JPWO2003051815A1 - ポリエステルのエチレングリコール分解生成溶液の脱イオン処理方法 - Google Patents
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Abstract
ポリエステルをエチレングリコールで分解して得た分解生成溶液の、エステル交換反応および加水分解反応が抑制され、収率の低下および純度の低下等の少ない、前記分解生成溶液の脱イオン処理方法を提供する。前記分解生成溶液を、100℃以下の温度でカチオン交換体と滞留時間5〜60分で接触せしめ、その後30分以内にアニオン交換体と接触せしめる。
Description
技術分野
本発明は、ポリエステルをエチレングリコールで分解して得た分解生成溶液の脱イオン処理方法に関する。さらに詳しくは、不純物としてのイオン含有量の多いポリエステルを、エチレングリコールで分解して得た分解生成溶液、特に回収ポリエチレンテレフタレートをエチレングリコールで分解して得たビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを主成分とする分解生成溶液から不純物としてのイオンを除去する方法に関する。
背景技術
ポリエステル、ことにポリエチレンテレフタレートは、繊維、フィルム、樹脂など各種成形品分野で広く用いられている。そして、ポリエチレンテレフタレートは、通常、ジメチルテレフタレートまたはテレフタル酸とエチレングリコールを触媒の存在下反応させる方法で製造され、その際用途に応じた要求特性を満足させる目的で、特性付与剤例えば、安定剤、着色剤、帯電防止剤等が用いられている。
近年、ポリエチレンテレフタレート成形品、とくにポリエチレンテレフタレート製ボトル(PETボトル)の使い捨てが環境を悪くするとして社会問題となっており、この回収、再利用が進められている。
この方法の一つとして、使用済みのポリエチレンテレフタレート成形品を回収し、該成形品をチップまたはフレークにしてからエチレングリコールで解重合し、精製して高純度のビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートとし、次いで該ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを重合してポリエチレンテレフタレートにする方法が検討されている。
本発明者は、ポリエステルの高品質化にはポリエステル原料の高品質化が必要であるとの考えに基づいて、回収したポリエチレンテレフタレートのチップまたはフレークをエチレングリコールで解重合し、精製して高純度のビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを製造する方法について検討して得た知見として、解重合反応生成溶液としての、エチレングリコール、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートならびに不純物としてのカチオンおよびアニオンを含む、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの溶液組成物を、カチオン交換体およびアニオン交換体と接触することにより高純度のビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートとする方法(例えば、特許文献1参照)を提案した。
さらにこの方法について検討を進めた結果、前記カチオン交換処理によって水素イオンが遊離するので、処理液は強い酸性になること、このために、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートがジエチレングリコールとのエステル交換反応や加水分解反応を起こし易くなり、目的とするビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの収率の低下や前記反応生成物がビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートに混入することによる純度の低下等が起こり易く、問題であることを知見した。
(特許文献1)
国際公開第01/10812号パンフレット
本発明の目的は、ポリエステルをエチレングリコールで分解して得た分解生成溶液、特に回収ポリエチレンテレフタレートをエチレングリコールで分解して得たビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを主成分とする分解生成溶液の脱イオン処理方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、ポリエステルをエチレングリコールで分解して得た分解生成物、すなわちビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの、脱カチオン処理に伴うエステル交換反応および加水分解反応を抑制した、脱イオン処理方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、ポリエステルをエチレングリコールで分解して得た分解生成物がエステル交換反応または加水分解反応を起こすことによる収率の低下および純度の低下等の少ない、脱イオン処理方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
発明の開示
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、ポリエステルをエチレングリコールで分解して得た分解生成溶液であって、分解生成物、エチレングリコールならびに不純物としてのカチオンおよびアニオンを含む溶液を、100℃以下の温度でカチオン交換体と滞留時間5〜60分で接触せしめ、その後30分以内にアニオン交換体と接触せしめ、該カチオンおよびアニオンの含有量を減少せしめることを特徴とする、前記分解生成溶液の脱イオン処理方法によって達成される。
本発明で用いられる出発物質は、ポリエステルをエチレングリコールで分解して得た分解生成溶液である。かかる溶液は、分解生成物、エチレングリコールならびに不純物としてのカチオンおよびアニオンを含む。この溶液は、ポリエステルを過剰量のエチレングリコールで分解することにより得られる。
本発明において使用されるポリエステルは如何なる方法により製造されたものであってもよい。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のホモポリマー、これらの共重合体、例えばイソフタル酸や1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合したコポリエステル、1,4−ブタンジオールを共重合したコポリエステル等が挙げられる。これらの中ポリエチレンテレフタレートおよびその共重合体が特に好ましい。重縮合反応によって製造されるポリエステルは一般にグリコリシスが容易であり、本発明に好適である。グリコリシスに用いられる溶媒はエチレングリコール以外の他のグリコールを含有していてもよい。
また、本発明にいう不純物としてのカチオンやアニオンは、グリコリシス触媒(例えば、苛性ソーダ、苛性カリのようなアルカリ化合物)、ポリエステルの重合触媒(例えば、酸化アンチモンのようなアンチモン化合物、酸化ゲルマニウムのようなゲルマニウム化合物、アルコキシチタンのようなチタン化合物)、安定剤(例えば、リン化合物)、帯電防止剤などの添加剤に由来するが、種々の予想し難い汚れ等に起因してポリエステルに付着または付随するイオンも含む。
