JPWO2003020848A1 - 蛍光体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
蛍光体は一般式がMS:RおよびMS:R,Xである。Mは亜鉛(Zn)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、マグネシウム(Mg)およびカドミウム(Cd)のいずれかの元素である。Rは銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)およびマンガン(Mn)のいずれかの元素である。Xは塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)のいずれかの元素である。安息角を50°以上とする。表面に析出し、発光を吸収して発光輝度の低下や絶縁放電破壊を生じるおそれのある硫化物を充分に除去できる。絶縁放電破壊が生じず、高輝度となる。表面にある不純物も充分に除去できる。劣化しにくくなり寿命特性が向上する。
Description
技 術 分 野
表面に析出した不純物などが充分に除去された蛍光体およびその製造方法に関する。
背 景 技 術
従来、例えば携帯電話の表示部のバックライトなどに用いられる薄型の発光素子として、EL(Electro Luminescence)素子が知られている。このEL素子は、誘電物質中に分散型のEL蛍光体の粒子を分散し、この分散した蛍光体の両側に少なくとも一方が透明な電極を配置し、これら電極間に交流電圧を印加することにより発光する。
そして、このEL蛍光体は、例えば硫化亜鉛(ZnS)を母体として、付活剤として銅または銅およびマンガンならびにハロゲンとを導入した一般式がZnS:Cu,Xや、ZnS:Cu,Mn,X(Xは塩素、臭素またはヨウ素である)で表されるものが広く使用されている。
ところで、上記硫化亜鉛系の分散型のEL蛍光体では、粒子内に析出する導電性を有する硫化銅(CuxS)が電荷放出源となり、交流電圧が印加されることにより発光する。
そして、このEL蛍光体の合成に際しては、母体となる硫化亜鉛粉末に付活剤の銅を水溶性銅化合物の形態で湿式混合して乾燥し、蛍光体結晶粒子の成長のために適宜、アルカリ金属やアルカリ土類金属のハロゲン化物を乾式で混合し、石英るつぼなどの耐熱容器に充填して1000℃〜1300℃で焼成する。この結果、銅原子の一部が硫化亜鉛結晶の亜鉛原子に置換して固溶化されることにより発光中心として作用し、固溶化しきれない一部の銅は導電性を有する硫化銅として析出する蛍光体が得られる。
ここで、この合成の際に添加する水溶性の銅化合物は、通常のカラーテレビのブラウン管に使用される蛍光体を合成する際に添加する量に比べて約10倍程度過剰に添加することにより、結果的に良好なEL蛍光体が得られる。
しかしながら、導電性を有する硫化銅は体色が黒色であることから、焼成後の蛍光体は灰色を呈し、このEL蛍光体をEL素子として利用すると黒色の硫化銅により発光が著しく吸収され、発光輝度が低下してしまう。
さらに、このEL素子の表面に位置する導電性を有する硫化銅は、交流電圧が印加された際にEL素子の絶縁放電破壊の原因ともなる。このため、EL素子に利用する場合には、焼成後に得られたEL蛍光体の粒子表面から導電性を有する硫化銅を洗浄処理により除去している。
そして、このEL蛍光体の洗浄処理としては、従来、シアン化カリウムなどのシアンイオンを含む水溶液と接触させて、蛍光体粒子表面に存在する導電性を有する硫化銅を溶解除去する方法が知られている。
ところが、上述のシアンイオンを含むシアン化合物の使用は環境問題などの観点から好ましくなく、蛍光体の処理作業および洗浄後の廃液の処理が極めて煩雑となるという問題がある。
そこで、例えば特開昭51−285989号公報に記載の蛍光体を水酸化アンモニウム水溶液およびポリ硫化カリウム水溶液で上述の硫化銅を除去する方法や、特開平4−23886号公報に記載のエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、イミノジ酢酸(IDA)またはニトリロ酢酸(NTA)などの酢酸基(−CH2COOH)を有するキレート剤、酸化剤およびアルカリ剤を含む薬液で処理する方法、特開平6−41525号公報に記載のエチレンアミン化合物と酸化剤とを含有する水溶液で処理する方法などが知られている。
しかしながら、これら水酸化アンモニウム水溶液およびポリ硫化カリウム水溶液で洗浄する特開昭51−285989号公報に記載の洗浄方法や、酢酸基を有するキレート剤およびアルカリ剤を含有する水溶液で洗浄する特開平4−23886号公報に記載の洗浄方法、エチレンアミン化合物と酸化剤とを含有する水溶液で洗浄する特開平6−41525号公報に記載の洗浄方法では、毒性の強いシアン化化合物を用いた洗浄処理に比べて硫化銅の除去率が充分ではなく、蛍光体の体色や反射率特性、発光輝度の充分な向上が望めないという問題を有している。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、表面に析出した硫化物などの不純物が充分に除去された蛍光体、および表面に析出した硫化物などの不純物を容易に効率良く除去できる蛍光体の製造方法を提供することを目的とする。
発 明 の 開 示
本発明の蛍光体は、一般式がMS:RおよびMS:R,Xの少なくともいずれか一方で表される蛍光体であって、Mが亜鉛(Zn)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、マグネシウム(Mg)およびカドミウム(Cd)の少なくともいずれか1つの元素を含み、Rが銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)およびマンガン(Mn)の少なくともいずれか1つの元素を含み、Xが塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)の少なくともいずれか1つの元素を含み、安息角が50°以上であるものである。そして、一般式がMS:RおよびMS:R,Xの少なくともいずれか一方で表され、Mが亜鉛(Zn)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、マグネシウム(Mg)およびカドミウム(Cd)の少なくともいずれか1つの元素を含み、Rが銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)およびマンガン(Mn)の少なくともいずれか1つの元素を含み、Xが塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)の少なくともいずれか1つの元素を含む蛍光体の安息角を50°以上とすることにより、この蛍光体の表面に析出して、この蛍光体の発光を吸収して発光輝度の低下や絶縁放電破壊を生じるおそれのある硫化物が充分に除去されるので、絶縁放電破壊が生じず、高輝度な蛍光体となり、また、蛍光体の表面にあるその他の不純物なども除去されるため、この蛍光体を劣化しにくくでき、寿命特性を向上できる。
また、本発明の蛍光体は、ZnS:Cu,XおよびZnS:Cu,Mn,Xの少なくともいずれか一方で表さる蛍光体であって、Xが塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)の少なくともいずれか1つの元素を含み、安息角が50°以上であるものである。そして、ZnS:Cu,XおよびZnS:Cu,Mn,Xの少なくともいずれか一方で表され、Xが塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)の少なくともいずれか1つの元素を含む蛍光体の安息角を50°以上とすることにより、この蛍光体の表面に析出して、この蛍光体の発光を吸収して発光輝度の低下や絶縁放電破壊を生じるおそれのある硫化物が充分に除去されるので、絶縁放電破壊が生じず、高輝度な蛍光体となり、また、蛍光体の表面にあるその他の不純物なども除去されるため、この蛍光体を劣化しにくくでき、寿命特性を向上できる。
さらに、本発明の蛍光体は、蛍光体の平均粒径は、15μm以上35μm以下であるものである。そして、平均粒径が15μm以上35μm以下である蛍光体とすることにより、輝度劣化を起こしにくくでき、発光素子にした際の輝度むらを起こしにくくできる。
