JP2004316026A - 編成タイミング切換装置を備えた丸編機 - Google Patents
編成タイミング切換装置を備えた丸編機 Download PDFInfo
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Abstract
【目的】少なくとも２種類のステッチカムを適宜使い分けることにより、安全確実で低コストのタイミング切換装置を提供する。
【構成】シリンダー針（２３）及びダイアル針（２４）の少なくとも一方の編針には、同時引きステッチカム用と交互引きステッチカム用の、少なくとも２種類のバットが設けられている。シリンダー針制御カム（１３）及び前記ダイアル針制御カム（２８）の少なくとも一方には、前記少なくとも２種類のバットを有する編針に対向し、いずれかのバットに選択的に係合するように配列された同時引きステッチカム（１３ａ）と交互引きステッチカム（１３ｂ）が設けられている。
【選択図】 図４
【構成】シリンダー針（２３）及びダイアル針（２４）の少なくとも一方の編針には、同時引きステッチカム用と交互引きステッチカム用の、少なくとも２種類のバットが設けられている。シリンダー針制御カム（１３）及び前記ダイアル針制御カム（２８）の少なくとも一方には、前記少なくとも２種類のバットを有する編針に対向し、いずれかのバットに選択的に係合するように配列された同時引きステッチカム（１３ａ）と交互引きステッチカム（１３ｂ）が設けられている。
【選択図】 図４
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリンダーとダイヤルを有するダブルニット丸編機において、ステッチカムのタイミング切換装置を備えたものに関する。
【０００２】
【従来の技術】
ダブルニット丸編機では、シリンダーステッチカムとダイヤルステッチカムのカムタイミングを編み組織に応じて同時引きカムタイミングと交互引きカムタイミングに適宜変更している。 ここで、「同時引きカムタイミング」とは、シリンダーとダイアルのステッチ部最下点、すなわち針がシリンダー上部より最も引き込まれたポイントとダイアル外周部より最も引き込まれたポイントが同一直線状にあるものをいい、「交互引きカムタイミング」とは、それらが互いにずれているものをいう。
【０００３】
特に、ガーメントレングス編みと呼ばれる編成法では、抜き糸挿入により、編地のセパレーションができ、裾・身頃の一体化により、高品質で付加価値の高い編地の編成が可能であるが、裾部はゴム編みを編成する場合は同時引きカムタイミングで、身頃部はインターロック編みを編成する場合は交互引きカムタイミングで、それぞれ選択可能に切り換える必要があった。
【０００４】
このタイミングの切換方法として従来次のような方法が知られている。
【０００５】
（１）ダイアル側のカムボックスの全体を回転させることにより、これを左右に振る。この方法では、全部の給糸口が同じタイミングとなる。
（２）下記特許文献１及び特許文献２記載の方法であり、各給糸口毎にタイミング設定が可能である。特定の給糸口におけるステッチカムを他の給糸口におけるステッチカムとは独立して横方向に位置調節させている。
【０００６】
なお、（１）（２）の従来技術ともに、ステッチカムは上下方向にも移動可能であり、これにより針の引き込み量を変化させ、適正な糸量を得たり、編み目の大きさを変えたりしている。
【０００７】
【特許文献１】特許第２８８１６５１号公報
【特許文献２】特開昭５８−１３６８６０号公報
【０００８】
【発明が解決しょうとする課題】
特許文献１では、ステッチカムを手動で所望位置に調節した後セットネジにより固定している。特許文献２では、ステップモータにより自動的に精密なステッチカムの位置調節を行う。前者は手動操作が面倒であり熟練を要する。後者は精密な位置調節機構が製造コストの上昇を招いている。両者ともに移動調節するステッチカムは１種類である。
【０００９】
本発明では、ステッチカムを同時引きカムタイミング用と交互引きカムタイミング用の少なくとも２種類使用して、適宜使い分けることにより、安全確実で低コストのタイミング切換装置を提供することを目的とする。
【００１０】
