JP3685371B2 - 2部材の接合方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、2つの部材を接合する方法に関し、特に、板状部材とその板状部材を貫通して挿入される部材とを接合する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種機器を構成する部品の中には、2つ以上の部材を接合し一体として形成されている部品が多種存在する。これらの部品に対する接合方法として、接合部の強度を高く保てるといった理由から、例えば金属材料部材の接合の場合には、溶接という方法が広く採用されている。
【0003】
ところが、金属材料でない場合、金属材料であっても異種材料である場合等、溶接による接合が困難な場合もある。また、溶接は、接合部を一旦溶融した後凝固させるものであるため、残留応力による接合後の歪み等が発生し、接合された部品に悪影響を与える場合もある。
【0004】
溶接が困難な場合に一般的に採用されている接合方法として、ろう付け(ろう接)、カシメがある。例えば、貫通孔のある板状部材(図32(a)参照)に棒状部材(図32(b)参照)をこの貫通孔に挿入して接合する場合(図32(c)参照)を例にとって説明すれば、ろう付けを行う場合は、接合面間に存在する隙間に、加熱溶融したろう材を流し込み、ろう材を凝固させて接合する(図33参照)。したがって、接合面が密着または金属的に結合されて、両部材にがたつきを生じることなく接合される。ところが、このようなろう付けでは、棒状の部材にかかる板状部材の板厚方向(図33の矢印方向)の力に対しては、充分な接合強度を発揮できない場合がある。
【0005】
また、カシメによる接合方法を採用する場合は、例えば、板状部材の貫通孔壁面を凸状に形成し、(図34(a)参照)、この貫通孔に挿入した棒状部材に対し挟み付けるように加圧し、棒状部材を塑性変形させて貫通孔壁面に嵌合させるようにして接合を行う(図34(b)参照)。このようなカシメによる接合は、溶融させるほどの高熱を必要とせず、迅速に接合できるというメリットを有し、効果的な接合方法である。ところが、このような1工程のカシメでは、接合面を充分に密着させることができず、両部材間にがたつきが生じやすく、特に、繰り返される負荷がかかるような場合には、接合強度が不充分であった。この場合、変形させる棒状部材を加熱軟化させて接合面の密着性を高めることもできるが、冷却による部材の収縮等が原因し、充分に密着された接合面を得ることは困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の問題を解決すべくなされたものであり、2つの部材を接合する場合、特に、板状部材とその板状部材を貫通する部材との2つの部材を接合する場合に、接合面の密着性等を確保することができ、充分な接合強度を得ることのできる接合方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の2部材の接合方法の1つは、板厚方向に貫通する切欠きまたは穴を有する板状の第1部材と、該切欠きまたは穴に挿入される第2部材とを接合させる2部材の接合方法であって、前記第1部材の前記切欠きまたは穴を区画する壁面の板厚方向の中間部の少なくとも一部を凸状または凹状に形成して第1部材の接合面を造形する第1部材接合面造形工程と、該第1部材の該切欠きまたは穴に前記第2部材を挿入し、該第2部材を加圧して変形させ、該第1部材の接合面に嵌合させるカシメ工程と、該第1部材と該第2部材との嵌合部の隙間にろう材を流入させ、該嵌合部を密着させるろう付け工程とを含んでなることを特徴とする(以下、この方法を「第1接合方法」という)。
【0008】
つまり、本接合方法は、基材となる板状部材の接合面に、凸状部または凹状部を形成させ、この板状部材の接合面にもう一つの部材の接合面を嵌合させるカシメ工程を行った後、両接合面により形成される嵌合部に残存する隙間を充てんするようにろう付けを行うものである。このようにカシメ工程とろう付け工程とを組み合わせることにより、本接合方法は、接合面が充分に密着し、かつ充分な接合強度の得られる接合方法となる。
【0009】
また本発明の2部材の接合方法の別の1つは、板厚方向に貫通する切欠きまたは穴を有する板状の第1部材と、該切欠きまたは穴に挿入される第2部材とを接合させる2部材の接合方法であって、前記第1部材の前記切欠きまたは穴を区画する壁面の板厚方向の中間部の少なくとも一部を凹状に形成して第1部材の接合面を造形する第1部材接合面造形工程と、該第1部材の該切欠きまたは穴に前記第2部材を挿入し、該第2部材を加圧して変形させ、該第1部材の接合面に嵌合させる第1のカシメ工程と、該第1部材の該切欠きまたは穴の近傍を加圧し、該第1部材の接合面を変形させ、該第1部材と該第2部材との嵌合部を密着させる第2のカシメ工程とを含んでなることを特徴とする(以下、この方法を「第2接合方法」という)。
【0010】
つまり、本接合方法は、板状部材の接合面を凹状に形成することを前提とし、第1接合方法におけるろう付け工程の代わりに、板状部材の接合部近傍を加圧して変形させる第2のカシメ工程を付加するものである。挿入される部材を加圧してカシメる第1のカシメ工程によっても残存する接合面の隙間を、この第2のカシメ工程によって充分に密着させることで、繰り返される負荷がかかるような場合にも、充分な接合強度の得られる接合方法となる。なお、本接合方法は、ろう付け工程を含んでいないため、接合に要する時間を大幅に短縮できる接合方法となっている。
【0011】
さらに、本発明の2部材の接合方法では、上記の第1接合方法および第2接合方法を応用し、基材となる板状部材と挿入して接合される部材とを、両部材の間に第3の部材を介して接合する態様のものを採用することもできる。
【0012】
その接合方法の1つは、板厚方向に貫通する切欠きまたは穴を有する板状の第1部材と、該切欠きまたは穴に挿入される第2部材とを、該第1部材と該第2部材との間に位置させる第3部材を介して接合させる2部材の接合方法であって、前記第1部材の前記切欠きまたは穴を区画する壁面の板厚方向の中間部の少なくとも一部を凸状または凹状に形成して第1部材の接合面を造形する第1部材接合面造形工程と、前記第2部材の該第1部材の接合面に対向する部位を、該第1部材の接合面に対して凸状または凹状に形成して第2部材の接合面を造形する第2部材接合面造形工程と、該第1部材の該切欠きまたは穴に該第2部材を前記第3部材を介して挿入し、該第3部材を加圧して変形させ、該第1部材の接合面および該第2部材の接合面に嵌合させるカシメ工程と、該第1部材と該第3部材との嵌合部の隙間および該第2部材と該第3部材との嵌合部の隙間にろう材を流入させ、該2つの嵌合部を密着させるろう付け工程とを含んでなることを特徴とするものである(以下、この方法を「第3接合方法」という)。
【0013】
この方法は、介入させる第3の部材のみを変形させることによって行うものであり、基材となる板状部材と挿入されて接合される部材とのいずれもが、加圧による塑性変形を生じない材料であっても、この両部材を接合できる方法となる。また、本接合方法では、挿入されて接合される部材が、例えば、長い棒状の部材であるような場合には以下の利点をも有する。棒状の部材を接合させる場合、先の第1接合方法および第2接合方法では、カシメ工程の加圧のために接合部のみを、他の部分より太く形成する必要がある。このため、太い棒状の素材から、接合部以外の部分を機械加工等の切除手段によって細くしなければならない(図11参照)。本接合方法では、挿入されて接合される部材が長い棒状の部材であっても、接合面となる部分を凹状に形成すればよく、挿入されて接合される部材を作製する際の材料の歩留りが改善できることなる。
【0014】
また、第3の部材を介して行う接合方法のもう1つの方法は、板厚方向に貫通する切欠きまたは穴を有する板状の第1部材と、該切欠きまたは穴に挿入される第2部材とを、該第1部材と該第2部材との間に位置させる第3部材を介して接合させる2部材の接合方法であって、前記第1部材の前記切欠きまたは穴を区画する壁面の板厚方向の中間部の少なくとも一部を凹状に形成して第1部材の接合面を造形する第1部材接合面造形工程と、前記第2部材の該第1部材の接合面に対向する部位を、該第1部材の接合面に対して凸状または凹状に形成して第2部材の接合面を造形する第2部材接合面造形工程と、該第1部材の該切欠きまたは穴に該第2部材を前記第3部材を介して挿入し、該第3部材を加圧して変形させ、該第1部材の接合面および該第2部材の接合面に嵌合させる第1のカシメ工程と、