またさらに、本発明の蛍光体の製造方法は、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、マンガン(Mn)、銅化合物、銀化合物、金化合物およびマンガン化合物のうちの少なくともいずれか1つと硫黄(S)の化合物とを少なくとも表面に有する蛍光体を、酸化剤を含む水溶液、および無機酸を含む水溶液、またはこれら酸化剤および無機酸を含む水溶液と、水溶性硫化物を含む水溶液との双方で洗浄するものである。そして、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、マンガン(Mn)、銅化合物、銀化合物、金化合物およびマンガン化合物の少なくともいずれか1つと硫黄(S)の化合物とを少なくとも表面に有する蛍光体を、酸化剤を含む水溶液、および無機酸を含む水溶液、またはこれら酸化剤および無機酸を含む水溶液と、水溶性硫化物を含む水溶液との双方で洗浄することにより、蛍光体の表面に析出して発光を吸収して発光輝度の低下や絶縁放電破壊を生じるおそれのある硫化物を、廃液処理が比較的容易な酸化剤、無機酸および水溶性硫化物を用いて溶解除去できるため、絶縁放電破壊が生じず、高輝度な蛍光体を効率良く容易に得ることができる。
さらにまた、本発明の蛍光体の製造方法は、一般式がMS:RおよびMS:R,Xの少なくともいずれか一方で表される蛍光体であって、Mが亜鉛(Zn)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、マグネシウム(Mg)およびカドミウム(Cd)の少なくともいずれか1つの元素を含み、Rが銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)およびマンガン(Mn)の少なくともいずれか1つの元素を含み、Xが塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)の少なくともいずれか1つの元素を含む蛍光体を、酸化剤を含む水溶液、および無機酸を含む水溶液、またはこれら酸化剤および無機酸を含む水溶液と、水溶性硫化物を含む水溶液との双方で洗浄するものである。そして、一般式がMS:RおよびMS:R,Xの少なくともいずれか一方で表される蛍光体であって、Mが亜鉛(Zn)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、マグネシウム(Mg)およびカドミウム(Cd)の少なくともいずれか1つの元素を含み、Rが銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)およびマンガン(Mn)の少なくともいずれか1つの元素を含み、Xが塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)の少なくともいずれか1つの元素を含む蛍光体を、酸化剤を含む水溶液、および無機酸を含む水溶液、またはこれら酸化剤および無機酸を含む水溶液と、水溶性硫化物を含む水溶液との双方で洗浄することにより、蛍光体の表面に析出して発光を吸収して発光輝度の低下や絶縁放電破壊を生じるおそれのある硫化物を、廃液処理が比較的容易な酸化剤、無機酸および水溶性硫化物を用いて溶解除去できるため、絶縁放電破壊が生じず、高輝度な蛍光体を効率良く容易に得ることができる。
また、本発明の蛍光体の製造方法は、ZnS:Cu,XおよびZnS:Cu,Mn,Xの少なくともいずれか一方で表される蛍光体であって、Xが塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)の少なくともいずれか1つの元素を含む蛍光体を、酸化剤を含む水溶液、および無機酸を含む水溶液、またはこれら酸化剤および無機酸を含む水溶液と、水溶性硫化物を含む水溶液との双方で洗浄するものである。そして、ZnS:Cu,XおよびZnS:Cu,Mn,Xの少なくともいずれか一方で表される蛍光体であって、Xが塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)の少なくともいずれか1つの元素を含む蛍光体を、酸化剤を含む水溶液、および無機酸を含む水溶液、またはこれら酸化剤および無機酸を含む水溶液と、水溶性硫化物を含む水溶液との双方で洗浄することにより、蛍光体の表面に析出して発光を吸収して発光輝度の低下や絶縁放電破壊を生じるおそれのある硫化物を、廃液処理が比較的容易な酸化剤、無機酸および水溶性硫化物を用いて溶解除去できるため、絶縁放電破壊が生じず、高輝度な蛍光体を効率良く容易に得ることができる。
さらに、本発明の蛍光体の製造方法は、酸化剤は、水溶性の過酸化物、次亜ハロゲン酸塩、ハロゲン酸塩、過ハロゲン酸塩および過マンガン酸塩に属する化合物の少なくともいずれか1つを含み、無機酸は、塩酸、硝酸、硫酸およびリン酸の少なくともいずれか1つを含み、水溶性硫化物は、アルカリ金属の硫化物および硫化アンモニウムの少なくともいずれか1つを含むものである。そして、水溶性の過酸化物、次亜ハロゲン酸塩、ハロゲン酸塩、過ハロゲン酸塩および過マンガン酸塩に属する化合物の少なくともいずれか1つを含む酸化剤と、塩酸、硝酸、硫酸およびリン酸の少なくともいずれか1つを含む無機酸とを含有する水溶液で蛍光体を洗浄した後、アルカリ金属の硫化物および硫化アンモニウムの少なくともいずれか1つを含む水溶性硫化物を含有する水溶液で洗浄すすることにより、蛍光体の表面に析出する硫化物を容易に高効率で除去できる。
またさらに、本発明の蛍光体の製造方法は、酸化剤は、過酸化水素(H2O2)、過ヨウ素酸カリウム(KIO4)、過マンガン酸カリウム(KMnO4)および次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)の少なくともいずれか1つを含むものである。そして、過酸化水素(H2O2)、過ヨウ素酸カリウム(KIO4)、過マンガン酸カリウム(KMnO4)および次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)の少なくともいずれか1つを含む酸化剤と無機酸とを含有する水溶液で蛍光体を洗浄した後、水溶性硫化物を含む水溶液で洗浄することにより、蛍光体の表面に析出する硫化物を容易に高効率で除去できる。
さらにまた、本発明の蛍光体の製造方法は、水溶性硫化物は、硫化ナトリウム(Na2S)、硫化リチウム(Li2S)、硫化カリウム(K2S)および硫化アンモニウム((NH4)2S)の少なくともいずれか1つを含むものである。そして、酸化剤と無機酸とを含む水溶液で蛍光体を洗浄した後、硫化ナトリウム(Na2S)、硫化リチウム(Li2S)、硫化カリウム(K2S)および硫化アンモニウム((NH4)2S)の少なくともいずれか1つを含む水溶性硫化物を含有する水溶液で洗浄することにより、蛍光体の表面に析出する硫化物を容易に高効率で除去できる。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の一実施の形態における蛍光体を製造する工程を第1図を参照して説明する。
まず、一般式がMSで表され、Mが亜鉛(Zn)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、マグネシウム(Mg)およびカドミウム(Cd)のうちの少なくともいずれか1つの元素、例えば硫化亜鉛(ZnS)、硫化ストロンチウム(SrS)、硫化カルシウム(CaS)、硫化バリウム(BaS)、硫化マグネシウム(MgS)または硫化カドミウム(CdS)などの粉末と、付活剤である銅(Cu)、銀(Ag)または金(Au)、例えば硫酸銅五水和物(CuSO4・5H2O)などの銅化合物と混合して混合粉末を調整する。この混合粉末の調整の際、例えば陽イオンおよび陰イオンが除去された脱イオン水を加えてスラリー状態に混合した後に乾燥して略均一な組成となる混合粉末を調整することが好ましい。
そして、得られた混合粉末にアルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、例えば塩化ナトリウム(NaCl)などを、フラックスとして乾式で添加し十分よく混合し、石英るつぼなどの耐熱容器に充填し、1000℃〜1300℃で焼成して焼成物を得る。
この後、この焼成物を、脱イオン水などで洗浄して、過剰のフラックスである塩化物を除去し、ボールミルにて粉砕する。この粉砕は、粒径が略一定となるように脱イオン水を加えて、湿式粉砕し、洗浄後に乾燥することが好ましい。
そして、粉砕した焼成物を石英るつぼなどの耐熱容器に充填して、空気中で例えば約800℃で加熱して徐々に冷却するアニーリングをし、中間蛍光体を得る。なお、この中間蛍光体は、体色が灰色である。
次に、この中間蛍光体を脱イオン水に分散攪拌して、所定の量の酸化剤と無機酸とを添加した水溶液で洗浄した後、水洗してから、所定の量の水溶性硫化物を添加した水溶液で洗浄した後、脱イオン水で洗浄し、乾燥、篩別工程を経て蛍光体を得る。
ここで、酸化剤としては、過酸化水素(H2O2)や、過マンガン酸カリウム(KMnO4)、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)、過ヨウ素酸カリウム(KIO4)などの過酸化物や、次ハロゲン酸塩、ハロゲン酸塩、過ハロゲン酸塩、オゾン含有水溶液などを用いることができる。
