JPWO2003004515A1 - エストラジオール誘導体の製造方法、当該方法で用いる中間体及びその製造方法 - Google Patents
エストラジオール誘導体の製造方法、当該方法で用いる中間体及びその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JPWO2003004515A1 JPWO2003004515A1 JP2003510681A JP2003510681A JPWO2003004515A1 JP WO2003004515 A1 JPWO2003004515 A1 JP WO2003004515A1 JP 2003510681 A JP2003510681 A JP 2003510681A JP 2003510681 A JP2003510681 A JP 2003510681A JP WO2003004515 A1 JPWO2003004515 A1 JP WO2003004515A1
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- formula
- compound represented
- group
- integer
- compound
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
- 0 C[C@@]1(CC2)C3(CC3)CCC1C(*Cc1c3)C2c1ccc3O Chemical compound C[C@@]1(CC2)C3(CC3)CCC1C(*Cc1c3)C2c1ccc3O 0.000 description 5
- ORTXDSRJUDCFHC-IOHZUATHSA-N C[C@](CC1)(C(CC2)C(CCc3c4)C1c3ccc4OCOC)[C@H]2OCOC Chemical compound C[C@](CC1)(C(CC2)C(CCc3c4)C1c3ccc4OCOC)[C@H]2OCOC ORTXDSRJUDCFHC-IOHZUATHSA-N 0.000 description 1
- OVIILDNCZMGHMR-UHFFFAOYSA-N NCCCCCCCC=[IH] Chemical compound NCCCCCCCC=[IH] OVIILDNCZMGHMR-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07D—HETEROCYCLIC COMPOUNDS
- C07D295/00—Heterocyclic compounds containing polymethylene-imine rings with at least five ring members, 3-azabicyclo [3.2.2] nonane, piperazine, morpholine or thiomorpholine rings, having only hydrogen atoms directly attached to the ring carbon atoms
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07J—STEROIDS
- C07J1/00—Normal steroids containing carbon, hydrogen, halogen or oxygen, not substituted in position 17 beta by a carbon atom, e.g. estrane, androstane
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P20/00—Technologies relating to chemical industry
- Y02P20/50—Improvements relating to the production of bulk chemicals
- Y02P20/55—Design of synthesis routes, e.g. reducing the use of auxiliary or protecting groups
Abstract
本発明の目的は、医薬として有用である新規エストラジオール誘導体の工業的な製造方法、その方法に用いる中間体および当該中間体の製造方法を提供することである。本発明により、式(II)(式中、R1、R2は独立して、水酸基の保護基を表す。)で表される化合物の7位に−(CH2)mCH(COOR3)−(CH2)n−R4側鎖(式中、mは2〜14の整数を表し、nは2〜7の整数を表し、R3はカルボキシル基の保護基を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表す。)を導入するステップと、6位カルボニル基の還元、3位および17位水酸基の保護基の脱保護、およびカルボキシル基の保護基の脱保護を行うステップを含む、式(I)(式中、m、n、R4は前記と同じ意味を表す。)で表される化合物の製造方法が提供される。
Description
技術分野
本発明は、エストラジオール誘導体の製造方法、およびこの方法の中間体およびその製造方法、および前記のエストラジオール誘導体の製造方法で用いられる原料の製造方法に関する。
背景技術
7α置換エストラジオール誘導体は、エストロゲン活性またはアンチエストロゲン活性を有することが期待されており、その合成および作用について種々研究されている。
7α置換エストラジオール誘導体の合成に関しては、下記の文献に記載されている。
(1)Tedesco,Rosanna;Katzenellenbogen,John A.;Napolitano,Elio;Tetrahedron Lett.;38;46;1997;7997−8000;
(2)Adamczyk,Maciej;Johnson,Donald D.;Reddy,Rajarathnam E.;Steroids;62;12;1997;771−775;
(3)Skaddan,M.B.;Wuest,F.R.;Welch,M.J.;Katzenellenbogen,J.A.;J.Labelled Compd.Radiopharm.;42;1;1999;S153−S155;
(4)Skaddan,Marc B.;Wuest,Frank R.;Katzenellenbogen,John A.;J.Org.Chem.;64;22;1999;8108−8121;
また、本発明の式(I)で表される化合物およびその製造方法は、WO01/42186号公報に記載されている。
しかしながら、現在までに知られている7α置換エストラジオール誘導体の合成法は、工業的製造方法としては反応条件、収率、さらには経済性の面で十分ではなく、これら、反応条件、収率、さらには経済性に優れた製造方法が望まれていた。
本発明は、7α置換エストラジオール誘導体合成の重要中間体である、6−ケトエストラジオール誘導体、および7位置換基に相当する側鎖部分の効率的合成法を提供し、さらにはそれらを用いて反応条件、収率、さらには経済性に優れた7α置換エストラジオール誘導体の製造方法を提供することを目的とする。
発明の開示
本発明者らは、上記従来技術の有する課題に鑑み鋭意研究を重ねた結果、それらの課題を解決する、下記式(I)で表される新規7α置換エストラジオール誘導体合成の効率的な製造方法、およびこの方法における中間体およびその製造方法を見出し、本発明を完成させた。すなわち本発明は、新規7α置換エストラジオール誘導体合成の一方の重要中間体であり、下記式(II)で表される6−ケトエストラジオール誘導体の製造方法、ならびに、新規6−ケトエストラジオール誘導体を含む、この方法における中間体およびその製造方法に関する。
また本発明は、新規7α置換エストラジオール誘導体の他方の重要中間体であり、下記式(III)および式(VII)で表される化合物の製造方法、ならびに、この方法における中間体およびその製造方法にも関する。
さらに本発明は、上記中間体を用いる、下記式(I)で表される新規7α置換エストラジオール誘導体の製造方法、ならびに、この方法における中間体およびその製造方法にも関する。
すなわち本発明は、式(I)
(式中、mは2〜14の整数を表し、nは2〜7の整数を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表す。)
で表される化合物の製造方法であって、
式(II)
(式中、R1、R2は独立して、水酸基の保護基を表す。)
で表される化合物を、塩基存在下、式(III)
(式中、mは2〜14の整数を表し、nは2〜7の整数を表し、R3はカルボキシル基の保護基を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表し、X2はハロゲン原子を表す。)
と反応させ、式(IV)
(式中、R1、R2は独立して、水酸基の保護基を表し、R3はカルボキシル基の保護基を表し、m、n、R4は前記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップと、
式(IV)で表される化合物の6位カルボニル基の還元、3位および17位水酸基の保護基の脱保護、およびカルボキシル基の保護基の脱保護を行うことにより式(I)
(式中、m、n、R4は前記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップとを含む方法を提供する。
また本発明は、式(I)
(式中、mは2〜14の整数を表し、nは2〜7の整数を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表す。)
で表される化合物の製造方法であって、
式(II)
(式中、R1、R2は独立して、水酸基の保護基を表す。)
で表される化合物を、塩基存在下、式(VII)
(式中、mは2〜14の整数を表し、nは2〜7の整数を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表し、X2はハロゲン原子を表す。)
と反応させて式(VIII)
(式中、R1、R2、m、n、R4は前記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップと、
式(VIII)で表される化合物の6位カルボニル基の還元、3位および17位水酸基の保護基の脱保護を行うことにより式(I)
(式中、m、n、R4は前記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップとを含む方法を提供する。
また本発明は、式(IV)
(式中、mは2〜14の整数を表し、nは2〜7の整数を表し、R1、R2は独立して水酸基の保護基を表し、R3はカルボキシル基の保護基を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表す。)
で表される化合物を提供する。
さらに本発明は、式(V)
(式中、mは2〜14の整数を表し、nは2〜7の整数を表し、R3はカルボキシル基の保護基を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表す。)
で表される化合物を提供する。
加えて、本発明は、式(VI)
(式中、mは2〜14の整数を表し、nは2〜7の整数を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表す。)
で表される化合物を提供する。
また本発明は、式(II)
(式中、R1、R2は独立して、水酸基の保護基を表す。)
で表される化合物の製造方法であって、
式(IX)
(式中、R1、R2は前記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を、塩基存在下、−100℃〜−30℃にて3当量以下のホウ酸エステルと反応させ、引き続き−100℃〜−30℃にて過剰の塩基を処理した後、さらに過酸化水素で酸化することにより、式(X)
(式中、R1、R2は前記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップと、
式(X)で表される化合物を酸化し、式(II)
(式中、R1、R2は前記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップとを含む方法を提供する。
さらに本発明は、式(II)
(式中、R1、R2は独立して、水酸基の保護基を表す。)
で表される化合物の製造方法であって、
式(IX)
(式中、R1、R2は前記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を、塩基存在下、オキシム化反応を行うことにより、
式(XI)
(式中、R1、R2は前記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップと、
式(XI)で表される化合物を酸化することにより、
式(II)
(式中、R1、R2は前記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップとを含む方法を提供する。
加えて、本発明は、式(IX)
(式中、R1、R2は独立して、水酸基の保護基を表す。)
で表される化合物を、塩基存在下、オキシム化反応を行うことにより、
式(XI)
(式中、R1、R2は前記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を製造する方法を提供する。
また本発明は、式(XIII)
で表される化合物を、酸素を用いて酸化することにより、式(XIV)
で表される化合物を製造する方法において、酸素源として空気を用いることを特徴とする方法を提供する。
さらに本発明は、式(XIV)
で表される化合物を、2−メトキシプロペンと反応させ、式(XV)
で表される化合物を製造する方法を提供する。
加えて、本発明は、式(XV)
で表される化合物を提供する。
また本発明は、式(III)
(式中、mは2〜14の整数を表し、nは2〜7の整数を表し、R3はカルボキシル基の保護基を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表し、X2はハロゲン原子を表す。)で表される化合物の製造方法であって、
式(XVI)
(式中、n、R3は上記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を、式(XVII)
(式中、R4は上記と同じ意味を表し、X1はハロゲン原子を表す。)
で表される化合物と反応させることにより、式(XVIII)
(式中、n、R3、R4、X1は上記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップと、
式(XVIII)で表される化合物を還元して式(XIX)
(式中、n、R3、R4は上記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップと、
式(XIX)で表される化合物を、塩基存在下、式(XX)
(式中、mは2〜14の整数を表し、X2はハロゲン原子を表し、X3は脱離基を表す。)
で表される化合物と反応させることにより、式(III)
(式中、m,n、R3、R4、X2は上記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップとを含む方法を提供する。
さらに本発明は、式(III)
(式中、mは2〜14の整数を表し、nは2〜7の整数を表し、R3はカルボキシル基の保護基を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表し、X2はハロゲン原子を表す。)で表される化合物の製造方法であって、
式(XXI)
で表される化合物を、塩基性条件下、式(XVII)
(式中、nは2〜7の整数を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表し、X1はハロゲン原子を表す。)
で表される化合物と反応させることにより、式(XXII)
(式中、n、R4は上記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップと、
式(XXII)で表される化合物を還元して式(XXIII)
(式中、n、R4は上記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップと、
式(XXIII)で表される化合物のカルボキシル基を保護して式(XIX)
(式中、R3はカルボキシル基の保護基を表し、n、R4は上記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップと、式(XIX)で表される化合物を、塩基存在下、式(XX)
(式中、mは2〜14の整数を表し、X2はハロゲン原子を表し、X3は脱離基を表す。)
で表される化合物と反応させることにより、式(III)
(式中、m,n、R3、R4、X2は上記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップとを含む方法を提供する。
加えて、本発明は、式(III)
(式中、mは2〜14の整数を表し、nは2〜7の整数を表し、R3はカルボキシル基の保護基を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表し、X2はハロゲン原子を表す。)で表される化合物の製造方法であって、
式(XXIV)
(式中、R3はカルボキシル基の保護基を表す。)
で表される化合物を、式(XXV)
(式中、nは2〜7の整数を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表し、X4は脱離基を表す。)
で表される化合物と反応させることにより、式(XIX)
(式中、n、R3、R4は上記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップと、
式(XIX)で表される化合物を、塩基存在下、式(XX)
(式中、mは2〜14の整数を表し、X2はハロゲン原子を表し、X3は脱離基を表す。)
で表される化合物と反応させることにより、式(III)
(式中、m,n、R3、R4、X2は上記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップとを含む方法を提供する。
さらに加えて、本発明は、式(III)
(式中、mは2〜14の整数を表し、nは2〜7の整数を表し、R3はカルボキシル基の保護基を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表し、X2はハロゲン原子を表す。)で表される化合物の製造方法であって、
式(XXIV)
(式中、R3はカルボキシル基の保護基を表す。)
で表される化合物を、塩基存在下、式(XX)
(式中、mは2〜14の整数を表し、X2はハロゲン原子を表し、X3は脱離基を表す。)
で表される化合物と反応させることにより、式(XXVI)
(式中、m、R3、R4は上記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップと、
式(XXVI)で表される化合物を、式(XXV)
(式中、nは2〜7の整数を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表し、X4は脱離基を表す。)
で表される化合物と反応させることにより、式(III)
(式中、m,n、R3、R4、X2は上記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップとを含む方法を提供する。
また本発明は、式(III)
(式中、mは2〜14の整数を表し、nは2〜7の整数を表し、R3はカルボキシル基の保護基を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表し、X2は脱離基を表す。)において、mが8であり、nが3であり、R3はカルボキシル基の保護基を表し、R4がノナフルオロ−n−ブチル基であり、X2がヨウ素である化合物を提供する。
さらに本発明は、式(VII)
において、mが8であり、nが3であり、R4がノナフルオロ−n−ブチル基であり、X2がヨウ素である化合物を提供する。
加えて、本発明は、式(XIX)
において、nが3であり、R3がカルボキシル基の保護基であり、R4はノナフルオロ−n−ブチル基である化合物を提供する。
さらに加えて、本発明は、式(XXVI)
において、mが8であり、R3がカルボキシル基の保護基であり、X2がヨウ素である化合物を提供する。
また本発明は、式(III)
(式中、mは2〜14の整数を表し、nは2〜7の整数を表し、R3はカルボキシル基の保護基を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表し、X2は脱離基を表す。)で表されるラセミ化合物からキラル化合物を得る方法であって、キラルカラムを用いることを特徴とする、式(III)で表されるキラル化合物を得る方法を提供する。
さらに本発明は、式(VII)
(式中、mは2〜14の整数を表し、nは2〜7の整数を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表し、X2は脱離基を表す。)
で表されるラセミ化合物からキラル化合物を得る方法であって、キラルカラムを用いることを特徴とする、式(VII)で表されるキラル化合物を得る方法を提供する。
発明を実施するための形態
本発明において、以下の用語には、特に示さない限り、以下に示す意味が含まれる。
R1、R2における保護基としては、通常用いられるアセタール型保護基が好ましく、テロラヒドロピラニル基、エトキシエチル基などが挙げられ、さらに新たな立体異性体が生成しないことからメトキシメチル基、2−メトキシイソプロピル基またはイソプロペニル基が好ましく、特に2−メトキシイソプロピル基が好ましい。
R3における保護基としては、接触水素化条件下または酸性条件下で脱保護可能な保護基が好ましく、置換を有していても良いベンジル基、t−アルキル基などが挙げられ、さらにt−ブチル基が好ましい。
R4における炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基におけるハロゲン原子としては、フッ素が好ましい。ハロゲン原子の数としては1以上であればよい。2以上のハロゲン原子を有している場合には、それらが同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましく、特にパーハロゲノアルキルであることが好ましい。
R4における炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基としては、パーハロゲン化された炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、さらにパーフルオロ化された炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、特にノナフルオロ−n−ブチル基が好ましい。
mとしては、2から14の整数が好ましく、さらに8であるのが好ましい。
nとしては、2から7の整数が好ましく、さらに3であるのが好ましい。
X1、X2におけるハロゲン原子としては、ヨウ素原子が好ましい。
X3における脱離基としては、ハロゲン原子またはパーフルオロアルキルスルホニルオキシ基が好ましく、コストの点で、ヨウ素原子が好ましい。
X4における脱離基としては、ヨウ素原子またはパーフルオロアルキルスルホニルオキシ基が好ましく、さらにトリフルオロメチルスルホニルオキシ基が望ましい。
式(III)であらわされる化合物としては、特に、R3がt−ブチル基であり、R4がノナフルオロ−n−ブチル基であり、X2がヨウ素原子であり、mが8であり、nが3であるのが好ましい。
本発明の製造方法の反応経路を、反応図式A〜Dとして以下に示した。
反応図式A
(式中、mは2〜14の整数を表し、nは2〜7の整数を表し、R3はカルボキシル基の保護基を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表し、X1、X2は、独立して、ハロゲン原子を表し、X3、X4は、独立して、脱離基を表す。)
反応図式B
(式中、R1、R2は、独立して、水酸基の保護基を表す。)
反応図式C
反応図式D
(式中、m、n、R1、R2、R3、R4、X2は前記と同じ意味を表す。)
次に、それぞれの反応図式について説明する。
(反応図式A)
(A−1)
式(XXI)で表される化合物から、式(XXII)で表される化合物への変換
式(XXI)で表される化合物に、ラジカル反応開始剤存在下、式(XVII)で表される化合物を反応させ、式(XXII)で表される化合物を得ることができる。ここで、式(XXI)で表される化合物、および式(XVII)で表される化合物は、商業的に入手可能である。ここで用いられるラジカル反応開始剤としては、通常用いられるラジカル開始剤、例えば、2,2’−アゾビスアルキルニトリル類、アシルパーオキシド類があげられ、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルが好ましい。ここで使用されるラジカル反応開始剤の量は、式(XXI)で表される化合物に対して1.0〜0.0001当量が好ましく、さらに0.1〜0.001当量が好ましい。ここで使用される式(XVII)で表される化合物の量は、式(XXI)で表される化合物に対して1.0〜10.0当量が好ましく、さらに1.5〜3.0当量が好ましい。反応溶媒は使用してもしなくともよく、使用する場合には、通常用いられる不活性な溶媒を用いることが出来、例えばトルエン、ヘプタン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、およびこれらの混合溶媒でもよく、無溶媒が好ましい。反応温度は−78〜110℃が好ましく、さらに30〜100℃が好ましい。
(A−2)
式(XXII)で表される化合物の還元
式(XXII)で表される化合物を還元し、式(XXIII)で表される化合物を得ることができる。還元反応としては、水素雰囲気下、塩基存在下にパラジウム−炭素や水酸化パラジウム−炭素などのパラジウム触媒を式(XXII)で表される化合物と混合させて反応するのが好ましい。ここで使用されるパラジウム触媒の量は、式(XXII)で表される化合物に対して0.01〜100%w/wが好ましく、さらに1.0〜20%w/wが好ましい。ここで用いられる塩基としては、例えば、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム、トリエチルアミンがあげられ、酢酸ナトリウムが好ましい。ここで使用される塩基の量は、式(XXII)で表される化合物に対して0〜10当量が好ましく、さらに1.0〜2.0当量が好ましい。水素の圧力は1.0〜20気圧が好ましく、さらに1.0〜5.0気圧が好ましい。反応溶媒としては、通常用いられる不活性な溶媒を用いることが出来、例えばトルエン、ヘプタン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテル、メタノール、ジメチルホルムアミド、エタノール、酢酸エチル、およびこれらの混合溶媒でもよく、メタノールが好ましい。反応温度は−20〜110℃が好ましく、さらに0〜40℃が好ましい。
(A−3)
式(XXIII)で表される化合物のカルボキシル基の保護
式(XXIII)で表される化合物のカルボキシル基を保護することにより、式(XIX)で表される化合物を得ることができる。カルボキシル基の保護基としては、t−ブチル基が好ましい。カルボキシル基の保護基がt−ブチル基である場合、式(XXIII)で表される化合物を、塩基および縮合剤の共存下で、t−ブタノールと反応させるか、または酸触媒の存在下、t−ブチル トリクロロアセトイミデートと反応させるのが好ましい。
t−ブタノールとの反応の場合、t−ブタノールの量は、式(XXIII)で表される化合物に対して1.0〜100当量が好ましく、さらに1.0〜3.0当量が好ましい。ここで用いられる塩基としては、例えば、アミン塩基類があげられ、ジメチルアミノピリジンもしくは4−ピロリジノピリジンが好ましい。縮合剤としては、例えば、カルボジイミド類があげられ、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドが好ましい。ここで使用される塩基の量は、式(XXIII)で表される化合物に対して0.01〜1.0当量が好ましく、さらに0.05〜0.2当量が好ましい。縮合剤の量は、式(XXIII)で表される化合物に対して1.0〜2.0当量が好ましく、さらに1.0〜1.2当量が好ましい。反応溶媒としては、通常用いられる不活性な溶媒を用いることが出来、例えばトルエン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、およびこれらの混合溶媒でもよく、ジクロロメタンが好ましい。反応温度は−78〜110℃が好ましく、さらに0〜30℃が好ましい。
t−ブチル トリクロロアセトイミデートとの反応の場合、ここで使用されるt−ブチル トリクロロアセトイミデートの量は、式(XXIII)で表される化合物に対して1.0〜5.0当量が好ましく、さらに1.0〜2.5当量が好ましい。酸触媒としては、通常用いられるルイス酸、プロトン酸があげられ、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、トリフルオロ酢酸、塩酸などが好ましい。ここで使用される酸触媒の量は、式(XXIII)で表される化合物に対して0.000001〜1.0当量が好ましく、さらに0.001〜0.05当量が好ましい。反応溶媒としては、通常用いられる不活性な溶媒を用いることが出来、例えばトルエン、ヘプタン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテル、およびこれらの混合溶媒でもよく、シクロヘキサンが好ましい。反応温度は−78〜110℃が好ましく、さらに−10〜20℃が好ましい。
(A−4)
式(XIX)で表される化合物から、式(III)で表される化合物への変換