該第1部材の該切欠きまたは穴の近傍を加圧し、該第1部材の接合面を変形させ、該第1部材と該第3部材との嵌合部を密着させる第2のカシメ工程と、該第2部材と該第3部材との嵌合部の隙間にろう材を流入させ、該嵌合部を密着させるろう付け工程とを含んでなることを特徴とするものである(以下、この方法を「第4接合方法」という)。
【0015】
本接合方法は、先に示した第2接合方法と同様、板状部材と介入させた部材とをろう付けする代わりに、板状部材の接合部近傍を加圧して変形させる第2のカシメ工程を付加したものである。本接合方法によれば、先の第3接合方法と同様、挿入されて接合される部材が塑性変形性のない材料である場合の接合にも適用でき、また、当該部材の材料歩留りを向上させることができる。さらに、ろう付け工程を短縮できるため、より迅速な接合加工が実現される。
【0016】
さらに、本発明の2部材の接合方法では、上記第3接合方法および第4接合方法と同様に第3の部材を介して接合する場合に、挿入する第2部材と介在させる第3部材との接合を拡散接合とする態様のものとすることもできる。
【0017】
拡散接合を採用する接合方法の一つは、板厚方向に貫通する切欠きまたは穴を有する板状の第1部材と、該切欠きまたは穴に挿入される第2部材とを、該第1部材と該第2部材との間に位置させる第3部材を介して接合させる2部材の接合方法であって、前記第1部材の前記切欠きまたは穴を区画する壁面の板厚方向の中間部の少なくとも一部を凸状または凹状に形成して第1部材の接合面を造形する第1部材接合面造形工程と、該第1部材の該切欠きまたは穴に前記第2部材を前記第3部材を介して挿入し、該第3部材を加圧して変形させ、該第1部材の接合面に嵌合させかつ該第2部材の該第1部材の接合面に対向する部位に付着させるカシメ工程と、該第2部材および該第3部材を加熱し、該第2部材と該第3部材との付着部を拡散接合させる拡散接合工程と、該第1部材と該第3部材との嵌合部の隙間にろう材を流入させ、該嵌合部を密着させるろう付け工程とを含んでなることを特徴とするものである(以下、この方法を「第5接合方法」という)。
【0018】
つまり、この第5接合方法は、上記第3接合方法の第2部材と第3部材の接合を、ろう付けに代えて拡散接合で行うものである。拡散接合は、それぞれの部材を構成する原子が、両部材の界面において相互に拡散することにより、接合するものであり、同種の金属材料からなる部材の接合に有効な接合方法である。この拡散接合によれば、カシメ工程で付着させた第2部材と第3部材との付着部に存在するわずかな空隙(ボイド)も消失し、即ち接合する部材の界面が消失することで、接合強度において優れたものとなる。したがって、本第5接合方法は、第1部材に挿入する第2部材と、第1部材と第2部材との間に介在させる第3部材が、同種の金属材料からなる場合に特に有効な方法となる。
【0019】
第2部材の歩留りについては、第3接合方法および第4接合方法と同様に優れたものとなり、第2部材が長い棒状のものである場合、また第2部材が高価な材料である場合等に特に有効となる。また、本第5接合方法は、第3接合方法および第4接合方法と異なり、第2部材の接合面を特別な形状に造形する工程を必要としないことから、この点でも迅速、簡便かつ加工コストが低減された接合方法となる。さらに、第3接合方法と比較すればろう付けの箇所が少なくてすみ、ろう材の使用量の低減を図れる点でも低コストな接合方法となる。
【0020】
また、拡散接合を採用するもう一つの接合方法は、板厚方向に貫通する切欠きまたは穴を有する板状の第1部材と、該切欠きまたは穴に挿入される第2部材とを、該第1部材と該第2部材との間に位置させる第3部材を介して接合させる2部材の接合方法であって、前記第1部材の前記切欠きまたは穴を区画する壁面の板厚方向の中間部の少なくとも一部を凹状に形成して第1部材の接合面を造形する第1部材接合面造形工程と、該第1部材の該切欠きまたは穴に前記第2部材を前記第3部材を介して挿入し、該第3部材を加圧して変形させ、該第1部材の接合面に嵌合させかつ該第2部材の該第1部材の接合面に対向する部位に付着させる第1のカシメ工程と、該第2部材および該第3部材を加熱し、該第2部材と該第3部材との付着部を拡散接合させる拡散接合工程と、該第1部材の該切欠きまたは穴の近傍を加圧し、該第1部材の接合面を変形させ、該第1部材と該第3部材との嵌合部を密着させる第2のカシメ工程とを含んでなることを特徴とする(以下、この方法を「第6接合方法」という)。
【0021】
本第6接合方法は、上記第5接合方法における第1部材と第3部材との接合を、ろう付けに代えて、カシメにて行う態様の接合方法であり、また言い換えれば、上記第4接合方法における第2部材と第3部材との接合を、ろう付けに代えて、拡散接合で行う態様の接合方法である。上記拡散接合の利点に加え、ろう付けをまったく施さないことで、ろう材コストの削減が可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の2部材の接合方法の実施形態について、図を参照しつつ、詳しく説明する。
【0023】
〈第1接合方法〉
本接合方法が適用される部材は、板厚方向に貫通する切欠きまたは穴を有する板状の第1部材と、該切欠きまたは穴に挿入される第2部材との2つの部材である。
【0024】
第1部材の形状については、板状の部材であれば特に限定されず、円形のもの、方形のもの等いずれの外形をもつものであってもよい。第2部材が挿入される部分は、図1(a)に示すように、中央部に貫通された穴でもよく、またその穴は円形に限られず、図1(b)示すように方形の穴でもよく、穴の形状は特に限定されない。さらに、例えば挿入される第2部材が第1部材の板厚方向にのみ力を受けるような場合にあっては、第2部材の挿入される部分は、図1(c)に示すように切欠きの形状をしているものであってもよい。この第1部材の形状については、本接合方法だけでなく、後に説明する第2〜6接合方法についても同様であるため、以下の接合方法の説明では省略する。
【0025】
本接合方法が適用される第2部材の形状は、第1部材の切欠きまたは穴に挿通することができるものであればよく、その長さは、第1部材の板厚と同程度の長さであってもよく、また、第1部材の板厚を超える長い棒状のものであってもよい。接合強度を考慮すれば、第2部材の接合部となる部分が第1部材の切欠きまたは穴の形状に合致し、この第2部材の全周において接合部となることが望ましい。ただし、所望の接合強度を得ることができる場合には、必ずしも全周にわたって接合部である必要はなく、外周のうち対向する2箇所あるいはそれ以上の複数の箇所が接合部となるような形状であってもよい。接合部は、カシメによって第1部材の切欠きまたは穴の壁面に接することができるものであればよく、接合強度、カシメ工程による加工性等を考慮すれば、接合部となる部分において、第1部材との間に存在する隙間ができるだけ小さいことが望ましい。
【0026】
上述したように、様々な形状の第1部材および第2部材の組み合わせが考えられる。これらのすべてを説明することは難解なものとなるため、以下の実施形態の説明においては、図2に示すような、中央部に円形の穴11を有する円盤状の第1部材10と、この穴11に挿入され、接合部となる大径部21と、大径部21の両側に大径部21と同軸的に形成された小径部22とを有する段付き円柱棒状の第2部材20との接合形態を中心に説明する。
【0027】
本接合方法が適用される第1部材10の材質については、鋼、アルミニウム、チタン、銅、黄銅等の金属を始めとして、第2部材の加圧によるカシメ、第2部材とのろう付けに支障をきたさない限り、セラミック、ガラス、硬質樹脂等様々なものであってよい。また第2部材10の材質は、接合部となる大径部21が、圧縮によって塑性変形するものであればよく、第1部材10と同種のものでもよく、また、第1部材10と異種のものであってもよい。
【0028】
本接合方法においての第1部材接合面造形工程は、基材となる第1部材に設けられた切欠きまたは穴を区画する壁面のうち、接合部となる部分の板厚方向の中間部を凸状または凹状に形成することによって行う。図2に示す第1部材と第2部材との組み合わせにおいては、円形穴の側壁面を全周にわたって凸状または凹状に形成することによって、第1部材の接合面を造形すればよい。
