JP2004346229A - ポリエステルのエチレングリコール分解生成溶液の精製方法 - Google Patents

ポリエステルのエチレングリコール分解生成溶液の精製方法 Download PDF

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修司 稲田
Kikutomo Sato
菊智 佐藤
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Abstract

【課題】本発明は、着色ポリエステルを含むポリエステル、特に着色ペットボトルを含むペットボトルをエチレングリコールで分解して得た分解生成溶液の精製方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、ポリエステルをエチレングリコールを用いて分解して得た、分解生成物、エチレングリコール、着色剤、カチオンおよびアニオンを含む分解生成溶液であって、着色剤として少なくともカラーインデックス・ピグメントイエロー151を含む分解生成溶液を、
(1)50℃以上100℃以下の温度で活性炭と接触せしめ、
(2)次いでカチオン交換体と滞留時間3〜30分で接触せしめ、
(3)その後、3秒以上10分以内にアニオン交換体と接触せしめて、
着色剤、カチオンおよびアニオンの含有量を減少せしめることを特徴とする、前記分解生成溶液の精製方法である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリエステルのエチレングリコール分解生成溶液の精製方法に関する。さらに詳しくは、着色ポリエステルを含むポリエステルをエチレングリコールで分解して得た分解生成溶液であって、分解生成物、エチレングリコール、着色剤およびイオンを含有する溶液から、着色剤およびイオンの含有量を減少せしめる精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル、ことにポリエチレンテレフタレートは、繊維、フィルム、樹脂成形品など各種成形品分野で広く用いられている。そして、ポリエチレンテレフタレートには、通常、用途に応じた要求特性を満足させる目的で特性付与剤、例えば安定剤、着色剤、紫外線吸収剤等が混合されている。
【0003】
飲料容器を主たる用途とするポリエチレンテレフタレート製ボトル(ペットボトル)は、近年、その利便性を受けて膨大な量が使用され、そしてその使い捨てが膨大な量の廃棄物を発生することから環境問題にまで発展している。この対策として容器包装リサイクル法が定められ、これを受けてそのリサイクル化が検討されている。そして、回収したペットボトルを粉砕、付着異物除去した後、再度ボトル以外の成形品(例えば繊維、シート、樹脂成形品等)の成形材料として用いる、いわゆるマテリアルリサイクル法が開発され、実施されている。
【0004】
しかしこの方法は、回収ポリマー(チップやフレーク)への異物混入を低コストで防止するのが難しく、該ポリマー(チップやフレーク)の成形原料としての使用量と使用済みペットボトルの発生量とのバランスを取るのが容易ではないという問題を抱えている。
【0005】
さらに、透明ペットボトルについてはリサイクル化は容易であっても、着色ペットボトルについては、着色ポリマー(チップやフレーク)がきわめて限定された用途にしか使用できないことから、粉砕工程に掛ける前に着色ペットボトルの選別が必要であるという問題を抱えている。そしてこの事前選別の必要性から、自治体での収集段階(一次収集段階)から広域回収処理場(分別処理能力のある二次収集場所)までボトルをベールにすることなく搬送するという極めて効率の悪い方法を余儀なくされている。
【0006】
この問題の解消、特に着色ボトルの混入防止の要求を受けて、国内では近年、着色ペットボトルの生産を中止し、その替わりに透明ペットボトルの胴部に着色ラベルを巻くという手段が採られているが、美観や作用効果が十分とは言えないという問題が新たに発生している。また、外国では着色ペットボトルは生産されており、この着色ペットボトルの輸入を止めることが実質的にできず、着色ボトルの対策は十分とは言えない状況にある。
【0007】
また、ペットボトルのリサイクル法の一つとして、ケミカルリサイクル法が開発され、事業化が進んでいる。
【0008】
本発明者は、このケミカルリサイク法の一つとして、使用済みペットボトルを回収し、チップまたはフレークにしてからエチレングリコール(以下、EGと称することがある)で解重合し、精製して高純度のビス(2‐ヒドロキシエチル)テレフタレートとし、次いで該ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを重合してポリエチレンテレフタレートにする方法を開発し、先に提案した。
【0009】
すなわち、ポリエステルの高品質化にはポリエステル原料の高品質化が必要であるとの考えに基づいて、回収したペットボトルのチップまたはフレークをエチレングリコールで解重合し、精製して高純度のビス(2‐ヒドロキシエチル)テレフタレートを得る方法として、解重合反応生成溶液(分解生成溶液)としての、エチレングリコール、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートならびに不純物としてのカチオンおよびアニオンを含む、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの溶液組成物を活性炭処理した後でカチオン交換体およびアニオン交換体と接触することにより、高純度のビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを得る方法を提案した(特許文献1〜3参照)。
【0010】
また、解重合反応生成溶液である粗ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートのエチレングリコール溶液を、活性炭処理とイオン交換処理で精製すること、その際粗ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートに含まれる着色剤はイオン交換樹脂に吸着されず、活性炭に吸着されることが知られている(特許文献4〜7参照)。
【0011】
【特許文献1】
WO 01/10812号パンフレット、
【特許文献2】
