JP2004346129A - 洗剤用添加剤及び洗剤組成物 - Google Patents

洗剤用添加剤及び洗剤組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】洗剤に添加することにより、水に対する溶解度を増大せしめ、固形分含有量を増大させる洗剤用添加剤であって、且つ、それを含んで成る、色相安定性が向上した洗剤組成物を提供する。
【解決手段】1,3,6−ヘキサントリカルボン酸の含有量が80質量%以上、アジピン酸の含有量が10質量%以下、3−カルボキシメチル−1,5−ペンタンジカルボン酸の含有量が10質量%以下、RI検出成分の含有量が0.5質量%以下から成る多価カルボン酸混合物から得られる塩より成る洗剤用添加剤であって、多価カルボン酸混合物0.400gを4.0mlの蒸留水に溶解した水溶液の明度指数L値が98以上、クロマネティクス指数のa値が−2.0〜2.0、b値が−2.0〜3.0であることを特徴とする洗剤用添加剤、及びそれを含んで成る洗剤組成物。
【選択図】 選択図なし。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、洗剤用添加剤、及びこれを含む洗剤組成物に関する。更に詳しく述べるならば、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸から得られる塩、及び/又は1,3,6−ヘキサントリカルボン酸のカルボキシル基の1個乃至2個が長鎖アルキル基及び/又はエーテル基を有するエステル基に変換されている塩、及びそれらの混合物より成る洗剤用添加剤、及びそれら洗剤用添加剤を含んで成る洗剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
脂肪酸型の洗剤において、洗剤に使用されるけん化剤、及び液体洗剤における最大固形分含量が重要な因子で、一般にオレイン酸型の樹脂酸に比べて短い炭素鎖の洗剤になるほど溶解度が大きく、液状洗剤を形成しやすい。
水の含有率を下げて濃縮倍率を高めるほど、高濃度液体洗剤の場合、水にうまく分散溶解させることが難しく、原液がゲル化する場合が多い。
従来、洗剤に添加することによって水に対する溶解度を増大せしめ、固形分含量を増大させる洗剤用添加剤が開発されてきた。洗剤組成物の貯蔵安定性を高め、また、水の含有量を減少させることで、輸送や取り扱いがより経済的、容易とならしめることを目的としている。
【0003】
特許文献1によれば、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸の金属塩、又はアンモニウム塩を洗剤組成物に添加することにより高固形分含有量の脂肪酸洗剤のゲル化傾向を減少せしめうることが報告されているが、しかし、色相安定性が悪く、熱や光によって茶色く変色するという問題があった。
一般に、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸は、1,3,6−トリシアノヘキサンを加水分解することにより容易に得ることができる。
1,3,6−トリシアノヘキサンは、例えば、アクリロニトリルとアジポニトリルから塩基の存在下で反応させる方法や、アクリロニトリルの電解還元反応により得ることができる。アクリロニトリルの電解還元反応による場合は、主成分として得られるアジポニトリル等のニトリル化合物からなる混合物中に含有される。
【0004】
これらの方法で得られるニトリル化合物からなる混合物中の1,3,6−トリシアノヘキサンの純度を高める目的で、例えば、蒸留精製を行うことにより得たトリニトリル混合物は、通常、著しく着色しており、黄色や黒色を呈している。例えば、特許文献2においては、1,3,6−トリシアノヘキサンを分子蒸留により精製を行っているが、ハーゼン値が400以上の、黄色の液体が得られている。
【0005】
このような着色を呈するトリニトリル混合物を原料として加水分解して得た1,3,6−ヘキサントリカルボン酸は、同様に黄褐色や赤褐色を呈した著しく着色したものである。
さらに1,3,6−ヘキサントリカルボン酸の2個のカルボキシル基を塩に変換し、残りの1個のカルボキシル基を用いてエステル結合にてポリエーテル鎖等を結合させたイオン性界面活性剤、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸の1個のカルボキシル基を塩に変換し、他の2個のカルボキシル基を用いてエステル結合にてポリエーテル鎖等を結合させたイオン性界面活性剤、さらに1,3,6−ヘキサントリカルボン酸の3個のカルボキシル基にエステル結合にてポリエーテル鎖等を有する非イオン性界面活性剤が望まれているが、前記のように、色相安定性に優れるものは得られていなかった。
【0006】
【特許文献1】
日本国特許公開公報 特開昭54−3107号公報
【特許文献2】
日本国特許公開公報 特開昭62−270550号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、洗剤に添加することにより、水に対する溶解度を増大せしめ、固形分含有量を増大させる洗剤用添加剤であって、且つ、それを含んで成る、色相安定性が向上した洗剤組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸の含有量が80質量%以上、アジピン酸の含有量が10質量%以下、3−カルボキシメチル−1,5−ペンタンジカルボン酸の含有量が10質量%以下、RI検出成分の含有量が0.5質量%以下から成る多価カルボン酸混合物であって、多価カルボン酸混合物0.400gを4.0mlの蒸留水に溶解した水溶液の明度指数L値が98以上、クロマネティクス指数のa値が−2.0〜2.0、b値が−2.0〜3.0である多価カルボン酸混合物から得られる塩を用いることによって、その目的に適合しうることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、下記(1)から(4)に係わる。
(1)1,3,6−ヘキサントリカルボン酸の含有量が80質量%以上、アジピン酸の含有量が10質量%以下、3−カルボキシメチル−1,5−ペンタンジカルボン酸の含有量が10質量%以下、RI検出成分の含有量が0.5質量%以下から成る多価カルボン酸混合物から得られる塩より成る洗剤用添加剤であって、多価カルボン酸混合物0.400gを4.0mlの蒸留水に溶解した水溶液の明度指数L値が98以上、クロマネティクス指数のa値が−2.0〜2.0、b値が−2.0〜3.0であることを特徴とする洗剤用添加剤。
(2)1,3,6−ヘキサントリカルボン酸の少なくとも1個のカルボキシル基が塩であり、且つ、少なくとも1個のカルボキシル基が長鎖アルキル基、及び/又はエーテル基を有するエステル基に変換されていることを特徴とする前記(1)記載の洗剤用添加剤。
【0010】
(3)多価カルボン酸混合物が、アクリロニトリルの電解還元反応により得られる1,3,6−トリシアノヘキサンを主成分とするトリニトリル混合物の溶液を加水分解して、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸を主成分とする混合物、又はその塩の混合物の溶液を得る工程、次いで固体吸着剤で処理する工程、更に、処理液のpHが3以上の場合、pHを3未満に調整する工程を含んで調製されることを特徴とする前記(1)または(2)記載の洗剤用添加剤。
