JPWO2002022920A6 - 希土類−鉄ガーネット単結晶体及びその製造方法並びに希土類−鉄ガーネット単結晶体を用いたデバイス - Google Patents

希土類−鉄ガーネット単結晶体及びその製造方法並びに希土類−鉄ガーネット単結晶体を用いたデバイス Download PDF

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Abstract

良質の希土類−鉄ガーネット単結晶体を効率的に提供することを目的とする。ReFe5−x12(但し、ReはY、Bi、Ca及び原子番号62〜71のランタニド希土類元素の少なくとも1種、Mは原子番号22〜30の遷移金属元素、Al、Ga、Sc、In及びSnの少なくとも1種、0≦x<5を示す。)単結晶から実質的に構成され、小傾角粒界を形成する結晶粒子の単位面積当たりの個数(個/cm)が0≦n≦10である希土類−鉄ガーネット単結晶体、及び希土類−鉄ガーネット単結晶体を用いたデバイスに係る。

Description

技術分野
本発明は、希土類−鉄ガーネット単結晶体及びその製造方法に関する。
背景技術
ReFe12(但し、ReはY、Bi及び原子番号62〜71のランタニド希土類元素の少なくとも1種を示す。)単結晶等は、光通信用アイソレーター、マイクロ波共鳴素子、磁気バブルメモリー、光スイッチ、光変調器、光磁界センサー、光磁気メモリー、携帯電話用高周波磁気フィルター等に幅広く利用される磁気光学結晶体である。
ところが、上記単結晶はその状態図から明らかなように、ReFe12組成の融液から直接単結晶化することが困難なため、フラックス主成分がフッ化物又は塩化物であるフラックス法、融液組成をFeリッチにすることによって直接ReFe12単結晶を引き上げるトップ・シーディド・ソリューション・グロース法(TSSG法)又はフローティングゾーン法(FZ法)によって製造されている。これらの製法では、大型の単結晶の製造が困難であり、また得られる単結晶体中の転位密度が高いこと、組成的不均一を生じやすいこと等の結晶育成上の問題がある。例えば、フラックス法では、得られるReFe12単結晶サイズは前者では数mm以下、またFZ法では直径5〜10mm×長さ50〜60mm程度のものしか得られないのが一般的である。また、TSSG法では、高価な貴金属るつぼを用い、しかも育成速度が0.1〜0.5mm/h程度であることから生産効率が低く、製造コストも非常に高くなる。また、得られる単結晶の性能面においても、これらの方法では単結晶育成中に不純物が混入しやすい等の問題がある。
磁性ガーネット厚膜を格子定数の比較的接近した非磁性単結晶ウエハー上に育成するリキッド・フェーズ・エピタキシャル(LPE)法があるが、高価な非磁性ガーネットウエハー(一般的にはGGG:GdGa12系)を用いることが前提であり、そのウエハー上にアイソレーターとして必要な磁性ガーネット厚膜(一般的には0.5mm前後)を形成するのに2〜4日(結晶成長速度は7μm/h前後)もかかる。しかも、この方法では、成長後に非磁性ガーネットウエハーを磁性厚膜から機械加工によって取り除かなければならない。
他方、ReFe12の一つとして(BiTb)Fe12単結晶が焼成法によって製造することは知られている(特開平8−91998号公報等)。これらの方法では、焼結体と単結晶とをいったん接合し、1300℃程度で加熱・保持することによって挿入損失の比較的低い単結晶を製造することが開示されている。別の焼成法としては、単結晶と多結晶とを張り合わせ、不連続粒成長を生じるような温度域で熱処理することによって磁気ヘッド用フェライト単結晶を製造することが開示されている(特開昭57−92591号公報、特開昭60−195096号公報、特開昭55−162496号公報、特開昭57−92599号公報等)。
しかしながら、これらの焼成法による単結晶体も、その品質はなお不十分である。すなわち、従来品は単結晶と言えるものの、小傾角粒界(亜粒界)、転位、残留気泡等の欠陥濃度がなお高く、品質面でなお改善の余地がある。
これらの欠陥がより低減ないしは解消された単結晶体を効率的に提供することができれば、これまでの単結晶体を用いた製品の性能を高めることができるとともに単結晶体の用途をよりいっそう拡大することができる。
従って、本発明は、より高品質の希土類−鉄ガーネット単結晶体を効率的に提供することを主な目的とする。
発明の開示
本発明者は、かかる従来技術の問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定のプロセスにより単結晶を作製することにより上記目的を達成できることを見出し、ついに本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の希土類−鉄ガーネット単結晶体及びその製造方法に係るものである。
1. ReFe5−x12(但し、ReはY、Bi、Ca及び原子番号62〜71のランタニド希土類元素の少なくとも1種、Mは原子番号22〜30の遷移金属元素、Al、Ga、Sc、In及びSnの少なくとも1種、0≦x<5を示す。)単結晶から実質的に構成され、小傾角粒界を形成する結晶粒子の単位面積当たりの個数n(個/cm)が0≦n≦10である希土類−鉄ガーネット単結晶体。
2. ReFe5−x12(但し、ReはY、Bi、Ca及び原子番号62〜71のランタニド希土類元素の少なくとも1種、Mは原子番号22〜30の遷移金属元素、Al、Ga、Sc、In及びSnの少なくとも1種、0≦x<5を示す。)単結晶から実質的に構成され、転位密度(但し、小傾角粒界を構成する転位を除く。)が1×10個/cm以下である希土類−鉄ガーネット単結晶体。
3. 気孔体積が200体積ppm以下である前記項1又は2に記載の希土類−鉄ガーネット単結晶体。
4. 波長1.3〜2.0μmの近赤外線波長領域における屈折率分布が5×10−3〜1×10−6である前記項1又は2に記載の希土類−鉄ガーネット単結晶体。
5. 純度が99.5重量%以上である請求項1又は2に記載の希土類−鉄ガーネット単結晶体。
6. モル比でRe:Fe5−x(但し、ReはY、Bi、Ca及び原子番号62〜71のランタニド希土類元素の少なくとも1種、Mは原子番号22〜30の遷移金属元素、Al、Ga、Sc、In及びSnの少なくとも1種、0≦x<5を示す。)が3.00:4.99〜5.05である組成を有する酸化物粉末を成形し、得られた成形体又はその焼結体を900〜1500℃で熱処理して結晶成長させることにより、ReFe5−x12単結晶体から実質的に構成される希土類−鉄ガーネット単結晶体を製造する方法であって、
結晶成長させるに際し、(a)結晶成長開始部分に対する加熱及び(b)当該部分以外の末端部に対する冷却の少なくとも一方の処理を施すことによって、10℃/cm以上の平均温度勾配を当該成形体又は焼結体に与えることを特徴とする希土類−鉄ガーネット単結晶体の製造方法。
7. 酸化物粉末が
1)Reの酸化物粉末(但し、ReはY、Bi、Ca及び原子番号62〜71のランタニド希土類元素の少なくとも1種)と、
2)▲1▼酸化鉄粉末又は▲2▼原子番号22〜30の遷移金属元素、Al、Ga、Sc、In及びSnの少なくとも1種ならびに酸化鉄粉末からなる粉末との混合粉末である前記項6記載の製造方法。
8. 1)Reの酸化物粉末(ReはY、Bi、Ca及び原子番号62〜71のランタニド希土類元素の少なくとも1種)における一次粒子径が20〜500nm及びBET比表面積が5〜50m/gであって、かつ、2)▲1▼酸化鉄粉末又は▲2▼原子番号22〜30の遷移金属の酸化物粉末、酸化アルミニウム粉末、酸化ガリウム粉末、酸化スカンジウム粉末、酸化インジウム粉末及び酸化スズ粉末の少なくとも1種ならびに酸化鉄粉末からなる粉末における一次粒子径が100〜1000nm及びBET比表面積が3〜30m/gである前記項7記載の製造方法。
9. モル比でRe:Fe5−x(但し、ReはY、Bi、Ca及び原子番号62〜71のランタニド希土類元素の少なくとも1種、Mは原子番号22〜30の遷移金属元素、Al、Ga、Sc、In及びSnの少なくとも1種、0≦x<5を示す。)が3.00:4.99〜5.05の組成を有するReFe5−x12焼結体に、Re12又はReFe5−x12単結晶を種子結晶として接触させた後、900〜1500℃で熱処理して結晶成長させることにより、ReFe5−x12単結晶から実質的に構成される希土類−鉄ガーネット単結晶体を製造する方法であって、
結晶成長させるに際し、(a)種子結晶部分に対する加熱及び(b)当該部分以外の末端部に対する冷却の少なくとも一方の処理を施すことにより、10℃/cm以上の平均温度勾配を当該焼結体に与えることを特徴とする希土類−鉄ガーネット単結晶体の製造方法。
10. ReFe5−x12(但し、ReはY、Bi、Ca及び原子番号62〜71のランタニド希土類元素の少なくとも1種、Mは原子番号22〜30の遷移金属元素、Al、Ga、Sc、In及びSnの少なくとも1種、0≦x<5を示す。)焼結体が相対密度99%以上である前記項9記載の製造方法。
11. Re12又はReFe5−x12(但し、ReはY、Bi、Ca及び原子番号62〜71のランタニド希土類元素の少なくとも1種、Mは原子番号22〜30の遷移金属元素、Al、Ga、Sc、In及びSnの少なくとも1種、0≦x<5を示す。)単結晶の(100)面、(110)面又は(111)面を研磨し、その研磨面をReFe5−x12焼結体に接触させる前記項9記載の製造方法。
12. 研磨面が平均表面粗さRa=1.0nm以下及び平坦度λ(λ=633nm)以下である前記項11記載の製造方法。
13. ReFe5−x12(但し、ReはY、Bi、Ca及び原子番号62〜71のランタニド希土類元素の少なくとも1種、Mは原子番号22〜30の遷移金属元素、Al、Ga、Sc、In及びSnの少なくとも1種、0≦x<5を示す。)焼結体の一部又は全部を平均表面粗さRa=1.0nm以下及び平坦度λ(λ=633nm)以下に研磨し、その研磨面をRe12又はReFe5−x12単結晶と接触させる前記項9記載の製造方法。
14. ReFe5−x12(但し、ReはY、Bi、Ca及び原子番号62〜71のランタニド希土類元素の少なくとも1種、Mは原子番号22〜30の遷移金属元素、Al、Ga、Sc、In及びSnの少なくとも1種、0≦x<5を示す。)焼結体及びRe12又はReFe5−x12単結晶の少なくとも一方の接触面に、Re、Fe及びMの少なくとも1種を含む水溶液を塗布する前記項9記載の製造方法。
15. モル比でRe:Fe5−x(但し、ReはY、Bi、Ca及び原子番号62〜71のランタニド希土類元素の少なくとも1種、Mは原子番号22〜30の遷移金属元素、Al、Ga、Sc、In及びSnの少なくとも1種、0≦x<5を示す。)が3.00:4.99〜5.05である組成を有するReFe5−x12焼結体にレーザービームを照射することによりReFe5−x12単結晶の種子結晶を生成させた後、900〜1500℃で熱処理して結晶成長させることにより、ReFe5−x12単結晶から実質的に構成される希土類−鉄ガーネット単結晶体を製造する方法であり、
結晶成長させるに際し、(a)種子結晶部分に対する加熱及び(b)当該部分以外の末端部に対する冷却の少なくとも一方の処理を施すことにより、10℃/cm以上の平均温度勾配を当該焼結体に与えることを特徴とする希土類−鉄ガーネット単結晶体の製造方法。
16. レーザービームの波長が0.2〜11μm(但し、当該ReFe5−x12の透過波長を除く。)である前記項15記載の製造方法。
