JP3674983B2 - ミシン - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、針棒や押え棒などの軸状部材をその軸線方向に移動可能に備えるミシンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種のミシン、特に図6、7に示すように、縁かがりミシンと呼ばれているミシンは、1本もしくは複数の針(41)、上ルーパ(43)、下ルーパ(45)を持ち、各々に糸を保持する。そして、針(41)が上ルーパ(43)の後ろで上ルーパ糸(43a)をすくい(図7イ参照)、下ルーパ(45)が針(41)の後ろで針糸(41a)をすくい(図7ロ参照)、上ルーパ(43)が下ルーパ(45)の後ろで下ルーパ糸(45a)をすくう(図7ハ参照)。これを繰り返し縫い目が形成される。従って、必ず、針(41)が上ルーパ(43)の後ろを通り、下ルーパ(45)が針(41)の後ろを通り、上ルーパ(43)が下ルーパ(45)の後ろを通る軌跡となる。このため、針(41)、上ルーパ(43)、下ルーパ(45)のいずれかを傾ける必要があり、最も効果的な針棒が傾いている。これに伴い押え棒(49)も傾いている。
【0003】
従来、この種のミシンは、図8に示すように、針棒と押え棒とを保持する保持体は機枠と一体に形成され、機枠の一部として成されていた。しかしながら、上記のようなミシンでは、保持体を形成される部分は細長い形状をし、上下に分離していた。従って、針棒穴、押え棒穴を加工する際、専用機を用い、ドリルを治具(71)で支える必要があり、また、長いドリル(73)を使用するためドリルがぶれ、芯が出しにくかった。このため、針棒の作動が重く、送り棒の布厚、送り歯に対する追従が悪くなり、縫い目に悪影響が出た。そればかりでなく、機枠(1)をスタンド(75)に対し、正確に所定角度(18度)傾ける治具(77)が必要であり、コストアップがしいられた。
【0004】
さらに特公平2−43341号公報に記載のミシンがある。これは押え装置に関する発明であるが、押圧装置と、押え体の昇降装置の上下に機枠と別体の保持体を有する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この発明においても保持体をミシンに一意的に固定させているため、2個の保持体を左右方向(押え棒の軸線方向に交差する方向)には調整できない。そのため、押え棒の芯ずれ対策は充分とは言えず、針落ち左右中心と針棒中心とを合わせることもできない。さらに、保持体はミシンの側面に係合しているので、機枠を正面から90度回転させて加工、組付することが必要で手間であるという問題点がある。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、軸状部材をその軸方向に交差する方向に調節可能に取り付けることができるミシンを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために本発明の請求項1記載のミシンは、軸状部材をその軸線方向に離れた箇所でそれぞれ摺動可能に保持する複数の保持体と、保持体が軸状部材の軸線方向に交差する方向に移動可能なように、保持体それぞれに係合する支持部を複数形成された機枠と、機枠に係合した保持体の位置を固定するための固定手段とを備え、従って、保持体がその軸状部材の軸線方向に交差する方向に移動する。
【0008】
また、請求項2記載のミシンは、軸線方向が鉛直方向に交差する軸状部材と、軸線方向に交差する方向に伸長する溝を形成された機枠とを備え、従って、保持体が溝に沿って移動する。
【0009】
更に、請求項3記載のミシンは、軸状部材をその軸線方向に移動させる移動機構を備え、その移動機構を機枠へ取り付ける方向と同一な方向から、保持体が支持部に係合する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施例を図面を参照して説明する。
【0011】