また、無機酸としては、塩酸(HCl)、硝酸(HNO3)、硫酸(H2SO4)、リン酸(H3PO4)のうちのいずれかを用いることができる。
さらに、水溶性硫化物としては、硫化ナトリウム(Na2S)、硫化カリウム(K2S)などのアルカリ金属の硫化物や硫化アンモニウム((NH4)2S)を用いることができる。
(実施例)
次に、上記一実施の形態の実施例を説明する。
まず、調製した中間蛍光体を洗浄処理する実験をした。
(中間蛍光体の製造)
中間蛍光体として、上述したように、硫化亜鉛の粉末500gと硫酸銅五水和物(CuSO4・5H2O)1.8gとに脱イオン水を加えてスラリー状に混合した後、この混合物を150℃で12時間乾燥して混合粉末にする。
そして、この混合粉末に、塩化ナトリウム(NaCl)10g、塩化マグネシウム(MgCl2)15g、塩化ストロンチウム(SrCl2)15gを十分によく混合した後に石英るつほに充填し、約1150℃で6時間焼成して焼成物を得る。
この焼成物を、脱イオン水で5回洗浄後、脱イオン水500gとともに直径約2mmのガラスビーズ250gが投入されたポットに投入し、約30分間ボールミルを行って粉砕し、脱イオン水で1回洗浄し、約120℃で12時間乾燥する。
そして、粉砕した焼成物を石英るつぼに充填し、空気中約800℃で1〜3時間アニーリングし、中間蛍光体を得る。このようにして得られた中間蛍光体は、灰色の体色を呈している。
(洗浄処理)
この得られた中間蛍光体を酸化剤と無機酸とを添加した水溶液で洗浄した後、水溶性硫化物を添加した水溶液で洗浄する。
すなわち、中間蛍光体500gを脱イオン水1リットルに分散攪拌して、表1に示す酸化剤と無機酸とを添加して、30分から1時間攪拌する。そして、静置して固形物が沈降した後に上澄み液を除去し、脱イオン水で2回洗浄した後、表1に示す水溶性硫化物を添加して30分〜1時間攪拌洗浄をする。
この後、静置して固形物が沈降した後に上澄み液を除去し、脱イオン水で10回洗浄した後に脱水濾過、乾燥および篩別工程を経て蛍光体を得る。
この得られた蛍光体を、体色の評価として色差計(東京電色株式会社製 形式:TC−1500DX)を用い、硫酸バリウム標準白色板の反射率を100%として相対反射率を求めた。その結果を表1に示す。
なお、比較試料としては、洗浄しない上述した中間蛍光体を比較例1として用いた。また、中間蛍光体500gを脱イオン水約1リットル中に分散攪拌し、さらにシアン化カリウム(KCN)15gを添加して約30分間攪拌後に静置して、上澄み液を除去後、脱イオン水で5回洗浄し、脱水濾過、乾燥および篩別工程を経た蛍光体を比較例2として用いた。さらに、中間蛍光体500gを脱イオン水約1リットル中に分散させて攪拌し、テトラエチレンペンタミン(C8H23N2)10gと34%過酸化水素水40ml添加して約60分間攪拌した後に静置して、上澄み液を除去後、脱イオン水で5回洗浄し、脱水濾過、乾燥および篩別工程を経た蛍光体を比較例3として用いた。
さらに、輝度評価として得られた蛍光体をひまし油に分散し、一対の導電性ガラス板間に間隙約200μmで挟んでEL素子を作成し、この得られたEL素子の電極間に約250V400Hzの交流電圧を印加して発光させ、輝度計(ミノルタ株式会社製 形式:LS−100)を用いて輝度を測定した。その結果を表1に示す。なお、表1に示す輝度は、シアン化カリウムで洗浄した蛍光体の輝度を100%とした相対輝度を示す。
また、これらの他に、蛍光体の表面の清浄度の評価として、安息角(angle of repose)を測定した。ここで、安息角とは、粉体堆積層の自由表面が、静的平衡状態で水平面に対してなす最大角度によって定義されるものであり、一般的に粉体の摩擦特性を表現するために用いられ、粉体の表面が清浄であるほど摩擦力が増大し、安息角が大きくなる。そして、この安息角の測定方法としては、三輪茂雄他著、「粉体工学実験マニュアル」、日刊工業新聞社、1984年7月、p.130に示されている「残留円錐法(platform on fixed bed cone method)」に基づいて下記に示す方法とした。
すなわち、対象となる蛍光体を予め100〜110℃で1〜3時間ほど乾燥させた後、半日以内に常温常湿度下、具体的には15℃〜25℃程度で湿度40%〜60%程度の雰囲気において、ピストンを備え内径が約2.8cmで長さが約11cmであるプラスチック製などの円筒に約4.5cmほど充填し、このピストンを垂直に固定した後に、軽くタッピングする。
この状態で、外側の筒を毎分約3〜4cmの速度で引き下げ、蛍光体粉末の体積状態が略円錐状になった時点で静止し、円筒の側面より写真撮影し、この撮影した写真から円錐状の高さHと底面の径Dとを割り出し、これら高さHおよび底面の径Dを用いて安息角θをθ=arctan(2H/D)より求めた。
以上の測定を、測定試料毎に5回ずつ行い、そのうち中央3点の平均値を安息角として採用した。その結果を表2に示す。合わせて、蛍光体の平均粒径D−50を、粒度分布測定装置(SALD−2100 株式会社島津製作所製)によるレーザ回折散乱法にて測定した。この結果も表2に示す。
なお、蛍光体の粒径や形状などによる安息角への影響も考えられるが、一般的にEL素子に用いられる蛍光体であって、平均粒径D−50が少なくとも15μm以上35μm以下の範囲においては、この粒径による安息角への影響は極わずかである。また、この安息角を洗浄度の指標とすることは、一般的に受け入れられている。
この表1に示す結果から、本実施の形態の酸化剤と無機酸とによる洗浄、および水溶性硫化物による洗浄とを組み合わせたことにより、外観が未洗浄の中間蛍光体に比べて白色となっているのと同様に、従来利用されているシアン化カリウムで洗浄した蛍光体、すなわち比較例2と同等以上の反射率が得られ、この洗浄により、反射率が向上することが分かった。
また、相対輝度も、シアン化カリウムで洗浄した比較例2より向上しており、取り扱いおよび洗浄後の廃液の処理が煩雑なシアン化合物より、本実施の形態の酸化剤と無機酸とによる洗浄と水溶性硫化物による洗浄との組み合わせの方が、発光輝度が10%以上向上しており、高輝度な蛍光体が得られることが分かる。
さらに、表2に示す結果から、実施例1ないし7に示す処理方法による蛍光体の安息角はいずれも50°以上となり、蛍光体の表面が充分に清浄に処理されていることがわかった。また比較例1ないし3に示す従来の処理方法による蛍光体の安息角は、いずれも50°未満となり、実施例1ないし7のいずれよりも小さく、蛍光体の表面の洗浄が不充分であった。
参考として、実施例1の蛍光体と、比較例3のエチレンアミン処理蛍光体の電子顕微鏡写真を、第2図および第3図に示す。これら第2図および第3図に示すように、比較例3のエチレンアミン処理蛍光体表面に残っている細かい粒状不純物が、実施例1の蛍光体表面では、確実かつきれいに除去されており、蛍光体の表面に析出して、発光輝度低下や放電破壊を生じるおそれのある物質が除去されているため、高輝度で劣化しにくく長寿命の蛍光体となっている。
なお、比較例2のシアン処理方法による蛍光体の安息角は、50°に近い値を示しているが、シアンイオンを含むシアン化合物の使用は、環境問題などの観点から好ましくなく、また、シアン処理方法によって発生したシアン系廃液の処理コストも高く、蛍光体の製造コストを著しく増加させてしまう。このため、50°以上の高い安息角を得るための処理方法としては、実施例に示す方法と比較して不適切である。
ここで、従来の方法である比較例2および比較例3は、表面に析出した不純物である硫化銅(CuxS)を、シアンイオン(CN−)あるいはエチレンアミンにより錯体を形成して除去させているが、上述した実施例1ないし7における作用は、従来の方法による作用とは異なると予想される。
すなわち、酸化剤および無機酸によって銅(Cu)をイオン化し、さらに硫黄(S)を水溶性硫化物、例えば硫化ナトリウム(Na2S)などによって、可溶性の多硫化物、例えば多硫化ナトリウム(Na2Sx)などとすることにより溶解し、除去していると思われる。なお、この作用により、硫化銅(CuxS)のみならず、蛍光体の表面にあるその他の不純物、例えば硫化亜鉛(ZnS)の微粒子なども同様にして除去できると予想される。
上述したように、一般式がMS:RおよびMS:R,Xのいずれか一方で表され、Mが亜鉛(Zn)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、マグネシウム(Mg)およびカドミウム(Cd)の少なくともいずれか1つの元素で、Rが銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)の少なくともいずれか1つの元素で、Xが塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)の少なくともいずれか1つの元素からなり、発光を吸収して発光輝度の低下および絶縁放電破壊を生じるおそれのある硫化物が表面に析出する蛍光体を、毒性が低く、廃液処理が比較的容易な酸化剤、無機酸および水溶性硫化物で洗浄することにより硫化物を除去するため、絶縁放電破壊を生じずしかも高輝度な蛍光体を容易に得ることができる。
