JP2003267796A - ペロブスカイト構造を有する酸化物及びその製造方法 - Google Patents

ペロブスカイト構造を有する酸化物及びその製造方法

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JP2003267796A
JP2003267796A JP2002073029A JP2002073029A JP2003267796A JP 2003267796 A JP2003267796 A JP 2003267796A JP 2002073029 A JP2002073029 A JP 2002073029A JP 2002073029 A JP2002073029 A JP 2002073029A JP 2003267796 A JP2003267796 A JP 2003267796A
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Akio Ikesue
明生 池末
Shinichi Kakita
進一 柿田
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Daiichi Kigenso Kagaku Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】圧電材料等として優れた特性を発揮し得る酸化
物を提供する。 【解決手段】成分A、B及び酸素(ただし、Aはアルカ
リ金属元素、アルカリ土類金属元素(Mgを除く。)、
ランタニド希土類元素、Sc、Y、Cd、Pb及びBi
の少なくとも1種、BはTi、V、Cr、Mn、Fe、
Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Hf、Nb、Ta、M
o、W、Ga、Ge、As、Se、In、Sn、Sb、
Te及びMgの少なくとも1種を示す。)からなるペロ
ブスカイト構造を有する酸化物であって、当該酸化物の
気孔率が0.01〜8体積%であり、当該酸化物が単結
晶又は配向性多結晶であることを特徴とする酸化物に係
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ペロブスカイト構
造を有する酸化物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】ペロブスカイト構造を有する酸化物、とり
わけBaTiO3、Pb(Ti,Zr)O3)(「PZ
T」)あるいはリラクサー系のPb(ZnNb)O3
PbTiO3(「PZN−PT」)等に代表されるセラ
ミックス(多結晶体)は圧電材料として応用されてい
る。一方、ペロブスカイト構造を有する単結晶として
は、例えばLiNbO3(「LN」)、LiTaO
3(「LT」)等が知られている。これらは、移動体通
信のSAW(Surface Acoustic Wave)デバイスに大量
に使用されている。また、医療用の超音波診断装置、魚
群探知機、潜水艦用ソナー等には、前記リラクサー系の
PZN−PTのほか、Pb(MgNb)O3(「PM
N」)単結晶が工業的に活用されている。
【0003】一般的に、セラミックスは大量生産が容易
であり、低コストで製造することができる。一方、その
材料特性は単結晶に比べて大きく劣る。換言すれば、単
結晶材料は、生産性がきわめて低く、生産コストが高
い。しかも、結晶育成が困難な材料系も存在する。その
反面、単結晶材料は、セラミックスをしのぐ優れた特性
を発揮する。
【0004】従来技術では、ペロブスカイト構造を有す
る酸化物を非溶融法(すなわち焼結法)で作製したとき
は、無配向の多結晶体が得られるのが通例とされてい
る。このような多結晶体では、圧電特性に有利な結晶方
位を揃えることができない。しかも、上記多結晶体は、
電気機械結合係数、誘電損失等に影響を及ぼす多数の粒
界が存在するため、単結晶材料に比べて圧電性能が劣
る。結晶方位を揃える技術(例えば、ホットプレス法等
により焼結工程で一方向に圧力を与え、加圧方向に対し
て垂直方向に結晶成長させる技術)が提案されている。
しかし、この方法は、単結晶材料を製造する場合と同
様、生産性が悪い。それだけでなく、上記方法では、圧
電性能が優位となるような方向に選択的に結晶成長をさ
せることができないこともある。
【0005】圧電材料は数多くの種類とその材料種に応
じた幅広い応用分野が存在する。そこで、代表的な圧電
材料であるBaTiO3単結晶を一例にとる。この単結
晶は、光通信、情報処理等に利用される非線型光学結晶
であり、高解像度画像処理、実時間フォログラム、レー
ザー共振器用の位相共役波発生媒体に利用できる。特
に、低価格が実現できれば、上記単結晶は、高性能な圧
電材料として利用できる市場性の大きな材料である。
【0006】しかし、BaTiO3単結晶の製造は、状
態図からも判断できるように、BaTiO3融液から直
接単結晶化することが困難である。そのため、フッ化物
又は塩化物を主成分とするフラックス法、あるいは融液
組成をTiO2リッチにすることによって直接低温型構
造のBaTiO3単結晶を引き上げるTSSG方法(ト
ップ・シーディッド・ソリューション・グロース法)で
しか製造することができない。 また、Pbを含むペロ
ブスカイト単結晶も、BaTiO3単結晶と同様な問題
を有するものもある。それだけでなく、しかもPb蒸気
揮発(組成調整の困難さ)の問題があり、単結晶育成が
事実上不可能ないしは極めて困難である。
【0007】一方、圧電材料として大量消費されている
セラミックスは、PZTが主流となってる。これに対
し、近年の環境問題の意識の高まりから、鉛フリー又は
鉛レス系でPZTに匹敵できる性能をもつ材料の開発が
望まれている。
【0008】合成技術とは別に、材料特性の面におい
て、BaTiO3又は(BiNa)NbO3セラミックス
がPZTの代替材料として有望視されている。ところ
が、前者は圧電定数d33=120(×10-12C/
N)、電気機械結合係数k33=0.4〜0.5であり、
後者は圧電定数d33=110(×10-12C/N)、電
気機械結合係数k33=0.4〜0.6である。すなわ
ち、これらセラミックスは、PZTの圧電定数d33=3
00〜400(×10-12C/N)、電気機械結合係数
33=0.6〜0.7に比して未だ性能が低い。このた
め、上記のようなPbを含む圧電材料を他のセラミック
ス材料により代替することは困難とされている。
【0009】この技術課題を解決する材料としては、圧
電性能が最も優位となる結晶方位だけから構成された単
結晶が最も有利である。その次に有利な材料は、圧電性
能が優位となる結晶方向を選択的に抽出できる多結晶
(すなわち、配向性多結晶)が考えられる。
【0010】しかしながら、これらの単結晶又は配向性
多結晶の製造を実現するための焼結技術、材料技術等の
報告例はきわめて少なく、いずれも改善の余地がある。
このため、溶融法で作製された単結晶と同程度又はそれ
以上の特性を発揮できる製造技術の開発が待たれてい
る。
【0011】上記の問題は、圧電材料以外の用途(例え
ば、焦電材料、超伝導材料等)についても同様に存在し
ており、これらの用途においても新たな製造技術の開発
が切望されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の主な
目的は、圧電材料等として優れた特性を発揮し得る酸化
物を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者は、かかる従来
技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定のプ
ロセスにより製造される酸化物がその特異な組織構造を
有することから上記目的を達成できることを見出し、つ
いに本発明を完成するに至った。
【0014】すなわち、本発明は、下記のペロブスカイ
ト構造を有する酸化物及びその製造方法に係る。
【0015】1.成分A、B及び酸素(ただし、Aはア
ルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素(Mgを除
く。)、ランタニド希土類元素、Sc、Y、Cd、Pb
及びBiの少なくとも1種、BはTi、V、Cr、M
n、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Hf、N
b、Ta、Mo、W、Ga、Ge、As、Se、In、
Sn、Sb、Te及びMgの少なくとも1種を示す。)
からなるペロブスカイト構造を有する酸化物であって、
当該酸化物の気孔率が0.01〜8体積%であり、当該
酸化物が単結晶又は配向性多結晶であることを特徴とす
る酸化物。
【0016】2.酸化物が、ABO3、AB26、A3
37、A329、A8312及びA5415の少なく
とも1種の組成(ただし、Aはアルカリ金属元素、アル
カリ土類金属元素(Mgを除く。)、ランタニド希土類
元素、Sc、Y、Cd、Pb及びBiの少なくとも1
種、BはTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、C
u、Zn、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、W、Ga、
Ge、As、Se、In、Sn、Sb、Te及びMgの
少なくとも1種を示す。)を有する前記項1記載の酸化
物。
【0017】3.純度が、99重量%以上である前記項
1記載の酸化物。
【0018】4.平均気孔径が、1〜30μmである前
記項1記載の酸化物。
【0019】5.配向性多結晶が、ロットゲーリング法
による結晶配向度50%以上である前記項1記載の酸化
物。
【0020】6.配向性多結晶が、短軸方向の平均粒径
5〜100μmの結晶粒子から実質的に構成される前記
項1記載の酸化物。
【0021】7.配向性多結晶が、平均アスペクト比5
〜100の結晶粒子から実質的に構成される前記項1記
載の酸化物。
【0022】8.モル比でA:B(ただし、Aはアルカ
リ金属元素、アルカリ土類金属元素(Mgを除く。)、
ランタニド希土類元素、Sc、Y、Cd、Pb及びBi
の少なくとも1種、BはTi、V、Cr、Mn、Fe、
Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Hf、Nb、Ta、M
o、W、Ga、Ge、As、Se、In、Sn、Sb、
Te及びMgの少なくとも1種を示す。)が1:1.0
2〜0.980である組成を有する酸化物粉末を成形
し、得られた成形体又はその焼結体をその焼結体の融点
の75〜95%の温度で熱処理して結晶成長させること
により、ペロブスカイト構造を有する酸化物の単結晶又
は配向性多結晶を製造する方法であって、結晶成長させ
るに際し、(a)結晶成長開始部分に対する加熱及び
(b)当該部分以外の末端部に対する冷却の少なくとも
一方の処理を施すことによって、10℃/cm以上の平
均温度勾配を当該成形体又は焼結体に与えることを特徴
とする製造方法。
【0023】9.酸化物粉末が 1)Aの酸化物粉末(ただし、Aはアルカリ金属元素、
アルカリ土類金属元素(Mgを除く。)、ランタニド希
土類元素、Sc、Y、Cd、Pb及びBiの少なくとも
1種を示す。)と、Bの酸化物粉末(ただし、BはT
i、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、
Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、W、Ga、Ge、A
s、Se、In、Sn、Sb、Te及びMgの少なくと
も1種を示す。)との混合粉末、又は 2)上記混合粉末を仮焼して得られる仮焼粉末である前
記項8記載の製造方法。
【0024】10.1)Aの酸化物粉末(ただし、Aは
アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素(Mgを除
