JPWO2002055625A1 - 光反応性ホットメルト接着剤組成物 - Google Patents
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Abstract
常温で固体のポリエステルを配合せずとも、貼り合わせ直後から、接着剤の強度が高く、硬化完了後において優れた接着強度を発現し、接着物の耐久性に優れた光反応性ホットメルト接着剤の提供を目的とする。(a)常温で固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂と、(b)主鎖中にポリオキシアルキレン基を有し、末端に水酸基、エポキシ基または炭素原子数1〜8のアルコキシル基を有する化合物と、(c)光カチオン重合開始剤とを含む、光反応性ホットメルト接着剤組成物。
Description
技術分野
本発明は、加熱溶融塗工により適用され、光の照射により硬化が進行する光反応性ホットメルト接着剤組成物に関し、より詳細には、硬化物の耐久性に優れた光反応性ホットメルト接着剤組成物に関する。
背景技術
従来、溶剤を含まず耐環境性に優れているので、ホットメルト接着剤が様々な被着体を接着するのに幅広く用いられている。また、近年、加熱溶融塗工により適用された後、光を照射することにより硬化が進行する光反応性ホットメルト接着剤組成物が種々提案されている。この種の光反応性ホットメルト接着剤組成物では、光の照射により硬化が進行し、最終的に高い接着強度が得られる。
上記のような光反応性ホットメルト接着剤組成物として、エポキシ樹脂の開環重合を利用した光反応性ホットメルト接着剤組成物が種々提案されている。
例えば、特開平11−5964には、エポキシ樹脂と、熱可塑性樹脂と、光カチオン重合開始剤とを含む光反応性ホットメルト接着剤組成物が開示されている。
また、特開平11−116929には、カチオン重合性化合物としてのエポキシ化合物と、光カチオン重合開始剤と、1分子中に硫黄原子及びフェノール基を有する化合物からなる安定剤とを含む光反応性ホットメルト接着剤組成物が開示されている。
さらに、特開2000−8015には、1分子当たり、下記の式(6)の構造を平均2以上有する化合物であって、脂環式エポキシ以外のエポキシ基と、脂環式エポキシ基とを有するエポキシ化合物と、フェノール性OH基を有する化合物と、光カチオン重合開始剤とを含む光反応性ホットメルト接着剤が開示されている。
(なお、式(6)において、m、nは0、1または2、R15、R16、R17及びR18はいずれもメチル基、エチル基、イソプロピル基、イソアミル基、フェニル基または水素原子を示す。)
これらの光反応性ホットメルト接着剤では、いずれも、エポキシ基の開環重合を利用することにより、高い接着強度が発現されている。さらにエポキシ化合物を選択したり、フェノール基を有する化合物などを含有させたりすることにより、接着強度や硬化後の耐熱性の向上等が図られている。しかしながら、これらの光反応性ホットメルト接着剤により被着体同士を接着し、硬化が完了した後に、接着物を水に浸漬した場合、被着体と接着剤との界面において剥離が生じやすいという問題があった。
また、特開昭63−248825号公報には、エポキシ樹脂とUV触媒とポリ(アルキレンオキサイド)残基部分を含む固着剤とからなる硬化性組成物が開示されており、UV放射線に露出した際に遅れた硬化を示すため、露光後の開放時間中、例えば、接着剤として機能させたり、不透明基板同士を接着したりできる旨が記載されている。しかしながら、この先行技術においても、接着物の耐水性等には特に言及されていない。
他方、特開平6−306346号公報には、常温で固体のポリエステルと、エポキシ樹脂と、光カチオン重合開始剤とを含むエポキシ/ポリエステル系ホットメルト組成物が開示されている。ここでは、常温で固体のポリエステルを配合することにより、貼合わせ直後から、接着剤の強度が高くなる。従って、硬化完了に至るまで、クランプ等の仮固定作業を必要としない旨が記載されている。しかしながら、この先行技術においても、固体のポリエステルを配合しないで、固体のエポキシ樹脂と光開始剤の配合、もしくは、固体のエポキシ樹脂と光開始剤と低分子量のヒドロキシル含有材料の配合の場合には、貼合わせ直後は、接着剤の強度が低い旨が記載されている。また、この先行技術においても、接着物の耐水性等については特に言及されていない。
ところで、光カチオン反応性ホットメルト接着剤では、通常、接着剤が完全に硬化するまで継続して光を照射する必要がない。すなわち、いったん光を照射した後は光照射により発生した光カチオン活性種により硬化が暗反応で進行する。従って、不透明材料同士の貼りあわせなどのように、貼り合わせ後に被着体に光を透過させて、接着剤に光を照射することが難しい場合に、光カチオン反応性ホットメルト接着剤が使用されることが多い。
しかしながら、実質的に硬化が暗反応で進行するが、光が照射された接着剤の表層部分において、多数の光カチオン活性種が発生する。従って、接着剤表面に接着性の低い硬化皮膜が形成されやすく、特に接着剤に与えられる光照射エネルギーが大きすぎたり、光照射後すみやかに被着体と貼り合わされなかったりした場合には、硬化皮膜の存在によって、被着体と確実に接着することが困難となる。つまり、光カチオン反応性ホットメルト接着剤は光が照射されるまでは、実質的にポットライフが存在しないが、いったん光が照射されるとポットライフは比較的短い。
よって、光カチオン反応性接着剤では、ポットライフを延長するために硬化遅延剤と呼ばれる成分が加えられており、例えばホットメルト接着剤ではないが、特開昭63−248825号公報には、エポキシ樹脂及び紫外線活性型カチオン触媒に、硬化遅延剤としてポリアルキレンオキサイド骨格を有する化合物が加えられた液状の紫外線硬化性樹脂組成物が開示されている。ホットメルト接着剤でないため、厚膜塗工ができず、初期接着強度も低い。
また、上記にも記載したが、特開平6−306346号公報には、常温で固体のポリエステル樹脂とエポキシ樹脂と光カチオン重合開始剤とを含むホットメルト組成物が開示されており、硬化遅延剤としてポリオール成分が好ましいことが記載されている。
しかしながら、光カチオン反応性接着剤は、実質的に暗反応で接着剤が硬化する。従って、接着剤が完全に硬化するまでに時間がかかり、特に硬化遅延剤を含む場合はポットライフは延長されるものの、暗反応における硬化反応速度も遅くなる。よって、接着剤の接着強度が最大に達するまで、接着物を長時間養生しなければならないといった問題点があった。
また、硬化途中の接着剤の曲げ接着強度は高くなく、十分な曲げ接着強度を発現させるためには接着剤を完全に硬化させるまで待たねばならなかった。さらに、理由は不明であるが、硬化遅延剤を含む場合は接着剤が完全に硬化しても、高い曲げ接着強度が得られないといった問題もあった。
発明の開示
本発明は、上述した従来技術の現状に鑑み、加熱溶融塗工により容易に被着体に適用することができ、光の照射により硬化が完了する光反応性ホットメルト接着剤であって、貼り合わせ直後から接着剤の強度が高く、長時間の養生を必要とせず、さらに硬化完了後において優れた耐久接着性を発現する、光反応性ホットメルト接着剤組成物を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、硬化完了後に良好な接着性、特に親水性液体に対する耐性及び耐熱性に優れた硬化物を与える光反応性接着剤組成物を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、光照射後、十分な長さのポットライフを確保することができ、しかも接着剤の硬化が速やかに進む、すなわちポットライフと硬化時間のバランス性に優れた光反応性接着剤組成物を提供することにある。
本発明のある広い局面によれば、(a)常温で固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂と、(b)主鎖中にポリオキシアルキレン基を有し、末端に水酸基、エポキシ基または炭素原子数1〜8のアルコキシル基を有する化合物と、(c)光カチオン重合開始剤とを含む、光反応性ホットメルト接着剤組成物が提供される。上記化合物(b)としては、特に限定されないが例えば、下記の式(1)で表される化合物、テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体及びテトラメチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体からなる群から選択された1種の化合物が好ましく用いられる。
本発明の別の広い局面によれば、(a)常温で固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂と、(b)下記の式(1)で表される化合物、テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体及びテトラメチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体からなる群から選択された1種の化合物と、(c)光カチオン重合開始剤とを含む光反応性ホットメルト接着剤組成物が提供される。
(但し、式中、R1,R3は、水素、グリシジル基、または炭素原子数1〜8の1価で置換または非置換の炭化水素基、R2は、炭素数2〜8の2価の置換または非置換の炭化水素基を示し、nは2以上の整数である。なお、(OR2)nにおいては、n個のOR2のR2は異なっていてもよく、全て同一であってもよい。)
本発明に係る光反応性ホットメルト接着剤組成物では、上記ビスフェノールF型エポキシ樹脂を硬化成分として含有するため、硬化物の耐久接着性が高められる。
本発明のある特定の局面では、上記化合物(b)として、上記式(1)で示される化合物が用いられ、それによって、光照射後の硬化速度が適度に遅延され、十分なポットライフを確保することができる。
特に、式(1)で表れる化合物として、ポリテトラメチレンエーテルグリコールまたはポリエチレングリコールが好ましく用いられ、その場合には、ポットライフと硬化時間のバランス性がより一層高められる。すなわち、適度な長さのポットライフと、速やかな硬化時間が両立される。
また、本発明のある特定の局面では、上記式(1)で表される化合物としては、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルが用いられる。すなわち、式(1)で表される化合物は、末端にグリシジル基を有するエポキシ化合物であってもよい。
本発明の別の特定の局面では、上記化合物(b)として、上記テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体が用いられる。
本発明のさらに他の別の特定の局面では、上記化合物(b)として、テトラメチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体が用いられる。
化合物(b)がこれらの共重合体の一方からなる場合には、硬化物が耐水性に優れ、かつ十分なポットライフを確保することができる。
本発明のさらに別の特定の局面では、常温で液状のカチオン重合性樹脂が含有される。常温で液状のカチオン重合性樹脂を含有させることにより、光反応性ホットメルト接着剤組成物の硬化後の硬化物の弾力性及び可撓性が高められる。また、液状のカチオン重合性樹脂の配合により、カチオン重合が良好に進行し、硬化速度が高められる。さらに、硬化物の耐熱接着性も高められる。
常温で液状のカチオン重合性樹脂としては、好ましくは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂もしくは水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、あるいは、下記の式(2)で表されるアルキレンオキサイドを骨格に有する樹脂が用いられる。
(式中、R4及びR5は、水素原子またはメチル基を示し、R6及びR7は、下記の一般式(3)で表されるカチオン重合性反応基を示し、Yは、アルキレン基を示し、m及びnはそれぞれ、0または1以上の正の整数を示す。)
(式中、R8、R9、R10及びR11は、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソアミル基またはフェニル基を示し、R12、R13及びR14は、水素原子または有機基を示し、m及びnは、0、1または2を示す。)
本発明に係る光反応性ホットメルト接着剤組成物のさらに他の特定の局面では、前記式(1)で表される化合物がエポキシ化合物ではなく、全エポキシ樹脂100重量部に対し、式(1)で表される化合物が5〜40重量部の割合で配合されている。
本発明に係る光反応性ホットメルト接着剤組成物のさらに別の特定の局面では、前記式(1)で表される化合物がエポキシ化合物であり、前記式(1)で表される化合物を除く全エポキシ樹脂100重量部に対し、式(1)で表される化合物が5〜40重量部の割合で配合されている。
本発明に係る光反応性ホットメルト接着剤組成物のさらに他の特定の局面では、前記化合物(b)がテトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体またはテトラメチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体であって、全エポキシ樹脂100重量部に対し、化合物(b)が1〜40重量部の割合で配合されている。
本発明に係る光反応性ホットメルト接着剤組成物の別の特定の局面では、常温(23℃)で固形のポリエステル化合物が含有されていない。すなわち、固形のポリエステル化合物が含有されていなくとも、本発明に従って、光照射後の硬化が速やかに進行し、かつ十分な耐久接着性を発現する光反応性ホットメルト接着剤組成物が提供される。
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明に係る光反応性ホットメルト接着剤組成物では、光の照射により、光カチオン重合開始剤が活性化され、それによってビスフェノールF型エポキシ樹脂の開環重合が進行し、硬化が進行する。従って、硬化完了後には、優れた接着強度を発現する。また、ビスフェノールF型エポキシ樹脂と、上記式(1)で表される化合物、テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体またはテトラメチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体を用いているため、以下に詳述するように、水などの親水性液体に対する耐性及び耐熱性が高められる。さらに、ビスフェノールF型エポキシ樹脂と、テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体またはテトラメチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体とを用いた場合には、以下に詳述するように、光照射後十分な長さのポットライフを確保しつつ、接着剤を速やかに硬化させることができ、従って、接着強度が最大に達するまでの時間が短く、長時間の養生を必要としない光反応性ホットメルト接着剤を提供することができる。
(a)常温(23℃)で固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂
ビスフェノールF型エポキシ樹脂は、光の照射により光カチオン重合開始剤が活性化された場合に開環重合し、本発明に係る光反応性ホットメルト接着剤組成物に優れた接着強度を与える。ビスフェノールF型エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂に比べてフェニル基を連結している炭素原子に結合しているのが水素原子であるため、骨格のフレキシビリティが高く、硬化物において応力緩和性に優れているためであると考えられる。また、ビスフェノールF型エポキシ樹脂は、化合物(b)と反応し、硬化物の耐水性や親水性液体に対する耐性を高めるように作用する。
上記ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、特に限定されないが、例えば、重量平均分子量600〜60000程度の適宜のビスフェノールF型エポキシ樹脂を用いることができ、より具体的には、油化シェルエポキシエポキシ社製、商品名:エピコート4004P、エピコート4010Pなどを挙げることができる。
化合物(b)
本発明においては、化合物(b)として、主鎖中にポリオキシアルキレン基を有し、末端に水酸基、エポキシ基または炭素原子数1〜8のアルコキシル基を有する化合物が用いられる。化合物(b)はこの構造を有する限り特に限定されないが、上述した式(1)で表される化合物、テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体、またはテトラメチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体が好適に用いられる。
式(1)で表される化合物としては、上記式(1)を満たす限り特に限定されるわけではないが、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)、ポリエチレングリコール(PEG)またはポリエチレングリコールジグリシジルエーテルなどを挙げることができる。
PTMGは、H−(−O−CH2CH2CH2CH2−)n−OHで表わされる構造を有する。ここで、nは2以上の自然数である。
本発明において使用されるPTMGの分子量については特に限定されないが、重量平均分子量で1000以上のものが耐熱接着性を高める上で好ましい。また、重量平均分子量が1000以下のPTMGは常温で液状であるが、本発明においては、常温で液状及び固形のいずれのPTMGを用いることもできる。
PTMGの好ましい配合割合は、常温で固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂及び必要に応じて添加される常温で液状のエポキシ樹脂の合計100重量部に対し、5〜40重量部の範囲である。PTMGの配合割合が5重量部未満の場合には、硬化物の親水性液体に対する耐性を高める効果が十分に得られないことがあり、40重量部を越えると、硬化速度が非常に遅くなることがある。
ポリエチレングリコール(PEG)は、H−(−O−CH2CH2−)n−OHで表わされる構造を有する。ここで、nは2以上の自然数である。