前記分解生成溶液(以下、溶液組成物ということがある)は、カチオン交換体およびアニオン交換体と接触せしめられる。溶液組成物の脱イオン処理は、例えばカラム等に充填したイオン交換体の層中に溶液組成物を通過させることにより両者を接触させて行うことができる。溶液組成物が懸濁液である場合、イオン交換体層内に閉塞を生じて溶液組成物の通過不良または通過抵抗斑による偏流が起こり、安定した脱イオン処理が難くなる。したがって、カチオン交換体およびアニオン交換体と溶液組成物の接触は、必要に応じ、溶液組成物から1μm以上の固形不純物、例えば微粒子を除去した後、溶液組成物の温度をイオン交換樹脂の最高使用温度以下であって且つジカルボン酸のエチレングリコールエステル、ことにビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの結晶がグリコリシス反応溶液から析出しない温度で行うことが必要である。固形不純物はその最大径が1μm以上のものを除去することが好ましい。固形不純物の除去は、珪藻土、ファイバーフィルターを用いる濾過で行うことができる。
一般に、カチオン交換体の最高使用温度はアニオン交換体のそれよりも高いので、カチオン交換処理後に処理液をアニオン交換体の最高使用温度以下まで冷却するか、または、アニオン交換体の最高使用温度以下でカチオンおよびアニオンの交換処理を行うのがよい。イオン不純物に占めるカチオンの割合はアニオンの割合に比して圧倒的に多いのが普通なので、カチオン交換処理後にアニオン交換処理を行うのが好ましい。
カチオン交換処理により水素イオンが発生するため被処理液は酸性になり、これによりポリエステルをエチレングリコールで分解して得た分解生成物は共存するジエチレングリコールとのエステル交換反応や、含まれる水との加水分解反応を起こし易くなる。そこで、本発明者は、かかるエステル交換反応および加水分解反応を抑制して、収率の低下および純度の低下等の少ない前記分解生成溶液(溶液組成物)の脱イオン処理方法を提供するべく、鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至ったのである。
好ましくは、第1に、本発明においては、グリコリシス反応溶液中の水分を減少させることにより、ポリエステルをエチレングリコールで分解して得た分解生成物の加水分解反応を抑制する。グリコリシスは一般にグリコールの沸点以上の温度で行われるので、グリコリシス反応器に精留塔を設け反応溶液から水分を系外へ留去することにより、反応溶液中の水分を減少させて加水分解反応を抑制することができる。一方、蒸発したグリコールはグリコリシス反応器へ戻してもよい。
好ましくは、第2に、本発明においては、カチオン交換処理の滞留時間を短くすることにより、ポリエステルをエチレングリコールで分解して得た分解生成物のエステル交換反応を抑制する。イオン交換処理を行う際の温度が高いほどイオン交換速度は大きくなるが、一方で前記分解生成物のエステル交換反応速度も大きくなるので、該エステル交換反応による前記分解生成物の転化量が許容値以下となるように滞留時間を短縮する。
好ましくは、第3に、本発明においては、カチオン交換処理後、できるだけ速やかにアニオン交換処理を行うことにより、ポリエステルをエチレングリコールで分解して得た分解生成物のエステル交換反応および加水分解反応を抑制する。アニオン交換処理により水酸化物イオンが発生して水素イオンと中和反応を起こすので、反応液中の水素イオンを減少させることができる。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明について、具体例を挙げつつ詳細に説明する。ポリエステルとしてポリエチレンテレフタレートを用い、エチレングリコールでグリコリシスを行う。グリコリシスの温度は160〜300℃、さらには180〜240℃であることが好ましい。このポリエチレンテレフタレートとエチレングリコールは重量比で1:9〜3:7が好ましい。ポリエチレンテレフタレートがエチレングリコールに対して少なすぎると、生成するビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの量がエチレングリコールへの飽和溶解度より小さくなり、脱イオン処理に付される全液量に対して得られる最大の収量より少ない量でしかビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートが得られなくなるため経済的でない。一方、ポリエチレンテレフタレートがエチレングリコールに対して多すぎると、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートのオリゴマーが増加してビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの収率が低下する。また、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートがエチレングリコールへの飽和溶解度を超えて存在すると、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートが析出するために脱イオン処理ができなくなる。
グリコリシスは、従来から知られている方法で行うことができる。例えば溶融ポリエステルをエチレングリコール、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートまたはこれらの混合物と混合して解重合する方法、溶融ポリエステルをエチレングリコール、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートあるいはこれを繰り返し単位とする低重合体組成物(オリゴマー)またはこれらの混合物と混合して予備解重合し、次いで得られる予備解重合物とエチレングリコールとを混合して解重合する方法、ポリエステル粉砕物とエチレングリコールとをグリコリシス反応器に仕込み、反応させる方法等を挙げることができる。グリコリシス反応器による方法では、該グリコリシス反応器に精留塔を設け、反応溶液から水分を系外へ留去しながら行うのが好ましい。この際、蒸発したグリコールは系内へ戻すようにするのが好ましい。グリコリシスをこのようにして行うことでカチオン交換体と接触せしめる溶液組成物中の水分量を少なくすることができ、脱カチオン処理に伴う加水分解反応を抑制することができる。カチオン交換体と接触せしめる溶液組成物中に含まれる水分量が0.5重量%以下となるように調製することが好ましい。
グリコリシスにより得られる反応溶液は、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを主成分とし、他にビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートのオリゴマー、原料のポリエチレンテレフタレートに含まれているジエチレングリコール、エチレングリコールから生成したジエチレングリコールおよび2−ヒドロキシエチル[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]テレフタレート等を含有する。さらに、グリコリシスに用いた触媒(例えば、苛性ソーダ等)、ポリエチレンテレフタレートの重縮合反応に用いた触媒(例えば、酸化ゲルマニウム、酸化アンチモン、酢酸マンガン、アルコキシドチタン等)、リン化合物などの安定剤、着色剤および種々の予想し難い汚れ等に由来する不純物イオン等を含有する。
グリコリシス反応溶液から上記不純物を除去するために、活性炭を用いて吸着処理を行い着色剤および活性炭吸着性の不純物を除去した後、グリコリシス反応溶液をカチオン交換体およびアニオン交換体または、カチオン交換体およびカチオン交換体とアニオン交換体の混合層に接触させる。カチオン交換体およびアニオン交換体の形状としては、例えば粒子状、鎖状、繊維状および無定形状が挙げられる。粒子状である場合、例えばこれをカラムに充填し、グリコリシス反応溶液をカラムに流すことにより両者を接触させることができる。
カチオン交換体としては陽イオン交換樹脂が好ましく、アニオン交換体としては陰イオン交換樹脂が好ましい。陽イオン交換樹脂の陽イオン交換官能基としては、例えば−SO3H、−COOH、等が挙げられる。また、陽イオン交換樹脂としては、例えばダイヤイオン(三菱化学(株)製)のSK1B、SK104、SK110、SK112、SK116等またはアンバーライト(ロームアンドハース(株)製)のIR120B Na、IR120BN Na、IR124 Na、200CT Na等として市販されているものを用いることができる。これらの市販品は通常イオン交換官能基が例えばナトリウム塩等の塩として安定化されているので、使用に際し通常上記の如き遊離の酸基に変換される。