(4)前記(1)乃至(3)記載の洗剤用添加剤と、天然、及び合成の非イオン系、アニオン系、カチオン系、及び両性洗剤の中から少なくとも1種の洗剤とを含んで成ることを特徴とする洗剤組成物。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明について、以下具体的に説明する。本発明の多価カルボン酸混合物は、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸の含有量が80質量%以上、アジピン酸の含有量が10質量%以下、3−カルボキシメチル−1,5−ペンタンジカルボン酸の含有量が10質量%以下、RI検出成分の含有量が0.5質量%以下、好ましくは、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸の含有量が85質量%以上、99.9999質量%以下、アジピン酸の含有量が5質量%以下、3−カルボキシメチル−1,5−ペンタンジカルボン酸の含有量が10質量%以下、RI検出成分の含有量が0.0001質量%以上、0.4質量%以下、より好ましくは、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸の含有量が95質量%以上、99.9999質量%以下、アジピン酸の含有率が1質量%以下、3−カルボキシメチル−1,5−ペンタンジカルボン酸の含有量が4質量%以下、RI検出成分の含有量が0.0001質量%以上、0.2質量%以下、最も好ましくは、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸の含有量が98質量%以上、99.9999質量%以下である。
【0012】
1,3,6−ヘキサントリカルボン酸の含有量が80質量%未満の場合は色相熱安定性が低くなる傾向にある。アジピン酸の含有量が10質量%を超えると固形分溶解能が低下する傾向にある。3−カルボキシメチル−1,5−ペンタンジカルボン酸の含有量が10質量%を超えると色相熱安定性が低くなる傾向にある。RI検出成分の含有量が0.5質量%を超えると色相熱安定性が低くなる傾向にある。
また、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸の含有量が99.9999質量%を超える場合、および/又はRI検出成分の含有量が0.0001質量%未満である場合、以下に述べる精製の回数が増えて煩雑になる。
【0013】
本発明のRI(示差屈折率)検出成分は、以下の条件での液体クロマトグラフィー(LC)測定において、溶出時間19min〜25minに検出される成分である。
装置:(株)島津製作所製LC−10A
カラム:(株)島津製作所製 Shim−Pack SCR−101H
7.9mmI.D. x 30cmを1本
検出器:示差屈折率計(RI)
サンプル液:多価カルボン酸混合物0.020gを蒸留水2.0mlに溶解
展開液:過塩素酸でpH2.2〜2.4の範囲(25℃におけるpH)
カラム温度:40℃
展開液流速:1.0ml/min
過塩素酸:和光純薬(株)社製60%濃度(精密分析用)
【0014】
本発明の〔1,3,6−ヘキサントリカルボン酸と3−カルボキシメチル−1,5−ペンタンジカルボン酸の合計〕、アジピン酸、RI検出成分の含有率は上記LC分析において、RI検出器により測定されるピーク面積比から求められる。また、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸と3−カルボキシメチル−1,5−ペンタンジカルボン酸の含有率は下記条件のLC分析において、UV検出器により測定されるピーク面積比から求められる。
装置:(株)島津製作所製LC−6A
カラム:日本分光株式会社製 Finepak SIL−C18S
4.6mmI.D. x 150mmを1本
検出器:UV計(214nm)
サンプル液:多価カルボン酸混合物0.020gを蒸留水2.0mlに溶解
展開液:蒸留水990wt、アセトニトリル10wt、85%リン酸4wt
(展開液のpH約2.3)
カラム温度:40℃
展開液流速:1.2ml/min
【0015】
本発明の多価カルボン酸混合物は、その色相に特徴を有する。すなわち、本発明の多価カルボン酸混合物0.400gを4.0mlの蒸留水で溶解し水溶液として、25℃において測定された明度指数L値が98以上であり、好ましくは99以上、より好ましくは99.5以上である。a値は、−2.0〜2.0、好ましくは−1.0〜1.0である。b値は、−2.0〜3.0、好ましくは−1.0〜1.0、より好ましくは−0.5〜0.5の範囲である。L値、a値、及びb値が上記範囲から外れる場合には、樹脂組成物が黄色や灰色等の着色を呈する傾向にある。さらに、L値、a値、及びb値が上記範囲から外れる場合には色相熱安定性も低くなる傾向にある。
【0016】
本発明で用いられる、L値、a値及びb値は、JIS規格Z8722の方法にしたがって求められる。すなわち、分光測定器により標準の光Cを用いて、380〜780nmの波長範囲で透過法により測定されたXYZ系における三刺激値X、Y、Z値に基づき、JIS規格Z8730で規定された下式に示すハンターの色差式により計算され。L値は、ハンターの色差式における明度指数、a値及びb値は、ハンターの色差式におけるクロマティクネス指数と呼ばれるものである。
L=10Y0.5
a=17.5(1.02X−Y)/Y0.5
b=7.0(Y−0.847Z)/Y0.5
(式中、X、Y、及びZはXYZ系における三刺激値である)
【0017】
一般に、明度指数L値は、100が上限であり、その数値が増加するにしたがい被測定物質の色相が白色度は、その数値が低下するにしたがい黒色度が増すことを意味する。クロマティクネス指数であるa値は、0を基準に、数値がマイナスになる場合は被測定物質の色相において緑色度が、数値がプラスになる場合は赤色度が増すことを意味する。クロマティクネス指数であるb値は、0を基準に、数値がマイナスになる場合は被測定物質の色相が青色度を、プラスになる場合は黄色度を増すことを意味する。L値が100に近いほど、a値やb値が0に近いほど低色相になる。
【0018】
次に本発明の多価カルボン酸混合物の製造方法について説明する。
本発明の低色相の多価カルボン酸混合物は、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸を主成分とする多価カルボン酸混合物又はその塩の混合物、及び溶媒からなる溶液を固体吸着剤で処理することにより製造される。
1,3,6−ヘキサントリカルボン酸を主成分とする多価カルボン酸混合物又はその塩の混合物は、好ましくは、アクリロニトリルの電解還元反応により得られる。
【0019】
アクリロニトリルを電解還元反応させると、主生成物であるアジポニトリルの他に、各種のニトリル化合物が生成する。この反応溶液中には、未反応のアクリロニトリルも含まれる。副生物として、プロピオニトリル、α−メチルグルタロニトリル、ヒドロキプロピオニトリル、サクシノニトリル、アクリロニトリルの3量体、さらにはアクリロニトリルが4量体以上となった高分子量体等が挙げられる。