式(XIX)で表される化合物を、塩基存在下で、式(XX)で表される化合物と反応させ、式(III)で表される化合物を得ることができる。式(XX)で表される化合物は、商業的に入手可能である。ここで用いられる塩基としては、例えば、アルカリ金属アミド類があげられ、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジドが好ましい。ここで使用される塩基の量は、式(XIX)で表される化合物に対して0.9〜3.0当量が好ましく、さらに1.0〜1.5当量が好ましい。ここで使用される式(XX)で表される化合物の量は、式(XIX)で表される化合物に対して1.0〜10.0当量が好ましく、さらに1.0〜3.0当量が好ましい。反応溶媒としては、通常用いられる不活性な溶媒を用いることが出来、例えばトルエン、ヘプタン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテル、ヘキサメチルホスホラミド、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン、およびこれらの混合溶媒でもよく、テトラヒドロフランが好ましい。反応温度は−110℃〜60℃が好ましく、さらに−78℃〜20℃が好ましい。
(A−5)
式(III)で表される化合物の光学分割
上記の方法で得られる式(III)で表される化合物は、立体異性体の混合物であるが、所望によりキラルカラムを用いて分割することにより、単一の立体異性体を得ることができる。ここで用いられるキラルカラムとしては、例えば、セルロースカルバメート誘導体やアミロースカルバメート誘導体をシリカゲルに修飾した固定相のカラムがあげられ、CHIRALCEL OD(ダイセル化学工業(株)製)およびCHIRALPAK AD(ダイセル化学工業(株)製)が好ましい。移動相としては、例えば、ヘキサン、メタノール、イソプロパノールまたはこれらの混合溶媒があげられ、ヘキサンが好ましい。
(A−6)
式(XVI)で表される化合物から、式(XVIII)で表される化合物への変換
式(XVI)で表される化合物を用いて、(A−1)と同様の反応を行い、式(XVIII)で表される化合物を得ることが出来る。式(XVI)で表される化合物は、式(XXI)で表される化合物を用いて、(A−3)と同様の反応を行うことにより得ることが出来る。
(A−7)
式(XVIII)で表される化合物から、式(XIX)で表される化合物への変換
式(XVIII)で表される化合物を用いて、(A−2)と同様の反応を行い、式(XIX)で表される化合物を得ることが出来る。
(A−8)
式(XXIV)で表される化合物から、式(XIX)で表される化合物への変換
式(XXIV)で表される化合物を、塩基存在下で、式(XXV)で表される化合物と反応させ、式(XIX)で表される化合物を得ることができる。式(XXIV)で表される化合物は、商業的に入手可能である。式(XXV)で表される化合物は、商業的に入手可能な原料から、参考例に記載の方法により一工程で調製できる。ここで用いられる塩基としては、例えば、アルカリ金属アミド類があげられ、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジドが好ましい。ここで使用される塩基の量は、式(XIX)で表される化合物に対して0.9〜3.0当量が好ましく、さらに1.0〜1.5当量が好ましい。ここで使用される式(XXV)で表される化合物の量は、式(XXIV)で表される化合物に対して1.0〜5.0当量が好ましく、さらに1.0〜2.0当量が好ましい。反応溶媒としては、通常用いられる不活性な溶媒を用いることが出来、例えばトルエン、ヘプタン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテル、ヘキサメチルホスホラミド、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン、およびこれらの混合溶媒でもよく、テトラヒドロフランが好ましい。反応温度は−150℃〜20℃が好ましく、さらに−78℃〜−20℃が好ましい。
(A−9)
式(III)で表される化合物のカルボキシル基の脱保護
式(III)で表される化合物のカルボキシル基の保護基を脱保護することにより、式(VII)で表される化合物を得ることができる。ここで用いられる脱保護法としては、たとえば酸で処理する方法があげられる。ここで用いられる酸としては、例えば、通常用いられるルイス酸あるいはプロトン酸があげられ、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、トリフルオロ酢酸、塩酸、硫酸、リン酸が好ましい。ここで使用される酸の量は、式(III)で表される化合物に対して0.1〜50.0当量が好ましく、さらに0.1〜10.0当量が好ましい。反応温度は−20〜80℃が好ましく、さらに0〜40℃が好ましい。
(A−10)
式(III)で表される化合物の光学分割
上記の方法で得られる式(VII)で表される化合物は、立体異性体の混合物であるが、所望により(A−5)と同様の方法を用いて光学分割することにより、単一の立体異性体を得ることができる。
(A−11)
式(III)で表される化合物の単一の立体異性体のカルボキシル基の脱保護
(A−9)と同様の方法を用いて、式(III)で表される単一立体異性体のカルボキシル基の保護基を脱保護することにより、式(VII)で表される単一立体異性体を得ることができる。
(A−12)
式(XXIV)で表される化合物から、式(XXVI)で表される化合物への変換
式(XXIV)で表される化合物を、塩基存在下で、式(XX)で表される化合物と反応させ、式(XXVI)で表される化合物を得ることができる。式(XXIV)で表される化合物は、商業的に入手可能である。式(XX)で表される化合物は、商業的に入手可能である。ここで用いられる塩基としては、例えば、アルカリ金属アミド類があげられ、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジドが好ましい。ここで使用される塩基の量は、式(XIX)で表される化合物に対して0.9〜3.0当量が好ましく、さらに1.0〜1.5当量が好ましい。ここで使用される式(XX)で表される化合物の量は、式(XXIV)で表される化合物に対して1.0〜10.0当量が好ましく、さらに1.0〜3.0当量が好ましい。反応溶媒としては、通常用いられる不活性な溶媒を用いることが出来、例えばトルエン、ヘプタン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテル、ヘキサメチルホスホラミド、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン、およびこれらの混合溶媒でもよく、テトラヒドロフランが好ましい。反応温度は−110℃〜60℃が好ましく、さらに−78℃〜20℃が好ましい。
(A−13)
式(XXVI)で表される化合物から、式(III)で表される化合物への変換
式(XXVI)で表される化合物を、塩基存在下で、式(XXV)で表される化合物と反応させ、式(III)で表される化合物を得ることができる。式(XXV)で表される化合物は、商業的に入手可能な原料から、参考例に記載の方法により一工程で調製できる。ここで用いられる塩基としては、例えば、アルカリ金属アミド類があげられ、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジドが好ましい。ここで使用される塩基の量は、式(XIX)で表される化合物に対して0.9〜3.0当量が好ましく、さらに1.0〜1.5当量が好ましい。ここで使用される式(XXV)で表される化合物の量は、式(XXVI)で表される化合物に対して1.0〜5.0当量が好ましく、さらに1.0〜2.0当量が好ましい。反応溶媒としては、通常用いられる不活性な溶媒を用いることが出来、例えばトルエン、ヘプタン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテル、ヘキサメチルホスホラミド、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン、およびこれらの混合溶媒でもよく、テトラヒドロフランが好ましい。反応温度は−150℃〜20℃が好ましく、さらに−78℃〜−20℃が好ましい。
(反応図式B)
反応図式Bは、式(IX)で表される化合物、あるいは式(XIII)で表される化合物から式(II)で表される化合物を得る方法である。式(IX)で表される化合物はエストラジオールの保護体であり、文献記載の方法(Tedesco,Rosanna;Fiaschi,Rita;Napolitano,Elio;Synthesis;12;1995;1493−1495、Wuest,Frank;Spies,Hartmut;Johannsen,Bernd;Bioorg.Med.Chem.Lett.;6;22;1996;2729−2734)、または参考例記載の方法により容易に調製可能である。また式(XIII)で表される化合物は、商業的に入手可能である。
(B−1)
式(IX)で表される化合物から、式(X)で表される化合物への変換
式(IX)で表される化合物の6位を酸化して式(X)で表される化合物に変換する反応は、カリウム塩基およびアミン塩基存在下、ホウ酸エステルと反応させ、さらに過酸化水素と反応させることにより行うことができる。その際にホウ酸エステルと低温にて反応させ、さらに低温にて過剰の強塩基をアルコールなどで処理した後に、過酸化水素と反応させることにより、ホウ酸エステルの必要量を大幅に削減できる。ここで用いられるカリウム塩基としては、例えば、水素化カリウム、あるいはカリウムアルコキシドとアルキルリチウムの組み合わせがあげられ、カリウム t−ブトキシドとn−ブチルリチウムの組み合わせが好ましい。アミン塩基としては、例えば、立体的に嵩高い二級アミンがあげられ、ジイソプロピルアミン、2,2,6,6−テトラメチルヒペリジンが好ましく、特に2,2,6,6−テトラメチルヒペリジンの場合には、ジイソプロピルアミンの場合と比較してその必要量を減らすことが出来る。ここで使用されるアミン塩基の量は、式(IX)で表される化合物に対して0.5〜6.0当量が好ましく、さらに1.0〜4.0当量が好ましい。ここで用いられるホウ酸エステルとしては、例えば、ホウ酸トリアルキルがあげられ、ホウ酸トリメチルが好ましい。ここで使用されるホウ酸エステルの量は、式(IX)で表される化合物に対して1.0〜6.0当量が好ましく、さらに反応の操作性およびコストの点で1.0〜2.0当量が好ましい。反応溶媒としては、通常用いられる不活性な溶媒を用いることが出来、例えば、テトラヒドロフラン、ヘキサン、t−ブチルメチルエーテルがあげられ、またこれらの混合溶媒でもよく、テトラヒドロフランが好ましい。反応温度は−100〜−40℃が好ましく、さらに−80℃〜−40℃が好ましい。過剰の強塩基をアルコールなどと反応させる際の反応温度は−40℃以下で行うのが好ましく、さらに−60℃以下が好ましい。ここで用いられるアルコールとしては、一級、あるいは二級アルコールなどがあげられ、一級アルコールが好ましく、メタノールが好ましい。ここで使用されるアルコールの量は、式(IX)で表される化合物に対して1.0〜50.0当量が好ましく、さらに2.0〜20.0当量が好ましい。さらにここで用いられる過酸化水素としては、20−70%過酸化水素水溶液があげられ、30−50%過酸化水素水溶液が好ましい。ここで使用される過酸化水素の量は、式(IX)で表される化合物に対して1.0〜50.0当量が好ましく、さらに5.0〜30.0当量が好ましい。反応温度は−78〜60℃が好ましく、さらに−78℃〜30℃が好ましい。
(B−2)
式(X)で表される化合物から、式(II)で表される化合物への変換
式(X)で表される化合物を酸化し、式(II)で表される化合物を得る反応は、有機溶媒中、酸化剤で処理することにより行うことができる。ここで用いられる酸化剤としては、例えば、通常用いられる酸化剤があげられ、二酸化マンガン、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ,ラジカル)類が好ましい。酸化剤として二酸化マンガンを用いる場合、ここで使用される酸化剤の量は、式(IV)で表される化合物に対して1〜10倍重量が好ましく、さらに2〜5倍重量が好ましい。またモレキュラーシーブを添加することで二酸化マンガンの量を減らすことが出来、ここで使用されるモレキュラーシーブの量は、式(IV)で表される化合物に対して1〜10倍重量が好ましく、さらに2〜5倍重量が好ましい。反応溶媒としては、通常用いられる不活性な溶媒を用いることが出来、例えばジクロロメタン、酢酸エチル、トルエン、テトラヒドロフランがあげられ、これらの混合溶媒でもよく、酢酸エチルまたはトルエンが好ましい。反応温度は0〜110℃が好ましく、さらに10〜80℃が好ましい。
酸化剤としてTEMPO類を用いる場合には、次亜塩素酸ナトリウム、臭化ナトリウムおよび炭酸水素ナトリウム共存下で行うのが好ましい。ここで使用されるTEMPO類の量は、式(IV)で表される化合物に対して0.01〜0.5当量が好ましく、さらに0.01〜0.2当量が好ましい。ここで使用される次亜塩素酸ナトリウムの量は、式(IV)で表される化合物に対して1.0〜100.0当量が好ましく、さらに1.0〜50.0当量が好ましい。ここで使用される臭化ナトリウムの量は、式(IV)で表される化合物に対して0〜1.0当量が好ましく、さらに0〜0.1当量が好ましい。ここで使用される炭酸水素ナトリウムの量は、式(IV)で表される化合物に対して0〜10.0当量が好ましく、さらに0〜5.0当量が好ましい。反応溶媒としては、通常用いられる不活性な溶媒を用いることが出来、例えばジクロロメタン、トルエンおよびこれらの混合溶媒でもよく、ジクロロメタンが好ましい。反応温度は−20〜60℃が好ましく、さらに0〜40℃が好ましい。
R1およびR2で表される保護基が2−メトキシイソプロピル基またはイソプロペニル基である場合、式(II)で表される化合物は、通常用いられる不活性な溶媒、例えばトルエン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテル、ジクロロメタン、酢酸エチル、およびこれらの混合溶媒で結晶化することにより精製することができる。またトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ルチジン、コリジンなどのアミン塩基を加えた溶媒中で結晶化することにより、より安定な結晶を得ることが出来る。ここで使用されるアミン塩基としてはトリエチルアミンあるいはピリジンが好ましい。ここで使用されるアミン塩基の量は、結晶化に用いられる溶媒に対して0.01%v/v〜10%v/vが好ましく、さらに0.1%v/v〜5%v/vが好ましい。結晶化の温度は、−78〜80℃が好ましく、さらに−20℃〜40℃が好ましい。
(B−3)
式(IX)で表される化合物から、式(XI)で表される化合物への変換
式(IX)で表される化合物をオキシム化し、式(XI)で表される化合物を得る反応は、カリウム塩基およびアミン塩基存在下、亜硝酸アルキル、あるいは酸化窒素で処理することにより行うことができる。ここで用いられるカリウム塩基としては、例えば、水素化カリウム、あるいはカリウムアルコキシドとアルキルリチウムの組み合わせがあげられ、カリウム t−ブトキシドとn−ブチルリチウムの組み合わせが好ましい。アミン塩基としては、例えば、立体的に嵩高い二級アミンがあげられ、ジイソプロピルアミン、2,2,6,6−テトラメチルヒペリジンが好ましく、特に2,2,6,6−テトラメチルヒペリジンの場合には、ジイソプロピルアミンの場合と比較してその必要量を減らすことが出来る。ここで使用されるアミン塩基の量は、式(IX)で表される化合物に対して0.5〜6.0当量が好ましく、さらに1.0〜4.0当量が好ましい。亜硝酸アルキルとしては、例えば、炭素数2−10の亜硝酸エステルがあげられ、コストの点で亜硝酸イソアミルが好ましい。ここで使用される亜硝酸アルキルの量は、式(IX)で表される化合物に対して1〜10当量が好ましく、さらに1〜5当量が好ましい。反応溶媒としては、通常用いられる不活性な溶媒を用いることが出来、例えばテトラヒドロフラン、ヘキサン、t−ブチルメチルエーテルがあげられ、またこれらの混合溶媒でもよく、テトラヒドロフランが好ましい。反応温度は−100〜30℃が好ましく、さらに−80〜0℃が好ましい。
(B−4)
式(XI)で表される化合物から、式(II)で表される化合物への変換
式(XI)で表される化合物を酸化し、式(II)で表される化合物を得る反応は、次亜塩素酸ナトリウム水溶液で処理することにより行うことができる。ここで使用される次亜塩素酸ナトリウムの量は、式(IX)で表される化合物に対して1.0〜20.0当量が好ましく、さらに1.0〜4.0当量が好ましい。反応溶媒としては、通常用いられる不活性な溶媒を用いることが出来、例えば、テトラヒドロフラン、ヘキサン、t−ブチルメチルエーテル、アセトニトリル、アセトンなどがあげられ、またこれらの混合溶媒でもよく、アセトニトリルが好ましい。反応温度は−80〜50℃が好ましく、さらに−20〜20℃が好ましい。
(B−5)
式(XIII)で表される化合物から、式(XIV)で表される化合物への変換
式(XIII)で表される化合物を酸化し、式(XIV)で表される化合物を得る反応は、塩基存在下、酸素と反応することにより行うことができる。ここで使用される塩基としては、通常用いられる塩基があげられ、例えば、カリウム t−ブトキシド、ナトリウム メトキシド、酢酸カリウム、酢酸ナトリウムが好ましく、さらに酢酸カリウム、あるいは酢酸ナトリウムなどの弱塩基が好ましい。塩基の量は、式(XIII)で表される化合物に対して1.0〜4.0当量が好ましく、さらに1.0〜1.4当量が好ましい。また酸素源としては分子状酸素が好ましく、さらに空気が好ましい。反応溶媒としては、通常用いられる不活性な溶媒を用いることが出来、例えばジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドおよびこれらの混合溶媒でもよく、ジメチルスルホキシドが好ましい。反応温度は0〜150℃が好ましく、さらに80〜120℃が好ましい。
(B−6)
式(XIV)で表される化合物から、式(II)で表される化合物への変換
式(XIV)で表される化合物の水酸基を保護することにより、式(II)で表される化合物を得ることができる。式(XIV)で表される化合物の水酸基の保護基としては、保護及び脱保護を行う反応の容易さの点でテロラヒドロピラニル基、エトキシエチル基、メトキシメチル基、2−メトキシイソプロピル基、イソプロペニル基などのアセタール型保護基が好ましく、新たな立体異性体が生成しないことから、メトキシメチル基、2−メトキシイソプロピル基またはイソプロペニル基が好ましく、保護基を導入した化合物の精製のしやすさ及び収率の点で、2−メトキシイソプロピル基が好ましい。この2−メトキシイソプロピル化は、式(XIV)で表される化合物に、酸触媒存在下、2−メトキシプロペンを反応させることにより行うことができる。酸触媒としては、通常用いられるルイス酸、求核性のないプロトン酸またはその塩を使用することが出来、例えば、有機スルホン酸、あるいはそのアミン塩などがあげられ、ピリジニウム p−トルエンスルホネートが好ましい。ここで使用される酸触媒の量は、式(IX)で表される化合物に対して0.000001〜2.0当量が好ましく、さらに0.000001〜0.1当量が好ましい。ここで使用される2−メトキシプロペンの量は、式(II)で表される化合物に対して2〜50当量が好ましく、さらに2.5〜20当量が好ましい。反応温度は−80〜80℃が好ましく、さらに−20〜50℃が好ましい。
(反応図式C)
反応図式Cは、反応図式Aにより得られた、式(III)で表される化合物、および反応図式Bにより得られた、式(II)で表される化合物を用いて、式(I)で表される化合物を得る方法である。本発明の方法によれば、式(III)で表される化合物の単一の立体異性体を用いることによって、対応する立体構造をもつ式(I)で表される化合物の単一の立体異性体を得ることができる。
(C−1)
式(II)で表される化合物から式(IV)で表される化合物への変換
式(II)で表される化合物を、塩基性条件で式(III)で表される化合物と反応させることにより式(IV)で表される化合物を得ることができる。式(III)におけるX2としては、例えば、臭素、ヨウ素があげられ、ヨウ素が好ましい。R3で表される保護基としては、例えば、酸性条件で脱保護可能な保護基があげられ、t−ブチル基が好ましい。ここで用いられる塩基としては、例えば、カリウム塩基があげられ、水素化カリウム、カリウム ビス(トリメチルシリル)アミド、カリウム t−ブトキシドが好ましい。ここで用いられる溶媒は、誘電率(ε)が4.0以下、または双極子モーメント(μ/D)が1.5以下である、反応に悪影響を与えない溶媒であればよく、例えば、ジオキサン、t−ブチルメチルエーテル、トルエン、シクロヘキサン、ヘプタンなどがあげられ、収率、反応位置選択性の点でジオキサン、t−ブチルメチルエーテル、シクロヘキサンが好ましい。
式(II)で表される化合物の反応溶媒に対する濃度は、0.4M〜2.0Mが好ましく、反応速度および収率の点から0.5M〜1.5Mが好ましい。ここで用いられる式(III)で表される化合物の量は、式(II)で表される化合物に対して0.9〜2.0当量が好ましく、さらに1.0〜1.2当量が好ましい。ここで用いられるカリウム塩基の量は、式(II)で表される化合物に対して0.9〜2.0当量が好ましく、さらに1.0〜1.5当量が好ましい。反応温度は−20〜80℃が好ましく、さらに0〜40℃が好ましい。
(C−2)
式(IV)で表される化合物の水酸基の脱保護
式(IV)で表される化合物を酸で処理して3位の水酸基、17位の水酸基を脱保護することにより、式(V)で表される化合物を得ることができる。ここで用いられる酸としては、例えば、弱酸または弱酸性塩があげられ、硫酸水素カリウム、硫酸水素ナトリウムが好ましい。ここで使用される酸の量は、式(IV)で表される化合物に対して0.01〜10.0当量が好ましく、さらに0.01〜1.0当量が好ましい。反応温度は−20〜80℃が好ましく、さらに0〜40℃が好ましい。
この脱保護反応は、上記の式(II)で表される化合物を、塩基性条件で式(III)で表される化合物と反応させることにより式(IV)で表される化合物を得る反応を行った後、式(IV)で表される化合物を単離する事なしに、反応系に酸を加えて行ってもよい。
(C−3)
式(V)で表される化合物のカルボキシル基の脱保護
式(V)で表される化合物を、酸で処理してカルボキシル基の保護基を脱保護することにより、式(VI)で表される化合物を得ることができる。ここで用いられる酸としては、例えば、通常用いられるルイス酸あるいはプロトン酸があげられ、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、トリフルオロ酢酸、塩酸、硫酸、リン酸が好ましい。ここで使用される酸の量は、式(IV)で表される化合物に対して0.1〜50.0当量が好ましく、さらに0.1〜10.0当量が好ましい。反応温度は−20〜80℃が好ましく、さらに0〜40℃が好ましい。
(C−4)
式(IV)で表される化合物の水酸基およびカルボキシル基の脱保護
式(IV)で表される化合物を、酸で処理して3位および17位の水酸基の保護基、ならびにカルボキシル基の保護基を脱保護することにより、式(VI)で表される化合物を得ることができる。ここで用いられる酸としては、例えば、通常用いられるルイス酸あるいはプロトン酸があげられ、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、トリフルオロ酢酸、塩酸、硫酸、リン酸が好ましい。ここで使用される酸の量は、式(IV)で表される化合物に対して0.1〜10.0当量が好ましく、さらに0.1〜1.0当量が好ましい。反応温度は−20〜80℃が好ましく、さらに0〜40℃が好ましい。
この脱保護反応は、上記の式(II)で表される化合物を、塩基性条件で式(III)で表される化合物と反応させることにより式(IV)で表される化合物を得る反応を行った後、式(IV)で表される化合物を単離する事なしに、反応系に酸を加えて行ってもよい。
(C−5)
式(IV)で表される化合物の脱保護、還元による式(I)で表される化合物への変換
この工程は、下記の(C−5−1)および(C−5−2)のいずれかの方法によって行うことができる。
(C−5−1)
式(IV)で表される化合物を酸性条件下、還元剤で処理し、脱保護および還元を行うことにより、式(I)で表される化合物を得ることもでき、作業量の低減の点で好ましい。ここで用いられる酸としては、例えば、通常用いられるルイス酸、プロトン酸があげられ、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、トリフルオロ酢酸、硫酸が好ましい。還元剤としては、例えば、シラン誘導体があげられ、トリエチルシランが好ましい。ここで使用される酸の量は、式(IV)で表される化合物に対して0.1〜50.0当量が好ましく、さらに1.0〜40.0当量が好ましい。ここで使用される還元剤の量は、式(IV)で表される化合物に対して2.0〜50.0当量が好ましく、さらに2.0〜40.0当量が好ましい。反応温度は−20〜80℃が好ましく、さらに0〜60℃が好ましい。
(C−5−2)
式(IV)で表される化合物を酸性条件下、接触還元反応に付し、脱保護および還元を行うことにより、式(I)で表される化合物を得ることもでき、作業量の低減の点で好ましい。接触還元反応としては、水素雰囲気下、酸性条件下に金属触媒を式(IV)で表される化合物と混合させて反応するのが好ましい。ここで使用される金属触媒としては、パラジウム、水酸化パラジウム、白金、酸化白金、ロジウム、イリジウムがあげられ、水酸化パラジウムが好ましい。ここで使用される金属触媒の量は、式(IV)で表される化合物に対して0.01〜10.0等量が好ましく、さらに0.1〜2.0等量が好ましい。ここで用いられる酸としては、例えば、酢酸、塩酸、硫酸、リン酸があげられ、塩酸、あるいは硫酸が好ましい。ここで使用される酸の量は、式(IV)で表される化合物に対して0.01〜50.0当量が好ましく、さらに0.01〜10.0当量が好ましい。水素の圧力は1.0〜50.0気圧が好ましく、さらに1.0〜6.0気圧が好ましい。反応溶媒としては、通常用いられる不活性な溶媒を用いることが出来、例えばメタノール、エタノール、酢酸エチルおよびこれらの混合溶媒でもよく、メタノールが好ましい。反応温度は−20〜80℃が好ましく、さらに0〜40℃が好ましい。
さらに、この反応は中性または塩基性条件下に接触還元を行った後、生成物を単離することなく、酸処理して脱保護を行い、式(I)で表される化合物を得ることもできる。
(C−6)
式(V)で表される化合物の脱保護、還元による式(I)で表される化合物への変換
この工程は、下記の(C−6−1)および(C−6−2)のいずれかの方法によって行うことができる。
(C−6−1)
式(V)で表される化合物を用いて、(C−5−1)と同様の反応を行い、式(I)で表される化合物を得ることが出来る。
(C−6−2)
式(V)で表される化合物を用いて、(C−5−2)と同様の反応を行い、式(I)で表される化合物を得ることが出来る。
(C−7)
式(VI)で表される化合物の還元による式(I)で表される化合物への変換
この工程は、下記の(C−7−1)および(C−7−2)のいずれかの方法によって行うことができる。
(C−7−1)
式(VI)で表される化合物をで表される化合物を用いて、(C−5−1)と同様の反応を行い、式(I)で表される化合物を得ることが出来る。
(C−7−2)
式(VI)で表される化合物を用いて、(C−5−2)と同様の反応を行い、式(I)で表される化合物を得ることが出来る。
(反応図式D)
反応図式Dは、反応図式Aにより得られた、式(VII)で表される化合物、および反応図式Bにより得られた、式(II)で表される化合物を用いて、式(I)で表される化合物を得る方法である。本発明の方法によれば、式(VII)で表される化合物の単一の立体異性体を用いることによって、対応する立体構造をもつ式(I)で表される化合物の単一の立体異性体を得ることができる。
(D−1)
式(II)で表される化合物から式(VIII)で表される化合物への変換
式(II)で表される化合物を、塩基性条件で式(VII)で表される化合物と反応させることにより式(VIII)で表される化合物を得ることができる。式(VII)におけるX2としては、例えば、臭素、ヨウ素があげられ、ヨウ素が好ましい。ここで用いられる塩基としては、例えば、カリウム塩基があげられ、水素化カリウム、カリウム ビス(トリメチルシリル)アミド、カリウム t−ブトキシドが好ましい。ここで用いられる溶媒は、誘電率(ε)が4.0以下、または双極子モーメント(μ/D)が1.5以下である、反応に悪影響を与えない溶媒であればよく、例えば、ジオキサン、t−ブチルメチルエーテル、トルエン、シクロヘキサン、ヘプタン、ジメトキシエタンなどがあげられ、ジオキサン、トルエン、シクロヘキサンが好ましい。
式(II)で表される化合物の反応溶媒に対する濃度は、0.4M〜2.0Mが好ましく、反応速度および収率の点から0.5M〜1.5Mが好ましい。ここで用いられる式(VII)で表される化合物の量は、式(II)で表される化合物に対して0.9〜2.0当量が好ましく、さらに1.0〜1.5当量が好ましい。ここで用いられるカリウム塩基の量は、式(II)で表される化合物に対して2.0〜5.0当量が好ましく、さらに2.0〜4.0当量が好ましい。反応温度は−20〜80℃が好ましく、さらに0〜40℃が好ましい。
(D−2)
式(VIII)で表される化合物の脱保護
式(VIII)で表される化合物を酸で処理して3位の水酸基、17位の水酸基を脱保護することにより、式(VI)で表される化合物を得ることができる。ここで用いられる酸としては、例えば、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、トリフルオロ酢酸、塩酸、硫酸、リン酸,硫酸水素カリウム、硫酸水素ナトリウムがあげられ、塩酸、硫酸、硫酸水素カリウム、硫酸水素ナトリウムが好ましい。ここで使用される酸の量は、式(VIII)で表される化合物に対して0.01〜10.0当量が好ましく、さらに0.01〜1.0当量が好ましい。反応温度は−20〜80℃が好ましく、さらに0〜40℃が好ましい。
この脱保護反応は、上記の式(II)で表される化合物を、塩基性条件で式(VII)で表される化合物と反応させることにより式(VIII)で表される化合物を得る反応を行った後、式(VIII)で表される化合物を単離する事なしに、反応系に酸を加えて行ってもよい。
(D−3)
式(VI)で表される化合物の還元による式(I)で表される化合物への変換
この工程は、反応図式Cの(C−7)と同一の工程である。
(D−4)
式(VIII)で表される化合物の脱保護、還元による式(I)で表される化合物への変換
この工程は、下記の(D−4−1)および(D−4−2)のいずれかの方法によって行うことができる。
(D−4−1)
