JPWO2003015723A1 - 化粧料および化粧方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、小皺やきめの隠蔽効果、肌のしみや、くすみのぼかし効果に優れ、経時での色ぐすみが少なく、さらに光学的に深みのある肌に近い質感の化粧塗膜が得られ、写真の白浮きが抑制され、感触、発色に優れる化粧料に関する。また、ファンデーションや口紅の発色が良くなる等、化粧効果の改善効果を奏する化粧方法に関する。
背景技術
従来、結晶構造と透明性を有する無機物を化粧料で利用する試みとしては、宝石の微粉末を化粧料に配合することが提案されている。
例えば特表昭63−501362号公報には、宝石の純粋粉末とキャリヤー材からなる装飾用の化粧用組成物が開示されている。しかしながら、同公報では、宝石として透明性のあるエメラルドと、不透明なトルコ石やマラカイト等や非晶性のオパールが同列に記載されており、特定の宝石が化粧料における光学的特性について有効であることには関心を払っていない。すなわち、同公報記載の発明は、宝石自体の宝飾性を以って製品の付加価値を得ようとするものであり、エメラルド等の結晶構造と透明性を有する宝石が化粧料に好適に配合されうることについては同公報には記載されていない。つまり、同公報記載の発明においては、宝石の光学特定のみならず化粧料を肌に塗布した後の肌の光学的な特性、特に化粧料の小皺やきめの隠蔽効果と肌のしみやくすみのぼかし効果等の点からの検討が何らされていない。
また、特開平10−120520号公報では鉱物に浸漬処理した化粧品が開示されているが、これも透明な石英と不透明なトルコ石を同列に扱っており、その浸漬処理した化粧品の効果が肌へのマイルド感といった感触についてであり、光学的な特性については全く記載がない。また、ダイヤモンド粉末については従来多くの技術が開示され、例えば特開平6−157263号公報には赤外線をカットする粉体としてダイヤモンド粉末やダイヤモンド被覆粉体の利用法が記載されている。
上記の公報の記載内容をまとめると、特に結晶構造と透明性を有する無機物を粉砕して得られた粉末が可視光領域で光学的に優れた特徴を有することは見出されていないのである。
一方、近年肌の小皺やきめの隠蔽効果や質感を変えるための材料として、オルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体が多用されている。しかしながら、オルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体は、その効果は高いものの、独特の感触を有することから配合した製品の感触が似てくる問題があり、同素材を汎用した場合には商品の感触面での差別化が難しくなる問題があった。また、製剤によっては配合できる量に限度があるため、無機粉末で効果的な素材の探求が行われている。
また、口紅に代表される油性固形化粧料、パウダーファンデーションに代表される粉末固形化粧料は、従来、唇、頬、額、目尻などの皺を目立たせないために硫酸バリウムなどの添加剤を用いたり、顔料級酸化チタンなどの隠蔽剤を用いることが行われている。これは添加剤によって光を散乱させることで、皺などの溝に化粧料が入り込んで膜厚が厚くなった部位でも他の薄いところと同じように見せたり、隠蔽剤で皺自体を隠すことを目的としている。しかしながら、これらの素材は、製品の色や質感に大きな影響を与えるため、全体のバランスの中で対応しているのが実態であった。
発明の開示
本発明者らはこれらの問題に鑑み、その解決方法を鋭意検討してきたところ、水晶など一部の宝石に代表される結晶構造と透明性を有する無機物を粉砕して得られた特定粒子径の粉末が、入射光を多方向に拡散させ小皺やきめの隠蔽効果と肌のしみやくすみのぼかし効果が得られること、そして該粉末を配合した化粧塗膜の厚み方向に段階的に光の散乱層が形成されることで光が段階的に拡散され、光学的に深みのある肌に近い質感の化粧塗膜が得られることを見出した。
また、シリコーンエラストマーと組み合わせて用いることで、より効果的に小じわやきめを目立たなくすることができ、感触的にも優れていること、さらに色ぐすみが目立ちにくいことを見出した。
さらに、該化粧塗膜はフラッシュの光が正反射方向に向かわずに拡散されることから写真撮影時の白浮きが抑制される他、強い光が当たった中での(テレビなどの)撮影時も皺が目立たず、光学的に美しい表情を見せることができ、感触にも優れていることを確認した。さらに、パウダーファンデーションなどに配合した際には、経時での色ぐすみが少なく見える効果があり、口紅などの油性化粧料に配合した場合では発色に優れることを見出した。
そして、化粧下地料や仕上げ化粧料にこの技術を導入した場合、その前後に使用したファンデーションや口紅の発色が良くなるなどの化粧効果の改善効果があることが判り、本発明を完成した。
すなわち、第1の本発明は、珪素、アルミニウム、チタン、酸素、クロム、鉄、カルシウム、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウムから選ばれる2種以上の元素を含む、結晶構造と透明性を有する無機物を粉砕して得られた平均一次粒子径が3〜20μmの範囲にある無機粉末を含有することを特徴とする化粧料である。
第2の本発明は、結晶構造と透明性を有する無機物が、天然石英、合成石英、水晶、アメジスト、エメラルド、サファイア、ルビー、ガーネット、ルチルから選ばれる1種以上である上記化粧料である。
第3の本発明は、天然石英、合成石英、水晶、アメジスト、エメラルド、サファイア、ルビー、ガーネット、ルチルから選ばれる1種以上の結晶構造と透明性を有する無機物を粉砕して得られた、一次粒子径が25μm以上の粒子個数が15%未満で平均一次粒子径が5〜15μmの粒度分布範囲にある無機粉末を含有することを特徴とする化粧料である。
第4の本発明は、結晶構造と透明性を有する無機粉末とシリコーンエラストマーを含有する上記化粧料である。
第5の本発明は、シリコーンエラストマーが一次粒子径1〜50μmの範囲にある球状粉体からなる上記化粧料である。
第6の本発明は、粉砕する前の、結晶構造と透明性を有する無機物の大きさ(長径)が0.1mm〜100cmの範囲にある上記化粧料である。
第7の本発明は、結晶構造と透明性を有する無機物を粉砕して得られた粉末の形状が不定形または球形である上記化粧料である。
第8の本発明は、結晶構造と透明性を有する無機物質をボールミルまたはジェットミルで粉砕した物を分級して得られた無機粉末である上記化粧料である。
第9の本発明は、結晶構造と透明性を有する無機物を粉砕して得られた粉末がさらに親水化または疎水化の表面処理剤で被覆処理されている上記の化粧料である。
第10の本発明は、表面処理剤が、N−アシル化リジン、アルキルシラン、シリコーンから選ばれる1種以上である上記化粧料である。
第11の本発明は、シリコーンエラストマーが、微粉砕されたもの、油剤とで粉砕または混練し混合されたもの、水系分散されたものから選ばれる1種以上の状態で配合されている上記化粧料である。
第12の本発明は、結晶構造と透明性を有する無機物を粉砕して得られた粉末の化粧料への配合量が0.1〜50質量%の範囲にある上記化粧料である。
第13の本発明は、結晶構造と透明性を有する無機物を粉砕して得られた粉末の化粧料への配合量が0.1〜10質量%の範囲にある上記化粧料である。
第14の本発明は、さらに、他の色剤を含有し、固形状である上記の粉末固形化粧料である。
第15の本発明は、さらに、25℃でペースト状もしくは固体状の油剤と他の色材を含有し、固形状である上記の油性固形化粧料である。
第16の本発明は、上記の化粧料を化粧下地料として肌に塗布した上に、ファンデーション、アイシャドウ、口紅から選ばれる化粧料を使用することを特徴とする化粧方法である。
第17の本発明は、ファンデーション、アイシャドウ、口紅から選ばれる化粧料を肌に塗布した上に、上記の化粧料を仕上げ化粧料として使用することを特徴とする化粧方法である。
第18の本発明は、上記の化粧料を肌に塗布し、肌の小皺やきめを隠蔽し、しみやくすみをぼかし、且つ写真の白浮きを抑制する化粧方法である。
発明を実施するための最良の形態
本発明で用いる結晶構造と透明性を有する無機物とは、合成または天然の無機物であって、結晶構造を有しており、光学的に透明性を有するものを指し、かつ、珪素、アルミニウム、チタン、酸素、クロム、鉄、カルシウム、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウムから選ばれる2種以上の元素を、好ましくは80質量%以上を主として含むものである。
本発明で言う結晶構造を有する無機物の結晶構造は単結晶体であっても多結晶体であっても構わない。結晶形態としては、等軸晶系、六方晶系、三方晶系、正方晶系、単斜晶系、斜方晶系、三斜晶系等が挙げられ、これらはX線や中性子線の回折を用いて結晶構造を確認できる。
本発明で言う透明とは、未粉砕の段階の無機材料(例えば、天然または合成の原石鉱物そのもの)の外観が透明〜半透明であることを指す。透明とは、光が透過し他の物質が見える状態であり、半透明とは、光は透過しているが他の物質が見えにくい状態であることを指す。好ましくは、原石を透して文字等が判読できる程度の透明性を有するものである。尚、原石の表面の傷等により透明性が得られない場合においても、表面を研磨し傷等の表面部分を除くことによって透明性が現われてくる物も本発明で言う透明性を有する物に相当する。また、粉砕前の原石が透明性を有していれば、粉砕後の無機材料が表面の傷等によって不透明な外観を示す場合であっても、本発明でいう透明性を有する無機物に該当する。