本発明において使用されるPEGの分子量については特に限定されないが、重量平均分子量で600以上のものが耐熱接着性を高める上で特に好ましい。また、重量平均分子量が600以下のPEGは常温で液状であるが、本発明においては、常温で液状及び固形のいずれのPEGを用いることもできる。
PEGの好ましい配合割合は、常温で固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂及び必要に応じて添加される液状エポキシ樹脂の合計100重量部に対し、5〜40重量部の範囲である。PEGの配合割合が5重量部未満の場合には、硬化物の親水性液体に対する耐性を高める効果が十分に得られないことがあり、40重量部を越えると、硬化速度が非常に遅くなることがある。
本発明において用いられるポリエチレングリコールジグリシジルエーテルの分子量については特に限定されないが、重量平均分子量で200以上のものが耐熱接着性を高める上で好ましい。
上記ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルの好ましい配合割合は、該ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルを除く全エポキシ樹脂の合計100重量部に対し、5〜40重量部の範囲である。ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルの配合割合が5重量部未満の場合には、硬化物の親水性液体に対する耐性を高める効果が十分に得られないことがあり、40重量部を超えると、硬化速度が非常に遅くなるので望ましくない。
本発明で用いられるテトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体は、例えばテトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとを開環重合させることにより得ることができる。開環重合させて得られる共重合体は、例えば、開環重合触媒と多価ヒドロキシル化合物または多価フェノール化合物との存在下で、テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとを、オキシエチレン鎖が通常10〜60重量%になるように開環共重合させることにより製造される。開環共重合は、ブロック重合またはランダム付加重合のいずれでもよい。また、テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体は市販されており、例えばユニセーフDC1100(商品名、日本油脂社製)等がある。
上記多価ヒドロキシル化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール等の2価アルコール類、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール等の3価アルコール類、例えばソルビトール、シュークローズ等の4価以上の多価アルコール類等が挙げられる。また、多価フェノール類としては、例えばハイドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF等が挙げられる。
本発明で用いられるテトラメチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体は、例えばテトラメチレンオキシドとプロピレンオキシドとを開環重合させることにより得ることができる。開環重合させて得られる共重合体は、例えば、開環重合触媒と多価ヒドロキシル化合物または多価フェノール化合物との存在下で、テトラメチレンオキシドとプロピレンオキシドとを、オキシプロピレン鎖が通常10〜60重量%になるように開環共重合させることにより製造される。開環共重合は、ブロック重合またはランダム付加重合のいずれでもよい。また、テトラメチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体は市販されており、例えばユニセーフDCB1000(商品名、日本油脂社製)がある。
なお、テトラメチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体を得るにあたって用いられる多価ヒドロキシル化合物及び多価フェノール類としては、テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体を得るのに用いられる多価ヒドロキシル化合物及び多価フェノール類を同様に用いることができる。
上記テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体またはテトラメチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体の好ましい配合割合は、常温で固体のビスフェノールF型エポキシ樹脂及び必要に応じて添加される常温で液状のエポキシ樹脂の合計100重量部に対し、すなわち全エポキシ樹脂100重量部に対し、1〜40重量部、好ましくは5〜40重量部の割合とすることが好ましい。
配合割合が1重量部未満の場合には、硬化物の親水性液体に対する耐性を高める効果が十分に得られないおそれがあり、40重量部を越えると、硬化速度が非常に遅くなるおそれがある。5重量部以上の場合には、可撓性が高まり、シート成形した場合に割れ難くなる。
本発明において用いられるテトラメチレンオキシドとエチレンオキシドもしくはプロピレンオキシドとの共重合体の分子量については特に限定されないが、重量平均分子量で、200〜4000であることが好ましい。重量平均分子量が200以下になると引火点が低くなり、加熱塗工の安全性が損なわれるおそれがあり、重量平均分子量が4000以上であると相溶性が悪くなるおそれがある。
(c)光カチオン重合開始剤
本発明においては、光を照射されることにより活性化し、エポキシ樹脂の開環重合を引き起し得る限り、適宜の光カチオン重合開始剤が用いられる。光カチオン重合開始剤としては、例えばスルホニウム塩、ヨードニウム塩またはオニウム塩等が挙げられる。光カチオン重合開始剤の中でも、スルホニウム塩が好ましく、スルホニウム塩の中でも、特に芳香族スルホニウム塩が好ましい。芳香族スルホニウム塩としては、例えば米国特許第4256828号に開示されているものが挙げられ、具体的に例えば、トリフェニルスルホニウム塩、メチルジフェニルスルホニウム塩、ジメチルフェニルスルホニウム塩、ジフェニルナフチルスルホニウム塩またはジ(メトキシナフチル)メチルスルホニウム塩等が挙げられる。該芳香族スルホニウム塩の中でも、ヘキサフルオロホスフェートイオン(PF6 −)を対アニオンとして有している芳香族スルホニウム塩が好ましく、例えば米国特許第4256828号に開示されているものが挙げられ、具体的に例えば、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、メチルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジメチルフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルナフチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェートまたはジ(メトキシナフチル)メチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。対アニオンとして、PF6 −を有する芳香族スルホニウム塩は、硬化開始に有効な光を遮断した状態で接着剤を加熱溶融させた時(例えば、接着剤を製造する時に加熱溶融させた樹脂に対して光カチオン重合開始剤を投入した後やホットメルト接着剤として塗工するために加熱溶融された時)の加熱安定性が優れているという利点を有する。ここでいう「加熱安定性」とは、加熱だけでは、光カチオン重合開始剤がエポキシ樹脂の開環重合を起こしにくい、または、少ししか起こさないという意味である。このようなPF6 −を対アニオンとして有する芳香族スルホニウム塩は市販されており、商品名;SP−150(旭電化工業社製)、商品名;サイラキュアUVI−6990(ユニオンカーバイド社製)等がある。
上記光カチオン重合開始剤の配合量は、光の種類や強度、エポキシ樹脂の種類や量、カチオン重合開始剤の種類等によって異なるが、好ましくは、常温で固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂と、他のエポキシ樹脂との合計100重量部に対し、0.01〜10重量部の割合で配合される。なお、他のエポキシ樹脂とは、式(1)で表される化合物がエポキシ化合物の場合には該エポキシ化合物と、任意成分である常温液状エポキシ樹脂をいうものとする。
(d)液状カチオン重合性樹脂
本発明にかかる光反応性ホットメルト接着剤組成物では、上記常温で固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂に加えて、常温で液状のカチオン重合性樹脂が用いられてもよい。常温で液状のカチオン重合性樹脂については、常温(23℃)で液状である限り特に限定されない。例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス{〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ〕メチル}ベンゼンが挙げられ、中でも、接着物の親水性液体に対する耐性に優れているので、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が好適に用いられる。
常温で液状のカチオン重合性樹脂は、光反応性ホットメルト接着剤組成物の硬化後の硬化物の弾力性及び可撓性を高めるように作用する。また、カチオン重合性が高いため、常温で固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂単独ではカチオン重合が十分に進まない場合、液状カチオン重合性樹脂によりカチオン重合が良好に進行し、硬化速度を高めるとともに、硬化物の耐熱接着性をより一層高めるように作用する。
もっとも、液状カチオン重合性樹脂の含有量が多すぎると、親水性液体に対する耐性が低下し、水などの親水性液体に接着物が浸漬された場合、界面剥離が生じることがある。従って、液状カチオン重合性樹脂は、常温で固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂100重量部に対し、1〜40重量部の範囲で用いることが好ましい。
より好ましくは、上記カチオン重合性樹脂として、上述した式(2)で表されるアルキレンオキサイド骨格を有する樹脂が好適に用いられる。中でも、直鎖アルキレンオキサイドである方が可撓性に優れるので好ましく、特に、エチレンオキサイド骨格が好ましい。
式(2)で表される樹脂を用いた場合には、硬化性が高められ、より優れた耐久接着性が発現する。
このような式(2)で表される樹脂としての、ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、例えば、新日本理化社製、品番:BEO60Eが挙げられる。
(e)添加し得る他の成分
本発明にかかる光反応性ホットメルト接着剤組成物には、本発明の目的を阻害しない限り、必要に応じて他の成分を含有させることができる。このような他の成分としては、密着性向上剤、増感剤、脱水剤、老化防止剤、安定剤、可塑剤、ワックス、充填剤、難燃剤、発泡剤、帯電防止剤、防かび剤、粘度調整剤などを挙げることができる。添加し得る他の成分は、上記各成分に限定されるわけではなく、また添加し得る他の成分は2種以上添加されてもよい。
上記密着性向上剤としては、ポリエステルポリオール、ポリウレタンポリオール、末端がエポキシ基やアルコキシル基で変性されたポリエステルポリオールもしくはポリウレタンポリオールなどの常温で液状の化合物が挙げられる。なお、これらの密着性向上剤は、硬化遅延効果を有し得る。このような密着性向上剤として用いられる化合物の具体的な例としては、新中村化学工業社製、商品名:NKオリゴUA340P(液状ポリウレタン樹脂)、あるいはDESMOPHEN2000、2500、2501、2001KS、2502、2505、1700、1800及び2504のような飽和ポリエステルポリオールのDESMOPHENシリーズ(Miles Inc.から入手可能);S107、S−109、S−1011及びS−1014のような飽和ポリエステルポリオールのRUCOFLEXシリーズ(Ruco Corp.から入手可能);Dow Chemical Co.からのVORANOL234−630(トリメチロールプロパン)などを例示することができる。
なお、上述したポリエステルポリオールは、液状であるため、ホットメルト性は有さないので、加水分解により分解されたとしても、接着性を低下させない。
(f)本発明にかかる光反応性ホットメルト接着剤組成物の製造方法
本発明にかかる光反応性ホットメルト接着剤組成物の製造方法については、配合する各成分を混合し、均一に分散し得る限り、特に限定されない。もっとも、使用材料が溶融し得る適度な加熱条件下で各成分を混合する必要がある。また、製造に際しての各成分の混合分散は無溶媒で行ってもよく、不活性溶媒中で行ってもよい。また、各成分を混合する場合、カチオン重合を阻害する成分である水分の混入が少なくなるため、無水条件下で混合することが望ましい。
また、本発明にかかる光反応性ホットメルト接着剤組成物を製造するに際しては、硬化開始に有効な光を遮断した状態で行うことが必要である。
(g)接着方法及び用途
本発明にかかる光反応性ホットメルト接着剤組成物を用いた接着に際しては、該光反応性ホットメルト接着剤組成物を加熱溶融し、被着体の一方または双方に溶融状態で塗布する。被着体を貼り合わせる前、または貼り合わせた後に光反応性ホットメルト接着剤組成物に光を照射する。光の照射から速やかにエポキシ樹脂の開環重合が進行し、最終的に硬化が完了すると該接着強度が発現する。なお、上記光カチオン重合は暗反応で進行するため、光を照射した後、光の照射を停止した後においても硬化が進行し、硬化が完了する。
上記光反応性ホットメルト接着剤組成物を加熱溶融して被着体に塗布する方法についても特に限定されず、通常のホットメルトアプリケータやホットメルトコータなどを用いる方法、加熱溶融した光反応性ホットメルト接着剤組成物中に被着体を浸漬する方法、ホットメルトエアガンなどにより被着体に加熱溶融状態にある光反応性ホットメルト接着剤組成物を噴霧する方法、押出機などにより加熱溶融した光反応性ホットメルト接着剤組成物を被着体表面に押出する方法などが挙げられる。
上記硬化に際し照射される光については、光カチオン重合開始剤からカチオンを生成し得る限り、適宜の光を用いることができ、カチオン重合開始剤の種類に応じて適宜の光が用いられる。好ましくは、紫外線あるいは200〜600nmの波長の光が用いられる。特に、カチオン重合開始剤として芳香族スルホニウム塩を用いる場合には、200〜400nmの波長を含む光を用いることが望ましい。
光の照射量についても、カチオン重合開始剤の種類や光反応性ホットメルト接着剤組成物が塗布されている部分の厚みや量によっても異なるため、一義的には定め得ないが、0.001J〜10Jの範囲とすることが望ましい。
光の照射時間は、光の強度や、エポキシ樹脂の種類等により異なるので一概には言えないが、通常、0.1〜30秒で十分である。比較的厚く接着剤を塗工した場合には、上記範囲を超えて、光を照射することが好ましい。
光源としては、光として紫外線を用いる場合には、蛍光ランプや高圧水銀灯などの紫外線照射源として一般的に用いられているものを用いることができる。
なお、本発明にかかる光反応性ホットメルト接着剤組成物は、常態条件下において、光の照射により十分硬化し良好な接着力が得られるが、被着体の変形や劣化が発生しない範囲で加熱すると非常に高い接着力が得られるのでより好ましい。
本発明にかかる光反応性ホットメルト接着剤組成物が適用される被着体は特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレートなどのポリエステル樹脂、アクリル樹脂などのプラスチックからなる被着体の接着に好適に用いることができる。
もっとも、本発明にかかる光反応性ホットメルト接着剤組成物が適用される被着体はポリエチレンテレフタレートに限らず、他のプラスチック、エチレンプロピレンラバーなどのゴム、あるいは鉄、アルミニウムなどの金属もしくは合金;木材や紙などのセルロース系材料;皮革など広範な材料からの被着体に適用することができる。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の具体的な実施例を説明することにより、本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
I.実施例1〜21及び比較例1〜12
(実施例1)
液状エポキシ樹脂(新日本理化社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名:BEO60E)2重量部と、固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂1(油化シェルエポキシ社製、品番:エピコート4004P)15重量部と、固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂2(油化シェルエポキシ社製、品番:エピコート4010P)10重量部と、PTMG(三菱化学社製、品番:PTMG1000、重量平均分子量1000)4重量部と、光カチオン重合開始剤(ユニオンカーバイド社製、商品名:サイラキュアUVI−6990)3重量部とを、溶融混練機にて混練し、光反応性ホットメルト接着剤組成物を調製した。
(実施例2)
PTMGの配合割合を2重量部に変更したことを除いては、実施例1と同様にして、光反応性ホットメルト接着剤組成物を調製した。
(実施例3)
ビスフェノールF型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、品番:エピコート4004P)の配合割合を10重量部、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、品番:エピコート4010P)の配合割合を20重量部とし、PTMGの配合割合を8重量部としたことを除いては、実施例1と同様にして光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(比較例1)
