JPWO2002092894A1 - 歯付きベルト用織物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、弾性繊維と非弾性繊維捲縮糸が合撚された伸縮性合撚糸を経糸及び/又は緯糸に用い、かつ、伸縮性合撚糸の撚り係数が1000〜16000であり、織物伸縮方向の破断伸長率が50〜200%であることを満足する歯付きベルト用織物を提供する。この織物を用いた歯付きベルトは、低騒音および耐久性に優れ、装置のコンパクト化、軽量化を可能とする。

Description

技術分野
本発明は、歯付きベルトの歯部表面等に用いられる織物およびその織物の製造法、ならびにその織物を歯部表面に接着してなる歯付きベルト、更にはその織物に用いられる伸縮性合撚糸に関する。
背景技術
従来、歯付きベルトは産業機械から家電製品に至るまでの様々な用途で使用されており、特に自動車エンジンの駆動力を車軸の回転運動に伝達する駆動部品として広く用いられている。しかし、自動車は高速走行時になると一段と騒音が大きくなるため自動車搭乗者や周囲への環境配慮から、歯付きベルトに対しては低騒音性の向上、さらにはエンジンの信頼性向上のために耐久性の向上ならびにエンジンルームのコンパクト化や設計自由度の向上のために省スペース化が強く求められている。この要求を満たすために歯付きベルトの歯部表面を形成する織物には、充分な強度と共に、特にベルト長さ方向への充分な伸長特性(特にゴムとの一体化工程での歯型への追従性に関係)と伸長後の均一な表面性が求められる。
従来の歯付きベルト歯部表面に用いられる伸縮性織物としては、例えば、特開平8−312724号公報には、伸長特性を高めるために複数本のウーリー加工糸からなる下撚り糸と逆方向に上撚りしてなる諸撚り糸を使った織物が開示されている。しかしながら、この織物では織物構成の糸が諸撚り糸であるため、撚り斑が起こりやすく、かつ綾目の粗い織物しか得られないため、ベルト歯部表面の平滑性を損ない、低騒音性と省エネ設計(薄く、コンパクトな設計)には向かない織物となっていた。
また、実公昭63−15628号公報には、耐熱性と耐摩耗性に優れる芳香族ポリアミドを非弾性繊維として用い、弾性繊維を芯にその周りに巻き付けたカバリング糸を用いた織物の記載がある。しかしながら、元々カバリング糸は弾性繊維と非弾性繊維とにズレが生じ易い構造のために、カバリング糸を用いた織物表面にはカバリング斑に起因する凹凸が生じていることや非弾性繊維を構成する単糸の乱れ(集束性の低下)が見られ、平滑な表面および整然と並んだ綾線の織物を得ることが困難である。特に、非弾性繊維として芳香族ポリアミド繊維等の高強力繊維は剛性が大きく、捲縮がないゆえに、歯付きベルトの歯部用織物として充分な伸縮性を得ることが難しく、大きな伸縮性を出そうと弾性繊維の繊度を大きくすると非弾性繊維が角状に織物表面に飛び出し、特に低騒音性に必要な整然と並んだ綾線と織物の表面平滑性に優れた織物は得られていなかった。さらには、比較的安定したカバリングを行うためには芯糸の弾性糸は100dtexを越える太い繊度を用いる必要があるが、ゴム加硫時の熱で弾性繊維が溶け出し多量の不純物となるため、織物とゴムとの接着性が不良になり、歯付きベルトの高耐久化のネックとなっていた。
さらに、特開昭59−9239号公報には弾性繊維と非弾性繊維を撚り合わせた形態の合撚糸からなる織物が開示されている。しかしながら、非弾性繊維を原糸(捲縮加工を施していない)のまま用いているため、織物に伸長性を発現させる精練・リラックス工程で非弾性繊維を構成するフィラメントが角状に織物表面に飛び出し、綾線のきれいな織物は得られず、伸度バラツキが大きくなり、歯付きベルトの歯部の表面平滑性が悪くなる。織物表面に飛び出した角を抑える為には、伸縮性合撚糸の合撚数を上げればある程度は軽減できるが、撚りによって締まった糸形態となり、十分な伸縮性のある織物は得られなくなり、歯型に織物がきれいに沿った歯付きベルトを得ることはできなかった。また、経糸または緯糸に含まれる弾性繊維の割合は比較的大きく、実施例に見られるような100dtexを越えるような大きな繊度の弾性繊維を用いている組み合わせでは、合撚時の非弾性繊維の螺旋構造が弾性繊維によって大きくなるが、ゴム加硫時には弾性繊維が融け出して、非弾性繊維の螺旋構造だけがベルト歯部表面に残るため、歯付きベルト歯部の表面平滑性が悪くなることや織物の綾線が整然としなくなる。さらに、弾性繊維の比率が多くなると、ゴム加硫時の熱で溶け出した弾性繊維が不純物となって、織物とゴムとの接着性が不良になりやすいという問題がある。
発明の開示
本発明の目的は、上記従来の欠点を改善し、低騒音性、高耐久性、省スペース化を実現するために、斑の少ない伸長特性を有した歯付きベルト用織物を作り、抗張体を備えたベルト歯部表面に接着してなる歯付きベルトを提供することにある。
本発明者等は、前記目的を達成するため、歯付きベルトの騒音発生メカニズムを調べ、また騒音の大きいものや小さなもの、さらには耐久性の良いものや悪いものの歯付きベルトを入念に解析検討した。騒音は、ベルトとプーリとの歯部の噛み合い時に発する衝撃音とその際に生じる摩擦音および気流音が大きく影響し、明瞭な織物の綾線とその整然性によるプーリ接触面との線接触効果および空気だまりの解消により、衝撃音、摩擦音、気流音が緩和され、同時に耐久性にも優れることがわかった。
本発明者等は、伸縮性の良好な合撚タイプの複合糸に着目するとともに用いる非弾性繊維にある程度の捲縮を与える点に着眼し、弾性繊維の繊度や延伸倍率およびその引出し給糸方法また非弾性繊維捲縮糸との合撚時の撚り係数、ならびに非弾性繊維捲縮糸の伸縮伸長率を様々に変えた伸縮性合撚糸をつくり、織物の伸長特性(織物の伸縮方向において中間荷重下3点での伸縮変動係数をいう)について鋭意検討した結果、弾性繊維と特定な伸縮伸長率を持つ非弾性繊維捲縮糸を特定の撚り係数で合撚し、弾性繊維の割合を規定した伸縮性合撚糸を用いた織物によって、斑の少ない伸長特性を得ることができ、その結果、織物表面の平滑性が向上し、綾線が均一に表れることでゴムとの接着性も良好な歯付きベルト用織物が得られ、その織物を用いた歯付きベルトは低騒音性や高耐久性、更には省スペース化に優れることを見い出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の通りである。
1.弾性繊維と非弾性繊維捲縮糸が合撚または混繊合撚された伸縮性合撚糸を経糸及び/又は緯糸に用い、かつ、下記(a)、(b)を満足する歯付きベルト用織物。
(a)伸縮性合撚糸の撚り係数が1000〜16000である。
(b)織物伸縮方向の破断伸長率が50〜200%である。
2.幅5cmの織物を伸長したとき、中間点の応力、9.8N、19.6N、29.4Nにおける織物の伸縮方向の最大伸縮変動係数が0〜0.15であることを特徴とする上記1に記載の歯付きベルト用織物。
3.伸縮性合撚糸中に占める弾性繊維の割合が15wt%以下であることを特徴とする上記1または2に記載の歯付きベルト用織物。
4.伸縮性合撚糸中における弾性繊維の繊度が50dtex以下であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の歯付きベルト用織物。
5.非弾性繊維捲縮糸の伸縮伸長率が、2〜250%であることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の歯付きベルト用織物。
6.非弾性繊維捲縮糸が仮撚り加工あるいは、押し込み加工によって捲縮を発現させた糸条であることを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の歯付きベルト用織物。
7.伸縮性合撚糸の2本以上の連続した浮き糸あるいは沈み糸を経糸及び/又は緯糸として、完全組織の中に有していることを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載の歯付きベルト用織物。
8.伸縮性合撚糸の撚り係数が、3000〜8000であり、かつ、破断伸度が80〜200%であることを特徴とする上記1〜7のいずれかに記載の歯付きベルト用織物。
9.伸縮性合撚糸が、0.5〜5wt%の弾性繊維を含有し、かつ、破断伸度が80〜200%であることを特徴とする上記1〜8のいずれかに記載の歯付きベルト用織物。
10.延伸した弾性繊維と非弾性繊維捲縮糸を撚り係数1000〜16000で合撚して伸縮性合撚糸とし、得られた伸縮性合撚糸を経糸及び/又は緯糸に用いて製織し、得られた織物を縮絨加工することにより、破断伸長率が80%以上の歯付きベルト用織物を製造する方法。
11.20〜150dtexの弾性繊維を延伸して合撚することを特徴とする上記10記載の歯付きベルト用織物を製造する方法。