式(VIII)で表される化合物を用いて、(C−5−1)と同様の反応を行い、式(I)で表される化合物を得ることが出来る。
(D−4−2)
式(VIII)で表される化合物を用いて、(C−5−1)と同様の反応を行い、式(I)で表される化合物を得ることが出来る。
I.3−ステップによる反応(実施例Aおよび実施例B)
上記反応スキーム中の略語は次の意味を有する。
TMSCl:chlorotrimethylsilane(クロロトリメチルシラン)
tBuOAc:t−butyl acetate(酢酸t−ブチル)
LDA:lithium diisopropylamide(ジイソプロピルアミドリチウム)
THF:tetrahydrofuran(テトラヒドロフラン)
Tf2O:trifluoromethanesulfonic anhydride(トリフロロメタンスルホン酸無水物)
実施例
[実施例A]
[参考例A−1]
1,1,1,2,2,3,3,4,4−Nonafluoro−7−iodoheptaneの合成
4,4,5,5,6,6,7,7,7−Nonafluoroheptanol(5g,18mmol)をCH3CN(50ml)に溶解し、室温にてNaI(10.6g,72mmol)およびMe3SiCl(6.85ml,54mmol)を加え、窒素雰囲気下10時間加熱還流を行った。反応液を室温まで冷却後酢酸エチル(100ml)にて希釈し、水(100ml)、3%チオ硫酸ナトリウム水溶液、および飽和食塩水にて順次洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥し、減圧下に溶媒を留去した。残留物を減圧蒸留(bp70℃/15Torr)にて精製し標記化合物2(5.6g,81.2%)を得た。
NMR(300MHz,CDCl3):δ3.25(2H,t,J=6.4Hz),2.32−2.09(4H,m)
13C−NMR(75MHz,CDCl3):δ121.60−110.78,32.21,24.64,4.01
[実施例A−2]
t−Butyl 6,6,7,7,8,8,9,9,9−nonafluorononanoateの合成
tBuOAc(0.53ml,3.90mmol)を無水THF(11ml)に溶解し、窒素雰囲気下−78℃にて、LDAの2.0M THF/n−heptane/ethylbenzene溶液(1.95ml,3.90mmol)およびhexamethylphosphoramide(0.13ml,0.023mmol)を加え1時間攪拌した。−40℃にて1,1,1,2,2,3,3,4,4−nonafluoro−7−iodoheptane(1.01g,2.60mmol)を滴加し、徐々に室温まで温度を上げ、さらに1時間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、エーテルにて抽出した。抽出液を水、および飽和食塩水にて順次洗浄した後、硫酸マグネシウムにて乾燥し、減圧下に溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィにて精製し標記化合物(740mg,75.6%)を得た。
NMR(300MHz,CDCl3):δ2.27(2H,t,J=6.0Hz),2.17−1.99(2H,m),1.73−1.51(4H,m),1.45(9H,s)
MS(ESI):m/z399(M+Na)
[実施例B]
[参考例B−1]
4,4,5,5,6,6,7,7,7−Nonafluoroheptyl trifluoromethanesulfonateの合成
4,4,5,5,6,6,7,7,7−Nonafluoroheptanol(9.37g,33.7mmol)をジクロロメタン(94ml)に溶解し、窒素雰囲気下、0℃にて(CF3SO2)2O(10.0g,35.4mmol)およびpyridine(2.86ml,35.4mmol)を加え、0℃にて1時間攪拌した。反応液を室温まで冷却後酢酸エチル(100ml)にて希釈し、水(100ml)、3%チオ硫酸ナトリウム水溶液、および飽和食塩水にて順次洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥し、減圧下に溶媒を留去した。残留物を真空蒸留(bp48℃/0.3Torr)にて精製し標記化合物(12.4g,91.4%)を得た。
NMR(300MHz,CDCl3):δ4.61(2H,t,J=5.9Hz),2.33−2.14(4H,m)
[実施例B−2]
t−Butyl 6,6,7,7,8,8,9,9,9−nonafluorononanoateの合成
tBuOAc(250mg,2.16mmol)を無水THF(4ml)に溶解し、窒素雰囲気下−78℃にて、LDAの2.0M THF/n−heptane/ethylbenzene溶液(1.09ml,2.16mmol)を加え50分攪拌した。次いで4,4,5,5,6,6,7,7,7−nonafluoroheptyl trifluoromethanesulfonate(800mg,1.96mmol)の無水THF(2.6ml)溶液を滴加し、−78℃にて1時間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、エーテルにて抽出した。抽出液を水、および飽和食塩水にて順次洗浄した後、硫酸マグネシウムにて乾燥し、減圧下に溶媒を留去した。残留物を真空蒸留(bp 46−56℃/0.4 Torr)にて精製し標記化合物(663mg,91.0%)を得た。本化合物は実施例(A−2)で得られた化合物と一致した。
[実施例C−1]
t−Butyl 2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−nonafluoroheptyl)−10−iododecanoateの合成
t−Butyl 6,6,7,7,8,8,9,9,9−nonafluorononanoate(9g,23.92mmol)および1,8−diiodooctane(14.28ml,71.76mmol)を無水THF(126ml)に溶解し、窒素雰囲気下−40℃にて、LDAの2.0M THF/n−heptane/ethylbenzene溶液(14.5ml,28.7mmol)を加え1時間攪拌した。次いで反応混合物を飽和塩化アンモニウム(10ml)で処理してジエチルエーテル(50ml)で抽出した。有機層を水(10ml)で2回および飽和食塩水(10ml)で1回洗浄した。次いでこの有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した。濾液を減圧蒸留し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し標記化合物(8.08g,55.0%)を得た。
NMR(300MHz,CDCl3):δ3.18(2H,t,J=6.0Hz),2.26−2.17(1H,m),2.16−1.97(2H,m),1.86−1.77(4H,m),1.77−1.22(14H,m)),1.45(9H,s)
MS(ESI):m/z615(M+1)
I.4−ステップによる反応(実施例1〜実施例7)
[実施例1]
6,6,7,7,8,8,9,9,9−Nonafluoro−4−iodononanoic acidの合成
4−Pentenoic acid(3.0g,29.96mmol)、2,2−azobisisobutyronitrile(98.4mg,0.59mmol)、および1,1,2,2,3,3,4,4,4−nonafluoro−1−iodobutane(25.9g,74.87mmol)の混合物を、3時間加熱還流した。減圧下に過剰の試薬を留去し、標記化合物(13.36g,100%)を得た。
NMR(300MHz,CDCl3):δ4.48−4.33(1H,m),3.11−2.50(4H,m),2.29−1.98(2H,m)
IR(KBr,cm−1):3200,1700,1220
[実施例2]
6,6,7,7,8,8,9,9,9−Nonafluorononanoic acidの合成
6,6,7,7,8,8,9,9,9−Nonafluoro−4−iodononanoic acid(53.4g,119.72mmol)、sodium acetate(16.7g,203.58mmol)をMeOH(200ml)に溶解し、10wt%Pd−C(5.3g)を加え、水素雰囲気下室温にて16時間攪拌した。反応混合物を濾過し、濾液を減圧下に濃縮した。得られた残留物をエーテルおよび水にて分液後、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液にてpH6として洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥した。次いで減圧下に溶媒を留去し、標記化合物(30.3g,78%)を得た。
NMR(300MHz,CDCl3):δ2.42(2H,t,J=6.9Hz),2.17−1.97(2H,m),1.81−1.60(4H,m)
[実施例3]
t−Butyl 6,6,7,7,8,8,9,9,9−nonafluorononanoateの合成
6,6,7,7,8,8,9,9,9−Nonafluorononanoic acid(10.0g,31.24mmol)、t−BuOH(11.5g,155.1mmol)および4−(N,N−dimethylamino)pyridine(0.38g,3.12mmol)をジクロロメタン(150ml)に溶解し、0℃にてN,N‘−dicyclohexylcarbodiimide(8.2g,39.74mmol)を加え、室温にて3時間攪拌した。反応混合物を濾過し、濾液を減圧下に濃縮した。得られた残留物を真空蒸留に付し、標記化合物(8.2g,77%)を得た。本化合物は実施例(A−2)で得られた化合物と一致した。
[実施例4]
t−Butyl 4−pentenoateの合成
4−Pentenioic acid(10.0g,99.88mmol)、t−BuOH(24.6g,331.89mmol)および4−(N,N−dimethylamino)pyridine(1.2g,9.98mmol)をcyclohexane(100ml)に溶解し、0℃にてN,N‘−dicyclohexylcarbodiimide(24.73g,120.0mmol)を加え、室温にて1時間攪拌した。反応混合物を濾過し、濾液を減圧下に濃縮した。得られた残留物を真空蒸留に付し、標記化合物(11.1g,71%)を得た。
NMR(300MHz,CDCl3):δ5.87−5.78(1H,m),5.10−4.95(2H,m),2.39−2.24(4H,m),1.45(9H,s)
IR(KBr,cm−1):3150,2950,2850,1730,1640,1220
[実施例5]
t−Butyl 6,6,7,7,8,8,9,9,9−nonafluoro−4−iodononanoateの合成
t−Butyl 4−pentenoate(10.9g,67.00mmol)、2,2−azobisisobutyronitrile(230mg,1.40mmol)、および1,1,2,2,3,3,4,4,4−nonafluoro−1−iodobutane(36.3g,104.95mmol)の混合物を、3時間加熱還流した。減圧下に過剰の試薬を留去し、標記化合物(23.5g,91%)を得た。
NMR(300MHz,CDCl3):δ4.43−4.32(1H,m),3.06−2.66(2H,m),2.55−2.34(2H,m),2.21−1.95(2H,m),1.43(9H,s)
IR(KBr,cm−1):2950,2850,1730,1220
[実施例6]
t−Butyl 6,6,7,7,8,8,9,9,9−nonafluorononanoateの合成
t−Butyl 6,6,7,7,8,8,9,9,9−nonafluoro−4−iodononanoate(34.5g,68.74mmol)、sodium acetate(9.6g,116.86mmol)をMeOH(230ml)に溶解し、10wt%Pd−C(3.4g)を加え、50psi水素雰囲気下室温にて1時間攪拌した。反応混合物を濾過し、濾液を減圧下に濃縮した。得られた残留物をエーテルおよび水にて分液後、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥した。減圧下に溶媒を留去してえられた残留物を真空蒸留に付し、標記化合物(23.5g,91%)を得た。本化合物は実施例(A−2)で得られた化合物と一致した。
[実施例7]
t−Butyl 10−iodo−2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−nonafluoroheptyl)decanoateの合成
Lithium bis(trimethylsilyl)amideの1N THF溶液(3.19ml,3.19mmol)に、無水THF(8ml)に溶解したt−butyl 6,6,7,7,8,8,9,9,9−nonafluorononanoate(1.0g,2.66mmol)を−78℃で滴下し、−78℃で1時間撹拌した。次いで無水THF(10ml)に溶解した1,8−diiodooctane(1.31ml,6.64mmol)溶液を−78℃で滴下した。この反応混合物を4時間かけて室温まで加温した。次いでこの混合物を−10℃で飽和塩化アンモニウム水溶液(0.5ml)で処理した。その後、この混合物をエーテル(15ml)および水(10ml)で抽出し、3%チオ硫酸ナトリウム溶液(10ml)、水(10ml)、および飽和食塩水(10ml)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;酢酸エチル:ヘキサン=1:50(v/v))により精製し、標記化合物(1.1g,68%)を得た。本化合物は実施例(C−1)で得られた化合物と一致した。
[実施例8]
t−Butyl 10−iododecanoateの合成
t−BuOAc(5g,43.0mmol)と1,8−diiodooctane(25.7ml,129.0mmol)を無水THF(250ml)に溶解し、窒素雰囲気下−45℃にて、LDAの2.0M,THF/n−heptane/ethylbenzene溶液(19.4ml,38.7mmol)を滴下し、さらに1時間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、エーテルにて抽出した。抽出液を3%チオ硫酸ナトリウム水溶液、水、および飽和食塩水にて順次洗浄した後、硫酸マグネシウムにて乾燥し、減圧下に溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィにて精製し標記化合物(11.5g,84%)を得た。
1H−NMR(300MHz,CDCl3):δ3.19(2H,t,J=6.7Hz),2.20(2H,t,J=7.5Hz),1.84−1.62(2H,m),1.45(9H,s),1.61−1.20(12H,m)
13C−NMR(75MHz,CDCl3):δ175.54,80.76,46.47,33.92,33.00,32.30,30.85,29.78,29.62,28.83,28.46,27.59,18.53,7.56
[実施例9]
t−Butyl 2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−nonafluoroheptyl)−10−iododecanoateの合成
t−Butyl 10−iododecanoate(1.7g,4.8mmol)を無水THF(17ml)に溶解し、窒素雰囲気下−78℃にて、LDAの2.0M THF/n−heptane/ethylbenzene溶液(2.4ml,4.8mmol)を滴下し、次いで4,4,5,5,6,6,7,7,7−nonafluoroheptyl trifluoromethanesulfonate(2.1g,5.0mmol)を滴加し、−78℃にて1時間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、エーテルにて抽出した。抽出液を水、および飽和食塩水にて順次洗浄した後、硫酸マグネシウムにて乾燥し、減圧下に溶媒を留去した。残留物を真空蒸留(bp 160−180℃/0.5 Torr)にて精製し標記化合物(2.4g,83%)を得た。
本化合物は、実施例(C−1)で得られた化合物と一致した。
[実施例10]
t−Butyl (±)−2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−nonafluoroheptyl)−10−iododecanoateの光学分割
標記化合物(100g)をキラルカラム(Chiralcel OD、ダイセル化学工業(株)製)を用い、下記条件にて光学分割を行い各々の鏡像体(38.5gおよび33.1g)を得た。移動相:ヘキサン、流速:0.5ml/分、温度:35℃、保持時間:第一ピーク(14.22分)、第二ピーク(17.37分)
各々の化合物のNMRおよびMSスペクトルはラセミ体のスペクトルと一致した。
[実施例11]
(±)−2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−Nonafluoroheptyl)−10−iododecanoic acidの合成
t−Butyl (±)−2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−nonafluoroheptyl)−10−iododecanoate(30.7g,50.0mmol)をトリフロロ酢酸(100ml)に溶解し、室温下30分攪拌した。次いで反応混合物を減圧蒸留し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エチル=5:1(v/v))によって精製し標記化合物(27.4g,98.2%)を得た。得られた化合物(3g,5.37mol)をMeOH(15ml)に溶解後、水(2ml)を滴下した。懸濁液を加温し溶解した後、室温にて1時間攪拌した。析出した結晶をろ過して標記化合物の結晶(2.08g,69.3%)を得た。
NMR(270MHz,CDCl3):δ3.18(2H,t,J=7.0Hz),2.50−2.28(1H,m),2.22−1.92(2H,m),1.90−1.00(18H,m).
MS(ESI):m/z559(M+1)
mp:48−49℃
[実施例12]
(±)−2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−Nonafluoroheptyl)−10−iododecanoic acidの光学分割
標記化合物をキラルカラム(CHIRALPAK AD、ダイセル化学工業(株)製)を用い、下記条件にて光学分割を行い各々の鏡像体を得た。
移動相:ヘキサン/イソプロパノール/酢酸(980/20/1(v/v/v))、
流速:1.0ml/分、温度:25℃、保持時間:第一ピーク(8.86分)、第二ピーク(11.14分)
各々の化合物のNMRおよびMSスペクトルはラセミ体のスペクトルと一致した。
[実施例13]
(+)−2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−Nonafluoroheptyl)−10−iododecanoic acidの合成
実施例10で第一ピークとして得られた(−)−t−Butyl 2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−nonafluoroheptyl)−10−iododecanoate(15.05g)を用いて実施例11と同様に反応を行い、標記化合物(13.48g、98.6%)を得た。本化合物のNMRおよびMSスペクトルはラセミ体のスペクトルと一致し、HPLCの保持時間は実施例12で得られた第二ピークの化合物の保持時間と一致した。
[実施例14]
(−)−2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−Nonafluoroheptyl)−10−iododecanoic acidの合成
実施例10で第二ピークとして得られた(+)−t−Butyl 2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−nonafluoroheptyl)−10−iododecanoate(15.0g)を用いて実施例11と同様に反応を行い標記化合物(13.47g、98.9%)を得た。本化合物のNMRおよびMSスペクトルはラセミ体のスペクトルと一致し、HPLCの保持時間は実施例12で得られた第一ピークの化合物と一致した。
[参考例1]
3,17β−Bis(1−methoxy−1−methylethoxy)estra−1,3,5(10)−trieneの合成
Estradiol(1.36g,5mmol)を2−methoxypropene(2.52ml,25mmol)に懸濁し、0℃にてpyridinium p−toluenesulfonate(4mM テトラヒドロフラン溶液、0.05ml,0.0002mmol)を加え、0℃にて2時間撹拌した。反応液にヘキサン(15ml)を加え、5%炭酸カリウム水溶液(10ml)および飽和食塩水(10ml)にて順次洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、溶媒を減圧下留去し、粗生成物(2.0g)を得た。さらに本化合物をヘキサンから再結晶を行い、標記化合物(1.44g、収率69%)を得た。mp.94−95℃
NMR(300MHz,CDCl3)δ7.16(1H,d,J=8.5Hz)、6.88(1H,dd,J=8.5Hz,2.7Hz)、6.79(1H,d,J=2.7Hz)、3.70(1H,dd,J=7.7Hz,8.8Hz)、3.41(3H,s)、3.24(3H,s)、2.86−2.79(2H,m)、2.34−2.13(2H,m)、2.08−1.82(3H,m)、1.74−1.24(7H,m)、1.46(6H,s)、1.34(3H,s)、1.33(3H,s)、1.23−1.10(1H,m)、0.80(3H,s).
[実施例15〜22]
3,17β−Bis(1−methoxy−1−methylethoxy)e stra−1,3,5(10)−trien−6−olの合成
塩基の種類および当量数を変えて6位のヒドロキシル化反応を行った。
その結果を表1に示す。
生成比は生成物のNMR積分値から求めた。
KDA:potassium diisopropylamide
KTMP:potassium tetramethylpiperidide
実施例17の詳細を以下に示す。
t−BuOK(8.08g、72mmol)を無水テトラヒドロフラン(32ml)に懸濁し、窒素雰囲気下−78℃にてn−BuLi(2.46Mヘキサン溶液、29.28ml、72mmol)および2,2,6,6−tetramethylpiperidine(12.16ml、72mmol)をそれぞれ15分かけて滴下し、−78℃で30分間攪拌した。さらに3,17β−bis(1−methoxy−1−methylethoxy)estra−1,3,5(10)−triene(10.0g、24mmol)の無水テトラヒドロフラン溶液(32ml)を−78℃で30分かけて加え、同温度で4時間攪拌した。次いでB(OMe)3(8.16ml、72mmol)を−78℃で10分かけて加え、同温度で30分攪拌後、0℃で1時間攪拌した。さらに30%過酸化水素水(80ml)を0℃で10分かけて加え、室温で2時間攪拌した。水(160ml)加えて5分攪拌後、ヘキサン−酢酸エチル(2:1)で2回(240mlと80ml)抽出した。有機層を5%炭酸カリウム水溶液(80ml)で洗浄したのちに、5%炭酸カリウム水溶液(8ml)と10%チオ硫酸ナトリウム水溶液(80ml)の混合液で洗浄した。次いで5%炭酸カリウム水溶液(8ml)と飽和食塩水(80ml)の混合液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、濾過した。濾液を減圧濃縮後、残渣をヘキサンで結晶化し、標記化合物(6.26g、60.3%)を得た。
NMR(270MHz、CDCl3)δ7.31−7.22(1H,m)、7.16(1H,d,J=8.5Hz)、6.99(1H,dd,J=2.4Hz,8.5Hz)、4.86−4.77(1H,m)、3.71(1H,t,J=8.2Hz)、3.42(3H,s)、3.23(3H,s)、2.36−2.19(3H,m)、2.09−1.88(2H,m)、1.74−1.19(21H,m)、0.80(3H,s).
MS(EI):m/z432(M+)
B(OMe)3の当量数およびMeOH添加の有無を変えて6位のヒドロキシル化反応を行った。
その結果を表2に示す。
生成比は生成物のNMR積分値から求めた。
実施例22の詳細を以下に示す。
t−BuOK(1.01g、9.0mmol)をテトラヒドロフラン(4ml)に懸濁し、窒素雰囲気下−78℃にて、n−BuLi(2.46Mヘキサン溶液、3.66ml、9.0mmol)および2,2,6,6−tetramethylpiperidine(3.0ml、9.0mmol)を加え、−78℃にて10分間撹拌した。さらに3,17β−bis(1−methoxy−1−methylethoxy)estra−1,3,5(10)−triene(1.25g、3.0mmol)のテトラヒドロフラン溶液(3.0ml)を−78℃で加え、同温度で4時間攪拌した。B(OMe)3(0.68ml、6.0mmol)を−78℃で加え1時間攪拌後、MeOH(245μl、6.0mmol)を−78℃で滴下し、0℃にして1時間攪拌した。0℃で30%H2O2(10ml)を加え、室温で2時間攪拌した。有機層を分取し、水層をヘキサン−酢酸エチル(2:1(v/v))で抽出した。抽出液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、濾過した。濾液を減圧濃縮後、残渣をヘキサンで結晶化し、標記化合物(695mg、54%)を白色結晶として得た。
[実施例23]
3,17β−Bis(1−methoxy−1−methylethoxy)estra−1,3,5(10)−trien−6−oneの合成
3,17β−Bis(1−methoxy−1−methylethoxy)estra−1,3,5(10)−trien−6−ol(432.6mg,1mmol)にtoluene(3mL)、水(0.6ml)を加え、0℃にて2,2,6,6−tetramethyl−1−piperidinyloxy(9.4mg,0.06mmol)、NaHCO3(252.0mg,3mmol)、KBr(3.6mg,0.03mmol)を加え、さらに15%NaClO(3ml)を10分間かけて滴下した。0℃で6時間30分間撹拌した後、反応液に酢酸エチルおよび水を加えて抽出し、有機層を飽和食塩水にて洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、有機溶媒を減圧下留去し、標記化合物(417mg、97%)を得た。
NMR(300MHz,CDCl3)δ7.74(1H,d,J=2.5Hz)、7.32(1H,d,J=8.8Hz)、7.27(1H,dd,J=8.8Hz,2.5Hz)、3.73(1H,t,J=8.1Hz)、3.43(3H,s)、3.24(3H,s)、2.74(1H,dd,J=16.8Hz,3.4Hz)、2.48(1H,m)、2.32−2.42(1H,m)、2.20(1H,dd,J=16.8Hz,13.2Hz)、1.86−2.08(3H,m)、1.50−1.74(3H,m)、1.47(3H,s)、1.46(3H,s)、1.33(3H,s)、1.24−1.44(6H,m)、0.81(3H,s).
MS(ESI):453(M+23)
[実施例24]
3,17β−Bis(1−methoxy−1−methylethoxy)estra−1,3,5(10)−trien−6−oneの再結晶
標記化合物(2.09g)をテトラヒドロフラン(2v/v%Et3N含有、4.5ml)に溶解し、ヘプタン(2v/v%Et3N含有、14.5ml)を加えて再結晶を行い、1.56g(収率75%)を得た。
mp137−138℃
[実施例25]
3,17β−Bis(1−methoxy−1−methylethoxy)estra−1,3,5(10)−trien−6−oneの合成
3,17β−Bis(1−methoxy−1−methylethoxy)estra−1,3,5(10)−trien−6−ol(1.0g,2.31mmol)を酢酸エチル(23ml)に溶解し、活性MnO2(2.0g)、モレキュラーシーブ4A(1.0g)を加え室温にて16時間撹拌した後、さらに活性MnO2(2.0g)を追加し室温にて3時間撹拌した。反応液を濾過した後、有機溶媒を減圧下留去し、標記化合物(995mg、収率100%)を得た。本化合物は実施例23で得られた化合物と一致した。
[実施例26]
3,17β−Bis(methoxymethoxy)estra−1,3,5(10)−trien−6−olの合成
t−BuOK(1.35g、12mmol)を無水テトラヒドロフラン(2ml)に懸濁し、窒素雰囲気下−78℃にてn−BuLi(1.6Mヘキサン溶液、7.5ml、12mmol)およびdiisopropylamine(1.68ml、12mmol)を滴下し、同温度で30分間攪拌した。さらに3,17β−bis(methoxymethoxy)estra−1,3,5(10)−triene(1.08g、3.0mmol)の無水テトラヒドロフラン溶液(4ml)を−78℃で加え、同温度で4時間攪拌した。次いでB(OMe)3(2.04ml、18mmol)を−78℃で10分かけて加え、0℃で1時間攪拌した。さらに30%過酸化水素水(5ml)を0℃で加え、室温で1時間攪拌した。5%炭酸水素ナトリウム(20ml)加えた後、ヘキサン−酢酸エチル(5:2(v/v))(70ml)で抽出した。有機層を10%チオ硫酸ナトリウム水溶液、5%硫酸水素カリウム水溶液、飽和食塩水、5%炭酸水素ナトリウム、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、濾過した。濾液を減圧濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(酢酸エチル:ヘキサン=1:1(v/v))で精製し、標記化合物(843mg、収率74.6%)を得た。
NMR(300MHz、CDCl3)δ7.26(1H,m)、7.20(1H,d,J=8.7Hz)、6.92(1H,dd,J=2.7Hz,8.7Hz)、5.20−5.15(2H,m)、4.88−4.79(1H,m)、4.68−4.63(2H,m)、3.62(1H,t,J=8.4Hz)、3.48(3H,s)、3.37(3H,s)、2.34−2.22(3H,m)、2.15−1.96(2H,m)、1.76−1.21(9H,m)、0.81(3H,s).
