JPWO2002055090A1 - 微生物感染防御剤 - Google Patents

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Abstract

本発明の目的は、例えばO−157などの病原性大腸菌やヘリコバクター・ピロリの感染の防御のために使用することができる新規な微生物感染防御剤を提供することである。本発明によれば、縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物を含む微生物感染防御剤が提供される。

Description

技術分野
本発明は、微生物感染防御剤に関する。より詳細には、本発明は、大腸菌O−157などの病原性大腸菌あるいはヘリコバクター・ピロリなどのような微生物の感染を防御するのに有効な医薬品、特定保健用食品、健康食品等として用いることができる微生物感染防御剤に関する。
背景技術
一般に病原性細菌のヒトへの感染は、標的細胞、即ち生体上皮の表層に存在する複合糖質の糖鎖構造(レセプター)を認識して結合することにより成立する。このような病原性細菌の生体への感染に対する一般的な治療法としては、抗生物質の使用が挙げられる。抗生物質は、増殖した病原性細菌を死滅させることにより病気を治療しようとするもので、病原性細菌の感染過程の最終段階で作用するものである。抗生物質による感染症の治療は、発病後の生体に対する治療法としては非常に有効であるが、抗生物質の性格上、様々な副作用やアレルギー症状を引き起こすなどといった問題も多い。
また、多くの細菌感染症の治療に際して、多種多様な抗菌薬剤が使用されているが、これら抗菌薬剤の繁用に基づく薬剤耐性菌、とりわけ、MRSA(methicillin−resistant Staphylococcus aureus:メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)等の出現は臨床における深刻な問題となっており、さらに他の日和見感染菌とともに院内感染菌として大きな問題となっている。
日和見感染症を含む細菌感染症の治療には、多くの抗菌薬剤の中から、適宜選択された抗菌剤が用いられている。しかしながら、抗菌剤の使用には、ショック症状、腎障害、肝障害、白血球減少、神経障害、菌交代症等の多くの副作用がある。
上記の通り、微生物感染に対する防御作用が強く、且つ、副作用の少ない微生物感染防御剤の開発が依然として求められている。
これまでの研究により、縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリL−乳酸混合物は、抗悪性腫瘍剤として有用であることが報告されている(特開平9−227388号公報および特開平10−130153号公報)。しかしながら、縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物が微生物感染防御作用を発揮するかどうかの評価については報告されていない。
発明の開示
本発明は、例えば大腸菌O−157などの病原性大腸菌やヘリコバクター・ピロリなどの微生物の感染の防御のために使用することができる新規な微生物感染防御剤を提供することを解決すべき課題とした。本発明はまた、上記微生物感染防御剤を利用した微生物感染防御用の飲食品を提供することを解決すべき課題とした。
本発明者らは、上記課題を解決することを目的とした検討を行うために、縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物を無菌マウスに投与し、大腸菌O−157に対する感染防御効果、具体的にはO−157感染マウスの生存率および上記マウスにおけるO−157の増殖抑制効果について検討を行なった。その結果、上記ポリ乳酸混合物は、O−157感染マウスの生存率を改善し、またO−157の増殖抑制を示すことが判明した。
さらに、本発明者らは、スナネズミにヘリコバクター・ピロリ(H.pylori)を感染させ、1ヶ月間飼育した後、スナネズミの胃および十二指腸中における生菌数について測定することによって、H.pyloriに対する縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物の感染防御効果を検討した。その結果、上記ポリ乳酸混合物は、H.pyloriに対する感染防御効果を示すことが判明した。
本発明はこれらの知見に基づいて完成したものである。
即ち、本発明によれば、縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物を含む微生物感染防御剤が提供される。
本発明の微生物感染防御剤は、好ましくは細菌感染防御剤であり、さらに好ましくは病原性大腸菌感染防御剤(例えば、病原性大腸菌O−157感染防御剤など)又はヘリコバクター・ピロリ感染防御剤として使用される。本発明の微生物感染防御剤は、例えば、微生物感染症の治療剤または予防剤として使用することができる。