特開2000−169623号公報、
【特許文献3】
特開2001−48837号公報
【特許文献4】
特開2000−159729号公報
【特許文献5】
特開2000−191593号公報
【特許文献6】
特開2000−212126号公報
【特許文献7】
特開2001−122825号公報
【0012】
本発明者は、前記分解生成溶液(解重合反応生成溶液)を精製する方法のより一層の効率化、より一層の品質向上について検討を進めた結果、前記カチオン交換処理やその後の精製過程において分解生成物のビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートがジエチレングリコール(以下、DEGと称することがある)とのエステル交換反応や加水分解反応を起こし、目的とするビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの収率を低下し、またこれら反応の生成物がビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートに混入することによって製品純度の低下を起こすこと、また着色ペットボトルの種類によってはそれに使用されている着色剤(例えばカラーインデックス・ピグメントイエロー151等)が活性炭処理では脱色できないことを見出した。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、着色ポリエステルを含むポリエステル、特にペットボトルの粉砕品をエチレングリコールを用いて分解して得た分解生成溶液、特に分解生成物の主たる成分がビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート(以下、BHETと称することがある)よりなる分解生成溶液の脱色・脱イオン処理による精製方法を提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的は、使用済みの着色ペットボトルを含むペットボトルをエチレングリコールを用いて分解して得た、分解生成物の主たる成分がBHETよりなる分解生成溶液を脱色・脱イオン処理する際、該分解生成溶液からの着色剤の確実な除去を可能にし、かつ分解生成物、すなわちBHETの脱カチオン処理に起因するエステル交換反応および加水分解反応を抑制した、該分解生成溶液の脱色・脱イオン処理による精製方法を提供することにある。
【0015】
本発明のさらに他の目的は、使用済みの着色ペットボトルを含むペットボトルをエチレングリコールを用いて分解して得た分解生成溶液、特に分解生成物の主たる成分がBHETよりなる分解生成溶液を脱色・脱イオン処理する際、該分解生成溶液からの着色剤の確実な除去を可能にし、かつ分解生成物、すなわちBHETの脱カチオン処理に起因するエステル交換反応および加水分解反応を抑制し、製品の収率低下および純度低下等を少なくした、該分解生成溶液の脱色・脱イオン処理による精製方法を提供することにある。
【0016】
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、ポリエステルをエチレングリコールを用いて分解して得た、分解生成物、エチレングリコール、着色剤、カチオンおよびアニオンを含む分解生成溶液であって、着色剤として少なくともカラーインデックス・ピグメントイエロー151を含む分解生成溶液を、
(1)50℃以上100℃以下の温度で活性炭と接触せしめ、
(2)次いでカチオン交換体と滞留時間3〜30分で接触せしめ、
(3)その後、3秒以上10分以内にアニオン交換体と接触せしめて、
着色剤、カチオンおよびアニオンの含有量を減少せしめることを特徴とする、前記分解生成溶液の精製方法によって達成される。
【0018】
また本発明は、ポリエステルをエチレングリコールを用いて分解して得た分解生成溶液中の、カラーインデックス・ピグメントイエロー151を除去する方法であって、該分解生成溶液を
(1)カチオン交換体と滞留時間3〜30分で接触せしめ、
(2)その後、3秒以上10分以内にアニオン交換体と接触せしめる、
ことを特徴とする前記除去方法を包含する。
【0019】
【発明の実施の形態】
(分解生成溶液)
本発明で用いられる出発物質は、ポリエステル、特に着色ペットボトルを含むペットボトルをエチレングリコール(EG)を用いて分解して得た分解生成溶液であって分解生成物、エチレングリコール、着色剤、カチオンおよびアニオンを含む溶液(分解生成溶液)であって、着色剤として少なくともカラーインデックス・ピグメントイエロー151を含む分解生成溶液である。
【0020】
この溶液は、ペットボトルを過剰量のエチレングリコールを用いて分解(解重合;グリコリシス)することにより得られる。着色ペットボトルを含むペットボトルは、通常、市販されたペットボトルを回収することで得ることができる。また、該ペットボトルは着色ペットボトルを0.5重量%以上、さらには1重量%以上含んでいることが好ましく、この上限としては着色ペットボトルのみであってもよい。
【0021】
本発明においてペットボトル(着色ペットボトルおよび透明ペットボトル)に使用されるポリエステルは、如何なる方法により製造されたものであってもよい。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のホモポリマー、これらの共重合体、例えばイソフタル酸や1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合したコポリエステル、1,4−ブタンジオールを共重合したコポリエステル等が挙げられる。これらの中でも、ポリエチレンテレフタレートおよびその共重合体が特に好ましい。
【0022】
前記ポリエステルは、通常、過剰のEGを用いて分解(解重合;グリコリシス)されるが、この分解反応は、本発明者が先に提案した方法と条件、例えば前記した特許文献1(国際公開第01/10812号パンフレット)に記載されている方法と条件をはじめとして、従来から知られている方法と条件で行うことができる。
【0023】