PTMGに代えてスピノドール(商品名:大日本インキ社製、フタル酸ジエステル化合物)4重量部を用いたことを除いては、実施例1と同様にして光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(実施例4)
液状可撓性エポキシ樹脂(新日本理化社製、品番:BEO60E)を5重量部と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂1(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、油化シェルエポキシ社製、品番:エピコート4004P、分子量約1800)48重量部と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂2(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、油化シェルエポキシ社製、品番:エピコート4010P、分子量約9000)32重量部と、PTMG(三菱化学社製、重量平均分子量650)13重量部と、光カチオン重合開始剤(ユニオンカーバイド社製、商品名:サイラキュアUVI−6990)3重量部とを実施例1と同様にして混合し、光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(実施例5)
液状可撓性エポキシ樹脂(新日本理化社製、品番:BEO60E)2重量部と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂1(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、油化シェルエポキシ社製、品番:エピコート4004P、分子量約1800)15重量部と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂2(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、油化シェルエポキシ社製、品番:エピコート4010P、分子量約9000)10重量部と、ポリエチレングリコール(重量平均分子量650、常温で液状)4重量部と、光カチオン重合開始剤(ユニオンカーバイド社製、商品名:サイラキュアUVI−6990)3重量部とを実施例1と同様にして混合し、光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(実施例6)
ポリエチレングリコールとして、重量平均分子量1500のポリエチレングリコールを用いたことを除いては、実施例5と同様にして、光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(実施例7)
液状エポキシ樹脂(新日本理化社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名:BEO60E)2重量部と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂1(油化シェルエポキシ社製、品番:エピコート4004P)15重量部と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂2(油化シェルエポキシ社製、品番:エピコート4010P)10重量部と、PTMG(三菱化学社製、品番:PTMG1000、重量平均分子量1000)4重量部と、光カチオン重合開始剤(ユニオンカーバイド社製、商品名:サイラキュアUVI−6990)0.8重量部とを、溶融混練機にて混練し、光反応性ホットメルト接着剤組成物を調製した。
(実施例8)
PTMGの配合割合を2重量部に変更したことを除いては、実施例7と同様にして、光反応性ホットメルト接着剤組成物を調製した。
(実施例9)
PTMGの配合割合を8重量部としたことを除いては、実施例7と同様にして光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(比較例2)
PTMGに代えてスピノドール(商品名:大日本インキ社製、フタル酸ジエステル化合物)4重量部を用いたことを除いては、実施例7と同様にして光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(実施例10)
液状可撓性エポキシ樹脂(新日本理化社製、品番:BEO60E)を5重量部と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂1(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、油化シェルエポキシ社製、品番:エピコート4004P、分子量約1800)48重量部と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂2(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、油化シェルエポキシ社製、品番:エピコート4010P、分子量約9000)32重量部と、PTMG(三菱化学社製、重量平均分子量650)13重量部と、光カチオン重合開始剤(ユニオンカーバイド社製、商品名:サイラキュアUVI−6990)0.8重量部とを実施例1と同様にして混合し、光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(実施例11)
液状可撓性エポキシ樹脂(新日本理化社製、品番:BEO60E)2重量部と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂1(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、油化シェルエポキシ社製、品番:エピコート4004P、分子量約1800)15重量部と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂2(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、油化シェルエポキシ社製、品番:エピコート4010P、分子量約9000)10重量部と、ポリエチレングリコール(重量平均分子量1500)4重量部と、光カチオン重合開始剤(ユニオンカーバイド社製、商品名:サイラキュアUVI−6990)0.8重量部とを実施例1と同様にして混合し、光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(実施例12)
重量平均分子量650のポリエチレングリコールを用いたことを除いては、実施例11と同様にして、光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(実施例13)
ポリエチレングリコールとして、重量平均分子量600であり、凝固点が20.3℃の液体のポリエチレングリコールを用いたことを除いては、実施例11と同様にして、光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(実施例14)
PTMGに代えて、グリシジル化合物であるポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成社製、商品名:デナコールEX−832、重量平均分子量560、23℃で液体)2重量部を用いたことを除いては、実施例7と同様にして光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(実施例15)
ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルの配合割合を3重量部に変更したことを除いては、実施例14と同様にして光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(実施例16)
ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルの配合割合を6重量部に変更したことを除いては、実施例14と同様にして光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(比較例3)
ビスフェノールF型エポキシ樹脂1,2に代えて、下記の表1に示すように、ビスフェノールA型エポキシ樹脂1(油化シェルエポキシ社製、商品名:エピコート1001、重量平均分子量900)15重量部と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂2(油化シェルエポキシ社製、商品名:エピコート1010、重量平均分子量5500)10重量部とを用いたことを除いては、実施例7と同様にして光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(比較例4)
ビスフェノールF型エポキシ樹脂1,2に代えて、下記の表1に示すように、比較例3で用いたビスフェノールA型エポキシ樹脂1を48重量部と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂2を32重量部を用いたことを除いては、実施例10と同様にして、光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(比較例5)
実施例12におけるビスフェノールF型エポキシ樹脂1及びビスフェノールF型エポキシ樹脂2に代えて、ビスフェノールA型エポキシ樹脂1を15重量部及びビスフェノールA型エポキシ樹脂2を10重量部を用いたことを除いては、実施例12と同様にして、光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(比較例6)
ビスフェノールF型エポキシ樹脂1,2に代えて、ビスフェノールA型エポキシ樹脂1を15重量部と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂2を10重量部とを用いたことを除いては、実施例13と同様にして、光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(比較例7)
ビスフェノールF型エポキシ樹脂1,2に代えて、ビスフェノールA型エポキシ樹脂1を15重量部と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂2を10重量部とを用いたことを除いては、実施例15と同様にして、光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(実施例17)
ビスフェノールF型エポキシ樹脂1(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、油化シェルエポキシ社製、商品名:エピコート4004P、分子量約1800)10重量部と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂2(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、油化シェルエポキシ社製、商品名:エピコート4010P、分子量約9000)20重量部と、PTMG(三菱化学社製、重量平均分子量650)10重量部と、光カチオン重合開始剤(ユニオンカーバイド社製、商品名:サイラキュアUVI−6990)0.8重量部とを実施例1と同様にして混合し、光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(実施例18)
PTMGに代えて、ポリエチレングリコール(重量平均分子量600)10重量部を用いたことを除いては、実施例17と同様にして光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(実施例19)
PTMGに代えて、グリシジル化合物であるポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成社製、商品名:デナコールEX−832、重量平均分子量560、23℃で液体)6重量部を用いたことを除いては、実施例17と同様にして光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(比較例8)
ビスフェノールF型エポキシ樹脂1,2に代えて、下記の表1に示すように、ビスフェノールA型エポキシ樹脂1(油化シェルエポキシ社製、商品名:エピコート1001、重量平均分子量900)10重量部と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂2(油化シェルエポキシ社製、商品名:エピコート1010、重量平均分子量5500)20重量部とを用いたことを除いては、実施例17と同様にして光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(比較例9)
ビスフェノールF型エポキシ樹脂1,2に代えて、下記の表1に示すように、ビスフェノールA型エポキシ樹脂1(油化シェルエポキシ社製、商品名:エピコート1001、重量平均分子量900)10重量部と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂2(油化シェルエポキシ社製、商品名:エピコート1010、重量平均分子量5500)20重量部とを用いたことを除いては、実施例18と同様にして光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(比較例10)
ビスフェノールF型エポキシ樹脂1,2に代えて、下記の表1に示すように、ビスフェノールA型エポキシ樹脂1(油化シェルエポキシ社製、商品名:エピコート1001、重量平均分子量900)10重量部と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂2(油化シェルエポキシ社製、商品名:エピコート1010、重量平均分子量5500)20重量部とを用いたことを除いては、実施例19と同様にして光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(実施例及び比較例の評価)
上記のようにして得た各光反応性ホットメルト接着剤組成物について、組成を表1に示す。また、▲1▼常態接着性及び▲2▼耐水性及び▲3▼耐熱接着性を以下の要領で評価した。その結果を下記の表2に示す。
▲1▼常態接着性…23℃及び相対湿度50%雰囲気下で、被着体として1cm幅及び125μmの厚みのPETシート(白色ポリエチレンテレフタレートシート、東レ社製、商品名:ルミラーE2O)を2枚用意し、一方のPETシートの表面に光反応性ホットメルト接着剤組成物を300g/m2の割合で加熱溶融塗工し、超高圧水銀灯からの波長365nmの光を50mW/cm2の照射強度で30秒照射し、他方のPETシートを貼り合わせ、75℃、10kg/cm2で30秒間加熱プレスを行い、接着体を得、23℃で48時間養生した。この接着体について、23℃及び相対湿度50%の雰囲気下で、引っ張り速度300mm/分の条件で180度剥離試験を行った。剥離した状態を観察し、接着界面で剥離されているか、あるいは材料破壊が生じているか(すなわち、PETシートが材破しているか)を観察した。
▲2▼接着物の耐薬品性評価…常態接着性評価で得た接着体を23℃の恒温室で48時間養生した後、下記の表3のa〜i,k,lの各条件で各種水溶液に所定時間浸漬し、しかる後引き上げ、手によりPET同士を遠ざけるように力を加え剥離した。この剥離の際の状態を観察し、界面で剥離が生じているか、あるいは材料破壊が生じているかを観察した。
▲3▼接着物の耐ガソリン性評価…常態接着性評価で得た接着体を23℃の恒温室で48時間養生した後、下記の表3のjの条件で溶液に所定時間浸漬し、しかる後引き上げ、手によりPET同士を遠ざけるように力を加え剥離した。この剥離の際の状態を観察し、界面で剥離が生じているか、あるいは材料破壊が生じているかを観察した。
さらに材料破壊したものに関しては、完全材破を材破、部分材破で一部界面剥離しているものについては材破率を、
(接着界面に残っているPETの面積/貼合せ面積)×100(%)
で表2に表記した。
▲4▼耐熱性…常態接着性評価で得た接着体を接着面積が1cm×1cmである大きさに切り、オーブン内で剪断方向へ300g/cm2の荷重が加わるように300gの重りをぶら下げ、0.6℃/分の昇温速度で昇温しながら200℃までクリープ試験を行った。この試験で重りが落下した温度をその接着体の耐熱温度とした。200℃でも重りが落下しない場合、耐熱温度が200℃以上であると考えられる。
表1において、化合物を示す略号の詳細は以下の通りである。
BEO…液状エポキシ樹脂、新日本理化社製、商品名:リカレジンBEO−60E
BisA01P…ビスフェノールA型エポキシ樹脂1(油化シェルエポキシ社製、商品名:エピコート1001、分子量900)
BisA10P…ビスフェノールA型エポキシ樹脂2(油化シェルエポキシ社製、商品名:エピコート1010、分子量5500)
BisF04P…ビスフェノールF型エポキシ樹脂1(油化シェルエポキシ社製、商品名:エピコート4004P、分子量約1800)
BisF10P…ビスフェノールF型エポキシ樹脂2(油化シェルエポキシ社製、商品名:エピコート4010P、分子量約9000)
また、PTMG、PEG及びグリシジル化合物の下の数字はそれぞれ分子量を意味する。
表2から明らかなように、比較例1,2では、スピノドールを添加しているため、常態接着性が良好であるが、接着体の親水性液体に対する耐性が十分でないことがわかる。
また、比較例3〜10では、ビスフェノールF型エポキシ樹脂に代えてビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いたため、同様に、接着体の親水性液体に対する耐性が十分でない。
これに対して、実施例1〜19では、いずれも、常態接着性に優れているだけでなく、接着物の親水性液体に対する耐性、耐薬品性においても優れていることがわかる。
さらには、ガソリン浸漬試験に代用される非極性液体に対する耐性においても、比較例と同等の性能を維持し、良好である。
さらに、実施例1〜19では、接着体の耐熱性においても優れていることがわかる。
(実施例20)