12.弾性繊維を延伸倍率2〜4で延伸して合撚することを特徴とする上記10または11に記載の歯付きベルト用織物を製造する方法。
13.弾性繊維の延伸時の張力変動範囲を0〜0.1cN/dtex以内に制御して合撚することを特徴とする上記10〜12のいずれかに記載の歯付きベルト用織物を製造する方法。
14.弾性繊維の延伸時の張力変動を制御する装置を用いて合撚することを特徴とする上記10〜13のいずれかに記載の歯付きベルト用織物を製造する方法。
15.40〜1000dtexの非弾性繊維捲縮糸を用いて合撚することを特徴とする上記10〜14のいずれかに記載の歯付きベルト用織物を製造する方法。
16.連続拡布精練機あるいは液流精練機を用いて縮絨加工することを特徴とする上記10〜15のいずれかに記載の歯付きベルト用織物を製造する方法。
17.抗張体を備えた弾性体樹脂からなるベルト本体と、片面に弾性体樹脂からなる歯面を有し、かつ該歯面表面が基布で被覆された歯付きベルトにおいて、基布として上記1〜9のいずれかに記載の織物を用いてなることを特徴とする歯付きベルト。
18.抗張体を備えた弾性体樹脂からなるベルト本体と、片面に弾性体樹脂からなる歯面を有し、かつ該歯面表面が基布で被覆された歯付きベルトにおいて、基布として上記10〜16のいずれかに記載の製造方法により得られる織物を用いてなることを特徴とする歯付きベルト。
19.PLD変動係数が、0〜0.15である上記17又は18に記載の歯付きベルト。
20.基布の剥離強力が、100〜200N/2.54cmである上記17〜19のいずれかに記載の歯付きベルト。
21.弾性繊維と非弾性繊維捲縮糸が合撚または混繊合撚され、かつ撚り係数が1000〜16000であることを特徴とする、歯付きベルト用伸縮性合撚糸。
22.伸縮性合撚糸中の非弾性繊維捲縮糸の伸縮伸長率が、2〜250%であることを特徴とする上記21記載の歯付きベルト用伸縮性合撚糸。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の歯付きベルト用織物における弾性繊維とは、例えば、原料はポリウレタン系、ポリエーテルエステル系等のポリマーが使用可能であり、紡糸方法は乾式紡糸、溶融紡糸、湿式紡糸あるいは化学反応等を利用した紡糸方法が使用でき、ポリマーや紡糸方法は特に限定されない。破断伸度は400%〜1000%のもので伸縮性に優れることが好ましく、また繊維形態は特に限定されるものではない。
例えば、共重合ポリアルキレンエーテルジオール、主として4,4’ジフェニルメタンジイソシアネートからなる芳香族ジイソシアネート及び二官能性ジアミンから得られるポリウレタンからなり、ポリウレタンにおけるウレタン部分の数平均分子量が6000〜9500、且つ、ウレア部分の数平均分子量が650〜950であって300%モジュラスが0.18cN/デシテックス以下のポリウレタン弾性繊維があげられるが、上記、破断伸度を有する弾性繊維素材であればこれに限定されるものでない。
本発明の歯付きベルト用織物における非弾性繊維捲縮糸における非弾性繊維とは、特に限定はないが、破断強度の大きな繊維が好ましく、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリトリメチレンテレフタレート系繊維、炭素繊維(PAN系、ピッチ系)、アラミド繊維(パラ系、メタ系)、ポリケトン繊維、ポリエチレン系繊維、PVA繊維等が用いられる。また、非弾性繊維は、マルチフィラメント繊維であるほど、あるいは単糸繊度が小さいほど、柔らかな織物になり、伸長初期の応力値が小さく、タイミングベルト歯部をきれいに仕上げ得るので好ましいが、強度面を考慮して選定すればよい。非弾性繊維の破断強度は、7cN/dtex以上あることが歯部の耐久性を高める上で好ましく、16cN/dtex以上あることがより好ましい。また、その断面形状は丸型以外にも、△型、W型、瓢箪型などの異形形状でも良く、その目的に応じて適宜選定すれば良い。
非弾性繊維捲縮糸の捲縮糸とは、紡糸方法や仮撚り加工等の手段によって非弾性繊維に捲縮を付与した糸を言う。非弾性繊維の捲縮形態は、長繊維で仮撚り加工、押し込み加工等の捲縮加工を施した加工糸が好ましく用いられるが、上述の効果が得られる捲縮が付与されれば良く、それに限定されず従来公知のあらゆる捲縮付与方法が用いられる。仮撚り手段としては、通常よく使われる仮撚り加工機を用いればよく、例えばピン仮撚り機、ベルトニップ仮撚り機、フリクション仮撚り機等の機械があり、ヒーターのタイプにおいては、1ヒーター方式や2ヒーター方式いずれも希望する用途に応じて選定すればよいが、捲縮ひずみを消失し、均一な織物表面を得るには2ヒーター方式がより好ましい。
本発明の歯付きベルト用織物における伸縮性合撚糸に用いる非弾性繊維には、適度な捲縮が必要である。非弾性繊維に捲縮糸を用いることにより、適度な織物の厚みがクッションの役目を果たし、歯付きベルトにした際、プーリと噛み合わせ時に生じる衝撃音が吸収され、消音効果(低騒音)が得られるとともにベルト歯部の衝撃が和らげられるため歯部根元に亀裂が生じにくく耐久性が増し、本発明の目的が達成できる。捲縮程度を表す指標は、伸縮伸長率であり、測定法は、JIS−L−1090(1977)B法に従う。
本発明における伸縮性合撚糸に用いる非弾性繊維捲縮糸の伸縮伸長率の範囲は、2〜250%であることが好ましく、5〜100%がより好ましく、更に好ましくは7〜50%である。この伸縮伸長率が2%未満の場合、捲縮程度が小さい為、十分なクッション効果は得られないとともに、織物に伸長性を発現させる工程等で収縮させた場合、非弾性繊維の剛性が高いゆえに、収縮に伴う非弾性繊維を構成するフィラメントが角状に織物表面に飛び出し、伸度バラツキが大きくなり、表面平滑性が悪くなる。織物表面の角を抑える為には、伸縮性合撚糸の合撚数を上げればある程度は軽減できるが、撚り数を増加することによって糸形態が締まり、捲縮発現能力が抑えられるため、十分な伸縮性のある織物は得られず、クッション効果も低下してしまう。伸縮伸長率が250%を超える場合、過酷な捲縮付与条件により、大きく強い捲縮が糸に付くために、この糸を用いた織物は表面平滑性が悪くなる傾向にあり、また、捲縮糸の強度低下も起きやすく、耐久性が低下する傾向にある。伸縮伸長率と原糸の強力の関係は、伸縮伸長率を高めるためには一般に捲縮条件を厳しくする必要があり、それに伴い原糸の強力は低下し、その結果それを用いた織物の強力も低下し、耐久性にも劣ることになる。更に、弾性繊維を含まない非弾性繊維捲縮糸のみを用いた場合には織物の収縮を十分に発現させる為に伸縮伸長率を200%程度にした非弾性繊維捲縮糸を用いることが多く、その縮絨加工方法は、一般には大きな収縮を発現させる為に長時間の液流精練(バッチ加工)が必要とされている。また、収縮しづらいゆえ、縮絨加工した織物の幅不同が大きく、寸法安定性にも劣り、均一な伸長特性を持った品質の安定した織物を得ることが難しい。
本発明においては、非弾性繊維捲縮糸は、微小な捲縮が非弾性繊維に付与されていても良好な伸縮性合撚糸が得られ、十分な伸長特性を持つ織物が得られる。即ち、微小な捲縮を持つ非弾性繊維は、該非弾性繊維を単独で使用する場合、十分な伸長特性を持つ織物は得られないが、本発明技術により、均一な表面性と優れた伸長特性を持ち、原糸強力低下の小さい伸縮性合撚糸を得ることが可能となり、後述するようにその縮絨加工方法は、連続拡布精練でも十分な伸縮性を発現させることが可能で、工程安定性にも優れるという製法上の利点も得られるものである。さらには、従来の仮撚加工糸を用いた織物に対し、織物強力が大きいことで、ベルトの幅を狭くすることが可能となり、その結果、自動車などのエンジン内の省スペース化(コンパクト設計、軽量化)も可能となる。
最近、耐久性向上と省スペース化を図った高強力繊維(アラミド繊維パラ系、同メタ系、ポリケトン繊維等)使いの歯付きベルトが提案されているが、そのほとんどは原糸のままの高強力繊維を弾性繊維の周りに巻き付けたカバリング糸(ダブルカバリングやシングルカバリング)を用いている。カバリング糸を構成する弾性繊維と高強力繊維は、各々の収縮力に違いがあるため、このカバリング糸を用いた織物を収縮させた場合、高強力繊維のみが角状に織物表面に飛び出てしまい、伸長特性にバラツキのある不均一なものとなる。また、カバリング糸はその製造プロセス上、弾性繊維の周りに太い繊度の非弾性繊維を均一に旋回させるためには、非弾性繊維の旋回に伴う遠心力によって撚り点がずれないように芯糸の弾性繊維の繊度を太く(一般には310dtex相当)して製造するが、撚り点のずれが解消できないままである。よって、該カバリング糸を使用した織物は、弾性繊維の割合が多いために歯付きベルトを成形する際のゴム加硫時に弾性繊維が劣化して不純物となり、ゴムとの接着性に悪影響を及ぼし、また伸長特性も不均一なものとなり、低騒音性、耐久性の面で劣るものである。
