JPWO2002061190A1 - 横編機における度目制御装置 - Google Patents

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Abstract

ニードルベッド上を摺動して編針を進退摺動操作するキャリッジに付設された度山カムを昇降操作手段により昇降操作して編地の度目を設定するようにした横編機の度目制御装置において、昇降操作手段は、駆動モータと、駆動モータの回動を度山カムの昇降に変換する変換機構とを備えてなり、該変換機構は、編み針の引き込み量が大きく度目が大きい側と、編み針の引き込み量が少なく度目が小さい側とでは、駆動モータの回動量に対する度山カムの昇降量を異ならせるように構成した。

Description

技術分野
本発明は横編機における編地の度目(ループ長)を設定するための制御装置に関するものである。
背景技術
この種の横編機の度山制御装置としては本出願人が先に提案した、例えば特公平6−94618号公報に記載されたものが知られている。
この先の提案にかかるものは、公報の第6図に記載されているようにニードルベッド上を摺動して編針を進退摺動操作するキャリッジの度山カムを、駆動モータの出力軸に取り付けた度山操作カムの螺旋状カム溝で操作レバーを揺動させ、この操作レバーの先端に連結された度山カムを昇降揺動操作するものであり、度山操作カムの螺旋状カム溝は、度山操作カムの中心からの離間率が、度山操作カムの回転角に比例し、図4中2点鎖線Bで示すように度山カムの昇降量も度山操作カムの回転角に比例するように構成されている。
また、公報の第1図には螺旋状の突条を備えた度山操作カムで操作レバーを揺動させるようにしたものも記載されている。
ところで、1台の編機で編める編み目のサイズ(ループ長)は、1インチ間の針数を表したゲージで大体決まる。
例えば16ゲージの編機の場合には隣接する針同士の間隔(ピッチ)は、1.5875mmとなり、8ゲージの編機の場合では編み針間ピッチは、3.175mmとなる。
そして、ニードルベッドの各編み針の間にはシンカーが設けられており、各シンカー間のピッチも針間ピッチと同じものとなる。
編み針を中心としてその両脇にはシンカーがあり、編み針が度山によってどの程度引き込まれるかで編み目のサイズ(度目)が決定される。
ゲージが決まるとピッチも決まるので、度山の引き込み量を適正範囲を越えて大きくした編機を設計しても編み目のサイズと糸の太さが整合せず製品としては適さなくなることから編地編成にはピッチに適した範囲の太さの糸しか使用できない。
従って、一般の編機では度山の引き込み量は、ゲージに対する適性範囲内に設定され、そのゲージにおいて例えば裾ゴム等は詰んだ目で編まれ、縄柄などの組織柄では緩めで編まれるようにしてある。
ところが最近では、前後にニードルベッドを備えた1台の編機で、編成中に前身と後身を脇でつないだ筒状のセーターを編成し、編成後の縫製行程を省力化するとともにファッション性を高めた所謂「無縫製ニット」の要請が高まっており、この要請に応えるために無縫製ニットでは、ニードルベッドの編み針を1本置きに使い、抜かれた間の針を目移しに使用して編地を編む、針抜き編成が以下のようにして行なわれている。
例えば16ゲージの編機で針抜きにより無縫製のセーターを編む場合には、編まれる針の針間のピッチは通常の倍、つまり8ゲージの針間ピッチとなり、8ゲージ相当の編み地を得るには度山の引き込み量を大きくする必要がある。
上記度山操作カムの螺旋状カム溝を、度山カムの昇降量が度山操作カムの回転角に比例するように構成されたもので、引き込み量だけを大きくすれば針抜き編成には対応できるものの、本来の16ゲージ編成においては1ステップ当たりの度山の変位量が粗くなるので編み目のより緻密な調整ができなくなるという問題がある。
そこで、従来のカム構成のままで駆動用モータを、高分解能を有するステップモータを使用することも考えられるが、高価なステップモータのために、製造コストが高くなってしまうという問題がある。
特に編機のカム編成部には数多くの駆動モータが使用されている。例えばキャリッジがニードルベッドを1回通過するとコースが3つできる3カムの編機では、1つの編成部に左右一対のステップモータを配設するので、3カム×左右2個×前後キャリッジ=12個のステップモータが必要となり、先の公報のものでも6個のステップモータが必要となるだけでなく、これのドライバーも当然必要となる。
本発明は上記問題点に鑑みて提案されたもので、製造コストの高騰を招くことなく、通常のゲージでの編成時には度目制御を高精度にできながらも、針抜き編成時にも充分に度目制御ができるようにした横編機における度目制御装置を提供できるようにすることを目的とするものである。
発明の開示
上記目的を達成するために本発明にかかる横編機における度目制御装置は、ニードルベッド上を摺動して編針を進退摺動操作するキャリッジに付設された度山カムを昇降操作手段により昇降操作して編地の度目を設定するようにした横編機の度目制御装置において、昇降操作手段は、駆動モータと、駆動モータの回動を度山カムの昇降に変換する変換機構とを備えてなり、該変換機構は、編み針の引き込み量が大きく度目が大きい側と、編み針の引き込み量が少なく度目が小さい側とでは、駆動モータの回動量に対する度山カムの昇降量を異ならせるように構成したことを特徴とするものである。