例えば、アクリロニトリルの電解還元反応において、無視しがたい量の1,3,6−トリシアノヘキサンを主成分とするアクリロニトリルの3量体や、4量体以上の高分子量体が得られることが、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.)、30(5)1351(1965)に記載されている。
【0020】
一般に、アクリロニトリルの電解還元反応で生成するアクリロニトリルの3量体であるトリニトリル混合物の中の主成分は、1,3,6−トリシアノヘキサンであり、その他の異性体として3−シアノメチル−1,5−ジシアノペンタン等が少量含有される。
トリニトリル混合物は、ニトリル化合物からなる混合物から、例えば、減圧蒸留等により、アクリロニトリルやアジポニトリル等の、トリニトリル成分に対して低沸点成分、及び必要に応じて、アクリロニトリルの4量体以上の高分子量体を除去した後の、アクリロニトリルの3量体であるトリニトリル化合物を主成分とした混合物である。いうまでもなく、この低沸点成分を除去した混合物中には、高沸点成分と共に、上記の操作で除去されなかった低沸点成分が残留していてもよい。
【0021】
トリニトリル混合物中の、1,3,6−トリシアノヘキサンと3−シアノメチル−1,5−ジシアノペンタンを合わせた含有率は、好ましくは85質量%、より好ましくは90質量%以上である。トリニトリル化合物の含有率が85質量%未満の場合は、25質量%以上の上記した低沸分やアクリロニトリルの4量体以上の高分子量体、さらには極微量の着色成分が含有されるため、加水分解反応によりカルボン酸化合物を誘導した際、製品の純度を低下させ、着色を招くおそれがある。さらには、その純度を向上させるために、後工程として各種の精製工程を経る必要があり、結果的に誘導体の収率の低下を招く傾向にある。
【0022】
本発明において、上記トリニトリル混合物に含まれる、1,3,6−トリシアノヘキサンの含有率は80質量%以上であり、好ましくは85質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。1,3,6−トリシアノヘキサンの含有率が80質量%未満の場合は、1,3,6−トリシアノヘキサンから誘導される化合物の純度が低く、着色が著しい。
本発明のトリニトリル混合物は、他に3−シアノメチル1,5−ジシアノペンタンを、通常、0.01〜10質量%の範囲で含有する。本発明においては、この範囲に限定はないが、1,3,6−トリシアノヘキサンの誘導体を高純度、且つ、高収率で得る場合には、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.01〜1質量%である。
【0023】
次に、アクリロニトリルの電解還元反応について説明する。
アクリロニトリルの電解還元反応は、アクリロニトリルを原料とし、1対の陰極と陽極とが陽イオン交換膜で仕切られた陰極室と陽極室とからなる、いわゆる隔膜電解槽を用いて得られる他、イオン交換膜のない単一電解槽を用いても得ることができる。これらの電解法は、例えば、特公昭45−24128号公報、特開昭59−59888号公報、特開昭59−185788号公報等に開示されている。
【0024】
例えば、隔膜電解槽を用いた電解は次のようにして行われる。陰極は、一般に水素過電圧の高いものが使用可能であり、例えば、鉛、カドミウム、及びこれらを主成分とする合金が好適に用いられる。陽極は、鉛、鉛合金、白金等、耐食性の高いものがよく、鉛又は鉛合金が好ましく用いられている。
隔膜としては、一般に陽イオン交換膜が用いられ、陽極液として硫酸水溶液が用いられる。陰極液は、その反応中はアクリロニトリル、アジポニトリル、トリニトリル化合物、その他の副生物、水、及び電導性支持塩からなり、油相と水相に分離したエマルジョンになるか、アクリロニトリルが過剰になることによって均一溶液になっているか、いずれかの状態である。
【0025】
電導性支持塩は、下記一般式(1)
[NR −−−−−−(1)
(式中、R、R、Rは炭素数1〜5のアルキル基、Rは炭素数1〜16のアルキル基、Xは硫酸、炭酸、アルキル硫酸、リン酸等のアニオン、又は有機酸、有機多価酸の残基である)
で示される第4級アンモニウム塩が好ましく用いられる。
【0026】
陰極液のpHは、通常5〜12の範囲にある。
電解還元反応時における電槽内の電解液温度は、通常、40〜60℃の範囲であり、電流密度は、陰極表面1dmあたり、通常、5〜50アンペアの範囲である。陰極と陽極の距離は、隔膜を介して、通常、1〜20mmであり、陰極液、陽極液をそれぞれ、通常、0.1〜10.0m/秒の線速度で通過させる。
隔膜であるイオン交換膜のない単一電解槽を用いて、アクリロニトリルの電解還元反応を行う場合は、陰極として、鉛、カドミウム、水銀又はこれらを1種以上含有する合金が好ましく用いられ、陽極として、鉄、ニッケル、又はこれらの合金が用いられる。
【0027】
電解液は、アルカリ金属塩、上記第4級アンモニウム塩及び水を主成分とし、反応中は、電解液にアクリロニトリル、アジポニトリル、トリニトリル化合物、その他副生物がエマルジョン又は均一溶解しした状態で存在する。アルカリ金属塩のカチオンとしては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムなどが挙げられ、アニオンは、リン酸、硼酸、炭酸、硫酸等の無機塩又は多価酸の残基が使用される。
【0028】
反応終了後の電解液からトリニトリル化合物が85質量%となるトリニトリル混合物を得る方法には制限はなく、一般的な抽出法、蒸留法又はその組み合わせにより得ることができる。
すなわち、電解還元反応終了後の電解液が油水のエマルジョンになっている場合、未反応のアクリロニトリル及び副生物のプロピオニトリル等の低沸分を蒸留除去後、エマルジョン破壊を行い、油水の2層に分離する。水層には無機物や4級アンモニウム塩が分配し、油層には若干の水、低沸分、アジポニトリル、トリニトリル化合物、及びその他の高沸分が分配する。
【0029】
一方、電解還元反応終了後の電解液が均一溶液となっている場合には、例えば、水及び塩化メチレン等の非水系有機溶媒を添加し、水層に無機塩や4級アンモニウム塩を抽出し、油層にアジポニトリル、トリニトリル化合物、及びその他高沸分を抽出する。
それぞれの場合とも、アジポニトリル等の、トリニトリル成分に対して低沸点成分を、例えば、一般的な蒸留法等により除去することによって、トリニトリル混合物を含む高沸点成分残渣が得られる。本発明において、電解液中に含まれるトリニトリル成分に対して低沸点成分を除去する操作は、このような操作により低沸点成分を除去することであり、前述のように、トリニトリル混合物を含む高沸点成分残渣中には、低沸点成分の除去操作によっても除去されなかったアジポニトリル等の低沸点成分をはじめ、アクリロニトリルの4量体以上の高沸物が含まれる。
【0030】