陰イオン交換樹脂としては、陰イオン交換官能基として、例えば−N(CH3)2、−NH(C2H4NH)nH、等を持つものを挙げることができる。これらの陰イオン交換樹脂としては、例えばダイヤイオン(三菱化学(株)製)のWA10、WA20、WA21J、WA30等またはアンバーライト(ロームアンドハース(株)製)のIRA67、IRA96SB、XE583等として市販されているものを用いることができる。これらの市販品は通常イオン交換官能基が水酸化物イオンではなく、ハロゲンアニオンを持つものとして安定化されているので、使用に際し通常上記の如き水酸化物イオンを持つものに変換される。
また、ゲル型の陰イオン交換樹脂には亀裂タイプと無亀裂タイプとがあるが、無亀裂タイプの方がビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの吸着量が少ないので好ましい。さらに、ゲル型に比べて物理的耐久性に優れ、交換吸着速度の大きいイオン交換樹脂である多孔体、いわゆるMR型(マイクロポーラス型)を使用することもできる。
カチオン交換樹脂の最高使用温度は、強酸性のスチレン系の場合で120℃程度、弱酸性のメタクリル系の場合で100℃程度である。一方、アニオン交換樹脂の最高使用温度は、強塩基性の4級アンモニウム型の場合、交換基が−OH型のもので40〜60℃程度、−Cl型のもので約80℃以下、弱塩基性の1〜3級アミン(−NH2R、−NHR2、−NR3)型の場合、約100℃以下である。上記温度から、例えば120℃以下の温度でカチオン交換処理を行った後、40〜60℃の温度に冷却してアニオン交換処理を行うことができる。温度が低下することによるビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの飽和溶解度の低下によりビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートが析出する場合には、所望の温度のエチレングリコールを適量添加すればよい。経済的には、50〜100℃、より好ましくは60〜95℃、さらに好ましくは80〜90℃の温度でカチオン交換処理を行った後、1〜3級アミン型のアニオン交換樹脂を用いてアニオン交換処理を行うのがよい。
グリコリシス反応溶液中のカチオンとしては、グリコリシス触媒に由来するNa+、Ca2+、Mg2+、Zn2+、Co2+等および重縮合触媒に由来するZn2+、Sb3+、Ge2+、Ti4+等が挙げられる。一方、アニオンとしては、安定剤に由来するPO4 3−の他にポリエチレンテレフタレートに付着等したイオンであるSO4 2−、Cl−等が挙げられる。アニオンに比してカチオンの方が圧倒的に多いので、カチオン交換処理後にアニオン交換処理を行うのが好ましい。
カチオン交換反応により次式のように水素イオンが発生して、被処理液は酸性を呈する。
発生した水素イオンは、ポリエチレンテレフタレートのグリコリシスにより生成したビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートとジエチレングリコールとのエステル交換反応を促して、2−ヒドロキシエチル[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]テレフタレートを副生させる。
また、被処理液中に水が多量に存在すると、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートは加水分解を起こして、モノ(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを生成する。
さらに、これらの反応は、溶液が例えば80〜90℃の高温で処理されることにより、常温よりも一層促進される。
ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートのエステル交換反応や加水分解反応を抑制するためにアルカリの添加により水素イオンを中和する方法が考えられるが、この場合アルカリに由来する新たなカチオンが系にもたらされることになり、先に行ったカチオン除去処理が無駄となるので好ましくない。また、イオン交換処理をカチオンとアニオンの混合層方式とすることが考えられるが、破過したイオン交換樹脂の再生を考えた場合、カチオンとアニオンの量的な差が大きいことから別々に処理するのが好ましい。
本発明者は、鋭意研究した結果、カチオン交換処理における滞留時間を短縮することによりビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの上記エステル交換反応および加水分解反応を抑制する方法を見出した。滞留時間は5〜60分、好ましくは5〜50分とするのがよい。5分未満だと十分なカチオン交換処理が行えず、60分を超えるとエステル交換反応によりビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの2−ヒドロキシエチル[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]テレフタレートへの転化量が許容値(2.0%)を超える。さらに、本発明者は、カチオン交換処理後速やかにアニオン交換処理を行うことにより、上記エステル交換反応および加水分解反応を抑制できることを見出した。即ち、カチオン交換処理によって生じる水素イオンを、アニオン交換処理によって生じる水酸化物イオンで中和することにより、系内に新たなアルカリを添加することなしに遊離の水素イオンを減少させることができ、これによって上記エステル交換反応および加水分解反応を抑制することができる。アニオン交換処理は、カチオン交換処理後30分以内、好ましくは20分以内、より好ましくは10分以内に行うのがよい。
アニオン交換処理後のビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを主成分とするエチレングリコール溶液中のイオン含有量は、電気伝導率で表示すると、2μS/cm以下、さらには1μS/cm以下であることが好ましい。
実施例
本発明をさらに具体的な態様について説明するために、以下に実施例を挙げる。本発明がこれのみに限定されるものでないことはいうまでもない。なお、例中の特性は下記の方法により測定した。
(分解生成溶液の組成)
〈各成分の分離、量測定〉
試料5mgをクロロフォルムに溶解して約1000ppmの溶液を調製し、島津製作所製のHPLC LC−6型にて、4.6mmID×250mmLのシリカ−60のカラムによって温度40℃、流速1.0ml/分、注入量5μl、移動相としてジクロロメタン/ジオキサンを用い、測定波長240nmで紫外可視分光光度計の検出器を用いて測定した。
〈LC/MSによる同定〉
HPLCのピークを同定するために、LC/MS測定を行った。日本電子製SX−102A型を用いて、上記と同じ条件で測定、同定した。
(電気伝導率)
メトラートレド社製プロセス用導電率計によって連続的に測定した。
(含水率)
京都電子製MK−SS型カールフィッシャー水分計を用いて測定した。
実施例1
(グリコリシス)
着色ペットボトル10重量%混合の使用済みペットボトル(ポリエチレンテレフタレート樹脂よりなる)を粉砕調製した平均サイズ8mm角の粉砕フレーク76kg、工業用エチレングリコール424kgおよび工業用苛性ソーダ230gを800リットルのオートクレーブに仕込み、圧力0.13MPa、温度215℃で撹拌するとともに、オートクレーブに設置した精留塔の塔頂部から水等の低沸点分を留去しつつ、110分間グリコリシスを行った。
(不純物除去)