好ましくは、ポリ乳酸中における反復単位である乳酸は実質的にL−乳酸から成る。
好ましくは、縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物は、乳酸を不活性雰囲気下で脱水縮合し、得られた反応液のエタノールおよびメタノール可溶分を逆相カラムクロマトグラフィーに付し、pH2〜3の25〜50重量%のアセトニトリル水溶液で溶離後、pH2〜3の90重量%以上のアセトニトリル水溶液で溶離した画分である。
好ましくは、脱水縮合を窒素ガス雰囲気下、段階的減圧及び昇温により行う。
好ましくは、逆相カラムクロマトグラフィーを、ODSカラムクロマトグラフィーにより行う。
本発明の別の側面によれば、上記した本発明の微生物感染防御剤を含む、微生物感染防御のための飲食品が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、微生物感染防御剤又は微生物感染防御のための飲食品の製造における、縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物の使用が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物の有効量をヒトなどの哺乳動物に投与することを含む、微生物感染を防御するための方法が提供される。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の実施態様および実施方法について詳細に説明する。
本発明の微生物感染防御剤は、縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物を有効成分として含むものであり、例えば、大腸菌O−157等の病原性大腸菌あるいはヘリコバクター・ピロリの感染に対する防御剤として使用することができる。本発明の微生物感染防御剤は、各種の微生物感染症の治療剤や予防剤として使用することができる。
本明細書で言う微生物とは最も広義の意味を有し、細菌や真菌など全ての微生物を包含する。
微生物としては具体的には、大腸菌(O−157等を含む)、腸球菌、ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌等を含む)、緑膿菌、腸炎菌(サルモネラ菌)、肺炎桿菌、枯草菌、カンジダ、ヘリコバクター・ピロリなどが挙げられ、これらの中には、腸内を腐敗させたり発癌性物質や他の有害な毒素を産生したりするほか、各種の自発性感染症を惹き起こしたりする原因にもなっているものがある。
本発明の微生物感染防御剤は、上記した病原性細菌などの微生物に対する感染防御機能を有しているので、病原性細菌に感染する疾病を予防し、あるいは疾病を治療する用途に用いることができる。このような疾病としては、大腸菌などの食中毒原因細菌類による下痢や食中毒、ストレプトコッカス・ミュータンスなどによる齲蝕病、ヘリコバクター・ピロリ菌による胃潰瘍や胃がんなどが挙げられる。
即ち、本発明の微生物感染防御剤は、日和見感染の原因となるエシェリシア・コリ(Escherichia coli)、エンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis)等のほか、シュウードモナス(Pseudomonos)属菌、病原性大腸菌やその類縁菌であるサルモネラ(Salmonella)菌等の細菌の感染を抑制することができ、日和見感染の原因となる細菌や腸管感染病原菌の増殖を抑制することができ、これにより腸管内感染および日和見感染を防御することができる。
これらの中でも大腸菌は健康人の腸内フローラを構成する1菌種であり、一部の特殊な病原因子産生能を獲得した大腸菌はヒトの腸管感染症を引き起こす。全国各地で腸管出血性大腸菌(EHEC)O−157:H7感染症の集団発生が多発した1996年以降、集団発生の件数は減少しているが、散発例は依然として続いている。EHECはアフリカミドリザルの腎細胞由来のベロ細胞に強い細胞毒性を示すベロ毒素を主要な病原因子として産生し、感染時には約5%の例で溶血性尿毒症症候群や稀に脳症を合併して重篤になる場合が多い。本発明の微生物感染防御剤は特に、病原性大腸菌O−157による感染症の予防と治療のために使用することができる。
また、Helicobacter pyloriは胃炎を惹起するとともに,胃・十二指腸潰瘍の再発及び治癒遷延因子として作用することが知られており、また、本菌と胃癌との関連性も指摘されている。本発明の微生物感染防御剤は、Helicobacter pyloriの感染を防御するために使用することができる。
本発明の微生物感染防御剤は、病原性細菌の感染防御に効果的であるので、感染する前に予め摂取しておくと、細菌に感染しにくく、また、感染しても治りやすいという予防的作用を有する。従って、本発明の微生物感染防御剤は、健康食品や医薬品として日頃から摂取しておくことも好ましい。
