JPWO2003027777A1 - 時計外装部品及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

チタン又はステンレス鋼からなる時計ケース本体(1)と竜頭パイプ(3)とを固着して構成される時計ケース(11)において、時計ケース本体(1)は竜頭パイプ(3)に対応する巻真孔(2)を有する。その竜頭パイプ(3)は径小部を有し、その径小部に対応する径小部が巻真孔(2)に形成されている。竜頭パイプ(3)が時計ケース本体(1)の巻真孔(2)に嵌合されてその径小部同士が密着している部分に固相拡散接合部を形成し、径小部同士が密着している部分以外の部分にロウ付け接合部を形成して、良好な耐蝕性と防水性を兼ね備え、デザインバリエーションが豊富な時計外装部品とする。

Description

技術分野
この発明は、チタン、チタン合金、ステンレス鋼等の金属からなり、丈夫で耐蝕性と防水性が高く、デザインバリエーションが豊富な時計外装部品及びその製造方法に関する。
背景技術
従来より、時計ケース等の腕時計の時計外装部品(以下「腕時計部品」ともいう)は、その素材としてチタン(以下「チタン」には、純チタン及びチタン合金を含む)や、ステンレス鋼が多く用いられている。中でも最近では、丈夫で耐蝕性が高く軽量であり、人体に金属アレルギー反応を生じさせない良好な生体適合性を有していることから、腕時計部品にチタンを使用する割合が多くなってきている。また、軽量、高強度、良好な耐蝕性という優れた特性を生かすため、チタンは腕時計だけではなく、様々な産業分野で広く用いられている。
純チタンの結晶は、常温では六方最密構造であるが、変態点(変態時の温度)である882℃以上の温度では体心立方構造になる。したがって、腕時計部品の製造過程でこの温度(すなわち、882℃)を超える温度が加わると、腕時計部品は、結晶の変態に伴い表面状態が変化してしまうため、再研磨等を行わねばならない。その分、余計な工程が増える恐れがあることから、チタンはその変態点以下の温度で処理することが望ましいとされている。
一方、ステンレス鋼は適度な重量感があり、耐蝕性も良好で、腕時計部品の素材として、最も広く使用されている。そのステンレス鋼には様々な種類があるが、腕時計部品の素材としては、耐蝕性の観点からSUS304,SUS316L等のオーステナイト系ステンレス鋼が多く用いられている。
ところで、従来、腕時計部品である時計ケースは、一般に、時計ケース本体と先カン部とを一体成形で製造している(先カン部は、時計ケース本体に時計バンドを連結する部材である)。その場合、鍛造法は、鋳造法と比較してデザインの複雑な部品を製造することが困難ではあるが、近年、腕時計部品は熱間鍛造或いは冷間鍛造等、鍛造法で製造するのが一般的となっている。
また、最近では、腕時計部品は、ミラー面仕上げ、ヘアーライン面仕上げ、ホーニング(honing)等の表面加工を部分ごとに施して、表面の仕上がりに様々な変化を与えたいというデザイン上の要望も強くなってきている。ここで、ミラー面仕上げとは光沢のある鏡面研磨仕上げであり、ヘアーライン面仕上げとは髪の毛のように細かくて方向性のあるラインを入れた表面仕上げをいう。ホーニングとはメッキを避けて細かな凹凸を設けた表面仕上げをいい、梨地(mat)ともいう。例えば、時計ケースの場合、時計ケース本体はホーニング、先カン部はミラー面仕上げという組合わせの表面加工を施して、部分ごとに表面の仕上がりを変化させたいという要望である。また腕時計部品は、表面加工を施すほか、メッキ、IP(イオンプレーティング)或いはコーティング等の被膜形成加工を施して、色違いや模様違い等の様々な変化を出したいという要望もある。
しかし、腕時計部品は、全体の大きさが小さいため、例えば時計ケースの場合、時計ケース本体と先カン部とを当初から一体化して製造すると、その後で部分ごとに異なる表面加工や被膜形成加工を施して表面をきれいに仕上げる(表面の仕上がりに変化を出す)ことが極めて困難である。また、時計ケースは、先カン部を複雑な形状にしてデザイン上の特徴を出したい場合もあり、この場合も、時計ケース本体と先カン部とを当初から一体化して製造すると、その後で先カン部を加工することが難しくなる。
したがって、時計ケースは、表面の仕上がりを変化させて製造したいというデザイン上の要望や、先カン部を複雑な形状にしてデザイン上の特徴を出したいという要望が強い場合は、時計ケース本体と先カン部とを別々に形成してそれぞれに所望の加工を施し、その後に係合するか又は接合するかして両者を一体化している。こうすれば、時計ケースは、各部品ごとに所望の加工を施せるから、デザインバリエーションが豊富になる。
時計ケース本体と先カン部とを係合する場合、その方法として、時計ケース本体と先カン部との間にピンを圧入し、そのピンを介して双方を係合するという方法がある。しかし、この方法の場合、時計ケース本体と先カン部との係合状態を長期間維持するのが難しく、耐久性についての信頼性が低いという欠点がある。また、双方を係合するために用いるピンを外側から見えなくすることが困難であり、ピンが外側から見えることによって、時計ケースのデザイン性を低下させるおそれがあるという欠点もある。
また、時計ケース本体と先カン部とを接合する場合、その方法には、ロウ材を用いるロウ付けと溶接がある。ロウ付けは、ロウ材流れの問題があるものの、ケース本体と先カン部とを接合した後も表面の仕上がりを比較的良好にすることができる。しかし、接合した部分の耐蝕性に難点がある。上述したように、ケース本体と先カン部の素材としてチタンを用いる場合、チタンの変態点以下の温度で接合しようとすると、あまり適切なロウ材は見当たらない。その中では銀ロウ(例えば、JIS規格:BAg−8等)が妥当である。しかし、この銀ロウは耐蝕性が極めて低いため、接合してから長期間経過すると、接合した部分に変色やさび等が発生して外観の品質を著しく損ねるおそれがある。
一方、腕時計部品の中には高い防水性を要求されるものがある。しかし、特に、時計ケースについては、時計ケース本体と竜頭パイプとを接合したときに防水性を長期間維持するのが難しく、防水面での信頼性が低くなりやすいという構造上避けられない問題がある。
そして、腕時計部品は、ロウ付けのほか、各部品を溶接して接合することもできる。しかし、溶接して接合すると、その後に焼けた様な跡が残ってしまい、外観の装飾性を損ねてしまう。中には、プロジェクションと呼ばれる微小な突起を溶かして行うプロジェクション溶接もあるが、この溶接は、その被溶接部品の大きさ(形状)を変える等のため、適用可能な部品が限られ、その関係で腕時計部品にデザイン上の制約を生じてしまう。
このように、従来の腕時計部品は、各部品(例えば、時計ケース本体、先カン部、竜頭パイプ等)を別々に形成してそれぞれに所望の加工を施し、その後に係合するか又は接合するかして一体化する場合は種々の問題があった。すなわち、この場合には、各部品を係合するか又は接合するかして一体化した状態を長期間維持し得る丈夫さを備えるとともに、耐蝕性と防水性を兼ね備え、外観の装飾性を良好に保持することが極めて困難であった。
この発明は、このような従来の時計外装部品の問題を解決するためになされたもので、時計ケース本体と先カン部からなる時計ケースのように2つ以上の部品から製造される時計外装部品及びその製造方法において、各部品の係合又は接合状態を長期間維持し得る丈夫さを備えるとともに、耐蝕性と防水性を兼ね備え、外観の装飾性を良好に保持し、デザインバリエーションが豊富になるようにすることを目的とする。
発明の開示
この発明による時計外装部品は、第1の部品と第2の部品とが固着された構成を有する時計外装部品であって、上記第2の部品が上記第1の部品に密着した密着部に固相拡散接合部とロウ付け接合部が形成されていることを特徴とする。
