JP2015151385A - 経口感染症の予防治療剤、及び該予防治療剤を含有する医薬品、機能性食品または飲食品添加物 - Google Patents

経口感染症の予防治療剤、及び該予防治療剤を含有する医薬品、機能性食品または飲食品添加物 Download PDF

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征洋 平松
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圭一 入江
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Abstract

【課題】抗菌ペプチド産生誘導作用に基づく、新規な感染性胃腸炎予防治療剤を提供する。
【解決手段】ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)KM-D2905株(寄託番号NITE P-681)の菌体を含有する経口感染症の予防治療剤。特に乳酸菌D2905株の死菌体は、ディフェンシン系抗菌ペプチドであるヒトβ−ディフェンシン2の産生誘導作用に優れるため好適である。当該乳酸菌ラクトバチルス・プランタラムKM-D2905株の菌体による摂取により、感染性胃腸炎の予防・治療を行うことができる。本発明の予防治療剤は錠剤などの様々な剤型にすることができるため、気軽に摂取することができ、感染性胃腸炎等の経口感染症の発症の低減に寄与できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、経口感染症(例えば、感染性胃腸炎)の予防治療剤および該予防治療剤を配合した応用品に関する。
経口感染症は、病原菌(ウイルス含む。以下同じ。)で汚染された飲食物の経口摂取、あるいは感染者との接触により病原菌を経口摂取することによって感染する感染症であり、近年、特に食中毒の原因となる感染性胃腸炎が問題となっている。平成22年度厚生労働省統計資料によれば、食中毒の7割以上が、ノロウイルス、サルモネラ属菌、カンピロバクター属菌の腸管への感染が原因である。これら病原菌に汚染された水や食べ物などを介して感染し、下痢や嘔吐、腹痛、発熱などの症状を示す。そのため、これらの微生物の感染を防御することは、感染性胃腸炎から身を守るための有効な手段となる。
感染性胃腸炎等の経口感染症の予防方法としては、手洗いやうがい、食品の十分な加熱、調理器具などの消毒が広く行われている。また、自己の抗病性を向上させることにより、さらなる予防効果が期待できる。
抗病性に関わる因子の一つ、ヒト腸管で産生される抗菌ペプチドは、幅広い抗菌・抗カビ活性(非特許文献1参照)および抗ウイルス活性(非特許文献2参照)を有していることが報告されている。特に、ディフェンシン系抗菌ペプチドは、感染性胃腸炎の主な原因であるサルモネラ属菌やカンピロバクター属菌に対して強い抗菌活性を有することが報告されている(非特許文献3参照)。
そのため、これら抗菌ペプチドの機能を利用することで、病原体の定着や増殖を防ぐことができ、抗菌ペプチドは感染性胃腸炎を予防・治療する物質として注目されている。
しかしながら、抗菌ペプチドをそのまま経口で摂取しても、胃酸などにより分解され腸管までたどり着くことができない。よって、腸管において、抗菌ペプチドを産生誘導する物質が必要となる。このため、簡便に産生誘導物質を腸管まで抗菌ペプチドを誘導できる製剤が求められていた。
抗菌ペプチドを利用した発明としては、特許文献1には、植物抽出物を利用したヒトβ−ディフェンシン産生誘導剤が開示されている。
また、特許文献2には、乳酸菌ラクトバチルス・プランタラムMCRI164株の生菌体を利用して食中毒菌感染を抑制することが報告されている。この技術では、乳酸菌ラクトバチルス・プランタラムMCRI164株の生菌体がヘルパーT細胞に働きかけ、免疫賦活作用を引き起こし、食中毒菌の侵入を抑制する。
また、特許文献4には、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・ロンガム等の特定の乳酸菌が、抗菌ペプチドであるβ−ディフェンシンの発現量を高めることができ、感染予防作用を有することが開示されている。しかしながら、どのような乳酸菌に抗菌ペプチドの産生誘導作用があるかについてはいまだ詳細不明であり、経口感染症の予防・治療に有用な新たな乳酸菌の探索が行われている。
一方、本発明者は、特許文献4において、クルマエビ腸内から分離したエビ由来乳酸菌及びこれを含む飼料、エビ由来乳酸菌を用いた健全なエビ養殖方法について報告しており、特許文献4において報告したエビ由来乳酸菌の新規な用途について検討していた。
国際公開第2005/077349号パンフレット 特開2006−180836号公報 国際公開第2007/020884号パンフレット 特開2009−159955号公報
Biochim Biophys Acta. 1758(9):1408-25, 2006 J Infect Dis. 196(6):835-43, 2007 J Innate Immun. 3(3):315-26, 2011
