JP6169877B2 - 1,5−アンヒドロ−d−グルシトールの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、1,5-アンヒドロ-D-グルシトール(本明細書では「1,5-AG」と略す場合がある)の製造方法に関する。さらに詳しくは、植物を原料とする1,5-AGの製造方法に関する。
1,5-AGは、D-グルコースの1位が還元された非還元糖であることから、還元糖に比べて反応性が低く、酸性、アルカリ性、高温等の条件下において化学的に安定である。また、1,5-AGは、体内においてD-グルコースに次いで多く存在する糖であり、生体適合性が高く、安全性に問題がないという優れた特性を有する。従って、その利用が注目されている。
1,5-AGは、漢方薬の原料生薬として知られる遠志(オンジ)やセネガという植物に含まれていることが知られている。これらの植物から1,5-AGを単離しようとした報告としては、例えば、セネガの乾燥根からアルコールで抽出後、活性炭カラムにて分画することで、アラビノース、フルクトース、シュークロース、マルトース、メリビオース、マンニノトリオース、ラフィノースなどと共に、1,5-AGが単離されることが報告されている(非特許文献1参照)。
また、非特許文献2では、アマランスの種子とバナナの果実を用いて、トリクロロ酢酸で抽出後、イオン交換樹脂でカラム分画を行なって、1,5-AGを単離する方法が開示されている。また、非特許文献3では、プロテア属の植物からメタノールで抽出後、シリカゲルクロマトグラフィーにより1,5-AGを単離できることが開示されている。
一方、オンジやセネガには、1,5-AG以外に、アルツハイマー症候群等の痴呆症改善作用や脳機能改善及び治療作用、去痰作用、気管支炎改善及び治療作用、気管支喘息の改善及び治療作用、睡眠延長作用、免疫賦活作用、抗ストレス潰瘍作用、鬱血性浮腫抑制作用、PDE(ホスホジエステラーゼ)阻害作用、鎮静強壮などの作用があることが知られるオンジサポニン類が含まれていることも知られている。
オンジサポニンを得る方法としては、例えば、原料植物をメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの低級アルコール、クロロホルム等の有機溶媒を用いて抽出し、溶媒を留去した後、抽出エキスにシリカゲルカラムクロマトグラフィーなどを行う方法が開示されている(特許文献1、非特許文献4、5参照)。
特開平11−43440号公報
薬学雑誌, 94(8), 998-1003, 1974 Biosci. Biotechnol. Biochem., 64(11), 2462-2465, 2000 Phytochemistry, Vol.22, No.9, 1959-1960, 1983 Chem. Pharm. Bull., 29(9), 2431-2441, 1981 Chem. Pharm. Bull., 30(3), 810-821, 1981
しかしながら、抽出に有機溶剤を用いる前記方法では、環境負荷が大きいことや、また濃縮回数が多いため時間・費用・エネルギーを要する等の問題がある。また、カラムクロマトグラフィーによる精製を行う場合、溶離液が多く生じるために濃縮回数が増加し、時間・費用・エネルギーを要することになる。
また、抽出溶剤として水を単独で用いる場合、抽出液には大量のサポニン類が含有されることから、一般的な減圧濃縮を行なうと発泡が激しくなり濃縮が困難である。そこで常圧濃縮、弱減圧下における濃縮、除泡剤を添加してからの減圧濃縮、或いは凍結乾燥などの対応が必要となる。しかしながら、これらの対応を施した場合、作業時間が長くなることによる含有成分の分解や着色、除泡剤除去工程の追加、作業効率の低下などの問題がある。
本発明は、1,5-AGを高純度、高収率かつ高効率での製造が可能である、1,5-AGの製造方法を提供することにある。
本発明は、下記〔1〕〜〔2〕に関する。
〔1〕 ヒメハギ(Polygalaceae)科に属する植物及びマメ(Fabaceae)科に属する植物からなる群より選ばれる1種以上の植物を原料とする1,5-アンヒドロ-D-グルシトールの製造方法であって、
(i)原料を水又は含水有機溶媒による抽出に供し、抽出物を得る工程、
(ii)抽出物に、透析膜を用いた処理、及び逆浸透膜を用いた処理の少なくともいずれかの処理を行って、オンジサポニン類を含む画分と1,5-アンヒドロ-D-グルシトールを含む画分とを分離し、該1,5-アンヒドロ-D-グルシトールを含む画分である処理液を得る工程、ならびに
(iii)得られた処理液からイオン交換樹脂を用いて、及び/又はイオン交換膜を用いて、1,5-アンヒドロ-D-グルシトールを含む画分を分離する工程、
を含む、1,5-アンヒドロ-D-グルシトールの製造方法。
〔2〕 前記〔1〕記載の製造方法における工程工程(ii)の後、透析膜を用いた処理を行った場合には透析内液を回収するか、あるいは、逆浸透膜を用いた処理を行った場合には逆浸透膜非透過液を回収する、少なくともいずれかの方法によりオンジサポニン含有組成物を得る、オンジサポニン類含有組成物の製造方法。
本発明の1,5-AGの製造方法は、1,5-AGを高純度、高収率かつ高効率で製造することができるという優れた効果を奏するものである。また、該製造方法においては、1,5-AGの抽出物に含まれる1,5-AG以外の成分から、オンジサポニン類をも得ることが可能となる。
本発明の1,5-AGの製造方法は、植物を原料とするものであって、
(i)原料を水又は含水有機溶媒による抽出に供し、抽出物を得る工程、
(ii)抽出物に、合成吸着樹脂との接触処理、透析膜を用いた処理、及び、逆浸透膜を用いた処理、からなる群より選ばれる1つ以上の処理を行って処理液を得る工程、ならびに
(iii)得られた処理液からイオン交換樹脂を用いて、及び/又はイオン交換膜を用いて、1,5-アンヒドロ-D-グルシトールを含む画分を分離する工程、
を含む。かかる方法により、1,5-AGを高純度、高収率かつ高効率で製造することができる。
本発明では、工程(ii)において工程(i)の抽出物に特定の処理を行うことに特徴を有する。工程(i)では抽出に水又は含水有機溶媒を用いることから、得られた抽出液には1,5-AG以外に、その他の糖類(単糖類、少糖類)、配糖体(オンジサポニン類等)、脂溶性成分、イオン性物質(塩類)、高極性有機物(アミノ酸等)も含まれることになる。かかる抽出液に、工程(ii)では、合成吸着樹脂、透析膜、及び/又は、逆浸透膜を用いた分離処理によって、主に脂溶性成分とオンジサポニン類を含む画分と、1,5-AGとその他の糖類、イオン性物質、高極性有機物を含む画分への分離を行なう。なお、本発明において、その他の糖類とは、グルコース、フルクトース、シュークロース、マルトース等を、配糖体とは、オンジサポニン類、セネギン等を、脂溶性成分とはガウルテリン、3,4,5−トリメトキシケイヒ酸等を、イオン性物質とは、炭酸カルシウム等の塩類を、高極性有機物とは、アルギニン等のアミノ酸等のことを意味する。
例えば、該抽出液を合成吸着樹脂と接触させると、脂溶性成分や配糖体は合成吸着樹脂に吸着されて、濾過などによって容易に取り除くことが可能となり、目的とする1,5-AGを含む画分は濾液として回収される。なお、色素も合成吸着樹脂に吸着されるので、脱色も行なうことができる。
また、該抽出液を適当な分画分子量あるいは細孔径を有する透析膜や逆浸透膜を用いて処理すると、大きな分子構造を有する脂溶性成分や配糖体は透析膜を通過できないのに対し、1,5-AGは0.6nm程度の分子サイズであることから、イオン性物質、アミノ酸等と共に通過できるので、透析内液と透析外液、あるいは、逆浸透膜非透過液と逆浸透膜透過液とでの分離が容易となる。
前記処理は、単独でも複数組み合わせて行ってもよく、得られる処理液にはオンジサポニンが含まれていないので、この段階での減圧濃縮も可能となる。
また、本発明では、工程(ii)の処理液をイオン交換樹脂と接触、及び/又はイオン交換膜によって処理することに特徴がある。即ち、本発明においては、工程(iii)に供される処理液は既に脂溶性成分や配糖体が除去されているので、工程(iii)ではイオン交換樹脂及び/又はイオン交換膜を用いることで、アミノ酸や他のイオン性物質を除去することができる。
なお、本明細書において、「収率」とは原料となる植物重量を100重量部としたときに、本発明の操作により得られた1,5-AGの重量部を意味し、「回収率」とは原料となる植物中に含有される1,5-AGの量を100重量部としたときに、本発明の操作によって得られた1,5-AGの重量部を意味する。
<工程(i)>
工程(i)では、原料を水又は含水有機溶媒による抽出に供し、抽出物を得る。
本発明では、植物を原料とする。本発明で用いられる植物としては、1,5-AGを含有するものであれば特に限定はない。例えば、ヒメハギ(Polygalaceae)科に属する植物、マメ(Fabaceae)科に属する植物、ヤマモガシ科(Proteaceae)科に属する植物等が挙げられる。