また、この発明は、第1の部品と第2の部品とが固着された構成を有する時計外装部品であって、上記第2の部品に対応する孔部が上記第1の部品に形成され、上記第2の部品が上記孔部に嵌合してその孔部に密着している部分に固相拡散接合部とロウ付け接合部が形成されている時計外装部品を提供する。
この時計外装部品は、上記第2の部品が径小部を有し、かつ上記孔部がその径小部に対応する径小部を有し、上記第2の部品の径小部が上記孔部の径小部に密着している部分に上記固相拡散接合部が形成され、その密着している部分以外の部分に上記ロウ付け接合部が形成されているとよい。
さらに、この発明は、第1の部品と第2の部品とが固着された構成を有する時計外装部品であって、上記第1の部品に凹部が形成され、かつ上記第2の部品にその凹部に対応する突出部が形成され、上記突出部が上記凹部に嵌合してその凹部に密着している密着部に固相拡散接合部とロウ付け接合部が形成されている時計外装部品を提供する。
この時計外装部品は、上記凹部と上記突出部に密着する第3の部品を設け、その第3の部品が上記凹部及び突出部に密着している部分に上記固相拡散接合部が形成され、上記突出部が上記凹部に密着している部分に上記ロウ付け接合部が形成されているとよい。
また、上記突出部の表面に金属膜が形成され、その金属膜を介して上記突出部が上記凹部に密着しているとよい。
上記時計外装部品は、第1の部品及び第2の部品の材質がステンレス鋼又はチタンであるとよい。
また、上記第1の部品が時計ケース本体であり、上記第2の部品が竜頭パイプである場合、上記第1の部品が時計ケース本体であり、上記第2の部品が先カン部である場合のいずれでもよい。
さらに、上記ロウ付け接合部が低融点ロウ材により形成されているとよい。
上記ロウ付け接合部がパラジウム、白金、ニッケル及びリンを主成分とするロウ材又はパラジウム、銅、ニッケル及びリンを主成分とするロウ材により形成されているとよい。
また、ロウ付け接合部が金、銀、銅、ゲルマニウム及びパラジウムを主成分とするロウ材により形成されていてもよい。
ロウ付け接合部が金、銀、銅、パラジウム及びニッケルを主成分とし、ガリウム、インジウム、錫のうち、少なくとも1種類以上の元素を含有するロウ材により形成されていてもよい。
そして、この発明は、第1の部品と第2の部品とを固着して時計外装部品を製造する時計外装部品の製造方法であって、上記第2の部品にロウ材を付着する工程と、上記第2の部品が上記第1の部品に密着した密着部の中に固相拡散接合部とロウ付け接合部を形成する工程とを有する時計外装部品の製造方法を提供する。
また、この発明は、第1の部品と第2の部品とを固着して時計外装部品を製造する時計外装部品の製造方法であって、上記第2の部品にロウ材を付着する工程と、上記第2の部品の上記ロウ材を付着した部分以外の部分を上記第1の部品に圧接させる圧接工程と、上記第2の部品の上記ロウ材を付着した部分を上記第1の部品に対面させる対面工程とを有し、上記圧接工程及び対面工程の後に、上記第1の部品と第2の部品を加熱する熱処理工程を有する時計外装部品の製造方法を提供する。
さらに、この発明は、第1の部品と第2の部品とを固着して時計外装部品を製造する時計外装部品の製造方法であって、上記記第2の部品にロウ材を付着する工程と、上記第2の部品の上記ロウ材を付着した部分以外の部分と上記第1の部品とに第3の部品を圧接させる圧接工程と、上記第2の部品の上記ロウ材を付着した部分を上記第1の部品に対面させる対面工程とを有し、上記圧接工程及び対面工程の後に、上記第1の部品、第2の部品及び第3の部品を加熱する熱処理工程を有する時計外装部品の製造方法を提供する。
上記圧接工程は、上記第2の部品を上記第1の部品に圧入して行うことができる。また、上記圧接工程は、上記第3の部品を上記第1の部品と上記第2の部品に圧入して行うこともできる。
上記ロウ材を付着する工程は、ペースト状ロウ材をディスペンサで付着して行うとよい。
そして、上記第1の部品と第2の部品の素材としてチタンを用いるときは、上記熱処理工程で加熱するときの温度が約600℃以上約850℃以下であるとよい。
また、上記第1の部品と第2の部品の素材としてステンレス鋼を用いるときは、上記熱処理工程で加熱するときの温度が約600℃以上約900℃以下であるとよい。
上記第2の部品にロウ材を付着する工程よりも前に、その第2の部品のロウ材を付着する部分以外の部分に金属膜を形成する工程を有してもよい。
発明を実施するための最良の形態
以下、この発明による時計外装部品及びその製造方法を実施するための最良の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
(第1の実施の形態:第1図、第2図、第9図)
1)時計外装部品の全体構造
まず、この発明による時計外装部品及びその製造方法の第1の実施の形態として、第1図に示す時計ケース11について説明する。時計ケース11は、腕時計用の時計外装部品であって、第1の部品である時計ケース本体1と、第2の部品である竜頭パイプ3とを固着して製造されている。この時計ケース11は、その竜頭パイプ3が時計ケース本体1に密着した密着部7に後述する固相拡散接合部4aとロウ付け接合部5aの二つの接合部が形成されている点を特徴としている。なお、第1図は時計ケース本体1と竜頭パイプ3とを分解して示す時計ケース11の斜視図である。第2図は第1図で竜頭パイプ3が時計ケース本体1に密着して形成される密着部を2−2線で切断して示す断面図、第9図は第1図の2−2線の切断面を一部省略して示す断面図である。
時計ケース本体1は、側壁部1aの内側にムーブメント、文字盤等を収める収納空間を有し、側壁部1aに巻真孔(stem hole)2が形成されている。この巻真孔2は、竜頭パイプ3に対応する形状に穿設され、時計ケース本体1の収納空間から外部に連通するように形成されている。また、巻真孔2は内側に径小部2a、その外側に径大部2bをそれぞれ有してその間に円環状の当接面2cを有し、径小部2a、径大部2b及び当接面2cにより竜頭パイプ3の外形に対応する孔部を構成している。
竜頭パイプ3は、図示しない竜頭を時計ケース本体1に取り付ける際に防水性を確保するために使用する筒状の部品であって、径小部3aと径大部3bとを有し、径小部3aと径大部3bとの間が円環状の当接面3cになっている。径小部3aは巻真孔2の径小部2aに対応する形状に形成されているが、径小部2aよりもごくわずかに径の大きさが大きくなっている。
2)時計外装部品の製造方法
時計ケース11は、竜頭パイプ3の当接面3cにペースト状の低融点ロウ材を予め適量付着させて巻真孔2の中にその外側から強い力で押し込んで製造する。すなわち、時計ケース11は、竜頭パイプ3を巻真孔2に圧入して製造する。すると、径小部3aの外周面が径小部2aの内周面に応力が作用した状態で接面する(圧接する)とともに、当接面3cと当接面2cとが互いに対面する恰好になって密着部7が形成される。この時、当接面3cに付着したロウ材は竜頭パイプ3の当接面3cと当接面2cとの隙間(一部は径大部3bと径大部2bとの隙間)にある程度均一に広げられている。そして、その状態で時計ケース11と竜頭パイプ3とを図示しない真空装置内に収めて真空雰囲気に置き、その中で加熱する熱処理工程を行う。すると、固相拡散接合とロウ付けとが同時に行われて時計ケース本体1と竜頭パイプ3とが固着して一体化する。
3)時計外装部品の接合部の構造
時計ケース11は、上述のようにして製造することによって、固相拡散接合部4aとロウ付け接合部5aが形成されている。
固相拡散接合部4aは、径小部2aと径小部3aとが接面している部分に形成されている。ここで、固相拡散接合とは、被接合物をつき合わせ、塑性変形をほとんど生じない程度の圧力と熱を加え、接合面同士で生じる原子の拡散を利用して被接合物を融点以下で接合することをいう。この固相拡散接合部4aでは、径小部2aと径小部3aとが互いに接面して、その境界面において、それぞれを構成する素材(たとえばチタン)の原子レベルのミクロ拡散が起こり、元々存在していた酸化膜の酸素が内部に拡散して固溶されている。たとえ、接合する初期の段階で、境界面に微小な凹凸が存在し、その凹凸に起因する微小な隙間が境界面にあっても、その隙間はミクロ拡散の進行につれて次第に小さくなり、最終的にはほぼ消失してしまう。こうなると、その境界面はもはや水蒸気さえも通さなくなる。こうして、径小部2aと径小部3aの接面部分が隙間無く緊密かつ強固に接合して固相拡散接合部4aとなっている。