MS(DI):m/z376(M+)
[実施例27]
3,17β−Bis(methoxymethoxy)estra−1,3,5(10)−trien−6−oneの合成
3,17β−Bis(methoxymethoxy)estra−1,3,5(10)−trien−6−ol(188mg、0.50mmol)、2,2,6,6−tetramethyl−1−piperidinyloxy(8.0mg、0.05mmol)、KBr(60mg、0.50mmol)およびNaHCO3(84mg、1.00mmol)をジクロロメタン(1ml)および蒸留水(0.5ml)の混合液に溶解し、0℃にて15%NaClO(1ml)を滴下した。0℃で30分間撹拌した後、反応液をヘキサンで抽出し、有機層を10%チオ硫酸ナトリウム水溶液(20ml)、5%硫酸水素カリウム水溶液(10ml)、飽和食塩水(10ml)、5%炭酸水素ナトリウム(10ml)、飽和食塩水(10ml)で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、濾過した。濾液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(酢酸エチル:ヘキサン=1:1(v/v))で精製し、標記化合物(178mg、収率95.2%)を得た。
NMR(300MHz、CDCl3)δ7.70(1H,d,J=2.9Hz)、7.36(1H,d,J=8.6Hz)、7.21(1H,dd,J=2.9Hz,8.6Hz)、5.20(2H,s)、4.69−4.64(2H,m)、3.63(1H,t,J=8.4Hz)、3.47(3H,s)、3.38(3H,s)、2.74(1H,dd,J=3.3Hz,16.5Hz)、2.53−2.33(2H,m)、2.26−1.87(4H,m)、1.73−1.25(6H,m)、0.82(3H,s).
MS(DI):m/z374(M+)
[実施例28]
3,17β−Bis(1−methoxy−1−methylethoxy)e stra−1,3,5(10)−trien−6−one oximeの合成
t−BuOK(456mg、4.06mmol)のテトラヒドロフラン(1.5ml)溶液にn−BuLi(2.46Mヘキサン溶液、1.65ml、4.06mmol)を窒素雰囲気下−78℃にて3分かけて加えたのち、2,2,6,6−tetramethylpiperidine(0.69ml、4.09mmol)を同温にて3分かけて加えた。さらに3,17β−bis(1−methoxy−1−methylethoxy)estra−1,3,5(10)−triene(423mg、1.02mmol)のテトラヒドロフラン溶液(1.1ml)を窒素雰囲気下−78℃にて7分かけて加え、同温にて3時間撹拌した後、isoamyl nitrite(0.54ml、4.0mmol)を加え、−78℃にて30分間、0℃にて45分間撹拌した。反応液に酢酸エチルおよび水を加えて抽出し、有機層を飽和食塩水にて洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、有機溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(NHシリカゲル、展開溶媒;酢酸エチル:ヘキサン=5:1(v/v))にて精製し、標記化合物(193mg、収率42%)を得た。
NMR(300MHz,CDCl3)δ7.63(1H,d,J=2.7Hz)、7.22(1H,d,J=8.7Hz)、7.08(1H,dd,J=8.4Hz,2.7Hz)、3.72(1H,dd,J=8.0Hz,8.0Hz)、3.44(3H,s)、3.24(3H,s)、3.17(1H,dd,J=18.0Hz,4.5Hz)、2.29(1H,dd,J=13.5Hz,3.3Hz)、2.18(1H,td,J=11.2Hz,4.7Hz)、1.95−2.1(3H,m)、1.50−1.80(4H,m)、1.47(3H,s)、1.46(3H,s)、1.34(6H,s)、1.15−1.45(3H,m)、0.79(3H,s).
MS(EI):302.3(M+1−MIPx2)
[実施例29]
3,17β−Bis(1−methoxy−1−methylethoxy)estra−1,3,5(10)−trien−6−oneの合成
3,17β−Bis(1−methoxy−1−methylethoxy)estra−1,3,5(10)−trien−6−one oxime(9mg、0.02mmol)のMeCN(0.1ml)溶液に1.7M NaOCl水溶液(0.05ml、0.085mmol)を室温にて加え、15分間撹拌した後、酢酸エチルおよび水を加えて抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、有機溶媒を減圧下留去し、標記化合物(9mg、収率100%)を得た。
本化合物は実施例23で得られた化合物と一致した。
[実施例30]
3,17β−Bis(methoxymethoxy)estra−1,3,5(10)−trien−6−one oximeの合成
t−BuOK(1.0M テトラヒドロフラン溶液、4ml、4mmol)に、窒素雰囲気下−78℃にてn−BuLi(1.5M ヘキサン溶液、2.7ml、4mmol)、diisopropylamine(0.4g、4mmol)およびhexamethylphosphoramide(0.2ml、1mmol)を滴下し、同温度で30分間攪拌した。さらに3,17β−bis(methoxymethoxy)estra−1,3,5(10)−triene(360mg、1.0mmol)の無水テトラヒドロフラン溶液(1.5ml)を−78℃で加え、同温度で4時間攪拌した。次いでisoamyl nitrite(0.77g、4mmol)を−78℃で加え、0℃で1時間攪拌した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出し、有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、濾過した。濾液を減圧濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(酢酸エチル:ヘキサン=1:4−2:3(v/v))で精製し、標記化合物(202mg、収率50%)を得た。
NMR(300MHz、CDCl3)δ9.08(1H,s)、7.58(1H,d,J=2.8Hz)、7.24(1H,d,J=8.5Hz)、7.03(1H,dd,J=2.8Hz,8.5Hz)、5.19(1H,d,J=6.6Hz)、5.16(1H,d,J=6.6Hz)、4.68(1H,d,J=6.6Hz)、4.66(1H,d,J=6.6Hz)、3.63(1H,t,J=8.4Hz)、3.48(3H,s)、3.39(3H,s)、3.16(1H,dd,J=4.7Hz,8.1Hz)、2.34−2.24(1H,m)、2.22−1.96(4H,m)、1.85−1.72(1H,m)、1.70−1.16(7H,m)、0.79(3H,s).
MS(ESI)m/z390(M+1)
[実施例31]
3,17β−Bis(methoxymethoxy)estra−1,3,5(10)−trien−6−oneの合成
3,17β−Bis(methoxymethoxy)estra−1,3,5(10)−trien−6−one oxime(48mg、0.12mmol)をテトラヒドロフラン−メタノール(1.25ml−0.25ml)に溶解し、室温にて5N NaOH水溶液(0.25ml)および(NH4)2Ce(NO3)6(66mg,0.12mmol)を加え、同温度で1時間攪拌した。さらに水(0.1ml)およびメタノール(0.25ml)を加えた後、攪拌下に原料が消失するまで(NH4)2Ce(NO3)6(330mg,0.6mmol)を少量ずつ加えた。反応液に水およびエーテルを加えて抽出し、有機層を水洗後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥し、濾過した。濾液を減圧濃縮し、標記化合物(44mg、収率96%)を得た。
本化合物は実施例27で得られた化合物と一致した。
[実施例32]
6−Ketoestradiolの合成
19−Nortestosteron(1.0g、3.64mmol)をジメチルスルホキシド(8ml)に溶かし、酢酸カリウム(502mg、5.11mmol)を加え、空気雰囲気下、120℃にて11時間撹拌した。反応液を室温まで冷却し、蒸留水(70ml)および2N HCl水溶液(5ml)を加え、生じた沈殿物を濾取した。濾別した沈殿物をメタノールに溶解し、トルエンを加えて、減圧下濃縮し、標記化合物(890mg、収率85%)を得た。本化合物は標品と一致した。
[実施例33]
3,17β−Bis(1−methoxy−1−methylethoxy)estra−1,3,5(10)−trien−6−oneの合成
6−Ketoestradiol(890mg、3.1mmol)をテトラヒドロフラン(8.0ml)に溶かし、0℃にて2−methoxypropene(6.0ml、62mmol)を加え、さらにpyridinium p−toluenesulfonate(1mg)を加えて、窒素雰囲気下、同温度にて30分間撹拌した。0℃にて5%炭酸カリウム水溶液を加えた後、酢酸エチルおよび水を加えて抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、有機溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(NHシリカゲル、展開溶媒;酢酸エチル:ヘキサン=1:20(v/v))にて精製し、標記化合物(580mg、収率44%)を得た。
本化合物は実施例23で得られた化合物と一致した。
[実施例34]
t−Butyl 2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−nonafluoroheptyl)−10−[(7α,17β)−3,17−dihydroxy−6−oxoestra−1,3,5(10)−trien−7−yl]decanoateの合成
3,17β−Bis(1−methoxy−1−methylethoxy)estra−1,3,5(10)−trien−6−one(9.02g,20.95mmol)を1,4−dioxane(35ml)に溶解し、t−BuOK(2.72g,23.04mmol)を加え室温にて30分間撹拌した後、t−butyl (±)−2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−nonafluoroheptyl)−10−iododecanoate(14.16g,23.04mmol)の1,4−dioxane(7ml)溶液を加え、室温にて12時間撹拌した。さらにt−BuOK(990mg,8.38mmol)を加え室温にて3時間撹拌した後、氷冷下に10%炭酸水素ナトリウム水溶液(30ml)を加えヘキサンにて抽出した。抽出液を飽和食塩水にて洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、有機溶媒を減圧下留去した。残留物を酢酸エチルに溶解し、10%硫酸水素カリウム水溶液を加え室温にて4時間撹拌した。有機層を分取し、飽和食塩水にて洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、有機溶媒を減圧下留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィにて精製(酢酸エチル:ヘキサン=1:4(v/v))し、標記化合物(12.03g,収率74.3%)を立体異性体混合物(1:1)として得た。
NMR(CDCl3)δ7.47 and 7.45(each 0.5H,each d,J=2.9Hz)、7.29(1H,d,J=8.5Hz)、7.04(1H,dd,J=8.5Hz,2.9Hz)、5.72 and (each 0.5H,each s)、3.77(1H,dd,J=8.5Hz,7.7Hz)、2.68(1H,dt,J=11.5Hz,4.7Hz)、2.48−2.34(2H,m)、2.28−1.92(6H,m)、1.74−1.06(27H,m)、1.47 and 1.45(each 4.5H,each s)、0.79(3H,s).
MS(ESI):m/z 716(M−isobutene)
[実施例35]
2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−Nonafluoroheptyl)−10−[(7α,17β)−3,17−dihydroxyestra−1,3,5(10)−trien−7−yl]decanoic acidの合成
t−Butyl 2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−nonafluoroheptyl)−10−[(7α,17β)−3,17−dihydroxy−6−oxoestra−1,3,5(10)−trien−7−yl]decanoate(50mg、0.065mmol)のジクロロメタン(2.5ml)溶液にEt3SiH(0.10ml、0.63mmol)、およびBF3・Et2O(0.040ml、0.32mmol)を室温にて加え同温にて1日撹拌した後、さらにEt3SiH(0.10ml、0.63mmol)を室温にて加え同温にて2日撹拌した。反応液にジクロロメタンおよび水を加えて抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥し、有機溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒;ヘキサン:アセトン=3:1(v/v))にて精製し、標記化合物(40mg、収率88%)を立体異性体混合物(1:1)として得た。本化合物は標品と一致した。
[実施例36]
t−Butyl 2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−nonafluoroheptyl)−10−[(7α,17β)−3,17−bis(methoxymethoxy)−6−oxoestra−1,3,5(10)−trien−7−yl]decanoateの合成
窒素雰囲気下、3,17−bis(methoxymethoxy)estra−1,3,5(10)−trien−6−one(249.1mg、0.666mmol)の1,2−dimethoxyethane(2ml)溶液をt−BuOK(86mg、0.765mmol)の1,2−dimethoxyethane(0.5ml)の氷冷懸濁液に滴下し、同温度にて1時間撹拌した。次いでt−butyl (±)−2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−nonafluoroheptyl)−10−iododecanoate(0.61g、0.998mmol)の1,2−dimethoxyethane(0.6ml)溶液を滴下後、反応混合物を同温度にて2時間45分間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液5mlを加えて反応を停止し、続いて飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液0.5ml及び水2mlを加えた。混合物をヘキサン−酢酸エチル(1:1(v/v))にて抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィにて精製し、標記化合物0.28g(収率49%)を立体異性体混合物(1:1)として得た。
NMR(CDCl3)δ7.67(1H、d、J=2.8Hz)、7.32(1H、d、J=8.6Hz)、7.20(1H、dd、J=8.6Hz、2.8Hz)、5.20(2H、s)、3.35−3.40(2H、m)、3.65(1H、t、J=8.4Hz)、3.48(3H、s)、3.35−3.40(3H、m)、2.6−2.8(1H、m)、1.9−2.5(8H、m)、1.0−1.7(35H、m)、0.81(3H、s)
[実施例37]
2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−Nonafluoroheptyl)−10−[(7α,17β)−3,17−dihydroxy−6−oxo−estra−1,3,5(10)−trien−7−yl]decanoic acidの合成
t−Butyl 2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−nonafluoroheptyl)−10−[(7α,17β)−3,17−bis(methoxymethoxy)−6−oxoestra−1,3,5(10)−trien−7−yl]decanoate(1.15g、1.34mmol)のジクロロメタン(1ml)溶液に水(1ml)を加え、0℃に冷却後トリフルオロ酢酸(5ml)を加えた。反応混合物を0℃で5分間、室温で2時間10分撹拌後、減圧下濃縮した。残渣をメタノール(3ml)に溶解し、0℃に冷却後炭酸カリウム(0.46g)を加えた。0℃で5分間、室温で40分間撹拌後、炭酸カリウム(0.46g)を添加し、更に40分間撹拌した。減圧濃縮後残渣にエーテル及び水を加え、濃塩酸で酸性(pH2)にし、エーテルにて抽出した。有機層を水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィにて精製し、標記化合物(0.71g、収率74%)を立体異性体混合物(1:1)として得た。
NMR(CDCl3)δ7.60(1H、d、J=2.8Hz)、7.29(1H、d、J=8.4Hz)、7.07(1H、dd、J=8.4Hz、2.8Hz)、3.79(1H、t、J=8.9Hz)、2.6−2.8(1H、m)、2.3−2.5(3H、m)、1.9−2.3(5H、m)、1.0−1.8(26H、m)、0.79(3H、s)
MS(ESI):m/z717(M+1)
[実施例38]
2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−Nonafluoroheptyl)−10−[(7α,17β)−3,17−dihydroxyestra−1,3,5(10)−trien−7−yl]decanoic acidの合成
2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−Nonafluoroheptyl)−10−[(7α,17β)−3,17−dihydroxy−6−oxo−estra−1,3,5(10)−trien−7−yl]decanoic acid(21.7mg、0.030mmol)、10%Pd−C(2mg)及び20%Pd(OH)2−C(2mg)をメタノール中水素雰囲気下、常圧で3.5日間撹拌した。反応液を濾過後、濾液を減圧下濃縮し、標記化合物(収率40%)を立体異性体混合物(1:1)として得た。本化合物は標品と一致した。
[実施例39]
t−Butyl 2ξ−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−nonafluoroheptyl)−10−[(7α,17β)−3,17−dihydr oxy−6−oxoestra−1,3,5(10)−trien−7−yl]decanoateの合成
窒素雰囲気下、1,4−ジオキサン(0.2ml)を3,17β−bis(1−methoxy−1−methylethoxy)estra−1,3,5(10)−trien−6−one(100.6mg、0.234mmol)及びカリウムt−ブトキシド(30.1mg、0.269mmol)の混合物に添加し、室温で30分間撹拌後、実施例10で得られたt−butyl(−)−2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−nonafluoroheptyl)−10−iododecanoate(第一ピーク、>99%ee)(158mg、0.257mmol)の1,4−ジオキサン(0.3ml)溶液を滴下した。反応混合物を18時間撹拌後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1ml)、水(2ml)及び飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液(0.1ml)を添加した。混合物を酢酸エチルで抽出し、有機相を飽和食塩水(7.5ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧下濃縮した。得られた粗生成物を酢酸エチル(2ml)に溶解後、飽和硫酸水素カリウム水溶液(2ml)を添加し、更に1時間50分間撹拌した。水(10ml)添加後、混合物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水(10ml)及び飽和食塩水(12.5ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム乾燥後、減圧下濃縮し、粗生成物を208.0mg得た。下記条件にてHPLC分析し、標記化合物が相対面積比42.2%、91.9%deで得られた事を確認した。
カラム:CHIRALPAK AD
移動相:ヘキサン/イソプロパノール=97/3(v/v)
流速:1.0ml/分
温度:室温
[実施例40]
2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−Nonafluoroheptyl)−10−[(7α,17β)−3,17−dihydroxy−6−oxo−estra−1,3,5(10)−trien−7−yl]decanoic acidの合成
窒素雰囲気下、t−ブチルメチルエーテル(0.2ml)を3,17β−bis(1−methoxy−1−methylethoxy)estra−1,3,5(10)−trien−6−one(51.5mg、0.120mmol)及びt−BuOK(29.5mg、0.263mmol)の混合物に加え、室温で40分間撹拌した。次いで(±)−2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−nonafluoroheptyl)−10−iododecanoic acid(73.4mg、0.132mmol)のt−ブチルメチルエーテル(0.3ml)溶液を滴下し、反応混合物を室温にて20時間撹拌した。反応混合物に飽和硫酸水素カリウム水溶液(2ml)及び酢酸エチル(1ml)を添加し、更に1時間撹拌した。水(10ml)添加後、混合物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水(10ml)及び飽和食塩水(10ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧下濃縮した。粗生成物を薄層クロマトグラフィ(Merck Kieselgel60; 展開溶媒: ヘキサン:アセトン=3:2(v/v))にて精製し、標記化合物(23.4mg、収率27.3%)を立体異性体混合物(1:1)として得た。本化合物は実施例37で得られた化合物と一致した。
[実施例41]
2ξ−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−Nonafluoroheptyl)10−[(7α,17β)−3,17−dihydroxy−6−oxo−estra−1,3,5(10)−trien−7−yl]decanoic acidの合成
窒素雰囲気下、1,2−dimethoxyethane(0.4ml)を3,17β−bis(1−methoxy−1−methylethoxy)estra−1,3,5(10)−trien−6−one(100.4mg、0.23mmol)及びt−BuOK(57.6mg、0.51mmol)の混合物に加え、室温で40分間撹拌した。次いで実施例13で得られた(+)−2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−nonafluoroheptyl)−10−iododecanoic acid(143.2mg、0.26mmol)の1,2−dimethoxyethane(0.6ml)溶液を滴下し、反応混合物を室温にて24時間撹拌した。反応混合物に飽和硫酸水素カリウム水溶液(4ml)及び酢酸エチル(2ml)を添加し、更に3時間撹拌した。水(20ml)添加後、混合物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水(20ml)及び飽和食塩水(20ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧下濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:アセトン=3:2(v/v))にて精製し、標記化合物(82.5mg、収率49.4%)を単一立体異性体として得た。
NMR(270MHz,CDCl3):δ7.58(1H,d,J=2.6Hz),7.30(1H,m),7.07(1H,dd,J=8.4Hz,2.6Hz),3.79(1H,t,J=8.2Hz),2.74−2.63(1H,m),2.53−2.30(3H,m),2.25−1.94(5H,m),1.80−1.08(26H,m),0.78(s,3H).