ヒメハギ(Polygalaceae)科に属する植物としては、ヒメハギ(Polygala)属に属する植物が挙げられ、ヒメハギ(P.japonica)種、リュウキュウヒメハギ(P.longifolia)種、シンチクヒメハギ(P.polifolia)種、カキノハグサ(P.reinii)種、ヒナノキンチャク(P.tatarinowii)種、ハリヒメハギ(P.ambigua)種、コバナヒメハギ(P.paniculata)種、カンザシヒメハギ(P.sanguinea)種、セネガ(P.senega)種、オオヒメハギ(P.sibirica)種、イヒトメハギ(P.tenuifolia)種、クルマバヒメハギ(P.verticillata)種が好ましく、イトヒメハギ(P. tenuifolia)種及びセネガ(P. senega)種がより好ましい。具体的には、イトヒメハギ、セネガ、ヒロハセネガが例示される。
マメ(Fabaceae)科に属する植物としては、ダイズ(Glycine)属に属する植物が挙げられ、ダイズ(G.max)種、ツルマメ(G.soja)種が好ましく、ダイズ、ツルマメが例示される。
ヤマモガシ(Proteaceae)科に属する植物としては、プロテア(Protea)属に属する植物が挙げられ、キングプロテア(P.cynaroides)種、ピーチプロテア(P.grandiceps)種、ブロンドリーフシュガーブッシュ(P.eximia)種、サザンクロスプロテア(P.obtusifolia xmagnifica)種、オレアンダーリーフプロテア(P.neriiforia)種、コモンシュガーブッシュ(P.repens)種、プロテアオーレア(P.aurea)種、プロテアコンパクタ(P.compacta)種が好ましく、キングプロテア、ブロンドリーフシュガーブッシュ、レペンスが例示される。
これらの植物としては、植物の生体そのものを使用してもよいが、葉、果実、種子、根などの部位を選択して使用することもできる。例えば、イトヒメハギの根、セネガの根、ヒロハセネガの根を原料とするのが好ましい。
なお、原料として使用される植物については、その生育期、鮮度、植物体の完全性等は特に限定されるものではない。生育期としては、植物における1,5-AG含量が高いことから、発芽期が好ましい。
原料である植物は、そのまま抽出に供してもよく、予め適当な大きさに細断、粉砕等して用いてもよい。また、植物は、生のまま用いてもよいが、乾燥させたものを用いてもよく、植物からの搾汁液を原料として用いてもよい。
本発明では、抽出溶媒として、水又は含水有機溶媒を用いる。
抽出に用いる水としては、特に限定はなく、水道水、蒸留水、イオン交換水、超純水等が挙げられる。水のpHは、特に限定されるものではないが、4〜8程度が好ましい。pHの調整には、例えば、塩酸や硫酸、硝酸、炭素水素ナトリウム、炭素ナトリウム、アンモニア水、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を使用すればよい。
また、含水有機溶媒における有機溶媒としては、特に限定はないが、抽出効率の観点から、極性有機溶媒が好ましい。極性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1-ブタノール、2-ブタノール、2,2-ジメチルエタノール、1−ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、2−メチル-1-ブタノール、3−メチル-1-ブタノール、2−メチル-2-ブタノール、3-メチル-2-ブタノール、2,2-ジメチル-1-プロパノール等の炭素数1〜5の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2〜5の多価アルコール;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル;エチレングリコールジアセチルエステル、エチレングリコールモノアセチルエステル、プロピレングリコールジアセチルエステル、プロピレングリコールモノアセチルエステル等のグリコールエステル;フラン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,3,5-トリオキサン等の環状エーテル;N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドなどのアミド化合物などが挙げられる。中でも、安全性、価格等の面からメタノール及びエタノールが好ましい。
含水有機溶媒における水としては、水単独で抽出する際に用いる水と同じであり、前記したものを用いることができる。
含水有機溶媒における有機溶媒の量としては、合成吸着樹脂への脂溶性物質及び配糖体の吸着効率、透析膜および逆浸透膜の対有機溶剤耐性などの観点から、30v/v%以下が好ましく、20v/v%以下がより好ましく、10v/v%以下がさらに好ましい。下限としては、特に限定されない。
抽出操作は、例えば、抽出溶媒を満たした処理槽に原料を投入し、好ましくは攪拌下に可溶性成分を溶出させることにより行う。抽出処理に供される原料及び抽出溶媒量は、抽出条件(設備の規模や処理能力)などに応じて適宜調整することができ、一概には決定できないが、例えば、水を抽出溶媒とする場合、原料の総量100重量部に対して、通常、300〜1000重量部の水で抽出する。また、含水アルコールを抽出溶媒とする場合、原料の総量100重量部に対して、通常、300〜1000重量部の含水アルコールで抽出する。
抽出は、室温から抽出溶媒の沸点付近の温度の範囲内で行なう。例えば、水を抽出溶媒とする場合、好ましくは80〜100℃、より好ましくは85〜100℃で1〜2時間程度行なう。含水アルコールを抽出溶媒とする場合、好ましくは70〜100℃で1〜2時間程度行なう。抽出時の圧力は、特に限定されず、常圧(101.3kPa)でも加圧及び/又は減圧下で行なってもよい。
抽出後は、濾過して抽出残査を除き、抽出物(抽出液ともいう)を得る。得られた抽出物は、所望により、公知の方法に従って濃縮してもよい。濾過に用いるフィルターとしては、セルロース製、グラスファイバー製、ポリエチレン樹脂製、ポリプロピレン樹脂製、布製などの材質のろ紙を用いることができ、また、その形状は特に限定されるものではなく、カートリッジタイプやチューブタイプ、平板タイプなどが挙げられる。これらの例としてアドバンテック東洋社製定性ろ紙、日本ミリポア社製メンブランフィルターなどが挙げられる。ろ紙の材質や形状、メーカーは本発明の実施に妨げになるようなものでなければ特に限定しない。
なお、本発明では、工程(ii)での作業効率化の観点から、工程(i)の前、中、及び/又は後において、非水溶性有機溶媒を用いた抽出作業を行うことができる。この非水溶性有機溶媒による抽出で脂溶性成分を予め除去することができ、ひいては、工程(ii)における合成吸着樹脂、透析膜、逆浸透膜の使用量を抑制することができる。具体的には、例えば、工程(i)の前に、水又は含水有機溶媒による抽出に供する原料を非水溶性有機溶媒による抽出に供する。その後、残渣を水又は含水有機溶媒による抽出に供する。また、工程(i)の中及び/又は後において非水溶性有機溶媒による抽出を行なう場合には、工程(i)の抽出は水による抽出であることが好ましい。なお、抽出方法は公知の方法に従って行なうことができ、水又は含水有機溶媒による抽出に供する原料の総量100重量部に対して、通常、300〜1000重量部の非水溶性有機溶媒で抽出する。
非水溶性有機溶媒としては、脂溶性成分の抽出効率、汎用性、市場流通性等の点から、クロロホルム、クロロベンゼンなどのハロゲン系溶媒、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族系溶媒、ヘプタノール、オクタノールなどの高級アルコール、ペンタン、ヘキサン、オクタンなどの脂肪族系溶媒が挙げられる。
なお、抽出操作は、所望により繰り返し行なってもよい。例えば、抽出残渣に対し抽出溶媒を加え、前記条件下に抽出操作を行ない、得られた抽出液を1まとめにして、次の工程に供してもよい。代表的な例として乾燥させたオンジの根を原料に使用し、水を抽出溶媒とする場合、抽出液中に溶出する1,5-AGは、おおよそ一回目抽出で8.5%、二回目抽出で0.9%、三回目抽出で0.2%の収率である。抽出操作の回数は、抽出物を高い収率で得られることから、2回〜4回が好ましい。
また、工程(ii)における合成吸着樹脂の使用量削減、透析膜、逆浸透膜の目詰まりによる寿命短縮、各処理時間の短縮などの観点から、抽出液は合成吸着樹脂との混合直前に濾過して、工程(ii)に供することが好ましい。所望により、濾過前に抽出液を冷却してもよい。
かくして得られた抽出物を工程(ii)に供する。
<工程(ii)>
工程(ii)では、工程(i)で得られた抽出物に、合成吸着樹脂との接触処理(処理A)、透析膜を用いた処理(処理B)、及び、逆浸透膜を用いた処理(処理C)、からなる群より選ばれる1つ以上の処理を行って処理液を得る。即ち、工程(ii)では、前記処理を行って、1,5-AGとイオン性物質、高極性有機物を含む画分を回収する。
