JP3505291B2 - 横編機の度山制御装置 - Google Patents

横編機の度山制御装置

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JP3505291B2
JP3505291B2 JP23947695A JP23947695A JP3505291B2 JP 3505291 B2 JP3505291 B2 JP 3505291B2 JP 23947695 A JP23947695 A JP 23947695A JP 23947695 A JP23947695 A JP 23947695A JP 3505291 B2 JP3505291 B2 JP 3505291B2
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歳徳 中森
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は編針の引き込み量を
調整することで、形成される編目の大きさを制御する横
編機の度山制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的な横編機では、編針を多数植設し
た針床上を走行するキャリッジに設けた度山を、編針と
一体に連結されるジャックのバットに当接させ、編針を
進退摺動させることで編成が行われる。形成される編目
の大きさは度山の下端の位置により決まり、度山の位置
は回転量可変なモータを用いて構成される度山制御装置
により制御される。
【0003】度山制御装置は例えば特公平6−9461
8号公報に開示されている。特公平6−94618号公
報では、図10に示すようにキャリッジ51の地板52
に設けた溝53内に収納した摺動部材54を挟み、度山
55と度山押さえ板56を一体に保持するとともに、度
山制御モータ57の軸58を中心として回転駆動される
度山制御カム59の一面に、カムの中心からの距離が一
定の割合で変化するカム板60を螺旋を描いて突出さ
せ、該カム板60をその両側から対のローラ61,62
挟持し、該ローラ61を長溝53に摺動自在に嵌合した
度山押さえ板56に支持するとともに、ローラ62を度
山押さえ板56に対し揺動自在に取り付けたレバー63
上に取り付け、該レバー63と度山押さえ板56間に掛
け渡したスプリング64により前記対のローラ61,6
2でカム板60を挟持する度山制御装置が開示されてい
る。さらに特公平6−94618号公報に開示される度
山制御装置では、カム板60を挟持するローラ61,6
2を互いに接近する方向に付勢することで度山制御カム
59の回転変位に対する度山55の追従性を確保すると
ともに、何らかの原因により度山55が下がらなくなっ
た場合には度山制御カム59の回転に対し内側から当接
しているローラ62がスプリング64の力に抗して逃げ
ることで衝撃が及ぶのを防ぐ。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記した特公平6−9
4618号公報に開示される装置では、度山制御カム5
9のカム板60はカムの中心からの距離が度山制御カム
の回転量に比例し一定の割合で変化するように形成され
ている。しかしながら、このようなカムでは度山制御カ
ム59の軸58を通り長溝53と平行な線上にローラ6
1を設けなければ度山制御カム59の回転量と度山55
の移動量を比例させることができない。したがって、特
公平6−94618号に開示される装置では、度山制御
カム59の軸58はローラ61を通り長溝53に平行な
線上に設けなければならず、結果的に度山制御モータ5
7を配置する位置が限定されてしまう。したがって特公
平6−94618号公報に開示される度山制御装置で
は、度山制御モータ58を配置できる位置が限定され、
他の部品を設ける位置に大きな制限が生まれることで、
他の部品を効率的に配置することができず、装置が大型
化する原因となっていた。さらに同一キャリッジ上に隣
接して複数のカムユニットを設ける場合には、度山制御
モータ58が度山55よりも外側に突出するため、カム
ユニット間の間隔を縮めることができずキャリッジが大
型化するという問題があった。
【0005】また、上記した特公平6−94618号公
報に開示される度山制御装置においては、対のローラ6
1,62により挟持される度山制御カム59のカム板6
0は全域において同じ厚みで形成されている。しかしな