ロウ付け接合部5aは、当接面3cに付着したペースト状の低融点ロウ材が、竜頭パイプ3を圧入した際に竜頭パイプ3と巻真孔2の隙間に広がって形成されている。この低融点ロウ材は、時計ケース本体1と竜頭パイプ3を加熱する熱処理工程で溶融して毛細管現象により当接面2c,3cの対面部分に存在する微小な隙間を埋めるようにして広がる(一部は径大部2bと径大部3bとの隙間にも広がる)。すると、当接面2c,3cが径小部2a,3aを取り囲むようにして形成されているので、ロウ付け接合部5aが固相拡散接合部4aを取り囲むようにして形成される。これをもって、時計ケース本体1と竜頭パイプ3とが接合されている。
ここで、「低融点ロウ材」とは、被ロウ付け部品の素材の変態点又は結晶化温度よりも融点が低いロウ材をいい、ロウ付けによる接合後も被ロウ付け部品の表面の仕上がり状態に影響を及ぼさないロウ材を意味している。
時計ケース11は、時計ケース本体1と竜頭パイプ3とを固相拡散接合部4aを設けて固着しているため、密閉性を含む内部の防水性がかなりの確率で良好な状態に保たれている。この固相拡散接合部4aを設けるには、接合しようとする部分(径小部2aと径小部3a)が隙間無く緊密に接しなくてはならない。しかし、ごくまれに何らかの事情で、径小部2aや径小部3aの面精度が悪く、双方の断面形状が厳密な真円で無かったり、巻真孔2をドリルで穴開けして形成する際に発生する溶着等により、径小部2aの内周面が荒れている場合がある。すると、竜頭パイプ3を時計ケース本体1に圧入しても、径小部2aと径小部3aとが緊密に接しなくなってしまい、固相拡散接合部4aが確実に形成されないおそれがある。こうなると、時計ケース11の防水性は不十分になる可能性がある。
このことから、時計ケース11は、径小部2a,3aの接面部分に固相拡散接合部4aを形成するとともに、その外側に固相拡散接合部4aを取り囲むようにしてロウ付け接合部5aを形成している。こうして、時計ケース11は、固相拡散接合部4aが確実には形成されていない場合でも、その外側をロウ材により隙間無く接合して丈夫さと完全な防水性を得ている。
4)時計外装部品の実施例
この発明による時計外装部品として、上述した構成を有する時計ケース11の具体的な実施例(サンプル)を作製した。
(実施例1)
この実施例では、時計ケース11は、純チタン製の時計ケース本体1と、チタン合金製(Ti−6Al−4V)の竜頭パイプ3を固着して製造した。時計ケース本体1の巻真孔2は、径小部2aの穴径を約1.8mmφとし、竜頭パイプ3は、径小部3aの外径を約1.83mmφとした。よって、竜頭パイプ3を巻真孔2に圧入する際の圧入代(圧入に寄与する両者の寸法差)は、1.83mmφ−1.8mmφ=0.03mmφ、すなわち30μmとなる。こうして、径小部3aの径を径小部2aよりもごくわずかに大きくして竜頭パイプ3が巻真孔2に圧入できるようにした。
また、ロウ付け接合部5aを形成するため、この実施例では、パラジウム、白金、ニッケル及びリンを主成分とし、Pd:Pt:Ni:Pの組成比率が、34:53:8:5(重量%)となるPdPtNiP系のペースト状ロウ材を使用した。このロウ材は、融点が時計ケース本体1と竜頭パイプ3の素材(この実施例ではチタン)の変態点よりも低い低融点ロウ材であり、その融点は約699℃である。ロウ材は、ペースト状でなくてもよいが、ペースト状にすると取り扱いが容易になるから、ペースト状のロウ材を使用するのが好ましい。このロウ材は、巻真孔2の当接面2cか、竜頭パイプ3の当接面3cにディスペンサを用いて約2μlほど滴下して付着させた。
そして、竜頭パイプ3の径小部3aを巻真孔2の径小部2aに圧入した後、時計ケース本体1を竜頭パイプ3とともに図示しない真空装置内に収めた。この真空装置内の圧力を5×10−6Torr(約6.7×10−4Pa)程度に保持して真空雰囲気を形成し、その中で熱処理を行った。この熱処理を行う際に加える温度(熱処理温度)は約750℃に設定し、熱処理を行う時間(熱処理時間)は約1時間程度にした。この熱処理を行うことにより、時計ケース本体1と竜頭パイプ3は、固相拡散接合部4aとロウ付け接合部5aという二つの接合部が形成されて固着した。
固相拡散接合部4aを形成するためには、竜頭パイプ3を巻真孔2に圧入する際の圧入代にある程度の大きさを確保するとともに、熱処理温度もある程度の温度にしなければならない。圧入代と熱処理温度は、時計ケース11及び竜頭パイプ3の材質、大きさによって異なるが、固相拡散接合部4aが形成されるようにして双方を調節する。
この実施例1に示すように、チタンからなる金属製の部品を接合する場合の熱処理温度は、約600℃から約850℃程度の範囲であることが望ましい。熱処理温度が600℃未満では、ロウ付けに使用するロウ材が十分に溶けずに隙間に回り切らないおそれがあるから好ましくない。また、固相拡散接合部4aでも十分な拡散が発生せず、境界面に微小な空孔が残ってしまい、強度が不十分になる場合がある。一方、熱処理温度が850℃を越えてしまうとチタンの変態点に接近して、表面の状態が変化する場合があるから好ましくない。なお、この実施例1で製造した時計ケース11を試料Cとした。
(実施例2)
次に、実施例1で使用したロウ材とは別のロウ材を用いて時計ケース本体1と竜頭パイプ3を接合した。この実施例では、パラジウム、銅、ニッケル及びリンを主成分とし、Pd:Cu:Ni:Pの組成比率が、78:4:11:7(重量%)となるPdCuNiP系のペースト状ロウ材を使用した。このロウ材も、融点が時計ケース本体1と竜頭パイプ3の素材(チタン)の変態点よりも低い低融点ロウ材であり、その融点は約604℃である。また、このロウ材を用いるため、熱処理温度を約700℃に変更し、熱処理時間を約1時間程度にした。その他、熱処理工程の条件は実施例1と同じにしている。なお、この実施例2で製造した時計ケース11を試料Dとした。
(比較例1)
上述の実施例1,2と比較するため、従来の要領で時計ケースの比較例を作製した。この比較例では、上述の実施例1,2と素材は同じであるが、寸法の異なる時計ケース本体と竜頭パイプを用いて、ペースト状の銀ロウ材(JIS規格:BAg、−8,融点780℃)を用いた銀ロウ付けを行い、その時計ケース本体と竜頭パイプを接合した。そのロウ付けでは、ロウ付け温度を約820℃に設定し、時計ケース本体と竜頭パイプを真空炉の中に10分間程度置いてロウ付けを行った。しかし、ロウ付け温度がチタンの変態点に近い温度であるため、表面の結晶が若干粗大化して白濁したため再研磨が必要となった。また、時計ケース本体と竜頭パイプは、その寸法が竜頭パイプの圧入されない(時計ケース本体と竜頭パイプの接面部分が圧接されない)大きさであるため、実施例1,2のように固相拡散接合部は形成されなかった。なお、この比較例1で製造した時計ケースを試料Aとした。
(比較例2)
また、比較例1と同じ時計ケース本体と竜頭パイプを用いて竜頭パイプにプロジェクション(突起)を作製し、プロジェクション溶接を行った。溶接を行うと、一般的に溶接跡が見えるが、製造した時計ケースは、時計ケース本体と竜頭パイプを溶接した箇所が巻真孔の中に形成され、外側から見えなくなった。そのため、溶接跡の存在は肉眼で確認することはできない。しかし、竜頭パイプのような大きさの非常に小さい部品に突起を設けると、部品全体に占めるその突起の割合が高くなるから、この比較例2は、外観の装飾性が良好ではないと考えられる。なお、この比較例2で製造した時計ケースを試料Bとした。
(実施例と比較例の評価について)