本発明の微生物感染防御剤及び微生物感染防御のための飲食品においては、縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物が有効成分として用いられる。
本明細書で言う「ポリ乳酸混合物」とは、縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸が任意の割合で存在する混合物を意味する。即ち、「混合物」という用語は、縮合度3〜20の何れかを有するポリ乳酸の混合物であることを意味すると同時に、環状および鎖状のポリ乳酸の混合物を含む概念としても用いられる。このような「ポリ乳酸混合物」は、本明細書中以下に述べるように、乳酸を脱水縮合し、適当な方法で精製することにより得ることができる。なお、本明細書では便宜上「ポリ乳酸混合物」という用語を用いたが、この中には一定の縮合度を有する環状のポリ乳酸または一定の縮合度を有する鎖状のポリ乳酸といった単一成分から成るポリ乳酸も含まれる。
縮合度とは、ポリ乳酸中における反復単位である乳酸単位の数を意味する。例えば、環状のポリ乳酸は下記の構造式を有することが推測されるが、式中のnが縮合度を表す(即ち、n=3〜20)。
Figure 2002055090
本明細書で単に「乳酸」と称する場合、この乳酸にはL−乳酸、D−乳酸またはこれらの任意の割合の混合物の全てが包含される。本発明においては好ましくは、乳酸は実質的にL−乳酸から成る。ここで言う「実質的に」とは、ポリ乳酸混合物中におけるL−乳酸単位の比率[即ち、(L−乳酸単位数/L−乳酸単位数+D−乳酸単位数)×100]が、例えば70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上であることを意味する。なお、ポリ乳酸混合物中におけるL−乳酸単位の比率は、出発物質として使用する乳酸中に存在するL−乳酸とD−乳酸の比率に依存する。
縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、特開平9−227388号公報、特開平10−130153号公報、または特願平11−39894号明細書(これらの特許明細書に記載の内容は全て引用により本明細書の開示として含める。)などに記載の製造方法により得ることができる。
より具体的には、例えば、縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物は、下記の方法Aにより得ることができる。
方法A:
先ず、乳酸(好ましくは、実質的にL−乳酸から成る乳酸)を不活性雰囲気下で脱水縮合させる。不活性雰囲気としては、例えば、窒素ガス、アルゴンガスなどが挙げられるが、窒素ガスを用いるのが好ましい。
脱水縮合反応は、常圧〜1mmHg程度の減圧下、110〜210℃、好ましくは130〜190℃の温度で行われるが、段階的減圧および段階的昇温によって行うのが特に好ましい。反応時間は適宜設定できるが、例えば1〜20時間反応を行うことができる。段階的減圧および段階的昇温を用いる場合には、反応時間を2以上から成る部分的な反応時間に分け、それぞれの部分において圧力と温度を設定して反応を行う。段階的減圧を用いる場合は、例えば、常圧→150mmHg→3mmHgと減圧することができ、段階的昇温を用いる場合は、例えば、145℃→155℃→185℃と昇温することができる。実際には、これらを組み合わせて、例えば、145℃で常圧で3時間、145℃で150mmHgで3時間、155℃で3mmHgで3時間そして185℃で3mmHgで1.5時間反応を行うことができる。
次いで、この脱水縮合反応により得られた反応混合物にエタノールおよびメタノールを加え、濾過して濾液を乾燥してエタノールおよびメタノール可溶分が得られる。即ち、本明細書で言う「エタノールおよびメタノール可溶分」とはエタノールとメタノールの混合液に可溶な画分を意味する。なお、エタノールおよびメタノール可溶分を得る際には、脱水縮合反応の反応混合物をエタノールおよびメタノールと混合するが、その際のエタノールとメタノールの比率は適宜設定することができ、例えばエタノール:メタノール=1:9である。なお、反応混合物にエタノールとメタノールを添加する順番、方法などは限定されず、適宜選択することができ、例えば、脱水縮合反応の反応混合物に先ずエタノールを添加し、次いでメタノールを添加することができる。
上記で得られたエタノール・メタノール可溶分を逆相カラムクロマトグラフィー、特にオクタデシルシラン(ODS)カラムを用いたクロマトグラフィーに付し、まずpH2〜3の25〜50重量%のアセトニトリル水溶液で溶離する画分を除去し、次いでpH2〜3の90重量%以上のアセトニトリル水溶液、好ましくは99重量%以上のアセトニトリル水溶液で溶離してくる画分を採取すると、縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物が得られる。