ビスフェノールF型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、品番:エピコート4004P)25重量部と、PTMG(三菱化学社製、品番:PTMG1000、重量平均分子量1000)4重量部と、光カチオン重合開始剤(ユニオンカーバイド社製、商品名:サイラキュアUVI−6990)2重量部とを、溶融混練機にて混練し、光反応性ホットメルト接着剤組成物を調製した。
(実施例21)
PTMGを配合しなかった代わりに、テトラメチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体(日本油脂社製、品番:ユニセーフDCB1000、オキシプロピレン鎖50重量%、重量平均分子量1000)4重量部を用いたことを除いては、実施例20と同様にして光反応性ホットメルト接着剤組成物を調製した。
(比較例11)
ビスフェノールA型ジグリシジルエーテルであるエポキシ樹脂(Shell Chemical Co.製、品番:EPON 1001F)67.2重量部と、ポリエステル(Huels America,Inc.製不飽和直鎖コポリエステル、品番:DYNAPOL S1402)10.0重量部と、ヒドロキシル含有剤を(Dow Chemical Co.製、グリセロールポリプロピレンオキシド付加物、品番:VORANOL230−238)22.8重量部と、光開始剤(米国特許第4,321,951号に開示されているように製造されたトリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート光開始剤)1重量部とを溶融混練機により混練し、光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(比較例12)
エポキシ樹脂の配合割合を44.0重量部、ポリエステルの配合割合を40重量部、ヒドロキシル含有材料の配合割合を15重量部に変更したことを除いては、比較例11と同様にして光反応性ホットメルト接着剤組成物を調製した。
(比較例13)
ビスフェノールA型ジグリシジルエーテルであるエポキシ樹脂(Shell Chemical Co.製、品番:EPON 1001F)74.0重量部と、ヒドロキシル含有剤を(Dow Chemical Co.製、グリセロールポリプロピレンオキシド付加物、品番:VORANOL230−238)25.0重量部と、光開始剤(米国特許第4,321,951号に開示されているように製造されたトリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート光開始剤)1重量部とを溶融混練機により混練し、光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(実施例20,21及び比較例11〜13の評価)
上記実施例20,21及び比較例11〜13で得た各光反応性ホットメルト接着剤組成物について、実施例1と同様に、▲1▼常態接着性、▲2▼耐薬品性、▲3▼耐ガソリン性及び▲4▼耐熱性を評価した。但し、いずれにおいても養生時間は144時間に変更した。結果を下記の表4に示す。
II.実施例2−1〜3−2及び比較例2−1〜3−2
なお、以下の比較例2−1〜3−2は、化合物(b)としてテトラメチレンオキシドとエチレンオキシドもしくはプロピレンオキシドとの共重合体を用いた実施例2−1〜3−2のより優れた効果を表すために記載されているが、比較例2−1〜3−2は、式(1)の化合物を化合物(b)として用いた接着剤であり、本発明の実施例でもある。
〔実施例2−1〕
常温で固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、品番:エピコート4004P)16.5重量部と、常温で固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、品番:エピコート4010P)10重量部と、テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体(日本油脂社製、品番:ユニセーフDC1100、オキシエチレン鎖50重量%、重量平均分子量1100)4.5重量部と、光カチオン重合開始剤(ユニオンカーバイド社製、商品名:サイラキュアUVI−6990)1重量部とを、溶融混練機にて混練して、光反応性ホットメルト接着剤を調製した。
〔実施例2−2〕
テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体を、品番:ユニセーフDC1800(日本油脂社製、オキシエチレン鎖50重量%、重量平均分子量1800)に変更したことを除いては、実施例2−1と同様にして、光反応性ホットメルト接着剤を調製した。
〔実施例2−3〕
テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体を、品番:テトラキシノールAS200(三洋化成社製、オキシエチレン鎖30重量%、重量平均分子量2000)に変更したことを除いては、実施例2−1と同様にして、光反応性ホットメルト接着剤を調製した。
〔実施例2−4〕
液体可とう性エポキシ樹脂(新日本理化社製、品番:BEO60E)1.5重量部と、常温で固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、品番:エピコート4004P、分子量約1800)15重量部と、常温で固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、品番:エピコート4010P、分子量約9000)10重量部と、テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体(日本油脂社製、品番:ユニセーフDC1100、オキシエチレン鎖50重量%、重量平均分子量1100)4.5重量部と、光カチオン重合開始剤(ユニオンカーバイド社製、商品名:サイラキュアUVI−6990)1重量部とを、溶融混練機にて混練して、光反応性ホットメルト接着剤を調製した。
〔実施例2−5〕
テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体を、品番:ユニセーフDC1800(日本油脂社製、オキシエチレン鎖50重量%、重量平均分子量1800)に変更したことを除いては、実施例2−4と同様にして、光反応性ホットメルト接着剤を調製した。
〔実施例2−6〕
テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体を、品番:テトラキシノールAS200(三洋化成社製、オキシエチレン鎖50重量%、重量平均分子量2000)に変更したことを除いては、実施例2−1と同様にして、光反応性ホットメルト接着剤を調製した。
〔比較例2−1〕
テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体を、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(三菱化学社製、品番:PTMG1000、重量平均分子量1000)に変更したことを除いては、実施例2−1と同様にして、光反応性ホットメルト接着剤を調製した。
〔比較例2−2〕
テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体を、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(三菱化学社製、品番:PTMG2000、重量平均分子量2000)に変更したことを除いては、実施例2−1と同様にして、光反応性ホットメルト接着剤を調製した。
〔比較例2−3〕
テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体を、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(三菱化学社製、品番:PTMG1000、重量平均分子量1000)に変更したことを除いては、実施例2−4と同様にして、光反応性ホットメルト接着剤を調製した。
〔比較例2−4〕
テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体を、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(三菱化学社製、品番:PTMG2000、重量平均分子量2000)に変更したことを除いては、実施例2−4と同様にして、光反応性ホットメルト接着剤を調製した。
〔実施例および比較例の評価〕
上記のようにして得た各光反応性ホットメルト接着剤の組成を表5に示す。また、▲1▼常態接着性、▲2▼耐水性、▲3▼耐熱性および▲4▼ゲル分率を以下の要領で評価した。その結果を下記の表6に示す。
▲1▼常態接着性…養生時間を96時間としたこと以外は、実施例1の常態接着性評価と同様にして評価した。
▲2▼接着物の耐水性評価…常態接着性評価で作製した接着体と同様な方法で作製した接着体を23℃の恒温室で96時間養生した後、水に所定時間浸漬し、しかる後引き上げ、手によりPET同士を遠ざけるように力を加え剥離した。この剥離の際の状態を観察し、界面で剥離が生じているか、あるいは材料破壊が生じているかを観察した。
さらに材料破壊したものに関しては、完全に材料破壊を起こしたものを材破として表6に記した。また、部分的に材料破壊が見られ、一部が界面剥離しているものについては材破率を、以下に示す式4により求めて表6に表記した。
〔式4〕
材破率(%)=(接着界面に残っているPETの面積/貼合せ面積)×100
▲3▼耐熱性…実施例1の耐熱性評価と同様に評価した。
▲4▼ゲル分率…▲1▼に記載した常態接着性において、被着体であるPETシートからはみ出た部分の接着剤をガラス瓶に0.4g精秤し、30gのメチルエチルケトン(以下MEKと略す)を加えた後にフタをし、常温で24時間振とう機にかけた。その後、MEK不溶分を200メッシュの金網でろ過し、さらに120℃で2時間乾燥し、MEKを全て揮発させた後、下記式5によりゲル分率を計算した。
〔式5〕
ゲル分率(%)=MEK不溶分の乾燥後の重量(g)/0.4g×100
上記のゲル分率測定試験を1つのサンプルにつき、3回実施し、3回の測定値の平均値を表6に記載した。
なお、この数値が高いほど、架橋反応が進んでおり、耐溶剤性が高い(つまり、溶剤に溶けにくい)とみなす。
さらに上記した4種類の試験について、養生条件を長時間養生する通常の養生条件から短時間の養生条件に変えて同様の試験を行った。すなわち、75℃、100N/cm2で30秒間加熱プレスを行い、接着体を得た後に、さらに23℃で96時間放置しておく通常の養生条件から、75℃、100N/cm2で10分間加熱プレスを行い、接着体を得た後に、さらに23℃で5分間放置しておく短時間の養生条件に変えて、サンプルを作製し、上記4種類の試験を行った。結果を通常の養生条件の結果と合わせて、表6に示す。
表6から明らかなように、比較例2−1、2−2、2−3および2−4では、テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体の代わりに、ポリテトラメチレンエーテルグリコールを添加しているため、通常の養生条件では、各性能が良好であるが、促進養生条件では、各性能が十分ではないことがわかる。
これに対して、実施例2−1〜2−6では、いずれの養生条件でも、各性能において優れていることがわかる。
〔実施例3−1〕
常温で固体のビスフェノールF型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、品番:エピコート4004P)16.5重量部と、常温で固体のビスフェノールF型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、品番:エピコート4010P)10重量部と、テトラメチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体(日本油脂社製、品番:ユニセーフDCB1000、オキシプロピレン鎖50重量%、重量平均分子量1000)4.5重量部と、光カチオン重合開始剤(ユニオンカーバイド社製、商品名:サイラキュアUVI−6990)1重量部とを、溶融混練機にて混練して、光反応性ホットメルト接着剤を調製した。
〔実施例3−2〕
常温で液体のエポキシ樹脂(新日本理化社製、品番:BEO60E)1.5重量部を加えたこと以外は実施例3−1と同様にして混合して、光反応性ホットメルト接着剤を得た。
〔比較例3−1〕
テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体を、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(三菱化学社製、品番:PTMG1000、重量平均分子量1000)にかえたことを除いては、実施例3−1と同様にして光反応性ホットメルト接着剤を得た。
〔比較例3−2〕
テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体を、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(三菱化学社製、品番:PTMG1000、重量平均分子量1000)にかえたことを除いては、実施例3−2と同様にして光反応性ホットメルト接着剤を得た。
〔実施例および比較例の評価〕
上記のようにして得た各光反応性ホットメルト接着剤の組成を表7に示す。また、▲1▼常態接着性、▲2▼耐水性、▲3▼耐熱性および▲4▼曲げ接着強さを以下の要領で評価した。その結果を下記の表8に示す。
▲1▼常態接着性…養生時間を96時間としたことを除いては、実施例1の常態接着性評価と同様にして評価した。
▲2▼接着物の耐水性評価…実施例2−1と同様にして評価した。さらに材料破壊したものに関しては、完全に材料破壊を起こしたものを材破、部分的に材料破壊が見られ、一部が界面剥離しているものについては材破率を、以下に示す式により求めて表8に表記した。
材破率(%)=(接着界面に残っているPETの面積/貼合せ面積)×100
▲3▼耐熱性…養生時間を96時間としたことを除いては、実施例1の耐熱性評価と同様に評価した。
▲4▼曲げ接着強さ…厚さ1.5mmのポリエチレンテレフタレート製樹脂板を2枚用意し、一方の樹脂板の端部に光反応性ホットメルト接着剤を300g/m2の割合で加熱溶融塗工し、超高圧水銀灯を使用して、波長365nmの光を50mW/cm2の照射強度で30秒間照射し、他方の樹脂板の一方の端部と貼りあわせ、75℃、100N/cm2で30秒間加熱プレスを行い、接着体を得た後、直ちにJIS K 6856「接着剤の曲げ接着強さの試験方法」に準じて曲げ接着強度を測定した。また、別途同様に作製した接着体を23℃で96時間養生したあと同様の測定方法で曲げ接着強度を測定した。
表8から明らかなように、比較例3−1および比較例3−2では、テトラメチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体の代わりに、ポリテトラメチレンエーテルグリコールを添加しているため、曲げ接着強さが十分でないことがわかる。
これに対して、実施例3−1および実施例3−2では、常態接着性、耐水性、耐熱性および曲げ接着強さの全てに優れていることがわかる。
発明の効果
本発明に係る光反応性ホットメルト接着剤組成物では、常温で固体のビスフェノールF型エポキシ樹脂と、式(1)で表される化合物、テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体、及びテトラメチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体からなる群から選択した少なくとも1種の化合物(b)と、光カチオン重合開始剤とを含むので、光の照射により光カチオン重合開始剤が活性化され、それによってビスフェノールF型エポキシ樹脂の開環重合が進行し、硬化する。従って、光の照射により速やかに硬化し、フレキシビリティに優れているが、樹脂強度も高く、優れた接着強度が発現される。
加えて、常温で固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂と、化合物(b)との反応により、接着物の親水性液体に対する耐性が高められると共に、接着物の耐熱接着性も高められる。
よって、接着物の親水性液体に対する耐性及び耐熱性に優れた光反応性ホットメルト接着剤組成物を提供することができる。
さらに、上記化合物(b)として、テトラメチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体を用いた場合、接着物の曲げ強度も効果的に高められる。
また、テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体を化合物(b)として用いた場合、光照射後十分なポットライフを確保することができ、速硬化性と十分な長さのポットライフとを両立することができる。
常温で固体のポリエステルを含まないので、加水分解による劣化が生じ難い。
本発明は、加熱溶融塗工により適用され、光の照射により硬化が進行する光反応性ホットメルト接着剤組成物に関し、より詳細には、硬化物の耐久性に優れた光反応性ホットメルト接着剤組成物に関する。
背景技術
従来、溶剤を含まず耐環境性に優れているので、ホットメルト接着剤が様々な被着体を接着するのに幅広く用いられている。また、近年、加熱溶融塗工により適用された後、光を照射することにより硬化が進行する光反応性ホットメルト接着剤組成物が種々提案されている。この種の光反応性ホットメルト接着剤組成物では、光の照射により硬化が進行し、最終的に高い接着強度が得られる。
上記のような光反応性ホットメルト接着剤組成物として、エポキシ樹脂の開環重合を利用した光反応性ホットメルト接着剤組成物が種々提案されている。
例えば、特開平11−5964には、エポキシ樹脂と、熱可塑性樹脂と、光カチオン重合開始剤とを含む光反応性ホットメルト接着剤組成物が開示されている。
また、特開平11−116929には、カチオン重合性化合物としてのエポキシ化合物と、光カチオン重合開始剤と、1分子中に硫黄原子及びフェノール基を有する化合物からなる安定剤とを含む光反応性ホットメルト接着剤組成物が開示されている。
さらに、特開2000−8015には、1分子当たり、下記の式(6)の構造を平均2以上有する化合物であって、脂環式エポキシ以外のエポキシ基と、脂環式エポキシ基とを有するエポキシ化合物と、フェノール性OH基を有する化合物と、光カチオン重合開始剤とを含む光反応性ホットメルト接着剤が開示されている。