さらに、本発明の装置を応用すれば、同時引きカムタイミング用と交互引きカムタイミング用にステッチカムを切り換えることができるだけでなく、同種のカムを少なくとも２個設け、それらを適宜切り換えることもできる。すなわち、少なくとも２個の同時引きカムタイミング用ステッチカム同士の間で切り換えたり、少なくとも２個の交互引きカムタイミング用ステッチカム同士の間で切り換えることもできる。それにより、ステッチ量が異なる編組織を編成することが可能となる。このような装置も本発明に含まれる。
【００１１】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本願請求項１の発明は、同時引きカムタイミング用と交互引きカムタイミング用にステッチカムを切り換える装置を有するダブルニット丸編機であって、シリンダー針を摺動可能に収容する回転シリンダーと、前記シリンダー針の運動を制御する制御カムと、前記シリンダーの上部に配設され、ダイアル針を摺動可能に収容する回転ダイアルと、前記ダイアル針の運動を制御する制御カムからなり、前記シリンダー針及びダイアル針の少なくとも一方には、同時引きステッチカム用と交互引きステッチカム用の、少なくとも２種類のバットが設けられており、前記シリンダー針制御カム及び前記ダイアル針制御カムの少なくとも一方には、前記少なくとも一方の編針に対向し、いずれかのバットに選択的に係合するように配列された同時引きステッチカムと交互引きステッチカムが設けられていることを特徴とする。
【００１２】
本願請求項２の発明は、少なくとも２個の同時引きカムタイミング用ステッチカム同士の間で切り換える装置を有するダブルニット丸編機であって、シリンダー針を摺動可能に収容する回転シリンダーと、前記シリンダー針の運動を制御する制御カムと、前記シリンダーの上部に配設され、ダイアル針を摺動可能に収容する回転ダイアルと、前記ダイアル針の運動を制御する制御カムからなり、前記シリンダー針及びダイアル針の少なくとも一方の編針には、同時引きステッチカム用の少なくとも２種類のバットが設けられており、前記シリンダー針制御カム及び前記ダイアル針制御カムの少なくとも一方には、前記少なくとも２種類のバットを有する編針に対向し、いずれかのバットに選択的に係合するように配列された少なくとも２種類の同時引きステッチカムが設けられていることを特徴とする。
【００１３】
本願請求項３の発明は、少なくとも２個の交互引きカムタイミング用ステッチカム同士の間で切り換える装置を有するダブルニット丸編機であって、シリンダー針を摺動可能に収容する回転シリンダーと、前記シリンダー針の運動を制御する制御カムと、前記シリンダーの上部に配設され、ダイアル針を摺動可能に収容する回転ダイアルと、前記ダイアル針の運動を制御する制御カムからなり、前記シリンダー針及びダイアル針の少なくとも一方の編針には、交互引きステッチカム用の少なくとも２種類のバットが設けられており、前記シリンダー針制御カム及び前記ダイアル針制御カムの少なくとも一方には、前記少なくとも２種類のバットを有する編針に対向し、いずれかのバットに選択的に係合するように配列された少なくとも２種類の交互引きステッチカムが設けられていることを特徴とする。
【００１４】
【発明の実施態様】
２種類のステッチカムのいずれかを選択するには、例えば次のような選択機構を採用することができる。
【００１５】
前記シリンダー及び前記ダイアルの少なくとも一方に設けた選択カムと、この選択カムに当接可能なバット及びステッチカムとのリンク機構を有するレバーと、このリンク機構と係合することにより移動可能な２種類のステッチカムからなるものとすることができる。
【００１６】
好ましくは、選択カムは上げカム及び下げカムからなるものとし、回転シリンダーに対して外向きに出没可能に取り付ける。選択カムは例えば、電磁アクチュエータにより操作する。
【００１７】
好ましくは、リンク機構は、レバーに設けた逆向きの２種類のピン溝であり、このピン溝に２種類のステッチカムの一部分がはまることにより、２種類のステッチカムの一方が引っ込むと他方が出てくるような関係のものとすることができる。
【００１８】
【実施例】
以下、添付図面に基づき本発明の実施例を説明する。
【００１９】
＜第１実施例＞
同時引きカムタイミング用と交互引きカムタイミング用にステッチカムを切り換える装置である。図１（ａ）は、回転シリンダー１０の断面図、（ｂ）は回転シリンダー１０の正面図であり、選択カム周辺１１を示している。
【００２０】