く。)、ランタニド希土類元素、Sc、Y、Cd、Pb
及びBiの少なくとも1種を示す。)における一次粒子
径が20〜1000nm及びBET比表面積が1〜50
2/gであって、かつ、2)Bの酸化物粉末(ただ
し、BはTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、C
u、Zn、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、W、Ga、
Ge、As、Se、In、Sn、Sb、Te及びMgの
少なくとも1種を示す。)における一次粒子径が50〜
3000nm及びBET比表面積が0.5〜30m2
gである前記項9記載の製造方法。
【0025】11.モル比でA:B(ただし、Aはアル
カリ金属元素、アルカリ土類金属元素(Mgを除
く。)、ランタニド希土類元素、Sc、Y、Cd、Pb
及びBiの少なくとも1種、BはTi、V、Cr、M
n、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Hf、N
b、Ta、Mo、W、Ga、Ge、As、Se、In、
Sn、Sb、Te及びMgの少なくとも1種を示す。)
が1:1.02〜0.980の組成を有する酸化物焼結
体に、成分A、B及び酸素からなるペロブスカイト構
造を有する単結晶を種子結晶として接触させた状態で又
は当該単結晶を接触させない状態で、その焼結体の融
点の75〜95%の温度で熱処理して結晶成長させるこ
とにより、ペロブスカイト構造を有する酸化物の単結晶
又は配向性多結晶を製造する方法であって、結晶成長さ
せるに際し、(a)単結晶成長の起点である種子結晶部
分又は配向性多結晶体成長の起点となる部分に対する加
熱及び(b)当該部分以外の末端部に対する冷却の少な
くとも一方の処理を施すことにより、10℃/cm以上
の平均温度勾配を当該焼結体に与えることを特徴とする
製造方法。
【0026】12.酸化物焼結体の相対密度が85%以
上である前記項11記載の製造方法。
【0027】13.単結晶の(100)面、(110)
面又は(111)面を研磨し、その研磨面を酸化物焼結
体に接触させる前記項11記載の製造方法。
【0028】14.研磨面が平均表面粗さRa=1.0
nm以下及び平坦度λ(λ=633nm)以下である前
記項13記載の製造方法。
【0029】15.酸化物焼結体の一部又は全部を平均
表面粗さRa=1.0nm以下及び平坦度λ(λ=63
3nm)以下に研磨し、その研磨面を同一構造のペロブ
スカイト型結晶の単結晶と接触させる前記項11記載の
製造方法。
【0030】16.酸化物焼結体及び単結晶の少なくと
も一方の接触面に、A及びB(ただし、Aはアルカリ金
属元素、アルカリ土類金属元素(Mgを除く。)、ラン
タニド希土類元素、Sc、Y、Cd、Pb及びBiの少
なくとも1種、BはTi、V、Cr、Mn、Fe、C
o、Ni、Cu、Zn、Zr、Hf、Nb、Ta、M
o、W、Ga、Ge、As、Se、In、Sn、Sb、
Te及びMgの少なくとも1種を示す。)の少なくとも
1種を含む水溶液を塗布する前記項11記載の製造方
法。
【0031】17.モル比でA:B(ただし、Aはアル
カリ金属元素、アルカリ土類金属元素(Mgを除
く。)、ランタニド希土類元素、Sc、Y、Cd、Pb
及びBiの少なくとも1種、BはTi、V、Cr、M
n、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Hf、N
b、Ta、Mo、W、Ga、Ge、As、Se、In、
Sn、Sb、Te及びMgの少なくとも1種を示す。)
が1:1.02:0.980である組成を有する酸化物
焼結体にレーザービームを照射することによりペロブス
カイト構造を有する種子結晶(単結晶)を生成させた
後、その焼結体の融点の75〜95%の温度で熱処理し
て結晶成長させることにより、ペロブスカイト構造を有
する酸化物の単結晶又は配向性多結晶を製造する方法で
あって、結晶成長させるに際し、(a)単結晶成長の起
点である種子結晶部分又は配向性多結晶体成長の起点と
なる部分に対する加熱及び(b)当該部分以外の末端部
に対する冷却の少なくとも一方の処理を施すことによ
り、10℃/cm以上の平均温度勾配を当該焼結体に与
えることを特徴とする酸化物の製造方法。
【0032】18.レーザービームの波長が0.2〜1
1μm(但し、当該焼結体の透過波長を除く。)である
前記項17記載の製造方法。
【0033】19.レーザービームの照射エリアが1m
2以下である前記項17記載の製造方法。
【0034】20.酸化物焼結体の融点の75%未満の
温度で加熱しながら酸化物焼結体にレーザービームを照
射する請求項17記載の製造方法。
【0035】21.当該成形体又は焼結体中に、結晶成
長時に液相を形成し得る酸化物を存在させることを特徴
とする前記項8、11又は17に記載の製造方法。
【0036】22.結晶成長させるに際し、昇温速度を
50℃/h以下とすることを特徴とする前記項8、11
又は17に記載の製造方法。
【0037】23.冷却が、冷媒を当該末端部分に吹き
付けることにより実施される前記項8、11又は17に
記載の製造方法。
【0038】24.冷却が、金属又は無機材料からなる
ヒートシンク材を当該末端部分に当接し、当該ヒートシ
ンク材に冷媒を接触させることにより実施される前記項
8、11又は17に記載の製造方法。
【0039】25.昇温速度又は昇温速度と冷媒の
流量の双方を変化させることにより、単結晶又は配向性
多結晶の結晶成長を制御する前記項8、11又は17に
記載の製造方法。
【0040】26.前記項1記載の酸化物からなる圧電
材料。
【0041】27.前記項1記載の酸化物からなる超伝
導材料。
【0042】28.前記項1記載の酸化物からなる焦電
材料。
【0043】29.前記項1記載の酸化物を含むデバイ
ス。
【0044】
【発明の実施の形態】1.本発明酸化物 本発明酸化物は、成分A、B及び酸素(ただし、Aはア
ルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素(Mgを除
く。)、ランタニド希土類元素、Sc、Y、Cd、Pb
及びBiの少なくとも1種、BはTi、V、Cr、M
n、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Hf、N
b、Ta、Mo、W、Ga、Ge、As、Se、In、
Sn、Sb、Te及びMgの少なくとも1種を示す。)
からなるペロブスカイト構造を有する酸化物であって、
当該酸化物の気孔率が0.01〜8体積%であり、当該
酸化物が単結晶又は配向性多結晶であることを特徴とす
る。
【0045】上記Aは、アルカリ金属元素、アルカリ土
類金属元素(Mgを除く。)、ランタニド希土類元素、
Sc、Y、Cd、Pb及びBiの少なくとも1種を示
す。アルカリ金属としては、K、Na、Li、Rb、C
s等が挙げられる。アルカリ土類金属は、Be、Ca、
Sr等が挙げられる。本発明では、Mgは上記アルカリ
土類金属から除かれる。ランタニド希土類元素は、L
a、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、T
b、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuがある。
【0046】上記Bは、Ti、V、Cr、Mn、Fe、
Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Hf、Nb、Ta、M
o、W、Ga、Ge、As、Se、In、Sn、Sb、
Te及びMgの少なくとも1種を示す。
【0047】本発明酸化物の組成は、ペロブスカイト構
造となり得るものであれば限定されず、組成自体は公知
のものであっても良い。本発明酸化物は、特にAB
3、AB26、A337、A329、A831及び
5415の少なくとも1種の組成(A及びBは前記と
同じ。)を有することが望ましい。ABO3の組成を有
することがより好ましい。例えば、BaTiO3、Pb
ZrO3、PbTiO3、KNbO3及びLiNbO3の少
なくとも1種を挙げることができる。
【0048】本発明酸化物の純度は、組成的に上記一般
式のいずれかの組成により実質的に構成されるが、不可
避不純物が含まれていても差し支えない。上記純度は高
いほど好ましく、通常は99重量%以上、特に99.5
重量%以上であることが望ましい。
【0049】また、本発明酸化物は、気孔率0.01〜
8体積%程度、好ましくは0.1〜5体積%とする。か
かる気孔率の範囲内に設定することにより、圧電材料等
としてより優れた効果を得ることができる。
【0050】この場合、酸化物に存在する気孔は、その
平均気孔径が1〜30μm程度、好ましくは5〜20μ
mである。
【0051】また、本発明酸化物が配向性多結晶である
場合、その配向性は酸化物の用途等により適宜決定でき
るが、通常はロットゲーリング法による結晶配向度が5
0%以上、特に70%以上であることが好ましい。結晶
配向度50%以上に設定することによって、圧電材料等
としてより優れた効果を得ることができる。
【0052】さらに、本発明酸化物が配向性多結晶であ
る場合、各結晶粒子における短軸方向の平均粒径が通常
5〜100μm程度、特に10〜50μmとすることが
好ましい。また、配向性多結晶の結晶粒子は、平均アス
ペクト比5〜100程度、特に10〜100であること
が好ましい。この理由は、例えば圧電体においては圧電
特性に優れた結晶方位を選択的に抽出し易くなることに
加え、結晶成長方向の粒界数(アスペクト比が大きくな
ればそれだけ振動方向の粒界数)を減少させることがで
きるので、電気機械結合係数の向上、誘電損失の低下等
に伴い、通常の焼結体(無配向多結晶体)よりもはるか
に優れた圧電特性を得ることができるためである。ま
た、焦電材料では分極方向を選択的に揃えられること、
超伝導材料では電子スピンの方向を一致させやすいこと
等の理由に基づき、それぞれ優れた特性を得ることがで
きるためである。
【0053】本発明酸化物(バルク体)のサイズは特に
限定的ではないが、通常は1mm3以上の範囲で最終製
品の用途等に応じて適宜変更することができる。また、
後記の実施例に示すように、例えば10cm3以上の大
型の酸化物も本発明に包含される。
【0054】2.製造方法(第一方法) 第一方法は、モル比でA:B(ただし、Aはアルカリ金
属元素、アルカリ土類金属元素(Mgを除く。)、ラン
タニド希土類元素、Sc、Y、Cd、Pb及びBiの少
なくとも1種、BはTi、V、Cr、Mn、Fe、C
o、Ni、Cu、Zn、Zr、Hf、Nb、Ta、M
o、W、Ga、Ge、As、Se、In、Sn、Sb、
Te及びMgの少なくとも1種を示す。)が1:1.0
2〜0.980である組成を有する酸化物粉末を成形
し、得られた成形体又はその焼結体をその焼結体の融点
の75〜95%の温度で熱処理して結晶成長させること
により、ペロブスカイト構造を有する酸化物の単結晶又
は配向性多結晶を製造する方法であって、結晶成長させ
るに際し、(a)結晶成長開始部分に対する加熱及び
(b)当該部分以外の末端部に対する冷却の少なくとも
一方の処理を施すことによって、10℃/cm以上の平
均温度勾配を当該成形体又は焼結体に与えることを特徴
とする。
【0055】まず、酸化物粉末の調製を行う。酸化物粉
末は、モル比でA:B(ただし、Aはアルカリ金属元
素、アルカリ土類金属元素(Mgを除く。)、ランタニ
ド希土類元素、Sc、Y、Cd、Pb及びBiの少なく
とも1種、BはTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、N
i、Cu、Zn、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、W、
Ga、Ge、As、Se、In、Sn、Sb、Te及び
Mgの少なくとも1種を示す。)が1:1.02〜0.
