JP2004352614A - 低色相多価カルボン酸エステル混合物 - Google Patents

低色相多価カルボン酸エステル混合物 Download PDF

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Akiyoshi Shimoda
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Abstract

【課題】可塑剤として使用可能な高いレベルまで着色が改善された低色相1,3,6−ヘキサントリカルボン酸エステルを主成分とする混合物、該エステル混合物からなる可塑剤、該可塑剤が配合された、樹脂の低温柔軟性、相溶性、耐熱老化性及び耐熱変色性等の物性をバランス良く兼ね備えた樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】1,3,6−ヘキサントリカルボン酸エステルを主成分とする混合物において、明度指数L値が98以上、クロマネティクス指数のa値が−2.0〜2.0、b値が−2.0〜3.0であることを特徴とする低色相多価カルボン酸エステル混合物、該エステル混合物からなる可塑剤、該可塑剤を配合してなる樹脂組成物。
【選択図】 選択図なし。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低色相の1,3,6−ヘキサントリカルボン酸エステルを主成分とする混合物、該エステル混合物からなる可塑剤、及び該可塑剤を用いた、相溶性、低温柔軟性及び耐熱安定性のバランスに優れた樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
塩化ビニル樹脂等ハロゲン含有樹脂の可塑剤には、ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エステル系、トリオクチルトリメリテート等のトリメリット酸エステル系、ジオクチルアジペート(DOA)、ジオクチルセバケート(DOS)等の脂肪族二塩基酸エステル系、トリクレジルホスフェート等のリン酸エステル系、エポキシ化動植物油類、エポキシ化脂肪族エステル類等のエポキシ系、ポリエステル系、塩素化パラフィン系等各種あり、塩化ビニル樹脂等ハロゲン含有樹脂に混合した最終製品の性能、用途に応じて単独または併用して使われている。
【0003】
主な要求特性としては、耐寒性、耐熱性、非移行性、外観、色相、相溶性、可塑化効率、揮発性等があり、耐寒性は脂肪族二塩基酸エステル系が優れており、中でもDOSのような長鎖二塩基酸エステルは耐寒性が最も優れ耐熱安定性も比較的良好である。耐熱安定性は、トリメリット酸エステル系が優れているがトリメリット酸エステル系は耐寒性が著しく劣っている。
耐寒性を要求されるシート、耐寒レザー、ペースト加工などの用途では脂肪族二塩基酸エステル系で可塑化された塩化ビニル樹脂などの含ハロゲン樹脂が使用されている。しかしながら、これらの応用分野については、従来品質向上に対する要求が厳しく、特にレザーなどの用途ではDOSのような優れた低温柔軟性とトリメリット酸エステル系のような優れた耐熱安定性が要求され、両者性能を兼ね備えた可塑剤が市場に無く、併用系においても従来の可塑剤では対応が困難となっている。
【0004】
脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤の低温柔軟性、耐熱安定性を向上させるために一般的には長鎖の二塩基酸またはアルコールを使用すれば良いが、長すぎると相溶性、可塑化効率の低下をまねき、物性のバランス上から限界がある。
相溶性、低温柔軟性、耐熱老化性をバランスよく兼ね備えた可塑剤として下記特許文献1には、4−カルボキシ−1,8−オクタン二酸エステル(1,3,6−ヘキサントリカルボン酸エステルと同一化合物。)が提案されている。しかしながら上記エステル化合物は原料となる1,3,6−トリシアノヘキサンの着色が著しいために、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸エステルも着色が避けられない傾向にある。
【0005】
1,3,6−トリシアノヘキサンは、例えば、アクリロニトリルとアジポニトリルから塩基の存在下で反応させる方法や、アクリロニトリルの電解還元反応により得ることができる。アクリロニトリルの電解還元反応による場合は、主成分として得られるアジポニトリル等のニトリル化合物からなる混合物中に含有された状態で得られる。これらの方法で得られるニトリル化合物からなる混合物中の1,3,6−トリシアノヘキサンの純度を高める目的で、例えば、蒸留精製を行うことにより得たトリニトリル混合物は、通常、著しく着色しており、黄色や黒色を呈している。
【0006】
下記特許文献2においては、1,3,6−トリシアノヘキサンを分子蒸留により精製を行っているが、ハーゼン値が400以上の、黄色の液体が得られている。このような着色を呈するトリニトリル混合物を原料として加水分解して得た1,3,6−ヘキサントリカルボン酸混合物も、同様に黄褐色や赤褐色を呈した著しく着色したものである。
下記特許文献3には、アクリロニトリルの電解還元反応により得たトリシアノヘキサンを20%苛性ソーダで還流加熱し、冷却後、濃硫酸でカルボン酸化し、反応混合物を完全に乾燥させて生じたベージュ色の残渣をソックスレー(Soxlett)抽出器を用いて酢酸エステルで抽出し、減圧下で酢酸エステルを除去することにより、無色から淡黄色のものを得ている。精製方法として、ソックスレー(Soxlett)抽出器を用いた以外にも、反応混合物をtert−ブチルメチルエーテルで3回抽出し、抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶剤を蒸留し、残渣をアセトン及びシクロヘキサンの混合溶液の中に導入し、冷却により生ずる結晶をろ過により回収することにより、無色から淡黄色のものを得ている。
【0007】
さらには、トリシアノヘキサンを濃硫酸と砕氷片で混合し、140℃で加水分解して得られた水性混合物をtert−ブチルメチルエーテルで3回抽出し、抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶剤を蒸留して無色から淡黄色までの1,3,6−ヘキサントリカルボン酸混合物を得ている。
しかしながら、いずれの方法においても、明度指数L値は98未満であり、クロマティクネス値指数のb値は3.0より大きい値であり、著しく着色した1,3,6−ヘキサントリカルボン酸しか得られなかった。
【0008】
このような着色した1,3,6−ヘキサントリカルボン酸と1価のアルコール成分でエステル化を行っても得られる該エステル化合物の着色は避けられない。該エステル化合物を蒸留により精製ができれば着色の低減が可能であるが、3官能である1,3,6−ヘキサントリカルボン酸のエステルである1,3,6−ヘキサントリカルボン酸エステルは通常沸点が高く、容易に蒸留精製することは困難である。また、200℃以上の温度で蒸留を行うと脱炭酸により純度の低下を招いたり、着色を引き起こしたりする傾向にある。そのためエステル化後の精製方法として苛性アルカリによる中和、及び水洗を行い、さらに活性炭、活性白土、あるいは活性アルミナなどの吸着処理により精製する方法が提案されている。しかしながらこれらの方法を用いても十分な脱色効果が得られず該エステル化合物を可塑剤として用いる場合色相に限界がある。