上記のようにして得られた環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物は、水酸化ナトリウムなどのアルカリ物質で中和し、減圧乾燥後、常法により下記に述べるような所望の形態に製剤化することができる。
本発明で用いる縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物を製造するための別法としては、例えば、特願平11−265715号明細書に記載された方法(方法Bとする)または特願平11−265732号明細書に記載された方法(方法Cとする)を挙げることができる(これらの特許明細書に記載の内容は全て引用により本明細書の開示として含める。)。以下、方法Bおよび方法Cについて具体的に説明する。
方法B:
この方法は、ラクチドをRYLi(式中、Rは脂肪族基又は芳香族基を示し、Yは酸素原子又はイオウ原子を示す)で表されるリチウム化合物の存在下で重合させることによって環状乳酸オリゴマーを製造する方法である。重合反応を実施する場合、リチウム化合物(RYLi)の使用割合は、ラクチド1モル当たり、1〜0.1モル、好ましくは0.2〜0.3モルの割合である。反応温度は−100〜0℃、好ましくは−78〜−50℃である。反応は、−78〜−50℃の温度で開始し、徐々に室温にまで昇温させるように実施するのが好ましい。反応は、好ましくは反応溶媒の存在下で実施される。反応溶媒としては、テトラヒドロフラン等の環状エーテルの他、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン等を用いることができる。反応雰囲気としては、窒素ガスやアルゴン等の不活性ガス雰囲気が用いられる。反応圧力は特に制約されず、好ましくは常圧である。
なお、上記のようにして得られる乳酸オリゴマーの組成(即ち、環状乳酸オリゴマーと鎖状乳酸オリゴマーの混合比率)は、反応助剤として用いるリチウム化合物によって変動する。リチウム化合物として炭素数1〜3のアルキルアルコールのリチウム化合物(ROLi)(式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基)を用いる場合には、環状乳酸オリゴマーと鎖状オリゴマーとの混合物(環状乳酸オリゴマーの割合:80〜85重量%)が得られる。一方、リチウム化合物としてt−ブチルアルコール等の炭素数4以上のアルキルアルコールのリチウム化合物や、チオフェノール化合物を用いるときには、実質的に環状乳酸オリゴマーのみを選択的に得ることができる。
方法C:
この方法は、(i)乳酸を350〜400mmHgの圧力条件で120〜140℃の範囲の温度に加熱し、脱水縮合反応させるとともに、ラクチドを留出させずに副生水のみを留出除去する第1加熱工程、
(ii)該第1加熱工程終了後、反応生成物を150〜160℃の温度に加熱し、該反応圧力を降圧速度0.5〜1mmHg/分で15〜20mmHgまで降下させるとともに、その降圧に際し、ラクチドの留出を回避させながら副生水のみを留出除去し、該反応圧力が15〜20mmHgに降下後、同圧力条件及び反応温度150〜160℃においてさらに反応を継続して鎖状乳酸オリゴマーを主成分とする脱水縮合物を生成させる第2加熱工程、
(iii)該第2加熱工程終了後、0.1〜3mmHgの圧力条件で150〜160℃で加熱して該鎖状乳酸オリゴマーを環化させ、環状オリゴマーを生成させる第3加熱工程、
からなることを特徴とする方法である。
この方法では先ず、第1加熱工程において、減圧下において乳酸を加熱し、脱水縮合反応させる。この場合の反応時間は3〜12時間、好ましくは5〜6時間である。この第1加熱下での反応は、その反応を円滑に進行させるために、乳酸の脱水縮合により生成する副生水を留去させるが、この場合、乳酸2分子の脱水縮合物であるラクチドが留去しないように実施する。このためには、反応圧力を減圧、好ましくは300〜500mmHg、より好ましくは350〜400mmHgに保持し、この圧力条件下において、100〜140℃、好ましくは130〜140℃の範囲に加熱するのがよい。この第1加熱工程での反応により、主に、乳酸の3〜23分子の脱水縮合物を主成分とする反応生成物が生じる。
上記第1加熱工程の終了後、第2加熱工程において、高められた平均重合度のオリゴマーが得られるように、前記第1加熱工程における反応温度よりも高められた温度、好ましくは145〜180℃、より好ましくは150〜160℃の温度に加熱するとともに、反応圧力を10〜50mmHg、好ましくは15〜20mmHgの圧力に降下させてさらに脱水縮合反応を継続する。
この反応も、前記第1加熱工程の反応の場合と同様に、反応を円滑に進行させるために副生水を留去させるが、ラクチドが留去しない条件で実施する。反応圧力を前記範囲の圧力にまで降下させる速度(降圧速度)は、ラクチドの留出を回避し、且つ反応効率を高めるためには、0.25〜5mmHg/分、好ましくは0.5〜1mmHg/分の範囲に保持することが通常は必要である。前記範囲より低い降圧速度では、その所定圧まで降圧させるのに必要な時間が長くなるため好ましくなく、一方、前記範囲より高い降圧速度では、ラクチドが副生水とともに留去するようになるので好ましくない。