得られた分解生成溶液を180℃に降温してフレークに含まれるキャップやラベル等の固形異物を60メッシュのラインストレーナーで除去し、800リットルの冷却槽へ移送した。冷却槽において85℃で3時間保持し、青色顔料および他の不溶性の不純物を析出させた。析出した微粒子を1μmのカートリッジフィルターで除去した後、活性炭を充填した脱色塔に滞留時間115分間で濾液を通過させた。
(カチオン交換処理)
次に、これを85℃でカチオン交換充填塔(カチオン交換樹脂:ロームアンドハース社製アンバーライトIR−120B Na)に供給して滞留時間12分間でカチオン交換処理を行った後、保存性の実験をするべく処理液を10リットル採取した。
(アニオン交換処理)
その後、分解生成溶液を連結配管内を53秒で通過させてアニオン交換充填塔(アニオン交換樹脂:ロームアンドハース社製アンバーライトIRA96SBとアンバーライトIR120B Naとの混合物)に供給し、85℃でアニオン交換処理に付した。溶液のpHはカチオン交換処理前で5.2、カチオン交換処理後で1.76、アニオン交換処理後で4.9であった。また、溶液の電気伝導率はカチオン交換処理前で537μS/cm、アニオン交換処理後で0.4μS/cmであった。
(精製)
前記脱イオン処理液を0.5℃/分の冷却速度で25℃まで冷却し、晶析槽において、30分間、晶析した後、固液分離を行って63重量%の粗ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを含有する湿潤ケークを得た。この湿潤ケークを100℃で溶融してから流下薄膜蒸発器に供給し、温度135℃、圧力513Paでエチレングリコールを主成分とする低沸点成分を留去して粗ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを濃縮した後、内部コンデンサーを有する流下薄膜分子蒸留器に供給し、温度208℃、圧力13Pa、内部コンデンサー118℃でビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを蒸発させ、内部コンデンサーで凝縮して精製されたビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの融液をレシーバーに受けた。
一方、加熱蒸発面に沿ってビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを蒸発させながら流下した蒸発残の成分は、円筒状蒸発内壁面下部に設置されているリング状の集液パンからレシーバーに融液として抜いた。
(カチオン交換処理液の保存性)
カチオン交換処理後の液5リットルを85℃に保持し、10分、20分、40分、60分および120分経過したときのビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートから転化した2−ヒドロキシエチル[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]テレフタレートが全体に占める割合を重量基準で調べたところ、最初2.8%であったのに対し、それぞれ3.1%、3.5%、4.0%、5.1%および6.6%であり、カチオン交換処理後速やかにアニオン交換処理をする必要があることが確認された。
実施例2
カチオン交換処理における滞留時間を30分間とした以外は、実施例1と同様にして精製ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを得た。その結果を表1に示す。
実施例3
カチオン交換処理における滞留時間を60分間とした以外は、実施例1と同様にして精製ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを得た。その結果を表1に示す。
また、カチオン交換処理液に5重量%の水を添加して、10分、20分、40分、60分および120分経過したときのビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートから転化したモノ(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートが全体に占める割合を重量基準で調べたところ、水を添加する前が2.5%であったのに対し、それぞれ3.0%、3.6%、4.0%、5.7%および9.1%であり、時間の経過とともにモノ(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートが増加することが確認された。
比較例1
アニオン交換処理を行わないこと以外は、実施例1と同様にして行ったところ、分子蒸留の際にビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの留出が全く見られず、代わりに粘度が高くて淡黄色の物質(融点63℃)が得られ、これを分析すると、73.2重量%の2−ヒドロキシエチル[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]テレフタレートを含有するオリゴマーの混合物であった。このことから、カチオン交換処理およびアニオン交換処理の両方の処理が不可欠であることが確認された。
比較例2
カチオン交換処理における滞留時間を2時間とし、かつ連結配管での滞留時間を5分とする以外は、実施例1と同様にして精製ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを得た。その結果を表1に示す。
比較例3
カチオン交換処理してから処理液を一旦タンクに貯留し、60分間経過後にアニオン交換処理を行ったこと以外は、実施例1と同様にして精製ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを得た。その結果を表1に示す。
比較例4
カチオン交換処理における滞留時間を3分間とした以外は、実施例1と同様にして精製ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを得た。このときの溶液の電気伝導率はカチオン交換処理前で537μS/cm、アニオン交換処理後で12μS/cmであった。その後の分子蒸留では、精製ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの留出は少なく、代わりにオリゴマーの留出が多くなった。このことからカチオン交換処理が不十分であると、残存カチオンが触媒となってビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートのオリゴマー化を進めてしまうことが確認された。
表1は、実施例1〜3および比較例2、3について、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートから転化した2−ヒドロキシエチル[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]テレフタレートが全体に占める割合をまとめたものである。なお、表中の光学密度は、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの品質評価に用いられ、着色物含有量に比例的であると考えられている値である。具体的には、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの10重量%メタノール溶液の吸光度を10mmのセル長で波長380nmにおいて測定したときの値である。
発明の効果
以上に説明した如く、本発明にかかるポリエステルをエチレングリコールで分解して得た分解生成溶液の脱イオン処理方法によれば、脱カチオン処理に伴う前記分解生成物のエステル交換反応および加水分解反応を抑制することができるので、収率の低下および純度の低下等の少ない、前記分解生成溶液の脱イオン処理方法を提供することができる。