17. レーザービームの照射エリアが1mm以下である前記項15記載の製造方法。
18. 1300℃未満で加熱しながら当該ReFe5−x12焼結体にレーザービームを照射する前記項15記載の製造方法。
19. 当該成形体又は焼結体中に、結晶成長時に液相を形成し得る酸化物を存在させることを特徴とする前記項6、9又は15に記載の製造方法。
20. 結晶成長させるに際し、昇温速度を50℃/h以下とすることを特徴とする前記項6、9又は15に記載の製造方法。
21. 冷却が、冷媒を当該末端部分に吹き付けることにより実施される前記項6、9又は15に記載の製造方法。
22. 冷却が、金属又は無機材料からなるヒートシンク材を当該末端部分に当接し、当該ヒートシンク材に冷媒を接触させることにより実施される前記項6、9又は15に記載の製造方法。
23. ▲1▼昇温速度又は▲2▼昇温速度と冷媒の流量の双方を変化させることにより、単結晶の結晶成長を制御する前記項6、9又は15に記載の製造方法。
24. 前記項1又は2に記載の希土類−鉄ガーネット単結晶体を用いたデバイス。
1.希土類−鉄ガーネット単結晶体
第一発明の希土類−鉄ガーネット単結晶体は、ReFe5−x12(但し、ReはY、Bi、Ca及び原子番号62〜71のランタニド希土類元素の少なくとも1種、Mは原子番号22〜30の遷移金属元素、Al、Ga、Sc、In及びSnの少なくとも1種、0≦x<5を示す。)単結晶から実質的に構成され、小傾角粒界を形成する結晶粒子の単位面積当たりの個数n(個/cm)が0≦n≦10であることに特徴を有する。
また、第二発明の希土類−鉄ガーネット単結晶体は、ReFe5−x12(但し、ReはY、Bi、Ca及び原子番号62〜71のランタニド希土類元素の少なくとも1種、Mは原子番号22〜30の遷移金属元素、Al、Ga、Sc、In及びSnの少なくとも1種、0≦x<5を示す。)単結晶から実質的に構成され、転移密度(小傾角粒界を構成する転位を除く。)が1×10個/cm以下であることに特徴を有する。
以下、第一発明の単結晶体を「第一発明単結晶体」、第二発明の単結晶体を「第二発明単結晶体」、両者を総称するときは「本発明単結晶体」という。
第一発明単結晶体は、小傾角粒界(小傾角境界又は亜粒界ともいう。)を形成する結晶粒子の単位面積当たりの個数n(個/cm)が0≦n≦10(好ましくは0≦n≦80、より好ましくは0≦n≦50)であることに特徴を有する。単結晶体では、結晶粒界(いわゆる大傾角粒界)は存在しないが、結晶成長の過程においてある結晶が隣り合う結晶と方位差が生じ、その結果として小傾角粒界が形成されることがある(一般的には、粒界での方位差が10°以下である)。この小傾角粒界は、傾角粒界(平行に並んだ刃状転位により構成された界面)とねじれ粒界(粒界を挟む二つの結晶の方位が転位面に垂直な方向を軸として互いに回転した形)の両者が含まれる。すなわち小傾角粒界は、刃状転位及びらせん転位の複雑な配列により構成される界面である。小傾角粒界は、単結晶が成長する段階で、その界面に囲まれた領域部分がつくりだされる。すなわち、上記単位面積当たりの個数が多くなれば、小傾角粒界が多くなることを意味し、それだけ単結晶体としての品質に劣ることになる。例えば、上記単位面積当たりの個数が過多となれば、磁気−光学特性が低下する等の問題が起こり得る。従って、本発明では、上記個数を通常100個/cm以下と規定する。
第二発明単結晶体は、単結晶体中における転位密度が通常1×10個/cm以下(好ましくは1×10個/cm以下、より好ましくは1×10個/cm以下)であることに特徴を有する。単結晶体であっても、転位が存在することがあり、その転位密度が高くなりすぎると小傾角粒界の場合と同様、単結晶体としての品質に問題が生じることがある。なお、転位密度の下限値は特に限定されないが、経済性等の見地からみれば通常1×10個/cm程度とすれば良い。小傾角粒界は、刃状転位及びらせん転位が三次元的な連続性をもったものである。つまり、小傾角粒界が界面における欠陥であるのに対し、転位密度は結晶粒子内部に発生した欠陥であって、本発明では両者(小傾角粒界と転位密度)を区別する。
本発明単結晶体は、上記の小傾角粒界の規定とともに上記転位密度の規定を満たしていることが望ましい。すなわち、ReFe5−x12(但し、ReはY、Bi、Ca及び原子番号62〜71のランタニド希土類元素の少なくとも1種、Mは原子番号22〜30の遷移金属元素、Al、Ga、Sc、In及びSnの少なくとも1種、0≦x<5を示す。)単結晶から実質的に構成され、小傾角粒界を形成する結晶粒子の単位面積当たりの個数n(個/cm)が0≦n≦10であり、かつ、転位密度(但し、小傾角粒界を構成する転位を除く。)が1×10個/cm以下である希土類−鉄ガーネット単結晶体がより好ましい。
第一発明単結晶体と第二発明単結晶体は、その組成は共通する。すなわち、両者ともに、ReFe5−x12(但し、ReはY、Bi、Ca及び原子番号62〜71のランタニド希土類元素の少なくとも1種、Mは原子番号22〜30の遷移金属元素、Al、Ga、Sc、In及びSnの少なくとも1種、0≦x<5を示す。)単結晶から実質的に構成される。
上記Reは、Y、Bi及びCa原子番号62〜71のランタニド希土類元素の少なくとも1種である。ランタニド希土類元素として具体的にはSm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuがある。上記Mは、原子番号22〜30の遷移金属元素、Al、Ga、Sc、In及びSnの少なくとも1種である。これらの各元素は所望の特性に応じて適宜選択すれば良い。例えば、Biはファラデー回転角を増大させるために使用することができる。また、Tbはファラデー回転角の温度係数を一定とするために使用することができる。
また、上記xは、0≦x<5であり、好ましくは0≦x≦3である。すなわち、本発明単結晶体におけるFeサイトは、所望の特性、単結晶体の用途等に応じてその一部を上記Mで置換することができる。
また、本発明単結晶体は、気孔体積が200体積ppm以下であることが好ましく、特に20体積ppm以下であることがより好ましい。気孔体積の下限値は限定的でないが、経済性等の見地より通常1体積ppm程度とすれば良い。気孔体積が上記範囲に設定されることによって、いっそう優れた光学特性等を得ることができる。例えば、光アイソレーターは、波長1.3〜1.5μm帯の半導体レーザーを通過(同時に偏光)させるものであるので、200体積ppm以下とすることにより挿入損失を抑制できる結果、優れた特性を得ることができる。
本発明単結晶体は、1.3〜2.0μmの近赤外線波長領域における屈折率分布が5×10−3〜1×10−5程度とすることが好ましい。特に、本発明単結晶体を光学材料として使用する場合にはその値はできるだけ低い方が好ましい。
本発明単結晶体は、組成的に上記ReFe5−x12成分から実質的に構成されているが、不可避不純物が含まれていても差し支えない。上記成分の純度は高いほど好ましく、通常は99.5重量%以上、特に99.9重量%以上である。
本発明単結晶体のサイズは特に限定的ではないが、通常は5mm以上の範囲で最終製品の用途等に応じて適宜変更することができる。また、後記の実施例に示すように、例えば10cm以上の単結晶体も本発明に包含される。
2.製造方法(第一方法)
第一方法は、モル比でRe:Fe5−x(但し、ReはY、Bi、Ca及び原子番号62〜71のランタニド希土類元素の少なくとも1種、Mは原子番号22〜30の遷移金属元素、Al、Ga、Sc、In及びSnの少なくとも1種、0≦x<5を示す。)が3.00:4.99〜5.05である組成を有する酸化物粉末を成形し、得られた成形体又はその焼結体を900〜1500℃で熱処理して結晶成長させることにより、ReFe5−x12単結晶から実質的に構成される希土類−鉄ガーネット単結晶体を製造する方法であって、
結晶成長させるに際し、(a)結晶成長開始部分に対する加熱及び(b)当該部分以外の末端部に対する冷却の少なくとも一方の処理を施すことによって、10℃/cm以上の平均温度勾配を当該成形体又は焼結体を与えることを特徴とする。
まず、酸化物粉末の調製を行う。酸化物粉末は、モル比でRe:Feが3.00:4.99〜5.05(好ましくは3.00:4.995〜5.020)の組成を有する限りは、1種の酸化物粉末(Re及びFeを含む複合酸化物又は混合酸化物(ReFe5−x12粉末等))又は2種以上の酸化物粉末からなる混合粉末のいずれであっても良い。
第一方法では、酸化物粉末が
1)Reの酸化物粉末(但し、ReはY、Bi、Ca及び原子番号62〜71のランタニド希土類元素の少なくとも1種)と、
2)▲1▼酸化鉄粉末又は▲2▼原子番号22〜30の遷移金属元素、Al、Ga、Sc、In及びSnの少なくとも1種ならびに酸化鉄粉末からなる粉末との混合粉末を用いることが好ましい。
この場合、上記1)の粉末は、その一次粒子径が20〜500nmであって、BET比表面積が5〜50m/gであることが望ましい。また、上記2)の粉末は、その一次粒子径が100〜1000nmであって、BET比表面積が3〜30m/gであることが望ましい。
なお、これら粉末の一次粒子径は、X線回折分析における回折ピークの半価幅又はSEM(走査型電子顕微鏡)若しくはTEM(透過型電子顕微鏡)によって求めることができる。すなわち、SEM又はTEMの場合は任意に選んだ100個の粒子の長径の平均値を算出することによって求めた値を示す。
さらに、本発明では、結晶成長時に液相を形成し得る酸化物を0.01〜1重量%添加しても良い。例えば、Bi(この場合はReの総量が3.0を越える過剰量)、PbO、SiO、B、LiO、NaO、KO、GeO、P等の少なくとも1種を用いることができる。かかる添加によって、成形体から低融点物質を形成させ、結晶成長させる時に結晶成長界面(単結晶と多結晶界面)に液相が存在した状態で単結晶を育成することもできる。この場合、極少量の液相成分が結晶成長界面に存在することにより液相を介した結晶成長(すなわち、多結晶体の構成粒子が液相に一旦溶解したあと、単結晶の成長界面に再析出することを繰り返すこと)でも単結晶化を引き起すことができる。この方法を適用するときは、上記所定量の酸化物を含むReFe5−x12成形体又は焼結体を作製し、次いで第一方法を適用すれば良いが、上記酸化物は育成した結晶内部に導入される場合がある。このため、酸化物含有量は上記所定量の範囲内とする。
上記の酸化物粉末自体は、構成元素の酸化物をブレンドする固相法、構成元素を予め化学的に処理することで均一化した粉末を得る共沈法、均一沈殿法、アルコキシド法等の公知の製法で得られる粉末又は市販品を使用することができる。特に、本発明単結晶体は組成が複雑になる場合が多いことから、個々の酸化物粉末を電子天秤等で秤量するだけで目的とする組成をより確実に得ることができるという点で上記固相法が好ましい。なお、これらの粉末の純度は限定されないが、99.8重量%以上であることが望ましい。
また、上記の混合粉末を用いる場合、これら粉末の混合も公知の混合方法に従えば良いが、特に湿式混合することが望ましい。具体的には、例えば2種以上の酸化物粉末に溶媒(水、アルコール等)、必要に応じて分散剤、バインダー等を配合し、ポットミル等を用いて湿式混合すれば良い。混合時間は特に限定的ではないが、通常は5時間以上とすれば良い。湿式混合により得られたスラリーは、スプレードライ等により乾燥することによって混合された顆粒粉末とすることができる。
