JP7058891B2 - シキミ酸の製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、脱脂したトウシキミの粉砕物からシキミ酸をエタノールまたはメタノールで抽出し、活性炭で脱色した後、粗結晶から晶析させるトウシキミの抽出分離方法が開示されている。
特許文献2には、セルロースを溶解可能なイオン液体を加えて植物からシキミ酸を抽出し、強塩基性陰イオン交換樹脂によりイオン液体を除去後に、シキミ酸を取得するシキミ酸の取得方法が開示されている。
かかる状況下、本発明の目的は、シキミ酸を収率よく得ることのできるシキミ酸の製造方法を提供することである。
<1> シキミ酸を含有する溶液からシキミ酸を回収する工程を含み、前記シキミ酸を回収する工程が、シキミ酸を含有する溶液を疎水性合成吸着剤で処理し処理液を得る工程(P1)と、両性イオン交換樹脂を用いたイオン交換クロマトグラフィー法により、少なくとも前記工程(P1)を行った後の処理液から、シキミ酸を含有する分画を得る工程(P2)とを含むシキミ酸の製造方法。
<2> 前記シキミ酸を回収する工程において、工程(P2)の後に、工程(P2)で得られた分画を濃縮乾燥する工程(P3)を含む、<1>に記載のシキミ酸の製造方法。
<3> 前記シキミ酸を回収する工程の前に、シキミ酸を含有する溶液を得る工程を含み、前記シキミ酸を含有する溶液を得る工程が、シキミ酸を含む植物からシキミ酸を抽出する工程(E1)と、前記工程(E1)の後にシキミ酸を含む抽出液を固液分離する工程(E2)とを含む、<1>又は<2>に記載のシキミ酸の製造方法。
<4> 前記シキミ酸を含有する溶液を得る工程において、前記工程(E1)の前に、シキミ酸を含む植物を粉砕して粉砕物とする工程(E0)を含み、前記工程(E1)と前記工程(E2)の間に、シキミ酸を含む抽出液を酵素で処理する工程(E1a)を更に含む、<3>に記載のシキミ酸の製造方法。
<5> 前記シキミ酸を回収する工程において、前記工程(P1)と前記工程(P2)の間に、前記工程(P1)で得られた処理液を強塩基性陰イオン交換樹脂に接触させ、前記処理液に含まれるシキミ酸を強塩基性陰イオン交換樹脂に吸着させた後、前記シキミ酸が吸着された前記強塩基性陰イオン交換樹脂からシキミ酸を酸性溶液により溶離する工程(P1a)を更に含む、<1>から<4>のいずれかに記載のシキミ酸の製造方法。
<6> 前記疎水性合成吸着剤が、芳香族系合成吸着剤である、<1>から<5>のいずれかに記載のシキミ酸の製造方法。
<7> 前記シキミ酸を含む植物がシキミ族の植物である、<3>又は<4>に記載のシキミ酸の製造方法。
<8> 前記酵素が植物細胞壁分解酵素である、<4>に記載のシキミ酸の製造方法。
<10> 前記シキミ酸を含有する溶液を得る工程の後に、シキミ酸を含有する溶液からシキミ酸を回収する工程を含み、前記シキミ酸を回収する工程が、シキミ酸を含有する溶液を疎水性合成吸着剤で処理し処理液を得る工程(p1)と、両性イオン交換樹脂を用いたイオン交換クロマトグラフィー法により、少なくとも前記工程(p1)を行った後の処理液から、シキミ酸を含有する分画を得る工程(p2)とを含む<9>に記載のシキミ酸の製造方法。
<11> 前記シキミ酸を含有する溶液からシキミ酸を回収する工程において、工程(p2)の後に、工程(p2)で得られた分画を濃縮乾燥する工程(p3)を含む、<10>に記載のシキミ酸の製造方法。
<12> 前記シキミ酸を回収する工程において、前記工程(p1)と前記工程(p2)の間に、前記工程(p1)で得られた処理液を強塩基性陰イオン交換樹脂に接触させ、前記処理液に含まれるシキミ酸を強塩基性陰イオン交換樹脂に吸着させた後、前記シキミ酸が吸着された前記強塩基性陰イオン交換樹脂からシキミ酸を酸性溶液により溶離する工程(p1a)を更に含む、<10>又は<11>に記載のシキミ酸の製造方法。
