JPWO2002097024A1 - ドライクリーニング用洗浄剤組成物 - Google Patents

Abstract

ａ．非イオン性界面活性剤、ｂ．環状ポリシロキサンおよびｃ．ＨＬＢ値が６以下であるポリエーテル変性シリコーンを含有し、該ａ、ｂ、ｃ各成分の合計重量に対し、ａ成分が５〜７０重量％、ｂ成分とｃ成分の合計重量が３０〜９５重量％、ｂ成分とｃ成分の重量比ｂ／ｃが１／１０〜２０／１であるドライクリーニング用洗浄剤組成物およびそれを用いたドライクリーニング用洗浄液であって、本発明により、優れた洗浄力、再汚染防止力および水可溶化力を有し、前処理剤を用いた場合においてもわじみが衣類に起こりにくく、被洗物に対し良好な柔軟性を付与し、かつ経時安定性の良好なドライクリーニング用洗浄剤組成物およびそれを用いたドライクリーニング用洗浄液を提供することができる。

Description

技術分野
本発明は優れた洗浄力、再汚染防止力および水可溶化力を有し、前処理剤を用いた場合においてもわじみが衣類に起こりにくく、被洗物に対し良好な柔軟性を付与し、かつ経時安定性の良好なドライクリーニング用洗浄剤組成物およびそれを用いたドライクリーニング用洗浄液に関する。
背景技術
一般に衣類の洗浄には、水を媒体として中性洗剤で洗浄するウェットクリーニング、水を媒体としてアルカリ性洗剤で洗浄するランドリークリーニング、有機溶剤を媒体とするドライクリーニングがある。スーツ、セーターなどの毛織物の衣類は、水を媒体とする方法で洗浄すると衣類が収縮したり型崩れしやすい。また、ネクタイやスカーフなどの絹織物の衣類は、水を媒体とする方法で洗浄すると表面の光沢が消失しやすい。このため、毛や絹織物などの衣類は、収縮等の問題が起こりにくいドライクリーニングで洗浄する場合が多い。
ドライクリーニングで使用される有機溶剤には、石油系溶剤のほか、テトラクロルエチレン、１，１，２−トリクロロ−１，２，２−トリフルオロエタン、１，１，１−トリクロロエタンや代替フロン溶剤である１，３−ジクロロ−１，２，２，３，３−ペンタフルオロプロパン、１，１−ジクロロ−１−モノフルオロエタンなどのハロゲン系溶剤がある。これらの溶剤には地球環境や生態への影響の観点から近年種々の問題が指摘されている。即ち、石油系溶剤は大気汚染の原因物質であり、衣類の乾燥が不十分な場合には溶剤の残留による皮膚障害等の問題がある。またテトラクロルエチレンは発ガン性が指摘されており使用量の削減が求められている。さらに１，１，２−トリクロロ−１，２，２−トリフルオロエタン、１，１，１−トリクロロエタンはオゾン層破壊物質として１９９６年以降、１，３−ジクロロ−１，２，２，３，３−ペンタフルオロプロパンもオゾン層破壊が懸念され２０２０年には生産全廃が決定している。
一方、近年、生活水準の向上から衣類に対する高級志向が高まり衣類が多様化している。このため従来のドライクリーニングでは衣類の染色を溶出させたり、ボタンなどの装飾を損ねる場合がある。このため多様な衣類を損ねることなく、また地球環境や生態への影響の少ないドライクリーニング溶剤としてシリコーン系溶剤が注目されている。
しかしシリコーン系溶剤だけを洗浄に用いた場合、油脂汚れや水溶性汚れに対する洗浄力が十分でなく、衣類から洗い落した汚れなどが再度衣類に付着しやすい。またズボンやスカート、スーツの襟等に付着した汗のシミ等の水溶性汚れに対する洗浄力が劣り、ドライクリーニングの前に汗のシミ抜きを目的として水、アルコールに界面活性剤等を配合した前処理剤を用いても、十分な水可溶化力がないため、わじみなどの衣料事故を起こしやすい。さらに洗浄後の衣類の柔軟性も損なわれやすい。
このためシリコーン系溶剤に添加することで、優れた洗浄力、再汚染防止力、水可溶化力をもたらし、洗浄後の衣類の柔軟性が良好なドライクリーニング用洗浄剤組成物が要望されている。
特開平５−５９３９５号公報には、分子量３５００以下のポリエーテル変性シリコーン、非イオン性界面活性剤を配合した組成物が、特開平９−１３０９５号公報には、環状ポリシロキサン、ＨＬＢが２〜１０のポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤を配合した組成物が、特開平９−１７６６９７号公報には環状ポリシロキサン、界面活性剤および親水性溶剤を配合した組成物が開示されている。しかし、これらの組成物をシリコーン系溶剤に添加しドライクリーニングを行った場合、再汚染防止力および水可溶化力が充分でなく、衣類に対する柔軟性の低下やわじみが生じるという問題がある。
発明の開示
本発明は優れた洗浄力、再汚染防止力および水可溶化力を有し、前処理剤を用いた場合においてもわじみが衣類に起こりにくく、被洗物に対し良好な柔軟性を付与し、かつ経時安定性の良好なドライクリーニング用洗浄剤組成物およびそれを用いたドライクリーニング用洗浄液を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、
（１）下記のａ、ｂおよびｃの各成分を含有し、該ａ、ｂ、ｃ各成分の合計重量に対し、ａ成分が５〜７０重量％、ｂ成分とｃ成分の合計重量が３０〜９５重量％、ｂ成分とｃ成分の重量比ｂ／ｃが１／１０〜２０／１であるドライクリーニング用洗浄剤組成物、
ａ．非イオン性界面活性剤
ｂ．式（１）で示される環状ポリシロキサン