本発明において、高沸物残渣の組成が、トリニトリル化合物が85質量%以下の場合には、例えば、アジポニトリル等の低沸分や、必要に応じて、高沸分を除去する目的で、さらなる蒸留を1回以上行い、結果的にトリニトリル化合物の含有率が85質量%以上となるトリニトリル混合物を得てもよい。また、さらなる蒸留法としては、例えば、特開昭62−270550号公報に記載されているような分子蒸留法や薄膜蒸留法も好適に利用できる。また、本発明においては、トリニトリル化合物の含有率を85質量%以上とする目的で、必要に応じて、上記高沸物残差に対し、選択的にトリニトリル化合物を溶解するような溶媒を用いて抽出し、後工程で該溶媒を除去することにより、トリニトリル混合物を得てもよい。
【0031】
本発明の1,3,6−ヘキサントリカルボン酸を主成分とした混合物の原料として用いられるトリニトリル混合物は、以上説明した方法により得られるトリニトリル混合物において、アジポニトリルの含有率が10質量%以下であることが好ましく、トリニトリル化合物の含有率が85質量%以上である、高純度トリニトリル混合物である。
本発明の1,3,6−ヘキサントリカルボン酸は、上記のトリニトリル混合物を、アルカリ又は酸と、水やアルコールの存在下で加水分解して得られるものである。
【0032】
次に、本発明の加水分解に関して説明する。
加水分解に用いられるアルカリは、水溶液においてアルカリ性を示す化合物であり、例えば、アルカリ金属系化合物、アルカリ土類金属系化合物、窒素系化合物等が挙げられる。
アルカリ金属系化合物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウムなどのアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ルビジウム、炭酸水素セシウムなどのアルカリ金属炭酸水素塩、重炭酸リチウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸ルビジウム、重炭酸セシウムなどのアルカリ金属重炭酸塩、カリウムブトキシド、カリウムエトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムブトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムメトキシド、リチウムブトキシド、リチウムエトキシド、リチウムメトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド等が挙げられる。
【0033】
アルカリ土類金属系化合物としては、水酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、水酸化ラジウムなどのアルカリ土類金属水酸化物、炭酸ベリリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、炭酸ラジウムなどのアルカリ土類金属炭酸塩、炭酸水素ベリリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素ルビジウムなどのアルカリ土類金属炭酸水素塩、重炭酸ベリリウム、重炭酸マグネシウム、重炭酸カルシウム、重炭酸ストロンチウム、重炭酸バリウム、重炭酸ラジウムなどのアルカリ土類金属重炭酸塩等が挙げられる。
【0034】
窒素系化合物としては、アンモニアや各種アミン系化合物等が挙げられる。
これらアルカリは単独で用いてもよく、また2種以上で用いてもよい。
加水分解に用いられる酸は、水溶液で酸性を示す化合物であり、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸や各種カルボン酸やスルホン酸系の有機酸が挙げられる。
加水分解でアルカリを水溶液として使用するときのアルカリ水溶液の濃度は、本発明において特に制限はないが、通常、1.0〜50質量%の範囲である。例えばアルカリとして水酸化ナトリウムを用いて、大気圧下で加水分解を行う場合は、通常、2.0〜40.0質量%、好ましくは10.0〜30.0質量%の範囲である。濃度が2.0質量%未満では、反応速度が遅く、40.0質量%を超える範囲では1,3,6−トリシアノヘキサンの反応場である水への溶解度が極端に低くなり加水分解速度が著しく低下する低下する傾向にある。
【0035】
1,3,6−トリシアノヘキサンとアルカリとの当量比は、ニトリル基に対して、塩基として理論的には1.00当量以上であるが、十分な反応速度を得る目的で、通常、1.01〜3.00当量、好ましくは1.05〜2.00当量の範囲である。3.00当量を超える場合には、過剰のアルカリ量が多く反応系に残留し、アルカリを除去するために副生物として塩が多量に生成することになる。
酸を用いて加水分解する場合、その濃度は酸の種類によって異なるが、通常、1〜98質量%範囲である。例えば、塩酸の場合2〜37質量%、好ましくは20〜37%の範囲である。濃度が2.0質量%未満では反応速度が遅くなる傾向にあり、37質量%を越えると工業的に入手が困難となる。硫酸の場合は2〜85質量%、好ましくは20〜60質量%である。2質量%未満では反応速度が遅くなる傾向にあり、85質量%を超える範囲では加水分解に要する水の量を確保するため、必要以上に多くの硫酸を必要とする。
【0036】
1,3,6−トリシアノヘキサンと酸との当量比は、ニトリル基に対して、1.01〜5.0当量、好ましくは1.05〜3.0当量の範囲である。当量比が1.01未満では反応速度が遅くなり過ぎ、反応時間が長くなる。5.0当量を超える場合には用いた過剰の酸が反応系に多く残留し、酸を除去するために副生物として塩が多量に生成することになる。
反応温度は、アルカリ、酸いずれの場合も、通常、50〜250℃、好ましくは80〜140℃の範囲である。反応温度が50℃未満では反応速度が遅く、250℃を越えると分解等の副反応を併発する傾向にある。反応時間は、通常、1〜200時間の範囲である。反応時の圧力には制限は無く、加圧下、大気圧下、さらには減圧下でおこなってもよい。
【0037】
反応時の雰囲気は、副反応を併発しないものであれば制限はなく、例えば、窒素等の不活性気体の存在下や空気下でもよい。例えば、大気圧下で上記加水分解を行う場合には、反応容器には、蒸発する水を系内に戻すための冷却装置を有するものや、液相を窒素ガス又は空気などのガスによりバブリングし溶存しているアンモニアを系外に追い出す装置を有していてもよい。加圧条件下で行う場合は、副生するアンモニアを系外に逃がすことができる装置を具備した装置であることが望ましい。
【0038】
本発明においては、加水分解は、1段の反応で行ってもよく、例えば、アルカリによる加水分解後、反応系内に中間体としてアミド化合物が存在する場合には、引き続き他のアルカリや酸を用いて加水分解を行ってもよい。
本発明では、加水分解により得られた多価カルボン酸混合物又はその塩からなる混合物と溶媒からなる溶液を固体吸着剤により処理を行うことが好ましい。
次に固体吸着剤による処理について記載する。
【0039】