ミシンの骨格となる機枠(1)には、正面からエンドミル等の短い工具(79)によって水平左右方向に伸長する溝(3)が形成されている。この溝(3)はミシン正面部に開口部を有している。更に、この溝(3)は、針棒保持体用の針棒溝(3a、3b)、押え棒保持体用の押え棒溝(3c、3d)の4本の溝から成る。この針棒保持体用の針棒溝(3a、3b)は、上下方向に離れて平行に形成され対を成す。押え棒保持体用の押え棒溝(3c、3d)も同様の対を成す。これらの溝(3)は、ミシンの正面から同一形状の一般的な溝加工のため、特殊な治具類は不要で、工具も一般的なもの1種類で足りるので、高い生産効率を得られる。従って、加工時間の短縮や、組付時間の短縮を可能とし、コストダウンを図ることができる。
【0012】
目安線(5)が機枠(1)に形成され、それを後述の針棒(15)の最も太い部分(中心部)と対向させると、針板(7)の針落ち左右中心(7a)と後述の針(41)の中心とが一致する。針棒保持体(11、13)、押え棒保持体(51、53)は、同一外径の軸状である。この針棒保持体(11、13)、押え棒保持体(51、53)では、その軸方向長さがその直径よりも長い。この針棒保持体(11、13)には、針棒(15)と同径の穴(11a、13a)が形成され、この穴(11a,13a)の中心軸線と針棒保持体(11、13)の軸線とが直交する。また、押え棒保持体(51、53)には、押え棒(49)と同径の穴(51a、53a)が形成され、この穴(51a、53a)の中心線と押え棒保持体(51、53)の軸線とが直交する。
【0013】
また、この針(41)と、上ルーパ(43)、下ルーパ(45)とで縫い目を形成するように構成され、傾斜した針棒(15)や、上ルーパ(43)と下ルーパ(45)との運動、駆動軸(25)から得ることなどは周知の通りの機構(図示しない)である。更に、針棒(15)を上下動させる機構は、ミシン前面から取り付けるように構成されている。即ち、リンク(29)、上軸リンク(33)、揺動をリンク(35)、針棒抱(37)、針止具(39)は、ミシン前方より組み立て可能に構成されている。そして、ミシン下方の駆動軸(図略)には、偏心カム(27)が固定されている。また、押え棒(49)を昇降させる昇降装置は、周知の通りの機構(図示しない)である。
【0014】
以上のように構成されたミシンの組立について説明する。
【0015】
針棒保持体(11、13)が針棒溝(3a、3b)に摺動可能にミシン正面の開口部から係合され、押え棒保持体(51、53)が押え棒溝(3c、3d)に摺動可能にミシン正面の開口部から係合される。次に、針棒(15)を針棒保持体(11、13)の穴(11a、13a)に挿入し、その穴(11a,13a)によって、針棒(15)が針棒(15)の軸線方向に摺動可能に保持される。そして、針棒保持体(11、13)を回転することにより、針棒(15)に対する一対の針棒保持体(11、13)に形成された穴(11a、13a)どうしの芯を出す。更に、針棒(15)を左右方向に移動して、針落ち左右中心(7a)に対する針棒(15)の芯出しを行う。また、保持板(17、19)は、ねじ(21、23)で機枠(1)に固定され、保持板(17、19)は、針棒保持体(11、13)を機枠(1)との間で挟み込み、針棒保持体(11、13)を機枠(1)に固着させる。
【0016】
ミシン下方の駆動軸(図示しない)の偏心カム(27)により、リンク(29)を介し、機枠(1)に固着する上軸(31)に対し回動する上軸リンク(33)を揺動させるようにミシン前方より組み立てる。更に、この揺動をリンク(35)、針棒抱(37)により、針棒(15)を往復運動させるようにミシン前方より組み立てる。針棒抱(37)は、対の針棒保持体(11、13)の間に配置される。針棒(15)の下端には針止具(39)が固着され、1本または複数の針(41)が着脱可能に設置される。
【0017】
押え棒(49)についても同様で、押え棒保持体(51、53)の穴(51a、53a)に挿入し、この穴(51a、53a)によって、押え棒(49)が押え棒(49)の軸方向に摺動可能に保持される。押え棒保持体(51、53)を回転することにより、押え棒(49)に対する一対の押え棒保持体(51、53)に形成された穴(51a、53a)のどうしの芯を出す。更に、押え棒(49)を左右方向に移動して、針落ちの左右中心(7a)や針(41)に対する押え棒(49)の芯出しを行う。また、保持板(55、57)は、ねじ(59、61)で機枠(1)に固定され、保持板(55、57)は、押え棒保持体(51、53)を挟み込み、押え棒保持体(51、53)を機枠(1)に固着させる。
