpH調整処理(酸処理)は、紫トウモロコシ色素抽出液の吸着処理液若しくは上記の各種処理が施された処理液をpH1〜4に調整し、酸性条件下に曝されることによって実施できる。好ましくはpH1.5〜2の条件下に曝される酸処理である。酸処理は、具体的には上記処理液に酸を添加配合することによって簡便に行うことができる。かかる酸としては、食品添加物として通常使用される酸であれば特に制限されず、かかる中から任意に選択使用することができる。例えばクエン酸、酢酸、リンゴ酸、乳酸等の有機酸または硫酸、塩酸、リン酸、硝酸等の無機酸等を例示することができる。好ましくは食品添加物として通常使用される無機酸を用いた酸処理である。
かかる酸処理を行う温度条件は特に制限されず、通常5〜100℃の範囲から適宜選択使用することができる。酸処理時間も特に制限されず、通常1〜300分の範囲から適宜選択することができる。好ましくは高温条件下での酸処理であり、かかる温度としては40〜100℃、好ましくは50〜80℃の範囲を挙げることができる。この場合、酸処理時間としては1〜60分、好ましくは10〜30分の範囲から適宜選択することができる。なお酸処理工程時、処理液は撹拌してもしなくても特に制限されない。
上記の各種処理は、紫トウモロコシ色素抽出液の吸着処理液に対して1種単独で行っても、また任意の2種以上の処理を任意の順番で組み合わせて行ってもよく、また同一処理を、同一もしくは異なる条件で、繰り返し実施してもよい。
好ましい処理方法は、特に制限されないが、紫トウモロコシ色素抽出液に対し吸着処理を行い、脱吸着処理工程後に、膜分離処理を行う方法である。より好ましくは吸着処理工程後に、酸処理を行い、酸処理後に膜分離処理を行う方法である。なお、かかる酸処理は高温条件下で実施することが好ましい。また、必要に応じて上記脱吸着処理後に更にイオン交換処理(好ましくは陰イオン交換樹脂処理)を行うこともできる。
なお、ここで膜分離処理は、好ましくは逆浸透膜処理または限外濾過膜処理であり、より好ましくは逆浸透膜処理である。また、当該膜分離処理は、分画分子量が2000〜4000、好ましくは3000付近である膜を用いて行うことが好ましい。
一般に、トウモロコシ等のイネ科の植物は、カビ毒成分であるフモニシンに汚染されやすい。本発明の色素の原料として用いる紫トウモロコシもトウモロコシの1種であることからフモニシンに汚染される可能性がある。上記の本発明の方法によれば、たとえ原料として用いる紫トウモロコシがフモニシンに汚染されていたとしても、紫トウモロコシ色素からフモニシンを効果的に除去することが可能であり、斯くしてフモニシンを含まない安全な紫トウモロコシ色素を提供することができる。なお、ここで言う「含まない」とは色素若しくは色素製剤に含まれるフモニシン濃度がその検出限界である0.2ppm以下であることを意味する。
また上記の方法により得られる本発明の紫トウモロコシ色素は、フモニシンをはじめとする各種の夾雑物のほか、前述する紫トウモロコシ由来の香気成分が効果的に除去されてなるものであって、これによって無臭か若しくは食品に配合してもその風味に殆ど影響しない程度に臭いが低減されてなる微臭の紫トウモロコシ色素を提供することができる。また、上記方法によって得られる本発明の紫トウモロコシ色素は、長期保存時における熱や光の影響によっても所謂「匂い戻り」といった経時変化を生じないものである。これは、上記本発明の製造方法によって、異臭や悪臭を発現し得る、夾雑物に含まれる香気成分の前駆体が分解されたかまたは除去されたためと考えられる。
かくして得られる本発明の紫トウモロコシ色素は、水、アルコール(例えば、エタノール)、その他の溶媒に溶解若しくは分散した溶液状態、若しくは乾燥状態(粉状、顆粒状、錠剤状、丸剤状など)の色素製剤として調製することができる。
よって本発明は、食品、医薬品、医薬部外品、化粧品などの着色料として安全に使用できる紫トウモロコシ色素を含有する色素製剤を提供するものである。当該色素製剤は、上記本発明の紫トウモロコシ色素に加えて、食品衛生上または薬学上許容される担体や添加剤が配合されていてもよく、かかる担体及び添加剤として、具体的には、例えばデキストリン、乳糖、粉末水飴の他、色素・色素製剤に通常用いられる保存剤、安定剤または酸化防止剤などの食品添加物や医薬品添加物を挙げることができる。
実施例
