JP4272830B2 - BaTiO3−PbTiO3系圧電単結晶の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば圧電体として利用可能なBaTiO3−PbTiO3系圧電単結晶の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
BaTiO3単結晶は、光通信や情報処理等に利用される非線型光学結晶であり、高解像度画像処理、実時間フォログラム、レーザー共振器用の位相共役波発生媒体に利用できるばかりでなく、低価格結晶が実現できれば高性能な圧電材料としても利用できる市場性の大きな材料である。
【0003】
ところで、BaTiO3 単結晶の製造に関しては、状態図から判断できるようにBaTiO3融液から直接単結晶化することが困難なため、フッ化物や塩化物を主成分とする溶剤(フラックス)を用いるフラックス法あるいは融液組成をTiO2リッチにすることによって直接低温型構造のBaTiO3単結晶を引上げる方法(いわゆる、トップ・シーディド・ソリューション・グロース(TSSG)法)でしか育成できなかった。しかしながら、前記のフラックス法では、サイズが1mm3程度以下の小さいものしか得られず、また、前記TSSG法では、白金坩堝等の高価な貴金属坩堝を必要とし、しかも育成速度が遅く、製造コストは非常に高くなる。
【0004】
上述の問題点を改善して、より大きなBaTiO3単結晶をより容易に効率よく製造するための方法が従来から検討されている。
【0005】
例えば、焼結法によりBaTiO3単結晶を効率よく製造しようとする試みが見られる。特開平4−300296号公報、特開平5−155696号公報、特開平5−155697号公報には、BaTiO3の多結晶にBaTiO3の単結晶を種結晶として接合し、これを加熱することで、固相反応により前記多結晶を単結晶化するBaTiO3単結晶の製造方法が開示されている。また、特開平9−263496号公報においては、Ti/Baのモル比が1.0以上1.1以下であるBaTiO3微結晶粒子集合体に温度勾配を与えて単結晶化するBaTiO3単結晶の製造方法が開示されている。
【0006】
しかしながら、これらの方法では、単結晶成長速度のばらつきが大きく、大きなサイズの単結晶を再現性よく育成することができなかった。また、転位密度が高く、BaTiO3単結晶の結晶性においても従来のTSSG法やフラックス法に比べて見劣りのするものであった。
【0007】
さらに、焼結法以外の固相法の例も見られる。特開昭59−3091号公報には、PbTiO3、BaTiO3、SrTiO3、CaTiO3などの結晶質酸化物を溶融後に急冷凝固して非晶質化した後、温度勾配下で再結晶化する酸化物単結晶の製造方法が開示されている。この方法では、結晶質酸化物を溶融する工程を必要とするため、製造装置および製造工程が複雑になる。また、得られる単結晶の結晶性も悪く、気孔含有率の高い結晶しか得られなかった。
【0008】
また、TSSG法やフラックス法についても改善検討が行われている。特開平6−321698号公報には、フラックス法において、BaF2、NaF、Li2MoO4などの混合物をフラックスとして用いるBaTiO3の製造方法が開示されている。これによって、溶液へのBaTiO3の溶解度を高め、長時間の結晶育成によって、大きなサイズのBaTiO3単結晶を得ることを目的とするものであるが、製造時間と製造コストの点で充分に満足できるものではなかった。特開平9−59096号公報には、微量のMgおよびFeをド−プしたBaTiO3単結晶が開示されている。これは近赤外領域において高い光屈折性を得ることを目的とするものであるが、MgやFeなどの圧電特性に悪影響を及ぼす元素が含まれており、圧電材料としては好ましいものではなかった。また、産業レベルでは製造時間と製造コストの点で満足できる水準ではなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように、TSSG法やフラックス法などによるBaTiO3単結晶の製造方法によれば、製造時間、製造コストなどの製造効率の問題を大幅に改善することが非常に困難であった。また、焼結法によるBaTiO3単結晶の製造方法においては、製造効率の向上が期待されていたが、BaTiO3単結晶の成長速度がばらつくために充分な効果を得ることができず、同時に、得られるBaTiO3単結晶の結晶性もTSSG法やフラックス法等と比較して劣っていた。すなわち、結晶性や物性に優れたBaTiO3系単結晶を短時間に低コストで製造することを従来の技術の流れにおいて実現することは困難であった。
【0010】
また、圧電材料としては、PZT(Pb(Ti,Zr)O3)多結晶が一般的に用いられているが、近年、地球環境への負荷を軽減するために工業製品における鉛使用量の削減が求められており、現在一般に、鉛使用量削減を目的とするPZT代替の有望材料としては、BaTiO3多結晶、Bi0.5Na0.5TiO3多結晶、(Na0.5K0.5)NbO3多結晶等が考えられている。しかしながら、PZTは、圧電定数d33=300〜400(×10−12C/N)、電気機械結合係数k33=0.6〜0.7であるのに対して、BaTiO3多結晶は、圧電定数d33=120(×10−12C/N)、電気機械結合係数k33=0.4〜0.5であり、Bi0.5Na0.5TiO3多結晶は、圧電定数d33=110(×10−12C/N)、電気機械結合係数k33=0.4〜0.6であって、その圧電特性について満足できるものではなかった。なお、BaTiO3単結晶は、圧電定数d33=500(×10−12C/N)、電気機械結合係数k33=0.8〜0.9であるが、キュリー温度(Tc)が約120℃であり、BaTiO3多結晶と同様に低いキュリー温度(Tc)に伴う使用可能温度領域の狭さが従来から実用上の難点であった。そのため、鉛を含まないか鉛含有量が低くかつ圧電特性が優れた材料の開発が要望されているところである。
【0011】
本発明者らは、焼結法によるBaTiO3単結晶の作製において、BaTiO3自体に他成分を加えることにより、単結晶成長再現性の向上および結晶性や他の物性の向上を両立させることを試み、この観点から鋭意検討した結果、BaTiO3にPbTiO3を加えた系においてある特定条件を満たしたものだけが非常に再現性よく結晶成長を引き起こすことを見出し、BaTiO3−PbTiO3系についてさらに詳細な検討を行い、本発明の完成に至ったものである。
【0012】
【0013】
ところで、BaTiO3−PbTiO3系単結晶は、後述する本発明以外の方法例えばフラックス法やTSSG法等の溶融凝固法により作製することは、BaTiO3単結晶以上に困難であると考えられており、このような方法に価値を見出すことはできない。前述のようにBaTiO3単結晶については、フラックス法ではサイズが1mm3程度以下の小さいものしか得られず、また、TSSG法では、白金坩堝等の高価な貴金属坩堝を必要とし、しかも育成速度が0.1〜0.2mm/h程度であることから、製造コストが非常に高くなり、さらに原料ロスが多く、大きな単結晶が得られ難い欠点がある。このように極端な高コスト化を余儀なくされ、その利用分野は非常に限られる状況にあり、工業材料としての価値に欠けることが指摘されている。性能面に関しても単結晶育成中に不純物が混入しやすく、本来の性能を発揮できない場合が多い。BaTiO3−PbTiO3系単結晶についても溶融凝固法によれば同様の問題が予想される。
【0014】
また、焼結法によるペロブスカイト酸化物単結晶の製造方法の例としては、特開平9−188597号公報において、Pb{(Mg1/3Nb2/3)1−xTix}O3ペロブスカイト焼結体(前記組成式において、0≦x≦0.55。なお、Pbの10モル%以下がBa、Sr、Caなどで置換されることもある。)を種単結晶と接触させて密閉容器内で鉛雰囲気中1000〜1450℃の温度で加熱する工程を具備するペロブスカイト酸化物単結晶の製造方法が開示されている。しかしながら、Pbの含有モル数がBaの含有モル数よりも少ないBaTiO3−PbTiO3系単結晶についての開示はなく、当然ながら、それによる効果も記載されていない。また、前記ペロブスカイト焼結体のAサイトとBサイトの比が、1.00>A/Bのときに結晶化速度が著しく遅いという点で、後述するように本発明とは異なる傾向を持つものである。
【0015】
【0016】