<13> 前記疎水性合成吸着剤が、芳香族系合成吸着剤である、<10>から<12>のいずれかに記載のシキミ酸の製造方法。
<14> 前記シキミ酸を含む植物がシキミ族の植物である、<9>から<13>のいずれかに記載のシキミ酸の製造方法。
<15> 前記酵素が植物細胞壁分解酵素である、<9>から<14>のいずれかに記載のシキミ酸の製造方法。
本発明の製造方法(I)は、シキミ酸を含有する溶液からシキミ酸を回収する工程を含み、前記シキミ酸を回収する工程が、シキミ酸を含有する溶液を疎水性合成吸着剤で処理し処理液を得る工程(P1)と、両性イオン交換樹脂を用いたイオン交換クロマトグラフィー法により、少なくとも前記工程(P1)を行った後の処理液から、シキミ酸を含有する分画を得る工程(P2)とを含むシキミ酸の製造方法である。
工程(P1)は、シキミ酸を含有する溶液を疎水性合成吸着剤で処理し処理液を得る工程である。
本発明者らは、シキミ酸を含有する溶液(特に、シキミ酸を含む植物からシキミ酸を抽出した抽出液)に含まれる不純物(着色物質等)の多くが、疎水性合成吸着剤に物理的に吸着しやすいことを見出した。そのため、疎水性合成吸着剤で処理することにより、シクロヘキセン環を有するシキミ酸は疎水性合成吸着剤へ物理的に吸着せず溶出される。一方で、不純物の多くは疎水性合成吸着剤へ物理的に吸着し、除去することができる。
なお、シキミ酸を含有する溶液の調製方法について詳しくは後述する。
洗浄に用いる溶媒は、通常、水であり、脱塩水、蒸留水、純水等の水を利用できる。
なお、SVとは、1時間当たりに、樹脂(合成吸着剤、イオン交換樹脂または両性イオン交換樹脂)の容量の何倍量を通液したかを示す単位である。SVは、
SV=流量(L/Hr)/充填された樹脂量(L)
で求めることができる。例えば、樹脂100mLに1時間で500mL通液したときの空間速度(SV)は、5(1/Hr)である。
工程(P2)は、両性イオン交換樹脂を用いたイオン交換クロマトグラフィー法により、少なくとも前記工程(P1)を行った後の処理液から、シキミ酸を含有する分画を得る工程である。
このようにすることにより、工程(P1)で除去されなかった不純物とシキミ酸を分離でき、高純度のシキミ酸を収率よく得られる。
そのため、本発明の製造方法(I)は、純度が95%以上の精製シキミ酸を得る精製シキミ酸の製造方法として好適であり、純度が98%以上の精製シキミ酸を得る精製シキミ酸の製造方法としてより好適である。
なお、シキミ酸の純度の測定方法は、実施例にて説明する。
また、両性イオン交換樹脂は、ゲル型であっても、マクロポーラス型であってもよい。また、強塩基性イオン交換樹脂に、アクリル酸を含浸させて重合させた、スネークケイジ型と呼ばれる樹脂であってもよい。
前記式(1)において、R1及びR2は、それぞれ独立に炭素数1~3のアルキル基である。k及びmは、それぞれ独立に1~4の整数である。左端のアルキレン基を介して、該イオン交換基が樹脂母体に結合されている。より好ましくは、R1及びR2がメチル基であり、k及びmが1である。
また、工程(P2)は、回分固定層方式、移動層方式のいずれであってもよい。
本発明の製造方法(I)では、工程(P1)の後に工程(P2)を行うことで、シキミ酸の純度の高い分画(例えば、純度が95%以上の精製シキミ酸や純度が98%以上の精製シキミ酸を含有する分画)が得られる。そのため、晶析等でさらに精製しなくても純度の高いシキミ酸を得ることができる。シキミ酸を含有する分画を濃縮乾燥させてシキミ酸を得ることにより、従来の晶析で精製する方法のようにシキミ酸が晶析せずに溶媒中に残存することがなく、純度の高いシキミ酸をより高収率で得ることができる。