回転シリンダー１０の外周には、軸方向に延びる針溝２２内を滑動自在なシリンダー針２３が収容されている。
【００２１】
編成時には、シリンダー針２３と協働するダイアル針２４は水平方向に配設され、ダイアル２５の針溝２６内において半径方向に滑動自在である。
【００２２】
上記シリンダー針２３はシリンダーカムホルダー２０に固定されているカム１３によって、また、ダイアル針２４はダイアルカムホルダー２７に固定されているカム２８によって通常の方法で作動または制御される。
【００２３】
選択カム１１は、回転シリンダーから向かって左側に下げカム１１ａ、右側に上げカム１１ｂが配列されている。左右の順序が変わっても実施可能である。各カムの背面には、電磁アクチュエータ１２が配列されて、編み柄制御装置（図示せず）により電磁アクチュエータは制御されている。
【００２４】
図２は２種類のステッチカム１３を示しており、（Ａ）は同時引き用ステッチカム１３ａ、（Ｂ）は交互引き用ステッチカム１３ｂである。それぞれの（ａ）は正面図、（ｂ）は側面図である。２種類のステッチカムの正面には異なるカムレース１４ａ，１４ｂが配設されているが、背面には共にシャフト１５ａ，１５ｂが突出状態で固定されている。シャフトの先端にはピン１６ａ，１６ｂが設けられている。
【００２５】
図３はステッチカムの出没を制御する選択手段であるレバー１７を示している。（ａ）は側面図、（ｂ）は正面図である。レバーの中央部にはバット１８が設けられており、これが前記選択カム１１と当接することにより、レバーは上下方向に制御される。このレバーには同時引きステッチカム１３ａと交互引きステッチカム１３ｂの各カムを出没させるためのピン用リンク溝１９ａ，１９ｂが設けられている。
【００２６】
図４は、上げカム１１ｂが作用する場合を示している。（ａ）はカムホルダー２０の正面図、（ｂ）（ｃ）はステッチカムの動きを示すための、カムホルダーの断面図である。上げカム１１ｂがレバー１７のバット１８に作用すると、レバー１７が上昇する（図４（ｂ））。レバーの上昇によりリンク溝１９ａ，１９ｂがステッチカムのピン１６ａ，１６ｂに作用し、上側カム１３ａが引っ込み、下側カム１３ｂが出る（図４（ａ））。
【００２７】
図５は、下げカム１１ａが作用する場合を示している。（ａ）はカムホルダー２０の正面図、（ｂ）（ｃ）はステッチカムの動きを示すための、カムホルダーの断面図である。下げカム１１ａがレバー１７のバット１８に作用すると、レバー１７が下降する（図５（ｂ））。レバーの下降によりリンク溝１９ａ，１９ｂがステッチカムのピン１６ａ，１６ｂに作用し、上側カム１３ａが出て、下側カム１３ｂが引っ込む（図５（ｃ））。
【００２８】
なお、レバーの背面には上昇位置、下降位置の位置決めをするノッチ機構２１が設置されている。
【００２９】
なお、本発明においても、前記従来技術と同様に、ステッチカムは上下方向にも移動可能である。これにより針の引き込み量を変化させ、適正な糸量を得たり、編み目の大きさを変えたりする。
【００３０】
その目的のために、図６に示すように、本発明では、カムの縦方向の長さＬとほぼ同じ長さの凹部をカムセットピースに設け、カム１３ａをカムセットピース２５ａに挟むように取り付けている。なお、カムセットピース２５ａには、カム１３ａのシャフト１５ａが貫通するための貫通穴を設けて、前述のようにカム１３ａが出没可能に取り付けている。
【００３１】
カムホルダーには、次記するように、同時引き用ステッチカムと交互引き用ステッチカムのステッチ量調整具を上下方向に１個ずつ設けている。それぞれの構造はほぼ同じである。
【００３２】
カムセットピース２５ａの背面には、ピン２７ａがその長さのほぼ半分を埋め込んだ状態で固設されている。ピン２７ａの突出部はステッチ量調整具の螺旋溝２６ｃと係合し、ステッチ量調整具２６ａを回転すると、ピン２７ａは螺旋溝２６ｃに沿って上下方向に移動する。
【００３３】
ピン２７ａの上下方向の移動に伴い、カムセットピース２５ａおよびステッチカム１３ａも上下方向に移動する。
【００３４】
ステッチ量調整具２６ａの円筒外周部には、ノッチ部２６ａが加工されている。ステッチ量調整具２６ａはバネ２８ａで付勢されたピン２９ａで回転可能に固定されている。
【００３５】
前記したようにステッチカムを上下方向に移動させる機構は各種知られている。上記実施例においても、本発明の目的に反しない限り、それらの公知機構で置換することもできる。