固体吸着剤とは、25℃及び処理を行う温度において流動性がなく、固体の形状を保つ物質であり、かつ、正吸着を起こさせる界面を有する物質をいう。具体的には、アルミニウム、鉄、チタン、ケイ素、錫等の酸化物や水酸化物、活性炭、ベントナイト、活性白土、ケイソウ土、ゼオライト類、ハイドロタルサイト類、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂等が挙げられる。上記アルミニウム、鉄、チタン、ケイ素、錫等の酸化物や水酸化物としては、例えば、活性アルミナ、シリカゲル、酸化チタン等が挙げられる。本発明においては、活性炭、活性アルミナ及びイオン交換樹脂が、脱色の効率が高い傾向にあり好ましい。
【0040】
これら固体吸着剤は、1種類で用いてもよく、2種類以上を混合して同時に、又は別々に用いてもよい。また、これら固体吸着剤の形状、粒径等には限定されない。
固体吸着剤の使用量は、本発明の低色相多価カルボン酸混合物が得られる範囲であれば限定はないが、通常、多価カルボン酸混合物100質量部に対し、固体吸着剤を0.01〜500質量部、好ましくは0.1〜100質量部、より好ましくは0.1〜50質量部の範囲である。0.01質量部未満では十分な脱色効果が得られず、500質量部を越えると十分な脱色効果が得られるものの、多価カルボン酸混合物の収率が低下する傾向にある。
【0041】
加水分解後の溶液を固体吸着剤で処理する際の、溶液のpHは、きわめて重要である。アルカリ加水分解後の溶液は、通常、13を越えており、酸加水分解後のpHは3未満である。この状態のまま、固体吸着剤で処理を行っても、低色相の多価カルボン酸混合物は得られず脱色効率が低下する傾向にある。そのため、加水分解後の溶液を固体吸着剤で処理する際の溶液のpHは好ましくは3〜13、より好ましくは4〜11、更に好ましくは5〜9である。
【0042】
pHを調整する方法には制限はなく、例えば、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸、酢酸、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸などの有機酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物等を添加する方法や、各種イオン交換樹脂と接触させる方法等により実施することができる。
固体吸着剤による処理時間は、本発明の低色相多価カルボン酸混合物が得られる範囲であれば限定されない。吸着させる方法は、多価カルボン酸混合物を含む溶液に固体吸着剤を添加し攪拌したり、固体吸着剤をカラム等に充填させ該溶液を通液する等、限定されるものではない。
【0043】
固体吸着剤による処理時の濃度にも限定はないが、通常、0.02〜2.0mol/L、好ましくは0.1〜1.5mol/Lの範囲である。0.02mol/L未満では処理量が多くなって溶液から回収が難しく、収率が低下する。2.0mol/Lを超える範囲では多価カルボン酸及びその塩からなる混合物が析出し固体吸着剤による着色物の吸着が不十分となる。
固体吸着剤による処理時の温度は、多価カルボン酸やその塩からなる混合物が凝固したり、さらには分解しない温度範囲であれば限定はない。例えば、固体吸着剤として活性炭を用い、溶媒に水を用いた場合は、温度範囲は通常5〜100℃の範囲である。
【0044】
以上説明した固体吸着剤を用いた処理を行った後の、用いた固体吸着剤を分離除去する方法は任意であって制限はなく、濾過法等の公知の一般的方法を実施することができる。
上記方法により回収された多価カルボン酸混合物又はその塩からなる溶液は、pHが3〜13であるため、多価カルボン酸の塩が存在し、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸及び他の多価カルボン酸の含有率が低くなる傾向にある。そのため硫酸、塩酸、硝酸などの無機塩や有機カルボン酸化合物を添加したり、陽イオン交換樹脂を用いることにより、好ましくはpH3未満、より好ましくはpH1以下とすることにより、カルボン酸塩をカルボン酸化することで目的とする1,3,6−ヘキサントリカルボン酸及び多価カルボン酸の含有率を高めることが可能である。
【0045】
脱塩してカルボン酸にする方法として、陽イオン交換樹脂を用いる場合には、回文式、流通式等の方法が好適に使用できるが、これらに限定されるものではない。陽イオン交換樹脂としては、例えば、三菱化学(株)製のスチレン−ジビニルベンゼン共重合体の芳香環にスルホン酸基を導入した樹脂であるものを酸で再生して利用することができる。三菱化学(株)製のダイヤイオン(商標)SK102、SK104、SK106、SK1B、SK110、SK112、SK116、SK1BNなどの強酸性陽イオン交換樹脂が代表的なものである。同様に、ロームアンドハース(株)製のアンバーリスト(商標)15WET、16WET、31WET、35WETなどのスルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂を利用することも可能であり、これら陽イオン交換樹脂の種類については限定されるものではない。
【0046】
無機酸によりカルボン酸化した場合は、副生する無機塩を1,3,6−ヘキサントリカルボン酸の水溶液から分離する目的で溶媒により抽出することも可能である。抽出溶媒としては、例えば、tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフランなどを利用することができる。同様の効果が得られる他の溶媒を用いて行ってもよい。また、カルボン酸化した処理液を加熱減圧下において蒸留を行い完全に乾固させ、残渣を溶媒により1,3,6−ヘキサントリカルボン酸を抽出することも可能である。この場合、用いる溶媒としてはテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテルなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸メチル、酢酸エチルなどの酢酸エステル類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのカーボネート類、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、などを1種以上用いることが可能である。
【0047】
抽出方法は攪拌、ソックスレーなどが使用できる。
抽出液を無水硫酸マグネシウムなどの乾燥剤により乾燥後ろ過によりろ液を回収し溶媒を蒸留し完全に乾固させることで多価カルボン酸混合物を回収することができる。
陽イオン交換樹脂によりカルボン酸化した場合は、イオン交換処理後の処理液を蒸留し、適当な濃度に濃縮した後、冷却、又は濃縮により析出させる方法で回収してもよい。また、イオン交換処理液を完全に乾固させることにより多価カルボン酸混合物を回収することもできる。
【0048】
以上説明した製造方法により得られる多価カルボン酸混合物又はその塩に対し、主成分として含まれる1,3,6−ヘキサントリカルボン酸又はその塩の純度及びさらなる低色相を実現させる目的で、水、有機溶媒、又はこれらの混合物からなる溶媒に溶解し、冷却したり、濃縮させることにより結晶を析出させる晶析法を用いて精製を行うことも可能である。