【0009】
さらに上記エステル化合物は、例えば空気下120℃以上の温度における熱安定性が悪く、長時間加熱において着色が増す傾向にある。この傾向は温度が高いほど、時間が長いほど着色が増す傾向にある。
上記エステル化合物を含ハロゲン樹脂の可塑剤として用いた場合、相溶性、低温柔軟性に優れるものの、可塑剤自身が着色していることにより成形体の初期の着色が避けられない。さらにこれら可塑剤の熱安定性が悪いことから加熱成形後の色むらを引き起こしたり、また、成形体の熱安定性も可塑剤自身の熱安定性が低いことから長期にわたる加熱による着色を避けることが困難である、という問題もあった。
【0010】
【特許文献1】
特開平4−342748号公報
【特許文献2】
特開昭62−270550号公報
【特許文献3】
独国特許出願公開第19637428号明細書
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、外観が要求される雨具、文房具、玩具、家具、袋物、履物および衣料などの用途に用いられる樹脂の可塑剤として使用可能な高いレベルまで着色が改善された低色相1,3,6−ヘキサントリカルボン酸エステルを主成分とする混合物を提供するものであり、さらには該エステル混合物からなる可塑剤、該可塑剤が配合された、樹脂の低温柔軟性、相溶性、耐熱老化性及び耐熱変色性等の物性をバランス良く兼ね備えた樹脂組成物を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、樹脂組成物、中でも含ハロゲン樹脂組成物成形体の色相を改善すべく鋭意検討した結果、低色相の1,3,6−ヘキサントリカルボン酸エステルを可塑剤として用いると、相溶性、低温柔軟性、耐熱安定性および外観を改善し得ることを見出し、特に加工品の着色、色むらおよび耐熱変色性を改善し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
即ち、本発明は、
(1)下記一般式(1)で示される1,3,6−ヘキサントリカルボン酸エステルを主成分とする混合物において、明度指数L値が98以上、クロマネティクス指数のa値が−2.0〜2.0、b値が−2.0〜3.0であることを特徴とする低色相多価カルボン酸エステル混合物、
【0014】
【化2】
Figure 2004352614
【0015】
(但し、R1、R2、R3は、脂肪族炭化水素基である。)
(2)アクリロニトリルの電解還元反応により得られる、1,3,6−トリシアノヘキサンを80質量%以上含有するトリニトリル混合物を加水分解した後、pH3〜11の範囲で活性炭により脱色を行い、次いで脱塩して得られる多価カルボン酸混合物をエステル化してなる(1)記載の低色相多価カルボン酸エステル混合物、
(3)多価カルボン酸混合物が1,3,6−ヘキサントリカルボン酸の含有率が70質量%以上、明度指数L値が98以上、クロマネティクス指数のa値が−2.0〜2.0、b値が−2.0〜3.0、窒素含有率が5000質量ppm以下である多価カルボン酸混合物である(1)又は(2)記載の低色相多価カルボン酸エステル混合物、
(4)(1)ないし(3)のいずれかに記載の低色相多価カルボン酸エステル混合物からなる可塑剤、
(5)(4)に記載の可塑剤を含有することを特徴とする樹脂組成物、
である。
【0016】
本発明で用いられる、L値、a値及びb値は、JIS規格Z8722の方法にしたがって求められる。すなわち、分光測定器により標準の光Cを用いて、380〜780nmの波長範囲で透過法により測定されたXYZ系における三刺激値X、Y、Z値に基づき、JIS規格Z8730で規定された下式に示すハンターの色差式により計算される。L値は、ハンターの色差式における明度指数、a値及びb値は、ハンターの色差式におけるクロマティクネス指数と呼ばれるものである。
L=10Y0.5
a=17.5(1.02X−Y)/Y0.5
b=7.0(Y−0.847Z)/Y0.5
(式中、X、Y、及びZはXYZ系における三刺激値である。)
一般に、明度指数L値は、100が上限であり、その数値が増加するにしたがい被測定物質の白色度が増し、その数値が低下するにしたがい黒色度が増すことを意味する。クロマティクネス指数であるa値は、0を基準に、数値がマイナスになる場合は被測定物質の色相である緑色度が、プラスになる場合は赤色度が増すことを意味する。クロマティクネス指数であるb値は、0を基準に、数値がマイナスになる場合は被測定物質の色相が青色度を、プラスになる場合は黄色度を増すことを意味する。L値が100に近いほど、a値やb値が0に近いほど低色相になる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の1,3,6−ヘキサントリカルボン酸エステルを主成分とする混合物は、明度指数L値が98以上であり、好ましくは99以上、より好ましくは99.5以上である。a値は、−2.0〜2.0、好ましくは−1.0〜1.0、より好ましくは−0.5〜0.5の範囲である。b値は、−2.0〜3.0、好ましくは−1.0〜1.0、より好ましくは−0.5〜0.5の範囲である。L値、a値、及びb値のいずれかが上記範囲から外れる場合には、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂の可塑剤に用いた場合には、得られた軟質塩ビの硬化物が黄色や灰色等の着色を呈する傾向にある。さらには、120℃、120時間の加熱試験において成型体の着色を引き起こし、成型体の褪色、色むらの発生を引き起こす傾向にある。
【0018】
本発明の低色相多価カルボン酸エステル混合物は下記化学式(1)で示される1,3,6−ヘキサントリカルボン酸エステルを主成分とするものである。
【0019】
【化3】
Figure 2004352614
【0020】
該1,3,6−ヘキサントリカルボン酸エステルのR1、R2、R3は夫々脂肪族炭化水素基を表し、炭素数1〜18の1価の脂肪族炭化水素基が好ましい。炭素数19以上であると、相溶性が低下する傾向にある。
ここで、主成分とは50質量%以上含有することを言い、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上を言う。
【0021】
本発明の低色相の1,3,6−ヘキサントリカルボン酸エステルを主成分とする混合物(以下、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸エステル混合物という。)を得るには、前駆体である1,3,6−ヘキサントリカルボン酸を主成分とする混合物(以下、多価カルボン酸混合物という。)の純度、色相、および窒素含有率がそれぞれ特定の範囲内にあることが好ましい。この特定の範囲の純度とは、逆相カラムを用いて液体クロマトグラフィーにより210nmの波長で検出されるピークの合計の面積に対し、ピークトップのリテンションタイムが10.00〜11.20minの間で検出される1,3,6−ヘキサントリカルボン酸及び他の多価カルボン酸のピークの合計の面積が90%以上であることが好ましい。より好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上である。該ピークの合計面積が90%未満の場合、1価のアルコールとエステル化してなる化合物が含まれ、該化合物による着色が起こる傾向にあり、クロマネティクス指数b値が3.0を超える傾向にある。他の多価カルボン酸とは、分子内にカルボキシル基を2〜4個有し、分子量が400以下の脂肪族カルボン酸化合物を意味し、具体的には、アジピン酸、3−カルボキシメチル−1,5−ペンタンジカルボン酸等が挙げられる。