本発明で用いる結晶構造と透明性を有する無機物は、未粉砕の段階の無機材料が好ましくは屈折率が1.45〜3.0、最も好ましくは1.5〜2.95を有するものである。これらは液侵法、レーザー測定器、アパレントデプス法、浸漬法等により測定することが可能である。この範囲の屈折率を有するものならば、粉砕後の無機材料に、光を照射したときに広範囲に渡る拡散現象がみられるため、従来から使用されている光散乱用顔料と比べて小皺やきめの遮蔽効果と肌のしみやくすみのぼかし効果に優れた化粧塗膜が得られる。
具体的な物質としては、例えば、ガーネット、スピネル、スカポライト、ルチル、ジルコン、ベスビアナイト、エメラルド、アクアマリン、ヘリオドール、ゴーシェナイト、モルガナイト、レッドベリル、水晶、アメジスト、シトリン、ローズクォーツ、ブラウンクォーツ、ミルキィクォーツ、カルセドニー、ルビー、サファイア、パパラッチャ、フェナカイト、トパーズ、クリソベリル、アレキサンドライト、エンスタタイト、シリマナイト、ハイパーシン、ペリドート、リシア輝石、チタナイト、石英、合成石英等が挙げられ、その中でも結晶構造と透明性を有するものを選択して使用される。
特に、珪素、アルミニウム、チタン、酸素から選ばれる2種以上の元素を主として含む物質が好ましく、更に好ましくはアルミニウム珪酸塩、酸化アルミニウム、二酸化珪素、二酸化チタンを主として含む物質である。例えば、石英、合成石英、水晶、アメジスト(紫水晶)、エメラルド、サファイア、ルビー、ガーネット、ルチルが好ましい。特にこれらの無機物は人工的に供給できるためと、鉛、ヒ素、放射線物質等を含有せず、その影響がなく、化粧品的に好ましい品質を付与することが可能で、かつ供給が安定しているというメリットがある。特に水晶、アメジスト(紫水晶)、石英は硬度が比較的小さく、粉砕が容易であること、価格が安価であることから好まく、またガーネットは供給が豊富で安価であるというメリットがあるので特に好ましい。
但し、ダイヤモンドは透明な結晶を持つ宝石として有名であるが、硬度が高すぎ、粉砕や研磨による粒子径のコントロールが効きにくく、本発明の目的とする光学特性に優れた領域の粉末が得られない。また、宝石であって結晶性と透明性を有する無機物であってもアパタイト(燐灰石)やカルサイト(方解石)のように表面処理をしても湿度のある大気中では安定性に欠けるものや、セルサイト(白鉛鉱)のように化粧品の原料成分として適当でない鉛等の元素を含むものや、トルマリン(ホウ酸珪酸塩)のように後加工の熱等により色が変化し易いものは除外される。
本発明で用いる、結晶構造と透明性を有する無機物を粉砕して得られる粉末は、一般には一次粒子径として100μm以上に成長、結晶化した合成または天然の無機素材を、粉砕、磨砕または研磨の広義の粉砕にて得られるものであり、直接クラスターから粒子成長させ、粉砕などの行為を経ないで得られた粉末は、格子欠陥等があり粉末の光学特性が劣り、本発明で用いる粉末には該当しない。
本発明で用いる結晶構造と透明性を有する無機物を粉砕して得られる粉末は上記の基準を満たしていれば特に限定されないが、一般的に宝石と称されるもので結晶構造と透明性を有する合成または天然の宝石が好ましい。合成または天然の無機物を機械的に粉砕する際の粉砕前の無機原料大きさ(長径)は0.1mm〜100cmの幅にあるものを使用することが好ましい。これは0.1mm未満の宝石は不純物が多かったり、結晶性が悪く、結晶の格子欠陥があり、粉末の光学特性が劣るなどの問題を抱える場合があり、また100cmを超えると粉砕するまでの手間がかかりすぎる問題が発生する場合がある。
従来化粧料で用いられている、シリカやアルミナといった本発明で訴求しているのと同じ元素でできた素材と本発明との違いについて以下に解説する。化粧料では従来、シリカ、アルミナといった素材を多用してきた。これらの素材の元素構成は上記の結晶構造と透明性を有する無機物の粉末で訴求している珪素、アルミニウム、酸素から選ばれる2種以上の元素を含んでおり、構成元素では一致している部分がある。しかしながら、こうした素材の多くは、粒子を砕くのではなく成長させることで得られており、非結晶状であり、内部に格子欠陥などを多く抱えているために不透明性である。これらの粉末は従来多用されているだけでなく、光学的にも本発明の求める効果を実効が得られる程度には有していないことから、本発明では通常化粧料に使用されるシリカ(球状シリカを含む)、アルミナ、ジルコニアといった粉末は含まれない。また、酸化チタンや酸化亜鉛も通常化粧料に使用されるものには結晶構造を有しているものが多いが、粉末の外観が不透明であリ、本発明の求める光学効果が得られないことから除外される。従って、本発明で用いることができる酸化チタン(ルチル)という場合は、単結晶体でその粉砕物を示す。ガラスについても結晶性を有する結晶化ガラスは本発明に該当するが、一般の非晶質ガラスは該当しない。
本発明で用いる結晶性と透明性を有する無機物を粉砕して得られる粉末は、平均一次粒子径が3〜20μmの範囲にあり、好ましくは平均一次粒子径が5〜15μmの範囲であり、好ましくは、一次粒子径が25μm以上の粒子個数が15%未満であって最少になるように分級等を行ったものであり、また好ましくは粒度分布において1μm以下の粒子個数が20%を超えないようにする。平均一次粒子径が3μm未満では、粉砕に必要なエネルギー量が大きくなり、コストが高くなる他、本発明の目的とする光学的な特性が失われて本発明の効果が得られない。また、平均一次粒子径が20μmを超えると、化粧料に配合した際に感触にざらつき感がでてくる場合がある。平均一次粒子径が5〜15μmの範囲が光学的な効果が最も強く発現する領域であるため、なるべくこの範囲に平均一次粒子径が入るように粉砕条件を設定すると製剤中でも光学的な効果が特に得られやすいメリットがある。
ここで言う平均一次粒子径は、例えば、通常のレーザー式粒度分布計(例えば、セイシン企業社製、レーザー式粒度分布計PRO−7000S)を用い、エタノールの分散溶媒にて測定される。例えば、平均一次粒子径6.2μmのルビー粉砕パウダー(25μmパス品)の粒度分布状態を第5図に示す。また、電子顕微鏡写真を画像処理して平均一次粒子径を測定することもできる。
本発明で用いる結晶性と透明性を有する無機物を粉砕して得られる粉末の製造方法としては、上記無機材料の単結晶、多結晶体をジェットミル、ハンマーミル、ボールミル、振動ボールミル、カッターミル、ビーズミル、マイクロス(奈良機械製作所製)などの乾式または湿式の粉砕機・磨砕機を用いて微粉砕する方法や、これらを組み合わせて用いる方法などがあるが、特に本発明ではボールミル(振動ボールミルを含む)またはジェットミルを用いて微粉砕すると目的とする平均粒子径の粉末が得られやすい。また、粉砕後には、ターボスクリーナー、吸引ふるい、振動ふるい、超音波ふるいなどの分級装置を用いて分級を行うと製品の光学特性を向上させることができる。
本発明では粒子の形状に特に制限はないが、粒子の形状が不定形または球形であると光学的な光拡散特性が向上するため好ましい。さらに、粒度分布については、体積平均粒子径で見た時に、粒度分布はシャープであってもブロードであっても構わない。粒度分布がシャープであるとマット感は少なく、光沢性のある化粧料が得られる傾向があり、粒度分布がブロードであると光の拡散および散乱効果が強くなり、しわや小じわの隠蔽効果が強くなるが、相対的にマット感も強くなる傾向がある。
尚、25μm以上の粉末が多く混入した場合には、平均一次粒子径が好ましい範囲にはいったとしても感触的にざらつきが感じられる場合がある。そのため、例えば25μmのメッシュを通すことで25μm以上の粒子径を持つ粒子の総量を規制することが好ましい。また、本発明では、これらの粉末は不純物を除去するため、塩酸などの酸溶液や水酸化ナトリウムなどのアルカリ溶液を用いて不純物の除去処理を行ってあっても構わない。
本発明で用いられる結晶性と透明性を有する無機物を粉砕して得られた粉末の例として、サファイアをボールミル粉砕した粉末と、通常口紅などで皺の隠蔽用顔料として多用されている硫酸バリウム粉末の反射光強度を下記装置を用いて評価した。その結果を第4図に示す。また、第4図の結果から、従来の光散乱用顔料である硫酸バリウムは光を不均一に反射(左右の対称性が見られない)しているのに対して、サファイアを粉砕した粉末は左右がほぼ対称であり、均一に光を散乱していて好ましいことが判る。
[反射光強度の測定装置と方法]
装置メーカー:村上色彩技術研究所
装置の機種名:変角分光測色システム GCMS−4型
入射光角度45度
こうして得られた粉末は、その表面が撥水化または親水化の表面処理剤にて被覆処理がされていることが好ましい。撥水化表面処理剤よる被覆処理としては、例えば、フッ素化合物処理、シリコーン樹脂処理、シリコーン処理、ペンダント処理、シランカップリング剤処理、チタンカップリング剤処理、油剤処理、N−アシル化リジン処理、ポリアクリル酸処理、金属石鹸処理、アミノ酸処理、プラズマ処理、メカノケミカル処理などを単独もしくは複数組み合わせたものが挙げられるが、特にNε−ラウロイル−L−リジン(味の素製アミホープLL)などを用いたN−アシル化リジン処理や、オクチルトリアルコキシシランなどを用いたアルキルシラン処理などが好ましい。この場合の処理量としては、粉末の質量に対して0.5〜15質量%の範囲にあるものが好ましい。
また、シリコーン処理も好ましく、たとえばメチルハイドロジェンポリシロキサン(例:信越化学工業製KF99P)やジメチル基含有メチルハイドロジェンポリシロキサン(例:信越化学工業製KF9901、HRS−2)、環状メチルハイドロジェンポリシロキサン(例:信越化学工業製KF9902)による処理およびその焼き付け処理が挙げられる。さらに、撥水化表面処理に先立ってシリカやアルミナ、ジルコニアといった無機酸化物にて表面処理してから、撥水化処理することも好ましい。また、親水化表面処理剤による被覆処理としては、例えば無機酸化物処理、寒天、アルギン酸およびその塩、ヒアルロン酸およびその塩、デオキシリボ核酸およびその塩、プルラン、ガーガム、ジェランガム、ポリアクリル酸およびその塩などの水溶性または水膨潤性粘剤による表面処理などが挙げられる。アルキルシラン処理以外の表面処理の量としては、例えば粉末100質量部に対して0.1〜100質量部が好ましく、さらに好ましくは0.3〜30質量部が挙げられる。