がら度山制御カム59が回転することで、カム板60の
傾きが変化し、カム板60とローラ61,62の当接角
が変化することでローラ61,62間の間隔が変化す
る。これを図11を使用して説明すると、図11は螺旋
を画いて突出するカム板71を一対のローラ72,73
が図示せぬスプリングによりそれぞれ矢印の方向に付勢
され、カム板71を挟持している状態を示す。図11A
に示される状態では、ローラ72,73の中心点74,
75を結ぶ線上にカム板71とローラ72,73の当接
点76,77が存在し、ローラ72,73間の間隔はカ
ム板71の厚みに等しい。次に図11Aに示す状態から
図11Bに示す状態へと度山制御カムの中心からの距離
が小さくなる方向に回転されたとする。これによりカム
板71の傾きが変化し、カム板71とローラ72,73
の当接点76,77はローラの中心点74,75を結ぶ
線上からはずれ、ローラ72,73間の間隔は図11A
に示される状態より広くなる。図11Bに示される状態
では両ローラ72,73を矢印方向に付勢するスプリン
グが、ローラ72,73間の間隔が最小となる図11A
の状態へと戻そうとする力として作用し、この力が度山
制御モータに負荷を生じさせる。したがって、度山制御
カムを図11Bの状態で保持するためには、モータの力
をスプリングの力よりも強くする必要があり、出力の大
きなモータの使用が必要なことから度山制御装置が大型
化するという問題があった。
【0006】本発明は度山制御カムの一面に突出するカ
ム板を両側から一対のローラにより保持するとともに、
度山制御カムの回転変位によるローラの変位を度山押さ
え板に連動させて度山の位置制御を行う度山制御装置に
おいて、度山の位置に対するモータの配置の自由度を大
きくすることにより、他の部品を効率的に配置すること
で装置を小型化できる度山制御装置を開示することを目
的とする。
【0007】また、度山と一体に保持される度山押さえ
板と度山押さえ板のローラ当接面に当接するローラの追
従性を確保するために設けられる付勢手段がモータに対
する負荷を発生させることがなく、結果として出力の小
さいモータの使用を可能とし、装置自体を小型化できる
横編機の度山制御装置を開示することも目的の一つであ
る。
【0008】また、螺旋を画いて突出するカム板を両側
から挟持する対のローラを互いに接近する方向に付勢す
る付勢手段が、度山制御カムを回転駆動するモータに負
荷を生じさせることのない横編機の度山制御装置を開示
することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記した問題を解決する
ため本発明の横編機の度山制御装置は、針床上を走行す
るキャリッジのキャリッジ地板に形成した長溝内に装着
した摺動部材を挟み、度山と度山押さえ板を一体に保持
し、度山制御カムをその一面にカム板を螺旋を画いて突
出させ、キャリッジ地板に対し第1レバーおよび第2レ
バーを揺動自在に軸支するとともに、第1レバーおよび
第2レバーに設けたローラが接近する方向に付勢する付
勢手段を設けることで、ローラにより前記度山制御カム
のカム板を両側から挟持し、さらに第1レバー上の前記
ローラが設けられる側と反対側にもう一つのローラを設
け、該ローラを度山と一体に保持される度山押さえ板の
ローラ当接面に当接させるとともに、度山押さえ板とロ
ーラが接近する方向に付勢する付勢手段を度山押さえ板
と第1レバー間に設けたことを特徴とする。本発明に従
えば、度山制御モータを設ける位置が、度山制御カムに
当接するローラの軸を通り度山が摺動する長溝に平行に
引いた線上に限定されることがなく、度山制御モータを
設ける位置の自由度が大きくなるため、他の部品を効率
的に配置することが可能となり装置を小型化できる。
【0010】また、度山押さえ板のローラ当接面を、付
勢手段の度山押さえ板側の取り付け位置を中心とする円
弧状に形成し、度山制御カムの回転変位によりローラ当
接面に当接するローラが移動する際に、度山押さえ板と
ローラが接近する方向に付勢する付勢手段が、一定の長
さで保持されるようにしたことも特徴の一つである。本
発明に従えば、度山押さえ板とローラが接近する方向に
付勢する付勢手段は一定の長さを保持されるため、モー
タに負荷を生じさせることがなく小型のモータの使用が
可能となる。また付勢手段の付勢力を強くすることがで
きるので、度山の位置を正確に制御することができる。
【0011】また、度山制御カムの回転によるローラと