本発明は、ポリエステルをエチレングリコールで分解して得た分解生成溶液の脱イオン処理方法に関する。さらに詳しくは、不純物としてのイオン含有量の多いポリエステルを、エチレングリコールで分解して得た分解生成溶液、特に回収ポリエチレンテレフタレートをエチレングリコールで分解して得たビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを主成分とする分解生成溶液から不純物としてのイオンを除去する方法に関する。
背景技術
ポリエステル、ことにポリエチレンテレフタレートは、繊維、フィルム、樹脂など各種成形品分野で広く用いられている。そして、ポリエチレンテレフタレートは、通常、ジメチルテレフタレートまたはテレフタル酸とエチレングリコールを触媒の存在下反応させる方法で製造され、その際用途に応じた要求特性を満足させる目的で、特性付与剤例えば、安定剤、着色剤、帯電防止剤等が用いられている。
近年、ポリエチレンテレフタレート成形品、とくにポリエチレンテレフタレート製ボトル(PETボトル)の使い捨てが環境を悪くするとして社会問題となっており、この回収、再利用が進められている。
この方法の一つとして、使用済みのポリエチレンテレフタレート成形品を回収し、該成形品をチップまたはフレークにしてからエチレングリコールで解重合し、精製して高純度のビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートとし、次いで該ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを重合してポリエチレンテレフタレートにする方法が検討されている。
本発明者は、ポリエステルの高品質化にはポリエステル原料の高品質化が必要であるとの考えに基づいて、回収したポリエチレンテレフタレートのチップまたはフレークをエチレングリコールで解重合し、精製して高純度のビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを製造する方法について検討して得た知見として、解重合反応生成溶液としての、エチレングリコール、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートならびに不純物としてのカチオンおよびアニオンを含む、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの溶液組成物を、カチオン交換体およびアニオン交換体と接触することにより高純度のビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートとする方法(例えば、特許文献1参照)を提案した。
さらにこの方法について検討を進めた結果、前記カチオン交換処理によって水素イオンが遊離するので、処理液は強い酸性になること、このために、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートがジエチレングリコールとのエステル交換反応や加水分解反応を起こし易くなり、目的とするビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの収率の低下や前記反応生成物がビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートに混入することによる純度の低下等が起こり易く、問題であることを知見した。
(特許文献1)
国際公開第01/10812号パンフレット
本発明の目的は、ポリエステルをエチレングリコールで分解して得た分解生成溶液、特に回収ポリエチレンテレフタレートをエチレングリコールで分解して得たビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを主成分とする分解生成溶液の脱イオン処理方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、ポリエステルをエチレングリコールで分解して得た分解生成物、すなわちビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの、脱カチオン処理に伴うエステル交換反応および加水分解反応を抑制した、脱イオン処理方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、ポリエステルをエチレングリコールで分解して得た分解生成物がエステル交換反応または加水分解反応を起こすことによる収率の低下および純度の低下等の少ない、脱イオン処理方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
発明の開示
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、ポリエステルをエチレングリコールで分解して得た分解生成溶液であって、分解生成物、エチレングリコールならびに不純物としてのカチオンおよびアニオンを含む溶液を、100℃以下の温度でカチオン交換体と滞留時間5〜60分で接触せしめ、その後30分以内にアニオン交換体と接触せしめ、該カチオンおよびアニオンの含有量を減少せしめることを特徴とする、前記分解生成溶液の脱イオン処理方法によって達成される。
本発明で用いられる出発物質は、ポリエステルをエチレングリコールで分解して得た分解生成溶液である。かかる溶液は、分解生成物、エチレングリコールならびに不純物としてのカチオンおよびアニオンを含む。この溶液は、ポリエステルを過剰量のエチレングリコールで分解することにより得られる。
本発明において使用されるポリエステルは如何なる方法により製造されたものであってもよい。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のホモポリマー、これらの共重合体、例えばイソフタル酸や1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合したコポリエステル、1,4−ブタンジオールを共重合したコポリエステル等が挙げられる。これらの中ポリエチレンテレフタレートおよびその共重合体が特に好ましい。重縮合反応によって製造されるポリエステルは一般にグリコリシスが容易であり、本発明に好適である。グリコリシスに用いられる溶媒はエチレングリコール以外の他のグリコールを含有していてもよい。
また、本発明にいう不純物としてのカチオンやアニオンは、グリコリシス触媒(例えば、苛性ソーダ、苛性カリのようなアルカリ化合物)、ポリエステルの重合触媒(例えば、酸化アンチモンのようなアンチモン化合物、酸化ゲルマニウムのようなゲルマニウム化合物、アルコキシチタンのようなチタン化合物)、安定剤(例えば、リン化合物)、帯電防止剤などの添加剤に由来するが、種々の予想し難い汚れ等に起因してポリエステルに付着または付随するイオンも含む。
前記分解生成溶液(以下、溶液組成物ということがある)は、カチオン交換体およびアニオン交換体と接触せしめられる。溶液組成物の脱イオン処理は、例えばカラム等に充填したイオン交換体の層中に溶液組成物を通過させることにより両者を接触させて行うことができる。溶液組成物が懸濁液である場合、イオン交換体層内に閉塞を生じて溶液組成物の通過不良または通過抵抗斑による偏流が起こり、安定した脱イオン処理が難くなる。したがって、カチオン交換体およびアニオン交換体と溶液組成物の接触は、必要に応じ、溶液組成物から1μm以上の固形不純物、例えば微粒子を除去した後、溶液組成物の温度をイオン交換樹脂の最高使用温度以下であって且つジカルボン酸のエチレングリコールエステル、ことにビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの結晶がグリコリシス反応溶液から析出しない温度で行うことが必要である。固形不純物はその最大径が1μm以上のものを除去することが好ましい。固形不純物の除去は、珪藻土、ファイバーフィルターを用いる濾過で行うことができる。
一般に、カチオン交換体の最高使用温度はアニオン交換体のそれよりも高いので、カチオン交換処理後に処理液をアニオン交換体の最高使用温度以下まで冷却するか、または、アニオン交換体の最高使用温度以下でカチオンおよびアニオンの交換処理を行うのがよい。イオン不純物に占めるカチオンの割合はアニオンの割合に比して圧倒的に多いのが普通なので、カチオン交換処理後にアニオン交換処理を行うのが好ましい。