【0022】
また、多価カルボン酸混合物中の1,3,6−ヘキサントリカルボン酸の含有率は70質量%以上が好ましく、より好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%である。
上記液体クロマトグラフィーによる各ピークは、過塩素酸水溶液によりpH2.3に調整された蒸留水を展開液に用いて、40℃、流速1ml/分で送液し、スチレンとジビニルベンゼン共重合体にスルホン酸基を導入した陽イオン交換樹脂カラム、例えば、(株)島津製作所製SCR−101Hを用いて、多価カルボン酸混合物0.020gを蒸留水2.00gに溶解したサンプルを2マイクロリットルで測定することにより求めることができる。
【0023】
多価カルボン酸混合物の色相は、明度指数L値が98以上、クロマネティクス指数のa値が−2.0〜2.0、b値が−2.0〜3.0であることが好ましい。より好ましくはL値が99以上、a値が−1.5〜1.5、b値が−1.5〜2.0、特に好ましくはL値が99.3以上、a値が−1.0〜1.0、b値が−1.0〜1.0である。
さらに、多価カルボン酸混合物中の窒素含有率は、熱安定性の点から5000質量ppm以下であることが好ましく、さらに好ましくは500質量ppm以下である。5000質量ppm以下であれば、多価カルボン酸混合物を160℃で加熱しても着色が起こらず、該多価カルボン酸混合物から得られた1,3,6−ヘキサントリカルボン酸エステル混合物は熱安定性に優れる。
【0024】
上記窒素含有率は、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸を固体状で石英製の試料ボートに乗せて燃焼させ、発生する気体中の窒素量を測定して求めることができる。予め含有窒素量の分かっているプロピオニトリル水溶液の測定を行ない、得られた窒素量から検量線を作成し、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸中の窒素量を検量線から算出した。
【0025】
以下、本発明の1,3,6−ヘキサントリカルボン酸エステル混合物の製造方法について更に詳細に説明する。
出発原料である1,3,6−トリシアノヘキサンを主成分とするトリニトリル混合物はアクリロニトリルを電解還元反応させることで得られる。主生成物であるアジポニトリルの他にアクリロニトリルの4量体以上からなる高分子量体等の各種のニトリル化合物が得られる。トリニトリル混合物は、アクリロニトリルやアジポニトリル等の、トリニトリル成分に対して低沸点成分、及び必要に応じて、アクリロニトリルの4量体以上の高分子量体を除去した後の、アクリロニトリルの3量体であるトリニトリル化合物を主成分とした混合物である。トリニトリル混合物の中の主成分は、アクリロニトリルの3量体である1,3,6−トリシアノヘキサンであり、その他の異性体として3−シアノメチル−1,5−ジシアノペンタン等が少量含有される。いうまでもなく、この低沸点成分を除去した混合物中には、高沸点成分と共に、上記の操作で除去されなかった低沸点成分が残留していてもよい。
【0026】
トリニトリル混合物を、例えば、減圧下薄膜蒸留等により、精製することができる。
本発明において、上記トリニトリル混合物に含まれる、1,3,6−トリシアノヘキサンの含有率は80質量%以上であり、好ましくは85質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。1,3,6−トリシアノヘキサンの含有率が80質量%未満の場合は、1,3,6−トリシアノヘキサンから誘導される化合物の純度が低く、着色が著しい。
本発明に用いられるトリニトリル混合物は、他に3−シアノメチル1,5−ジシアノペンタンを、通常、0.01〜10質量%の範囲で含有する。本発明においては、この範囲に限定はないが、1,3,6−トリシアノヘキサンの誘導体を高純度、かつ、高収率で得る場合には、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.01〜1質量%である。
1,3,6−ヘキサントリカルボン酸混合物は上記のトリニトリル混合物を、アルカリ又は酸と水やアルコールの存在下で加水分解して得られるものである。
【0027】
次に、加水分解に関し説明する。
加水分解に用いられるアルカリは、水溶液においてアルカリ性を示す化合物であり、例えば、アルカリ金属系化合物、アルカリ土類金属系化合物、窒素系化合物等が挙げられ、中でも水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを好適に用いることができる。加水分解に用いられる酸は、水溶液で酸性を示す化合物であり、中でも塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸を好適に用いることができる。
【0028】
加水分解でアルカリを水溶液として使用するときのアルカリ水溶液の濃度は、アルカリの種類にもよるが、通常、1.0〜50質量%の範囲である。例えばアルカリとして水酸化ナトリウムを用いて、大気圧下で加水分解を行う場合は、2.0〜40.0質量%が好ましく、より好ましくは10.0〜30.0質量%の範囲である。濃度が2.0質量%未満では、反応速度が遅く、40.0質量%を超える範囲では1,3,6−トリシアノヘキサンの反応場である水への溶解度が極端に低くなり加水分解速度が著しく低下する傾向にある。
【0029】
1,3,6−トリシアノヘキサン含有トリニトリル混合物とアルカリとの当量比は、ニトリル基に対して、塩基として理論的には1.00当量以上であるが、十分な反応速度を得る目的で、通常、1.01〜3.00当量、好ましくは1.05〜2.00当量の範囲である。3.00当量を超える場合には、過剰のアルカリ量が多く反応系に残留し、アルカリを除去するために副生物として塩が多量に生成する。
【0030】
酸を用いて加水分解する場合、その濃度は酸の種類によって異なるが、通常、1〜98質量%範囲である。例えば、塩酸の場合2〜37質量%、好ましくは20〜37%の範囲である。濃度が2.0質量%未満では反応速度が遅くなる傾向にあり、37質量%を越えると工業的に入手が困難となる。硫酸の場合は2〜85質量%、好ましくは20〜60質量%である。2質量%未満では反応速度が遅くなる傾向にあり、85質量%を超える範囲では加水分解に要する水の量を確保するため、必要以上に多くの硫酸を必要とする。
【0031】
1,3,6−トリシアノヘキサン含有トリニトリル混合物と酸との当量比は、ニトリル基に対して、塩基として1.01〜5.0当量、好ましくは1.05〜3.0当量の範囲である。当量比が1.01未満では反応速度が遅くなり過ぎ、反応時間が長くなる。5.0当量を超える場合には用いた過剰の酸が反応系に多く残留し、酸を除去するために副生物として塩が多量に生成する。