以下に、本発明の構成ならびに効果をより明確にするために、実施例および比較例を記載する。但し本発明は、これらの実施例等に何ら影響されるものではない。
参考例 紫トウモロコシ色素抽出液の調製
水16L、エタノール4Lと硫酸90gの混合液(pH2.3)に紫トウモロコシ乾燥物(雌花穂(芯と果粒))2kgを投入し、室温下に一夜放置して、赤色素を抽出した。抽出後、60メッシュ金網にて固液分離した液に濾過助剤及び珪藻土を配合してろ紙で濾過し、紫トウモロコシ色素抽出液約16Lを得た。
実験例1
参考例の方法に従って調製した紫トウモロコシ色素抽出液約16Lに、5ppm濃度になるようにフモニシンB1の標準品を添加した。次いでこのフモニシン含有抽出液16Lを吸着樹脂(スチレンビニルベンゼン共重合体:ダイヤイオンHP20、三菱化学(株)製)1.5Lに、SV=1、温度20℃の条件で通液し、該樹脂を水5L(SV=1)で洗浄した。次いで得られた樹脂に30v/v%のエタノール水溶液3Lを通液し(SV=1、温度20℃)、脱離液を回収した(本発明品)。一方、比較対照実験として、上記の樹脂の脱離処理を30v/v%のエタノール水溶液に代えて50v/v%のエタノール水溶液を用いて同様に行ない、脱離液を回収した(比較品)。両者の脱離液をそれぞれ減圧濃縮して、それぞれについて色価E10%1cm=100の色素液800gを得た。これらの色素液800gに水227g、クエン酸(結晶)40g及びエチルアルコール266gを加えて色価E10%1cm=60の紫トウモロコシ色素製剤1333gを調製した。
次いで、上記で調製した紫トウモロコシ色素製剤(発明品、比較品)中のカビ毒(フモニシン)の含有量を、それぞれ液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて定量分析した。具体的には、それぞれの色素製剤(色価E10% 1cm=60)1gを、メタノール:水=3:1の混液50mlで希釈し、1N水酸化ナトリウムにてpH7.0に調整後、0.5μmのメンブランろ過する。このろ液を固相抽出カートリッジであるBond Elut SAX(Varian CA90710)カラムに自然流下してフモニシンを吸着させる。メタノール:水=3:1の混液10ml、メタノール5mlにて洗浄した後、1%酢酸を含むメタノール30〜40mlでフモニシンを溶出する。このフモニシン溶出液を減圧乾固し、0.1M硼酸緩衝液(pH8.7)200μLにて溶解したものを分析供試サンプルとし、下記のHPLC条件で、カビ毒(フモニシン)を測定した。
<HPLC条件>
カラム:L−column ODS(φ4.6mm×250mm、化学品検査協会製)
カラム温度:35℃
移動相:0.05%トリフルオロ酢酸を含むメタノール:水=3:2の混液
移動相流速:1.0ml/min
反応チューブ:ID 0.25mm×5000mm(SUS)、カラム通過後検出前に装填
反応チューブ温度:50℃
反応液:0.08%o−フタルアルデヒド、0.1N−acetyl−L−cysteine 0.4M硼酸緩衝液pH10.0溶液、カラム通過後反応チューブ前に注液
反応液流速:0.4ml/min
検出波長:蛍光励起波長340nm、蛍光測定波長450nm。
その結果、脱離液として50v/v%のエタノール水溶液を用いて調製した紫トウモロコシ色素製剤中のフモニシン濃度は3ppmであったのに対し、脱離液として30v/v%のエタノール水溶液を用いて調製した紫トウモロコシ色素製剤中のフモニシン濃度は0ppmであり、本発明の方法によりフモニシンが有意に除去されることが確認できた。
実験例2
(1)紫トウモロコシ色素製剤の調製
▲1▼参考例の方法に従って調製した紫トウモロコシ色素抽出液約16Lを合成吸着樹脂アンバーライトXAD−7(1.5L、アクリル酸エステル系樹脂、Rohm & Haas社製)に通液して吸着処理し、水5Lで樹脂をよく洗浄した後、脱離液として0%および50容量%エタノール水溶液を用いてグラジエントをかけて分画処理して、目視にて赤色画分を収得した(通液速度:SV=1、室温)。その結果、30〜40容量%エタノール水溶液画分から紫トウモロコシ色素溶出液4.8Lを得た。