980である組成を有する限りは、1種の酸化物粉末
(A及びBを含む複合酸化物又は混合酸化物、例えばA
BO3、AB26、A337、A329、A8312
又はA5415で示される粉末等)又は2種以上の酸化
物粉末からなる混合粉末のいずれであっても良い。
【0056】第一方法では、酸化物粉末が 1)Aの酸化物粉末(ただし、Aはアルカリ金属元素、
アルカリ土類金属元素(Mgを除く。)、ランタニド希
土類元素、Sc、Y、Cd、Pb及びBiの少なくとも
1種を示す。)と、Bの酸化物粉末(ただし、BはT
i、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、
Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、W、Ga、Ge、A
s、Se、In、Sn、Sb、Te及びMgの少なくと
も1種を示す。)との混合粉末、又は 2)上記混合粉末を仮焼して得られる仮焼粉末であるこ
とが望ましい。
【0057】この場合、上記1)の酸化物粉末は、その
一次粒子径が20〜1000nmであって、BET比表
面積が1〜50m2/gであることが望ましい。また、
上記2)の酸化物粉末は、その一次粒子径が50〜30
00nmであって、BET比表面積が0.5〜30m2
/gであることが望ましい。
【0058】なお、これら粉末の一次粒子径は、X線回
折分析における回折ピークの半価幅又はSEM(走査型
電子顕微鏡)若しくはTEM(透過型電子顕微鏡)によ
って求めることができる。すなわち、SEM又はTEM
の場合は任意に選んだ100個の粒子の長径の平均値を
算出することによって求めた値を示す。
【0059】さらに、本発明では、結晶成長時に液相を
形成し得る酸化物を0.01〜1重量%添加しても良
い。例えば、Bi23(この場合、BiはAサイトを占
有するので、Aを構成する総モル数に対して過剰分が添
加量となる。)等を用いることができる。かかる添加に
よって、成形体から低融点物質を形成させ、結晶成長さ
せる時に結晶成長界面(単結晶と多結晶界面)に液相が存
在した状態で単結晶を育成することもできる。この場
合、極少量の液相成分が結晶成長界面に存在することに
より液相を介した結晶成長(すなわち、多結晶体の構成
粒子が液相に一旦溶解したあと、単結晶の成長界面に再
析出することを繰り返すこと)でも単結晶化を引き起す
ことができる。この方法を適用するときは、上記所定量
の酸化物を含む成形体又は焼結体を作製し、次いで第一
方法を適用すれば良いが、上記酸化物は育成した結晶内
部に導入される場合がある。このため、酸化物含有量は
上記所定量の範囲内とすることが好ましい。
【0060】上記の酸化物粉末自体は、構成元素の酸化
物をブレンドする固相法、構成元素を予め化学的に処理
することで均一化した粉末を得る共沈法、均一沈殿法、
アルコキシド法等の公知の製法で得られる粉末又は市販
品を使用することができる。特に、本発明酸化物は組成
が複雑になる場合が多いことから、個々の酸化物粉末を
電子天秤等で秤量するだけで目的とする組成をより確実
に得ることができるという点で上記固相法が好ましい。
なお、これらの粉末の純度は限定されないが、99.8
重量%以上であることが望ましい。
【0061】また、上記の混合粉末を用いる場合、これ
ら粉末の混合も公知の混合方法に従えば良いが、特に湿
式混合することが望ましい。具体的には、例えば2種以
上の酸化物粉末に溶媒(水、アルコール等)、必要に応
じて分散剤、バインダー等を配合し、ポットミル等を用
いて湿式混合すれば良い。混合時間は特に限定的ではな
いが、通常は5時間以上とすれば良い。湿式混合により
得られたスラリーは、スプレードライ等により乾燥する
ことによって混合された顆粒粉末とすることができる。
【0062】次いで、酸化物粉末の成形を行う。成形方
法は公知の成形方法を採用すれば良く、例えば一軸プレ
ス法、冷間静水圧成形法等が挙げられる。成形体の密度
は限定的ではなく、最終製品の用途等に応じて適宜設定
すれば良い。
【0063】また、必要に応じて、上記成形体を公知の
方法に従って焼成させても良い。例えば、上記成形体を
酸化性雰囲気中で焼成することによって焼結体を得るこ
とができる。この場合の焼成温度は、その組成における
結晶成長温度よりも低い温度とする。また、焼結体は、
仮焼体、焼結体等のいずれであっても良い。特に、相対
密度95%以上の焼結体とすることが望ましい。
【0064】次に、上記成形体又はその焼結体を焼結体
の融点の75〜95%の温度、好ましくは80〜95%
の温度で熱処理して結晶成長させる。この温度は、用い
る成形体の組成等に応じて適宜設定できる。また、熱処
理雰囲気は、例えば酸化性雰囲気、不活性ガス雰囲気、
大気中等のいずれでも良く、単結晶体・配向性多結晶体
の組成等に応じて適宜変更すれば良い。また、熱処理時
間は、熱処理温度、所望の単結晶体のサイズ等に応じて
適宜設定すれば良い。
【0065】第一方法では、結晶成長させる際の昇温速
度を調節することが望ましい。具体的には、50℃/h
以下、好ましくは20℃/h以下とする。かかる昇温速
度に調節することによって、効率的な結晶成長を行うこ
とができる。
【0066】第一方法では、結晶成長させるに際し、
(a)結晶成長開始部分に対する加熱及び(b)当該部
分以外の末端部に対する冷却の少なくとも一方の処理を
施すことによって、10℃/cm以上の平均温度勾配を
上記成形体又は焼結体に付与する。
【0067】結晶成長開始部分は、成形体又は焼結体の
任意の部分を定めることができる。また、上記末端部
は、単結晶体であれば、一般的には最後に単結晶化され
る部分であり、成形体又は焼結体の形状、所望の結晶成
長方向等に応じて適宜決定することができる。結晶成長
開始部分及び末端部は、本発明の効果を妨げない限り、
それらの部分の周辺部も含めることができる。例えば、
図1(a)のように成形体又は焼結体が立方体である場
合、ある一面の中心部x(当該面の対角線の交差点)を
結晶成長開始部分とすれば、その面に対向する面の中心
部y又はその周辺部を末端部とすることができる。
【0068】特に、第一方法では、ブリッジマン法と同
様に、結晶成長開始部分を鋭った形状に形成することに
より単結晶体又は配向性多結晶体をいっそう効率的に得
ることができる。例えば、図1(b)のように、成形体
又は焼結体の先端を円錐形状とすれば、その先端部xが
単結晶(種子結晶)になりやすくなるため、この部分を
結晶成長開始部分とすることにより本発明単結晶体又は
多結晶体を効率良く製造できる。
【0069】本発明における平均温度勾配とは、成形体
又は焼結体のうち最高温度部分と最低温度部分における
温度差を、上記最高温度部分と上記最低温度部分との最
短距離で除した値をいう。通常は、上記最高温度部分は
結晶成長開始部分であり、最低温度部分は上記末端部と
なる。なお、上記温度差は、熱電対を上記最高温度部分
と上記最低温度部分に設置することにより測定すること
ができる。
【0070】本発明では、上記平均温度勾配が10℃/
cm以上、好ましくは50℃/cm以上となるように温
度勾配を与える。平均温度勾配が10℃/cm以上とす
ることによって、より高品質な本発明酸化物を得ること
ができる。なお、平均温度勾配の上限値は特に限定され
ないが、通常200℃/cm程度とすれば良い。
【0071】上記(a)の加熱処理の方法は、結晶成長
開始部分を集中的に加熱できる限り制限されない。例え
ば、ヒーター、レーザービーム等による加熱により適宜
実施することができる。これらの加熱処理は、電気炉等
による加熱を併用することもできる。
【0072】また、上記(b)の冷却処理の方法は、上
記末端部を集中的に冷却できる限り限定されない。例え
ば、空気、酸素、窒素等の冷媒を吹き付ける方法、金属
又は無機材料からなるヒートシンク材を末端部分に当接
又は接触させ、このヒートシンク材に空気等の冷媒を接
触又は吹き付ける方法等が挙げられる。上記ヒートシン
ク材としては、例えばMgO焼結体等のセラミックス、
白金等の金属が使用できる。また、これらの金属又は無
機材料は、単結晶体及び多結晶体のいずれであっても良
い。ヒートシンク材の形状は限定的でないが、通常は板
状のものを使用すれば良い。
【0073】上記(a)及び(b)の処理は、併用する
ことができる。すなわち、結晶成長開始部分を加熱しな
がら、末端部の冷却をすることが可能である。両者の処
理を併用すれば、より大きな平均温度勾配を得ることが
できる。
【0074】このようにして上記成形体の熱処理をする
ことによって、単結晶の粗大粒子が生成し、これが成長
することによって所望サイズの単結晶体を得ることがで
きる。本発明では、例えば一辺が10〜30mm程度又
はそれ以上の大きさの単結晶又は配向性多結晶を製造す
ることができる。
【0075】3.製造方法(第二方法) 第二方法は、モル比でA:B(ただし、Aはアルカリ金
属元素、アルカリ土類金属元素(Mgを除く。)、ラン
タニド希土類元素、Sc、Y、Cd、Pb及びBiの少
なくとも1種、BはTi、V、Cr、Mn、Fe、C
o、Ni、Cu、Zn、Zr、Hf、Nb、Ta、M
o、W、Ga、Ge、As、Se、In、Sn、Sb、
Te及びMgの少なくとも1種を示す。)が1:1.0
2〜0.980の組成を有する酸化物焼結体に、成分
A、B及び酸素からなるペロブスカイト構造を有する単
結晶を種子結晶として接触させた状態で又は当該単結
晶を接触させない状態で、その焼結体の融点の75〜9
5%の温度で熱処理して結晶成長させることにより、ペ
ロブスカイト構造を有する酸化物の単結晶又は配向性多
結晶を製造する方法であって、結晶成長させるに際し、
(a)単結晶成長の起点である種子結晶部分又は配向性
多結晶体成長の起点となる部分に対する加熱及び(b)
当該部分以外の末端部に対する冷却の少なくとも一方の
処理を施すことにより、10℃/cm以上の平均温度勾
配を当該焼結体に与えることを特徴とする。第二方法
は、第一方法よりも速くしかも結晶方位を設定した大き
な単結晶又は配向性多結晶体を製造できるという点で好
ましい。
【0076】上記焼結体は、モル比でA:B(ただし、
Aはアルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素(Mgを
除く。)、ランタニド希土類元素、Sc、Y、Cd、P
b及びBiの少なくとも1種、BはTi、V、Cr、M
n、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Hf、N
b、Ta、Mo、W、Ga、Ge、As、Se、In、
Sn、Sb、Te及びMgの少なくとも1種を示す。)
が1:1.02〜0.980の組成を有する限り特に限
定されない。また、上記焼結体としては、基本的には多
結晶体(好ましくは平均結晶粒径20μm以下)を使用
すれば良い。上記焼結体は、公知の方法により製造する
ことができる。焼結方法として、例えば常圧焼結、ホッ
トプレス、HIP(熱間等方圧プレス)等のいずれの方
法も採用できる。第二方法では、第一方法で作製された
成形体を適当な温度及び時間で焼結して得られる多結晶
中に存在するいずれか1種の単結晶を好適に使用するこ
ともできる。
【0077】また、第二方法では、結晶成長時に液相を
形成し得る酸化物を予め焼結体中に0.01〜1重量%
添加することができる。このような酸化物としては、例
えばBi23(この場合、BiはAサイトを占有するの
で、Aを構成する総モル数に対して過剰分が添加量とな
る。)等を用いることができる。かかる添加によって、
母材より低融点物質を形成させ、種子結晶から焼結体方
向へ単結晶化させる時に結晶成長界面(単結晶と多結晶
界面)に液相が存在した状態で単結晶を育成することも
できる。この場合、極少量の液相成分が結晶成長界面に
存在することにより液相を介した結晶成長(すなわち、