反応温度は、アルカリ、酸いずれの場合も、通常、50〜250℃、好ましくは80〜140℃の範囲である。反応温度が50℃未満では反応速度が遅く、250℃を越えると分解等の副反応を併発する傾向にある。反応時間は、通常、1〜200時間の範囲である。反応時の圧力には制限は無く、加圧下、大気圧下、さらには減圧下でおこなってもよい。
【0032】
反応時の雰囲気は、副反応を併発しないものであれば制限はなく、例えば、窒素等の不活性気体の存在下や空気下でもよい。例えば、大気圧下で上記加水分解を行う場合には、反応容器には、蒸発する水を系内に戻すための冷却装置を有するものや、液相を窒素ガス又は空気などのガスによりバブリングし溶存しているアンモニアを系外に追い出す装置を有していてもよい。加圧条件下で行う場合は、副生するアンモニアを系外に逃がすことができる装置を具備した装置であることが望ましい。
【0033】
加水分解処理後、加水分解溶処理溶液を固体吸着剤により脱色処理する。
固体吸着剤とは、25℃及び処理を行う温度において流動性がなく、固体の形状を保つ物質であり、かつ、正吸着を起こさせる界面を有する物質をいう。具体的には、活性アルミナ、活性炭、活性白土およびシリカ等が挙げられる。本発明においては、活性炭の脱色効率が高い傾向にあり好ましい。これら固体吸着剤は、1種類で用いてもよく、2種類以上を混合して同時に、又は別々に用いてもよい。また、これら固体吸着剤の形状、粒径等には限定されない。
【0034】
固体吸着剤の使用量は、本発明の低色相多価カルボン酸混合物が得られる範囲であれば限定はないが、通常、多価カルボン酸混合物100質量部に対し、固体吸着剤を0.01〜500質量部、好ましくは0.1〜100質量部、より好ましくは0.1〜20質量部の範囲である。0.01質量部未満では十分な脱色効果が得られず、500質量部を越えると十分な脱色効果が得られるものの、多価カルボン酸混合物の収率が低下する傾向にある。
【0035】
加水分解後の溶液を固体吸着剤で処理する際の、該溶液のpHは、きわめて重要である。アルカリ加水分解の場合は、得られる多価カルボン酸混合物の塩からなる混合物の水溶液を脱水処理する。アルカリ加水分解後の溶液は、通常、13を越えている。酸加水分解の場合はpHは3未満である。この状態のまま、固体吸着剤で処理を行っても、低色相の多価カルボン酸混合物は得られず脱色効率が低下する傾向にある。
pHを調整する方法には制限はなく、例えば、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸、酢酸、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸などの有機酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物等を添加する方法や、各種イオン交換樹脂と接触させる方法等により実施することができる。
【0036】
固体吸着剤による処理時間は、本発明の低色相多価カルボン酸エステル混合物が得られる範囲であれば特に限定されないが、通常、1分から72時間の範囲が好ましく、さらに好ましくは5分から48時間、特に好ましくは10分から24時間である。この脱色操作による処理後の溶液の色相は、明度指数L値が95以上、クロマネティクス指数のa値が−2.0〜2.0、b値が−2.0〜3.0が好ましく、より好ましくはL値97以上、a値−1.5〜1.5、b値−1.5〜2.5、特に好ましくはL値98以上、a値−1.2〜1.2、b値−1.2〜2.0である。
【0037】
吸着させる方法は、多価カルボン酸混合物を含む溶液に固体吸着剤を添加し攪拌したり、固体吸着剤をカラム等に充填させ該溶液を通液する等、限定されるものではない。
固体吸着剤による処理時の濃度にも限定はないが、通常、0.02〜2.0mol/L、好ましくは0.1〜1.5mol/Lの範囲である。0.02mol/L未満では処理量が多くなって溶液から回収が難しく、収率が低下する。2.0mol/Lを超える範囲では多価カルボン酸及びその塩からなる混合物が析出し固体吸着剤による着色物の吸着が不十分となる。
【0038】
固体吸着剤による処理時の温度は、多価カルボン酸やその塩からなる混合物が凝固したり、さらには分解しない温度範囲であれば限定はない。例えば、固体吸着剤として活性炭を用い、溶媒に水を用いた場合は、温度範囲は通常5〜100℃の範囲である。固体吸着剤による処理を行なう場合のpHは極めて重要で、中性すなわちpH7で行なう場合が最も脱色効率が高くなる傾向にある。従って、脱色処理を行なうpH範囲は、3〜11、好ましくは5〜9の範囲、より好ましくは6〜8の範囲である。
【0039】
上記の脱色液をカルボン酸化する方法として、陽イオン交換樹脂を用いる場合には、回文式、流通式等の方法が好適に使用できるが、これらに限定されるものではない。陽イオン交換樹脂としては、例えば、三菱化学(株)製のスチレン−ジビニルベンゼン共重合体の芳香環にスルホン酸基を導入した樹脂であるものを酸で再生して利用することができる。三菱化学(株)製のダイヤイオン(商標)SK102、SK104、SK106、SK1B、SK110、SK112、SK116、SK1BNなどの強酸性陽イオン交換樹脂が代表的なものである。
【0040】
アルカリ加水分解を行なった水溶液をカルボン酸化する方法は、電気透析によって行なってもよく、この場合K膜(陽イオン交換膜)のみによる方法、バイポーラ膜とK膜を交互に具備した電解槽を有する電気透析装置により行なうことができる。K膜のみで電気透析を行なう場合は、多価カルボン酸塩の水溶液を供給する塩室と、硫酸、塩酸等の酸を供給する酸室を交互に配置して電気透析を行なう。バイポーラ膜とK膜により電気透析を行なう場合は、多価カルボン酸塩の水溶液を供給する塩室と、NaOH水溶液を供給するアルカリ室を交互に配置して電気透析処理を行なう。加水分解にNaOHを用いた場合は、電気透析によりK膜のみの場合Naは酸室に用いた塩として回収される。バイポーラ膜とK膜により電気透析を行なった場合は、NaはNaOHとして回収される。いずれの方法においてもNaの除去率は99%以上可能である。
【0041】
無機酸によりカルボン酸化した場合は、副生する無機塩を1,3,6−ヘキサントリカルボン酸混合物の水溶液から分離する目的で溶媒により抽出することも可能である。抽出溶媒としては、例えば、tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフランなどを利用することができる。同様の効果が得られる他の溶媒を用いて行ってもよい。また、カルボン酸化した処理液を加熱減圧下において蒸留を行い完全に乾固させ、残渣から溶媒により1,3,6−ヘキサントリカルボン酸を抽出することも可能である。この場合、用いる溶媒としてはテトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトンなどの溶媒を1種または2種以上用いることが可能である。
【0042】
抽出方法は攪拌、ソックスレーなど、限定されるものではない。抽出液を無水硫酸マグネシウムなどの乾燥剤により乾燥後ろ過によりろ液を回収し、溶媒を蒸留し完全に乾固させることで多価カルボン酸混合物を回収することができる。