【0018】
押え棒(49)の押圧装置と、押え体の昇降装置は、対の押え棒保持体(51、53)の間に配置される。押え棒(49)の下端には押えホルダ(63)がミシン前方の操作によってネジ止めされ、押え(65)が着脱可能に設置される。この押え(65)は、針落ち点に対して良好に布を保持可能になる。
【0019】
上述した実施例によれば、軸状の針棒(15)、押え棒(49)がその軸線方向(上下)に離れた箇所でそれぞれ摺動可能に複数の針棒保持体(11、13)、押え棒保持体(51、53)に保持され、それらの針棒保持体(11、13)、押え棒保持体(51、53)が機枠(1)に対して針棒(15)、押え棒(49)の軸線方向に交差する左右水平方向に移動可能であって、機枠(1)に係合した針棒保持体(11、13)、押え棒保持体(51、53)の位置が保持板(17、19、55、57)によって固定されるので、針棒保持体(11、13)、押え棒保持体(51、53)の位置を針棒(15)、押え棒(49)の軸線方向に交差する水平左右方向に調節することができる。
【0020】
また、従来のように、針棒(15)、押え棒(49)を機枠(1)に挿通する穴を形成する場合、上下方向に離れた機枠(1)の2カ所で、その2カ所の穴の形成方向が針棒(15)、押え棒(49)の軸線方向に一致するように、長いドリルを用いて1度に成形する加工に比べ、上述した実施例によれば、傾斜した針棒(15)、押え棒(49)の軸線方向に直交する左右水平方向に伸長する溝(3)を別々に、短い工具であるエンドミルによって浅く形成しているので、加工時のぶれが少なく正確な加工が行える。
【0021】
更に、針棒(15)、押え棒(49)の軸線方向に交差する左右水平方向に溝(3)を形成する際には、機枠(1)を水平に載置した状態で加工するので、従来のように、針棒(15)、押え棒(49)の軸線方向に機枠(1)を傾斜する治具を用意する必要性や機枠(1)の配置状態(傾斜)を変更する手間が無く、針棒保持体(11、13)、押え棒保持体(51、53)と係合する部分(支持部)を容易に加工することができる。そして、針棒保持体(11、13)、押え棒保持体(51、53)は、他のミシンの各機構である上軸リンク(33)、揺動をリンク(35)、針棒抱(37)と同一方向の手前側から固定されるので、ミシンの生産ライン上で機枠(1)の向きを変える手間や装置が低減されている。そのため、ミシンの生産効率の向上とコストダウンとが図られている。
【0022】
上述した実施例においては、針棒保持体(11、13)、押え棒保持体(51、53)を機枠(1)の溝(3)に係合させた後に、針棒(15)、押え棒(49)が針棒保持体(11、13)、押え棒保持体(51、53)に保持されているが、針棒(15)、押え棒(49)を針棒保持体(11、13)、押え棒保持体(51、53)に挿通して組んだ後に、針棒保持体(11、13)と針棒(15)との組、押え棒保持体(51、53)と押え棒(49)との組を組毎、機枠(1)に取り付けるようにすれば、一対の保持体どうしの芯出しを前もって行っており、保持体の機枠(1)に対する位置決めが容易に行える。更に、上述した実施例では、機枠(1)に固着する上軸リンク(33)、揺動をリンク(35)、針棒抱(37)が、針棒(15)が機枠(1)に取り付けられた後に、針棒(15)に取り付けられているが、針棒(15)が機枠(1)に取り付けられる前に、針棒(15)に取り付けても良い。
【0023】
尚、上述した実施例では、針棒(15)と押え棒(49)との2本の軸に保持体を用いたが、往復動する他の軸状部材に用いても、また、1本の軸に用いても、良いことはいうまでもない。上述した実施例においては、機枠に位置決めの目安線(5)を設けたが針棒(15)や押え棒(49)に合わせて、位置合わせの目安線を設けても良い。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したことから明かなように、本発明の請求項1記載のミシンによれば、軸状部材がその軸線方向に離れた箇所でそれぞれ摺動可能に複数の保持体に保持され、その保持体が機枠に対して軸状部材の軸線方向に交差する方向に移動可能であって、機枠に係合した保持体の位置が固定手段によって固定されるので、保持体の位置を軸状部材の軸線方向に交差する方向に調節することができる。