(なお、式(6)において、m、nは0、1または2、R15、R16、R17及びR18はいずれもメチル基、エチル基、イソプロピル基、イソアミル基、フェニル基または水素原子を示す。)
これらの光反応性ホットメルト接着剤では、いずれも、エポキシ基の開環重合を利用することにより、高い接着強度が発現されている。さらにエポキシ化合物を選択したり、フェノール基を有する化合物などを含有させたりすることにより、接着強度や硬化後の耐熱性の向上等が図られている。しかしながら、これらの光反応性ホットメルト接着剤により被着体同士を接着し、硬化が完了した後に、接着物を水に浸漬した場合、被着体と接着剤との界面において剥離が生じやすいという問題があった。
また、特開昭63−248825号公報には、エポキシ樹脂とUV触媒とポリ(アルキレンオキサイド)残基部分を含む固着剤とからなる硬化性組成物が開示されており、UV放射線に露出した際に遅れた硬化を示すため、露光後の開放時間中、例えば、接着剤として機能させたり、不透明基板同士を接着したりできる旨が記載されている。しかしながら、この先行技術においても、接着物の耐水性等には特に言及されていない。
他方、特開平6−306346号公報には、常温で固体のポリエステルと、エポキシ樹脂と、光カチオン重合開始剤とを含むエポキシ/ポリエステル系ホットメルト組成物が開示されている。ここでは、常温で固体のポリエステルを配合することにより、貼合わせ直後から、接着剤の強度が高くなる。従って、硬化完了に至るまで、クランプ等の仮固定作業を必要としない旨が記載されている。しかしながら、この先行技術においても、固体のポリエステルを配合しないで、固体のエポキシ樹脂と光開始剤の配合、もしくは、固体のエポキシ樹脂と光開始剤と低分子量のヒドロキシル含有材料の配合の場合には、貼合わせ直後は、接着剤の強度が低い旨が記載されている。また、この先行技術においても、接着物の耐水性等については特に言及されていない。
ところで、光カチオン反応性ホットメルト接着剤では、通常、接着剤が完全に硬化するまで継続して光を照射する必要がない。すなわち、いったん光を照射した後は光照射により発生した光カチオン活性種により硬化が暗反応で進行する。従って、不透明材料同士の貼りあわせなどのように、貼り合わせ後に被着体に光を透過させて、接着剤に光を照射することが難しい場合に、光カチオン反応性ホットメルト接着剤が使用されることが多い。
しかしながら、実質的に硬化が暗反応で進行するが、光が照射された接着剤の表層部分において、多数の光カチオン活性種が発生する。従って、接着剤表面に接着性の低い硬化皮膜が形成されやすく、特に接着剤に与えられる光照射エネルギーが大きすぎたり、光照射後すみやかに被着体と貼り合わされなかったりした場合には、硬化皮膜の存在によって、被着体と確実に接着することが困難となる。つまり、光カチオン反応性ホットメルト接着剤は光が照射されるまでは、実質的にポットライフが存在しないが、いったん光が照射されるとポットライフは比較的短い。
よって、光カチオン反応性接着剤では、ポットライフを延長するために硬化遅延剤と呼ばれる成分が加えられており、例えばホットメルト接着剤ではないが、特開昭63−248825号公報には、エポキシ樹脂及び紫外線活性型カチオン触媒に、硬化遅延剤としてポリアルキレンオキサイド骨格を有する化合物が加えられた液状の紫外線硬化性樹脂組成物が開示されている。ホットメルト接着剤でないため、厚膜塗工ができず、初期接着強度も低い。
また、上記にも記載したが、特開平6−306346号公報には、常温で固体のポリエステル樹脂とエポキシ樹脂と光カチオン重合開始剤とを含むホットメルト組成物が開示されており、硬化遅延剤としてポリオール成分が好ましいことが記載されている。
しかしながら、光カチオン反応性接着剤は、実質的に暗反応で接着剤が硬化する。従って、接着剤が完全に硬化するまでに時間がかかり、特に硬化遅延剤を含む場合はポットライフは延長されるものの、暗反応における硬化反応速度も遅くなる。よって、接着剤の接着強度が最大に達するまで、接着物を長時間養生しなければならないといった問題点があった。
また、硬化途中の接着剤の曲げ接着強度は高くなく、十分な曲げ接着強度を発現させるためには接着剤を完全に硬化させるまで待たねばならなかった。さらに、理由は不明であるが、硬化遅延剤を含む場合は接着剤が完全に硬化しても、高い曲げ接着強度が得られないといった問題もあった。
発明の開示
本発明は、上述した従来技術の現状に鑑み、加熱溶融塗工により容易に被着体に適用することができ、光の照射により硬化が完了する光反応性ホットメルト接着剤であって、貼り合わせ直後から接着剤の強度が高く、長時間の養生を必要とせず、さらに硬化完了後において優れた耐久接着性を発現する、光反応性ホットメルト接着剤組成物を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、硬化完了後に良好な接着性、特に親水性液体に対する耐性及び耐熱性に優れた硬化物を与える光反応性接着剤組成物を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、光照射後、十分な長さのポットライフを確保することができ、しかも接着剤の硬化が速やかに進む、すなわちポットライフと硬化時間のバランス性に優れた光反応性接着剤組成物を提供することにある。
本発明のある広い局面によれば、(a)常温で固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂と、(b)主鎖中にポリオキシアルキレン基を有し、末端に水酸基、エポキシ基または炭素原子数1〜8のアルコキシル基を有する化合物と、(c)光カチオン重合開始剤とを含む、光反応性ホットメルト接着剤組成物が提供される。上記化合物(b)としては、特に限定されないが例えば、下記の式(1)で表される化合物、テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体及びテトラメチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体からなる群から選択された1種の化合物が好ましく用いられる。
本発明の別の広い局面によれば、(a)常温で固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂と、(b)下記の式(1)で表される化合物、テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体及びテトラメチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体からなる群から選択された1種の化合物と、(c)光カチオン重合開始剤とを含む光反応性ホットメルト接着剤組成物が提供される。
(但し、式中、R1,R3は、水素、グリシジル基、または炭素原子数1〜8の1価で置換または非置換の炭化水素基、R2は、炭素数2〜8の2価の置換または非置換の炭化水素基を示し、nは2以上の整数である。なお、(OR2)nにおいては、n個のOR2のR2は異なっていてもよく、全て同一であってもよい。)
本発明に係る光反応性ホットメルト接着剤組成物では、上記ビスフェノールF型エポキシ樹脂を硬化成分として含有するため、硬化物の耐久接着性が高められる。
本発明のある特定の局面では、上記化合物(b)として、上記式(1)で示される化合物が用いられ、それによって、光照射後の硬化速度が適度に遅延され、十分なポットライフを確保することができる。
特に、式(1)で表れる化合物として、ポリテトラメチレンエーテルグリコールまたはポリエチレングリコールが好ましく用いられ、その場合には、ポットライフと硬化時間のバランス性がより一層高められる。すなわち、適度な長さのポットライフと、速やかな硬化時間が両立される。
また、本発明のある特定の局面では、上記式(1)で表される化合物としては、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルが用いられる。すなわち、式(1)で表される化合物は、末端にグリシジル基を有するエポキシ化合物であってもよい。
本発明の別の特定の局面では、上記化合物(b)として、上記テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体が用いられる。
本発明のさらに他の別の特定の局面では、上記化合物(b)として、テトラメチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体が用いられる。
化合物(b)がこれらの共重合体の一方からなる場合には、硬化物が耐水性に優れ、かつ十分なポットライフを確保することができる。
本発明のさらに別の特定の局面では、常温で液状のカチオン重合性樹脂が含有される。常温で液状のカチオン重合性樹脂を含有させることにより、光反応性ホットメルト接着剤組成物の硬化後の硬化物の弾力性及び可撓性が高められる。また、液状のカチオン重合性樹脂の配合により、カチオン重合が良好に進行し、硬化速度が高められる。さらに、硬化物の耐熱接着性も高められる。
常温で液状のカチオン重合性樹脂としては、好ましくは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂もしくは水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、あるいは、下記の式(2)で表されるアルキレンオキサイドを骨格に有する樹脂が用いられる。
(式中、R4及びR5は、水素原子またはメチル基を示し、R6及びR7は、下記の一般式(3)で表されるカチオン重合性反応基を示し、Yは、アルキレン基を示し、m及びnはそれぞれ、0または1以上の正の整数を示す。)
(式中、R8、R9、R10及びR11は、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソアミル基またはフェニル基を示し、R12、R13及びR14は、水素原子または有機基を示し、m及びnは、0、1または2を示す。)
本発明に係る光反応性ホットメルト接着剤組成物のさらに他の特定の局面では、前記式(1)で表される化合物がエポキシ化合物ではなく、全エポキシ樹脂100重量部に対し、式(1)で表される化合物が5〜40重量部の割合で配合されている。
本発明に係る光反応性ホットメルト接着剤組成物のさらに別の特定の局面では、前記式(1)で表される化合物がエポキシ化合物であり、前記式(1)で表される化合物を除く全エポキシ樹脂100重量部に対し、式(1)で表される化合物が5〜40重量部の割合で配合されている。
本発明に係る光反応性ホットメルト接着剤組成物のさらに他の特定の局面では、前記化合物(b)がテトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体またはテトラメチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体であって、全エポキシ樹脂100重量部に対し、化合物(b)が1〜40重量部の割合で配合されている。
本発明に係る光反応性ホットメルト接着剤組成物の別の特定の局面では、常温(23℃)で固形のポリエステル化合物が含有されていない。すなわち、固形のポリエステル化合物が含有されていなくとも、本発明に従って、光照射後の硬化が速やかに進行し、かつ十分な耐久接着性を発現する光反応性ホットメルト接着剤組成物が提供される。
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明に係る光反応性ホットメルト接着剤組成物では、光の照射により、光カチオン重合開始剤が活性化され、それによってビスフェノールF型エポキシ樹脂の開環重合が進行し、硬化が進行する。従って、硬化完了後には、優れた接着強度を発現する。また、ビスフェノールF型エポキシ樹脂と、上記式(1)で表される化合物、テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体またはテトラメチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体を用いているため、以下に詳述するように、水などの親水性液体に対する耐性及び耐熱性が高められる。さらに、ビスフェノールF型エポキシ樹脂と、テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体またはテトラメチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体とを用いた場合には、以下に詳述するように、光照射後十分な長さのポットライフを確保しつつ、接着剤を速やかに硬化させることができ、従って、接着強度が最大に達するまでの時間が短く、長時間の養生を必要としない光反応性ホットメルト接着剤を提供することができる。
(a)常温(23℃)で固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂
ビスフェノールF型エポキシ樹脂は、光の照射により光カチオン重合開始剤が活性化された場合に開環重合し、本発明に係る光反応性ホットメルト接着剤組成物に優れた接着強度を与える。ビスフェノールF型エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂に比べてフェニル基を連結している炭素原子に結合しているのが水素原子であるため、骨格のフレキシビリティが高く、硬化物において応力緩和性に優れているためであると考えられる。また、ビスフェノールF型エポキシ樹脂は、化合物(b)と反応し、硬化物の耐水性や親水性液体に対する耐性を高めるように作用する。
上記ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、特に限定されないが、例えば、重量平均分子量600〜60000程度の適宜のビスフェノールF型エポキシ樹脂を用いることができ、より具体的には、油化シェルエポキシエポキシ社製、商品名:エピコート4004P、エピコート4010Pなどを挙げることができる。
化合物(b)
本発明においては、化合物(b)として、主鎖中にポリオキシアルキレン基を有し、末端に水酸基、エポキシ基または炭素原子数1〜8のアルコキシル基を有する化合物が用いられる。化合物(b)はこの構造を有する限り特に限定されないが、上述した式(1)で表される化合物、テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体、またはテトラメチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体が好適に用いられる。
式(1)で表される化合物としては、上記式(1)を満たす限り特に限定されるわけではないが、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)、ポリエチレングリコール(PEG)またはポリエチレングリコールジグリシジルエーテルなどを挙げることができる。
PTMGは、H−(−O−CH2CH2CH2CH2−)n−OHで表わされる構造を有する。ここで、nは2以上の自然数である。
本発明において使用されるPTMGの分子量については特に限定されないが、重量平均分子量で1000以上のものが耐熱接着性を高める上で好ましい。また、重量平均分子量が1000以下のPTMGは常温で液状であるが、本発明においては、常温で液状及び固形のいずれのPTMGを用いることもできる。
PTMGの好ましい配合割合は、常温で固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂及び必要に応じて添加される常温で液状のエポキシ樹脂の合計100重量部に対し、5〜40重量部の範囲である。PTMGの配合割合が5重量部未満の場合には、硬化物の親水性液体に対する耐性を高める効果が十分に得られないことがあり、40重量部を越えると、硬化速度が非常に遅くなることがある。
ポリエチレングリコール(PEG)は、H−(−O−CH2CH2−)n−OHで表わされる構造を有する。ここで、nは2以上の自然数である。
本発明において使用されるPEGの分子量については特に限定されないが、重量平均分子量で600以上のものが耐熱接着性を高める上で特に好ましい。また、重量平均分子量が600以下のPEGは常温で液状であるが、本発明においては、常温で液状及び固形のいずれのPEGを用いることもできる。
PEGの好ましい配合割合は、常温で固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂及び必要に応じて添加される液状エポキシ樹脂の合計100重量部に対し、5〜40重量部の範囲である。PEGの配合割合が5重量部未満の場合には、硬化物の親水性液体に対する耐性を高める効果が十分に得られないことがあり、40重量部を越えると、硬化速度が非常に遅くなることがある。
本発明において用いられるポリエチレングリコールジグリシジルエーテルの分子量については特に限定されないが、重量平均分子量で200以上のものが耐熱接着性を高める上で好ましい。
上記ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルの好ましい配合割合は、該ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルを除く全エポキシ樹脂の合計100重量部に対し、5〜40重量部の範囲である。ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルの配合割合が5重量部未満の場合には、硬化物の親水性液体に対する耐性を高める効果が十分に得られないことがあり、40重量部を超えると、硬化速度が非常に遅くなるので望ましくない。
本発明で用いられるテトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体は、例えばテトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとを開環重合させることにより得ることができる。開環重合させて得られる共重合体は、例えば、開環重合触媒と多価ヒドロキシル化合物または多価フェノール化合物との存在下で、テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとを、オキシエチレン鎖が通常10〜60重量%になるように開環共重合させることにより製造される。開環共重合は、ブロック重合またはランダム付加重合のいずれでもよい。また、テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体は市販されており、例えばユニセーフDC1100(商品名、日本油脂社製)等がある。