MS(ESI):m/z716(M+)
[実施例42]
2ξ−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−Nonafluoroheptyl)10−[(7α,17β)−3,17−dihydroxy−6−oxo −estra−1,3,5(10)−trien−7−yl]decanoic acidの合成
窒素雰囲気下、トルエン(0.4ml)を3,17β−bis(1−methoxy−1−methylethoxy)estra−1,3,5(10)−trien−6−one(100mg、0.232mmol)及びt−BuOK(57.3mg、0.511mmol)の混合物に加え、室温で40分間撹拌した。次いで実施例14で得られた(−)−2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−nonafluoroheptyl)−10−iododecanoic acid(142.6mg、0.255mmol)のトルエン(0.6ml)溶液を滴下し、反応混合物を室温にて24時間撹拌した。反応混合物に飽和硫酸水素カリウム水溶液(4ml)及び酢酸エチル(2ml)を添加し、更に3時間撹拌した。水(20ml)添加後、混合物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水(20ml)及び飽和食塩水(20ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧下濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:アセトン=3:2(v/v))にて精製し、標記化合物(42.1mg、収率25.3%)を単一立体異性体として得た。
NMR(270MHz,CDCl3)δ7.58(1H,d,J=2.7Hz),7.30−7.26(1H,m),7.06(1H,dd,J=8.1Hz,2.7Hz),3.78(1H,t,J=8.1Hz),2.76−2.60(1H,m),2.48−2.28(3H,m),2.18−1.92(5H,m),1.80−1.08(26H,m),0.78(3H,s)
MS(ESI):m/z 716(M+)
産業上の利用の可能性
本発明の新規エストラジオール誘導体の製造方法は、医薬として有用であるエストラジオール誘導体の工業的な製造方法として有用である。また、この方法に用いる本発明の中間体および当該中間体の工業的な製造方法も上記エストラジオール誘導体を製造するために有用である。
本発明は、エストラジオール誘導体の製造方法、およびこの方法の中間体およびその製造方法、および前記のエストラジオール誘導体の製造方法で用いられる原料の製造方法に関する。
背景技術
7α置換エストラジオール誘導体は、エストロゲン活性またはアンチエストロゲン活性を有することが期待されており、その合成および作用について種々研究されている。
7α置換エストラジオール誘導体の合成に関しては、下記の文献に記載されている。
(1)Tedesco,Rosanna;Katzenellenbogen,John A.;Napolitano,Elio;Tetrahedron Lett.;38;46;1997;7997−8000;
(2)Adamczyk,Maciej;Johnson,Donald D.;Reddy,Rajarathnam E.;Steroids;62;12;1997;771−775;
(3)Skaddan,M.B.;Wuest,F.R.;Welch,M.J.;Katzenellenbogen,J.A.;J.Labelled Compd.Radiopharm.;42;1;1999;S153−S155;
(4)Skaddan,Marc B.;Wuest,Frank R.;Katzenellenbogen,John A.;J.Org.Chem.;64;22;1999;8108−8121;
また、本発明の式(I)で表される化合物およびその製造方法は、WO01/42186号公報に記載されている。
しかしながら、現在までに知られている7α置換エストラジオール誘導体の合成法は、工業的製造方法としては反応条件、収率、さらには経済性の面で十分ではなく、これら、反応条件、収率、さらには経済性に優れた製造方法が望まれていた。
本発明は、7α置換エストラジオール誘導体合成の重要中間体である、6−ケトエストラジオール誘導体、および7位置換基に相当する側鎖部分の効率的合成法を提供し、さらにはそれらを用いて反応条件、収率、さらには経済性に優れた7α置換エストラジオール誘導体の製造方法を提供することを目的とする。
発明の開示
本発明者らは、上記従来技術の有する課題に鑑み鋭意研究を重ねた結果、それらの課題を解決する、下記式(I)で表される新規7α置換エストラジオール誘導体合成の効率的な製造方法、およびこの方法における中間体およびその製造方法を見出し、本発明を完成させた。すなわち本発明は、新規7α置換エストラジオール誘導体合成の一方の重要中間体であり、下記式(II)で表される6−ケトエストラジオール誘導体の製造方法、ならびに、新規6−ケトエストラジオール誘導体を含む、この方法における中間体およびその製造方法に関する。
また本発明は、新規7α置換エストラジオール誘導体の他方の重要中間体であり、下記式(III)および式(VII)で表される化合物の製造方法、ならびに、この方法における中間体およびその製造方法にも関する。
さらに本発明は、上記中間体を用いる、下記式(I)で表される新規7α置換エストラジオール誘導体の製造方法、ならびに、この方法における中間体およびその製造方法にも関する。
すなわち本発明は、式(I)
(式中、mは2〜14の整数を表し、nは2〜7の整数を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表す。)
で表される化合物の製造方法であって、
式(II)
(式中、R1、R2は独立して、水酸基の保護基を表す。)
で表される化合物を、塩基存在下、式(III)
(式中、mは2〜14の整数を表し、nは2〜7の整数を表し、R3はカルボキシル基の保護基を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表し、X2はハロゲン原子を表す。)
と反応させ、式(IV)
(式中、R1、R2は独立して、水酸基の保護基を表し、R3はカルボキシル基の保護基を表し、m、n、R4は前記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップと、
式(IV)で表される化合物の6位カルボニル基の還元、3位および17位水酸基の保護基の脱保護、およびカルボキシル基の保護基の脱保護を行うことにより式(I)
(式中、m、n、R4は前記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップとを含む方法を提供する。
また本発明は、式(I)
(式中、mは2〜14の整数を表し、nは2〜7の整数を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表す。)
で表される化合物の製造方法であって、
式(II)
(式中、R1、R2は独立して、水酸基の保護基を表す。)
で表される化合物を、塩基存在下、式(VII)
(式中、mは2〜14の整数を表し、nは2〜7の整数を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表し、X2はハロゲン原子を表す。)
と反応させて式(VIII)
(式中、R1、R2、m、n、R4は前記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップと、
式(VIII)で表される化合物の6位カルボニル基の還元、3位および17位水酸基の保護基の脱保護を行うことにより式(I)
(式中、m、n、R4は前記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップとを含む方法を提供する。
また本発明は、式(IV)
(式中、mは2〜14の整数を表し、nは2〜7の整数を表し、R1、R2は独立して水酸基の保護基を表し、R3はカルボキシル基の保護基を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表す。)
で表される化合物を提供する。
さらに本発明は、式(V)
(式中、mは2〜14の整数を表し、nは2〜7の整数を表し、R3はカルボキシル基の保護基を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表す。)
で表される化合物を提供する。
加えて、本発明は、式(VI)
(式中、mは2〜14の整数を表し、nは2〜7の整数を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表す。)
で表される化合物を提供する。
また本発明は、式(II)
(式中、R1、R2は独立して、水酸基の保護基を表す。)
で表される化合物の製造方法であって、
式(IX)
(式中、R1、R2は前記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を、塩基存在下、−100℃〜−30℃にて3当量以下のホウ酸エステルと反応させ、引き続き−100℃〜−30℃にて過剰の塩基を処理した後、さらに過酸化水素で酸化することにより、式(X)
(式中、R1、R2は前記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップと、
式(X)で表される化合物を酸化し、式(II)
(式中、R1、R2は前記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップとを含む方法を提供する。
さらに本発明は、式(II)
(式中、R1、R2は独立して、水酸基の保護基を表す。)
で表される化合物の製造方法であって、
式(IX)
(式中、R1、R2は前記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を、塩基存在下、オキシム化反応を行うことにより、
式(XI)
(式中、R1、R2は前記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップと、
式(XI)で表される化合物を酸化することにより、
式(II)
(式中、R1、R2は前記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップとを含む方法を提供する。
加えて、本発明は、式(IX)
(式中、R1、R2は独立して、水酸基の保護基を表す。)
で表される化合物を、塩基存在下、オキシム化反応を行うことにより、
式(XI)
(式中、R1、R2は前記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を製造する方法を提供する。
また本発明は、式(XIII)
で表される化合物を、酸素を用いて酸化することにより、式(XIV)
で表される化合物を製造する方法において、酸素源として空気を用いることを特徴とする方法を提供する。
さらに本発明は、式(XIV)
で表される化合物を、2−メトキシプロペンと反応させ、式(XV)
で表される化合物を製造する方法を提供する。
加えて、本発明は、式(XV)
で表される化合物を提供する。
また本発明は、式(III)
(式中、mは2〜14の整数を表し、nは2〜7の整数を表し、R3はカルボキシル基の保護基を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表し、X2はハロゲン原子を表す。)で表される化合物の製造方法であって、
式(XVI)
(式中、n、R3は上記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を、式(XVII)
(式中、R4は上記と同じ意味を表し、X1はハロゲン原子を表す。)
で表される化合物と反応させることにより、式(XVIII)
(式中、n、R3、R4、X1は上記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップと、
式(XVIII)で表される化合物を還元して式(XIX)
(式中、n、R3、R4は上記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップと、
式(XIX)で表される化合物を、塩基存在下、式(XX)
(式中、mは2〜14の整数を表し、X2はハロゲン原子を表し、X3は脱離基を表す。)
で表される化合物と反応させることにより、式(III)
(式中、m,n、R3、R4、X2は上記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップとを含む方法を提供する。
さらに本発明は、式(III)
(式中、mは2〜14の整数を表し、nは2〜7の整数を表し、R3はカルボキシル基の保護基を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表し、X2はハロゲン原子を表す。)で表される化合物の製造方法であって、
式(XXI)
で表される化合物を、塩基性条件下、式(XVII)
(式中、nは2〜7の整数を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表し、X1はハロゲン原子を表す。)
で表される化合物と反応させることにより、式(XXII)
(式中、n、R4は上記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップと、
式(XXII)で表される化合物を還元して式(XXIII)
(式中、n、R4は上記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップと、
式(XXIII)で表される化合物のカルボキシル基を保護して式(XIX)
(式中、R3はカルボキシル基の保護基を表し、n、R4は上記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップと、式(XIX)で表される化合物を、塩基存在下、式(XX)
(式中、mは2〜14の整数を表し、X2はハロゲン原子を表し、X3は脱離基を表す。)
で表される化合物と反応させることにより、式(III)
(式中、m,n、R3、R4、X2は上記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップとを含む方法を提供する。
加えて、本発明は、式(III)
(式中、mは2〜14の整数を表し、nは2〜7の整数を表し、R3はカルボキシル基の保護基を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表し、X2はハロゲン原子を表す。)で表される化合物の製造方法であって、
式(XXIV)
(式中、R3はカルボキシル基の保護基を表す。)
で表される化合物を、式(XXV)
(式中、nは2〜7の整数を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表し、X4は脱離基を表す。)
で表される化合物と反応させることにより、式(XIX)
(式中、n、R3、R4は上記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップと、
式(XIX)で表される化合物を、塩基存在下、式(XX)
(式中、mは2〜14の整数を表し、X2はハロゲン原子を表し、X3は脱離基を表す。)
で表される化合物と反応させることにより、式(III)
(式中、m,n、R3、R4、X2は上記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップとを含む方法を提供する。
さらに加えて、本発明は、式(III)
(式中、mは2〜14の整数を表し、nは2〜7の整数を表し、R3はカルボキシル基の保護基を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表し、X2はハロゲン原子を表す。)で表される化合物の製造方法であって、
式(XXIV)
(式中、R3はカルボキシル基の保護基を表す。)
で表される化合物を、塩基存在下、式(XX)
(式中、mは2〜14の整数を表し、X2はハロゲン原子を表し、X3は脱離基を表す。)
で表される化合物と反応させることにより、式(XXVI)
(式中、m、R3、R4は上記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップと、
式(XXVI)で表される化合物を、式(XXV)
(式中、nは2〜7の整数を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表し、X4は脱離基を表す。)
で表される化合物と反応させることにより、式(III)
(式中、m,n、R3、R4、X2は上記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップとを含む方法を提供する。
また本発明は、式(III)
(式中、mは2〜14の整数を表し、nは2〜7の整数を表し、R3はカルボキシル基の保護基を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表し、X2は脱離基を表す。)において、mが8であり、nが3であり、R3はカルボキシル基の保護基を表し、R4がノナフルオロ−n−ブチル基であり、X2がヨウ素である化合物を提供する。
さらに本発明は、式(VII)
において、mが8であり、nが3であり、R4がノナフルオロ−n−ブチル基であり、X2がヨウ素である化合物を提供する。
加えて、本発明は、式(XIX)
において、nが3であり、R3がカルボキシル基の保護基であり、R4はノナフルオロ−n−ブチル基である化合物を提供する。
さらに加えて、本発明は、式(XXVI)
において、mが8であり、R3がカルボキシル基の保護基であり、X2がヨウ素である化合物を提供する。
また本発明は、式(III)
(式中、mは2〜14の整数を表し、nは2〜7の整数を表し、R3はカルボキシル基の保護基を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表し、X2は脱離基を表す。)で表されるラセミ化合物からキラル化合物を得る方法であって、キラルカラムを用いることを特徴とする、式(III)で表されるキラル化合物を得る方法を提供する。
さらに本発明は、式(VII)
(式中、mは2〜14の整数を表し、nは2〜7の整数を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表し、X2は脱離基を表す。)
で表されるラセミ化合物からキラル化合物を得る方法であって、キラルカラムを用いることを特徴とする、式(VII)で表されるキラル化合物を得る方法を提供する。
発明を実施するための形態
本発明において、以下の用語には、特に示さない限り、以下に示す意味が含まれる。
R1、R2における保護基としては、通常用いられるアセタール型保護基が好ましく、テロラヒドロピラニル基、エトキシエチル基などが挙げられ、さらに新たな立体異性体が生成しないことからメトキシメチル基、2−メトキシイソプロピル基またはイソプロペニル基が好ましく、特に2−メトキシイソプロピル基が好ましい。
R3における保護基としては、接触水素化条件下または酸性条件下で脱保護可能な保護基が好ましく、置換を有していても良いベンジル基、t−アルキル基などが挙げられ、さらにt−ブチル基が好ましい。
R4における炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基におけるハロゲン原子としては、フッ素が好ましい。ハロゲン原子の数としては1以上であればよい。2以上のハロゲン原子を有している場合には、それらが同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましく、特にパーハロゲノアルキルであることが好ましい。
R4における炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基としては、パーハロゲン化された炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、さらにパーフルオロ化された炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、特にノナフルオロ−n−ブチル基が好ましい。
mとしては、2から14の整数が好ましく、さらに8であるのが好ましい。
nとしては、2から7の整数が好ましく、さらに3であるのが好ましい。
X1、X2におけるハロゲン原子としては、ヨウ素原子が好ましい。
X3における脱離基としては、ハロゲン原子またはパーフルオロアルキルスルホニルオキシ基が好ましく、コストの点で、ヨウ素原子が好ましい。
X4における脱離基としては、ヨウ素原子またはパーフルオロアルキルスルホニルオキシ基が好ましく、さらにトリフルオロメチルスルホニルオキシ基が望ましい。
式(III)であらわされる化合物としては、特に、R3がt−ブチル基であり、R4がノナフルオロ−n−ブチル基であり、X2がヨウ素原子であり、mが8であり、nが3であるのが好ましい。
本発明の製造方法の反応経路を、反応図式A〜Dとして以下に示した。
反応図式A
(式中、mは2〜14の整数を表し、nは2〜7の整数を表し、R3はカルボキシル基の保護基を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表し、X1、X2は、独立して、ハロゲン原子を表し、X3、X4は、独立して、脱離基を表す。)
反応図式B
(式中、R1、R2は、独立して、水酸基の保護基を表す。)
反応図式C
反応図式D
(式中、m、n、R1、R2、R3、R4、X2は前記と同じ意味を表す。)
次に、それぞれの反応図式について説明する。
(反応図式A)
(A−1)
式(XXI)で表される化合物から、式(XXII)で表される化合物への変換
式(XXI)で表される化合物に、ラジカル反応開始剤存在下、式(XVII)で表される化合物を反応させ、式(XXII)で表される化合物を得ることができる。ここで、式(XXI)で表される化合物、および式(XVII)で表される化合物は、商業的に入手可能である。ここで用いられるラジカル反応開始剤としては、通常用いられるラジカル開始剤、例えば、2,2’−アゾビスアルキルニトリル類、アシルパーオキシド類があげられ、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルが好ましい。ここで使用されるラジカル反応開始剤の量は、式(XXI)で表される化合物に対して1.0〜0.0001当量が好ましく、さらに0.1〜0.001当量が好ましい。ここで使用される式(XVII)で表される化合物の量は、式(XXI)で表される化合物に対して1.0〜10.0当量が好ましく、さらに1.5〜3.0当量が好ましい。反応溶媒は使用してもしなくともよく、使用する場合には、通常用いられる不活性な溶媒を用いることが出来、例えばトルエン、ヘプタン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、およびこれらの混合溶媒でもよく、無溶媒が好ましい。反応温度は−78〜110℃が好ましく、さらに30〜100℃が好ましい。
(A−2)
式(XXII)で表される化合物の還元
式(XXII)で表される化合物を還元し、式(XXIII)で表される化合物を得ることができる。還元反応としては、水素雰囲気下、塩基存在下にパラジウム−炭素や水酸化パラジウム−炭素などのパラジウム触媒を式(XXII)で表される化合物と混合させて反応するのが好ましい。ここで使用されるパラジウム触媒の量は、式(XXII)で表される化合物に対して0.01〜100%w/wが好ましく、さらに1.0〜20%w/wが好ましい。ここで用いられる塩基としては、例えば、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム、トリエチルアミンがあげられ、酢酸ナトリウムが好ましい。ここで使用される塩基の量は、式(XXII)で表される化合物に対して0〜10当量が好ましく、さらに1.0〜2.0当量が好ましい。水素の圧力は1.0〜20気圧が好ましく、さらに1.0〜5.0気圧が好ましい。反応溶媒としては、通常用いられる不活性な溶媒を用いることが出来、例えばトルエン、ヘプタン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテル、メタノール、ジメチルホルムアミド、エタノール、酢酸エチル、およびこれらの混合溶媒でもよく、メタノールが好ましい。反応温度は−20〜110℃が好ましく、さらに0〜40℃が好ましい。
(A−3)
式(XXIII)で表される化合物のカルボキシル基の保護
式(XXIII)で表される化合物のカルボキシル基を保護することにより、式(XIX)で表される化合物を得ることができる。カルボキシル基の保護基としては、t−ブチル基が好ましい。カルボキシル基の保護基がt−ブチル基である場合、式(XXIII)で表される化合物を、塩基および縮合剤の共存下で、t−ブタノールと反応させるか、または酸触媒の存在下、t−ブチル トリクロロアセトイミデートと反応させるのが好ましい。
t−ブタノールとの反応の場合、t−ブタノールの量は、式(XXIII)で表される化合物に対して1.0〜100当量が好ましく、さらに1.0〜3.0当量が好ましい。ここで用いられる塩基としては、例えば、アミン塩基類があげられ、ジメチルアミノピリジンもしくは4−ピロリジノピリジンが好ましい。縮合剤としては、例えば、カルボジイミド類があげられ、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドが好ましい。ここで使用される塩基の量は、式(XXIII)で表される化合物に対して0.01〜1.0当量が好ましく、さらに0.05〜0.2当量が好ましい。縮合剤の量は、式(XXIII)で表される化合物に対して1.0〜2.0当量が好ましく、さらに1.0〜1.2当量が好ましい。反応溶媒としては、通常用いられる不活性な溶媒を用いることが出来、例えばトルエン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、およびこれらの混合溶媒でもよく、ジクロロメタンが好ましい。反応温度は−78〜110℃が好ましく、さらに0〜30℃が好ましい。
t−ブチル トリクロロアセトイミデートとの反応の場合、ここで使用されるt−ブチル トリクロロアセトイミデートの量は、式(XXIII)で表される化合物に対して1.0〜5.0当量が好ましく、さらに1.0〜2.5当量が好ましい。酸触媒としては、通常用いられるルイス酸、プロトン酸があげられ、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、トリフルオロ酢酸、塩酸などが好ましい。ここで使用される酸触媒の量は、式(XXIII)で表される化合物に対して0.000001〜1.0当量が好ましく、さらに0.001〜0.05当量が好ましい。反応溶媒としては、通常用いられる不活性な溶媒を用いることが出来、例えばトルエン、ヘプタン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテル、およびこれらの混合溶媒でもよく、シクロヘキサンが好ましい。反応温度は−78〜110℃が好ましく、さらに−10〜20℃が好ましい。
(A−4)
式(XIX)で表される化合物から、式(III)で表される化合物への変換
式(XIX)で表される化合物を、塩基存在下で、式(XX)で表される化合物と反応させ、式(III)で表される化合物を得ることができる。式(XX)で表される化合物は、商業的に入手可能である。ここで用いられる塩基としては、例えば、アルカリ金属アミド類があげられ、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジドが好ましい。ここで使用される塩基の量は、式(XIX)で表される化合物に対して0.9〜3.0当量が好ましく、さらに1.0〜1.5当量が好ましい。ここで使用される式(XX)で表される化合物の量は、式(XIX)で表される化合物に対して1.0〜10.0当量が好ましく、さらに1.0〜3.0当量が好ましい。反応溶媒としては、通常用いられる不活性な溶媒を用いることが出来、例えばトルエン、ヘプタン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテル、ヘキサメチルホスホラミド、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン、およびこれらの混合溶媒でもよく、テトラヒドロフランが好ましい。反応温度は−110℃〜60℃が好ましく、さらに−78℃〜20℃が好ましい。
(A−5)
式(III)で表される化合物の光学分割
上記の方法で得られる式(III)で表される化合物は、立体異性体の混合物であるが、所望によりキラルカラムを用いて分割することにより、単一の立体異性体を得ることができる。ここで用いられるキラルカラムとしては、例えば、セルロースカルバメート誘導体やアミロースカルバメート誘導体をシリカゲルに修飾した固定相のカラムがあげられ、CHIRALCEL OD(ダイセル化学工業(株)製)およびCHIRALPAK AD(ダイセル化学工業(株)製)が好ましい。移動相としては、例えば、ヘキサン、メタノール、イソプロパノールまたはこれらの混合溶媒があげられ、ヘキサンが好ましい。
(A−6)
式(XVI)で表される化合物から、式(XVIII)で表される化合物への変換
式(XVI)で表される化合物を用いて、(A−1)と同様の反応を行い、式(XVIII)で表される化合物を得ることが出来る。式(XVI)で表される化合物は、式(XXI)で表される化合物を用いて、(A−3)と同様の反応を行うことにより得ることが出来る。
(A−7)
式(XVIII)で表される化合物から、式(XIX)で表される化合物への変換
式(XVIII)で表される化合物を用いて、(A−2)と同様の反応を行い、式(XIX)で表される化合物を得ることが出来る。
(A−8)
式(XXIV)で表される化合物から、式(XIX)で表される化合物への変換
式(XXIV)で表される化合物を、塩基存在下で、式(XXV)で表される化合物と反応させ、式(XIX)で表される化合物を得ることができる。式(XXIV)で表される化合物は、商業的に入手可能である。式(XXV)で表される化合物は、商業的に入手可能な原料から、参考例に記載の方法により一工程で調製できる。ここで用いられる塩基としては、例えば、アルカリ金属アミド類があげられ、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジドが好ましい。ここで使用される塩基の量は、式(XIX)で表される化合物に対して0.9〜3.0当量が好ましく、さらに1.0〜1.5当量が好ましい。ここで使用される式(XXV)で表される化合物の量は、式(XXIV)で表される化合物に対して1.0〜5.0当量が好ましく、さらに1.0〜2.0当量が好ましい。反応溶媒としては、通常用いられる不活性な溶媒を用いることが出来、例えばトルエン、ヘプタン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテル、ヘキサメチルホスホラミド、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン、およびこれらの混合溶媒でもよく、テトラヒドロフランが好ましい。反応温度は−150℃〜20℃が好ましく、さらに−78℃〜−20℃が好ましい。
(A−9)
式(III)で表される化合物のカルボキシル基の脱保護
式(III)で表される化合物のカルボキシル基の保護基を脱保護することにより、式(VII)で表される化合物を得ることができる。ここで用いられる脱保護法としては、たとえば酸で処理する方法があげられる。ここで用いられる酸としては、例えば、通常用いられるルイス酸あるいはプロトン酸があげられ、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、トリフルオロ酢酸、塩酸、硫酸、リン酸が好ましい。ここで使用される酸の量は、式(III)で表される化合物に対して0.1〜50.0当量が好ましく、さらに0.1〜10.0当量が好ましい。反応温度は−20〜80℃が好ましく、さらに0〜40℃が好ましい。
(A−10)
式(III)で表される化合物の光学分割
上記の方法で得られる式(VII)で表される化合物は、立体異性体の混合物であるが、所望により(A−5)と同様の方法を用いて光学分割することにより、単一の立体異性体を得ることができる。
(A−11)
式(III)で表される化合物の単一の立体異性体のカルボキシル基の脱保護
(A−9)と同様の方法を用いて、式(III)で表される単一立体異性体のカルボキシル基の保護基を脱保護することにより、式(VII)で表される単一立体異性体を得ることができる。
(A−12)
式(XXIV)で表される化合物から、式(XXVI)で表される化合物への変換
式(XXIV)で表される化合物を、塩基存在下で、式(XX)で表される化合物と反応させ、式(XXVI)で表される化合物を得ることができる。式(XXIV)で表される化合物は、商業的に入手可能である。式(XX)で表される化合物は、商業的に入手可能である。ここで用いられる塩基としては、例えば、アルカリ金属アミド類があげられ、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジドが好ましい。ここで使用される塩基の量は、式(XIX)で表される化合物に対して0.9〜3.0当量が好ましく、さらに1.0〜1.5当量が好ましい。ここで使用される式(XX)で表される化合物の量は、式(XXIV)で表される化合物に対して1.0〜10.0当量が好ましく、さらに1.0〜3.0当量が好ましい。反応溶媒としては、通常用いられる不活性な溶媒を用いることが出来、例えばトルエン、ヘプタン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテル、ヘキサメチルホスホラミド、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン、およびこれらの混合溶媒でもよく、テトラヒドロフランが好ましい。反応温度は−110℃〜60℃が好ましく、さらに−78℃〜20℃が好ましい。
(A−13)
式(XXVI)で表される化合物から、式(III)で表される化合物への変換
式(XXVI)で表される化合物を、塩基存在下で、式(XXV)で表される化合物と反応させ、式(III)で表される化合物を得ることができる。式(XXV)で表される化合物は、商業的に入手可能な原料から、参考例に記載の方法により一工程で調製できる。ここで用いられる塩基としては、例えば、アルカリ金属アミド類があげられ、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジドが好ましい。ここで使用される塩基の量は、式(XIX)で表される化合物に対して0.9〜3.0当量が好ましく、さらに1.0〜1.5当量が好ましい。ここで使用される式(XXV)で表される化合物の量は、式(XXVI)で表される化合物に対して1.0〜5.0当量が好ましく、さらに1.0〜2.0当量が好ましい。反応溶媒としては、通常用いられる不活性な溶媒を用いることが出来、例えばトルエン、ヘプタン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテル、ヘキサメチルホスホラミド、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン、およびこれらの混合溶媒でもよく、テトラヒドロフランが好ましい。反応温度は−150℃〜20℃が好ましく、さらに−78℃〜−20℃が好ましい。
(反応図式B)
反応図式Bは、式(IX)で表される化合物、あるいは式(XIII)で表される化合物から式(II)で表される化合物を得る方法である。式(IX)で表される化合物はエストラジオールの保護体であり、文献記載の方法(Tedesco,Rosanna;Fiaschi,Rita;Napolitano,Elio;Synthesis;12;1995;1493−1495、Wuest,Frank;Spies,Hartmut;Johannsen,Bernd;Bioorg.Med.Chem.Lett.;6;22;1996;2729−2734)、または参考例記載の方法により容易に調製可能である。また式(XIII)で表される化合物は、商業的に入手可能である。
(B−1)
式(IX)で表される化合物から、式(X)で表される化合物への変換
式(IX)で表される化合物の6位を酸化して式(X)で表される化合物に変換する反応は、カリウム塩基およびアミン塩基存在下、ホウ酸エステルと反応させ、さらに過酸化水素と反応させることにより行うことができる。その際にホウ酸エステルと低温にて反応させ、さらに低温にて過剰の強塩基をアルコールなどで処理した後に、過酸化水素と反応させることにより、ホウ酸エステルの必要量を大幅に削減できる。ここで用いられるカリウム塩基としては、例えば、水素化カリウム、あるいはカリウムアルコキシドとアルキルリチウムの組み合わせがあげられ、カリウム t−ブトキシドとn−ブチルリチウムの組み合わせが好ましい。アミン塩基としては、例えば、立体的に嵩高い二級アミンがあげられ、ジイソプロピルアミン、2,2,6,6−テトラメチルヒペリジンが好ましく、特に2,2,6,6−テトラメチルヒペリジンの場合には、ジイソプロピルアミンの場合と比較してその必要量を減らすことが出来る。ここで使用されるアミン塩基の量は、式(IX)で表される化合物に対して0.5〜6.0当量が好ましく、さらに1.0〜4.0当量が好ましい。ここで用いられるホウ酸エステルとしては、例えば、ホウ酸トリアルキルがあげられ、ホウ酸トリメチルが好ましい。ここで使用されるホウ酸エステルの量は、式(IX)で表される化合物に対して1.0〜6.0当量が好ましく、さらに反応の操作性およびコストの点で1.0〜2.0当量が好ましい。反応溶媒としては、通常用いられる不活性な溶媒を用いることが出来、例えば、テトラヒドロフラン、ヘキサン、t−ブチルメチルエーテルがあげられ、またこれらの混合溶媒でもよく、テトラヒドロフランが好ましい。反応温度は−100〜−40℃が好ましく、さらに−80℃〜−40℃が好ましい。過剰の強塩基をアルコールなどと反応させる際の反応温度は−40℃以下で行うのが好ましく、さらに−60℃以下が好ましい。ここで用いられるアルコールとしては、一級、あるいは二級アルコールなどがあげられ、一級アルコールが好ましく、メタノールが好ましい。ここで使用されるアルコールの量は、式(IX)で表される化合物に対して1.0〜50.0当量が好ましく、さらに2.0〜20.0当量が好ましい。さらにここで用いられる過酸化水素としては、20−70%過酸化水素水溶液があげられ、30−50%過酸化水素水溶液が好ましい。ここで使用される過酸化水素の量は、式(IX)で表される化合物に対して1.0〜50.0当量が好ましく、さらに5.0〜30.0当量が好ましい。反応温度は−78〜60℃が好ましく、さらに−78℃〜30℃が好ましい。