陽イオン交換樹脂によりカルボン酸化した場合は、イオン交換処理後の処理液を蒸留し、適当な濃度に濃縮した後、冷却、又は濃縮により析出させる方法で回収してもよい。また、イオン交換処理液を完全に乾固させることにより多価カルボン酸混合物を回収することもできる。
電気透析によりカルボン酸化した場合は、直接冷却を行ない析出させる方法で多価カルボン酸を回収することができる。
【0043】
以上説明した製造方法により得られる多価カルボン酸混合物に対し、主成分として含まれる1,3,6−ヘキサントリカルボン酸の純度及びさらなる低色相を実現させる目的で、水、有機溶媒、又はこれらの混合物からなる溶媒に溶解し、冷却したり、濃縮させることにより結晶を析出させる晶析法を用いて精製を行うことも可能である。
晶析は1,3,6−ヘキサントリカルボン酸の濃度が10%以上であれば水で行なうことが可能である。
【0044】
晶析に用いる有機溶媒としては、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテルなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸メチル、酢酸エチルなどの酢酸エステル類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのカーボネート類、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、トルエン、キシレン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサンなどの炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、酢酸、プロピオン酸などのカルボン酸類などを単独又は1種以上用いることが可能である。
【0045】
晶析を行う場合、沸点以下の温度で上記方法により得た多価カルボン酸混合物を均一に溶解し、冷却又は濃縮することにより結晶を析出させる方法、溶解性の高い溶媒、例えば、アセトンなどに溶解し、溶解性の低い溶媒、例えばtert−ブチルメチルエーテルなどに該アセトン溶液を導入しそのままの温度、あるいは冷却、濃縮により結晶を析出させる方法を用いることも可能である。晶析は必要に応じて1回または繰り返して2回以上行なっても良い。
【0046】
上記の方法などにより生じた結晶は、ろ過により回収することが可能である。ろ過方法は限定されるものではなく、加圧ろ過、減圧濾過、遠心分離、圧搾などの方法を利用することが望ましい。
晶析操作を行うことにより、色相をさらに改善させることが可能である。例えば、水で晶析させることにより晶析前にクロマネティクス指数b値が2であったものが、晶析後に0.2以下まで低減させることができる。さらに晶析を繰り返すことでb値を0.1以下とすることが可能である。
【0047】
本発明の低色相多価カルボン酸エステル混合物の前駆体である多価カルボン酸混合物は、上記のように特定範囲のpHで行なう活性炭処理、好ましくは該活性炭処理と上記の晶析処理を組み合わせることで製造可能である。
前駆体である多価カルボン酸混合物は、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸を主成分とし、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上含有し、明度指数L値は98以上、クロマティクネス指数のa値は−2.0〜2.0、b値は−2.0〜3.0の低色相1,3,6−ヘキサントリカルボン酸混合物である。より好ましくはL値が99以上、a値が−1.5〜1.5、b値が−1.5〜2.0、特に好ましくはL値が99.3以上、a値が−1.0〜1.0、b値が−1.0〜1.0である。
【0048】
多価カルボン酸混合物の色相測定は、多価カルボン酸混合物0.400gを4.0mlの蒸留水で溶解し水溶液として、25℃において行った。
また、前駆体である多価カルボン酸混合物中に含まれる窒素含有量は、5000質量ppm以下であることが好ましく、さらに好ましくは500質量ppm以下である。
得られた低色相の多価カルボン酸混合物を1価のアルコールとエステル化反応することで低色相1,3,6−ヘキサントリカルボン酸エステル混合物を得ることができる。R1、R2およびR3の脂肪族炭化水素基は、1価アルコールの残基を示すものである。得られたエステル化合物混合物は好ましくは、酸価2以下のエステル化物の混合物である。
【0049】
本発明で使用される1価アルコール成分としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、n−ヘキサノール、イソヘキサノール、n−ヘプタノール、イソヘプタノール、n−オクタノール、イソオクタノール、2−エチルヘキサノール、ノナノール、イソノナノール、2−メチルオクタノール、デカノール、イソデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノールなどの炭素数C1〜18の脂肪族1価アルコールが挙げられる。これらの1価アルコールは、1種または2種以上の混合物として使用しても良い。2価以上のアルコールを用いた場合、高分子量体となり相溶性が低下すると共に可塑化しにくくなる傾向になる。1価のアルコールを用いた場合、相溶性が低下する傾向にある。
【0050】
炭素数19以上の長鎖のアルコールを用いてエステル化して可塑剤に用いた場合は、アルコール残基の炭素数が多くなるほど耐寒性が優れ、耐熱安定性も良好である。しかしながら相溶性は低下する傾向にある。主成分である1,3,6−ヘキサントリカルボン酸は3官能であることから、例えば1つ或いは2つの官能基に対して炭素数の短いアルコールを用いてエステル化合物を得ることも可能である。このようにして得られたアルコール残基が異なるエステル化合物は、耐寒性及び耐熱性を維持しながら相溶性をも得ることが可能である。
上記の多価カルボン酸混合物と上記1価アルコールとを通常の方法によりエステル化反応して得られる1,3,6−ヘキサントリカルボン酸エステル混合物は、合成樹脂、特にハロゲン含有樹脂の可塑剤として好ましく使用することができる。
【0051】
以下に代表的なエステル化反応を示す。多価カルボン酸混合物に対して化学量論的に過剰の1価アルコールを濃硫酸、p−トルエンスルホン酸などの酸触媒または、テトライソプロピルチタネートなどの金属触媒の存在下、70〜250℃、好ましくは90〜250℃の温度で、酸価を好ましくは2以下になるまでエステル化させた後、過剰のアルコールを加熱しながら常圧または減圧下除去して製造される。
【0052】
このようにして得られたエステル化物は、精製処理により不純物を除去した方が品質、性能を向上させる上で好ましい。精製処理は蒸留可能な沸点を有するエステル化合物の場合は一般的な蒸留法、薄膜蒸留法などが適用でき、沸点が高く蒸留による精製が適用できない場合は苛性アルカリによる中和及び水洗を行い除去する方法、あるいは活性炭、活性白土、シリカまたはアルミナ及び、合成吸着剤などの固体吸着剤等による通常の吸着処理による不純物除去を行い精製処理することができる。
【0053】