処理Aでは、具体的には、工程(i)で得られた抽出物と合成吸着樹脂を混合し、混合物を濾過して濾液を得る態様と、工程(i)で得られた抽出物を合成吸着樹脂を充填したカラムを通過させることで濾液を得る態様が挙げられる。
本発明で用いられる合成吸着樹脂としては、特に限定はなく、例えば、比表面積が約300〜約1500m/g程度の多孔質構造を有する、架橋高分子の粒子が用いられる。架橋高分子としては、スチレン系高分子、アクリル系高分子、メタクリル系高分子等が挙げられ、具体的には、ダイヤイオン(登録商標)HP20SS、HP20、HP21等のHP樹脂、セパピーズ(登録商標)SP825L、SP850、SP700等のSP樹脂(以上、三菱化学社製)、アンバーライト(登録商標)XAD−2000、XAD−4等の(以上、オルガノ社製)等のスチレン−ジビニルベンゼン系樹脂;ダイヤイオン(登録商標)HP2MG(三菱化学社製)、アンバーライト(登録商標)XAD−7HP(オルガノ社製)等のアクリル系樹脂等が例示される。
前記合成吸着樹脂を充填するカラムとしては、特に限定はなく、当業者の技術常識に従って、適宜選択して用いることができる。
工程(i)の抽出物と混合する際の合成吸着樹脂の使用量は、抽出物の純度により一概には決定されないが、例えば、乾燥状態の樹脂重量換算で、原料100重量部に対して、通常、10〜2000重量部である。
抽出物と合成吸着樹脂の混合は、例えば、攪拌装置を有する処理槽に抽出物と合成吸着樹脂を投入して、好ましくは15〜40℃で混合する。混合時間は、一概には決定されない。なお、抽出物と合成吸着樹脂の処理槽への投入は、混合をバッチ式で行うことができるのであれば、同時であっても別々であってもよく、一括投入でも分割投入でもよい。
次に、抽出物と合成吸着樹脂の混合物を濾過して濾液を分取する。濾過フィルターとしては、工程(i)で用いたものと同様のものを用いることができる。
また、合成吸着樹脂をカラムに充填して用いる際の使用量は、用いるカラムの容量により一概には決定されないが、例えば、乾燥状態の樹脂重量換算で、原料100重量部に対して、通常、10〜2000重量部である。なお、カラムへの通液は単回でも複数回であってもよい。
得られた濾液は、所望により、公知の方法に従って濃縮してもよい。
処理Bでは、具体的には、工程(i)で得られた抽出物を透析膜に供して、透析膜を透過しない成分(透析内液)を除去して、透析外液を得る。
本発明で用いられる透析膜としては、特に限定はなく、セルロース系膜、合成高分子系膜が用いられる。セルロース系膜としては、再生セルロース系膜、表面改質再生セルロース系膜、セルロースアセテート系膜等が挙げられる。再生セルロース系膜としては、キュプラアンモニウムレーヨン膜、鹸化セルロース膜等が例示される。表面改質再生セルロース系膜としては、PC膜(Polyethylene glycol grafted membrane)、ビタミンEコーティング膜等が例示される。セルロースアセテート系膜としては、セルロースジアセテート膜、セルローストリアセテート膜等が挙げられる。合成高分子系膜としては、ポリアクリロニトリル膜、ポリメチルメタクリレート膜、エチレンビニルアルコール共重合体膜、ポリスルホン膜、ポリアミド膜、ポリエステル系ポリマーアロイ膜等が挙げられる。
透析膜の形状としては、チューブラー、中空糸、スパイラル、ディスク、シート、プリーツ等が挙げられ、特に限定はない。
透析膜の有効表面積は抽出液中の成分量、透析速度、処理温度等により一概には決定されないが、処理時間及び1,5-AG以外の成分の分解等を考慮した場合、例えば乾燥オンジ根100gに対して、好ましくは0.2〜10m2、より好ましくは0.5〜7m2、さらに好ましくは0.8〜5m2である。
透析膜の分画分子量は本発明の実施を好適に行えるものであれば特に限定するものではなく、抽出液中の成分量等により一概には決定されない。例えば通常、300〜1000D程度が好適である。
好適な市販品としては、Spectra/Por(登録商標)Float−A−Lyzer、Tube−A−Lyzer、Dialysis tubing、6Dialysis tubing、7Dialysis tubing(以上、スペクトラムラボラトリーズ社製)等が例示される。
透析処理は、例えば、中空糸型ダイアライザーや透析膜の透析内液に被処理液、透析外液に精製水を用いて透析処理を行う。透析温度は、透析膜、透析装置の性能に影響しない限り特に限定されないが、1,5-AG以外の成分の分解や着色などを考慮した場合、5〜60℃が好ましく、10〜50℃がより好ましく、20〜45℃がさらに好ましい。透析時間は、用いる透析膜の種類、分画分子量、被透析液の濃度、処理温度等に応じて、公知技術に従って決定することができる。
得られた透析外液は、所望により、公知の方法に従って濃縮してもよい。
処理Cでは、具体的には、工程(i)で得られた抽出物を逆浸透膜に供して、逆浸透膜を透過しない成分(逆浸透膜非透過液)を除去して、逆浸透膜透過液を得る。なお、本発明における逆浸透膜とは、いわゆる逆浸透膜とNF膜(Nanofiltration膜、ナノフィルター)を含む。
本発明で用いられる逆浸透膜としては、特に限定はなく、酢酸セルロース系膜、スルホン化ポリエーテルスルホン系膜、ポリビニルアルコール系膜、芳香族ポリアミド系膜、ポリスルホン系膜、ポリテトラフタレートエステル(PTFE)系膜、及びこれらの複合型膜が用いられる。また、その細孔径および分画分子量は、本発明が実施できるものであれば特に限定するものではないが、分離成分の立体的な大きさ、分子量等を考慮した場合、細孔径として8〜10nm程度、分画分子量として2000D程度であることが好ましい。
逆浸透膜の形状としては、平膜タイプ、中空糸タイプ、スパイラル型、チューブ型等が挙げられ、特に限定はない。
逆浸透膜の有効表面積は使用する膜の種類や細孔径、分画分子量、単位面積当たりの細孔数、処理温度、不溶物粒子量等により一概には決定されないが、処理時間及び1,5-AG以外の成分の分解等を考慮した場合、例えば乾燥オンジ根100gに対して、通常、20〜5,000cm2である。
好適な市販品としては、NTR−7410、NTR−7450、NTR−7250、NTR−729HF、NTR−759HR、ES−20、LES−90(以上、日東電工社製)等が例示される。
逆浸透膜処理は、例えば、中空糸タイプの逆浸透膜に被処理液を通液することにより実施することが可能である。処理温度は使用する膜の種類や細孔径、分画分子量、単位面積当たりの細孔数、処理温度、不溶物粒子量等により一概に決定されないが、分離成分の分解等を考慮した場合、5〜60℃が好ましく、10〜50℃がより好ましく、20〜45℃がさらに好ましい。処理圧力は、使用する逆浸透膜の細孔径や単位面積当たりの細孔数、処理温度、不溶物粒子量等により一概に決定されず、使用する膜の性能が発揮できる範囲で使用する。処理時間は、使用する逆浸透膜の細孔径や単位面積当たりの細孔数、処理温度、不溶物粒子量等により一概に決定することはできない。
得られた逆浸透膜透過液は、所望により、公知の方法に従って濃縮してもよい。
なお、工程(ii)においては、処理A、処理B、処理Cを適宜選択して組み合わせて行なってもよく、その順序はいずれが先でもよい。
かくして得られた処理物を工程(iii)に供する。
<工程(iii)>
工程(iii)では、工程(ii)で得られた処理液から、イオン交換樹脂及び/又はイオン交換膜を用いて1,5-アンヒドロ-D-グルシトールを含む画分とそれ以外の成分(イオン性物質及び高極性成分等)を分離する。なお、用いる植物原料によって異なるが、1,5-アンヒドロ-D-グルシトールを含む画分には、1,5-AGの他に、グルコース、フルクトース等の単糖類及びシュークロース、マルトース等の少糖類が含まれている場合がある。
具体的には、工程(ii)で得られた処理液にイオン交換樹脂を接触させて濾過する態様(態様1)と工程(ii)で得られた処理液をイオン交換膜を用いて処理する態様(態様2)が挙げられる。
態様1では、イオン交換樹脂に対する吸着性の差によって、1,5-AGを含む画分とそれ以外の成分(イオン性物質及び高極性成分等)とに分離する。より詳しくは、工程(ii)で得られた処理液とイオン交換樹脂を混合し、混合物を濾過して濾液を得る態様と、工程(ii)で得られた処理液をイオン交換樹脂を充填したカラムを通過させることで1,5-AGを含む画分を含む濾液を得る態様が挙げられる。
本発明で用いられるイオン交換樹脂としては、処理液中に含まれる1,5-AG以外の成分に対して高い吸着能力を発揮するが1,5-AGに対しては実質的に非吸着性である吸着剤が好ましい。具体的には、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂が挙げられる。
陽イオン交換樹脂としては、強酸性陽イオン交換樹脂、弱酸性陽イオン交換樹脂が挙げられ、例えば、スルホン酸基やカルボキシル基などをイオン交換基として含有するスチレン-ジビニルベンゼン架橋重合体などが挙げられる。
陰イオン交換樹脂としては、強塩基性陰イオン交換樹脂、弱塩基性陰イオン交換樹脂が挙げられ、例えば、ジメチルアミノ基やモノメチル基などをイオン交換基として含有するスチレン-ジビニルベンゼン架橋重合体などが挙げられる.