【００３６】
＜第２実施例＞
２個の同時引きカムタイミング用ステッチカム同士の間で切り換える装置である。
【００３７】
第１実施例の説明及び図面において、２種類のステッチカム１３に関して、１３ａ，１３ｂを２個の同時引き用ステッチカムと読み替える。
【００３８】
＜第３実施例＞
２個の交互引きカムタイミング用ステッチカム同士の間で切り換える装置である。
【００３９】
第１実施例の説明及び図面において、２種類のステッチカム１３に関して、１３ａ，１３ｂを２個の交互引き用ステッチカムと読み替える。
【００４０】
【発明の効果】
本発明によれば、同時引きステッチカムと交互引きステッチカム、又は２個の同時引きステッチカム同士、又は２個の交互引きステッチカム同士の調整機構が独立しているので、それぞれに適切なステッチ量を設定でき、手動式の機構で対応が可能である。また、ステッチカムの選択はシリンダー内に設けた選択カムにより制御できるので、編み機１台に１つの選択機構を設けるだけでよい。
【００４１】
さらに、同時引きと交互引き又は２個の同時引きステッチカム同士、又は２個の交互引きステッチカム同士の２レースを設けているので、それぞれに適切な針の動作線を設けることが出来る。つまりカムラインを設計する際にステッチ角度やステッチのフミ幅をそれぞれの編成タイミングの影響を受けることなく独自に設計することが出来る。さらに、クローズドカムも採用することが出来、高品質な編地が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図１】図１（ａ）は、回転シリンダーの断面図、（ｂ）は回転シリンダーの正面図であり、選択カム周辺を示している。
【図２】２種類のステッチカムを示しており、（Ａ）は同時引き用ステッチカム、（Ｂ）は交互引き用ステッチカムである。それぞれの（ａ）は正面図、（ｂ）は側面図である。
【図３】ステッチカムの出没を制御する選択手段であるレバーを示している。（ａ）は側面図、（ｂ）は正面図である。
【図４】上げカムが作用する場合を示している。（ａ）はカムホルダーの正面図、（ｂ）（ｃ）はステッチカムの動きを示すための、カムホルダーの断面図である。
【図５】下げカムが作用する場合を示している。（ａ）はカムホルダーの正面図、（ｂ）（ｃ）はステッチカムの動きを示すための、カムホルダーの断面図である。
【図６】（ａ）はカムホルダー２０の正面図、（ｂ）はステッチ量の調整具を示すためのカムホルダーの断面図である。
【符号の説明】
１０ 回転シリンダー
１１ 選択カム
１１ａ 下げカム
１１ｂ 上げカム
１２ 電磁アクチュエータ
１３ ステッチカム
１３ａ 同時引きステッチカム
１３ｂ 交互引きステッチカム
１４ａ，１４ｂ カムレース
１５ａ，１５ｂ シャフト
１６ａ，１６ｂ ピン
１７ レバー
１８ バット
１９ａ，１９ｂ ピン用リンク溝
２０ カムホルダー
２１ ノッチ機構
２３ シリンダー針
２４ ダイアル針
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリンダーとダイヤルを有するダブルニット丸編機において、ステッチカムのタイミング切換装置を備えたものに関する。
【０００２】
【従来の技術】
ダブルニット丸編機では、シリンダーステッチカムとダイヤルステッチカムのカムタイミングを編み組織に応じて同時引きカムタイミングと交互引きカムタイミングに適宜変更している。 ここで、「同時引きカムタイミング」とは、シリンダーとダイアルのステッチ部最下点、すなわち針がシリンダー上部より最も引き込まれたポイントとダイアル外周部より最も引き込まれたポイントが同一直線状にあるものをいい、「交互引きカムタイミング」とは、それらが互いにずれているものをいう。
【０００３】
特に、ガーメントレングス編みと呼ばれる編成法では、抜き糸挿入により、編地のセパレーションができ、裾・身頃の一体化により、高品質で付加価値の高い編地の編成が可能であるが、裾部はゴム編みを編成する場合は同時引きカムタイミングで、身頃部はインターロック編みを編成する場合は交互引きカムタイミングで、それぞれ選択可能に切り換える必要があった。
【０００４】
このタイミングの切換方法として従来次のような方法が知られている。
【０００５】
（１）ダイアル側のカムボックスの全体を回転させることにより、これを左右に振る。この方法では、全部の給糸口が同じタイミングとなる。