本発明は、溶融凝固法による単結晶育成ではなく、BaTiO3−PbTiO3系単結晶を効率良く作製することができるBaTiO3−PbTiO3系圧電単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前述するように、従来、再現性よく単結晶育成することができなかった焼結法によるBaTiO3単結晶の作製において、BaTiO3自体に他成分を加えることにより単結晶成長再現性の向上および結晶性や他の物性の向上を両立させることを試み、この観点から鋭意検討した結果、BaTiO3にPbTiO3を加えた系においてある特定条件を満たしたものが非常に再現性よく結晶成長を引き起こすことを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
本発明のBaTiO3−PbTiO3系圧電単結晶の製造方法は、PbTiO 3 の含有率が30モル%以下であるBaTiO3−PbTiO3系焼結体であって、該焼結体の含有する元素のモル比が0.9900<(Ba+Pb)/Ti<1.0000の範囲である当該焼結体に対し、種結晶となるBaTiO3系単結晶またはBaTiO3−PbTiO3系単結晶の{100}面、{110}面または{111}面を接合する接合工程と、
前記BaTiO3系単結晶またはBaTiO3−PbTiO3系単結晶が接合された前記焼結体を非溶融状態に保ったまま1200℃以上1400℃以下の温度範囲で加熱する加熱工程と、
を含むことを特徴とする。より好ましくは、前記焼結体の含有する元素のモル比を0.9950≦(Ba+Pb)/Ti≦0.9999の範囲とする。このようにPbの含有モル数がBaの含有モル数よりも少ないBaTiO3−PbTiO3系焼結体を非溶融状態に保ったまま加熱することによって、PbTiO3を含まないBaTiO3のみの焼結体を同様に処理した場合と比較して、単結晶成長の再現性が向上し、安定したBaTiO3−PbTiO3系圧電単結晶の製造が可能となる。さらに、前記BaTiO3−PbTiO3系焼結体の含有する元素のモル比を所定の範囲にすることによって、BaTiO3−PbTiO3系圧電単結晶の結晶成長速度が速くなる。
【0024】
本発明のBaTiO3−PbTiO3系圧電単結晶の製造方法において、BaTiO3−PbTiO3系焼結体におけるPbTiO3の含有率が25モル%以下であることが好ましい。
【0025】
【0026】
本発明のBaTiO3−PbTiO3系圧電単結晶の製造方法は、好ましくは、前記加熱工程においては、前記焼結体を鉛雰囲気中で非溶融状態に保ったまま加熱し単結晶化する工程を含むものである。鉛雰囲気を形成するための方法の一つとしては、BaTiO3−PbTiO3系焼結体を非溶融状態で加熱する環境において、鉛含有化合物を共存させて、前記鉛含有化合物から鉛あるいは酸化鉛を蒸発させる方法が挙げられる。BaTiO3−PbTiO3系焼結体を鉛雰囲気中で加熱することによって、BaTiO3−PbTiO3系焼結体、あるいはBaTiO3−PbTiO3系圧電単結晶からの鉛あるいは酸化鉛等の蒸発を防止することができる。これによりBaTiO3−PbTiO3系圧電単結晶の転位密度や気孔含有率の増加を抑制し、高品質なBaTiO3−PbTiO3系圧電単結晶を製造することができる。
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
本発明者らは、本発明により得られたBaTiO3−PbTiO3系圧電単結晶の結晶性に関して測定を行い、さらに、本発明のBaTiO3−PbTiO3系圧電単結晶の誘電性、圧電性、焦電性など、他の物性についても検討を行ったところ、本発明のBaTiO3−PbTiO3系圧電単結晶は、結晶性に関する測定により、非常に結晶性の優れたものであることが判明し、さらに、X線回折、電子線回折からは、結晶方位が完全に一致した単結晶であることを確認した。また、後述するエッチピット観察による転位密度の低さから、格子欠陥の少ない良質の結晶であることが確認され、気孔含有率も非常に少ないものであった。
【0031】
【0032】
【発明の実施の形態】
本発明のBaTiO3−PbTiO3系圧電単結晶は、Pbの含有モル数がBaの含有モル数よりも少ないBaTiO3−PbTiO3系焼結体を非溶融状態に保ったまま加熱することにより単結晶化されたものである。さらに、本発明のBaTiO3−PbTiO3系圧電単結晶は、前記BaTiO3−PbTiO3系焼結体の含有する元素のモル比を0.9800<(Ba+Pb)/Ti<1.0000の範囲とし、前記焼結体を非溶融状態に保ったまま加熱することにより単結晶化することが好ましい。より好ましくは、前記焼結体の含有する元素のモル比を0.9900<(Ba+Pb)/Ti<1.0000の範囲とし、さらに好ましくは0.9950≦(Ba+Pb)/Ti≦0.9999の範囲とする。
【0033】
本発明のBaTiO3−PbTiO3系圧電単結晶における結晶成長の再現性向上の効果は、BaTiO3のみの組成の圧粉体または焼結体に対して本発明の製造方法を適用しても発現されない。そのメカニズムの確認は行われていないが次のように推測される。BaTiO3−PbTiO3系圧粉体または焼結体を非溶融状態に保ったまま加熱すると、前記圧粉体または焼結体の表面では鉛あるいは鉛化合物が蒸発して外部へ拡散する。圧粉体または焼結体の表面では鉛が不足するため、これを補うため圧粉体または焼結体の内部から表面への鉛の移動が起きる。このときに圧粉体または焼結体の内部の結晶粒界が移動し易くなり、安定した結晶成長が起きるものと考えられる。
【0034】
本発明のBaTiO3−PbTiO3系圧電単結晶は、出発物質であるBaTiO3−PbTiO3系圧粉体または焼結体のPbTiO3の含有率が45モル%以下であることが好ましい。前記圧粉体または焼結体のPbTiO3の含有率を45モル%以下とすることにより、単結晶の成長速度がより促進されるとともに、より安定的に単結晶物質を作製することができる。その結果得られるBaTiO3−PbTiO3系単結晶の組成は出発物質であるBaTiO3−PbTiO3系圧粉体または焼結体の組成とほぼ同一となる。より好ましいPbTiO3の含有量は、30モル%以下であり、さらに好ましくは25モル%以下である。なお、PbTiO3の含有量が多過ぎると、BaTiO3−PbTiO3系圧粉体、焼結体または単結晶からの鉛の蒸発が顕著になる。これによって、得られるBaTiO3−PbTiO3系圧電単結晶の組成が変動して目的とする組成からのずれを生じる。さらに得られるBaTiO3−PbTiO3系単結晶がポ−ラスなものとなりやすい。この鉛の蒸発を抑制するには圧力容器の利用が不可欠であり、製造コストアップに導かれる欠点を伴う。また、前記BaTiO3−PbTiO3系圧粉体または焼結体におけるPbTiO3の最少含有量としては、より好ましくは0.01モル%以上であり、さらに好ましくは0.02モル%以上である。
【0035】
また、本発明のBaTiO3−PbTiO3系圧電単結晶は、BaTiO3−PbTiO3系圧粉体または焼結体を、好ましくは1200℃以上1400℃以下の温度範囲で加熱することにより単結晶化される。このように所定の温度範囲で加熱することによって速い結晶成長速度で製造することができる。
【0036】
また、本発明のBaTiO3−PbTiO3系圧電単結晶は、BaTiO3系単結晶あるいはBaTiO3−PbTiO3系単結晶等の他の単結晶を種結晶とし、BaTiO3−PbTiO3系圧粉体または焼結体に前記種結晶を接合し、これを加熱保持することによってさらに安定化した結晶成長により製造することができる(なお、多結晶体と種結晶は、結晶構造が一致していることが前提であり、多結晶体と種結晶との格子定数および熱膨張係数の双方が±15%以内であることが好ましい)。図1の(a)〜(d)に、BaTiO3−PbTiO3系圧粉体または焼結体3に種結晶として所定の単結晶1を接合し、非溶融状態で加熱することにより、本発明のBaTiO3−PbTiO3系圧電単結晶を製造した時の結晶成長の様子を示す。図1の(b)に見られるように、BaTiO3−PbTiO3系圧粉体または焼結体3の種結晶1との接合部分、特に周辺領域において、結晶成長が著しく起こっていることがわかる。これは、前記周辺領域において特に鉛の移動が激しく起こっているためと考えられ、前述の結晶成長のメカニズムを支持する現象であると考えられる。代表的に図1の(c)において、符号5が単結晶化した部分、符号7が多結晶体の部分を示す。
【0037】
このように種結晶を用いた場合、BaTiO3−PbTiO3系圧電単結晶の結晶方位を接合した種結晶の配向に一致させることができる。さらに、本発明のBaTiO3−PbTiO3系圧電単結晶は、BaTiO3系単結晶あるいはBaTiO3−PbTiO3系単結晶を種結晶とし、平均粒径20μm以下の結晶粒から構成され、相対密度95%以上であるBaTiO3−PbTiO3系焼結体を前記種結晶の{100}面、{110}面または{111}面と接合し、非溶融状態に保ったまま加熱することにより単結晶化してもよい。ここで種結晶として用いられるBaTiO3系単結晶あるいはBaTiO3−PbTiO3系単結晶は、本発明のBaTiO3−PbTiO3系圧電単結晶の製造方法で作製されたもの、あるいは、一般的な焼結法によって作製されたものを用いても良いし、フラックス法やTSSG法によって作製されたものを用いても良い。また、理由は明らかではないが、本発明のBaTiO3−PbTiO3系圧電単結晶の製造方法で作製された単結晶を種結晶として用いた場合、フラックス法やTSSG法によって作製された単結晶を用いるよりも、より品質の優れたBaTiO3−PbTiO3系圧電単結晶を作製することができる。