しかしながら蒸留による精製は、長鎖のアルコールによるエステルのような沸点が高いエステル化合物に適用できない。苛性アルカリによる中和及び水洗を行なう方法、あるいは固体吸着剤等を用いて行なう精製方法においても、エステル化前の多価カルボン酸混合物の色相が著しい場合は十分な効果が得られず、エステル化合物の色相を大きく左右することから多価カルボン酸混合物の色相は非常に重要である。
【0054】
このようにして得られた1,3,6−ヘキサントリカルボン酸エステル混合物は低色相であり、明度指数L値が98以上、a値は、−2.0〜2.0の範囲、b値は、−2.0〜3.0範囲である。該低色相1,3,6−ヘキサントリカルボン酸エステル混合物は、合成樹脂、特にハロゲン含有樹脂の可塑剤として好適に用いることができる。ハロゲン含有樹脂としては、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。
【0055】
本発明の可塑剤配合量は、通常のハロゲン含有樹脂100質量部に対して10〜150質量部、好ましくは20〜100質量部である。
また、本発明の可塑剤は、ハロゲン含有樹脂の加工分野で使用されている周知の可塑剤、例えばフタル酸エステル系、トリメリット酸エステル系、ピロメリット酸エステル系、脂肪族二塩基酸エステル系、塩素化パラフィン系等の可塑剤と1種または2種以上併用することも可能である。
【0056】
本発明の可塑剤は、低温柔軟性と耐熱安定性を兼ね備え、且つ相溶性に優れた可塑剤であり、低色相であることから外観、特に色相を要求されるような用途分野、さらには耐熱安定性および、長期にわたり使用した場合の耐光変色性に優れることから、例えばレザー、シート、フィルムなどの加工品である雨具、文房具、玩具、家具、袋物、履物および衣料に有用である。
【0057】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
本発明で使用する測定法は、以下のとおりである。
[トリニトリルの測定法]
トリニトリル混合物の純度は、ガスクロマトグラフィーの測定及びゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPC、という)による測定により求める。トリニトリル混合物に含有されるアクリロニトリルの4量体以上の高分子量体の含有率は、GPCにより求める。色相は、透過法によるUV測定から求める。
【0058】
各測定は以下の装置及び条件で行う。
1.ガスクロマトグラフィー測定
装置:(株)島津製作所製GC−14B
カラム:GL Science Inc.製 キャピラリーカラムTC−1(0.25mmI.D.、長さ30m)
キャリアガス:He
検出:FID
カラム温度条件:120℃から20℃/minで200℃まで昇温し、5分間保持した後、10℃/minで250℃まで昇温させ10分間保持。
試料溶解溶媒:アセトン
【0059】
2.GPC測定
各化合物2.0mgをテトラヒドロフラン2.0gで溶解し、0.5μmフィルターで濾過を行い、下記の条件で展開、検出することにより分析を行う。
測定装置:東ソー(株)製HLC−8120GPC
検出器:RI
展開液:テトラヒドロフラン
展開液流速:1.0ml/min
カラム:東ソー社(株)製TSKgel(商標)GMHHR−Nを1本及びG1000HXLを2本直列に設置。
カラム温度:40℃
【0060】
3.色相の測定法
トリニトリル混合物0.400gをホールピペットで定量されたジエチレングリコールエーテル(和光純薬社製 特級試薬)4.0mlに溶解し、下記の透過法によりUV測定を行い、得られる三刺激値からハンターの式にしたがいL値、a値、及びb値を求める。
測定装置:(株)島津製作所製UV2500PC
サンプルセル:石英製、外寸12.4mm×12.4mm×高さ45mm、光路長10.0mm
測定温度:25±2℃
波長範囲:380〜780nm
波長送り速度:低速レンジ(約140nm/分)
【0061】
[ヘキサントリカルボン酸の測定法]
1,3,6−ヘキサントリカルボン酸の含有率は、高速液体クロマトグラフィー(以下、「LC」という。)による測定により求める。色相は、透過法によるUV測定から求める。各測定は以下の装置及び条件で行う。
1.LC測定
多価カルボン酸混合物0.020gを蒸留水2.0mlで溶解し、下記の方法により測定を行う。
装置:(株)島津製作所製LC−10A
カラム:(株)島津製作所製SCR−101Hを1本
検出器:RI及び、UV(波長210nm)
展開液:過塩素酸(和光純薬(株)社製60%濃度(精密分析用))でpH2.2〜2.4の範囲(25℃におけるpH)
カラム温度:40℃
展開液流速:1.0ml/min
【0062】
2.色相の測定法
多価カルボン酸混合物0.400gをホールピペットで定量された蒸留水(和光純薬(株)製)4.0mlに溶解し、下記方法の透過法によりUV測定を行う。得られる三刺激値からハンターの式にしたがい、L値、a値及びb値を求める。
測定装置:(株)島津製作所製UV2500PC
サンプルセル:石英製、外寸12.4mm×12.4mm×高さ45mm、光路長10.0mm
測定温度:25±2℃
波長範囲:380〜780nm
波長送り速度:低速レンジ(約140nm/分)
【0063】
3.窒素量測定法
多価カルボン酸混合物の固体、あるいは水溶液を石英製の試料ボートに乗せて燃焼させ、発生する気体中の窒素濃度を測定した。予め含有窒素量の分かっているプロピオニトリル水溶液の測定を行ない、得られた窒素量から検量線を作成し、多価カルボン酸混合物中の窒素量を検量線から算出した。
測定装置:三菱化成社製 TN−10
キャリアガス:Ar
燃焼条件:600℃で10秒後、800℃で30秒
【0064】
[1,3,6−ヘキサントリカルボン酸エステルの測定]
1.初期色相測定
1,3,6−ヘキサントリカルボン酸エステルを、下記方法の透過法によりUV測定を行う。得られる三刺激値からハンターの式にしたがい、L値、a値及びb値を求める。
測定装置:(株)島津製作所製UV2500PC
サンプルセル:石英製、外寸12.4mm×12.4mm×高さ45mm、光路長10.0mm
測定温度:25±2℃
波長範囲:380〜780nm
波長送り速度:低速レンジ(約140nm/分)
【0065】
【製造例1】
単一電解槽は、1cm×90cmの通電面を有する鉛合金を陰極とし、同じ通電面を有する炭素鋼を陽極として用い、陽極と陰極を2mmの間隔で保った。電解液は、10質量部の油相及び90質量部の水相でエマルジョンをなしており、水相の組成は、アクリロニトリル約2.0質量%、KHPO約10質量%、K約3質量%、エチルトリブチルアンモニウムエチル硫酸塩0.3質量%、及び若干のアジポニトリル、プロピオニトリル及び1,3,6−トリシアノヘキサンを含んだ水溶液であり、リン酸でpHを約8に調整した。油相は水相と溶解平衡をなしており、その組成はアクリロニトリル約28質量%、アジポニトリル約62質量%である。
【0066】
このエマルジョンを、電解面で線速1m/secになるように単一電解槽に循環供給し、電流密度20A/dm、50℃で電解を行った。電解を始めると同時に、電解液タンクから油水分離器に送られたエマルジョンの水相を、約50℃に保温したイミノジ酢酸タイプのキレート樹脂(バイエル(株)製、Lewatit TP207(商標))K型200CCで、6CC/AHの割合で処理を始め、電解液タンクに循環した。