カム板の当接角の変化に係わらず、カム板を挟持する一
対のローラ間の間隔が一定となるように、度山押さえ板
のローラ当接面に当接するローラが設けられるレバー上
のローラが当接する基準面を基準とし、カム板の厚みを
変化させて度山制御カムを形成し、度山制御カムの回転
によりカム板とローラの当接角が変化しても、カム板を
挟持するローラを接近する方向に付勢する付勢手段が一
定の長さで保持されるようにしたことも特徴の一つであ
る。本発明に従えば、カム板を挟持するローラを接近す
る方向に付勢する付勢手段が一定の長さで保持されるた
め、モータに負荷を生じさせることがなく小型のモータ
の使用が可能となる。また、付勢手段の付勢力を強くす
ることができるので度山の位置を正確に制御することが
可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の一形態を図面
と共に詳細に説明する。図1Aはキャリッジ1の地板2
を上面から見た図、図1Bは図1Aを矢印X方向から見
た図である(分かり易くするため一部の部品のみ示して
いる)。図2は図1Aを矢印Y方向から見た図、図3お
よび図4は図1の主要な部品を示す図であり、図4では
同一の部品を図1Aの方向から見た状態と、図1Bの方
向から見た状態を上下に配置している。
【0013】横編機の針床上を左右摺動するキャリッジ
1上には、カムユニットの中央に配置されるレイジング
カム(図示なし)を挟んで左右一対に度山3,4が設け
られ、これら度山3,4の位置を調整する度山制御装置
5,6が左右対称に設けられる。左右の度山制御装置
5,6の機構は同一であるため、以下一方の度山制御装
置6についてその詳細を説明する。キャリッジ地板2に
は度山4を斜めに上下動するための長溝7を設け、該長
溝7内に摺動部材8を摺動自在に嵌合し、摺動部材8を
挟んでその下面に度山4を、上面に度山押さえ板9をそ
れぞれ摺動部材8と一体に固定している。キャリッジ地
板2の上面には図示せぬ支持部材を介して度山制御モー
タ10を取り付ける。度山制御モータ10のモータ軸1
1にはカムの中心からの間隔を変化させながら螺旋を画
き突出するカム板12を有する度山制御カム13を取り
付ける。度山制御モータ10は図示せぬ制御手段から発
せられる電気信号に応じ所定角度度山制御カム13を回
転変位させる。さらにキャリッジ地板2に取り付けたマ
ウント14内に挿通した軸15を中心とし、第1レバー
16および第2レバー17を積層した状態で揺動自在に
軸支する。図4に示すように第1レバー16は上面視に
おいて略H字状に形成され、図1Aに示すようにその中
間部に形成した開口18,19に軸15が挿通されて揺
動自在に軸支される。第1レバー16はその両端の異な
る側面上にそれぞれローラ20,21を軸支する。一方
第2レバー17は上面視において略I字状に形成され、
その中間部に形成される開口22に前記軸15が挿通が
挿通されて揺動自在に軸支されるとともに、第1レバー
16のローラ20に対応してローラ23を軸支する。第
1レバー16のローラ20および第2レバー17のロー
ラ23は、前記度山制御カム13から突出するカム板1
2をその両側から挟持するとともに、ローラ20,23
が設けられる側と反対側の端部で第1レバー16と第2
レバー17間にスプリング24を掛け渡すことで、ロー
ラ20,23を互いに接近させる方向に付勢しローラ2
0,23でカム板12を挟持する。一方、第1レバー1
6のもう一つのローラ21は、前記度山4と一体に保持
される度山押さえ板9の下部に形成されるローラ当接面
25に当接させる。度山押さえ板9と第1レバー16間
にはスプリング26を掛け渡す。第1レバー16上のス
プリング取り付け箇所27は、度山押さえ板9のローラ
当接面25に当接するローラ21と同軸に設ける。度山
押さえ板9上のスプリングの取り付け箇所28は長溝7
の中心線W−W上に設けることが好ましい。ローラ21
と当接する度山押さえ板9のローラ当接面25は図3に
示すように、度山押さえ板9に取り付けたスプリング2
6の取り付け箇所28を中心とする円弧状に形成する。
なお29は度山制御カム13の最上昇位置となる基準位
置を検出するためのセンサ、30は検出片である。
【0014】度山制御モータ10により回転変位される
度山制御カム13のカム板12は、内側からローラ20
が当接する内郭31と、外側からローラ13が当接する
外郭32からなる。本実施例では度山押さえ板9のロー