これらの樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。また、一つの樹脂に陽イオン部分と陰イオン部分を併せもつ両イオン交換樹脂も用いることができる。
前記イオン交換樹脂の形状は、特に限定されず、ゲルタイプ、ポーラスタイプ等が挙げられる。また、イオン交換樹脂の粒子径の大きさ、架橋度も限定されない。
本発明で用いられるイオン交換樹脂の好適な市販品としては、ダイヤイオン(登録商標)SK104、SK110、SK112等のゲル型強酸性陽イオン交換樹脂、ダイヤイオン(登録商標)PK208、PK212、PK216、PK218、PK220、PK228等のポーラス型強酸性陽イオン交換樹脂、ダイヤイオン(登録商標)UBK08、UBK10、UBK12等のゲル型均一粒径強酸性陽イオン交換樹脂;ダイヤイオン(登録商標)SA10A、SA12、NSA100等のゲルI型強塩基性陰イオン交換樹脂、ダイヤイオン(登録商標)SA20A、SA21A等のゲルII型強塩基性陰イオン交換樹脂、ダイヤイオン(登録商標)PA306S、PA308、PA312、PA316、PA318L等のポーラスI型強塩基性陰イオン交換樹脂、ダイヤイオン(登録商標)WA10等のアクリル系弱塩基性陰イオン交換樹脂、ダイヤイオン(登録商標)WA20、WA21J等のスチレン系ポリアミン型弱塩基性陰イオン交換樹脂、ダイヤイオン(登録商標)WA30等のスチレン系ジメチルアミン型弱塩基性陰イオン交換樹脂、ダイヤイオン(登録商標)AMP03等の両性イオン交換樹脂(以上、三菱化学社製);Dowex(登録商標)50W×8等の強酸性陽イオン交換樹脂、Dowex(登録商標)1×2、1×4、1×8等の強塩基性陰イオン交換樹脂(ダウ・ケミカル社製);アンバーライト(登録商標)IR120B、IR124等の強酸性陽イオン交換樹脂、アンバーライト(登録商標)IRA400J、IRA411等の強塩基性陰イオン交換樹脂(以上、オルガノ社製)が挙げられる。
前記イオン交換樹脂を充填するカラムとしては、特に限定はなく、当業者の技術常識に従って、適宜選択して用いることができる。
イオン交換樹脂を処理液に混合する際の使用量は、工程(ii)で得られた濾液中の不純物含有量により一概には決定されないが、例えば、乾燥状態の樹脂重量換算で、原料100重量部に対して、通常、10〜2000重量部である。
工程(ii)で得られた処理液とイオン交換樹脂の混合は、例えば、攪拌装置を有する処理槽に該処理液とイオン交換樹脂を投入して、好ましくは10〜40℃で混合する。混合時間は、一概には決定されない。なお、工程(ii)で得られた処理液とイオン交換樹脂の処理槽への投入は、混合をバッチ式で行うことができるのであれば、同時であっても別々であってもよく、一括投入でも分割投入でもよい。
また、イオン交換樹脂をカラムに充填して用いる際の使用量は、用いるカラムの容量により一概には決定されないが、例えば、乾燥状態の樹脂重量換算で、原料100重量部に対して、通常、10〜2000重量部である。なお、カラムへの通液は単回でも複数回であってもよい。
態様2では、イオン交換膜に対する透過性の差によって、1,5-AGを含む画分とそれ以外の成分(イオン性物質及び高極性成分等)に分離する。より詳しくは、工程(ii)で得られた処理液に、イオン交換膜を用いて透析等の処理を行なう。
本発明で用いられるイオン交換膜としては、処理液中に含まれるイオン性物質(塩類)及び高極性有機物(アミノ酸等)を選択的に透過或いは残留させて目的物質と分離することが可能であるので、透過液、或いは非透過液を回収することで1,5-AGを含む画分を分離回収できるものであればよい。具体的には、陽イオン交換膜、陰イオン交換膜が挙げられる。
陽イオン交換膜は、溶液中のアニオン性物質、中性溶解物は透過せず、小さなカチオン及び水素イオンのみを透過させる。例えば、スルホン基、カルボキシル基、ホスホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基などの陽イオン交換基を有する陽イオン交換膜が挙げられる。なかでもスルホン酸基、カルボキシル基が好ましい。
陰イオン交換膜は、溶液中のカチオン性物質、中性溶解物は透過せず、小さなアニオンを透過させる。例えば、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級アミノ基などの陰イオン交換基を有する陰イオン交換膜が挙げられる。なかでも4級アミノ基が好ましい。
本発明で用いられるイオン交換膜の好適な市販品としては、セレミオン(登録商標)CMW、CDM、HSF、CSO、CMF等の陽イオン交換膜、セレミオン(登録商標)AMV、AMT、DSV、AAV、ASV、AHO、APS4等の陰イオン交換膜、(以上、旭硝子社製);ネオセプタ(登録商標)CMX、AMX等の陽イオン交換膜、ネオセプタ(登録商標)CIMS、CMB、AHA、ACM、ACS、AFN、AFX等の陰イオン交換膜(以上、トクヤマ社製)が挙げられる。
イオン交換膜の有効表面積は、本発明を好適に実施できる程度であれば特に限定はなく、また、処理原液中の分離成分の組成や濃度、pH、使用するイオン交換膜の性能によって処理に必要な時間等は変化するものの、例えば乾燥オンジ根100gに対して、通常、200〜10000cmである。
本発明においては、前記イオン交換膜を用いて電気透析を行なうことが好ましい。なお、電気透析装置としては、公知のものを用いることができ、特に限定はない。
かくして、工程(ii)で得られた処理液から、1,5-AGを含む画分を選択的に分離することができる。得られた処理液は、所望により、公知の方法に従って濃縮してもよい。
なお、工程(iii)においては、態様1と態様2を組み合わせて行なってもよく、その順序はいずれが先でもよい。
得られた1,5-AGを含む画分に、1,5-AGの他に単糖類や少糖類が含まれている場合には、さらなる精製工程を行なって、1,5-AGのみを分離することができる。
精製方法としては、例えば、1,5-AGを含む画分を濃縮及び/又は冷却して晶析させる方法や、1,5-AGを含む画分に1,5-AGが不溶性、或いは難溶性の溶媒(例えば、2−プロパノールや1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等)を添加して晶析させる方法、パン酵母やビール酵母等の酵母を添加して1,5-AG以外の単糖類及び少糖類をアルコールと二酸化炭素等に分解させて1,5-AGを分取する方法が挙げられる。
晶析方法としては、例えば、1,5-AGを含む画分を、1,5-AG濃度が凡そ60〜85%(w/v)となるまで濃縮し、一度65〜75℃まで昇温した後、8時間掛けて緩やかに5℃まで冷却することで晶析させる方法が挙げられる。
また、酵母を添加して精製する場合には、用いられる酵母としては、例えば市販のパン酵母、ビール酵母等を使用することができる。その菌株としては例えばSaccharomyces属、Saccharomycodes属、Schizosaccaromyces属に属するものなどが挙げられる。具体的には、Saccharomyces cerevisiae、Saccharomyces pastorianus、Saccharomyces carlsbergensis、Saccharomyces diastaticusなどが挙げられる。
酵母の反応は嫌気性条件でも好気性条件でもよい。また、反応温度は酵母の活性がある範囲であればよいが30〜40℃程度が好ましい。反応液のpHは酵母の活性が一定以上保持される範囲であれば特に限定せず、好ましくはpH5.5〜8.0、より好ましくはpH5.8〜6.5である。
反応後の酵母の除去方法は、特に限定されず、活性炭による吸着除去や、遠心分離による除去でもよく、活性炭による吸着除去と遠心分離を組み合わせてもよい。
酵母の使用量は特に限定されない。通常、原料100重量部に対して5〜50重量部である。
なお、前記精製工程は原料植物における1,5-AG以外の糖類(単糖類及び少糖類)を除去することから、工程(i)と工程(ii)の間、工程(ii)と工程(iii)の間、工程(iii)の後のいずれの段階で行なってもよい。かかる精製を行なうことにより、得られる画分における1,5-AGの含有割合は高くなり、好ましくは60%以上、より好ましくは80%以上の純度が得られる。
かくして、本発明の方法により、1,5-AGを高純度、高収率かつ高効率で製造することができる。
なお、本発明においては、作業効率の向上の観点から、工程(ii)と工程(iii)を同時に行うことができる。具体的には、例えば、工程(i)で得られた抽出物に、合成吸着樹脂及びイオン交換樹脂を添加して混合し、得られた混合物を濾過して濾液を取得後、濾液から1,5-AGを減圧濃縮して得ることができる。
また、同様の観点から、工程(i)、工程(ii)及び工程(iii)を同時に行うことができる。具体的には、例えば、原料の植物、合成吸着樹脂、及びイオン交換樹脂を、水又は含水有機溶媒に添加して混合し、抽出操作を行なった後、得られた混合物を濾過して濾液を取得後、濾液を濃縮晶析することにより1,5-AGを得ることができる。
本発明の製造方法は、例えば乾燥させたオンジの根を原料に使用した場合、概ねその収率は、好ましくは5%以上、より好ましくは7%以上、さらに好ましくは9%以上の収率である。なお、乾燥オンジの根における1,5-AGの含有率は、栽培方法や産地、収穫時期、栽培期間中の天候、保存方法、乾燥方法等により変化するものの、概ね12%程度である。よって、本発明の製造方法によると、植物中の1,5-AGの回収率は、好ましくは40%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは75%以上である。
かくして得られた1,5-AGは、生体適合性が高く、安全性に問題がなく、かつ、生体内に蓄積性がないという優れた特性を有することから、生体親和性の高い成分として、食後過血糖抑制剤、食後高脂血症予防剤、グリコーゲン分解酵素阻害剤、甘味料、浸透圧調整剤、抗う蝕剤などに用いることが出来る。
また、本発明の1,5-AGの製造方法においては、例えば、抽出物を処理Aにおいて合成吸着樹脂と接触させた際に、合成吸着樹脂にはオンジサポニンや脂溶性物質などが吸着する。また、処理Bにおいて透析処理を行った際に、透析内液にはオンジサポニンや脂溶性物質などが存在する。処理Cにおいて逆浸透膜処理を行った際に、逆浸透膜非透過液にはオンジサポニンや脂溶性物質などが存在する。この合成吸着樹脂を有機溶剤で処理することや透析内液、逆浸透膜非透過液を回収することで、オンジサポニンをも得ることができる。よって、本発明の別の一態様として、オンジサポニン含有組成物の製造方法をも提供することができる。オンジサポニンも、1,5-AG同様、合成することが困難であるため、本発明により提供されうるそれらの化合物の高効率な製造方法は、非常に有用である。
オンジサポニン含有組成物は、1,5-AGの製造方法における工程(ii)の後、合成吸着樹脂に吸着した形で、あるいは、透析内液や逆浸透膜非透過液に存在する。