（２）下記特許文献１及び特許文献２記載の方法であり、各給糸口毎にタイミング設定が可能である。特定の給糸口におけるステッチカムを他の給糸口におけるステッチカムとは独立して横方向に位置調節させている。
【０００６】
なお、（１）（２）の従来技術ともに、ステッチカムは上下方向にも移動可能であり、これにより針の引き込み量を変化させ、適正な糸量を得たり、編み目の大きさを変えたりしている。
【０００７】
【特許文献１】特許第２８８１６５１号公報
【特許文献２】特開昭５８−１３６８６０号公報
【０００８】
【発明が解決しょうとする課題】
特許文献１では、ステッチカムを手動で所望位置に調節した後セットネジにより固定している。特許文献２では、ステップモータにより自動的に精密なステッチカムの位置調節を行う。前者は手動操作が面倒であり熟練を要する。後者は精密な位置調節機構が製造コストの上昇を招いている。両者ともに移動調節するステッチカムは１種類である。
【０００９】
本発明では、ステッチカムを同時引きカムタイミング用と交互引きカムタイミング用の少なくとも２種類使用して、適宜使い分けることにより、安全確実で低コストのタイミング切換装置を提供することを目的とする。
【００１０】
さらに、本発明の装置を応用すれば、同時引きカムタイミング用と交互引きカムタイミング用にステッチカムを切り換えることができるだけでなく、同種のカムを少なくとも２個設け、それらを適宜切り換えることもできる。すなわち、少なくとも２個の同時引きカムタイミング用ステッチカム同士の間で切り換えたり、少なくとも２個の交互引きカムタイミング用ステッチカム同士の間で切り換えることもできる。それにより、ステッチ量が異なる編組織を編成することが可能となる。このような装置も本発明に含まれる。
【００１１】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本願請求項１の発明は、同時引きカムタイミング用と交互引きカムタイミング用にステッチカムを切り換える装置を有するダブルニット丸編機であって、シリンダー針を摺動可能に収容する回転シリンダーと、前記シリンダー針の運動を制御する制御カムと、前記シリンダーの上部に配設され、ダイアル針を摺動可能に収容する回転ダイアルと、前記ダイアル針の運動を制御する制御カムからなり、前記シリンダー針及びダイアル針の少なくとも一方には、同時引きステッチカム用と交互引きステッチカム用の、少なくとも２種類のバットが設けられており、前記シリンダー針制御カム及び前記ダイアル針制御カムの少なくとも一方には、前記少なくとも一方の編針に対向し、いずれかのバットに選択的に係合するように配列された同時引きステッチカムと交互引きステッチカムが設けられていることを特徴とする。
【００１２】
本願請求項２の発明は、少なくとも２個の同時引きカムタイミング用ステッチカム同士の間で切り換える装置を有するダブルニット丸編機であって、シリンダー針を摺動可能に収容する回転シリンダーと、前記シリンダー針の運動を制御する制御カムと、前記シリンダーの上部に配設され、ダイアル針を摺動可能に収容する回転ダイアルと、前記ダイアル針の運動を制御する制御カムからなり、前記シリンダー針及びダイアル針の少なくとも一方の編針には、同時引きステッチカム用の少なくとも２種類のバットが設けられており、前記シリンダー針制御カム及び前記ダイアル針制御カムの少なくとも一方には、前記少なくとも２種類のバットを有する編針に対向し、いずれかのバットに選択的に係合するように配列された少なくとも２種類の同時引きステッチカムが設けられていることを特徴とする。
【００１３】
本願請求項３の発明は、少なくとも２個の交互引きカムタイミング用ステッチカム同士の間で切り換える装置を有するダブルニット丸編機であって、シリンダー針を摺動可能に収容する回転シリンダーと、前記シリンダー針の運動を制御する制御カムと、前記シリンダーの上部に配設され、ダイアル針を摺動可能に収容する回転ダイアルと、前記ダイアル針の運動を制御する制御カムからなり、前記シリンダー針及びダイアル針の少なくとも一方の編針には、交互引きステッチカム用の少なくとも２種類のバットが設けられており、前記シリンダー針制御カム及び前記ダイアル針制御カムの少なくとも一方には、前記少なくとも２種類のバットを有する編針に対向し、いずれかのバットに選択的に係合するように配列された少なくとも２種類の交互引きステッチカムが設けられていることを特徴とする。