また、酸化剤として、過酸化水素(H2O2)、過ヨウ素酸カリウム(KIO4)、過マンガン酸カリウム(KMnO4)および次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)などの水溶性の過酸化物、次亜ハロゲン酸塩、ハロゲン酸塩、過ハロゲン酸塩および過マンガン酸塩に属する化合物の少なくともいずれか1つの化合物と、無機酸として、塩酸、硝酸、硫酸およびリン酸の少なくともいずれか1つを含む化合物とを含有する水溶液で蛍光体を洗浄する。次いで、この洗浄後の蛍光体を水溶性硫化物を含む水溶液でこの蛍光体を洗浄することにより、この蛍光体の表面に析出する硫化物を容易に高効率で除去できる。
さらに、水溶性硫化物として、硫化ナトリウム(Na2S)、硫化リチウム(Li2S)、硫化カリウム(K2S)および硫化アンモニウム((NH4)2S)などのアルカリ金属の硫化物および硫化アンモニウムの少なくともいずれか1つを含む化合物を用い、これらを含む水溶液で洗浄することにより、この蛍光体の表面に析出する硫化物を容易に高効率で除去できる。
また、蛍光体を洗浄して、この蛍光体の表面に析出する硫化物を除去した時のこの蛍光体の安息角を50°以上とすることにより、この蛍光体の表面に析出し、この蛍光体の発光を吸収して発光輝度の低下や絶縁放電破壊を生じるおそれのある硫化物を洗浄にて充分に除去できていることとなる。
したがって、上記一実施例のように、安息角が50°以上となるように蛍光体を洗浄することにより、この蛍光体に絶縁放電破壊が生じず、高輝度となる。また、蛍光体の表面に存在する他の不純物なども同時に洗浄できて充分に除去できるので、この蛍光体を劣化しにくくできるとともに、この蛍光体の寿命特性を向上できる。
このとき、蛍光体の平均粒径を15μmより小さくした場合には、この蛍光体が劣化しやすくなるとともに寿命特性が悪化してしまう。また、この蛍光体の平均粒径を35μmより大きくした場合には、発光効率の低下により輝度が低下してしまうとともに、携帯電話や携帯情報端末、車載用パネルなどの発光素子をこの蛍光体にて形成した場合に輝度むらを起こす原因となり、発光素子の品質が著しく低下してしまう。
そこで、この蛍光体の平均粒径を、一般的にEL素子として利用される大きさである15μm以上35μm以下とすることにより、この蛍光体の輝度劣化を起こしにくくできるとともに、この蛍光体を発光素子にした際の輝度むらを起こしにくくできる。さらに、より好ましい蛍光体の平均粒径の範囲は、20μm以上30μm以下である。
なお、上記一実施例では、酸化剤および無機酸それぞれを含む水溶液で蛍光体を洗浄した後、この洗浄後の蛍光体を水溶性硫化物を含む水溶液で洗浄したが、この蛍光体を、酸化剤を含む水溶液で洗浄した後、無機酸を含む水溶液で洗浄し、さらに水溶性硫化物を含む水溶液で洗浄しても、上記一実施例と同様の作用効果を奏することができる。
また、無機酸を含む水溶液で洗浄した蛍光体を、酸化剤を含む水溶液で洗浄した後、水溶性硫化物を含む水溶液で洗浄してもよく、水溶性硫化物を含む水溶液で洗浄した蛍光体を、酸化剤および無機酸を含む水溶液で洗浄してもよい。
さらに、水溶性硫化物を含む水溶液で洗浄した蛍光体を、酸化剤を含む水溶液で洗浄した後、無機酸を含む水溶液で洗浄してもよく、水溶性硫化物を含む水溶液で洗浄した蛍光体を、無機酸を含む水溶液で洗浄した後、酸化剤を含む水溶液で洗浄してもよい。
またさらに、無機酸を含む水溶液で洗浄した蛍光体を、水溶性硫化物を含む水溶液で洗浄した後、酸化剤を含む水溶液で洗浄してもよく、酸化剤を含む水溶液で洗浄した蛍光体を、水溶性硫化物を含む水溶液で洗浄した後、無機塩を含む水溶液で洗浄してもよい。
すなわち、酸化剤を含む水溶液、および無機酸を含む水溶液、またはこれら酸化剤および無機酸を含む水溶液と、水溶性硫化物を含む水溶液との双方で洗浄された蛍光体であれば、酸化剤および無機酸それぞれを含む水溶液で洗浄した後に水溶性硫化物を含む水溶液で洗浄した蛍光体ほどではないが、上記一実施例と同様の作用効果を奏することができる。
また、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、マンガン(Mn)、銅化合物、銀化合物、金化合物およびマンガン化合物の少なくともいずれか1つと硫黄(S)の化合物とを少なくとも表面に有する蛍光体や、ZnS:Cu,XおよびZnS:Cu,Mn,Xの少なくともいずれか一方で表される蛍光体であって、Xが塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)の少なくともいずれか1つの元素からなる蛍光体であっても、上記一実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
さらに、一般式がMS:RおよびMS:R,Xの少なくともいずれか一方で表される蛍光体であって、Mが亜鉛(Zn)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、マグネシウム(Mg)およびカドミウム(Cd)の少なくともいずれか1つの元素を含み、Rが銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)およびマンガン(Mn)の少なくともいずれか1つの元素を含み、Xが塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)の少なくともいずれか1つの元素を含む蛍光体や、ZnS:Cu,XおよびZnS:Cu,Mn,Xの少なくともいずれか一方で表される蛍光体であって、Xが塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)の少なくともいずれか1つの元素を含む蛍光体などであっても、上記一実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、酸化剤、無機酸および水溶性硫化物それぞれは、1種類に限らず、複数の種類を含有させることもできる。
ここで、上記一実施例に係る蛍光体およびその製造方法によって得られた蛍光体を用いて、実際に発光素子を作成する場合には、例えばアルミナ(Al2O3)やシリカ(SiO2)などの物質を付加することもできる。そしてこの場合、例えば発光素子内の蛍光体から発せられた光が、無色のアルミナやシリカによって反射されることにより、発光素子としての輝度向上などを図ることができる。
産業上の利用の可能性
以上のように、本発明の蛍光体およびその製造方法は、例えば携帯電話の表示部のバックライトなどに用いられる薄型の発光素子およびその製造方法として広く利用される。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施の形態の蛍光体の製造方法を示すフローチャートであり、第2図は本発明の実施例1の蛍光体の表面を示す電子顕微鏡写真であり、第3図は本発明に対する比較例3の蛍光体の表面を示す電子顕微鏡写真である。
表面に析出した不純物などが充分に除去された蛍光体およびその製造方法に関する。
背 景 技 術
従来、例えば携帯電話の表示部のバックライトなどに用いられる薄型の発光素子として、EL(Electro Luminescence)素子が知られている。このEL素子は、誘電物質中に分散型のEL蛍光体の粒子を分散し、この分散した蛍光体の両側に少なくとも一方が透明な電極を配置し、これら電極間に交流電圧を印加することにより発光する。
そして、このEL蛍光体は、例えば硫化亜鉛(ZnS)を母体として、付活剤として銅または銅およびマンガンならびにハロゲンとを導入した一般式がZnS:Cu,Xや、ZnS:Cu,Mn,X(Xは塩素、臭素またはヨウ素である)で表されるものが広く使用されている。
ところで、上記硫化亜鉛系の分散型のEL蛍光体では、粒子内に析出する導電性を有する硫化銅(CuxS)が電荷放出源となり、交流電圧が印加されることにより発光する。
そして、このEL蛍光体の合成に際しては、母体となる硫化亜鉛粉末に付活剤の銅を水溶性銅化合物の形態で湿式混合して乾燥し、蛍光体結晶粒子の成長のために適宜、アルカリ金属やアルカリ土類金属のハロゲン化物を乾式で混合し、石英るつぼなどの耐熱容器に充填して1000℃〜1300℃で焼成する。この結果、銅原子の一部が硫化亜鉛結晶の亜鉛原子に置換して固溶化されることにより発光中心として作用し、固溶化しきれない一部の銅は導電性を有する硫化銅として析出する蛍光体が得られる。
ここで、この合成の際に添加する水溶性の銅化合物は、通常のカラーテレビのブラウン管に使用される蛍光体を合成する際に添加する量に比べて約10倍程度過剰に添加することにより、結果的に良好なEL蛍光体が得られる。