上記多価ヒドロキシル化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール等の2価アルコール類、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール等の3価アルコール類、例えばソルビトール、シュークローズ等の4価以上の多価アルコール類等が挙げられる。また、多価フェノール類としては、例えばハイドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF等が挙げられる。
本発明で用いられるテトラメチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体は、例えばテトラメチレンオキシドとプロピレンオキシドとを開環重合させることにより得ることができる。開環重合させて得られる共重合体は、例えば、開環重合触媒と多価ヒドロキシル化合物または多価フェノール化合物との存在下で、テトラメチレンオキシドとプロピレンオキシドとを、オキシプロピレン鎖が通常10〜60重量%になるように開環共重合させることにより製造される。開環共重合は、ブロック重合またはランダム付加重合のいずれでもよい。また、テトラメチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体は市販されており、例えばユニセーフDCB1000(商品名、日本油脂社製)がある。
なお、テトラメチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体を得るにあたって用いられる多価ヒドロキシル化合物及び多価フェノール類としては、テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体を得るのに用いられる多価ヒドロキシル化合物及び多価フェノール類を同様に用いることができる。
上記テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体またはテトラメチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体の好ましい配合割合は、常温で固体のビスフェノールF型エポキシ樹脂及び必要に応じて添加される常温で液状のエポキシ樹脂の合計100重量部に対し、すなわち全エポキシ樹脂100重量部に対し、1〜40重量部、好ましくは5〜40重量部の割合とすることが好ましい。
配合割合が1重量部未満の場合には、硬化物の親水性液体に対する耐性を高める効果が十分に得られないおそれがあり、40重量部を越えると、硬化速度が非常に遅くなるおそれがある。5重量部以上の場合には、可撓性が高まり、シート成形した場合に割れ難くなる。
本発明において用いられるテトラメチレンオキシドとエチレンオキシドもしくはプロピレンオキシドとの共重合体の分子量については特に限定されないが、重量平均分子量で、200〜4000であることが好ましい。重量平均分子量が200以下になると引火点が低くなり、加熱塗工の安全性が損なわれるおそれがあり、重量平均分子量が4000以上であると相溶性が悪くなるおそれがある。
(c)光カチオン重合開始剤
本発明においては、光を照射されることにより活性化し、エポキシ樹脂の開環重合を引き起し得る限り、適宜の光カチオン重合開始剤が用いられる。光カチオン重合開始剤としては、例えばスルホニウム塩、ヨードニウム塩またはオニウム塩等が挙げられる。光カチオン重合開始剤の中でも、スルホニウム塩が好ましく、スルホニウム塩の中でも、特に芳香族スルホニウム塩が好ましい。芳香族スルホニウム塩としては、例えば米国特許第4256828号に開示されているものが挙げられ、具体的に例えば、トリフェニルスルホニウム塩、メチルジフェニルスルホニウム塩、ジメチルフェニルスルホニウム塩、ジフェニルナフチルスルホニウム塩またはジ(メトキシナフチル)メチルスルホニウム塩等が挙げられる。該芳香族スルホニウム塩の中でも、ヘキサフルオロホスフェートイオン(PF6 −)を対アニオンとして有している芳香族スルホニウム塩が好ましく、例えば米国特許第4256828号に開示されているものが挙げられ、具体的に例えば、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、メチルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジメチルフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルナフチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェートまたはジ(メトキシナフチル)メチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。対アニオンとして、PF6 −を有する芳香族スルホニウム塩は、硬化開始に有効な光を遮断した状態で接着剤を加熱溶融させた時(例えば、接着剤を製造する時に加熱溶融させた樹脂に対して光カチオン重合開始剤を投入した後やホットメルト接着剤として塗工するために加熱溶融された時)の加熱安定性が優れているという利点を有する。ここでいう「加熱安定性」とは、加熱だけでは、光カチオン重合開始剤がエポキシ樹脂の開環重合を起こしにくい、または、少ししか起こさないという意味である。このようなPF6 −を対アニオンとして有する芳香族スルホニウム塩は市販されており、商品名;SP−150(旭電化工業社製)、商品名;サイラキュアUVI−6990(ユニオンカーバイド社製)等がある。
上記光カチオン重合開始剤の配合量は、光の種類や強度、エポキシ樹脂の種類や量、カチオン重合開始剤の種類等によって異なるが、好ましくは、常温で固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂と、他のエポキシ樹脂との合計100重量部に対し、0.01〜10重量部の割合で配合される。なお、他のエポキシ樹脂とは、式(1)で表される化合物がエポキシ化合物の場合には該エポキシ化合物と、任意成分である常温液状エポキシ樹脂をいうものとする。
(d)液状カチオン重合性樹脂
本発明にかかる光反応性ホットメルト接着剤組成物では、上記常温で固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂に加えて、常温で液状のカチオン重合性樹脂が用いられてもよい。常温で液状のカチオン重合性樹脂については、常温(23℃)で液状である限り特に限定されない。例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス{〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ〕メチル}ベンゼンが挙げられ、中でも、接着物の親水性液体に対する耐性に優れているので、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が好適に用いられる。
常温で液状のカチオン重合性樹脂は、光反応性ホットメルト接着剤組成物の硬化後の硬化物の弾力性及び可撓性を高めるように作用する。また、カチオン重合性が高いため、常温で固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂単独ではカチオン重合が十分に進まない場合、液状カチオン重合性樹脂によりカチオン重合が良好に進行し、硬化速度を高めるとともに、硬化物の耐熱接着性をより一層高めるように作用する。
もっとも、液状カチオン重合性樹脂の含有量が多すぎると、親水性液体に対する耐性が低下し、水などの親水性液体に接着物が浸漬された場合、界面剥離が生じることがある。従って、液状カチオン重合性樹脂は、常温で固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂100重量部に対し、1〜40重量部の範囲で用いることが好ましい。
より好ましくは、上記カチオン重合性樹脂として、上述した式(2)で表されるアルキレンオキサイド骨格を有する樹脂が好適に用いられる。中でも、直鎖アルキレンオキサイドである方が可撓性に優れるので好ましく、特に、エチレンオキサイド骨格が好ましい。
式(2)で表される樹脂を用いた場合には、硬化性が高められ、より優れた耐久接着性が発現する。
このような式(2)で表される樹脂としての、ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、例えば、新日本理化社製、品番:BEO60Eが挙げられる。
(e)添加し得る他の成分
本発明にかかる光反応性ホットメルト接着剤組成物には、本発明の目的を阻害しない限り、必要に応じて他の成分を含有させることができる。このような他の成分としては、密着性向上剤、増感剤、脱水剤、老化防止剤、安定剤、可塑剤、ワックス、充填剤、難燃剤、発泡剤、帯電防止剤、防かび剤、粘度調整剤などを挙げることができる。添加し得る他の成分は、上記各成分に限定されるわけではなく、また添加し得る他の成分は2種以上添加されてもよい。
上記密着性向上剤としては、ポリエステルポリオール、ポリウレタンポリオール、末端がエポキシ基やアルコキシル基で変性されたポリエステルポリオールもしくはポリウレタンポリオールなどの常温で液状の化合物が挙げられる。なお、これらの密着性向上剤は、硬化遅延効果を有し得る。このような密着性向上剤として用いられる化合物の具体的な例としては、新中村化学工業社製、商品名:NKオリゴUA340P(液状ポリウレタン樹脂)、あるいはDESMOPHEN2000、2500、2501、2001KS、2502、2505、1700、1800及び2504のような飽和ポリエステルポリオールのDESMOPHENシリーズ(Miles Inc.から入手可能);S107、S−109、S−1011及びS−1014のような飽和ポリエステルポリオールのRUCOFLEXシリーズ(Ruco Corp.から入手可能);Dow Chemical Co.からのVORANOL234−630(トリメチロールプロパン)などを例示することができる。
なお、上述したポリエステルポリオールは、液状であるため、ホットメルト性は有さないので、加水分解により分解されたとしても、接着性を低下させない。
(f)本発明にかかる光反応性ホットメルト接着剤組成物の製造方法
本発明にかかる光反応性ホットメルト接着剤組成物の製造方法については、配合する各成分を混合し、均一に分散し得る限り、特に限定されない。もっとも、使用材料が溶融し得る適度な加熱条件下で各成分を混合する必要がある。また、製造に際しての各成分の混合分散は無溶媒で行ってもよく、不活性溶媒中で行ってもよい。また、各成分を混合する場合、カチオン重合を阻害する成分である水分の混入が少なくなるため、無水条件下で混合することが望ましい。
また、本発明にかかる光反応性ホットメルト接着剤組成物を製造するに際しては、硬化開始に有効な光を遮断した状態で行うことが必要である。
(g)接着方法及び用途
本発明にかかる光反応性ホットメルト接着剤組成物を用いた接着に際しては、該光反応性ホットメルト接着剤組成物を加熱溶融し、被着体の一方または双方に溶融状態で塗布する。被着体を貼り合わせる前、または貼り合わせた後に光反応性ホットメルト接着剤組成物に光を照射する。光の照射から速やかにエポキシ樹脂の開環重合が進行し、最終的に硬化が完了すると該接着強度が発現する。なお、上記光カチオン重合は暗反応で進行するため、光を照射した後、光の照射を停止した後においても硬化が進行し、硬化が完了する。
上記光反応性ホットメルト接着剤組成物を加熱溶融して被着体に塗布する方法についても特に限定されず、通常のホットメルトアプリケータやホットメルトコータなどを用いる方法、加熱溶融した光反応性ホットメルト接着剤組成物中に被着体を浸漬する方法、ホットメルトエアガンなどにより被着体に加熱溶融状態にある光反応性ホットメルト接着剤組成物を噴霧する方法、押出機などにより加熱溶融した光反応性ホットメルト接着剤組成物を被着体表面に押出する方法などが挙げられる。
上記硬化に際し照射される光については、光カチオン重合開始剤からカチオンを生成し得る限り、適宜の光を用いることができ、カチオン重合開始剤の種類に応じて適宜の光が用いられる。好ましくは、紫外線あるいは200〜600nmの波長の光が用いられる。特に、カチオン重合開始剤として芳香族スルホニウム塩を用いる場合には、200〜400nmの波長を含む光を用いることが望ましい。
光の照射量についても、カチオン重合開始剤の種類や光反応性ホットメルト接着剤組成物が塗布されている部分の厚みや量によっても異なるため、一義的には定め得ないが、0.001J〜10Jの範囲とすることが望ましい。
光の照射時間は、光の強度や、エポキシ樹脂の種類等により異なるので一概には言えないが、通常、0.1〜30秒で十分である。比較的厚く接着剤を塗工した場合には、上記範囲を超えて、光を照射することが好ましい。
光源としては、光として紫外線を用いる場合には、蛍光ランプや高圧水銀灯などの紫外線照射源として一般的に用いられているものを用いることができる。
なお、本発明にかかる光反応性ホットメルト接着剤組成物は、常態条件下において、光の照射により十分硬化し良好な接着力が得られるが、被着体の変形や劣化が発生しない範囲で加熱すると非常に高い接着力が得られるのでより好ましい。
本発明にかかる光反応性ホットメルト接着剤組成物が適用される被着体は特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレートなどのポリエステル樹脂、アクリル樹脂などのプラスチックからなる被着体の接着に好適に用いることができる。
もっとも、本発明にかかる光反応性ホットメルト接着剤組成物が適用される被着体はポリエチレンテレフタレートに限らず、他のプラスチック、エチレンプロピレンラバーなどのゴム、あるいは鉄、アルミニウムなどの金属もしくは合金;木材や紙などのセルロース系材料;皮革など広範な材料からの被着体に適用することができる。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の具体的な実施例を説明することにより、本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
I.実施例1〜21及び比較例1〜12
(実施例1)
液状エポキシ樹脂(新日本理化社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名:BEO60E)2重量部と、固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂1(油化シェルエポキシ社製、品番:エピコート4004P)15重量部と、固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂2(油化シェルエポキシ社製、品番:エピコート4010P)10重量部と、PTMG(三菱化学社製、品番:PTMG1000、重量平均分子量1000)4重量部と、光カチオン重合開始剤(ユニオンカーバイド社製、商品名:サイラキュアUVI−6990)3重量部とを、溶融混練機にて混練し、光反応性ホットメルト接着剤組成物を調製した。
(実施例2)
PTMGの配合割合を2重量部に変更したことを除いては、実施例1と同様にして、光反応性ホットメルト接着剤組成物を調製した。
(実施例3)
ビスフェノールF型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、品番:エピコート4004P)の配合割合を10重量部、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、品番:エピコート4010P)の配合割合を20重量部とし、PTMGの配合割合を8重量部としたことを除いては、実施例1と同様にして光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(比較例1)
PTMGに代えてスピノドール(商品名:大日本インキ社製、フタル酸ジエステル化合物)4重量部を用いたことを除いては、実施例1と同様にして光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(実施例4)
液状可撓性エポキシ樹脂(新日本理化社製、品番:BEO60E)を5重量部と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂1(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、油化シェルエポキシ社製、品番:エピコート4004P、分子量約1800)48重量部と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂2(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、油化シェルエポキシ社製、品番:エピコート4010P、分子量約9000)32重量部と、PTMG(三菱化学社製、重量平均分子量650)13重量部と、光カチオン重合開始剤(ユニオンカーバイド社製、商品名:サイラキュアUVI−6990)3重量部とを実施例1と同様にして混合し、光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(実施例5)
液状可撓性エポキシ樹脂(新日本理化社製、品番:BEO60E)2重量部と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂1(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、油化シェルエポキシ社製、品番:エピコート4004P、分子量約1800)15重量部と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂2(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、油化シェルエポキシ社製、品番:エピコート4010P、分子量約9000)10重量部と、ポリエチレングリコール(重量平均分子量650、常温で液状)4重量部と、光カチオン重合開始剤(ユニオンカーバイド社製、商品名:サイラキュアUVI−6990)3重量部とを実施例1と同様にして混合し、光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(実施例6)