反応圧力が所定圧力にまで降下後、この反応圧力において、さらに反応を継続する。この場合の加熱時間は、3〜12時間、好ましくは5〜6時間である。
前記第2加熱工程での反応により、平均重合度が3〜30、好ましくは3〜23の乳酸オリゴマーが得られるが、この場合のオリゴマー中の環状オリゴマーの割合は、通常、70〜80重量%程度である。
上記第2加熱工程終了後、第3加熱工程において、反応圧力を0.25〜5mmHg、好ましくは0.5〜1mmHgに保持し、145〜180℃、好ましくは150〜160℃の温度でさらに反応を継続する。反応時間は3〜12時間、好ましくは5〜6時間である。この場合に生じる副生水も留去させる。この場合、ラクチドの留去も回避させることが好ましいが、反応生成物にはラクチドは殆んど含まれないので、その降圧速度を格別遅くする必要はない。
前記第3加熱工程での反応により、平均重合度3〜30、好ましくは3〜23で、かつ環状オリゴマーの割合が90重量%以上、好ましくは99重量%以上の乳酸オリゴマーが生成される。
なお、上記方法A、BおよびCは本発明で用いるポリ乳酸混合物の製造方法の具体例の一部を示したものにすぎず、本発明においては他の方法で製造されたポリ乳酸混合物を用いることもできる。
本発明の微生物感染防御剤は、前記の必須成分に加えてさらに必要に応じ、本発明の効果を損なわない範囲内で、医薬品類、医薬部外品類などの製剤に使用される成分や添加剤を任意に選択・併用して製造することができる。本発明の微生物感染防御剤は、単独の医薬品類として使用できる以外に、医薬品類や医薬部外品類などに配合して用いることもできる。
本発明の微生物感染防御剤の形態は特に限定されず、経口投与又は非経口投与用の製剤形態の中から目的に最も適した適宜の形態のものを選択することが可能である。
経口投与に適した製剤形態としては、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、ドリンク剤、顆粒剤、細粒剤、シロップ剤、溶液剤、乳剤、懸濁剤、チュアブル剤などを挙げることができ、非経口投与に適する製剤形態としては、例えば、注射剤(皮下注射、筋肉内注射、又は静脈内注射など)、外用剤、点滴剤、吸入剤、噴霧剤などが挙げられるが、これらに限定されることはない。
経口投与に適当な液体製剤、例えば、溶液剤、乳剤、又はシロップ剤などは、水、ショ糖、ソルビット、果糖などの糖類、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、ごま油、オリーブ油、大豆油などの油類、p−ヒドロキシ安息香酸エステル類などの防腐剤、ストロベリーフレーバー、ペパーミントなどのフレーバー類などを用いて製造することができる。また、カプセル剤、錠剤、散剤、又は顆粒剤などの固体製剤の製造には、乳糖、ブドウ糖、蔗糖、マンニットなどの賦形剤、澱粉、アルギン酸ソーダなどの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤、ポリビニールアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチンなどの結合剤、脂肪酸エステルなどの界面活性剤、グリセリンなどの可塑剤などを用いることができる。
非経口投与に適当な注射用又は点滴用の製剤は、好ましくは、受容者の血液と等張な滅菌水性媒体に有効成分である上記の物質を溶解又は懸濁状態で含んでいる。例えば、注射剤の場合、塩溶液、ブドウ糖溶液、又は塩水とブドウ糖溶液との混合物からなる水性媒体などを用いて溶液を調製することができる。腸内投与のための製剤は、例えば、カカオ脂、水素化脂肪、又は水素化カルボン酸などの担体を用いて調製することができ、座剤として提供される。また、噴霧剤の製造には、有効成分である上記の物質を微細な粒子として分散させることができ、受容者の口腔および気道粘膜を刺激せず、かつ有効成分の吸収を容易ならしめる担体を用いることができる。担体としては、具体的には、乳糖又はグリセリンなどが例示される。有効成分である物質及び使用する担体の性質に応じて、エアロゾル又はドライパウダーなどの形態の製剤が調製可能である。これらの非経口投与用製剤には、グリコール類、油類、フレーバー類、防腐剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、界面活性剤、可塑剤などから選択される1種又は2種以上の飲食品を添加することもできる。
本発明の微生物感染防御剤の投与量及び投与回数は、投与の目的、投与形態、摂取者の年齢、体重又は性別などの条件などを含む種々の要因により適宜設定することができるが、一般的には、有効成分の投与量として一日当り1〜10,000mg/kg、好ましくは10〜2000mg/kg、より好ましくは10〜200mg/kgである。上記投与量の製剤を一日1〜4回程度に分けて投与することが好ましい。