この分解反応を効率的に行うには、例えば、ポリエチレンテレフタレートを、先ずビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート(以下、BHETと称することがある)および/またはその縮合物(好ましくは、重合度が約2〜10の範囲内にあるオリゴマー)を主成分とする解重合剤(好ましくは、粗BHETの蒸留残渣)と高められた温度で接触させて予備的に解重合(予備解重合)し、次いで過剰のEGを用いて解重合(本解重合)をさらに進めて粗BHETを含有する分解生成溶液を調製するのが好ましい。このEGは精製されたEGでも良いが、他のグリコールを小割合含有しているEGや晶析・固液分離において発生した粗EGを混合したEGも使用することができる。
【0024】
予備解重合において、ポリエチレンテレフタレートとBHETおよび/またはその縮合物との量比は、ポリエチレンテレフタレート1重量部当り、BHETおよび/またはその縮合物を0.1〜4.5重量部、さらには0.1〜2.0重量部、特に0.1〜1.0重量部用いることが好ましい。予備解重合の温度は、180℃以上290℃以下、さらには190℃以上270℃以下、特に200〜260℃であることが好ましい。反応時間は、0.1〜5.0時間、さらには0.2〜1.5時間であることが好ましい。予備的解重合により得られる分解生成物としては平均重合度が約5〜40、さらには10〜30のものが好ましい。
【0025】
予備解重合によって得られる予備解重合物とEGとの解重合反応(本解重合反応)は、190℃以上265℃以下、さらには200℃以上220℃以下の温度であることが好ましい。この予備解重合物とEGとの量比は、予備解重合物1重量部当り、EGを0.5〜8.0重量部、さらには2.0〜7.0重量部用いるのが好ましい。予備解重合物の量がEGに対して少なすぎると、生成するBHETの量がEGへの飽和溶解度より小さくなり、脱イオン処理に付される全液量に対して得られる最大の収量より少ない量でしかBHETが得られなくなるため経済的でない。一方、予備解重合物の量がEGに対して多すぎると、BHETのオリゴマーが増加してBHETの収率が低下する。また、BHETがEGの飽和溶解度を超えて存在すると、BHETが析出するために脱イオン処理ができなくなる。
【0026】
予備解重合および/または本解重合の反応は、反応装置に精留塔を設け、反応溶液から水分を系外へ留去しながら行うのが好ましい。その際、蒸発したエチレングリコールは系内へ戻すようにするのが好ましい。前記解重合反応をこのようにして行うことでカチオン交換体と接触せしめる分解生成溶液中の水分量を少なくすることができるので、脱カチオン処理に伴う加水分解反応を抑制することができる。カチオン交換体と接触せしめる分解生成溶液中に含まれる水分量が0.5重量%以下となるように調整することが好ましい。水分量は、該溶液を京都電子工業(株)製MK−SS型カールフィッシャー水分計により計測することで得られる。
【0027】
本解重合の反応時間は、0.3〜5.0時間、さらには0.4〜2.0時間であることが好ましい。この本解重合反応によって得られる解重合物(分解生成物)はBHETを主成分とし、少ない割合(例えば、全溶質当り20重量%以下、さらには10重量%以下)で重合度が2〜20、さらには2〜10のオリゴマーを含むことのできるものである。
【0028】
また、前記解重合剤としてEGを最初から用いる場合(ポリエチレンテレフタレートとEGとを最初から反応させる場合)には、解重合温度は180〜230℃、さらには190〜220℃であることが好ましい。解重合(グリコリシス)時のポリエチレンテレフタレートとEGの量比は、重量比で1:9〜3:7であることが好ましい。ポリエチレンテレフタレートの量がEGに対して少なすぎると、生成するBHETの量がEGへの飽和溶解度より小さくなり、脱イオン処理に付される全液量に対して得られる最大の収量より少ない量でしかBHETが得られなくなるため経済的でない。一方、ポリエチレンテレフタレートの量がEGに対して多すぎると、BHETのオリゴマーが増加してBHETの収率が低下する。また、BHETがEGの飽和溶解度を超えて存在すると、BHETが析出するために脱イオン処理ができなくなる。
【0029】
前記解重合は、解重合反応装置に精留塔を設け、反応溶液から水分を系外へ留去しながら行うのが好ましい。その際、蒸発したエチレングリコールは系内へ戻すようにするのが好ましい。前記解重合反応をこのようにして行うことでカチオン交換体と接触せしめる分解生成溶液中の水分量を少なくすることができるので、脱カチオン処理に伴う加水分解反応を抑制することができる。カチオン交換体と接触せしめる分解生成溶液中に含まれる水分量が0.5重量%以下となるように調整することが好ましい。水分量は、該溶液を京都電子工業(株)製MK−SS型カールフィッシャー水分計により計測することで得られる。
【0030】
かかる解重合反応により得られる分解生成溶液は、通常、BHETを主たる溶質(分解生成物)とし、EGを主たる溶媒とし、副溶質として、原料のポリエステル(特にポリエチレンテレフタレート)に含まれていたり、解重合時の副反応により発生したりする2−ヒドロキシエチル[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]テレフタレート(以下、DEGエステルと称することがある)を含み、さらに他の溶質成分としてBHETのオリゴマーやモノ(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート(以下、MHETと称することがある)を、また非溶質成分として原料ポリエステルに含まれていたDEG成分やグリコリシス時の副反応により発生したDEG成分による遊離DEG等を含むことができる。
【0031】
さらに、グリコリシスに用いた触媒(例えば、苛性ソーダ、苛性カリのようなアルカリ化合物)、ポリエステルの重縮合反応に用いた触媒(例えば、酸化アンチモンのようなアンチモン化合物、酸化ゲルマニウムのようなゲルマニウム化合物、酢酸マンガンのようなマンガン化合物、アルコキシチタンのようなチタン化合物等)、リン化合物などの安定剤によるカチオンやアニオン、着色ボトルに用いられていた着色剤のカラーインデックス・ピグメントイエロー151を含んでおり、また他の着色剤(例えば、フタロシアニン系、アンスラキノン系、モノアゾ系等)、および種々の予想し難い汚れ等に由来する不純物イオン等を含むことができる。分解生成溶液の電気伝導度は6,000μS/cm以下、さらには5,000μS/cm以下であることが好ましい。
【0032】
前記解重合に用いられる解重合剤の溶媒はエチレングリコール以外の他のグリコールを含有していてもよい。