カチオン交換処理により水素イオンが発生するため被処理液は酸性になり、これによりポリエステルをエチレングリコールで分解して得た分解生成物は共存するジエチレングリコールとのエステル交換反応や、含まれる水との加水分解反応を起こし易くなる。そこで、本発明者は、かかるエステル交換反応および加水分解反応を抑制して、収率の低下および純度の低下等の少ない前記分解生成溶液(溶液組成物)の脱イオン処理方法を提供するべく、鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至ったのである。
好ましくは、第1に、本発明においては、グリコリシス反応溶液中の水分を減少させることにより、ポリエステルをエチレングリコールで分解して得た分解生成物の加水分解反応を抑制する。グリコリシスは一般にグリコールの沸点以上の温度で行われるので、グリコリシス反応器に精留塔を設け反応溶液から水分を系外へ留去することにより、反応溶液中の水分を減少させて加水分解反応を抑制することができる。一方、蒸発したグリコールはグリコリシス反応器へ戻してもよい。
好ましくは、第2に、本発明においては、カチオン交換処理の滞留時間を短くすることにより、ポリエステルをエチレングリコールで分解して得た分解生成物のエステル交換反応を抑制する。イオン交換処理を行う際の温度が高いほどイオン交換速度は大きくなるが、一方で前記分解生成物のエステル交換反応速度も大きくなるので、該エステル交換反応による前記分解生成物の転化量が許容値以下となるように滞留時間を短縮する。
好ましくは、第3に、本発明においては、カチオン交換処理後、できるだけ速やかにアニオン交換処理を行うことにより、ポリエステルをエチレングリコールで分解して得た分解生成物のエステル交換反応および加水分解反応を抑制する。アニオン交換処理により水酸化物イオンが発生して水素イオンと中和反応を起こすので、反応液中の水素イオンを減少させることができる。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明について、具体例を挙げつつ詳細に説明する。ポリエステルとしてポリエチレンテレフタレートを用い、エチレングリコールでグリコリシスを行う。グリコリシスの温度は160〜300℃、さらには180〜240℃であることが好ましい。このポリエチレンテレフタレートとエチレングリコールは重量比で1:9〜3:7が好ましい。ポリエチレンテレフタレートがエチレングリコールに対して少なすぎると、生成するビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの量がエチレングリコールへの飽和溶解度より小さくなり、脱イオン処理に付される全液量に対して得られる最大の収量より少ない量でしかビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートが得られなくなるため経済的でない。一方、ポリエチレンテレフタレートがエチレングリコールに対して多すぎると、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートのオリゴマーが増加してビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの収率が低下する。また、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートがエチレングリコールへの飽和溶解度を超えて存在すると、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートが析出するために脱イオン処理ができなくなる。
グリコリシスは、従来から知られている方法で行うことができる。例えば溶融ポリエステルをエチレングリコール、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートまたはこれらの混合物と混合して解重合する方法、溶融ポリエステルをエチレングリコール、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートあるいはこれを繰り返し単位とする低重合体組成物(オリゴマー)またはこれらの混合物と混合して予備解重合し、次いで得られる予備解重合物とエチレングリコールとを混合して解重合する方法、ポリエステル粉砕物とエチレングリコールとをグリコリシス反応器に仕込み、反応させる方法等を挙げることができる。グリコリシス反応器による方法では、該グリコリシス反応器に精留塔を設け、反応溶液から水分を系外へ留去しながら行うのが好ましい。この際、蒸発したグリコールは系内へ戻すようにするのが好ましい。グリコリシスをこのようにして行うことでカチオン交換体と接触せしめる溶液組成物中の水分量を少なくすることができ、脱カチオン処理に伴う加水分解反応を抑制することができる。カチオン交換体と接触せしめる溶液組成物中に含まれる水分量が0.5重量%以下となるように調製することが好ましい。
グリコリシスにより得られる反応溶液は、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを主成分とし、他にビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートのオリゴマー、原料のポリエチレンテレフタレートに含まれているジエチレングリコール、エチレングリコールから生成したジエチレングリコールおよび2−ヒドロキシエチル[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]テレフタレート等を含有する。さらに、グリコリシスに用いた触媒(例えば、苛性ソーダ等)、ポリエチレンテレフタレートの重縮合反応に用いた触媒(例えば、酸化ゲルマニウム、酸化アンチモン、酢酸マンガン、アルコキシドチタン等)、リン化合物などの安定剤、着色剤および種々の予想し難い汚れ等に由来する不純物イオン等を含有する。
グリコリシス反応溶液から上記不純物を除去するために、活性炭を用いて吸着処理を行い着色剤および活性炭吸着性の不純物を除去した後、グリコリシス反応溶液をカチオン交換体およびアニオン交換体または、カチオン交換体およびカチオン交換体とアニオン交換体の混合層に接触させる。カチオン交換体およびアニオン交換体の形状としては、例えば粒子状、鎖状、繊維状および無定形状が挙げられる。粒子状である場合、例えばこれをカラムに充填し、グリコリシス反応溶液をカラムに流すことにより両者を接触させることができる。
カチオン交換体としては陽イオン交換樹脂が好ましく、アニオン交換体としては陰イオン交換樹脂が好ましい。陽イオン交換樹脂の陽イオン交換官能基としては、例えば−SO3H、−COOH、等が挙げられる。また、陽イオン交換樹脂としては、例えばダイヤイオン(三菱化学(株)製)のSK1B、SK104、SK110、SK112、SK116等またはアンバーライト(ロームアンドハース(株)製)のIR120B Na、IR120BN Na、IR124 Na、200CT Na等として市販されているものを用いることができる。これらの市販品は通常イオン交換官能基が例えばナトリウム塩等の塩として安定化されているので、使用に際し通常上記の如き遊離の酸基に変換される。
陰イオン交換樹脂としては、陰イオン交換官能基として、例えば−N(CH3)2、−NH(C2H4NH)nH、等を持つものを挙げることができる。これらの陰イオン交換樹脂としては、例えばダイヤイオン(三菱化学(株)製)のWA10、WA20、WA21J、WA30等またはアンバーライト(ロームアンドハース(株)製)のIRA67、IRA96SB、XE583等として市販されているものを用いることができる。これらの市販品は通常イオン交換官能基が水酸化物イオンではなく、ハロゲンアニオンを持つものとして安定化されているので、使用に際し通常上記の如き水酸化物イオンを持つものに変換される。