次いで、酸化物粉末の成形を行う。成形方法は公知の成形方法を採用すれば良く、例えば一軸プレス法、冷間静水圧成形法等が挙げられる。成形体の密度は限定的ではなく、最終製品の用途等に応じて適宜設定すれば良い。
また、必要に応じて、上記成形体を公知の方法に従って焼成させても良い。例えば、上記成形体を酸化性雰囲気中で焼成することによって焼結体を得ることができる。この場合の焼成温度は、その組成における結晶成長温度よりも低い温度とする。また、焼結体は、仮焼体、焼結体等のいずれであっても良い。特に、相対密度95%以上の焼結体とすることが望ましい。
次に、上記成形体又はその焼結体を通常900〜1500℃程度、好ましくは950〜1500℃で熱処理して結晶成長させる。この温度は、用いる成形体の組成等に応じて適宜設定できる。例えば、ReにBiを置換する場合は、そのBi量により決定される。Bi量がRe中50%程度以上の場合は900〜1050℃、Biで置換しない場合は1300〜1500℃の範囲で熱処理することにより、希土類−鉄ガーネット単結晶体が得られる。また、熱処理雰囲気は、例えば酸化性雰囲気、不活性ガス雰囲気、大気中等のいずれでも良く、単結晶体の組成等に応じて適宜変更すれば良い。また、熱処理時間は、熱処理温度、所望の単結晶体のサイズ等に応じて適宜設定すれば良い。
第一方法では、結晶成長させる際の昇温速度を調節することが望ましい。具体的には、50℃/h以下、好ましくは20℃/h以下とする。かかる昇温速度に調節することによって、効率的な結晶成長を行うことができる。
第一方法では、結晶成長させるに際し、(a)結晶成長開始部分に対する加熱及び(b)当該部分以外の末端部に対する冷却の少なくとも一方の処理を施すことによって、10℃/cm以上の平均温度勾配を上記成形体又は焼結体に付与する。
結晶成長開始部分は、成形体又は焼結体の任意の部分を定めることができる。また、上記末端部は、一般的には最後に単結晶化される部分であり、成形体又は焼結体の形状、所望の結晶成長方向等に応じて適宜決定することができる。結晶成長開始部分及び末端部は、本発明の効果を妨げない限り、それらの部分の周辺部も含めることができる。例えば、図1(a)のように成形体又は焼結体が立方体である場合、ある一面の中心部x(当該面の対角線の交差点)を結晶成長開始部分とすれば、その面に対向する面の中心部y又はその周辺部を末端部とすることができる。
特に、第一方法では、ブリッジマン法と同様に、結晶成長開始部分を鋭った形状に形成することにより単結晶体をいっそう効率的に得ることができる。例えば、図1(b)のように、成形体又は焼結体の先端を円錐形状とすれば、その先端部xが単結晶(種子結晶)になりやすくなるため、この部分を結晶成長開始部分とすることにより本発明単結晶体を効率良く製造できる。
本発明における平均温度勾配とは、成形体又は焼結体のうち最高温度部分と最低温度部分における温度差を、上記最高温度部分と上記最低温度部分との最短距離で除した値をいう。通常は、上記最高温度部分は結晶成長開始部分であり、最低温度部分は上記末端部となる。なお、上記温度差は、熱電対を上記最高温度部分と上記最低温度部分に設置することにより測定することができる。
本発明では、上記平均温度勾配が10℃/cm以上、好ましくは50℃/cm以上となるように成形体に温度勾配を与える。平均温度勾配が10℃/cm未満の場合は、得られる単結晶体中に多くの小傾角粒界が発生したり、転移密度が過多になるおそれがある。なお、平均温度勾配の上限値は特に限定されないが、通常200℃/cm程度とすれば良い。
上記(a)の加熱処理の方法は、結晶成長開始部分を集中的に加熱できる限り制限されない。例えば、ヒーター、レーザービーム等による加熱により適宜実施することができる。これらの加熱処理は、電気炉等による加熱を併用することもできる。
また、上記(b)の冷却処理の方法は、上記末端部を集中的に冷却できる限り限定されない。例えば、空気、酸素、窒素等の冷媒を吹き付ける方法、金属又は無機材料からなるヒートシンク材を末端部分に当接又は接触させ、このヒートシンク材に空気等の冷媒を接触又は吹き付ける方法等が挙げられる。上記ヒートシンク材としては、例えばMgO焼結体等のセラミックス、白金等の金属が使用できる。また、これらの金属又は無機材料は、単結晶体及び多結晶体のいずれであっても良い。ヒートシンク材の形状は限定的でないが、通常は板状のものを使用すれば良い。
上記(a)及び(b)の処理は、併用することができる。すなわち、結晶成長開始部分を加熱しながら、末端部の冷却をすることが可能である。両者の処理を併用すれば、より大きな平均温度勾配を得ることができる。
このようにして上記成形体の熱処理をすることによって、単結晶の粗大粒子が生成し、これが成長することによって所望サイズの単結晶体を得ることができる。本発明では、例えば一辺が10〜30mm程度又はそれ以上の大きさの単結晶を製造することができる。
3.製造方法(第二方法)
第二方法は、モル比でRe:Fe5−x(但し、ReはY、Bi、Ca及び原子番号62〜71のランタニド希土類元素の少なくとも1種、Mは原子番号22〜30の遷移金属元素、Al、Ga、Sc、In及びSnの少なくとも1種、0≦x<5を示す。)が3.00:4.99〜5.05の組成を有するReFe5−x12焼結体に、Re12又はReFe5−x12単結晶を種子結晶として接触させた後、900〜1500℃で熱処理して結晶成長させることにより、ReFe5−x12単結晶から実質的に構成される希土類−鉄ガーネット単結晶体を製造する方法であって、
結晶成長させるに際し、(a)種子結晶部分に対する加熱及び(b)当該部分以外の末端部に対する冷却の少なくとも一方の処理を施すことにより、10℃/cm以上の平均温度勾配を当該焼結体に与えることを特徴とする希土類−鉄ガーネット単結晶体の製造方法である。第二方法は、第一方法よりも速くしかも結晶方位を設定した大きな単結晶体を製造できるという点で好ましい。
ReFe5−x12焼結体は、モル比でRe:Fe5−xが3.00:4.99〜5.05(好ましくは3.00:4.995〜5.020)の組成を有する限り特に限定されない。また、上記焼結体としては、基本的には多結晶体(好ましくは平均結晶粒径20μm以下)を使用すれば良い。上記焼結体は、公知の方法により製造することができる。焼結方法として、例えば常圧焼結、ホットプレス、HIP(熱間等方圧プレス)等のいずれの方法も採用できる。第二方法では、第一方法で作製された成形体を適当な温度及び時間で焼結して得られる多結晶体中に存在するいずれか1種の単結晶を好適に使用することもできる。
また、第二方法では、結晶成長時に液相を形成し得る酸化物を予め焼結体中に0.01〜1重量%添加することができる。このような酸化物としては、例えばBi(この場合はReの総量が3.0を越える過剰量)、PbO、SiO、B、LiO、NaO、KO、GeO、P等の少なくとも1種を用いることができる。かかる添加によって、母材より低融点物質を形成させ、種子結晶から焼結体方向へ単結晶化させる時に結晶成長界面(単結晶と多結晶界面)に液相が存在した状態で単結晶を育成することもできる。この場合、極少量の液相成分が結晶成長界面に存在することにより液相を介した結晶成長(すなわち、多結晶体の構成粒子が液相に一旦溶解したあと、単結晶の成長界面に再析出することを繰り返すこと)でも単結晶化を引き起すことができる。この方法を適用するときは、上記所定量の酸化物を含むReFe5−x12焼結体を作製し、次いで第一方法を適用すれば良いが、上記酸化物は育成した結晶内部に導入される場合がある。このため、酸化物含有量は上記所定量の範囲内とする。
第二方法では、ReFe5−x12焼結体の相対密度は限定的ではないが、通常99%以上、特に99.8%以上であることが好ましい。これにより、いっそう良質な単結晶体を得ることができる。ReFe5−x12焼結体のサイズは、所望の単結晶体の大きさ等により変更できるが、通常は後単結晶の体積以上のサイズとすれば良い。なお、相対密度は、焼結前の成形体の密度、焼結温度及び時間等によって制御することができる。
種子結晶として使用されるRe12又はReFe5−x12(但し、ReはY、Bi、Ca及び原子番号62〜71のランタニド希土類元素の少なくとも1種、Mは原子番号22〜30の遷移金属元素、Al、Ga、Sc、In及びSnの少なくとも1種、0≦x<5を示す。)単結晶は、第一方法及び第三方法で得られる単結晶はもとより、FZ法、フラックス法、TSSG法等の公知の単結晶製造法で得られる単結晶も使用することができる。使用する単結晶のサイズ(体積)は特に限定されないが、通常は1mm程度以上であれば良い。
また、上記単結晶は、上記焼結体の組成と同一であっても良いし、互いに異なっていても良い。
焼結体と単結晶とを接触させる方法は特に限定されないが、両者間に隙間がないように接触させることが好ましい。この場合、上記焼結体と単結晶とを互いに加圧接触させながら熱処理しても良い。加圧接触における圧力は、焼結体・単結晶の種類、接触面積等によって適宜変更すれば良い。例えば、YIG単結晶とYIG焼結体とを用いる場合は約9.8MPa程度以下とすれば良い。
また、第二方法では、上記焼結体と上記単結晶とを接触させるに際し、少なくとも一方の表面(接触面)を研磨しておくことが望ましい。上記単結晶では、その(100)面、(110)面又は(111)面を研磨することが望ましい。この場合、研磨面が平均表面粗さRa=1.0nm以下及び平坦度λ(λ=633nm)以下となるように研磨することが好ましい。一方、上記焼結体は、少なくとも単結晶と接触する面を平均表面粗さRa=1.0nm以下及び平坦度λ(λ=633nm)以下となるように研磨することが好ましい。
次いで、900〜1500℃(好ましくは950〜1500℃)で熱処理して結晶成長させる。熱処理温度は、焼結体又は種子結晶の組成等に応じて適宜設定することができる。例えば、焼結体のReにBiを置換させる場合、Bi量がRe中50%程度では900〜1050℃が好ましく、ReがBiで置換されない場合は1300〜1500℃の範囲で結晶成長させれば良い。熱処理雰囲気は特に限定されず、第一方法の雰囲気と同様にすれば良い。熱処理時間は、熱処理温度、所望の単結晶体サイズ等の応じて適宜設定すれば良い。
第二方法では、結晶成長させる際の昇温速度を調節することが望ましい。具体的には、50℃/h以下、好ましくは20℃/h以下とする。かかる昇温速度に調節することによって、効率的な結晶成長を行うことができる。
第二方法では、結晶成長させるに際し、(a)種子結晶部分に対する加熱及び(b)当該部分以外の末端部に対する冷却の少なくとも一方の処理を施すことによって、10℃/cm以上の平均温度勾配を当該焼結体に与える。
種子結晶部分は、種子結晶そのもののほか、種子結晶と焼結体が接触する部分も含まれる。この部分の加熱は、ヒーター、レーザービーム等による部分加熱により実施することができる。また、上記末端部は、通常は最後に単結晶化される部分であり、焼結体の形状、所望の結晶成長方向等に応じて適宜決定することができる。種子結晶部分及び末端部は、本発明の効果を妨げない限り、それらの部分の周辺部も含めることができる。例えば、焼結体が立方体又は円柱体である場合、その一面の中心部分(対角線の交差点又は円の中心)に種子結晶を配置すれば、その面に対向する面又はその中心部分を末端部とすることができる。
本発明における平均温度勾配とは、上記焼結体のうち最高温度部分と最低温度部分における温度差を、上記最高温度部分と上記最低温度部分との最短距離で除した値をいう。通常は、上記最高温度部分は結晶成長開始部分であり、最低温度部分は上記末端部となる。なお、上記温度差は、熱電対を上記最高温度部分と上記最低温度部分に設置することにより測定することができる。