次いで、この溶出液を、限外濾過膜(AHP−2013膜:旭化成製、分画分子量50,000)を用いて3kg/cm2,20℃で処理し限外濾過透過液を得た。次いで、得られた限外濾過透過液に硫酸を加えてpH2.0に調整し、更に水5Lを加えて逆浸透膜処理(NTR−7250膜:日東電工製、分画分子量約3,000程度)を行い、逆浸透膜処理液1Lを得た。この際、夾雑物は濾液として透過除去され、精製された色素成分が残液として濃縮された。次いでこの逆浸透処理液を減圧下で濃縮して、色価E10% 1cm=200の有意に精製された色素液80gを得た。この色素液中には、紫トウモロコシ色素の主色素成分であるシアニジン−3−グルコシド(Cyanidin3−O−β−D−glucoside)が3.1重量%含まれていた。この色素液80gに水130gとエチルアルコール40g、クエン酸(結晶)10gを加えて色価E10% 1cm=60の紫トウモロコシ色素製剤260gを調製した(本発明品)。当該色素製剤は無臭であった。
▲2▼一方、比較のため、参考例の方法に従って調製した紫トウモロコシ色素抽出液約16Lを、上記と同様にして合成吸着樹脂アンバーライトXAD−7(1.5L)に吸着させ、水5Lで樹脂をよく洗浄した後、50容量%エタノール水溶液で紫トウモロコシ色素を溶出し、溶出液5Lを得た。次いでこの溶出液を減圧濃縮して色価E10% 1cm=100の色素液800gを得た。この色素液800gに水223g、クエン酸(結晶)30g及びエチルアルコール267gを加えて色価E10% 1cm=60の紫トウモロコシ色素製剤1330gを調製した(比較品)。当該色素製剤は紫トウモロコシ由来の特有の異臭を有していた。
(2)GC−MS測定
上記(1)で調製した各紫トウモロコシ色素製剤(本発明品、比較品)に含まれる香気成分量を、ガスクロマトグラフィー・質量分析計(GC−MS)を用いて比較した。具体的には、それぞれの色素製剤(E10% 1cm=60)30gを採取し、内部標準物質としてメチルオクタノエート0.5ppmを含むジエチルエーテル200mlで抽出し、次いでジエチルエーテル溶液を蒸発乾燥し、得られた濃縮液を下記の条件のガスクロマトグラフィー・質量分析計(GC−MS)に供して、香気成分量を測定した。
<GC−MS測定条件>
GC/MS:Hewlett−Packard 5973,Mass Selective Detector,
カラム:J&W製DB−WAX(0.25mm x 60m)、
温度条件:注入口250℃、インターフェース230℃、
カラム温度50℃(2分)−220℃、昇温3℃/分、
スプリット比:70:1、
イオン化電圧:70eV。
結果を図1に示す。図1のAで示すように、本発明の紫トウモロコシ色素製剤(本発明品)のトータルイオンクロマトグラムによると、内部標準物質以外の香気成分(酢酸、マロン酸ジエチルエステル、4−ビニル−2−メトキシフェノール、4−ビニルフェノール)は総量で極微量(111ppm以下)であった。それに対して、図1のBで示すように、比較品の紫トウモロコシ色素製剤には数多くの揮発性成分が多量に含まれていること(総量215ppm)が観察された。この結果は、比較品は紫トウモロコシ由来の特有の異臭を有していたのに対して、本発明品は無臭であったという上記の事実と一致するものであった。
なお、図1中、▲1▼のピークは酢酸、▲2▼のピークはマロン酸ジエチルエステル、▲3▼のピークは4−ビニル−2−メトキシフェノール、▲4▼のピークは4−ビニルフェノールをそれぞれ示す。IS−1のピークは内部標準物質であるオクタン酸メチルである。
(3)香味評価および保存テスト
上記(1)で製造した紫トウモロコシ色素製剤(本発明品、比較品)について、それぞれ製造直後の香味、並びに5℃、25℃または38℃で15日乃至は30日保存した後の香味を、良く訓練されたフレーバーリスト10名のパネラーで評価を行った。また、それぞれの色素製剤を用いて飲料タイプの溶液(色価E10% 1cm=0.04、Brix.10°、0.2%クエン酸水溶液、フレーバー未添加)を調製し、当該溶液についても上記と同様にして、調製直後並びに保存後の香味を比較評価した。結果を表1に示す。
表1に示す製造直後の結果から分かるように、本発明品は比較品に比べて有意に臭いが低減されており、無臭の色素であると判断された。さらに比較品は15〜30日間と保存時間が長くなるにしたがって香気がしだいに強くなるのに対し、本発明品は、経時変化を生じることなく、調製直後の無臭状態を維持していた。このことは本発明の方法で製造された紫トウモロコシ色素には、それ自体に臭気を発揮する香気成分が全く若しくはほとんど含まれていないだけでなく、当該香気成分の前駆体となる夾雑物も含まれていないことを示唆するものである。