本発明の微生物感染防御剤の投与時期は特に限定されず、微生物感染の前でも後でもよい。
本発明はさらに、縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物を含む微生物感染防御のための飲食品にも関する。即ち、本発明で用いる縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物は、上記したような単独の製剤の形態で使用するのみならず、飲食品の中に配合して用いることができる。
本発明の微生物感染防御のための飲食品は、ポリ乳酸混合物を分解させることなく配合し得るものであれば、その配合形態には特に制限はない。
本発明による微生物感染防御のための飲食品の製品の具体例としては、清涼飲料、ドリンク剤、健康食品、特定保健用食品、機能性食品、機能活性型食品、栄養補助食品、サプレメント、飼料、飼料添加物などと一般に呼称される、飲料を含む健康食品または補助食品が挙げられる。
飲食品の具体例としては、例えば、チューインガム、チョコレート、キャンディー、錠菓、ゼリー、クッキー、ビスケット、ヨーグルト等の菓子類、アイスクリーム、氷菓等の冷菓類、茶、清涼飲料(ジュース、コーヒー、ココア等を含む)、栄養ドリンク剤、美容ドリンク剤等の飲料、パン、ハム、スープ、ジャム、スパゲティー、冷凍食品など任意の飲食品を挙げることができる。あるいは、本発明で用いるポリ乳酸混合物は調味料又は食品添加剤などに添加して用いることもできる。本発明の微生物感染防御のための飲食品を摂取することにより微生物感染防御効果が発揮され、実質的に有害な副作用を示さない安全な飲食品を提供することができる。
本発明の微生物感染防御のための飲食品は、ポリ乳酸混合物を、食品に使われる一般的な原料に直接混合、分散したのち、公知の方法により所望の形態に加工することによって得ることができる。
本発明の微生物感染防御のための飲食品はあらゆる形態の飲食品を包含するものであり、その種類は特に制限されず、上記したような各種飲食物、あるいは各種栄養組成物、例えば各種の経口又は経腸栄養剤や飲料等に、本発明の微生物感染防御剤を配合して飲食品として提供することができる。このような飲食品の組成としては、縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物の他に、蛋白質、脂質、糖質、ビタミン及び/又はミネラル類などを含めることができる。飲食品の形態は特に限定されず、摂取しやすい形態であれば、固形、粉末、液体、ゲル状、スラリー状等のいずれであってもよい。
飲食品中におけるポリ乳酸混合物の含有量は特には限定されないが、一般的には0.1〜20重量%、より好ましくは0.1〜10重量%程度である。
飲食品に含まれるポリ乳酸混合物の量は、本発明の目的とする微生物感染防御作用を発揮できる程度に含まれることが好ましく、好ましくは摂取される飲食物1食中に0.1gから10g程度、より好ましくは0.5gから3g程度である。
なお、本出願が主張する優先権の基礎となる日本特許出願である特願2001−4822号の明細書に記載の内容は全て、本明細書の開示の一部として本明細書中に引用するものとする。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によっていかなる点においても限定されることはない。
実施例
製造例1:ポリ乳酸混合物(以下、CPLとも称する)の製造
マントルヒーターに収めたセパラブルフラスコにL−乳酸(D−乳酸も混入しているもの)500mlを入れた。窒素ガス300ml/分の流入及び撹拌を行い、溜出水は保温した下降型接続管を経て還流冷却器付フラスコに導きながら、145℃で3時間加熱した。更に150mmHgに減圧して同温度で3時間加熱した後、3mmHgの減圧下155℃で3時間、最後に3mmHgの減圧下185℃で1.5時間加熱し、反応生成物であるポリ乳酸を得た。
得られたポリ乳酸は100℃に保ち、エタノール100mlに続いてメタノール400mlをそれぞれ加えた後放冷した。これをメタノール500ml中に加え、よく撹拌して静置した後濾過して精製した。その濾液を減圧乾燥してアセトニトリルに溶解し、全量を200ml(原液)とした。
この原液を、予め平衡化した逆相ODSカラム(TSK gel ODS−80TM)にかけ、0.01M塩酸を含む30%、50%および100%アセトニトリル(pH2.0)でステップワイズに溶離し、アセトニトリル100%溶出画分であるポリ乳酸(縮合度3〜20)を得た。得られた物質の質量スペクトルを図1に示す。図1中の規則的なフラグメントイオンピークから明らかなように、得られたポリ乳酸の混合物は、環状縮合体を主体とし、直鎖状縮合体が少量混在した状態になっている。
試験例1:
(材料および方法)