多結晶体の構成粒子が液相に一旦溶解したあと、単結晶
の成長界面に再析出することを繰り返すこと)でも単結
晶化を引き起すことができる。この方法を適用するとき
は、上記所定量の酸化物を含む前記焼結体を作製し、次
いで第一方法を適用すれば良いが、上記酸化物は育成し
た結晶内部に導入される場合がある。このため、酸化物
含有量は上記所定量の範囲内とすることが好ましい。
【0078】第二方法では、上記焼結体の相対密度は限
定的ではないが、通常85%以上、特に95%以上であ
ることが好ましい。これにより、いっそう良質な単結晶
又は配向性多結晶を得ることができる。上記焼結体のサ
イズは、所望の単結晶体又は配向性多結晶の大きさ等に
より変更できるが、通常は後単結晶の体積以上のサイズ
とすれば良い。なお、相対密度は、焼結前の成形体の密
度、焼結温度及び時間等によって制御することができ
る。
【0079】種子結晶として使用される単結晶は、第一
方法及び第三方法で得られる単結晶はもとより、FZ
法、フラックス法、TSSG法等の公知の単結晶製造法
で得られる単結晶等も使用することができる。使用する
単結晶等のサイズ(体積)は特に限定されないが、通常
は1mm3程度以上であれば良い。
【0080】また、上記単結晶は、上記焼結体の組成と
同一であっても良いし、互いに異なっていても良い。
【0081】焼結体と単結晶とを接触させる方法は特に
限定されないが、両者間に隙間がないように接触させる
ことが好ましい。この場合、上記焼結体と単結晶とを互
いに加圧接触させながら熱処理しても良い。加圧接触に
おける圧力は、焼結体・単結晶又は配向性多結晶の種
類、接触面積等によって適宜変更すれば良い。本発明で
は、配向性多結晶を製造する場合には、単結晶を接触さ
せないで焼結体の熱処理して結晶成長させることができ
る。
【0082】また、第二方法では、上記焼結体と上記単
結晶とを接触させるに際し、少なくとも一方の表面(接
触面)を研磨しておくことが望ましい。上記単結晶で
は、その(100)面、(110)面又は(111)面
を研磨することが望ましい。この場合、研磨面が平均表
面粗さRa=1.0nm以下及び平坦度λ(λ=633
nm)以下となるように研磨することが好ましい。一
方、上記焼結体は、少なくとも単結晶と接触する面を平
均表面粗さRa=1.0nm以下及び平坦度λ(λ=6
33nm)以下となるように研磨することが好ましい。
【0083】次いで、焼結体の融点の75〜95%(好
ましくは80〜95%)の温度で熱処理して結晶成長さ
せる。熱処理温度は、焼結体又は種子結晶の組成等に応
じて適宜設定することができる。熱処理雰囲気は特に限
定されず、第一方法の雰囲気と同様にすれば良い。熱処
理時間は、熱処理温度、所望の単結晶体サイズ等の応じ
て適宜設定すれば良い。
【0084】第二方法では、結晶成長させる際の昇温速
度を調節することが望ましい。具体的には、50℃/h
以下、好ましくは20℃/h以下とする。かかる昇温速
度に調節することによって、効率的な結晶成長を行うこ
とができる。
【0085】第二方法では、結晶成長させるに際し、
(a)単結晶成長の起点である種子結晶部分又は配向性
多結晶体成長の起点となる部分に対する加熱及び(b)
当該部分以外の末端部に対する冷却の少なくとも一方の
処理を施すことにより、10℃/cm以上の平均温度勾
配を当該焼結体に与える。
【0086】種子結晶部分は、種子結晶そのもののほ
か、種子結晶と焼結体が接触する部分も含まれる。配向
性多結晶体成長の起点となる部分は適宜定めることがで
きるが、一般的には材料中で最も高温となる部分であ
る。これらの部分の加熱は、ヒーター、レーザービーム
等による部分加熱により実施することができる。また、
上記末端部は、単結晶の製造であれば、通常は最後に単
結晶化される部分であり、焼結体の形状、所望の結晶成
長方向等に応じて適宜決定することができる。配向性多
結晶では、一般に、結晶成長の最終部又は育成途上で最
も冷却された部分である。
【0087】上記部分及び末端部は、本発明の効果を妨
げない限り、それらの部分の周辺部も含めることができ
る。例えば、焼結体が立方体又は円柱体である場合、そ
の一面の中心部分(対角線の交差点又は円の中心)に種
子結晶を配置すれば、その面に対向する面又はその中心
部分を末端部とすることができる。
【0088】本発明における平均温度勾配とは、上記焼
結体のうち最高温度部分と最低温度部分における温度差
を、上記最高温度部分と上記最低温度部分との最短距離
で除した値をいう。通常は、上記最高温度部分は結晶成
長開始部分であり、最低温度部分は上記末端部となる。
なお、上記温度差は、熱電対を上記最高温度部分と上記
最低温度部分に設置することにより測定することができ
る。
【0089】本発明では、上記平均温度勾配が10℃/
cm以上、好ましくは50℃/cm以上となるように焼
結体に温度勾配をつける。平均温度勾配が10℃/cm
以上とすることによって、より高品質な本発明酸化物を
得ることができる。なお、平均温度勾配の上限値は特に
限定されないが、通常200℃/cm程度とすれば良
い。
【0090】上記(a)の加熱処理の方法は、上記部分
を集中的に加熱できる限り制限されない。例えば、ヒー
ター、レーザービーム等による加熱により適宜実施する
ことができる。これらの加熱処理は、電気炉等による加
熱を併用することもできる。図2には、ヒーターで種子
結晶部分を直接加熱する態様(断面図)を示す。ヒータ
ーは、種子結晶に直接的に接触した状態で設置され、こ
のヒーターにより種子結晶が加熱される。加熱された種
子結晶は焼結体(多結晶体)に向かって結晶成長する。
必要に応じて、焼結体の両側に補助的なヒーター(電気
炉)を設置しても良い。
【0091】また、上記(b)の冷却処理の方法は、上
記末端部を集中的に冷却できる限り限定されない。例え
ば、空気、酸素、窒素等の冷媒を吹き付ける方法、金属
又は無機材料からなるヒートシンク材を末端部分に当接
又は接触させ、このヒートシンク材に空気等の冷媒を吹
き付ける方法等が挙げられる。上記ヒートシンク材とし
ては、熱伝導率が5W/mk以上、特に10W/mk以
上のものが好ましい。このような材料としては、例えば
MgO焼結体等のセラミックス、白金等の金属が使用で
きる。これらの材料は、単結晶体又は多結晶体のいずれ
であっても良い。ヒートシンク材の形状は限定的でない
が、通常は板状のものを使用すれば良い。図3には、末
端部分にヒートシンク材を当接し、そのヒートシンク材
にガス媒体を吹き付けて冷却する態様(断面図)を示
す。図3のように、焼結体(多結晶体)が立方体又は円
柱体であり、ある一面の中心部に種子結晶を載せ、結晶
成長させる場合、その面に対向する面の全体にヒートシ
ンク材(板状材)を当接し、このヒートシンク材の下方
よりガスを供給し、ヒートシンク材に接触させる。この
ヒートシンク材の下方から炉内温度以下のガスを吹込む
ことにより、ヒートシンク材及び多結晶体そのものが冷
却され、非定常状態の温度分布(曲線的温度分布、すな
わち結晶成長界面を境として急激な温度変動)を材料内
に与えることができる。このことは、結晶成長界面より
下にある多結晶体の粒成長を極力抑制することができる
こととなる。さらに、下端からの冷却条件を一定とし、
炉内を一定速度で昇温すれば、結晶成長開始温度は順次
下方に向かって移動させることができるので、一定速度
かつ一方向からだけの結晶成長が可能となる。このこと
は、非溶融状態での結晶成長に有利なだけでなく、単結
晶化する前の多結晶体中にある残留気孔を結晶界面移動
を利用してスムーズに系外(単結晶の外)に排出できるた
め、材料内部の光散乱(すなわち、半導体レーザー照射
時の挿入損失)を低減でき、高品質化にもつながる。
【0092】上記(a)及び(b)の処理は、併用する
ことができる。すなわち、上記部分を加熱しながら、末
端部の冷却をすることが可能である。両者の処理を併用
すれば、より大きな平均温度勾配を得ることができる。
【0093】また、その他の手段としては、炉内温度を
結晶成長開始温度以上に設定し、かつ、単結晶と多結晶
体の接合部が結晶成長開始温度程度となるようにガスを
供給しながら冷却し、結晶成長の度合いに準じて冷却の
程度を弱めることにより結晶成長界面を移動させること
ができ、同様に高品質の単結晶体を得ることができる。
【0094】上記部分にレーザービームを照射する場合
には、上記部分と上記焼結体と接触する部分の一部又は
全部にレーザービームを照射すれば良い。レーザービー
ム(レーザー光)のエネルギー密度は、ビームスポット
径等によって異なるが、通常は107W/cm2以下とす
れば良い。また、波長は通常0.2〜11μm程度(但
し、当該焼結体の透過波長を除く。)とすれば良い。レ
ーザー発生装置自体は公知又は市販の装置を使用するこ
とができる。レーザービームの種類も限定的でなく、例
えばCO2レーザービーム、Nd:YAGの第二高周波
(SHG)レーザービーム等を採用できる。また、例え
ば単結晶を種子結晶として接触させた焼結体を加熱炉中
に設置した後、これを熱処理しながらレーザービーム照
射を行えば良い。
【0095】また、第二方法では、必要に応じて、上記
焼結体及び単結晶の少なくとも一方の接触面に、上記A
及びBの少なくとも1種を含む水溶液を塗布することも
できる。このような水溶液としては、A及びBの少なく
とも1種を含む水可溶性塩類(有機酸塩、無機酸塩等)
の水溶液が使用できる。例えば、PZNを育成する場合
は、TiOCl2、Zn(NO32、Pb(CH3CO
O)2等の水溶液が挙げられる。この場合、水溶液のA
とBは、焼結体に含まれるA及びBと同じものを使用す
ることが好ましい。上記水溶液を使用することにより単
結晶と焼結体との接着性が改善することができ、良質の
単結晶をより確実に製造することができる。水溶液の濃
度は特に限定されないが、通常は0.5〜10重量%程
度とすれば良い。
【0096】4.製造方法(第三方法) 第三方法は、モル比でA:B(ただし、Aはアルカリ金
属元素、アルカリ土類金属元素(Mgを除く。)、ラン
タニド希土類元素、Sc、Y、Cd、Pb及びBiの少
なくとも1種、BはTi、V、Cr、Mn、Fe、C
o、Ni、Cu、Zn、Zr、Hf、Nb、Ta、M
o、W、Ga、Ge、As、Se、In、Sn、Sb、
Te及びMgの少なくとも1種を示す。)が0.50:
0.490〜0.510である組成を有する酸化物焼結
体にレーザービームを照射することによりペロブスカイ
ト構造を有する種子結晶(単結晶)を生成させた後、そ
の焼結体の融点の75〜95%の温度で熱処理して結晶
成長させることにより、ペロブスカイト構造を有する酸
化物の単結晶又は配向性多結晶を製造する方法であっ
て、結晶成長させるに際し、(a)単結晶成長の起点で
ある種子結晶部分又は配向性多結晶体成長の起点となる
部分に対する加熱及び(b)当該部分以外の末端部に対
する冷却の少なくとも一方の処理を施すことにより、1
0℃/cm以上の平均温度勾配を当該焼結体に与えるこ
とを特徴とする。
【0097】上記酸化物焼結体は、モル比でA:B(た
だし、Aはアルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素
(Mgを除く。)、ランタニド希土類元素、Sc、Y、
Cd、Pb及びBiの少なくとも1種、BはTi、V、
Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、H
f、Nb、Ta、Mo、W、Ga、Ge、As、Se、
In、Sn、Sb、Te及びMgの少なくとも1種を示
す。)が0.50:0.490〜0.510である組成
を有する限り特に限定されない。また、上記焼結体とし
ては、基本的に多結晶(好ましくは平均結晶粒径20μ
m以下)を使用すれば良い。従って、第三方法では、第
一方法で作製された成形体を適当な温度及び時間で焼結
して得られる多結晶の1つの単結晶を好適に使用するこ
ともできる。
【0098】また、第三方法では、結晶成長時に液相を
生じ得る酸化物を予め焼結体中に0.01〜1重量%添
加しても良い。例えば、Bi23(この場合、BiはA
サイトを占有するので、Aを構成する総モル数に対して
過剰分が添加量となる。)を用いることができる。かか
る添加によって、母材より低融点物質を形成させ、種子
結晶から焼結体方向へ単結晶化させる時に結晶成長界面
(単結晶と多結晶界面)に液相が存在した状態で単結晶を
育成することもできる。この場合、極少量の液相成分が
結晶成長界面に存在することにより液相を介した結晶成
長(すなわち、多結晶体の構成粒子が液相に一旦溶解し
たあと、単結晶の成長界面に再析出することを繰り返す
こと)でも単結晶化を引き起すことができる。この方法
を適用するときは、上記所定量の酸化物を含む焼結体を
作製し、次いで第一方法を適用すれば良いが、上記酸化
物は育成した結晶内部に導入される場合がある。このた
め、酸化物含有量は上記所定量の範囲内とする。
【0099】第三方法における上記焼結体の相対密度
は、通常85%以上、特に95%以上であることが好ま
しい。これにより、いっそう良質な単結晶又は配向性多
結晶を得ることができる。なお、相対密度は、焼結前の
成形体の密度、焼結温度及び時間等によって制御するこ
とができる。
【0100】第三方法では、レーザービームの照射によ
り、単結晶の種子結晶を生成させる。すなわち、その照
射部分に異常粒成長(特に未照射部分に対して約10倍
以上のサイズへの粒成長)を起こさせる。従って、この
異常粒成長が起こる限り照射条件は特に限定されない。
例えば、レーザービーム(レーザー光)のエネルギー密
度は107W/cm2以下とすれば良い。また、波長は通
常0.2〜11μm程度(但し、当該焼結体の透過波長
を除く。)とすれば良い。レーザー発生装置自体は公知
又は市販の装置を使用すれば良い。レーザービームの種
類も限定的でなく、例えばCO2レーザービーム、N
d:YAGの第二高周波(SHG)レーザービーム等を
採用できる。レーザービームを照射する場合の照射エリ
アは限定的ではないが、通常は1mm2以下とすること
が好ましい。
【0101】上記焼結体へのレーザービーム照射は、必
要により加熱しながら行うこともできる。この場合の加
熱温度は限定的ではないが、単結晶から多結晶側へ結晶
成長が起る温度未満の温度となるがこれは材料組成によ
り適宜決定できる。加熱は、例えば加熱炉等を用いて実
施することができる。
【0102】次いで、焼結体の融点の75〜95%(好
ましくは80〜95%)の温度で熱処理して結晶成長さ
せる。これらの方法は、第二発明と同様にして実施すれ
ば良い。例えば、用いる焼結体の組成等に応じて適宜決
定できる。熱処理雰囲気は特に限定されず、第一方法の
雰囲気と同様にすれば良い。熱処理時間は、熱処理温
度、所望の単結晶又は配向性多結晶のサイズ等の応じて
適宜設定すれば良い。
【0103】第三方法では、結晶成長させる際の昇温速
度を調節することが望ましい。具体的には、50℃/h
以下、好ましくは20℃/h以下とする。かかる昇温速
度に調節することによって、効率的な結晶成長を行うこ
とができる。
【0104】第三方法では、結晶成長させるに際し、
(a)単結晶成長の起点である種子結晶部分又は配向性
多結晶体成長の起点となる部分に対する加熱及び(b)
当該部分以外の末端部に対する冷却の少なくとも一方の
処理を施すことにより、10℃/cm以上の平均温度勾
配を当該焼結体に与える。
【0105】種子結晶部分は、種子結晶部分は、種子結
晶そのもののほか、種子結晶と焼結体が接触する部分も
含まれる。配向性多結晶体成長の起点となる部分は適宜
定めることができるが、一般的には材料中で最も高温と
なる部分である。これらの部分の加熱は、ヒーター、レ
ーザービーム等による部分加熱により実施することがで
きる。また、上記末端部は、単結晶では通常は最後に単
結晶化される部分とし、焼結体の形状、所望の結晶成長
方向等に応じて適宜決定することができる。配向性多結
晶では、一般に結晶成長の最終部又は育成途上で最も冷
却された部分が末端部となる。例えば、焼結体が立方体
又は円柱体である場合、その一面の中心部分(対角線の
交差点又は中心点)に種子結晶が存在すれば、その面に
対向する面の中心部分を末端部とすることができる。
【0106】本発明における平均温度勾配とは、上記の
第二方法と同様の意味である。本発明では、上記平均温
度勾配が10℃/cm以上、好ましくは50℃/cm以
上となるように焼結体に温度勾配をつける。平均温度勾
配が10℃/cm以上とすることによって、より高品質
な本発明酸化物を得ることができる。なお、平均温度勾
配の上限値は特に限定されないが、通常200℃/cm
程度とすれば良い。
【0107】上記(a)の加熱処理の方法、上記(b)
の冷却処理の方法は、上記の第二方法と同様にして実施
することができる。また、上記(a)及び(b)の処理
は、併用することができる。すなわち、上記部分を加熱
しながら、末端部の冷却をすることが可能である。両者
の処理を併用すれば、より大きな平均温度勾配を得るこ
とができる。
【0108】種子結晶部分にレーザービームを照射する
場合、レーザービーム(レーザー光)のエネルギー密度
は、ビームスポット径等によって異なるが、通常107
W/cm2以下とすれば良い。また、波長は通常0.2
〜11μm程度(但し、当該焼結体の透過波長を除
く。)とすれば良い。レーザービーム装置自体は公知又
は市販の装置を使用することができる。レーザービーム
の種類も限定的でなく、例えばCO2レーザービーム、
Nd:YAGの第二高周波(SHG)レーザービーム等
を採用できる。レーザービーム照射を加熱と併用する場
合は、例えば単結晶を種子結晶が生成した焼結体を加熱
炉中に設置した後、これを熱処理しながら種子結晶にレ
ーザービーム照射を行えば良い。
【0109】
【作用】一般的に、二成分以上の組成系の単結晶を溶融
凝固法で製造する場合、重力の影響により組成の均一性
改善に限界がある。本発明のような単結晶も例外ではな
く、その均一性が問題となる。例えば、移動体通信用の
SAW(表面弾性波)フィルターに使用されるLiTa
3単結晶、LiNbO3単結晶等に関しても屈折率の不
均一性(すなわち組成の不均一性)が指摘され、一部の
単結晶においては近年では重力の存在しない宇宙環境で
の合成研究も開始されている。材料内部の組成均一性の
向上は溶融凝固法に共通する課題であるが、その解決の
糸口さえ見つかっていない。
【0110】この問題に関し、セラミックスプロセスが
その解明の突破口になると見出したのが本発明である。
セラミックスプロセスでは、基本的に原料を溶融するこ
となく、非溶融状態で焼結するので、各構成元素は常に
固体(結晶)中に拘束された状態に置かれる。すなわ
ち、固体中の各構成元素は重力の影響をほとんど受ける
ことがないという点からみれば、単結晶製造で生じる不
均一性、さらには偏析の問題もほとんど解消されるはず
である。ところが、セラミックスプロセスでは、圧粉体
中の出発原料の組成分布が均一でなければ焼結過程にお
ける構成成分の移動距離がわずかであるため、溶融凝固
法による単結晶より劣悪な均一性しか得られないことと
なる。このことから、これまでのセラミックス技術(焼
成法)では、製造工程における組成均一性の確保が困難
であるため、たとえ焼成法で単結晶化することができた
としても、溶融凝固法で作製された単結晶よりも不均一
であるとされていた。
【0111】これに対し、本発明では、特に、特定粒度
の出発原料と特殊な焼結方法を採用することにより、従
来の焼成法における問題を解決することに成功し、いま
まで以上に良質な単結晶又は配向性多結晶を工業的規模
で製造することが可能となる。
【0112】
【発明の効果】本発明の酸化物は、特定の構造を有する
ことから、優れた圧電特性等を発現することができる。
また、本発明酸化物によれば、鉛フリーでも、従来品と
同等又はそれ以上の圧電特性を得ることが可能となる。
このため、本発明酸化物は、圧電材料をはじめ、焦電材
料、超伝導材料等のさまざまな機能材料への応用が期待
される。
【0113】本発明の製造方法では、圧電材料等として
優れた性能を発揮できる酸化物の単結晶又は配向性多結
晶をより効率的に製造することができ、これまでよりも
低価格で圧電材料等を提供することが可能となる。
【0114】
【実施例】以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特
徴を一層明確にする。但し、本発明の範囲は、実施例の
範囲に限定されるものではない。
【0115】実施例1〜10は、純度99.8重量%の
MgO焼結体(室温での熱伝導率35W/mk)をヒー
トシンク材として用い、図3に示すようにヒートシンク
材上に焼結体を載せ、ヒートシンク材の下方から空気を
吹き込んで冷却しながら結晶成長させた。冷媒である空
気の温度は炉内雰囲気温度よりも低く設定した。また、
実施例11では、ヒートシンク材を用いずに直接に空気
で冷却しながら結晶成長を行った。この場合は、空気と
炉内雰囲気の温度差が150℃、試料長さが25mmで
あることから、その平均温度勾配は60℃/cmであ
る。
【0116】実施例中において、気孔体積及び平均温度
勾配の測定方法は以下のようにして実施した。 (1)気孔体積 試料の一面を鏡面研摩し、反射顕微鏡にて100〜50
0倍でその表面に露出した気孔面積を積算し、測定面積
との比を気孔体積として求める。この場合、求められる
値は面積比であるが、この値を簡易的に気孔体積とす
る。ただし、測定面積は1cm2とする。 (2)平均温度勾配 図4に示すように、結晶成長開始部分又は種子結晶部分
(X)と末端部(Y)を予め熱電対を設置し、その温度
差ΔT(℃)を測定する。例えば、製造例1では、ΔT
が150℃で試料長さが2.5cmであることから、そ
の平均温度勾配は60℃/cmとなる。
【0117】製造例1 水熱法によりBaTiO3粉末(Ba/Ti=0.99
7(モル比)に組成調整、平均粒径0.5μm)を調製
した。上記粉末を98MPaの圧力にてCIP成形し、
直径30mm×厚さ25mmのディスク状成形体を作製
した。この成形体を酸素雰囲気中1340℃で10時間
焼成した。得られた焼結体は、約7mmの粗大なBaT
iO3粒子から構成されており、この焼結体から種子結
晶用粗大粒子を取り出した。取り出した結晶は(10
0)面をカットし、この面を研摩して平均表面粗度Ra
=1.0nm、平坦度λに鏡面仕上げをした。
【0118】一方、上記組成と同じ原料を用いて上記デ
ィスク状成形体を作製し、大気雰囲気中1260℃で3
時間ホットプレス焼結(圧力9.8MPa)することに
より、相対密度99.5%のBaTiO3多結晶体(直
径25mm×厚さ20mm)を得た。この多結晶体の端
面を研摩して平均表面粗度Ra=1.0nm、平坦度λ
に鏡面仕上げをした。
【0119】前記結晶の研摩面と前記多結晶体の研摩面
とをアセトンで洗浄した後、両研摩面どうしを重ね合わ
せた。この状態を維持しながら酸素雰囲気中1340℃
で20時間(1320〜1340℃を20時間で昇温し
ているので昇温速度は2℃/h)し、非溶融下で単結晶
化を行った。結晶成長させる際の平均温度勾配は50℃
/cmとした。育成処理後は、単結晶と接合した面から
約19mmの深さまで前記多結晶体が単結晶化してい
た。この結果から、育成速度は0.95mm/hであ
り、従来の溶融凝固法の育成速度よりもはるかに高速で
育成できることが確認された。得られたBaTiO3
結晶体の気孔体積を測定した結果、800体積ppmで
あった。
【0120】製造例2 水熱法によりBaTiO3粉末(Ba/Ti=0.99
8(モル比)に組成調整、平均粒径0.5μm)を調製
した。上記粉末を98MPaの圧力にてCIP成形し、
直径30mm×厚さ25mmのディスク状成形体を作製
した。この成形体を大気雰囲気中1230℃で3時間ホ
ットプレス焼結(圧力9.8MPa)することにより、
相対密度99.1%のBaTiO3多結晶体(直径25
mm×厚さ20mm)を得た。この多結晶体の端面を研
摩して平均表面粗度Ra=1.0nm、平坦度λに鏡面
仕上げをした。
【0121】一方、TSSG法で作製した(111)B
aTiO3種子結晶(単結晶)の端面を研摩して平均表
面粗度Ra=1.0nm、平坦度λに鏡面仕上げをし
た。
【0122】前記多結晶体の研摩面と前記種子結晶の研
摩面とをアセトンで洗浄した後、両研摩面どうしを重ね
合わせた。この状態を維持しながら酸素雰囲気中133
5℃で15時間(1320〜1340℃を20時間で昇
温しているので昇温速度は2℃/h)し、非溶融下で単
結晶化を行った。結晶成長させる際の平均温度勾配は6
0℃/cmとした。育成処理後は、単結晶と接合した面
から約17mmの深さまで前記多結晶体が単結晶化して
いた。この結果から、育成速度は1.1mm/hであ
り、従来の溶融凝固法の育成速度よりもはるかに高速で
育成できることが確認された。得られたBaTiO3
結晶体の気孔体積を測定した結果、1000体積ppm
であった。
【0123】製造例3 製造例2と同様にして単結晶育成を実施した。ただし、
実施例3では、単結晶化工程を以下のようにして行っ
た。250mm×250mmの有効面積をもつモリブデ
ンシリサイド発熱体を有する電気炉を用い、この電気炉
中に熱伝導率40W/mkのMgO焼結体をヒートシン
クとして用い、この上に試料を50個搭載した。一定間
隔に設置した10ヶ所の吹き出し口から酸素を2L/m
inでヒートシンク下方に供給し、試料の冷却を行っ
た。処理後の試料は長さ約18mmにわたって単結晶化
していた。この場合の生産速度を概算すると、直径20
mmで長さ18mmの試料(容積5.6cm3)が50
個できているので、280cm3/炉となる。育成に要
した時間が50時間であることから、時間当たりの単結
晶容積は5.6cm3である。
【0124】製造例4 水熱法によりPb(Zr,Ti)O3粉末(Pb/(Z
r+Ti)=0.998(モル比)に組成調整、平均粒
径0.5μm)を調製した。上記粉末を98MPaの圧
力にてCIP成形し、直径15mm×厚さ15mmのデ
ィスク状成形体を作製した。この成形体をPbを含む雰
囲気中1200℃で5時間焼成した。種子結晶として
(100)MgO単結晶を用い、端面を研摩して平均表
面粗度Ra=0.5nm、平坦度λ/4に鏡面仕上げを
した。
【0125】一方、上記組成と同じ原料を用いて上記デ
ィスク状成形体を作製し、大気雰囲気中1260℃で3
時間ホットプレス焼結(圧力9.8MPa)することに
より、相対密度99.7%のPb(Zr,Ti)O3
結晶体(直径10mm×厚さ10mm)を得た。この多
結晶体の端面を研摩して平均表面粗度Ra=0.5n
m、平坦度λ/2に鏡面仕上げをした。
【0126】前記種子結晶の研摩面と前記多結晶体の研
摩面とをアセトンで洗浄した後、両研摩面どうしを重ね
合わせた。この状態を維持しながらPbを含む雰囲気中
1240℃で20時間(1220〜1260℃を20時
間で昇温しているので昇温速度は2℃/h)し、非溶融
下で単結晶化を行った。結晶成長させる際の平均温度勾
配は50℃/cmとした。育成処理後は、単結晶と接合
した面から約2mmの深さまで前記多結晶体が単結晶化
していた。この結果から、育成速度は0.10mm/h
であった。得られたPb(Zr,Ti)O3単結晶体の
気孔体積を測定した結果、2.5体積%であった。
【0127】製造例5 K2CO3粉末及びNb25粉末を湿式混合した後、混合
物を850℃で仮焼してKNbO3粉末(K/Nb=
1.0057(モル比)に組成調整、平均粒径1μm)
を得た。上記粉末を98MPaの圧力にてCIP成形
し、直径35mm×厚さ15mmのディスク状成形体を
作製した。この成形体を酸素雰囲気中900℃で3時間
焼成した後、920℃−19.8MPaでホットプレス
焼結することにより、相対密度99.0%の焼結体を得
た。この焼結体の端面を研摩して平均表面粗度Ra=
0.6nm、平坦度λ/4に鏡面仕上げをした。
【0128】一方、種子結晶として市販の(100)K
NbO3単結晶を用い、その端面を研摩して平均表面粗
度Ra=0.6nm、平坦度λ/4に鏡面仕上げをし
た。
【0129】前記焼結体の研摩面と前記種子結晶の研摩
面とをアセトンで洗浄した後、両研摩面どうしを重ね合
わせた。この状態を維持しながら酸素雰囲気中990℃
で30時間(980〜1000℃を30時間で昇温して
いるので昇温速度は0.67℃/h)し、非溶融下で単
結晶化を行った。結晶成長させる際の平均温度勾配は9
0℃/cmとした。育成処理後は、単結晶と接合した面
から約10mmの深さ(直径は1インチ)まで前記多結
晶体が単結晶化していた。この結果から、育成速度は
0.33mm/hであり、従来の溶融凝固法の育成速度
よりもはるかに高速で育成できることが確認された。得
られたKNbO3単結晶体の気孔体積を測定した結果、
900体積ppmであった。
【0130】製造例6 Li2CO3粉末及びNb25粉末を湿式混合した後、8
00℃で仮焼し、組成が異なる2種類の粉末a及び粉末
bを調製した。粉末aはLi/Nbモル比が1.01
0、粉末bはLi/Nbモル比が0.980である。い
ずれの粉末も、平均粒径1μmである。各粉末を98M
Paの圧力にてCIP成形し、直径40mm×厚さ50
mmのディスク状成形体を作製した。この成形体を酸素
雰囲気中950℃で3時間焼成した後、1000℃−1
9.8MPaでホットプレス焼結を行い、相対密度9
9.0%の焼結体a及びbをそれぞれ得た。各焼結体の
端面を研摩して平均表面粗度Ra=0.6nm、平坦度
λ/4に鏡面仕上げをした。
【0131】一方、種子結晶として市販の(111)L
iNbO3単結晶を用い、端面を研摩して平均表面粗度
Ra=0.6nm、平坦度λ/4に鏡面仕上げをした。
【0132】前記種子結晶の研摩面と焼結体aの研摩面
とをアセトンで洗浄した後、両研摩面どうしを重ね合わ
せた。この状態を維持しながら、酸素雰囲気中1180
℃で30時間(1170〜1190℃を30時間で昇温
しているので昇温速度は0.67℃/h)し、非溶融下
で単結晶化を行った。結晶成長させる際の平均温度勾配
は30℃/cmとした。育成処理後は、単結晶と接合し
た面から約21mm(直径32mm)の深さまで前記多
結晶体が単結晶化していた。育成速度は0.70mm/
hであった。また、得られた単結晶の気孔体積は700
体積ppmであった。
【0133】前記種子結晶の研摩面と焼結体bの研摩面
とをアセトンで洗浄した後、両研摩面どうしを重ね合わ
せた。この状態を維持しながら、酸素雰囲気中1205
℃で24時間(1200〜1210℃を24時間で昇温
しているので昇温速度は0.42℃/h)し、非溶融下
で単結晶化を行った。結晶成長させる際の平均温度勾配
は30℃/cmとした。育成処理後は、単結晶と接合し
た面から約23mm(直径32mm)の深さまで前記多
結晶体が単結晶化していた。育成速度は0.96mm/
hであった。また、得られた単結晶の気孔体積は110
0体積ppmであった。
【0134】この結果より、いずれも、従来の溶融凝固
法と同程度の速度で育成できることがわかる。また、従
来の溶融凝固法で作製したLiNbO3単結晶は一致溶
融組成でもLi:Nb=48.5:51.5〜48.
6:51.4程度になってしまうので、定比組成(すな
わち、Li:Nb=1:1)の単結晶作製が困難であ
る。上記粉末aより作製された単結晶体(単結晶a)で
は、焼結法(非溶融法)固有の技術(すなわち、溶融凝
固法のように状態図に依存しない方法)であるので、こ
れまで困難とされたきた定比組成が得られた。このこと
は、溶融凝固法で作製された市販のLiNbO3単結晶
はキュリー温度が1140℃であるのに対し、単結晶a
のそれは1200℃であることからもわかる。また、透
過スペクトルを測定すると、市販のLiNbO3単結晶
は吸収端が約280nmであるのに対し、単結晶aは約
265nmであり、格子欠陥の減少に伴い吸収端が短波
長側にシフトしていた。光学的ギャップバンドを計算す
ると、市販の単結晶は7.1eVであるのに対し、単結
晶aは7.5eVであることから、単結晶aは結晶欠陥
が少ないことがわかる。
【0135】製造例7 PbO、ZnO及びNb23の各粉末を湿式混合し、P
b(Zn1/3Nb2/3)O3、Pb/(Zn+Nb)=
0.999(モル比)の混合粉末を得た。上記粉末を9
8MPaの圧力にてCIP成形し、直径30mm×厚さ
25mmのディスク状成形体を作製した。この成形体を
酸素雰囲気中950℃で3時間焼成した後、950℃−
19.8MPaでホットプレス焼結することにより、相
対密度98.0%の焼結体を得た。この焼結体の端面を
研摩して平均表面粗度Ra=0.3nm、平坦度λ/2
に鏡面仕上げをした。
【0136】一方、種子結晶として市販の(100)M
gO単結晶を用い、端面を研摩して平均表面粗度Ra=
0.5nm、平坦度λ/2に鏡面仕上げをした。
【0137】前記焼結体の研摩面と前記種子結晶の研摩
面とをアセトンで洗浄した後、両研摩面どうしを重ね合
わせた。この状態を維持しながら酸素雰囲気中1150
℃で40時間(1115〜1185℃を40時間で昇温
しているので昇温速度は2.25℃/h)し、非溶融下
で単結晶化を行った。結晶成長させる際の平均温度勾配
は50℃/cmとした。育成処理後は、単結晶と接合し
た面から約21mmの深さ(直径は1インチ)まで前記
多結晶体が単結晶化していた。この結果から、育成速度
は0.52mm/hであり、従来の溶融凝固法の育成速
度よりもはるかに高速で育成できることが確認された。
得られた単結晶体の気孔体積を測定した結果、約750
0体積ppmであった。
【0138】製造例8 PbO、ZnO、Nb23及びTiO2の各粉末を湿式
混合し、91mol%Pb(Zn1/3Nb2/3)O3−9
mol%PbTiO3、Pb/(Zn+Nb+Ti)=
0.980(モル比)の混合粉末を得た。上記粉末を9
8MPaの圧力にてCIP成形し、直径30mm×厚さ
25mmのディスク状成形体を作製した。この成形体を
酸素雰囲気中950℃で3時間焼成した後、940℃−
19.8MPaでホットプレス焼結することにより、相
対密度97.0%の焼結体を得た。この焼結体の端面を
研摩して平均表面粗度Ra=0.5nm、平坦度λ/2
に鏡面仕上げをした。
【0139】一方、種子結晶として市販の(100)M
gO単結晶を用い、端面を研摩して平均表面粗度Ra=
0.3nm、平坦度λ/2に鏡面仕上げをした。
【0140】前記焼結体の研摩面と前記種子結晶の研摩
面とをアセトンで洗浄した後、両研摩面にPbCl2
Ti(SO42溶液を塗布し、その研摩面どうしを重ね
合わせた。この状態を維持しながら酸素雰囲気中120
0℃で30時間(1190〜1210℃を30時間で昇
温しているので昇温速度は0.67℃/h)し、非溶融
下で単結晶化を行った。結晶成長させる際の平均温度勾
配は60℃/cmとした。育成処理後は、単結晶と接合
した面から約19mmの深さ(直径は1インチ)まで前
記多結晶体が単結晶化していた。この結果から、育成速
度は0.63mm/hであり、工業的に利用できる程度
の育成速度であることが確認された。得られた単結晶体
の気孔体積を測定した結果、約5000体積ppmであ
った。
【0141】製造例9 Ba0.5Na0.5Nb23、Ba+Na/Nb=0.98
0(モル比)に組成調整した混合粉末を得た。上記粉末
を196MPaの圧力にてCIP成形し、直径30mm
×厚さ25mmのディスク状成形体を作製した。この成
形体を酸素雰囲気中900℃で3時間焼成した後、94
0℃−19.8MPaでホットプレス焼結することによ
り、相対密度96.8%の焼結体を得た。この焼結体の
端面を研摩して平均表面粗度Ra=0.5nm、平坦度
λ/2に鏡面仕上げをした。
【0142】一方、種子結晶として市販の(100)M
gO単結晶を用い、端面を研摩して平均表面粗度Ra=
0.3nm、平坦度λ/2に鏡面仕上げをした。
【0143】前記焼結体の研摩面と前記種子結晶の研摩
面とをアセトンで洗浄した後、両研摩面どうしを重ね合
わせた。この状態を維持しながら酸素雰囲気中1220
℃で15時間(1200〜1240℃を15時間で昇温
しているので昇温速度は2.67℃/h)し、非溶融下
で単結晶化を行った。結晶成長させる際の平均温度勾配
は60℃/cmとした。育成処理後は、単結晶と接合し
た面から約13mmの深さ(直径は15mm)まで前記
多結晶体が単結晶化していた。この結果から、育成速度
は0.87mm/hであり、工業的に利用できる程度の
育成速度であることが確認された。得られた単結晶体の
気孔体積を測定した結果、約2.5体積%であった。
【0144】製造例10 BaCO3、Y23及びCuOの各粉末を湿式混合し、
930℃で仮焼することによりYBa2Cu37、(Y
+Ba)/Cu=0.999(モル比)の混合粉末を得
た。上記粉末を196MPaの圧力にてCIP成形し、
直径30mm×厚さ25mmのディスク状成形体を作製
した。この成形体を酸素雰囲気中950℃で3時間焼成
した後、1000℃−98MPaでHIP焼結すること
により、相対密度99.0%の焼結体を得た。この焼結
体の端面を研摩して平均表面粗度Ra=0.5nm、平
坦度λ/2に鏡面仕上げをした。
【0145】一方、種子結晶としてFZ法で作製したS
mBa2Cu37単結晶を用い、端面を研摩して平均表
面粗度Ra=0.4nm、平坦度λに鏡面仕上げをし
た。
【0146】前記焼結体の研摩面と前記種子結晶の研摩
面とをアセトンで洗浄した後、両研摩面どうしを重ね合
わせた。この状態を維持しながら酸素雰囲気中1300
℃で20時間(1280〜1320℃を20時間で昇温
しているので昇温速度は2.0℃/h)し、非溶融下で
単結晶化を行った。結晶成長させる際の平均温度勾配は
60℃/cmとした。育成処理後は、単結晶と接合した
面から約35mmの深さ(直径は3インチ)まで前記多
結晶体が単結晶化していた。この結果から、育成速度は
1.75mm/hであり、従来の溶融凝固法の育成速度
よりもはるかに高速で育成できることが確認された。得
られた単結晶体の気孔体積を測定した結果、約2500
体積ppmであった。
【0147】また、種子結晶をつけない焼結体を前記と
同様の条件で熱処理を行ったところ、平均直径10μm
・平均長さ60μm(アスペクト比:約6)の配向性多
結晶体となっていた。種子結晶をつけないときの結晶成
長方向はC軸方向であり、作製した配向性多結晶体のX
線回折を行うと、大半がC軸方向からの回折パターンで
あることが確認された。
【0148】Ba0.5Na0.5Nb23、Ba+Na/N
b=0.980(モル比)に組成調整した混合粉末を得
た。上記粉末を196MPaの圧力にてCIP成形し、
直径30mm×厚さ25mmのディスク状成形体を作製
した。この成形体を酸素雰囲気中900℃で3時間焼成
した後、940℃−19.8MPaでホットプレス焼結
することにより、相対密度96.8%の焼結体を得た。
この焼結体の端面を研摩して平均表面粗度Ra=0.5
nm、平坦度λ/2に鏡面仕上げをした。
【0149】一方、種子結晶として市販の(100)M
gO単結晶を用い、端面を研摩して平均表面粗度Ra=
0.3nm、平坦度λ/2に鏡面仕上げをした。
【0150】前記焼結体の研摩面と前記種子結晶の研摩
面とをアセトンで洗浄した後、両研摩面どうしを重ね合
わせた。この状態を維持しながら酸素雰囲気中1220
℃で15時間(1200〜1240℃を15時間で昇温
しているので昇温速度は2.67℃/h)し、非溶融下
で単結晶化を行った。結晶成長させる際の平均温度勾配
は60℃/cmとした。育成処理後は、単結晶と接合し
た面から約13mmの深さ(直径は15mm)まで前記
多結晶体が単結晶化していた。この結果から、育成速度
は0.87mm/hであり、工業的に利用できる程度の
育成速度であることが確認された。得られた単結晶体の
気孔体積を測定した結果、約2.5体積%であった。
【0151】比較製造例1 TSSG法によるBaTiO3単結晶の育成を行った。
市販のBaTiO3粉末1モルに対して0.4モルのT
iO2粉末を添加した焼結体を作製した。この焼結体を
白金坩堝に入れ、高周波誘導加熱により溶融した。育成
開始温度は1440℃とし、白金ホルダーに取り付けら
れた<100>方位のBaTiO3種結晶を上記溶融液
中に浸漬し、30rpmの回転を伴いながら0.4℃/
hrの温度降下をさせ、かつ、0.1mm/hrの速度
で結晶成長をさせた。約210時間後、1330℃(共
晶温度)付近に達したところで引き上げを終了した。得
られた結晶は、直径21mm、長さ18mm(容積約
6.2cm3)であった。結晶内部には気泡の存在はほ
とんど確認できず、顕微鏡観察によれば気泡体積は1p
pm以下と判断できた。透明な単結晶が得られたもの
の、生産性は0.03cm 3/hrであり、焼結法と比
べて圧倒的に低い値であった。
【0152】比較製造例2 共沈法によりBaTiO3粉末を調製し、Bi/Ti=
1.030に調節した。この粉末をポットミルで粉砕
し、これを直径20mmのディスク状に成形した。成形
体を1350℃で5時間焼結した。焼結体は約4μm程
度の微細なBaTiO3粒子から構成されており、この
焼結体から種結晶を取り出すことが困難であった。この
ため、比較製造例1と同じものを種子結晶に用いた。一
方、同じ配合を直径10mm×t15mmのディスク状
に成形し、1270℃で3時間焼結して相対密度97.
8%のBaTiO3多結晶を得た。この多結晶と種子結
晶の端面を表面粗度Ra=0.6nm、平坦度λ/2に
鏡面仕上げをし、前記の種結晶と多結晶の両研磨面をア
セトンで洗浄した後、接合界面にBaCl3とTiOC
2(混合比1:1の溶液)を塗布し、接合させた。こ
の状態を維持しながら、酸素雰囲気中1360℃で30
時間保持して非溶融下で単結晶化を行った。育成処理後
は、単結晶と接合した面から5〜10グレイン幅程度
(25〜50μm域)しか単結晶中に取り込まれておら
ず、単結晶化がほとんど起こらなかった。
【0153】比較製造例3 比較製造例2と同様のBaTiO3多結晶と市販のTS
SG法で育成された単結晶を種子結晶として焼結法によ
る単結晶育成を実施した。育成条件として種子結晶と
対面を全く冷却しない場合、育成中の平均温度勾配が
10℃/cmの二種類の条件で同一温度及び時間で熱処
理を行った。その結果、では、種子結晶から約2mm
まで結晶成長していたが、その下は約1mm程度の粗大
な多結晶であった。また、では、結晶成長界面がV字
型(V字型に成長した結晶)の結晶成長が確認された。
最も成長した部分では、約5mmであった。なお、同一
試料を同一温度で100時間処理したが、その状態はほ
とんど変化しなかった。
【0154】実施例1〜11及び比較例1〜10 表1に示す組成を有する酸化物を製造例1と同様にして
製造し、各酸化物の1)t値、2)誘電率、3)誘電損
失、4)結合係数、5)結合係数、6)圧電定数、7)
音響インピーダンス、8)キュリー温度、9)電界歪
み、10)気孔率及び平均気孔径をそれぞれ測定した。
その結果を表1及び表2に示す。
【0155】
【表1】
【0156】
【表2】
【0157】比較のため、表3に示す組成を有する酸化
物を通常の焼結法(多結晶の場合)又は溶融凝固法(単
結晶の場合)で製造し、上記と同様の特性を測定した。
その結果を表3に示す。
【0158】
【表3】
【0159】参考例1 焦電型赤外センサーへの応用例 図5に示す焦電型赤外センサーを組み立てた。センサー
は、焦電体として市販のPZT多結晶を使用したもの
(センサーA)と、焦電体として本発明のPZT単結晶
を用いたもの(センサーB)をそれぞれ用意した。
【0160】センサーAでは、出力電圧感度に対する性
能指数Fvと、信号/雑音を考慮した検出能に対応した
性能指数Fmは、それぞれ0.40及び8.1であっ
た。これに対し、センサーBでは、それぞれの性能より
も50%向上した値が得られた。これにより、本発明の
単結晶を用いることにより、検出部の厚さと同一とした
とき、高い精度で被写体から放出される赤外線を検出で
きる。
【0161】参考例2 超音波診断装置への応用例 図2に示す超音波診断装置用プローブを作製し、超音波
診断装置を組み立てた。中心周波数は3.3MHz、超
音波100素子からなるプローブである。
【0162】プローブの圧電体として市販のPZT多結
晶を用いたもの(装置A)と、プローブの圧電体として
本発明の91mol%PZN−9mol%PT単結晶を
用いたもの(装置B)と用意した。
【0163】装置Aに比べ、装置Bは約3倍の振幅が得
られ、センシング感度の高さが確認できた。この2つの
装置を用い、約10cm×10cm×20cmの牛肉に
異物(悪性腫瘍)を挿入したとき、装置Aではその像を
とらえることができなかったが、装置Bでは約3mmの
サイズからその位置をとらえることができた。
【0164】参考例3 ディスク型超音波モーターへの応用例 図6に示すディスク型超音波モーターを作製した。
【0165】圧電体として市販のPZT多結晶を用いた
もの(モーターA)と、圧電体として本発明のBaTi
3(気孔率1.3%)単結晶を用いたもの(モーター
B)と用意した。
【0166】モーターAの特性は、回転数70rpm、
最大トルク6kg・cm、効率32%であった。これに
対し、モーターBは、回転数60rpm、最大トルク6
kg・cm、効率42%であった。この結果より、鉛フ
リーの圧電体が、鉛を含む従来品と同等又はそれ以上の
特性を発揮できることがわかる。
【0167】参考例4 弾性表面波デバイスへの応用例 図7に示す弾性表面波デバイスを作製した。
【0168】圧電基板として市販のCZ法で製造された
LiNbO3単結晶を用いたもの(デバイスA)と、圧
電基板として本発明のLiNbO3単結晶を用いたもの
(デバイスB)と用意した。
【0169】デバイス作製前に、市販のLiNbO3
結晶ウエハと本発明のLiNbO3単結晶ウエハの面内
における屈折率分布(組成の均一性又は表面弾性波速度
の均一性)Δnを測定したところ、市販品では±0.0
3であったのに対し、本発明品では±0.01以下とな
っており、極めて品質バラツキの小さなものであった。
市販ウエハと本発明ウエハで偶然に屈折率が同一となっ
た部分でデバイスとしての比較試験を実施した。使用周
波数域で挿入損失、保証減衰量、終端インピーダンス等
の基本特性に大差はなく、実際の移動体通信(携帯電
話)に双方のデバイスを組み込んでも、本発明品は従来
技術と同等以上の性能を有することが確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】結晶成長させる際の結晶成長開始部分xと末端
部yとの位置関係を示す図である。
【図2】結晶成長させるに際し、種子結晶部分を加熱す
る状態を示す模式図(断面図)である。
【図3】結晶成長させるに際し、多結晶体の末端部を強
制冷却する状態を示す模式図(断面図)である。
【図4】実施例(製造例)で平均温度勾配を測定する方
法を示す模式図である。
【図5】参考例1で作製した焦電型赤外センサーの模式
図である。
【図6】参考例2で作製した超音波診断装置の模式図で
ある。
【図7】参考例3で作製したディスク型超音波モーター
の模式図である。
【図8】参考例4で作製した弾性表面波デバイスの模式