【0029】
板厚方向の中間部が凸状または凹状に形成された接合面は、図3に示すように、種々の形状のものとすることができる。例えば、図3(a)および(b)で示されるような、断面において2本の直線で区画されるような凸部13あるいは凹部14をもつ形状、図3(c)および(d)で示されるような、断面において曲線で区画される凸部13あるいは凹部14をもつ形状、図3(e)および(f)で示されるような同一断面で2以上の凸部または凹部をもつ形状などである。ただし、必ずしもすべての接合部において同じ形状を有する接合面12となるように造形する必要はない。凸部13または凹部14の突出代または凹み代については、得ようとする接合強度、挿入される第2部材の材質、第1部材10の加工性等を総合的に勘案して決定すればよい。
【0030】
接合面12の造形、つまり凸部13または凹部14の形成方法は、特に限定されるものではない。第1部材10に切欠きまたは穴11を形成させた後、凸部13または凹部14を形成するのでもよく、また、切欠きまたは穴11の形成と同時に凸部13または凹部14を形成させるものであってもよい。例えば、第1部材10が鋼等の金属材料からなるものである場合には、ボール盤、フライス盤、旋盤等の加工装置を用いて、切削加工によって接合面12を造形することができる。
【0031】
次に、接合面が造形された第1部材の切欠きまたは穴に第2部材を挿入し、カシメ工程を行う。図2に示す第1部材と第2部材との組み合わせの場合のカシメ工程の様子を、図4に示す。この実施形態は、第1部材10の穴11の側壁面である接合面12は凸状に形成されている。挿入される第2部材20は、接合部となる大径部21と、その上下に同軸的に設けられた小径部22とからなり、カシメるための加圧は、大径部のフランジ面23を上下方向に大径部21を押しつぶすように行う。本実施形態の場合は、小径部22の変形を防止すべく、小径部22の外径より若干大きな内径を有する1対の筒状の押圧治具50によって加圧を行う。加圧の方法は、特に限定されず、プレス、打撃等、種々の方法を用いて行うことができる。
【0032】
加圧により、第2部材20の大径部21は、塑性変形し第1部材10の接合面12に嵌合することとなり、第1部材10の接合面12と第2部材20の接合面24(大径部21の円柱側面であった面)とで嵌合部40を構成することとなる。しかし、このようなカシメ工程だけでは、嵌合部40には隙間が残存することになり、第1部材10と第2部材20とのいずれかに繰り返し荷重が加えられるような場合は、両者の間にがたつきを生じることも考えられる。
【0033】
加圧して変形させる部材、本実施形態の場合は第2部材20の大径部21が、例えば金属材料のように、加熱することにより軟化する材料からなる場合は、カシメ工程は、この第2部材の大径部21を加熱して行うことが望ましい。第2部材20を軟化させることにより、上記嵌合部40に残存する隙間が減少し、両部材に生じるがたつきを軽減させることができ、また、カシメのための加圧力を小さくすることができ、カシメ装置自体の小型化が達成できるからである。
【0034】
上記加熱の方法は、第2部材20を加熱炉中に存置させる方法、直火を当てて加熱する方法等、種々の方法を採用することができる。また、第2部材20を第1部材10に挿入する前に第2部材を単独で加熱するのでもよく、また、挿入後加熱するものであってもよい。第2部材20が電気伝導性のある材料である場合、高周波コイルを用いて高周波誘導加熱を行うこともできる。高周波誘導加熱は、迅速かつ均一に加熱できるというメリットを有する。また、第2部材20が電気伝導性のある材料からなる場合には、加圧するための1対の押圧治具50の間に高電圧をかけ、その通電抵抗によって発熱させる抵抗加熱を行うのがより望ましい。この抵抗加熱によれば、加熱と加圧が同時にできることから、より迅速かつ簡便な、カシメ工程となる。
【0035】
カシメ工程終了後、嵌合部40の隙間にろう材を流入させ、この嵌合部40を密着させるろう付け工程に移る。ろう付け後の様子を、図5に示す。ろう付け工程により、ろう材は嵌合部40の隙間に入り込み、第1部材10と第2部材20との嵌合部40は密着された状態となり、接合強度が大きく、繰り返される荷重に対してもがたつきの発生しない2部材の接合が実現される。
【0036】
ろう付けは、例えば第1部材および第2部材が鋼、チタン等の場合は銀ろう付けを行うといった具合に、公知の方法にて行えばよく、ろう材の種類、フラックスの種類、加熱方法等、ろう付けの材料および条件については、接合に供される第1部材10および第2部材20の材質、大きさ、嵌合部40の隙間量および形状等に応じて、適切なものを選定すればよい。なお、第1部材10がセラミック材料で、第2部材20が金属材料であるような場合は、セラミックの第1部材10の接合面12に、Mo系物質をメタライジングする等の特殊な前処理を行って、接合性を向上させるといった工夫も考えられる。
【0037】
また、ろう付け時におけるろう材の流入をスムーズに行うことに配慮して、嵌合部40の第1部材10あるいは第2部材20のろう材を流入させる箇所にろう材導入部を形成させることも望ましい実施態様となる。例えば、図6に示すものは、第1部材10の板表面と接合面24との境界部に面取り15を施すことにより、ろう材導入部を設けた態様のものである。このようなろう材導入部の存在により、ろう付け工程が簡便かつ確実に実施でき、嵌合部40のより均一な密着が担保されることとなる。
【0038】
〈第2接合方法〉
第2接合方法は、上記第1接合方法のろう付け工程に代え、挿入される第2部材を加圧するカシメ工程によっても残存する嵌合部の隙間を、第1部材の切欠きまたは穴の近傍を加圧して押しつぶす第2のカシメ工程を行う方法である。この第2のカシメ工程により、嵌合部が密着した接合を行うことができる接合方法となる。
【0039】
この第2接合方法は基材となる第1部材をも加圧して塑性変形させるものであることから、第1部材は、例えば、鋼、アルミニウム、チタン、銅等の金属材料のように、塑性変形性のある材料からなる必要がある。また、第2接合方法における第1部材接合面造形工程では、第1部材を加圧によって押しつぶして嵌合部の隙間を密着させるものであることから、第1部材の切欠きまたは穴の側壁面を凹状に形成する必要がある。より具体的には、例えば、図3(b)、(d)に示すような形状の凹部を形成する必要がある。凹状の壁面を形成して接合面を造形する方法としては、上記第1接合方法における場合と同様の方法を用いればよい。
【0040】
次に、第1部材の切欠きまたは穴に挿入した第2部材を加圧する第1のカシメ工程を行う。第1のカシメ工程を図7に示す。第1接合方法と同様の方法にてカシメを行えばよい。この第1カシメ工程によって、第2部材20の大径部21は塑性変形し、大径部21の円筒側面が第1部材10の穴11の側壁面である接合面12に嵌合して接合面24となる。上記第1接合方法の場合と同様、第1部材10の接合面12と第2部材20の接合面24とから構成される嵌合部40は、この時点では密着されたものとなっておらず、隙間を有するものとなってている。なお、第2部材が加熱することにより軟化する部材である場合には、この第1カシメ工程において第2部材20を加熱してカシメを行うことも、また、その加熱を抵抗加熱にて行うこともでき、それらの利点についても上記第1接合方法の場合と同様である。
【0041】
次いで、第1部材10の切欠きまたは穴11の近傍を加圧し、第1部材10の接合面12を変形させて嵌合部40を密着させる第2のカシメ工程に供する。第2のカシメ工程の様子を図8に示す。押圧治具50によって第1部材10の穴11の周りを第1部材10を挟み付けるように加圧することで、嵌合部40が密着させられる。第1部材10が加熱により軟化する材料からなる場合は、この第2のカシメ工程において、第1部材10を加熱して行うことは、嵌合部40をより緊密に密着させることとなる。つまり、軟化することにより第1部材10の変形性が良好となるばかりでなく、加熱カシメ後の冷却によって、第1部材10の穴11が収縮し、第2部材20を締め付けるように作用するからである。なお、この加熱の方法についても種々の方法を採用できるが、押圧治具50を介して通電させ、第1部材10の通電抵抗により発熱させる抵抗加熱によれば、カシメと加熱が同時に行えることから、迅速なカシメ工程となる。