(B−2)
式(X)で表される化合物から、式(II)で表される化合物への変換
式(X)で表される化合物を酸化し、式(II)で表される化合物を得る反応は、有機溶媒中、酸化剤で処理することにより行うことができる。ここで用いられる酸化剤としては、例えば、通常用いられる酸化剤があげられ、二酸化マンガン、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ,ラジカル)類が好ましい。酸化剤として二酸化マンガンを用いる場合、ここで使用される酸化剤の量は、式(IV)で表される化合物に対して1〜10倍重量が好ましく、さらに2〜5倍重量が好ましい。またモレキュラーシーブを添加することで二酸化マンガンの量を減らすことが出来、ここで使用されるモレキュラーシーブの量は、式(IV)で表される化合物に対して1〜10倍重量が好ましく、さらに2〜5倍重量が好ましい。反応溶媒としては、通常用いられる不活性な溶媒を用いることが出来、例えばジクロロメタン、酢酸エチル、トルエン、テトラヒドロフランがあげられ、これらの混合溶媒でもよく、酢酸エチルまたはトルエンが好ましい。反応温度は0〜110℃が好ましく、さらに10〜80℃が好ましい。
酸化剤としてTEMPO類を用いる場合には、次亜塩素酸ナトリウム、臭化ナトリウムおよび炭酸水素ナトリウム共存下で行うのが好ましい。ここで使用されるTEMPO類の量は、式(IV)で表される化合物に対して0.01〜0.5当量が好ましく、さらに0.01〜0.2当量が好ましい。ここで使用される次亜塩素酸ナトリウムの量は、式(IV)で表される化合物に対して1.0〜100.0当量が好ましく、さらに1.0〜50.0当量が好ましい。ここで使用される臭化ナトリウムの量は、式(IV)で表される化合物に対して0〜1.0当量が好ましく、さらに0〜0.1当量が好ましい。ここで使用される炭酸水素ナトリウムの量は、式(IV)で表される化合物に対して0〜10.0当量が好ましく、さらに0〜5.0当量が好ましい。反応溶媒としては、通常用いられる不活性な溶媒を用いることが出来、例えばジクロロメタン、トルエンおよびこれらの混合溶媒でもよく、ジクロロメタンが好ましい。反応温度は−20〜60℃が好ましく、さらに0〜40℃が好ましい。
R1およびR2で表される保護基が2−メトキシイソプロピル基またはイソプロペニル基である場合、式(II)で表される化合物は、通常用いられる不活性な溶媒、例えばトルエン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテル、ジクロロメタン、酢酸エチル、およびこれらの混合溶媒で結晶化することにより精製することができる。またトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ルチジン、コリジンなどのアミン塩基を加えた溶媒中で結晶化することにより、より安定な結晶を得ることが出来る。ここで使用されるアミン塩基としてはトリエチルアミンあるいはピリジンが好ましい。ここで使用されるアミン塩基の量は、結晶化に用いられる溶媒に対して0.01%v/v〜10%v/vが好ましく、さらに0.1%v/v〜5%v/vが好ましい。結晶化の温度は、−78〜80℃が好ましく、さらに−20℃〜40℃が好ましい。
(B−3)
式(IX)で表される化合物から、式(XI)で表される化合物への変換
式(IX)で表される化合物をオキシム化し、式(XI)で表される化合物を得る反応は、カリウム塩基およびアミン塩基存在下、亜硝酸アルキル、あるいは酸化窒素で処理することにより行うことができる。ここで用いられるカリウム塩基としては、例えば、水素化カリウム、あるいはカリウムアルコキシドとアルキルリチウムの組み合わせがあげられ、カリウム t−ブトキシドとn−ブチルリチウムの組み合わせが好ましい。アミン塩基としては、例えば、立体的に嵩高い二級アミンがあげられ、ジイソプロピルアミン、2,2,6,6−テトラメチルヒペリジンが好ましく、特に2,2,6,6−テトラメチルヒペリジンの場合には、ジイソプロピルアミンの場合と比較してその必要量を減らすことが出来る。ここで使用されるアミン塩基の量は、式(IX)で表される化合物に対して0.5〜6.0当量が好ましく、さらに1.0〜4.0当量が好ましい。亜硝酸アルキルとしては、例えば、炭素数2−10の亜硝酸エステルがあげられ、コストの点で亜硝酸イソアミルが好ましい。ここで使用される亜硝酸アルキルの量は、式(IX)で表される化合物に対して1〜10当量が好ましく、さらに1〜5当量が好ましい。反応溶媒としては、通常用いられる不活性な溶媒を用いることが出来、例えばテトラヒドロフラン、ヘキサン、t−ブチルメチルエーテルがあげられ、またこれらの混合溶媒でもよく、テトラヒドロフランが好ましい。反応温度は−100〜30℃が好ましく、さらに−80〜0℃が好ましい。
(B−4)
式(XI)で表される化合物から、式(II)で表される化合物への変換
式(XI)で表される化合物を酸化し、式(II)で表される化合物を得る反応は、次亜塩素酸ナトリウム水溶液で処理することにより行うことができる。ここで使用される次亜塩素酸ナトリウムの量は、式(IX)で表される化合物に対して1.0〜20.0当量が好ましく、さらに1.0〜4.0当量が好ましい。反応溶媒としては、通常用いられる不活性な溶媒を用いることが出来、例えば、テトラヒドロフラン、ヘキサン、t−ブチルメチルエーテル、アセトニトリル、アセトンなどがあげられ、またこれらの混合溶媒でもよく、アセトニトリルが好ましい。反応温度は−80〜50℃が好ましく、さらに−20〜20℃が好ましい。
(B−5)
式(XIII)で表される化合物から、式(XIV)で表される化合物への変換
式(XIII)で表される化合物を酸化し、式(XIV)で表される化合物を得る反応は、塩基存在下、酸素と反応することにより行うことができる。ここで使用される塩基としては、通常用いられる塩基があげられ、例えば、カリウム t−ブトキシド、ナトリウム メトキシド、酢酸カリウム、酢酸ナトリウムが好ましく、さらに酢酸カリウム、あるいは酢酸ナトリウムなどの弱塩基が好ましい。塩基の量は、式(XIII)で表される化合物に対して1.0〜4.0当量が好ましく、さらに1.0〜1.4当量が好ましい。また酸素源としては分子状酸素が好ましく、さらに空気が好ましい。反応溶媒としては、通常用いられる不活性な溶媒を用いることが出来、例えばジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドおよびこれらの混合溶媒でもよく、ジメチルスルホキシドが好ましい。反応温度は0〜150℃が好ましく、さらに80〜120℃が好ましい。
(B−6)
式(XIV)で表される化合物から、式(II)で表される化合物への変換
式(XIV)で表される化合物の水酸基を保護することにより、式(II)で表される化合物を得ることができる。式(XIV)で表される化合物の水酸基の保護基としては、保護及び脱保護を行う反応の容易さの点でテロラヒドロピラニル基、エトキシエチル基、メトキシメチル基、2−メトキシイソプロピル基、イソプロペニル基などのアセタール型保護基が好ましく、新たな立体異性体が生成しないことから、メトキシメチル基、2−メトキシイソプロピル基またはイソプロペニル基が好ましく、保護基を導入した化合物の精製のしやすさ及び収率の点で、2−メトキシイソプロピル基が好ましい。この2−メトキシイソプロピル化は、式(XIV)で表される化合物に、酸触媒存在下、2−メトキシプロペンを反応させることにより行うことができる。酸触媒としては、通常用いられるルイス酸、求核性のないプロトン酸またはその塩を使用することが出来、例えば、有機スルホン酸、あるいはそのアミン塩などがあげられ、ピリジニウム p−トルエンスルホネートが好ましい。ここで使用される酸触媒の量は、式(IX)で表される化合物に対して0.000001〜2.0当量が好ましく、さらに0.000001〜0.1当量が好ましい。ここで使用される2−メトキシプロペンの量は、式(II)で表される化合物に対して2〜50当量が好ましく、さらに2.5〜20当量が好ましい。反応温度は−80〜80℃が好ましく、さらに−20〜50℃が好ましい。
(反応図式C)
反応図式Cは、反応図式Aにより得られた、式(III)で表される化合物、および反応図式Bにより得られた、式(II)で表される化合物を用いて、式(I)で表される化合物を得る方法である。本発明の方法によれば、式(III)で表される化合物の単一の立体異性体を用いることによって、対応する立体構造をもつ式(I)で表される化合物の単一の立体異性体を得ることができる。
(C−1)
式(II)で表される化合物から式(IV)で表される化合物への変換
式(II)で表される化合物を、塩基性条件で式(III)で表される化合物と反応させることにより式(IV)で表される化合物を得ることができる。式(III)におけるX2としては、例えば、臭素、ヨウ素があげられ、ヨウ素が好ましい。R3で表される保護基としては、例えば、酸性条件で脱保護可能な保護基があげられ、t−ブチル基が好ましい。ここで用いられる塩基としては、例えば、カリウム塩基があげられ、水素化カリウム、カリウム ビス(トリメチルシリル)アミド、カリウム t−ブトキシドが好ましい。ここで用いられる溶媒は、誘電率(ε)が4.0以下、または双極子モーメント(μ/D)が1.5以下である、反応に悪影響を与えない溶媒であればよく、例えば、ジオキサン、t−ブチルメチルエーテル、トルエン、シクロヘキサン、ヘプタンなどがあげられ、収率、反応位置選択性の点でジオキサン、t−ブチルメチルエーテル、シクロヘキサンが好ましい。
式(II)で表される化合物の反応溶媒に対する濃度は、0.4M〜2.0Mが好ましく、反応速度および収率の点から0.5M〜1.5Mが好ましい。ここで用いられる式(III)で表される化合物の量は、式(II)で表される化合物に対して0.9〜2.0当量が好ましく、さらに1.0〜1.2当量が好ましい。ここで用いられるカリウム塩基の量は、式(II)で表される化合物に対して0.9〜2.0当量が好ましく、さらに1.0〜1.5当量が好ましい。反応温度は−20〜80℃が好ましく、さらに0〜40℃が好ましい。
(C−2)
式(IV)で表される化合物の水酸基の脱保護
式(IV)で表される化合物を酸で処理して3位の水酸基、17位の水酸基を脱保護することにより、式(V)で表される化合物を得ることができる。ここで用いられる酸としては、例えば、弱酸または弱酸性塩があげられ、硫酸水素カリウム、硫酸水素ナトリウムが好ましい。ここで使用される酸の量は、式(IV)で表される化合物に対して0.01〜10.0当量が好ましく、さらに0.01〜1.0当量が好ましい。反応温度は−20〜80℃が好ましく、さらに0〜40℃が好ましい。
この脱保護反応は、上記の式(II)で表される化合物を、塩基性条件で式(III)で表される化合物と反応させることにより式(IV)で表される化合物を得る反応を行った後、式(IV)で表される化合物を単離する事なしに、反応系に酸を加えて行ってもよい。
(C−3)
式(V)で表される化合物のカルボキシル基の脱保護
式(V)で表される化合物を、酸で処理してカルボキシル基の保護基を脱保護することにより、式(VI)で表される化合物を得ることができる。ここで用いられる酸としては、例えば、通常用いられるルイス酸あるいはプロトン酸があげられ、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、トリフルオロ酢酸、塩酸、硫酸、リン酸が好ましい。ここで使用される酸の量は、式(IV)で表される化合物に対して0.1〜50.0当量が好ましく、さらに0.1〜10.0当量が好ましい。反応温度は−20〜80℃が好ましく、さらに0〜40℃が好ましい。
(C−4)
式(IV)で表される化合物の水酸基およびカルボキシル基の脱保護
式(IV)で表される化合物を、酸で処理して3位および17位の水酸基の保護基、ならびにカルボキシル基の保護基を脱保護することにより、式(VI)で表される化合物を得ることができる。ここで用いられる酸としては、例えば、通常用いられるルイス酸あるいはプロトン酸があげられ、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、トリフルオロ酢酸、塩酸、硫酸、リン酸が好ましい。ここで使用される酸の量は、式(IV)で表される化合物に対して0.1〜10.0当量が好ましく、さらに0.1〜1.0当量が好ましい。反応温度は−20〜80℃が好ましく、さらに0〜40℃が好ましい。
この脱保護反応は、上記の式(II)で表される化合物を、塩基性条件で式(III)で表される化合物と反応させることにより式(IV)で表される化合物を得る反応を行った後、式(IV)で表される化合物を単離する事なしに、反応系に酸を加えて行ってもよい。
(C−5)
式(IV)で表される化合物の脱保護、還元による式(I)で表される化合物への変換
この工程は、下記の(C−5−1)および(C−5−2)のいずれかの方法によって行うことができる。
(C−5−1)
式(IV)で表される化合物を酸性条件下、還元剤で処理し、脱保護および還元を行うことにより、式(I)で表される化合物を得ることもでき、作業量の低減の点で好ましい。ここで用いられる酸としては、例えば、通常用いられるルイス酸、プロトン酸があげられ、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、トリフルオロ酢酸、硫酸が好ましい。還元剤としては、例えば、シラン誘導体があげられ、トリエチルシランが好ましい。ここで使用される酸の量は、式(IV)で表される化合物に対して0.1〜50.0当量が好ましく、さらに1.0〜40.0当量が好ましい。ここで使用される還元剤の量は、式(IV)で表される化合物に対して2.0〜50.0当量が好ましく、さらに2.0〜40.0当量が好ましい。反応温度は−20〜80℃が好ましく、さらに0〜60℃が好ましい。
(C−5−2)
式(IV)で表される化合物を酸性条件下、接触還元反応に付し、脱保護および還元を行うことにより、式(I)で表される化合物を得ることもでき、作業量の低減の点で好ましい。接触還元反応としては、水素雰囲気下、酸性条件下に金属触媒を式(IV)で表される化合物と混合させて反応するのが好ましい。ここで使用される金属触媒としては、パラジウム、水酸化パラジウム、白金、酸化白金、ロジウム、イリジウムがあげられ、水酸化パラジウムが好ましい。ここで使用される金属触媒の量は、式(IV)で表される化合物に対して0.01〜10.0等量が好ましく、さらに0.1〜2.0等量が好ましい。ここで用いられる酸としては、例えば、酢酸、塩酸、硫酸、リン酸があげられ、塩酸、あるいは硫酸が好ましい。ここで使用される酸の量は、式(IV)で表される化合物に対して0.01〜50.0当量が好ましく、さらに0.01〜10.0当量が好ましい。水素の圧力は1.0〜50.0気圧が好ましく、さらに1.0〜6.0気圧が好ましい。反応溶媒としては、通常用いられる不活性な溶媒を用いることが出来、例えばメタノール、エタノール、酢酸エチルおよびこれらの混合溶媒でもよく、メタノールが好ましい。反応温度は−20〜80℃が好ましく、さらに0〜40℃が好ましい。
さらに、この反応は中性または塩基性条件下に接触還元を行った後、生成物を単離することなく、酸処理して脱保護を行い、式(I)で表される化合物を得ることもできる。
(C−6)
式(V)で表される化合物の脱保護、還元による式(I)で表される化合物への変換
この工程は、下記の(C−6−1)および(C−6−2)のいずれかの方法によって行うことができる。
(C−6−1)
式(V)で表される化合物を用いて、(C−5−1)と同様の反応を行い、式(I)で表される化合物を得ることが出来る。
(C−6−2)
式(V)で表される化合物を用いて、(C−5−2)と同様の反応を行い、式(I)で表される化合物を得ることが出来る。
(C−7)
式(VI)で表される化合物の還元による式(I)で表される化合物への変換
この工程は、下記の(C−7−1)および(C−7−2)のいずれかの方法によって行うことができる。
(C−7−1)
式(VI)で表される化合物をで表される化合物を用いて、(C−5−1)と同様の反応を行い、式(I)で表される化合物を得ることが出来る。
(C−7−2)
式(VI)で表される化合物を用いて、(C−5−2)と同様の反応を行い、式(I)で表される化合物を得ることが出来る。
(反応図式D)
反応図式Dは、反応図式Aにより得られた、式(VII)で表される化合物、および反応図式Bにより得られた、式(II)で表される化合物を用いて、式(I)で表される化合物を得る方法である。本発明の方法によれば、式(VII)で表される化合物の単一の立体異性体を用いることによって、対応する立体構造をもつ式(I)で表される化合物の単一の立体異性体を得ることができる。
(D−1)
式(II)で表される化合物から式(VIII)で表される化合物への変換
式(II)で表される化合物を、塩基性条件で式(VII)で表される化合物と反応させることにより式(VIII)で表される化合物を得ることができる。式(VII)におけるX2としては、例えば、臭素、ヨウ素があげられ、ヨウ素が好ましい。ここで用いられる塩基としては、例えば、カリウム塩基があげられ、水素化カリウム、カリウム ビス(トリメチルシリル)アミド、カリウム t−ブトキシドが好ましい。ここで用いられる溶媒は、誘電率(ε)が4.0以下、または双極子モーメント(μ/D)が1.5以下である、反応に悪影響を与えない溶媒であればよく、例えば、ジオキサン、t−ブチルメチルエーテル、トルエン、シクロヘキサン、ヘプタン、ジメトキシエタンなどがあげられ、ジオキサン、トルエン、シクロヘキサンが好ましい。
式(II)で表される化合物の反応溶媒に対する濃度は、0.4M〜2.0Mが好ましく、反応速度および収率の点から0.5M〜1.5Mが好ましい。ここで用いられる式(VII)で表される化合物の量は、式(II)で表される化合物に対して0.9〜2.0当量が好ましく、さらに1.0〜1.5当量が好ましい。ここで用いられるカリウム塩基の量は、式(II)で表される化合物に対して2.0〜5.0当量が好ましく、さらに2.0〜4.0当量が好ましい。反応温度は−20〜80℃が好ましく、さらに0〜40℃が好ましい。
(D−2)
式(VIII)で表される化合物の脱保護
式(VIII)で表される化合物を酸で処理して3位の水酸基、17位の水酸基を脱保護することにより、式(VI)で表される化合物を得ることができる。ここで用いられる酸としては、例えば、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、トリフルオロ酢酸、塩酸、硫酸、リン酸,硫酸水素カリウム、硫酸水素ナトリウムがあげられ、塩酸、硫酸、硫酸水素カリウム、硫酸水素ナトリウムが好ましい。ここで使用される酸の量は、式(VIII)で表される化合物に対して0.01〜10.0当量が好ましく、さらに0.01〜1.0当量が好ましい。反応温度は−20〜80℃が好ましく、さらに0〜40℃が好ましい。
この脱保護反応は、上記の式(II)で表される化合物を、塩基性条件で式(VII)で表される化合物と反応させることにより式(VIII)で表される化合物を得る反応を行った後、式(VIII)で表される化合物を単離する事なしに、反応系に酸を加えて行ってもよい。
(D−3)
式(VI)で表される化合物の還元による式(I)で表される化合物への変換
この工程は、反応図式Cの(C−7)と同一の工程である。
(D−4)
式(VIII)で表される化合物の脱保護、還元による式(I)で表される化合物への変換
この工程は、下記の(D−4−1)および(D−4−2)のいずれかの方法によって行うことができる。
(D−4−1)
式(VIII)で表される化合物を用いて、(C−5−1)と同様の反応を行い、式(I)で表される化合物を得ることが出来る。
(D−4−2)
式(VIII)で表される化合物を用いて、(C−5−1)と同様の反応を行い、式(I)で表される化合物を得ることが出来る。
I.3−ステップによる反応(実施例Aおよび実施例B)
上記反応スキーム中の略語は次の意味を有する。
TMSCl:chlorotrimethylsilane(クロロトリメチルシラン)
tBuOAc:t−butyl acetate(酢酸t−ブチル)
LDA:lithium diisopropylamide(ジイソプロピルアミドリチウム)
THF:tetrahydrofuran(テトラヒドロフラン)
Tf2O:trifluoromethanesulfonic anhydride(トリフロロメタンスルホン酸無水物)
実施例
[実施例A]
[参考例A−1]
1,1,1,2,2,3,3,4,4−Nonafluoro−7−iodoheptaneの合成
4,4,5,5,6,6,7,7,7−Nonafluoroheptanol(5g,18mmol)をCH3CN(50ml)に溶解し、室温にてNaI(10.6g,72mmol)およびMe3SiCl(6.85ml,54mmol)を加え、窒素雰囲気下10時間加熱還流を行った。反応液を室温まで冷却後酢酸エチル(100ml)にて希釈し、水(100ml)、3%チオ硫酸ナトリウム水溶液、および飽和食塩水にて順次洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥し、減圧下に溶媒を留去した。残留物を減圧蒸留(bp70℃/15Torr)にて精製し標記化合物2(5.6g,81.2%)を得た。
NMR(300MHz,CDCl3):δ3.25(2H,t,J=6.4Hz),2.32−2.09(4H,m)
13C−NMR(75MHz,CDCl3):δ121.60−110.78,32.21,24.64,4.01
[実施例A−2]
t−Butyl 6,6,7,7,8,8,9,9,9−nonafluorononanoateの合成
tBuOAc(0.53ml,3.90mmol)を無水THF(11ml)に溶解し、窒素雰囲気下−78℃にて、LDAの2.0M THF/n−heptane/ethylbenzene溶液(1.95ml,3.90mmol)およびhexamethylphosphoramide(0.13ml,0.023mmol)を加え1時間攪拌した。−40℃にて1,1,1,2,2,3,3,4,4−nonafluoro−7−iodoheptane(1.01g,2.60mmol)を滴加し、徐々に室温まで温度を上げ、さらに1時間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、エーテルにて抽出した。抽出液を水、および飽和食塩水にて順次洗浄した後、硫酸マグネシウムにて乾燥し、減圧下に溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィにて精製し標記化合物(740mg,75.6%)を得た。
NMR(300MHz,CDCl3):δ2.27(2H,t,J=6.0Hz),2.17−1.99(2H,m),1.73−1.51(4H,m),1.45(9H,s)
MS(ESI):m/z399(M+Na)
[実施例B]
[参考例B−1]
4,4,5,5,6,6,7,7,7−Nonafluoroheptyl trifluoromethanesulfonateの合成
4,4,5,5,6,6,7,7,7−Nonafluoroheptanol(9.37g,33.7mmol)をジクロロメタン(94ml)に溶解し、窒素雰囲気下、0℃にて(CF3SO2)2O(10.0g,35.4mmol)およびpyridine(2.86ml,35.4mmol)を加え、0℃にて1時間攪拌した。反応液を室温まで冷却後酢酸エチル(100ml)にて希釈し、水(100ml)、3%チオ硫酸ナトリウム水溶液、および飽和食塩水にて順次洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥し、減圧下に溶媒を留去した。残留物を真空蒸留(bp48℃/0.3Torr)にて精製し標記化合物(12.4g,91.4%)を得た。
NMR(300MHz,CDCl3):δ4.61(2H,t,J=5.9Hz),2.33−2.14(4H,m)
[実施例B−2]
t−Butyl 6,6,7,7,8,8,9,9,9−nonafluorononanoateの合成
tBuOAc(250mg,2.16mmol)を無水THF(4ml)に溶解し、窒素雰囲気下−78℃にて、LDAの2.0M THF/n−heptane/ethylbenzene溶液(1.09ml,2.16mmol)を加え50分攪拌した。次いで4,4,5,5,6,6,7,7,7−nonafluoroheptyl trifluoromethanesulfonate(800mg,1.96mmol)の無水THF(2.6ml)溶液を滴加し、−78℃にて1時間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、エーテルにて抽出した。抽出液を水、および飽和食塩水にて順次洗浄した後、硫酸マグネシウムにて乾燥し、減圧下に溶媒を留去した。残留物を真空蒸留(bp 46−56℃/0.4 Torr)にて精製し標記化合物(663mg,91.0%)を得た。本化合物は実施例(A−2)で得られた化合物と一致した。
[実施例C−1]
t−Butyl 2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−nonafluoroheptyl)−10−iododecanoateの合成
t−Butyl 6,6,7,7,8,8,9,9,9−nonafluorononanoate(9g,23.92mmol)および1,8−diiodooctane(14.28ml,71.76mmol)を無水THF(126ml)に溶解し、窒素雰囲気下−40℃にて、LDAの2.0M THF/n−heptane/ethylbenzene溶液(14.5ml,28.7mmol)を加え1時間攪拌した。次いで反応混合物を飽和塩化アンモニウム(10ml)で処理してジエチルエーテル(50ml)で抽出した。有機層を水(10ml)で2回および飽和食塩水(10ml)で1回洗浄した。次いでこの有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した。濾液を減圧蒸留し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し標記化合物(8.08g,55.0%)を得た。
NMR(300MHz,CDCl3):δ3.18(2H,t,J=6.0Hz),2.26−2.17(1H,m),2.16−1.97(2H,m),1.86−1.77(4H,m),1.77−1.22(14H,m)),1.45(9H,s)
MS(ESI):m/z615(M+1)
I.4−ステップによる反応(実施例1〜実施例7)
[実施例1]
6,6,7,7,8,8,9,9,9−Nonafluoro−4−iodononanoic acidの合成
4−Pentenoic acid(3.0g,29.96mmol)、2,2−azobisisobutyronitrile(98.4mg,0.59mmol)、および1,1,2,2,3,3,4,4,4−nonafluoro−1−iodobutane(25.9g,74.87mmol)の混合物を、3時間加熱還流した。減圧下に過剰の試薬を留去し、標記化合物(13.36g,100%)を得た。
NMR(300MHz,CDCl3):δ4.48−4.33(1H,m),3.11−2.50(4H,m),2.29−1.98(2H,m)
IR(KBr,cm−1):3200,1700,1220
[実施例2]
6,6,7,7,8,8,9,9,9−Nonafluorononanoic acidの合成
6,6,7,7,8,8,9,9,9−Nonafluoro−4−iodononanoic acid(53.4g,119.72mmol)、sodium acetate(16.7g,203.58mmol)をMeOH(200ml)に溶解し、10wt%Pd−C(5.3g)を加え、水素雰囲気下室温にて16時間攪拌した。反応混合物を濾過し、濾液を減圧下に濃縮した。得られた残留物をエーテルおよび水にて分液後、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液にてpH6として洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥した。次いで減圧下に溶媒を留去し、標記化合物(30.3g,78%)を得た。
NMR(300MHz,CDCl3):δ2.42(2H,t,J=6.9Hz),2.17−1.97(2H,m),1.81−1.60(4H,m)
[実施例3]
t−Butyl 6,6,7,7,8,8,9,9,9−nonafluorononanoateの合成
6,6,7,7,8,8,9,9,9−Nonafluorononanoic acid(10.0g,31.24mmol)、t−BuOH(11.5g,155.1mmol)および4−(N,N−dimethylamino)pyridine(0.38g,3.12mmol)をジクロロメタン(150ml)に溶解し、0℃にてN,N‘−dicyclohexylcarbodiimide(8.2g,39.74mmol)を加え、室温にて3時間攪拌した。反応混合物を濾過し、濾液を減圧下に濃縮した。得られた残留物を真空蒸留に付し、標記化合物(8.2g,77%)を得た。本化合物は実施例(A−2)で得られた化合物と一致した。
[実施例4]
t−Butyl 4−pentenoateの合成
4−Pentenioic acid(10.0g,99.88mmol)、t−BuOH(24.6g,331.89mmol)および4−(N,N−dimethylamino)pyridine(1.2g,9.98mmol)をcyclohexane(100ml)に溶解し、0℃にてN,N‘−dicyclohexylcarbodiimide(24.73g,120.0mmol)を加え、室温にて1時間攪拌した。反応混合物を濾過し、濾液を減圧下に濃縮した。得られた残留物を真空蒸留に付し、標記化合物(11.1g,71%)を得た。
NMR(300MHz,CDCl3):δ5.87−5.78(1H,m),5.10−4.95(2H,m),2.39−2.24(4H,m),1.45(9H,s)
IR(KBr,cm−1):3150,2950,2850,1730,1640,1220
[実施例5]
t−Butyl 6,6,7,7,8,8,9,9,9−nonafluoro−4−iodononanoateの合成
t−Butyl 4−pentenoate(10.9g,67.00mmol)、2,2−azobisisobutyronitrile(230mg,1.40mmol)、および1,1,2,2,3,3,4,4,4−nonafluoro−1−iodobutane(36.3g,104.95mmol)の混合物を、3時間加熱還流した。減圧下に過剰の試薬を留去し、標記化合物(23.5g,91%)を得た。
NMR(300MHz,CDCl3):δ4.43−4.32(1H,m),3.06−2.66(2H,m),2.55−2.34(2H,m),2.21−1.95(2H,m),1.43(9H,s)
IR(KBr,cm−1):2950,2850,1730,1220
[実施例6]
t−Butyl 6,6,7,7,8,8,9,9,9−nonafluorononanoateの合成
t−Butyl 6,6,7,7,8,8,9,9,9−nonafluoro−4−iodononanoate(34.5g,68.74mmol)、sodium acetate(9.6g,116.86mmol)をMeOH(230ml)に溶解し、10wt%Pd−C(3.4g)を加え、50psi水素雰囲気下室温にて1時間攪拌した。反応混合物を濾過し、濾液を減圧下に濃縮した。得られた残留物をエーテルおよび水にて分液後、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥した。減圧下に溶媒を留去してえられた残留物を真空蒸留に付し、標記化合物(23.5g,91%)を得た。本化合物は実施例(A−2)で得られた化合物と一致した。
[実施例7]
t−Butyl 10−iodo−2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−nonafluoroheptyl)decanoateの合成
Lithium bis(trimethylsilyl)amideの1N THF溶液(3.19ml,3.19mmol)に、無水THF(8ml)に溶解したt−butyl 6,6,7,7,8,8,9,9,9−nonafluorononanoate(1.0g,2.66mmol)を−78℃で滴下し、−78℃で1時間撹拌した。次いで無水THF(10ml)に溶解した1,8−diiodooctane(1.31ml,6.64mmol)溶液を−78℃で滴下した。この反応混合物を4時間かけて室温まで加温した。次いでこの混合物を−10℃で飽和塩化アンモニウム水溶液(0.5ml)で処理した。その後、この混合物をエーテル(15ml)および水(10ml)で抽出し、3%チオ硫酸ナトリウム溶液(10ml)、水(10ml)、および飽和食塩水(10ml)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;酢酸エチル:ヘキサン=1:50(v/v))により精製し、標記化合物(1.1g,68%)を得た。本化合物は実施例(C−1)で得られた化合物と一致した。
[実施例8]
t−Butyl 10−iododecanoateの合成
t−BuOAc(5g,43.0mmol)と1,8−diiodooctane(25.7ml,129.0mmol)を無水THF(250ml)に溶解し、窒素雰囲気下−45℃にて、LDAの2.0M,THF/n−heptane/ethylbenzene溶液(19.4ml,38.7mmol)を滴下し、さらに1時間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、エーテルにて抽出した。抽出液を3%チオ硫酸ナトリウム水溶液、水、および飽和食塩水にて順次洗浄した後、硫酸マグネシウムにて乾燥し、減圧下に溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィにて精製し標記化合物(11.5g,84%)を得た。
1H−NMR(300MHz,CDCl3):δ3.19(2H,t,J=6.7Hz),2.20(2H,t,J=7.5Hz),1.84−1.62(2H,m),1.45(9H,s),1.61−1.20(12H,m)
13C−NMR(75MHz,CDCl3):δ175.54,80.76,46.47,33.92,33.00,32.30,30.85,29.78,29.62,28.83,28.46,27.59,18.53,7.56
[実施例9]
t−Butyl 2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−nonafluoroheptyl)−10−iododecanoateの合成
t−Butyl 10−iododecanoate(1.7g,4.8mmol)を無水THF(17ml)に溶解し、窒素雰囲気下−78℃にて、LDAの2.0M THF/n−heptane/ethylbenzene溶液(2.4ml,4.8mmol)を滴下し、次いで4,4,5,5,6,6,7,7,7−nonafluoroheptyl trifluoromethanesulfonate(2.1g,5.0mmol)を滴加し、−78℃にて1時間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、エーテルにて抽出した。抽出液を水、および飽和食塩水にて順次洗浄した後、硫酸マグネシウムにて乾燥し、減圧下に溶媒を留去した。残留物を真空蒸留(bp 160−180℃/0.5 Torr)にて精製し標記化合物(2.4g,83%)を得た。
本化合物は、実施例(C−1)で得られた化合物と一致した。
[実施例10]
t−Butyl (±)−2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−nonafluoroheptyl)−10−iododecanoateの光学分割
標記化合物(100g)をキラルカラム(Chiralcel OD、ダイセル化学工業(株)製)を用い、下記条件にて光学分割を行い各々の鏡像体(38.5gおよび33.1g)を得た。移動相:ヘキサン、流速:0.5ml/分、温度:35℃、保持時間:第一ピーク(14.22分)、第二ピーク(17.37分)
各々の化合物のNMRおよびMSスペクトルはラセミ体のスペクトルと一致した。
[実施例11]
(±)−2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−Nonafluoroheptyl)−10−iododecanoic acidの合成
t−Butyl (±)−2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−nonafluoroheptyl)−10−iododecanoate(30.7g,50.0mmol)をトリフロロ酢酸(100ml)に溶解し、室温下30分攪拌した。次いで反応混合物を減圧蒸留し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エチル=5:1(v/v))によって精製し標記化合物(27.4g,98.2%)を得た。得られた化合物(3g,5.37mol)をMeOH(15ml)に溶解後、水(2ml)を滴下した。懸濁液を加温し溶解した後、室温にて1時間攪拌した。析出した結晶をろ過して標記化合物の結晶(2.08g,69.3%)を得た。
NMR(270MHz,CDCl3):δ3.18(2H,t,J=7.0Hz),2.50−2.28(1H,m),2.22−1.92(2H,m),1.90−1.00(18H,m).