また、ゲル型の陰イオン交換樹脂には亀裂タイプと無亀裂タイプとがあるが、無亀裂タイプの方がビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの吸着量が少ないので好ましい。さらに、ゲル型に比べて物理的耐久性に優れ、交換吸着速度の大きいイオン交換樹脂である多孔体、いわゆるMR型(マイクロポーラス型)を使用することもできる。
カチオン交換樹脂の最高使用温度は、強酸性のスチレン系の場合で120℃程度、弱酸性のメタクリル系の場合で100℃程度である。一方、アニオン交換樹脂の最高使用温度は、強塩基性の4級アンモニウム型の場合、交換基が−OH型のもので40〜60℃程度、−Cl型のもので約80℃以下、弱塩基性の1〜3級アミン(−NH2R、−NHR2、−NR3)型の場合、約100℃以下である。上記温度から、例えば120℃以下の温度でカチオン交換処理を行った後、40〜60℃の温度に冷却してアニオン交換処理を行うことができる。温度が低下することによるビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの飽和溶解度の低下によりビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートが析出する場合には、所望の温度のエチレングリコールを適量添加すればよい。経済的には、50〜100℃、より好ましくは60〜95℃、さらに好ましくは80〜90℃の温度でカチオン交換処理を行った後、1〜3級アミン型のアニオン交換樹脂を用いてアニオン交換処理を行うのがよい。
グリコリシス反応溶液中のカチオンとしては、グリコリシス触媒に由来するNa+、Ca2+、Mg2+、Zn2+、Co2+等および重縮合触媒に由来するZn2+、Sb3+、Ge2+、Ti4+等が挙げられる。一方、アニオンとしては、安定剤に由来するPO4 3−の他にポリエチレンテレフタレートに付着等したイオンであるSO4 2−、Cl−等が挙げられる。アニオンに比してカチオンの方が圧倒的に多いので、カチオン交換処理後にアニオン交換処理を行うのが好ましい。
カチオン交換反応により次式のように水素イオンが発生して、被処理液は酸性を呈する。
発生した水素イオンは、ポリエチレンテレフタレートのグリコリシスにより生成したビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートとジエチレングリコールとのエステル交換反応を促して、2−ヒドロキシエチル[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]テレフタレートを副生させる。
また、被処理液中に水が多量に存在すると、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートは加水分解を起こして、モノ(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを生成する。
さらに、これらの反応は、溶液が例えば80〜90℃の高温で処理されることにより、常温よりも一層促進される。
ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートのエステル交換反応や加水分解反応を抑制するためにアルカリの添加により水素イオンを中和する方法が考えられるが、この場合アルカリに由来する新たなカチオンが系にもたらされることになり、先に行ったカチオン除去処理が無駄となるので好ましくない。また、イオン交換処理をカチオンとアニオンの混合層方式とすることが考えられるが、破過したイオン交換樹脂の再生を考えた場合、カチオンとアニオンの量的な差が大きいことから別々に処理するのが好ましい。
本発明者は、鋭意研究した結果、カチオン交換処理における滞留時間を短縮することによりビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの上記エステル交換反応および加水分解反応を抑制する方法を見出した。滞留時間は5〜60分、好ましくは5〜50分とするのがよい。5分未満だと十分なカチオン交換処理が行えず、60分を超えるとエステル交換反応によりビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの2−ヒドロキシエチル[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]テレフタレートへの転化量が許容値(2.0%)を超える。さらに、本発明者は、カチオン交換処理後速やかにアニオン交換処理を行うことにより、上記エステル交換反応および加水分解反応を抑制できることを見出した。即ち、カチオン交換処理によって生じる水素イオンを、アニオン交換処理によって生じる水酸化物イオンで中和することにより、系内に新たなアルカリを添加することなしに遊離の水素イオンを減少させることができ、これによって上記エステル交換反応および加水分解反応を抑制することができる。アニオン交換処理は、カチオン交換処理後30分以内、好ましくは20分以内、より好ましくは10分以内に行うのがよい。
アニオン交換処理後のビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを主成分とするエチレングリコール溶液中のイオン含有量は、電気伝導率で表示すると、2μS/cm以下、さらには1μS/cm以下であることが好ましい。
実施例
本発明をさらに具体的な態様について説明するために、以下に実施例を挙げる。本発明がこれのみに限定されるものでないことはいうまでもない。なお、例中の特性は下記の方法により測定した。
(分解生成溶液の組成)
〈各成分の分離、量測定〉
試料5mgをクロロフォルムに溶解して約1000ppmの溶液を調製し、島津製作所製のHPLC LC−6型にて、4.6mmID×250mmLのシリカ−60のカラムによって温度40℃、流速1.0ml/分、注入量5μl、移動相としてジクロロメタン/ジオキサンを用い、測定波長240nmで紫外可視分光光度計の検出器を用いて測定した。
〈LC/MSによる同定〉
HPLCのピークを同定するために、LC/MS測定を行った。日本電子製SX−102A型を用いて、上記と同じ条件で測定、同定した。
(電気伝導率)
メトラートレド社製プロセス用導電率計によって連続的に測定した。
(含水率)
京都電子製MK−SS型カールフィッシャー水分計を用いて測定した。
実施例1
(グリコリシス)
着色ペットボトル10重量%混合の使用済みペットボトル(ポリエチレンテレフタレート樹脂よりなる)を粉砕調製した平均サイズ8mm角の粉砕フレーク76kg、工業用エチレングリコール424kgおよび工業用苛性ソーダ230gを800リットルのオートクレーブに仕込み、圧力0.13MPa、温度215℃で撹拌するとともに、オートクレーブに設置した精留塔の塔頂部から水等の低沸点分を留去しつつ、110分間グリコリシスを行った。
(不純物除去)
得られた分解生成溶液を180℃に降温してフレークに含まれるキャップやラベル等の固形異物を60メッシュのラインストレーナーで除去し、800リットルの冷却槽へ移送した。冷却槽において85℃で3時間保持し、青色顔料および他の不溶性の不純物を析出させた。析出した微粒子を1μmのカートリッジフィルターで除去した後、活性炭を充填した脱色塔に滞留時間115分間で濾液を通過させた。
(カチオン交換処理)
次に、これを85℃でカチオン交換充填塔(カチオン交換樹脂:ロームアンドハース社製アンバーライトIR−120B Na)に供給して滞留時間12分間でカチオン交換処理を行った後、保存性の実験をするべく処理液を10リットル採取した。
(アニオン交換処理)
その後、分解生成溶液を連結配管内を53秒で通過させてアニオン交換充填塔(アニオン交換樹脂:ロームアンドハース社製アンバーライトIRA96SBとアンバーライトIR120B Naとの混合物)に供給し、85℃でアニオン交換処理に付した。溶液のpHはカチオン交換処理前で5.2、カチオン交換処理後で1.76、アニオン交換処理後で4.9であった。また、溶液の電気伝導率はカチオン交換処理前で537μS/cm、アニオン交換処理後で0.4μS/cmであった。