（式中、ｋは３〜６である。）
ｃ．式（２）で示されるＨＬＢ値が６以下であるポリエーテル変性シリコーン

〔式中Ｒ^１は炭素数１〜５のアルキル基またはフェニル基、Ｒ^２は−（ＣＨ_２）_ｐ−Ｏ−（Ｃ_２Ｈ_４Ｏ）_ｑ（Ｃ_３Ｈ_６Ｏ）_ｒ−Ｒ^３（Ｒ^３は水素原子または炭素数１〜５のアルキル基、ｐは１〜５の数、ｑおよびｒは各々平均付加モル数を示し、ｑは０〜５０、ｒは０〜３０の数を示す。ただし、１≦ｑ＋ｒ＜６０）、ｍおよびｎは各々平均重合度を示し、ｍは１〜３００、ｎは０〜５０の数を示し、Ｒ^４およびＲ^５はそれぞれ炭素数１〜５のアルキル基またはフェニル基またはＲ^２を示し、Ｒ^４とＲ^５は同一でも異なってもよい。ただしｎ＝０のとき、Ｒ^４、Ｒ^５の少なくとも一方はＲ^２である。〕
（２）上記（１）に記載のドライクリーニング用洗浄剤組成物に対して、５〜１０００倍容量のハロゲン系溶剤、石油系溶剤又はシリコン系溶剤を添加してなるドライクリーニング用洗浄液、及び
（３）上記（２）に記載のドライクリーニング用洗浄液を用いる洗浄方法、
に関するものである。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明のａ成分である非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノールエーテル、しょ糖エステル、ポリオキシアルキレンしょ糖エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミドまたはそのアルキレンオキシド付加物、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油、アルキルグリコシドなどが挙げられる。
これらの中で、より高い水可溶化力を確保する面から、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノールエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド及び脂肪酸アルカノールアミドのアルキレンオキシド付加物からなる群から選ばれる少なくとも１種が好ましく用いられ、特にソルビタン脂肪酸エステルが好ましい。またソルビタン脂肪酸エステルに用いられる脂肪酸としては、ステアリン酸、オレイン酸が好ましい。
本発明の組成物においてａ成分の配合量は、ａ，ｂ及びｃの各成分の合計重量に対し５〜７０重量％、好ましくは１０〜５０重量％である。配合量が５重量％未満の場合、洗浄力、再汚染防止力および水可溶化力が低下する。また配合量が７０重量％を越えると経時安定性が低下する。
本発明のｂ成分である前記式（１）で示される環状ポリシロキサンにおいて、ｋはシロキサンの重合度を示し３〜６である。このような化合物としてはヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等を挙げることができる。
これらの中で取り扱いの面からｋが４〜５のオクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンが好ましい。
本発明のｃ成分である前記式（２）で示されるポリエーテル変性シリコーンにおいて、Ｒ^１は炭素数１〜５のアルキル基またはフェニル基である。アルキル基は 直鎖状または分岐状のいずれでも良く、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基等が挙げられる。炭素数が６以上の場合は入手が困難でありコスト的に不利になるおそれがある。Ｒ^２は−（ＣＨ_２）_ｐ−Ｏ−（Ｃ_２Ｈ_４Ｏ）_ｑ（Ｃ_３Ｈ_６Ｏ）_ｒ−Ｒ^３である。ここでｐは１〜５の数であり、この値が５を超える場合は入手が困難でありコスト的に不利になるおそれがある。ｑはオキシエチレン基の、ｒはオキシプロピレン基の平均付加モル数を示し、それぞれ０〜５０、０〜３０の数である。またｑとｒの合計は１以上６０未満である。ｑが５０を、ｒが３０を超える場合、またｑとｒの合計が６０以上の場合は、いずれも粘度が高くなり取り扱いが困難となるおそれがある。Ｒ^３は水素原子または炭素数１〜５のアルキル基である。アルキル基は直鎖状または分岐状のいずれでも良く、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基等が挙げられる。炭素数が５を超えると、入手が困難でありコスト的に不利になるおそれがある。ｍ、ｎは平均重合度を示し、ｍは１〜３００、ｎは０〜５０の数である。ｍが３００を、ｎが５０を超える場合、いずれも粘度が高くなり取り扱いが困難となるおそれがある。Ｒ^４およびＲ^５は炭素数１〜５のアルキル基、フェニル基またはＲ^２であり、これらは同一でも異なってもよいが、ｎ＝０のときは少なくとも一方がＲ^２である。炭素数１〜５のアルキル基としては前記Ｒ^１、Ｒ^３と同様のものが挙げられる。炭素数が５をこえる場合は入手が困難でありコスト的に不利になるおそれがある。