【0042】
このように、第1部材および第2部材の両者が加圧によって塑性変形する材料からなる場合、第2接合方法は、第1接合方法と異なりろう付けを必要とせず、簡便でかつ迅速な2部材の接合方法となる。
【0043】
〈第3接合方法〉
本接合方法は、上記第1接合方法および第2接合方法と異なり、板状の第1部材と第1部材の切欠きまたは穴に挿入される第2部材とを、両者の接合面の間に第3の部材を介して接合するものである。第1部材、第2部材および第3部材の形状は、種々選択して組み合わせることができるが、ここでは便宜上、図9に示すような、中央部に貫通した円形の穴11が設けられた円盤状の第1部材10と、円柱棒状の第2部材20と、第1部材10の穴11の内径より若干小さい外径をもちかつ第2部材20の外径より若干大きな内径をもつ筒状の第3部材30との組み合わせの実施形態を中心に説明する。以後の第4〜第6接合方法についても同様である。
【0044】
本接合方法では、第3部材30を加圧して変形させるため、この第3部材は、例えば金属材料のような塑性変形性がある材料からなる必要がある。これに対して、第1部材10および第2部材については、加圧変形させないことから、金属材料のみならず、例えばセラミック、ガラス等の塑性変形性のない材料であっても構わない。
【0045】
第1部材の造形工程は、第1接合方法の場合と同様、第1部材に設けられた切欠きまたは穴を区画する壁面のうち、接合部となる部分の板厚方向の中間部を凸状または凹状に形成することによって行う。凸状または凹状の形状については第1接合方法の場合と同様、例えば、図3に示すような種々の形状を採用することができる。また、凸部あるいは凹部の形成方法、突出代または凹み代等についても、第1接合方法と同様の考え方に従えばよい。
【0046】
本接合方法では、第2部材の第1部材の接合面に対向する部位を、第1部材の接合面に対して凸状または凹状に形成して第2部材の接合面を造形する第2部材接合面造形工程をも必要とする。図9に示す組み合わせの実施形態の場合においては、図10に示すような断面形状に、第2部材20の接合面を造形すればよい。例えば、図10(a)および(d)で示されるような、断面において2本の直線で区画されるような凸部25あるいは凹部26をもつ形状、図10(b)および(e)で示されるような、断面において曲線で区画される凸部25あるいは凹部26をもつ形状、図10(c)および(f)で示されるような同一断面で2以上の凸部25または凹部26をもつ形状などである。凸部25または凹部26の形成方法は、第2部材20の材質等に応じて、任意の方法を採用できる。
【0047】
なお、例えば、図10(d)、(e)、(f)のように凹部26を形成させて第2部材20の接合面を造形する場合には、第2部材の材料歩留りがよいという利点をも有する。つまり、棒状の長い第2部材について上記の第1接合方法および第2接合方法を適用しようとする場合であって、第2部材を切削加工等によって所定の形状に造形する場合は、例えば図11(a)に示すように、斜線部分を切除しなければならない。これに対して、本接合方法の第2部材では、図11(b)に示すように、凹部を形成するように接合面を造形すればよく、切除される材料が少なくてすみ、第2部材の材料歩留りがよいものとなる。したがって、第2部材が棒状の長いものであって、しかも高価な材料からなる場合は、本接合方法はコスト的にも優れた接合方法となる。
【0048】
次に、接合面が造形された第1部材の切欠きまたは穴に、第3部材とともに第2部材を挿入し、カシメ工程を行う。図9に示す第1部材、第2部材、第3部材との組み合わせの場合のカシメ工程の様子を、図12(a)および(b)に示す。この実施形態では、第1部材10の穴11の側壁面である接合面12は凸状に形成されている。挿入される第2部材20の接合面24も凸状に形成されている。カシメは、第3部材30のみを加圧すべく、押圧治具50によって行う。加圧の方法は、第1接合方法の場合と同様、特に限定されず、プレス、打撃等、種々の方法を用いて行うことができる。
【0049】
加圧により、第3部材30は、塑性変形して第1部材10の接合面12および第2部材20の接合面24に嵌合することとなり、それぞれの接合面12、24と第3部材30の接合面31とで嵌合部40を構成することとなる。第1接合方法の場合と同様、このようなカシメ工程だけでは、嵌合部40には隙間が残存することになり、第1部材10と第2部材20とはがたつきが発生する可能性を残す。
【0050】
第3部材30が、例えば金属材料のように、加熱することにより軟化する材料からなる場合は、第1接合方法の場合と同様、カシメ工程は、この第3部材30を加熱して行うことが望ましい。第3部材30を軟化させることにより、上記嵌合部40に残存する隙間が減少し、両部材間に生じる可能性があるがたつきを軽減させることができ、また、カシメのための加圧力を小さくすることができ、カシメ装置自体の小型化が達成できるからである。加熱によるこれらの効果は、第1接合方法の場合と同様である。
【0051】
上記加熱の方法は、第1接合方法の場合と同様、第3部材30を加熱炉中に存置させる方法、直火を当てて加熱する方法、高周波誘導加熱法等、種々の方法を採用することができる。また、第3部材20を第1部材10に挿入する前に第3部材を単独で加熱するのでもよく、また、挿入後加熱するものであってもよい。また、第3部材30が電気伝導性のある材料からなる場合には、通電抵抗によって発熱させる抵抗加熱を行うのが望ましい。この抵抗加熱によれば、加熱と加圧が同時にできることから、より迅速かつ簡便な、カシメ工程となる。この抵抗加熱による効果も、上記第1接合方法の場合と同様である。
【0052】
カシメ工程終了後、第1部材10と第3部材30との嵌合部40および第2部材20と第3部材30との嵌合部40の隙間にろう材を流入させ、この嵌合部40を密着させるろう付け工程に移る。ろう付け後の様子を、図12(c)に示す。ろう付け工程により、ろう材41は嵌合部40の隙間に入り込み、2つの嵌合部40は密着された状態となり、接合強度が大きく、第1部材と第2部材との間にがたつきのない2部材の接合が実現される。なお、第3部材を加熱して変形させることによる熱収縮で第2部材と第3部材が充分に密着する場合には、第2部材20と第3部材30とのろう付けは必要ない。
【0053】
ろう付けは、第1接合方法の場合と同様に、公知の方法にて行えばよく、ろう材の種類、フラックスの種類、加熱方法等、ろう付けの材料および条件については、第1部材10、第2部材20、第3部材30の材質、大きさ、嵌合部40の隙間量および形状等に応じて、適切なものを選定すればよい。また、ろう付け時におけるろう材の流入をスムーズに行うべく、嵌合部40の第1部材10あるいは第2部材20のろう材流入箇所にろう材導入部を設ける等の配慮をすることも望ましい。この点についても、第1接合方法の場合と同様である。
【0054】
〈第4接合方法〉
本接合方法は、上記第3の接合方法における第1部材と第3部材との嵌合部を密着する手段として、ろう付けの代わりに、第1部材の切欠きまたは穴の近傍を加圧して行うカシメによる手段を採用したものである。つまり、本接合方法は、第3接合方法と第2接合方法とをミックスさせた方法である。
【0055】
したがって、本接合方法が適用できる第1部材は、例えば金属材料等のように、塑性変形性のある材料からなる必要がある。また、本接合方法における第1部材接合面造形工程では、第2接合方法と同様、第1部材と第3部材との嵌合部の隙間を第1部材を加圧することによって押しつぶし、密着させるものであることから、第1部材の切欠きまたは穴の側壁面を凹状に形成する必要があり、例えば、図3(b)、(d)に示すような形状の凹部を形成する必要がある。なお、第2部材の接合面の造形は、第3接合方法の場合と同様に行えばよい。
【0056】
接合面が造形された第1部材および第2部材は、両者の間に第3部材を介して、まず第1のカシメ工程に供される。図9に示す第1部材、第2部材、第3部材との組み合わせの場合の第1のカシメ工程の様子を、図13に示す。この実施形態では、第1部材10の穴11の側壁面である接合面12および挿入される第2部材20の接合面24ともに凹状に形成されている。カシメは、第3接合方法と同様の方法にて行えばよい。また、第3部材30を加熱してカシメ行うこと、およびこの加熱の方法についても第3接合方法に従う。