本発明では、上記平均温度勾配が10℃/cm以上、好ましくは50℃/cm以上となるように焼結体に温度勾配をつける。平均温度勾配が10℃/cm未満の場合は、得られる単結晶体中に多くの小傾角粒界が発生したり、転位密度が過多になるおそれがある。なお、平均温度勾配の上限値は特に限定されないが、通常200℃/cm程度とすれば良い。
上記(a)の加熱処理の方法は、種子結晶部分を集中的に加熱できる限り制限されない。例えば、ヒーター、レーザービーム等による加熱により適宜実施することができる。これらの加熱処理は、電気炉等による加熱を併用することもできる。図2には、ヒーターで種子結晶を直接加熱する態様(断面図)を示す。ヒーターは、種子結晶に直接的に接触した状態で設置され、このヒーターにより種子結晶が加熱される。加熱された種子結晶は焼結体(多結晶体)に向かって結晶成長する。必要に応じて、焼結体の両側に補助的なヒーター(電気炉)を設置しても良い。
また、上記(b)の冷却処理の方法は、上記末端部を集中的に冷却できる限り限定されない。例えば、空気、酸素、窒素等の冷媒を吹き付ける方法、金属又は無機材料からなるヒートシンク材を末端部分に当接又は接触させ、このヒートシンク材に空気等の冷媒を吹き付ける方法等が挙げられる。上記ヒートシンク材としては、熱伝導率が5W/mk以上、特に10W/mk以上のものが好ましい。このような材料としては、例えばMgO焼結体等のセラミックス、白金等の金属が使用できる。これらの材料は、単結晶体又は多結晶体のいずれであっても良い。ヒートシンク材の形状は限定的でないが、通常は板状のものを使用すれば良い。図3には、末端部分にヒートシンク材を当接し、そのヒートシンク材にガス媒体を吹き付けて冷却する態様(断面図)を示す。図3のように、焼結体(多結晶体)が立方体又は円柱体であり、ある一面の中心部に種子結晶を載せ、結晶成長させる場合、その面に対向する面の全体にヒートシンク材(板状材)を当接し、このヒートシンク材の下方よりガスを供給し、ヒートシンク材に接触させる。このヒートシンク材の下方から炉内温度以下のガスを吹込むことにより、ヒートシンク材及び多結晶体そのものが冷却され、非定常状態の温度分布(曲線的温度分布、すなわち結晶成長界面を境として急激な温度変動)を材料内に与えることができる。このことは、結晶成長界面より下にある多結晶体の粒成長を極力抑制することができることとなる。さらに、下端からの冷却条件を一定とし、炉内を一定速度で昇温すれば、結晶成長開始温度は順次下方に向かって移動させることができるので、一定速度かつ一方向からだけの結晶成長が可能となる。このことは、非溶融状態での結晶成長に有利なだけでなく、単結晶化する前の多結晶体中にある残留気孔を結晶界面移動を利用してスムーズに系外(単結晶の外)に排出できるため、材料内部の光散乱(すなわち、半導体レーザー照射時の挿入損失)を低減でき、高品質化にもつながる。
上記(a)及び(b)の処理は、併用することができる。すなわち、種子結晶部分を加熱しながら、末端部の冷却をすることが可能である。両者の処理を併用すれば、より大きな平均温度勾配を得ることができる。
また、その他の手段としては、炉内温度を結晶成長開始温度以上に設定し、かつ、単結晶と多結晶体の接合部が結晶成長開始温度程度となるようにガスを供給しながら冷却し、結晶成長の度合いに準じて冷却の程度を弱めることにより結晶成長界面を移動させることができ、同様に高品質の単結晶体を得ることができる。
種子結晶部分にレーザービームを照射する場合には、上記種子結晶と上記焼結体と接触する部分の一部又は全部にレーザービームを照射すれば良い。レーザービーム(レーザー光)のエネルギー密度は、ビームスポット径等によって異なるが、通常は10W/cm以下とすれば良い。また、波長は通常0.2〜11μm程度(但し、当該ReFe5−x12の透過波長を除く。)とすれば良い。レーザー発生装置自体は公知又は市販の装置を使用することができる。レーザービームの種類も限定的でなく、例えばCOレーザービーム、Nd:YAGの第二高周波(SHG)レーザービーム等を採用できる。また、例えばReFe5−x12単結晶を種子結晶として接触させたReFe5−x12焼結体を加熱炉中に設置した後、これを熱処理しながらレーザービーム照射を行えば良い。
また、第二方法では、必要に応じて、上記焼結体及び上記単結晶の少なくとも一方の接触面に、Re、Fe及びMの少なくとも1種を含む水溶液を塗布することもできる。このような水溶液としては、Re、Fe及びMの少なくとも1種を含む水可溶性塩類(有機酸塩、無機酸塩等)の水溶液が使用できる。例えば、YCl、Y(NO、Fe(NO、FeSO等の水溶液が挙げられる。この場合、水溶液のReとMは、焼結体に含まれるRe及びMと同じものを使用することが好ましい。上記水溶液を使用することにより単結晶と焼結体との接着性が改善することができ、良質の単結晶をより確実に製造することができる。水溶液の濃度は特に限定されないが、通常は0.5〜10重量%程度とすれば良い。
4.製造方法(第三方法)
第三方法は、モル比でRe:Fe5−x(但し、ReはY、Bi、Ca及び原子番号62〜71のランタニド希土類元素の少なくとも1種、Mは原子番号22〜30の遷移金属元素、Al、Ga、Sc、In及びSnの少なくとも1種、0≦x<5を示す。)が3.00:4.99〜5.05である組成を有するReFe5−x12焼結体にレーザービームを照射することによりReFe5−x12単結晶の種子結晶を生成させた後、900〜1500℃で熱処理して結晶成長させることにより、ReFe5−x12単結晶から実質的に構成される希土類−鉄ガーネット単結晶体を製造する方法であり、
結晶成長させるに際し、(a)種子結晶部分に対する加熱及び(b)当該部分以外の末端部に対する冷却の少なくとも一方の処理を施すことにより、10℃/cm以上の平均温度勾配を上記焼結体に与えることを特徴とする。第三方法は、第一方法よりも速くしかも大きな単結晶体を製造できるという点で好ましい。
ReFe5−x12焼結体は、モル比でRe:Fe5−x(但し、ReはY、Bi、Ca及び原子番号62〜71のランタニド希土類元素の少なくとも1種、Mは原子番号22〜30の遷移金属元素、Al、Ga、Sc、In及びSnの少なくとも1種、0≦x<5を示す。)が3.00:4.99〜5.05である組成を有する限り特に限定されない。また、上記焼結体としては、基本的に多結晶体(好ましくは平均結晶粒径20μm以下)を使用すれば良い。従って、第二方法では、第一方法で作製された成形体を適当な温度及び時間で焼結して得られる多結晶体の1つの単結晶を好適に使用することもできる。
また、第三方法では、結晶成長時に液相を生じ得る酸化物を予め焼結体中に0.01〜1重量%添加しても良い。例えば、Bi(この場合はReの総量が3.0を越える過剰量)、PbO、SiO、B、LiO、NaO、KO、GeO、P等の少なくとも1種を用いることができる。かかる添加によって、母材より低融点物質を形成させ、種子結晶から焼結体方向へ単結晶化させる時に結晶成長界面(単結晶と多結晶界面)に液相が存在した状態で単結晶を育成することもできる。この場合、極少量の液相成分が結晶成長界面に存在することにより液相を介した結晶成長(すなわち、多結晶体の構成粒子が液相に一旦溶解したあと、単結晶の成長界面に再析出することを繰り返すこと)でも単結晶化を引き起すことができる。この方法を適用するときは、上記所定量の酸化物を含むReFe5−x12焼結体を作製し、次いで第一方法を適用すれば良いが、上記酸化物は育成した結晶内部に導入される場合がある。このため、酸化物含有量は上記所定量の範囲内とする。
第三方法におけるReFe5−x12焼結体の相対密度は、通常99%以上、特に99.8%以上であることが好ましい。これにより、いっそう良質な単結晶体を得ることができる。なお、相対密度は、焼結前の成形体の密度、焼結温度及び時間等によって制御することができる。
第三方法では、レーザービームの照射により、ReFe5−x12単結晶の種子結晶を生成させる。すなわち、その照射部分に異常粒成長(特に未照射部分に対して約10倍以上のサイズへの粒成長)を起こさせる。従って、この異常粒成長が起こる限り照射条件は特に限定されない。例えば、レーザービーム(レーザー光)のエネルギー密度は10W/cm以下とすれば良い。また、波長は通常0.2〜11μm程度(但し、当該ReFe5−x12の透過波長を除く。)とすれば良い。レーザー発生装置自体は公知又は市販の装置を使用すれば良い。レーザービームの種類も限定的でなく、例えばCOレーザービーム、Nd:YAGの第二高周波(SHG)レーザービーム等を採用できる。レーザービームを照射する場合の照射エリアは限定的ではないが、通常は1mm以下とすることが好ましい。
上記焼結体へのレーザービーム照肘は、必要により加熱しながら行うこともできる。この場合の加熱温度は限定的ではないが、単結晶から多結晶側へ結晶成長が起る温度未満の温度となるがこれは材料組成により大きく変動する。例えば純粋なYIG単結晶を成長させる場合、通常1400℃未満、好ましくは800〜1350℃、BiをRe中40モル%置換した場合は1050℃未満、好ましくは600〜900℃とすれば良い。加熱は、例えば加熱炉等を用いて実施することができる。
次いで、900〜1500℃(好ましくは950〜1500℃)で熱処理して結晶成長させる。これらの方法は、第二発明と同様にして実施すれば良い。例えば、用いる焼結体の組成等に応じて適宜決定できる。例えば、ReにBiを置換する場合、Bi量がRe中50%程度以上では900〜1050℃、Biが全く置換しない場合では1300〜1500℃の範囲で成長させれば良い。熱処理雰囲気は特に限定されず、第一方法の雰囲気と同様にすれば良い。熱処理時間は、熱処理温度、所望の単結晶体のサイズ等の応じて適宜設定すれば良い。
第三方法では、結晶成長させる際の昇温速度を調節することが望ましい。具体的には、50℃/h以下、好ましくは20℃/h以下とする。かかる昇温速度に調節することによって、効率的な結晶成長を行うことができる。
第三方法では、結晶成長させるに際し、(a)種子結晶部分に対する加熱及び(b)当該部分以外の末端部に対する冷却の少なくとも一方の処理を施すことによって、10℃/cm以上の平均温度勾配を当該焼結体に与える。
種子結晶部分は、種子結晶部分は、種子結晶そのもののほか、種子結晶と焼結体が接触する部分も含まれる。この部分の加熱は、ヒーター、レーザービーム等による部分加熱により実施することができる。また、上記末端部は、通常は最後に単結晶化される部分とし、焼結体の形状、所望の結晶成長方向等に応じて適宜決定することができる。例えば、焼結体が立方体又は円柱体である場合、その一面の中心部分(対角線の交差点又は中心点)に種子結晶が存在すれば、その面に対向する面の中心部分を末端部とすることができる。
本発明における平均温度勾配とは、上記の第二方法と同様の意味である。本発明では、上記平均温度勾配が10℃/cm以上、好ましくは50℃/cm以上となるように焼結体に温度勾配をつける。平均温度勾配が10℃/cm未満の場合は、得られる単結晶体中に多くの小傾角粒界が発生したり、転位密度が過多になるおそれがある。なお、平均温度勾配の上限値は特に限定されないが、通常200℃/cm程度とすれば良い。
