JPS647087Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は自動車用リアパーセルにおけるヒン
ジ構造の改良に関するものである。

ハツチバツクタイプ乗用車の後部座席とテール
ゲートとの間に形成された荷物室はリアパーセル
によつて開閉かつ取外し可能に覆われている。

また、荷物室の広さが広い場合にはリアパーセ
ルを前後に２分割し、後部座席側及びテールゲー
ト側のいずれからでも開閉できるようにしてい
る。

この２分割タイプの場合、リアパーセルを構成
する前後のパネルの接合辺縁の両側部には、ヒン
ジ部材が設けられることになり、かつ、上記リア
パーセルは車室内の幅一杯の広さに設置されるた
めに、必然的に上記ヒンジ部材は各パネルの下部
に配置されることになる。

しかし、この配置では、ヒンジ部材の頭部にパ
ネルが当たつてしまうため、パネルの回動角度が
規制されてしまい、180゜の回動角度で開くことは
できなかつた。

このような点を解消するために、パネルの辺縁
部に切欠き部を設けることによつて、全角度で開
閉できるようにすることも可能である。しかし、
この場合にはヒンジ部材がリアパーセルの上面に
露出してしまうことになり、見栄え上の不都合を
生ずる。

この不都合を解消するためにカーペツトをパネ
ル上に接着し、各パネル上を完全に覆うことも考
えられている。しかし、この構造ではパネルを折
り畳んだ際にカーペツトも一緒に折り畳むことに
なり、操作性が悪く、しかも折り畳み部分からカ
ーペツトが剥がれ易く、耐久性に乏しい。

この考案は以上の従来欠点に鑑みなされたもの
で、パネルに切欠き部を設けなくても、パネルを
全角度で開閉できるようにすることを目的とす
る。

以下、この考案の一実施例を図面を用いて詳細
に説明する。

第１図はこの考案を適用する自動車用のリアパ
ーセルを示す。このリアパセールはフロントパネ
ル１とリアパネル２とから２分割構成され、その
両者の接合辺縁部１Ａ、２Ａの両側部下面にはヒ
ンジ部材３が配置されている。

このヒンジ部材３は、第２図は示すように両端
に一対の凸状部４、４を垂直方向に突設したヒン
ジブロツク５と、各凸状部４，４の一側面に突出
して形成されたヒンジ軸６，６と、一方の凸状部
４の他側面にあつて、一方のヒンジ軸６と同軸か
ら反対側に突出形成された支持軸７を備えてい
る。

上記各ヒンジ軸６の先端部には互いに外側に向
けて設けられた爪部６Ａが形成されている。これ
ら各ヒンジ軸６は上記フロントパネル１及びリア
パネル２の下面に固定されて、各パネル１，２を
補強する部材に軸着される。

すなわち、フロントパネル１の接合辺縁部下面
には金属筒などの補強パイプ８からなるヒンジ受
け部材が埋設などによつて設けられており、また
リアパネル２の接合辺縁部下部には矩形状の補強
レール９からなるヒンジ受け部材が埋設などによ
つて設けられている。

したがつて、一方のヒンジ軸６はパイプ８に直
接嵌合され、他方のヒンジ軸６は接合用のブロツ
ク１０を介して上記補強用レール９に嵌合され
る。また、その嵌合状態において、一方側の爪部
６Ａは上記パイプ８に形成された切欠き部８Ａに
突出されて抜止めされるようになつているととも
に、他方側のヒンジ軸６の爪部６Ａは上記ブロツ
ク１０の外周部に突出し、抜止めがなされるよう
になつている。

第３図は上記の如く構成されたヒンジ部材３を
フロントパネル１及びリアパネル２に装着した状
態を示すもので、各凸状部４，４はパネル１，２
の下面に当接してこれらを支持している。

なお、上記支持軸７は図示省略するが、荷物室
の側面に形成される軸受けなどに着脱かつ回転可
能に装着されるようになつている。

この状態において、例えば後部座席側のフロン
トパネル１を回動させて、その下部の荷物室を開
く場合について説明する。

まず第４図に示すようにフロントパネルを持ち
上げれば、フロントパネル１は上記ヒンジ部材３
のヒンジ軸６を中心に回転し、かつその下面部は
上記凸状部４の外周に沿つて摺接し、次いで内側
面に当接し、ほぼ90゜直立した状態で一旦回動が
規制される。

この角度により更にフロントパネル１を回動さ
せれば、フロントパネル１との当接状態を保つた
まま、上記ヒンジ部材３そのものが今度は支持軸
７を中心に回動し、その結果、第５図に示すよう
にフロントパネル１をほぼ180゜に折り畳むことが
できるのである。

なお、上記実施例ではヒンジ軸を支持するヒン
ジ受け部材として補強パイプ８、補強レール９を
用い、これの軸孔にヒンジ軸を挿入するよう構成
した。しかしてこれら部材はリアパーセルの荷重
を支える部材としても重要であり、最も荷重が加
わる部位に装着位置が設定されている。また、本
願におけるヒンジ部材３ではヒンジ軸６同士の離
間間隔をこれらヒンジ受け部材を間隔に合せるこ
とができるので、リアパーセルそのものの強度を
低下させることがない。

本願考案に係るヒンジ構造は上記の如く構成さ
れているが、本願考案によれば下記の如き格別な
効果が得られる。

(a) 本願考案におけるヒンジ部材は上記の如く、
両端に一対の垂直方向の凸状部を形成して凹状
に形成するとともに、上記凸状部にヒンジ軸を
突設し、このヒンジ軸を両パネルの下面に設け
たヒンジ受け部材に回動可能に支持せしめるよ
うに構成したものであるから、両パネルには、
従来の如きヒンジ部材を取り付けるための切欠
き部を設ける必要が全くなく、かつ両パネルを
接近して配置しても充分回動可能である。その
ため、本願考案におけるヒンジ部材は両パネル
の下面に全く隠れてしまうため、外方よりヒン
ジ部材を視認することができず、また、両パネ
ルには切欠き部がなく、かつ両パネルを接近し
て配置することができるため、平坦性、連続性
に優れ外観上の見栄えが向上する。

(b) 本願考案において、例えばフロントパネルを
持ち上げて回動せしめた場合、パネルはヒンジ
軸を中心に回動し、かつこのパネル下面はヒン
ジ部材の凸状部外周に沿つて摺接し、次いで内
側面に当接し、第４図に示す如く略90゜に直立
した状態で一旦回動が規制されるように構成さ
れている。すなわち、パネルは間欠的に回動す
るよう構成されているため、パネルはリアパネ
ル上に一挙に回動、折畳まれることがないの
で、リアパネル上の荷物に不意に当ることはな
く、荷物の損傷を未然に防止でき、かつ180゜に
折畳み可能であるため使用に際して便利であ
る。なお、本願考案にあつてはリアパネルを回
動せしめた場合も略90゜で回動規制されること
は勿論である。

(c) 本願考案に係るヒンジ構造によれば、ヒンジ
部材を取り付けるための切欠き部が必要ないた
め、パネル上をカーペツト等により覆う必要が
ない。そのため、パネルの折畳み操作性が良
く、かつ折畳み部分のカーペツト等が剥がれる
おそれもないため耐久性に富む等の効果を有す
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案を適用するリアパーセルの斜
視図、第２図はこの考案に係るヒンジ部材及びそ
の接合状態を示す分解斜視図、第３図は同組み立
て状態を示す斜視図、第４図、第５図は開閉時に
おける軸の動作を示す説明用の側面図である。 １……フロントパネル、２……リアパーセル、
３……ヒンジ部材、４……凸状部、５……ヒンジ
ブロツク、６……ヒンジ軸、７……支持軸、８…
…パイプ（ヒンジ受け部材）、９……補強用レー
ル（ヒンジ受け部材）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 後部座席とテールゲートとの間に形成された荷
   物室の上部開口を覆うとともに、前後に分割され
   たフロントパネルとリアパネルとからなるリアパ
   ーセルにおける両パネルの接合辺縁部側縁の下部
   に設けられた一対のヒンジ部材であつて、該ヒン
   ジ部材は両端に上記各パネルの側縁部下面に当接
   してこれを支持し、垂直方向に延出した一対の凸
   条部を形成してなる凹状のヒンジブロツクと、上
   記凸条部の一側面に突設され、かつ上記パネルの
   下面に固着されたヒンジ受け部材の軸孔に回動可
   能に軸着される一対のヒンジ軸と、上記凸条部に
   設けられるとともに、これの他側面にあつて、上
   記一方のヒンジ軸と同軸上に突設され、かつ荷物
   室側面に回動可能に軸着される支持軸とからな
   り、各ヒンジ軸に対してフロントパネルおよびリ
   アパネルが略90゜回動可能に構成されているとと
   もに、支持軸廻りにヒンジブロツクが略90゜回動
   可能なことにより、フロントパネルまたはリアパ
   ネルのいずれか一方側のパネルが略180゜回動可能
   に構成されていることを特徴とする自動車用リア
   パーセルにおけるヒンジ構造。