例えば、かかる合成吸着樹脂と、例えば、オンジサポニンを溶解することのできる有機溶媒とを混合し、合成吸着樹脂からオンジサポニン類を溶媒中に溶出することができる。合成吸着樹脂が、任意のカラムに充填されたものであれば、前記溶媒を移動相として使用する液体クロマトグラフィーの手法によりオンジサポニン類を分離することができる。溶媒を適宜除去等することにより、目的のオンジサポニン含有組成物を得ることができる。
合成吸着樹脂に吸着したオンジサポニンを溶解することのできる有機溶媒としては、極性有機溶媒として、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1-ブタノール、2-ブタノール、2,2-ジメチルエタノール、1−ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、2−メチル-1-ブタノール、3−メチル-1-ブタノール、2−メチル-2-ブタノール、3-メチル-2-ブタノール、2,2-ジメチル-1-プロパノール等の炭素数1〜5の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2〜5の多価アルコール;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル;エチレングリコールジアセチルエステル、エチレングリコールモノアセチルエステル、プロピレングリコールジアセチルエステル、プロピレングリコールモノアセチルエステル等のグリコールエステル;フラン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,3,5-トリオキサン等の環状エーテル;N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドなどのアミド化合物などが挙げられる。中でも、安全性、価格等の面からメタノール及びエタノールが好ましい。
また、透析内液や逆浸透膜非透過液は、そのまま回収することで目的のオンジサポニン含有組成物を得ることができる。
なお、回収した透析内液や逆浸透膜非透過液に、例えば、ブタノール等のオンジサポニンを溶解することができ、且つ透析内液や逆浸透膜非透過液に対して一定以上の量を用いることで、水相と分離することが可能な有機溶媒を混合し、公知の方法に従って抽出分離作業をさらに行なうことで、純度の高いオンジサポニン含有組成物を有機溶媒相に得ることができる。
透析内液や逆浸透膜非透過液からオンジサポニンを抽出することのできる有機溶媒としては、例えば1-ブタノール、2-ブタノール、2,2-ジメチルエタノール、1−ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、2−メチル-1-ブタノール、3−メチル-1-ブタノール、2−メチル-2-ブタノール、3-メチル-2-ブタノール、2,2-ジメチル-1-プロパノール等の炭素数4〜5の低級アルコールなどが挙げられる。中でも、安全性、価格等の面から1−ブタノールが好ましい。
また、得られたオンジサポニン含有組成物の有機溶媒溶液を濃縮し、有機溶媒の殆ど或いは全てを除去した後、得られた残渣に水を混合して水溶液としたものに対し、ヘキサンやトルエンなどの比較的低極性の非水溶性有機溶媒で洗浄して得られる水相部分を濃縮することにより、より純度の高いオンジサポニン含有組成物を得ることができる。
すなわち、本発明の別の一態様として、
植物を原料とするオンジサポニン含有組成物の製造方法であって、
(i)原料を水又は含水有機溶媒による抽出に供し、抽出物を得る工程、
(ii)抽出物に、合成吸着樹脂との接触処理、透析膜を用いた処理、及び、逆浸透膜を用いた処理、からなる群より選ばれる1つ以上の処理を行った後、合成吸着樹脂との接触処理を行った場合には該樹脂からのオンジサポニン類の脱着処理を行うか、透析膜を用いた処理を行った場合には透析内液を回収するか、あるいは、逆浸透膜を用いた処理を行った場合には逆浸透膜非透過液を回収する、少なくとも1つ以上の方法によりオンジサポニン含有組成物を得る工程、
を含む、オンジサポニン含有組成物の製造方法
が提供される。使用される原料、溶媒、実施条件等や、好適な態様等については、1,5-AGの製造方法の場合に準ずればよい。また、合成吸着樹脂からのオンジサポニン類の脱着処理は、前記有機溶媒を用いて、公知の方法に従って行なえばよい。なお、必要により、透析内液や逆浸透膜非透過液からのオンジサポニン類の抽出処理を行ってもよく、その場合も前記方法に従って行なえばよい。
かくして得られたオンジサポニン含有組成物は、アルツハイマー症候群等の痴呆症改善作用や脳機能改善及び治療作用、去痰作用、気管支炎改善及び治療作用、気管支喘息の改善及び治療作用、睡眠延長作用、免疫賦活作用、抗ストレス潰瘍作用、鬱血性浮腫抑制作用、PDE(ホスホジエステラーゼ)阻害作用、鎮静強壮作用等の特性を有することから、アルツハイマー症候群等の痴呆症改善作用や脳機能改善及び治療作用、去痰作用、気管支炎改善及び治療作用、気管支喘息の改善及び治療作用、睡眠延長作用、免疫賦活作用、抗ストレス潰瘍作用、鬱血性浮腫抑制作用、PDE(ホスホジエステラーゼ)阻害作用、鎮静強壮作用等を目的とした医薬品や医薬部外品、特定保健用食品、医薬品原料、食品などに用いることが出来る。
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明する。なお、この実施例は、単なる本発明の例示であり、何ら限定を意味するものではない。例中の部は、特記しない限り質量部である。なお、「常圧」とは101.3kPaを、「常温」とは15〜25℃を示す。
参考例1
乾燥させたオンジの根(栃本天海堂社製)1,500gをイオン交換水10Lに投入し、90〜100℃で1時間加熱抽出した。この作業を2回繰り返した後オンジを除去し、得られた全ての抽出液を合わせて常温以下まで放冷した。この液をアドバンテック東洋社製の定性ろ紙(No.5C)を用いてろ過することで、オンジ抽出液(16.43kg)を得た。この抽出液を下記条件にて高速液体クロマトグラフィーにより分析したところ、1,5−AGの含量は138.2gであった。
〔1,5−AGの分析条件(高速液体クロマトグラフ法)〕
カラム:Nacalai tesque社製 Cosmosil Sugar−D
φ4.6×250mm
カラム温度:40℃
検出器:示差屈折率検出器
移動相流速:1mL/min
移動相組成:アセトニトリル/水=85/15(v/v)
参考例2
参考例1と同様の方法で調製した橙色を呈するオンジ抽出液(16.15kg)を三等分し、一つは未処理とし、一つには三菱化学社製 合成吸着樹脂ダイヤイオン(登録商標)HP20(2.5L)を、一つには和光純薬社製 活性炭素(破砕状、2〜5mm)(2.5L)をそれぞれ投入して1時間緩やかに攪拌した。その後、三種の溶液につき、それぞれの上澄み液を、アドバンテック東洋社製 メンブレンフィルター(pore size:0.5μm)を用いて濾過したものを、脱色度合いを測るためCORONA社製マイクロプレートリーダー MTP−310(Ver1.09)を用いて、各波長における吸光度(Abs)を測定した。結果を表1に示す。なお、コントロールを蒸留水とした。
Figure 0006169877
表1より、合成吸着樹脂処理及び活性炭処理は同程度の脱色効果があることが判明した。
参考例3
乾燥させたオンジの根(栃本天海堂社製)450gをイオン交換水3,000mLに投入し、90〜100℃で一時間加熱抽出した。この作業を2回繰り返した後、オンジを除去し、得られた全ての抽出液をあわせて常温以下まで冷却した。この液をアドバンテック東洋社製の定性ろ紙(No.5C)を用いてろ過することで、オンジ抽出液(5.02kg)を得た。得られた抽出液を九等分し、三菱化学社製 合成吸着樹脂ダイヤイオン(登録商標)HP20、フタムラ化学社製 粉末活性炭(太閤Kタイプ)、和光純薬社製 活性炭素(破砕状、2〜5mm)を各々150mL、200mL、250mLを投入し、緩やかに一時間攪拌した。その後、上澄み液の一部(約20mL)を、アドバンテック東洋社製 メンブレンフィルター(pore size:0.5μm)を用いて濾過し、ガラス製のサンプル瓶(内容量50mL)に注入した。各々の液を上下転倒して激しく振り混ぜ、発泡の様子を観察したところ、以下の表2に示すような結果が得られた。
Figure 0006169877
以上の結果より、オンジの水抽出液に含有される発泡原因物質は合成吸着樹脂を用いることで除去できることが判明した。また、活性炭を250mL加えたバージョン(上記表の2箇所)を発泡確認後、さらに活性炭250mL(及びイオン交換水1000mL)を加えて1時間攪拌後、再度同じように発泡を確認したところ、発泡の具合は変化しないことが分かった。
すなわち、この結果は、原料重量部に対して同じ体積部の合成吸着樹脂と活性炭を使用しても、また、原料重量部に対して同じ重量部の合成吸着樹脂と活性炭を使用しても、活性炭よりも合成吸着樹脂のほうが発砲除去効果が高いことを意味する。
参考例4
参考例1で得られたオンジ抽出液(16.43kg)に、三菱化学社製 合成吸着樹脂ダイヤイオン(登録商標)HP20(7.5L)を投入し、1時間緩やかに攪拌した後、濾過して濾液を分取した。一方、濾取した樹脂を20Lのイオン交換水に投入して15分間緩やかに攪拌した後、濾過して濾液を回収した。この操作を2回繰り返し行い、得られた濾液全てあわせたもの(55.21kg)について、試験例1の高速液体クロマトグラフィーと同条件で分析したところ、この液に含有される1,5−AGの量は135.5gであり、合成吸着樹脂処理による1,5−AGの損失は殆どないことが判明した。なお、合成吸着樹脂の使用量は、乾燥状態の樹脂重量換算で、原料100重量部に対して180重量部であった。
参考例5
乾燥させたオンジの根(栃本天海堂社製)150gをイオン交換水1,000mLに投入し、90〜100℃で一時間加熱抽出した。この作業を2回繰り返した後、オンジを除去し、得られた全ての抽出液をあわせて常温以下まで冷却した。この液をアドバンテック東洋社製の定性ろ紙(No.5C)を用いてろ過することで、オンジ抽出液(1.87kg)を得た。この抽出液を、参考例1に記載の条件にて高速液体クロマトグラフィーにより分析したところ、1,5−AGの含有量は14.9gであった。
次に、上記オンジ抽出液を四等分し、一つは未処理、一つに三菱化学社製 合成吸着樹脂ダイヤイオン(登録商標)HP20、一つにフタムラ化学社製 粉末活性炭(太閤Kタイプ)、一つに和光純薬社製 活性炭素(破砕状、2〜5mm)を各々188mL投入し、緩やかに1時間攪拌した。その後、各々アドバンテック東洋社製の定性ろ紙(No.5C)を用いてろ過し、各々残った残渣(合成吸着樹脂、粉末活性炭、活性炭素)を1,000mLのイオン交換水に投入し、緩やかに1時間攪拌した後、アドバンテック東洋社製 メンブレンフィルター(pore size:0.5μm)で濾過し、前述の濾過液とあわせた。夫々の液を、参考例1に記載の条件にて高速液体クロマトグラフィーにより分析したところ、各々含有される1,5−AGの量は以下の表3であった.