実験例3
(1)紫トウモロコシ色素製剤の調製
原料である紫トウモロコシ(雌花穂(芯と果粒))にフモニシンが混入している場合を想定して、参考例に従って調製した紫トウモロコシ色素抽出液約16Lに、5ppm濃度になるようにフモニシンB1の標準品を添加して、これを紫トウモロコシ色素製剤調製のための出発原料とした。後の操作は上記実験例2に記載する本発明品及び比較品の調製方法にそれぞれ従って紫トウモロコシ色素抽出液を精製して、それぞれ色価E10% 1cm=60の紫トウモロコシ色素製剤793g(本発明品)と色価E10% 1cm=60の紫トウモロコシ色素製剤823g(比較品)を調製した。
(2)カビ毒(フモニシン)の定量
次いで、上記で調製した紫トウモロコシ色素製剤(本発明品、比較品)中のカビ毒(フモニシン)の含有量を、それぞれ液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて定量分析した。なお、分析供試サンプルの調製及びHPLC分析条件はいずれも実験例1の方法に従った。
比較品から得られた分析供試サンプルの分析結果(クロマトグラム)を図2のAに、本発明品から得られた分析供試サンプルの分析結果(クロマトグラム)を図2のBに示す。図2のAからわかるように比較品の紫トウモロコシ色素製剤には色価E10% 1cm=60当たり2.96ppmのフモニシンB1が検出されたのに対して、本発明品の紫トウモロコシ色素製剤にはフモニシンが検出されなかった。このことから、本発明の紫トウモロコシ色素の調製方法(精製方法)によれば、万一原料として使用する紫トウモロコシにカビが発生していたとしても、その毒成分であるフモニシンを除去することができるので、安全な紫トウモロコシ色素の色素製剤を提供することができることがわかる。
また、以上の実験例1と実験例3、及び実験例2の結果に示すように、本発明の調製方法によれば、カビ毒であるフモニシンが有意に除去され、また臭いの原因となる香気成分及びその前駆体となる夾雑物が有意に除去されるため、安全でしかも無臭または微臭の紫トウモロコシ色素の色素製剤を取得することができることがわかる。すなわち、本発明の方法は、フモニシンと臭いの原因となる香気成分及びその前駆体の除去方法として、またフモニシンと香気成分及びその前駆体を含まない安全で且つ無臭または微臭の紫トウモロコシ色素の製造方法として、さらに紫トウモロコシ色素の高度精製方法として有用である。
実施例1 紫トウモロコシ色素製剤の調製
参考例の方法に従って調製した紫トウモロコシ色素抽出液約16Lを吸着樹脂(スチレンビニルベンゼン共重合体:ダイヤイオンHP20、三菱化学(株)製)1.5Lに、SV=1、温度20℃の条件で通液し、該樹脂を水5L(SV=1)で洗浄した。次いで得られた樹脂に30v/v%のエタノール水溶液3Lを通液し(SV=1、温度20℃)、脱離液を回収した。
この溶出液を、限外濾過膜(AHP−2013膜:旭化成製、分画分子量50,000)を用いて3kg/cm2,20℃で処理し限外濾過透過液を得た。次いで、得られた限外濾過透過液に硫酸を加えてpH2.0に調整し、更に水5Lを加えて逆浸透膜処理(NTR−7250膜:日東電工製、分画分子量約3,000程度)を行い、逆浸透膜処理液1Lを得た。この際、夾雑物は濾液として透過除去され、精製された色素成分が残液として濃縮された。次いでこの逆浸透処理液を減圧下で濃縮して、色価E10% 1cm=200の有意に精製された色素液80gを得た。この色素液中には、紫トウモロコシ色素の主色素成分であるシアニジン−3−グルコシド(Cyanidin3−O−β−D−glucoside)が3.1重量%含まれていた。この色素液80gに水130gとエチルアルコール40g、クエン酸(結晶)10gを加えて色価E10% 1cm=60の紫トウモロコシ色素製剤260gを調製した(本発明品)。当該色素製剤は無臭であった。
産業上の利用可能性
本発明の紫トウモロコシ色素は、高度に精製されることによって、原料として用いる紫トウモロコシ、特にその雌花穂(芯又は果粒)に発生している可能性のあるカビの毒成分(フモニシン)が有意に除去され、さらに紫トウモロコシの雌花穂(芯又は果粒)に含まれる香気成分や夾雑物に由来する臭いが除去若しくは有意に低減された、安全で且つ無臭若しくは微臭の色素である。さらに、本発明の紫トウモロコシ色素は、長期保存時の光や熱の影響によっても匂い戻り現象等の経時変化が有意に抑制されてなるものである。このため、本発明の色素または当該色素を含有する色素製剤は、飲料その他の食品類、医薬品、医薬部外品、化粧品などの着色に、安全かつ臭いの問題なく用いることができる。