すなわち、本発明の製造方法(I)は、工程(P2)の前に、工程(P1)以外の工程を含んでもよい。
工程(P1a)は、前記工程(P1)で得られた処理液を強塩基性陰イオン交換樹脂に接触させ、前記処理液に含まれるシキミ酸を強塩基性陰イオン交換樹脂に吸着させた後、前記シキミ酸が吸着された前記強塩基性陰イオン交換樹脂からシキミ酸を酸性溶液により溶離する工程である。
工程(E1)は、シキミ酸を含む植物からシキミ酸を抽出する工程である。具体的には、シキミ酸を含む植物と溶媒を混合してシキミ酸を含む植物からシキミ酸を溶媒中に抽出する工程である。
シキミ族に属する植物としては、Illicium floridanum、Illicium diffengri、Illicium henryi、Illicium verum、Illicium lancealatum、Illicium pachyphyllum、Illicium anisatumおよびIllicium religiosumを挙げることができる。
粉砕方法は、シキミ酸を含む植物を砕くことができる方法であれば特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、圧縮力、剪断力、衝撃力、摩擦力等を利用した粉砕装置を使用することができる。具体的には、ジョークラッシャー、ロールクラッシャー、スクリューミル、ボールミル等が挙げられる。
工程(E2)は、シキミ酸を含む抽出液を固液分離する工程であり、シキミ酸を含む抽出液からシキミ酸を含む植物の粉砕物等の固形分を除去する工程である。
固液分離の方法は、特に限定されず、従来公知の方法を使用することができる。例えば、任意の濾材を用いた濾過、減圧濾過、遠心分離等により固液分離することができる。好ましくは、任意の濾材を用いた濾過である。
植物の細胞壁を分解する酵素としては、セルラーゼ、ペクチナーゼ、キシラナーゼ、リゾチーム等が挙げられ、セルラーゼおよび/またはペクチナーゼを含むことが好ましい。
また、使用する酵素は2種類以上を併用してもよい。2種類以上の酵素を用いる場合、2種類以上の酵素を同時に添加し酵素処理を行っても、それぞれの酵素を個別に用いて酵素処理を複数回行ってもよい。
酵素処理時間は、酵素処理温度等により適宜決定され、0.5時間以上であることが好ましい。酵素処理時間の上限は、特に制限されないが、例えば、24時間以下であっても、15時間以下であってもよい。
また、加熱処理の時間は、酵素を失活されることができればよい。例えば、20分以上であることが好ましく、30分以上であることがより好ましい。加熱時間が短すぎると、酵素が十分に失活しないおそれがある。また、加熱時間の上限は特に制限されず、24時間以下であっても、12時間以下であっても、5時間以下であってもよい。
加熱処理を行うことにより、工程(P1)や工程(P2)でのシキミ酸の収率がより向上する。
本発明の製造方法(II)は、シキミ酸を含有する溶液を得る工程を含み、前記シキミ酸を含有する溶液を得る工程が、シキミ酸を含む植物を粉砕し粉砕物とする工程(e0)と、前記工程(e0)で得られた粉砕したシキミ酸を含む植物からシキミ酸を、水を含む溶媒で抽出し、抽出液を得る工程(e1)と、前記工程(e1)で得られた抽出液を酵素で処理する工程(e1a)と、前記工程(e1a)を行った抽出液を固液分離する工程(e2)とを含むシキミ酸の製造方法である。
工程(e0)は、シキミ酸を含む植物を粉砕し粉砕物とする工程である。シキミ酸を含む植物を粉砕し、粉末状とすることで抽出効率を高めることができる。
工程(e1)は、前記工程(e0)で得られた粉砕したシキミ酸を含む植物からシキミ酸を、水を含む溶媒で抽出する工程である。具体的には、シキミ酸を含む植物と溶媒を混合してシキミ酸を含む植物からシキミ酸を溶媒中に抽出する工程である。