晶析に用いる有機溶媒としては、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテルなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸メチル、酢酸エチルなどの酢酸エステル類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのカーボネート類、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、トルエン、キシレン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサンなどの炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、酢酸、プロピオン酸などのカルボン酸類などを単独又は1種以上用いることが可能である。
【0049】
晶析を行う場合、沸点以下の温度で上記方法により得た多価カルボン酸混合物又はその塩を均一に溶解し、冷却又は濃縮することにより結晶を析出させる方法、溶解性の高い溶媒、例えば、アセトンなどに溶解し、溶解性の低い溶媒、例えばtert−ブチルメチルエーテルなどに該アセトン溶液を導入しそのままの温度、あるいは冷却、濃縮により結晶を析出させる方法を用いることも可能である。
【0050】
上記の方法などにより生じた結晶は、ろ過により回収することが可能である。ろ過方法は限定されるものではなく、加圧ろ過、減圧濾過、遠心分離、圧搾などの方法を利用することが望ましい。
晶析操作を行うことにより、色相を改善させることが可能である。例えば、水で晶析させることにより晶析前にクロマネティクス指数b値が0.25であったものが、晶析後に0.1以下低減させることができる。さらに晶析を行うことで色相熱安定性も向上する。
【0051】
次に本発明の洗剤用添加剤である多価カルボン酸混合物の塩について説明する。
本発明の1,3,6−ヘキサントリカルボン酸の塩は、分子内に有する3つのカルボキシル基の水素原子の少なくとも1つがナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウムに置換されている。また、置換された部分は同種、又は異種の何れでも構わない。
塩の製法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、アルカリによって中和し、必要な各塩基度の塩を形成せしめることが好ましい。該トリカルボン酸は異なった強さの3つのカルボキシル基を有するために、モノ塩、ジ塩、トリ塩をそれぞれに、また混合物を調製することは容易である。これらはそのpHを追跡することによって確認できる。
【0052】
また、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸の2個のカルボキシル基を塩に変換し、残りの1個のカルボキシル基を用いてエステル結合にて長鎖アルキル基やポリエーテル鎖等を結合させたものも好ましい。また、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸の1個のカルボキシル基を塩に変換し、他の2個のカルボキシル基を用いてエステル結合にて長鎖アルキル基やポリエーテル鎖等を結合させたものも好ましい。これらの混合物も好ましい。さらに1,3,6−ヘキサントリカルボン酸の全カルボキシル基がエステル結合にて長鎖アルキル基やポリエーテル鎖等を有するものが含まれていることも好ましい。
【0053】
本発明の洗剤用添加剤と組み合わせて使用する洗剤自体は通常使用されている洗剤の任意のもので良い。一般的に従来公知の天然、及び合成の非イオン系、アニオン系、カチオン系、及び両性洗剤の中から任意に選ぶことができる。ごくそのうちの一部の代表例を挙げると非イオン系としてノニルフェノールとエチレンオキサイドの縮合物、またアニオン系としては普通の石鹸、またアルキルスルホン酸塩、硫酸塩などがある。
【0054】
本発明の添加剤を配合して得られる洗剤組成物は固体、又は液体の何れの形状でも良い。添加剤の使用量は使用目的により異なるが、全固形分に対して、通常1〜90重量%、好ましくは5〜70重量%の割合である。
洗剤自身のほかに光学的漂白剤、フォーム安定剤、脱泡剤、汚れ懸濁剤、酵素、漂白剤、香料、着色料などとの併用ができる。
次に実施例を挙げて本発明を説明する。本発明で使用する測定法は、以下のとおりである。
【0055】
[トリニトリルの測定法]
トリニトリル混合物の純度は、ガスクロマトグラフィーの測定及びゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPC、という)による測定により求める。トリニトリル混合物に含有されるアクリロニトリルの4量体以上の高分子量体含有率はGPCにより求める。色相は、透過法によるUV測定から求める。各測定は以下の装置及び条件で行う。
ガスクロマトグラフィー測定:
装置:(株)島津製作所製GC−14B
カラム:GL Science Inc.製 キャピラリーカラム
TC−1(0.25mmI.D.、長さ30m)
キャリアガス:He
検出:FID
カラム温度条件:120℃から20℃/minで200℃まで昇温し、5分間保持した後、10℃/minで250℃まで昇温させ10分間保持
試料溶解溶媒:アセトン
【0056】
GPC測定:
各化合物2.0mgをテトラヒドロフラン2.0gに溶解し、0.5μmフィルターで濾過を行い、下記の条件で展開、検出することにより分析を行う。
測定装置:東ソー(株)製HLC−8120GPC
検出器 :RI
展開液 :テトラヒドロフラン
展開液流速:1.0ml/min
カラム :東ソー社(株)製TSKgel(商標)GMHHR−N、1本及びG1000HXL、2本とを直列に設置
カラム温度:40℃
【0057】
色相の測定法:
トリニトリル混合物0.400gをホールピペットで定量されたジエチレングリコールエーテル4.0mlに溶解し、下記の透過法によりUV測定を行い、得られる三刺激値からハンターの式にしたがいL値、a値、及びb値を求める。
測定装置:(株)島津製作所製UV2500PC
サンプルセル:石英製、外寸12.4mm×12.4mm×高さ45mm、光路長10.0mm
ジエチレングリコールジメチルエーテル:和光純薬社製 特級試薬
測定温度:25±2℃
波長範囲:380〜780nm
波長送り速度:低速レンジ(約140nm/分)
【0058】
[多価カルボン酸混合物の測定法]
〔1,3,6−ヘキサントリカルボン酸と3−カルボキシメチル−1,5−ペンタンジカルボン酸の合計〕、アジピン酸、RI検出成分の含有率測定
装置:(株)島津製作所製LC−10A
カラム:(株)島津製作所製 Shim−Pack SCR−101H
7.9mmI.D. x 30cmを1本
検出器:示差屈折率計(RI)
サンプル液:多価カルボン酸混合物0.020gを蒸留水2.0mlに溶解
展開液:過塩素酸でpH2.2〜2.4の範囲(25℃におけるpH)
カラム温度:40℃
展開液流速:1.0ml/min
過塩素酸:和光純薬(株)社製60%濃度(精密分析用)
【0059】
1,3,6−ヘキサントリカルボン酸と3−カルボキシメチル−1,5−ペンタンジカルボン酸の含有率測定
装置:(株)島津製作所製LC−6A