MS(ESI):m/z559(M+1)
mp:48−49℃
[実施例12]
(±)−2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−Nonafluoroheptyl)−10−iododecanoic acidの光学分割
標記化合物をキラルカラム(CHIRALPAK AD、ダイセル化学工業(株)製)を用い、下記条件にて光学分割を行い各々の鏡像体を得た。
移動相:ヘキサン/イソプロパノール/酢酸(980/20/1(v/v/v))、
流速:1.0ml/分、温度:25℃、保持時間:第一ピーク(8.86分)、第二ピーク(11.14分)
各々の化合物のNMRおよびMSスペクトルはラセミ体のスペクトルと一致した。
[実施例13]
(+)−2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−Nonafluoroheptyl)−10−iododecanoic acidの合成
実施例10で第一ピークとして得られた(−)−t−Butyl 2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−nonafluoroheptyl)−10−iododecanoate(15.05g)を用いて実施例11と同様に反応を行い、標記化合物(13.48g、98.6%)を得た。本化合物のNMRおよびMSスペクトルはラセミ体のスペクトルと一致し、HPLCの保持時間は実施例12で得られた第二ピークの化合物の保持時間と一致した。
[実施例14]
(−)−2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−Nonafluoroheptyl)−10−iododecanoic acidの合成
実施例10で第二ピークとして得られた(+)−t−Butyl 2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−nonafluoroheptyl)−10−iododecanoate(15.0g)を用いて実施例11と同様に反応を行い標記化合物(13.47g、98.9%)を得た。本化合物のNMRおよびMSスペクトルはラセミ体のスペクトルと一致し、HPLCの保持時間は実施例12で得られた第一ピークの化合物と一致した。
[参考例1]
3,17β−Bis(1−methoxy−1−methylethoxy)estra−1,3,5(10)−trieneの合成
Estradiol(1.36g,5mmol)を2−methoxypropene(2.52ml,25mmol)に懸濁し、0℃にてpyridinium p−toluenesulfonate(4mM テトラヒドロフラン溶液、0.05ml,0.0002mmol)を加え、0℃にて2時間撹拌した。反応液にヘキサン(15ml)を加え、5%炭酸カリウム水溶液(10ml)および飽和食塩水(10ml)にて順次洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、溶媒を減圧下留去し、粗生成物(2.0g)を得た。さらに本化合物をヘキサンから再結晶を行い、標記化合物(1.44g、収率69%)を得た。mp.94−95℃
NMR(300MHz,CDCl3)δ7.16(1H,d,J=8.5Hz)、6.88(1H,dd,J=8.5Hz,2.7Hz)、6.79(1H,d,J=2.7Hz)、3.70(1H,dd,J=7.7Hz,8.8Hz)、3.41(3H,s)、3.24(3H,s)、2.86−2.79(2H,m)、2.34−2.13(2H,m)、2.08−1.82(3H,m)、1.74−1.24(7H,m)、1.46(6H,s)、1.34(3H,s)、1.33(3H,s)、1.23−1.10(1H,m)、0.80(3H,s).
[実施例15〜22]
3,17β−Bis(1−methoxy−1−methylethoxy)e stra−1,3,5(10)−trien−6−olの合成
塩基の種類および当量数を変えて6位のヒドロキシル化反応を行った。
その結果を表1に示す。
生成比は生成物のNMR積分値から求めた。
KDA:potassium diisopropylamide
KTMP:potassium tetramethylpiperidide
実施例17の詳細を以下に示す。
t−BuOK(8.08g、72mmol)を無水テトラヒドロフラン(32ml)に懸濁し、窒素雰囲気下−78℃にてn−BuLi(2.46Mヘキサン溶液、29.28ml、72mmol)および2,2,6,6−tetramethylpiperidine(12.16ml、72mmol)をそれぞれ15分かけて滴下し、−78℃で30分間攪拌した。さらに3,17β−bis(1−methoxy−1−methylethoxy)estra−1,3,5(10)−triene(10.0g、24mmol)の無水テトラヒドロフラン溶液(32ml)を−78℃で30分かけて加え、同温度で4時間攪拌した。次いでB(OMe)3(8.16ml、72mmol)を−78℃で10分かけて加え、同温度で30分攪拌後、0℃で1時間攪拌した。さらに30%過酸化水素水(80ml)を0℃で10分かけて加え、室温で2時間攪拌した。水(160ml)加えて5分攪拌後、ヘキサン−酢酸エチル(2:1)で2回(240mlと80ml)抽出した。有機層を5%炭酸カリウム水溶液(80ml)で洗浄したのちに、5%炭酸カリウム水溶液(8ml)と10%チオ硫酸ナトリウム水溶液(80ml)の混合液で洗浄した。次いで5%炭酸カリウム水溶液(8ml)と飽和食塩水(80ml)の混合液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、濾過した。濾液を減圧濃縮後、残渣をヘキサンで結晶化し、標記化合物(6.26g、60.3%)を得た。
NMR(270MHz、CDCl3)δ7.31−7.22(1H,m)、7.16(1H,d,J=8.5Hz)、6.99(1H,dd,J=2.4Hz,8.5Hz)、4.86−4.77(1H,m)、3.71(1H,t,J=8.2Hz)、3.42(3H,s)、3.23(3H,s)、2.36−2.19(3H,m)、2.09−1.88(2H,m)、1.74−1.19(21H,m)、0.80(3H,s).
MS(EI):m/z432(M+)
B(OMe)3の当量数およびMeOH添加の有無を変えて6位のヒドロキシル化反応を行った。
その結果を表2に示す。
生成比は生成物のNMR積分値から求めた。
実施例22の詳細を以下に示す。
t−BuOK(1.01g、9.0mmol)をテトラヒドロフラン(4ml)に懸濁し、窒素雰囲気下−78℃にて、n−BuLi(2.46Mヘキサン溶液、3.66ml、9.0mmol)および2,2,6,6−tetramethylpiperidine(3.0ml、9.0mmol)を加え、−78℃にて10分間撹拌した。さらに3,17β−bis(1−methoxy−1−methylethoxy)estra−1,3,5(10)−triene(1.25g、3.0mmol)のテトラヒドロフラン溶液(3.0ml)を−78℃で加え、同温度で4時間攪拌した。B(OMe)3(0.68ml、6.0mmol)を−78℃で加え1時間攪拌後、MeOH(245μl、6.0mmol)を−78℃で滴下し、0℃にして1時間攪拌した。0℃で30%H2O2(10ml)を加え、室温で2時間攪拌した。有機層を分取し、水層をヘキサン−酢酸エチル(2:1(v/v))で抽出した。抽出液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、濾過した。濾液を減圧濃縮後、残渣をヘキサンで結晶化し、標記化合物(695mg、54%)を白色結晶として得た。
[実施例23]
3,17β−Bis(1−methoxy−1−methylethoxy)estra−1,3,5(10)−trien−6−oneの合成
3,17β−Bis(1−methoxy−1−methylethoxy)estra−1,3,5(10)−trien−6−ol(432.6mg,1mmol)にtoluene(3mL)、水(0.6ml)を加え、0℃にて2,2,6,6−tetramethyl−1−piperidinyloxy(9.4mg,0.06mmol)、NaHCO3(252.0mg,3mmol)、KBr(3.6mg,0.03mmol)を加え、さらに15%NaClO(3ml)を10分間かけて滴下した。0℃で6時間30分間撹拌した後、反応液に酢酸エチルおよび水を加えて抽出し、有機層を飽和食塩水にて洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、有機溶媒を減圧下留去し、標記化合物(417mg、97%)を得た。
NMR(300MHz,CDCl3)δ7.74(1H,d,J=2.5Hz)、7.32(1H,d,J=8.8Hz)、7.27(1H,dd,J=8.8Hz,2.5Hz)、3.73(1H,t,J=8.1Hz)、3.43(3H,s)、3.24(3H,s)、2.74(1H,dd,J=16.8Hz,3.4Hz)、2.48(1H,m)、2.32−2.42(1H,m)、2.20(1H,dd,J=16.8Hz,13.2Hz)、1.86−2.08(3H,m)、1.50−1.74(3H,m)、1.47(3H,s)、1.46(3H,s)、1.33(3H,s)、1.24−1.44(6H,m)、0.81(3H,s).
MS(ESI):453(M+23)
[実施例24]
3,17β−Bis(1−methoxy−1−methylethoxy)estra−1,3,5(10)−trien−6−oneの再結晶
標記化合物(2.09g)をテトラヒドロフラン(2v/v%Et3N含有、4.5ml)に溶解し、ヘプタン(2v/v%Et3N含有、14.5ml)を加えて再結晶を行い、1.56g(収率75%)を得た。
mp137−138℃
[実施例25]
3,17β−Bis(1−methoxy−1−methylethoxy)estra−1,3,5(10)−trien−6−oneの合成
3,17β−Bis(1−methoxy−1−methylethoxy)estra−1,3,5(10)−trien−6−ol(1.0g,2.31mmol)を酢酸エチル(23ml)に溶解し、活性MnO2(2.0g)、モレキュラーシーブ4A(1.0g)を加え室温にて16時間撹拌した後、さらに活性MnO2(2.0g)を追加し室温にて3時間撹拌した。反応液を濾過した後、有機溶媒を減圧下留去し、標記化合物(995mg、収率100%)を得た。本化合物は実施例23で得られた化合物と一致した。
[実施例26]
3,17β−Bis(methoxymethoxy)estra−1,3,5(10)−trien−6−olの合成
t−BuOK(1.35g、12mmol)を無水テトラヒドロフラン(2ml)に懸濁し、窒素雰囲気下−78℃にてn−BuLi(1.6Mヘキサン溶液、7.5ml、12mmol)およびdiisopropylamine(1.68ml、12mmol)を滴下し、同温度で30分間攪拌した。さらに3,17β−bis(methoxymethoxy)estra−1,3,5(10)−triene(1.08g、3.0mmol)の無水テトラヒドロフラン溶液(4ml)を−78℃で加え、同温度で4時間攪拌した。次いでB(OMe)3(2.04ml、18mmol)を−78℃で10分かけて加え、0℃で1時間攪拌した。さらに30%過酸化水素水(5ml)を0℃で加え、室温で1時間攪拌した。5%炭酸水素ナトリウム(20ml)加えた後、ヘキサン−酢酸エチル(5:2(v/v))(70ml)で抽出した。有機層を10%チオ硫酸ナトリウム水溶液、5%硫酸水素カリウム水溶液、飽和食塩水、5%炭酸水素ナトリウム、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、濾過した。濾液を減圧濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(酢酸エチル:ヘキサン=1:1(v/v))で精製し、標記化合物(843mg、収率74.6%)を得た。
NMR(300MHz、CDCl3)δ7.26(1H,m)、7.20(1H,d,J=8.7Hz)、6.92(1H,dd,J=2.7Hz,8.7Hz)、5.20−5.15(2H,m)、4.88−4.79(1H,m)、4.68−4.63(2H,m)、3.62(1H,t,J=8.4Hz)、3.48(3H,s)、3.37(3H,s)、2.34−2.22(3H,m)、2.15−1.96(2H,m)、1.76−1.21(9H,m)、0.81(3H,s).
MS(DI):m/z376(M+)
[実施例27]
3,17β−Bis(methoxymethoxy)estra−1,3,5(10)−trien−6−oneの合成
3,17β−Bis(methoxymethoxy)estra−1,3,5(10)−trien−6−ol(188mg、0.50mmol)、2,2,6,6−tetramethyl−1−piperidinyloxy(8.0mg、0.05mmol)、KBr(60mg、0.50mmol)およびNaHCO3(84mg、1.00mmol)をジクロロメタン(1ml)および蒸留水(0.5ml)の混合液に溶解し、0℃にて15%NaClO(1ml)を滴下した。0℃で30分間撹拌した後、反応液をヘキサンで抽出し、有機層を10%チオ硫酸ナトリウム水溶液(20ml)、5%硫酸水素カリウム水溶液(10ml)、飽和食塩水(10ml)、5%炭酸水素ナトリウム(10ml)、飽和食塩水(10ml)で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、濾過した。濾液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(酢酸エチル:ヘキサン=1:1(v/v))で精製し、標記化合物(178mg、収率95.2%)を得た。
NMR(300MHz、CDCl3)δ7.70(1H,d,J=2.9Hz)、7.36(1H,d,J=8.6Hz)、7.21(1H,dd,J=2.9Hz,8.6Hz)、5.20(2H,s)、4.69−4.64(2H,m)、3.63(1H,t,J=8.4Hz)、3.47(3H,s)、3.38(3H,s)、2.74(1H,dd,J=3.3Hz,16.5Hz)、2.53−2.33(2H,m)、2.26−1.87(4H,m)、1.73−1.25(6H,m)、0.82(3H,s).
MS(DI):m/z374(M+)
[実施例28]
3,17β−Bis(1−methoxy−1−methylethoxy)e stra−1,3,5(10)−trien−6−one oximeの合成
t−BuOK(456mg、4.06mmol)のテトラヒドロフラン(1.5ml)溶液にn−BuLi(2.46Mヘキサン溶液、1.65ml、4.06mmol)を窒素雰囲気下−78℃にて3分かけて加えたのち、2,2,6,6−tetramethylpiperidine(0.69ml、4.09mmol)を同温にて3分かけて加えた。さらに3,17β−bis(1−methoxy−1−methylethoxy)estra−1,3,5(10)−triene(423mg、1.02mmol)のテトラヒドロフラン溶液(1.1ml)を窒素雰囲気下−78℃にて7分かけて加え、同温にて3時間撹拌した後、isoamyl nitrite(0.54ml、4.0mmol)を加え、−78℃にて30分間、0℃にて45分間撹拌した。反応液に酢酸エチルおよび水を加えて抽出し、有機層を飽和食塩水にて洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、有機溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(NHシリカゲル、展開溶媒;酢酸エチル:ヘキサン=5:1(v/v))にて精製し、標記化合物(193mg、収率42%)を得た。
NMR(300MHz,CDCl3)δ7.63(1H,d,J=2.7Hz)、7.22(1H,d,J=8.7Hz)、7.08(1H,dd,J=8.4Hz,2.7Hz)、3.72(1H,dd,J=8.0Hz,8.0Hz)、3.44(3H,s)、3.24(3H,s)、3.17(1H,dd,J=18.0Hz,4.5Hz)、2.29(1H,dd,J=13.5Hz,3.3Hz)、2.18(1H,td,J=11.2Hz,4.7Hz)、1.95−2.1(3H,m)、1.50−1.80(4H,m)、1.47(3H,s)、1.46(3H,s)、1.34(6H,s)、1.15−1.45(3H,m)、0.79(3H,s).
MS(EI):302.3(M+1−MIPx2)
[実施例29]
3,17β−Bis(1−methoxy−1−methylethoxy)estra−1,3,5(10)−trien−6−oneの合成
3,17β−Bis(1−methoxy−1−methylethoxy)estra−1,3,5(10)−trien−6−one oxime(9mg、0.02mmol)のMeCN(0.1ml)溶液に1.7M NaOCl水溶液(0.05ml、0.085mmol)を室温にて加え、15分間撹拌した後、酢酸エチルおよび水を加えて抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、有機溶媒を減圧下留去し、標記化合物(9mg、収率100%)を得た。
本化合物は実施例23で得られた化合物と一致した。
[実施例30]
3,17β−Bis(methoxymethoxy)estra−1,3,5(10)−trien−6−one oximeの合成
t−BuOK(1.0M テトラヒドロフラン溶液、4ml、4mmol)に、窒素雰囲気下−78℃にてn−BuLi(1.5M ヘキサン溶液、2.7ml、4mmol)、diisopropylamine(0.4g、4mmol)およびhexamethylphosphoramide(0.2ml、1mmol)を滴下し、同温度で30分間攪拌した。さらに3,17β−bis(methoxymethoxy)estra−1,3,5(10)−triene(360mg、1.0mmol)の無水テトラヒドロフラン溶液(1.5ml)を−78℃で加え、同温度で4時間攪拌した。次いでisoamyl nitrite(0.77g、4mmol)を−78℃で加え、0℃で1時間攪拌した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出し、有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、濾過した。濾液を減圧濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(酢酸エチル:ヘキサン=1:4−2:3(v/v))で精製し、標記化合物(202mg、収率50%)を得た。
NMR(300MHz、CDCl3)δ9.08(1H,s)、7.58(1H,d,J=2.8Hz)、7.24(1H,d,J=8.5Hz)、7.03(1H,dd,J=2.8Hz,8.5Hz)、5.19(1H,d,J=6.6Hz)、5.16(1H,d,J=6.6Hz)、4.68(1H,d,J=6.6Hz)、4.66(1H,d,J=6.6Hz)、3.63(1H,t,J=8.4Hz)、3.48(3H,s)、3.39(3H,s)、3.16(1H,dd,J=4.7Hz,8.1Hz)、2.34−2.24(1H,m)、2.22−1.96(4H,m)、1.85−1.72(1H,m)、1.70−1.16(7H,m)、0.79(3H,s).
MS(ESI)m/z390(M+1)
[実施例31]
3,17β−Bis(methoxymethoxy)estra−1,3,5(10)−trien−6−oneの合成
3,17β−Bis(methoxymethoxy)estra−1,3,5(10)−trien−6−one oxime(48mg、0.12mmol)をテトラヒドロフラン−メタノール(1.25ml−0.25ml)に溶解し、室温にて5N NaOH水溶液(0.25ml)および(NH4)2Ce(NO3)6(66mg,0.12mmol)を加え、同温度で1時間攪拌した。さらに水(0.1ml)およびメタノール(0.25ml)を加えた後、攪拌下に原料が消失するまで(NH4)2Ce(NO3)6(330mg,0.6mmol)を少量ずつ加えた。反応液に水およびエーテルを加えて抽出し、有機層を水洗後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥し、濾過した。濾液を減圧濃縮し、標記化合物(44mg、収率96%)を得た。
本化合物は実施例27で得られた化合物と一致した。
[実施例32]
6−Ketoestradiolの合成
19−Nortestosteron(1.0g、3.64mmol)をジメチルスルホキシド(8ml)に溶かし、酢酸カリウム(502mg、5.11mmol)を加え、空気雰囲気下、120℃にて11時間撹拌した。反応液を室温まで冷却し、蒸留水(70ml)および2N HCl水溶液(5ml)を加え、生じた沈殿物を濾取した。濾別した沈殿物をメタノールに溶解し、トルエンを加えて、減圧下濃縮し、標記化合物(890mg、収率85%)を得た。本化合物は標品と一致した。
[実施例33]
3,17β−Bis(1−methoxy−1−methylethoxy)estra−1,3,5(10)−trien−6−oneの合成
6−Ketoestradiol(890mg、3.1mmol)をテトラヒドロフラン(8.0ml)に溶かし、0℃にて2−methoxypropene(6.0ml、62mmol)を加え、さらにpyridinium p−toluenesulfonate(1mg)を加えて、窒素雰囲気下、同温度にて30分間撹拌した。0℃にて5%炭酸カリウム水溶液を加えた後、酢酸エチルおよび水を加えて抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、有機溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(NHシリカゲル、展開溶媒;酢酸エチル:ヘキサン=1:20(v/v))にて精製し、標記化合物(580mg、収率44%)を得た。
本化合物は実施例23で得られた化合物と一致した。
[実施例34]
t−Butyl 2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−nonafluoroheptyl)−10−[(7α,17β)−3,17−dihydroxy−6−oxoestra−1,3,5(10)−trien−7−yl]decanoateの合成
3,17β−Bis(1−methoxy−1−methylethoxy)estra−1,3,5(10)−trien−6−one(9.02g,20.95mmol)を1,4−dioxane(35ml)に溶解し、t−BuOK(2.72g,23.04mmol)を加え室温にて30分間撹拌した後、t−butyl (±)−2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−nonafluoroheptyl)−10−iododecanoate(14.16g,23.04mmol)の1,4−dioxane(7ml)溶液を加え、室温にて12時間撹拌した。さらにt−BuOK(990mg,8.38mmol)を加え室温にて3時間撹拌した後、氷冷下に10%炭酸水素ナトリウム水溶液(30ml)を加えヘキサンにて抽出した。抽出液を飽和食塩水にて洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、有機溶媒を減圧下留去した。残留物を酢酸エチルに溶解し、10%硫酸水素カリウム水溶液を加え室温にて4時間撹拌した。有機層を分取し、飽和食塩水にて洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、有機溶媒を減圧下留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィにて精製(酢酸エチル:ヘキサン=1:4(v/v))し、標記化合物(12.03g,収率74.3%)を立体異性体混合物(1:1)として得た。
NMR(CDCl3)δ7.47 and 7.45(each 0.5H,each d,J=2.9Hz)、7.29(1H,d,J=8.5Hz)、7.04(1H,dd,J=8.5Hz,2.9Hz)、5.72 and (each 0.5H,each s)、3.77(1H,dd,J=8.5Hz,7.7Hz)、2.68(1H,dt,J=11.5Hz,4.7Hz)、2.48−2.34(2H,m)、2.28−1.92(6H,m)、1.74−1.06(27H,m)、1.47 and 1.45(each 4.5H,each s)、0.79(3H,s).