上述の要領で作製した実施例1、2及び比較例1、2の試料AからDついて、竜頭パイプを時計ケース本体に密着した部分の評価を次の要領で行った。ここでは、そのための項目として、「耐蝕性」、「防水信頼性」、「固定力」、「外観」の4つを設定した。
「耐蝕性」は、CASS試験溶液に48時間浸漬を行って腐蝕が全く発生しないものを合格として(ISO3770に準拠)評価した。
「防水信頼性」は、防水試験機にて10気圧防水試験を行うとともに、約40℃の温度の下で相対湿度を90%に設定して耐湿試験を行い評価した。
「固定力」は、引っ張り試験機により竜頭パイプを引っ張り、接合状態を保持できる最も高い強度(接合強度)を測定した。
「外観」は、時計ケース本体と竜頭パイプが接合している部分(密着部)の外観の状態を目視により確認して評価した。
これらの4つの評価項目について、実施例1,2及び比較例1,2による各試料AからDを相対的に評価し、良好なものから順に、○,△,×とする評価を行った。その結果は、表1に示すとおりである。
表1に示すとおり、比較例1で銀ロウ付けにより接合した試料Aは、防水信頼性、固定力、外観では良好な結果が得られている。しかし、耐蝕性は良好ではない。また、ロウ付けして接合した部分からの発錆がひどく、腕時計の製造は不可といえる結果であった。
比較例2でプロジェクション溶接により接合した試料Bは、防水信頼性が低く、わずかに防水不良が発生した。また、竜頭パイプの外径が大きくなっているため、外観の装飾性が好ましくないという結果であった。
一方、実施例1の試料Cは、固相拡散接合部4aとロウ付け接合部5aの両方が形成されており、耐蝕性、防水信頼性、固定力、外観のすべてについて満足のいく十分な接合が行われていた。これは、次のことによると考えられる。低融点ロウ材を用いたため、耐蝕性が従来の銀ロウ材等に比較して極めて良好になったこと、防水信頼性は、固相拡散接合部4aにおける固相拡散接合の効果及び低融点ロウ材の濡れ性の両方が寄与したためと考えられる。さらに、固定力では、固相拡散接合部4aにおいて接面部分が隙間無く緊密に接合して接合強度が大きくなっていることが寄与していると考えられる。
以上のように、時計ケース11は、各部品が強固に接合しているため、その接合状態を長期間維持し得る丈夫さを備え、良好な防水性も兼ね備えている。また、時計ケース11は、低融点ロウ材により接合しているから良好な耐蝕性も備え、外観の装飾性が良好になっている。さらに、時計ケース11は、時計ケース本体1と竜頭パイプ3を別々に形成してそれぞれに所望の表面加工や被膜形成加工を施し、その後に両者を固着することによって製造することができるから、デザインバリエーションが豊富になる。
(第2の実施の形態:第3図、第4図、第10図)
1)時計外装部品の全体構造
次に、第2の実施の形態として、第3図に示す時計ケース21について説明する。時計ケース21は、第1の部品である時計ケース本体14と第2の部品である先カン部15とを、第3の部品である金属管16を介して固着して製造されている。この時計ケース21は、その先カン部15が金属管16を介して時計ケース本体14に密着して密着部17が形成され、その密着部17に固相拡散接合部4bとロウ付け接合部5bの二つの接合部が形成されている。なお、第3図は時計ケース本体14、先カン部15及び金属管16を分解して示す時計ケース21の斜視図である。第4図は第3図で先カン部15が金属管16を介して時計ケース本体14に密着して形成される密着部17を4−4線で切断して示す断面図、第10図は第3図の4−4線の切断面を一部省略して示す断面図である。
時計ケース本体14は、時計ケース本体11と比較して、切欠き凹部10が形成されている点で異なるが、その他は同じ構成を有している。なお、第3図では巻真孔の図示を省略している。
切欠き凹部10は、時計ケース本体14の側壁部1cの巻真孔の形成されない箇所に対向して形成されている。この切欠き凹部10はそれぞれ当接面10aを有し、その略中央に嵌合穴9が形成されている。嵌合穴9は、当接面10aと垂直な方向に穿設され、周壁面9aと底部9bを有している。すなわち、嵌合穴9は貫通孔ではない。
先カン部15は、バンド係合部15aと異なる側面に突出部20が形成されている。この突出部20は、切欠き凹部10に対応して形成されていて、当接面20aを有し、その略中央に嵌合穴12が形成されている。この嵌合穴12は当接面20aと垂直な方向に穿設され、周壁面12aと底部12bを有している。すなわち、嵌合穴12も貫通穴ではない。
嵌合穴9と嵌合穴12は、互いに穴径の大きさと深さが等しく、突出部20を切欠き凹部10に嵌め込んだ際に互いに対向する位置に形成されている。
金属管16は、端面16a,16b及び周壁面16cを有する円筒状の部材である。金属管16は、外径の大きさが嵌合穴9,12の穴径よりもごくわずかに大きく形成され、長さが嵌合穴9,12の深さの和よりも若干短い長さに形成されている。そのため、金属管16は嵌合穴9,12に圧入され、その周壁面16cが周壁面9a,12aに応力が作用した状態で接面(圧接)する。また、金属管16は、端面16a,16bと底部9b,12bとが対面する恰好で配置され、嵌合穴9,12の両方に跨って完全に収まる。
また、嵌合穴9,12が底部9b,12bを有するから、金属管16は嵌合穴9,12に嵌め込まれると、もはや外側からは視認することができない。したがって、時計ケース21は、外観の装飾性が良好であり、好ましい構成である。
時計ケース21は、固相拡散接合部4bが密着部17内において、金属管16の周壁面16cと嵌合穴9,12の周壁面9a,12aとが接面している部分に形成されている。この固相拡散接合部4bでは、周壁面16cと周壁面9a,12aの接面部分が隙間無く緊密かつ強固に接合している。
また、ロウ付け接合部5bでは、当接面20aに付着した低融点ロウ材が、熱処理の過程で溶融して当接面20aと当接面10aの対面部分に存在する微小な隙間を埋めるようにして広がっており、これにより、先カン部15と時計ケース本体14とが接合されている。
このように、時計ケース21は、固相拡散接合部4bにより、時計ケース本体14と先カン部15とが強固に接合されているので、両者の接合状態を長期間維持し得る丈夫さを備えている。また、低融点ロウ材によりロウ付け接合部5bを形成しているから良好な耐蝕性を備え、固相拡散接合が確実には行われていない場合があっても、接合状態を長期間維持し得る丈夫さを備えている。
2)時計外装部品の製造方法
時計ケース21は、次のようにして製造する。まず、突出部20の当接面20aにペースト状の低融点ロウ材を予め適量付着させる。そして、金属管16を嵌合穴9,12に嵌め合わせつつ、突出部20を切欠き凹部10に嵌め込み、先カン部15を外側から強い力で押し込む。すると、金属管16が嵌合穴9,12に圧入される。また、当接面20aと当接面10aとが互いに対面する恰好になる。この時、当接面20aに付着したロウ材は当接面10aとの間に形成される隙間から切欠き凹部10と突出部20との間に形成される隙間全体にわたってある程度均一に広がっている。そして、その状態で時計ケース本体14、先カン部15及び金属管16を図示しない水素炉内に収めて還元雰囲気に置き、その中で加熱する熱処理工程を行う。すると、固相拡散接合とロウ付けとが同時に行われて時計ケース本体14と先カン部15とが金属管16を介して固着し、これらの部品が一体化する。
3)時計外装部品の実施例
次に、上述した構成を有する時計ケース21の具体的な実施例(サンプル)について説明する。
この実施例では、時計ケース21は、快削性ステンレス鋼(SUS316F)からなる金属管16を介して、ステンレス鋼(SUS316L)製時計ケース本体14と先カン部15とを固着して製造した。時計ケース本体14と先カン部15の嵌合穴9,12は穴径を約2mmφとし、金属管16は外径を約2.05mmφとした。よって、金属管16を嵌合穴9,12に圧入する際の圧入代は、約2.05mmφ−2mmφ=0.05mmφ、すなわち50μmとなる。