衣類に与える柔軟性の面から、Ｒ^１、Ｒ^４およびＲ^５がメチル基、Ｒ^２はｐが３、ｑ＋ｒが１〜１０、Ｒ^３が水素原子又はブチル基のもの、ｍが１〜３０、ｎが１〜５、である化合物、Ｒ^１がメチル基、Ｒ^２はｐが３、ｑ＋ｒが１〜２０、Ｒ^３が水素原子のもの、Ｒ^４およびＲ^５がＲ^２、ｍが１〜８０、ｎが０である化合物がより好ましい。また、ｃ成分のＨＬＢ値は６以下であり、好ましくは４以下である。ＨＬＢ値が６を超えると組成物の経時安定性が低下する。
ここでＨＬＢ値とは、曇数Ａ（ポリエーテル変性シリコーン０．５ｇをエタノール５ｍｌで溶解し、２５℃に保ちながら２％フェノール水溶液で滴定するときに要する２％フェノール水溶液の量（ｍｌ））を用いて次式により求めた値をいう。
ＨＬＢ値＝０．８９×曇数Ａ＋１．１１
ｃ成分であるポリエーテル変性シリコーンは、公知の方法、例えば特開昭５６−２２７１２号公報に記載されている方法に従って、オルガノヒドロジェンポリシロキサンとポリオキシアルキレンモノアリルエーテルとを白金触媒存在下で加熱して反応させることにより得られる。
本発明の組成物においてｂ成分とｃ成分の合計量ｂ＋ｃは、ａ，ｂ及びｃの各成分の合計重量に対し３０〜９５重量％、好ましくは５０〜９０重量％である。合計量が３０重量％未満の場合は経時安定性が低下し、合計量が９５重量％を超える場合は洗浄力、再汚染防止力、および水可溶化力が低下する。またｂ成分とｃ成分の重量比ｂ／ｃは、１／１０〜２０／１、好ましくは１／５〜１０／１である。ｂ成分の含有量が少なく重量比が１／１０未満の場合は衣類がベタ付いて柔軟性が低下する。またｂ成分の含有量が多く重量比が２０／１を超える場合は経時安定性が低下する。
本発明の洗浄剤組成物中、ａ，ｂ，ｃ各成分の合計量ａ＋ｂ＋ｃは１０重量％以上であることが好ましい。この量が１０重量％より少ないと洗浄力、再汚染防止量及び水可溶化力が低下することがある。
本発明のドライクリーニング用洗浄剤組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲において、他の界面活性剤を含有することができる。例えば、モノアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルイミダゾリウム塩等の第４級アンモニウム塩、アルキルリン酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等の陰イオン性界面活性剤、アルキルベタイン、アミドベタイン、イミダゾリニウムベタイン、スルホベタイン等の両性界面活性剤などを挙げることができる。
特に、柔軟性を向上させる目的で、アルキルイミダゾリン型陽イオン性界面活性剤及び／又はアルキルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム塩型陽イオン性界面活性剤の使用が好ましい。これらの界面活性剤は、洗浄剤組成物中０．１〜１５重量％、さらに３〜１０重量％含有することが好ましい。また、水可溶化力を増強する目的で、アルキルリン酸エステル型陰イオン性界面活性剤及び／又はアルキルベンゼンスルホン酸型陰イオン性界面活性剤の使用が好ましい。これらの界面活性剤は、洗浄剤組成物中０．１〜１５重量％、さらに３〜１０重量％含有することが好ましい。
さらに本発明のドライクリーニング用洗浄剤組成物には、一般的にドライクリーニング用洗浄剤成分に添加されるメチルアルコール、エチルアルコール、３−メチル−３−メトキシブタノール等の低級アルコール、グリセリン、ジエチレングリコールやジプロピレングリコール等の多価アルコール、トリクロサン等の抗菌剤、キレート剤、ベンゾトリアゾール等の金属腐食防止剤、蛍光増白剤なども含有することができる。
本発明のドライクリーニング用洗浄剤組成物は５〜１０００倍容量のハロゲン系溶剤、石油系溶剤、シリコン系溶剤などの有機溶剤を添加し希釈することで、ドライクリーニング用洗浄液として使用することができる。本発明においては、特に、シリコーン系溶剤を用いることが地球環境や生態への影響が少ない点で好ましい。
洗浄剤組成物の希釈に用いるシリコーン系溶剤としては、ポリジメチルシロキサンとして、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン等、メチルフェニルポリシロキサンとして、オクタメチルジフェニルシロキサン等、環状ポリシロキサンとして、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられるが、衣類へ光沢を付与する点から、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンが好ましく用いられる。
