JP4279087B2 - 電解コンデンサ用電解液 - Google Patents
電解コンデンサ用電解液 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4279087B2 JP4279087B2 JP2003298664A JP2003298664A JP4279087B2 JP 4279087 B2 JP4279087 B2 JP 4279087B2 JP 2003298664 A JP2003298664 A JP 2003298664A JP 2003298664 A JP2003298664 A JP 2003298664A JP 4279087 B2 JP4279087 B2 JP 4279087B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- acid
- salt
- mass
- electrolytic
- solution
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
Description
このような電解コンデンサにおいて、使用電圧が400Vクラスの電解コンデンサ用電解液としては、エチレングリコールを溶媒とし、1,6−デカンジカルボン酸またはその塩を溶質として用いるもの(特許文献1参照)や同様にエチレングリコールを溶媒とし、1,9−ノナンジカルボン酸またはその塩を溶質として用いるもの(特許文献2参照)が公知である。
また、1,9−ノナンジカルボン酸を含む電解液にあっては、火花電圧が低く、使用電圧が400Vの電解コンデンサを製品化することが困難なものとなっている。
特許文献4には3級の二塩基酸を用いて、また、特許文献5では主鎖にメチル置換基を有する二塩基酸およびその塩や、主鎖のメチル置換基と共に分子内に3個のカルボン酸基を有する酸およびその塩を用いて、高温中においても特性を安定できるという長寿命化が述べられているが、この場合は電導度が高くできないという問題があった。
すなわち、本発明は、
[1] 1,3,6−ヘキサントリカルボン酸またはその塩を含んでなることを特徴とする電解コンデンサ用電解液、
[2] 1,3,6−ヘキサントリカルボン酸またはその塩を含み、更に脂肪族二塩基酸またはその塩を含んでなることを特徴とする[1]記載の電解コンデンサ用電解液、
[4] 1,3,6−ヘキサントリカルボン酸またはその塩が、その10質量%水溶液の明度指数L値が98以上、クロマネティクス指数のa値が−2.0〜2.0、b値が−2.0〜3.0であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の電解コンデンサ用電解液、
である。
本発明で用いる1,3,6−ヘキサントリカルボン酸またはその塩は、製造方法に限定はないが、アクリロニトリルの電解還元反応により得られるものが好ましい。
アクリロニトリルを電解還元反応させると、主生成物であるアジポニトリルの他に、各種のニトリル化合物が生成する。この反応溶液中には、未反応のアクリロニトリルも含まれる。また、プロピオニトリル、α−メチルグルタロニトリル、ヒドロキプロピオニトリル、サクシノニトリル、アクリロニトリルの3量体、さらにはアクリロニトリルが4量体以上となった高分子量体等の副生物も含まれる。ところで、アクリロニトリルの電解還元反応において、1,3,6−トリシアノヘキサンを主成分とするアクリロニトリルの3量体や、4量体以上の高分子量体が副生し、得られることは、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.)、30(5)1351(1965)に記載されている。
各種のニトリル化合物からなる混合物から、例えば、減圧蒸留等により、アクリロニトリルやアジポニトリル等のトリニトリル成分に対して低沸点成分と、必要に応じて、アクリロニトリルの4量体以上の高分子量体を除去した後の、アクリロニトリルの3量体であるトリニトリル化合物を主成分とした混合物を、本発明においてはトリニトリル混合物という。いうまでもなく、この低沸点成分を除去したトリニトリル混合物中には、高沸点成分と共に、上記の操作で除去されなかった低沸点成分が残留していてもよいし、また、低沸点成分と共に4量体以上の高分子量体を除去したトリニトリル混合物中に、除去操作で除き切れなかった低沸点成分、高沸点成分が残留していてもよい。
以下、アクリロニトリルの電解還元反応について説明する。
アクリロニトリルの電解還元反応は、アクリロニトリルを原料とし、1対の陰極と陽極とが陽イオン交換膜で仕切られた陰極室と陽極室とからなる、いわゆる隔膜電解槽を用いて得られる他、イオン交換膜のない単一電解槽を用いても得ることができる。これらの電解法は、例えば、特公昭45−24128号公報、特開昭59−59888号公報、特開昭59−185788号公報等に開示されている。
隔膜としては、一般に陽イオン交換膜が用いられ、陽極液として硫酸水溶液が用いられる。陰極液は、その反応中はアクリロニトリル、アジポニトリル、トリニトリル化合物、その他の副生物、水および電導性支持塩からなり、油相と水相に分離したエマルジョンになるか、アクリロニトリルが過剰になることによって均一溶液になっているか、いずれかの状態である。