【0033】
分解生成溶液は、着色剤として少なくとも、カラーインデックス・ピグメントイエロー151を含む。他の着色剤として、例えば、フタロシアニン系、アンスラキノン系、アゾ系、ベンズイミダゾロン系、ウルトラマリン、カーボンブラック、酸化鉄から選ばれる少なくとも一種の顔料を含んでいても良い。
【0034】
フタロシアニン系顔料として、カラーインデックス・ピグメントブルー15:1等がある。アンスラキノン系顔料として、カラーインデックス・ピグメントイエロー147等がある。アゾ系顔料として、カラーインデックス・ピグメントイエロー95等がある。ベンズイミダゾロン系顔料として、カラーインデックス・ピグメントイエロー154等がある。その他の顔料として、ウルトラマリンのカラーインデックス・ピグメントブルー29、カーボンブラックのカラーインデックス・ピグメントブラック7、酸化鉄(ベンガラ)のカラーインデックス・ピグメントレッド101等を挙げることができる。
【0035】
これら着色剤の含有量は、着色ペットボトルの重量に対しカラーインデックス・ピグメントイエロー151の場合、通常100〜1,000ppmを含み、他の着色剤(例えば、フタロシアニン系、アンスラキノン系、モノアゾ系、ベンズイミダゾロン系、ウルトラマリン、カーボンブラック、酸化鉄等)は任意の量(例えば100〜6,000ppm)を含有していてもよい。
【0036】
分解生成溶液中のカチオンやアニオンは、グリコリシス触媒(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ化合物)、ポリエステルの重合触媒(例えば、酸化アンチモンのようなアンチモン化合物、酸化ゲルマニウムのようなゲルマニウム化合物、アルコキシチタンのようなチタン化合物)、安定剤(例えば、リン化合物)、帯電防止剤などの添加剤に由来するが、種々の予想し難い汚れ等に起因してポリエステルに付着または付随するイオンも含む。
【0037】
分解生成溶液は、固形分(溶質)濃度が好ましくは5〜40重量%、さらに好ましくは10〜30重量%、特に好ましくは17〜23重量%である溶液であることが好ましい。そして、解重合反応(分解反応)で得られた分解生成溶液の固形分濃度がこの範囲を満足しない場合には、EGを用いて濃度調整することが好ましい。
【0038】
(活性炭処理)
本発明において分解生成溶液は、先ず50℃以上100℃以下、好ましくは70℃以上90℃以下の温度で活性炭と接触せしめる。この処理ではカラーインデックス・ピグメントイエロー151は吸着除去できないが、他の着色剤は吸着除去される。この活性炭処理はイオン交換体の性能低下を起こす成分の除去にも有効である。
【0039】
前記分解生成溶液の活性炭処理は、例えば、カラム等に充填した活性炭の層中に分解生成溶液を通過させることにより行うことができる。そのとき、分解生成溶液が懸濁液であると、活性炭層内に閉塞を生じて該溶液の通過不良または通過抵抗斑による偏流が起こり、安定した脱色処理がし難くなる。したがって、活性炭と分解生成溶液との接触は、必要に応じ、活性炭処理前に該溶液をフィルターでろ過し、微粒子を除去した後に行うことが好ましい。フィルターは平均目開き1〜10μmのものを用いることができる。活性炭処理前に平均目開き1μmのフィルターでろ過することがさらに好ましい。
【0040】
接触する温度は、該溶液の温度をイオン交換樹脂の最高使用温度以下であって且つジカルボン酸のエチレングリコールエステル、ことにビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの結晶がグリコリシス反応溶液(分解生成溶液)から析出しない温度(50℃以上100℃以下、好ましくは70℃以上90℃以下)で行うことが好ましい。
【0041】
本発明においては、分解生成溶液は活性炭と滞留時間0.5〜7時間、好ましくは2〜4時間で接触させる。
【0042】
さらに、分解生成溶液と活性炭との接触は空間速度(以下、SVと称することがある)0.1〜2.0hr−1、好ましくはSV0.2〜1.0hr−1で行なうのが好ましい。ここで空間速度(SV)とは、充填物量(容積)に対して1時間当りに処理物をその何倍量(容積)通過させたかを速度として表したものである。
【0043】
活性炭としては、例えば石炭系活性炭、木質系活性炭等を挙げることができる。この石炭系活性炭としては三菱化学(株)製「ダイアホープ008」を、また木質系活性炭としては二村化学工業(株)製「太閤SGA」を好ましく例示することができる。これらの中、不純物の除去効果および加熱再生における強度の点で石炭系活性炭が好ましく、特に石炭系活性炭の三菱化学(株)製「ダイアホープ008」が好ましい。また、活性炭の形状については、例えば粉末活性炭、粒状活性炭、繊維状活性炭などが挙げられるが、粒状活性炭が特に好ましい。これら活性炭の(粒子の)大きさは、最大径が1〜3mm程度であることが好ましい。
【0044】
(カチオン交換、アニオン交換)
本発明において、分解生成溶液は活性炭と接触させた後、カチオン交換体と接触させ、次いでアニオン交換体と接触させる。分解生成溶液の脱イオン処理は、例えば、カラム等に充填したイオン交換体の層中に分解生成溶液を通過させることにより両者を接触させて行うことができる。もし、イオン交換処理の後に活性炭処理を行うと、本来活性炭で吸着されるべき、顔料や異物がイオン交換体の表面に吸着されたりして、イオン交換の効率を阻害するので好ましくない。また、アニオン交換体と接触させた後でカチオン交換体と接触させると、分解生成溶液のその後の工程での副反応(DEGやDEGエステルの生成等)を引き起こすので好ましくない。
【0045】
前記カチオン交換体およびアニオン交換体の形状としては、例えば粒子状、鎖状、繊維状および無定形状が挙げられる。粒子状である場合、例えばこれをカラムに充填し、分解生成溶液をカラムに流すことにより両者を接触させることができる。
【0046】
前記分解生成溶液が懸濁液である場合、活性炭処理の場合と同じように、イオン交換体層内に閉塞を生じて該溶液の通過不良または通過抵抗斑による偏流が起こり、安定した脱イオン処理がし難くなる。したがって、カチオン交換体およびアニオン交換体と分解生成溶液の接触は、活性炭処理後に、該溶液をフィルターでろ過し、微粒子を除去した後に行うことが好ましい。フィルターは平均目開き1〜10μmのものを使用することができる。該溶液は、イオン交換処理前に平均目開き1μmのフィルターでろ過することがさらに好ましい。