ラ当接面25に当接するローラ21の位置により度山4
の位置がきまる。ローラ21の位置は同じ第1レバー上
に設けられるローラ20の位置により決まるため、ロー
ラ20に当接する内郭31が度山4の位置を決めるカム
板12の基準面となる。したがって先にカム板12の基
準面となる内郭31を度山制御カム13の回転量に比例
して度山4が移動するように確定し、次に内郭31を基
準とし度山制御カム13の回転変位に係わらずベアリン
グ20,23間の間隔が一定となるように外郭32を確
定する(度山押さえ板9のローラ当接面25に当接する
ローラ21が第2レバー上に設けられている場合には外
郭を先に確定し、次に内郭を確定すればよい)。
【0015】次に度山制御カム13のカム板12の形成
方法を図5〜図7を使用して説明する。まず、図5に示
すようにキャリッジ地板2に形成した長溝7と平行に引
いた任意の直線A−A(好ましくは長溝7の中心線W−
W)上に、度山押さえ板9の任意の上限点B1および下
限点C1を決定する。次に、直線A−Aに沿ってローラ
21を上方に向かって移動させ、ローラ21と上限点B
1および下限点C1が接する時のローラ21の中心の位
置をそれぞれ上限中心点B2および下限中心点C2とす
る。ローラ21はその中心が上限中心点B2および下限
中心点C2に達した時に度山4はそれぞれ最上昇位置お
よび最下降位置となる。
【0016】次に、度山制御モータ10の回転軸11を
設ける任意の点Dを決定し、該点Dを通り前記直線A−
Aに平行な直線E−Eを引く。次に前記上限中心点B2
を通り直線A−Aに垂直な垂線F−F、および下限中心
点C2を通り直線A−Aに垂直な垂線G−Gを引き、前
記直線E−Eと交わる点をそれぞれ点Hと点Iとする。
次に上限中心点B2と点Iを結ぶ線J−Jと、下限中心
点C2と点Hを結ぶ線K−Kを引き、その交点Lを第1
レバー16と第2レバー17の共通の軸15を設ける位
置とする。次に点Lを中心として点B2,C2を通る円
弧B2−C2、および点Lを中心として点H、点Iを通
る円弧H−Iを作成する(円弧B2−C2は度山4が最
上昇位置から最下降位置まで移動する時のローラ21の
中心の軌跡となり、円弧H−Iはローラ20の中心の軌
跡である)。次に度山押さえ板9のローラ当接面25が
点B2と接する位置を始点、点C2と接する位置を終点
とし、ローラ当接面25を長溝7に沿って等間隔で7段
階(本実施例では度山4を7段階に設定可能とする)に
移動させ、そのときのローラ当接面25と円弧B2−C
2の交点をそれぞれ点B2,M1,N1,O1,P1,
Q1,C2とする(点B2および点C2は既に決定され
ているため、新たに点M1,N1,O1,P1,Q1が
決定される)。この円弧B2−C2上の点B2,M1,
N1,O1,P1,Q1,C2は度山4を最上昇位置か
ら最下降位置へ7段階に移動させた時にローラ21の中
心が存在する位置となる。次に円弧H−I上に、点Lを
中心として前記点B2,M1,N1,O1,P1,Q
1,C2に対称な点I,Q2,P2,O2,N2,M
2,Hをとる。(点Hと点Iは既に決定されているた
め、新たに点M2,N2,O2,P2,Q2が決定され
る。)。この円弧H−I上の点I,Q2,P2,O2,
N2,M2,Hは度山4を最上昇位置から最下降位置へ
7段階に移動させた時のローラ20の中心が存在する位
置である。次に図6に示すように、度山4が最下降位置
となる時に、第1レバー16のローラ20が存在する点
Hと度山制御モータ10の中心Dを結ぶ直線D−Hを度
山制御カム10のカムの中心からの距離が最大となる点
とする。次に度山4を最上昇位置から最下降位置まで移
動させるために必要な、度山制御カム13の任意の回転
角度324度を決定する。次に回転角度324度を6で
割り、度山4を1段階移動させるのに必要な回転角度5
4度を算出する(点H,点Iを含め7段階に移動させる
ので、全回転角度を6等分すれば1段階度山を移動させ
るのに必要な角度が決定される)。次に度山制御モータ
10の回転軸11の中心点Dと点M2を結ぶ直線D−M
2から、度山4を1段階移動させるのに必要な角度(5
4度)に、移動させる段階数1(点M2は点Hから1段
階度山を移動させた位置であるため)を乗じて計算した
54度分、反時計回り方向(時計回り方向も可)に回転
させて直線D−Rを引く。次にローラ20の中心が点M
2にある時の点Dと点M2の間の間隔を計測し、直線D
−R上に点Dからの距離が前記点Dと点M2間の間隔に