また、変換機構が、一端部が地板に揺動可能に枢支され、他端部が昇降摺動溝に摺動案内される度山カムに連結された操作レバーと、駆動モータの出力軸に設けられた度山操作カムとを備え、操作レバーに係合部を形成し、度山操作カムに前記係合部を摺動可能に係合する螺旋状の軌道を設けるとともに、該軌道は、編み針の引き込み量が大きい側では駆動モータの回動量に対する度山カムの昇降量を大きく、編み針の引き込み量が少ない側では、駆動モータの回動量に対する度山カムの昇降量を小さくする形状にしたことも特徴とするものである。
発明を実施するための最良の形態
以下、次に本発明の横編機における度目制御装置にかかる実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は地板1に設けられたキャリッジ2のカム群を下面から見た状態を示し、ライジングカム3の両側には1対の度山カム4・4がそれぞれ配設され、これら度山カム4・4には、その昇降を操作する後述の昇降操作手段5・5が設けられている。
この度山カム4・4及びこの昇降を調整する昇降操作手段5・5は略線対称に配設されており、その機構は同一なので、一方の昇降操作手段5について説明する。
先ず、図1および図2に示すように、地板1に昇降摺動溝6を斜め上下方向に穿設し、この昇降摺動溝6に摺動部材7を摺動可能に嵌合させるとともに、この摺動部材7を挟んでその下面には度山カム4が、上面には押さえ板8を摺動部材7と一体に固定することにより度山カム4が昇降摺動溝6に沿って昇降摺動するようにしてある。
次に、上記昇降操作手段5は図2に示すように駆動モータ9と、駆動モータ9の出力軸10に取り付けられ後述する螺旋状のカム溝(軌道)11を設けた度山操作カム12と、係合部13が螺旋状のカム溝11に係合して揺動操作される操作レバー14とからなり、螺旋状のカム溝11と、このカム溝11に案内されて摺動する係合部13を備えた操作レバー14とで変換機構Tが形成される。
上記操作レバー14は、基端部15が地板1に取り付けられたブラケット16に揺動可能に枢支され、中間寄り部にはローラからなる係合部が形成されるとともに、先端部にバネ17により閉止された長孔18が形成されている。
この長孔18には、押さえ板8の上面に立設されたローラからなる受動用突起19を嵌合させてある。
また、度山操作カム12には「つの」状の突出部20が設けられており、地板1に設けた近接センサ(図示せず)がこの突出部20を検出した時を、0位置として駆動モータ9を停止させるようになっている。
上記度山操作カム12に形成される螺旋状のカム溝11は図2及び図3に示すように、駆動モータ9の出力軸10の回り約330度に亙って渦巻き状に形成されている。
そして、上記近接センサが突出部20を検出した始端の0位置では螺旋状のカム溝11に嵌合した係合部13が駆動モータ9の出力軸10に最も近づく位置、つまり度山カム4が最も上昇し、編地の度目が小さくなる。
終端の位置(図2の状態及び図4の横軸90の位置)ではカム溝11に嵌合した係合部13が駆動モータ9の出力軸10に最も遠ざかる位置、つまり度山カム4が最も下降し、編地の度目が最長になるのであるが、このカム溝11の形状はその始端から終端に至る間の駆動モータ9の回動量に対する度山カム4の昇降量が比例しない形状にしてある。
このカム溝11の形状を図3及び図4に基づいて次に説明する。
図4は針抜きにより無縫製のセーターを編む場合に使用する16ゲージの横編機における、度目値(駆動モータ9の回動量に相当)と度山下がり量との関係のグラフであって、横軸に度目値を、縦軸に度山下がり量を示し、本例のカム溝11は図中Aで示してある。
この図3及び図4のAに示すように、駆動モータ9の出力軸10が度目値10から80まで回動する時、螺旋状のカム溝11が出力軸10の軸心Pから離れる割合D1を、度目値0から10まで回動する時の螺旋状のカム溝11が出力軸10の軸心Pから離れる割合D2や、図4中Bで示す従来の一直線のものよりも緩やかな傾斜にしてある。
この駆動モータ9の出力軸10が度目値10から80まで回動する時、図4中Bで示す従来の一直線のものや、その他の部分より緩やかな傾斜にしてあるのは、度目値10から80の内、10近辺は16ゲージとして編成する場合に度詰めの編成に使用され、度目値80近辺は8ゲージとして編成する場合の粗目近くの編成に使用されるために、この領域内のいずれの場合でも比較的細かな調整をできるようにするためである。
また、度目値80から90までは、この16ゲージの横編機を針抜きにより8ゲージ相当の横編機として使用する場合に、一般的に使用される度山下がり量の最大量まで引き下げられるように、螺旋状のカム溝11が出力軸10の軸心Pから離れる割合D3を、前記割合D2の変化率より大きくし、図4で示すように急峻な傾斜となるようにしてある。
この度目値80から90までの変化率を上記の8ゲージ相当の横編機として使用する場合に、上記の一般的に使用される度山下がり量の最大量を越えて更に大きく引き下げられるようにするには、例えば図4に点線や、一点鎖線で示すように度目値に対する度山下がり量の比率を更に大きく設定する。