(精製)
前記脱イオン処理液を0.5℃/分の冷却速度で25℃まで冷却し、晶析槽において、30分間、晶析した後、固液分離を行って63重量%の粗ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを含有する湿潤ケークを得た。この湿潤ケークを100℃で溶融してから流下薄膜蒸発器に供給し、温度135℃、圧力513Paでエチレングリコールを主成分とする低沸点成分を留去して粗ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを濃縮した後、内部コンデンサーを有する流下薄膜分子蒸留器に供給し、温度208℃、圧力13Pa、内部コンデンサー118℃でビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを蒸発させ、内部コンデンサーで凝縮して精製されたビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの融液をレシーバーに受けた。
一方、加熱蒸発面に沿ってビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを蒸発させながら流下した蒸発残の成分は、円筒状蒸発内壁面下部に設置されているリング状の集液パンからレシーバーに融液として抜いた。
(カチオン交換処理液の保存性)
カチオン交換処理後の液5リットルを85℃に保持し、10分、20分、40分、60分および120分経過したときのビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートから転化した2−ヒドロキシエチル[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]テレフタレートが全体に占める割合を重量基準で調べたところ、最初2.8%であったのに対し、それぞれ3.1%、3.5%、4.0%、5.1%および6.6%であり、カチオン交換処理後速やかにアニオン交換処理をする必要があることが確認された。
実施例2
カチオン交換処理における滞留時間を30分間とした以外は、実施例1と同様にして精製ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを得た。その結果を表1に示す。
実施例3
カチオン交換処理における滞留時間を60分間とした以外は、実施例1と同様にして精製ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを得た。その結果を表1に示す。
また、カチオン交換処理液に5重量%の水を添加して、10分、20分、40分、60分および120分経過したときのビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートから転化したモノ(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートが全体に占める割合を重量基準で調べたところ、水を添加する前が2.5%であったのに対し、それぞれ3.0%、3.6%、4.0%、5.7%および9.1%であり、時間の経過とともにモノ(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートが増加することが確認された。
比較例1
アニオン交換処理を行わないこと以外は、実施例1と同様にして行ったところ、分子蒸留の際にビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの留出が全く見られず、代わりに粘度が高くて淡黄色の物質(融点63℃)が得られ、これを分析すると、73.2重量%の2−ヒドロキシエチル[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]テレフタレートを含有するオリゴマーの混合物であった。このことから、カチオン交換処理およびアニオン交換処理の両方の処理が不可欠であることが確認された。
比較例2
カチオン交換処理における滞留時間を2時間とし、かつ連結配管での滞留時間を5分とする以外は、実施例1と同様にして精製ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを得た。その結果を表1に示す。
比較例3
カチオン交換処理してから処理液を一旦タンクに貯留し、60分間経過後にアニオン交換処理を行ったこと以外は、実施例1と同様にして精製ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを得た。その結果を表1に示す。
比較例4
カチオン交換処理における滞留時間を3分間とした以外は、実施例1と同様にして精製ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを得た。このときの溶液の電気伝導率はカチオン交換処理前で537μS/cm、アニオン交換処理後で12μS/cmであった。その後の分子蒸留では、精製ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの留出は少なく、代わりにオリゴマーの留出が多くなった。このことからカチオン交換処理が不十分であると、残存カチオンが触媒となってビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートのオリゴマー化を進めてしまうことが確認された。
表1は、実施例1〜3および比較例2、3について、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートから転化した2−ヒドロキシエチル[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]テレフタレートが全体に占める割合をまとめたものである。なお、表中の光学密度は、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの品質評価に用いられ、着色物含有量に比例的であると考えられている値である。具体的には、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの10重量%メタノール溶液の吸光度を10mmのセル長で波長380nmにおいて測定したときの値である。
発明の効果
以上に説明した如く、本発明にかかるポリエステルをエチレングリコールで分解して得た分解生成溶液の脱イオン処理方法によれば、脱カチオン処理に伴う前記分解生成物のエステル交換反応および加水分解反応を抑制することができるので、収率の低下および純度の低下等の少ない、前記分解生成溶液の脱イオン処理方法を提供することができる。
Claims (5)
- ポリエステルをエチレングリコールで分解して得た分解生成溶液であって、分解生成物、エチレングリコールならびに不純物としてのカチオンおよびアニオンを含む溶液を、100℃以下の温度でカチオン交換体と滞留時間5〜60分で接触せしめ、その後30分以内にアニオン交換体と接触せしめ、該カチオンおよびアニオンの含有量を減少せしめることを特徴とする、前記分解生成溶液の脱イオン処理方法。
- 分解生成溶液の含水率が0.5重量%以下である請求項1に記載の方法。
- ポリエステルをエチレングリコールで分解する際に水を留去しながら調製して得た分解生成溶液を用いる請求項1または2に記載の方法。
- カチオン交換体およびアニオン交換体と接触せしめる前に、分解生成溶液から1μm以上の固形不純物を除去する請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
- ポリエステルがポリエチレンテレフタレートである請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
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