【0047】
接触温度は、イオン交換樹脂の最高使用温度以下であって且つジカルボン酸のエチレングリコールエステル、ことにビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの結晶が分解生成溶液から析出しない温度(50℃以上100℃以下、好ましくは70℃以上90℃以下)で行うことが好ましい。
【0048】
一般に、カチオン交換体の最高使用温度はアニオン交換体のそれよりも高いので、カチオン交換処理後に処理液をアニオン交換体の最高使用温度以下まで冷却するか、または、アニオン交換体の最高使用温度以下でカチオンおよびアニオンの交換処理を行うのがよい。
【0049】
イオン不純物に占めるカチオンの割合はアニオンの割合に比して圧倒的に多いのが普通であることおよび、下記のようにカチオン交換によって分解生成溶液の酸性度が低下し後工程での副反応(DEG成分の生成反応)を引き起こすので、カチオン交換処理後にアニオン交換処理を行う必要がある。
【0050】
本発明においては、分解生成溶液はカチオン交換体と滞留時間3〜30分、好ましくは3〜15分で接触させる。さらに、分解生成溶液とカチオン交換体との接触は空間速度(SV)1〜12hr−1、さらにはSV4〜9hr−1で行うのが好ましい。この滞留時間が3分未満だと、十分なカチオン交換処理が行えず、BHETのオリゴマー化につながり、他方30分を超えると、エステル交換反応によりBHETのDEGエステルへの転化量が許容値(カチオン交換処理後の固形分中のDEGエステル濃度が3.0重量%)以上となり、好ましくない。
【0051】
そして、カチオン交換体との接触処理後、分解生成溶液は3秒以上10分以内、好ましくは3秒以上5分以内、さらに好ましくは3秒以上3分以内にアニオン交換体と接触させる必要がある。これによって上記エステル交換反応および加水分解反応を抑制することができる。
【0052】
本発明においてカチオン交換体としてはカチオン交換樹脂が好ましく、アニオン交換体としては強酸性カチオン交換樹脂と弱塩基性アニオン交換樹脂の混合物が好ましい。
【0053】
カチオン交換樹脂のカチオン交換官能基としては、例えば−SOH、−COOH、等が挙げられる。また、カチオン交換樹脂としては、例えばダイヤイオン(三菱化学(株)製)のSK1B、SK104、SK110、SK112、SK116等またはアンバーライト(ロームアンドハースジャパン(株)製)のIR120B、IR120BN、IR124、200CT等として市販されているものを用いることができる。これらの市販品は通常イオン交換官能基が例えばナトリウム塩等の塩として安定化されているので、使用に際し通常上記の如き遊離の酸基に変換される。
【0054】
アニオン交換樹脂としては、アニオン交換官能基として、例えば−N(CH、−NH(CNH)H、−N(CHOH等を持つものを挙げることができる。これらのアニオン交換樹脂としては、例えばダイヤイオン(三菱化学(株)製)のWA10、WA20、WA21J、WA30等またはアンバーライト(ロームアンドハースジャパン(株)製)のIRA400J、IRA67、IRA96SB、XE583等として市販されているものを用いることができる。
【0055】
これらの市販品のうち、強塩基性アニオン交換樹脂は通常イオン交換官能基が水酸化物イオン(OH)ではなくハロゲンアニオンを持つものとして安定化されているので、使用に際し通常上記のごとき水酸基アニオンを持つものに変換される。これらのうち1級アミン、2級アミン、または3級アミンを交換官能基とする弱塩基性アニオン交換樹脂が好ましい。
【0056】
また、ゲル型のアニオン交換樹脂には亀裂タイプと無亀裂タイプとがあるが、無亀裂タイプの方がビス(2‐ヒドロキシエチル)テレフタレートの吸着量が少ないので好ましい。さらに、ゲル型に比べて物理的耐久性に優れ、交換吸着速度の大きいイオン交換樹脂である多孔体、いわゆるMR型(マイクロポーラス型)を使用することもできる。
【0057】
カチオン交換樹脂の最高使用温度は、強酸性のスチレン系の場合で120℃程度、弱酸性のメタクリル系の場合で100℃程度である。一方、アニオン交換樹脂の最高使用温度は、強塩基性の4級アンモニウム型の場合、交換基が−OH型のもので40℃以上60℃以下、−Cl型のもので約80℃以下、弱塩基性の1〜3級アミン(−NHR、−NHR、−NR)型の場合、約100℃以下である。上記温度から、本発明においては高温域でも使用に耐えうる、1〜3級アミン型のアニオン交換樹脂を用いてアニオン交換処理を行うのがよい。
【0058】
前記1〜3級アミン型のアニオン交換樹脂は中性ないし酸性(好ましくは酸性)で初めてイオン交換性の−NR(OH)が発生するので、弱塩基性アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂(好ましくは強酸性カチオン交換樹脂)との混合床とすることが好ましい。弱塩基性アニオン交換樹脂と強酸性カチオン交換樹脂の混合割合(容量比)は1:3〜5:1、好ましくは1:2〜3:1である。
【0059】
前記アニオン交換処理においては、分解生成溶液はアニオン交換体と滞留時間3分〜60分、好ましくは3〜40分で接触させる。さらに、分解生成溶液とアニオン交換体との接触は空間速度(SV)0.5〜10hr−1、さらにSV1〜8hr−1で行うことが好ましい。
【0060】
分解生成溶液中のカチオンとしては、解重合触媒に由来するNa、Ca2+、Mg2+、Zn2+、Co2+等およびポリエステルの重縮合触媒に由来するZn2+、Sb3+、Ge2+、Ti4+等が挙げられる。一方、アニオンとしては、安定剤に由来するPO 3−の他にポリエチレンテレフタレートに付着等したイオンであるSO 2−、Cl等が挙げられる。アニオンに比してカチオンの方が圧倒的に多いので、カチオン交換処理後にアニオン交換処理を行う。
【0061】
カチオン交換処理により次式のように水素イオンが発生して、分解生成溶液(被処理液)は酸性を呈する。
【0062】
【化1】
Figure 2004346229
【0063】