Figure 0006169877
以上の表から明らかなように、合成吸着樹脂による1,5-AGのロスはほとんど無く、活性炭を用いた場合のロスは合成吸着樹脂によるロスよりも大きいことが判明した。
実施例1
参考例4で得られた合成吸着樹脂処理液(55.21kg)に、予め酸性型にしたオルガノ社製 陽イオン交換樹脂 アンバーライト(登録商標)IR120B(4.5L)を投入し、15分間緩やかに攪拌して濾液を分取した。次に、濾取した樹脂をイオン交換水10Lに投入し、15分間緩やかに攪拌して濾液を回収した。この操作を2回繰り返し、得られた全ての濾液(74.44kg)をあわせ、アドバンテック東洋社製 コーテッドタイプカートリッジフィルター TCYE−NSを用いて濾過した。得られた水溶液を減圧濃縮して生じた結晶を乾燥させることにより1,5-AG 128.1g(収率8.54%)を得た。なお、得られた1,5-AGについては、H−NMR、13C−NMR、IR、HPLC分析、質量分析(マススペクトル)を行なって、市販の1,5-AG(和光純薬工業社製)のピークとの対比から、高純度の1,5-AGであることを確認した(面積百分率:100%、定量純度:101%(和光純薬工業製 1,5-アンヒドロ-D-グルシトールを標準品とした))。なお、陽イオン交換樹脂の使用量は、乾燥状態の樹脂重量換算で、原料100重量部に対して210重量部であった。
実施例2
参考例1と同様の方法で調製したオンジ抽出液(15.87kg)を、三菱化学社製 合成吸着樹脂ダイヤイオン(登録商標)HP20を充填した直径(内径)15cm、高さ80cm(内容量:14.1L)の円筒状容器に流速0.5L/分で3時間循環通液した後、循環液を取り出した。次にこの円筒状容器にイオン交換水12Lを通液し、得られた全ての水溶液をあわせ合成吸着樹脂処理液とした(この合成吸着樹脂処理液の一部(約20mL)を内容量50mLのサンプル容器に移し、激しく振り混ぜても発泡は見られなかった)。次にこの合成吸着樹脂処理液を、予め酸性型にしたオルガノ社製 陽イオン交換樹脂 アンバーライト(登録商標)IR120Bを直径(内径)15cm、高さ80cm(内容量:14.1L)の円筒状容器に流速1L/分で通液した。次にこの円筒状容器にイオン交換水12Lを通液し、得られた全ての水溶液をあわせ、アドバンテック東洋社製 コーテッドタイプカートリッジフィルター TCYE−NSを用いて濾過し、イオン交換樹脂処理液とした。得られた処理液を減圧濃縮して生じた結晶を乾燥させることにより1,5−AG 125.0g(収率8.33%)を得た。なお、合成吸着樹脂の使用量は、乾燥状態の樹脂重量換算で、原料100重量部に対して338重量部、陽イオン交換樹脂の使用量は、乾燥状態の樹脂重量換算で、原料100重量部に対して675重量部であった。
実施例3
参考例1と同様の方法で調製したオンジ抽出液(16.25kg)を、実施例2における陽イオン交換樹脂の種類を陰イオン交換樹脂(オルガノ社製 陰イオン交換樹脂 アンバーライト(登録商標)IRA400J)に変更した以外は、実施例2と同様の方法で処理して、1,5−AG 118.4g(収率7.89%)を得た。陰イオン交換樹脂の使用量は、乾燥状態の樹脂重量換算で、原料100重量部に対して482重量部であった。
実施例4
乾燥させたオンジの根(栃本天海堂社製)10gをイオン交換水100mLに投入し、90〜100℃で1時間加熱抽出した。この作業を2回繰り返した後オンジを除去し、得られた全ての抽出液を合わせて常温以下まで放冷した。この液をアドバンテック東洋社製の定性ろ紙(No.5C)を用いてろ過することで、橙色のオンジ抽出液(171g)を得た。次に、この液をSPECTRUM(登録商標)LABORATORIES,INC社製 透析膜(Spectrum/Por(登録商標)Dialysis Tubing)(分画分子量(MWCO):100−500D、有効表面積0.08m2)を用いて、イオン交換水(1,000mL)を透析外液として20〜25℃で18時間透析処理した。得られた透析外液を良く振り混ぜても発泡は確認されず、その色は微黄色であった。得られた液(1,005g)に、予め塩基型に調製したオルガノ社製 陰イオン交換樹脂 アンバーライト(登録商標)IRA400J(100mL)を加えて緩やかに1時間攪拌した。次にこの液を濾過することで得られた樹脂をイオン交換水400mLに投入し、30分間緩やかに攪拌し濾液を回収した。この操作を2回繰り返し、得られた全ての水溶液(1,821g)をあわせ、アドバンテック東洋社製 メンブレンフィルター(pore size:0.5μm)を用いて濾過した。得られた処理液を減圧濃縮して生じた結晶を乾燥させることにより1,5−AG 0.55g(収率5.5%)を得た。なお、陰イオン交換樹脂の使用量は、乾燥状態の樹脂重量換算で、原料100重量部に対して500重量部であった。
実施例5
乾燥させたオンジの根(栃本天海堂社製)30gをイオン交換水200mLに投入し、90〜100℃で1時間加熱抽出した。この作業を2回繰り返した後オンジを除去し、得られた全ての抽出液を合わせて常温以下まで放冷した。この液をアドバンテック東洋社製の定性ろ紙(No.5C)を用いてろ過することで、オンジ抽出液(337g)を得た。次にこの液をアドバンテック東洋社製 メンブレンフィルター(pore size:0.5μm)を用いて濾過したものを、日東電工社製 NF膜(NTR−7250、分画分子量3000D、有効表面積84.2cm2)を用いて、ろ過原液を攪拌しながら30〜40℃において、圧力1.0〜2.5MPa(1.0MPaから徐々に圧力を上げ2.5MPaまで変化させた)でろ過した。また、ろ過容器内部にイオン交換水(200mL)を投入し、攪拌しながら圧力1.0〜2.5MPa(1.0MPaから徐々に圧力を上げ2.5MPaまで変化させた)でろ過し濾液を回収した。得られた全濾液(520mL)に、予め酸性型にしたオルガノ社製 陽イオン交換樹脂 アンバーライト(登録商標)IR120B(120mL)を加えて緩やかに1時間攪拌した。次にこの液を濾過することで得られた樹脂をイオン交換水420mLに投入し、30分間緩やかに攪拌し濾液を回収した。この操作を2回繰り返し、得られた全ての水溶液(1,341g)をあわせ、アドバンテック東洋社製 メンブレンフィルター(pore size:0.5μm)を用いて濾過した。得られた処理液を減圧濃縮して生じた結晶を乾燥させることにより1,5−AG 1.83g(収率6.1%)を得た。なお、陽イオン交換樹脂の使用量は、乾燥状態の樹脂重量換算で、原料100重量部に対して280重量部であった。
実施例6
乾燥させたオンジの根(栃本天海堂社製)100gをイオン交換水700mLに投入し、90〜100℃で1時間加熱抽出した。この作業を2回繰り返した後オンジを除去し、得られた全ての抽出液を合わせて常温以下まで放冷した。この液をアドバンテック東洋社製の定性ろ紙(No.5C)を用いてろ過することで、オンジ抽出液(1,142g)を得た。得られたオンジ抽出液にイオン交換水3,000mL、合成吸着樹脂ダイヤイオン(登録商標)HP20(500mL)を加えて緩やかに1時間撹拌した。次に、この液をアドバンテック東洋社製 メンブレンフィルター(pore size:0.5μm)を用いて濾過したものを、サンアクティス社製 電気透析装置マイクロ・アシライザー S3(イオン交換膜カートリッジ:AC−220−550、有効膜面積550cm2)を用いて、サンプル液の電気伝導度が0.3mS以下になるまで処理した。得られた処理液を減圧濃縮して生じた結晶を乾燥させることにより1,5−AG 7.1g(収率7.1%)を得た。なお、合成吸着樹脂の使用量は、乾燥状態の樹脂重量換算で、原料100重量部に対して180重量部であった。
実施例7