MS(ESI):m/z 716(M−isobutene)
[実施例35]
2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−Nonafluoroheptyl)−10−[(7α,17β)−3,17−dihydroxyestra−1,3,5(10)−trien−7−yl]decanoic acidの合成
t−Butyl 2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−nonafluoroheptyl)−10−[(7α,17β)−3,17−dihydroxy−6−oxoestra−1,3,5(10)−trien−7−yl]decanoate(50mg、0.065mmol)のジクロロメタン(2.5ml)溶液にEt3SiH(0.10ml、0.63mmol)、およびBF3・Et2O(0.040ml、0.32mmol)を室温にて加え同温にて1日撹拌した後、さらにEt3SiH(0.10ml、0.63mmol)を室温にて加え同温にて2日撹拌した。反応液にジクロロメタンおよび水を加えて抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥し、有機溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒;ヘキサン:アセトン=3:1(v/v))にて精製し、標記化合物(40mg、収率88%)を立体異性体混合物(1:1)として得た。本化合物は標品と一致した。
[実施例36]
t−Butyl 2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−nonafluoroheptyl)−10−[(7α,17β)−3,17−bis(methoxymethoxy)−6−oxoestra−1,3,5(10)−trien−7−yl]decanoateの合成
窒素雰囲気下、3,17−bis(methoxymethoxy)estra−1,3,5(10)−trien−6−one(249.1mg、0.666mmol)の1,2−dimethoxyethane(2ml)溶液をt−BuOK(86mg、0.765mmol)の1,2−dimethoxyethane(0.5ml)の氷冷懸濁液に滴下し、同温度にて1時間撹拌した。次いでt−butyl (±)−2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−nonafluoroheptyl)−10−iododecanoate(0.61g、0.998mmol)の1,2−dimethoxyethane(0.6ml)溶液を滴下後、反応混合物を同温度にて2時間45分間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液5mlを加えて反応を停止し、続いて飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液0.5ml及び水2mlを加えた。混合物をヘキサン−酢酸エチル(1:1(v/v))にて抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィにて精製し、標記化合物0.28g(収率49%)を立体異性体混合物(1:1)として得た。
NMR(CDCl3)δ7.67(1H、d、J=2.8Hz)、7.32(1H、d、J=8.6Hz)、7.20(1H、dd、J=8.6Hz、2.8Hz)、5.20(2H、s)、3.35−3.40(2H、m)、3.65(1H、t、J=8.4Hz)、3.48(3H、s)、3.35−3.40(3H、m)、2.6−2.8(1H、m)、1.9−2.5(8H、m)、1.0−1.7(35H、m)、0.81(3H、s)
[実施例37]
2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−Nonafluoroheptyl)−10−[(7α,17β)−3,17−dihydroxy−6−oxo−estra−1,3,5(10)−trien−7−yl]decanoic acidの合成
t−Butyl 2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−nonafluoroheptyl)−10−[(7α,17β)−3,17−bis(methoxymethoxy)−6−oxoestra−1,3,5(10)−trien−7−yl]decanoate(1.15g、1.34mmol)のジクロロメタン(1ml)溶液に水(1ml)を加え、0℃に冷却後トリフルオロ酢酸(5ml)を加えた。反応混合物を0℃で5分間、室温で2時間10分撹拌後、減圧下濃縮した。残渣をメタノール(3ml)に溶解し、0℃に冷却後炭酸カリウム(0.46g)を加えた。0℃で5分間、室温で40分間撹拌後、炭酸カリウム(0.46g)を添加し、更に40分間撹拌した。減圧濃縮後残渣にエーテル及び水を加え、濃塩酸で酸性(pH2)にし、エーテルにて抽出した。有機層を水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィにて精製し、標記化合物(0.71g、収率74%)を立体異性体混合物(1:1)として得た。
NMR(CDCl3)δ7.60(1H、d、J=2.8Hz)、7.29(1H、d、J=8.4Hz)、7.07(1H、dd、J=8.4Hz、2.8Hz)、3.79(1H、t、J=8.9Hz)、2.6−2.8(1H、m)、2.3−2.5(3H、m)、1.9−2.3(5H、m)、1.0−1.8(26H、m)、0.79(3H、s)
MS(ESI):m/z717(M+1)
[実施例38]
2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−Nonafluoroheptyl)−10−[(7α,17β)−3,17−dihydroxyestra−1,3,5(10)−trien−7−yl]decanoic acidの合成
2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−Nonafluoroheptyl)−10−[(7α,17β)−3,17−dihydroxy−6−oxo−estra−1,3,5(10)−trien−7−yl]decanoic acid(21.7mg、0.030mmol)、10%Pd−C(2mg)及び20%Pd(OH)2−C(2mg)をメタノール中水素雰囲気下、常圧で3.5日間撹拌した。反応液を濾過後、濾液を減圧下濃縮し、標記化合物(収率40%)を立体異性体混合物(1:1)として得た。本化合物は標品と一致した。
[実施例39]
t−Butyl 2ξ−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−nonafluoroheptyl)−10−[(7α,17β)−3,17−dihydr oxy−6−oxoestra−1,3,5(10)−trien−7−yl]decanoateの合成
窒素雰囲気下、1,4−ジオキサン(0.2ml)を3,17β−bis(1−methoxy−1−methylethoxy)estra−1,3,5(10)−trien−6−one(100.6mg、0.234mmol)及びカリウムt−ブトキシド(30.1mg、0.269mmol)の混合物に添加し、室温で30分間撹拌後、実施例10で得られたt−butyl(−)−2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−nonafluoroheptyl)−10−iododecanoate(第一ピーク、>99%ee)(158mg、0.257mmol)の1,4−ジオキサン(0.3ml)溶液を滴下した。反応混合物を18時間撹拌後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1ml)、水(2ml)及び飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液(0.1ml)を添加した。混合物を酢酸エチルで抽出し、有機相を飽和食塩水(7.5ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧下濃縮した。得られた粗生成物を酢酸エチル(2ml)に溶解後、飽和硫酸水素カリウム水溶液(2ml)を添加し、更に1時間50分間撹拌した。水(10ml)添加後、混合物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水(10ml)及び飽和食塩水(12.5ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム乾燥後、減圧下濃縮し、粗生成物を208.0mg得た。下記条件にてHPLC分析し、標記化合物が相対面積比42.2%、91.9%deで得られた事を確認した。
カラム:CHIRALPAK AD
移動相:ヘキサン/イソプロパノール=97/3(v/v)
流速:1.0ml/分
温度:室温
[実施例40]
2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−Nonafluoroheptyl)−10−[(7α,17β)−3,17−dihydroxy−6−oxo−estra−1,3,5(10)−trien−7−yl]decanoic acidの合成
窒素雰囲気下、t−ブチルメチルエーテル(0.2ml)を3,17β−bis(1−methoxy−1−methylethoxy)estra−1,3,5(10)−trien−6−one(51.5mg、0.120mmol)及びt−BuOK(29.5mg、0.263mmol)の混合物に加え、室温で40分間撹拌した。次いで(±)−2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−nonafluoroheptyl)−10−iododecanoic acid(73.4mg、0.132mmol)のt−ブチルメチルエーテル(0.3ml)溶液を滴下し、反応混合物を室温にて20時間撹拌した。反応混合物に飽和硫酸水素カリウム水溶液(2ml)及び酢酸エチル(1ml)を添加し、更に1時間撹拌した。水(10ml)添加後、混合物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水(10ml)及び飽和食塩水(10ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧下濃縮した。粗生成物を薄層クロマトグラフィ(Merck Kieselgel60; 展開溶媒: ヘキサン:アセトン=3:2(v/v))にて精製し、標記化合物(23.4mg、収率27.3%)を立体異性体混合物(1:1)として得た。本化合物は実施例37で得られた化合物と一致した。
[実施例41]
2ξ−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−Nonafluoroheptyl)10−[(7α,17β)−3,17−dihydroxy−6−oxo−estra−1,3,5(10)−trien−7−yl]decanoic acidの合成
窒素雰囲気下、1,2−dimethoxyethane(0.4ml)を3,17β−bis(1−methoxy−1−methylethoxy)estra−1,3,5(10)−trien−6−one(100.4mg、0.23mmol)及びt−BuOK(57.6mg、0.51mmol)の混合物に加え、室温で40分間撹拌した。次いで実施例13で得られた(+)−2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−nonafluoroheptyl)−10−iododecanoic acid(143.2mg、0.26mmol)の1,2−dimethoxyethane(0.6ml)溶液を滴下し、反応混合物を室温にて24時間撹拌した。反応混合物に飽和硫酸水素カリウム水溶液(4ml)及び酢酸エチル(2ml)を添加し、更に3時間撹拌した。水(20ml)添加後、混合物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水(20ml)及び飽和食塩水(20ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧下濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:アセトン=3:2(v/v))にて精製し、標記化合物(82.5mg、収率49.4%)を単一立体異性体として得た。
NMR(270MHz,CDCl3):δ7.58(1H,d,J=2.6Hz),7.30(1H,m),7.07(1H,dd,J=8.4Hz,2.6Hz),3.79(1H,t,J=8.2Hz),2.74−2.63(1H,m),2.53−2.30(3H,m),2.25−1.94(5H,m),1.80−1.08(26H,m),0.78(s,3H).
MS(ESI):m/z716(M+)
[実施例42]
2ξ−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−Nonafluoroheptyl)10−[(7α,17β)−3,17−dihydroxy−6−oxo −estra−1,3,5(10)−trien−7−yl]decanoic acidの合成
窒素雰囲気下、トルエン(0.4ml)を3,17β−bis(1−methoxy−1−methylethoxy)estra−1,3,5(10)−trien−6−one(100mg、0.232mmol)及びt−BuOK(57.3mg、0.511mmol)の混合物に加え、室温で40分間撹拌した。次いで実施例14で得られた(−)−2−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−nonafluoroheptyl)−10−iododecanoic acid(142.6mg、0.255mmol)のトルエン(0.6ml)溶液を滴下し、反応混合物を室温にて24時間撹拌した。反応混合物に飽和硫酸水素カリウム水溶液(4ml)及び酢酸エチル(2ml)を添加し、更に3時間撹拌した。水(20ml)添加後、混合物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水(20ml)及び飽和食塩水(20ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧下濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:アセトン=3:2(v/v))にて精製し、標記化合物(42.1mg、収率25.3%)を単一立体異性体として得た。
NMR(270MHz,CDCl3)δ7.58(1H,d,J=2.7Hz),7.30−7.26(1H,m),7.06(1H,dd,J=8.1Hz,2.7Hz),3.78(1H,t,J=8.1Hz),2.76−2.60(1H,m),2.48−2.28(3H,m),2.18−1.92(5H,m),1.80−1.08(26H,m),0.78(3H,s)
MS(ESI):m/z 716(M+)
産業上の利用の可能性
本発明の新規エストラジオール誘導体の製造方法は、医薬として有用であるエストラジオール誘導体の工業的な製造方法として有用である。また、この方法に用いる本発明の中間体および当該中間体の工業的な製造方法も上記エストラジオール誘導体を製造するために有用である。
Claims (46)
- 式(I)
(式中、mは2〜14の整数を表し、nは2〜7の整数を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表す。)
で表される化合物の製造方法であって、
式(II)
(式中、R1、R2は独立して、水酸基の保護基を表す。)
で表される化合物を、塩基存在下、式(III)
(式中、mは2〜14の整数を表し、nは2〜7の整数を表し、R3はカルボキシル基の保護基を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表し、X2はハロゲン原子を表す。)
と反応させ、式(IV)
(式中、R1、R2は独立して、水酸基の保護基を表し、R3はカルボキシル基の保護基を表し、m、n、R4は前記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップと、
式(IV)で表される化合物の6位カルボニル基の還元、3位および17位水酸基の保護基の脱保護、およびカルボキシル基の保護基の脱保護を行うことにより式(I)
(式中、m、n、R4は前記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップとを含む方法。 - 式(I)
(式中、mは2〜14の整数を表し、nは2〜7の整数を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表す。)
で表される化合物の製造方法であって、
式(II)
(式中、R1、R2は独立して、水酸基の保護基を表す。)
で表される化合物を、塩基存在下、式(VII)
(式中、mは2〜14の整数を表し、nは2〜7の整数を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表し、X2はハロゲン原子を表す。)
と反応させて式(VIII)
(式中、R1、R2、m、n、R4は前記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップと、
式(VIII)で表される化合物の6位カルボニル基の還元、3位および17位水酸基の保護基の脱保護を行うことにより式(I)
(式中、m、n、R4は前記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップとを含む方法。 - 式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物とを反応させる際の溶媒が、誘電率(ε)が4.0以下または双極子モーメント(μ/D)が1.5以下の溶媒を含む溶媒であることを特徴とする請求項1または3記載の製造方法。
- 式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物との反応の際に、式(II)で表される化合物の初濃度が、0.5M以上であることを特徴とする、請求項1または3記載の製造方法。
- 式(III)で表される化合物が光学活性な化合物であることを特徴とする、請求項1または3〜5いずれか1項記載の製造方法。
- 式(II)で表される化合物と式(VII)で表される化合物とを反応させる際の溶媒が、誘電率(ε)が4.0以下または双極子モーメント(μ/D)が1.5以下の溶媒を含む溶媒であることを特徴とする請求項2または7記載の製造方法。
- 式(II)で表される化合物と式(VII)で表される化合物との反応の際に、式(II)で表される化合物の初濃度が、0.5M以上であることを特徴とする請求項2または7記載の製造方法。
- 式(VII)で表される化合物が光学活性な化合物であることを特徴とする、請求項2または7〜9いずれか1項記載の製造方法。
- R4がパーフルオロアルキル基である請求項11〜13いずれか1項記載の化合物。
- mが8であり、nが3であり、R4がノナフルオロ−n−ブチル基である請求項11〜13いずれか1項記載の化合物。
- R1、R2が共に2−メトキシイソプロピル基、またはメトキシメチル基であるか、R1が2−メトキシイソプロピル基、R2がイソプロペニル基である請求項16〜18いずれか1項記載の製造方法。
- 式(III)
(式中、mは2〜14の整数を表し、nは2〜7の整数を表し、R3はカルボキシル基の保護基を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表し、X2はハロゲン原子を表す。)で表される化合物の製造方法であって、
式(XVI)
(式中、n、R3は上記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を、式(XVII)
(式中、R4は上記と同じ意味を表し、X1はハロゲン原子を表す。)
で表される化合物と反応させることにより、式(XVIII)
(式中、n、R3、R4、X1は上記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップと、
式(XVIII)で表される化合物を還元して式(XIX)
(式中、n、R3、R4は上記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップと、
式(XIX)で表される化合物を、塩基存在下、式(XX)
(式中、mは2〜14の整数を表し、X2はハロゲン原子を表し、X3は脱離基を表す。)
で表される化合物と反応させることにより、式(III)
(式中、m,n、R3、R4、X2は上記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップとを含む方法。 - 式(III)
(式中、mは2〜14の整数を表し、nは2〜7の整数を表し、R3はカルボキシル基の保護基を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表し、X2はハロゲン原子を表す。)で表される化合物の製造方法であって、
式(XXI)
で表される化合物を、塩基性条件下、式(XVII)
(式中、nは2〜7の整数を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表し、X1はハロゲン原子を表す。)
で表される化合物と反応させることにより、式(XXII)
(式中、n、R4は上記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップと、
式(XXII)で表される化合物を還元して式(XXIII)
(式中、n、R4は上記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップと、
式(XXIII)で表される化合物のカルボキシル基を保護して式(XIX)
(式中、R3はカルボキシル基の保護基を表し、n、R4は上記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップと、式(XIX)で表される化合物を、塩基存在下、式(XX)
(式中、mは2〜14の整数を表し、X2はハロゲン原子を表し、X3は脱離基を表す。)
で表される化合物と反応させることにより、式(III)
(式中、m,n、R3、R4、X2は上記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップとを含む方法。 - 式(III)
(式中、mは2〜14の整数を表し、nは2〜7の整数を表し、R3はカルボキシル基の保護基を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表し、X2はハロゲン原子を表す。)で表される化合物の製造方法であって、
式(XXIV)
(式中、R3はカルボキシル基の保護基を表す。)
で表される化合物を、式(XXV)
(式中、nは2〜7の整数を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表し、X4は脱離基を表す。)
で表される化合物と反応させることにより、式(XIX)
(式中、n、R3、R4は上記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップと、
式(XIX)で表される化合物を、塩基存在下、式(XX)
(式中、mは2〜14の整数を表し、X2はハロゲン原子を表し、X3は脱離基を表す。)
で表される化合物と反応させることにより、式(III)
(式中、m,n、R3、R4、X2は上記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップとを含む方法。 - 式(III)
(式中、mは2〜14の整数を表し、nは2〜7の整数を表し、R3はカルボキシル基の保護基を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表し、X2はハロゲン原子を表す。)で表される化合物の製造方法であって、
式(XXIV)
(式中、R3はカルボキシル基の保護基を表す。)
で表される化合物を、塩基存在下、式(XX)
(式中、mは2〜14の整数を表し、X2はハロゲン原子を表し、X3は脱離基を表す。)
で表される化合物と反応させることにより、式(XXVI)
(式中、m、R3、R4は上記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップと、
式(XXVI)で表される化合物を、式(XXV)
(式中、nは2〜7の整数を表し、R4は炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のハロゲノアルキル基を表し、X4は脱離基を表す。)
で表される化合物と反応させることにより、式(III)
(式中、m,n、R3、R4、X2は上記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得るステップとを含む方法。 - R4がパーフルオロアルキル基であり、X2がヨウ素である請求項24〜28いずれか1項記載の製造方法。
- mが8であり、nが3であり、R4がノナフルオロ−n−ブチル基であり、X2がヨウ素である請求項24〜28いずれか1項記載の製造方法。
- mが8であり、nが3であり、R3がt−ブチル基であり、R4がノナフルオロ−n−ブチル基であり、X2がヨウ素である請求項24〜28いずれか1項記載の製造方法。
- mが8であり、nが3であり、R3はt−ブチル基であり、R4はノナフルオロ−n−ブチル基である請求項33記載の化合物。
- R3がt−ブチル基である請求項36に記載の化合物。
- R3がt−ブチル基である請求項38に記載の化合物。
- R3がt−ブチル基であり、R4が炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のパーフルオロアルキル基であり、X2がヨウ素である請求項40記載の方法。
- mが8であり、nが3であり、R3がt−ブチル基であり、R4がノナフルオロ−n−ブチル基であり、X2がヨウ素である請求項40記載の方法。
- R4が炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐鎖状のパーフルオロアルキル基であり、X2がヨウ素である請求項43記載の方法。
- mが8であり、nが3であり、R4がノナフルオロ−n−ブチル基であり、X2がヨウ素である請求項43記載の方法。
- さらに、式(III)で表される化合物のカルボキシル基の保護基を脱保護して式(VII)で表される化合物を得るステップを含む、請求項24〜28いずれか1項記載の製造方法。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001207013 | 2001-07-06 | ||
JP2001207013 | 2001-07-06 | ||
PCT/JP2002/006896 WO2003004515A1 (fr) | 2001-07-06 | 2002-07-08 | Procede de production de derives d'estradiol, produits intermediaires utilises dans ce procede et procede de production de ces derniers |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPWO2003004515A1 true JPWO2003004515A1 (ja) | 2004-10-28 |
Family
ID=19043061
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003510681A Withdrawn JPWO2003004515A1 (ja) | 2001-07-06 | 2002-07-08 | エストラジオール誘導体の製造方法、当該方法で用いる中間体及びその製造方法 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPWO2003004515A1 (ja) |
WO (1) | WO2003004515A1 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4481660B2 (ja) * | 2002-04-02 | 2010-06-16 | 中外製薬株式会社 | エストロン誘導体およびその製造方法 |
JP6698821B2 (ja) * | 2016-03-31 | 2020-05-27 | 富士フイルム株式会社 | 着色組成物、光吸収異方性膜、積層体および画像表示装置 |
Family Cites Families (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS59110675A (ja) * | 1982-12-16 | 1984-06-26 | Ss Pharmaceut Co Ltd | ピリジン誘導体及びその製造方法 |
AU1342097A (en) * | 1995-12-29 | 1997-07-28 | Minnesota Mining And Manufacturing Company | Fluorine containing poly (beta-hydroxyorganoate) |
US6136992A (en) * | 1997-03-13 | 2000-10-24 | The United States Of America As Represented By The Department Of Health And Human Services | 2-alkoxy estradiols and derivatives thereof |
US5902888A (en) * | 1997-11-14 | 1999-05-11 | Bayer Corporation | Synthesis of 6α-functionalized estriol haptens and protein conjugates thereof |
AU780947B2 (en) * | 1999-12-13 | 2005-04-28 | Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha | Compound having hydroxycarbonyl-halogenoalkyl side chain |
JP4070463B2 (ja) * | 2000-02-18 | 2008-04-02 | 大鵬薬品工業株式会社 | ステロイド誘導体の製造法 |
-
2002
- 2002-07-08 WO PCT/JP2002/006896 patent/WO2003004515A1/ja active Application Filing
- 2002-07-08 JP JP2003510681A patent/JPWO2003004515A1/ja not_active Withdrawn
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2003004515A1 (fr) | 2003-01-16 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US5457227A (en) | Process for the preparation of 1,3-dioxane derivatives useful in the preparation of HMG-CoA reductase inhibitors | |
EP0530285B1 (fr) | Procede de preparation enantioselective de derives de la phenylisoserine | |
EP0989113A1 (en) | Processes for producing 2-aminomalonic acid derivatives and 2-amino-1,3-propanediol derivatives, and intermediates for producing the derivatives | |
JP2011042690A (ja) | ナプロキセンのニトロキシアルキルエステル | |
HU207288B (en) | Process for enenthioselective producing phenyl-isoserine derivatives | |
JP4299677B2 (ja) | コンブレタスタチンの製造方法 | |
HUT68255A (en) | Process for the preparation of beta-phenylisoserine derivatives and use thereof | |
JPH0610191B2 (ja) | ピロリドン誘導体の製造方法 | |
JPWO2003004515A1 (ja) | エストラジオール誘導体の製造方法、当該方法で用いる中間体及びその製造方法 | |
KR20060070485A (ko) | 프로키랄 및 메소 사이클릭 무수물의 촉매적 비대칭탈대칭화 | |
JPS6328423B2 (ja) | ||
EP1072582B1 (en) | Intermediate for synthesis of a ring part of vitamin d derivatives having a substituent at 2-position | |
ES2942280T3 (es) | Procesos para preparar ácido 2-isoprenil-5-metil-4-hexenoico, 2-isoprenil-5-metil-4-hexen-1-ol y un éster carboxilato del mismo | |
KR100763770B1 (ko) | 아토르바스타틴 합성에 유용한 광학활성 중간체의 제조방법 | |
KR101014890B1 (ko) | 신규 고리화합물과 이의 제조방법 | |
JPH05294922A (ja) | 新規なフェネチルアルコール及びその製法 | |
US5187311A (en) | Methylthiophenol derivatives and p-methylthiophenyl chloroformates and processes for producing these derivatives | |
KR101777633B1 (ko) | 베라프로스트 제조 중간체의 제조방법 | |
KR0144853B1 (ko) | (2-아미노티아졸-4-일)아세트산 유도체 및 이의 제조방법 | |
JP2831549B2 (ja) | 24―オキソコレステロール類の製造法 | |
JPH0427980B2 (ja) | ||
HU210920B (hu) | Eljárás többgyűrűs pirimidinszármazékok előállítására | |
JPS632251B2 (ja) | ||
JPH06157552A (ja) | シクロヘキシルベンゾニトリル化合物の製造方法 | |
JPH075491B2 (ja) | ジエノ−ル及びそのエステル、並びにそれらの製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050523 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20070605 |