しかしながら、導電性を有する硫化銅は体色が黒色であることから、焼成後の蛍光体は灰色を呈し、このEL蛍光体をEL素子として利用すると黒色の硫化銅により発光が著しく吸収され、発光輝度が低下してしまう。
さらに、このEL素子の表面に位置する導電性を有する硫化銅は、交流電圧が印加された際にEL素子の絶縁放電破壊の原因ともなる。このため、EL素子に利用する場合には、焼成後に得られたEL蛍光体の粒子表面から導電性を有する硫化銅を洗浄処理により除去している。
そして、このEL蛍光体の洗浄処理としては、従来、シアン化カリウムなどのシアンイオンを含む水溶液と接触させて、蛍光体粒子表面に存在する導電性を有する硫化銅を溶解除去する方法が知られている。
ところが、上述のシアンイオンを含むシアン化合物の使用は環境問題などの観点から好ましくなく、蛍光体の処理作業および洗浄後の廃液の処理が極めて煩雑となるという問題がある。
そこで、例えば特開昭51−285989号公報に記載の蛍光体を水酸化アンモニウム水溶液およびポリ硫化カリウム水溶液で上述の硫化銅を除去する方法や、特開平4−23886号公報に記載のエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、イミノジ酢酸(IDA)またはニトリロ酢酸(NTA)などの酢酸基(−CH2COOH)を有するキレート剤、酸化剤およびアルカリ剤を含む薬液で処理する方法、特開平6−41525号公報に記載のエチレンアミン化合物と酸化剤とを含有する水溶液で処理する方法などが知られている。
しかしながら、これら水酸化アンモニウム水溶液およびポリ硫化カリウム水溶液で洗浄する特開昭51−285989号公報に記載の洗浄方法や、酢酸基を有するキレート剤およびアルカリ剤を含有する水溶液で洗浄する特開平4−23886号公報に記載の洗浄方法、エチレンアミン化合物と酸化剤とを含有する水溶液で洗浄する特開平6−41525号公報に記載の洗浄方法では、毒性の強いシアン化化合物を用いた洗浄処理に比べて硫化銅の除去率が充分ではなく、蛍光体の体色や反射率特性、発光輝度の充分な向上が望めないという問題を有している。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、表面に析出した硫化物などの不純物が充分に除去された蛍光体、および表面に析出した硫化物などの不純物を容易に効率良く除去できる蛍光体の製造方法を提供することを目的とする。
発 明 の 開 示
本発明の蛍光体は、一般式がMS:RおよびMS:R,Xの少なくともいずれか一方で表される蛍光体であって、Mが亜鉛(Zn)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、マグネシウム(Mg)およびカドミウム(Cd)の少なくともいずれか1つの元素を含み、Rが銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)およびマンガン(Mn)の少なくともいずれか1つの元素を含み、Xが塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)の少なくともいずれか1つの元素を含み、安息角が50°以上であるものである。そして、一般式がMS:RおよびMS:R,Xの少なくともいずれか一方で表され、Mが亜鉛(Zn)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、マグネシウム(Mg)およびカドミウム(Cd)の少なくともいずれか1つの元素を含み、Rが銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)およびマンガン(Mn)の少なくともいずれか1つの元素を含み、Xが塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)の少なくともいずれか1つの元素を含む蛍光体の安息角を50°以上とすることにより、この蛍光体の表面に析出して、この蛍光体の発光を吸収して発光輝度の低下や絶縁放電破壊を生じるおそれのある硫化物が充分に除去されるので、絶縁放電破壊が生じず、高輝度な蛍光体となり、また、蛍光体の表面にあるその他の不純物なども除去されるため、この蛍光体を劣化しにくくでき、寿命特性を向上できる。
また、本発明の蛍光体は、ZnS:Cu,XおよびZnS:Cu,Mn,Xの少なくともいずれか一方で表さる蛍光体であって、Xが塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)の少なくともいずれか1つの元素を含み、安息角が50°以上であるものである。そして、ZnS:Cu,XおよびZnS:Cu,Mn,Xの少なくともいずれか一方で表され、Xが塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)の少なくともいずれか1つの元素を含む蛍光体の安息角を50°以上とすることにより、この蛍光体の表面に析出して、この蛍光体の発光を吸収して発光輝度の低下や絶縁放電破壊を生じるおそれのある硫化物が充分に除去されるので、絶縁放電破壊が生じず、高輝度な蛍光体となり、また、蛍光体の表面にあるその他の不純物なども除去されるため、この蛍光体を劣化しにくくでき、寿命特性を向上できる。
さらに、本発明の蛍光体は、蛍光体の平均粒径は、15μm以上35μm以下であるものである。そして、平均粒径が15μm以上35μm以下である蛍光体とすることにより、輝度劣化を起こしにくくでき、発光素子にした際の輝度むらを起こしにくくできる。
またさらに、本発明の蛍光体の製造方法は、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、マンガン(Mn)、銅化合物、銀化合物、金化合物およびマンガン化合物のうちの少なくともいずれか1つと硫黄(S)の化合物とを少なくとも表面に有する蛍光体を、酸化剤を含む水溶液、および無機酸を含む水溶液、またはこれら酸化剤および無機酸を含む水溶液と、水溶性硫化物を含む水溶液との双方で洗浄するものである。そして、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、マンガン(Mn)、銅化合物、銀化合物、金化合物およびマンガン化合物の少なくともいずれか1つと硫黄(S)の化合物とを少なくとも表面に有する蛍光体を、酸化剤を含む水溶液、および無機酸を含む水溶液、またはこれら酸化剤および無機酸を含む水溶液と、水溶性硫化物を含む水溶液との双方で洗浄することにより、蛍光体の表面に析出して発光を吸収して発光輝度の低下や絶縁放電破壊を生じるおそれのある硫化物を、廃液処理が比較的容易な酸化剤、無機酸および水溶性硫化物を用いて溶解除去できるため、絶縁放電破壊が生じず、高輝度な蛍光体を効率良く容易に得ることができる。
さらにまた、本発明の蛍光体の製造方法は、一般式がMS:RおよびMS:R,Xの少なくともいずれか一方で表される蛍光体であって、Mが亜鉛(Zn)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、マグネシウム(Mg)およびカドミウム(Cd)の少なくともいずれか1つの元素を含み、Rが銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)およびマンガン(Mn)の少なくともいずれか1つの元素を含み、Xが塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)の少なくともいずれか1つの元素を含む蛍光体を、酸化剤を含む水溶液、および無機酸を含む水溶液、またはこれら酸化剤および無機酸を含む水溶液と、水溶性硫化物を含む水溶液との双方で洗浄するものである。そして、一般式がMS:RおよびMS:R,Xの少なくともいずれか一方で表される蛍光体であって、Mが亜鉛(Zn)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、マグネシウム(Mg)およびカドミウム(Cd)の少なくともいずれか1つの元素を含み、Rが銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)およびマンガン(Mn)の少なくともいずれか1つの元素を含み、Xが塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)の少なくともいずれか1つの元素を含む蛍光体を、酸化剤を含む水溶液、および無機酸を含む水溶液、またはこれら酸化剤および無機酸を含む水溶液と、水溶性硫化物を含む水溶液との双方で洗浄することにより、蛍光体の表面に析出して発光を吸収して発光輝度の低下や絶縁放電破壊を生じるおそれのある硫化物を、廃液処理が比較的容易な酸化剤、無機酸および水溶性硫化物を用いて溶解除去できるため、絶縁放電破壊が生じず、高輝度な蛍光体を効率良く容易に得ることができる。