かかる状況下、本発明の目的は、抗菌ペプチド産生誘導作用を有する新規な経口感染症の予防治療剤およびその応用品を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、クルマエビの腸管より分離したエビ由来乳酸菌の一つがCaco-2細胞およびマウス大腸において、抗菌ペプチド産生を誘導する作用を有することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1>ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)KM-D2905株(寄託番号NITE P-681)の菌体を含有し、抗菌ペプチドの産生誘導作用を有する経口感染症の予防治療剤。
<2> 少なくともラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)KM-D2905株の死菌体を含有する前記<1>に記載の予防治療剤。
<3> ヒトβ−ディフェンシン2(human β-defensin-2)の産生作用を有する前記<1>または<2>に記載の予防治療剤。
<4> 経口感染症の病原菌が、大腸菌、赤痢菌、コレラ菌、黄色ブドウ球菌、サルモネラ属菌及びカンピロバクター属菌から選択される1種以上である前記<1>から<3>のいずれかに記載の予防治療剤。
<5> 経口感染症が、感染性胃腸炎である前記<1>から<4>のいずれかに記載の予防治療剤。
<6> 前記<1>から<5>のいずれかに記載の経口感染症の予防治療剤を含有する医薬品、機能性食品または飲食品添加物。
本発明によれば、経口摂取することにより、腸管内の抗菌ペプチドの産生を誘導することができ、生体への安全性が高く、日常的に摂取できる経口感染症の予防治療剤が提供される。また、当該経口感染症の予防治療剤を含有する医薬品、飲食品、飲食品添加物等が提供される。
Caco-2細胞におけるラクトバチルス・プランタラムKM-D2905株の死菌体によるhBD2 mRNA発現誘導作用(In vitro)を示す図である。 Caco-2細胞におけるラクトバチルス・プランタラムKM-D2905株の死菌体およびNBRC15891の死菌体によるhBD2 mRNA発現誘導作用(In vitro)を示す図である。 マウス大腸におけるラクトバチルス・プランタラムKM-D2905株の死菌体のCryptdin-3 mRNA発現誘導作用(In vivo)を示す図である。
以下、本発明について例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下の例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
(経口感染症の予防治療剤)
本発明の経口感染症の予防治療剤は、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)KM-D2905株(寄託番号NITE P-681)の菌体を含有し、抗菌ペプチド産生作用を有する。本発明の経口感染症の予防治療剤は、特に感染性胃腸炎の予防治療剤として有用である。なお、以下、本明細書において、本発明の経口感染症の予防治療剤を「本発明の予防治療剤」と称し、単に菌体と記載したときは、「生菌体、死菌体及びそれらの混合体を含む」こととする。
ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)KM-D2905株は、クルマエビの腸管より分離した乳酸菌の一つであり、2008年12月1日に、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許寄託センター(〒292-0818千葉県木更津市かずさ鎌足2丁目5番8号)に寄託された、寄託番号NITE P-681の菌株である。以下、この菌株を単に「D2905株」と記載する場合がある。
また、本発明の予防治療剤には、D2905株の変異株を用いることもできる。変異株の取得方法としては、上記菌株が自然変異したものに加えて、人為的に突然変異を起こす方法がある。具体的には、菌株培養時に紫外線処理をして突然変異を誘発する方法、N'-ニトロ-N-ニトロソグアニジン(NTG)やエチルメタンスルホン酸(EMS)などの変異誘起剤を用いて処理する方法がある。また、形質転換や細胞融合などの方法で外来遺伝子を導入し、望ましい形質を持つ菌株を育種することもできる。
D2905株は、ヒト結腸癌由来の細胞株Caco-2細胞において、抗菌ペプチド産生を誘導する作用を有する。
D2905株による産生作用により、Caco-2細胞において産生される抗菌ペプチドとしては、ヒトβ−ディフェンシン1(human β-defensin 1(以下、hBD1))およびヒトβ−ディフェンシン2(human β-defensin 2(以下、hBD2))、ヒト好中球ペプチド-6(human neutrophil peptide (HNP)-6)、ヒトカテリシジン(human cathelicidin antimicrobial peptide (hCAP)18/LL-37)、分泌型白血球ペプチダーゼインヒビター(human secretory leukocyte peptidase inhibitor (hSLPI))、ヒトエラフィン(hElafin)等が挙げられる。D2905株の死菌体は、このようなヒトの抗菌ペプチドの中でもディフェンシン系抗菌ペプチドのhBD2を多く産出する。