本発明で用いる結晶構造と透明性を有する無機物を粉砕して得られる粉末は、化粧料中に0.1〜98質量%配合することが好ましく、さらに好ましくは0.1〜50質量%の範囲である。特に油性化粧料においては、0.1〜10質量%の範囲が好ましい。配合量が0.1質量%未満であると本発明の光学効果が得られない場合がある。また、配合量が50質量%を超えても配合量に見合った効果が得られない場合がある。
本発明で使用する結晶構造と透明性を有する無機物を粉砕して得られた粉末は硬度が高いものが多く、結晶構造と透明性を有する無機粉末単体で混合を行うと混合装置の磨耗などを引き起こす場合があるため、樹脂粉末、タルクなどの滑材となりうる成分と共に混合を行うことが好ましい。さらに本発明で使用する粉末は、下記の各種顔料と比べて比重が大きい場合が多いため、混合時には混合不良が発生しないように注意を行う必要がある。例えば、パウダーファンデーションの製造においては、混合工程の後半に本発明の粉末を投入し、装置の負担を減らしながら混合を行う方法が挙げられる。また、装置の磨耗を防ぐため、セラミックコートされた混合装置等を用いることも好ましい。
本発明では、上記の結晶構造と透明性を有する無機粉末と共にシリコーンエラストマーを配合することが好ましい。本発明で用いるシリコーンエラストマーとしては、主として一次粒子径が1〜50μmの範囲にある球状粉体からなるもの、シリコーンゴムのオイル膨潤体であって粉体形状を持たないものなどが挙げられる。これらはしわをぼかす光学効果を有することが判っているが、シリコーンエラストマー単独では、その効果では必ずしも満足できるものではなかった。
シリコーンエラストマーとしては、主として一次粒子径が1〜50μmの範囲にある球状粉体を用いることが好ましい。さらに好ましくは1〜15μmの範囲にある球状粉体を用いることが好ましい。シリコーンエラストマーの例としては、東レ・ダウコーニング・シリコーン社のトレフィルEシリーズや信越化学工業のKSGシリーズなどが挙げられるが、特にトレフィルEシリーズ(トレフィルE−505C、トレフィルE−506C、トレフィルE−507、トレフィルE−508など)の球状粉体がしわをぼかす効果が高いことから好ましい。シリコーンエラストマーは例えば白金系触媒下にメチルハイドロジェンポリシロキサンと両末端オレフィン変性シリコーンを反応させることにより得られる。
これらの粉末は、改質処理を行わなければ、ゴム状の弾性に富むパウダーであり、電子顕微鏡で観察すると、球状の一次粒子が凝集してぶどうの房状に高次の凝集物となっている状態を観察することができる。この凝集粒子は巨大であり、数百μmから数mmに達することも多い。この粉末は弾性に富むため、通常化粧品で用いられる乾式の衝撃式粉砕機(ピンミルやハンマーミルなど)では、衝撃力が吸収されてしまい、うまく粉砕することができない。粒子自体は大変柔らかいのでメッシュにて分級しようとすると、静電気が発生し、粒子が飛び回るのと同時に、粒子同士が合一して微粉が得られない特徴がある。そこで、カッターミル、ターボミル、インペラーミルなどの乾式粉砕機であって、かつせん断機構を持ち、好ましくは分級機構を有し、好ましくは高速回転型である粉砕機を用いて粉砕を行った粉末や、ビーズミル、サンドミル、マイクロス(奈良機械製作所製)などの湿式媒体型粉砕機やローラーミルなどを用いて粉砕を行った粉末を配合することが好ましい。
乾式粉砕機を用いた場合には、板状粉末(タルク、マイカ、セリサイト、カオリン、窒化ホウ素、板状硫酸バリウム、板状無水ケイ酸、板状酸化チタン、N−ラウロイル−L−リジン、金属石鹸顔料、雲母チタンなど)、無水ケイ酸、ポリメチルシルセスキオキサンなどのシリコーンパウダー、球状シリカビーズなどの滑剤と共に粉砕を行うことが好ましい。
また、湿式媒体型粉砕機やローラーミルを用いる場合には、油剤または水と共に粉砕または混練等を行い分散したものを配合することが好ましい。すなわち、シリコーンエラストマーが、微粉砕されたもの、油剤とで粉砕または混練し混合されたもの、水系分散されたものから選ばれる1種以上の状態で配合されていることが化粧料の感触や本発明の目的の点から好ましく、特に予め左記状態にしたものを化粧料に配合することが好ましい。
混合油剤としては、化粧品に一般的に用いられる後記の油剤であれば特に問題ないが、特にシリコーン油、エステル油、炭化水素油が好ましい。また、水性分散液を使用する場合には、粉砕時に界面活性剤を併用することが好ましい。こうして得られた粉砕粉末等は、一般に一次粒子が何個か凝集した形態の集合体をとっていることが多い。
本発明で用いるシリコーンエラストマーは、前記同様の各種の表面処理が行われていてもいなくても構わない。表面処理をする場合には、相性に優れるシリコーン系の処理剤、例えばシリコーンレジンなどが好ましい。
本発明におけるシリコーンエラストマーの化粧料中への配合量としては、0.1〜30質量%が好ましく、特に好ましくは0.5〜20質量%の範囲が挙げられる。配合量が0.1質量%未満であると本発明の光学効果が弱くなる場合がある。
本発明では、例えばシリコーンエラストマーを水分散液にし、これを他の粉体と共に混合・乾燥させ、粉体の周りにコーティングしたものを配合することも可能である。
本発明では、上記の結晶構造と透明性を有する無機物を粉砕して得られる粉末以外に、通常化粧料に配合される各種の顔料、紫外線吸収剤、油剤、フッ素化合物、樹脂、粘剤、防腐剤、香料、保湿剤、塩類、溶媒、酸化防止剤、キレート剤、中和剤、pH調整剤、昆虫忌避剤、生理活性成分等の成分を使用することができる。
本発明で用いる油剤の例としては、例えばアボガド油、アマニ油、アーモンド油、イボタロウ、エノ油、オリーブ油、カカオ脂、カポックロウ、カヤ油、カルナウバロウ、肝油、キャンデリラロウ、キョウニン油、硬化油、小麦胚芽油、ゴマ油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サトウキビロウ、サザンカ油、サフラワー油、シアバター、シナギリ油、シナモン油、ジョジョバロウ、セラックロウ、タートル油、大豆油、茶実油、ツバキ油、月見草油、トウモロコシ油、ナタネ油、日本キリ油、ヌカロウ、胚芽油、パーシック油、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、ヒマワリ油、ブドウ油、ベイベリーロウ、ホホバ油、マカデミアナッツ油、ミツロウ、綿実油、綿ロウ、モクロウ、モクロウ核油、モンタンロウ、ヤシ油、硬化ヤシ油、トリヤシ油脂肪酸グリセライド、落花生油、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、硬質ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、卵黄油等;炭化水素油として、オゾケライト、スクワラン、スクワレン、セレシン、パラフィン、パラフィンワックス、流動パラフィン、プリスタン、ポリイソブチレン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等;高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等;高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、オクチルドデカノール、セトステアリルアルコール、2−デシルテトラデシノール、コレステロール、フィトステロール、POEコレステロールエーテル、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、モノオレイルグリセリルエーテル(セラキルアルコール)等;エステル油としては、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、イソステアリン酸イソセチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、2−エチルヘキサン酸セチル、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、イソノナン酸イソノニル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2−エチルヘキシル、酢酸アミル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、リンゴ酸ジイソステアリル等;グリセライド油としては、アセトグリセリル、トリイソオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、ミリスチン酸イソステアリン酸ジグリセリル等が挙げられる。