上記(a)の加熱処理の方法、上記(b)の冷却処理の方法は、上記の第二方法と同様にして実施することができる。また、上記(a)及び(b)の処理は、併用することができる。すなわち、種子結晶部分を加熱しながら、末端部の冷却をすることが可能である。両者の処理を併用すれば、より大きな平均温度勾配を得ることができる。
種子結晶にレーザービームを照射する場合、レーザービーム(レーザー光)のエネルギー密度は、ビームスポット径等によって異なるが、通常10W/cm以下とすれば良い。また、波長は通常0.2〜11μm程度(但し、当該ReFe5−x12の透過波長を除く。)とすれば良い。レーザービーム装置自体は公知又は市販の装置を使用することができる。レーザービームの種類も限定的でなく、例えばCOレーザービーム、Nd:YAGの第二高周波(SHG)レーザービーム等を採用できる。
レーザービーム照射を加熱と併用する場合は、例えばReFe5−x12単結晶を種子結晶が生成したReFe5−x12焼結体を加熱炉中に設置した後、これを熱処理しながら種子結晶にレーザービーム照射を行えば良い。
一般的に、二成分以上の組成系の単結晶を溶融凝固法で製造する場合、重力の影響により組成の均一性改善に限界がある。ReFe5−x12単結晶も例外ではなく、その均一性が問題となる。例えば、移動体通信用のSAW(表面弾性波)フィルターに使用されるLiTaO単結晶、LiNbO単結晶等に関しても屈折率の不均一性(すなわち組成の不均一性)が指摘され、一部の単結晶においては近年では重力の存在しない宇宙環境での合成研究も開始されている。材料内部の組成均一性の向上は溶融凝固法に共通する課題であるが、その解決の糸口さえ見つかっていない。
この問題に関し、セラミックスプロセスがその解明の突破口になると見出したのが本発明である。セラミックスプロセスでは、基本的に原料を溶融することなく、非溶融状態で焼結するので、各構成元素は常に固体(結晶)中に拘束された状態に置かれる。すなわち、固体中の各構成元素は重力の影響をほとんど受けることがないという点からみれば、単結晶製造で生じる不均一性、さらには偏析の問題もほとんど解消されるはずである。ところが、セラミックスプロセスでは、圧粉体中の出発原料の組成分布が均一でなければ焼結過程における構成成分の移動距離がわずかであるため、溶融凝固法による単結晶より劣悪な均一性しか得られないこととなる。このことから、これまでのセラミックス技術(焼成法)では、製造工程における組成均一性の確保が困難であるため、たとえ焼成法で単結晶化することができたとしても、溶融凝固法で作製された単結晶よりも不均一であるとされていた。
これに対し、本発明では、特に、特定粒度の出発原料の適用と特殊な焼結方法を採用することにより、従来の焼成法における問題を解決することに成功し、いままで以上に良質な単結晶体を工業的規模で提供することが可能となる。
本発明の希土類−鉄ガーネット単結晶体の製造方法によれば、従来の単結晶体よりも高品質の希土類−鉄ガーネット単結晶体を効率的に得ることができる。すなわち、小傾角粒界が比較的少ない単結晶体あるいは転位密度が比較的少ない単結晶体を効率良く生産することが可能となる。
従って、例えば大型の良質な単結晶体を提供することができる。例えば、図4に示すように、これまでの市販単結晶体(a)は転移(凹凸外観)が多数見られるのに対し、本発明単結晶体(b)は転位がほとんどないことがわかる。すなわち、同じ単結晶体でも、本発明単結晶体はその転位密度が従来品に比べて非常に少ない。
このように、本発明単結晶体及びその製造方法では高品質の単結晶体を効率的に提供できることから、工業的規模での生産に適している。また、大型の単結晶体を比較的速く製造することができ、これにより単結晶体の低コスト化・量産化を図ることもできる。その結果、これ、までに使用されていなかった用途への拡大が期待される。
本発明単結晶体は、従来の希土類−鉄ガーネット単結晶体が使用されている用途、例えば光通信用アイソレーター、マイクロ波用磁性体、高周波磁気フィルター、磁界センサー等のほか、幅広い技術分野への応用が期待される。
発明を実施するための最良の形態
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴を一層明確にする。但し、本発明の範囲は、実施例の範囲に限定されるものではない。
実施例1〜10は、純度99.8重量%のMgO焼結体(室温での熱伝導率35W/mk)をヒートシンク材として用い、図3に示すように、ヒートシンク材上に焼結体を載せ、ヒートシンク材の下方から空気を吹込んで冷却をしながら結晶成長させた。冷媒である空気の温度は炉内雰囲気よりも低く設定した。実施例11では、ヒートシンクを用いず直接に空気で冷却しながら結晶成長を行なった。この場合も空気と炉内雰囲気の温度差が150℃、試料長が25mmであることから、その平均温度勾配は60℃/cmである。
なお、各実施例及び比較例中における小傾角粒界を形成する結晶粒子の単位面積当たりの個数の算出、転位密度及び屈折率分布の測定は次のようにして行った。
(1)小傾角粒界を形成する結晶粒子の単位面積当たりの個数、転位密度
温度100℃程度の熱リン酸溶液(原液)中で試料をエッチングすることにより、試料表面に蝕凹像を現出させる。小傾角粒界又は転位が存在する場合は、図5に示すような蝕凹像が得られる。図5中、点状の蝕凹像(A)が転位である。図5中、線状の蝕凹像が小傾角粒界(B)である。
本発明では、点状蝕凹像の単位面積当たりの数を「転位密度(個/cm)」とする。また、図5中、小傾角粒界を形成する結晶粒子(C)であり、これを1個とカウントし、このような部分の数を観察面積(cm)で除した値を「小傾角粒界を形成する結晶粒子の単位面積当たりの個数(個/cm)」とする。
(2)屈折率分布
トワイマンタイプ干渉計を用いて測定した。光源は波長λ=1.3μmのYAGレーザーを使用した。干渉計から得られる検出画像をInSbディテクターにより検出し、得られた干渉縞から試料面内の屈折率分布を求めた。試料は、平均表面粗度(Ra)0.3nm以下、平坦度λ/10(λ=633nm)以下、平行度3sec以内に精密加工した。
(3)気孔体積
試料の一面を鏡面研摩し、反射顕微鏡にて100〜500倍でその表面に露出した気孔面積を積算し、測定面積との比を気孔体積として求めた。この場合、求められる値は面積比であるが、この値を簡易的に気孔体積とした。ただし、測定面積は、少なくとも1cmとした。
(4)平均温度勾配
図6に示すように、結晶成長開始部分又は種子結晶部分(a)と末端部(b)に予め熱電対を設置し、その温度差ΔT(℃)を測定する。ΔTを試料長さL(cm)で除した値(ΔT/L)を平均温度勾配(℃/cm)とした。例えば、実施例1では、ΔTが150℃、で試料長さが2.5cmであることから、その平均温度勾配は60℃/cmとなる。
実施例1
α−Fe粉末(平均粒径0.8μm)及びY粉末(平均粒径0.1μm)を原料とし、Y:Fe=3.00:5.01(モル比)に組成調整した後、両者をボールミルにて湿式混合し、得られた混合粉末を98MPaの圧力でCIP成形(直径16mm×厚さ10mmのディスク状)した。次いで、上記成形体を酸素雰囲気中1330℃で10時間焼成した。得られた焼結体は、約8mmの粗大なYIG(YFe12)粒子から構成されており、この焼結体から種子結晶用粗大粒子を取り出した。取り出した結晶は(111)面をカットし、この面を平均表面粗度Ra=0.2nm、平坦度λ/4に鏡面仕上げをした。一方、上記組成と同じ原料を上記ディスク状に成形し、大気雰囲気中1250℃で3時間ホットプレス焼結(圧力:9.8MPa)することにより、相対密度99.5%の多結晶YIG(直径30mm×厚さ25mm)を得た。この多結晶体の端面を上記と同様にして平均表面粗度Ra=0.2nm、平坦度λ/4に鏡面仕上げを行い、前記の種子結晶と多結晶体の両研磨面をアセトンにて洗浄した後、両者の研磨面どうしを重ね合わせた。この状態を維持しながら酸素雰囲気中、平均温度1370℃で20時間保持(1350〜1390℃を20時間で昇温しているので、昇温速度は2℃/h)し、非溶融下で単結晶化を行った。結晶成長させる際の平均温度勾配は60℃/cmとした。育成処理後は、単結晶と接合した面から約24mmの深さまで上記多結晶体が単結晶化していた。この結果から、育成速度は1.2mm/hであり、従来の溶融凝固法の育成速度よりもはるかに高速で育成できることが判明した。得られたYIG単結晶に小傾角粒界は存在せず、転位密度は1×10個/cm、屈折率分布は5×10−4、気孔体積は30体積ppmであった。
実施例2
α−Fe粉末(平均粒径0.8μm)、Tb粉末(平均粒径0.3μm)及びBi粉末(平均粒径0.3μm)を原料とし、(Tb+Bi):Fe=3.00:5.01(モル比)に組成調整した後、両者をボールミルにて湿式混合し、得られた混合粉末を98MPaの圧力でCIP成形(直径16mm×厚さ20mmのディスク状)した。上記成形体を酸素雰囲気中1230℃で12時間焼成した。得られた焼結体は、約9mmの粗大な(BiTb)Fe12粒子(組成:Bi0.5Tb2.5Fe12)から構成されており、この焼結体から種子結晶用粗大粒子を取り出した。取り出した結晶は(111)面をカットし、この面を平均表面粗度Ra=0.2nm、平坦度λ/6に鏡面仕上げをした。一方、同じ組成の原料を上記ディスク状に成形し、酸素雰囲気中1210℃で3時間ホットプレス焼結(圧力:19.6MPa)し、相対密度99.9%の多結晶体(BiTb)Fe12(直径20mm×厚さ15mm)を得た。この多結晶体の端面を上記と同様にして平均表面粗度Ra=0.2nm、平坦度λ/4に鏡面仕上げを行い、前記の種子結晶と多結晶体の両研磨面をアセトンにて洗浄した後、両者研磨面どうしを重ね合わせた。この状態を維持しながら酸素雰囲気中、平均温度1290℃で22時間保持(1260〜1320℃を22時間で昇温しているので、昇温速度は2.7℃/h)し、非溶融下で単結晶化を行った。結晶成長させる際の平均温度勾配は100℃/cmとした。育成処理後は、単結晶と接合した面から約15mmの深さまで上記多結晶体が単結晶化していた。この結果から、育成速度は0.7mm/hであり、従来の溶融凝固法の育成速度よりもはるかに高速で育成できることが判明した。得られた(BiTb)Fe12単結晶中に小傾角粒界は存在せず、転位密度は5×10個/cm、屈折率分布は3×10−5、気孔体積は3体積ppmであった。
実施例3
α−Fe粉末(平均粒径0.5μm)及びY粉末(平均粒径0.05μm)を原料とし、Y:Fe=3.00:5.01(モル比)に組成調整した後、両者をボールミルにて湿式混合し、得られた混合粉末を98MPaの圧力でCIP成形(直径16mm×厚さ10mmのディスク状)した。上記成形体を酸素雰囲気中1390℃で6時間焼成した。得られた焼結体は、約8mmの粗大なYIG(YFe12)粒子から構成されており、この焼結体から種子結晶用粗大粒子を取り出した。取り出した結晶は(110)面をカットし、この面を平均表面粗度Ra=0.2nm、平坦度λ/4に鏡面仕上げをした。一方、上記組成と同じ原料を上記ディスク状に成形し、酸素雰囲気中1220℃で3時間ホットプレス焼結(圧力:9.8MPa)することにより、相対密度99.8%の多結晶YIG(直径30mm×厚さ25mm)を得た。この多結晶体の端面を上記と同様にして平均表面粗度Ra=0.2nm、平坦度λ/4に鏡面仕上げを行い、前記の種子結晶と多結晶体の両研磨面をアセトンにて洗浄した後、両者の研磨面どうしを重ね合わせた。この場合、両者の接触面にFe(NO及びY(NOをモル比で5.00:3.00に調整した水溶液を塗布した。この状態を維持しながら酸素雰囲気中1460℃で18時間保持し、非溶融下で単結晶化を行った。結晶成長させる際の平均温度勾配は50℃/cmとした。育成処理後は、単結晶と接合した面から約23mmの深さまで上記多結晶体が単結晶化していた。この結果から、育成速度は1.3mm/hであり、従来の溶融凝固法の育成速度よりもはるかに高速で育成できることが判明した。得られたYIG単結晶中に小傾角粒界は存在せず、転位密度は1×10個/cm、屈折率分布は2×10−6、気孔体積は0.1体積ppmであった。