【００１４】
【発明の実施態様】
２種類のステッチカムのいずれかを選択するには、例えば次のような選択機構を採用することができる。
【００１５】
前記シリンダー及び前記ダイアルの少なくとも一方に設けた選択カムと、この選択カムに当接可能なバット及びステッチカムとのリンク機構を有するレバーと、このリンク機構と係合することにより移動可能な２種類のステッチカムからなるものとすることができる。
【００１６】
好ましくは、選択カムは上げカム及び下げカムからなるものとし、回転シリンダーに対して外向きに出没可能に取り付ける。選択カムは例えば、電磁アクチュエータにより操作する。
【００１７】
好ましくは、リンク機構は、レバーに設けた逆向きの２種類のピン溝であり、このピン溝に２種類のステッチカムの一部分がはまることにより、２種類のステッチカムの一方が引っ込むと他方が出てくるような関係のものとすることができる。
【００１８】
【実施例】
以下、添付図面に基づき本発明の実施例を説明する。
【００１９】
＜第１実施例＞
同時引きカムタイミング用と交互引きカムタイミング用にステッチカムを切り換える装置である。図１（ａ）は、回転シリンダー１０の断面図、（ｂ）は回転シリンダー１０の正面図であり、選択カム周辺１１を示している。
【００２０】
回転シリンダー１０の外周には、軸方向に延びる針溝２２内を滑動自在なシリンダー針２３が収容されている。
【００２１】
編成時には、シリンダー針２３と協働するダイアル針２４は水平方向に配設され、ダイアル２５の針溝２６内において半径方向に滑動自在である。
【００２２】
上記シリンダー針２３はシリンダーカムホルダー２０に固定されているカム１３によって、また、ダイアル針２４はダイアルカムホルダー２７に固定されているカム２８によって通常の方法で作動または制御される。
【００２３】
選択カム１１は、回転シリンダーから向かって左側に下げカム１１ａ、右側に上げカム１１ｂが配列されている。左右の順序が変わっても実施可能である。各カムの背面には、電磁アクチュエータ１２が配列されて、編み柄制御装置（図示せず）により電磁アクチュエータは制御されている。
【００２４】
図２は２種類のステッチカム１３を示しており、（Ａ）は同時引き用ステッチカム１３ａ、（Ｂ）は交互引き用ステッチカム１３ｂである。それぞれの（ａ）は正面図、（ｂ）は側面図である。２種類のステッチカムの正面には異なるカムレース１４ａ，１４ｂが配設されているが、背面には共にシャフト１５ａ，１５ｂが突出状態で固定されている。シャフトの先端にはピン１６ａ，１６ｂが設けられている。
【００２５】
図３はステッチカムの出没を制御する選択手段であるレバー１７を示している。（ａ）は側面図、（ｂ）は正面図である。レバーの中央部にはバット１８が設けられており、これが前記選択カム１１と当接することにより、レバーは上下方向に制御される。このレバーには同時引きステッチカム１３ａと交互引きステッチカム１３ｂの各カムを出没させるためのピン用リンク溝１９ａ，１９ｂが設けられている。
【００２６】
図４は、上げカム１１ｂが作用する場合を示している。（ａ）はカムホルダー２０の正面図、（ｂ）（ｃ）はステッチカムの動きを示すための、カムホルダーの断面図である。上げカム１１ｂがレバー１７のバット１８に作用すると、レバー１７が上昇する（図４（ｂ））。レバーの上昇によりリンク溝１９ａ，１９ｂがステッチカムのピン１６ａ，１６ｂに作用し、上側カム１３ａが引っ込み、下側カム１３ｂが出る（図４（ａ））。
【００２７】
図５は、下げカム１１ａが作用する場合を示している。（ａ）はカムホルダー２０の正面図、（ｂ）（ｃ）はステッチカムの動きを示すための、カムホルダーの断面図である。下げカム１１ａがレバー１７のバット１８に作用すると、レバー１７が下降する（図５（ｂ））。レバーの下降によりリンク溝１９ａ，１９ｂがステッチカムのピン１６ａ，１６ｂに作用し、上側カム１３ａが出て、下側カム１３ｂが引っ込む（図５（ｃ））。
【００２８】
なお、レバーの背面には上昇位置、下降位置の位置決めをするノッチ機構２１が設置されている。
【００２９】
なお、本発明においても、前記従来技術と同様に、ステッチカムは上下方向にも移動可能である。これにより針の引き込み量を変化させ、適正な糸量を得たり、編み目の大きさを変えたりする。