そして、発生した水素イオンは、ポリエチレンテレフタレートのグリコリシスにより生成したビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートとジエチレングリコールとのエステル交換反応を促して、2−ヒドロキシエチル[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]テレフタレートを副生させる。
【0064】
【化2】
Figure 2004346229
【0065】
また、被処理液中に水が多量に存在すると、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートは加水分解を起こして、モノ(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを生成する。
【0066】
【化3】
Figure 2004346229
【0067】
さらに、これらの反応は、溶液が50℃以上100℃以下さらには70〜90℃の高温で処理されることにより、常温よりも一層促進される。
【0068】
そこで、これら副反応を防止する手段を講じる必要がある。この手段として、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートのエステル交換反応や加水分解反応を抑制するためにアルカリの添加により水素イオンを中和する方法が考えられるが、この場合アルカリに由来する新たなカチオンが系にもたらされることになり、先に行ったカチオン除去処理が無駄となるので好ましくない。
【0069】
本発明において、アニオン交換処理後の分解生成溶液中のイオン含有量は、電気伝導率で表示すると、0.2〜0.6μS/cm、さらには0.2〜0.5μS/cmであることが好ましい。さらに、該分解生成溶液のpHを2.5〜7.0、特に3.0〜5.0とするのが好ましい。この電気伝導度を0.2μS/cmより小さくするには、イオン交換処理の時間を長くする必要があり、このことが副反応を増大させ、またpHが2.5より小さくなる、すなわち酸性側に近づくことになり好ましくない。一方、0.6μS/cmより大きいと、晶析処理において析出粒子の成長が阻害され、析出粒子が小さく、濾過における収率の低下および不純物の残留による品質の低下をもたらし、好ましくない。なお、電気伝導率はサンプルにフォックスボロー社製導電率計873CCを直接適用することで計測することができる。
【0070】
本発明においては、カチオン交換処理の滞留時間を短くすることにより、ポリエステルをエチレングリコールで分解して得た分解生成物のエステル交換反応を抑制することができる。イオン交換処理を行う際の温度が高いほどイオン交換速度は大きくなるが、他方で前記分解生成物のエステル交換反応速度も大きくなるので、該エステル交換反応による前記分解生成物の転化量が許容値以下となるように滞留時間を短縮することは極めて有効である。
【0071】
本発明によって活性炭処理およびイオン交換処理を行った分解生成溶液は、さらに15〜30℃の範囲の温度に冷却してBHETを晶析させ、この範囲の温度に少なくとも1時間(好ましくは1〜12時間、より好ましくは2〜10時間)維持し、ついで固液分離を行って析出物と溶媒であるEGおよび該EGに可溶性の副反応物や着色性物質とを分離したのち、析出物を公知の蒸発蒸留工程(特に分子蒸留処理工程)を経ることにより高純度BHETとすることが好ましい。かかる処理をすることでBHETの品質をさらに高めることができる。
【0072】
第2の発明である、分解生成溶液中のカラーインデックス・ピグメントイエロー151の除去方法を構成する各要素も、第1の発明である分解生成溶液の精製方法の発明と同じである。
【0073】
【実施例】
以下、具体例を挙げて本発明をさらに説明する。なお、本発明が実施例によって限定されるものでないことはいうまでもない。また、例中の特性は下記の方法により測定した。
【0074】
1.分解生成物の組成
1)各成分の分離、量測定
試料5mgをクロロフォルムに溶解して固形分濃度約1000ppmの溶液を調製し、島津製作所製のHPLC LC−6型にて、4.6mmID×250mmのシリカ−60のカラムによって温度40℃、流速1.0ml/分、注入量5μl、移動相としてジクロロメタン/ジオキサンを用い、測定波長240nmで紫外線吸光光度計の検出器を用いて測定した。
【0075】
2)LC/MSによる同定
HPLCのピークを同定するために、LC/MS測定を行った。日本電子製SX−102A型を用いて、上記と同じ条件で測定、同定した。
【0076】
2.溶液の電気伝導率
溶液にフォックスボロー社製導電率計873CCを直接適用することで計測した。
【0077】
3.含水率
京都電子製MK−SS型カールフィッシャー水分計を用いて測定した。
【0078】
4.光学密度(着色度)
1)OD380
分解生成溶液については固形分濃度20重量%のEG溶液をそのままシリンジフィルターに通して浮遊物をろ過したものを、またBHETケークはケーク濃度10重量%のメタノール溶液をシリンジフィルターに通して浮遊物をろ過したものを、UVmini−1240((株)島津製作所製)により、セル長10mm、ブランクはメタノールを用いてゼロ点補正し、それぞれの溶液の380nmにおける吸光度を測定した。
【0079】
2)OD675
分解生成溶液については固形分濃度20重量%のEG溶液をそのままシリンジフィルターに通して浮遊物をろ過したものを、またBHETケークはケーク濃度10重量%のメタノール溶液をシリンジフィルターに通して浮遊物をろ過したものを、UVmini−1240((株)島津製作所製)により、セル長10mm、ブランクはメタノールを用いてゼロ点補正し、それぞれの溶液の675nmにおける吸光度を測定した。
【0080】
実施例1
(予備解重合、本解重合)
使用済みの、着色ペットボトル(A:カラーインデックス・ピグメントブルー29を800ppm、カラーインデックス・ピグメントイエロー151を400ppm含有する)を10重量%混合したペットボトル(ポリエチレンテレフタレートよりなる)を粉砕調製した平均サイズ8mm角の粉砕フレーク50kgを溶融して、さらにビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート(BHET)25kgを溶融状態で800リットルの撹拌機付きオートクレーブに仕込み、常圧下、温度255℃の条件で予備解重合した。
【0081】