実施例4
実施例1と同様にして単結晶育成を行った。
但し、本実施例では、200mm×200mm×200mmの有効容積をもつモリブデンシリサイド発熱体の電気炉を使用し、その中に試料を20個挿入し、100%の酸素雰囲気下で育成を行った。このとき、炉内雰囲気を1300℃に保持し、冷却ガスとなる酸素の吹込み量を6L/minから最終的に0.1L/minまで変動させ、材料を強制冷却すると同時に材料内部の結晶成長開始温度を種子結晶側から対面側に連続的に移動させることによって、効率的な結晶成長を行なった。結晶成長させる際の平均温度勾配は50℃/cmとした。
処理後の試料はいずれも単結晶と接合した面から約24mmの深さまで単結晶化していた。単結晶の生産速度は、直径30mmで長さ24mmの単結晶(容積16.9cm)が20個できていることから338cm/炉となる。育成に要した時間が20時間であることから単位時間当たりの生産量は16.9cmと生産性が高いことがわかる。
実施例5
実施例2と同様にして単結晶育成を行った。
但し、本実施例では、原料として(Tb+Bi):Fe=3.00:5.04に組成調整して湿式混合したものを使用した。直径75mm×長さ50mmの焼結体を作製し、200mm×200mm×200mmの有効容積をもつモリブデンシリサイド発熱体の電気炉に試料を3個挿入し、100%の酸素雰囲気下で育成を行った。このとき、炉内雰囲気を1420℃に保持し、冷却ガスとなる酸素の吹込み量を5L/minから最終的に0.3L/minまで変動させ、材料を強制冷却すると同時に材料内部の結晶成長開始温度を種子結晶側から対面側に連続的に移動させることによって、効率的な結晶成長を行なった。結晶成長させる際の平均温度勾配は20℃/cmとした。
処理後の試料はいずれも単結晶と接合した面から約4.0mmの深さまで単結晶化していた。単結晶の生産速度は、直径75mmで長さ40mmの単結晶(容積177cm)が3個作製できていることから531cm/炉となる。育成に要した時間が50時間であることから単位時間当たり10.6cmと生産性が高いことがわかる。
実施例6
α−Fe粉末(平均粒径0.8μm)及びY粉末(平均粒径0.1μm)を原料とし、Y:Fe=3.00:5.00(モル比)に組成調整した後、両者をボールミルにて湿式混合し、得られた混合粉末を98MPaの圧力でCIP成形(直径40mm×厚さ35mmのディスク状)した。上記成形体について、20%酸素−80%Ar混合ガス組成のHIP成形(圧力147MPa)を1210℃で実施した。得られた焼結体は、約2μmの均一なYIG(YFe12)粒子から構成されており、この焼結体の相対密度は99.99%であった。種子結晶としてフラックス法で作製したYIG単結晶の(111)面をカットし、この面を平均表面粗度Ra=0.2nm、平坦度λ/4に鏡面仕上げをした。一方、上記と同様してHIP焼結して得られた多結晶体を上記と同様にして平均表面粗度Ra=0.2nm、平坦度λ/4に鏡面仕上げを行い、前記の種子結晶と多結晶体の両研磨面をアセトンにて洗浄した後、両者の研磨面どうしを重ね合わせた。この状態を維持しながら酸素雰囲気中1480℃で16時間保持し、非溶融下で単結晶化を行った。結晶成長させる際の平均温度勾配は25℃/cmとした。育成処理後は、単結晶と接合した面から約29mmの深さまで上記多結晶体が単結晶化していた。この結果から、育成速度は1.8mm/hであり、従来の溶融凝固法の育成速度よりもはるかに高速で育成できることが判明した。得られたYIG単結晶中の小傾角粒界を形成した粒子の密度は5個/cmであり、小傾角粒界を除く転位密度は5×10個/cm、屈折率分布は3×10−3、気孔体積は0.01体積ppmであった。
実施例7
α−Fe粉末(平均粒径0.8μm)、Tb粉末(平均粒径0.3μm)及びBi粉末(平均粒径0.3μm)を原料とし、(Tb+Bi):Fe=3.00:5.002(モル比)に組成調整した後、両者をボールミルにて湿式混合した。得られた混合粉末を98MPaの圧力でCIP成形(直径40mm×厚さ30mmのディスク状)した。上記成形体を、20%酸素−80%Ar混合ガス組成のHIP成形(圧力:98MPa)を1220℃を実施した。得られた焼結体は、約3μmの均一な(BiTb)Fe12粒子(組成:Bi0.5Tb2.5Fe12)から構成されており、この焼結体の相対密度は、99.98%であった。この焼結体を電気炉中で900℃に加熱し、さらに出力5WのCOレーザー(ビーム径:直径0.1mmの円形、レーザーのエネルギー密度:約1.6×10W/cm)を上記焼結体に30分間照射した。照射後、電気炉温度を1270℃に上昇させ、この温度で24時間保持した後、室温まで冷却した。結晶成長させる際の平均温度勾配は25℃/cmとした。図4には、単結晶体の表面組織を観察した結果を示す。図7に示すように、COレーザーを照射した部分(種子結晶)を中心に放射状に結晶成長が進行していた。育成処理後の単結晶サイズは、直径30mm×厚さ27mmであった。この結果から、育成速度は1.1mm/hであり、従来の溶融凝固法の育成速度よりもはるかに高速で育成できることが判明した。得られた(BiTb)Fe12単結晶中に小傾角粒界は存在せず、転位密度は1×10個/cm、屈折率分布は1×10−4、気孔体積は15体積ppmであった。
実施例8
α−Fe粉末(平均粒径0.5μm)、Tb粉末(平均粒径0.1μm)及びGd粉末(平均粒径0.2μm)を原料とし、Tb+Gd:Fe=3.00:5.01(モル比)に組成調整した後、さらに0.8重量%(50重量%Bi−40重量%PbO−10重量%B)のフラックスを添加し、各原料をボールミルにて湿式混合し、得られた混合粉末を98MPaの圧力でCIP成形(直径25mm×厚さ30mmのディスク状)した。上記成形体を酸素雰囲気中1300℃で5時間焼成した。さらに、この焼結体を1290℃−147MPaでホットプレスして粒径約6μm、相対密度99.8%の焼結体を得た。種子結晶として市販のCZ法で作製された(GdCa)(GaMgZr)12の非磁性ガーネット単結晶(結晶方位は<111>)を用い、種子結晶と前述の焼結体表面を平均表面粗度Ra=0.2nm、平坦度λ/8に鏡面仕上げをした。種子結晶と多結晶体の両研磨面をアセトンにて洗浄した後、両者の研磨面どうしを重ね合わせた。この場合、両者の接触面にFe(NO)水溶液を塗布した。この状態を維持しながら酸素雰囲気中、平均温度1460℃で15時間保持(1400〜1500℃までを15時間で昇温しているので、6.7℃/h)し、非溶融下で単結晶化を行った。結晶成長させる際の平均温度勾配は30℃/cmとした。育成処理後は、単結晶と接合した面から約23mmの深さまで上記多結晶体が単結晶化していた。この結果から、育成速度は1.5mm/hであり、従来の溶融凝固法の育成速度よりもはるかに高速で育成できることが判明した。得られたYIG単結晶中に小傾角粒界は存在せず、転位密度は1×10個/cm、屈折率分布は1×10−4、気孔体積は3体積ppmであった。また、単結晶の基本化学式は(Tb1.5Gd1.5)Fe12であるが、少量のフラックスを焼結体作製時に添加したため、単結晶中に0.3重量%のBと0.05重量%のPbO(Bは検出できなかった)が蛍光X線分析及びプラズマ発光分析にて検出された。
実施例9
α−Fe粉末(平均粒径0.5μm)、Al粉末(平均粒径0.3μm)、Ga粉末(平均粒径0.5μm)、Bi粉末(平均粒径0.1μm)及びGd粉末(平均粒径0.3μm)を原料とし、Bi+Gd:Fe+Al+Ga=3.00:5.00(モル比)に組成調整した後、さらに0.1重量%のフラックス(SiO)を添加し、各原料をボールミルにて湿式混合し、得られた混合粉末を98MPaの圧力でCIP成形(直径25mm×厚さ35mmのディスク状)した。上記成形体を酸素雰囲気中1230℃で5時間焼成した。さらに、この焼結体を1220℃−147MPaにてホットプレスして粒径約10μm、相対密度99.6%の焼結体を得た。種子結晶として市販のCZ法で作製された(GdCa)(GaMgZr)12の非磁性ガーネット単結晶(結晶方位は<111>)を用い、種子結晶と前述の焼結体表面を平均表面粗度Ra=0.2nm、平坦度λ/8に鏡面仕上げをした。種子結晶と多結晶体の両研磨面をアセトンにて洗浄した後、両者の研磨面どうしを重ね合わせた。この場合、両者の接触面にFeCl水溶液を塗布した。この状態を維持しながら酸素雰囲気中、平均温度1310℃で15時間保持(1280〜1340℃までを15時間で昇温しているので、4.0℃/h)し、非溶融下で単結晶化を行った。結晶成長させる際の平均温度勾配は40℃/cmとした。育成処理後は、単結晶と接合した面から約21mmの深さまで上記多結晶体が単結晶化していた。この結果から、育成速度は1.4mm/hであり、従来の溶融凝固法の育成速度よりもはるかに高速で育成できることが判明した。得られた単結晶中に小傾角粒界は存在せず、転位密度は5×10個/cm、屈折率分布は5×10−4、気孔体積5体積ppmであった。また、単結晶の基本化学式は(Bi0.30Gd2.70)Fe3.5Al0.5Ga1.012であるが、少量のフラックスを焼結体作製時に添加ているが、単結晶中に0.01重量%のSiOがプラズマ発光分析にて検出され、不純物の大半は単結晶化していない部分に集中していることが判明した。
実施例10
α−Fe粉末(平均粒径0.5μm)、Tb粉末(平均粒径0.2μm)及び、Bi粉末(平均粒径0.1μm)を原料とし、Bi+Gd:Fe=3.00:5.01(モル比)に組成調整した後、さらに0.5重量%(40重量%Bi−40重量%PbO−20重量%SiO)のフラックスを添加し、各原料をボールミルにて湿式混合し、得られた混合粉末を98MPaの圧力でCIP成形(直径25mm×厚さ30mmのディスク状)した。上記成形体を酸素雰囲気中980℃で3時間焼成した。さらに、この焼結体を900℃−147MPaにてホットプレスして粒径約8μm、相対密度99.3%の焼結体を得た。種子結晶として市販のCZ法で作製された(GdCa)(GaMgZr)12の非磁性ガーネット単結晶(結晶方位は<111>)を用い、種子結晶と前述の焼結体表面を平均表面粗度Ra=0.2nm、平坦度λ/4に鏡面仕上げをした。種子結晶と多結晶体の両研磨面をアセトンにて洗浄した後、両者の研磨面どうしを重ね合わせた。この状態を維持しながら酸素雰囲気中、平均温度1030℃で20時間保持(1000〜1060℃までを20時間で昇温しているので、3.0℃/h)し、非溶融下で単結晶化を行った。結晶成長させる際の平均温度勾配は15℃/cmとした。育成処理後は、単結晶と接合した面から約20mmの深さまで上記多結晶体が単結晶化していた。この結果から、育成速度は1.0mm/hであり、従来の溶融凝固法の育成速度よりもはるかに高速で育成できることが判明した。得られた単結晶中に小傾角粒界は存在せず、転位密度は5×10個/cm、屈折率分布は5×10−4、気孔体積は8体積ppmであった。また、単結晶の基本化学式は(Bi1.5Gd1.5)FeO1であるが、少量のフラックスを焼結体作製時に添加したため、単結晶中に0.005重量%のSiOと0.03重量%のPbOがプラズマ発光分析にて検出された(フラックスのBiは単結晶母材元素のため検出不可能)。