【0025】
また、請求項2記載のミシンによれば、軸状部材の軸線方向が鉛直方向に交差し、この軸線方向に交差する方向に伸長する溝が形成されており、保持体と係合する支持部を容易に作成することができる。
【0026】
更に、請求項3記載のミシンによれば、移動機構を機枠へ取り付ける方向と同一な方向から、保持体が支持部に係合するので、機枠に対して保持体と移動機構とを同一方向から取り付けることができ、機枠の向きを変えるための治具の必要性や手間が低減されている。また、そのミシンの生産効率も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の側面図である。
【図2】本発明の正面図である。
【図3】本発明の針落ち部を示す斜視図である。
【図4】本発明の加工方法を示す側面図である。
【図5】本発明の保持体の斜視図である。
【図6】縁かがりミシンの正面図である。
【図7】針、上ルーパ、下ルーパの動きを示す斜視図である。
【図8】従来の縁かがりミシンの加工方法を示す側面図である。
【符号の説明】
1 機枠
11 針棒保持体
13 針棒保持体
15 針棒
49 押え棒
51 押え棒保持体
53 押え棒保持体
【発明の属する技術分野】
本発明は、針棒や押え棒などの軸状部材をその軸線方向に移動可能に備えるミシンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種のミシン、特に図6、7に示すように、縁かがりミシンと呼ばれているミシンは、1本もしくは複数の針(41)、上ルーパ(43)、下ルーパ(45)を持ち、各々に糸を保持する。そして、針(41)が上ルーパ(43)の後ろで上ルーパ糸(43a)をすくい(図7イ参照)、下ルーパ(45)が針(41)の後ろで針糸(41a)をすくい(図7ロ参照)、上ルーパ(43)が下ルーパ(45)の後ろで下ルーパ糸(45a)をすくう(図7ハ参照)。これを繰り返し縫い目が形成される。従って、必ず、針(41)が上ルーパ(43)の後ろを通り、下ルーパ(45)が針(41)の後ろを通り、上ルーパ(43)が下ルーパ(45)の後ろを通る軌跡となる。このため、針(41)、上ルーパ(43)、下ルーパ(45)のいずれかを傾ける必要があり、最も効果的な針棒が傾いている。これに伴い押え棒(49)も傾いている。
【0003】
従来、この種のミシンは、図8に示すように、針棒と押え棒とを保持する保持体は機枠と一体に形成され、機枠の一部として成されていた。しかしながら、上記のようなミシンでは、保持体を形成される部分は細長い形状をし、上下に分離していた。従って、針棒穴、押え棒穴を加工する際、専用機を用い、ドリルを治具(71)で支える必要があり、また、長いドリル(73)を使用するためドリルがぶれ、芯が出しにくかった。このため、針棒の作動が重く、送り棒の布厚、送り歯に対する追従が悪くなり、縫い目に悪影響が出た。そればかりでなく、機枠(1)をスタンド(75)に対し、正確に所定角度(18度)傾ける治具(77)が必要であり、コストアップがしいられた。
【0004】
さらに特公平2−43341号公報に記載のミシンがある。これは押え装置に関する発明であるが、押圧装置と、押え体の昇降装置の上下に機枠と別体の保持体を有する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この発明においても保持体をミシンに一意的に固定させているため、2個の保持体を左右方向(押え棒の軸線方向に交差する方向)には調整できない。そのため、押え棒の芯ずれ対策は充分とは言えず、針落ち左右中心と針棒中心とを合わせることもできない。さらに、保持体はミシンの側面に係合しているので、機枠を正面から90度回転させて加工、組付することが必要で手間であるという問題点がある。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、軸状部材をその軸方向に交差する方向に調節可能に取り付けることができるミシンを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために本発明の請求項1記載のミシンは、軸状部材をその軸線方向に離れた箇所でそれぞれ摺動可能に保持する複数の保持体と、保持体が軸状部材の軸線方向に交差する方向に移動可能なように、保持体それぞれに係合する支持部を複数形成された機枠と、機枠に係合した保持体の位置を固定するための固定手段とを備え、従って、保持体がその軸状部材の軸線方向に交差する方向に移動する。