上記のように十分な捲縮を与えることが困難(強力低下の面等)であった高強力繊維に、原糸の強力低下が大きく生じない程度の微小な捲縮を与え、本発明技術のような伸縮性合撚糸を得ることで、耐久性、耐熱性があり、かつ優れた伸長特性を持つといった高強力繊維の特長を生かした歯付きベルト用織物を提供することができる。本発明の技術思想は、様々な用途展開を図れるものである。
本発明における非弾性繊維捲縮糸は、その種類や形態の異なる繊維を一種以上組み合わせた複合糸(複合紡糸、交絡、交撚、流体噴射加工等公知の複合手段を利用)に捲縮を与えたものであってもよく、その断面形状も特に限定されず、いずれも希望する用途に応じて選定すればよい。更に、非弾性捲縮糸は、強度を損なわない範囲において長繊維の捲縮糸と紡績糸が複合されていてもよい。
本発明の歯付きベルト用織物における伸縮性合撚糸とは、延伸した状態の弾性繊維と非弾性繊維捲縮糸を合撚した糸条をいう。合撚手段としては、通常よく使われる撚糸機を用いればよく、例えばダブルツイスター、イタリー式撚糸機、リング撚糸機、合撚機等の機械がある。伸縮性合撚糸は、一工程で作ることも可能であり、撚数が多い場合には二工程で作ることも可能である。一工程で作る場合には、リング撚糸機等で弾性繊維と非弾性繊維捲縮糸を引き揃えて後、必要な撚数を施撚すれば良く、二工程で作る場合には、予め弾性繊維と非弾性繊維捲縮糸の両者を低撚数(20〜300T/m)で合撚し、次いでダブルツイスター等の撚糸機でさらに合撚しても良く、またワインダーや仮撚り機を用いて弾性繊維と非弾性繊維捲縮糸を引き揃えて空気交絡を施して混繊し、次いでダブルツイスター等で合撚しても良い。
仮撚り機上では、弾性繊維と非弾性繊維捲縮糸を引き揃える場合、弾性繊維は仮撚り加工された非弾性繊維捲縮糸と、仮撚りゾーンと巻き取り部の間で空気交絡処理を施して後、巻き取ることができる。この際、仮撚り加工等の施されていない非弾性繊維を仮撚りゾーンで仮撚りして非弾性繊維捲縮糸とした後に弾性繊維と交絡することができ、さらに弾性繊維と非弾性繊維を共に空気交絡処理し、これらを一緒に仮撚ゾーンに供して同時仮撚りすることもできる。
空気交絡装置は弾性繊維と非弾性繊維捲縮糸を引き揃える工程に取り付ければ良く、一般にはリワインダーやリング撚糸機に取り付け、両者を引き揃えた直後に空気交絡装置を通過させ、弾性繊維と非弾性繊維捲縮糸に交絡点を付与できる。空気交絡装置は、トルネル状の一方あるいは数カ所から圧縮空気がトンネル内に噴射され、糸が開繊、交絡することで弾性繊維と非弾性繊維捲縮糸に交絡点が形成されるようにしたもので、インターレーサーノズル、エンタングルノズル等の名称で呼ばれているものである。この空気交絡装置は、ヘバライン社製のスライドジェットHFP(商品名)、阿波スピンドル社製のMK−2およびMK−13(商品名)、東レ・プレシジョン社製のPC220およびPC210(商品名)等を用いることができるが、これら以外でも交絡機能を有するものがあれば差し支えない。
本発明の歯付きベルト用織物における伸縮性合撚糸をつくる際に、弾性繊維に延伸倍率をかける装置は、弾性繊維の巻パッケージを合撚糸機等の機械上あるいは別の場所に静置し、該弾性繊維の巻パッケージから一定張力で均一に引き出した弾性繊維と合撚糸機のクリール等にかけた非弾性繊維捲縮糸とを引き揃えて後、施撚する。弾性繊維の張力は、弾性繊維の応力伸度曲線から、所望の延伸倍率や伸縮特性が得られる張力を求めることができる。また、所望の延伸倍率に設定して引き出している弾性繊維の張力を測定することからも求めることができる。
本発明の歯付きベルト用織物における伸縮性合撚糸の中に占める弾性繊維の繊度混率は、延伸倍率をかけた後の弾性繊維の繊度混率で表し、弾性繊維と非弾性繊維捲縮糸の複合状態、ゴム加硫後のベルト強度面、合撚時の工程性等から15wt%以下が好ましい。弾性繊維の繊度混率が15wt%を越えて合撚した伸縮性合撚糸を使用した場合、ゴム加硫後に弾性繊維が融け出して不純物となり、接着性が低下したり、部分劣化し、伸度バラツキが生じたり、非弾性繊維捲縮糸の螺旋構造だけがベルト歯部の残り平滑性を損なうと同時に、織物の綾線も乱れたものになり、低騒音性、耐久性に劣る。よって、伸縮性合撚糸中の弾性繊維は、ゴム加硫時における工程性面、得られた歯付きベルトの性能面を向上させるためには極力、少ない方がよく、0.5〜5wt%の範囲がより好ましい。弾性繊維の繊度混率は、例えば44dtexの弾性繊維を延伸倍率3.0とし、470dtexの非弾性繊維捲縮糸と組み合わせた伸縮性合撚糸では、44/3.0/(44/3.0+470)=0.030、すなわち3wt%となる。
本発明の歯付きベルト用織物に用いる伸縮性合撚糸の弾性繊維の延伸倍率は、2〜4の範囲が好ましく、2.5〜3.5の範囲がより好ましい。延伸倍率が2未満の場合、弾性繊維の収縮力が不足し、延伸倍率が4を超える場合、合撚時の弾性繊維の糸切れが多くなり、生産収率の低下が生じる場合がある。なお、弾性繊維の延伸倍率とは、引き出された弾性繊維の長さが巻パッケージ周上に巻かれていた糸長からの増加割合を表したもので、例えば弾性繊維の引き出し速度を弾性繊維の送り出し速度(弾性繊維の巻パッケージ周上の転がし速度)の2倍にする場合には、延伸倍率は2となる。
本発明の歯付きベルト用織物における伸縮性合撚糸中の弾性繊維の繊度、すなわち伸縮合撚糸中における引張った状態の弾性繊維の繊度は50dtex以下が好ましく、7〜35dtexがより好ましい範囲である。引張った状態の弾性繊維の繊度が小さい場合は、伸縮性合撚糸の収縮力が弱くなって、その織物は十分な収縮力を持たなくなり、50dtexを越える場合には、ゴム加硫後のベルト内に融けた弾性繊維の不純物が多くなり、ベルト強度に悪影響を及ぼすことに加え、非弾性繊維捲縮糸の繊度が500dtex程度よりも小さい場合には伸縮性合撚糸の収縮力が大きくなり過ぎて取り扱い性が悪くなる。
伸縮性合撚糸における合撚時の撚り方向は非弾性繊維捲縮糸の仮撚り方向と異方向にすることが高収縮力を持った織物を得る上で好ましいが、収縮力の大きさ、また織物の外観や機能等の必要特性に応じて合撚時の撚り方向や撚り係数を決めればよい。
合撚数としては、撚り係数で1000〜16000の範囲で合撚することが必要であるが、製織時の安定性や織物品質を考慮した場合、3000〜8000がより好ましい。撚り係数が1000よりも少ない場合は、製織準備工程や製織工程時の筬や綜絖との擦れによって弾性繊維と非弾性繊維捲縮糸がずれやすくなって均一な伸縮性合撚糸が得られにくくなって、均一な伸長特性や良好な表面平滑性を持つ織物を製織することができないことや、製織時において、弾性繊維のみが伸縮性合撚糸中から芯抜け(スリップイン)し、所望の伸縮性織物を得ることができず、本発明の目的が達成されないことがある。また、撚り係数が16000を超えると撚りが強すぎるために織物の厚さが薄くなり、歯付ベルトにした場合に、騒音(衝撃音)を吸収するためのクッション効果が減少するとともに、伸縮性も低下し、十分な伸縮性のある織物が得られなくなり、本発明の目的が達成されないことがある。
なお、撚り係数とは伸縮性合撚糸のデシテックス繊度の平方根に1m当たりの合撚数を乗じた数値である。
本発明の歯付きベルト用織物に用いる伸縮性合撚糸の弾性繊維の繊度、すなわち弾性繊維の引っ張る前の繊度は、20〜150dtexの範囲が好ましく、40〜80dtexがより好ましい範囲である。引っ張る前の弾性繊維の繊度が20dtex未満の場合、収縮力が低下し、所望の縮絨織物を得ることが難しくなる。また、弾性繊維の強力が不足し、ゴム加硫時において劣化し、品質が低下する場合がある。150dtexを越える場合には、ゴム加硫後に弾性繊維が不純物として残る割合が多くなってベルトの耐久性に悪影響を及ぼす場合がある。
本発明の歯付きベルト用織物に用いる伸縮性合撚糸の非弾性繊維捲縮糸の繊度は、40〜1000dtexの範囲が好ましく、200〜500dtexがより好ましい。40dtex未満の場合、弾性繊維の割合が大きいために、撚糸バルーンが適正に開かず、撚糸斑になりやすく、織物の伸長特性が悪くなる場合がある。1000dtexを超える場合、繊度が大きいために弾性繊維の収縮力が不足し、織物の伸長特性の均一性が悪くなる場合がある。
本発明の歯付きベルト用織物に用いる伸縮性合撚糸を製造する際に、弾性繊維の延伸時の張力変動範囲は、0〜0.1cN/dtexであり、0〜0.05cN/dtexの範囲がより好ましい。0.1cN/dtexを超える場合、得られる伸縮性合撚糸の糸長方向の伸長特性は不均一になり、低騒音性、耐久性に劣る歯付きベルトとなる場合がある。伸縮性合撚糸を製造する際の弾性繊維は、延伸時の張力変動を制御する装置を用いる。張力変動を制御する装置としては、例えばBTSR社やメミンガーアイロ社のテンションフィーダー等がある。これにより、弾性繊維のチーズパッケージ内(外中内層差)に存在する伸長斑、解舒斑等による張力変動を解消し、一定量を正確に給糸することが可能で糸長方向に均一な伸縮性を持つ伸縮性合撚糸を得ることができ、斑の少ない伸長特性の優れた歯付きベルト用織物が得ることができる。