(式中、R1、R2、R3は炭素数1〜5のアルキル基、R4は炭素数1〜16のアルキル基、X−は硫酸、炭酸、アルキル硫酸、リン酸等のアニオン、又は有機酸、有機多価酸の残基である。)
陰極液のpHは、通常5〜12の範囲にある。
電解還元反応時における電槽内の陽極液や陰極液等の電解液の温度は、通常、40〜60℃の範囲であり、電流密度は、陰極表面1dm2あたり、通常、5〜50アンペアの範囲である。陰極と陽極の距離は、隔膜を介して、通常、1〜20mmであり、陰極液、陽極液をそれぞれ、通常、0.1〜10.0m/秒の線速度で通過させる。
すなわち、電解還元反応終了後の電解液が油水のエマルジョンになっている場合、未反応のアクリロニトリル及び副生物のプロピオニトリル等の低沸点成分を蒸留除去後、エマルジョン破壊を行い、油水の2層に分離する。水層には無機物や4級アンモニウム塩が分配し、油層には若干の水、低沸分、アジポニトリル、トリニトリル化合物、及びその他の高沸点成分が分配する。
それぞれの場合とも、アジポニトリル等の、トリニトリル成分に対して低沸点成分を、例えば、一般的な蒸留法等により除去することによって、トリニトリル化合物を含む高沸点成分残渣が得られる。本発明において、該電解液中に含まれるトリニトリル成分に対して低沸点成分を除去する操作は、このような操作により低沸点成分を除去することであり、前述のように、トリニトリル化合物を含む高沸点成分残渣中には、低沸点成分の除去操作によっても除去されなかったアジポニトリル等の低沸点成分をはじめ、アクリロニトリルの4量体以上の高沸物が含まれる。
本発明の1,3,6−ヘキサントリカルボン酸は、上記のトリニトリル混合物を、アルカリまたは酸と、水やアルコールの存在下で加水分解して得られるものであることが好ましい。
加水分解に用いられるアルカリは、水溶液においてアルカリ性を示す化合物であり、例えば、アルカリ金属系化合物、アルカリ土類金属系化合物、窒素系化合物等が挙げられる。
アルカリ金属系化合物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウムなどのアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ルビジウム、炭酸水素セシウムなどのアルカリ金属炭酸水素塩、重炭酸リチウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸ルビジウム、重炭酸セシウムなどのアルカリ金属重炭酸塩、カリウムブトキシド、カリウムエトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムブトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムメトキシド、リチウムブトキシド、リチウムエトキシド、リチウムメトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド等が挙げられる。
これらアルカリは単独で用いてもよく、また2種以上で用いてもよい。
加水分解に用いられる酸は、水溶液で酸性を示す化合物であり、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸や各種カルボン酸やスルホン酸系の有機酸が挙げられる。
加水分解でアルカリを水溶液として使用するときのアルカリ水溶液の濃度は、本発明においては、特に制限はないが、通常、1〜50質量%の範囲である。例えばアルカリとして水酸化ナトリウムを用いて、大気圧下で加水分解を行う場合は、2〜40質量%の範囲が好ましく、より好ましくは10〜30質量%の範囲である。
酸を用いて加水分解する場合、その濃度は酸の種類によって異なるが、通常、1〜98質量%範囲である。例えば、塩酸の場合2〜37質量%の範囲が好ましく、より好ましくは20〜37%の範囲である。塩酸の場合、37質量%を越えると工業的に入手が困難となる。硫酸の場合は2〜85質量%の範囲が好ましく、より好ましくは20〜60質量%である。
反応温度は、アルカリ、酸いずれの場合も、通常、50〜250℃、好ましくは80〜140℃の範囲である。反応温度が50℃未満では反応速度が遅く、250℃を越えると分解等の副反応を併発する傾向にある。反応時間は、通常、1〜200時間の範囲である。反応時の圧力には制限は無く、加圧下、大気圧下、さらには減圧下でおこなってもよい。
本発明においては、加水分解は、1段の反応で行ってもよく、例えば、アルカリによる加水分解後、反応系内に中間体としてアミド化合物が存在する場合には、引き続き他のアルカリや酸を用いて加水分解を行ってもよい。
L=10Y0.5
a=17.5(1.02X−Y)/Y0.5
b=7.0(Y−0.847Z)/Y0.5
(式中、X、Y、及びZはXYZ系における三刺激値である)
該低色相の1,3,6−ヘキサントリカルボン酸またはその塩は、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸またはその塩と溶媒からなる溶液を固体吸着剤で処理することにより製造される。