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C30B 29/32 C30B 29/32 C D H01L 37/02 H01L 37/02 41/18 41/18 101A 41/187 101B 41/24 101C 101D 41/22 A (72)発明者 池末 明生 愛知県名古屋市熱田区六野二丁目6番27− 107 (72)発明者 柿田 進一 兵庫県神戸市北区桂木3丁目9番12号 Fターム(参考) 4G077 AA02 BC11 BC12 BC13 BC32 BC33 BC34 BC42 BC43 BC53 CA05 CA09 EC05 EC07 ED01 HA08 HA11 JA06 JA08 JB08

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】成分A、B及び酸素(ただし、Aはアルカ
    リ金属元素、アルカリ土類金属元素(Mgを除く。)、
    ランタニド希土類元素、Sc、Y、Cd、Pb及びBi
    の少なくとも1種、BはTi、V、Cr、Mn、Fe、
    Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Hf、Nb、Ta、M
    o、W、Ga、Ge、As、Se、In、Sn、Sb、
    Te及びMgの少なくとも1種を示す。)からなるペロ
    ブスカイト構造を有する酸化物であって、当該酸化物の
    気孔率が0.01〜8体積%であり、当該酸化物が単結
    晶又は配向性多結晶であることを特徴とする酸化物。
  2. 【請求項2】酸化物が、ABO3、AB26、A3
    37、A329、A831 2及びA5415の少なく
    とも1種の組成(ただし、Aはアルカリ金属元素、アル
    カリ土類金属元素(Mgを除く。)、ランタニド希土類
    元素、Sc、Y、Cd、Pb及びBiの少なくとも1
    種、BはTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、C
    u、Zn、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、W、Ga、
    Ge、As、Se、In、Sn、Sb、Te及びMgの
    少なくとも1種を示す。)を有する請求項1記載の酸化
    物。
  3. 【請求項3】純度が、99重量%以上である請求項1記
    載の酸化物。
  4. 【請求項4】平均気孔径が、1〜30μmである請求項
    1記載の酸化物。
  5. 【請求項5】配向性多結晶が、ロットゲーリング法によ
    る結晶配向度50%以上である請求項1記載の酸化物。
  6. 【請求項6】配向性多結晶が、短軸方向の平均粒径5〜
    100μmの結晶粒子から実質的に構成される請求項1
    記載の酸化物。
  7. 【請求項7】配向性多結晶が、平均アスペクト比5〜1
    00の結晶粒子から実質的に構成される請求項1記載の
    酸化物。
  8. 【請求項8】モル比でA:B(ただし、Aはアルカリ金
    属元素、アルカリ土類金属元素(Mgを除く。)、ラン
    タニド希土類元素、Sc、Y、Cd、Pb及びBiの少
    なくとも1種、BはTi、V、Cr、Mn、Fe、C
    o、Ni、Cu、Zn、Zr、Hf、Nb、Ta、M
    o、W、Ga、Ge、As、Se、In、Sn、Sb、
    Te及びMgの少なくとも1種を示す。)が1:1.0
    2〜0.980である組成を有する酸化物粉末を成形
    し、得られた成形体又はその焼結体をその焼結体の融点
    の75〜95%の温度で熱処理して結晶成長させること
    により、ペロブスカイト構造を有する酸化物の単結晶又
    は配向性多結晶を製造する方法であって、 結晶成長させるに際し、(a)結晶成長開始部分に対す
    る加熱及び(b)当該部分以外の末端部に対する冷却の
    少なくとも一方の処理を施すことによって、10℃/c
    m以上の平均温度勾配を当該成形体又は焼結体に与える
    ことを特徴とする製造方法。
  9. 【請求項9】酸化物粉末が 1)Aの酸化物粉末(ただし、Aはアルカリ金属元素、
    アルカリ土類金属元素(Mgを除く。)、ランタニド希
    土類元素、Sc、Y、Cd、Pb及びBiの少なくとも
    1種を示す。)と、Bの酸化物粉末(ただし、BはT
    i、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、
    Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、W、Ga、Ge、A
    s、Se、In、Sn、Sb、Te及びMgの少なくと
    も1種を示す。)との混合粉末、又は 2)上記混合粉末を仮焼して得られる仮焼粉末である請
    求項8記載の製造方法。
  10. 【請求項10】1)Aの酸化物粉末(ただし、Aはアル
    カリ金属元素、アルカリ土類金属元素(Mgを除
    く。)、ランタニド希土類元素、Sc、Y、Cd、Pb
    及びBiの少なくとも1種を示す。)における一次粒子
    径が20〜1000nm及びBET比表面積が1〜50
    2/gであって、かつ、2)Bの酸化物粉末(ただ
    し、BはTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、C
    u、Zn、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、W、Ga、
    Ge、As、Se、In、Sn、Sb、Te及びMgの
    少なくとも1種を示す。)における一次粒子径が50〜
    3000nm及びBET比表面積が0.5〜30m2
    gである請求項9記載の製造方法。
  11. 【請求項11】モル比でA:B(ただし、Aはアルカリ
    金属元素、アルカリ土類金属元素(Mgを除く。)、ラ
    ンタニド希土類元素、Sc、Y、Cd、Pb及びBiの
    少なくとも1種、BはTi、V、Cr、Mn、Fe、C
    o、Ni、Cu、Zn、Zr、Hf、Nb、Ta、M
    o、W、Ga、Ge、As、Se、In、Sn、Sb、
    Te及びMgの少なくとも1種を示す。)が1:1.0
    2〜0.980の組成を有する酸化物焼結体に、成分
    A、B及び酸素からなるペロブスカイト構造を有する単
    結晶を種子結晶として接触させた状態で又は当該単結
    晶を接触させない状態で、その焼結体の融点の75〜9
    5%の温度で熱処理して結晶成長させることにより、ペ
    ロブスカイト構造を有する酸化物の単結晶又は配向性多
    結晶を製造する方法であって、 結晶成長させるに際し、(a)単結晶成長の起点である
    種子結晶部分又は配向性多結晶体成長の起点となる部分
    に対する加熱及び(b)当該部分以外の末端部に対する
    冷却の少なくとも一方の処理を施すことにより、10℃
    /cm以上の平均温度勾配を当該焼結体に与えることを
    特徴とする製造方法。
  12. 【請求項12】酸化物焼結体の相対密度が85%以上で
    ある請求項11記載の製造方法。
  13. 【請求項13】単結晶の(100)面、(110)面又
    は(111)面を研磨し、その研磨面を酸化物焼結体に
    接触させる請求項11記載の製造方法。
  14. 【請求項14】研磨面が平均表面粗さRa=1.0nm
    以下及び平坦度λ(λ=633nm)以下である請求項
    13記載の製造方法。
  15. 【請求項15】酸化物焼結体の一部又は全部を平均表面
    粗さRa=1.0nm以下及び平坦度λ(λ=633n
    m)以下に研磨し、その研磨面を同一構造のペロブスカ
    イト型結晶の単結晶と接触させる請求項11記載の製造
    方法。
  16. 【請求項16】酸化物焼結体及び単結晶の少なくとも一
    方の接触面に、A及びB(ただし、Aはアルカリ金属元
    素、アルカリ土類金属元素(Mgを除く。)、ランタニ
    ド希土類元素、Sc、Y、Cd、Pb及びBiの少なく
    とも1種、BはTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、N
    i、Cu、Zn、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、W、
    Ga、Ge、As、Se、In、Sn、Sb、Te及び
    Mgの少なくとも1種を示す。)の少なくとも1種を含
    む水溶液を塗布する請求項11記載の製造方法。
  17. 【請求項17】モル比でA:B(ただし、Aはアルカリ
    金属元素、アルカリ土類金属元素(Mgを除く。)、ラ
    ンタニド希土類元素、Sc、Y、Cd、Pb及びBiの
    少なくとも1種、BはTi、V、Cr、Mn、Fe、C
    o、Ni、Cu、Zn、Zr、Hf、Nb、Ta、M
    o、W、Ga、Ge、As、Se、In、Sn、Sb、
    Te及びMgの少なくとも1種を示す。)が1:1.0
    2:0.980である組成を有する酸化物焼結体にレー
    ザービームを照射することによりペロブスカイト構造を
    有する種子結晶(単結晶)を生成させた後、その焼結体
    の融点の75〜95%の温度で熱処理して結晶成長させ
    ることにより、ペロブスカイト構造を有する酸化物の単
    結晶又は配向性多結晶を製造する方法であって、 結晶成長させるに際し、(a)単結晶成長の起点である
    種子結晶部分又は配向性多結晶体成長の起点となる部分
    に対する加熱及び(b)当該部分以外の末端部に対する
    冷却の少なくとも一方の処理を施すことにより、10℃
    /cm以上の平均温度勾配を当該焼結体に与えることを
    特徴とする酸化物の製造方法。
  18. 【請求項18】レーザービームの波長が0.2〜11μ
    m(但し、当該焼結体の透過波長を除く。)である請求
    項17記載の製造方法。
  19. 【請求項19】レーザービームの照射エリアが1mm2
    以下である請求項17記載の製造方法。
  20. 【請求項20】酸化物焼結体の融点の75%未満の温度
    で加熱しながら酸化物焼結体にレーザービームを照射す
    る請求項17記載の製造方法。
  21. 【請求項21】当該成形体又は焼結体中に、結晶成長時
    に液相を形成し得る酸化物を存在させることを特徴とす
    る請求項8、11又は17に記載の製造方法。
  22. 【請求項22】結晶成長させるに際し、昇温速度を50
    ℃/h以下とすることを特徴とする請求項8、11又は
    17に記載の製造方法。
  23. 【請求項23】冷却が、冷媒を当該末端部分に吹き付け
    ることにより実施される請求項8、11又は17に記載
    の製造方法。
  24. 【請求項24】冷却が、金属又は無機材料からなるヒー
    トシンク材を当該末端部分に当接し、当該ヒートシンク
    材に冷媒を接触させることにより実施される請求項8、
    11又は17に記載の製造方法。
  25. 【請求項25】昇温速度又は昇温速度と冷媒の流量
    の双方を変化させることにより、単結晶又は配向性多結
    晶の結晶成長を制御する請求項8、11又は17に記載
    の製造方法。
  26. 【請求項26】請求項1記載の酸化物からなる圧電材
    料。
  27. 【請求項27】請求項1記載の酸化物からなる超伝導材
    料。
  28. 【請求項28】請求項1記載の酸化物からなる焦電材
    料。
  29. 【請求項29】請求項1記載の酸化物を含むデバイス。
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