また、ハロゲン系溶剤としては、テトラクロルエチレン、１，１，２−トリクロロ−１，２，２−トリフルオロエタン、１，１，１−トリクロロエタンや代替フロン溶剤である１，３−ジクロロ−１，２，２，３，３−ペンタフルオロプロパン、１，１−ジクロロ−１−モノフルオロエタンなどが挙げられ、石油系溶剤としては、例えば、パラフィン、イソパラフィン、ナフテン、キシレン、ジエチルベンゼンなどが挙げられる。
本発明のドライクリーニング用洗浄剤組成物に対して添加するシリコーン系溶剤等の有機溶剤は、組成物に対して５〜１０００倍容量であり、好ましくは５０〜３００倍容量である。５倍容量未満では、柔軟性が改善されにくいおそれがあり、またコスト的に不利である。１０００倍容量を越える場合は、良好な洗浄力、再汚染防止力および水可溶化力が得られないおそれがある。
また、洗浄液中のａ成分の濃度は０．０５〜０．３重量％であることが好ましい。０．０５重量％より少ない場合は、洗浄力、再汚染防止量及び水可溶化力が低下することがある。
本発明は、前記ドライクリーニング用洗浄液を用いて被洗物を洗浄する方法も包含する。このような方法としては、例えば、汚染布などの被洗物を本発明の洗浄液に浸漬し、例えば０〜４０℃の温度下で洗浄する方法が挙げられる。
また、本発明においては、水溶性の汚れ等を取り除くため、ドライクリーニングによる洗浄の前、又は後に水系処理を行うことが好ましい。例えば、ドライクリーニングによる洗浄の前に行う水系洗浄処理としては、エタノール、水にポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルンエーテル等の界面活性剤を１〜５０重量％含有する水系洗浄剤などの処理剤を、被洗物のしみの部分を中心に噴霧、浸透させ汚れを膨潤させ洗浄する方法などが挙げられる。
また、ドライクリーニングによる洗浄の後に行う水系洗浄処理としては、ドライクリーニングの後、被洗物を乾燥させた後、前記の処理剤を被洗物に対して１〜２重量％添加し、５〜１５分間のウェットクリーニングを行う方法などが挙げられる。
本発明のドライクリーニング用洗浄剤組成物、及びこれを用いたドライクリーニング用洗浄液は、優れた洗浄力、再汚染防止力および水可溶化力を有し、前処理剤を用いた場合においてもわじみが衣類に起こりにくく、被洗物に対し良好な柔軟性を付与し、かつ経時安定性も良好である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
実施例１〜１４
表１に示す成分および配合量で１４種類のドライクリーニング用洗浄剤組成物を調製し、その特性を評価した。表中の配合量は重量％を示す。
〈ａ成分〉
以下に示す９種類の非イオン性界面活性剤を用いた。
〈ａ−１成分〉ソルビタンモノオレート
〈ａ−２成分〉ソルビタントリオレート
〈ａ−３成分〉ポリオキシエチレン（３モル）ポリオキシプロピレン（６モル）トリデシルエーテル
〈ａ−４成分〉ポリオキシエチレン（４モル）オレイルエステル
〈ａ−５成分〉ポリオキシエチレン（４モル）ソルビタンオレイン酸エステル
〈ａ−６成分〉ラウリン酸ジエタノールアミド
〈ａ−７成分〉ラウリン酸ジエタノールアミドのエチレンオキシド２モル付加物
〈ａ−８成分〉ポリオキシエチレン（６モル）ノニルフェニルエーテル
〈ａ−９成分〉ポリオキシエチレン（６モル）オクタデセニルエーテル
〈ｂ成分〉
以下に示す２種類の環状ポリシロキサンを用いた。
〈ｂ−１成分〉オクタメチルシクロテトラシロキサン（ｋ＝４）
〈ｂ−２成分〉デカメチルシクロペンタシロキサン（ｋ＝５）
〈ｃ成分〉
以下に示す３種類のポリエーテル変性シリコーンを用いた。
〈ｃ−１成分〉式（２）においてＲ^１、Ｒ^４およびＲ^５がメチル基、Ｒ^２はｐが３、ｑが４、ｒが０、Ｒ^３が水素原子のもの、ｍが２８、ｎが３である化合物（ＨＬＢ値＝３．５）
〈ｃ−２成分〉式（２）においてＲ^１、Ｒ^４およびＲ^５がメチル基、Ｒ^２はｐが３、ｑが０、ｒが８、Ｒ^３がブチル基のもの、ｍが７、ｎが４である化合物（ＨＬＢ値＝１．２）
〈ｃ−３成分〉式（２）においてＲ^１がメチル基、Ｒ^２はｐが３、ｑが４、ｒが０、Ｒ^３が水素原子のもの、Ｒ^４およびＲ^５がＲ^２、ｍが４０、ｎが０である化合物（ＨＬＢ値＝２．１）
〈その他成分〉
〈その他−１〉ジメチルオクタデシルヒドロキシアンモニウムパラトルエンスルホン酸塩
〈その他−２〉ジメチルオクタデシルヒドロキシアンモニウム硝酸塩
〈その他−３〉ウンデシルリン酸カリウム塩
〈その他−４〉ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム塩
〈その他−５〉２−オレイルーヒドロキシエチルイミダゾリンアンモニウム硫酸塩