工程(e1a)は、前記工程(e1)で得られた抽出液を酵素で処理する工程である。
酵素としては、植物細胞壁分解酵素であることが好ましい。
植物の細胞壁を分解する酵素としては、セルラーゼ、ペクチナーゼ、キシラナーゼ、リゾチーム等が挙げられ、セルラーゼおよび/またはペクチナーゼを含むことが好ましい。
また、使用する酵素は2種類以上を併用してもよい。2種類以上の酵素を用いる場合、2種類以上の酵素を同時に添加し酵素処理を行っても、それぞれの酵素を個別に用いて酵素処理を複数回行ってもよい。
酵素処理時間は、酵素処理温度等により適宜決定され、0.5時間以上であることが好ましい。酵素処理時間の上限は、特に制限されないが、例えば、24時間以下であっても、15時間以下であってもよい。
また、加熱処理の時間は、酵素を失活されることができればよい。例えば、20分以上であることが好ましく、30分以上であることがより好ましい。加熱時間が短すぎると、酵素が十分に失活しないおそれがある。また、加熱時間の上限は特に制限されず、24時間以下であっても、12時間以下であっても、5時間以下であってもよい。
工程(e2)は、前記工程(e1a)を行った抽出液を固液分離する工程であり、抽出液からシキミ酸を含む植物の粉砕物等の固形分を除去する工程である。
固液分離の方法は、特に限定されず、従来公知の方法を使用することができる。例えば、任意の濾材を用いた濾過、減圧濾過、遠心分離等により固液分離することができる。好ましくは、任意の濾材を用いた濾過である。
(シキミ酸を含有する溶液を得る工程)
撹拌機、コンデンサー、ディーンスタークトラップを備えた2Lの4つ口フラスコに、八角150g、脱塩水1050gを入れ、100℃で6時間還流し、八角中に含まれるシキミ酸を抽出し、抽出液(1a)を得た。還流中、ディーンスタークトラップには、八角中に含まれるオイル成分および水(留出水)が溜まった。なお、還流は、ディーンスタークトラップに溜まったオイル成分がフラスコ内に戻らないように、適宜、留出水を抜き出して、留出水をフラスコの別の口からフラスコ内に戻しながら行った。また、ディーンスタークトラップに溜まったオイル成分は除去した。
40℃に冷却後、抽出液(1a)に、酵素(三菱ケミカルフーズ製スクラーゼC 0.75g、スクラーゼN 0.75g)を加え、40℃で12時間撹拌した。その後、90℃で30分撹拌して酵素を失活させ、抽出液(1b)を得た。
30℃に冷却した後、抽出液(1b)をろ過(ろ紙、アドバンテックNo5C、110mm)し、脱塩水200mLで洗浄して、抽出液(1b)に含まれる固形成分を除去しシキミ酸を含む抽出液(1)1500mLを得た。
なお、八角は、中国産八角(エスビー食品社製、スターアニス(ホール))をそのまま用いた。
内径4.5cmのカラム(1)に、疎水性合成吸着剤(三菱ケミカル社製、ダイヤイオン(登録商標)HP20)300mL(内径4.5×高さ23cm)を充填した。カラム(1)に、得られた抽出液(1)1500mLをローラーポンプでSV=1の流速で通液し、次いで脱塩水を通液して、処理液(1)1700mLを得た。
カラム(3)から溶出される液のうち、はじめの600mLの溶出液は捨て、次の1000mLの溶出液(1)を回収した。この溶出液(1)をエバポレーターで濃縮した後、真空乾燥機(フルバキューム、50℃)で、13時間乾燥し、純度98%以上のシキミ酸4.8gを得た。
(シキミ酸を含有する溶液を得る工程)
八角200gをカリタ製コーヒーミル(クラシックミル)に投入し、粉砕し、粉末状(パウダー)の八角を得た。