本発明では、上記の成分の中でも、結晶構造と透明性を有する無機物を粉砕して得られる粉末と、25℃でペースト状もしくは固体状の油剤と他の色材を配合し口紅などの油性固形化粧料としたものが好適に用いられる。ここで言う25℃でペースト状もしくは固体状の油剤とは、化粧品で従来使用されている油剤や樹脂類を含みまた、他の油剤に溶解して25℃でペースト状もしくは固体状となるような樹脂、粘剤類を含む。代表的なもので言えば、例えば、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ポリエチレンワックス、コメヌカロウ、ホホバロウ、セラック、ラノリン、ミツロウ、サラシミツロウ、オゾケライト、セレシン、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、エチレンプロピレンコポリマー、ワセリン、ポリブテン、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、パルミチン酸デキストリン、ウンデシレン酸、セタノール、ベヘニルアルコール、バチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、イソステアリルグリセリルエーテル、イソステアリン酸硬化ヒマシ油、トリ(カプリル・カプリン・ミリスチン・ステアリン酸)グリセリド、トリウンデシレン酸グリセリル、テトラミリスチン酸ペンタエリスリトール、水添乳脂、ラノリン脂肪酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、オレイン酸フィトステリル、イソステアリン酸フィトステリル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル・フィトステリル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、ポリエチレングリコール、ポリグリセリン、パーム油、ヤシ油、硬化油、馬油、シアバター、卵黄油やポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、アクリルシリコーン、アクリル酸ポリマーおよびその塩、アクリル酸メタクリル酸共重合体およびその塩、ポリビニルピロリドンなどの樹脂類が挙げられる。
本発明で用いる25℃でペースト状もしくは固体状の油剤の配合量は、油性固形化粧料の総量に対して0.5〜60質量%であることが好ましい。
また、本発明では、上記の油剤以外にも通常化粧料に使用される各種の油剤、例えばシリコーン油、フッ素系油剤などを配合することが可能である。これらの例としては、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アクリル変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、アミノ変性オルガノポリシロキサン、アルコール性水酸基含有オルガノポリシロキサン、グリセリル変性オルガノポリシロキサン、分岐シロキサン鎖を有してもよいポリグリセリル変性オルガノポリシロキサン、糖変性オルガノポリシロキサン、メチルまたはフェニル以外のアルキル変性オルガノポリシロキサン、アモジメチコーン、パーフルオロアルキル化ジメチコノール、パーフルオロアルキル・ポリオキシアルキレン共変性シリコーン、高重合シリコーン、環状揮発性シリコーン、メチルトリメチコン等のシリコーン化合物や、パーフルオロポリエーテル、フッ化ピッチ、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタンなどのフルオロカーボン、フルオロアルコール、パーフルオロアルキルアルキルエーテル等のフッ素系油剤等が挙げられる。
また、本発明の化粧料としては、上記の油性固形化粧料の他に、パウダーファンデーション、チークカラー、頬紅等の粉末固形化粧料が好適であり、これら油性固形化粧料や粉末固形化粧料に用いる色材としては、通常化粧料で用いられる種々の顔料が挙げられるが、特に有機色素、パール顔料が好ましい。顔料の例としては、例えば無機粉体としては、顔料級酸化チタン、酸化ジルコニウム、顔料級酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ボロン、シリカ、シリカ処理微粒子酸化チタン、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化セリウム等;有機粉体としては、ポリアミドパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、ポリテトラフルオロエチレンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、セルロース、シルクパウダー、12ナイロン、6ナイロン等のナイロンパウダー、ポリメルシルセスキオキサン、スチレン・アクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネイト樹脂、微結晶繊維粉体、デンプン末、ラウロイルリジン等;界面活性剤金属塩粉体(金属石鹸)としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、セチルリン酸亜鉛、セチルリン酸カルシウム、セチルリン酸亜鉛ナトリウム等;有色顔料としては、酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄の無機赤色顔料、γ−酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料、紺青、群青等の無機青色系顔料、雲母チタン、オキシ塩化ビスマスなどのパール顔料、タール系色素をレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの、及びこれらの粉体を複合化した合成樹脂粉体等;タール色素としては、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号等;天然色素としては、カルミン酸、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン、クロシン等から選ばれる粉体等が挙げられる。これらの顔料も前記同様に各種の表面処理が行われていてもいなくても構わない。
本発明で用いる色材の配合量としては、配合した色材の合計量で、油性固形化粧料の総量に対して、好ましくは0.3〜15質量%であり、粉末固形化粧料の場合は、その総量に対して、好ましくは60〜90質量%である。尚、本発明で用いる前記の結晶構造と透明性を有する無機粉末も広義には色材の一種になるが、ここでは別のものとして扱う。従って、上記色材の配合量には結晶性を有し透明性の無機粉末の配合量は含まない。
本発明で用いる界面活性剤の例としては、アニオン性、カチオン性、非イオン性及び両性の活性剤があるが、特に制限されるものではなく、通常の化粧料に使用されるものであれば、いずれのものも使用することができる。以下に具体的に例示すると、アニオン性界面活性剤としては、ステアリン酸ナトリウムやパルミチン酸トリエタノールアミン等の脂肪酸セッケン、アルキルエーテルカルボン酸及びその塩、アミノ酸と脂肪酸の縮合等のカルボン酸塩、アルキルスルホン酸、アルケンスルホン酸塩、脂肪酸エステルのスルホン酸塩、脂肪酸アミドのスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩とそのホルマリン縮合物のスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキル及びアリルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、脂肪酸アルキロールアミドの硫酸エステル塩、ロート油等の硫硫酸エステル塩類、アルキルリン酸塩、エーテルリン酸塩、アルキルアリルエーテルリン酸塩、アミドリン酸塩、N−アシルアミノ酸系活性剤等;カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアミノアルコール脂肪酸誘導体等のアミン塩、アルキル四級アンモニウム塩、芳香族四級アンモニウム塩、ピリジウム塩、イミダゾリウム塩等;非イオン性界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンフィトスタノールエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、アルカノールアミド、ドデシル化ラフィノースやアルキルグリコシドなどの糖エーテル、糖アミド等;両性界面活性剤としては、ベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体等が挙げられる。界面活性剤の配合量としては、化粧料の総量に対して0.1〜20質量%が好ましく、更に好ましくは0.5〜10質量%である。また、界面活性剤は1種、または2種以上を用いることが可能である。
紫外線吸収剤としては、パラメトキシケイ皮酸オクチル、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−硫酸、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、p−メトキシハイドロケイ皮酸ジエタノールアミン塩、パラアミノ安息香酸(以後、PABAと略す)、エチルジヒドロキシプロピルPABA、グリセリルPABA、サリチル酸ホモメンチル、メチル−O−アミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、オクチルジメチルPABA、サリチル酸オクチル、2−フェニル−ベンズイミダゾール−5−硫酸、サリチル酸トリエタノールアミン、3−(4−メチルベンジリデン)カンフル、2,4−ジヒドロキシベンゾフェニン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−N−オクトキシベンゾフェノン、4−イソプロピル ジベンゾイルメタン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、4−(3,4−ジメトキシフェニルメチレン)−2,5−ジオキソ−1−イミダゾリジンプロピオン酸 2−エチルヘキシル、オクチルトリアゾン、ジメトキシケイ皮酸イソオクタン酸グリセリドや、これらの高分子誘導体、シラン誘導体等が挙げられる。