金属管16は全長を約4mmとし、嵌合穴9,12の深さはともに2.1mmとした。よって、嵌合穴9,12の深さの和は4.2mmである。金属管16は長さがこの深さの和よりも若干短いので、嵌合穴9,12の内部に完全に収まった。
また、ロウ付け接合部5bを形成するため、この実施例では、金、銀、銅、ゲルマニウム及びパラジウムを主成分とし、Au:Ag:Cu:Ge:Pdの組成比率が、45.5:32:5:12.5:5(重量%)となるAuAgCuGePd系のペースト状ロウ材を使用した。このロウ材は融点が時計ケース本体14及び金属管16の素材(この実施例ではステンレス)の再結晶温度よりも低い低融点ロウ材であり、その融点は約635℃である。
そして、時計ケース21を製造するため、まず、ロウ材をディスペンサを用いて当接面20aに約2μlほど滴下して付着させた。次に、金属管16を嵌合穴9,12に嵌め合わせつつ、突出部20を切欠き凹部10に圧入した後、時計ケース本体14、先カン部15及び金属管16に対し、還元雰囲気である高温の水素ガス雰囲気処理炉内で熱処理を行った。このとき、熱処理温度は約850℃に設定し、熱処理時間は約20分程度にした。すると、時計ケース本体14、先カン部15及び金属管16は、固相拡散接合部4bとロウ付け接合部5bという二つの接合部が形成されて固着した。
この固相拡散接合部4bでは、時計ケース本体14及び先カン部15の素材であるステンレスSUS316Lと、金属管16の素材であるステンレスSUS316Fとが接面する境界面(すなわち、周壁面16cと、周壁面9a,12aとの接面部分)において、互いにステンレス鋼の構成元素であるFe,Cr,Ni等の原子レベルのミクロ拡散が起こっている。これにより、接合する初期の段階で、微小な凹凸に起因する隙間が境界面にあっても、その隙間はミクロ拡散の進行につれて次第に小さくなり、最終的にはほぼ消失してしまう。こうして、周壁面16cと、周壁面9a,12aとの接面部分が隙間無く緊密かつ強固に接合している。
また、ロウ付け接合部5bでは、ロウ材が約850℃の加熱中に溶融し、毛細管現象により当接面20aと当接面10aの対面部分に存在する微小な隙間を埋めるようにして広がる。その後、時計ケース本体14、先カン部15及び金属管16を冷却した時に当接面20aと当接面10aとが接合する。
この実施例に示すように、ステンレス鋼からなる金属製の部品を接合する場合の熱処理温度は、約600℃から約900℃程度の範囲であることが望ましい。熱処理温度が600℃未満では、ロウ付けに使用するロウ材が十分に溶けずに隙間に回り切らないおそれがあるから好ましくない。また、固相拡散接合部4bでも十分な拡散が発生せず、境界面に微小な空孔が残ってしまい、強度が不十分になる場合がある。一方、熱処理温度が900℃を越えてしまうと、ステンレス鋼の再結晶温度に接近してステンレス鋼の組織が粗大化し、表面の状態が変化してしまう場合があるから好ましくない。
(第3の実施の形態:第5図、第6図、第11図)
1)時計外装部品の全体構造
続いて、第3の実施の形態として、第5図に示す時計ケース31について説明する。時計ケース31は、第1の部品である時計ケース本体24と、第2の部品である先カン部25とを固着して製造されている。この時計ケース31は、先カン部25が時計ケース本体24に密着して密着部28が形成され、その密着部28に固相拡散接合部4cとロウ付け接合部5cが形成されている。なお、第5図は時計ケース本体24と先カン部25を分解して示す時計ケース31の斜視図である。第6図は第5図で先カン部25が時計ケース本体24に密着して形成される密着部を6−6線で切断して示す断面図、第11図は第6図で時計ケース本体24と先カン部25とを分解して先カン部の一部拡大図とともに示す断面図である。
時計ケース本体24は、時計ケース本体14と比較して、切欠き凹部27に嵌合穴が形成されていない点で異なり、その他は同じ構成を有している。なお、第5図でも巻真孔の図示を省略している。切欠き凹部27は、当接面27aと、その両側に側壁面27b,27bを有している。
先カン部25は、先カン部15と比較して、突出部26の形状が異なっている。この突出部26は、横幅の寸法が切欠き凹部27よりもわずかに大きく形成されていて、当接面26aと、その両側に側壁面26b,26bを有している。この側壁面26b,26bには、金属膜30が形成されている。したがって、突出部26は、切欠き凹部27に圧入され、側壁面26b,26bが金属膜30を介して側壁面27b,27bに応力が作用した状態で接面(圧接)される。
時計ケース31は、固相拡散接合部4cが、突出部26の側壁面26b,26bが金属膜30,30を介して切欠き凹部27の側壁面27b,27bに接面している部分に形成されている。この固相拡散接合部4cでは、側壁面26b,26bと、側壁面27b,27bとが金属膜30を挟んで接面し、かつ押し付けられた状態で存在している(すなわち、側壁面26b,26bが金属膜30を介して側壁面27b,27bに圧接している)。また、互いに接面する境界面において、その素材の成分(ステンレス鋼成分及び金属膜30の成分(Ni,P))の拡散層が形成され、側壁面26b,26bと側壁面27b,27bとが金属膜30を介して隙間無く緊密かつ強固に接合している。
また、ロウ付け接合部5cでは、当接面26aに付着した低融点ロウ材が、熱処理の過程で溶融して当接面26aと当接面27aの対面部分に存在する微小な隙間を埋めるようにして広がっており、これにより、先カン部25と時計ケース本体24とが接合されている。
このように、時計ケース31は、固相拡散接合部4cにより、時計ケース本体24と先カン部25とが強固に接合されているので、両者の接合状態を長期間維持し得る丈夫さを備えている。また、低融点ロウ材によりロウ付け接合部5cを形成しているから良好な耐蝕性を備え、固相拡散接合が確実には行われていない場合があっても、接合状態を長期間維持し得る丈夫さを備えている。また、固相拡散接合部4cとロウ付け接合部5cとが外部からは見えないので、外観の装飾性が良好となっている。
特に、時計ケース31は、固相拡散接合部4cが金属膜30を介して形成されているので、側壁面26b,26bが直に側壁面27b,27bに接面している場合よりも、低温での固相拡散性が向上しており、両者の界面でのボアを少なくすることができる。例えば、突出部26、時計ケース本体24をチタン製とし、金属膜30をCuで形成した場合、突出部26、時計ケース本体24をステンレス製とし、金属膜30をPdにした場合は、金属膜30を形成しない場合よりも低温での固相拡散性が向上する。また、金属膜30を比較的軟質の金属(Pt、Cu、Au等)を用いて形成すると、突出部26を圧入した際に塑性変形が起こるため、界面で発生し得る応力が界面全体で略均等になるように緩和される。したがって、真円度の差等による微小な隙間が埋まり、接合がされやすくなる。
2)時計外装部品の製造方法
時計ケース31は、次のようにして製造する。まず、突出部26の側壁面26b,26bの表面に金属膜30を形成する。次に、当接面26aにペースト状の低融点ロウ材を適量付着させる。そして、突出部26を切欠き凹部27に外側から嵌め込み、先カン部25を強い力で押し込む。すると、突出部26が切欠き凹部27に圧入される。また、当接面26aと当接面27aとが互いに対面する恰好になる。この時、当接面26aに付着したロウ材は当接面27aとの間に形成される隙間にある程度均一に広がっている。そして、その状態で時計ケース本体24と先カン部25を図示しない真空装置内に収めて真空雰囲気に置き、その中で加熱する熱処理工程を行う。すると、固相拡散接合とロウ付けとが同時に行われて時計ケース本体24と先カン部25とが固着して一体化する。
3)時計外装部品の実施例
次に、上述した構成を有する時計ケース31の具体的な実施例(サンプル)について説明する。