同時に油相を連続的に抜き出し、前記電解液組成を保つようにアクリロニトリル及び水を連続的に添加し、油相に溶解して抜き出されたエチルトリブチルアンモニウムエチル硫酸を随時添加した。
【0067】
このようにして2000時間電解を行った結果、初期電解電圧は3.9Vで安定に推移し、発生ガスに含まれる水素は電解終了時で0.16vol%であり、陰極の消耗速度は0.21mg/AH、陽極の消耗速度は0.23mg/AHであり、不均一の陽極腐食物はまったくなかった。消費アクリロニトリルに対するアジポニトリルの収率は90%、1,3,6−トリシアノヘキサンの収率は7.5%であった。
【0068】
次に、上記電解で得られた油相を集め、水抽出処理を行い、アクリロニトリル、プロピオニトリル及び水を蒸留除去し、次いで、減圧蒸留によりアジポニトリルを除去した。この残差中のアジポニトリルは11.5質量%であった。
この残渣液からのアジポニトリルの除去は、径32mmφ、実段数5段の真空外套付蒸留塔を用いて、アジポニトリルを主成分として含む留分をバッチ蒸留し、真空度2.0mmHgで塔頂温度120〜210℃までの留分を初留カットすることによって蒸留残渣(A)を得た。
【0069】
この蒸留残渣(A)は、アジポニトリル4.0質量%、1,3,6−トリシアノヘキサン84.5質量%、3−シアノメチル−1,5−ジシアノペンタン5.0質量%、及び高分子量体6.5質量%からなるトリニトリル化合物を主成分とするトリニトリル混合物(B)であった。
この蒸留残渣(A)からのトリニトリル混合物の単離を、スミス式実験室用分子蒸留装置(神鋼ファウドラー(株)製、2型、電熱面積0.032m、ガラス製)を用いて行った。真空度0.1mmHg、外壁面加熱温度180℃、蒸留残渣(A)の供給速度2g/minで操作した。供給量2000g、蒸留物量1150g、蒸留残渣900gであった。蒸留液は、組成が1,3,6−トリシアノヘキサン93.3質量%、3−シアノメチル−1,5−ジシアノペンタン5.8質量%、及びアジポニトリル0.9質量%からなる黄色のトリニトリル混合物(C)であった。得られたトリニトリル混合物(C)の色相を測定した結果、L値は98.2、a値は−1.18、b値は3.68であった。
【0070】
還流冷却器を取り付けた内容量1リットルの攪拌装置付四つ口フラスコに、トリニトリル混合物(C)161g(1.0モル)を、20質量%苛性ソーダ水溶液780g(3.9モル)とともに24時間加熱還流を行って加水分解した。室温まで冷却し、加水分解反応液(D)を916g得た。
【0071】
【製造例2】
得られた加水分解反応液(D)を、トクヤマ社製のバイポーラ膜(ネオセプタBP−1(商標))とK膜(陽イオン交換膜)を交互に0.75mmの間隔で各10室設けた電解槽を具備した電気透析装置TS2B−2−10型によりNaの除去を行なった。バイポーラ膜及びK膜の有効膜面積は1室当たり2dmで、電極は陽極、陰極いずれもNi電極を使用し、印加電流は27A、印加電流は約38Vで電解を行なった。外部に脱塩室及びアルカリ室を設け、脱塩室に加水分解液(D)2000gを仕込み、アルカリ室に0.1N NaOH水溶液を6L、電極室に1N NaOHを約6L仕込み、各室の流速を3.2l/min(6cm/sec)で循環させながら18分間電気透析を行ない、pH7.0の中和溶液(H)を1850g得た。この中和溶液(H)の電気電導度は54.3mS/cmであった。活性炭(白鷺A(商標)、武田薬品工業(株)製)45gを加え、室温で1時間攪拌を行った。ろ過により活性炭を除去し、無色透明な脱色中和液(I)1815gを得た。次いで、この溶液(I)を再度、電気透析装置の塩室に仕込み直し、アルカリ室のアルカリ液は中和に用いたNaOH水溶液をそのまま使用した。印加電流27A、印加電圧約38Vで、流速3.2L/min(6cm/sec)で50分間行ない、Naの除去率99.7%の無色透明な脱塩液(J)を1400g得た。電気透析終了時の脱塩液(J)の電導度は1.15mS/cmであった。
【0072】
得られた脱塩液(J)のLC測定を行なった結果、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸が461.2g、3−カルボキシメチル−1,5−ジカルボキシルペンタン27.6g及びアジピン酸が4.3g含まれていた。(収率97%)
得られた脱塩液(J)1400gを冷媒循環ジャケット付き晶析層に入れ、テフロン(登録商標)被覆攪拌棒で攪拌しながら内温を−3℃に下げ24時間攪拌しながら結晶を析出させた。析出した結晶を孔径1μmのPTFE製フィルターで結晶をろ別後、バスケットサイズ130Φの遠心分離機により4000rpmで20分間遠心分離して結晶を得た。この時含水率は12%であった。真空乾燥により無色の多価カルボン酸混合物228gを得た。
【0073】
窒素量の測定を行なったところ36ppmであった。多価カルボン酸混合物中の多価カルボン酸量をLCで測定したところ1,3,6−ヘキサントリカルボン酸が99.5質量%、3−カルボキシメチル−1,5−ジカルボキシルペンタン0.3質量%及び、アジピン酸は0.2質量%であった。
得られた多価カルボン酸混合物0.400gを蒸留水4.0mlで溶解し、色相測定したところ、Lは99.97、aは−0.37、bは0.01であった。
【0074】
【実施例1】
製造例2で得られた多価カルボン酸混合物を、1Lガラス製四つ口フラスコに200g、2−エチルヘキサノール430g及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.20gを一括して仕込んだ。側管の一つに窒素導入管を取り付けた。他の側管の一つにリービッヒ氏冷却管を取り付け生成する水を留去出来るようにした。テフロン(登録商標)被覆の撹拌子を入れ、スターラーで撹拌できるようにした。気相を窒素気流中で撹拌下、120〜235℃で生成する水を留去しながら酸価が1以下になるまで反応を継続させ6時間反応を行った。次いで180〜190℃で最大5mmHgの減圧下、過剰のアルコールを留去した。約100℃で5gの水酸化アルミマグネシウムを加え吸着処理を行い、ろ過によりエステルを得た。得られた化合物の粘度は25℃において45cps、酸価0.25であった。色相はL値が99.36、a値0.21、b値0.12であった。
【0075】
【実施例2】
製造例1と同様の方法で得られた多価カルボン酸混合物を、1Lガラス製四つ口フラスコに200g、イソデカノール525g及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.20gを一括して仕込んだ。側管の一つに窒素導入管を取り付けた。他の側管の一つにリービッヒ氏冷却管を取り付け生成する水を留去出来るようにした。テフロン(登録商標)被覆の撹拌子を入れ、スターラーで撹拌できるようにした。気相を窒素気流中で撹拌下、120〜235℃で生成する水を留去しながら酸価が1以下になるまで反応を継続させ6時間反応を行った。
【0076】
次いで190〜200℃で最大5mmHgの減圧下、過剰のアルコールを留去した。約100℃で5gの水酸化アルミマグネシウムを加え吸着処理を行い、ろ過によりエステルを得た。