また、有機系紫外線吸収剤がポリマー粉末中に封止されたものを用いることも可能である。ポリマー粉末は中空であってもなくても良く、平均一次粒子径としては0.1〜50μmの範囲にあれば良く、粒度分布はブロードであってもシャープであっても構わない。ポリマーの種類としてはアクリル樹脂、メタクリル樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、シリコーン樹脂、ナイロン、アクリルアミド樹脂等が挙げられる。有機系紫外線吸収剤は微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化セリウムなどの無機系の紫外線散乱剤と併用して用いるとその紫外線防御効果をより高めることができる。
本発明で紫外線吸収剤を使用する場合には、本発明の前記結晶性と透明性を有する無機物を粉砕して得られる粉末を一度焼成処理したものを用いることが好ましい場合がある。この処理が必要なものとしては、特に珪素を骨格中に有するものが該当する。石英末などはこの処理を実施しないで紫外線吸収剤と接触させると紫外線吸収剤の変色に起因すると考えられる黄色〜紫色の発色が生じる場合がある。尚、用いた粉末の種類によっては焼成により粉末自体の発色が強くなる場合もある。焼成の条件としては、300〜1000℃、好ましくは500〜800℃の温度範囲で、0.1〜24時間焼成する条件が挙げられる。焼成はガス式、電気式などの焼成炉を用いることが可能である。また、焼成したものをさらに撥水性表面処理すると、より安定性を高めることができる。
防菌防腐剤としては、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール等、抗菌剤としては、安息香酸、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、トリクロサン、感光素、フェノキシエタノール等がある。
粘剤、樹脂の例としては、トリメチルシロキシケイ酸、フッ素化シリコーン樹脂、カチオン化シリコーン樹脂などのシリコーン化合物、アラビアゴム、トラガカント、アラビノガラクタン、ローカストビーンガム(キャロブガム)、グアーガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、クインスシード(マルメロ)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、アルゲコロイド、トラントガム、ローカストビーンガム等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン、シリコーン化プルラン等の微生物系高分子、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ニトロセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子、ポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリル酸アミド等のアクリル系高分子、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等の無機系水溶性高分子やポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
本発明の化粧料では、各種の生理活性成分を配合してあることが好ましい。本発明で用いる生理活性成分とは、皮膚に塗布した場合に皮膚に何らかの生理活性を与える物質が挙げられる。例えば、美白成分、抗炎症剤、老化防止剤、スリミング剤、ひきしめ剤、抗酸化剤(ラジカル捕捉剤)、保湿剤、血行促進剤、抗菌剤、殺菌剤、乾燥剤、冷感剤、温感剤、ビタミン類、アミノ酸、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤、皮膚着色剤、酵素成分等が挙げられる。その中でも、天然系の植物抽出成分、海藻抽出成分、生薬成分が特に好ましい。本発明では、これらの生理活性成分を1種または2種以上配合することが好ましい。
これらの成分の例としては、例えばアシタバエキス、アボガドエキス、アマチャエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アンズエキス、アンズ核エキス、イチョウエキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、エイジツエキス、エチナシ葉エキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オオムギエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、海水乾燥物、海藻エキス、加水分解エラスチン、加水分解コムギ末、加水分解シルク、カシスエキス、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、甘草エキス、カルカデエキス、カキョクエキス、キウイエキス、キナエキス、キューカンバーエキス、グアノシン、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、クロレラエキス、クワエキス、ゲンチアナエキス、紅茶エキス、酵母エキス、ゴボウエキス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、コンフリーエキス、コラーゲン、コケモモエキス、サイシンエキス、サイコエキス、サイタイ抽出液、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セージエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、茶エキス、チョウジエキス、チガヤエキス、チンピエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、パセリエキス、蜂蜜、ハマメリスエキス、パリエタリアエキス、ヒキオコシエキス、ビサボロール、ビワエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、プロポリス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ユズエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、リンゴエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス等を挙げることができる。
また、デオキシリボ核酸、ムコ多糖類、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、キチン、キトサン、加水分解卵殻膜などの生体高分子、アミノ酸、ザルコシン、N−メチル−L−セリン等のアミノ酸誘導体、乳酸ナトリウム、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ベタイン、ホエイ、ラフィノースなどの保湿成分、スフィンゴ脂質、セラミド、コレステロール、コレステロール誘導体、リン脂質などの油性成分、ε−アミノカプロン酸、グリチルリチン酸、β−グリチルレチン酸、塩化リゾチーム、グアイアズレン、ヒドロコルチゾン等の抗炎症剤、ビタミンA,B2,B6,C,D,E,パントテン酸カルシウム、ビオチン、ニコチン酸アミド、ビタミンCエステル等のビタミン類、アラントイン、ジイソプロピルアミンジクロロ酢酸、4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸等の活性成分、トコフェロール、カロチノイド、フラボノイド、タンニン、リグナン、サポニン等の抗酸化剤、α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸などの細胞賦活剤、γ−オリザノール、ビタミンE誘導体などの血行促進剤、レチノール、レチノール誘導体等の創傷治癒剤、アルブチン、コウジ酸、プラセンタエキス、イオウ、エラグ酸、リノール酸、トラネキサム酸、グルタチオン等の美白剤、セファランチン、カンゾウ抽出物、トウガラシチンキ、ヒノキチオール、ヨウ化ニンニクエキス、塩酸ピリドキシン、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸、ニコチン酸誘導体、パントテン酸カルシウム、D−パントテニルアルコール、アセチルパントテニルエチルエーテル、ビオチン、アラントイン、イソプロピルメチルフェノール、エストラジオール、エチニルエステラジオール、塩化カプロニウム、塩化ベンザルコニウム、塩酸ジフェンヒドラミン、タカナール、カンフル、サリチル酸、ノニル酸バニリルアミド、ノナン酸バニリルアミド、ピロクトンオラミン、ペンタデカン酸グリセリル、l−メントール、モノニトログアヤコール、レゾルシン、γ−アミノ酪酸などが挙げられる。
これらの生理活性成分の化粧料への配合割合は、その活性成分の効果発現濃度によるが、一般的には化粧料の総量に対して0.05〜20質量%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜15質量%が好ましい。尚、生理活性成分は1種または2種以上を組み合わせて配合することが好ましい。
また、保湿剤としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、マルビトール、トレハロース、ラフィノース、キシリトール、マンニトール、ヒアルロン酸およびその塩、ポリグリセリン等のグリコール類、多価アルコール類および多糖類等が挙げられる。