固体吸着剤の使用量は、本発明の低色相の1,3,6−ヘキサントリカルボン酸またはその塩が得られる範囲であれば限定はないが、通常、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸またはその塩100質量部に対し、固体吸着剤を0.01〜500質量部、好ましくは0.1〜100質量部、より好ましくは0.1〜50質量部の範囲である。0.01質量部未満では十分な脱色効果が得られず、500質量部を越えると十分な脱色効果が得られるものの、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸またはその塩の収率が低下する傾向にある。
pHを調整する方法には制限はなく、例えば、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸、酢酸、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸などの有機酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物等を添加する方法や、各種イオン交換樹脂と接触させる方法等により実施することができる。
固体吸着剤による処理時の濃度にも限定はないが、通常、0.02〜2.0mol/L、好ましくは0.1〜1.5mol/Lの範囲である。0.02mol/L未満では処理量が多くなって溶液から回収が難しく、収率が低下する。2.0mol/Lを超える範囲では1,3,6−ヘキサントリカルボン酸またはその塩からなる混合物が析出し固体吸着剤による着色物の吸着が不十分となる。
以上説明した固体吸着剤を用いた処理を行った後の、用いた固体吸着剤を分離除去する方法は任意であって制限はなく、濾過法等の公知の一般的方法を実施することができる。
このようにして得られた色相の良い、高純度の1,3,6−ヘキサントリカルボン酸またはその塩は、必要量の塩基を添加してカルボン酸塩に変換して電解質として用いても良いし、次に述べるように塩の状態を酸に変換して電解質として使用しても良い。さらに得られた酸に塩基を添加して、塩にした後、電解質として使用しても良い。
抽出液を無水硫酸マグネシウムなどの乾燥剤により乾燥後ろ過によりろ液を回収し溶媒を蒸留し完全に乾固させることで多価カルボン酸混合物を回収することができる。
陽イオン交換樹脂によりカルボン酸化した場合は、イオン交換処理後の処理液を蒸留し、適当な濃度に濃縮した後、冷却、又は濃縮により析出させる方法で回収してもよい。また、イオン交換処理液を完全に乾固させることにより多価カルボン酸混合物を回収することもできる。
以上説明した製造方法により得られた1,3,6−ヘキサントリカルボン酸またはその塩をさらに色相を改善するために、水、有機溶媒、又はこれらの混合物からなる溶媒に溶解し、冷却したり、濃縮させることにより結晶を析出させる晶析法を用いて精製を行うことも可能である。
上記の方法などにより生じた結晶は、ろ過により回収することが可能である。ろ過方法は限定されるものではなく、加圧ろ過、減圧濾過、遠心分離、圧搾などの方法を利用することが望ましい。
本発明の1,3,6−ヘキサントリカルボン酸またはその塩は、色相を改善したものを用いることが好ましい。色相を改善したものを用いることによって、安定した性能を示すようになり、長寿命化が達成される。すなわち、本発明の1,3,6−ヘキサントリカルボン酸またはその塩0.400gを4.0mlの蒸留水で溶解し水溶液として、25℃において測定された明度指数L値は98以上、クロマティクネス指数のa値は−2.0〜2.0、b値は−2.0〜3.0であることが好ましい。
L=10Y0.5
a=17.5(1.02X−Y)/Y0.5
b=7.0(Y−0.847Z)/Y0.5
(式中、X、Y、及びZはXYZ系における三刺激値である)
本発明に係る電解コンデンサ用電解液の組成中、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸またはその塩の添加量は1〜30質量%が好ましく、より好ましくは2〜20質量%、特に好ましくは3〜15質量%、最も好ましくは3〜10質量%である。1質量%以上であれば十分な電導度が得られ、また、30質量%以下であれば、火花電圧の低下が発生することがなく好ましい。
塩としてはアンモニウム塩の他、メチルアミン、エチルアミン、t−ブチルアミン等の一級アミン塩、ジメチルアミン、エチルメチルアミン、ジエチルアミン等の二級アミン塩、トリメチルアミン、ジエチルメチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエチルアミン等の三級アミン塩、テトラメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等の四級アンモニウム塩等を例示することができる。
カルボン酸の塩の調製は、特に限定されるものではないが、カルボン酸に対して当量よりやや過剰のアンモニア水、アミン、あるいは、テトラアルキルアンモニウムハイドロオキサイドにて中和後、減圧乾燥することにより水分を除去して調製するのが好ましい。