乾燥させたオンジの根(栃本天海堂社製)100g及びイオン交換水1,000mLを、ジムロート冷却器を装着した内容量2,000mLのガラス製ナス型フラスコに投入し、ジムロート冷却器に0〜5℃の冷却溶媒を循環通液しながら、90〜97℃で1時間加熱抽出した。この作業を2回繰り返した後オンジを除去し、得られた全ての抽出液を合わせて、アドバンテック東洋社製の定性ろ紙(No.5C)を用いてろ過することで、オンジ抽出液(1,888mL)を得た。得られたオンジ抽出液に合成吸着樹脂ダイヤイオン(登録商標)HP20(400mL)及び予め酸性型にしたオルガノ社製 陽イオン交換樹脂 アンバーライト(登録商標)IR120B(300mL)を加えて緩やかに1時間撹拌した。次にこの液をアドバンテック東洋社製のメンブレンフィルター (pore size:0.5μm)を用いて濾過した液を、サンアクティス社製 電気透析装置マイクロ・アシライザー S3(イオン交換膜カートリッジ:AC−220−550)を用いて、サンプル液の電気伝導度が0.3mS以下になるまで処理した。得られた処理液を減圧濃縮して生じた結晶を乾燥させることにより1,5−AG 8.2g(収率8.2%)を得た。なお、合成吸着樹脂の使用量は、乾燥状態の樹脂重量換算で、原料100重量部に対して144重量部、陽イオン交換樹脂の使用量は、乾燥状態の樹脂重量換算で、原料100重量部に対して210重量部であった。
実施例8
乾燥させたオンジの根(栃本天海堂社製)100gをイオン交換水700mLに投入し、89〜97℃で1時間加熱抽出した。この作業を2回繰り返した後オンジを除去し、得られた全ての抽出液を合わせて常温以下まで放冷した。この液をアドバンテック東洋社製の定性ろ紙(No.5C)を用いてろ過することで、オンジ抽出液(1,210g)を得た。得られたオンジ抽出液にイオン交換水3,000mL、合成吸着樹脂ダイヤイオン(登録商標)HP20(500mL)及び予め酸性型にしたオルガノ社製 陽イオン交換樹脂 アンバーライト(登録商標)IR120B(300mL)を加えて緩やかに1時間撹拌した。次にこの液を濾過することで得られた樹脂をイオン交換水3Lに投入し、30分間緩やかに攪拌し濾液を回収した。この操作を2回繰り返し、得られた全ての水溶液(9.91kg)をあわせ、アドバンテック東洋社製 メンブレンフィルター(pore size:0.5μm)を用いて濾過した。得られた処理液を減圧濃縮して生じた結晶を乾燥させることにより1,5−AG 6.9g(収率6.9%)を得た。なお、合成吸着樹脂の使用量は、乾燥状態の樹脂重量換算で、原料100重量部に対して180重量部、陽イオン交換樹脂の使用量は、乾燥状態の樹脂重量換算で、原料100重量部に対して210重量部であった。
実施例9
乾燥させたオンジの根(栃本天海堂社製)100g及びイオン交換水1,000mLを、ジムロート冷却器を装着した内容量2,000mLのガラス製ナス型フラスコに投入し、ジムロート冷却器に0〜5℃の冷却溶媒を循環通液しながら、90〜97℃で1時間加熱抽出した。この作業を2回繰り返した後オンジを除去し、得られた全ての抽出液を合わせて、アドバンテック東洋社製の定性ろ紙(No.5C)を用いてろ過することで、オンジ抽出液(1,935g)を得た。得られたオンジ抽出液に合成吸着樹脂ダイヤイオン(登録商標)HP20(400mL)及び、予め酸性型にしたオルガノ社製 陽イオン交換樹脂 アンバーライト(登録商標)IR120B(300mL)、予めアルカリ型にしたオルガノ社製陰イオン交換樹脂 アンバーライト(登録商標)IRA400J(400mL)を加えて緩やかに1時間撹拌した。次にこの液をアドバンテック東洋社製のメンブレンフィルター(pore size:0.5μm)を用いて濾過した後、減圧濃縮して生じた結晶を乾燥させることにより1,5−AG 9.1g(収率9.1%)を得た。なお、合成吸着樹脂の使用量は、乾燥状態の樹脂重量換算で、原料100重量部に対して144重量部、陽イオン交換樹脂の使用量は、乾燥状態の樹脂重量換算で、原料100重量部に対して210重量部、陰イオン交換樹脂の使用量は、乾燥状態の樹脂重量換算で、原料100重量部に対して200重量部であった。
実施例10
各々不織布製の袋に詰めた、乾燥させたオンジの根(栃本天海堂社製)150g、合成吸着樹脂ダイヤイオン(登録商標)HP20(1,500mL)、及び予め酸性型にしたオルガノ社製 陽イオン交換樹脂 アンバーライト(登録商標)IR120B(450mL)を、イオン交換水4,500mLに投入し、90〜100℃で2時間加熱抽出した。室温付近まで冷却した後、液中の不織布製袋を取り出し、得られた水溶液を、アドバンテック東洋社製メンブレンフィルター(pore size:0.5μm)を用いて濾過した。得られた濾液を減圧濃縮して生じた結晶を乾燥させることにより1,5−AG 12.9g(収率8.6%)を得た。なお、合成吸着樹脂の使用量は、乾燥状態の樹脂重量換算で、原料100重量部に対して360重量部、陽イオン交換樹脂の使用量は、乾燥状態の樹脂重量換算で、原料100重量部に対して210重量部であった。
実施例11
乾燥させたオンジの根(栃本天海堂社製)200g及びエタノールを含むイオン交換水1,500mL(エタノール/イオン交換水=10/90(v/v))を、ジムロート冷却器を装着した内容量5,000mLのガラス製ナス型フラスコに投入し、ジムロート冷却器に0〜5℃の冷却溶媒を循環通液しながら、78〜85℃で1時間加熱抽出した。この作業を2回繰り返した後オンジを除去し、得られた全ての抽出液を合わせて常温以下まで放冷した。この液をアドバンテック東洋社製の定性ろ紙(No.5C)を用いてろ過することで、オンジ抽出液(2,944mL)を得た。得られたオンジ抽出液に合成吸着樹脂ダイヤイオン(登録商標)HP20(800mL)及び予め酸性型にしたオルガノ社製 陽イオン交換樹脂 アンバーライト(登録商標)IR120B(300mL)を加えて緩やかに1時間撹拌した。次にこの液をアドバンテック東洋社製の定性ろ紙(No.5C)、次いでアドバンテック東洋社製メンブレンフィルター(pore size:0.5μm)を用いて濾過した。得られた処理液を減圧濃縮して生じた結晶を乾燥させることにより1,5−AG 19.9g(収率10.0%)を得た。なお、合成吸着樹脂の使用量は、乾燥状態の樹脂重量換算で、原料100重量部に対して144重量部、陽イオン交換樹脂の使用量は、乾燥状態の樹脂重量換算で、原料100重量部に対して105重量部であった。
実施例12
乾燥させたオンジの根(栃本天海堂社製)200g及びエタノールを含むイオン交換水1,500mL(エタノール/イオン交換水=90/10(v/v))を、ジムロート冷却器を装着した内容量5,000mLのガラス製ナス型フラスコに投入し、ジムロート冷却器に0〜5℃の冷却溶媒を循環通液しながら、70〜80℃で1時間加熱抽出した。この作業を2回繰り返した後オンジを除去し、得られた全ての抽出液を合わせて、液量が凡そ600mLになるまで減圧下、濃縮を行なった。この液をアドバンテック東洋社製の定性ろ紙(No.5C)を用いてろ過することで、オンジ抽出液(582mL)を得た。得られたオンジ抽出液にイオン交換水(2,500mL)及び合成吸着樹脂ダイヤイオン(登録商標)HP20(800mL)及び予めアルカリ型にしたオルガノ社製 陰イオン交換樹脂 アンバーライト(登録商標)IRA400J(500mL)を加えて緩やかに1時間撹拌した。次にこの液をアドバンテック東洋社製の定性ろ紙(No.5C)、次いでアドバンテック東洋社製 メンブレンフィルター(pore size:0.5μm)を用いて濾過した。得られた処理液を減圧濃縮して生じた結晶を乾燥させることにより1,5−AG 16.7g(収率8.4%)を得た。なお、合成吸着樹脂の使用量は、乾燥状態の樹脂重量換算で、原料100重量部に対して144重量部、陰イオン交換樹脂の使用量は、乾燥状態の樹脂重量換算で、原料100重量部に対して125重量部であった。
実施例13