また、本発明の蛍光体の製造方法は、ZnS:Cu,XおよびZnS:Cu,Mn,Xの少なくともいずれか一方で表される蛍光体であって、Xが塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)の少なくともいずれか1つの元素を含む蛍光体を、酸化剤を含む水溶液、および無機酸を含む水溶液、またはこれら酸化剤および無機酸を含む水溶液と、水溶性硫化物を含む水溶液との双方で洗浄するものである。そして、ZnS:Cu,XおよびZnS:Cu,Mn,Xの少なくともいずれか一方で表される蛍光体であって、Xが塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)の少なくともいずれか1つの元素を含む蛍光体を、酸化剤を含む水溶液、および無機酸を含む水溶液、またはこれら酸化剤および無機酸を含む水溶液と、水溶性硫化物を含む水溶液との双方で洗浄することにより、蛍光体の表面に析出して発光を吸収して発光輝度の低下や絶縁放電破壊を生じるおそれのある硫化物を、廃液処理が比較的容易な酸化剤、無機酸および水溶性硫化物を用いて溶解除去できるため、絶縁放電破壊が生じず、高輝度な蛍光体を効率良く容易に得ることができる。
さらに、本発明の蛍光体の製造方法は、酸化剤は、水溶性の過酸化物、次亜ハロゲン酸塩、ハロゲン酸塩、過ハロゲン酸塩および過マンガン酸塩に属する化合物の少なくともいずれか1つを含み、無機酸は、塩酸、硝酸、硫酸およびリン酸の少なくともいずれか1つを含み、水溶性硫化物は、アルカリ金属の硫化物および硫化アンモニウムの少なくともいずれか1つを含むものである。そして、水溶性の過酸化物、次亜ハロゲン酸塩、ハロゲン酸塩、過ハロゲン酸塩および過マンガン酸塩に属する化合物の少なくともいずれか1つを含む酸化剤と、塩酸、硝酸、硫酸およびリン酸の少なくともいずれか1つを含む無機酸とを含有する水溶液で蛍光体を洗浄した後、アルカリ金属の硫化物および硫化アンモニウムの少なくともいずれか1つを含む水溶性硫化物を含有する水溶液で洗浄すすることにより、蛍光体の表面に析出する硫化物を容易に高効率で除去できる。
またさらに、本発明の蛍光体の製造方法は、酸化剤は、過酸化水素(H2O2)、過ヨウ素酸カリウム(KIO4)、過マンガン酸カリウム(KMnO4)および次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)の少なくともいずれか1つを含むものである。そして、過酸化水素(H2O2)、過ヨウ素酸カリウム(KIO4)、過マンガン酸カリウム(KMnO4)および次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)の少なくともいずれか1つを含む酸化剤と無機酸とを含有する水溶液で蛍光体を洗浄した後、水溶性硫化物を含む水溶液で洗浄することにより、蛍光体の表面に析出する硫化物を容易に高効率で除去できる。
さらにまた、本発明の蛍光体の製造方法は、水溶性硫化物は、硫化ナトリウム(Na2S)、硫化リチウム(Li2S)、硫化カリウム(K2S)および硫化アンモニウム((NH4)2S)の少なくともいずれか1つを含むものである。そして、酸化剤と無機酸とを含む水溶液で蛍光体を洗浄した後、硫化ナトリウム(Na2S)、硫化リチウム(Li2S)、硫化カリウム(K2S)および硫化アンモニウム((NH4)2S)の少なくともいずれか1つを含む水溶性硫化物を含有する水溶液で洗浄することにより、蛍光体の表面に析出する硫化物を容易に高効率で除去できる。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の一実施の形態における蛍光体を製造する工程を第1図を参照して説明する。
まず、一般式がMSで表され、Mが亜鉛(Zn)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、マグネシウム(Mg)およびカドミウム(Cd)のうちの少なくともいずれか1つの元素、例えば硫化亜鉛(ZnS)、硫化ストロンチウム(SrS)、硫化カルシウム(CaS)、硫化バリウム(BaS)、硫化マグネシウム(MgS)または硫化カドミウム(CdS)などの粉末と、付活剤である銅(Cu)、銀(Ag)または金(Au)、例えば硫酸銅五水和物(CuSO4・5H2O)などの銅化合物と混合して混合粉末を調整する。この混合粉末の調整の際、例えば陽イオンおよび陰イオンが除去された脱イオン水を加えてスラリー状態に混合した後に乾燥して略均一な組成となる混合粉末を調整することが好ましい。
そして、得られた混合粉末にアルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、例えば塩化ナトリウム(NaCl)などを、フラックスとして乾式で添加し十分よく混合し、石英るつぼなどの耐熱容器に充填し、1000℃〜1300℃で焼成して焼成物を得る。
この後、この焼成物を、脱イオン水などで洗浄して、過剰のフラックスである塩化物を除去し、ボールミルにて粉砕する。この粉砕は、粒径が略一定となるように脱イオン水を加えて、湿式粉砕し、洗浄後に乾燥することが好ましい。
そして、粉砕した焼成物を石英るつぼなどの耐熱容器に充填して、空気中で例えば約800℃で加熱して徐々に冷却するアニーリングをし、中間蛍光体を得る。なお、この中間蛍光体は、体色が灰色である。
次に、この中間蛍光体を脱イオン水に分散攪拌して、所定の量の酸化剤と無機酸とを添加した水溶液で洗浄した後、水洗してから、所定の量の水溶性硫化物を添加した水溶液で洗浄した後、脱イオン水で洗浄し、乾燥、篩別工程を経て蛍光体を得る。
ここで、酸化剤としては、過酸化水素(H2O2)や、過マンガン酸カリウム(KMnO4)、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)、過ヨウ素酸カリウム(KIO4)などの過酸化物や、次ハロゲン酸塩、ハロゲン酸塩、過ハロゲン酸塩、オゾン含有水溶液などを用いることができる。
また、無機酸としては、塩酸(HCl)、硝酸(HNO3)、硫酸(H2SO4)、リン酸(H3PO4)のうちのいずれかを用いることができる。
さらに、水溶性硫化物としては、硫化ナトリウム(Na2S)、硫化カリウム(K2S)などのアルカリ金属の硫化物や硫化アンモニウム((NH4)2S)を用いることができる。
(実施例)
次に、上記一実施の形態の実施例を説明する。
まず、調製した中間蛍光体を洗浄処理する実験をした。
(中間蛍光体の製造)
中間蛍光体として、上述したように、硫化亜鉛の粉末500gと硫酸銅五水和物(CuSO4・5H2O)1.8gとに脱イオン水を加えてスラリー状に混合した後、この混合物を150℃で12時間乾燥して混合粉末にする。
そして、この混合粉末に、塩化ナトリウム(NaCl)10g、塩化マグネシウム(MgCl2)15g、塩化ストロンチウム(SrCl2)15gを十分によく混合した後に石英るつほに充填し、約1150℃で6時間焼成して焼成物を得る。
この焼成物を、脱イオン水で5回洗浄後、脱イオン水500gとともに直径約2mmのガラスビーズ250gが投入されたポットに投入し、約30分間ボールミルを行って粉砕し、脱イオン水で1回洗浄し、約120℃で12時間乾燥する。
そして、粉砕した焼成物を石英るつぼに充填し、空気中約800℃で1〜3時間アニーリングし、中間蛍光体を得る。このようにして得られた中間蛍光体は、灰色の体色を呈している。
(洗浄処理)
この得られた中間蛍光体を酸化剤と無機酸とを添加した水溶液で洗浄した後、水溶性硫化物を添加した水溶液で洗浄する。
すなわち、中間蛍光体500gを脱イオン水1リットルに分散攪拌して、表1に示す酸化剤と無機酸とを添加して、30分から1時間攪拌する。そして、静置して固形物が沈降した後に上澄み液を除去し、脱イオン水で2回洗浄した後、表1に示す水溶性硫化物を添加して30分〜1時間攪拌洗浄をする。
この後、静置して固形物が沈降した後に上澄み液を除去し、脱イオン水で10回洗浄した後に脱水濾過、乾燥および篩別工程を経て蛍光体を得る。
この得られた蛍光体を、体色の評価として色差計(東京電色株式会社製 形式:TC−1500DX)を用い、硫酸バリウム標準白色板の反射率を100%として相対反射率を求めた。その結果を表1に示す。
なお、比較試料としては、洗浄しない上述した中間蛍光体を比較例1として用いた。また、中間蛍光体500gを脱イオン水約1リットル中に分散攪拌し、さらにシアン化カリウム(KCN)15gを添加して約30分間攪拌後に静置して、上澄み液を除去後、脱イオン水で5回洗浄し、脱水濾過、乾燥および篩別工程を経た蛍光体を比較例2として用いた。さらに、中間蛍光体500gを脱イオン水約1リットル中に分散させて攪拌し、テトラエチレンペンタミン(C8H23N2)10gと34%過酸化水素水40ml添加して約60分間攪拌した後に静置して、上澄み液を除去後、脱イオン水で5回洗浄し、脱水濾過、乾燥および篩別工程を経た蛍光体を比較例3として用いた。