撹拌機、コンデンサー、ディーンスタークトラップを備えた2Lの4つ口フラスコに、粉砕した八角パウダー150g、脱塩水1050gを入れ、100℃で6時間還流し、八角中に含まれるシキミ酸を抽出し、抽出液(2a)を得た。還流中、ディーンスタークトラップには、八角中に含まれるオイル成分および水(留出水)が溜まった。なお、還流は、ディーンスタークトラップに溜まったオイル成分がフラスコ内に戻らないように、適宜、留出水を抜き出して、留出水をフラスコの別の口からフラスコ内に戻しながら行った。また、ディーンスタークトラップに溜まったオイル成分は除去した。
40℃に冷却後、抽出液(2a)に、酵素(三菱ケミカルフーズ製スクラーゼC0.75g、スクラーゼN0.75g)を加え、40℃で12時間撹拌した。その後、90℃で30分撹拌して酵素を失活させ、抽出液(2b)を得た。
30℃に冷却した後、抽出液(2b)をろ過(ろ紙、アドバンテックNo5C、110mm)し、脱塩水200mLで洗浄して、抽出液(2b)に含まれる固形成分を除去し抽出液(2)1500mLを得た。
抽出液(1)に代わりに抽出液(2)を用いた以外は、実施例1のシキミ酸を含有する溶液からシキミ酸を回収する工程と同様の方法にて精製し、純度98%以上のシキミ酸6.2gを得た。
(シキミ酸を含有する溶液を得る工程)
実施例2のシキミ酸を含有する溶液を得る工程と同様の方法でシキミ酸の抽出液(3)を得た。
内径4.5cmのカラム(1)に、疎水性合成吸着剤(三菱ケミカル社製、ダイヤイオン(登録商標)HP20)300mL(内径4.5×高さ23cm)を充填した。また、内径4.5cmのカラム(2)に、Cl型の陰イオン交換樹脂(ダイヤイオン(登録商標)SA20A、三菱ケミカル社製)200mLを充填し、水酸化ナトリウム水溶液(35g/500ml)で処理して、OH型の陰イオン交換樹脂とした。次に、カラム(1)で処理された処理液がカラム(2)で処理できるように、カラム(1)とカラム(2)とを直列に連結し、2床2塔式の装置を組んだ。
まず、得られたシキミ酸を含む抽出液(3)1500mLを、2床2塔式の装置に通液した。このとき、シキミ酸は、カラム(1)の疎水性合成吸着剤には吸着せず通過し、カラム(2)に供給され、SA20Aに吸着された。
次いで、シキミ酸の吸着されたSA20Aのカラム(2)に1Nの塩酸230mLを通液し、さらに、脱塩水865mLを通液し、溶離液1100mLを得た。なお、液はローラーポンプでSV=1(1/Hr)の流速で供給した。得られた溶離液(3)をエバポレーターにて濃縮し、濃縮液(3)110mLを得た。
(シキミ酸を含有する溶液を得る工程)
実施例2に比べて細かく粉砕されるようにコーヒーミルを調整し、シキミ酸を含む植物を粉砕した以外は実施例2のシキミ酸を含有する溶液を得る工程と同様の方法でシキミ酸を含む抽出液(4)を得た。
抽出液(3)に代わりに抽出液(4)を用いた以外は、実施例3のシキミ酸を含有する溶液からシキミ酸を回収する工程と同様の方法で精製し、純度98%以上のシキミ酸14.3gを得た。
八角200gをカリタ製コーヒーミルに投入し、粉砕し、粉末状(パウダー)の八角を得た。
撹拌機、コンデンサーを備えた2Lの4つ口フラスコに、粉砕した八角パウダー362g、メタノール(新日鉄化学社製)1009gを入れ、65℃で30分間還流し、抽出液(5a)を得た。
30℃に冷却した後、抽出液(5a)をろ過(ろ紙、アドバンテックNo5C、110mm)し、抽出液(5b)653gを得た。
この抽出液(5b)と石油エーテル(JXTGエネルギー社製、試薬リグロイン特級)171gを分液ロートに入れ、5分間程度よく振った後、分離した相の下相(メタノール相)を抽出液(5c)として回収した。
回収した抽出液(5c)に脱塩水322gを混合した後、ろ過(ろ紙、アドバンテックNo5C、110mm)して、抽出液(5d)375gを得た。
30℃に冷却した後、活性炭処理後の抽出液(5d)をろ過(ろ紙、アドバンテックNo5C、110mm)して、抽出液(5e)319gを得た。
抽出液(5e)を60℃、80Torrで濃縮し、濃縮液(5)25gを得た。