この実施例では、時計ケース31は、ステンレス鋼(SUS304)製時計ケース本体24と先カン部25とを固着して製造した。時計ケース本体24は、切欠き凹部27の横幅の寸法を約10mmとし、先カン部25は、突出部26の横幅の寸法を約10.05mmとした。よって、突出部26を切欠き凹部27に圧入する際の圧入代は、約10.05mm−10mm=0.05mmφ、すなわち50μmとなる。
突出部26の側壁面26b,26bには、予め金属膜30として、マスクメッキにより、Ni−Pのメッキ膜を形成した。その膜厚は約3μmとした。
また、ロウ付け接合部5cを形成するため、この実施例では、金、銀、銅、パラジウム及びニッケルを主成分とし、ガリウム、インジウム、錫のうち、少なくとも1種類以上の元素を含有するロウ材を使用する。ここでは、主成分となる元素にガリウム及びインジウムを含有し、Au:Ag:Cu:Pd:Ni:Ga:Inの組成比率が、41:30:8:10:4:4:3(重量%)となるAuAgCuPdNiGaIn系のペースト状ロウ材を使用した。このロウ材は融点が時計ケース本体24及び先カン部25の素材(ステンレス)の再結晶温度よりも低い低融点ロウ材であり、その融点は約605℃である。
そして、時計ケース31を製造するため、まず、ロウ材をディスペンサを用いて約2μlほど当接面26aに滴下して付着させた。そして、突出部26を切欠き凹部27に圧入した後、時計ケース本体24、先カン部25を真空装置内に収めて、内部圧力を5×10−5Torr(約6.7×10−3Pa)程度に保持して真空雰囲気とし、その中で熱処理を行った。このとき、熱処理温度は約800℃に設定し、熱処理時間は約30分程度にした。すると、時計ケース本体24と先カン部25は、固相拡散接合部4cとロウ付け接合部5cが同時に形成されて固着した。
こうして得られる時計ケース31は、時計ケース本体24の密着部28周辺を除く外観表面を予めホーニングとし、先カン部25はその表面をミラー面仕上げとしておき、それから両者を固着して製造することができる。すると、上述の要領で製造した時計ケース31は、時計ケース本体24のホーニング面と先カン部25のミラー面がシャープな界面を持って隣接するため、新規なデザインを得ることが可能であり、デザインバリエーションを豊富にすることができる。
この実施例のように、ステンレス鋼同士を接合する場合、熱処理温度が約800℃程度であれば、再結晶による表面あれを起こさないので、表面状態を維持したまま接合することができる。
また、時計ケース31に対し、人工汗試験としてCASS試験を48時間実施して変色や発錆等の評価を行ったが、試験の結果は良好であった。つまり、密着部28の耐食性は良好である。特に腐食を起こすような元素が密着部28(時計ケース本体24と先カン部25の素材及び金属膜30の素材)の中に含まれていないためである。
なお、以上の説明では、金属膜30はNi−P膜としているが、その他にPd、Pt、Cu、Ni、Au或いはこれらの合金膜にしてもよい。また、その成膜方法はメッキ法のほか、蒸着、IP(イオンプレーティング)、スパッタリング、CVDでもよい。また、側壁面26b,26bのみに金属膜30を形成するときは、それ以外の不要な部分にマスクを付着させて後にリフトオフしても良いし、全面に成膜した後で不要な部分(側壁面26b,26b以外の部分)にエッチングを施して除去してもよい。
また、金属膜30と同じ金属膜を当接面26aに形成して、ロウ付け接合部5cを形成してもよい。この場合、ロウ材の濡れ性が改善され、ロウ材の流れ(ロウ流れ)を少なくすることができる。なお、ロウ材の濡れ性は一般的に熱処理温度によって影響される(高温ほど濡れ性がよくなる)。
(第4の実施の形態:第7図、第8図、第12図、第13図)
1)時計外装部品の全体構造
続いて、第4の実施の形態として、第7図に示す時計ケース41について説明する。時計ケース41は、第1の部品である時計ケース本体34と、第2の部品である先カン部35とを金属管16を介して固着して製造されている。この時計ケース41は、その先カン部35が金属管16を介して時計ケース本体34に密着して密着部38が形成され、その密着部38に固相拡散接合部4dとロウ付け接合部5dの二つの接合部が形成されている。なお、第7図は時計ケース本体34、先カン部35及び金属管16を分解して示す時計ケース41の斜視図である。第8図は第7図で先カン部35が金属管16を介して時計ケース本体34に密着して形成される密着部を8−8線で切断して示す断面図、第13図は第7図に示す時計ケース本体34と先カン部35の密着部を形成する部分を第8図の13−13線で切断して示す断面図である。
時計ケース本体34は、時計ケース本体14と比較して、切欠き凹部37が形成されている点で異なり、その他は同じ構成を有している。その切欠き凹部37は、切欠き凹部10と比較して、嵌合穴39の形成されている位置が異なり、その他は同じ構成を有している。なお、第7図でも巻真孔の図示を省略している。切欠き凹部37は、当接面37a、側壁面37b,37b及び背面37cを有し、その背面37cの略中央に嵌合穴39が形成されている。この嵌合穴39は、背面37cと垂直な方向に穿設され、周壁面39aと底部39bを有している。
先カン部35は、突出部36が形成されている。この突出部36は、横幅の寸法が切欠き凹部37よりもわずかに大きく形成されている。よって、突出部36は、切欠き凹部37に圧入され、その側壁面36b,36bが側壁面37b,37bに応力が作用した状態で接面する(圧接する)。また、突出部36は、当接面36a、側壁面36b,36b及び正面36cを有し、その正面36cの略中央に嵌合穴42が形成されている。嵌合穴42は、正面36cと垂直な方向に穿設され、周壁面42aと底部42bを有している。
嵌合穴39と嵌合穴42は、互いに穴径の大きさと深さが等しく、突出部36を切欠き凹部37に嵌め込んだ際に互いに対向する位置に形成されている。
金属管16は、外径が嵌合穴39,42の穴径よりも若干大きいので、時計ケース本体34と先カン部35に圧入され、その周壁面16cが周壁面39a,42aに応力が作用した状態で接面(圧接)する。また、金属管16は、その長さが嵌合穴39,42の深さの和よりも短いから、端面16a,16bと底部39b,42bとが対面する恰好で配置され、かつ嵌合穴39,42の両方に跨って完全に収まる。
時計ケース41は、固相拡散接合部4dが次の部分に形成されている。すなわち、固相拡散接合部4dは、密着部38内において、金属管16の周壁面16cと嵌合穴39,42の周壁面39a,42aとが接面している部分と、突出部36の側壁面36b,36bと切欠き凹部37の側壁面37b,37bとが接面している部分に形成されている。この固相拡散接合部4dでは、その接面部分において、素材を構成する原子レベルのミクロ拡散が起こり微小な隙間がほぼ完全に消失している。こうして、側壁面36b,36bと側壁面37b,37bの接面部分と、周壁面16cと周壁面9a,12aの接面部分とが隙間無く緊密かつ強固に接合している。
また、ロウ付け接合部5bでは、正面36cに付着した低融点ロウ材が、熱処理の過程で溶融して正面36cと背面42cの対面部分に存在する微小な隙間を埋めるように広がっており、これにより、先カン部35と時計ケース本体34とが接合されている。
このように、時計ケース41は、固相拡散接合部4dにより、時計ケース本体34と先カン部35とが強固に接合されているので、両者の接合状態を長期間維持し得る丈夫さを備えている。また、低融点ロウ材によりロウ付け接合部5dを形成しているから良好な耐蝕性を備え、固相拡散接合が確実には行われていない場合があっても、接合状態を長期間維持し得る丈夫さを備えている。
2)時計外装部品の製造方法