また、本発明の紫トウモロコシ色素の調製方法によれば、万が一原料として使用した紫トウモロコシにカビ(例えば、Fusarium moniliformeやF.proliferatum)が発生していたとしても、カビの毒成分(フモニシン)を有意に除去することができるため、安全な紫トウモロコシ色素並びに色素製剤を提供することができる。ゆえに、本発明の紫トウモロコシ色素の調製方法は安全な紫トウモロコシ色素を調製する方法として有用である。
【図面の簡単な説明】
図1は、実施例1の紫トウモロコシ色素製剤(図A)と比較例1の紫トウモロコシ色素製剤(図B)に含まれる香気成分量を、ガスクロマトグラフィー・質量分析計(GC−MS)で測定した結果を示す図である。なお、図1中、▲1▼のピークは酢酸、▲2▼のピークはマロン酸ジエチルエステル、▲3▼のピークは4−ビニル−2−メトキシフェノール、▲4▼のピークは4−ビニルフェノールそれぞれ示す。またIS−1のピークは内部標準物質であるオクタン酸メチルである。
図2は、比較例2の紫トウモロコシ色素製剤(図A)及び本発明による製造方法により処理した実施例2の紫トウモロコシ色素製剤(図B)のHPLCによるフモニシンの分析結果を示す図である。
Claims (15)
- 紫トウモロコシ色素抽出液を吸着樹脂に通液し、色素が吸着した樹脂を水で洗浄した後、脱離液として25〜45v/v%のアルコール水溶液を用いて該樹脂から紫トウモロコシ色素を脱離させる工程を有する、紫トウモロコシ色素の調製方法。
- 紫トウモロコシ色素抽出液が、酸性水または20v/v%以下のアルコールを含む酸性水溶液である請求項1に記載の紫トウモロコシ色素の調製方法。
- 水洗浄後に、樹脂容量の1.5〜2.5倍容量の脱離液をSV(space velocity)=0.8〜1.5の速度で樹脂に通液することを特徴とする請求項1に記載の紫トウモロコシ色素の調製方法。
- 吸着樹脂が、架橋スチレン系の多孔質重合体である請求項1に記載の紫トウモロコシ色素の調製方法。
- 紫トウモロコシ色素抽出液を吸着樹脂に通液し、水で洗浄した後、脱離液として25〜45v/v%のアルコール水溶液を用いて該樹脂から紫トウモロコシ色素を脱離させる工程を、フモニシン除去工程として含む請求項1に記載の紫トウモロコシ色素の調製方法。
- 請求項1に記載される工程で得られる吸着処理液に対して、吸着処理、イオン交換処理、酸処理、抽出処理及び膜分離処理よりなる群から選択される少なくとも一種の処理を行うことを特徴とする紫トウモロコシ色素の調製方法。
- 請求項1に記載される処理工程後、膜分離処理を行うことを特徴とする請求項6に記載の紫トウモロコシ色素の調製方法。
- 膜分離処理が、逆浸透膜処理または限外濾過膜処理のいずれか少なくとも1種である請求項6に記載の紫トウモロコシ色素の調製方法。
- 膜分離処理前に酸処理を行うことを特徴とする請求項7に記載の紫トウモロコシ色素の調製方法。
- 酸処理を高温条件下で行うことを特徴とする請求項9に記載の紫トウモロコシ色素の調製方法。
- 請求項1記載の方法で調製されるフモニシンを含まないことを特徴とする紫トウモロコシ色素。
- 請求項1記載の方法で調製される紫トウモロコシ色素であって、色価を
E10% 1cm=60
とした場合に、含まれる香気成分濃度が総量で150ppm以下である紫トウモロコシ色素。 - 上記紫トウモロコシ色素中の香気成分が、酢酸、マロン酸ジエチルエステル、4−ビニル−2−メトキシフェノール及び4−ビニルフェノールよりなる群から選択されるいずれか少なくとも一種である請求項12記載の紫トウモロコシ色素。
- 請求項1記載の方法で調製される紫トウモロコシ色素であって、色価を
E10% 1cm=60
とした場合に、含まれる酢酸、マロン酸ジエチルエステル、4−ビニル−2−メトキシフェノール及び/または4−ビニルフェノールの濃度が、総量で20ppm以下である紫トウモロコシ色素。 - 請求項11に記載の紫トウモロコシ色素を含有する色素製剤。
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