【0057】
第1のカシメ工程により、第3部材30は、塑性変形し第1部材10の接合面12および第2部材20の接合面24に嵌合することとなり、それぞれの接合面12、24と第3部材30の接合面31とで嵌合部40を構成することとなる。第3接合方法の場合と同様、このようなカシメ工程だけでは、嵌合部40には隙間が残存することになる。
【0058】
次いで、嵌合部の隙間を密着させるために、第2のカシメ工程に供される。第2のカシメ工程の様子を、図14に示す。第2のカシメ工程では、第1部材10の穴11の近傍を板厚方向に挟み付けるように加圧し、第1部材10の接合面12を変形させて、第1部材と第3部材との嵌合部40を密着させる。加圧は、押圧治具50によって第1部材10の穴11の周りを第1部材10を挟み付けるようにして行う。第1部材10が加熱により軟化する材料からなる場合は、この第2のカシメ工程において、第1部材10を加熱して行うこと、および、加熱を抵抗加熱によって行うことの効果は、第2接合方法の場合と共通するものとなる。
【0059】
カシメ工程終了後、第2部材20と第3部材30との嵌合部40の隙間にろう材を流入させ、この嵌合部40を密着させるろう付け工程に移る。ろう付け後の様子を、図15に示す。ろう付け工程により、ろう材は嵌合部40の隙間に入り込み、第2部材20と第3部材30とのの嵌合部40は密着された状態となる。ろう付けの方法については、上記第1接合方法および第3接合方法の場合と同様に、公知の方法を採用すればよい。なお、第3接合方法の場合と同様、第3部材を加熱して変形させることによる熱収縮で第2部材と第3部材が充分に密着する場合には、第2部材20と第3部材30とのろう付けは必要ない。
【0060】
本接合方法は、上記第2のカシメ工程とろう付け工程の2工程で、それぞれの嵌合部が密着され、接合強度が大きく、第1部材と第2部材との間にがたつきのない2部材の接合が実現される。なお、第2のカシメ工程と、ろう付け工程については、いずれの工程を先に行ってもよい。本接合方法は、ろう付けを行う箇所が少ないため、上記第3接合方法に比べて短時間で2部材を接合できる方法となる。
【0061】
〈第5接合方法〉
本接合方法は、上記第3接合方法と同様、第3部材を介して接合する方法であるが、上記第3接合方法と異なり、第2部材と第3部材との接合をろう付けに代えて拡散接合にて行う方法である。したがって、第3部材は、塑性変形性が要求されるとともに、第2部材と拡散接合可能な材料、例えば同種の材料からなることが要求される。なお、第1部材は、塑性変形性のない材料であっても構わない。
【0062】
第1部材の造形工程は、第1接合方法および第3接合方法の場合と同様、第1部材に設けられた切欠きまたは穴を区画する壁面のうち、接合部となる部分の板厚方向の中間部を凸状または凹状に形成することによって行う。凸状または凹状の形状については第1接合方法および第3接合方法の場合と同様、例えば、図3に示すような種々の形状を採用することができる。また、凸部あるいは凹部の形成方法、突出代または凹み代等についても、第1接合方法および第3接合方法と同様の考え方に従えばよい。
【0063】
本接合方法においては、第3接合方法と異なり、第2部材の第1部材の接合面に対向する部位を造形すること、つまり第2部材の接合面を造形することを、特に必要としない。第2部材の接合面を造形しない場合は、その造形工程を省略できる分だけ2部材の接合の工数を削減できる。また、本接合方法は、第3接合方法および第4接合方法と同様、第2部材の材料の歩留りを向上させることができ、第2部材が棒状の長いものであって、しかも高価な材料からなる場合は、本接合方法は材料コスト的にも優れた接合方法となる。なお、第2部材と第3部材との接合面を大きくするために、第2部材の接合面を例えば図10に示したような断面形状に造形するものであってもよい。
【0064】
次に、接合面が造形された第1部材の切欠きまたは穴に、第3部材とともに第2部材を挿入し、カシメ工程を行う。カシメ工程の様子を、図16に示す。この実施形態では、第1部材10の穴11の側壁面である接合面12は凸状に形成されており、挿入される第2部材20の接合面24(第1部材の接合面12に対向する部位)は造形されず丸棒の有する円柱面のままである。カシメは、第3部材30のみを加圧すべく、押圧治具50によって行う。加圧の方法は、上記第3接合方法等の場合と同様、特に限定されず、プレス、打撃等、種々の方法を用いて行うことができる。
【0065】
加圧により、第3部材30は、塑性変形して、第1部材10の接合面12に嵌合すると同時に、第2部材20の接合面24に付着することとなる。そして第1部材10の接合面12と第3部材30の接合面31とで嵌合部40を構成し、第2部材の接合面24と第3部材の接合面32とで付着部45を構成することとなる。第3接合方法の場合と同様、このようなカシメ工程だけでは、嵌合部40には隙間が残存することになり、第1部材10と第2部材20とはがたつきが発生する可能性を残す。また、付着部45についても、多少の空隙が存在するとともに、凹状または凸状に形成されていないため、第2部材20に対してその長手方向に大きな力を加えた場合に、第2部材20が位置ズレを生じる状態(第3部材から抜ける状態)となっている。
【0066】
第3部材30が、例えば金属材料のように、加熱することにより軟化する材料からなる場合は、第3接合方法の場合と同様、カシメ工程は、この第3部材30を加熱して行うことが望ましい。第3部材30を軟化させることにより、上記嵌合部40に残存する隙間および上記付着部45に残存する多少の空隙が減少させることができ、また、カシメのための加圧力を小さくできることでカシメ装置自体の小型化が達成できるからである。加熱によるこれらの効果は、上記第1接合方法において説明した効果と同様である。加熱方法については上記第1接合方法に説明した方法に従えばよく、抵抗加熱によるのが望ましいことについても同様である。
【0067】
なお、第3部材30を加熱してカシメ工程を行う場合、一般には、第3部材30はカシメ工程後熱収縮によって縮径する。したがって、第1部材10と第3部材30との嵌合面40は、その間隙がより大きくなる傾向にあり、がたつきは大きくなる。これと逆に第2部材20と第3部材30との付着部45は密着しようとするが、空隙が完全になくなることはなく、このままでは、やはり長期の繰り返し負荷等によっては、がたつきが生じ、さらに第2部材20が第3部材30から容易に抜け得る状態となる。
【0068】
本接合方法では、カシメ工程終了後、第2部材20と第3部材30との付着部45を拡散接合させる拡散接合工程を行う。拡散接合工程後の様子を図17に示す。拡散接合は、加熱することにより、付着部45において、第2部材20および第3部材30を形成する材料が、固相の状態で相互に相手部材に原子レベルで拡散していく現象を利用したものであり、両部材の界面が消失し、あたかも1つの部材となるように強固な接合を可能にしている。
【0069】
拡散接合の方法は、特に限定するものではなく、第2部材20および第3部材30を加熱することのできる方法であって、一般的に行われる公知の方法を採用すればよい。例えば、カシメ工程を終了して一体化された第1〜第3部材を、加熱炉中で、非酸化性雰囲気下、それぞれの部材の融点より低い温度で加熱すればよい。拡散接合が完了した状態は、上記第1接合方法においてカシメ工程が完了した状態に極めて近い状態となっている。
【0070】
拡散接合工程終了後、第1部材10と第3部材30との嵌合部40の隙間にろう材を流入させ、この嵌合部40を密着させるろう付け工程に移る。ろう付け後の様子を、図18に示す。ろう付け工程により、ろう材41は嵌合部40の隙間に入り込み、嵌合部40は密着された状態となり、接合強度が大きく、第1部材と第2部材との間にがたつきのない2部材の接合が実現される。
【0071】
ろう付けは、第1接合方法の場合と同様に、公知の方法にて行えばよく、ろう材の種類、フラックスの種類、加熱方法等、ろう付けの材料および条件については、第1部材10、第2部材20、第3部材30の材質、大きさ、嵌合部40の隙間量および形状等に応じて、適切なものを選定すればよい。また、ろう付け時におけるろう材の流入をスムーズに行うべく、嵌合部40の第1部材10のろう材流入箇所にろう材導入部を設ける等の配慮をすることも望ましい。この点についても、第1接合方法の場合と同様である。