さらに、輝度評価として得られた蛍光体をひまし油に分散し、一対の導電性ガラス板間に間隙約200μmで挟んでEL素子を作成し、この得られたEL素子の電極間に約250V400Hzの交流電圧を印加して発光させ、輝度計(ミノルタ株式会社製 形式:LS−100)を用いて輝度を測定した。その結果を表1に示す。なお、表1に示す輝度は、シアン化カリウムで洗浄した蛍光体の輝度を100%とした相対輝度を示す。
また、これらの他に、蛍光体の表面の清浄度の評価として、安息角(angle of repose)を測定した。ここで、安息角とは、粉体堆積層の自由表面が、静的平衡状態で水平面に対してなす最大角度によって定義されるものであり、一般的に粉体の摩擦特性を表現するために用いられ、粉体の表面が清浄であるほど摩擦力が増大し、安息角が大きくなる。そして、この安息角の測定方法としては、三輪茂雄他著、「粉体工学実験マニュアル」、日刊工業新聞社、1984年7月、p.130に示されている「残留円錐法(platform on fixed bed cone method)」に基づいて下記に示す方法とした。
すなわち、対象となる蛍光体を予め100〜110℃で1〜3時間ほど乾燥させた後、半日以内に常温常湿度下、具体的には15℃〜25℃程度で湿度40%〜60%程度の雰囲気において、ピストンを備え内径が約2.8cmで長さが約11cmであるプラスチック製などの円筒に約4.5cmほど充填し、このピストンを垂直に固定した後に、軽くタッピングする。
この状態で、外側の筒を毎分約3〜4cmの速度で引き下げ、蛍光体粉末の体積状態が略円錐状になった時点で静止し、円筒の側面より写真撮影し、この撮影した写真から円錐状の高さHと底面の径Dとを割り出し、これら高さHおよび底面の径Dを用いて安息角θをθ=arctan(2H/D)より求めた。
以上の測定を、測定試料毎に5回ずつ行い、そのうち中央3点の平均値を安息角として採用した。その結果を表2に示す。合わせて、蛍光体の平均粒径D−50を、粒度分布測定装置(SALD−2100 株式会社島津製作所製)によるレーザ回折散乱法にて測定した。この結果も表2に示す。
なお、蛍光体の粒径や形状などによる安息角への影響も考えられるが、一般的にEL素子に用いられる蛍光体であって、平均粒径D−50が少なくとも15μm以上35μm以下の範囲においては、この粒径による安息角への影響は極わずかである。また、この安息角を洗浄度の指標とすることは、一般的に受け入れられている。
この表1に示す結果から、本実施の形態の酸化剤と無機酸とによる洗浄、および水溶性硫化物による洗浄とを組み合わせたことにより、外観が未洗浄の中間蛍光体に比べて白色となっているのと同様に、従来利用されているシアン化カリウムで洗浄した蛍光体、すなわち比較例2と同等以上の反射率が得られ、この洗浄により、反射率が向上することが分かった。
また、相対輝度も、シアン化カリウムで洗浄した比較例2より向上しており、取り扱いおよび洗浄後の廃液の処理が煩雑なシアン化合物より、本実施の形態の酸化剤と無機酸とによる洗浄と水溶性硫化物による洗浄との組み合わせの方が、発光輝度が10%以上向上しており、高輝度な蛍光体が得られることが分かる。
さらに、表2に示す結果から、実施例1ないし7に示す処理方法による蛍光体の安息角はいずれも50°以上となり、蛍光体の表面が充分に清浄に処理されていることがわかった。また比較例1ないし3に示す従来の処理方法による蛍光体の安息角は、いずれも50°未満となり、実施例1ないし7のいずれよりも小さく、蛍光体の表面の洗浄が不充分であった。
参考として、実施例1の蛍光体と、比較例3のエチレンアミン処理蛍光体の電子顕微鏡写真を、第2図および第3図に示す。これら第2図および第3図に示すように、比較例3のエチレンアミン処理蛍光体表面に残っている細かい粒状不純物が、実施例1の蛍光体表面では、確実かつきれいに除去されており、蛍光体の表面に析出して、発光輝度低下や放電破壊を生じるおそれのある物質が除去されているため、高輝度で劣化しにくく長寿命の蛍光体となっている。
なお、比較例2のシアン処理方法による蛍光体の安息角は、50°に近い値を示しているが、シアンイオンを含むシアン化合物の使用は、環境問題などの観点から好ましくなく、また、シアン処理方法によって発生したシアン系廃液の処理コストも高く、蛍光体の製造コストを著しく増加させてしまう。このため、50°以上の高い安息角を得るための処理方法としては、実施例に示す方法と比較して不適切である。
ここで、従来の方法である比較例2および比較例3は、表面に析出した不純物である硫化銅(CuxS)を、シアンイオン(CN−)あるいはエチレンアミンにより錯体を形成して除去させているが、上述した実施例1ないし7における作用は、従来の方法による作用とは異なると予想される。
すなわち、酸化剤および無機酸によって銅(Cu)をイオン化し、さらに硫黄(S)を水溶性硫化物、例えば硫化ナトリウム(Na2S)などによって、可溶性の多硫化物、例えば多硫化ナトリウム(Na2Sx)などとすることにより溶解し、除去していると思われる。なお、この作用により、硫化銅(CuxS)のみならず、蛍光体の表面にあるその他の不純物、例えば硫化亜鉛(ZnS)の微粒子なども同様にして除去できると予想される。
上述したように、一般式がMS:RおよびMS:R,Xのいずれか一方で表され、Mが亜鉛(Zn)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、マグネシウム(Mg)およびカドミウム(Cd)の少なくともいずれか1つの元素で、Rが銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)の少なくともいずれか1つの元素で、Xが塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)の少なくともいずれか1つの元素からなり、発光を吸収して発光輝度の低下および絶縁放電破壊を生じるおそれのある硫化物が表面に析出する蛍光体を、毒性が低く、廃液処理が比較的容易な酸化剤、無機酸および水溶性硫化物で洗浄することにより硫化物を除去するため、絶縁放電破壊を生じずしかも高輝度な蛍光体を容易に得ることができる。
また、酸化剤として、過酸化水素(H2O2)、過ヨウ素酸カリウム(KIO4)、過マンガン酸カリウム(KMnO4)および次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)などの水溶性の過酸化物、次亜ハロゲン酸塩、ハロゲン酸塩、過ハロゲン酸塩および過マンガン酸塩に属する化合物の少なくともいずれか1つの化合物と、無機酸として、塩酸、硝酸、硫酸およびリン酸の少なくともいずれか1つを含む化合物とを含有する水溶液で蛍光体を洗浄する。次いで、この洗浄後の蛍光体を水溶性硫化物を含む水溶液でこの蛍光体を洗浄することにより、この蛍光体の表面に析出する硫化物を容易に高効率で除去できる。
さらに、水溶性硫化物として、硫化ナトリウム(Na2S)、硫化リチウム(Li2S)、硫化カリウム(K2S)および硫化アンモニウム((NH4)2S)などのアルカリ金属の硫化物および硫化アンモニウムの少なくともいずれか1つを含む化合物を用い、これらを含む水溶液で洗浄することにより、この蛍光体の表面に析出する硫化物を容易に高効率で除去できる。
また、蛍光体を洗浄して、この蛍光体の表面に析出する硫化物を除去した時のこの蛍光体の安息角を50°以上とすることにより、この蛍光体の表面に析出し、この蛍光体の発光を吸収して発光輝度の低下や絶縁放電破壊を生じるおそれのある硫化物を洗浄にて充分に除去できていることとなる。
したがって、上記一実施例のように、安息角が50°以上となるように蛍光体を洗浄することにより、この蛍光体に絶縁放電破壊が生じず、高輝度となる。また、蛍光体の表面に存在する他の不純物なども同時に洗浄できて充分に除去できるので、この蛍光体を劣化しにくくできるとともに、この蛍光体の寿命特性を向上できる。
このとき、蛍光体の平均粒径を15μmより小さくした場合には、この蛍光体が劣化しやすくなるとともに寿命特性が悪化してしまう。また、この蛍光体の平均粒径を35μmより大きくした場合には、発光効率の低下により輝度が低下してしまうとともに、携帯電話や携帯情報端末、車載用パネルなどの発光素子をこの蛍光体にて形成した場合に輝度むらを起こす原因となり、発光素子の品質が著しく低下してしまう。
そこで、この蛍光体の平均粒径を、一般的にEL素子として利用される大きさである15μm以上35μm以下とすることにより、この蛍光体の輝度劣化を起こしにくくできるとともに、この蛍光体を発光素子にした際の輝度むらを起こしにくくできる。さらに、より好ましい蛍光体の平均粒径の範囲は、20μm以上30μm以下である。