等しい点M3をとる。この点M3は度山が最下降位置と
なる点Hから度山4を1段階移動させるのに必要な54
度分、度山制御カム13を回転させた時に、ローラ20
の中心が存在する位置である。同様に直線D−N2から
度山4を2段階移動させるのに必要な108度分(54
度×段階数2)時計回り方向に回転させて引いた直線D
−S上に、点Dからの距離が点Dと点N2間の間隔に等
しい点N3をとる。続いて点O2,P2,Q2,Iにつ
いても同様に162度、216度、270度、324度
回転させて引いた線上にそれぞれ点O3,P3,Q3,
I3をとる。そして点M3,N3,O3,P3,Q3,
I3に点Hを加えた点H,M3,N3,O3,P3,Q
3,I3を結ぶスプライン曲線H−I3に対し、ローラ
20の半径に等しい間隔分外側にオフセットして引いた
線33がカム板12の内郭31となる。
【0017】次に度山制御カム13の外郭32について
図7および図8を使用して説明する。特公平6−946
18号に開示される度山制御カムでは、カム板12の内
郭31となる線33が決定した時点で、線33に対し任
意の間隔分(カム板12の厚み分)オフセットして引い
た線を外郭31とし、カム板12は全域において同じ厚
みに形成される。それに対し本発明では、度山制御カム
13の回転によりカム板12とローラ20,23の当接
角が変化してもローラ20,23間の間隔が常時一定と
なるように、カム板12を形成する。まず、図7に示す
ように、ローラ20が点Hに存在するときの第2レバー
17のローラ23の中心が存在する点H4を任意に定め
る。このように第1レバー16のローラ20に対する基
準となる第2レバー17のローラ23の位置を決定する
ことで、第1レバー16および第2レバー17の共通の
軸となる点Lと、ローラ20の中心Hとローラ23の中
心が存在する点H4の位置関係が決定され、これにより
第1レバー16のローラ20と第2レバー17のローラ
23間の基準となる間隔が決定される。ローラ20とロ
ーラ23は同軸に軸支される第1レバー16および第2
レバー17上に設けられているので、ローラ20とロー
ラ23は点Lを中心とする同心円上を移動する。本発明
では、度山制御カム13が回転してもローラ20,23
間の間隔が常時一定、つまりこの3つの点L、点H、点
H4が基準となる位置関係を保った状態で第1レバー1
6および第2レバー17が揺動するようにカム板12を
形成する。したがって、まず図7に示すようにローラ2
0の中心が点H,M2,N2,O2,P2,Q2,I2
に移動した時のローラ23の中心が存在する点H4,M
4,N4,O4,P4,Q4,I4を求める。(点L,
点H,点H4は一定の位置関係を維持するので、点Lと
点Hを結ぶ直線L−Hと、点Hと点H4を結ぶ直線H−
H4が交差する角度と、点Hから点H4までの間隔を計
測することでM4,N4,O4,P4,Q4,I4の位
置を求めることができる)次に度山制御モータ10の中
心Dと点M4を結ぶ直線D−M4線から度山4を1段階
移動させるのに必要な54度回転させて引いた線D−T
(図示せず)上に点Dからの距離が前記点Dと点M4間
の間隔に等しい点M5をとる。この点M5は度山4が最
上昇位置となる点H5から度山4を1段階移動させるの
に必要な度山制御カム13を54度回転させた時にロー
ラ23の中心が存在する位置である。同様に直線D−N
4から度山4を2段階移動させるのに必要な108度
(54度×段階数2)時計回り方向に回転させて引いた
直線D−U(図示せず)上に、点Dからの距離が点Dと
点N4間の間隔に等しい点N5をとる。以下同様に点O
4,P4,Q4,I4についても162度、216度、
270度、324度回転させて引いた線上にO5,P
5,Q5,I5をとる。これにより得られた点M5,N
5,O5,P5,Q5,I5に点H5(点H5は点H4
と同じ点)を加えた点H5,M5,N5,O5,P5,
Q5,I5を結ぶスプライン曲線H5−I5に対し、ロ
ーラ23の半径に等しい間隔分オフセットして引いた線
34が度山制御カム13の外郭32となる。
【0018】上記したように、本願発明では度山4を移
動させる段階数(上記実施例では7段階とした)に応
じ、ポイント毎にローラ20,23間の間隔が等しくな
るポイントを求め、各ポイント間はスプライン曲線によ
り補完している。したがって、厳密にいえば、ローラ2
0,23が各ポイント上に位置する時のみローラ20,
23間の間隔が等しくなり、それ以外の部分では僅かで