【0038】
本発明のBaTiO3−PbTiO3系圧電単結晶の製造方法は、BaTiO3−PbTiO3系圧粉体または焼結体を、好ましくは鉛雰囲気中で非溶融状態に保ったまま加熱し単結晶化する工程を含むものである。鉛雰囲気を形成するための方法の一つとしては、BaTiO3−PbTiO3系圧粉体または焼結体を加熱する環境において、例えばPZT、PbTiO3などの鉛含有化合物を共存させて、前記鉛含有化合物から鉛あるいは酸化鉛を蒸発させる方法が挙げられる。このことにより、育成中のBaTiO3−PbTiO3系単結晶の組成変動(特にBaTiO3−PbTiO3系単結晶からの鉛の蒸発)を抑制できて、さらに結晶化速度を上げることができる。
【0039】
しかしながら、PbTiO3の含有率が30モル%を超えるBaTiO3−PbTiO3系圧電単結晶を作製する場合、特に鉛の蒸発が顕著になり、目的組成からの組成変動を生じ易くなる。さらに得られる単結晶の気孔含有率が高くなりやすい。鉛の蒸発を抑制するには前述した様な鉛雰囲気下で加熱工程を行うだけでは不十分となることが多い。例えば、圧力容器内で1気圧を超える圧力下での加熱工程を行うことが好ましい。HIP等の圧力容器を用いた焼結法による単結晶合成は比較的長い熱処理時間(10時間以上)が必要であり、常圧でのそれと比べて生産性とコストの面では不利となる。本発明のBaTiO3−PbTiO3系単結晶は、転位密度が102個/cm2以上106個/cm2以下であり、気孔含有率が1体積ppm以上5体積%以下であることが望ましい。これにより、本発明の単結晶は、誘電損失が小さく、電気機械結合係数の大きいものになる。例えば誘電損失としては1%以下、電気機械結合係数が85%を超えるものとなる。
【0040】
また、本発明のBaTiO3−PbTiO3系圧電単結晶は、1mm3以上の体積を有することが望ましい。1mm3以上の体積を有することより、大面積化などにより各種多様なサイズのデバイスに対応することが可能となる。
【0041】
また、本発明の製造方法においてBaTiO3−PbTiO3系圧粉体または焼結体を作製するために使用する原料粉末は、特に限定されるものではないが、例えば以下のものを挙げることができる。固相反応を用いる場合は、
1)BaO(BaCO3や蓚酸バリウムの熱分解により得られる)とTiO2との混合粉末の仮焼によりBaTiO3粉末を作製し、PbOとTiO2との混合粉末の仮焼によりPbTiO3粉末を作製して、これらの粉末を混合したもの、さらには、
2)BaO、PbOおよびTiO2粉末から直接作製されたBaTiO3−PbTiO3系粉末などが挙げられる。
【0042】
また、共沈法や蓚酸法などの湿式法や水熱法により得られたBaTiO3粉末やPbTiO3粉末を混合したものや、共沈法や蓚酸法などの湿式法や水熱法により得られたBaTiO3−PbTiO3系粉末などを挙げることができる。原料粉末は、その一次粒子の平均粒径が0.05〜5μmの範囲にあることが望ましい。また、前述したように、この原料粉末から得られて出発物質となるBaTiO3−PbTiO3系圧粉体または焼結体の含有する元素のモル比が0.9800<(Ba+Pb)/Ti<1.0000となるように原料粉末を調整しておくことが好ましい。また、より好ましくはBaTiO3−PbTiO3系圧粉体または焼結体の含有する元素のモル比が0.9900<(Ba+Pb)/Ti<1.0000となるように原料粉末を調整するのがよく、さらに好ましくは0.9950≦(Ba+Pb)/Ti≦0.9999となるようにする。組成調整された粉末は、一軸プレスや冷間静水圧プレス等の一般的な成形を行って圧粉体とする。得られた圧粉体は通常の条件で焼結することにより焼結体としてもよい。これらの圧粉体または焼結体を非溶融状態で加熱することによって、BaTiO3−PbTiO3系単結晶である平均粒径1mm以上の粗大結晶粒が得られる。非溶融状態での加熱は、より好ましくは1200℃以上1400℃以下の温度範囲で行われる。さらに上述の方法で得られた単結晶を種結晶として用いることで、より大きなBaTiO3−PbTiO3系単結晶を比較的容易に作製することもできる。
【0043】
上述のように、より大きなBaTiO3−PbTiO3系単結晶を容易に作製するためには、他の単結晶を種結晶として用いることが好ましい。出発物質であるBaTiO3−PbTiO3系圧粉体または焼結体と種結晶を接合し、これを加熱保持することで単結晶化を行う。好ましい種結晶としては、BaTiO3系単結晶、BaTiO3−PbTiO3系単結晶を挙げることができる。好ましい種結晶の作製方法としては、本発明のBaTiO3−PbTiO3系単結晶の製造方法、一般的な焼結法、あるいはTSSG法、フラックス法などの溶融凝固法を挙げることができる。特に、本発明のBaTiO3−PbTiO3系単結晶の製造方法による単結晶を種結晶として用いると、得られるBaTiO3−PbTiO3系単結晶の結晶欠陥を抑制できる傾向にあり好ましい。種結晶は{100}面、{110}面または{111}面を切り出して、これを研磨して接合面とする。
【0044】
また、種結晶を用いて単結晶化を行う場合、単結晶化させるBaTiO3−PbTiO3焼結体の含有する元素のモル比は0.9800<(Ba+Pb)/Ti<1.0000となるように調整することが好ましい。より好ましくは0.9900<(Ba+Pb)/Ti<1.0000となるように調整し、さらに好ましくは0.9950≦(Ba+Pb)/Ti≦0.9999となるようにする。さらに、焼結体は、結晶粒の平均粒径が20μm以下、相対密度が95%以上となるまで焼結しておく。焼結方法としては特に制限されるものではないが、例えば、常圧焼結、ホットプレス、HIP(熱間等方圧プレス)等が挙げられる。なお、焼結体の気孔含有率が5体積%を超えると結晶成長して得られた単結晶中の気孔含有率も増大し、機械的強度が低下し好ましくない。特に鉛の含有量が多い組成においては、単結晶育成途中の鉛の蒸発により、気孔含有率が大きくなりやすい。したがって、この場合は特に焼結体の気孔含有率を5体積%以下に留めることが好ましい。この焼結体および種結晶の接合面は、表面粗度Ra=1.0nm以下、平坦度λ(λ=633nm)以下にそれぞれ精密研磨することが好ましい。焼結体の研磨面と種結晶の研磨面は直接接触させてもよいし、その接触面に不純物とならないBa,Pb,Ti成分を含む有機酸または無機酸などを塗布してから接触させてもよい。また、互いの研磨面を接触させた種結晶と焼結体は、自重あるいは9.8MPa程度以下の加重下で一定時間加熱することにより接合することが好ましい。さらに、接合工程での試料表面近傍からの鉛の蒸発を抑制するためには、鉛雰囲気中で接合を行うことが好ましい。
【0045】
本発明のBaTiO3−PbTiO3系圧電単結晶体は、結晶成長を促進させる目的で、ペロブスカイトABO3構造のAサイトやBサイトに置換不能または極めて置換し難い微量の添加物を加えたり、ペロブスカイトABO3構造のAサイトあるいはBサイトを他の元素で置換したり、サイト置換の目的で他のペロブスカイト構造の第三成分を固溶させてもよい。これらの量は特に制限されるものではないが、好ましい量としては、微量の添加物としては10重量%以下、AサイトあるいはBサイトを置換する元素としては各サイトの10モル%以下、固溶させる第三成分としては全成分の10モル%以下である。これらの成分の種類は特に制限されるものではないが、好ましくは、Na,K,Ca,Cr,Co,Bi,Sr,La,Zr,Sn,Mg,Mn,Zn,Nb,Ta,Niなどの元素(イオン)、あるいはこれらの元素を含む酸化物や複合酸化物を挙げることができる。また、結晶成長促進のための不純物成分は、結晶成長界面の移動とともに極一部は不純物として単結晶内の残存するが、大半の成分は成長した結晶の末端部に移動するので、実用上は問題とならない。
【0046】
ところで、圧粉体、焼結体あるいは単結晶におけるBa,Pb,Ti等の元素分析は、蛍光X線分析、ICP(発光プラズマ)分析、ICP−MASS(発光プラズマ−質量)分析等の分析方法に基づいて、それぞれ専用の分析装置を用いて行うことができる。また、単結晶の結晶性や配向性は、後述する転位密度の測定でも用いられているエッチピット像の観察や、X線回折のin−plane測定およびout−of−plane測定、電子線回折の測定等の方法によって確認することができる。