ポリエチレングリコールとして、重量平均分子量1500のポリエチレングリコールを用いたことを除いては、実施例5と同様にして、光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(実施例7)
液状エポキシ樹脂(新日本理化社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名:BEO60E)2重量部と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂1(油化シェルエポキシ社製、品番:エピコート4004P)15重量部と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂2(油化シェルエポキシ社製、品番:エピコート4010P)10重量部と、PTMG(三菱化学社製、品番:PTMG1000、重量平均分子量1000)4重量部と、光カチオン重合開始剤(ユニオンカーバイド社製、商品名:サイラキュアUVI−6990)0.8重量部とを、溶融混練機にて混練し、光反応性ホットメルト接着剤組成物を調製した。
(実施例8)
PTMGの配合割合を2重量部に変更したことを除いては、実施例7と同様にして、光反応性ホットメルト接着剤組成物を調製した。
(実施例9)
PTMGの配合割合を8重量部としたことを除いては、実施例7と同様にして光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(比較例2)
PTMGに代えてスピノドール(商品名:大日本インキ社製、フタル酸ジエステル化合物)4重量部を用いたことを除いては、実施例7と同様にして光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(実施例10)
液状可撓性エポキシ樹脂(新日本理化社製、品番:BEO60E)を5重量部と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂1(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、油化シェルエポキシ社製、品番:エピコート4004P、分子量約1800)48重量部と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂2(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、油化シェルエポキシ社製、品番:エピコート4010P、分子量約9000)32重量部と、PTMG(三菱化学社製、重量平均分子量650)13重量部と、光カチオン重合開始剤(ユニオンカーバイド社製、商品名:サイラキュアUVI−6990)0.8重量部とを実施例1と同様にして混合し、光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(実施例11)
液状可撓性エポキシ樹脂(新日本理化社製、品番:BEO60E)2重量部と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂1(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、油化シェルエポキシ社製、品番:エピコート4004P、分子量約1800)15重量部と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂2(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、油化シェルエポキシ社製、品番:エピコート4010P、分子量約9000)10重量部と、ポリエチレングリコール(重量平均分子量1500)4重量部と、光カチオン重合開始剤(ユニオンカーバイド社製、商品名:サイラキュアUVI−6990)0.8重量部とを実施例1と同様にして混合し、光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(実施例12)
重量平均分子量650のポリエチレングリコールを用いたことを除いては、実施例11と同様にして、光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(実施例13)
ポリエチレングリコールとして、重量平均分子量600であり、凝固点が20.3℃の液体のポリエチレングリコールを用いたことを除いては、実施例11と同様にして、光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(実施例14)
PTMGに代えて、グリシジル化合物であるポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成社製、商品名:デナコールEX−832、重量平均分子量560、23℃で液体)2重量部を用いたことを除いては、実施例7と同様にして光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(実施例15)
ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルの配合割合を3重量部に変更したことを除いては、実施例14と同様にして光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(実施例16)
ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルの配合割合を6重量部に変更したことを除いては、実施例14と同様にして光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(比較例3)
ビスフェノールF型エポキシ樹脂1,2に代えて、下記の表1に示すように、ビスフェノールA型エポキシ樹脂1(油化シェルエポキシ社製、商品名:エピコート1001、重量平均分子量900)15重量部と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂2(油化シェルエポキシ社製、商品名:エピコート1010、重量平均分子量5500)10重量部とを用いたことを除いては、実施例7と同様にして光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(比較例4)
ビスフェノールF型エポキシ樹脂1,2に代えて、下記の表1に示すように、比較例3で用いたビスフェノールA型エポキシ樹脂1を48重量部と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂2を32重量部を用いたことを除いては、実施例10と同様にして、光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(比較例5)
実施例12におけるビスフェノールF型エポキシ樹脂1及びビスフェノールF型エポキシ樹脂2に代えて、ビスフェノールA型エポキシ樹脂1を15重量部及びビスフェノールA型エポキシ樹脂2を10重量部を用いたことを除いては、実施例12と同様にして、光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(比較例6)
ビスフェノールF型エポキシ樹脂1,2に代えて、ビスフェノールA型エポキシ樹脂1を15重量部と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂2を10重量部とを用いたことを除いては、実施例13と同様にして、光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(比較例7)
ビスフェノールF型エポキシ樹脂1,2に代えて、ビスフェノールA型エポキシ樹脂1を15重量部と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂2を10重量部とを用いたことを除いては、実施例15と同様にして、光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(実施例17)
ビスフェノールF型エポキシ樹脂1(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、油化シェルエポキシ社製、商品名:エピコート4004P、分子量約1800)10重量部と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂2(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、油化シェルエポキシ社製、商品名:エピコート4010P、分子量約9000)20重量部と、PTMG(三菱化学社製、重量平均分子量650)10重量部と、光カチオン重合開始剤(ユニオンカーバイド社製、商品名:サイラキュアUVI−6990)0.8重量部とを実施例1と同様にして混合し、光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(実施例18)
PTMGに代えて、ポリエチレングリコール(重量平均分子量600)10重量部を用いたことを除いては、実施例17と同様にして光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(実施例19)
PTMGに代えて、グリシジル化合物であるポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成社製、商品名:デナコールEX−832、重量平均分子量560、23℃で液体)6重量部を用いたことを除いては、実施例17と同様にして光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(比較例8)
ビスフェノールF型エポキシ樹脂1,2に代えて、下記の表1に示すように、ビスフェノールA型エポキシ樹脂1(油化シェルエポキシ社製、商品名:エピコート1001、重量平均分子量900)10重量部と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂2(油化シェルエポキシ社製、商品名:エピコート1010、重量平均分子量5500)20重量部とを用いたことを除いては、実施例17と同様にして光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(比較例9)
ビスフェノールF型エポキシ樹脂1,2に代えて、下記の表1に示すように、ビスフェノールA型エポキシ樹脂1(油化シェルエポキシ社製、商品名:エピコート1001、重量平均分子量900)10重量部と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂2(油化シェルエポキシ社製、商品名:エピコート1010、重量平均分子量5500)20重量部とを用いたことを除いては、実施例18と同様にして光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(比較例10)
ビスフェノールF型エポキシ樹脂1,2に代えて、下記の表1に示すように、ビスフェノールA型エポキシ樹脂1(油化シェルエポキシ社製、商品名:エピコート1001、重量平均分子量900)10重量部と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂2(油化シェルエポキシ社製、商品名:エピコート1010、重量平均分子量5500)20重量部とを用いたことを除いては、実施例19と同様にして光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(実施例及び比較例の評価)
上記のようにして得た各光反応性ホットメルト接着剤組成物について、組成を表1に示す。また、▲1▼常態接着性及び▲2▼耐水性及び▲3▼耐熱接着性を以下の要領で評価した。その結果を下記の表2に示す。
▲1▼常態接着性…23℃及び相対湿度50%雰囲気下で、被着体として1cm幅及び125μmの厚みのPETシート(白色ポリエチレンテレフタレートシート、東レ社製、商品名:ルミラーE2O)を2枚用意し、一方のPETシートの表面に光反応性ホットメルト接着剤組成物を300g/m2の割合で加熱溶融塗工し、超高圧水銀灯からの波長365nmの光を50mW/cm2の照射強度で30秒照射し、他方のPETシートを貼り合わせ、75℃、10kg/cm2で30秒間加熱プレスを行い、接着体を得、23℃で48時間養生した。この接着体について、23℃及び相対湿度50%の雰囲気下で、引っ張り速度300mm/分の条件で180度剥離試験を行った。剥離した状態を観察し、接着界面で剥離されているか、あるいは材料破壊が生じているか(すなわち、PETシートが材破しているか)を観察した。
▲2▼接着物の耐薬品性評価…常態接着性評価で得た接着体を23℃の恒温室で48時間養生した後、下記の表3のa〜i,k,lの各条件で各種水溶液に所定時間浸漬し、しかる後引き上げ、手によりPET同士を遠ざけるように力を加え剥離した。この剥離の際の状態を観察し、界面で剥離が生じているか、あるいは材料破壊が生じているかを観察した。
▲3▼接着物の耐ガソリン性評価…常態接着性評価で得た接着体を23℃の恒温室で48時間養生した後、下記の表3のjの条件で溶液に所定時間浸漬し、しかる後引き上げ、手によりPET同士を遠ざけるように力を加え剥離した。この剥離の際の状態を観察し、界面で剥離が生じているか、あるいは材料破壊が生じているかを観察した。
さらに材料破壊したものに関しては、完全材破を材破、部分材破で一部界面剥離しているものについては材破率を、
(接着界面に残っているPETの面積/貼合せ面積)×100(%)
で表2に表記した。
▲4▼耐熱性…常態接着性評価で得た接着体を接着面積が1cm×1cmである大きさに切り、オーブン内で剪断方向へ300g/cm2の荷重が加わるように300gの重りをぶら下げ、0.6℃/分の昇温速度で昇温しながら200℃までクリープ試験を行った。この試験で重りが落下した温度をその接着体の耐熱温度とした。200℃でも重りが落下しない場合、耐熱温度が200℃以上であると考えられる。
表1において、化合物を示す略号の詳細は以下の通りである。
BEO…液状エポキシ樹脂、新日本理化社製、商品名:リカレジンBEO−60E
BisA01P…ビスフェノールA型エポキシ樹脂1(油化シェルエポキシ社製、商品名:エピコート1001、分子量900)
BisA10P…ビスフェノールA型エポキシ樹脂2(油化シェルエポキシ社製、商品名:エピコート1010、分子量5500)
BisF04P…ビスフェノールF型エポキシ樹脂1(油化シェルエポキシ社製、商品名:エピコート4004P、分子量約1800)
BisF10P…ビスフェノールF型エポキシ樹脂2(油化シェルエポキシ社製、商品名:エピコート4010P、分子量約9000)
また、PTMG、PEG及びグリシジル化合物の下の数字はそれぞれ分子量を意味する。
表2から明らかなように、比較例1,2では、スピノドールを添加しているため、常態接着性が良好であるが、接着体の親水性液体に対する耐性が十分でないことがわかる。
また、比較例3〜10では、ビスフェノールF型エポキシ樹脂に代えてビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いたため、同様に、接着体の親水性液体に対する耐性が十分でない。
これに対して、実施例1〜19では、いずれも、常態接着性に優れているだけでなく、接着物の親水性液体に対する耐性、耐薬品性においても優れていることがわかる。
さらには、ガソリン浸漬試験に代用される非極性液体に対する耐性においても、比較例と同等の性能を維持し、良好である。
さらに、実施例1〜19では、接着体の耐熱性においても優れていることがわかる。
(実施例20)
ビスフェノールF型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、品番:エピコート4004P)25重量部と、PTMG(三菱化学社製、品番:PTMG1000、重量平均分子量1000)4重量部と、光カチオン重合開始剤(ユニオンカーバイド社製、商品名:サイラキュアUVI−6990)2重量部とを、溶融混練機にて混練し、光反応性ホットメルト接着剤組成物を調製した。
(実施例21)
PTMGを配合しなかった代わりに、テトラメチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体(日本油脂社製、品番:ユニセーフDCB1000、オキシプロピレン鎖50重量%、重量平均分子量1000)4重量部を用いたことを除いては、実施例20と同様にして光反応性ホットメルト接着剤組成物を調製した。
(比較例11)
ビスフェノールA型ジグリシジルエーテルであるエポキシ樹脂(Shell Chemical Co.製、品番:EPON 1001F)67.2重量部と、ポリエステル(Huels America,Inc.製不飽和直鎖コポリエステル、品番:DYNAPOL S1402)10.0重量部と、ヒドロキシル含有剤を(Dow Chemical Co.製、グリセロールポリプロピレンオキシド付加物、品番:VORANOL230−238)22.8重量部と、光開始剤(米国特許第4,321,951号に開示されているように製造されたトリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート光開始剤)1重量部とを溶融混練機により混練し、光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(比較例12)
エポキシ樹脂の配合割合を44.0重量部、ポリエステルの配合割合を40重量部、ヒドロキシル含有材料の配合割合を15重量部に変更したことを除いては、比較例11と同様にして光反応性ホットメルト接着剤組成物を調製した。
(比較例13)
ビスフェノールA型ジグリシジルエーテルであるエポキシ樹脂(Shell Chemical Co.製、品番:EPON 1001F)74.0重量部と、ヒドロキシル含有剤を(Dow Chemical Co.製、グリセロールポリプロピレンオキシド付加物、品番:VORANOL230−238)25.0重量部と、光開始剤(米国特許第4,321,951号に開示されているように製造されたトリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート光開始剤)1重量部とを溶融混練機により混練し、光反応性ホットメルト接着剤組成物を得た。