実験動物は5〜12週齢の無菌BALB/c系マウス(日本クレア)を用いた。CPL群は1%のCPL(製造例1で製造したもの)を混入させた標準固形餌(CE−2)をあらかじめ高圧蒸気滅菌(121℃、10分間)し、滅菌水道水とともに自由摂取させた。また、対照群は放射線滅菌(コバルト60)した標準固形餌(CE−2)を滅菌水道水とともに自由摂取させた。実験に用いたすべてのマウスはビニール・アイソレーター内で飼育管理された。
EHEC(8.5×10cfu/マウス)はCPL投与開始後3日目に胃ゾンデを用いて経口投与し、生死観察および糞便中の菌数を毎日測定した。
菌数測定は糞便を採取、糞便の重量を量り、その10倍量のリン酸緩衝液(PBS)を加えてホモジナイズし、階段希釈を行い、階段希釈液0.1mlを普通寒天培地(Defco,USA)上に塗抹して集落数を数えた。
(結果および考察)
(1)EHEC感染マウスの生死に対するCPLの効果
CPL投与群および対照群における生死観察(生存率)の結果を図2に示す。EHEC投与前から3日間CPL混入標準固形餌を与えた無菌マウスでは、EHEC投与後6日目より死亡し、11日目の生存率は50%であった。3日目より死亡し、生存率が11日目30%であったCPL非摂取群の感染マウスと比較して、CPL摂取群のEHECに対する抵抗性が高いことが認められた。
(2)糞便中の生菌数
CPL投与群および対照群の糞便中における生菌数を測定した成績を図3に示す。生死観察期間中に、糞便に排出されたEHECは持続して検出された。EHECが無菌マウスの腸管内に定着し、さらにCPL非摂取群に比べてCPL摂取群の湿糞便1g当たりの生菌数は測定期間中僅かだか少ないことが認められた。
上記した成績から、感染マウスの死亡はEHECの感染によるものであり、CPL混入標準固形餌を摂取したマウスはEHECの感染に対して抵抗性を示すことが実証された。
試験例2:
(材料および方法)
実験動物は9〜12週齢のスナネズミ(セヤック)を用いた。CPL群は0.2%のCPLを混入させた標準固形餌(CE−2)を減菌水道水とともに自由摂取させ、また対照群は放射性減菌(コバルト60)した標準固形餌(CE−2)を減菌水道水とともに自由摂取させた。H.pylori(1.5〜3.0×10cfu/mouse)を胃ゾンデを用いて3日間連続経口投与後、餌に混入させたCPLを与え、30日目に屠殺、胃および十二指腸を摘出し、生菌数を測定した。生菌数の測定は胃(前胃と後胃に分割)および十二指腸の重量を量り、その10倍量のリン酸緩衝液(PBS)を加えてホモジナイズし、階段希釈を行い、階段希釈液の0.1mlをヘリコバクター寒天培地(日水製薬)上に塗抹して集落数を数えた。
(結果および考察)
H.pylori感染スナネズミの胃および十二指腸中における生菌数
CPL投与群および対照群の胃(前胃、後胃)および十二指腸中におけるH.pyloriの生菌数の測定結果を図4に示した。CPL投与群の前胃(10cfu)、後胃(10cfu)および十二指腸(10cfu)中の生菌数は、対照群の前胃(10cfu)、後胃(10cfu)および十二指腸(10cfu)中の生菌数に比して減少傾向を示していた。
上記の成績から生体内においてCPLそのものあるいはその代謝産物によってH.pyloriの増殖が抑制され、CPLの投与によりH.pylori感染から防御できることが示された。
製造例2:乳酸オリゴマー混合物(以下、X03とも称する)の製造
製造例2の反応図を以下に示す。
Figure 2002055090
窒素雰囲気下、0℃でジイソプロピルアミン0.101g(1mmol)の5mL THF溶液にn−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液)0.63mL(1mmol)を加え、10分間攪拌し、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)とした後、L−(−)−ラクチド0.577g(4mmol)の4mL THF溶液を加え、15分間攪拌し反応させた。この反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液20mLを加え、反応を処理し、さらに水10mLを加えた。THF(50mL)で5回抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。無水硫酸ナトリウムを濾別した後、有機溶媒を減圧濃縮し、粗生成物0.53gを得た。得られた粗生成物にエーテル6mLを加え、超音波洗浄器にて10分間浸漬し、濾過し、融点125〜129℃の白色固体生成物0.39gを得た。
得られた生成物の物性データを図5から図11に示す。図5から図11に示したFABMS及びNMRデータから、固体生成物中に3量体から21量体の環状乳酸オリゴマーと3量体から27量体の鎖状乳酸オリゴマーが存在することが確認された。
試験例3:
(材料および方法)
実験動物は5〜6週齢の無菌BALB/c系マウス(日本クレア)を用いた。CPL群は0.1%のX03(製造例2で製造したもの)を混入させた標準固形餌(CE−2+X03)をあらかじめ高圧蒸気滅菌(121℃、10分間)し、滅菌水道水とともに自由摂取させた。また、対照群は放射線滅菌(コバルト60)した標準固形餌(CE−2)を滅菌水道水とともに自由摂取させた。実験に用いたすべてのマウスはビニール・アイソレーター内で飼育管理された。