斯くして8ゲージ相当の横編機として使用する場合における度山下がり量の最大量付近の変化率を粗くしても、8ゲージは16ゲージに比べ編み目が大きいことから、度山カムの変位量が多少大きくなっても編地としてその差は目立つことはない。
尚、図4中符号Cで示すように度目値に対する度山の下がり量に比率を度目値が45付近と60付近の2箇所で変更させて傾斜の異なる三本の直線にしたり、図示は省略したがカム溝11の螺旋形状を変化させるだけで簡単に二次曲線的に変化することもできる。
更に、上記実施の形態では昇降操作手段5を、駆動モータ9と、駆動モータ9の出力軸10に取り付けられた螺旋状のカム溝11を有する度山操作カム12と、係合部13が螺旋状のカム溝11に係合して揺動操作される操作レバー14とで構成するようにしてあるが、これに代えて図5及び図6に示すようにリンク式にすることもできる。
これら図5及び図6の昇降操作手段5は、度目値に対する度山の下がり量の比率が二次曲線的に変化するもので、図5の昇降操作手段5は駆動モータ9の出力軸10と度山カム4の押さえ板8とを中折れリンク20で連結して変換機構Tを形成するようにしたものである。
図6の昇降操作手段5は、基端部15が地板1に揺動可能に枢支され先端部が度山カム4の押さえ板8に連結された操作レバー14を駆動モータ9で揺動する操作桿21で操作させるようにして変換機構Tを形成したものである。
また、上記実施の形態では、16ゲージの横編み機で針抜きにより8ゲージに使用する所謂「ダブルゲージ」を例にしてあるがこうしたものに限られないことは勿論である。
加えて、上記実施の形態では、螺旋状のカム溝11で操作レバー14を揺動操作する軌道を形成するようにしてあるが、この螺旋状のカム溝11に代えて例えば前述の本出願人が先に提案した特公平6−94618号公報の第1図に記載されているような突条にすることもできる。
更に、例えば特許第2566200号の「制御軌道の乗り上げ傾斜面」を曲線にすることにより、本発明を実施することができるのは勿論である。
産業上の利用可能性
本発明にかかる横編機における度目制御装置は以上に説明したように、編み針の引き込み量が大きく度目が大きい側と、編み針の引き込み量が少なく度目が小さい側とでは、駆動モータの回動量に対する度山カムの昇降量を異ならせるように構成してあるので、編成でよく使われる通常の編成部分では細かな調整をできながらも、度詰めの限界を超える部分や粗目の限界値付近でも度目の調節をすることができる。
例えば螺旋状の軌道の形状等を変更するだけで、駆動モータの回動量に対する度山カムの昇降量を、ループ長が大きいときは度山操作カムの回転角度に対する度山変位の増加率を粗くすることにより度山カム制御モータの分解能を増やすことなく、ループ長さが小さいときは細かい調整で、且つ最大ループ長も大きくとれるようにループ長が大きいときの調整幅を粗くして異ならせられるので、高分解能を有する高価なステップモータを使用することもなく、この高価なステップモータによる製造コストの高騰を防止できるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の横編機における度目制御装置にかかるキャリッジの度山カム部分の底面図、
図2は、本発明の横編機における度目制御装置にかかるキャリッジの度山カム部分の平面図、
図3は、本発明の横編機における度目制御装置にかかる度山操作カムの底面図、
図4は、本発明の横編機における度目制御装置による度目値と度山下がり量との関係のグラフ、
図5は、本発明の横編機における度目制御装置にかかる昇降操作手段の別の実施例を示す概略平面図、
図6は、本発明の横編機における度目制御装置にかかる昇降操作手段の更に別の実施例を示す概略平面図である。

Claims (2)

  1. ニードルベッド上を摺動して編針を進退摺動操作するキャリッジに付設された度山カムを昇降操作手段により昇降操作して編地の度目を設定するようにした横編機の度目制御装置において、昇降操作手段は、駆動モータと、駆動モータの回動を度山カムの昇降に変換する変換機構とを備えてなり、該変換機構は、編み針の引き込み量が大きく度目が大きい側と、編み針の引き込み量が少なく度目が小さい側とでは、駆動モータの回動量に対する度山カムの昇降量を異ならせるように構成したことを特徴とする横編機における度目制御装置。
  2. 変換機構が、一端部が地板に揺動可能に枢支され、他端部が昇降摺動溝に摺動案内される度山カムに連結された操作レバーと、駆動モータの出力軸に設けられた度山操作カムとを備え、操作レバーに係合部を形成し、度山操作カムに前記係合部を摺動可能に係合する螺旋状の軌道を設けるとともに、該軌道は、編み針の引き込み量が大きい側では駆動モータの回動量に対する度山カムの昇降量を大きく、編み針の引き込み量が少ない側では、駆動モータの回動量に対する度山カムの昇降量を小さくする形状にしたことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の横編機における度目制御装置。
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