はあるが間隔が変化すると考えられる。しかしながら、
実際には度山は90段階以上に位置調整が行われるの
で、7段階としたのを例えば90段階とすれば、生じる
ローラ間の間隔の変化を問題とならないレベルまで下げ
ることができる。
【0019】次に上記した度山制御装置の作用を図9を
使用して説明する。図9Aは度山が最上昇位置にある状
態を示し、図9Bは度山が最下降位置にある状態を示
す。今、仮に図1の矢印Z方向にキャリッジ1を走行さ
せ、次コースの編成を行うとすると、キャリッジ1の進
行方向において後行側に位置する側の度山制御装置6の
度山4が編成に使用される。度山4は前コースの編成が
完了した時点では、図9Aに示すように最上昇位置に上
昇されている。そしてキャリッジ1の反転とともに、図
示せぬ制御装置から発せられる電気信号により、前コー
スの編成に使用された度山制御装置5の度山3が最上昇
位置へ移動され、休止状態とされるとともに、度山制御
装置6の度山制御カム13を回転変位させることで度山
4を形成する編目の大きさに応じた位置まで下降させ
る。今、仮に度山4を図9Bに示す最下降位置まで移動
させるとすると、図9Aに示す状態から度山制御カム1
3が反時計回り方向に324度回転させることで最下降
位置まで度山4が移動される。度山制御カム13が回転
変位されることで、度山制御カム13の外郭32に接し
ているローラ23を介し第2レバー17が軸15を中心
として時計回り方向に揺動される。それにより、度山制
御カム13の内郭31にローラ20が接している第1レ
バー16も軸15を中心として時計回り方向に揺動され
る。そしてスプリング26により第1レバー16のロー
ラ21とローラ当接面25で接している度山押さえ板9
は、第1レバー16の揺動にしたがって長溝7に沿って
下降され、度山押さえ板9と一体に保持される度山4が
最下降位置へ下降された状態でキャリッジが走行し編成
が行われる。なお、編成中に何らかの原因により針が下
がり難くなった場合でも、スプリング24または、スプ
リング26の何れか張力の小さい方のスプリングに抗し
度山4が上方に逃げることで衝撃が及ぶのを防ぐ。
【0020】度山制御カム13の回転変位により第1レ
バー16および第2レバー17が軸15を中心として揺
動されるが、この時、カム板12に当接するローラ2
0,23とカム板12の当接角は度山制御カム13の回
転により変化するが、本発明においてはローラ20,2
3間の距離が常時一定の間隔となるようにカム板12の
厚みを変化させて形成しているため、度山制御カム13
が回転変位してもローラ20,23間の距離は常時一定
のままで変位される。したがって前記第1レバー16と
第2レバー17の間に掛け渡したスプリング24は伸縮
することなく一定の長さを保った状態で保持され、第1
レバー16と第2レバー17間に掛け渡したスプリング
24が、度山制御カム13を回転させる度山制御モータ
10に負荷を生じさせることがない。また、ローラ21
は、第1レバー16の揺動されるのに従ってローラ当接
面21上を前記円弧B2−C2上を移動するが、ローラ
当接面21は度山押さえ板9に対するスプリング26の
取り付け箇所28を中心とする円弧状に形成されたロー
ラ当接面25上を移動するため、スプリング26は常に
一定の長さを保った状態で保持される。したがって、ス
プリング26が度山制御カム13を回転させる度山制御
モータ10に負荷を生じさせることがない。
【0021】次に次コースの編成を行うためキャリッジ
が反転すると、キャリッジ1の進行方向において後行側
に位置する度山制御装置5の度山3が編成に使用され、
先行側に位置する度山制御装置6の度山4は最上昇位置
へと移動される。したがって、図9Bに示される状態か
ら、度山制御カム13が324度時計回り方向に回転さ
れ、センサ29が検出片30を検出することで制御装置
は度山4が最上昇位置まで上昇されたと判断し、度山制
御モータ10の回転が停止される。この時、度山制御カ
ム13が時計回り方向に回転されることで、度山制御カ
ム13のカム板12の内郭31にローラ20が接してい
る第1レバー16が軸15を中心に反時計回り方向に揺
動され、それによりローラ21とローラ当接面25で接
している度山押さえ板9は長溝7内を最上昇位置まで押
し上げられる。
【0022】上記したように本発明の度山制御装置で
は、キャリッジ地板2に設けた軸15を中心として揺動
するレバー16,17と、該レバー上に設けたローラ2