比較例１〜８
表２に示す成分、配合量で実施例と同様にして８種類のドライクリーニング用洗浄剤組成物を調製し、その特性を評価した。表中の配合量は重量％を示す。
〈ｃ成分〉
以下に示す２種類のポリエーテル変性シリコーンを用いた。
〈ｃ−４成分〉式（２）においてＲ^１、Ｒ^４およびＲ^５がメチル基、Ｒ^２はｐが３、ｑが１２、ｒが０、Ｒ^３が水素原子のもの、ｍが２５、ｎが４である化合物（ＨＬＢ値＝９．８）
〈ｃ−５成分〉式（２）においてＲ^１、Ｒ^４がメチル基、Ｒ^２はｐが３、ｑが３４、ｒが０、Ｒ^３が水素原子のもの、Ｒ^５がＲ^２、ｍが９、ｎが０である化合物（ＨＬＢ値＝１２．７）

表１及び表２中の特性の評価は下記の方法で行なった。
（１）洗浄力および再汚染防止力の評価
洗浄剤組成物に対して１００倍容量のデカメチルシクロペンタシロキサン（ＧＥ東芝シリコーン株式会社製 ＴＳＦ−４０５）を添加した洗浄剤溶液５００ｍｌをＴｅｒｇ−Ｏ−ｔｏｍｅｔｅｒのカップに入れ、その中に日本油化学協会法汚染布（ウール １０ｃｍ×１０ｃｍ）および白布（ウール １０ｃｍ×１０ｃｍ）各２枚を入れ、３０℃、７０ｒｐｍにて２０分間洗浄した。洗浄率および再汚染率は、乾燥後の布の光に対する表面反射率をスガ試験機製カラーコンピューターＳＭ−４型にて測定し、以下の計算式にて求めた。
洗浄率（％）＝｛（Ｙ_４−Ｙ_３）／（Ｙ_０−Ｙ_３）｝×１００
再汚染率（％）＝｛（Ｙ_０−Ｙ_１）／Ｙ_０｝×１００
ただし、式中Ｙ_０は洗浄前の原白布の反射率であり、Ｙ_１は洗浄後の原白布の反射率であり、Ｙ_３は洗浄前の汚染布の反射率であり、Ｙ_４は洗浄後の汚染布の反射率である。
洗浄率の値が３０％以上のものを洗浄力が良好な洗浄剤と評価した。また、再汚染率の値が５％未満のものを再汚染防止力が良好な洗浄剤と評価した。
（２）水可溶化力の評価
試験管にデカメチルシクロペンタシロキサン（ＧＥ東芝シリコーン株式会社製ＴＳＦ−４０５）４０ｍｌと洗浄剤組成物５ｍｌを入れて攪拌した後、イオン交換水を０．５ｍｌ添加し、激しく攪拌して外観の確認を行った。水が分離していなければ、同様にイオン交換水を添加、攪拌を繰り返し、水が分離した時点を終点とした。洗浄剤組成物（５ｍｌ）に対する可溶化水の量（終点までに添加したイオン交換水の量）の体積比を求め水可溶化力とした。水可溶化力が０．６以上のものを水可溶化力が良好な洗浄剤と評価した。
（３）わじみ防止性の評価