脂肪族二塩基酸としては、アゼライン酸、アジピン酸、セバシン酸、1,6−デカンジカルボン酸、5,6−デカンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸等を例示することができる。これらの二塩基酸は分子内にアルキル置換基を1個または複数有していることも好ましい。特に好ましいものは1,10−デカンジカルボン酸である。該脂肪族二塩基酸の塩としては、上述の1,3,6−ヘキサントリカルボン酸の塩の場合と同じ塩が用いられ、アンモニウム塩の他、メチルアミン、エチルアミン、t−ブチルアミン等の一級アミン塩、ジメチルアミン、エチルメチルアミン、ジエチルアミン等の二級アミン塩、トリメチルアミン、ジエチルメチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエチルアミン等の三級アミン塩、テトラメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等の四級アンモニウム塩等を例示することができる。
本発明に係る電解液において、主溶媒はエチレングリコールが好ましい。該主溶媒のエチレングリコールに対して、ジエチレングリコール、ヘキシレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、メチルカルビトール、エチレンカルビトール、ブチルカルビトール、メチルジグライム、エチルジグライム、ブチルジグライムまたはポリエチレングリコールなどを加え、混合溶媒とすることもできる。
本発明に係る電解液においては、その他の多価アルコール類を添加することも好ましい。その他の多価アルコール類の量は5質量%以下であることが好ましい。5質量%を超えると電導度を低下させてしまう。その他の多価アルコール類は火花電圧の向上のため、硼酸と組み合わせて使用するのが好ましい。該多価アルコール類としてはマンニット、ソルビット、キシリットおよびエリトットなどを例示することができる。
発明の1,3,6−ヘキサントリカルボン酸またはその塩は、高電導性、高火花電圧と優れるが、色相が向上したものは、さらに長寿命化できる。
1,3,6−ヘキサントリカルボン酸またはその塩を含んだ電解液を用いることにより、電解液の火花電圧の著しい低下を招くことなく、電導度を向上することができる。さらに、上述したエチレングリコールを主溶媒とし、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸またはその塩に、脂肪族ニ塩基酸またはその塩を混合して使用することにより、高い電導度を維持したまま、電解液の火花電圧の低下を抑制できる。さらに、色相が改善された1,3,6−ヘキサントリカルボン酸またはその塩を用いることで長寿命化できる。
まず、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸およびその塩の調製を行った。
[製造例1]
低色相1,3,6−ヘキサントリカルボン酸およびその塩の調製
単一電解槽として、1cm×90cmの通電面を有する鉛合金を陰極とし、同じ通電面を有する炭素鋼を陽極として用い、陽極と陰極を2mmの間隔で保った。電解液は10質量部の油相及び90質量部の水相でエマルジョンをなしており、水相の組成は、アクリロニトリル約2.0質量%、K2HPO4約10質量%、K2B4O7約3質量%、エチルトリブチルアンモニウムエチル硫酸塩0.3質量%、若干のアジポニトリル、プロピオニトリル及び1,3,6−トリシアノヘキサンを含んだ水溶液であり、リン酸でpHを約8に調整した。油相は水相と溶解平衡をなしており、その組成はアクリロニトリル約28質量%、アジポニトリル約62質量%である。
同時に油相を連続的に抜き出し、前記電解液組成を保つようにアクリロニトリル及び水を連続的に添加し、油相に溶解して抜き出されたエチルトリブチルアンモニウムエチル硫酸を随時添加した。
次に、上記電解で得られた油相を集め、水抽出処理を行い、アクリロニトリル、プロピオニトリル及び水を蒸留除去し、次いで、減圧蒸留によりアジポニトリルを除去した。この残差中のアジポニトリルは11.5質量%であった。
この蒸留残渣は、アジポニトリル4.0質量%、1,3,6−トリシアノヘキサン84.5質量%、3−シアノメチル−1,5−ジシアノペンタン5.0質量%、及び高分子量体6.5質量%からなるトリニトリル化合物を主成分とするトリニトリル混合物であった。
次に還流冷却器を取り付けた内容量1リットルの攪拌装置付四つ口フラスコに、上記で得たトリニトリル混合物161g(1.0モル)を、20%苛性ソーダ水溶液780g(3.9モル)とともに24時間加熱還流を行って加水分解した。室温まで冷却し、加水分解反応液を916g得た。
このようにして得られた透明な脱色反応液をスチレン系陽イオン交換樹脂(アンバーリスト(商標)15WET、ロームアンドハース(株)製)を4000ml充填したカラムに通液し、さらに蒸留水でイオン交換されたものをカラムから排出させ、得られた溶液を1μmのTFEのフィルターでろ過後、ロータリーエバポレーターにて90℃で水を除去し、残渣を40℃で減圧下完全に乾燥させ無色の1,3,6−ヘキサントリカルボン酸を200.6g得た(収率92%)。得られた1,3,6−ヘキサントリカルボン酸0.400gを蒸留水4.0mlで溶解し、色相測定したところ、Lは99.86、aは0.00、bは0.25であった。
また、カルボン酸の塩は、カルボン酸に対して当量よりやや過剰のアンモニア水にて中和後、減圧乾燥することにより水分を除去して使用した。