時計ケース41は、次のようにして製造する。まず、突出部36の正面36cにペースト状の低融点ロウ材を予め適量付着させる。そして、金属管16を嵌合穴39,42に嵌め合わせつつ、突出部36を切欠き凹部37に嵌め込み、先カン部35を外側から強い力で押し込む。すると、金属管16は、時計ケース本体34と先カン部35に圧入される。また、正面36cと背面42cとが互いに対面する格好になる。この時、正面36cに付着したロウ材は背面42cとの間に形成される隙間にある程度均一に広げられている。また、突出部36が切欠き凹部37に圧入される。そして、その状態で時計ケース本体34、先カン部35及び金属管16を図示しない真空装置内に収めて真空雰囲気に置き、その中で加熱する熱処理工程を行う。すると、固相拡散接合とロウ付け接合とが同時に行われて時計ケース本体34と先カン部35とが金属管16を介して固着し、これらの部品が一体化する。
3)時計外装部品の実施例
次に、上述した構成を有する時計ケース41の具体的な実施例(サンプル)について説明する。
この実施例では、時計ケース41は、ステンレス鋼(SUS304)製時計ケース34及び先カン部35と、快削性ステンレス鋼(SUS316F)製金属管16とを固着して製造した。時計ケース本体34と先カン部35の嵌合穴39,42は、穴径を約1.8mmφとし、金属管16は外径を約1.85mmφとした。よって、金属管16を嵌合穴39,42に圧入する際の圧入代は、約1.85mmφ−1.8mmφ=0.05mmφ、すなわち50μmとなる。
金属管16は全長を約4mmとし、嵌合穴39,42の深さはともに2.1mmとした。よって、嵌合穴39,42の深さの和は、4.2mmである。金属管16は長さがこの深さの和よりも若干短いから、嵌合穴39,42の内部に完全に収まる。
また、突出部36の横幅の寸法を約10.05mmとし、切欠き凹部37の横幅の寸法を約10mmとした。したがって、突出部36を切欠き凹部37に圧入する際の圧入代は、約10.05mm−10mm=0.05mmφ、すなわち50μmとなる。
ロウ付け接合部5dを形成するため、この実施例では、金、銀、銅、パラジウム及びニッケルを主成分とし、ガリウム、インジウム、錫のうち、少なくとも1種類以上の元素を含有するロウ材を使用する。ここでは、その主成分となる元素に、インジウム及び錫を含有し、Au:Ag:Cu:Pd:Ni:In:Snの組成比率が、56:18:8:5:5:3:5(重量%)となるAuAgCuPdNiInSn系のペースト状ロウ材を使用した。このロウ材は融点が時計ケース本体34及び先カン部35の素材(ステンレス)の再結晶温度よりも低い低融点ロウ材であり、その融点は約660℃である。
そして、時計ケース41を製造するため、まず、ロウ材をディスペンサを用いて約2μlほど正面36cに滴下して付着させた。次いで、金属管16を嵌合穴39,12に嵌め合わせつつ、突出部36を切欠き凹部37に圧入した後、時計ケース本体34、先カン部35を真空装置内に収めて、内部圧力を5×10−5Torr(約6.7×10−3Pa)程度に保持して真空雰囲気とし、その中で熱処理を行った。このとき、熱処理の温度は約800℃に設定し、熱処理時間は約30分程度にした。すると、時計ケース本体34と先カン部35は、固相拡散接合部4dとロウ付け接合部5dという二つの接合部が形成されて固着した。
こうして得られる時計ケース41は、時計ケース本体34の密着部38の周辺を除く外観表面を予めホーニングとし、先カン部35はミラー面仕上げとしておき、それから両者を固着して製造することができる。すると、上述の要領で製造した時計ケース41は、時計ケース本体34のホーニング面と先カン部25のミラー面がシャープな界面を持って隣接するため、新規なデザインを得ることが可能であり、デザインバリエーションを豊富にすることができる。
この時計ケース41に対し、第3の実施の形態と同じ要領でCASS試験を行ったが、試験の結果は良好であった。特に腐食を起こすような元素を接合界面に含んでいないためである。
なお、この実施例のように、ステンレス鋼同士を接合する場合の熱処理温度は、第3の実施の形態と同じでよい。
上述の各実施の形態では、時計外装部品として、時計ケース本体と竜頭パイプ、時計ケース本体と先カン部を固着した時計ケースを例にとって説明したが、この発明による時計外装部品は、このような時計ケースに限られない。例えば、この発明は、時計ケース本体と裏蓋を固着した時計外装部品、時計ケース本体とベゼルを固着した時計外装部品、裏蓋と中子(casing ring)を固着した時計外装部品、バンド部品同士を固着した時計外装部品等にも適用可能である。
また、上述の各実施の形態では、低融点ロウ材として、PdPtNiP,PdCuNiP,AuAgCuGePd,AuAgCuPdNiGaIn,AuAgCuPdNiInSnからなるロウ材を使用したが、低融点ロウ材はこれらに限られない。例えば、PdCuPtNiPでもよく、AuAgCuPdNiに、Ga、In、Snのうちのいずれか1つ以上を添加したものとして、AuAgCuPdNiGaSnでもよい。
Figure 2003027777
産業上の利用可能性
この発明によれば、固相拡散接合部を構成する各部品の接面部分が隙間無く緊密かつ強固に接合しており、また、各部品がロウ付け接合部により接合されているため、その接合状態を長期間維持し得る丈夫さとともに良好な耐蝕性を備え、良好な防水性を兼ね備えた時計外装部品を得ることができる。また、各部品を別々に形成してそれぞれに所望の加工を施し、その後に両者を固着して時計外装部品を得ることができるから、外観の装飾性を良好にすることができるだけでなく、デザインバリエーションが豊富になる。
【図面の簡単な説明】
第1図は時計ケース本体と竜頭パイプとを分解して示す時計ケースの斜視図である。
第2図は第1図で竜頭パイプが時計ケース本体に密着して形成される密着部を2−2線で切断して示す断面図である。
第3図は時計ケース本体、先カン部及び金属管を分解して示す別の時計ケースの斜視図である。
第4図は第3図で先カン部が金属管を介して時計ケース本体に密着して形成される密着部を4−4線で切断して示す断面図である。
第5図は時計ケース本体と先カン部を分解して示すさらに別の時計ケースの斜視図である。
第6図は第5図で先カン部が時計ケース本体に密着して形成される密着部を6−6線で切断して示す断面図である。
第7図は時計ケース本体、先カン部及び金属管を分解して示すさらにまた別の時計ケースの斜視図である。
第8図は第7図で先カン部が金属管を介して時計ケース本体に密着して形成される密着部を8−8線で切断して示す断面図である。
第9図は第1図の2−2線の切断面を一部省略して示す断面図である。
第10図は第3図の4−4線の切断面を一部省略して示す断面図である。
第11図は第6図の先カン部と時計ケース本体を分解して、先カン部の一部拡大図とともに示す断面図である。
第12図は、第7図の8−8線の切断面を各部品の配置を一部変更して示す断面図である。
第13図は第7図に示す時計ケース本体と先カン部の密着部を形成する部分を第8図の13−13線で切断して示す断面図である。

Claims (37)

  1. 第1の部品と第2の部品とが固着された構成を有する時計外装部品であって、
    前記第2の部品が前記第1の部品に密着した密着部に固相拡散接合部とロウ付け接合部が形成されていることを特徴とする時計外装部品。
  2. 第1の部品と第2の部品とが固着された構成を有する時計外装部品であって、
    前記第2の部品に対応する孔部が前記第1の部品に形成され、
    前記第2の部品が前記孔部に嵌合して該孔部に密着している部分に固相拡散接合部とロウ付け接合部が形成されていることを特徴とする時計外装部品。
  3. 請求の範囲第2項記載の時計外装部品において、
    前記第2の部品が径小部を有し、かつ前記孔部が該径小部に対応する径小部を有し、
    前記第2の部品の径小部が前記孔部の径小部に相着している部分に前記固相拡散接合部が形成され、その密着している部分以外の部分に前記ロウ付け接合部が形成されていることを特徴とする時計外装部品。