【0072】
本接合方法では、上記拡散接合工程とろう付け工程とを、同時に行う、つまり、1工程で行う態様ものとすることもできる。例えば、加熱炉中で拡散接合工程を行う場合、予め第1部材10と第3部材30との嵌合部40のろう材材流入箇所にろう材を設置し、拡散接合を行う加熱の最中にろう材が溶融して嵌合部40に流入するようにすればよい。拡散接合工程とろう付け工程を同時に行う場合は、ろう付け工程にかかる時間を削減することができ、より迅速で低コストな2部材の接合方法となる。
【0073】
〈第6接合方法〉
本接合方法は、第1部材と第3部材との嵌合部を密着する手段として、上記第5接合方法におけるろう付けの代わりに、第1部材の切欠きまたは穴の近傍を加圧して行うカシメによる手段を採用したものである。つまり、本接合方法は、第5接合方法と第2接合方法とをミックスさせた方法である。言い換えれば、第4接合方法の第2部材と第3部材との接合を、拡散接合に置き換えたものである。
【0074】
したがって、本接合方法が適用できる第1部材は、例えば金属材料等のように、塑性変形性のある材料からなる必要がある。また、本接合方法における第1部材接合面造形工程では、第2接合方法および第4接合方法と同様、第1部材と第3部材との嵌合部の隙間を第1部材を加圧することによって押しつぶし、密着させるものであることから、第1部材の切欠きまたは穴の側壁面を凹状に形成する必要があり、例えば、図3(b)、(d)に示すような形状の凹部を形成する必要がある。第1部材の接合面の造形は、第2接合方法および第4接合方法と同様の考え方、方法に従えばよい。なお、第2部材の接合面の造形を特に必要としないのは、上記第5接合方法の場合と同様である。
【0075】
次に、接合面が造形された第1部材の切欠きまたは穴に、第3部材とともに第2部材を挿入し、第1のカシメ工程を行う。第1のカシメ工程の様子を、図19に示す。カシメの方法等については、上記第5接合方法の場合と同様とすればよい。加圧により、第3部材30は、塑性変形して、図3(b)に示すような凹状に造形されている第1部材10の接合面12に嵌合すると同時に、第2部材20の接合面24に付着することとなる。そして第1部材10の接合面12と第3部材30の接合面31とで嵌合部40を構成し、第2部材の接合面24と第3部材の接合面32とで付着部45を構成することとなる。つまり、第1のカシメ工程を終了した状態は、上記第5接合方法のカシメ工程を終了した場合と、同様の状態となっている。なお、第3部材30が加熱することにより軟化する材料からなる場合は、第1のカシメ工程は、この第3部材30を加熱して行うことが望ましく、また、その加熱を抵抗加熱によって行うのが望ましいことについても、上記第5接合方法の場合と同様である。
【0076】
第1のカシメ工程終了後、第2部材20と第3部材30との付着部45を拡散接合させる拡散接合工程を行う。拡散接合工程後の様子を図20に示す。拡散接合の方法は、特に限定するものではなく、上記第5接合方法と同様、一般的に行われる公知の方法を採用すればよい。拡散接合を完了したした状態は、上記第2接合方法において第1のカシメ工程が完了した状態に極めて近い状態となっており、拡散接合によって第2部材と第3部材とは強固な接合がなされている。
【0077】
次いで、第1部材と第3部材との嵌合部40の隙間を密着させるために、第2のカシメ工程に供される。第2のカシメ工程の様子を、図21に示す。第2のカシメ工程では、第1部材10の穴11の近傍を板厚方向に挟み付けるように加圧し、第1部材10の接合面12を変形させて、第1部材と第3部材との嵌合部40を密着させる。加圧は、押圧治具50によって第1部材10の穴11の周りを第1部材10を挟み付けるようにして行う。第1部材10が加熱により軟化する材料からなる場合は、この第2のカシメ工程において、第1部材10を加熱して行うこと、および、加熱を抵抗加熱によって行うことの効果は、第2接合方法の場合と共通するものとなる。
【0078】
本接合方法は、ろう付けを必要としないことから、より迅速な2部材の接合方法となる。また、ろう材をも全く必要としないことは、高価なろう材を使用しなければならない材料からなる2部材を接合する際に、特にコスト低減効果が大きい接合方法となる。
【0079】
【実施例】
上記実施形態に基づき、鋼製の第1部材とチタン合金製の第2部材との接合を、第1接合方法、第2接合方法および第5接合方法にて実施し、接合部の評価をした。以下に、これらを実施例として説明する。
【0080】
〈実施例1〉
本実施例では、第1部材の材料にFe−Al−Si合金を用い、第2部材の材料にTi−Al−V合金を用いた。第1部材は、図2に示すような形状で、厚さ6mm、直径36mmφの円盤状で、中央部に直径10.6mmφの円形の貫通穴11が設けられている。また第2部材も、図2に示す形状であり、大径部21の直径は10.5mmφ、小径部の直径は6mmφ、大径部の長さは10mmとした。
【0081】
まず、第1部材10の穴11の側壁面を、フライス盤にて切削加工し、図3(a)に示すような凸部13を形成させて、接合面12を造形した。凸部13は、板厚のちょうど中間部にあり、穴の中心線(板表面に対して垂直な線)に対して25°の角度をなす接合面とした。なお、接合面と板表面との境界には、後のろう付けにおいてろう材が流入しやすいように、ろう材導入部として、板表面から1mmの深さまで面取り部を形成させた。
【0082】
次に、第2部材20を第1部材10の穴11に挿入し、図4に示すように、上下方向に、第2部材20の大径部21のフランジ面23を押圧治具50で挟み付けるようにして押し当てた。それぞれの押圧治具50の間には電圧がかけられ第2部材20に通電されるようになっており、通電させることで、第2部材20の大径部21を抵抗加熱した。通電と同時に、押圧治具50にて加圧し、第2部材20の大径部21を変形させ、その円筒側面を第1部材の造形された接合面12に嵌合させて、カシメ工程を終了した。
【0083】
次いで、図6に示すように、嵌合部40を真空中で850℃に加熱し、ろう材導入部15から、ろう材であるBAg−8aを、嵌合面40に残存する隙間に流入させてろう付けを行った。窒素ガス冷却により室温まで冷却させて、第1部材と第2部材との接合を完了した。
【0084】
接合が完了したものを、切断し接合の様子を観察した。接合断面の拡大写真を図22に示す。この写真からも明らかなように、本第1接合方法によれば、第1部材と第2部材との接合部は完全に密着しており、良好な接合状態となっていることが確認できた。
【0085】
接合強度を比較するために、ろう付けを行わず、カシメ工程だけで接合を終了させたサンプルをも作製した。また、ろう付けだけで接合したサンプルも作製した。ろう付けだけのものは、第1部材の穴の側壁面に凸部を形成させずに、ろう付けしたものである(図33参照)。
【0086】
本第1接合方法によるものと、上記2種のサンプルとの接合強度を比較をした。まず、余盛りとなっている部分の影響を排除すべく、各々の接合部を第1部材の表面から1.3mm切削して、厚さ3.4mmの平板状とした。次いで、第1部材を固定した上で第2部材の中心を第1部材の板厚方向に付勢し、いくらの力で第2部材が第1部材から接合部で分離するかを試験して、強度を比較するものとした。試験の結果を、図23に示す。
【0087】
図23は、ろう付けだけを行ったものが接合部で分離するときの力を100%とした場合の比較であり、カシメ工程のみを行ったものは、127%の値となった。これに対して本第1接合方法によるものは、150%と高い値を示すものとなっている。この結果から、本実施例の材料の組み合わせの場合、ろう付けだけよりもカシメだけを行った場合のほうが接合強度が強く、さらに、カシメ工程を行った場合に残存する嵌合部の隙間にろう材を流入させ、この嵌合部を密着させることが、接合強度の向上に大きな効果があると確認できる。
【0088】
〈実施例2〉
本実施例は、第2接合方法に関するものである。本実施例においても、第1部材の材料にFe−Al−Si合金を用い、第2部材の材料にTi−Al−V合金を用いた。第1部材は、図2に示すような形状で、厚さ6mm、直径36mmφの円盤状で、中央部に直径9.2mmφの円形の貫通穴11が設けられている。また第2部材も、図2に示す形状であり、大径部21の直径は8.4mmφ、小径部の直径は6.2mmφ、大径部の長さは10mmとした。