【００３０】
その目的のために、図６に示すように、本発明では、カムの縦方向の長さＬとほぼ同じ長さの凹部をカムセットピースに設け、カム１３ａをカムセットピース２５ａに挟むように取り付けている。なお、カムセットピース２５ａには、カム１３ａのシャフト１５ａが貫通するための貫通穴を設けて、前述のようにカム１３ａが出没可能に取り付けている。
【００３１】
カムホルダーには、次記するように、同時引き用ステッチカムと交互引き用ステッチカムのステッチ量調整具を上下方向に１個ずつ設けている。それぞれの構造はほぼ同じである。
【００３２】
カムセットピース２５ａの背面には、ピン２７ａがその長さのほぼ半分を埋め込んだ状態で固設されている。ピン２７ａの突出部はステッチ量調整具の螺旋溝２６ｃと係合し、ステッチ量調整具２６ａを回転すると、ピン２７ａは螺旋溝２６ｃに沿って上下方向に移動する。
【００３３】
ピン２７ａの上下方向の移動に伴い、カムセットピース２５ａおよびステッチカム１３ａも上下方向に移動する。
【００３４】
ステッチ量調整具２６ａの円筒外周部には、ノッチ部２６ａが加工されている。ステッチ量調整具２６ａはバネ２８ａで付勢されたピン２９ａで回転可能に固定されている。
【００３５】
前記したようにステッチカムを上下方向に移動させる機構は各種知られている。上記実施例においても、本発明の目的に反しない限り、それらの公知機構で置換することもできる。
【００３６】
＜第２実施例＞
２個の同時引きカムタイミング用ステッチカム同士の間で切り換える装置である。
【００３７】
第１実施例の説明及び図面において、２種類のステッチカム１３に関して、１３ａ，１３ｂを２個の同時引き用ステッチカムと読み替える。
【００３８】
＜第３実施例＞
２個の交互引きカムタイミング用ステッチカム同士の間で切り換える装置である。
【００３９】
第１実施例の説明及び図面において、２種類のステッチカム１３に関して、１３ａ，１３ｂを２個の交互引き用ステッチカムと読み替える。
【００４０】
【発明の効果】
本発明によれば、同時引きステッチカムと交互引きステッチカム、又は２個の同時引きステッチカム同士、又は２個の交互引きステッチカム同士の調整機構が独立しているので、それぞれに適切なステッチ量を設定でき、手動式の機構で対応が可能である。また、ステッチカムの選択はシリンダー内に設けた選択カムにより制御できるので、編み機１台に１つの選択機構を設けるだけでよい。
【００４１】
さらに、同時引きと交互引き又は２個の同時引きステッチカム同士、又は２個の交互引きステッチカム同士の２レースを設けているので、それぞれに適切な針の動作線を設けることが出来る。つまりカムラインを設計する際にステッチ角度やステッチのフミ幅をそれぞれの編成タイミングの影響を受けることなく独自に設計することが出来る。さらに、クローズドカムも採用することが出来、高品質な編地が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図１】図１（ａ）は、回転シリンダーの断面図、（ｂ）は回転シリンダーの正面図であり、選択カム周辺を示している。
【図２】２種類のステッチカムを示しており、（Ａ）は同時引き用ステッチカム、（Ｂ）は交互引き用ステッチカムである。それぞれの（ａ）は正面図、（ｂ）は側面図である。
【図３】ステッチカムの出没を制御する選択手段であるレバーを示している。（ａ）は側面図、（ｂ）は正面図である。
【図４】上げカムが作用する場合を示している。（ａ）はカムホルダーの正面図、（ｂ）（ｃ）はステッチカムの動きを示すための、カムホルダーの断面図である。
【図５】下げカムが作用する場合を示している。（ａ）はカムホルダーの正面図、（ｂ）（ｃ）はステッチカムの動きを示すための、カムホルダーの断面図である。
【図６】（ａ）はカムホルダー２０の正面図、（ｂ）はステッチ量の調整具を示すためのカムホルダーの断面図である。
【符号の説明】
１０ 回転シリンダー
１１ 選択カム
１１ａ 下げカム
１１ｂ 上げカム
１２ 電磁アクチュエータ
１３ ステッチカム
１３ａ 同時引きステッチカム
１３ｂ 交互引きステッチカム
１４ａ，１４ｂ カムレース
１５ａ，１５ｂ シャフト
１６ａ，１６ｂ ピン
１７ レバー
１８ バット
１９ａ，１９ｂ ピン用リンク溝
２０ カムホルダー
２１ ノッチ機構
２３ シリンダー針
２４ ダイアル針