実施例11
共沈法によりDy:Fe=3.00:5.01に組成調整し、湿式混合することにより平均粒径0.5μmのDIG(基本化学式DyFe12))粉末を調製した。これを粉末X線回折分析したところガーネット、ペロブスカイト等を含む混合相であった。この混合粉末を98MPaの圧力でCIP成形(直径30mm×厚さ25mmのディスク状)した。上記成形体を酸素雰囲気下1200℃で5時間焼成した。得られた焼結体は、約7μmの均一なDIG粒子から構成されており、この焼結体の相対密度は99.8%であった。種子結晶としてフローティングゾーン法で作製したYIG単結晶を(111)面にカットし、この面を平均表面粗度Ra=0.2nm、平坦度λ2/4に鏡面仕上げをした。一方、常圧焼結した試料を上記と同様にして平均表面粗度Ra=0.2nm、平坦度λ/4に鏡面仕上げを行い、前記の種子結晶と多結晶体の両研磨面をアセトンにて洗浄した後、両者の研磨面どうしを重ね合わせた。両者の接触面にはHNO水溶液を塗布した。この状態を維持しながら酸素雰囲気中1350℃で16時間保持し、非溶融下で単結晶化を行った。結晶成長させる際の平均温度勾配は25℃/cmとした。このとき、張り合わせた単結晶(5mm×5mm×厚さ1mm)に出力5W、波長780nmの半導体レーザー(ビームスポットは直径3mm、レーザーのエネルギー密度:71W/cm)を連続照射した。育成処理後は、単結晶と接合した面から深さ約23mmまで上記多結晶体が単結晶化していた。この結果から、育成速度は1.4mm/hであり、従来の溶融凝固法の育成速度よりもはるかに高速で育成できることが判明した。得られたDIG単結晶中の小傾角粒界を形成する結晶粒子の密度は10個/cmであり、小傾角粒界を除く転位密度は5×10個/cm、屈折率分布は1×10−5、気孔体積は150体積ppmであった。
参考例1
実施例1と同じY粉末とFe粉末を用い、Y:Fe=3.00:4.98に組成調整して湿式混合し、混合粉末を98MPaの圧力でCIP成形(直径16mm×厚さ10mmのディスク状)した後、この成形体を1320℃で10時間焼結した。焼結体には粗大なYIG(YFe12)粒子は形成されず、約5μmの均一な粒子から構成される微細構造になっていた。
種子結晶としてフラックス法で作製したYIG単結晶の(111)面をカットし、この面を平均表面粗度Ra=0.2nm、平坦度λ/4に鏡面仕上げを行った。一方、同じ配合の混合粉末を同様にディスク状に成形し、大気雰囲気中1250℃で3時間ホットプレス焼結(圧力:9.8MPa)を行い、相対密度99.7%の多結晶YIG(直径30mm×厚さ25mm)を得た。この多結晶体の端面を平均表面粗度Ra=0.2nm、平坦度λ/4に鏡面仕上げを行った。前記の種子結晶と多結晶体の両研磨面をアセトンにて洗浄した後、両者の研磨面どうしを重ね合わせた。この状態を維持しながら酸素雰囲気中1420℃で20時間保持し、非溶融下で単結晶化を行った。育成処理後は、単結晶と接合した面から約500μmの深さだけ単結晶化していた。この結果から、育成速度は2.5×10−2mm/hであり、従来の溶融凝固法の育成速度よりもはるかに遅いものであった。
参考例2
実施例1と同じY粉末とFe粉末を用い、Y:Fe=3.00:5.08に組成調整して湿式混合し、混合粉末を98MPaの圧力でCIP成形(直径16mm×厚さ10mmのディスク状)した後、この成形体を酸素雰囲気中1320℃で10時間焼結した。焼結体には数μmから数百μmまでの幅広い粒度分布をもつ構成となっていた。また、これらの粒子周辺にはFe相が析出し、YIG単一相でないことが確認された。
種子結晶としてフラックス法で作製したYIG単結晶の(111)面をカットし、この面を平均表面粗度Ra=0.2nm、平坦度λ/4に鏡面仕上げを行った。一方、同じ配合の混合粉末を同様にディスク状に成形し、1220℃で3時間ホットプレス焼結(圧力:9.8MPa)を行い、相対密度99.7%の多結晶YIG(直径30mm×厚さ25mm)を得た。この多結晶体の端面を平均表面粗度Ra=0.2nm、平坦度λ/4に鏡面仕上げを行った。前記の種子結晶と多結晶体の両研磨面をアセトンにて洗浄した後、両者の研磨面どうしを重ね合わせた。この状態を維持しながら酸素雰囲気中1420℃で20時間保持し、非溶融下で熱処理を行った。育成処理後は、単結晶と接合した面から深さ約500μmだけ単結晶化していた。また、単結晶部分以外は約300μmの大きな多結晶体であった。この結果から、育成速度は2.5×10−2mm/hであり、従来の溶融凝固法の育成速度よりもはるかに遅いものであった。これとは別に、熱処理時間を500時間延長して同様に製造された試料も調べたが、単結晶の成長域は上記試料とほとんど大差がないことが確認された。
比較例1
フローティングゾーン法によるYIG単結晶の育成を行った。
市販のYIG粉末を用いて焼結体(直径10mm×長さ100mm)を作製し、この焼結体を装置内に挿入して赤外線ランプによって局所溶解を行った。種子結晶としては方位<111>の単結晶を用い、育成(溶解)温度1580℃とし、反射板から集光ビームを0.4mm/hの速度で移動させて育成を行った。約200時間後、すなわち結晶長が80mmに達したところで育成を終了した。得られた結晶は直径10mm、長さ80mm(容積6.3cm)であった。結晶内部の転位密度は5×10個/cmと多く、転位密度が余りにも多いため小傾角粒界を検出することは出来なかった。屈折率分布は8×10−3であった。また、生産性は0.032cm/hであり、実施例4の生産性に比べて約1/500と低いものであった。
比較例2
LPE法による(BiTb)IG単結晶の育成を行った。
市販のBi、Tb、Fe粉末を原料とし、これにPbO−Bi系フラックスを適量添加して白金坩堝中で溶解し、1100℃で3時間ソーキングを行ない過飽和状態になるまで冷却を行なった。この過飽和状態のメルトに中に磁性材料(BiTb)IG単結晶との格子ミスマッチを低減する目的で少量のCa、Mg、Zr成分をドープした<111>3インチGGGウエハを浸漬し、そのウエハ上に(BiTb)IG単結晶厚膜を成長させた。成長温度は920℃であり約80時間かけて0.6mmの(Bi0.95Tb2.05)Fe12単結晶厚膜をGGGウエハー上に形成した。小傾角粒界を形成する結晶粒子の密度は120個/cmであり、小傾角粒界を除く転位密度は5×10個/cmであった。生産性は3インチウエハー上に圧さ0.6mmmの磁性膜を付けたので、0.033cm/hであり、類似組成の単結晶を製造した実施例5に比べて約3/1000と極めて低いものであった。
比較例3
実施例1と同様のα−Fe粉末(平均粒径0.8μm)及びY粉末(平均粒径0.1μm)を原料とし、Y:Fe=3.00:5.01(モル比)に組成調整した後、両者をボールミルにて湿式混合し、得られた混合粉末を98MPaの圧力でCIP成形した。次いで、上記成形体を酸素雰囲気中1250℃−9.8MPaで3時間ホットプレス焼成して、相対密度99.5%の多結晶YIG(直径30mm×厚さ25mm)を得た。この多結晶体の端面と種子結晶(FZ法で作製したYIG<111>単結晶)の双方を平均表面粗度Ra=0.2nm、平坦度λ/4に鏡面仕上げを行い、前記の種子結晶と多結晶体の両研磨面をアセトンにて洗浄した後、両者の研磨面どうしを重ね合わせた。この状態を維持しながら酸素雰囲気中、平均温度1370℃で20時間保持(1350〜1390℃を20時間で昇温しているので、昇温速度は2℃/h)し、非溶融下で単結晶化を行った。この場合、実施例1と同様にしてヒートシンク材としてMgO焼結体を用いた。しかし、下方からの強制冷却は行なわない均熱炉内での育成処理を行なった。このため、結晶成長させる際の平均温度勾配は0℃/cmであった。育成処理後は、単結晶と接合した面から約8mmの深さまで上記多結晶体が単結晶化していたが、単結晶の成長方向の断面観察を行なったところ、単結晶内部には直径0.5〜1.0mmサイズの方位の異なる結晶の成長が確認された。方位の異なる結晶の周辺及び成長した単結晶中には比較的多くの残留気泡が確認でき、その量は実施例1の約17倍であった。また、種子結晶と接合した面から8mm以降では直径1mmクラスの粗大結晶になっており、単結晶化が中断しているのを確認した。この結晶中の小傾角粒界を形成する結晶粒子の密度は1×10個/cmであり、小傾角粒界を除く転位密度は5×10個/cm、屈折率分布は5×10−3、気孔体積は510体積ppmであった。得られた磁性ガーネット単結晶の光学品質は低く、アイソレータに適さなかった。
比較例4
実施例2と同様にα−Fe粉末(平均粒径0.8μm)、Tb粉末(平均粒径0.3μm)及びBi粉末(平均粒径0.3μm)を原料とし、(Tb+Bi):Fe=3.00:5.01(モル比)に組成調整した後、両者をボールミルにて湿式混合し、得られた混合粉末を98MPaの圧力でCIP成形(直径16mm×厚さ60mmのロッド状)した。上記成形体を酸素雰囲気中1220℃で3時間ホットプレス焼結(圧力:19.6MPa)し、相対密度99.9%の多結晶体(組成はBi0.5Tb2.5Fe12)を得た。種子結晶として市販のCZ法で作製された(GdCa)(GaMgZr)12の非磁性ガーネット単結晶(結晶方位は<111>)を用い、種子結晶と前記焼結体を平均表面粗度Ra=0.2nm、平坦度λ/6に鏡面仕上げをした。種子結晶と多結晶体の両研磨面をアセトンにて洗浄した後、両者研磨面どうしを重ね合わせた状態で1250℃−1時間加熱(荷重1kgを負荷)して種子結晶と多結晶体を接合した。接合した試料は1240℃と1320℃に制御された2ゾーン炉中で育成処理を行なった。まず、試料を1240℃に制御した炉内に入れ、種子結晶側から1320℃に制御した炉内へ0.5mm/hの速度で挿入した。予め種子結晶側と種子結晶の対面に熱電対を設置し、2ゾーン炉の中央部に試料が達したところでΔTを測定したところ、その温度差は30℃(試料長さは50mm)であったので、材料中の平均温度勾配は6℃/cmであった。結晶成長は試料が全て高温側の炉に納まった時点で結晶成長の終点としたので、引き上げ時間は約100時間に達した。
育成処理後は、単結晶と接合した面から約13mmの深さまで上記多結晶体が単結晶化していた。実施例3と同様に単結晶中の断面観察を行なったところ、単結晶内部に直径0.5〜3.0mmの方位の異なる結晶が成長し、方位の異なる結晶周辺及び結晶全体に実施例2の約90倍の残留気孔の存在を確認した。また、種子結晶から13mm以上離れると0.1〜3mmサイズの粗大結晶が成長しており、単結晶化していないことを確認した。結晶成長域と要した時間で単純計算すると、育成速度は0.13mm/hであり、実施例2に比べて結晶の質及び生産性が格段に劣っていることが判明した。得られた(BiTb)Fe12単結晶中に小傾角粒界を形成する結晶粒子の密度は1×10個/cmであり、小傾角粒界を除く転位密度は5×10個/cm、屈折率分布は3×10−3、気孔体積は450体積ppmであった。このように、得られた磁性ガーネット単結晶の光学品質は低く、アイソレータに適さなかった。
試験例1
本発明単結晶体と従来品単結晶体との磁気光学特性を調べた。その結果を表1に示す。表1中、試料A〜Dは本発明により作製した単結晶、試料E〜F(比較試料)はLPE法及びFZ法にてそれぞれ育成した単結晶の磁気光学特性を示す。