次いで該予備解重合物にエチレングリコール(EG)425kg、および解重合触媒として水酸化ナトリウム0.23kgをそれぞれ加えて、圧力0.15MPa、温度220℃の条件でさらに反応を進め、オートクレーブに設置した精留塔の塔頂部から水等の低沸点分を留去しつつ、60分間解重合反応を行った。
【0082】
(固形異物除去)
得られた分解生成溶液を180℃に降温して前記粉砕フレークに含まれていたキャップやラベル等の固形異物を60メッシュのラインストレーナーで除去し、800リットルの冷却槽へ移送した。冷却槽において80℃まで冷却し、平均目開き1μmのカートリッジフィルターでろ過し、顔料および微粒子を除去した。
【0083】
(活性炭処理)
その後、活性炭(三菱化学(株)製「ダイアホープ008」105kg)を充填した脱色塔に滞留時間52分、空間速度0.57hr−1で分解生成溶液を通過させた。
【0084】
(固形異物除去)
その後、平均目開き1μmのフィルターでろ過し、該溶液中の微粒子(活性炭の微粉炭など)を除去した。
【0085】
(カチオン交換処理)
次に、これを80℃でカチオン交換充填塔(カチオン交換樹脂「ロームアンドハース社製アンバーライトIR−120B」25リットルを充填)に供給して滞留時間6分15秒、空間速度4.8hr−1でカチオン交換処理を行った。
【0086】
(アニオン交換処理)
その後、カチオン交換充填塔とアニオン交換充填塔との連結配管内を30秒で通過させて、アニオン交換充填塔(アニオン交換樹脂「ロームアンドハース社製アンバーライトIRA96SBとアンバーライトIR120Bとの容積比1:1混合物」60リットルを充填)に供給し、滞留時間30分、空間速度2hr−1でアニオン交換処理に付した。
【0087】
解重合溶液(分解生成溶液)のpHはカチオン交換処理前で5.2、カチオン交換処理後で1.76、アニオン交換処理後で4.9であった。また、解重合溶液の活性炭処理前の段階では537μS/cmであった電気伝導度は、カチオンおよびアニオン交換処理を行った後は0.4μS/cmにまで下がっており、イオン交換が確実に行われたことを確認した。
【0088】
上記活性炭処理前の分解生成溶液は処理に用いた着色ペットボトルの色(黄緑色)を再現しており、OD380(溶液で測定)で測定した着色度は0.168、OD675で測定した着色度は0.030であった。これを上記のように活性炭処理したあとの溶液は、目視でも明確な黄色味を帯びており、OD380で測定したところ尚0.097であったが、OD675は検知しなかった。しかし該溶液をイオン交換処理した後では、目視で見ても明らかに黄色味が減っておりOD380で測定したところ0.080にまで脱色されており、イオン交換処理によって脱色がさらに進んだことが確認できた。得られた結果を表1に示す。
【0089】
(晶析、固液分離)
前記脱イオン処理液を晶析槽において25℃で5時間晶析した後、固液分離を行って60重量%の粗ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを含有する湿潤ケークを得た。該ケークのOD380(10重量%メタノール溶液で測定)は、0.007であった。得られた結果を表1に示す。
【0090】
(蒸留精製)
この湿潤ケークを100℃で溶融してから流下薄膜式蒸発器に供給し、温度150℃、圧力500Paでエチレングリコールを主成分とする低沸点成分を留去して粗ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを低沸点物含有量5%にまで濃縮し、次いで、温度150℃、圧力80Paで該低沸点物含有量0.3%にまで濃縮した後、内部コンデンサーを有する流下薄膜式分子蒸留器に供給し、温度195℃、圧力13Paでビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを蒸発させ、温度118℃の内部コンデンサーで凝縮して精製されたビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの融液をレシーバーに受けた。
【0091】
一方、加熱蒸発面に沿ってビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを蒸発させながら流下した蒸発残の成分は、円筒状蒸発内壁面下部に設置されているリング状の集液パンからレシーバーに融液として抜いた。
【0092】
得られた精製ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの着色度は、OD380が0.000ときわめて良好であった。
【0093】
(イオン交換処理による脱色の効果)
さらに、イオン交換工程で脱色が行われていることを確認すべく、イオン交換処理後のイオン交換樹脂の再生を公知の方法で行い、処理液の色相を観察したところ薄く黄着色しており、黄色味を有する着色剤が除去されていることが確認された。さらにこの黄着色の処理液を定性分析してみたところ窒素が検出され、使用した顔料がピグメントブルー29とピグメントイエロー151であったことから、黄色であって窒素を含有しているピグメントイエロー151がイオン交換において除去されたことを確認した。
【0094】
実施例2
カチオン交換充填塔にカチオン交換樹脂100リットルを充填し、カチオン交換処理を滞留時間25分、空間速度4.8hr−1で行ったこと以外は、実施例1と同様の方法で行った。得られた結果を表1に示す。
【0095】
比較例1
カチオン交換充填塔にカチオン交換樹脂160リットルを充填し、カチオン交換処理を滞留時間40分、空間速度4.8hr−1で行ったこと以外は、実施例1と同様の方法で行った。カチオン交換処理を必要以上に行ったため、電気伝導率は正常値(0.40μS/cm)であるが、分解生成溶液中の不純成分(DEGエステル)が許容値(3.0重量%)以上の9.41重量%になった。得られた結果を表1に示す。
【0096】
比較例2
カチオン交換充填塔にカチオン交換樹脂4リットルを充填し、カチオン交換処理を滞留時間1分、空間速度30hr−1で行ったこと以外は、実施例1と同様の方法で行った。このとき溶液の着色度(溶液で測定)はOD380で0.091であり、電気伝導率は解重合後(カチオン交換処理前)で537μS/cm、イオン交換処理後で12μS/cmであった。その後の蒸留精製(分子蒸留)では、精製ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの留出は少なく、代わりにオリゴマーの留出が多くなった。このことからカチオン交換処理が不十分であると、残存カチオンが触媒となってビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートのオリゴマー化を進めてしまうことが確認された。得られた結果を表1に示す。