また、D2905株は、ヒト以外にもマウス大腸においてディフェンシン系抗菌ペプチドであるCryptdin-3の産生を誘導する作用を有することから、他のほ乳類においても同様にディフェンシン系抗菌ペプチドの産生を誘導する作用を有していると推測される。
本発明の予防治療剤に含まれるD2905株は、上述のように抗菌ペプチド産生作用を有する。抗菌ペプチド(特にはhBD2)は、大腸菌、赤痢菌、コレラ菌、黄色ブドウ球菌、サルモネラ属菌、カンピロバクター属菌等に対して強い抗菌活性を有する。そのため、D2905株を含有する本発明の予防治療剤を経口投与することにより、これらの菌に由来する経口感染症の予防治療することができる。
特にhBD2は、感染性胃腸炎の主な原因であるサルモネラ属菌やカンピロバクター属菌に対して強い抗菌活性を有することが知られており、D2905株(特には死菌体)を含有する本発明の予防治療剤を経口投与することにより、これらの菌に由来する感染性胃腸炎の予防治療することができる。
本発明の予防治療剤に含有させるD2905株は、生菌体及び死菌体のいずれであってもよいが、より優れた抗菌ペプチドの産生作用がある死菌体がより好ましい。D2905株の特徴のひとつは、D2905株の生菌体よりも死菌体を投与した時により、抗菌ペプチドの産生量が高まることにある。そのため、本発明の予防治療剤は、D2905株の死菌体を含有させることにより感染性胃腸炎をはじめとする経口感染症の原因菌の感染抑制し、より優れた経口感染症の予防治療効果を得ることができる。
また、死菌体は、生菌体と比較して取り扱いが容易な点であり、死菌体をそのまま製品とすることができるため、菌体の冷蔵保存などの必要がなくなることで製造コストの削減につながる。
D2905株は、その生菌体を培養することにより大量に生産することができる。
培地は、液体培地及び固体培地のいずれでもよいが、窒素源及び炭素源を含有するものが好ましい。窒素源としては、肉エキス、ペプトン、グルテン、カゼイン、酵母エキス、アミノ酸等を、また、炭素源としては、グルコース、キシロース、フルクトース、イノシトール、マルトース、水アメ、麹汁、デンプン、バカス、フスマ、糖蜜、グリセリン等を用いることができる。また、無機質として、硫酸アンモニウム、リン酸カリウム、塩化マグネシウム、食塩、鉄、マンガン、モリブデン等を添加することができ、更にビタミン等を添加することができる。好適な培地としては、MRS培地、LBS培地、Rogosa培地、WYP培地、GYP培地等が挙げられる。
D2905株の死菌体は、D2905株の生菌体を加熱処理等により殺菌したものである。D2905株の死菌体を得る方法として具体例を挙げると、D2905株の生菌体を加熱により殺菌する方法、生菌体を超音波、フレンチプレス等で物理的に破壊して殺菌する方法、酸若しくはアルカリ溶液に接触させて殺菌する方法、菌体を酵素的に破砕して殺菌する方法などが挙げられる。この中でも容易に死菌体を得ることができる加熱により殺菌する方法が好ましい。加熱により殺菌する方法の具体例を例示すると、D2905株の生菌体を60℃以上で10分以上加熱する方法が挙げられる。
本発明の予防治療剤の用途としては、内用・外用の医薬品、健康食品や発酵食品などいずれでもよい。錠剤や顆粒剤などの製品形態はいずれでもよいが、日常的に取り入れやすい錠剤が望ましい。感染性胃腸炎等の経口感染症の予防法としての抗菌ペプチド産生のため、本乳酸菌を毎日摂取されることが望ましい。
(本発明の予防治療剤の形態)
本発明の予防治療剤は、D2905株の菌体の有効量を薬学的に許容される担体とともに配合し、固形製剤又は液状製剤として経口又は非経口的に投与することができる。剤形は通常の経口投与または非経口投与に使用されるものならどのような剤形でもよい。日常的に取り入れやすい錠剤が望ましい。感染性胃腸炎等の経口感染症の予防法としての抗菌ペプチド産生のため、本発明の予防治療剤を毎日摂取されることが望ましい。なお、クルマエビ腸内から分離したD2905株等の乳酸菌は、各種試験の結果、生体への安全性が極めて高いことが確認されている。したがって、本発明の予防治療剤は、生体への安全性が高く、長期間継続的に摂取可能である。
経口投与または非経口投与に利用される剤形としては、具体的には、固形製剤として、粉末剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、トローチ等が挙げられる。また、液状製剤として内用液剤、外用液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、注射液、輸液等が例示され、これら剤形やその他の剤形が目的に応じて適宜選択される。
固形製剤において、主剤である本発明の予防治療剤に、賦形剤、結合剤、崩壊剤、潤沢剤、矯味剤、安定化剤などの補助剤を用いてもよい。主剤と補助剤の比率は目的に応じて適宜選択される。