【0008】
また、請求項2記載のミシンは、軸線方向が鉛直方向に交差する軸状部材と、軸線方向に交差する方向に伸長する溝を形成された機枠とを備え、従って、保持体が溝に沿って移動する。
【0009】
更に、請求項3記載のミシンは、軸状部材をその軸線方向に移動させる移動機構を備え、その移動機構を機枠へ取り付ける方向と同一な方向から、保持体が支持部に係合する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施例を図面を参照して説明する。
【0011】
ミシンの骨格となる機枠(1)には、正面からエンドミル等の短い工具(79)によって水平左右方向に伸長する溝(3)が形成されている。この溝(3)はミシン正面部に開口部を有している。更に、この溝(3)は、針棒保持体用の針棒溝(3a、3b)、押え棒保持体用の押え棒溝(3c、3d)の4本の溝から成る。この針棒保持体用の針棒溝(3a、3b)は、上下方向に離れて平行に形成され対を成す。押え棒保持体用の押え棒溝(3c、3d)も同様の対を成す。これらの溝(3)は、ミシンの正面から同一形状の一般的な溝加工のため、特殊な治具類は不要で、工具も一般的なもの1種類で足りるので、高い生産効率を得られる。従って、加工時間の短縮や、組付時間の短縮を可能とし、コストダウンを図ることができる。
【0012】
目安線(5)が機枠(1)に形成され、それを後述の針棒(15)の最も太い部分(中心部)と対向させると、針板(7)の針落ち左右中心(7a)と後述の針(41)の中心とが一致する。針棒保持体(11、13)、押え棒保持体(51、53)は、同一外径の軸状である。この針棒保持体(11、13)、押え棒保持体(51、53)では、その軸方向長さがその直径よりも長い。この針棒保持体(11、13)には、針棒(15)と同径の穴(11a、13a)が形成され、この穴(11a,13a)の中心軸線と針棒保持体(11、13)の軸線とが直交する。また、押え棒保持体(51、53)には、押え棒(49)と同径の穴(51a、53a)が形成され、この穴(51a、53a)の中心線と押え棒保持体(51、53)の軸線とが直交する。
【0013】
また、この針(41)と、上ルーパ(43)、下ルーパ(45)とで縫い目を形成するように構成され、傾斜した針棒(15)や、上ルーパ(43)と下ルーパ(45)との運動、駆動軸(25)から得ることなどは周知の通りの機構(図示しない)である。更に、針棒(15)を上下動させる機構は、ミシン前面から取り付けるように構成されている。即ち、リンク(29)、上軸リンク(33)、揺動をリンク(35)、針棒抱(37)、針止具(39)は、ミシン前方より組み立て可能に構成されている。そして、ミシン下方の駆動軸(図略)には、偏心カム(27)が固定されている。また、押え棒(49)を昇降させる昇降装置は、周知の通りの機構(図示しない)である。
【0014】
以上のように構成されたミシンの組立について説明する。
【0015】
針棒保持体(11、13)が針棒溝(3a、3b)に摺動可能にミシン正面の開口部から係合され、押え棒保持体(51、53)が押え棒溝(3c、3d)に摺動可能にミシン正面の開口部から係合される。次に、針棒(15)を針棒保持体(11、13)の穴(11a、13a)に挿入し、その穴(11a,13a)によって、針棒(15)が針棒(15)の軸線方向に摺動可能に保持される。そして、針棒保持体(11、13)を回転することにより、針棒(15)に対する一対の針棒保持体(11、13)に形成された穴(11a、13a)どうしの芯を出す。更に、針棒(15)を左右方向に移動して、針落ち左右中心(7a)に対する針棒(15)の芯出しを行う。また、保持板(17、19)は、ねじ(21、23)で機枠(1)に固定され、保持板(17、19)は、針棒保持体(11、13)を機枠(1)との間で挟み込み、針棒保持体(11、13)を機枠(1)に固着させる。
【0016】