0,23を介し度山制御カム13の回転変位を度山に連
動させることで、度山制御モータ10を配置する位置の
自由度を大きくすることができる。また、本発明におい
ては、ローラ21が第1レバー16に設けられているた
め、ローラ21は円弧B2−C2に沿って移動し、特公
平6−94618号のローラ61のように長溝に沿って
は移動しない。したがって、特公平6−94618号に
開示されるカムの中心からの距離を一定の割合で変化さ
せた度山制御カム59を本実施例の度山制御カム13の
代わりとし使用した場合にはカムの回転量と度山の移動
量は比例しないが、本発明では度山4が最上昇位置から
最下降位置まで等間隔で移動させた時にローラ当接面2
5が存在する位置を基準とし、それに対応するローラ2
1の位置を求め、それに基づいて度山制御カム13を形
成するので、度山制御カム13の回転角度に度山の垂直
方向の移動量を比例させることができる。
【0023】また、第1レバー16を介して度山制御カ
ム13の回転変位を度山押さえ板9に伝える構造として
いるので、度山押さえ板9とローラ21間の追従性を確
保するためのスプリング26を設ける必要があるが、ス
プリング26を構成に追加しても度山制御モータ10に
負荷を生じさせることがなく、出力の大きなモータに変
更する必要がない。
【0024】さらに、スプリング24,26が度山制御
モータ10に対する負荷を生じさせることがないため、
第1レバー16のローラ20と第2レバー17のローラ
23を互いに接近する方向に付勢するスプリング24、
および度山押さえ板9のローラ当接面25にローラ21
を押圧するスプリング26のそれぞれに付勢力の強いス
プリングを使用することが可能となり、それにより度山
制御カム13の動きに度山を確実に追従させ度山を正確
に制御することが可能となる。
【0025】さらにスプリング24,26のいずれも度
山制御モータ10に負荷を生じさせることがないので、
度山制御モータ10を度山制御カム13の回転専用と
し、度山4の位置保持用の機構を別に設けるようにして
もよい。このようにすると、度山制御モータ10は無負
荷の状態で度山制御カム13を回転させ得るだけの出力
を備えていればたり、度山4の位置を保持するための保
持力を備える必要がないため、度山制御モータ10を小
型化できる。
【0026】さらに、本発明においては図4に示される
ように、第1レバー16のローラ20と、反対側の側面
に設けられるローラ21の間隔35を大きくとること
で、図2に示すように度山制御モータ10をキャリッジ
地板2から離れた位置に設けることが可能となる。この
ように間隔35を調整することでキャリッジ地板2と度
山制御モータ10の間隔36を調整することが可能とな
り、度山制御モータ10を設ける位置を自由に設定でき
る。また、上記した実施例においては、第1レバー16
と第2レバー17を同軸に軸支したが、異なる軸にそれ
ぞれ軸支することも可能である。
【0027】
【発明の効果】上記したように本発明の横編機の度山制
御装置においては、度山制御モータの軸を設ける位置
が、度山制御カムに当接するローラの軸を通り度山が摺
動する長溝に平行に引いた線上に限定されることがな
く、度山制御モータを設ける位置の自由度が大きくなる
ため、他の部品を効率的に配置することが可能となり装
置を小型化できる。
【0028】また、度山押さえ板のローラ当接面を度山
押さえ板のスプリングの取り付け箇所を中心とする円弧
状に形成しているため、スプリングはレバーの揺動に係
わらず常時一定の長さで保持され、スプリングが度山制
御モータに負荷を生じさせることがない。また、スプリ
ングを強くしても度山制御モータに負荷が生じないた
め、付勢力の強いスプリングを使用しローラの変位に対
し度山押さえ板を確実に追従させることで度山を正確に
制御することが可能である。
【0029】また、度山制御カムのカム板を両側から挟
持するローラ間の間隔が常時一定となるように度山制御
カムのカム板の厚みを変化させて形成しているので、カ
ム板を挟持するローラが互いに接近する方向に付勢する
スプリングは常時一定の長さを保持し、カムを駆動する
モータに対する負荷を生じさせることがない。したがっ
て、出力の小さいモータの使用が可能となり度山制御装
置を小型化することができる。また、スプリングの力を
強くしてもモータに負荷が生じないため、付勢力の強い
スプリングを使用し、度山制御カムの回転に度山を確実