本発明の化粧料としては特に限定は無いがスキンケア製品、頭髪製品、制汗剤製品、メイクアップ製品、紫外線防御製品等が好ましいものとして挙げられる。例えば、乳液、クリーム、ローション、サンスクリーン剤、サンタン剤、アクネ対策化粧料、エッセンス、化粧下地料などの基礎化粧料、ファンデーション、白粉、アイシャドウ、コンシーラー、アイライナー、アイブロー、マスカラ、チーク、フェースパウダー、ネイルカラー、口紅、リップライナー、リップグロスなどのメイクアップ化粧料、リンス、コンディショナー、ヘアカラー、セット剤、育毛剤、デオドラント、香水等が挙げられるが、その中でも口紅、コーンシーラー、アイライナー等の油性固形化粧料、パウダーファンデーション、パウダーアイシャドー、フェースパウダー、パウダーチークカラー等の粉末固形化粧料である仕上げ化粧料や化粧下地料、化粧下地料兼用サンスクリーン等が本発明の効果を顕著に発揮できる。また、製品の形態についても特に限定は無いが液状、乳液状、クリーム状、固形状、ペースト状、ゲル状、粉末状、多層状、ムース状、スプレー状、スティック状等に適用が可能である。
本発明の化粧料はそのまま使用しても光学的な種々の効果の恩恵を受けることができるが、種々の化粧方法により、より効果的なメイクアップが可能である。例えば結晶性と透明性を有する無機物を粉砕して得られる粉末を配合した化粧下地料を使用した後、ファンデーション、アイシャドウ、口紅等から選ばれる化粧料を使用した場合には、化粧下地料が光を拡散し、反射させる効果により、上にのせたファンデーション、アイシャドウ、口紅などのメイクアップ化粧料の発色が改善され、よりきれいに見えるようになる効果が期待できる。また、逆にファンデーション、アイシャドウ、口紅等から選ばれる化粧料を使用した上に、本発明の透明性無機粉末を配合した仕上げ化粧料、例えばファンデーションの上にフェースパウダーやチークを使用することにより、より引き締まった感じを与える化粧効果を得ることができる。当然、これらの組み合わせ使用も好ましい効果を与えることができる。
本発明の結晶構造と透明性を有する無機物を粉砕して得られる粉末は、使用した時に白磁のような化粧外観を持つ。本発明の化粧料は若年齢から高年齢まで自在に対応が可能であるが、ファンデーションに限ってみると、肌の光拡散能力が低下してくる高年齢層に対してより効果的に自然な肌のつや感、明るさを与えることができる。
実施例
以下、実施例及び比較例によって本発明を詳細に説明する。 また、実施例及び比較例で用いた化粧料の各種特性に対する評価方法を以下に示す。
[皮膚有用性評価]
専門パネラーを各評価品目ごとに10名ずつ用意し(但し、品目によりパネラーが重複する場合もある)、表1に示す評価基準に従って評価を行い、全パネラーの合計点数を以て評価結果とした。従って、点数が高いほど評価項目に対する有用性が高いことを示す。(満点:50点)尚、評価としては、口紅については唇のしわが目立ちにくいか、口紅の色が美しく感じるか、感触(塗布感の良悪)について実施し、他については小じわやきめの隠蔽効果、肌のしみやくすみのぼかし効果、肌に近い質感の有無、感触(塗布感の良悪)、色ぐすみが少ないか(ファンデーションのみ。デイライトタイプの蛍光灯下で評価)について実施した。また、化粧方法については、発色がきれいに感じるか、化粧がきれいと感じるかについて実施した。
[白浮きの評価方法]
カメラを使用し、試料(ファンデーション)を使用した肌を写真撮影した際の白浮きの有無を確認した。
製造例1(アメジストパウダーの製造)
直径5mm〜1cmの外観が透明なアメジスト(紫水晶)をハンマーを用いて粗粉砕した後、ジェットミルを使用して微粉砕し、さらに25μm以上の粒子を超音波ふるいで分級して除去し、平均一次粒子径が13μm(粒度分布が粒子径1μm以下の粒子個数が20質量%以下)の不定形の形状を持つパウダーを得た。このパウダーをヘキサン中でメチルハイドロジェンポリシロキサンを用いてパウダー質量比3質量%で被覆し、溶媒を除去した後、130℃で5時間加熱処理し、シリコーン処理アメジストパウダーを得た。
製造例2(アメジストパウダーの製造)
直径5mm〜1cmの外観が透明なアメジスト(紫水晶)をハンマーを用いて粗粉砕した後、ジェットミルを使用して微粉砕し、さらに25μm以上の粒子をメッシュで分級して除去し、平均一次粒子径が13μm(粒度分布が粒子径1μm以下の粒子個数が20質量%以下)の不定形の形状を持つパウダーを得た。このパウダーをNε−ラウロイル−L−リジン(味の素製アミホープLL)をアルカリに溶解した溶解液を用いて5質量%被覆処理し、アミホープ処理アメジストパウダーを得た。
製造例3(石英パウダーの製造)
直径0.1mm〜1mmの外観が透明な光ファイバー原料用合成石英末を、ジェットミルを使用して微粉砕し、さらに25μm以上の混入粒子を超音波ふるいで分級して除去し、平均一次粒子径が10μm(粒度分布が粒子径1μm以下の粒子個数が20質量%以下)の不定形の形状を持つパウダーを得た。このパウダーをパウダー質量比5質量%の寒天と熱水スラリーを形成した後、スプレードライヤーを用いて乾燥させ、寒天処理石英パウダーを得た。
製造例4(石英パウダーの製造)
直径0.1mm〜1mmの外観が透明な光ファイバー原料用石英末を、ジェットミルを使用して微粉砕し、さらに25μm以上の混入粒子を超音波ふるいで分級して除去し、平均一次粒子径が6μm(粒度分布が粒子径1μm以下の粒子個数が20質量%以下)の不定形の形状を持つパウダーを得た。このパウダーをトルエン中でパウダー質量比6質量%のオクチルトリエトキシシランで被覆処理し、溶媒を留去した後、130℃で5時間加熱処理を行い、オクチルシリル化石英パウダーを得た。
製造例5(サファイアパウダーの製造)
長さ9cmのベルヌーイ法で合成した合成サファイア結晶を粗解砕したものを振動ボールミルに入れて微粉砕し、さらに25μm以上の混入粒子を超音波ふるいで分級して除去し、平均一次粒子径が7μm(粒度分布が粒子径1μm以下の粒子個数が20質量%以下)の不定形の形状を持つパウダーを得た。このパウダーをNε−ラウロイル−L−リジン(味の素製アミホープLL)をアルカリに溶解した溶解液を用いて10質量%被覆処理し、アミホープ処理サファイアパウダーを得た。
製造例6(ルビーパウダーの製造)
長さ6cmのベルヌーイ法で合成した合成ルビー結晶を粗解砕したものを振動ボールミルに入れて微粉砕し、さらに25μm以上の混入粒子を超音波ふるいで分級して除去し、平均一次粒子径が6μm(粒度分布が粒子径1μm以下の粒子個数が20質量%以下)の不定形の形状を持つパウダーを得た。このパウダーをNε−ラウロイル−L−リジン(味の素製アミホープLL)をアルカリに溶解した溶解液を用いて10質量%被覆処理し、アミホープ処理ルビーパウダーを得た。
製造例7(ガーネットパウダーの製造)
直径5〜15mmの外観が透明の天然ガーネット原石(結晶性)をハンマーを用いて粗粉砕した後、ジェットミルを使用して微粉砕し、さらに25μm以上の混入粒子を超音波ふるいで分級して除去し、平均一次粒子径が11μm(粒度分布が粒子径1μm以下の粒子個数が20%以下)の不定形の形状を持つガーネットパウダーを得た。
製造例8(シリコーンエラストマー微粉砕末の製造)
シリコーンエラストマー(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製トレフィルE−508)50質量部、セリサイト50質量部を粗混合し、これを器内壁面に付着しないよう掻き落としを行ないながらカッターミル(>11,000rpm)により30秒運転で2回処理してシリコーンエラストマー微粉砕末を得た。微粉砕化物の凝集粒子径は走査型電子顕微鏡での観察より2〜40μmの範囲に分布していた。
製造例9(シリコーンエラストマー水分散液)
東レ・ダウコーニング・シリコーン社製BY29−123(シリコーンエラストマー50質量%水分散液)を使用した。
製造例10(シリコーンエラストマー混練品の製造)
シリコーンエラストマー(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製トレフィルE−508)35質量部と揮発性シリコーン油であるメチルトリメチコン(分岐状4量体メチルポリシロキサン)65質量部とを粗混合した後、高速2軸型エクストルーダー(混練機)を用いて混練し、押し出し時に200メッシュを通して、ペースト状のシリコーンエラストマーを得た。
製造比較例1
外観が白色で非晶質(ガラス質)の光ファイバー用石英粉末であり、平均一次粒子径が1.0μmの市販品石英粉末(アドマテックス社製SO−C3)を用い、この粉末をトルエン中で粉末質量比6質量%のオクチルトリエトキシシランで被覆処理し、溶媒を留去した後、130℃で5時間加熱処理を行い、オクチルシリル化石英粉末を得た。
製造比較例2
外観が白色で平均一次粒子径が12μmの球状非晶質シリカ粉末を用い、この粉末をヘキサン中でメチルハイドロジェンポリシロキサンを用いて粉末質量比3質量%で被覆し、溶媒を除去した後、130℃で5時間加熱処理し、シリコーン処理非晶質球状シリカ粉末を得た。
製造比較例3
直径5mm〜1cmの外観が透明なアメジスト(紫水晶)をハンマーを用いて粗粉砕した後、ジェットミルを使用して微粉砕し、さらに湿式ボールミルを用いて、平均一次粒子径が1.2μmの不定形の形状を持つパウダーを得た。このパウダーをヘキサン中でメチルハイドロジェンポリシロキサンを用いてパウダー質量比3質量%で被覆し、溶媒を除去した後、130℃で5時間加熱処理し、シリコーン処理アメジストパウダーを得た。
製造比較例4
外観が白色で非晶質(ガラス質)の光ファイバー用石英粉末であり、平均一次粒子径が1.0μmの市販品石英粉末(アドマテックス社製SO−C3)を比較例で用いる石英粉末とした。
実施例1
表2に示す処方と製造方法にて口紅を製造した。尚、アミホープ処理顔料は、製造例5、6と同様にして表面処理したものを用いた。また、単位は質量%である。
製造方法
成分(1)〜(11)を90℃にて溶解後、成分(12)〜(16)を混合し、ローラーを用いてさらに混合・粉砕を行った後、その中に(17)〜(18)を分散し、再溶解、脱気を行い、金型に充填し、冷却後とり出して容器に設置し製品を得た。
比較例1
実施例1で用いたアミホープ処理サファイアパウダー(製造例5)、アミホープ処理ルビーパウダー(製造例6)の代わりに、アミホープ処理ガラス質石英粉末(製造比較例1)を用いた他は全て実施例1と同様にして製品を得た。