ミシン下方の駆動軸(図示しない)の偏心カム(27)により、リンク(29)を介し、機枠(1)に固着する上軸(31)に対し回動する上軸リンク(33)を揺動させるようにミシン前方より組み立てる。更に、この揺動をリンク(35)、針棒抱(37)により、針棒(15)を往復運動させるようにミシン前方より組み立てる。針棒抱(37)は、対の針棒保持体(11、13)の間に配置される。針棒(15)の下端には針止具(39)が固着され、1本または複数の針(41)が着脱可能に設置される。
【0017】
押え棒(49)についても同様で、押え棒保持体(51、53)の穴(51a、53a)に挿入し、この穴(51a、53a)によって、押え棒(49)が押え棒(49)の軸方向に摺動可能に保持される。押え棒保持体(51、53)を回転することにより、押え棒(49)に対する一対の押え棒保持体(51、53)に形成された穴(51a、53a)のどうしの芯を出す。更に、押え棒(49)を左右方向に移動して、針落ちの左右中心(7a)や針(41)に対する押え棒(49)の芯出しを行う。また、保持板(55、57)は、ねじ(59、61)で機枠(1)に固定され、保持板(55、57)は、押え棒保持体(51、53)を挟み込み、押え棒保持体(51、53)を機枠(1)に固着させる。
【0018】
押え棒(49)の押圧装置と、押え体の昇降装置は、対の押え棒保持体(51、53)の間に配置される。押え棒(49)の下端には押えホルダ(63)がミシン前方の操作によってネジ止めされ、押え(65)が着脱可能に設置される。この押え(65)は、針落ち点に対して良好に布を保持可能になる。
【0019】
上述した実施例によれば、軸状の針棒(15)、押え棒(49)がその軸線方向(上下)に離れた箇所でそれぞれ摺動可能に複数の針棒保持体(11、13)、押え棒保持体(51、53)に保持され、それらの針棒保持体(11、13)、押え棒保持体(51、53)が機枠(1)に対して針棒(15)、押え棒(49)の軸線方向に交差する左右水平方向に移動可能であって、機枠(1)に係合した針棒保持体(11、13)、押え棒保持体(51、53)の位置が保持板(17、19、55、57)によって固定されるので、針棒保持体(11、13)、押え棒保持体(51、53)の位置を針棒(15)、押え棒(49)の軸線方向に交差する水平左右方向に調節することができる。
【0020】
また、従来のように、針棒(15)、押え棒(49)を機枠(1)に挿通する穴を形成する場合、上下方向に離れた機枠(1)の2カ所で、その2カ所の穴の形成方向が針棒(15)、押え棒(49)の軸線方向に一致するように、長いドリルを用いて1度に成形する加工に比べ、上述した実施例によれば、傾斜した針棒(15)、押え棒(49)の軸線方向に直交する左右水平方向に伸長する溝(3)を別々に、短い工具であるエンドミルによって浅く形成しているので、加工時のぶれが少なく正確な加工が行える。
【0021】
更に、針棒(15)、押え棒(49)の軸線方向に交差する左右水平方向に溝(3)を形成する際には、機枠(1)を水平に載置した状態で加工するので、従来のように、針棒(15)、押え棒(49)の軸線方向に機枠(1)を傾斜する治具を用意する必要性や機枠(1)の配置状態(傾斜)を変更する手間が無く、針棒保持体(11、13)、押え棒保持体(51、53)と係合する部分(支持部)を容易に加工することができる。そして、針棒保持体(11、13)、押え棒保持体(51、53)は、他のミシンの各機構である上軸リンク(33)、揺動をリンク(35)、針棒抱(37)と同一方向の手前側から固定されるので、ミシンの生産ライン上で機枠(1)の向きを変える手間や装置が低減されている。そのため、ミシンの生産効率の向上とコストダウンとが図られている。
【0022】
上述した実施例においては、針棒保持体(11、13)、押え棒保持体(51、53)を機枠(1)の溝(3)に係合させた後に、針棒(15)、押え棒(49)が針棒保持体(11、13)、押え棒保持体(51、53)に保持されているが、針棒(15)、押え棒(49)を針棒保持体(11、13)、押え棒保持体(51、53)に挿通して組んだ後に、針棒保持体(11、13)と針棒(15)との組、押え棒保持体(51、53)と押え棒(49)との組を組毎、機枠(1)に取り付けるようにすれば、一対の保持体どうしの芯出しを前もって行っており、保持体の機枠(1)に対する位置決めが容易に行える。更に、上述した実施例では、機枠(1)に固着する上軸リンク(33)、揺動をリンク(35)、針棒抱(37)が、針棒(15)が機枠(1)に取り付けられた後に、針棒(15)に取り付けられているが、針棒(15)が機枠(1)に取り付けられる前に、針棒(15)に取り付けても良い。