に追従させ度山を正確に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1Aはキャリッジ地板を下面から見た図であ
り、図1Bは図1Aの矢印X方向から見た図である。
【図2】図1Aの矢印Y方向から見た図である。
【図3】度山制御装置を構成する部品を示す図である。
【図4】度山制御装置を構成する部品を図1Aの方向か
ら見た図と、図1Bの方向から見た図である。
【図5】カム板の内郭の確定方法を示す図である。
【図6】カム板の内郭の確定方法を示す図である。
【図7】カム板の外郭の確定方法を示す図である。
【図8】カム板の外郭の確定方法を示す図である。
【図9】図9Aは度山の最上昇位置を示す図であり、図
9Bは最下降位置を示す図である。
【図10】従来の度山制御装置を示す図である。
【図11】従来の度山制御装置を模式的に示した図であ
る。
【符号の説明】
1 キャリッジ 2 キャリッジ地板 3 度山 4 度山 5 度山制御装置 6 度山制御装置 10 度山制御モータ 12 カム板 13 度山制御カム 16 第1レバー 17 第2レバー 20 ローラ 21 ローラ 23 ローラ 24 スプリング 26 スプリング 31 内郭 32 外郭
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D04B 15/36

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】横編機において編針の引き込み量を制御す
    る度山制御装置において、針床上を走行するキャリッジ
    の地板(2)に形成した長溝(7)内に装着した摺動部
    材(8)を挟み、度山(4)と度山押さえ板(9)を一
    体に保持し、度山制御カム(13)をその一面にカム板
    (12)を螺旋を画いて突出させ、キャリッジ地板
    (2)に対し第1レバー(16)および第2レバー(1
    7)を揺動自在に軸支するとともに、第1レバー(1
    6)および第2レバー(17)に設けたローラ(20,
    23)が接近する方向に付勢する付勢手段(24)を設
    けることで、ローラ(20,23)により前記度山制御
    カム(13)のカム板(12)を両側から挟持し、第1
    レバー(16)上の前記ローラ(20)が設けられる側
    と反対側に、もう一つのローラ(21)を設け、該ロー
    ラ(21)を度山(4)と一体に保持される度山押さえ
    板(9)のローラ当接面(25)に当接させるととも
    に、度山押さえ板(9)とローラ(21)が接近する方
    向に付勢する付勢手段(26)を度山押さえ板(9)と
    第1レバー(16)間に設けたことを特徴とする横編機
    の度山制御装置。
  2. 【請求項2】度山押さえ板(9)のローラ当接面(2
    5)を、付勢手段(26)の度山押さえ板(9)側の取
    り付け位置(28)を中心とする円弧状に形成し、度山
    制御カム(13)の回転変位によりローラ当接面(2
    5)に当接するローラ(21)が移動する際に、度山押
    さえ板(9)とローラ(21)が接近する方向に付勢す
    る付勢手段(26)が、一定の長さで保持されるように
    したことを特徴とする請求項1に記載の横編機の度山制
    御装置。
  3. 【請求項3】度山制御カム(13)の回転によるローラ
    (20,23)とカム板(12)の当接角の変化に係わ
    らず、カム板(12)を挟持する一対のローラ(20,
    23)間の間隔が一定となるように、度山押さえ板
    (9)のローラ当接面(25)に当接するローラ(2
    1)が設けられるレバー(16)上のローラ(20)が
    当接する基準面(31)を基準とし、カム板(12)の
    厚みを変化させて度山制御カム(13)を形成し、度山
    制御カム(13)の回転によりカム板(12)とローラ
    (20,23)の当接角が変化しても、カム板(12)
    を挟持するローラ(20,23)を接近する方向に付勢
    する付勢手段(24)が一定の長さで保持されるように
    したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の
    横編機の度山制御装置。
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