【0089】
まず、第1部材10の穴11の側壁面を、フライス盤にて切削加工し、図3(b)に示すような凹部14を形成させて、接合面12を造形した。凹部14は、板厚のちょうど中間部にあり、穴の中心線(板表面に対して垂直な線)に対して25°の角度をなす接合面とした。なお、凹部の凹み代は1mmとした。
【0090】
次に、第2部材20を第1部材10の穴11に挿入し、第1のカシメ工程を行った。図7に示すように、上下方向に、第2部材20の大径部21のフランジ面23を押圧治具50で挟み付けるようにして押し当てた。それぞれの押圧治具50の間には電圧がかけられ第2部材20に通電されるようになっており、通電させることで、第2部材20の大径部21を抵抗加熱した。通電と同時に、押圧治具50にて加圧し、第2部材20の大径部21を変形させ、その円筒側面を第1部材の造形された接合面12に嵌合させて、第1のカシメ工程を終了した。第1のカシメ工程後の、接合部断面の様子を、拡大写真として、図24に示す。この写真からわかるように、両部材の嵌合部40は、完全には密着されておらず、不完全な接合状態となっている。
【0091】
次いで、第1のカシメ工程が終了したものを、第2のカシメ工程に供した。第2のカシメ工程は、図8に示すような方法で行った。第1のカシメ工程と同様に、押圧治具50には第1部材10通電させるようになっており、通電させることで第1部材10の接合部近傍を抵抗加熱した。通電と同時に、押圧治具50にて加圧し、第1部材10の接合面12を変形させ、第2部材24の接合面24と密着させ、第2のカシメ工程を終了した。第2のカシメ工程後の、接合部断面の様子を、拡大写真として、図25に示す。この写真からわかるように、両部材の嵌合部40は、充分に密着されており、良好な接合状態となっていることが確認できた。
【0092】
〈実施例3〉
本実施例は、第3部材を介して第1部材と第2部材とを接合する第5接合方法に関するものである。本実施例では、第1部材の材料にFe−Al−Si合金を用い、第2部材の材料にTi−Al−V合金を用い、第3部材の材料には第2部材の材料と同じ組成のTi−Al−V合金を用いた。それぞれの部材は図9に示すような形状をしている。より具体的には、第1部材10は、厚さ6mm、直径36mmφの円盤状で、中央部に直径9.6mmφの円形の貫通穴11が設けられている。また第2部材20は、直径は6.2mmφ、長さ95mm丸棒であり、第3部材30は、外形9.5mmφ、内径6.5mmφ、長さ10mmの円筒状をなしている。
【0093】
まず、実施例1の場合と同様、第1部材10の穴11の側壁面を、フライス盤にて切削加工し、図3(a)に示すような凸部13を形成させて、接合面12を造形した。凸部13は、板厚のちょうど中間部にあり、穴の中心線(板表面に対して垂直な線)に対して25°の角度をなす接合面とした。
【0094】
次に、第2部材20を第3部材30を介して第1部材10の穴11に挿入し(第2部材20を第3部材30に挿入し、第3部材30ごと第1部材10の穴11に挿入し)、図16に示すように、上下方向に、第3部材30を押圧治具50で挟み付けるようにして押し当てた。それぞれの押圧治具50の間には電圧がかけられ第3部材30に7kAの電流が通電されるようになっており、通電させることで、第3部材を抵抗加熱した。通電と同時に、押圧治具50にて10kNの圧力で加圧し(実際には通電開始から押圧完了まで約0.5秒)、第3部材30を変形させ、その円筒外側面を第1部材10の造形された接合面12に嵌合さると同時に、その円筒内側面を第2部材の接合面24に付着させ、第1部材10、第2部材20、第3部材30を一体化させてカシメ工程を終了した。
【0095】
次いで、第1部材10と第3部材30との嵌合部40にろう材を流入させるべく、ろう材(BAg−8a)を嵌合部40の上部に配置した(図18参照)。ろう材が配置され一体化された部材を、10-5Torrに減圧した非酸化性雰囲気の加熱炉中に納置し、850℃の温度で0.5時間加熱した。この結果、図18に示すように、第1部材10と第3部材30との嵌合部40の隙間にはろう材41が流入してろう付けが完了し、図17に示すように、第2部材20と第3部材30との付着部45は拡散接合が完了した。
【0096】
拡散接合された部分の様子を確認すべく、断面観察をした。図26および図27に、拡散接合される前の付着部の断面の拡大写真を示す。図26は中央部(第1部材の板厚方向においてほぼ中心に位置する部分)であり、図27は、下部(第1部材の板厚方向において下端に位置する部分)である。また、拡散接合後の付着部の断面の拡大写真を、図28および図29に示す。同様に28は中央部、図29は下部である。なお図26〜図29に示すいずれの写真も、中心から左側が第2部材20であり、中心から右側が第3部材である。
【0097】
写真から明らかなように、拡散接合される前の付着部45は、第2部材20と第3部材30との界面が明確に確認でき、その界面にはいくつかの空隙が観察できる。これに対して、拡散接合された付着部45は、空隙はなく、また、両部材の界面も消失している。このことから判るように、拡散接合を行えば、第2部材20と第3部材30とが、あたかも1つの部材のような状態となっている。したがって、その部分の接合強度は極めて高いものとなっていることが確認できる。
【0098】
拡散接合部の接合強度を確認するため、疲労試験を行った。疲労試験は、本実施例(第5接合方法)のものと先の実施例1(第1接合方法)のものの2つについて行い、比較した。疲労試験に供するサンプルは、余盛りとなっている部分の影響を排除すべく、各々の接合部を第1部材の表面から1.3mm切削して、第1部材を厚さ3.4mmの平板状とした。疲労試験の条件(疲労試験を行うための治具形状とその治具を用いた試験の様子、およびサンプルに負荷される試験応力)を図30に示す。サンプルに対しては、応力比0.1の片振り圧縮応力を、50Hzの周波数で負荷するものとした。
【0099】
疲労試験の結果として、応力の繰り返し数と接合部の最大せん断応力との関係を、図31に示す。この図から判るように、第3部材を介して拡散接合を行う第5接合方法によるものと、上記第1接合方法によるものとを比較しても、その疲労限度はほとんど同じ値を示す。このことは、第5接合方法における第2部材と第3部材の拡散接合部の強度は、極めて高く、接合部全体の強度を決定付けるものではないことが確認できる。
【0100】
【発明の効果】
本発明は、板状の部材と、この板状部材に設けられた切欠きまたは穴に挿入される部材との接合方法において、カシメ工程だけでは隙間が残存する嵌合部を、ろう付け工程によって密着または金属的に結合させる、別のカシメ工程によって密着させる、あるいは、拡散接合によって接合するようにしたものである。したがって、このような構成の本発明の2部材の接合方法を採用することにより、2部材が密着あるいは金属的に結合、一体化され、接合強度の点で優れた接合部を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の接合方法が適用できる板状の第1部材の例を示す。
【図2】 本発明の第1接合方法および第2接合方法が適用できる第1部材および第2部材の組み合わせの一例を示す。
【図3】 第1部材の切欠きまたは穴の側壁面を造形するにあたって、採用できる凸状または凹状の形状の例を示す。
【図4】 本発明の第1接合方法におけるカシメ工程の一実施形態を示す。
【図5】 本発明の第1接合方法において、ろう付け工程終了後の様子を示す。
【図6】 第1部材にろう材導入部となる面取り部を設けた様子を示す。
【図7】 本発明の第2接合方法における第1のカシメ工程の一実施形態を示す。
【図8】 本発明の第2接合方法における第2のカシメ工程の一実施形態を示す。
【図9】 本発明の第3接合方法、第4接合方法、第5接合方法または第6接合方法が適用できる第1部材、第2部材および第3部材の組み合わせの一例を示す。
【図10】 第2部材の接合面を造形するにあたって、採用できる凸状または凹状の形状の例を示す。
【図11】 本発明の第1および第2接合方法における第2部材の材料歩留まりと、第3、第4接合方法における第2部材の材料歩留まりとの比較を示す。
【図12】 本発明の第3接合方法におけるカシメ工程およびろう付け工程の一実施形態を示す。