１０ｃｍ×１０ｃｍのポリエステル白布（約１．４ｇ）に対し、前処理剤（ポリオキシエチレンオレイルエステル１０重量％、エタノール１０重量％、水８０重量％）１．０ｇを滴下浸透させた直後、前記（１）記載の方法にて洗浄を行った。洗浄した布を室温下で自然乾燥した後、ポリエステル白布にわじみが見られない場合を○、わじみが見られる場合を×として、わじみ防止性の評価を行なった。
（４）柔軟性の評価
２０ｃｍ×２０ｃｍのウール白布を前記（１）記載の方法にて洗浄を行った。洗浄した布を室温下で自然乾燥後、２５℃、６５％ＲＨの恒温恒湿室に２４時間放置した。その後、２０名の女性をパネラーとし、洗浄・乾燥後のウール白布を３枚重ねたものを１サンプルとし、柔軟性について官能評価を行った。柔らかくサラットしていると感じた場合を３点、やや柔らかいと感じた場合を２点、ゴワゴワしている又はベトベトしていると感じた場合を１点とし、２０名の合計値を求めた。合計値が５０点以上のものを柔軟性が良好な洗浄剤と評価した。
（５）経時安定性の評価
洗浄剤組成物８０ｍｌを１００ｍｌのガラス製バイアルに摂取し、−５℃、２５℃および４５℃の恒温槽にて１ヶ月間保存し、その外観を観察して、以下の基準で目視判定した。
○：いずれの温度でも組成物が、保存前と外観の変化がない。
×：いずれかの温度でゲル化、分離、沈殿物が析出するなど、外観に変化が認められる。
実施例１〜１４の本発明の洗浄剤組成物の洗浄率は３２〜３５％であり充分な洗浄力を有するとされる３０％を超えている。また再汚染率の値は２〜４％であり充分な再汚染防止力を有するとされる５％未満である。水可溶化力は０．６以上の良好な抱水能である。またわじみは認められず、柔軟性は合計値が５２〜５８点であり良好である。外観には変化が認められず、経時安定性も良好である。
これに対しａ成分を含まない比較例１の組成物は、洗浄力、再汚染防止力および水可溶化力がいずれも低くわじみが認められる。ａ成分の重量が多い比較例２の組成物、ｂ成分とｃ成分の重量比が大きい比較例４の組成物、ｃ成分を含まない比較例６の組成物、およびｃ成分のＨＬＢ値が６を超えている比較例７および比較例８の組成物は経時安定性が悪い。ｂ成分とｃ成分の重量比が小さい比較例３の組成物、ｂ成分を含まない比較例５の組成物は陽イオン性界面活性剤を添加しても柔軟性が悪い。
産業上の利用分野
本発明は優れた洗浄力、再汚染防止力および水可溶化力を有し、前処理剤を用いた場合においてもわじみが衣類に起こりにくく、被洗物に対し良好な柔軟性を付与し、かつ経時安定性の良好なドライクリーニング用洗浄剤組成物およびそれを用いたドライクリーニング用洗浄液に利用できる。