【0097】
比較例3
カチオン交換処理終了後、処理液を一旦タンクに貯留し、15分間経過後にアニオン交換処理を行ったこと以外は、実施例1と同様にして行った。カチオン交換処理終了後、処理液は酸性(pH1.76)となっているが、この状態が長時間続くことにより分解生成溶液中の不純成分(DEGエステル)が許容値以上の9.37重量%になった。得られた結果を表1に示す。
【0098】
比較例4
カチオン交換処理およびアニオン交換処理の両処理を実施しないこと以外は実施例1と同様の方法で行った。電気伝導率が高いまま(537μS/cm)で晶析分離を行ったところ得られたBHETケークは若干黄色味を帯びており、着色度はOD380で0.021あり、目標とする0.015を超えたものであった。また、ケーク中のオリゴマー含有量も13.8重量%と他の例に比べて高くなった。得られた結果を表1に示す。
【0099】
参考例1
着色ペットボトル(A)の代わりに着色ボトル(B:カラーインデックス・ピグメントブルー15:1を200ppm、カラーインデックス・ピグメントイエロー147を200ppm含有する)を10重量%混合したペットボトルを用いる以外は実施例1と同じように行った。解重合溶液の活性炭処理前のOD380は0.143であった。また、解重合溶液の活性炭処理後のOD380は0.082であって(OD675は検知しなかった)、実施例1でのイオン交換後の溶液の着色度のレベルであった。さらに、解重合溶液のアニオン交換処理後のOD380は0.080であって、イオン交換を行ったことによる着色度の更なる低減は認められなかった。このことから、着色剤の種類によっては活性炭処理で除去されるだけであって、イオン交換で着色度が低減されることがないことが確認された。
【0100】
参考例2
参考例1と同じ条件下に、得られた解重合溶液の活性炭処理だけを行って付着物や添加剤からくる着色性異物を除去したところ、電気伝導度は480μS/cmであったが、該溶液の着色度はOD380で0.082であり、すでに実施例1のイオン交換処理後の着色度のレベルに達していた。この溶液をイオン交換処理を行うことなく、晶析分離して得たBHETケークのOD380で0.010であった。このことから、着色剤が活性炭処理で除去されていれば、イオン交換処理の有無によるBHETケークの着色度への影響は、多少は認められるものの影響が小さいということが確認できた。また、イオン交換処理を行わないときには、イオンによる影響からBHETのオリゴマー化が認められ、他の例と比べて高い値(13.2重量%)となった。
【0101】
これらの結果から、本発明におけるイオン交換処理を行うことにより、DEGエステル増加やBHETのオリゴマー化といった副反応を極力抑えることができ、また副反応に伴う着色度の増加を防止することができるだけではなく、活性炭で除去しきれない特定の顔料の除去に有効であることを確認した。
【0102】
【表1】
Figure 2004346229
【0103】
【発明の効果】
以上に説明した如く、本発明にかかる着色ポリエステルを含むポリエステルをエチレングリコールで分解して得た分解生成溶液の精製方法によれば、脱カチオン処理に伴う前記分解生成物のエステル交換反応や加水分解反応といった副反応を抑えつつ、分解生成物、エチレングリコール、着色剤およびイオンを含有する溶液から、着色剤およびイオンの含有量を効果的に減少せしめる、前記分解生成溶液の精製方法を提供することができる。
また、本発明の分解生成溶液中のカラーインデックス・ピグメントイエロー151を除去方法も上述と同様な効果を奏する。

Claims (8)

  1. ポリエステルをエチレングリコールを用いて分解して得た、分解生成物、エチレングリコール、着色剤、カチオンおよびアニオンを含む分解生成溶液であって、着色剤として少なくともカラーインデックス・ピグメントイエロー151を含む分解生成溶液を、
    (1)50℃以上100℃以下の温度で活性炭と接触せしめ、
    (2)次いでカチオン交換体と滞留時間3〜30分で接触せしめ、
    (3)その後、3秒以上10分以内にアニオン交換体と接触せしめて、
    着色剤、カチオンおよびアニオンの含有量を減少せしめることを特徴とする、前記分解生成溶液の精製方法。
  2. 分解生成溶液をカチオン交換体と接触せしめた後、3秒以上3分以内にアニオン交換体と接触せしめる請求項1に記載の方法。
  3. アニオン交換体と接触せしめた後の分解生成溶液の電気伝導率が0.2〜0.6μS/cmである請求項1または2に記載の方法。
  4. 活性炭と接触せしめる前に、分解生成溶液をフィルターでろ過する請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 活性炭と接触せしめた後に、分解生成溶液をフィルターでろ過する請求項項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 分解生成溶液が、着色剤としてさらに、フタロシアニン系、アンスラキノン系、アゾ系、ベンズイミダゾロン系、ウルトラマリン、カーボンブラック、酸化鉄から選ばれる少なくとも一種の顔料を含有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. ポリエステルが、着色ボトルを含むボトルを粉砕したフレーク状またはチップ状のポリエチレンテレフタレートを含む請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. ポリエステルをエチレングリコールを用いて分解して得た分解生成溶液中の、カラーインデックス・ピグメントイエロー151を除去する方法であって、該分解生成溶液を
    (1)カチオン交換体と滞留時間3〜30分で接触せしめ、
    (2)その後、3秒以上10分以内にアニオン交換体と接触せしめる、
    ことを特徴とする前記除去方法。
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