従来、多く採用されている弾性繊維のチーズを同速度で回転する2本ローラ間の上に置いて弾性繊維を引き出す(転がし取りタイプ)方式、クレードルに弾性繊維のチーズを取り付け、回転するローラにバネや重り等で弾性繊維のチーズを押しつけて弾性繊維を引き出す方法等があるが、チーズの滑り、接圧強さのバラツキ、チーズ内差、チーズ間差、解舒斑等多くの延伸倍率の変動要因があり、糸長方向および糸間において均一な伸長特性を持つ伸縮性合撚糸を得ることは難しい。
本発明の歯付きベルト用織物における伸縮性合撚糸は、取り扱い性を向上させるために、合撚後に撚止めのスチームセット等の方法により70〜90℃程度の温度で20〜60分の熱セットを施してもよい。また、合撚糸のトルクが大きい場合には、撚止めセットは70〜90℃程度の温度で20〜30分の熱セットを2回繰り返し施しても良い。
本発明の歯付きベルト用織物における伸縮性合撚糸は、弾性繊維と非弾性繊維捲縮糸の二者混の複合糸に限るものではなく、この伸縮性複合糸に更にもう一本の伸縮性複合糸を含めた他の繊維糸条を合撚等の手段で複合させても良く、あるいはそれ以上の本数の糸条を複合しても良い。また、同種あるいは異種の非弾性繊維捲縮糸を複数本用いて弾性繊維と複合しても良く、弾性繊維を複数本用いて非弾性繊維捲縮糸と複合しても良く、弾性繊維と非弾性繊維捲縮糸を共に複数本用いて複合しても良い。更には、本願の目的を損なわない範囲において短繊維からなる紡績糸等を複合してもよい。用途に応じて、相手糸の種類や本数を適宜変更すればよい。
本発明の歯付きベルト用織物に用いる伸縮性合撚糸は、歯付きベルトの長手方向とすればよく、経緯共伸縮性合撚糸を用いた場合には伸び率や構成糸の強度、歯部設計等を考慮して用途に応じた使い方をすれば良い。また、経方向に伸縮性合撚糸を用いた場合や経緯共伸縮性合撚糸を用いた織物の場合は、歯付きベルト用織物の裁断工程で、歯付きベルト成型用型枠周長に必要な長さだけをカットすれば良く、緯方向に伸縮性合撚糸を用いた織物の場合に比べて、ロスが少なくなることや長さに関しては多くのタイプを揃える必要がないといった利点がある。
本発明の歯付きベルト用織物における破断伸長率は、織物を伸長方向に伸ばしたときに織物が破断する伸度をいい、JIS−L−1096(1999)の伸び率、A法(ストリップ法)に従って測定されるが、50〜200%である必要がある。破断伸長率が50%未満の場合は、伸長初期の応力値が大きくなり、加硫時に歯部形状にきれいに織物が沿った形に成りにくく、いわゆる歯立ち性が悪くなり、PLD(ベルト抗張体の中心線とベルト歯凹部表面との距離)のバラツキが大きい斑のあるベルトとなり、低騒音性、耐久性に劣るものとなる。好ましくは、80〜200%の破断伸度を持つものが好ましい。伸縮合撚糸中の弾性繊維の繊度やその割合および非弾性繊維捲縮糸の伸縮伸長率を過剰にしたり、織物組織をルーズな組織にすれば、破断伸度は、200%を越える場合があるが、ゴム加硫後に弾性繊維が残存し、ゴムとの接着不良が生じたり、非弾性繊維捲縮糸の強度低下や、織物表面の平滑性が損なわれ、低騒音性や耐久性に劣る場合がある。
本発明の歯付きベルト用織物における伸縮変動係数とは、織物の任意の30個所において織物5cm幅での中間応力3点(9.8N、19.6N、29.4N)で伸縮方向に伸ばしたときの伸度の偏差を伸度の平均値で除した値をいう。伸度の測定法はJIS−L−1096(1999)の伸び率、A法(ストリップ法)に従い、各応力時の伸度をS−S曲線から読み取り、算出する。本発明の歯付きベルト用織物における伸縮変動係数は0〜0.15の範囲であることが好ましい。中間応力3点の伸縮変動係数の最大値が0.15を超える場合は、伸度バラツキが大きい為に、織物の厚み斑や綾線の乱れが生じ、表面平滑性が損なわれ、歯立ち性の悪いベルトとなり、摩擦抵抗が大きくなると同時に気流の流れが悪くなり、騒音が発生することやプーリとの接触面積が一部に集中し、応力集中による摩耗や亀裂等が発生しやすくなり、耐久性の面で劣ることがある。このような現象は、伸縮変動係数が小さければ小さいほど、抑えられ、0〜0.1がより好ましく、0〜0.05が更により好ましい範囲である。この範囲により、織物の厚みのバラツキがなくなり、表面平滑性が増すと同時に織物の綾線が規則正しく、整然と配列させることが可能となり、応力集中が起こりにくく、気流を乱さない効果が得られ、低騒音性、耐久性が向上し、本発明を達成することができる。
本発明の歯付きベルト用織物においては、伸縮性合撚糸を用いた経糸あるいは緯糸は、2本以上の連続した浮き糸あるいは沈み糸を完全組織の中に持っていることが好ましく、例えば経糸に本発明の伸縮性合撚糸を用いた場合には、綾組織のように織物上での経糸が緯糸を複数本だけ間隔を置いて交錯していることであり、2/2綾組織が代表的であるが、2/1綾組織や3/2綾組織、あるいは朱子織、また経畝や緯畝等の畝組織、あるいはこれらを組み合わせた組織でも良い。これは伸縮性合撚糸が収縮力を発揮するためには、経糸と緯糸の交錯点が少ないことが好ましく、平組織に代表されるような経糸と緯糸が1本交互に交錯している組織に比べ、浮き糸を平組織の2倍、すなわち2本設ける組織にすることによって、糸の収縮力が発現しやすくなり、高収縮の織物が得られるものである。
本発明の歯付きベルト用織物の綾組織が好ましいが、織物上の綾線は、明瞭で規則正しく配列した伸縮性織物であることが望ましく、織物の綾線が明瞭で規則正しく配列すると歯付きベルトの歯部とプーリとの噛み合わせ時に生じる摩擦音や気流音を小さくする効果がある。その理由は、摩擦音は、ベルト歯部(織物表面)とプーリとの接触面積の大きさとに密接な関係が有り、その接触面積が小さい方が、摩擦抵抗は小さくなり、摩擦音も抑えられる。織物の綾線が明瞭であれば、設置面積も小さく(線接触)なり、その結果、摩擦音は抑えられる。また、織物の綾線が明瞭でかつ規則正しく整列していれば、プーリとの接触時の空気の流れが綾線に沿って円滑に排出され、空気溜りが減少し、気流の乱れ(音)が生じない。その結果、気流音は抑えられる。
本発明の歯付きベルト用織物は、伸縮性合撚糸を経糸あるいは緯糸の一方にのみに用いても良く、また経糸及び緯糸の両方に用いても良い。伸縮性合撚糸を経糸あるいは緯糸の一方にのみ用いた場合、例えば、緯糸に伸縮性合撚糸を用いた場合には、経糸の形態は何らの加工を施していない生糸、撚糸、あるいは仮撚り加工糸等であってもよい。また、伸縮性合撚糸を経糸に用いる場合には、緯糸の形態は、生糸、撚糸、仮撚り加工糸等のいずれでも良い。さらに、織物の経糸及び/又は緯糸に伸縮性合撚糸と該伸縮性合撚糸で用いた非弾性繊維捲縮糸の撚糸の両者を1:1や1:2等に交互に配列した織物としても良く、異種の伸縮性合撚糸を配列させたり、S撚やZ撚の撚糸を配列させたり等の作業を、用途に応じた伸長率等の織物特性が出るように設計すればよい。
本発明における歯付きベルト用織物の表面平滑性とは、織物を構成する経糸や緯糸の織物上での集束性、並び、糸間隔等が規則正しく均一に揃っている状態を言う。即ち、織物を構成する経糸や緯糸がよろけ、大きな屈曲、繊維を構成している単糸の乱れ等がなく、整然と並んでいるか否かの状態等で表面平滑性を見るものである。
本発明の歯付きベルトにおけるPLD変動係数とは、任意の30個所において、PLD(ベルト抗張体の中心線とベルト歯凹部表面との距離)を測定し、その偏差をPLDの平均値で除した値をいい、0〜0.15の範囲が好ましい。具体的な測定法としては、ベルト側面を拡大顕微鏡にて50倍の拡大倍率にて撮影し、その拡大写真からPLDを読み取り、算出した。PLD変動係数が0.15を超える場合、ベルト歯部とプーリとの噛み合わせが不安定となり、ベルトの耐久性の悪化や騒音が増す傾向にある。
本発明の歯付きベルトにおける基布の剥離強力とは、ベルトゴム部と基布との接着性を評価する指標で100〜200N/2.54cmの範囲が望ましい。100N/2.54cm未満の場合、一定時間の使用に耐えられない耐久性に劣るベルトになる。
本発明の歯付きベルト用織物の製造方法は、撚り係数1000〜16000で弾性繊維と非弾性繊維捲縮糸を合撚して得られた伸縮性合撚糸を、経糸及び/又は緯糸に用いて製織し、縮絨加工するものであり、この製造方法によって破断伸長率80%以上を有する歯付きベルト用織物を得ることが出来る。本発明の歯付きベルト用織物の製織手段としては、レピアルーム、エアージェットルーム、ウオータージェットルーム、プロジェクタイルルーム等の織機を用いて生産することができ、収縮力の大きな緯糸を製織する場合には、全面テンプルや引張力の強いテンプル等を織機に用いることが好ましい。伸縮性合撚糸を経糸に用いる場合、経糸ビームに巻かれた経糸の引き出し始めの部分を熱板や糊剤によって固定すると取り扱い性がよくなり、経糸の筬や綜絖への引き通し等の製織準備を円滑に行うことができる。