Claims (9)

1. 下記のａ、ｂおよびｃの各成分を含有し、該ａ、ｂ、ｃ各成分の合計重量に対し、ａ成分が５〜７０重量％、ｂ成分とｃ成分の合計重量が３０〜９５重量％、ｂ成分とｃ成分の重量比ｂ／ｃが１／１０〜２０／１であるドライクリーニング用洗浄剤組成物。
   ａ．非イオン性界面活性剤
   ｂ．式（１）で示される環状ポリシロキサン
   

   

   （式中、ｋは３〜６である。）
   ｃ．式（２）で示されるＨＬＢ値が６以下であるポリエーテル変性シリコーン
   

   

   〔式中Ｒ^１は炭素数１〜５のアルキル基またはフェニル基、Ｒ^２は−（ＣＨ_２）_ｐ−Ｏ−（Ｃ_２Ｈ_４Ｏ）_ｑ（Ｃ_３Ｈ_６Ｏ）_ｒ−Ｒ^３（Ｒ^３は水素原子または炭素数１〜５のアルキル基、ｐは１〜５の数を、ｑおよびｒは各々平均付加モル数を示し、ｑは０〜５０、ｒは０〜３０の数を示す。ただし、１≦ｑ＋ｒ＜６０）、ｍおよびｎは各々平均重合度を示し、ｍは１〜３００、ｎは０〜５０の数を示し、Ｒ^４およびＲ^５はそれぞれ炭素数１〜５のアルキル基またはフェニル基またはＲ^２を示し、Ｒ^４とＲ^５は同一でも異なってもよい。ただしｎ＝０のとき、Ｒ^４、Ｒ^５の少なくとも一方はＲ^２である。〕
2. ａ．非イオン性界面活性剤が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノールエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド及び脂肪酸アルカノールアミドのアルキレンオキシド付加物からなる群から選ばれる少なくとも１種である請求の範囲第１項記載の洗浄剤組成物。
3. ａ、ｂ、ｃ各成分の合計重量に対し、ａ成分が１０〜５０重量％、ｂ成分とｃ成分の合計重量が５０〜９０重量％、ｂ成分とｃ成分の重量比ｂ／ｃが１／５〜１０／１である請求の範囲第１項記載の洗浄剤組成物。
4. アルキルイミダゾリン型陽イオン性界面活性剤及びアルキルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム塩型陽イオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも１種を０．１〜１５重量％含有する請求の範囲第１項記載の洗浄剤組成物。
5. アルキルリン酸エステル型陰イオン性界面活性剤及びアルキルベンゼンスルホン酸型陰イオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも１種を０．１〜１５重量％含有する請求の範囲第１項記載の洗浄剤組成物。
6. 請求の範囲第１〜５項のいずれかに記載のドライクリーニング用洗浄剤組成物に対して、５〜１０００倍容量のハロゲン系溶剤、石油系溶剤又はシリコン系溶剤を添加してなるドライクリーニング用洗浄液。
7. 請求の範囲第１〜５項のいずれかに記載のドライクリーニング用洗浄剤組成物に対して、５〜１０００倍容量のシリコン系溶剤を添加してなるドライクリーニング用洗浄液。
8. 請求の範囲第６項に記載のドライクリーニング用洗浄液を用いる洗浄方法。
9. 請求の範囲第６項に記載のドライクリーニング用洗浄液を用いて洗浄するに際し、ドライクリーニングによる洗浄の前あるいは後に、水系処理剤を用いて前処理又は後処理を行う請求の範囲第８項に記載の洗浄方法。