実施例2
表3に示す処方と製造方法にてパウダーファンデーションを製造した。尚、表中の寒天処理顔料は製造例3の表面処理方法に準拠して製造されたものを用いた。以下表中の単位は質量%である。
製造方法
油性成分を加熱混合し、事前に混合した粉体成分の上からゆっくりと加え、さらに攪拌した後、60メッシュを通し、金型を用いて金皿に打型して製品を得た。
比較例2
実施例2の寒天処理石英パウダー(製造例3)の代わりに、実施例2で用いたのと同じ寒天処理タルクを用いた他は全て実施例2と同様にして製品を得た。(結晶性を有する透明性無機粉末を配合しなかった時の例)
実施例3
表4に示す処方と製造方法にてパウダーファンデーションを製造した。
製造方法
油性成分を加熱混合し、事前に混合した粉体成分の上からゆっくりと加え、さらに攪拌した後、60メッシュを通し、金型を用いて金皿に打型して製品を得た。
比較例3
実施例3で用いたシリコーン処理アメジストパウダー(製造例1)の代わりに製造比較例2で製造したシリコーン処理非晶質球状シリカ粉末を用いた他は全て実施例3と同様にして製品を得た。(素材の結晶性、非結晶性による違いの例)
比較例4
実施例3で用いたシリコーン処理アメジストパウダー(製造例1)の代わりに製造比較例3で製造した平均一次粒子径が1.2μmのシリコーン処理アメジストパウダーを用いた他は全て実施例3と同様にして製品を得た。(平均粒子径の違いの例)
実施例4
表5に示す処方と製造方法にて化粧下地兼用サンスクリーン剤を製造した。尚、オクチルシリル化微粒子酸化チタンは、オクチルシラン12質量%処理シリカアルミナ処理酸化チタン(平均一次粒子径12nm)を用い、シリコーン処理微粒子酸化亜鉛はメチルハイドロジェンポリシロキサン(信越化学工業製HRS−2)5%処理微粒子酸化亜鉛(住友大阪セメント製ZnO−350)を用い、ポリエーテル変性シリコーンは信越化学工業製KF−6019を用いた。
製造方法
顔料と油剤を混合しビーズミルを用いて粉砕した後、親水性成分を混合した。ステンレスボールと共に樹脂ボトルに充填して製品とした。
比較例5
実施例4で用いたオクチルシリル化石英パウダー(製造例4)の代わりに、製造比較例1のオクチルシリル化石英粉末を用いた他は全て実施例4と同様にして製品を得た。(同一素材の結晶性、非結晶性による違いの例)
実施例5
表6に示す処方と製造方法にてフェースパウダーを製造した。尚、アミホープ処理顔料は、製造例5、6と同様にして表面処理したものを用いた。また、単位は質量%である。
製造方法
各成分を混合した後、容器に充填して製品とした。
実施例6
実施例4で作成した化粧下地兼用サンスクリーン剤を使用した後、市販の2ウェイパウダータイプのファンデーションを使用した。
比較例6
市販の顔料を配合していないローションを使用した後、実施例6で使用したものと同じ市販の2ウェイパウダータイプのファンデーションを使用した。
実施例7
ローションを用いて肌を整えてから、市販の2ウェイパウダータイプのファンデーションを使用し、その上から実施例5で作成したフェースパウダーを使用した。
比較例7
実施例7に準じて、ローションを用いて肌を整えてから、市販の2ウェイパウダータイプのファンデーションを使用し、その上からアミホープ処理サファイアパウダー(製造例5)、アミホープ処理ルビーパウダー(製造例6)の代わりにアミホープ処理タルクを用いて製造したフェースパウダーを使用した。
実施例8
実施例4の化粧下地料を使用した後、実施例3のファンデーションを使用した。
実施例および比較例について評価を行った結果を表7〜9に示す。
表7の結果から、本発明の実施例は比較例と比べて唇のしわが目立ちにくく、口紅の色が美しく感じられ(発色に優れる)、感触が良いことが判る。これに対して比較例では、しわが認識され、口紅の色も鮮やかさが弱くなっていることがわかる。
表8の結果から、本発明の実施例は比較例と比べて小じわやきめが目立ちにくく、肌のしみやくすみが自然な感じで目立たなくなり、かつ肌に近い質感の化粧ができ、写真の白浮きが抑制され、感触にも優れており、かつ色ぐすみが目立たないことが判る。
これに対して比較例2は結晶構造と透明性を有する無機粉末を配合しなかった時の比較例であるが、本発明の目的としている効果が発現できていないことが判る。
比較例3は素材の結晶性、非結晶性による違いの例であるが、同じ酸化ケイ素系の化合物を用いても結晶性の有無によって得られる光学特性が大きく異なっていることが判る。
比較例4は同じアメジスト素材で平均一次粒子径による違いを確認したものであるが、平均一次粒子径が1.2μmになると、総合的には実施例3に比べ光学特性が劣ることが判る。
比較例5は同じ石英素材で結晶性、非結晶性による違いを確認したものであるが、非結晶性になっただけで光学特性が大きく変化していることが判る。
表9の結果から、本発明の化粧方法は、化粧下地料として使用した場合には、発色がよくなる、化粧がきれいにみえるなどの効果があることがわかる。また、仕上げ化粧料として使用した場合には、化粧がよりきれいに見える効果があることがわかる。また、化粧下地料とファンデーションを組み合わせて使用した場合には、より効果的に発色や見え方の改善が図れることがわかる。これらのことから組み合わせて用いた場合にも光学効果が維持されていることがわかる。
実施例9
表10に示す処方と製造方法にてパウダーファンデーションを製造した。尚、シリコーン処理顔料は製造例1と同様の処理方法を用いて製造したものを使用した。以下での配合量の単位は質量%である。
製造方法
工程1の成分Aと成分Bを均一に混合した後、成分Cを加え、さらに混合した。ついで流動層乾燥機を用いて水分を加熱除去、造粒してトリフルオロプロピル化ジメチコノールが被覆された複合粉体を得た。ついで工程2の油性成分を加熱混合し、事前に混合した粉体成分の上からゆっくりと加え、さらに攪拌した後、60メッシュを通し、金型を用いて金皿に打型して製品を得た。
比較例8
実施例9で用いたガーネットパウダー(製造例7)の代わりに、製造比較例4の非晶質石英粉末を用いた他は全て実施例9と同様にして製品を得た。(用いた素材の結晶性、非結晶性による違いの例)
実施例10
表11に示す処方と製造方法にてパウダーファンデーションを製造した。
製造方法
油性成分を加熱混合し、事前に混合した粉体成分の上からゆっくりと加え、さらに攪拌した後、60メッシュを通し、金型を用いて金皿に打型して製品を得た。
実施例11
実施例10で用いたシリコーンエラストマー微粉砕末(製造例8)の代わりに、シリコーン処理タルクを用いた他は全て実施例10と同様にして製品を得た。(シリコーンエラストマー用いずに、結晶性を有する透明性無機粉末のみ用いた例)
比較例9
実施例10で用いたシリコーン処理アメジストパウダー(製造例1)の代わりに、シリコーン処理タルクを用いた他は全て実施例10と同様にして製品を得た。(結晶性を有する透明性無機粉末を用いずに、シリコーンエラストマーのみ用いた例)
比較例10
実施例10で用いたシリコーンエラストマー微粉砕末(製造例8)とシリコーン処理アメジストパウダー(製造例1)の代わりに、シリコーン処理タルクを用いた他は全て実施例10と同様にして製品を得た。(結晶性を有する透明性無機粉末とシリコーンエラストマーを用いなかった時の例)
実施例12
表12に示す処方と製造方法にて化粧下地料を製造した。
製造方法
各成分を混合した後、チューブ容器に充填して製品を得た。
比較例11
実施例12で用いたガーネットパウダー(製造例7)の代わりに、平均一次粒子径が11μmの球状非晶質シリカ粉末を用いた他は全て実施例12と同様にして製品を得た。
実施例および比較例について評価を行った結果を表13に示す。
表13の結果から本発明の実施例は比較例と比べて小じわやきめが目立ちにくく、感触(塗布感)にも優れていることが判る。また、さらに実施例12の化粧下地料を使用した上にファンデーションを塗布した場合では、ファンデーションの肌色が明るく見える効果が観察された。この効果は、実施例12の化粧下地料の上に実施例10のファンデーションを使用した場合にはより強く観察された。これに対して比較例8は同じ石英素材で結晶性、非結晶性による違いを確認したものであるが、非結晶性になっただけで隠蔽効果が低下していることから、結晶構造と透明性を有する無機粉末がシリコーンエラストマーと相乗的に効果を出していることが判る。
また、実施例10はシリコーンエラストマー用いずに、結晶構造と透明性を有する無機粉末のみ用いた例であり、比較例9は結晶構造と透明性を有する無機粉末を用いずに、シリコーンエラストマーのみ用いた例であり、比較例10は結晶構造と透明性を有する無機粉末とシリコーンエラストマーを用いなかった時の例を示す。この実験結果からも結晶構造と透明性を有する無機粉末がシリコーンエラストマーと相乗的に効果を出していることが判る。比較例11は化粧料に多用されている既存の球状非晶質シリカ粉末を用いた場合であるが、本発明の実施例12と比べて光学的な効果が弱いことが判る。また、ファンデーションを試験する際に経時での色のくすみ方を目視判定したところ、本発明の化粧料は色ぐすみは発生するものの、色ぐすみが目立ちにくい特性があることが判った。
産業上の利用可能性
上述したように、本発明は、結晶構造と透明性を有する無機粉末を配合することで、小じわやきめの隠蔽効果と肌のしみやくすみのぼかし効果に優れ、経時での色ぐすみが少なく、さらに光学的に深みのある肌に近い質感の化粧塗膜が得られる。
また、さらにシリコーンエラストマーを結晶構造と透明性を有する無機粉末とともに配合することで、小じわやきめを効果的に目ただなくさせることが可能で、塗布感にも優れ、色ぐすみが目立ちにくい化粧料が得られる。
そして、写真の白浮きが抑制されること、感触、発色に優れることを特徴とする化粧料、およびファンデーションや口紅の発色が良くなるなど化粧効果の改善効果に優れることを特徴とする化粧方法が得られるものである。