【0047】
焼結体および育成した単結晶中の気孔含有率に関しては、その値が0.1体積%程度以上の場合は、鏡面研摩した後の試料表面に露出した気孔量(気孔面積)を反射顕微鏡、SEM(走査型電子顕微鏡)等で測定し、測定面積との比から算出できる。また、0.1体積%程度以下の場合はこの方法では精度に欠けるので、数10μm厚さ程度の薄片を作製し、透過顕微鏡の観察視野内に存在する気孔サイズと数を測定し、観察容積との比から求める。
【0048】
また、単結晶中の転位は、単結晶の結晶面をHCl−HF溶液等の腐食剤にて腐食することによって食凹(エッチピット=転位)として顕微鏡等を用いて観察することができる。具体的には、数100〜1000μm2に発生した転位(エッチピット)数をカウントし、これを1cm2当たりに換算することで転位密度を求めることができる。
【0049】
【実施例】
以下に具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0050】
(実施例1)
TiO2(26.7557g),PbO(0.7440g)およびBaCO3(65.1209g)を湿式混合し、乾燥後1100℃で5時間仮焼して粉砕するとともにこれを成形(直径16mmのディスク形状)した。このとき形成した圧粉体において、含有する元素のモル比は(Ba+Pb)/Ti=0.9950となっていた。これを1360℃で10時間焼結して焼結体を得た。この焼結体は平均粒径約2.0mmの粗大な結晶粒から構成されており、焼結体の組成は99.0モル%BaTiO3−1.0モル%PbTiO3となっていた。この焼結体から種結晶として粗大結晶粒を取り出し、この結晶粒の(100)面を切り出して、表面粗度Ra=0.2nm、平坦度λ/2に仕上げた。一方、同じ配合を直径10mm×厚さ15mmのディスク形状に成形し、1280℃で3時間焼結して相対密度97.3%の99.0モル%BaTiO3−1.0モル%PbTiO3焼結体を得た。この焼結体を構成する結晶粒の平均粒子径は約10μmであり、その組成において(Ba+Pb)/Ti=0.9950となっていた。この焼結体の端面を同じく表面粗度Ra=0.2nm、平坦度λ/2に鏡面仕上げし、前述の種結晶と焼結体の両研磨面をアセトン洗浄した後、両者を機械的に接合させた。この状態を維持しながら、酸素雰囲気下1360℃で40時間保持して、非溶融下で単結晶化を行った。単結晶育成においては試料にマグネシア坩堝を被せ、Pbの蒸発を抑制した。育成処理後は単結晶と接合した面から約12mmまでが単結晶化していた。
【0051】
この結果から、育成速度は0.3mm/hであり、従来の溶融凝固法の育成速度より遥かに高速で育成できることが判明した。また、種結晶を用いた焼結法により得られた99.0モル%BaTiO3−1.0モル%PbTiO3単結晶の気孔含有率は0.9体積%であり、HCl−HF溶液中でエッチングして転位密度を調べたところ、1×103/cm2であった。
【0052】
(実施例2)
TiO2(26.6486g),PbO(5.2080g)およびBaCO3(61.1742g)を湿式混合し、乾燥後1150℃で5時間仮焼して粉砕するとともにこれを成形(直径20mmのディスク形状)した。このとき形成した圧粉体において、含有する元素のモル比は(Ba+Pb)/Ti=0.9990となっていた。これを1350℃で10時間焼結して焼結体を得た。この焼結体は平均粒径約3.0mmの粗大な結晶粒から構成されており、焼結体の組成は93.0モル%BaTiO3−7.0モル%PbTiO3となっていた。この焼結体から種結晶として粗大結晶粒を取り出し、この結晶粒の(110)面を切り出して、表面粗度Ra=0.3nm、平坦度λ/4に仕上げた。
【0053】
一方、同じ配合を直径10mm×厚さ20mmのディスク形状に成形し、1250℃で3時間焼結して相対密度99.1%の93.0モル%BaTiO3−7.0モル%PbTiO3焼結体を得た。焼結体を構成する結晶粒の平均粒径は約8μmであった。この焼結体の含有する元素のモル比は(Ba+Pb)/Ti=0.9990となっていた。この焼結体の端面を表面粗度Ra=0.2nm、平坦度λ/2に鏡面仕上げし、前述の種結晶と焼結体の両研磨面をアセトン洗浄した後、接合界面にBaCl3とTiOCl2の混合溶液(混合比1:0.5の溶液)を塗り接合させた。この状態を維持しながら、酸素雰囲気下1370℃で50時間保持して、非溶融下で単結晶化を行った。育成処理後は種結晶と接合した面から約18mmまでが単結晶化していた。
【0054】
この結果から、育成速度は0.36mm/hであり、従来の溶融凝固法の育成速度より遥かに高速で育成できることが判明した。また、種結晶を用いた焼結法により得られた93.0モル%BaTiO3−7.0モル%PbTiO3単結晶の気孔含有率は0.8体積%であり、HCl−HF溶液中でエッチングして転位密度を調べたところ、5×102/cm2であった。
【0055】
(実施例3)
TSSG法で作製された市販のBaTiO3単結晶を方位(100)面で5×5×0.5mmに切り出し、この面を表面粗度Ra=0.4nm、平坦度λ/6に研磨した。一方、水熱法で作製したBaTiO3(Ba/Ti=0.9996)粉末と固相法で作成したPbTiO3(Pb/Ti=1.0000)粉末を99.8モル対0.2モルの割合で混合しポットミル粉砕するとともにこれを成形(直径16mmのディスク形状)して、1280℃で3時間焼結して相対密度98.9%の焼結体を作製した。得られた99.8モル%BaTiO3−0.2モル%PbTiO3焼結体は、その含有する元素のモル比が、(Ba+Pb)/Ti=0.9996となっていた。この99.8モル%BaTiO3−0.2モル%PbTiO3焼結体を構成する結晶粒の平均粒径は約12μmであった。この焼結体の端面を表面粗度Ra=0.4nm、平坦度λ/6に鏡面仕上げし、前述の種結晶と焼結体の両研磨面をアセトン洗浄した後、両者を機械的に接合させた。この状態を維持しながら、酸素雰囲気下1380℃で30時間保持して、非溶融下で単結晶化を行った。育成処理後は種結晶と接合した面から約11mmまでが単結晶化していた。
【0056】
この結果から、育成速度は0.37mm/hであり、従来の溶融凝固法の育成速度より遥かに高速で育成できることが判明した。また、種結晶を用いた焼結法により得られた99.8モル%BaTiO3−0.2モル%PbTiO3単結晶の気孔含有率は0.7体積%であり、HCl−HF溶液中でエッチングして転位密度を調べたところ、5×103/cm2であった。
【0057】
(実施例4)
実施例2と同一条件で焼結法による単結晶育成を行った。但し、本実施例では150×150×150mmの有効容積をもつモリブデンシリサイド発熱体の電気炉を用い、その中に試料を30個と直径20mmのPZT焼結体を6個挿入して、100%酸素雰囲気下で育成を行った。処理後のサンプルは長さ18mm付近まで全て単結晶化していた。概略の生産速度を算定すると、直径16mmで長さ18mmの試料(容積3.6cm3)が30個出来ているので、108cm3/炉になる。育成に要した時間が50時間であるので、時間当たり2.16cm3となり、生産性は極めて高い。
【0058】
(参考例1)
1150℃で5時間仮焼して粉砕することにより得られた固相法のBaTiO3(Ba/Ti=0.9973)粉末と湿式法で作製したPbTiO3(Pb/Ti=1.0000)粉末を75.0モル対25.0モルの割合で湿式混合し、これを成形(直径30mmのディスク形状)した。このとき成形した圧粉体において、含有する元素のモル比は(Ba+Pb)/Ti=0.9998となっていた。これを1320℃で50時間焼結して焼結体を得た。この焼結体は粒径約1.10mmの粗大な結晶粒から構成されており、焼結体の組成は75.0モル%BaTiO3−25.0モル%PbTiO3となっていた。この焼結体から75.0モル%BaTiO3−25.0モル%PbTiO3粗大結晶粒(単結晶)を取り出した。
【0059】
このように焼結法により得られた75.0モル%BaTiO3−25.0モル%単結晶の気孔含有率は3.2体積%であり、また、HCl−HF溶液中でエッチングして転位密度を調べたところ、1×102/cm2であり、結晶欠陥の少ないものであった。
【0060】
(実施例5)
参考例1と同様の方法で作製したBaTiO3(Ba/Ti=0.9973)