従来の製法による1,3,6−ヘキサントリカルボン酸およびその塩の調製
還流冷却器を取り付けた1L四ッ口フラスコに、参考例1で調製したトリニトリル混合物20.0g(0.124モル)、20%水酸化ナトリウム水溶液130.0g(0.707モル)、テフロン(登録商標)コートされた回転子を入れてマグネティックスターラーを用いて撹拌しつつ加熱還流により5時間反応させた。混合物の冷却後、氷で冷却しながら、濃硫酸68.7g(0.70モル)を滴下した。この場合、反応混合物の温度は、20℃を超えないようにした。次いで、反応混合物を3回、それぞれtert−ブチルメチルエーテル50mlで抽出し、エーテル抽出物を無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶媒の留去後、残渣をアセトン35ml及び、シクロヘキサン50mlの混合溶媒中に導入し、冷却し生じた析出物を濾過した。得られた析出物を真空乾燥し1,3,6−ヘキサントリカルボン酸混合物19.6g得た(収率72.7%)。得られた1,3,6−ヘキサントリカルボン酸混合物0.400gを蒸留水4.0mlで溶解し、色相測定したところ、Lは96.70、aは1.76、bは4.07であった。
次に、本発明に係る電解液の組成例を従来例とともに説明する。表1は各実施例、比較例の電解液の30℃における比電導度、火花電圧、および、150℃で10時間保持後の比電導度の低下率を示したものである。
比電導度は(株)堀場製作所製の電気伝導度計DS−15を使用して測定した。また、火花発生電圧は、(+、−)一組のアルミニウム平滑箔に、電解液を注入し、5mA/cm2の一定電流となるように印加する条件で火花発生の電圧を測定することで求めた。比電導度の低下は、150℃で10時間保持前後での比電導度の変化率から求めた。
また、エチレングリコールは、和光純薬工業(株)製の特級試薬を用い、電解液は室温でエチレングリコールに所定量のカルボン酸アンモニウム塩を溶かして調製した。
・製造例1の1,3,6−ヘキサントリカルボン酸アンモニウム塩 10質量%
・エチレングリコール 90質量%
結果を表1に示す。
[実施例2]
・製造例1の1,3,6−ヘキサントリカルボン酸アンモニウム塩 5質量%
・1,10−デカンジカルボン酸アンモニウム塩 5質量%
・エチレングリコール 90質量%
結果を表1に示す。
[実施例3]
・製造例2の1,3,6−ヘキサントリカルボン酸アンモニウム塩 10質量%
・エチレングリコール 90質量%
結果を表1に示す。
・1,10−デカンジカルボン酸アンモニウム塩 10質量%
・エチレングリコール 90質量%
結果を表1に示す。
[比較例2]
・1,3−ジメチル−1,3,9−ノナントリカルボン酸アンモニウム塩 10質量%
・エチレングリコール 90質量%
結果を表1に示す。
[比較例3]
・α,α,α‘,α‘−テトラメチルアジピン酸アンモニウム塩 10質量%
・エチレングリコール 90質量%
結果を表1に示す。
Claims (4)
- 1,3,6−ヘキサントリカルボン酸またはその塩を含んでなることを特徴とする電解コンデンサ用電解液。
- 1,3,6−ヘキサントリカルボン酸またはその塩を含み、更に脂肪族二塩基酸またはその塩を含んでなることを特徴とする請求項1記載の電解コンデンサ用電解液。
- 1,3,6−ヘキサントリカルボン酸またはその塩が、アクリロニトリルの電解還元反応により得られる1,3,6−トリシアノヘキサンを加水分解して製造されたものであることを特徴とする請求項1または2記載の電解コンデンサ用電解液。
- 1,3,6−ヘキサントリカルボン酸またはその塩が、その10質量%水溶液の明度指数L値が98以上、クロマネティクス指数のa値が−2.0〜2.0、b値が−2.0〜3.0であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電解コンデンサ用電解液。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003298664A JP4279087B2 (ja) | 2003-08-22 | 2003-08-22 | 電解コンデンサ用電解液 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003298664A JP4279087B2 (ja) | 2003-08-22 | 2003-08-22 | 電解コンデンサ用電解液 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005072182A JP2005072182A (ja) | 2005-03-17 |
JP4279087B2 true JP4279087B2 (ja) | 2009-06-17 |
Family
ID=34404103
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003298664A Expired - Fee Related JP4279087B2 (ja) | 2003-08-22 | 2003-08-22 | 電解コンデンサ用電解液 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4279087B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5325517B2 (ja) * | 2007-10-12 | 2013-10-23 | 住友化学株式会社 | ジベンゾオキセピン化合物の精製方法 |