固形製剤における賦形剤の好適な例としては、例えば乳糖、D−マンニトール、デンプンなどが挙げられる。結合剤の好適な例としては、例えば、結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。崩壊剤の好適な例としては、例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム等が挙げられる。また、必要に応じて防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤などの製剤添加物を用いてもよい。
また、液状製剤として用いる場合、溶媒としてはD2905株の菌体の分散性を有し、生体安全性があるものが選択される。溶媒の好適な例としては、例えば、水、エタノール、プロピレングリコールなどが挙げられる。
また、液状製剤は、主剤である本発明の予防治療剤と共に、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、抗酸化剤等の補助成分を含んでいてもよい。
溶解補助剤の好適な例としては、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、安息香酸ベンジル、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。懸濁化剤の好適な例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カヒドロキシメチルセルロース等が挙げられる。緩衝剤の好適な例としては、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩等の緩衝液が挙げられる。抗酸化剤の好適な例としては、亜硫酸塩、アスコルビン酸塩などが挙げられる。
上記固形製剤や液状製剤の製法は、一般的な医薬品の製法を適用することができる。
上述の各種製剤は、D2905株の菌体のみからなるものであってもよく、例えば、当該菌体又はその処理物を上記剤形に成形することによって調製することができる。上述の各種製剤はまた、上記D2905株の菌体のみと、薬学的に許容される添加剤(賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、乳化剤、界面活性剤、基剤、溶解補助剤、懸濁化剤等)とを混和し、成形することによって調製することもできる。この場合の上記D2905株の菌体は、製剤全量を基準として、例えば、0.5〜50質量%である
本発明の予防治療剤の摂取量及び摂取方法は、投与される対象者の年齢、性別などの個別差に応じて適宜決定することができる。好適な摂取方法としては、例えば、経口投与が挙げられる。
摂取量の好適範囲は、対象者の年齢、性別などの個別差にもよるが、D2905株の死菌体の場合で、104 〜1010 個/ヒト体重kg(好適には106 〜108 個/ヒト体重kg)である。このような量を継続的に摂取することで、感染性胃腸炎の予防治療に十分な量の抗菌ペプチドが産生することが期待できる。
(機能性食品)
一方、日常的に飲食することで、本発明の予防治療剤を摂取したい場合には、該食品、飲料に含有させて機能性食品としてもよい。
ここでいう「機能性食品」とは、一般食品に加えて、健康食品、栄養補助食品、栄養機能食品、栄養保険食品等、健康の維持の目的で摂取する食品および/又は飲料を意味している。なお、機能性食品として製品化する場合には、食品に用いられる様々な添加剤、具体的には、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤漂白剤、防菌防黴剤、酸味料、調味料、乳化剤、強化剤、製造用剤、香料等を添加していてもよい。
本発明の機能性食品の対象となる、食品、飲料は特に限定されるものではない。食品として、例えば、パン類、麺類、米類、豆腐、乳製品、醗酵食品、発酵乳、醤油、味噌、菓子類などの食品類が挙げられる。また、飲料としては、例えば、水、果汁飲料、乳飲料、各種の茶類、清涼飲料水、酒類、栄養ドリンクなどが挙げられる。本発明の予防治療剤は、このような食品、飲料に添加することにより、簡易に経口摂取することができる。
(飲食品添加物)
本発明の予防治療剤は、飲食品添加物としても利用できる。対象となる飲食物は特に制限はないが、例えば、パン類、麺類、米類、豆腐、乳製品、醗酵食品、発酵乳、醤油、味噌、菓子類、ゼリー、キャンディー、各種の茶類、清涼飲料水、酒類、醤油、味噌、菓子類等が挙げられる。この場合、飲食品添加物は、当分野で通常使用される他の添加物を更に含有してもよい。
本発明の予防治療剤は、ヒトのみならず、動物に対しても同様な効果が期待できる。そのため、動物用の医薬品として用いることもできし、飼料、ペットフードに添加剤として添加することもできる。
なお、上述のようにD2905株は死菌体の方がより優れた抗菌ペプチドの産生作用を有するため、死菌体として上記医薬品、機能性食品や飲食品添加物に配合した方が好ましい。一方で、生菌体として医薬品、機能性食品や飲食品添加物に配合し、経口投与あるいは接触する前に加熱等により生菌体を死菌体に変化させてもよい。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