粉末とPbTiO3(Pb/Ti=1.0000)粉末を75.0モル対25.0モルの割合で湿式混合し、これを成形(直径20mmのディスク形状)した。このとき成形した圧粉体において、含有する元素のモル比は(Ba+Pb)/Ti=0.9998となっていた。これを1190℃で5時間焼結した。この焼結体の組成は75.0モル%BaTiO3−25.0モル%PbTiO3であり、相対密度は97.8%となっていた。この焼結体は平均粒径約10μm結晶粒から構成されていた。この焼結体の端面を表面粗度Ra=0.2nm、平坦度λ/6に加工した。次に、種結晶として用いる溶融凝固法によるBaTiO3単結晶の(100)端面を同一の精度に加工した。前記焼結体と前記種結晶を両研摩面で接触させ、9.8MPaの圧力をかけ1200℃で1時間の接合を行った。接合した試料とともに30.0モル%BaTiO3−70.0モル%PbTiO3焼結体をセッター上に置き、MgO坩堝を被せることで鉛雰囲気を形成し1280℃、30時間で単結晶化を行った。育成処理後は種結晶と接合した面から約14mmまでが単結晶化していた。
【0061】
この結果から、育成速度は0.47mm/hであり、従来の溶融凝固法の育成速度より高速で育成できた。焼結法により得られた75.0モル%BaTiO3−25.0モル%PbTiO3単結晶の気孔含有率は2.1体積%であり、またHCl−HF溶液中でエッチングして転位密度を調べたところ、5×102/cm2という結晶欠陥の少ないものであった。
【0062】
(実施例6)
TiO2(26.6753g),PbO(5.2080g)およびBaCO3(61.1742g)
を湿式混合し、乾燥後1150℃で5時間仮焼して粉砕するとともにこれを成形(直径20mmのディスク形状)した。この圧粉体の含有する元素のモル比は(Ba+Pb)/Ti=0.9980となっていた。これを1350℃で10時間焼結した。得られた焼結体は平均粒径約3.0mmの粗大な結晶粒から構成されており、焼結体の組成は93.0モル%BaTiO3−7.0モル%PbTiO3となっていた。この焼結体から種結晶として粗大結晶粒を取り出し、この結晶粒の(110)面を切り出して表面粗度Ra=0.3nm、平坦度λ/4に仕上げた。
【0063】
一方、同じ配合を直径10mm×厚さ20mmのディスク形状に成形し、1250℃で3時間焼結して相対密度99.1%の93.0モル%BaTiO3−7.0モル%PbTiO3を得た。この焼結体を構成する結晶粒の平均粒子径は約7μmであり、この焼結体の含有する元素のモル比は(Ba+Pb)/Ti=0.9980となっていた。この焼結体の端面を表面粗度Ra=0.2nm、平坦度λ/2に鏡面仕上げし、前述の種結晶とこの焼結体の両研磨面をアセトン洗浄した後、接合界面にBaCl3とTiOCl2の混合溶液(混合比1:0.5の溶液)を塗り接合させた。試料とPZT焼結体を各1個をセッター上に置き、さらにMgO坩堝を被せることによってPbを含む雰囲気を形成した。この状態を維持しながら1370℃で20時間保持して、非溶融下で単結晶化を行った。育成処理後は単結晶と接合した面から約18mmまでが単結晶化していた。
【0064】
この結果から、育成速度は0.90mm/hであり、実施例2で示したものよりさらに高速育成できることが判明した。また、焼結法により得られた93.0モル%BaTiO3−7.0モル%PbTiO3単結晶は、試料表層部のPb濃度が中心部のPb濃度とほとんど差が無く、試料全体が均一な組成的となっていることを確認した。作製した93.0モル%BaTiO3−7.0モル%PbTiO3単結晶の気孔含有率は0.4体積%であり、またHCl−HF溶液中でエッチングして転位密度を調べたところ、5×102/cm2であった。
【0065】
(実施例7)
実施例3と同様にTSSG法で作製した市販のBaTiO3単結晶を方位(111)面で5×5×0.5mmに切り出し、この面を表面粗度Ra=0.3nm、平坦度λ/4に研磨して種結晶とした。一方、蓚酸塩法で作製したBaTiO3(Ba/Ti=0.9993)粉末と固相法で作成したPbTiO3(Pb/Ti=0.9960)粉末を93.2モル対6.8モルの割合で混合しポットミル粉砕するとともにこれを成形(直径16mmのディスク形状)して、1200℃で1時間ホットプレス焼結して相対密度99.4%の焼結体を作製した。得られた焼結体の組成は93.2モル%BaTiO3−6.8モル%PbTiO3であった。焼結体の含有する元素のモル比は(Ba+Pb)/Ti=0.9991となっており、焼結体は平均粒子径約2μmの結晶粒で構成されていた。焼結体の端面を表面粗度Ra=0.3nm、平坦度λ/4に鏡面仕上げし、前述の種結晶と焼結体の両研磨面をアセトン洗浄した後、両者を機械的に接合させた。接合した試料とPZT焼結体を各1個をセッター上に置き、さらにMgO坩堝を被せることによってPbを含む雰囲気を形成した。この状態を維持しながら、酸素雰囲気下1370℃で20時間保持して、非溶融下で単結晶化を行った。育成処理後は種結晶と接合した面から約14mmまでが単結晶化していた。
【0066】
この結果から、育成速度は0.70mm/hであり、従来の溶融凝固法の育成速度より遥かに高速で育成できることが判明した。また、種結晶を用いた焼結法により得られた93.2モル%BaTiO3−6.8モル%PbTiO3系単結晶の気孔含有率は0.2体積%であり、また、HCl−HF溶液中でエッチングして転位密度を調べたところ、1×103/cm2であった。
【0067】
(実施例8)
実施例3と同様にTSSG法で作製した市販のBaTiO3単結晶を方位(100)面で5×5×0.5mmに切り出し、この面を表面粗度Ra=0.3nm、平坦度λ/4に研磨して種結晶とした。一方、蓚酸塩法で作製したBaTiO3(Ba/Ti=0.9990)粉末と固相法で作成したPbTiO3(Pb/Ti=0.9980) 粉末を90.7モル対9.3モルの割合で混合しポットミル粉砕するとともにこれを成形(直径16mmのディスク形状)して、1200℃で1時間O2−HIP(雰囲気は20%O2,圧力98MPa)焼結して相対密度99.96%の90.7モル%BaTiO3−9.3モル%PbTiO3焼結体を作製した。得られた焼結体は平均粒径約1μmの結晶粒で構成されていた。この焼結体の含有する元素のモル比は(Ba+Pb)/Ti=0.9989となっていた。焼結体の端面を表面粗度Ra=0.3nm、平坦度λ/4に鏡面仕上げし、前述の種結晶と焼結体の両研磨面をアセトン洗浄した後、両者を機械的に接合させた。接合した試料とPZT焼結体を各1個をセッター上に置き、さらにMgO坩堝を被せることによってPbを含む雰囲気を形成した。この状態を維持しながら、酸素雰囲気下1370℃で19時間保持して、非溶融下で単結晶化を行った。育成処理後は種結晶と接合した面から約18mmまでが単結晶化していた。
【0068】
この結果から、育成速度は0.95mm/hであり、従来の溶融凝固法の育成速度より遥かに高速で育成できることが判明した。また、種結晶を用いた焼結法により得られたBaTiO3−PbTiO3単結晶の気孔含有率は0.0003体積%であり、試料をHCl−HF溶液中でエッチングして転位密度を調べたところ、1×103/cm2であった。
【0069】
(参考例2)
実施例3と同様にTSSG法で作製された市販のBaTiO3単結晶を方位(100)面で5×5×0.5mmに切り出し、この面を表面粗度Ra=0.3nm、平坦度λ/4に研磨して種結晶とした。一方、蓚酸塩法で作製したBaTiO3(Ba/Ti=0.9945)粉末と固相法で作成したPbTiO3(Pb/Ti=0.9952) 粉末を55.0モル対45.0モルの割合で混合しポットミル粉砕するとともにこれを成形(直径16mmのディスク形状)して、1200℃で1時間O2−HIP(雰囲気は20%O2,圧力98MPa)焼結して相対密度99.96%の55.0モル%BaTiO3−45.0モル%PbTiO3焼結体を作製した。得られた焼結体は平均粒径約3μmの結晶粒で構成されていた。この焼結体の含有する元素のモル比は(Ba+Pb)/Ti=0.9948となっていた。焼結体の端面を表面粗度Ra=0.3nm、平坦度λ/4に鏡面仕上げし、前記の種結晶と焼結体の両研磨面をアセトン洗浄した後、両者を機械的に接合させた。接合した試料とPZT焼結体を各1個をセッター上に置き、さらにMgO坩堝を被せることによってPbを含む雰囲気を形成した。この状態を維持しながら、酸素雰囲気下1360℃で20時間保持して、非溶融下で単結晶化を行った。育成処理後は種結晶と接合した面から約13mmまでが単結晶化していたが、形成された単結晶中の気孔含有率は8.9体積%となり、ポーラスで利用できる状態でなかった。
【0070】
この結果を基に、育成雰囲気を20%O2−80%Ar組成でその圧力を50気圧として前記の種結晶−焼結体の接合試料を1350℃で24時間保持して、非溶融下で熱処理を行った。圧力下で処理した後の試料は、種結晶と接合した面から約15mmまでが単結晶化しており、育成速度は0.63mm/hであり、従来の溶融凝固法の育成速度より遥かに高速で育成できることが判明した。また、種結晶を用いた焼結法により得られた55.0モル%BaTiO3−45.0モル%PbTiO3単結晶の気孔含有率は5.1体積%に低減された。試料をHCl−HF溶液中でエッチングして転位密度を調べたところ1×104/cm2であった。