カラム:日本分光株式会社製 Finepak SIL−C18S
4.6mmI.D. x 150mmを1本
検出器:UV計(214nm)
サンプル液:多価カルボン酸混合物0.020gを蒸留水2.0mlに溶解
展開液:蒸留水990wt、アセトニトリル10wt、85%リン酸4wt
(展開液のpH約2.3)
カラム温度:40℃
展開液流速:1.2ml/min
色相の測定法:
多価カルボン酸混合物0.400gをホールピペットで定量された蒸留水4.0mlに溶解し、下記方法の透過法によりUV測定を行う。得られる三刺激値からハンターの式にしたがい、L値、a値及びb値を求める。
測定装置:(株)島津製作所製UV2500PC
サンプルセル:石英製、外寸12.4mm×12.4mm×高さ45mm、光路長10.0mm
蒸留水:和光純薬(株)製
測定温度:25±2℃
波長範囲:380〜780nm
波長送り速度:低速レンジ(約140nm/分)
【0060】
【実施例1】
〔トリニトリル混合物(C)の調製〕
単一電解槽は、1cm×90cmの通電面を有する鉛合金を陰極とし、同じ通電面を有する炭素鋼を陽極として用い、陽極と陰極を2mmの間隔で保った。電解液は、10質量部の油相及び90質量部の水相でエマルジョンをなしており、水相の組成は、アクリロニトリル約2.0質量%、KHPO約10質量%、K約3質量%、エチルトリブチルアンモニウムエチル硫酸塩0.3質量%、及び若干のアジポニトリル、プロピオニトリル及び1,3,6−トリシアノヘキサンを含んだ水溶液であり、リン酸でpHを約8に調整した。油相は水相と溶解平衡をなしており、その組成はアクリロニトリル約28質量%、アジポニトリル約62質量%である。
【0061】
このエマルジョンを、電解面で線速1m/secになるように単一電解槽に循環供給し、電流密度20A/dm、50℃で電解を行った。電解を始めると同時に、電解液タンクから油水分離器に送られたエマルジョンの水相を、約50℃に保温したイミノジ酢酸タイプのキレート樹脂(バイエル(株)製、Lewatit TP207(商標))K型200CCで、6CC/(1時間当たりのアンペア数)AHの割合で処理を始め、電解液タンクに循環した。
【0062】
同時に油相を連続的に抜き出し、前記電解液組成を保つようにアクリロニトリル及び水を連続的に添加し、油相に溶解して抜き出されたエチルトリブチルアンモニウムエチル硫酸を随時添加した。
このようにして2000時間電解を行った結果、初期電解電圧は3.9Vで安定に推移し、発生ガスに含まれる水素は電解終了時で0.16vol%であり、陰極の消耗速度は0.21mg/AH、陽極の消耗速度は0.23mg/AHであり、不均一の陽極腐食物はまったくなかった。消費アクリロニトリルに対するアジポニトリルの収率は90%、1,3,6−トリシアノヘキサンの収率は7.5%であった。
【0063】
次に、上記電解で得られた油相を集め、水抽出処理を行い、アクリロニトリル、プロピオニトリル及び水を蒸留除去し、次いで、減圧蒸留によりアジポニトリルを除去した。この残差中のアジポニトリルは11.5質量%であった。
この残渣液からのアジポニトリルの除去は、径32mmφ、実段数5段の真空外套付蒸留塔を用いて、アジポニトリルを主成分として含む留分をバッチ蒸留し、真空度2.0mmHgで塔頂温度120〜210℃までの留分を初留カットすることによって蒸留残渣(A)を得た。
【0064】
この蒸留残渣(A)は、アジポニトリル4.0質量%、1,3,6−トリシアノヘキサン84.5質量%、3−シアノメチル−1,5−ジシアノペンタン5.0質量%、及び高分子量体6.5質量%からなるトリニトリル化合物を主成分とするトリニトリル混合物(B)であった。
この蒸留残渣(A)からのトリニトリル混合物の単離を、スミス式実験室用分子蒸留装置(神鋼ファウドラー(株)製、2型、電熱面積0.032m、ガラス製)を用いて行った。真空度0.1mmHg、外壁面加熱温度180℃、蒸留残渣(A)の供給速度2g/minで操作した。供給量2000g、蒸留物量1150g、蒸留残渣900gであった。蒸留液は、組成が1,3,6−トリシアノヘキサン93.3質量%、3−シアノメチル−1,5−ジシアノペンタン5.8質量%、及びアジポニトリル0.9質量%からなる黄色のトリニトリル混合物(C)であった。
上記で得られたトリニトリル混合物(C)の色相を測定した結果、L値は98.2、a値は−1.18、b値は3.68であった。
【0065】
〔加水分解工程〕
還流冷却器を取り付けた内容量1リットルの攪拌装置付四つ口フラスコに、上記トリニトリル混合物(C)161g(1.0モル)を、20%苛性ソーダ水溶液780g(3.9モル)とともに24時間加熱還流を行って加水分解した。室温まで冷却し、加水分解反応液(D)を916g得た。
【0066】
〔固体吸着剤処理工程〕
上記加水分解反応液(D)916gを、氷で氷冷しながら液温が20℃を超えないように36%HClでpHを7とし、中和反応液(E)1072gを得た。次いで、中和反応液(E)に活性炭(白鷺A(商標)、武田薬品工業製)28.2gを加え、室温で1時間攪拌を行った。ろ過により活性炭を除去し、透明な脱色反応液(F)1065gを得た。
【0067】
〔pH調整工程〕
上記脱色液(F)1065gを、スチレン系陽イオン交換樹脂(アンバーリスト(商標)15WET、ロームアンドハース(株)製)を4000ml充填したカラムに通液し、さらに蒸留水でイオン交換されたものをカラムから排出させ、得られた溶液(pH=2.3)を1μmのTFEのフィルターでろ過後、ロータリーエバポレーターにて90℃で水を除去し、残渣を40℃で減圧下完全に乾燥させ無色の多価カルボン酸混合物を200.6g得た。
【0068】
得られた多価カルボン酸混合物0.400gを蒸留水4.0mlで溶解し、色相測定したところ、Lは99.86、aは0.00、bは0.25であった。
得られた多価カルボン酸混合物0.020gを蒸留水2.0mlで溶解し、液体クロマトグラフィーで測定したところ、RIにおける全面積に対するリテンションタイム10.00〜11.20minの間で検出される1,3,6−ヘキサントリカルボン酸及び他の多価カルボン酸のピークの合計面積が98.2%であった。
【0069】
〔晶析工程〕
上記の多価カルボン酸混合物100gを300mlナスフラスコに入れ、蒸留水100gで70℃において均一になるまで溶解した。静置した状態で25℃まで冷却した。25℃で放置し結晶が析出した時点から2℃/hrの速度で温度を下げ、最終的に1℃まで下げた。1℃まで下げる過程で適宜容器を振とうさせた。生じた結晶を200メッシュの濾布に入れ、遠心ろ過機により3000rpmでろ過を行い無色の多価カルボン酸混合物を81.3g得た。
【0070】
得られた多価カルボン酸混合物0.020gを蒸留水2.0mlで溶解し、液体クロマトグラフィーで測定したところ、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸99.5質量%、アジピン酸0.2質量%、3−カルボキシメチル−1,5−ペンタンジカルボン酸0.2質量%、RI検出成分0.1質量%であった。
また、得られた多価カルボン酸混合物0.400gを蒸留水4.0mlで溶解し、色相測定したところ、Lは99.61、aは−0.03、bは0.02であった。