評価1:In vitroにおけるエビ由来乳酸菌ラクトバチルス・プランタラム(Lb. plantarum)D2905株の抗菌ペプチド発現誘導作用
ヒト結腸癌由来細胞株Caco-2に対し、生菌体、または熱殺菌 (65℃, 10分)して死菌体としてLb. plantarum D2905株(5 × 109 cfu/ml)を培地に24、48時間添加した。そして2細胞からRNAの回収・逆転写を行った後、リアルタイムPCRを用いて抗菌ペプチド(HNP6, hBD1, hBD2, hCAP18/LL-37, hSLPI, hElafin)の産生誘導を評価した。なお、内標準遺伝子には、GAPDHを使用した。
表1に示すように、生菌体および死菌体のD2905株を曝露したCaco-2細胞において、抗菌ペプチドの発現量が増加しており、抗菌ペプチドの中でもhBD2の発現量の増加が大きいことがわかる。そして、特にhBD2の死菌体は、hBD2の生菌体と比較しても、はるかに大きい発現量を示した。また、死菌体のD2905株(5×107、108、109 cfu/ml)による抗菌ペプチド産生誘導作用を検討した結果、図1に示すように、用量依存的なhBD2産生誘導作用が確認できた。
これらの結果は、死菌体のD2905株は、生菌体よりも抗菌ペプチドの発現量をより強く産生誘導できることを示唆した。
評価2:他のラクトバチルス・プランタラムとの比較
次に、エビ由来乳酸菌Lb. plantarumが他の環境より単離したLb. plantarumより強い抗菌ペプチド産生誘導作用を示すかどうか検討するために、type strainであるpickled cabbage由来のLb. plantarum NBRC15891とhBD2産生誘導作用を比較した。結果を図2に示す。
その結果、熱殺菌したD2905株を曝露したCaco-2細胞では、NBRC15891の約2.7倍のhBD2 mRNAの発現誘導が見られた。本結果は、エビ由来乳酸菌が既存の乳酸菌株より、強い抗菌ペプチド産生誘導作用を有することを示した。
評価3:In vivoにおけるLb. plantarum D2905株の抗菌ペプチド発現誘導作用
6週齢の雄性C57BL/6マウスに、生菌体、または熱殺菌 (65℃, 10分)して死菌体としてLb. plantarumD2905株(2.5×107 cfu/g mouse)を7日間毎日経口投与した。その後、大腸を摘出し、RNAの回収・逆転写を行った後、リアルタイムPCRを用いてマウス抗菌ペプチド(Cryptdin-3)の産生誘導を確認した。内標準遺伝子には、β-actinを使用した。
表2および図3に示すように、死菌体のLb. plantarum D2905株を投与したマウスの大腸では、PBSを投与した群と比較し、ディフェンシン系抗菌ペプチドであるCryptdin-3 mRNAの発現量が7.6倍に増加した。一方、Cryptdin-3 mRNAの発現量は、生菌体のLb. plantarum D2905株では、2.4倍の上昇となった。これらの結果から、in vivoにおいても、死菌体のD2905株は、生菌体よりも強く抗菌ペプチドの産生を誘導することが分かった。
本発明の経口感染症の予防治療剤は、生体への安全性が高く、錠剤などの様々な剤型にすることができるため、気軽に摂取することができる。そのため、本発明の経口感染症の予防治療剤およびその応用品は、感染性胃腸炎等の経口感染症の発症の低減に寄与できる。

Claims (6)

  1. ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)KM-D2905株(寄託番号NITE P-681)の菌体を含有し、抗菌ペプチドの産生誘導作用を有することを特徴とする経口感染症の予防治療剤。
  2. ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)KM-D2905株の死菌体を含有する請求項1に記載の予防治療剤。
  3. ヒトβ−ディフェンシン2(human β-defensin-2)の産生誘導作用を有する請求項1または2に記載の予防治療剤。
  4. 経口感染症の病原菌が、大腸菌、赤痢菌、コレラ菌、黄色ブドウ球菌、サルモネラ属菌及びカンピロバクター属菌から選択される1種以上である請求項1から3のいずれかに記載の予防治療剤。
  5. 経口感染症が、感染性胃腸炎である請求項1から4のいずれかに記載の予防治療剤。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の経口感染症の予防治療剤を含有する医薬品、機能性食品または飲食品添加物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2020111172A1 (ja) * 2018-11-29 2020-06-04 雪印メグミルク株式会社 抗菌ペプチド産生促進用組成物
JP7497126B2 (ja) 2018-11-29 2024-06-10 雪印メグミルク株式会社 抗菌ペプチド産生促進用組成物

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