【0071】
(実施例10)
TiO2(26.7288g),PbO(0.3720g)およびBaCO3(65.4498g)を湿式混合し、乾燥後1100℃で5時間仮焼して粉砕するとともにこれを成形(直径20mmのディスク形状)した。このとき形成した圧粉体において、含有する元素のモル比は(Ba+Pb)/Ti=0.9960となっていた。これを1330℃で10時間焼結して焼結体を得た。この焼結体は平均粒径約2.6mmの粗大な結晶粒から構成されており、焼結体の組成は99.5モル%BaTiO3−0.5モル%PbTiO3となっていた。この焼結体から種結晶として粗大結晶粒を取り出し、この結晶粒の(001)面を切り出して表面粗度Ra=0.2nm、平坦度λ/2に仕上げた。また、この粗大結晶粒について電子線回折像の測定を行い、非常に結晶方位の揃った単結晶であることを確認した。この電子線回折像を図4に示す。
【0072】
一方、同じ配合を直径10mm×厚さ20mmのディスク形状に成形し、1250℃で3時間焼結して相対密度96.8%の99.5モル%BaTiO3−0.5モル%PbTiO3焼結体を得た。焼結体を構成する結晶粒の平均粒径は約6μmであった。この焼結体の含有する元素のモル比は(Ba+Pb)/Ti=0.9960となっていた。この焼結体の端面を表面粗度Ra=0.2nm、平坦度λ/2に鏡面仕上げし、前述の種結晶と焼結体の両研磨面をアセトン洗浄した後、接合界面にBaCl3とTiOCl2の混合溶液(混合比1:0.5の溶液)を塗り接合させた。この状態を維持しながら、酸素雰囲気下1300℃で30時間保持して、非溶融下で単結晶化を行った。育成処理後は種結晶と接合した面から約14mmまでが単結晶化していた。
【0073】
この結果から、育成速度は0.47mm/hであり、従来の溶融凝固法の育成速度より遥かに高速で育成できることが判明した。また、種結晶を用いた焼結法により得られた99.5モル%BaTiO3−0.5モル%PbTiO3単結晶の気孔含有率は0.8体積%であり、HCl−HF溶液中でエッチングして転位密度を調べたところ、2×102/cm2であった。このサンプルに関して行ったX線回折の測定結果を図3の(a)(単結晶化前)および図3の(b)(単結晶化後)に示す。(なお、図3の(b)の2θ=45°付近にピ−クが2本見られるのは、タ−ゲットの固有X線がKα1とKα2に分離しているためである。)
【0074】
(実施例11)
実施例3と同様にTSSG法で作製された市販のBaTiO3単結晶を方位(001)面で5×5×0.5mmに切り出し、この面を表面粗度Ra=0.3nm、平坦度λ/4に研磨して種結晶とした。一方、蓚酸塩法で作製したBaTiO3(Ba/Ti=0.9945)粉末と固相法で作成したPbTiO3(Pb/Ti=0.9952) 粉末を70.0モル対30.0モルの割合で混合しポットミル粉砕するとともにこれを成形(直径16mmのディスク形状)して、1200℃で1時間O2−HIP(雰囲気は20%O2,圧力98MPa)焼結して相対密度99.96%の70.0モル%BaTiO3−30.0モル%PbTiO3焼結体を作製した。得られた焼結体は平均粒径約4μmの結晶粒で構成されていた。この焼結体の含有する元素のモル比は(Ba+Pb)/Ti=0.9947となっていた。焼結体の端面を表面粗度Ra=0.3nm、平坦度λ/4に鏡面仕上げし、前記の種結晶と焼結体の両研磨面をアセトン洗浄した後、両者を機械的に接合させた。接合した試料とPZT焼結体を各1個をセッター上に置き、さらにMgO坩堝を被せることによってPbを含む雰囲気を形成した。この状態を維持しながら、酸素雰囲気下1330℃で20時間保持して、非溶融下で単結晶化を行った。育成処理後は種結晶と接合した面から約12mmまでが単結晶化していた。形成された単結晶中の気孔含有率は3.8体積%であった。試料をHCl−HF溶液中でエッチングして転位密度を調べたところ7×103
/cm2であった。
【0075】
(実施例12)
TiO2(26.6246g),PbO(3.7200g)およびBaCO3(62.4898g)を湿式混合し、乾燥後1100℃で5時間仮焼して粉砕するとともにこれを成形(直径20mmのディスク形状)した。このとき形成した圧粉体において、含有する元素のモル比は(Ba+Pb)/Ti=0.9999となっていた。これを1300℃で10時間焼結して焼結体を得た。この焼結体は平均粒径約2.2mmの粗大な結晶粒から構成されており、焼結体の組成は95.0モル%BaTiO3−5.0モル%PbTiO3となっていた。この焼結体から種結晶として粗大結晶粒を取り出し、この結晶粒の(111)面を切り出して表面粗度Ra=0.3nm、平坦度λ/4に仕上げた。
【0076】
一方、同じ配合を直径10mm×厚さ20mmのディスク形状に成形し、1250℃で3時間焼結して相対密度98.4%の95.0モル%BaTiO3−5.0モル%PbTiO3焼結体を得た。焼結体を構成する結晶粒の平均粒径は約5μmであった。この焼結体の含有する元素のモル比は(Ba+Pb)/Ti=0.9999となっていた。この焼結体の端面を表面粗度Ra=0.3nm、平坦度λ/4に鏡面仕上げし、前述の種結晶と焼結体の両研磨面をアセトン洗浄した後、接合界面にBaCl3とTiOCl2の混合溶液(混合比1:0.5の溶液)を塗り接合させた。この状態を維持しながら、酸素雰囲気下1350℃で20時間保持して、非溶融下で単結晶化を行った。育成処理後は種結晶と接合した面から約12mmまでが単結晶化していた。
【0077】
この結果から、育成速度は0.60mm/hであり、従来の溶融凝固法の育成速度より遥かに高速で育成できることが判明した。また、種結晶を用いた焼結法により得られた95.0モル%BaTiO3−5.0モル%PbTiO3単結晶の気孔含有率は0.5体積%であり、HCl−HF溶液中でエッチングして転位密度を調べたところ、5×102/cm2であった。
【0078】
(実施例13)
TiO2(26.8908g),PbO(3.7200g)およびBaCO3(62.4898g)を湿式混合し、乾燥後1100℃で5時間仮焼して粉砕するとともにこれを成形(直径20mmのディスク形状)した。このとき形成した圧粉体において、含有する元素のモル比は(Ba+Pb)/Ti=0.9990となっていた。これを1300℃で10時間焼結して焼結体を得た。この焼結体は平均粒径約2.8mmの粗大な結晶粒から構成されており、焼結体の組成は95.0モル%BaTiO3−5.0モル%PbTiO3となっていた。この焼結体から種結晶として粗大結晶粒を取り出し、この結晶粒の(001)面を切り出して表面粗度Ra=0.3nm、平坦度λ/4に仕上げた。
【0079】
一方、同じ配合を直径10mm×厚さ20mmのディスク形状に成形し、1250℃で3時間焼結して相対密度98.7%の95.0モル%BaTiO3−5.0モル%PbTiO3焼結体を得た。焼結体を構成する結晶粒の平均粒径は約6μmであった。この焼結体の含有する元素のモル比は(Ba+Pb)/Ti=0.9990となっていた。この焼結体の端面を表面粗度Ra=0.3nm、平坦度λ/4に鏡面仕上げし、前述の種結晶と焼結体の両研磨面をアセトン洗浄した後、接合界面にBaCl3とTiOCl2の混合溶液(混合比1:0.5の溶液)を塗り接合させた。この状態を維持しながら、酸素雰囲気下1350℃で30時間保持して、非溶融下で単結晶化を行った。育成処理後は種結晶と接合した面から約7mmまでが単結晶化していた。
【0080】
この結果から、育成速度は0.23mm/hであり、従来の溶融凝固法の育成速度より遥かに高速で育成できることが判明した。また、種結晶を用いた焼結法により得られた95.0モル%BaTiO3−5.0モル%PbTiO3単結晶の気孔含有率は0.6体積%であり、HCl−HF溶液中でエッチングして転位密度を調べたところ、1×104/cm2であった。
【0081】
(参考例3)
湿式法により作製したBaTiO3(Ba/Ti=0.9954)粉末とPbTiO3(Pb/Ti=1.0000)粉末とCaTiO3(Ca/Ti=1.0000)粉末を順に70.0:29.0:1.0のモル比で湿式混合し、これを成形(直径20mmのディスク形状)した。このとき成形した圧粉体において、含有する元素のモル比は(Ba+Pb)/Ti=0.9868となっていた。これを1350℃で10時間焼結して焼結体を得た。この焼結体は平均粒径約3.3mmの粗大な結晶粒から構成されており、焼結体の組成は70.0モル%BaTiO3−29.0モル%PbTiO3−1.0モル%CaTiO3となっていた。この焼結体から種結晶として粗大結晶粒を取り出し、この結晶粒の(001)面を切り出して表面粗度Ra=0.3nm、平坦度λ/4に仕上げた。