(実施例20,21及び比較例11〜13の評価)
上記実施例20,21及び比較例11〜13で得た各光反応性ホットメルト接着剤組成物について、実施例1と同様に、▲1▼常態接着性、▲2▼耐薬品性、▲3▼耐ガソリン性及び▲4▼耐熱性を評価した。但し、いずれにおいても養生時間は144時間に変更した。結果を下記の表4に示す。
II.実施例2−1〜3−2及び比較例2−1〜3−2
なお、以下の比較例2−1〜3−2は、化合物(b)としてテトラメチレンオキシドとエチレンオキシドもしくはプロピレンオキシドとの共重合体を用いた実施例2−1〜3−2のより優れた効果を表すために記載されているが、比較例2−1〜3−2は、式(1)の化合物を化合物(b)として用いた接着剤であり、本発明の実施例でもある。
〔実施例2−1〕
常温で固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、品番:エピコート4004P)16.5重量部と、常温で固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、品番:エピコート4010P)10重量部と、テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体(日本油脂社製、品番:ユニセーフDC1100、オキシエチレン鎖50重量%、重量平均分子量1100)4.5重量部と、光カチオン重合開始剤(ユニオンカーバイド社製、商品名:サイラキュアUVI−6990)1重量部とを、溶融混練機にて混練して、光反応性ホットメルト接着剤を調製した。
〔実施例2−2〕
テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体を、品番:ユニセーフDC1800(日本油脂社製、オキシエチレン鎖50重量%、重量平均分子量1800)に変更したことを除いては、実施例2−1と同様にして、光反応性ホットメルト接着剤を調製した。
〔実施例2−3〕
テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体を、品番:テトラキシノールAS200(三洋化成社製、オキシエチレン鎖30重量%、重量平均分子量2000)に変更したことを除いては、実施例2−1と同様にして、光反応性ホットメルト接着剤を調製した。
〔実施例2−4〕
液体可とう性エポキシ樹脂(新日本理化社製、品番:BEO60E)1.5重量部と、常温で固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、品番:エピコート4004P、分子量約1800)15重量部と、常温で固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、品番:エピコート4010P、分子量約9000)10重量部と、テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体(日本油脂社製、品番:ユニセーフDC1100、オキシエチレン鎖50重量%、重量平均分子量1100)4.5重量部と、光カチオン重合開始剤(ユニオンカーバイド社製、商品名:サイラキュアUVI−6990)1重量部とを、溶融混練機にて混練して、光反応性ホットメルト接着剤を調製した。
〔実施例2−5〕
テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体を、品番:ユニセーフDC1800(日本油脂社製、オキシエチレン鎖50重量%、重量平均分子量1800)に変更したことを除いては、実施例2−4と同様にして、光反応性ホットメルト接着剤を調製した。
〔実施例2−6〕
テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体を、品番:テトラキシノールAS200(三洋化成社製、オキシエチレン鎖50重量%、重量平均分子量2000)に変更したことを除いては、実施例2−1と同様にして、光反応性ホットメルト接着剤を調製した。
〔比較例2−1〕
テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体を、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(三菱化学社製、品番:PTMG1000、重量平均分子量1000)に変更したことを除いては、実施例2−1と同様にして、光反応性ホットメルト接着剤を調製した。
〔比較例2−2〕
テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体を、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(三菱化学社製、品番:PTMG2000、重量平均分子量2000)に変更したことを除いては、実施例2−1と同様にして、光反応性ホットメルト接着剤を調製した。
〔比較例2−3〕
テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体を、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(三菱化学社製、品番:PTMG1000、重量平均分子量1000)に変更したことを除いては、実施例2−4と同様にして、光反応性ホットメルト接着剤を調製した。
〔比較例2−4〕
テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体を、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(三菱化学社製、品番:PTMG2000、重量平均分子量2000)に変更したことを除いては、実施例2−4と同様にして、光反応性ホットメルト接着剤を調製した。
〔実施例および比較例の評価〕
上記のようにして得た各光反応性ホットメルト接着剤の組成を表5に示す。また、▲1▼常態接着性、▲2▼耐水性、▲3▼耐熱性および▲4▼ゲル分率を以下の要領で評価した。その結果を下記の表6に示す。
▲1▼常態接着性…養生時間を96時間としたこと以外は、実施例1の常態接着性評価と同様にして評価した。
▲2▼接着物の耐水性評価…常態接着性評価で作製した接着体と同様な方法で作製した接着体を23℃の恒温室で96時間養生した後、水に所定時間浸漬し、しかる後引き上げ、手によりPET同士を遠ざけるように力を加え剥離した。この剥離の際の状態を観察し、界面で剥離が生じているか、あるいは材料破壊が生じているかを観察した。
さらに材料破壊したものに関しては、完全に材料破壊を起こしたものを材破として表6に記した。また、部分的に材料破壊が見られ、一部が界面剥離しているものについては材破率を、以下に示す式4により求めて表6に表記した。
〔式4〕
材破率(%)=(接着界面に残っているPETの面積/貼合せ面積)×100
▲3▼耐熱性…実施例1の耐熱性評価と同様に評価した。
▲4▼ゲル分率…▲1▼に記載した常態接着性において、被着体であるPETシートからはみ出た部分の接着剤をガラス瓶に0.4g精秤し、30gのメチルエチルケトン(以下MEKと略す)を加えた後にフタをし、常温で24時間振とう機にかけた。その後、MEK不溶分を200メッシュの金網でろ過し、さらに120℃で2時間乾燥し、MEKを全て揮発させた後、下記式5によりゲル分率を計算した。
〔式5〕
ゲル分率(%)=MEK不溶分の乾燥後の重量(g)/0.4g×100
上記のゲル分率測定試験を1つのサンプルにつき、3回実施し、3回の測定値の平均値を表6に記載した。
なお、この数値が高いほど、架橋反応が進んでおり、耐溶剤性が高い(つまり、溶剤に溶けにくい)とみなす。
さらに上記した4種類の試験について、養生条件を長時間養生する通常の養生条件から短時間の養生条件に変えて同様の試験を行った。すなわち、75℃、100N/cm2で30秒間加熱プレスを行い、接着体を得た後に、さらに23℃で96時間放置しておく通常の養生条件から、75℃、100N/cm2で10分間加熱プレスを行い、接着体を得た後に、さらに23℃で5分間放置しておく短時間の養生条件に変えて、サンプルを作製し、上記4種類の試験を行った。結果を通常の養生条件の結果と合わせて、表6に示す。
表6から明らかなように、比較例2−1、2−2、2−3および2−4では、テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体の代わりに、ポリテトラメチレンエーテルグリコールを添加しているため、通常の養生条件では、各性能が良好であるが、促進養生条件では、各性能が十分ではないことがわかる。
これに対して、実施例2−1〜2−6では、いずれの養生条件でも、各性能において優れていることがわかる。
〔実施例3−1〕
常温で固体のビスフェノールF型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、品番:エピコート4004P)16.5重量部と、常温で固体のビスフェノールF型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、品番:エピコート4010P)10重量部と、テトラメチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体(日本油脂社製、品番:ユニセーフDCB1000、オキシプロピレン鎖50重量%、重量平均分子量1000)4.5重量部と、光カチオン重合開始剤(ユニオンカーバイド社製、商品名:サイラキュアUVI−6990)1重量部とを、溶融混練機にて混練して、光反応性ホットメルト接着剤を調製した。
〔実施例3−2〕
常温で液体のエポキシ樹脂(新日本理化社製、品番:BEO60E)1.5重量部を加えたこと以外は実施例3−1と同様にして混合して、光反応性ホットメルト接着剤を得た。
〔比較例3−1〕
テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体を、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(三菱化学社製、品番:PTMG1000、重量平均分子量1000)にかえたことを除いては、実施例3−1と同様にして光反応性ホットメルト接着剤を得た。
〔比較例3−2〕
テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体を、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(三菱化学社製、品番:PTMG1000、重量平均分子量1000)にかえたことを除いては、実施例3−2と同様にして光反応性ホットメルト接着剤を得た。
〔実施例および比較例の評価〕
上記のようにして得た各光反応性ホットメルト接着剤の組成を表7に示す。また、▲1▼常態接着性、▲2▼耐水性、▲3▼耐熱性および▲4▼曲げ接着強さを以下の要領で評価した。その結果を下記の表8に示す。
▲1▼常態接着性…養生時間を96時間としたことを除いては、実施例1の常態接着性評価と同様にして評価した。
▲2▼接着物の耐水性評価…実施例2−1と同様にして評価した。さらに材料破壊したものに関しては、完全に材料破壊を起こしたものを材破、部分的に材料破壊が見られ、一部が界面剥離しているものについては材破率を、以下に示す式により求めて表8に表記した。
材破率(%)=(接着界面に残っているPETの面積/貼合せ面積)×100
▲3▼耐熱性…養生時間を96時間としたことを除いては、実施例1の耐熱性評価と同様に評価した。
▲4▼曲げ接着強さ…厚さ1.5mmのポリエチレンテレフタレート製樹脂板を2枚用意し、一方の樹脂板の端部に光反応性ホットメルト接着剤を300g/m2の割合で加熱溶融塗工し、超高圧水銀灯を使用して、波長365nmの光を50mW/cm2の照射強度で30秒間照射し、他方の樹脂板の一方の端部と貼りあわせ、75℃、100N/cm2で30秒間加熱プレスを行い、接着体を得た後、直ちにJIS K 6856「接着剤の曲げ接着強さの試験方法」に準じて曲げ接着強度を測定した。また、別途同様に作製した接着体を23℃で96時間養生したあと同様の測定方法で曲げ接着強度を測定した。
表8から明らかなように、比較例3−1および比較例3−2では、テトラメチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体の代わりに、ポリテトラメチレンエーテルグリコールを添加しているため、曲げ接着強さが十分でないことがわかる。
これに対して、実施例3−1および実施例3−2では、常態接着性、耐水性、耐熱性および曲げ接着強さの全てに優れていることがわかる。
発明の効果
本発明に係る光反応性ホットメルト接着剤組成物では、常温で固体のビスフェノールF型エポキシ樹脂と、式(1)で表される化合物、テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体、及びテトラメチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体からなる群から選択した少なくとも1種の化合物(b)と、光カチオン重合開始剤とを含むので、光の照射により光カチオン重合開始剤が活性化され、それによってビスフェノールF型エポキシ樹脂の開環重合が進行し、硬化する。従って、光の照射により速やかに硬化し、フレキシビリティに優れているが、樹脂強度も高く、優れた接着強度が発現される。
加えて、常温で固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂と、化合物(b)との反応により、接着物の親水性液体に対する耐性が高められると共に、接着物の耐熱接着性も高められる。
よって、接着物の親水性液体に対する耐性及び耐熱性に優れた光反応性ホットメルト接着剤組成物を提供することができる。
さらに、上記化合物(b)として、テトラメチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体を用いた場合、接着物の曲げ強度も効果的に高められる。
また、テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体を化合物(b)として用いた場合、光照射後十分なポットライフを確保することができ、速硬化性と十分な長さのポットライフとを両立することができる。
常温で固体のポリエステルを含まないので、加水分解による劣化が生じ難い。
Claims (14)
- (a)常温で固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂と、
(b)主鎖中にポリオキシアルキレン基を有し、末端に水酸基、エポキシ基または炭素原子数1〜8のアルコキシル基を有する化合物と、
(c)光カチオン重合開始剤とを含む、光反応性ホットメルト接着剤組成物。 - (a)常温で固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂と、
(b)下記の式(1)で表される化合物、テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体及びテトラメチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体からなる群から選択された1種の化合物と、
(c)光カチオン重合開始剤とを含む、光反応性ホットメルト接着剤組成物。
(但し、式中、R1,R3は、水素、グリシジル基、または炭素原子数1〜8の1価で置換または非置換の炭化水素基、R2は、炭素数2〜8の2価の置換または非置換の炭化水素基を示し、nは2以上の整数である。なお、(OR2)nにおいては、n個のOR2のR2は異なっていてもよく、全て同一であってもよい。) - 前記化合物(b)が、前記式(1)で表される化合物である、請求項2に記載の光反応性ホットメルト接着剤組成物。
- 前記式(1)で表される化合物が、ポリテトラメチレンエーテルグリコールまたはポリエチレングリコールである請求項3に記載の光反応性ホットメルト接着剤組成物。
- 前記式(1)で表される化合物が、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルである請求項3に記載の光反応性ホットメルト接着剤組成物。
- 前記化合物(b)は、テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体である、請求項2に記載の光反応性ホットメルト接着剤組成物。
- 前記化合物(b)は、テトラメチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体である、請求項1または2に記載の光反応性ホットメルト接着剤組成物。
- 常温で液状のカチオン重合性樹脂をさらに含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光反応性ホットメルト接着剤組成物。
- 常温で液状のカチオン重合性樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂または水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂である、請求項8に記載の光反応性ホットメルト接着剤組成物。
- 前記式(1)で表される化合物がエポキシ化合物ではなく、全エポキシ樹脂100重量部に対し、式(1)で表される化合物が5〜40重量部の割合で配合されている請求項2〜4及び8〜10のいずれかに記載の光反応性ホットメルト接着剤組成物。
- 前記式(1)で表される化合物がエポキシ化合物であり、前記式(1)で表される化合物を除く全エポキシ樹脂100重量部に対し、式(1)で表される化合物が5〜40重量部の割合で配合されている、請求項2、3、5、8〜10のいずれかに記載の光反応性ホットメルト接着剤組成物。
- 前記化合物(b)がテトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体またはテトラメチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体であって、全エポキシ樹脂100重量部に対し、化合物(b)が1〜40重量部の割合で配合されている、請求項2、6〜10のいずれかに記載の光反応性ホットメルト接着剤組成物。
- 常温で固形のポリエステル化合物を含まない、請求項1〜13のいずれかに記載の光反応性ホットメルト接着剤組成物。
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