EHEC(5.0×10cfu/マウス)はCPL投与開始後7日目に胃ゾンデを用いて経口投与し、生死観察および糞便中の菌数を毎日測定した。
菌数測定は糞便を採取、糞便の重量を量り、その10倍量のリン酸緩衝液(PBS)を加えてホモジナイズし、その0.1mlを普通寒天培地(Defco,USA)上に塗抹して集落数を数えた。
(結果および考察)
(1)生存率に対するCPLの効果
CPL投与群および対照群における生死観察(生存率)の結果を図12に示す。15日間の観察期間におけるEHEC感染マウスの生存率は対照群20%(2/10)、CPL投与群88.9%(2/18)であった。
(2)糞便中の生菌数
CPL投与群および対照群の糞便中における生菌数を測定した成績を図13に示す。糞便中の生菌数は、対照群およびCPL投与群ともに湿糞便1g当たり109〜10cfuであった。
産業上の利用の可能性
本発明の微生物感染防御剤は、微生物(例えば、O−157などの病原性大腸菌やヘリコバクター・ピロリなど)感染症の治療及び予防のために使用することができる。
また、本発明において有効成分として用いられるポリ乳酸混合物は、生体成分に由来する乳酸の低縮合体であることから、生体適合性が高く、副作用が少ない。
【図面の簡単な説明】
図1は、製造例1で得られたポリ乳酸混合物の質量スペクトルを示す。
図2は、O−157感染マウスの生存率に及ぼすCPLの効果を示すグラフである。
図3は、O−157感染マウスの糞便中の生菌数に及ぼすCPLの効果を示すグラフである。
図4は、CPL投与群および対照群の胃(前胃、後胃)および十二指腸中におけるH.pyloriの生菌数の測定結果を示すグラフである。白い棒は対照群(n=5)を示し、黒い棒はCPL群(n=6)を示す。
図5は、製造例2で得た生成物のpositiveモードFABMSスペクトルの全体図を示す。Range:m/z 10.0000〜1305.5900
図6は、製造例2で得た生成物のnegativeモードFABMSスペクトルの全体図を示す。Range:m/z 10.0000〜2000.0000
図7は、製造例2で得た生成物のnegativeモードFABMSスペクトルの拡大図を示す。Range:m/z 10.0000〜501.9260
図8は、製造例2で得た生成物のnegativeモードFABMSスペクトルの拡大図を示す。Range:m/z 490.2980〜1003.7700
図9は、製造例2で得た生成物のnegativeモードFABMSスペクトルの拡大図を示す。Range:m/z 999.9500〜1504.3400
図10は、製造例2で得た生成物のnegativeモードFABMSスペクトルの拡大図を示す。Range:m/z 1484.5300〜2000.0000
図11は、製造例2で得た生成物のNMRスペクトルの全体図を示す。
図12は、O−157感染マウスの生存率に及ぼすCPLの効果を示すグラフである。
図13は、O−157感染マウスの糞便中の生菌数に及ぼすCPLの効果を示すグラフである。

Claims (10)

  1. 縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物を含む微生物感染防御剤。
  2. 細菌感染防御剤である、請求項1に記載の微生物感染防御剤。
  3. 病原性大腸菌感染防御剤である、請求項1又は2に記載の微生物感染防御剤。
  4. 病原性大腸菌O−157感染防御剤又はヘリコバクター・ピロリ感染防御剤である、請求項1又は2に記載の微生物感染防御剤。
  5. 微生物感染症の治療剤または予防剤として使用する、請求項1から4の何れかに記載の微生物感染防御剤。
  6. ポリ乳酸中における反復単位である乳酸が実質的にL−乳酸から成る、請求項1から5の何れか1項に記載の微生物感染防御剤。
  7. 縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物が、乳酸を不活性雰囲気下で脱水縮合し、得られた反応液のエタノールおよびメタノール可溶分を逆相カラムクロマトグラフィーに付し、pH2〜3の25〜50重量%のアセトニトリル水溶液で溶離後、pH2〜3の90重量%以上のアセトニトリル水溶液で溶離した画分である、請求項1から6の何れか1項に記載の微生物感染防御剤。
  8. 脱水縮合を窒素ガス雰囲気下、段階的減圧及び昇温により行う、請求項7に記載の微生物感染防御剤。
  9. 逆相カラムクロマトグラフィーを、ODSカラムクロマトグラフィーにより行う請求項7又は8に記載の微生物感染防御剤。
  10. 請求項1から9の何れかに記載の微生物感染防御剤を含む、微生物感染防御のための飲食品。
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