  4. 第1の部品と第2の部品とが固着された構成を有する時計外装部品であって、
    前記第1の部品に凹部が形成され、かつ前記第2の部品に該凹部に対応する突出部が形成され、
    前記突出部が前記凹部に嵌合して該凹部に密着している密着部に固相拡散接合部とロウ付け接合部が形成されていることを特徴とする時計外装部品。
  5. 請求の範囲第4項記載の時計外装部品において、
    前記凹部と前記突出部に密着する第3の部品を設け、該第3の部品が前記凹部及び突出部に密着している部分に前記固相拡散接合部が形成され、前記突出部が前記凹部に密着している部分に前記ロウ付け接合部が形成されていることを特徴とする時計外装部品。
  6. 請求の範囲第4項記載の時計外装部品において、
    前記突出部の表面に金属膜が形成され、該金属膜を介して前記突出部が前記凹部に密着していることを特徴とする時計外装部品。
  7. 前記第1の部品及び第2の部品の材質がステンレス鋼又はチタンであることを特徴とする請求の範囲第1項記載の時計外装部品。
  8. 前記第1の部品及び第2の部品の材質がステンレス鋼又はチタンであることを特徴とする請求の範囲第2項記載の時計外装部品。
  9. 前記第1の部品及び第2の部品の材質がステンレス鋼又はチタンであることを特徴とする請求の範囲第4項記載の時計外装部品。
  10. 前記第1の部品が時計ケース本体であり、前記第2の部品が竜頭パイプであることを特徴とする請求の範囲第1項記載の時計外装部品。
  11. 前記第1の部品が時計ケース本体であり、前記第2の部品が竜頭パイプであることを特徴とする請求の範囲第2項記載の時計外装部品。
  12. 前記第1の部品が時計ケース本体であり、前記第2の部品が先カン部であることを特徴とする請求の範囲第1項記載の時計外装部品。
  13. 前記第1の部品が時計ケース本体であり、前記第2の部品が先カン部であることを特徴とする請求の範囲第4項記載の時計外装部品。
  14. 前記ロウ付け接合部が低融点ロウ材により形成されていることを特徴とする請求の範囲第1項記載の時計外装部品。
  15. 前記ロウ付け接合部が低融点ロウ材により形成されていることを特徴とする請求の範囲第2項記載の時計外装部品。
  16. 前記ロウ付け接合部が低融点ロウ材により形成されていることを特徴とする請求の範囲第4項記載の時計外装部品。
  17. 前記ロウ付け接合部がパラジウム、白金、ニッケル及びリンを主成分とするロウ材又はパラジウム、銅、ニッケル及びリンを主成分とするロウ材により形成されていることを特徴とする請求の範囲第1項記載の時計外装部品。
  18. 前記ロウ付け接合部がパラジウム、白金、ニッケル及びリンを主成分とするロウ材又はパラジウム、銅、ニッケル及びリンを主成分とするロウ材により形成されていることを特徴とする請求の範囲第2項記載の時計外装部品。
  19. 前記ロウ付け接合部が金、銀、銅、ゲルマニウム及びパラジウムを主成分とするロウ材により形成されていることを特徴とする請求の範囲第1項記載の時計外装部品。
  20. 前記ロウ付け接合部が金、銀、銅、ゲルマニウム及びパラジウムを主成分とするロウ材により形成されていることを特徴とする請求の範囲第4項記載の時計外装部品。
  21. 前記ロウ付け接合部が金、銀、銅、パラジウム及びニッケルを主成分とし、ガリウム、インジウム、錫のうち、少なくとも1種類以上の元素を含有するロウ材により形成されていることを特徴とする請求の範囲第1項記載の時計外装部品。
  22. 前記ロウ付け接合部が金、銀、銅、パラジウム及びニッケルを主成分とし、ガリウム、インジウム、錫のうち、少なくとも1種類以上の元素を含有するロウ材により形成されていることを特徴とする請求の範囲第4項記載の時計外装部品。
  23. 第1の部品と第2の部品とを固着して時計外装部品を製造する時計外装部品の製造方法であって、
    前記第2の部品にロウ材を付着する工程と、
    前記第2の部品が前記第1の部品に密着した密着部の中に固相拡散接合部とロウ付け接合部を形成する工程とを有することを特徴とする時計外装部品の製造方法。
  24. 第1の部品と第2の部品とを固着して時計外装部品を製造する時計外装部品の製造方法であって、
    前記第2の部品にロウ材を付着する工程と、
    前記第2の部品の前記ロウ材を付着した部分以外の部分を前記第1の部品に圧接させる圧接工程と、
    前記第2の部品の前記ロウ材を付着した部分を前記第1の部品に対面させる対面工程とを有し、
    前記圧接工程及び対面工程の後に、前記第1の部品と第2の部品を加熱する熱処理工程を有することを特徴とする時計外装部品の製造方法。
  25. 第1の部品と第2の部品とを固着して時計外装部品を製造する時計外装部品の製造方法であって、
    前記第2の部品にロウ材を付着する工程と、
    前記第2の部品の前記ロウ材を付着した部分以外の部分と前記第1の部品とに第3の部品を圧接させる圧接工程と、
    前記第2の部品の前記ロウ材を付着した部分を前記第1の部品に対面させる対面工程とを有し、
    前記圧接工程及び対面工程の後に、前記第1の部品、第2の部品及び第3の部品を加熱する熱処理工程を有することを特徴とする時計外装部品の製造方法。
  26. 前記圧接工程を、前記第2の部品を前記第1の部品に圧入して行うことを特徴とする請求の範囲第24項記載の時計外装部品の製造方法。
  27. 前記圧接工程を、前記第3の部品を前記第1の部品と前記第2の部品に圧入して行うことを特徴とする請求の範囲第25項記載の時計外装部品の製造方法。
  28. 前記ロウ材を付着する工程を、ペースト状ロウ材をディスペンサで付着して行うことを特徴とする請求の範囲第23項記載の時計外装部品の製造方法。
  29. 前記ロウ材を付着する工程を、ペースト状ロウ材をディスペンサで付着して行うことを特徴とする請求の範囲第24項記載の時計外装部品の製造方法。
  30. 前記ロウ材を付着する工程を、ペースト状ロウ材をディスペンサで付着して行うことを特徴とする請求の範囲第25項記載の時計外装部品の製造方法。
  31. 前記第1の部品と第2の部品の素材としてチタンを用い、
    前記熱処理工程で加熱するときの温度が約600℃以上約850℃以下であることを特徴とする請求の範囲第23項記載の時計外装部品の製造方法。
  32. 前記第1の部品と第2の部品の素材としてチタンを用い、
    前記熱処理工程で加熱するときの温度が約600℃以上約850℃以下であることを特徴とする請求の範囲第24項記載の時計外装部品の製造方法。
  33. 前記第1の部品と第2の部品の素材としてチタンを用い、
    前記熱処理工程で加熱するときの温度が約600℃以上約850℃以下であることを特徴とする請求の範囲第25項記載の時計外装部品の製造方法。
  34. 前記第1の部品と第2の部品の素材としてステンレス鋼を用い、
    前記熱処理工程で加熱するときの温度が約600℃以上約900℃以下であることを特徴とする請求の範囲第23項記載の時計外装部品の製造方法。
  35. 前記第1の部品と第2の部品の素材としてステンレス鋼を用い、
    前記熱処理工程で加熱するときの温度が約600℃以上約900℃以下であることを特徴とする請求の範囲第24項記載の時計外装部品の製造方法。
  36. 前記第1の部品と第2の部品の素材としてステンレス鋼を用い、
    前記熱処理工程で加熱するときの温度が約600℃以上約900℃以下であることを特徴とする請求の範囲第25項記載の時計外装部品の製造方法。
  37. 請求の範囲第24項記載の時計外装部品の製造方法において、
    前記第2の部品にロウ材を付着する工程よりも前に、該第2の部品のロウ材を付着する部分以外の部分に金属膜を形成する工程を有することを特徴とする時計外装部品の製造方法。
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