本発明の歯付きベルト用織物の製造方法における縮絨加工においては、本発明の歯付きベルト用織物は、製織後、縮絨加工して織物を収縮させるが、このとき生機を拡布状態で処理(連続拡布精練機等)しても良く、液流タイプのもみ効果の強い精練機(液流精練機等)を用いても良く、生機特性や用途に合わせた加工スタイルを選べばよい。この際、経伸び織物の加工をする場合は、連続拡布精練機がより適正である。伸縮性合撚糸の優れた伸縮性によって短時間で縮絨が完了する。
発明を実施するための最良の形態
以下、実施例により本発明を詳述する。
なお、実施例における評価は以下の方法により測定した。
(1)織物の破断伸長率
JIS−L−1096(1999)の伸び率、A法(ストリップ法)に従う。
(2)織物の伸縮方向の最大伸縮変動係数
織物の任意30個所において伸縮方向に伸ばした時の中間応力(9.8N/5cm、19.6N/5cm、29.4N/5cm)の各伸度の偏差を各伸度の平均値で除した値を伸縮変動係数とし、その3点の中の最大値を最大伸縮変動係数とした。なお、伸度の測定法はJIS−L−1096(1999)の伸び率、A法(ストリップ法)に従い、S−S曲線から各値を読み取り、算出した。
(3)非弾性繊維捲縮糸の伸長伸縮率
JIS−L−1090(1977)B法に従って測定した。
(4)歯付きベルトのPLD変動係数
任意30の個所においてPLD(ベルト抗張体の中心線とベルト歯凹部表面との距離)を測定し、その偏差をPLDの平均値で除し、算出した。測定法は、ベルト側面を拡大顕微鏡にて50倍にて写真撮影し、その拡大写真からPLDを読み取り、算出した。0.10未満をAランク、0.10〜0.15をBランク、0.15を超える場合をCランクとし、A、Bランクを合格として判定した。
(5)歯付きベルト用基布とゴム部との剥離強力
縮絨加工した織物を用いて実施例17〜32に記載した歯付きベルトを作成し、JIS−K−6256(1999)に従って、剥離試験を行い、剥離強力を求めた。剥離強力が150N/2.54cmを超える場合をAランク、100〜150N/2.54cmをBランク、100N/2.54cm未満の場合をCランクとし、A、Bランクを合格として判定した。
尚、接着液はRFL液(H−NBR系ラテックス)を使用し、接着剤処理条件は、ピックアップ率12〜13wt%とし、160℃×5分の乾燥後、200℃×3分の熱処理をした。ゴムはH−NBR系を使用し、加硫条件は150℃×30分とした。
(6)歯付きベルトの騒音測定(低騒音性)
歯付きベルトを歯数18Tの駆動および従動プーリ間に巻き付け、4馬力の負荷を掛け、回転数3000rpmと6000rpmで雰囲気温度25℃の条件下で走行試験を行った。遮音材を取り付けた部屋で、マイクロフォンを駆動プーリの上15cmのところに置き、その時の騒音を測定した。測定には、計量法JIS−C−1502に準拠した普通騒音計の規格を満たした、リオン(株)製の普通騒音計であるNA−20(商品名)を用いた。
3000rpmで90dB未満をAランク、90〜95dBをBランク、95dBを超える場合をCランクとし、6000rpmで105dB未満をAランク、105〜110dBをBランク、110dBを超える場合をCランクとし、A、Bランクを合格として判定した。
(7)歯付きベルトの耐久性
雰囲気温度を100℃とし、回転数を1500rpmとした以外は、騒音試験と同じ条件で走行試験を行い、歯部に亀裂の入るまでの時間を測定した。200時間を越える場合をAランク、150〜200時間をBランク、150時間未満をCランクとし、A、Bランクを合格として判定した。
(8)歯付きベルト用織物表面の綾線の整然性と明瞭性
織物製造および検査に5年以上携わってきたパネラー5名によって次の評価基準にしたがって評価し、平均値で表した。平均値が、W1未満をAランク、W1〜W2をBランク、W2を超える場合をCランクとし、A、Bランクを合格として判定した。
W0:綾線が明確に見え、均等均一に配列している状態
W1:綾線が不明確な個所が一部あるが、総合的にきれいに見える
W2:やや綾線は不明確で、配列にも乱れが見られる
W3:綾線は不明確な個所があり、配列にも乱れが目立つ
W4:綾線、配列ともに乱れが多く、粗悪感を感じる
(9)総合判定
上記、(4)〜(8)の5項目の試験において、
全ての項目がAランク判定の場合…Aランク(合格品)
Cランク判定がなく、かつ、Bランク判定が1項目以上ある場合…Bランク(合格品)
Cランク判定が1項目でもある場合…Cランク(不合格)
として格付けし、Cランクを不合格とみなした。
〔実施例1〕
弾性繊維としてポリウレタン系弾性繊維(旭化成社製:商品名ロイカ)44dtexと非弾性繊維捲縮糸としてポリアミドマルチフィラメント繊維(旭化成社製:商品名レオナ)235dtex/35fをフリクションタイプ仮撚り機(Barmag社製:タイプFK−6)にて仮撚り速度500m/分にて高速仮撚り加工した糸条(仮撚り加撚方向はZ、伸縮伸長率19.1%)を2本用い、テンションフィーダー(BTSR社製:商品名KTF/25HPSタイプ)を用いて弾性繊維の給糸張力を7.94cN/ヤーン(延伸倍率を3.0相当)に張力設定し、非弾性繊維捲縮糸の給糸張力を0.03cN/dtexに設定し、弾性繊維と非弾性繊維捲縮糸を合撚糸機上で引き揃えて合撚した。合撚には、合撚糸機(石川製作所社製:タイプDTH)を用い、スピンドル回転数5000rpm、設定撚数200T/m(撚り方向S、撚り係数4403)で合撚し、伸縮性合撚糸を得た。この合撚時における弾性繊維の設定張力は予め、弾性繊維の応力伸度曲線を測定し、延伸倍率が3.0に相当する応力値から求めた。この伸縮性合撚糸における弾性繊維の繊度は44/3.0=14.7dtexで、その割合は3.0wt%である。
上記で得られた伸縮性合撚糸を緯糸に用いて、経糸がポリアミドマルチフィラメント繊維(旭化成社製:商品名レオナ)235dtex/35f(撚り数180T/m、撚り方向S)で、レピアルーム(ソメット製)を用いて2/2綾織物を300rpmの織機回転数で製織した。次に、得られた生機を常法に従い、液流リラックス精練−幅出しセット−仕上げの一連の処理を行った。
得られた織物は、経糸密度88本/2.54cm、緯糸密度67本/2.54cmであって、緯方向に153%の破断伸度があり、表1に示すように織物の伸縮方向の最大伸縮変動係数は、0.02で大変良好であった。
〔実施例2〕
実施例1において、経糸(撚り方向Z)と緯糸を入れ替え、エアージェットルーム(津田駒工業社製:タイプZA209)を用いて2/2綾織物を400rpmの織機回転数で製織した。次に、得られた生機を常法に従い、連続拡布精練−乾燥−仕上げの一連の処理を行った。得られた織物は、経糸密度67本/2.54cm、緯糸密度85本/2.54cmであって、経方向に140%の破断伸度があり、表1に示すように織物の最大伸縮変動係数は、0.04で大変良好であった。
〔実施例3〕
実施例1において、緯糸に弾性繊維としてポリウレタン系弾性繊維(旭化成社製:商品名ロイカ)44dtexと非弾性繊維捲縮糸としてポリケトン繊維335dtex/250fをピンタイプ仮撚り機(石川製作所社製:タイプIVF−338)にて仮撚り速度50m/分にて仮撚り加工した糸条(仮撚り加撚方向はZ、伸縮伸長率51.0%)を用い、撚数200T/m(撚り方向S、撚り係数3740)の伸縮性合撚糸を得た。この伸縮性合撚糸における弾性繊維の繊度は44/3.0=14.7dtexで、その割合は4.2wt%である。
次に、実施例1と同様の製織を行い、次いで、得られた生機を常法に従い、連続拡布精練−乾燥−仕上げの一連の処理を行った。得られた織物は、経糸密度80本/2.54cm、緯糸密度79本/2.54cmであって、緯方向に110%の破断伸度があり、表1に示すように織物の最大伸縮変動係数は、0.08で良好であった。
尚、ここで用いたポリケトン繊維は、下記製法にて製造した。
常法により調整したエチレンと一酸化炭素が完全交互共重合した極限粘度5.9dl/gのポリケトンポリマー、ポリ(1−オキソトリメチレン)を塩化亜鉛35.5wt%/塩化カルシウム64.5wt%含有する水溶液に添加し、80℃で2時間攪拌溶解し、ポリマー濃度6.5wt%のドープを得た。得られたドープを80℃に加温し、20μmのフィルターでろ過した後に、紡口径0.10mm、L/D=1、250ホールの紡口より10mmのエアーギャップを通した後に2℃の水中に吐出量12.5cc/分の速度で押し出し、凝固させた。