両者を比較すると、本発明単結晶体は、従来法と同程度の優れた磁気光学特性を有することがわかる。
また、試料C及びDでは、従来技術では添加困難なBi添加領域である20モル%及び50モル%置換した磁性ガーネット結晶の特性値を示す。試料C及びDは、ファラデー回転角は極めて大きな値が得られることがわかる。このように、本発明単結晶体は、光アイソレータとして有効であることがわかる。
Figure 2002022920
アイソレータモジュール作製例
図8には、偏波依存型光アイソレータの原理を示す。
偏波依存型光アイソレータの構造はファラデー回転角が45度となる厚さに光学研摩された単結晶の両端面にAR(反射防止)膜を施し、偏光子a及びbを設置するが偏光子aは偏光方向を45度、偏光子bはそれを90度の方向でセットアップし、順方法のみの半導体レーザー光だけを通過させ、戻波(反射波)は偏光子aでシャットアウトする。また、磁性ガーネット単結晶の外周には磁界発生のための永久磁石が設置する一般的な素子構成でアイソレータモジュールを作製することができる。例えば、本発明の試料Aを用いるときは材料厚さを1.73mm、試料Cを用いるときは0.18mm厚さとして光学研摩し、試料両面にARコートを施す。
図9に示すように、本発明試料(磁性ガーネット単結晶)を本体にセットして光アイソレータを構成する。アイソレーターに波長1.3μmの半導体レーザーを挿入し、順方向から得られた光を偏光板を用いて偏光角を計測した。その結果、試料A及びCのいずれを用いたアイソレータでも45度偏光しているのが確認できた。このことは光ファイバー通信で逆方向から反射波が来たときさらに45度の偏光を付与できることになり、アイソレータとして利用できることがわかる。
図10には、従来型光アイソレータモジュール及びファイバー付光アイソレータモジュールの概略図をそれぞれ示す。本発明ではファラデー回転角の増大に寄与するBiの磁性ガーネット単結晶への導入量を50モル%以上とすることも可能であるので、光学(レンズ)系が簡素化できる。例えば、従来型では光ファイバー挿入のためにアイソレータ素子の前後に合計2枚のレンズを置くのに対し、集光型モジュール及び直結型モジュールではレンズが1枚で済むので、アイソレータモジュールを小型化することができる。また、本発明単結晶体は、光磁界センサー等への応用も可能である。
【図面の簡単な説明】
図1は、結晶成長させる際の結晶成長開始部分xと末端部yとの位置関係を示す模式図である。
図2は、結晶成長させるに際し、種子結晶部分を加熱する状態を模式図(断面図)である。
図3は、結晶成長させるに際し、多結晶体の末端部を強制冷却する状態を模式図(断面図)である。
図4は、市販の単結晶体(a)及び本発明単結晶体(b)の転位を示すイメージ図である。
図5は、試料をエッチングすることにより現れた転位A、小傾角粒界B、小傾角粒界を形成する結晶粒子Cを示す模式図である。
図6は、実施例で平均温度勾配を測定する方法を示す模式図である。
図7は、実施例7において、(a)COレーザーを照射して種子結晶をつくる工程、(b)種子結晶が形成された状態、(c)加熱により種子結晶が成長する工程を示す模式図である。
図8は、偏波依存型光アイソレーターの基本構造を示す図である。
図9は、本発明単結晶体を用いて作製された光アイソレーターの基本構造を示す図である。
図10は、従来型光アイソレーターモジュールとファイバー付き光アイソレーターモジュールの基本構成を示す図である。

Claims (24)

  1. ReFe5−x12(但し、ReはY、Bi、Ca及び原子番号62〜71のランタニド希土類元素の少なくとも1種、Mは原子番号22〜30の遷移金属元素、Al、Ga、Sc、In及びSnの少なくとも1種、0≦x<5を示す。)単結晶から実質的に構成され、小傾角粒界を形成する結晶粒子の単位面積当たりの個数n(個/cm)が0≦n≦10である希土類−鉄ガーネット単結晶体。
  2. ReFe5−x12(但し、ReはY、Bi、Ca及び原子番号62〜71のランタニド希土類元素の少なくとも1種、Mは原子番号22〜30の遷移金属元素、Al、Ga、Sc、In及びSnの少なくとも1種、0≦x<5を示す。)単結晶から実質的に構成され、転位密度(但し、小傾角粒界を構成する転位を除く。)が1×10個/cm以下である希土類−鉄ガーネット単結晶体。
  3. 気孔体積が200体積ppm以下である請求項1又は2に記載の希土類−鉄ガーネット単結晶体。
  4. 波長1.3〜2.0μmの近赤外線波長領域における屈折率分布が5×10−3〜1×10−6である請求項1又は2に記載の希土類−鉄ガーネット単結晶体。
  5. 純度が99.5重量%以上である請求項1又は2に記載の希土類−鉄ガーネット単結晶体。
  6. モル比でRe:Fe5−x(但し、ReはY、Bi、Ca及び原子番号62〜71のランタニド希土類元素の少なくとも1種、Mは原子番号22〜30の遷移金属元素、Al、Ga、Sc、In及びSnの少なくとも1種、0≦x<5を示す。)が3.00:4.99〜5.05である組成を有する酸化物粉末を成形し、得られた成形体又はその焼結体を900〜1500℃で熱処理して結晶成長させることにより、ReFe5−x12単結晶から実質的に構成される希土類−鉄ガーネット単結晶体を製造する方法であって、
    結晶成長させるに際し、(a)結晶成長開始部分に対する加熱及び(b)当該部分以外の末端部に対する冷却の少なくとも一方の処理を施すことによって、10℃/cm以上の平均温度勾配を当該成形体又は焼結体に与えることを特徴とする希土類−鉄ガーネット単結晶体の製造方法。
  7. 酸化物粉末が
    1)Reの酸化物粉末(但し、ReはY、Bi、Ca及び原子番号62〜71のランタニド希土類元素の少なくとも1種)と、
    2)▲1▼酸化鉄粉末又は▲2▼原子番号22〜30の遷移金属元素、Al、Ga、Sc、In及びSnの少なくとも1種ならびに酸化鉄粉末からなる粉末との混合粉末である請求項6記載の製造方法。
  8. 1)Reの酸化物粉末(ReはY、Bi、Ca及び原子番号62〜71のランタニド希土類元素の少なくとも1種)における一次粒子径が20〜500nm及びBET比表面積が5〜50m/gであって、かつ、2)▲1▼酸化鉄粉末又は▲2▼原子番号22〜30の遷移金属の酸化物粉末、酸化アルミニウム粉末、酸化ガリウム粉末、酸化スカンジウム粉末、酸化インジウム粉末及び酸化スズ粉末の少なくとも1種ならびに酸化鉄粉末からなる粉末における一次粒子径が100〜1000nm及びBET比表面積が3〜30m/gである請求項7記載の製造方法。
  9. モル比でRe:Fe5−x(但し、ReはY、Bi、Ca及び原子番号62〜71のランタニド希土類元素の少なくとも1種、Mは原子番号22〜30の遷移金属元素、Al、Ga、Sc、In及びSnの少なくとも1種、0≦x<5を示す。)が3.00:4.99〜5.05の組成を有するReFe5−x12焼結体に、Re12又はReFe5−x12単結晶を種子結晶として接触させた後、900〜1500℃で熱処理して結晶成長させることにより、ReFe5−x12単結晶から実質的に構成される希土類−鉄ガーネット単結晶体を製造する方法であって、
    結晶成長させるに際し、(a)種子結晶部分に対する加熱及び(b)当該部分以外の末端部に対する冷却の少なくとも一方の処理を施すことにより、10℃/cm以上の平均温度勾配を当該焼結体に与えることを特徴とする希土類−鉄ガーネット単結晶体の製造方法。
  10. ReFe5−x12(但し、ReはY、Bi、Ca及び原子番号62〜71のランタニド希土類元素の少なくとも1種、Mは原子番号22〜30の遷移金属元素、Al、Ga、Sc、In及びSnの少なくとも1種、0≦x<5を示す。)焼結体が相対密度99%以上である請求項9記載の製造方法。
  11. Re12又はReFe5−x12(但し、ReはY、Bi、Ca及び原子番号62〜71のランタニド希土類元素の少なくとも1種、Mは原子番号22〜30の遷移金属元素、Al、Ga、Sc、In及びSnの少なくとも1種、0≦x<5を示す。)単結晶の(100)面、(110)面又は(111)面を研磨し、その研磨面をReFe5−x12焼結体に接触させる請求項9記載の製造方法。
  12. 研磨面が平均表面粗さRa=1.0nm以下及び平坦度λ(λ=633nm)以下である請求項11記載の製造方法。
  13. ReFe5−x12(但し、ReはY、Bi、Ca及び原子番号62〜71のランタニド希土類元素の少なくとも1種、Mは原子番号22〜30の遷移金属元素、Al、Ga、Sc、In及びSnの少なくとも1種、0≦x<5を示す。)焼結体の一部又は全部を平均表面粗さRa=1.0nm以下及び平坦度λ(λ=633nm)以下に研磨し、その研磨面をRe12又はReFe5−x12単結晶と接触させる請求項9記載の製造方法。
  14. ReFe5−x12(但し、ReはY、Bi、Ca及び原子番号62〜71のランタニド希土類元素の少なくとも1種、Mは原子番号22〜30の遷移金属元素、Al、Ga、Sc、In及びSnの少なくとも1種、0≦x<5を示す。)焼結体及びRe12又はReFe5−x12単結晶の少なくとも一方の接触面に、Re、Fe及びMの少なくとも1種を含む水溶液を塗布する請求項9記載の製造方法。
  15. モル比でRe:Fe5−x(但し、ReはY、Bi、Ca及び原子番号62〜71のランタニド希土類元素の少なくとも1種、Mは原子番号22〜30の遷移金属元素、Al、Ga、Sc、In及びSnの少なくとも1種、0≦x<5を示す。)が3.00:4.99〜5.05である組成を有するReFe5−x12焼結体にレーザービームを照射することによりReFe5−x12単結晶の種子結晶を生成させた後、900〜1500℃で熱処理して結晶成長させることにより、ReFe5−x12単結晶から実質的に構成される希土類−鉄ガーネット単結晶体を製造する方法であり、
    結晶成長させるに際し、(a)種子結晶部分に対する加熱及び(b)当該部分以外の末端部に対する冷却の少なくとも一方の処理を施すことにより、10℃/cm以上の平均温度勾配を当該焼結体に与えることを特徴とする希土類−鉄ガーネット単結晶体の製造方法。
  16. レーザービームの波長が0.2〜11μm(但し、当該ReFe5−x12の透過波長を除く。)である請求項15記載の製造方法。
  17. レーザービームの照射エリアが1mm以下である請求項15記載の製造方法。
  18. 1300℃未満で加熱しながら当該ReFe5−x12焼結体にレーザービームを照射する請求項15記載の製造方法。
  19. 当該成形体又は焼結体中に、結晶成長時に液相を形成し得る酸化物を存在させることを特徴とする請求項6、9又は15に記載の製造方法。
  20. 結晶成長させるに際し、昇温速度を50℃/h以下とすることを特徴とする請求項6、9又は15に記載の製造方法。
  21. 冷却が、冷媒を当該末端部分に吹き付けることにより実施される請求項6、9又は15に記載の製造方法。
  22. 冷却が、金属又は無機材料からなるヒートシンク材を当該末端部分に当接し、当該ヒートシンク材に冷媒を接触させることにより実施される請求項6、9又は15に記載の製造方法。
  23. ▲1▼昇温速度又は▲2▼昇温速度と冷媒の流量の双方を変化させることにより、単結晶の結晶成長を制御する請求項6、9又は15に記載の製造方法。
  24. 請求項1又は2に記載の希土類−鉄ガーネット単結晶体を用いたデバイス。
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