【0082】
一方、同じ配合を直径10mm×厚さ20mmのディスク形状に成形し、1250℃で3時間焼結して相対密度98.9%の70.0モル%BaTiO3−29.0モル%PbTiO3−1.0モル%CaTiO3焼結体を得た。焼結体を構成する結晶粒の平均粒径は約6μmであった。この焼結体の含有する元素のモル比は(Ba+Pb)/Ti=0.9868となっていた。この焼結体の端面を表面粗度Ra=0.3nm、平坦度λ/4に鏡面仕上げし、前述の種結晶と焼結体の両研磨面をアセトン洗浄した後、9.8MPaの圧力をかけ1200℃で1時間の接合を行った。接合した試料とともにPZT焼結体をセッター上に置き、MgO坩堝を被せることで鉛雰囲気を形成し1350℃、50時間で単結晶化を行った。育成処理後は種結晶と接合した面から約11mmまでが単結晶化していた。
【0083】
この結果から、育成速度は0.22mm/hであった。焼結法により得られた70.0モル%BaTiO3−29.0モル%PbTiO3−1.0モル%CaTiO3単結晶の気孔含有率は4.1体積%であり、またHCl−HF溶液中でエッチングして転位密度を調べたところ、1×104/cm2であった。
【0084】
(比較例1)
TiO2(27.1652g),PbO(3.7200g)およびBaCO3(62.4898g)を湿式混合し、乾燥後1110℃で5時間仮焼して粉砕するとともにこれを成形(直径16mmのディスク形状)した。このとき形成した圧粉体において、含有する元素のモル比は(Ba+Pb)/Ti=0.9800となっていた。これを1350℃で30時間焼結して95.0モル%BaTiO3−5.0モル%PbTiO3焼結体を得た。この焼結体は平均粒径が僅か50μmの結晶粒で構成されていて、種結晶として用いるのに充分な大きさの単結晶を得ることができなかった。このため、市販のTSSG法で育成されたBaTiO3単結晶の(100)面に実施例3と同様の加工を行って種結晶とした。
【0085】
一方、同じ配合を直径10mm×厚さ10mmのディスク形状に成形し、1250℃で3時間焼結して相対密度98.1%の95.0モル%BaTiO3−5.0モル%PbTiO3焼結体を得た。焼結体を構成する結晶粒の平均粒子径は約12μmであった。この焼結体の含有する元素のモル比は(Ba+Pb)/Ti=0.9800となっていた。この焼結体の端面を実施例3と同じく表面粗度Ra=0.4nm、平坦度λ/6に鏡面仕上げし、前記の種結晶と焼結体の両研磨面をアセトン洗浄した後、接合界面に2NのHNO3 溶液を塗り接合させた。この状態を維持しながら、酸素雰囲気下1370℃で50時間保持して、非溶融下で単結晶化を行った。
【0086】
単結晶育成処理後は種結晶と接合した面から僅か100μmまでしか結晶成長していなかった。この結果から、育成速度は2×10−3mm/hであり、殆ど単結晶化が進行しないことが判明した。
【0087】
(比較例2)
共沈法によるBaTiO3(Ba/Ti=1.000)およびPbTiO3(Pb/Ti=1.0100)粉末を作製し、90.0モル対10.0モルの割合で混合した。この混合粉末をポットミル中で粉砕するとともにこれを成形(直径16mmのディスク形状)した。このとき形成した圧粉体の含有する元素のモル比は(Ba+Pb)/Ti=1.0010となっていた。これを1350℃で10時間焼結して90.0モル%BaTiO3−10.0モル%PbTiO3焼結体を得た。この焼結体は平均粒径約3μmの微細な結晶粒で構成されていて、種結晶として用いるのに充分な大きさの単結晶を得ることができなかった。そこで、比較例1と同様にして市販のTSSG法で育成されたBaTiO3単結晶を種結晶とした。一方、同じ配合を直径10mm×厚さ15mmのディスク形状に成形し、1250℃で3時間焼結して相対密度97.8%の90.0モル%BaTiO3−10.0モル%PbTiO3焼結体を得た。この焼結体の含有する元素のモル比は(Ba+Pb)/Ti=1.0010となっていた。この焼結体の端面を比較例1と同じく表面粗度Ra=0.4nm、平坦度λ/6に鏡面仕上げし、前記の種結晶と焼結体の両研磨面をアセトン洗浄した後、接合界面にBaCl3とTiOCl2の混合溶液
(混合比1:1の溶液)を塗り接合させた。この状態を維持しながら、酸素雰囲気下1390℃で30時間保持して、非溶融下で単結晶化を行った。単結晶育成処理後は種結晶と接合した面から1〜2グレイン幅程度(5〜10μm程度)しか単結晶中に取り込まれておらず、単結晶化が殆ど起こらなかった。
【0088】
(比較例3)
TSSG法によるBaTiO3−PbTiO3単結晶の育成を行った。融液の原料として市販のBaTiO3粉末、TiO2粉末、およびPbTiO3粉末を用いた。原料粉末をBaTiO3:TiO2:PbTiO3=1:0.5:0.01のモル比で用いて焼結体を作製し、この焼結体を白金坩堝に入れ高周波誘導加熱により原料を溶融した。育成温度は1440℃で白金ホルダ−に取りつけられた〈100〉方位のBaTiO3 種結晶をこの融液中に浸漬し、30rpmの回転を伴いながら0.4℃/hで温度降下させ、かつ0.1mm/hの速度で結晶成長を行った。約200時間後1330℃(共晶温度)付近に達したところで引上げを終了した。得られた結晶は直径25mm、長さ16mm(容積7.9cm3
)であった。結晶内部には育成途中のPb蒸発に伴う数μm〜数10μmのボイドが多数形成された多孔体構造(気孔含有率は8体積%)であり、顕微鏡観察ではぺロブスカイト相以外のインクリュージョンも多数発生していた。結晶中の転位密度は2×106/cm2であり、本発明のBaTiO3−PbTiO3系単結晶より転位密度の大きいものであった。また、生産性は0.04cm3/hであり、本発明のBaTiO3−PbTiO3系単結晶と比べて約1/100にすぎない。
【0089】
また、本発明者らは、本発明により得られたBaTiO3−PbTiO3系圧電単結晶の結晶性に関して測定を行ったところ、本発明のBaTiO3−PbTiO3系圧電単結晶は、非常に結晶性の優れたものであることが判明した。X線回折、電子線回折からは配向が均一に揃った単結晶であることを確認した。また、エッチピット観察による転位密度の低さから、不純物あるいは格子欠陥の少ない結晶であることが確認され、気孔含有率も非常に少ないものであった。
【0090】
さらに、本発明のBaTiO3−PbTiO3系圧電単結晶の誘電性、圧電性、焦電性など、他の物性についても検討を行ったところ、BaTiO3−PbTiO3系圧電単結晶の物性に関しては、特に、圧電性において優れた特性が見られた。それは、BaTiO3多結晶はもちろんのこと、現在、標準的に用いられているPZT(Pb(Ti,Zr)O3)多結晶やTSSG法で作製されたBaTiO3単結晶の特性を凌駕するものであった。
【0091】
本発明のBaTiO3−PbTiO3系圧電単結晶を、圧電材料としての観点から考えてみると、優れた圧電特性と同時に、使用可能温度領域の広さと、鉛含有量の低さを達成している点を長所として挙げることができる。BaTiO3多結晶はキュリ−温度(Tc)が約120℃であり、BaTiO3多結晶を用いた素子においてはキュリ−温度(Tc)により限定される使用可能温度領域の狭さが従来から実用上の難点であった。これに対し、本発明のBaTiO3−PbTiO3系圧電単結晶は、BaTiO3多結晶よりもキュリ−温度(Tc)が高く、使用可能温度領域をより広げることができる。
【0092】
また、地球環境への負荷を軽減するために、近年、工業製品における鉛使用量の削減が求められているが、本発明のBaTiO3−PbTiO3系圧電単結晶について、現在、圧電材料の主流となっているPZT多結晶と比較すると、先ず、組成の違いから、大幅に鉛の使用量を削減することができ、さらに圧電特性が著しく向上することにより、同一の効果を出現するのに必要な圧電材料の使用量自体も大幅に削減できることがわかる。また、現在一般に鉛使用量削減を目的とするPZT代替の有望材料としては、BaTiO3多結晶、Bi0.5Na0.5TiO3多結晶、(Na0.5K0.5)NbO3多結晶が考えられているが、PZTが圧電定数d33=300〜400(×10−12C/N)、電気機械結合係数k33=0.6〜0.7であるのに対して、BaTiO3多結晶は、圧電定数d33=120(×10−12C/N)、電気機械結合係数k33=0.4〜0.5であり、Bi0.5Na0.5TiO3多結晶は、圧電定数d33=110(×10−12C/N)、電気機械結合係数k33=0.4〜0.6であって、その圧電特性について満足できるものではなかった。また、BaTiO3−PbTiO3系多結晶については、圧電材料として考えてみても、その圧電特性はPZT多結晶や本発明のBaTiO3−PbTiO3系圧電単結晶と比べて大きく劣るものであり、多結晶としては抜本的な圧電特性の向上はありえない。