JP6206639B2 (ja) * | 2012-04-02 | 2017-10-04 | 日産自動車株式会社 | リチウムイオン二次電池用電解液及びリチウムイオン二次電池 |
JP7372069B2 (ja) * | 2018-09-18 | 2023-10-31 | 日東電工株式会社 | ギ酸回収方法 |
MX2022006178A (es) * | 2019-11-22 | 2022-06-14 | Ascend Performance Mat Operations Llc | Composiciones que comprenden tricianohexano. |
CN112927938B (zh) * | 2021-01-22 | 2023-02-03 | 深圳市智胜新电子技术有限公司 | 铝电解电容器的电解液、铝电解电容器及电子器件 |
-
2003
- 2003-08-22 JP JP2003298664A patent/JP4279087B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2005072182A (ja) | 2005-03-17 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
WO2009107449A1 (ja) | フッ素化1,3-ジオキソラン-2-オンの製造方法 | |
JP4279087B2 (ja) | 電解コンデンサ用電解液 | |
US6355848B1 (en) | Method for producing optically active alcohols | |
JP6144077B2 (ja) | カーボネートの精製方法 | |
CN111995615B (zh) | 一种环状硫酸酯的制备方法 | |
JPH06329663A (ja) | グリセロールカーボネートの製造方法 | |
JP6495925B2 (ja) | 電気化学的脱炭酸プロセスのための溶融カルボキシレート電解質 | |
JP6557020B2 (ja) | リン酸ジエステル塩の製造方法及びリン酸ジエステルの製造方法 | |
JPWO2003055836A1 (ja) | 多価カルボン酸混合物 | |
JP2003183239A (ja) | 低色相トリニトリル混合物及びその製造法 | |
US6949684B2 (en) | Process for preparing 1,2,4-butanetriol | |
JP2011524401A (ja) | グリシジルエステルの製造方法 | |
JP4815692B2 (ja) | 電解質及び非水電解液の製造方法 | |
JPWO2014077262A1 (ja) | 6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエステルの製造方法 | |
JP5437622B2 (ja) | フッ化カルボニルを用いた含フッ素環状エステルの製造方法 | |
JP2003192631A (ja) | 1,3,6−ヘキサントリカルボン酸の製造方法 | |
TW201533019A (zh) | 具有3,3,3-三氟丙酸基之酯及其製造方法 | |
WO2021177260A1 (ja) | ヨウ化フルオロアルカン及びフルオロオレフィンの製造方法 | |
WO2020249688A1 (en) | Process for the production of diacyl peroxides | |
JP4314600B2 (ja) | 酒石酸低級アルキルジエステルの製造法 | |
JP2010138161A (ja) | 高純度4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの製造方法 | |
JP2004346129A (ja) | 洗剤用添加剤及び洗剤組成物 | |
JP2005232126A (ja) | 4−カルボキシ−1,8−オクタン二酸製造方法 | |
JP7474737B2 (ja) | アスパラガス酸の調製方法 | |
JP2003192630A (ja) | 1,3,6−ヘキサントリカルボン酸の製造法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060807 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20090213 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20090310 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20090311 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120319 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |