JPS648278B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、好ましくはアルミニウムを材質とす
る２本の管を、相互に同心的に組合せて構成した
少くも１本の二重管で、その端部に、冷却すべき
油等の流体を二重管に導入、もしくは取出すため
の、管軸に直角な導入溝を有する頚部を持つた分
配給管を装着した、二重管冷却器に関するもので
ある。

〔従来の技術及び問題点〕

そのような二重管冷却器は公知である。例え
ば、エンジンの潤滑油、トルクコンバータの作動
油、自動クラツチの作動油等の冷却用に、自動車
産業に多用されている。熱交換能力を大ならしめ
るため、二重管を銅またはアルミニウムで作り、
二重管の管壁間に油を通し、その内外から冷却す
ることも知られている。冷却されるべき油は、こ
れら公知の場合には、二重管の縁部に装着した分
配給管を通して給脱される。二重管は、その端部
が相互に溶接されており、分配給管はその外管に
ろう付けされている。DE―OS（西独特許公開公
報）第2612416号には、分配給管が２部分から構
成されているこのような二重管冷却器が記載され
ている。この場合には、分配給管と外管との接合
を密にするために、分配給管の頚部をねじ込み式
とし、深くねじ込むほど密な接合が得られるよう
になつている。

これら公知の構成の欠陥としては、次のごとき
事項があげられる。すなわち、二重管の両端部が
溶接またはろう付されているため、管の清掃がき
わめて厄介であり、また、冷却されるべき油と、
通常冷却に用いられる水とが、熱膨張係数の差が
あるために機械的な張力を生じ、これが往々にし
てろう付け箇所の漏洩を惹起せしめ易い。さら
に、この種の公知の二重管冷却器は掃除が困難な
ばかりではなく、オーバーホールが全く不可能で
ある。

溶接ろう付けを行うことなく、オイル送入排出
部材を管に嵌合する例が特開昭53―73651号公報
に記載されている。この公報によれば、二重管に
より形成された熱交換器が長さの制限されるとこ
ろに配置されるために、それぞれの管が直径方向
に二つに区画されて、この区画された管内を流体
が長手方向に行つて戻るようにしたものである。
オイル送入排出部材も直径方向に区画されてい
る。オイル送入排出部材は内管の外周及び外管の
外周にそれぞれ嵌合されている。それぞれの嵌合
部にはパツキンリングが配置され、よつて溶接や
ろう付することなく組立てられることができる。
しかしながら、この二重管冷却器は長さの制限さ
れたところに取付けられるために、その直径方向
の寸法が犠牲にされている。二重管冷却器は例え
ば前述したような自動車におけるオイル冷却器と
して使用される場合には長さ方向の寸法ばかりで
なく半径方向の寸法もできるでけ小さく且つ熱交
換性能に優れたものであることが求められる。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明による二重管冷却器は、冷媒槽中に沈め
てその内外から冷却を行うようにしたものにおい
て、内管と外管を同心的に組合せた二重管と、二
重管の両端部に装着された円筒状分配給管とから
なり、円筒状分配給管の各々が冷却すべき油等の
流体を内管と外管との間の環状通路に導入、もし
くは取出すための管軸に直角な導入孔を有する頚
部を持ち、各円筒状分配給管の一部が外管の端部
に挿入嵌合されるとともに分配給管の外周面に設
けられた溝に挿入されたパツキングリングにより
外管と円筒状分配給管との間に密封し、そして、
各円筒状分配給管が内管に嵌合されるとともに円
筒状分配給管の前記導入孔の一方側の内径が内管
の外径に等しく且つ残りの部分の内径が内管の外
径より大きくて、前記導入孔と前記環状通路とを
連結するために内管及び外管と同心的な室が形成
されるとともに、円筒状分配給管の内管の外径と
等しい内径部に設けられた溝に挿入されたパツキ
ングリングにより内管と分配給管との間を密封
し、さらに、前記頚部に該二重管冷却器を前記冷
媒槽に取付けるための取付け手段が設けられてい
ることを特徴とする。

〔実施例〕

本発明による二重管冷却器のその他の特徴およ
び利点については、以下の添付図面、実施例説明
に示す通りである。

第１図に、本発明による二重管冷却器で、１な
る符号を付した二重管によつて組立てたものを示
した。二重管は外管２と内管３により形成され図
にはその一部のみを示している。本発明による分
配給管４は、二重管１と同心の円筒状部分とこれ
から直角に延びる頚部５とが一体構造体となつて
おり、円筒状部分が二重管１の端に嵌合されてい
る。頚部５には導入口又は導入溝６が設けられ、
導入溝６を通じて冷却されるべき油が二重管１の
外管２と内管３の間の環状通路が導かれる。外管
２と内管３との間のこの部分には、通常乱流素子
７が組み込まれている。このような二重管冷却器
は水槽の中に組み込み、管の中間部分の油を管の
内外両面を流れる冷却水で冷やすようにする。

分配給管４にはフランジ１２を設け、これは円
板状をなしている。このフランジ１２の外側、頚
部５先端向きの面にはリング溝１６を設け、その
中にパツキングリングを埋めることにより、この
二重管冷却器を冷却水槽中に気密に設置すること
ができる。そのために、頚部５には、さらにネジ
山を付け、これを例えば水槽壁にねじ込み固定す
ることにより、二重管冷却器を確実に水槽中に固
定することができる。この様な本発明による方法
により、分配給管は全く溶接やろう付け作業によ
ることなく、組立て固定することができる。

外管２は内管３よりも短く、分配給管４の前述
した円筒状部分の一端部のｃで示される部分が内
管３のための接合部を形成し、その内径は内管３
の外径と等しい。この内管のための接合部ｃに引
続いて中間部ｂが設けられ、この中間部ｂの内径
は内管３の外径より大きく且つ外管２の内径より
小さい。それによつて内管３の外周部と中間部ｂ
の内周部との間に環状の小室１７が形成され、こ
の小室１７は導入溝６に通じ、且つ二重管１の外
管２と内管３との間の環状通路に通じている。こ
の小室１７に導入されたオイルをシールするため
に、分配給管４の内管３のための接合部ｃの内周
面にはパツキングリングを受けるための環状溝９
ｂが設けられている。

外管２のための接合部は領域ｄで示されるよう
に相対的に長い短管状に突出した円筒部１８の外
周部により形成される。即ち、円筒部１８の外周
部が外管２に内周部に嵌合される。この外周部に
はパツキングリングを受けるための環状溝９ｃが
形成される。分配給管４を二重管１に容易に挿入
するために、円筒部１８の先端にはテーパーが設
けられ、さらに、内管３のための接合部ｃも面と
りされた面８ａにより小室１７に接続される。分
配給管４の円筒部１８の外周には定められた位置
に、留め作用を行わせるための隆起１９が設けら
れる。分配給管４を挿入する際、外管２はこの隆
起１９に当接し、さらに頚部５の一定位置にも当
接するので、それ以上の挿入が不可能になる。隆
起１９の位置は、頚部５により外管２が留められ
る位置と一致するように設けられている。この状
態で、各接合部に設けられた環状溝９ｂ，９ｃに
配置されるパツキングリング（図示せず）の弾性
により、分配給管４は二重管１から抜けないよう
に一定の位置で保持される。この保持性能を高め
るためには、内管３の端部を曲げて分配給管４の
端部を係止することもできる。

第１図に示されるように、分配給管４の円筒部
１８の外周部が外管２の内周部に嵌合されている
ので、分配給管４は頚部５を除けば外管２の外周
とほぼ同一円筒面上或いはそれより小さい円筒面
上にあるように形成されることができ、外管２は
その最外端まで何物にも覆われないようになつて
いる。これによつて、コンパクトな二重管冷却器
が得られるとともに、外管２はその最外端までそ
の外部の冷却水（この二重管冷却器は槽中に沈め
られている）に直接に触れることができ、例えば
円筒部１８が外管２の外周に嵌合されている場合
に比べて熱交換能力を高めることができる。尚、
小室１７が内管３の回りに環状に形成されている
ので、円筒部１８が外管２の内周部に嵌合されて
いても導入溝６から導入された冷却水がこの嵌合
部を通る際に実質的な抵抗を受けないで円滑に流
れることができる。さらに、円筒部１８を外管２
の内周部に嵌合する構成により、この接合部のシ
ールのための環状溝９ｃが円筒部１８の外周部に
形成されることになり、環状溝９ｃの加工が円筒
部の内周部にある場合よりも容易になる。

二重管の双つの管が構成される間隙孔が比較的
大きな断面積を有し、それに相応して充填される
乱流素子も多量となつている第１図に示した実施
例と違つて、第２図に示した実施例では内管３と
外管２の間に構成された間隙通路が比較的狭く、
乱流素子７の充填量が少くなつている。このよう
な場合には、分配給管４を差し込む内管３の端部
が先細りに構成されることができる。円筒部１８
の二重管１に向いた端部にあるテーパー８ｄは、
一方においては分配給管４の孔に内管３を容易に
挿入するのに役立つと共に、他方において、冷却
されるべき液体が小室１７から二重管に導入され
る円孔の境界を形成している。結果として、内管
３の先細り端部が、より太い直径に移行する部分
において貫流する液体に断面積縮小を生ぜしめな
い効果をもたらしている。

このような本発明による分配給管を使用するこ
とによつて、二重管の内管３、外管２は溶接しな
いですむので、溶接後に一般には必要とされる内
部洗浄も無用となる。

また、この二重管冷却器を長期間使用し、洗浄
をしなければならなくなつた時にも、分配給管は
きわめて簡単に取りはずすことができ、洗浄後は
再びきわめて簡単、確実に規定の場所に差し込む
ことができる。溶接作業を要しないで、この分配
給管は特にアルミニウムにより形成されるのに適
しており、冷却器の重量軽減の目的を達成でき
る。また、公知の形式のものでは、漏洩を惹起す
る原因となる。温度変化による熱膨張差からの溶
接部分に加わる張力の問題も生じない。分配給管
と二重管の膨張度の差異は、特にリング溝上のパ
ツキングリングで補償されるものである。このよ
うな分配給管は、鋳造により簡単安価に製造でき
るが、プレス又はダイによる押出成形によつても
有利に製造できる。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明による二重管冷却
器は溶接やろう付されることなく組立てられるこ
とができ、コンパクトで冷却能力に優れたもので
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による二重管冷却器の断面図、
第２図は本発明による他の実施例の二重管冷却器
の断面図である。 １…二重管、２…外管、３…内管、４…分配給
管、５…頚部、６…導入溝、１３…円孔、１７…
小室、１８…短管状円筒部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 冷媒槽中に沈めてその内外から冷却を行うよ
   うにした二重管冷却器において、内管と外管を同
   心的に組合せた二重管と、該二重管の両端部に装
   着された円筒状分配給管とからなり、該円筒状分
   配給管の各々が冷却すべき油等の流体を内管と外
   管との間の環状通路に導入、もしくは取出すため
   の管軸に直角な導入孔を有する頚部を持ち、各円
   筒状分配給管の一部が外管の端部に挿入嵌合され
   るとともに分配給管の外周面に設けられた溝に挿
   入されたパツキングリングにより外管と円筒状分
   配給管との間を密封し、そして、各円筒状分配給
   管が内管に嵌合されるとともに円筒状分配給管の
   前記導入孔の一方側の内径が内管の外径に等しく
   且つ残りの部分の内径が内管の外径より大きく
   て、前記導入孔と前記環状通路とを連結するため
   に内管及び外管と同心的な室が形成されるととも
   に、円筒状分配給管の内管の外径と等しい内径部
   に設けられた溝に挿入されたパツキングリングに
   より内管と分配給管との間を密封し、さらに、前
   記頚部に該二重管冷却器を前記冷媒槽に取付ける
   ための取付け手段が設けられていることを特徴と
   する二重管冷却器。 ２ 前記二重管がアルミニウムにより形成される
   ことを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の二
   重管冷却器。 ３ 二重管に嵌合される分配給管の一端部が面取
   りされ、内管のための接合部が面取りされた面に
   より前記室に接続されることを特徴とする特許請
   求の範囲第１項又は第２項記載の二重管冷却器。 ４ 前記分配給管が圧力鋳物により形成されてい
   ることを特徴とする特許請求の範囲第１項から第
   ３項のいずれか１項記載の二重管冷却器。 ５ 前記分配給管がプレス又はダイにおける押し
   出し成形により形成されていることを特徴とする
   特許請求の範囲第１項から第３項のいずれか１項
   記載の二重管冷却器。