【図13】 本発明の第4接合方法における第1のカシメ工程の一実施形態を示す。
【図14】 本発明の第4接合方法における第2のカシメ工程の一実施形態を示す。
【図15】 本発明の第4接合方法において、ろう付け工程終了後の様子を示す。
【図16】 本発明の第5接合方法におけるカシメ工程の一実施形態を示す。
【図17】 本発明の第5接合方法において、拡散接合工程終了後の様子を示す。
【図18】 本発明の第5接合方法において、ろう付け工程終了後の様子を示す。
【図19】 本発明の第6接合方法における第1のカシメ工程の一実施形態を示す。
【図20】 本発明の第6接合方法において、拡散接合工程終了後の様子を示す。
【図21】 本発明の第6接合方法における第2のカシメ工程の一実施形態を示す。
【図22】 本発明の第1接合方法の実施例において、接合されたものの接合部断面写真を示す。
【図23】 本発明の第1接合方法による場合の接合強度と、カシメ工程だけおよびろう付け工程だけの場合の接合強度との比較を示す。
【図24】 本発明の第2接合方法の実施例において、第1のカシメ工程終了後のものの接合部断面写真を示す。
【図25】 本発明の第2接合方法の実施例において、第2のカシメ工程終了後のものの接合部断面写真を示す。
【図26】 本発明の第5接合方法の実施例において、拡散接合前の第2部材と第3部材との付着部(中央部)の断面写真を示す。
【図27】 本発明の第5接合方法の実施例において、拡散接合前の第2部材と第3部材との付着部(下部)の断面写真を示す。
【図28】 本発明の第5接合方法の実施例において、拡散接合後の第2部材と第3部材との付着部(中央部)の断面写真を示す。
【図29】 本発明の第5接合方法の実施例において、拡散接合後の第2部材と第3部材との付着部(下部)の断面写真を示す。
【図30】 本発明の第1方法の実施例および第5接合方法の実施例において、接合したサンプルに施した疲労試験の条件を示す。
【図31】 疲労試験の結果であって、第5接合方法によるサンプルおよび第1接合方法によるサンプルの応力繰り返し数と接合部の最大せん断応力との関係を示す。
【図32】 本発明が適用される一般的な接合の例を示す。
【図33】 従来行っていたろう付けによる接合の概念を示す。
【図34】 従来行っていたカシメによる接合の概念を示す。
【符号の説明】
10:第1部材
11:穴 12:接合面 13:凸部
14:凹部 15:ろう材導入部
20:第2部材
21:大径部 22:小径部
23:フランジ面 24:接合面
30:第3部材
31:接合面
40:嵌合部
41:ろう材
45:付着部
50:押圧治具

Claims (7)

  1. 板厚方向に貫通する切欠きまたは穴を有する板状の第1部材と、該切欠きまたは穴に挿入される第2部材とを接合させる2部材の接合方法であって、
    前記第1部材の前記切欠きまたは穴を区画する壁面の板厚方向の中間部の少なくとも一部を凸状または凹状に形成して第1部材の接合面を造形する第1部材接合面造形工程と、
    該第1部材の該切欠きまたは穴に前記第2部材を挿入し、該第2部材を加圧して変形させ、該第1部材の接合面に嵌合させるカシメ工程と、
    該第1部材と該第2部材との嵌合部の隙間にろう材を流入させ、該嵌合部を密着させるろう付け工程と、
    を含んでなる2部材の接合方法。
  2. 板厚方向に貫通する切欠きまたは穴を有する板状の第1部材と、該切欠きまたは穴に挿入される第2部材とを接合させる2部材の接合方法であって、
    前記第1部材の前記切欠きまたは穴を区画する壁面の板厚方向の中間部の少なくとも一部を凹状に形成して第1部材の接合面を造形する第1部材接合面造形工程と、
    該第1部材の該切欠きまたは穴に前記第2部材を挿入し、該第2部材を加圧して変形させ、該第1部材の接合面に嵌合させる第1のカシメ工程と、
    該第1部材の該切欠きまたは穴の近傍を加圧し、該第1部材の接合面を変形させ、該第1部材と該第2部材との嵌合部を密着させる第2のカシメ工程と、
    を含んでなる2部材の接合方法。
  3. 板厚方向に貫通する切欠きまたは穴を有する板状の第1部材と、該切欠きまたは穴に挿入される第2部材とを、該第1部材と該第2部材との間に位置させる第3部材を介して接合させる2部材の接合方法であって、
    前記第1部材の前記切欠きまたは穴を区画する壁面の板厚方向の中間部の少なくとも一部を凸状または凹状に形成して第1部材の接合面を造形する第1部材接合面造形工程と、
    前記第2部材の該第1部材の接合面に対向する部位を、該第1部材の接合面に対して凸状または凹状に形成して第2部材の接合面を造形する第2部材接合面造形工程と、
    該第1部材の該切欠きまたは穴に該第2部材を前記第3部材を介して挿入し、該第3部材を加圧して変形させ、該第1部材の接合面および該第2部材の接合面に嵌合させるカシメ工程と、
    該第1部材と該第3部材との嵌合部の隙間および該第2部材と該第3部材との嵌合部の隙間にろう材を流入させ、該2つの嵌合部を密着させるろう付け工程と、
    を含んでなる2部材の接合方法。
  4. 板厚方向に貫通する切欠きまたは穴を有する板状の第1部材と、該切欠きまたは穴に挿入される第2部材とを、該第1部材と該第2部材との間に位置させる第3部材を介して接合させる2部材の接合方法であって、
    前記第1部材の前記切欠きまたは穴を区画する壁面の板厚方向の中間部の少なくとも一部を凹状に形成して第1部材の接合面を造形する第1部材接合面造形工程と、
    前記第2部材の該第1部材の接合面に対向する部位を、該第1部材の接合面に対して凸状または凹状に形成して第2部材の接合面を造形する第2部材接合面造形工程と、
    該第1部材の該切欠きまたは穴に該第2部材を前記第3部材を介して挿入し、該第3部材を加圧して変形させ、該第1部材の接合面および該第2部材の接合面に嵌合させる第1のカシメ工程と、
    該第1部材の該切欠きまたは穴の近傍を加圧し、該第1部材の接合面を変形させ、該第1部材と該第3部材との嵌合部を密着させる第2のカシメ工程と、
    該第2部材と該第3部材との嵌合部の隙間にろう材を流入させ、該嵌合部を密着させるろう付け工程と、
    を含んでなる2部材の接合方法。
  5. 板厚方向に貫通する切欠きまたは穴を有する板状の第1部材と、該切欠きまたは穴に挿入される第2部材とを、該第1部材と該第2部材との間に位置させる第3部材を介して接合させる2部材の接合方法であって、
    前記第1部材の前記切欠きまたは穴を区画する壁面の板厚方向の中間部の少なくとも一部を凸状または凹状に形成して第1部材の接合面を造形する第1部材接合面造形工程と、
    該第1部材の該切欠きまたは穴に前記第2部材を前記第3部材を介して挿入し、該第3部材を加圧して変形させ、該第1部材の接合面に嵌合させかつ該第2部材の該第1部材の接合面に対向する部位に付着させるカシメ工程と、
    該第2部材および該第3部材を加熱し、該第2部材と該第3部材との付着部を拡散接合させる拡散接合工程と、
    該第1部材と該第3部材との嵌合部の隙間にろう材を流入させ、該嵌合部を密着させるろう付け工程と、
    を含んでなる2部材の接合方法。
  6. 前記拡散接合工程と前記ろう付け工程とを同時に行う請求項5に記載の2部材の接合方法。
  7. 板厚方向に貫通する切欠きまたは穴を有する板状の第1部材と、該切欠きまたは穴に挿入される第2部材とを、該第1部材と該第2部材との間に位置させる第3部材を介して接合させる2部材の接合方法であって、
    前記第1部材の前記切欠きまたは穴を区画する壁面の板厚方向の中間部の少なくとも一部を凹状に形成して第1部材の接合面を造形する第1部材接合面造形工程と、
    該第1部材の該切欠きまたは穴に前記第2部材を前記第3部材を介して挿入し、該第3部材を加圧して変形させ、該第1部材の接合面に嵌合させかつ該第2部材の該第1部材の接合面に対向する部位に付着させる第1のカシメ工程と、
    該第2部材および該第3部材を加熱し、該第2部材と該第3部材との付着部を拡散接合させる拡散接合工程と、
    該第1部材の該切欠きまたは穴の近傍を加圧し、該第1部材の接合面を変形させ、該第1部材と該第3部材との嵌合部を密着させる第2のカシメ工程と、
    を含んでなる2部材の接合方法。
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