Claims (7)
- 同時引きカムタイミング用と交互引きカムタイミング用の少なくとも２種類のステッチカムを切り換える装置を有するダブルニット丸編機であって、
シリンダー針（２３）を摺動可能に収容する回転シリンダー（１０）と、
前記シリンダー針（２３）の運動を制御する制御カム（１３）と、
前記シリンダー（１０）の上部に配設され、ダイアル針（２４）を摺動可能に収容する回転ダイアル（２５）と、
前記ダイアル針（２４）の運動を制御する制御カム（２８）からなり、
前記シリンダー針（２３）及びダイアル針（２４）の少なくとも一方の編針には、同時引きステッチカム用と交互引きステッチカム用の、少なくとも２種類のバットが設けられており、
前記シリンダー針制御カム（１３）及び前記ダイアル針制御カム（２８）の少なくとも一方には、前記少なくとも２種類のバットを有する編針に対向し、いずれかのバットに選択的に係合するように配列された同時引きステッチカム（１３ａ）と交互引きステッチカム（１３ｂ）が設けられていることを特徴とする編成タイミングの切換装置を備えたダブルニット丸編機。 - 少なくとも２個の同時引きカムタイミング用ステッチカム同士の間で切り換える装置を有するダブルニット丸編機であって、
シリンダー針（２３）を摺動可能に収容する回転シリンダー（１０）と、
前記シリンダー針（２３）の運動を制御する制御カム（１３）と、
前記シリンダー（１０）の上部に配設され、ダイアル針（２４）を摺動可能に収容する回転ダイアル（２５）と、
前記ダイアル針（２４）の運動を制御する制御カム（２８）からなり、
前記シリンダー針（２３）及びダイアル針（２４）の少なくとも一方の編針には、同時引きステッチカム用の少なくとも２種類のバットが設けられており、
前記シリンダー針制御カム（１３）及び前記ダイアル針制御カム（２８）の少なくとも一方には、前記少なくとも２種類のバットを有する編針に対向し、いずれかのバットに選択的に係合するように配列された少なくとも２種類の同時引きステッチカム（１３ａ）が設けられていることを特徴とする編成タイミングの切換装置を備えたダブルニット丸編機。 - 少なくとも２個の交互引きカムタイミング用ステッチカム同士の間で切り換える装置を有するダブルニット丸編機であって、
シリンダー針（２３）を摺動可能に収容する回転シリンダー（１０）と、
前記シリンダー針（２３）の運動を制御する制御カム（１３）と、
前記シリンダー（１０）の上部に配設され、ダイアル針（２４）を摺動可能に収容する回転ダイアル（２５）と、
前記ダイアル針（２４）の運動を制御する制御カム（２８）からなり、
前記シリンダー針（２３）及びダイアル針（２４）の少なくとも一方の編針には、交互引きステッチカム用の少なくとも２種類のバットが設けられており、
前記シリンダー針制御カム（１３）及び前記ダイアル針制御カム（２８）の少なくとも一方には、前記少なくとも２種類のバットを有する編針に対向し、いずれかのバットに選択的に係合するように配列された少なくとも２種類の交互引きステッチカム（１３ｂ）が設けられていることを特徴とする編成タイミングの切換装置を備えたダブルニット丸編機。 - ２種類のステッチカム（１３ａ，１３ｂ）のいずれかを選択する選択機構が、
前記シリンダー及び前記ダイアルの少なくとも一方に設けた選択カム（１１ａ，１１ｂ）と、
この選択カムに当接可能なバット（１８）を有し、ステッチカムとのリンク機構（１９ａ，１９ｂ）を有するレバー（１７）と、
このリンク機構と係合することにより移動可能な２種類のステッチカム（１３ａ，１３ｂ）からなる
ものである請求項１ないし３のいずれかに記載の丸編機。 - 前記選択カムが、上げカム（１１ｂ）及び下げカム（１１ａ）からなり、回転シリンダー（１０）に対して外向きに出没可能である請求項１ないし４のいずれかに記載の丸編機。
- 前記選択カム（１１ａ，１１ｂ）が電磁アクチュエータ（１２）の駆動力によりにより出没する請求項５記載の丸編機。
- 前記リンク機構が、レバーに設けた逆向きの２種類のピン溝（１９ａ，１９ｂ）であり、このピン溝に２種類のステッチカムの一部分（１５ａ，１５ｂ）がはまることにより、２種類のステッチカムの一方が引っ込むと他方が出てくるような関係のものである請求項４ないし６のいずれかに記載の丸編機。
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