本発明は、スキンケア製品、頭髪製品、制汗剤製品、メイクアップ製品、紫外線防御製品等に用いることができ、特に口紅、コーンシーラー、アイライナー等の油性固形化粧料、パウダーファンデーション、パウダーアイシャドー、フェースパウダー、パウダーチークカラー等の粉末固形化粧料である仕上げ化粧料や化粧下地料、化粧下地料兼用サンスクリーンに好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、製造例4で得られた表面処理前の石英パウダーの形状を示す電顕写真である。第2図は、製造例5で得られた表面処理前のサファイアパウダーの形状を示す電顕写真である。第3図は、製造例6で得られた表面処理前のルビーパウダーの形状を示す電顕写真である。第4図は、表面処理前のサファイアパウダーと硫酸バリウム粉末の反射光強度を示す図である。第5図は、平均一次粒子径6.2μmのルビー粉砕パウダー(25μmパス品)の粒度分布状態を示す図である。
また、シリコーンエラストマーと組み合わせて用いることで、より効果的に小じわやきめを目立たなくすることができ、感触的にも優れていること、さらに色ぐすみが目立ちにくいことを見出した。
さらに、該化粧塗膜はフラッシュの光が正反射方向に向かわずに拡散されることから写真撮影時の白浮きが抑制される他、強い光が当たった中での(テレビなどの)撮影時も皺が目立たず、光学的に美しい表情を見せることができ、感触にも優れていることを確認した。さらに、パウダーファンデーションなどに配合した際には、経時での色ぐすみが少なく見える効果があり、口紅などの油性化粧料に配合した場合では発色に優れることを見出した。
そして、化粧下地料や仕上げ化粧料にこの技術を導入した場合、その前後に使用したファンデーションや口紅の発色が良くなるなどの化粧効果の改善効果があることが判り、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、石英、合成石英、水晶(但し、紫水晶を除く)、サファイアから選ばれる1種以上の結晶構造と透明性を有する無機物を粉砕して得られた、一次粒子径が25μm以上の粒子個数が15%未満で平均一次粒子径が5〜15μmの粒度分布範囲にある無機粉末を含有することを特徴とする化粧料に関する。
好ましくは、結晶構造と透明性を有する無機物が合成石英、水晶(但し、紫水晶を除く)、サファイアから選ばれる1種以上である上記化粧料である。
さらに好ましくは、さらに一次粒子径が1〜50μmの範囲に球状のシリコーンエラストマー球状粉体を含有する上記化粧料である。
その他、好ましい態様として、下記の化粧料が開示される。
粉砕する前の、結晶構造と透明性を有する無機物の大きさ(長径)が0.1mm〜100cmの範囲にある上記化粧料。
結晶構造と透明性を有する無機物を粉砕して得られた粉末の形状が不定形または球形である上記化粧料。
結晶構造と透明性を有する無機物質をボールミルまたはジェットミル
で粉砕した物を分級して得られた無機粉末である上記化粧料。
結晶構造と透明性を有する無機物を粉砕して得られた無機粉末が、さらにN−アシル化リジン、アルキルシラン、シリコーンから選ばれる1種以上の表面処理剤で被覆処理されている上記化粧料。
シリコーンエラストマーが、微粉砕されたもの、油剤とで粉砕または混練し混合されたもの、水系分散されたものから選ばれる1種以上の状態で配合されている上記化粧料。
結晶構造と透明性を有する無機物を粉砕して得られた粉末の化粧料への配合量が0.1〜50質量%の範囲にある上記化粧料。
結晶構造と透明性を有する無機物を粉砕して得られた粉末の化粧料への配合量が0.1〜10質量%の範囲にある上記化粧料。
さらに、他の色剤を含有し、固形状である粉末固形化粧料。
さらに、25℃でペースト状もしくは固体状の油剤と他の色材を含有し、固形状である油性固形化粧料。
本発明の好ましい使用態様としては、下記の化粧方法が開示される。
上記の化粧料を化粧下地料として肌に塗布した上に、ファンデーション、アイシャドウ、口紅から選ばれる化粧料を使用することを特徴とする化粧方法。
ファンデーション、アイシャドウ、口紅から選ばれる化粧料を肌に塗布した上に、上記化粧料を仕上げ化粧料として使用することを特徴とする化粧方法。
上記化粧料を肌に塗布し、肌の小皺やきめを隠蔽し、しみやくすみをぼかし、且つ写真の白浮きを抑制する化粧方法。
図面の簡単な説明
第1図は、製造例4で得られた表面処理前の石英パウダーの形状を示す電顕写真である。第2図は、製造例5で得られた表面処理前のサファイアパウダーの形状を示す電顕写真である。第3図は、製造例6で得られた表面処理前のルビーパウダーの形状を示す電顕写真である。第4図は、表面処理前のサファイアパウダーと硫酸バリウム粉末の反射光強度を示す図である。第5図は、平均一次粒子径6.2μmのルビー粉砕パウダー(25μmパス品)の粒度分布状態を示す図である。
発明を実施するための最良の形態
本発明で用いる結晶構造と透明性を有する無機物とは、合成または天然の無機物であって、結晶構造を有しており、光学的に透明性を有するものを指し、かつ、珪素、アルミニウム、チタン、酸素、クロム、鉄、カルシウム、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウムから選ばれる2種以上の元素を、好ましくは80質量%以上を主として含むものである。
本発明で言う結晶構造を有する無機物の結晶構造は単結晶体であっても多結晶体であっても構わない。結晶形態としては、等軸晶系、六方晶系、三方晶系、正方晶系、単斜晶系、斜方晶系、三斜晶系等が挙げられ、これらはX線や中性子線の回折を用いて結晶構造を確認できる。
本発明で言う透明とは、未粉砕の段階の無機材料(例えば、天然または合成の原石鉱物そのもの)の外観が透明〜半透明であることを指す。透明とは、光が透過し他の物質が見える状態であり、半透明とは、光は透過しているが他の物質が見えにくい状態であることを指す。好ましくは、原石を透して文字等が判読できる程度の透明性を有するものである。尚、原石の表面の傷等により透明性が得られない場合においても、表面を研磨し傷等の表面部分を除くことによって透明性が現われてくる物も本発明で言う透明性を有する物に相当する。また、粉砕前の原石が透明性を有していれば、粉砕後の無機材料が表面の傷等によって不透明な
Claims (18)
- 珪素、アルミニウム、チタン、酸素、クロム、鉄、カルシウム、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウムから選ばれる2種以上の元素を含む、結晶構造と透明性を有する無機物を粉砕して得られた平均一次粒子径が3〜20μmの範囲にある無機粉末を含有することを特徴とする化粧料。
- 結晶構造と透明性を有する無機物が、天然石英、合成石英、水晶、アメジスト、エメラルド、サファイア、ルビー、ガーネット、ルチルから選ばれる1種以上である請求の範囲1項記載の化粧料。
- 天然石英、合成石英、水晶、アメジスト、エメラルド、サファイア、ルビー、ガーネット、ルチルから選ばれる1種以上の結晶構造と透明性を有する無機物を粉砕して得られた、一次粒子径が25μm以上の粒子個数が15%未満で平均一次粒子径が5〜15μmの粒度分布範囲にある無機粉末を含有することを特徴とする化粧料。
- 結晶構造と透明性を有する無機粉末とシリコーンエラストマーを含有する請求の範囲1〜3項のいずれか1項記載の化粧料。
- シリコーンエラストマーが一次粒子径1〜50μmの範囲にある球状粉体からなる請求の範囲4項記載の化粧料。
- 粉砕する前の、結晶構造と透明性を有する無機物の大きさ(長径)が0.1mm〜100cmの範囲にある請求の範囲1〜5項のいずれか1項記載の化粧料。
- 結晶構造と透明性を有する無機物を粉砕して得られた粉末の形状が不定形または球形である請求の範囲1〜6項のいずれか1項記載の化粧料。
- 結晶構造と透明性を有する無機物質をボールミルまたはジェットミルで粉砕した物を分級して得られた無機粉末である請求の範囲1〜7項のいずれか1項記載の化粧料。
- 結晶構造と透明性を有する無機物を粉砕して得られた粉末がさらに親水化または疎水化の表面処理剤で被覆処理されている請求の範囲1〜8のいずれか1項記載の化粧料。
- 表面処理剤が、N−アシル化リジン、アルキルシラン、シリコーンから選ばれる1種以上である請求の範囲9項記載の化粧料。
- シリコーンエラストマーが、微粉砕されたもの、油剤とで粉砕または混練し混合されたもの、水系分散されたものから選ばれる1種以上の状態で配合されている請求の範囲1〜10項のいずれか1項記載の化粧料。
- 結晶構造と透明性を有する無機物を粉砕して得られた粉末の化粧料への配合量が0.1〜50質量%の範囲にある請求の範囲1〜11項のいずれか1項記載の化粧料。
- 結晶構造と透明性を有する無機物を粉砕して得られた粉末の化粧料への配合量が0.1〜10質量%の範囲にある請求の範囲1〜11項のいずれか1項記載の化粧料。
- さらに、他の色剤を含有し、固形状である請求の範囲1〜13項のいずれか1項記載の粉末固形化粧料。
- さらに、25℃でペースト状もしくは固体状の油剤と他の色材を含有し、固形状である請求の範囲1〜13項のいずれか1項記載の油性固形化粧料。
- 請求の範囲1〜15項のいずれか1項記載の化粧料を化粧下地料として肌に塗布した上に、ファンデーション、アイシャドウ、口紅から選ばれる化粧料を使用することを特徴とする化粧方法。
- ファンデーション、アイシャドウ、口紅から選ばれる化粧料を肌に塗布した上に、請求の範囲1〜15項のいずれか1項記載の化粧料を仕上げ化粧料として使用することを特徴とする化粧方法。
- 請求の範囲1〜15項のいずれか1項記載の化粧料を肌に塗布し、肌の小皺やきめを隠蔽し、しみやくすみをぼかし、且つ写真の白浮きを抑制する化粧方法。
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