得られた化合物の粘度は25℃において47cps、酸価0.18であった。色相はL値が99.23、a値0.26、b値0.13であった。
【0077】
【比較例1】
製造例1と同様の方法で得られた加水分解反応液(D)916gを、氷で氷冷しながら液温が20℃を超えないように36%HClでpH1とし反応液(K)1371gを得た。次いで、約90℃、減圧下でロータリーエバポレーターにて水を除去した。残渣を40℃、減圧下で水が完全になくなるまで乾燥した。次いで、残渣を10Lの容器に移しtert−ブチルメチルエーテルを4500ml加え1時間攪拌を行い溶媒抽出後、ろ過により塩を除去した。ろ液に50g無水硫酸マグネシウムを加え1時間攪拌を行い抽出液を乾燥させた。ろ過により沈殿物を除去し、ろ液を50℃で減圧下ロータリーエバポレーターにて溶媒を蒸発させた。残渣を40℃で減圧下乾燥させ多価カルボン酸混合物を203.4g得た(93%)。窒素量の測定を行なったところ4370ppmであった。多価カルボン酸混合物中の多価カルボン酸量をLCで測定したところ1,3,6−ヘキサントリカルボン酸が93.5質量%、3−カルボキシメチル−1,5−ジカルボキシルペンタン5.6質量%及び、アジピン酸は0.2質量%であった。得られた多価カルボン酸混合物0.400gを蒸留水4.0mlで溶解し、色相測定したところ、Lは95.23、aは0.65、bは11.71であった。
【0078】
得られた多価カルボン酸混合物を、1Lガラス製四つ口フラスコに180g、2−エチルヘキサノール387g及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.18gを一括して仕込んだ。側管の一つに窒素導入管を取り付けた。他の側管の一つにリービッヒ氏冷却管を取り付け生成する水を留去出来るようにした。テフロン(登録商標)被覆の撹拌子を入れ、スターラーで撹拌できるようにした。気相を窒素気流中で撹拌下、120〜235℃で生成する水を留去しながら酸価が1以下になるまで反応を継続させ6時間反応を行った。
【0079】
次いで180〜190℃で最大5mmHgの減圧下、過剰のアルコールを留去した。約100℃で4.5gの水酸化アルミマグネシウムを加え吸着処理を行い、ろ過によりエステルを得た。得られた化合物の粘度は25℃において44cps、酸価0.29であった。色相はL値が93.38、a値0.86、b値13.37であった。
【0080】
【実施例3〜4、及び比較例2〜5】
実施例1、2、及び比較例1で得られた1,3,6−ヘキサントリカルボン酸混合物を可塑剤として使用し、シートを作成して物性試験を行った。夫々実施例3、実施例4、比較例2とする。結果を表1に示す。また、比較のために市販の可塑剤を用い、同様にシートを作成して物性試験を行い、比較例3、4、5として表1に併せて示した。比較例3で使用した可塑剤は和光純薬工業(株)製 セバシン酸ジ−2−エチルヘキシルであり、色相はL値が99.81、a値0.04、b値0.16であった。比較例4における可塑剤は東京化成工業(株)製 トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシルであり、色相はL値が99.65、a値0.06、b値0.08であった。比較例5における可塑剤は和光純薬工業(株)製 フタル酸ジ−2−エチルヘキシルであり、色相はL値が99.37、a値0.02、b値−0.03であった。
可塑剤について下記の基本配合及び成形条件に従ってシートを作成し、物性試験を行った。
【0081】
(基本配合)
ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1100)※1 :100質量部
可塑剤 : 50質量部
バリウム/亜鉛系粉末複合安定剤 ※2 : 2質量部
※1:和光純薬(株)製ポリ塩化ビニル樹脂
※2:大日本インキ化学工業(株)製 商品名:グレッグMP−568C
(成形条件)
王子機械(株)製 油圧成形機 最大荷重37トン仕様
プレス(厚さ1.0mm及び0.3mm):170℃×5分間、プレス圧力2MPa
【0082】
(物性試験)
1.初期色相測定:80mm四角、厚さ1.0mmの成型体を白板上に載せ、反射式測定法によって測定を行ない得られたL値、a値及びb値を結果とした。
測定装置:ミノルタカメラ(株)社製 色彩色差計CR−200b
2.耐熱変色性試験:1.0mm厚のシートを120℃×120時間加熱後、1.と同様の測定方法により色相測定を行いL値、a値及びb値を測定した。
3.硬度(JISスプリングAスケール):JISK−6301に準じて測定した。
4.引張試験:JISK−6723に準じて測定した。
5.耐熱老化製試験:JISK−6723に準じて測定した。但し、試験条件は100℃×120時間を採用した。結果は試験後の状態に対する伸び残率(%)及び重量減少率(%)で示した。
6.低温柔軟性試験:JISK−6745に準じて測定した。温度が低いほど低温柔軟性が優れることを示す。
7.高温ブリード性試験:0.3mmプレスシートで40mmの試験片として70℃、98%RHで20日間後における試験片のブリード状態を目視及び指触により観察評価した。○:ブリードのないことを示す。
【0083】
【表1】
Figure 2004352614
【0084】
【表2】
Figure 2004352614
【0085】
【発明の効果】
本発明の1,3,6−ヘキサントリカルボン酸エステルからなる可塑剤は低色相であり、且つ公知の1,3,6−ヘキサントリカルボン酸エステルに比べ樹脂組成物の着色が少なく、さらに耐熱変色性に優れるとともに、一般的な公知の可塑剤に比べ低温柔軟性及び耐熱変色性が同時に極めて優れたものであり、特に含ハロゲン樹脂の可塑剤として加工分野における利用価値が極めて大きい。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で示される1,3,6−ヘキサントリカルボン酸エステルを主成分とする混合物において、明度指数L値が98以上、クロマネティクス指数のa値が−2.0〜2.0、b値が−2.0〜3.0であることを特徴とする低色相多価カルボン酸エステル混合物。
    Figure 2004352614
    (但し、R1、R2、R3は、脂肪族炭化水素基である。)
  2. アクリロニトリルの電解還元反応により得られる、1,3,6−トリシアノヘキサンを80質量%以上含有するトリニトリル混合物を加水分解した後、pH3〜11の範囲で活性炭により脱色を行い、次いで脱塩して得られる多価カルボン酸混合物をエステル化してなる請求項1記載の低色相多価カルボン酸エステル混合物。
  3. 多価カルボン酸混合物が1,3,6−ヘキサントリカルボン酸の含有率が70質量%以上、明度指数L値が98以上、クロマネティクス指数のa値が−2.0〜2.0、b値が−2.0〜3.0、窒素含有率が5000質量ppm以下である多価カルボン酸混合物である請求項1又は2記載の低色相多価カルボン酸エステル混合物。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の低色相多価カルボン酸エステル混合物からなる可塑剤。
  5. 請求項4に記載の可塑剤を含有することを特徴とする樹脂組成物。
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