【0023】
尚、上述した実施例では、針棒(15)と押え棒(49)との2本の軸に保持体を用いたが、往復動する他の軸状部材に用いても、また、1本の軸に用いても、良いことはいうまでもない。上述した実施例においては、機枠に位置決めの目安線(5)を設けたが針棒(15)や押え棒(49)に合わせて、位置合わせの目安線を設けても良い。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したことから明かなように、本発明の請求項1記載のミシンによれば、軸状部材がその軸線方向に離れた箇所でそれぞれ摺動可能に複数の保持体に保持され、その保持体が機枠に対して軸状部材の軸線方向に交差する方向に移動可能であって、機枠に係合した保持体の位置が固定手段によって固定されるので、保持体の位置を軸状部材の軸線方向に交差する方向に調節することができる。
【0025】
また、請求項2記載のミシンによれば、軸状部材の軸線方向が鉛直方向に交差し、この軸線方向に交差する方向に伸長する溝が形成されており、保持体と係合する支持部を容易に作成することができる。
【0026】
更に、請求項3記載のミシンによれば、移動機構を機枠へ取り付ける方向と同一な方向から、保持体が支持部に係合するので、機枠に対して保持体と移動機構とを同一方向から取り付けることができ、機枠の向きを変えるための治具の必要性や手間が低減されている。また、そのミシンの生産効率も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の側面図である。
【図2】本発明の正面図である。
【図3】本発明の針落ち部を示す斜視図である。
【図4】本発明の加工方法を示す側面図である。
【図5】本発明の保持体の斜視図である。
【図6】縁かがりミシンの正面図である。
【図7】針、上ルーパ、下ルーパの動きを示す斜視図である。
【図8】従来の縁かがりミシンの加工方法を示す側面図である。
【符号の説明】
1 機枠
11 針棒保持体
13 針棒保持体
15 針棒
49 押え棒
51 押え棒保持体
53 押え棒保持体
Claims (3)
- 軸状部材をその軸線方向に移動可能に備えるミシンにおいて、
前記軸状部材をその軸線方向に離れた箇所でそれぞれ摺動可能に保持する複数の保持体と、
前記保持体が前記軸線方向に交差する方向に移動可能なように、前記保持体それぞれに係合する支持部を複数形成された機枠と、
前記機枠に係合した保持体の位置を固定するための固定手段と
を備えることを特徴とするミシン。 - 前記軸線方向が鉛直方向に交差する方向であり、前記支持部は前記軸線方向に交差する方向に伸長して形成された溝であることを特徴とする請求項1記載のミシン。
- 前記軸状部材をその軸線方向に移動させる移動機構を前記機枠へ取り付ける方向と同一方向から、前記保持体が前記支持部に係合することを特徴とする請求項1記載のミシン。
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Family Applications (1)
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JP17883095A Expired - Fee Related JP3674983B2 (ja) | 1995-07-14 | 1995-07-14 | ミシン |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3674983B2 (ja) |
-
1995
- 1995-07-14 JP JP17883095A patent/JP3674983B2/ja not_active Expired - Fee Related
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