JP4209073B2 - 液体洗浄剤組成物 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明はデリケートな繊維素材を用いた衣類等の繊維製品を洗濯するための液体洗浄剤組成物に関する。
【０００２】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
ポリオキシエチレン型非イオン界面活性剤は、高い洗浄力と他のイオン性界面活性剤や配合成分との相溶性を有する。しかし、非イオン界面活性剤は濃度が高くなるにつれて増粘し、更にゲル化する問題がある。また、デリケートな繊維素材を用いた繊維製品を、家庭で簡易に洗濯したいという要望も高まっている。よって、増粘やゲル化の問題がなく、洗浄力に優れ、且つデリケートな繊維素材を用いた繊維製品に適用できる、コンパクト化された液体中性洗浄剤組成物の開発が望まれている。
【０００３】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記一般式（Ｉ）で表される非イオン界面活性剤（ａ）を２０〜６０重量％、下記一般式（II）で表される非イオン界面活性剤（ｂ）を１０〜４０重量％、水溶性シリコーン（ｃ）及び水（ｄ）を含有し、前記非イオン界面活性剤（ａ）、（ｂ）を含む非イオン界面活性剤の含有量が６０重量％以上であり、２０℃におけるｐＨが６〜８である液体洗浄剤組成物に関する。
Ｒ¹−Ｏ−(ＥＯ)_o−(ＰＯ)_p−(ＥＯ)_q−Ｈ （Ｉ）
Ｒ²−Ｏ−(ＥＯ)_m−(ＰＯ)_n−Ｈ （II）
〔式中、Ｒ¹は平均炭素数１０〜１４のアルキル基又はアルケニル基を示し、Ｒ²は平均炭素数１０〜１４のアルキル基を示し、ＥＯはオキシエチレン基、ＰＯはオキシプロピレン基を示す。ｏ、ｐ、ｑ、ｍ、ｎはそれぞれ平均付加モル数であり、ｏ＞０、ｑ＞０、ｐ＝１〜４．５、ｍ＝４〜８、ｎ＝５〜１２、１≦（ｎ／ｍ）≦２である。〕
【０００４】
【発明の実施の形態】
一般式（Ｉ）において、ｏ＋ｑは４〜２０、ｐが１〜４、ｑが２〜５であることが好ましい。ＰＯ平均付加モル数ｐが１以上であれば高濃度の界面活性剤水溶液の粘度が低く、ゲル化を抑制でき、また４以下であれば生分解性が良く、洗浄性にも優れる。
【０００５】
また、一般式（II）において、ＥＯとＰＯの平均付加モル数の比率ｎ／ｍが１以上であれば増粘やゲル化を抑制でき、２以下であれば水溶性が良好で製剤化が容易となる。
【０００６】
一般式（Ｉ）、（II）で表される非イオン界面活性剤は公知の方法で合成される。すなわち、一般式（Ｉ）の非イオン界面活性剤は、合成高級アルコールもしくは天然油脂から誘導されたＲ¹のアルキル基、アルケニル基を有するアルコールに、エチレンオキシド（ＥＯ）、プロピレンオキシド（ＰＯ）、ＥＯの順でこれらを付加することで合成される。また、一般式（II）の非イオン界面活性剤も同様に、合成又は天然油脂から誘導されたＲ²のアルキル基を有するアルコールにＥＯ、ＰＯの順でこれらを付加することで合成される。
【０００７】
本発明の液体洗浄剤組成物は、非イオン界面活性剤（ａ）を２０〜６０重量％、好ましくは２５〜５５重量％、より好ましくは３０〜５０重量％含有する。また、非イオン界面活性剤（ｂ）を１０〜４０重量％、好ましくは１０〜３５重量％、より好ましくは１５〜３０重量％含有する。
【０００８】
なお、本発明においては、非イオン界面活性剤（ａ）、（ｂ）以外の非イオン界面活性剤を用いることもでき、組成物中の非イオン界面活性剤（ａ）、（ｂ）を含む非イオン界面活性剤の含有量は６０重量％以上であり、好ましくは６０〜９０重量％、より好ましくは６０〜８５重量％である。その他の非イオン界面活性剤は、ＥＯ平均付加モル数が４〜７のポリオキシエチレンアルキル（炭素数１２〜１４）エーテルが好ましい。
【０００９】
本発明においては、デリケートな繊維製品の洗濯時の繊維間の過剰な摩擦を防ぐ目的で水溶性シリコーン（ｃ）を配合する。このような水溶性シリコーンとしては、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、ポリエーテル（ポリオキシエチレン、ポリオキシエチレン／ポリオキシプロピレン等）変性シリコーン、アミドポリエーテル変性シリコーン、カルボキシポリエーテル変性シリコーン等が挙げられ、繊維への蓄積による風合い変化がないという観点から、ポリオキシエチレン、ポリオキシエチレン／ポリオキシプロピレン等のポリエーテル変性シリコーンが好ましく、特にポリオキシエチレン変性シリコーンが好ましい。ここで、水溶性とは、シリコーンの１％水溶液の曇点が３０℃以上であることをいう。本発明の液体洗浄剤組成物は、、繊維保護効果と経済性から、これら水溶性シリコーン（ｃ）を１〜１０重量％、更に１．５〜５重量％含有することが好ましい。
【００１０】
本発明の液体洗浄剤組成物は上記（ａ）〜（ｃ）成分、更に必要に応じて配合される任意成分と残部の水（ｄ）とから成る。本発明の液体洗浄剤組成物の液性は、繊維劣化防止の点で、ｐＨ（２０℃）は６〜８であり、中性が好適である。
【００１１】
【発明の効果】
本発明によれば、洗浄力に優れ、且つデリケートな繊維製品にも適用できるコンパクト化された液体洗浄剤組成物が得られる。
【００１２】
【実施例】
実施例１
表１に示す成分からなる液体洗浄剤組成物を調製した。何れもｐＨが６〜８の範囲に入るように調整した。ただし、比較品４のｐＨは１０．５である。それらの組成物を用いて、以下の試験を行った。結果を表１に示す。また、Ｂ型粘度計により測定した各組成物の２０℃の粘度も併せて表１に示す。粘度は、５００ｍＰａ・ｓ未満を○、５００ｍＰａ・ｓ以上、２０００ｍＰａ・ｓ未満を△、２０００ｍＰａ・ｓ以上を×とした。表１の本発明品１の粘度は１５０ｍＰａ・ｓであった。
【００１３】
＜洗濯処理＞
二層式洗濯機（東芝社製銀河ＶＨ−３６０Ｓ１）に２５℃の水道水３０リットルを入れ、表１の組成物１５ｇを溶解する。一部に湿式人工汚染布〔（財）洗濯科学協会〕を縫い付けた木綿布１ｋｇと、羊毛フラノ布（２５ｃｍ×２５ｃｍ）１枚とを、洗濯槽に入れ、弱流水モードで“洗い”５分、“すすぎ”２分、“脱水”１５秒の条件で洗濯を行い、以下の方法で洗浄率及び羊毛フラノ布の収縮率を求めた。
【００１４】
（１）洗浄率
予め洗濯前の人工汚染布の反射率（ＲＢ）を測定し、汚染布を縫い付ける前の木綿布（原布）の反射率（Ｒ０）及び洗濯後の人工汚染布の反射率（ＲＡ）より、洗浄率を、洗浄率（％）＝（ＲＡ−ＲＢ）／（Ｒ０−ＲＢ）×１００で求めた。各反射率は、反射率測定器（日本電色株式会社、３００Ａ型）により波長５５０ｎｍで測定した。
【００１５】
（２）羊毛フラノ布の収縮率
洗濯処理後の羊毛フラノ布の収縮率（見かけの収縮率）と、羊毛フラノ布を水のみで浸漬処理（２５℃の水に３０分間浸漬）した後の収縮率（緩和収縮率）を、それぞれＪＩＳ Ｌ １０４２（１９９２）に基づいて測定し、正味の収縮率を、（見かけの収縮率）−（緩和収縮率）で求め、これを表１に示した。なお、羊毛フラノ布の印の付け方はＪＩＳ Ｌ １０４２（１９９２）の図１に準じ、試験室の標準状態は温度２０℃、湿度６５ＲＨ％とした。なお、浸漬処理後の羊毛フラノ布は、脱水せずに広げた状態で自然乾燥させ、前記の標準状態で調湿した。
【００１６】
【表１】