【0071】
このようにして得られた多価カルボン酸混合物を水に溶かし、カルボン酸基と当量の水酸化ナトリウムの添加となるように、水酸化ナトリウム水溶液を添加した。その後、ロータリーエバポレーターにて90℃で水を除去し、残渣を40℃で減圧下完全に乾燥させてトリカルボン酸トリナトリウム塩を得た。
続いてやし油脂肪酸石鹸のチップ20gと該トリカルボン酸トリナトリウム塩20gとをよく混練した後水60gへ溶解させた。得られた溶液をガラス製容器に入れ、蓋をした後、昼夜5日間、光の良くあたる室外に置き、積算照度計で50000カウント経過するまで放置した。保存後の洗剤組成物の外観を観察したところ、変色は観測されなかった。
また、生分解性評価として、JIS規格K6950に準じて、洗剤の活性汚泥による28日間の分解率を測定したところ、トリカルボン酸塩の生分解率はほぼ100%であった。
【0072】
【比較例1】
従来の多価カルボン酸混合物の例として、実施例1において得られた加水分解反応液(D)を用いて、氷冷下で塩酸を添加してpHを2.3に調整した。次いで、50℃以下で減圧下にて、水を留去し、乾燥を行った。得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテルを添加して、トリカルボン酸の溶媒抽出を行い、ろ過により塩を除去した。ろ液を無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、ろ過により沈殿物を除去し、得られたろ液を減圧下にて、溶媒を留去し、乾燥して多価カルボン酸混合物を得た。
【0073】
得られた多価カルボン酸混合物0.020gを蒸留水2.0mlで溶解し、液体クロマトグラフィーで測定したところ、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸95.5質量%、アジピン酸0.4質量%、3−カルボキシメチル−1,5−ペンタンジカルボン酸2.0質量%、RI検出成分2.1質量%であった。
また、得られた多価カルボン酸混合物0.400gを蒸留水4.0mlで溶解し、色相測定したところ、Lは95.23、aは0.60、bは9.17であった。
次に、このようにして得られた多価カルボン酸混合物を用いて実施例1と同様に実施した。光を照射した後の外観を観測したところ着色が観測された。
【0074】
【比較例2】
トリカルボン酸塩を共存させないで、やし油脂肪酸石鹸のチップ20gを水80gに溶解させようとしたところゲルを生成し、洗剤溶液が得られなかった。
【0075】
【実施例2】
実施例1の多価カルボン酸混合物を用いて、1,3,5−ヘキサントリカルボン酸の1個のカルボキシル基を当量の水酸化ナトリウムで反応させて、1,3,5−ヘキサントリカルボン酸モノナトリウム塩を得た。
耐圧容器に1,3,5−ヘキサントリカルボン酸モノナトリウム塩72gを入れ、窒素置換した後、エチレンオキサイド132gを導入した。70℃にて重合反応を行い、ポリエチレングリコール鎖を有する1,3,6−ヘキサントリカルボン酸ジエステルモノナトリウム塩を得た。
【0076】
得られたトリカルボン酸ジエステルモノナトリウム塩10重量部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム塩5重量部、水85重量部を混ぜて洗剤とした。
銅板に汚垢として脂肪酸を付着して洗浄試験を行い、汚垢除去率は良好であった。また、得られた溶液をガラス製容器に入れ、蓋をした後、昼夜5日間、光の良くあたる室外に置き、積算照度計で50000カウント経過するまで放置した。保存後の洗剤組成物の外観を観察したところ、変色は観測されなかった。
さらに、やし油脂肪酸石鹸のチップ20gと上記トリカルボン酸ジエステルモノナトリウム塩20gとをよく混練した後水60gへ溶解させたところ、ゲル化しなかった。
【0077】
【比較例3】
実施例2において、比較例1の多価カルボン酸混合物を用いた以外は同様に実施した。光を照射した後の外観を観測したところ着色が観測された。
【0078】
【実施例3】
実施例1の多価カルボン酸混合物を用いて、1,3,6−トリカルボン酸に対して10当量のドデシルアルコールを添加し、窒素雰囲気下で150℃、2時間加熱した。減圧下で未反応のドデシルアルコールを留去した後、得られた残渣10重量部に対して、使用した1,3,6−トリカルボン酸に対して1当量の水酸化ナトリウムを含む水溶液90重量部を添加して、超音波にて分散させ、洗剤とした。
銅板に汚垢として脂肪酸を付着して洗浄試験を行い、汚垢除去率は良好であった。また、得られた溶液をガラス製容器に入れ、蓋をした後、昼夜5日間、光の良くあたる室外に置き、積算照度計で50000カウント経過するまで放置した。保存後の洗剤組成物の外観を観察したところ、変色は観測されなかった。
さらに、上記の洗剤80gにやし油脂肪酸石鹸のチップ20gを溶解させたところ、ゲル化しなかった。
【0079】
【比較例4】
実施例3において、比較例1の多価カルボン酸混合物を用いた以外は同様に実施した。光を照射した後の外観を観測したところ着色が観測された。
【0080】
【発明の効果】
本発明の洗剤用添加剤及び組成物によれば、洗剤に添加することにより、水に対する溶解度を増大せしめ、固形分含有量を増大させる洗剤用添加剤であって、且つ、それを含んで成る、色相安定性が向上した洗剤組成物を提供することができる。

Claims (4)

  1. 1,3,6−ヘキサントリカルボン酸の含有量が80質量%以上、アジピン酸の含有量が10質量%以下、3−カルボキシメチル−1,5−ペンタンジカルボン酸の含有量が10質量%以下、RI検出成分の含有率が0.5質量%以下から成る多価カルボン酸混合物から得られる塩より成る洗剤用添加剤であって、多価カルボン酸混合物0.400gを4.0mlの蒸留水に溶解した水溶液の明度指数L値が98以上、クロマネティクス指数のa値が−2.0〜2.0、b値が−2.0〜3.0であることを特徴とする洗剤用添加剤。
  2. 1,3,6−ヘキサントリカルボン酸の少なくとも1個のカルボキシル基が塩であり、且つ、少なくとも1個のカルボキシル基が長鎖アルキル基、及び/又はエーテル基を有するエステル基に変換されていることを特徴とする請求項1記載の洗剤用添加剤。
  3. 多価カルボン酸混合物が、アクリロニトリルの電解還元反応により得られる1,3,6−トリシアノヘキサンを主成分とするトリニトリル混合物の溶液を加水分解して、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸を主成分とする混合物、又はその塩の混合物の溶液を得る工程、次いで固体吸着剤で処理する工程、更に、処理液のpHが3以上の場合、pHを3未満に調整する工程を含んで調製されることを特徴とする請求項1または2記載の洗剤用添加剤。
  4. 請求項1乃至3記載の洗剤用添加剤と、天然、及び合成の非イオン系、アニオン系、カチオン系、及び両性洗剤の中から少なくとも1種の洗剤とを含んで成ることを特徴とする洗剤組成物。
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