この濃縮液(5)に種晶としてシキミ酸を微量加えて、24時間冷暗所に放置した。その後、ろ過(ろ紙、アドバンテックNo5C、110mm)して、エタノール水(エタノール(日本アルコール販売社製)20g+超純水3g)で洗浄した。さらにエタノール水(エタノール15g+超純水3g)で洗浄し、抽出液(5f)62gを得た。
ろ紙上の湿潤シキミ酸を乾燥(真空乾燥機でフルバキューム、60℃処理、13時間)し、純度93.8%のシキミ酸3.6gを得た。
八角200gをカリタ製コーヒーミル(クラシックミル)に投入し、粉砕し、粉末状(パウダー)の八角を得た。
2Lの丸底フラスコに、粉砕した八角パウダー150g、脱塩水1050gを入れ、100℃で6時間還流し、抽出液(6a)を得た。
30℃に冷却した後、抽出液(6a)をろ過(ろ紙、アドバンテックNo5C、110mm)したが、ろ紙が微粒子で目詰まりして、ろ過できなかった。
[純度]
シキミ酸濃度は、HPLC法(カラム:Inertsil ODS-3(粒子径3μm、長さ150mm、内径4.6mm)、移動相:(A)CH3CN+(B)2.1%酢酸溶液(A/B=30/70(v/v))、0.5mL/min、カラム温度:30℃、検出:254nm)で定量した。
測定には、100~1000ppmのシキミ酸溶液(溶媒:超純水)を用いて検量線を作成した。
測定によって得られたシキミ酸濃度から、シキミ酸含有量を算出し、次式によりシキミ酸の純度を求めた。
シキミ酸の純度=シキミ酸の含有量/試料重量×100(%)
抽出率は以下のようにして求めた。結果を表1に示す。
抽出率は、次式により算出した。
抽出率=抽出されたシキミ酸の重量/原料の重量(%)
実施例1~4、比較例1、2のシキミ酸を含有する溶液を得る工程における、抽出液に含まれる固形成分を除去する際の濾過性を以下の基準に従い評価した。
結果を表1に示す。
×:1500mLのろ過にかかる時間が2日以上
△:1500mLのろ過にかかる時間が3時間以内
〇:1500mLのろ過にかかる時間が1時間以内
Claims (6)
- シキミ酸を含む植物を粉砕して粉砕物とする工程(E0)と、
前記粉砕物からシキミ酸を抽出する工程(E1)と、
シキミ酸を含む抽出液を植物細胞壁分解酵素で処理する工程(E1a)と、
シキミ酸を含む抽出液を固液分離する工程(E2)と、
前記固液分離を経て得られた溶液を疎水性合成吸着剤で処理し処理液を得る工程(P1)と、
両性イオン交換樹脂を用いたイオン交換クロマトグラフィー法により、少なくとも前記工程(P1)を行った後の処理液から、シキミ酸を含有する分画を得る工程(P2)と、
をこの順序で含む、シキミ酸の製造方法。 - 前記シキミ酸を回収する工程において、
工程(P2)の後に、工程(P2)で得られた分画を濃縮乾燥する工程(P3)を含む、請求項1に記載のシキミ酸の製造方法。 - 前記シキミ酸を回収する工程において、前記工程(P1)と前記工程(P2)の間に、
前記工程(P1)で得られた処理液を強塩基性陰イオン交換樹脂に接触させ、前記処理液に含まれるシキミ酸を強塩基性陰イオン交換樹脂に吸着させた後、前記シキミ酸が吸着された前記強塩基性陰イオン交換樹脂からシキミ酸を酸性溶液により溶離する工程(P1a)を更に含む、請求項1又は2に記載のシキミ酸の製造方法。 - 前記疎水性合成吸着剤が、芳香族系合成吸着剤である、請求項1~3のいずれか一項に記載のシキミ酸の製造方法。
- 前記工程(E1)において、水を含む抽出溶媒を使用する、請求項1~4のいずれか一項に記載のシキミ酸の製造方法。
- 前記強塩基性陰イオン交換樹脂がジメチルエタノールアンモニウム基を有する、請求項3に記載のシキミ酸の製造方法。
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