【００１７】
（注）
・デモールＥＰ：ジイソブチレン−マレイン酸ナトリウム共重合体（花王（株）製）
・シリコーン１：シリコーンＢＹ１６−８９１（アミド変性シリコーン、東レ・ダウコーニング社製）
・シリコーン２：シリコーンＳＨ３７７１Ｍ（ポリエーテル変性シリコーン、東レ・ダウコーニング社製）
・非イオン界面活性剤の詳細を以下の表２〜４に示す。
【００１８】
【表２】

【００１９】
【表３】

【００２０】
【表４】

【００２１】
実施例２
実施例１の表１の本発明品２と比較品４の組成物により、羊毛ドスキンの生地４０ｃｍ×４０ｃｍを実施例１の洗濯条件で１０回累積洗濯を行った。最終の洗濯後、羊毛ドスキンを平カゴで自然乾燥を行い、実施例１の標準環境で１日間調湿した。この布を、ＪＩＳ Ｌ１００１ ５．１２Ａ法エレメンドルフ織物験器ＥＬ６４００型（大栄科学精器製作所）を用いて引裂強度を測定したところ、本発明品２で洗濯したものは平均２８１０ｇ、比較品４で洗濯したものは平均２４７０ｇであった。なお、洗濯処理をしていない原布の引裂強度は平均２８７０ｇであり、比較品４で処理した布は強度低下が著しかった。

Claims (1)

1. 下記一般式（Ｉ）で表される非イオン界面活性剤（ａ）を２０〜６０重量％、下記一般式（II）で表される非イオン界面活性剤（ｂ）を１０〜４０重量％、水溶性シリコーン（ｃ）及び水（ｄ）を含有し、前記非イオン界面活性剤（ａ）、（ｂ）を含む非イオン界面活性剤の含有量が６０重量％以上であり、２０℃におけるｐＨが６〜８である液体洗浄剤組成物。
   Ｒ¹−Ｏ−(ＥＯ)_o−(ＰＯ)_p−(ＥＯ)_q−Ｈ （Ｉ）
   Ｒ²−Ｏ−(ＥＯ)_m−(ＰＯ)_n−Ｈ （II）
   〔式中、Ｒ¹は平均炭素数１０〜１４のアルキル基又はアルケニル基を示し、Ｒ²は平均炭素数１０〜１４のアルキル基を示し、ＥＯはオキシエチレン基、ＰＯはオキシプロピレン基を示す。ｏ、ｐ、ｑ、ｍ、ｎはそれぞれ平均付加モル数であり、ｏ＞０、ｑ＞０、ｐ＝１〜４．５、ｍ＝４〜８、ｎ＝５〜１２、１≦（ｎ／ｍ）≦２である。〕