乾燥させたオンジの根(栃本天海堂社製)100g及びイオン交換水700mL及びトルエン500mL(トルエン/イオン交換水=500/700(v/v))を、ジムロート冷却器を装着した内容量2,000mLのガラス製ナス型フラスコに投入し、ジムロート冷却器に0〜5℃の冷却溶媒を循環通液しながら、95〜100℃で1時間加熱抽出した。この作業を2回繰り返した後オンジを除去し、得られた全ての抽出液を合わせて、有機層を除去した後、得られた水層をアドバンテック東洋社製の定性ろ紙(No.5C)を用いてろ過することで、オンジ抽出液(1,422g)を得た。得られたオンジ抽出液に合成吸着樹脂ダイヤイオン(登録商標)HP20(300mL)を加えて緩やかに1時間撹拌した。次にこの液をアドバンテック東洋社製のメンブレンフィルター (pore size:0.5μm)を用いて濾過した。次に、イオン交換水(500mL)、予め酸性型にしたオルガノ社製 陽イオン交換樹脂 アンバーライト(登録商標)IR120B(400mL)、及び予めアルカリ型にしたオルガノ社製陰イオン交換樹脂 アンバーライト(登録商標)IRA400J(400mL)を加えて緩やかに1時間撹拌した。次にこの液をアドバンテック東洋社製のメンブレンフィルター(pore size:0.5μm)を用いて濾過した後、減圧濃縮して生じた結晶を乾燥させることにより1,5−AG 9.2g(収率9.2%)を得た。なお、合成吸着樹脂の使用量は、乾燥状態の樹脂重量換算で、原料100重量部に対して108重量部、陽イオン交換樹脂の使用量は、乾燥状態の樹脂重量換算で、原料100重量部に対して280重量部、陰イオン交換樹脂の使用量は、乾燥状態の樹脂重量換算で、原料100重量部に対して200重量部であった。
実施例14
乾燥させたオンジの根(栃本天海堂社製)100g及びイオン交換水1,000mLを、ジムロート冷却器を装着した内容量2,000mLのガラス製ナス型フラスコに投入し、ジムロート冷却器に0〜5℃の冷却溶媒を循環通液しながら、92〜100℃で1時間加熱抽出した。この作業を2回繰り返した後オンジを除去し、得られた全ての抽出液を合わせて、アドバンテック東洋社製の定性ろ紙(No.5C)を用いてろ過することで、オンジ抽出液(1,911g)を得た。得られたオンジ抽出液に合成吸着樹脂ダイヤイオン(登録商標)HP20(400mL)及び、予め酸性型にしたオルガノ社製 陽イオン交換樹脂 アンバーライト(登録商標)IR120B(300mL)、予めアルカリ型にしたオルガノ社製 陰イオン交換樹脂 アンバーライト(登録商標)IRA400J(400mL)を加えて緩やかに1時間撹拌した。次にこの液をアドバンテック東洋社製の定性ろ紙(No.5C)を用いてろ過した。得られた液にオリエンタル酵母社製 USイースト4.5gを加え、エイブル社製 ジャーファーメンター BMS−Cを用いて、溶液温度30℃、撹拌速度200rpm、通気量2L/分の条件で15時間処理した。得られた反応液にフタムラ化学社製 粉末活性炭(太閤Kタイプ)5gを加えて1時間撹拌した後、アドバンテック東洋社製のメンブレンフィルター(pore size:0.5μm)を用いて濾過した。得られた溶液を減圧濃縮して生じた結晶を乾燥させることにより1,5−AG 8.1g(収率8.1%)を得た。なお、合成吸着樹脂の使用量は、乾燥状態の樹脂重量換算で、原料100重量部に対して144重量部、陽イオン交換樹脂の使用量は、乾燥状態の樹脂重量換算で、原料100重量部に対して210重量部、陰イオン交換樹脂の使用量は、乾燥状態の樹脂重量換算で、原料100重量部に対して200重量部であった。
実施例15
参考例4で濾取された合成吸着樹脂(7.5L)にイオン交換水20Lを加え、20〜25℃において15分間緩やかに攪拌し、その後濾過して樹脂を回収した。この操作を2回繰り返し、得られた合成吸着樹脂にエタノール20Lを加え、20〜25℃において15分間緩やかに攪拌して、濾液を回収した。この操作を2回繰り返し、得られた全てのエタノール層を集め、減圧下、濃縮乾固することで、茶褐色のオンジサポニン含有組成物 181g(収率12.1%)を得た。
実施例16
実施例2で用いた使用済みの合成吸着樹脂が充填された円筒状容器に、水酸化ナトリウム水溶液(pH8.0、12L)、塩酸水溶液(pH5.5、12L)、次いでイオン交換水(20L)を順次通液し、その後、エタノール20Lを流速0.5L/分で通液した。得られたエタノールフラクションを、減圧下、濃縮乾固することで、茶褐色のオンジサポニン含有組成物 199g(収率13.3%)を得た。
実施例17
実施例4で用いた使用済みの合成吸着樹脂を直径6cmのガラス製クロマトグラフ管に充填し、水酸化ナトリウム水溶液(pH8.0、1,000mL)、塩酸水溶液(pH5.5、1,000mL)、イオン交換水(1,500mL)を順次、流速5mL/分程度で通液した。次に、エタノール(1,500mL)を流速5mL/分で通液した。得られたエタノールフラクションを、減圧下、濃縮乾固することで茶褐色のオンジサポニン含有組成物6.1g(収率6.1%)を得た。
実施例18
実施例15で得られたオンジサポニン含有組成物 181gに、イオン交換水(1,000mL)及びヘキサン(2,000mL)を加え、混合攪拌した後、有機層を除去し、残った水層をブタノール(1,000mL×2回)で2回抽出した。得られたブタノール層を減圧下濃縮乾固することで大半の脂溶性物質を除去した茶褐色のオンジサポニン含有組成物 108.3g(収率7.22%)を得た。
本発明の1,5-AGの製造方法は、1,5-AGを高純度、高収率かつ高効率で製造することができるため、1,5-AGを生産性よく大量に提供することができる。また、該製造方法においては、1,5-AGの抽出物に含まれる1,5-AG以外の成分から、オンジサポニン類をも得ることが可能である。

Claims (11)

  1. ヒメハギ(Polygalaceae)科に属する植物及びマメ(Fabaceae)科に属する植物からなる群より選ばれる1種以上の植物を原料とする1,5-アンヒドロ-D-グルシトールの製造方法であって、
    (i)原料を水又は含水有機溶媒による抽出に供し、抽出物を得る工程、
    (ii)抽出物に、透析膜を用いた処理、及び逆浸透膜を用いた処理の少なくともいずれかの処理を行って、オンジサポニン類を含む画分と1,5-アンヒドロ-D-グルシトールを含む画分とを分離し、該1,5-アンヒドロ-D-グルシトールを含む画分である処理液を得る工程、ならびに
    (iii)得られた処理液からイオン交換樹脂を用いて、及び/又はイオン交換膜を用いて、1,5-アンヒドロ-D-グルシトールを含む画分を分離する工程、
    を含む、1,5-アンヒドロ-D-グルシトールの製造方法。
  2. 植物が、ヒメハギ(Polygala)属に属する植物及びダイズ(Glycine)属に属する植物からなる群より選ばれる1種以上の植物である、請求項1記載の製造方法。
  3. 植物が、イトヒメハギ(P. tenuifolia)種及びセネガ(P. senega)種からなる群より選ばれる1種以上の植物である、請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 植物が、イトヒメハギ、セネガ、及びヒロハセネガからなる群より選ばれる1種以上の植物である、請求項1〜3いずれか記載の製造方法。
  5. イトヒメハギの根、セネガ及び/又はヒロハセネガの根を原料とする、請求項4記載の製造方法。
  6. 工程(i)における水のpHが4〜8である、請求項1〜5いずれかに記載の製造方法。
  7. 工程(i)における含水有機溶媒中の有機溶媒の量が30v/v%以下である、請求項1〜5いずれかに記載の製造方法。
  8. 工程(ii)における透析膜が、再生セルロース系膜、表面改質再生セルロース系膜、セルロースアセテート系膜、及び合成高分子系膜からなる群より選ばれる1種以上である、請求項1〜いずれかに記載の製造方法。
  9. 工程(ii)における逆浸透膜が、酢酸セルロース系膜、スルホン化ポリエーテルスルホン系膜、芳香族ポリアミド系膜、ポリビニルアルコール系膜、ポリテトラフタレートエステル(PTFE)系膜、及びポリスルホン系膜からなる群より選ばれる1種以上である、請求項1〜いずれかに記載の製造方法。
  10. 工程(iii)における分離が、濾液にイオン交換樹脂を混合して濾過する工程、及び/又は、濾液を電気透析膜を用いて処理する工程を含む、請求項1〜いずれかに記載の製造方法。
  11. 請求項1〜10いずれかに記載の製造方法における工程(ii)の後、透析膜を用いた処理を行った場合には透析内液を回収するか、あるいは、逆浸透膜を用いた処理を行った場合には逆浸透膜非透過液を回収する、少なくともいずれかの方法によりオンジサポニン含有組成物を得る、オンジサポニン類含有組成物の製造方法。
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