凝固糸を引き続き濃度1%の塩酸で洗浄し、さらに30℃の水で洗浄した後、巻き取り速度2.5m/分で巻き取り、さらに得られた糸状物を200℃にて乾燥して未延伸糸を得た。この未延伸糸を225℃で1段目の延伸を行った後に、引き続き240℃で2段目、250℃で3段目の延伸を行い、トータルで15.5倍の延伸を行い、335dtex/250fの延伸糸(ポリケトン繊維)を得た。
〔実施例4〕
実施例3において、緯糸に弾性繊維としてポリウレタン系弾性繊維(旭化成社製:商品名ロイカ)78dtexと非弾性繊維捲縮糸としてパラ系アラミド繊維(エンカ社製:商品名トアロン)413dtex/250fをピンタイプ仮撚り機(石川製作所社製:タイプIVF−338)にて仮撚り速度50m/分にて仮撚り加工した糸条(仮撚り加撚方向はZ、伸縮伸長率10.4%)を用い、撚数200T/m(撚り方向S、撚り係数4190)の伸縮性合撚糸を得た。合撚時の弾性繊維の給糸張力を8.92cN/ヤーン(延伸倍率3.0相当)に張力設定し、この伸縮性合撚糸における弾性繊維の繊度は78/3.0=26.0dtexで、その割合は5.9wt%である。
次に、実施例3と同様の製織を行い、次いで、得られた生機を常法に従い、連続拡布精練−乾燥−仕上げの一連の処理を行った。得られた織物は、経糸密度78本/2.54cm、緯糸密度70本/2.54cmであって、緯方向に90%の破断伸度があり、表1に示すように織物の最大伸縮変動係数は、0.10で良好であった。
〔実施例5〕
実施例1において、伸縮合撚糸の撚り数を400T/m(撚り係数8806、撚り方向S)した以外は、実施例1と同じくして、経糸密度86本/2.54cm、緯糸密度67本/2.54cmであって、緯方向に138%の破断伸度があり、表1に示すように織物の最大伸縮変動係数は、0.05で大変良好であった。
〔実施例6〕
実施例1において、伸縮合撚糸の撚り数を700T/m(撚り係数15411、撚り方向S)した以外は、実施例1と同じくして、経糸密度72本/2.54cm、緯糸密度67本/2.54cmであって、緯方向に60%の破断伸度があり、表1に示すように織物の最大伸縮変動係数は、0.13で良好であった。
〔比較例1〕
実施例1において、伸縮合撚糸の撚り数を800T/m(撚り係数17613、撚り方向S)した以外は、実施例1と同じくして、経糸密度67本/2.54cm、緯糸密度67本/2.54cmであって、緯方向に45%の破断伸度と乏しく、撚糸感が強く、捲縮糸による嵩高感に不足な織物となった。この織物の最大伸縮変動係数は、0.17で不良であった。
〔比較例2〕
実施例1において、伸縮合撚糸の撚り数を40T/m(撚り係数881、撚り方向S)にした以外は、実施例1と同じくして、経糸密度88本/2.54cm、緯糸密度67本/2.54cmであって、緯方向に148%の破断伸度があったが、製織時において弾性繊維の芯抜けが多発し、縮絨加工時の幅不同も大きく発生した。よって織物幅方向の伸縮特性が乱れ、表1に示すように織物の最大伸縮変動係数は、0.26で不良であった。
〔比較例3〕
実施例1において、非弾性繊維としてポリアミドマルチフィラメント繊維(旭化成社製:商品名レオナ)235dtex/35f原糸(伸縮伸長率1.1%)に変えた以外は、実施例1と同じくして、経糸密度86本/2.54cm、緯糸密度67本/2.54cmの織物を得た。得られた織物は、表面に非弾性繊維の単糸が角状に飛び出し、織物組織の綾線は乱れたものとなった。織物の伸縮方向の伸長特性は、緯方向に131%の破断伸度があり、表1に示すように織物の最大伸縮変動係数は、0.18で不良であった。
〔比較例4〕
実施例1において、製織時の織り組織を平組織に変えた以外は、実施例1と同じくして縮絨加工をし、経糸密度57本/2.54cm、緯糸密度57本/2.54cmであって、緯方向に40%の破断伸度のある織物を得た。織物は、粗硬でかつ、伸度不足のものとなった。この織物の最大伸縮変動係数は、0.18で不良であった。
〔実施例7〕
実施例1において、用いる弾性繊維としてポリウレタン系弾性繊維(旭化成社製:商品名ロイカ)の繊度を78dtexに変え、弾性繊維の給糸張力を7.91cN/ヤーン(延伸倍率2.3相当)に張力設定し、非弾性繊維捲縮糸としてポリアミドマルチフィラメント繊維(旭化成社製:商品名レオナ)235dtex/35fを1本とを撚り数300T/m(撚り係数4919、撚り方向S)で合撚した以外は、実施例1と同様の製織、縮絨加工を行った。この伸縮性合撚糸における弾性繊維の繊度は78/2.3=33.9dtexで、その割合は12.6wt%であって、得られた織物は経糸密度93本/2.54cm、緯糸密度90本/2.54cm、緯方向に190%の破断伸度があり、表1に示すように織物の最大伸縮変動係数は、0.09で良好であった。
〔比較例5〕
実施例7において、用いる弾性繊維としてポリウレタン系弾性繊維(旭化成社製:商品名ロイカ)の繊度を155dtexに変え、弾性繊維の給糸張力を13.07cN/ヤーン(延伸倍率2.5相当)に張力設定し、非弾性繊維捲縮糸としてポリアミドマルチフィラメント繊維(旭化成社製:商品名レオナ)156dtex/35fをフリクションタイプ仮撚り機(Barmag社製:タイプFK−6)にて仮撚り速度550m/分にて高速仮撚り加工した糸条(仮撚り加撚方向はZ、伸縮伸長率27.3%)を2本とを撚り数250T/m(撚り係数4835、撚り方向S)で合撚した以外は、実施例1と同様の製織、縮絨加工を行った。
この伸縮性合撚糸における弾性繊維の繊度は155/2.5=62.0dtexで、その割合は16.7wt%であって、得られた織物は経糸密度97本/2.54cm、緯糸密度76本/2.54cm、緯方向に220%の破断伸度があったが、弾性繊維の割合が多いために初期引っ張り応力が高いものとなった。この織物の最大伸縮変動係数は、0.11であった。
〔実施例8〕
実施例1において、用いる弾性繊維としてポリウレタン系弾性繊維(旭化成社製:商品名ロイカ)の繊度を78dtexに変え、弾性繊維の給糸張力を8.92cN/ヤーン(延伸倍率3.0相当)に張力設定し、非弾性繊維捲縮糸としてポリアミドマルチフィラメント繊維(旭化成社製:商品名レオナ)235dtex/35f(伸縮伸長率19.1%)を4本とを撚り数65T/m(撚り係数2020、撚り方向S)で合撚した以外は、実施例1と同様の製織、縮絨加工を行った。
この伸縮性合撚糸における弾性繊維の繊度は78/3.0=26.0dtexで、その割合は2.7wt%であって、得られた織物は経糸密度78本/2.54cm、緯糸密度47本/2.54cm、緯方向に98%の破断伸度があり、表1に示すように織物の最大伸縮変動係数は、0.08で良好であった。
〔実施例9〕
実施例1において、用いる弾性繊維の繊度を22dtexに変え、弾性繊維の給糸張力を4.02cN/ヤーン(延伸倍率3.0相当)に張力設定し、撚り数330T/m(撚り係数7211、撚り方向S)で合撚した以外は、実施例1と同様の製織、縮絨加工を行った。この伸縮性合撚糸における弾性繊維の繊度は22/3.0=7.3dtexで、その割合は1.5wt%であって、得られた織物は経糸密度77本/2.54cm、緯糸密度67本/2.54cm、緯方向に90%の破断伸度があり、表1に示すように織物の最大伸縮変動係数は、0.08で良好であった。
〔実施例10〕
実施例1において、用いる非弾性繊維捲縮糸としてポリアミドマルチフィラメント繊維(旭化成社製:商品名レオナ)235dtex/35fをピンタイプ仮撚機(石川製作所社製:タイプIVF−338)にて仮撚り速度50m/分にて仮撚り加工した糸条(仮撚り加撚方向はZ、伸縮伸長率215.2%)に変えた以外は、実施例1と同様の製織、縮絨加工を行った。
この伸縮性合撚糸における弾性繊維の繊度は44/3.0=14.7dtexで、その割合は3.0wt%であって、得られた織物は経糸密度90本/2.54cm、緯糸密度67本/2.54cm、緯方向に173%の破断伸度があり、表1に示すように織物の最大伸縮変動係数は、0.02で大変良好であった。
〔実施例11〕
実施例1において、用いる非弾性繊維捲縮糸の伸縮伸長率を265.5%に変えた以外は、実施例1と同様の製織、縮絨加工を行った。この伸縮性合撚糸における弾性繊維の繊度は44/3.0=14.7dtexで、その割合は3.0wt%であって、得られた織物は経糸密度92本/2.54cm、緯糸密度67本/2.54cm、緯方向に187%の破断伸度があり、表1に示すように織物の最大伸縮変動係数は、0.03で大変良好であったが、過酷な仮撚り条件により非弾性繊維捲縮糸の強力がやや低下した。
〔実施例12〕