【0093】
また、上述した本発明の各実施例において、特に実施例1、2、5によって作製されたBaTiO3−PbTiO3単結晶、および一般的なPZT焼結体、BaTiO3焼結体およびTSSG法で育成されたBaTiO3単結晶の各圧電諸特性を表1に示す。
【0094】
【表1】
【0095】
本発明のBaTiO3−PbTiO3系圧電単結晶においては、表1からも分かるように、Pb含有量が増加するにつれてキュリー温度(Tc)が上昇し、約300℃までのキュリー温度を選択することができる。また、焼結法によるBaTiO3−PbTiO3単結晶は、通常のBaTiO3焼結体に比べ、誘電損失が小さく、大傾角粒界粒界の消滅に伴う電気機械結合係数の飛躍的上昇により、電界印加時の誘起歪み量が増大し、極めて優れた圧電特性を示すことが判る。
【0096】
次に、本発明のBaTiO3−PbTiO3系圧電単結晶を用いた圧電型アクチュエータ(圧電振動子)および該圧電型アクチュエータを用いる液体吐出ヘッドについて、図2を参照して説明する。図2の(a)および(b)に図示する液体吐出ヘッド11は、複数の液吐出口12と、各液吐出口12に対応して設けられた液室13と、液室13に対してそれぞれ設けられた圧電型アクチュエータ19とを備え、圧電型アクチュエータ19は、少なくともBaTiO3−PbTiO3系圧電単結晶からなる層を含む圧電体14と該圧電体14の表面に形成されるPt,Au,Al等の電極(不図示)および該圧電体14に接合された振動板17とから構成されて、圧電振動子を形成する。液体吐出ヘッド11における液吐出口12は、ノズルプレート15に所定の間隔をもって形成され、液室13は、基板部16に液吐出口12にそれぞれ対応するように並列して形成されており、各液吐出口12とそれに対応する液室13は、基板部16に形成された液流路16aを介して接続される。また、基板部16の上面には各液室13にそれぞれ対応して開口部16bが形成され、基板部16の上面には開口部16bを塞ぐように振動板17が形成され、この振動板17の上に各液室13に対応して位置するように圧電体14が配設される。
【0097】
以上のように構成される液体吐出ヘッド11において、圧電型アクチュエータ19に対して外部から駆動信号が印加されると、圧電型アクチュエータ19は駆動して対応する液室13内の液体を加圧し、液室13に連通する液吐出口12から液体を液滴として吐出する。
【0098】
このように圧電型アクチュエータ(圧電振動子)を構成する圧電体として鉛含有量の少ない圧電材料であるBaTiO3−PbTiO3系圧電単結晶を用いることにより、既存のPZTの特性を凌ぐ極めて優れた圧電特性を低コストで得ることができ、さらに、環境に優しい圧電型アクチュエ−タ(圧電振動子)や液体吐出ヘッドを作製することができる。
【0099】
【発明の効果】
以上説明するように、本発明によれば、BaTiO3−PbTiO3系圧粉体または焼結体を、Pbの含有モル数がBaの含有モル数よりも少ない所定の組成にし、非溶融状態に保ったまま所定の温度範囲で加熱することにより単結晶化することができ、安定した単結晶育成を可能にするとともに単結晶の成長速度を促進することができる。
【0100】
さらに、(Ba+Pb)/Ti比を所定の組成範囲とするBaTiO3−PbTiO3系圧粉体または焼結体を非溶融状態に保ったまま所定の温度範囲で加熱することにより単結晶化することで、単結晶成長の再現性が向上し、安定した単結晶育成を可能にする。
【0101】
また、BaTiO3系単結晶あるいはBaTiO3−PbTiO3単結晶を種結晶とし、同じく組成調整したBaTiO3−PbTiO3多結晶体を作製し、種結晶と前記圧粉体または焼結体の多結晶体を接合して加熱処理を施すことにより、前記圧粉体または焼結体の種結晶との接合部分から安定して単結晶化が起こり、高品質のBaTiO3−PbTiO3単結晶が得られ、単結晶成長の再現性が向上する。この焼結法による単結晶の育成速度は、Melt−Growth法に匹敵しあるいはそれを超えている。
【0102】
また、焼結法で多数の試料を同時に処理できるので、生産コストを大幅に低減することが可能となるばかりでなく、結晶中の転位密度も非常に小さく高品質化も達成できるという生産性と特性を両立させることができる。
【0103】
さらに、本発明のBaTiO3−PbTiO3 系圧電単結晶は既存のPZT焼結体特性を遥かに凌駕しており、PZT中のPb等の有害物質削減の目的に対応するPbレス圧電材料として、既存のPZT系材料に匹敵する特性を備えたBaTiO3−PbTiO3系単結晶を提供することができる。また、Pb含有量が増加するにつれてキュリー温度が上昇し、約300℃までのキュリー温度を適宜選択することが可能であって、キュリー温度の問題もない。また、焼結法によるBaTiO3−PbTiO3単結晶は、誘電損失が小さく、大傾角粒界粒界の消滅に伴う電気機械結合係数の飛躍的上昇により、電界印加時の誘起歪み量が増大し、極めて優れた圧電特性を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のBaTiO3−PbTiO3系圧電単結晶の製造方法の一例を示す工程図である。
【図2】 本発明の液体吐出ヘッドを示す図であって、(a)はその斜視図であり、(b)は(a)のA−A線に沿って破断して示す断面図である。
【図3】 (a)は本発明の実施例11において種結晶を接合して単結晶化する以前のBaTiO3−PbTiO3系焼結体のX線回折パタ−ンであり、(b)は同じく実施例11において種結晶を接合して単結晶化した後のBaTiO3−PbTiO3系単結晶のX線回折パタ−ンである。
【図4】 本発明の実施例11において、種結晶として用いた単結晶化後のBaTiO3−PbTiO3系単結晶の電子線回折像である。
【符号の説明】
1 種結晶(BaTiO3−PbTiO3系単結晶)
3 BaTiO3−PbTiO3系焼結体
5 単結晶化した部分
7 多結晶体部分
11 液体吐出ヘッド
12 液吐出口
13 液室
14 圧電体
15 ノズルプレート
16 基板部
17 振動板
19 (圧電型)アクチュエータ
Claims (7)
- PbTiO 3 の含有率が30モル%以下であるBaTiO 3 −PbTiO 3 系焼結体であって、該焼結体の含有する元素のモル比が0.9900<(Ba+Pb)/Ti<1.0000の範囲である当該焼結体に対し、種結晶となるBaTiO 3 系単結晶またはBaTiO 3 −PbTiO 3 系単結晶の{100}面、{110}面または{111}面を接合する接合工程と、
前記BaTiO 3 系単結晶またはBaTiO 3 −PbTiO 3 系単結晶が接合された前記焼結体を非溶融状態に保ったまま1200℃以上1400℃以下の温度範囲で加熱する加熱工程と、
を含むことを特徴とするBaTiO 3 −PbTiO 3 系圧電単結晶の製造方法。 - 前記焼結体の含有する元素のモル比が0.9900<(Ba+Pb)/Ti(1.0000)の範囲の代わりに0.9950≦(Ba+Pb)/Ti≦0.9999の範囲である請求項1記載のBaTiO 3 −PbTiO 3 系圧電単結晶の製造方法。
- 前記焼結体のPbTiO 3 の含有率が30モル%以下である代わりに25モル%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のBaTiO 3 −PbTiO 3 系圧電単結晶の製造方法。
- 前記加熱工程においては、前記焼結体が入れられた炉内に鉛含有化合物を挿入することによってPbを含む蒸気を発生させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のBaTiO 3 −PbTiO 3 系圧電単結晶の製造方法。
- 前記加熱工程においては、前記焼結体を鉛雰囲気中で加熱することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のBaTiO 3 −PbTiO 3 系圧電単結晶の製造方法。
- 前記焼結体は平均粒径が20μm以下の結晶粒から構成され、相対密度が95%以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のBaTiO 3 −PbTiO 3 系圧電単結晶の製造方法。
- 前記BaTiO 3 −PbTiO 3 系単結晶を製造するための焼結体として、前記BaTiO 3 −PbTiO 3 系焼結体と同じ組成をもつ焼結体を用いることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のBaTiO 3 −PbTiO 3 系圧電単結晶の製造方法。
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