なお、上記一実施例では、酸化剤および無機酸それぞれを含む水溶液で蛍光体を洗浄した後、この洗浄後の蛍光体を水溶性硫化物を含む水溶液で洗浄したが、この蛍光体を、酸化剤を含む水溶液で洗浄した後、無機酸を含む水溶液で洗浄し、さらに水溶性硫化物を含む水溶液で洗浄しても、上記一実施例と同様の作用効果を奏することができる。
また、無機酸を含む水溶液で洗浄した蛍光体を、酸化剤を含む水溶液で洗浄した後、水溶性硫化物を含む水溶液で洗浄してもよく、水溶性硫化物を含む水溶液で洗浄した蛍光体を、酸化剤および無機酸を含む水溶液で洗浄してもよい。
さらに、水溶性硫化物を含む水溶液で洗浄した蛍光体を、酸化剤を含む水溶液で洗浄した後、無機酸を含む水溶液で洗浄してもよく、水溶性硫化物を含む水溶液で洗浄した蛍光体を、無機酸を含む水溶液で洗浄した後、酸化剤を含む水溶液で洗浄してもよい。
またさらに、無機酸を含む水溶液で洗浄した蛍光体を、水溶性硫化物を含む水溶液で洗浄した後、酸化剤を含む水溶液で洗浄してもよく、酸化剤を含む水溶液で洗浄した蛍光体を、水溶性硫化物を含む水溶液で洗浄した後、無機塩を含む水溶液で洗浄してもよい。
すなわち、酸化剤を含む水溶液、および無機酸を含む水溶液、またはこれら酸化剤および無機酸を含む水溶液と、水溶性硫化物を含む水溶液との双方で洗浄された蛍光体であれば、酸化剤および無機酸それぞれを含む水溶液で洗浄した後に水溶性硫化物を含む水溶液で洗浄した蛍光体ほどではないが、上記一実施例と同様の作用効果を奏することができる。
また、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、マンガン(Mn)、銅化合物、銀化合物、金化合物およびマンガン化合物の少なくともいずれか1つと硫黄(S)の化合物とを少なくとも表面に有する蛍光体や、ZnS:Cu,XおよびZnS:Cu,Mn,Xの少なくともいずれか一方で表される蛍光体であって、Xが塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)の少なくともいずれか1つの元素からなる蛍光体であっても、上記一実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
さらに、一般式がMS:RおよびMS:R,Xの少なくともいずれか一方で表される蛍光体であって、Mが亜鉛(Zn)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、マグネシウム(Mg)およびカドミウム(Cd)の少なくともいずれか1つの元素を含み、Rが銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)およびマンガン(Mn)の少なくともいずれか1つの元素を含み、Xが塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)の少なくともいずれか1つの元素を含む蛍光体や、ZnS:Cu,XおよびZnS:Cu,Mn,Xの少なくともいずれか一方で表される蛍光体であって、Xが塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)の少なくともいずれか1つの元素を含む蛍光体などであっても、上記一実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、酸化剤、無機酸および水溶性硫化物それぞれは、1種類に限らず、複数の種類を含有させることもできる。
ここで、上記一実施例に係る蛍光体およびその製造方法によって得られた蛍光体を用いて、実際に発光素子を作成する場合には、例えばアルミナ(Al2O3)やシリカ(SiO2)などの物質を付加することもできる。そしてこの場合、例えば発光素子内の蛍光体から発せられた光が、無色のアルミナやシリカによって反射されることにより、発光素子としての輝度向上などを図ることができる。
産業上の利用の可能性
以上のように、本発明の蛍光体およびその製造方法は、例えば携帯電話の表示部のバックライトなどに用いられる薄型の発光素子およびその製造方法として広く利用される。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施の形態の蛍光体の製造方法を示すフローチャートであり、第2図は本発明の実施例1の蛍光体の表面を示す電子顕微鏡写真であり、第3図は本発明に対する比較例3の蛍光体の表面を示す電子顕微鏡写真である。
Claims (9)
- 一般式がMS:RおよびMS:R,Xの少なくともいずれか一方で表される蛍光体であって、Mが亜鉛(Zn)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、マグネシウム(Mg)およびカドミウム(Cd)の少なくともいずれか1つの元素を含み、Rが銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)およびマンガン(Mn)の少なくともいずれか1つの元素を含み、Xが塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)の少なくともいずれか1つの元素を含み、
安息角が50°以上であることを特徴とした蛍光体。 - ZnS:Cu,XおよびZnS:Cu,Mn,Xの少なくともいずれか一方で表さる蛍光体であって、Xが塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)の少なくともいずれか1つの元素を含み、
安息角が50°以上であることを特徴とした蛍光体。 - 蛍光体の平均粒径は、15μm以上35μm以下であることを特徴とした請求項1または2記載の蛍光体。
- 銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、マンガン(Mn)、銅化合物、銀化合物、金化合物およびマンガン化合物のうちの少なくともいずれか1つと硫黄(S)の化合物とを少なくとも表面に有する蛍光体を、酸化剤を含む水溶液、および無機酸を含む水溶液、またはこれら酸化剤および無機酸を含む水溶液と、水溶性硫化物を含む水溶液との双方で洗浄することを特徴とする蛍光体の製造方法。
- 一般式がMS:RおよびMS:R,Xの少なくともいずれか一方で表される蛍光体であって、Mが亜鉛(Zn)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、マグネシウム(Mg)およびカドミウム(Cd)の少なくともいずれか1つの元素を含み、Rが銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)およびマンガン(Mn)の少なくともいずれか1つの元素を含み、Xが塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)の少なくともいずれか1つの元素を含む蛍光体を、酸化剤を含む水溶液、および無機酸を含む水溶液、またはこれら酸化剤および無機酸を含む水溶液と、水溶性硫化物を含む水溶液との双方で洗浄することを特徴とする蛍光体の製造方法。
- ZnS:Cu,XおよびZnS:Cu,Mn,Xの少なくともいずれか一方で表される蛍光体であって、Xが塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)の少なくともいずれか1つの元素を含む蛍光体を、酸化剤を含む水溶液、および無機酸を含む水溶液、またはこれら酸化剤および無機酸を含む水溶液と、水溶性硫化物を含む水溶液との双方で洗浄することを特徴とする蛍光体の製造方法。
- 酸化剤は、水溶性の過酸化物、次亜ハロゲン酸塩、ハロゲン酸塩、過ハロゲン酸塩および過マンガン酸塩に属する化合物の少なくともいずれか1つを含み、
無機酸は、塩酸、硝酸、硫酸およびリン酸の少なくともいずれか1つを含み、 水溶性硫化物は、アルカリ金属の硫化物および硫化アンモニウムの少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする請求項4ないし6いずれか記載の蛍光体の製造方法。 - 酸化剤は、過酸化水素(H2O2)、過ヨウ素酸カリウム(KIO4)、過マンガン酸カリウム(KMnO4)および次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)の少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする請求項4ないし7いずれか記載の蛍光体の製造方法。
- 水溶性硫化物は、硫化ナトリウム(Na2S)、硫化リチウム(Li2S)、硫化カリウム(K2S)および硫化アンモニウム((NH4)2S)の少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする請求項4ないし8いずれか記載の蛍光体の製造方法。
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