弾性繊維としてポリウレタン系弾性繊維(旭化成社製:商品名ロイカ)22dtexと非弾性繊維捲縮糸としてポリアミドマルチフィラメント繊維(旭化成社製:商品名レオナ)34dtex/26fをフリクションタイプ仮撚り機(Barmag社製:タイプFK−6)にて仮撚り速度650m/分にて仮撚り加工した糸条(仮撚り加撚方向はZ、伸縮伸長率190.3%)を1本用い、テンションフィーダー(BTSR社製:商品名KTF/25HPSタイプ)を用いて弾性繊維の給糸張力を5.65cN/ヤーン(延伸倍率4.0相当)に張力設定し、非弾性繊維捲縮糸の給糸張力を0.03cN/dtexに設定し、弾性繊維と非弾性繊維捲縮糸とを撚り数700T/m(撚り係数4400、撚り方向S)で合撚を試みたが、糸繊度が小さく、かつ弾性繊維の張力が過剰なために、撚糸バルーンが開きが不安定で、撚糸斑が生じた。これを実施例1と同様の製織、縮絨加工を行った。
この伸縮性合撚糸における弾性繊維の繊度は22/4.0=5.5dtexで、その割合は13.9wt%であって、得られた織物は経糸密度91本/2.54cm、緯糸密度233本/2.54cm、緯方向に150%の破断伸度であり、表1に示すように織物の最大伸縮変動係数は、0.12であった。
〔実施例13〕
弾性繊維としてポリウレタン系弾性繊維(旭化成社製:商品名ロイカ)78dtexと非弾性繊維捲縮糸としてポリアミドマルチフィラメント繊維(旭化成社製:商品名レオナ)235dtex/35fをフリクションタイプ仮撚機(石川製作所社製:タイプIVF−338)にて仮撚り速度500m/分にて仮撚り加工した糸条(仮撚り加撚方向はZ、伸縮伸長率19.1%)を5本用い、テンションフィーダー(BTSR社製:商品名KTF/25HPSタイプ)を用いて弾性繊維の給糸張力を8.92cN/ヤーン(延伸倍率3.0相当)に張力設定し、非弾性繊維捲縮糸の給糸張力を0.03cN/dtexに設定し、弾性繊維と非弾性繊維捲縮糸とを撚り数120T/m(撚り係数4400、撚り方向S)で合撚を試みたが、糸繊度が大きく、撚糸バルーンが大きく開き過ぎ、撚糸機の錘間仕切板に糸が接触し、不安定であった。これを実施例1と同様の製織、縮絨加工を行った。
この伸縮性合撚糸における弾性繊維の繊度は78/3.0=26.0dtexで、その割合は2.2wt%であって、得られた織物は経糸密度78本/2.54cm、緯糸密度42本/2.54cm、緯方向に98%の破断伸度があり、表1に示すように織物の最大伸縮変動係数は、0.12で良好であった。撚糸状態が不安定であったため、織物の綾線がやや不明瞭であった。
〔実施例14〕
実施例1において、弾性繊維の給糸張力を6.82cN/ヤーン(延伸倍率1.7相当)に張力設定を変えた以外は、実施例1と同様の製織、縮絨加工を行った。この伸縮性合撚糸における弾性繊維の繊度は78/1.7=45.9dtexで、その割合は8.9wt%であって、得られた織物は経糸密度77本/2.54cm、緯糸密度66本/2.54cm、緯方向に88%の破断伸度であって、伸縮性にやや劣るものとなった。この織物の最大伸縮変動係数は、0.12で良好であった。
〔実施例15〕
実施例1において、弾性繊維の給糸張力を12.71cN/ヤーン(延伸倍率4.2相当)に張力設定を変えた以外は、実施例1と同様の製織、縮絨加工を行った。この伸縮性合撚糸における弾性繊維の繊度は44/4.2=10.5dtexで、その割合は2.2wt%である。しかし、合撚時の弾性繊維の設定張力が過剰なために合撚時の生産収率が極端に低下した。得られた織物は経糸密度91本/2.54cm、緯糸密度67本/2.54cm、緯方向に173%の破断伸度であったが、この織物の最大伸縮変動係数は、0.13であった。撚糸状態が不安定であったため、織物の綾線がやや不明瞭であった。
〔実施例16〕
実施例1において、弾性繊維の延伸倍率を3.0になるように2本のフィードロール上に弾性繊維のチーズを置き、転がし取りによって弾性繊維を給糸し、伸縮性合撚糸を得た以外は、実施例1と同様の製織、縮絨加工を行った。この伸縮性合撚糸における弾性繊維の繊度は44/3.0=14.7dtexで、その割合は3.0wt%であって、得られた織物は経糸密度87本/2.54cm、緯糸密度67本/2.54cm、緯方向に143%の破断伸度であったが、表1に示すように弾性繊維のチーズパッケージの形態斑、チーズ内の巻き上げ張力斑、チーズ送り出し時の滑り等種々の要因による張力変動が見られ、その張力変動範囲は、0.07cN/ヤーンであった。これを用いた織物の最大伸縮変動係数は、0.11で良好であった。撚糸状態が不安定であったため、織物の綾線がやや不明瞭であった。
〔実施例17〕
実施例1において、用いる弾性繊維としてポリウレタン系弾性繊維(旭化成社製:商品名ロイカ)の繊度を17dtexに変え、弾性繊維の給糸張力を3.22cN/ヤーン(延伸倍率3.0相当)に張力設定し、非弾性繊維捲縮糸としてポリアミドマルチフィラメント繊維(旭化成社製:商品名レオナ)235dtex/35f(伸縮伸長率19.1%)を1本とを撚り数300T/m(撚り係数4654、撚り方向S)で合撚した以外は、実施例1と同様の製織、縮絨加工を行った。
この伸縮性合撚糸における弾性繊維の繊度は17/3.0=5.7dtexで、その割合は2.4wt%であって、得られた織物は経糸密度70本/2.54cm、緯糸密度95本/2.54cm、緯方向に55%の破断伸度があり、表1に示すように織物の最大伸縮変動係数は、0.14で良好であった。
〔実施例18〜34、比較例6〜10〕
実施例1〜17の織物および比較例1〜5の織物を用い、伸縮性合撚糸を用いた方向がベルト長さ方向に沿うようにして、常法に従い、織物の前処理、裁断縫合を行い、外周面が歯形を成す円筒状金型にこれらの織物を被せ、その上に芯線としてガラス繊維を巻き付けた。さらにゴムシートで外周を覆い、次いで従来の圧入法にて加硫し、できた成型品を取り出して所定幅に裁断して、歯付きベルトを製造した。この歯付きベルトは、周長が902mm、幅19mm、ベルト歯数125Tであった。
〔実施例18〕
実施例18は、実施例1の織物を使用して作った歯付きベルトであり、表3に示す通り、本発明の歯付きベルト用織物の効果により、優れた性能を有する歯付きベルトが得られる。
〔実施例19〕
実施例19は、実施例2の織物を使用して作った歯付きベルトであり、表3に示す通り、本発明の歯付きベルト用織物の効果により、優れた性能を有する歯付きベルトが得られる。
〔実施例20〕
実施例20は、実施例3の織物を使用して作った歯付きベルトであり、表3に示す通り、本発明の歯付きベルト用織物の効果により、優れた性能を有する歯付きベルトが得られる。
〔実施例21〕
実施例21は、実施例4の織物を使用して作った歯付きベルトであり、表3に示す通り、本発明の歯付きベルト用織物の効果により、優れた性能を有する歯付きベルトが得られる。
〔実施例22〕
実施例22は、実施例5の織物を使用して作った歯付きベルトであり、表3に示す通り、本発明の歯付きベルト用織物の効果により、優れた性能を有する歯付きベルトが得られる。
〔実施例23〕
実施例23は、実施例6の織物を使用して作った歯付きベルトであり、表3に示す通り、本発明の歯付きベルト用織物の効果により、優れた性能を有する歯付きベルトが得られる。
〔比較例6〕
比較例6は、比較例1の織物を使用して作った歯付きベルトであり、織物の厚み(嵩高性)がなく、非弾性繊維捲縮糸のクッション効果が小さく、その結果、表3に示す通り、騒音、耐久性面で高い性能が得られなかった。
〔比較例7〕
比較例7は、比較例2の織物を使用して作った歯付きベルトであり、撚り不足により織物表面に非弾性繊維捲縮糸の単糸乱れがあり、綾線の整然性がなく不明瞭。また、弾性繊維の断糸が所々ある。そのため、織物の伸縮変動係数の最大値は大きく、歯型に沿った均一な伸びが得られず、その結果、表3に示す通り、PLD変動係数が大きくなり、各種性能が低い結果となった。
〔比較例8〕
比較例8は、比較例3の織物を使用して作った歯付きベルトであり、織物の最大伸縮変動係数が大きい為に、歯型に沿った均一な伸びが得られず、その結果、表3に示す通り、PLD変動係数が大きくなり、各種性能が低い結果となった。
〔比較例9〕
比較例9は、比較例4の織物を使用して作った歯付きベルトであり、織物の伸長率が低いために、歯型に沿った均一な伸びが得られず、その結果、表3に示す通り、PLD変動係数が大きくなり、各種性能が低い結果となった。平組織のために織物の厚さも薄く、非弾性繊維捲縮糸のクッション効果も十分に得られない。
〔実施例24〕
実施例24は、実施例7の織物を使用して作った歯付きベルトであり、表3に示す通り、本発明の歯付きベルト用織物の効果により、優れた性能を有する歯付きベルトが得られる。
〔比較例10〕
比較例10は、比較例5の織物を使用して作った歯付きベルトであり、織物表面の綾線は大変乱れており、綾線の整然さも欠いたものとなり、その剥離応力は、95N/2.54cmと不良であった。この歯付きベルトを巾方向に切断し、伸縮合撚糸の糸条断面を拡大顕微鏡にて観察したところ、弾性繊維のカスが多く残存し、粗悪な状態となっていた。又、伸縮性合撚糸中の弾性繊維が存在していたと思われる部分が空洞化し、その中にゴムが浸入し、非弾性繊維捲縮糸の単糸の乱れが目立った。
〔実施例25〕
実施例25は、実施例8の織物を使用して作った歯付きベルトであり、表3に示す通り、本発明の歯付きベルト用織物の効果により、優れた性能を有する歯付きベルトが得られる。
〔実施例26〕
実施例26は、実施例9の織物を使用して作った歯付きベルトであり、表3に示す通り、本発明の歯付きベルト用織物の効果により、優れた性能を有する歯付きベルトが得られる。
〔実施例27〕
実施例27は、実施例10の織物を使用して作った歯付きベルトであり、表3に示す通り、本発明の歯付きベルト用織物の効果により、優れた性能を有する歯付きベルトが得られる。
〔実施例28〕
実施例28は、実施例11の織物を使用して作った歯付きベルトであり、表3に示す通り、本発明の歯付きベルト用織物の効果により、優れた性能を有する歯付きベルトが得られる。
〔実施例29〕
実施例29は、実施例12の織物を使用して作った歯付きベルトであり、表3に示す通り、本発明の歯付きベルト用織物の効果による優れた性能を有する歯付きベルトが得られる。
〔実施例30〕
実施例30は、実施例13の織物を使用して作った歯付きベルトであり、表3に示す通り、本発明の歯付きベルト用織物の効果による優れた性能を有する歯付きベルトが得られる。
〔実施例31〕
実施例31は、実施例14の織物を使用して作った歯付きベルトであり、表3に示す通り、本発明の歯付き用織物の効果による優れた性能を有する歯付きベルトが得られる。
〔実施例32〕
実施例32は、実施例15の織物を使用して作った歯付きベルトであり、表3に示す通り、本発明の歯付きベルト用織物の効果による優れた性能を有する歯付きベルトが得られる。
〔実施例33〕
実施例33は、実施例16の織物を使用して作った歯付きベルトであり、表3に示す通り、本発明の歯付きベルト用織物の効果による優れた性能を有する歯付きベルトが得られる。
〔実施例34〕
実施例34は、実施例17の織物を使用して作った歯付きベルトであり、表3に示す通り、本発明の歯付きベルト用織物の効果による優れた性能を有する歯付きベルトが得られる。
Figure 2002092894
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産業上の利用の可能性
弾性繊維と非弾性繊維捲縮糸による伸縮性合撚糸を織物の緯糸あるいは経糸、または経糸と緯糸の双方に用いた本発明の歯付きベルト用織物は、捲縮糸による適度なクッション効果により、騒音吸収、衝撃緩和による耐久性の向上が期待できる。また、非弾性繊維は捲縮糸を用いることによって弾性繊維が収縮しても伸縮性合撚糸として均一に収縮するので織物の伸縮方向の最大伸縮変動係数が小さくなり、このことによって、均一に斑なく伸びる為、ゴム加硫時にベルト歯部に沿って一定の厚みを持ちながら均等に仕上げることが可能となり、その結果、織物の綾線が明瞭にかつ、整然と配列される。
これにより、プーリとの摩擦抵抗軽減による摩擦音抑制効果および空気溜りの軽減による気流音抑制効果がはたらき、一層の耐久性向上と低騒音の効果が期待できる。更に、非弾性繊維捲縮糸は、原糸の強度低下が少ない程度の仮撚り加工条件(微捲縮)を選定できることから、高いレベルの織物強度を保持できるため一層の耐久性向上が期待できる。よって、この織物を用いた歯付きベルトは、歯面が均一となり、低騒音や高耐久性を実現したものとなり、ベルト幅を小さくすることも可能となり、省スペース化(コンパクト設計、軽量化)等の効果もあり、本発明技術はその他様々な用途に使用可能である。

Claims (22)

  1. 弾性繊維と非弾性繊維捲縮糸が合撚または混繊合撚された伸縮性合撚糸を経糸及び/又は緯糸に用い、かつ、下記(a)、(b)を満足する歯付きベルト用織物。
    (a)伸縮性合撚糸の撚り係数が1000〜16000である。
    (b)織物伸縮方向の破断伸長率が50〜200%である。
  2. 幅5cmの織物を伸長したとき、中間点の応力、9.8N、19.6N、29.4Nにおける織物の伸縮方向の最大伸縮変動係数が0〜0.15であることを特徴とする請求項1に記載の歯付きベルト用織物。
  3. 伸縮性合撚糸中に占める弾性繊維の割合が15wt%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の歯付きベルト用織物。
  4. 伸縮性合撚糸中における弾性繊維の繊度が50dtex以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の歯付きベルト用織物。
  5. 非弾性繊維捲縮糸の伸縮伸長率が、2〜250%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の歯付きベルト用織物。
  6. 非弾性繊維捲縮糸が仮撚り加工あるいは、押し込み加工によって捲縮を発現させた糸条であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の歯付きベルト用織物。
  7. 伸縮性合撚糸の2本以上の連続した浮き糸あるいは沈み糸を経糸及び/又は緯糸として、完全組織の中に有していることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の歯付きベルト用織物。
  8. 伸縮性合撚糸の撚り係数が、3000〜8000であり、かつ、破断伸度が80〜200%であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の歯付きベルト用織物。
  9. 伸縮性合撚糸が、0.5〜5wt%の弾性繊維を含有し、かつ、破断伸度が80〜200%であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の歯付きベルト用織物。
  10. 延伸した弾性繊維と非弾性繊維捲縮糸を撚り係数1000〜16000で合撚して伸縮性合撚糸とし、得られた伸縮性合撚糸を経糸及び/又は緯糸に用いて製織し、得られた織物を縮絨加工することにより、破断伸長率が80%以上の歯付きベルト用織物を製造する方法。
  11. 20〜150dtexの弾性繊維を延伸して合撚することを特徴とする請求項10記載の歯付きベルト用織物を製造する方法。
  12. 弾性繊維を延伸倍率2〜4で延伸して合撚することを特徴とする請求項10または11に記載の歯付きベルト用織物を製造する方法。
  13. 弾性繊維の延伸時の張力変動範囲を0〜0.1cN/dtex以内に制御して合撚することを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の歯付きベルト用織物を製造する方法。
  14. 弾性繊維の延伸時の張力変動を制御する装置を用いて合撚することを特徴とする請求項10〜13のいずれかに記載の歯付きベルト用織物を製造する方法。
  15. 40〜1000dtexの非弾性繊維捲縮糸を用いて合撚することを特徴とする請求項10〜14のいずれかに記載の歯付きベルト用織物を製造する方法。
  16. 連続拡布精練機あるいは液流精練機を用いて縮絨加工することを特徴とする請求項10〜15のいずれかに記載の歯付きベルト用織物を製造する方法。
  17. 抗張体を備えた弾性体樹脂からなるベルト本体と、片面に弾性体樹脂からなる歯面を有し、かつ該歯面表面が基布で被覆された歯付きベルトにおいて、基布として請求項1〜9のいずれかに記載の織物を用いてなることを特徴とする歯付きベルト。
  18. 抗張体を備えた弾性体樹脂からなるベルト本体と、片面に弾性体樹脂からなる歯面を有し、かつ該歯面表面が基布で被覆された歯付きベルトにおいて、基布として請求項10〜16のいずれかに記載の製造方法により得られる織物を用いてなることを特徴とする歯付きベルト。
  19. PLD変動係数が、0〜0.15である請求項17又は18に記載の歯付きベルト。
  20. 基布の剥離強力が、100〜200N/2.54cmである請求項17〜19のいずれかに記載の歯付きベルト。
  21. 弾性繊維と非弾性繊維捲縮糸が合撚または混繊合撚され、かつ撚り係数が1000〜16000であることを特徴とする、歯付きベルト用伸縮性合撚糸。
  22. 伸縮性合撚糸中の非弾性繊維捲縮糸の伸縮伸長率が、2〜250%であることを特徴とする請求項21記載の歯付きベルト用伸縮性合撚糸。
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